JP2006008891A - インクジェット記録用カラーインク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェット記録画像 - Google Patents

インクジェット記録用カラーインク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェット記録画像 Download PDF

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淳 青木
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Junichi Sakai
淳一 酒井
Yoshio Nakajima
義夫 中島
Yoko Ichinose
洋子 一ノ瀬
Toshiaki Kaneko
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Abstract

【課題】 光沢媒体への記録によって、光沢性に優れた高品位の堅牢性の高い画像が得られ、普通紙に対する記録特性や、耐擦過性に優れた画像の形成が可能なカラーインク、インクジェット記録装置、記録方法及び記録画像の提供。
【解決手段】 光沢媒体に記録されたブラックインクの記録領域上への記録に用いられるカラーインクであって、ブラックインクの記録が、水不溶性色材と荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含み、水不溶性色材は荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって単独で分散しており、且つ特定のナトリウム塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩のいずれかを含有しているインクにより行われ、カラーインクの成分が、該ブラックインクに含有されている特定の塩をいずれも実質的に含有しないことを特徴とするカラーインク。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録用カラーインク(以下、カラーインクという)に関し、より詳しくは、特定の構成のブラックインクと併用されるカラーインク、これを用いたインクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェット記録画像に関する。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理よりノズルからインクの微小液滴を飛翔させて記録媒体(紙等)に到達させ、画像や文字等を記録する方法であり、高速、低騒音、多色化が容易であり、記録パターンの融通性が高い、現像及び定着操作が不要等の特徴があり、様々な用途において急速に普及している。特に、近年はフルカラーの水性インクジェット記録方式技術がめざましい発達を遂げており、従来の製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較しても遜色のない多色画像を形成することも可能となっている。更に、作成部数が少ない場合には、通常の多色印刷や印画よりも安価に印刷物が得られることから、インクジェット記録方式は、フルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
そして、更なる記録の高速化、高精細化、フルカラー化等の記録特性向上の要求に伴って、水性インクジェット記録装置及び記録方法の改良が行われてきている。近年における傾向として、より優れたインクジェット画像を得るために、本質的に水に不溶である色材をインク中で安定に分散させるだけでなく、得られる印字物が、優れた画像品位と優れた耐擦過性を両立するものとなることが求められている。
水に不溶な色材、特に顔料を水性インクジェット記録用インクの色材成分として用いるためには、水中に色材を安定に分散させることが必要となる。水に不溶な色材を水性インクジェット記録用インクとして用いる場合には、界面活性剤若しくは高分子分散剤(分散樹脂とも呼ぶ)を用いて分散安定化させることが、一般的に行われているが、分散樹脂は水への親和性が高いため、色材表面から脱離しやすく、長期的に十分な分散安定性が保てないという問題があった。
これに対し、分散樹脂や界面活性剤を含まずに安定に分散できるよう、水不溶性色材の表面を化学的に修飾する手法が検討されている。例えば、「水不溶性着色剤を含有する水系着色微粒子分散物において、該着色微粒子分散物が水不溶性着色剤を分散剤の存在下で水系媒体中に分散させた後にビニルモノマーを添加して重合したものであり、該分散剤が水不溶性着色剤を分散した場合には分散安定性を示し、且つ、該分散剤のみの存在下で該ビニルモノマーを重合した場合には生じるラテックスの安定性が乏しいことを特徴とする水系着色微粒子分散物」についての提案があり(特許文献1参照)、該分散物を使用することで、分散安定性等に優れたインクジェット記録用インクを得たとされている。
特開2003−34770公報
しかしながら、上記した従来技術について本発明者らが追検討したところ、上記の技術によって得られたインクでは、画像形成に使用する記録媒体によって、特に普通紙において充分な印字濃度の画像が得られず、光沢紙と普通紙とでは、印字濃度において明らかな差異がみられることがわかった。これは、上記の技術では、「顔料表面からの分散剤の脱着が起こりにくく、分散剤が吸着した顔料表面で重合が進行したため」に、得られる水系着色微粒子分散物の表面には分散剤が吸着しており、特に普通紙上で、この分散剤が浸透剤としては働くためであると考えられる。
上記したように、本質的に水に不溶である色材をインク中に安定に分散させてインクジェット記録用インクとし、これを使用することで、優れた画像品位と優れた堅牢性とを両立した印字物を得ることは難しく、未だ完全には達成されていない。更に、本発明者らの検討によれば、特に、水不溶性色材として顔料を使用したインクの場合には、光沢記録媒体に形成した印字物の光沢性に関して大きな課題がある。
従って、本発明の目的は、これらの課題を解決し、上記した全ての要求を良好な状態で達成することのできるインクジェット記録用のインクを提供することにある。即ち、本発明の目的は、光沢記録媒体に対して記録した場合における、光沢性に優れた画像品位の達成、普通紙に対しての記録特性の達成、記録紙上での耐擦過性に優れた画像を満足できる記録方法を提供することにある。更に、本発明の別の目的は、上記の全てを達成できる優れたインクジェット記録装置、及びインクジェット記録画像を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決する手段として、本質的に界面活性剤や高分子分散剤を必要とせずに高い分散安定性を保ち、且つ記録紙上に充分な接着性又は造膜性を有する新規な分散性色材を利用し、該分散性色材を含むインクをブラックインクとし、更には、該ブラックインク中には特定の塩を含有させ、該ブラックインクと組み合わせるカラーインクには、これらの塩を含有させない組成とすることが有効であり、かかる構成によって、光沢性を含む高い画像品位及び優れた堅牢性をもつ印字物が得られることを知見して本発明に至った。即ち、本発明は、以下のような手段によって達成される。
1.インクジェット記録用ブラックインクによって記録媒体上に記録されたブラックインクの記録領域上への記録に用いられるインクジェット記録用カラーインクであって、記録媒体が光沢記録媒体であり、上記ブラックインクの記録が、水不溶性色材と1種以上の荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含み、該水不溶性色材は、該荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって単独で分散しており、且つ(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3(但し、M1は、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表わし、Phはフェニル基を表わす)から選ばれる少なくとも1種の塩を含有しているインクによって行われたものであり、カラーインクの成分として、該ブラックインクに含有されている上記のいずれの塩も実質的に含有されていないことを特徴とするインクジェット記録用カラーインク。
2.色調が、イエロー、マゼンタ及びシアンのいずれかである前記1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
3.カラーインクの色材が、荷電性樹脂擬似微粒子を顔料粒子表面に固着させることによって分散している分散性色材を含む前記1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
4.前記ブラックインクが、前記した塩を総量で0.1〜5質量%含む前記1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
5.前記荷電性樹脂擬似微粒子が、極性基を有している前記1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
6.前記極性基が、アニオン性基又はカチオン性基である前記5に記載のインクジェット記録用カラーインク。
7.前記分散性色材の表面官能基密度が、250μmol/g以上1,000μmol/g未満である前記1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
8.前記分散性色材の表面エネルギーが、70mJ/m2以下である前記1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
9.前記荷電性樹脂擬似微粒子が共重合体成分を含んで構成されており、該共重合体成分のガラス転移温度が、−40℃以上60℃以下である前記1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
10.前記共重合体成分が、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むモノマー成分の共重合体を含んでなる前記9に記載のインクジェット記録用カラーインク。
11.前記疎水性モノマーが、α位にメチル基を有し、且つ、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを少なくとも含有する前記10に記載のインクジェット記録用カラーインク。
12.前記疎水性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステル化合物を少なくとも含有する前記10に記載のインクジェット記録用カラーインク。
13.前記疎水性モノマーが、メタクリル酸ベンジル又はメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも一種を含有する前記10に記載のインクジェット記録用カラーインク。
14.前記親水性モノマーが、アニオン性モノマーを少なくとも含有する前記10〜13のいずれか1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
15.前記アニオン性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチレンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種を含む前記14に記載のインクジェット記録用カラーインク。
16.インクジェット記録方式で記録媒体上にインクが付与されて画像形成が行われ、且つ、記録媒体上のブラックインクによって記録された記録領域上に、カラーインクが記録されて画像が形成される構成を有するインクジェット記録装置であって、上記インクが、前記1〜15のいずれか1に記載のインクジェット記録用カラーインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
17.前記記録媒体が光沢記録媒体である場合に、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクによる記録が行われて画像が形成され、記録媒体が光沢記録媒体でない場合には、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクの記録を行うことなく画像が形成されるように構成されている前記16に記載のインクジェット記録装置。
18.インクジェット記録方式で記録媒体上にブラックインクを付与して記録した後、該ブラックインクによって記録した領域上にカラーインクを付与して画像を形成するインクジェット記録方法であって、上記インクが、前記1〜15のいずれか1に記載のインクジェット記録用カラーインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
19.記録媒体が光沢記録媒体である場合は、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクで記録を行って画像を形成し、記録媒体が光沢記録媒体でない場合は、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクで記録を行わないで画像を形成する前記18に記載のインクジェット記録方法。
20.インクジェット記録方式で記録媒体上に、ブラックインクの記録領域上にカラーインクで記録がされて形成されたインクジェット記録画像であって、記録媒体が光沢記録媒体であり、且つ上記カラーインクが、前記1〜15のいずれか1に記載のインクジェット記録用カラーインクであることを特徴とするインクジェット記録画像。
21.カラーインクとブラックインクを用いて光沢記録媒体上に画像を形成する記録方法に対して、適用されるブラックインクであって、水不溶性色材と1種以上の荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含み、該水不溶性色材は、該荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって単独で分散していることを特徴とするブラックインク。
即ち、本発明は、インクジェット記録用ブラックインクによって記録媒体上に記録されたブラックインクの記録領域上への記録に用いられるカラーインクであって、上記ブラックインクの記録が、水不溶性色材と1種以上の荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含み、該水不溶性色材は、該荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって単独で分散しており、且つ(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3(但し、M1は、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表わし、Phはフェニル基を表わす)から選ばれる少なくとも1種の塩を含有しているインクによって行われたものであり、カラーインクの成分として、該ブラックインクに含有されている上記のいずれの塩も実質的に含有されていないことを特徴とするカラーインクである。
本発明によれば、本質的に水に不溶な色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することで単独で分散させた、特定の塩を含むインクジェット記録用ブラックインク(以下、ブラックインクという)によって記録された記録媒体の記録領域上に、該ブラックインクに含まれている塩を含有しないカラーインクによる記録を行うことによって、特に、記録媒体が光沢記録媒体である場合において、光沢性に優れた画像品位と高い堅牢性とを達成した印字物を得ることができる。更に、普通紙に対しても、記録特性、記録紙上での耐擦過性に優れた画像が得られる。
光沢記録媒体において光沢性に優れた画像が得られる理由は、特定の色材と塩とを含むブラックインクで記録媒体上に記録された記録領域上では色材が凝集を起こすが、この上に記録されるためのカラーインクが、ブラックインクが含む特定の塩を含有しないものであれば、カラーインクを上打ちすることで凝集を抑えることができるためであると考えられる。即ち、上述の特定の塩を含有したブラックインクで形成した記録媒体上のインクドットでは、ドット表面の蒸発がもっとも大きく、表面張力によって表面が平滑になる前にすばやい凝集により表面が固まった状態になるため、凹凸状態が形成されてしまい光沢性が劣る可能性があるが、本発明にかかるカラーインクを上打ちすることで、この問題が解消されて、光沢性に優れた画像品位の画像の形成が可能となる。尚、普通紙等の光沢性がない記録媒体においては、画像の光沢性が格別に要求されることはないため、ブラックインクによって形成された記録領域に特にカラーインクを上打ちする必要はない。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明にかかるカラーインクは、記録媒体が光沢記録媒体である場合において、特定のブラックインクによって形成された記録領域に重ねて記録されることを前提としたものであるが、先ず、このブラックインクについて説明する。
<ブラックインク>
本発明の第一の特徴は、本発明にかかるカラーインクとともに画像形成に使用されるブラックインクが、水不溶性色材と、荷電性樹脂擬似微粒子からなる分散性色材を含み、該水不溶性色材が、該荷電性樹脂擬似微粒子を固着している点にある。
図1に、本発明を特徴づける、水不溶性の色材1に、荷電性樹脂擬似微粒子2が固着している分散性色材の模式図を示した。図1(b)の2’の部分は、色材1の表面に固着した荷電性樹脂擬似微粒子2の一部が融着している状態を模式的に示した部分である。
色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することで、色材の表面に荷電性樹脂擬似微粒子による電荷が付与され、水又は水性インク媒体へ分散可能な分散性色材を得る。又、同時に該分散性色材は、表面に固着している樹脂成分の存在によって記録媒体への優れた接着性を有する。このとき、樹脂成分の単純な物理吸着ではなく、本願の分散性色材の特徴である、荷電製樹脂擬似微粒子の固着状態とすると、荷電性樹脂擬似微粒子が色材表面から脱離することがないため、長期保存安定性にも優れている。
ここで、本願における荷電性樹脂擬似微粒子とは、樹脂成分が強く凝集状態にある樹脂集合体であり、好ましくはその内部に物理的架橋を多く形成しており、該樹脂集合体は微粒子形態或いはそれに近い微小凝集体として安定な形態を有しているものである。この荷電性樹脂擬似微粒子についての詳細は後述する。
本願の固着状態は、色材表面と荷電性樹脂擬似微粒子との強い相互作用によるものであり、次のような状態で達成されていると考えられる。図3に、荷電性樹脂擬似微粒子の色材との界面を拡大した模式図を示した。先ず色材との界面において、荷電性樹脂擬似微粒子は様々なモノマーユニット組成で構成されるポリマーが絡み合って形成されている。このとき、ポリマーは局所的にさまざまな構造をとっており、その表面エネルギー状態には分布が生じている。色材の、化学構造及び表面構造から生じる表面エネルギーと、ポリマーの化学構造及び表面構造から生じる表面エネルギーとが、局所的によく一致する点において、2つの界面は強固に結合することとなる。更に、一つの荷電性樹脂擬似微粒子が色材と接する界面において、図3の10に示されるような表面エネルギーが局所的に一致する点は複数あり、この複数個所の強固な相互作用によって本願の固着状態は成り立っていると予想される。特に、前記荷電性樹脂擬似微粒子の内部は構成するポリマー間に強い相互作用が働いており、場合によっては構成するポリマーは互いに絡まりあって物理架橋を形成しているため、前記荷電性樹脂擬似微粒子が多くの親水性基を有する場合にあっても、固着した前記荷電性樹脂擬似微粒子が色材から脱離したり、前記荷電性樹脂擬似微粒子から親水性基を有する樹脂成分が溶出しつづけたりすることがない。
又、本願の分散性色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによるメリットとして、その形態によって分散性色材の比表面積が増大し、その多くの部分に荷電性樹脂擬似微粒子が表面に有する電荷を分布させることができる点が挙げられる。前記分散性色材が高い比表面積を有することによって、前記荷電性樹脂擬似微粒子の有する電荷を極めて高い効率で分散性色材の表面電荷とすることができる。即ち、本願の分散性色材の形態は、より多くの表面電荷をより効率的に分散性色材の表面に配する形態であり、特許文献2に代表されるような色材を樹脂で被覆する形態に比して、樹脂成分の実質酸価又はアミン価がより小さい場合においても高い分散安定性を付与できる。
本発明において、色材が樹脂擬似微粒子を「固着」している状態は、簡易的には次のような手法で確認することができる。色材が分散しているインク又は水分散体を遠心分離装置にて、12,000回転、60分の条件で第一の分離を行う。分離したうちの、色材を含んでいる下層の沈降物を純水に再分散してから乾燥させ、乾燥物について、色材と樹脂との割合(樹脂質量/色材質量、B/Cと表す)を測定する(B/C−1)。
続いて、第一の分離における沈降物を純水に再分散したものを、80,000回転、90分の条件にて第二の分離を行い、色材を含んでいる下層の沈降物を水に再分散してから乾燥させ、再び乾燥物についてB/Cを測定する(B/C−2)。そして、上記の各段階で測定された乾燥物についての色材と樹脂との割合の比(B/C−2)/(B/C−1)が、0.5〜1.0の範囲内にあれば、この色材と樹脂とは固着されていると判断する。
更に、上記に加えて、第一の分離における沈降物と、第二の分離における沈降物をそれぞれ水に再分散してから乾燥させ、走査型電子顕微鏡にて5万倍で観察する。そのときに観察された色材が、その表面に樹脂微粒子を複数付着している様子が確認され、且つ第一の分離と第二の分離からのそれぞれの沈降物が同様の形態を有していれば、この色材は樹脂微粒子を固着していると判断する。
上記の操作を本発明で使用する分散性色材以外の分散性色材に適用した場合は、(B/C−2)/(B/C−1)の値は0.5よりも更に小さな値となる。又、(B/C−2)/(B/C−1)が0.5〜1.0の範囲内であっても、色材と結合しているものが樹脂擬似微粒子ではない場合には、特に第二の分離からの沈降物は、樹脂に色材が不規則に内包された形態か、或いは色材の形態が明確でない像として観察され、樹脂擬似微粒子として規則的な構造で色材に固着されている状態が観察されない。
上述したB/Cの値は、一般的には示差熱重量測定法によって求めることができ、本発明ではMETTLER社製のTGA/SDTA851にて測定、算出した値を用いている。B/Cの値は、前述の第一或いは第二の分離によって得られた沈降物を水に再分散させたものを乾燥させてから秤量し、示差熱重量測定装置を用い、窒素雰囲気、或いは大気中において昇温を行ったときの色材及び樹脂成分のそれぞれの分解温度前後での質量変化を求めることで、算出される。
本発明の第二の特徴は、本発明にかかるカラーインクとともに用いるブラックインクが、前記した水不溶性色材1が、荷電性樹脂擬似微粒子2を固着した状態で(図1参照)、インク中に単独で分散してなるものである点にある。
本明細書において、「単独で分散している」とは、「他の界面活性剤や高分子分散剤等の助けがなくとも、水不溶性色材が、水及び水性インク中に安定に分散できる」状態を意味している。この定義及び判定方法については後に詳細に述べる。本発明で使用されるブラックインクは、上記した特定のものであり、記録紙上に着弾した際に色材の凝集を妨げ、且つインクの浸透を促進する界面活性剤及び/又は高分子分散剤を含む必要がなく、或いはインクの浸透を最適にする程度のごく僅かな添加量に抑えられたものである。更に、本発明で使用されるブラックインクは、高分子分散剤を含むインクジェット記録用インクの問題点であったインク粘度の上昇や、高分子分散剤がインクジェット記録装置の吐出口付近にこびりつくことによる吐出方向のずれ等の発生が抑えられたものである。
本明細書でいう「単独で分散している」状態は、次のような方法で確認される。先ず、色材が分散しているインク又は水分散体を純水で10倍に希釈し、分画分子量50,000の限外ろ過フィルターを用いて元の濃度になるまで濃縮する。この濃縮液を遠心分離装置にて12,000回転、2時間の条件で分離し、沈降物を取り出して純水に再分散させる。このとき、沈降物が良好に再分散し得るものが、単独で分散していると判断される。良好に再分散しているかどうかは、目で見て均一に分散していること、1〜2時間静置している間に目立った沈降物が発生しないか、あっても軽く震蕩すれば元に戻ること、動的光散乱法にて分散粒径を測定した際に、平均粒径が操作前の粒径の2倍以内であること等から総合的に判断できる。
本発明で使用されるブラックインクの好ましい実施形態としては、上記で説明した荷電性樹脂擬似微粒子が極性基を有しているものであることが望ましい。このように樹脂微粒子が極性基を有している形態とすれば、水不溶性色材に高い分散安定性を付与することができる。極性基としてはアニオン性基又はカチオン性基のいずれでもよい。アニオン性基又はカチオン性基を有する荷電性樹脂擬似微粒子が固着した水不溶性色材は、その形態から、高い比表面積を有しており、更に表面に多くの極性基を有した状態となる。従って、極性基を有する荷電性樹脂擬似微粒子を水不溶性色材に固着することによって、水不溶性色材は、高い表面電位を有した状態で分散安定化された分散性色材となる。結果として、該分散性色材を含むインクの分散安定性及び保存安定性を高めることができる。
本発明で使用されるブラックインクは、上述した形態とすることで、水不溶性色材が荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって高い比表面積に多くの極性基を有するものとなり、より優れた保存安定性が実現される。従って、荷電性樹脂擬似微粒子は、水不溶性色材に対して点在して固着している状態のものである場合により更に好ましい結果が得られる。特に、極性基を有する荷電性樹脂擬似微粒子を固着する場合、固着している荷電性樹脂擬似微粒子間に一定の距離があり、好ましくは水不溶性色材の表面の一部が露出していることが望ましい。このような形態はブラックインクを透過型電子顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡で観察することにより確認できる。色材表面に固着している樹脂微粒子が、一定の距離をおいて複数固着しているか、或いは固着している樹脂微粒子と樹脂微粒子の間に、色材表面が露出している状態が観察できる。尚、樹脂微粒子は部分的に近接し、場合によっては融着しているものも観察され得るが、全体として樹脂微粒子間には距離が有り、色材表面が露出している部分があり、なおかつこれらの状態が分布している場合には、樹脂微粒子が水不溶性色材に対して点在して固着していると見なされることは、同業者には明白であろう。
更に、本発明で使用されるブラックインクは、上記で説明した水不溶性色材が荷電性樹脂擬似微粒子を表面に固着したその形態によって、記録媒体上で優れた速乾性を示すことが明らかとなった。この理由は定かではないが、次のようなメカニズムに基づくと考えられる。水不溶性色材は上述したように、色材表面に荷電性樹脂擬似微粒子を固着した状態にてインク中に分散している。このインクが記録媒体上に到達したとき、インク溶媒は毛細管現象により記録媒体上の細孔(普通紙の場合はセルロース繊維間の空隙であり、コート紙や光沢紙の場合は受容層の細孔である)へ吸収される。このとき、上記で説明した色材はその形態的特長から、色材同士が接した部分に樹脂微粒子が点在するために細かい隙間が多く形成され、色材間に存在するインク溶媒に毛細管現象が働く。このため、色材間のインク溶媒は速やかに記録媒体中に吸収される。本発明で使用されるブラックインクにおいて、荷電性樹脂擬似微粒子が表面に点在した形態であるものがより好ましい速乾性を示すことからも、上述したメカニズムによって速乾性が達成されていることが予想される。
前記した荷電性樹脂擬似微粒子が極性基を有する場合、この樹脂微粒子を固着した水不溶性色材の表面官能基密度は、250μmol/g以上1,000μmol/g未満が好ましく、更には、290μmol/g以上900μmol/g未満であることが好ましい。この範囲より小さな表面官能基密度を有する場合、分散性色材の長期保存安定性が悪くなったり、記録媒体上での凝集力が不足し、記録媒体上に形成された画像の擦過性が劣ったものとなる場合がある。又、この範囲よりかなり大きな表面官能基密度を有する場合は、分散性色材の分散安定性が高くなりすぎて、記録媒体上で色材が浸透し易くなり、高い印字濃度を確保することが難しくなる場合がある。特に、本発明で使用されるブラックインクにおいて使用する水不溶性色材として好適なカーボンブラックを用いる場合においては、カーボンブラックの比重が高く保存安定性を高める必要があることと、特に記録媒体上での黒濃度は高いものが好まれることから、更に好ましくは、350μmol/g以上800μmol/g未満に設定される。
特に極性基としてアニオン性基を有する場合には、上記における表面官能基密度は、例えば、次のように求められる。前記分散性色材を含む水分散体又はインクに大過剰量の塩酸水溶液を加え、遠心分離装置にて20,000rpm、1時間の条件で沈降させる。沈降物を回収し、純水に再分散させたのち乾燥法にて固形分率を測定する。再分散させた沈降物を秤量し、既知量の炭酸水素ナトリウムを加えて攪拌した分散液を、更に遠心分離装置にて80,000rpm、2時間の条件にて沈降させる。上澄みを秤量し、0.1規定塩酸にて中和滴定より求めた中和量から、炭酸水素ナトリウムの既知量を差し引くことで、顔料1gあたりのmol数として求められる。極性基としてカチオン性基を有する場合には、同様の手法にて、塩酸の代わりに水酸化ナトリウムを、炭酸水素ナトリウムの代わりに塩化アンモニウムを用いて求めることができる。
又、前記荷電性樹脂擬似微粒子を固着した水不溶性色材からなる分散性色材の表面エネルギーが、70mJ/m2以下であることも好ましい実施形態である。本発明者らの検討によれば、前記分散性色材の表面エネルギーを70mJ/m2以下の範囲に制御することにより、前記分散性色材のインク中における優れた分散安定性の達成と、記録媒体上での適切な定着性を得ることができる。これに対して、前記分散性色材の表面エネルギーが70mJ/m2より著しく大きい場合には、色材表面の親水性が高すぎるために、記録媒体上で色材と水性インク媒体との分離がうまくいかず、印字面の乾燥が遅くなることがある。又、インクの保存安定性には優れるが、印字物の耐水性が不充分となる場合がある。これは、色材表面の親水性が高すぎるために、印字物が水或いは水性マーカーペンに暴露されると、色材表面の強い親水性によって紙面上に凝集した色材が再分散してしまうことに起因すると考えられる。本発明で使用する分散性色材の表面エネルギーは、使用する水不溶性色材の表面電荷、官能基構造、及び色材に固着する荷電性樹脂擬似微粒子の化学構造及び表面構造、のいずれからも制御することができ、荷電性樹脂擬似微粒子の化学構造及び表面構造は、樹脂微粒子合成時に使用する重合開始剤の残基、構成モノマー成分のいずれからも制御される。
この明細書で使用する「表面エネルギー」は、物質の界面の自由エネルギーを表し、その界面の化学構造に依存する。表面エネルギーが高いものほど濡れやすく、水との親和性が高いということを示す。本発明においてはサーフィス・メジャメント・システム社から上市されるインバース・ガス・クロマトグラフを用いて求められる値を、その分散性色材の表面エネルギー値と定義する。具体的には、分散性色材を乾固させて粉末としたものを固定相とし、極性の異なる有機ガスを移動相としたときのそれぞれのガスの保持時間から外挿して求められる。
又、前記荷電性樹脂擬似微粒子を固着した水不溶性色材からなる分散性色材の、インクを構成する水性媒体中における表面ゼータ電位が、特に極性基としてアニオン性基を有する場合には平均値が−20〜−80mVの範囲、或いはカチオン性基を有する場合には平均値が+10〜+60mVの範囲とすることも好ましい実施形態である。上記の範囲とすることで、インクに優れた長期保存安定性を付与できる。これに対して、ゼータ電位が−15mVから+10mVの範囲では、インクの長期保存安定性が不充分になることがある。一方、ゼータ電位が−80mVよりも小さいか又は+60mVよりも大きい場合には、インクの保存安定性は優れるものの、印字物の耐水性が不充分となる場合がある。
この明細書で使用する「ゼータ(ζ)電位」とは、ゼータポテンシャル又は界面動電位とも呼ばれ、互いに接している固体と液体とが相対運動を行ったとき、両者の界面に生じる電位差を意味する。液中に存在する固体の表面状態の解析に用いられ、固体と液体との界面に生じた電気二重層のうち、固体に近い部分には固定相(又は吸着相)があり、固体表面と反対電荷のイオン等が固着している。固体と液体とが相対運動をするとき、この固定相は固体とともに移動するので、実際に運動を支配する電位差は、固定相の面と溶液内部との間の電位差であると考えられ、この電位差がゼータ電位と呼ばれる。ゼータ電位は固定相の電荷の正負に応じて、正又は負の値をとる。水不溶性色材がインク中に分散安定化している状態においては、水不溶性色材のもつゼータ電位によって色材同士の接近が妨げられることによって分散状態が維持されるため、水不溶性色材を含むインクジェット記録用インクの分散安定性及び保存安定性においてゼータ電位は重要な意義をもつ物性値とされる。
更に、ゼータ電位はその絶対値が分散安定性に大きく寄与するのみならず、その分布についても考慮されるべきである。特に、一般的にゼータ電位の異なるコロイド分散体が共存する分散系においては、ゼータ電位の符号(正負)が同符号のものであっても、その絶対値の小さい分散体表面と絶対値の大きい分散体表面間に引力が働くために凝集しやすくなるヘテロ凝集現象が知られている。
即ち、本発明で使用されるブラックインクにおいても、水不溶性色材のゼータ電位はその絶対値が均一であることで、分散安定性における効果が発揮される。本発明者らによれば、本発明で使用する分散性色材のゼータ電位が、その平均値に対して標準偏差で50以内であれば望ましい分散安定性を得られることが明らかとなった。ただし、ゼータ電位は色材(その他あらゆるコロイド分散体に関しても同様である)が分散する水性媒体の誘電率、pH、塩濃度等の種々の条件によって変化する値であるので、色材の使用される媒体条件において測定された絶対値及び分布について議論されるべきである。
水性インク中の水不溶性色材のゼータ電位は、一般的な公知慣用の方法により測定することができるが、本発明においては、マイクロテック・ニチオン社製のZEECOMを使用し、インクとして用いる水性混合溶媒中に色材を適当な倍率に希釈し、一定の電場を印加した場合の分散粒子(即ち本発明の場合においては色材)の移動速度を画像処理法にて測定して求めた値とする。ただし、特に特定の電解質を多く含んだインクとする場合においては、同じ構成の水性混合溶媒中で上述した測定を行おうとすると、溶媒の電気伝導度が異常に高くなって測定できない場合があるが、この場合は電解質成分を除くか或いは減らし、媒体のpHをインク使用時のpHに合わせて測定することで水不溶性色材のインク媒体中でのゼータ電位を知ることができる。この場合、実際のインク中には電解質が多く含まれるために、一般的にインクの保存安定性は劣る傾向にあるが、本発明で好ましく用いられるゼータ電位の範囲とすることでより好ましい保存安定性を有するインクとすることができる。
本発明に使用されるブラックインクは、図1に示されているように、水不溶性色材1の表面に、荷電性樹脂擬似微粒子2を固着した状態でインク中に存在している。従って、色材は、表面に固着している樹脂微粒子を介して、記録媒体上で記録紙及び隣り合った色材と相互に接着する。
従って、本発明で使用されるブラックインクを用いて得られる印字物は、優れた耐擦過性及び耐マーカー性を有する。より好ましい実施形態としては、前記荷電性樹脂擬似微粒子が更に分散して存在するインクとすることによって、水不溶性色材を用いたインクでは通常では難しい光沢記録媒体上での高光沢印字が可能となる。更に好ましくは、水不溶性色材に固着している荷電性樹脂擬似微粒子(A)と、インク中に分散して存在する荷電性樹脂擬似微粒子(B)とが存在する様態において、樹脂微粒子(A)を構成するモノマー成分と、樹脂微粒子(B)を構成するモノマー成分とが、1種以上の共通のモノマー成分を含んでなることにより、樹脂微粒子(A)を固着した水不溶性色材と、樹脂微粒子(B)との親和性が大きくなり、接着力が増大するため、特に光沢記録媒体上での印字物の耐擦過性を大きく向上する。
[色材]
本発明で使用されるブラックインクの必須成分である水不溶性色材について説明する。本発明で用いられる水不溶性色材としては、疎水性染料、無機顔料、有機顔料、金属コロイド、着色樹脂粒子等、水に不溶な色材で、分散剤とともに水中にて安定に分散できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。好ましくは、分散粒径が0.01〜0.5μm(10〜500nm)の範囲、特に好ましくは0.03〜0.3μm(30〜300nm)の範囲となる色材を使用する。0.5μmより大きい色材を用いた場合には、インクジェット記録装置の吐出口を詰まらせる可能性が高くなり、より精細な画像を印字するのに適さなくなる。一方、この範囲よりも著しく小さい色材であると、水不溶性色材を使用したことによるメリットである、画像の耐候性等が充分に得られない可能性が生じる。
本発明において使用される水不溶性色材として有効な黒色顔料としては、カーボンブラックが好適に用いられる。具体的には、例えば、ファーネス法、チャネル法、或いは、石油コークスを多量のアルカリを用いて賦活化して製造される高比表面積カーボン、更に、上記したようなカーボンブラック素材に対して気相からの弗素処理、親水性を有する重合性モノマーのプラズマ処理、親水性を有するモノマーの液相からのグラフト重合等の処理が為されたカーボンブラックであってもよい。以上のようなカーボンブラックは、一次粒径が15〜40mμ(nm)、BET法による比表面積が50〜3,000m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものである。
上記したようなカーボンブラック顔料(C.I.Pigment Black7)の市販されているものとしては、具体的には、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA6、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学製);Raven 700、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255(以上、コロンビア製);Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット製);ColorBlack FW1、ColorBlack FW2、ColorBlack FW2V、ColorBlack FW18、ColorBlack FW200、ColorBlack S150、ColorBlack S160、ColorBlack S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ製);マックスソーブ G−40、マックスソーブ G−15、マックスソーブ G−08(以上、関西熱化学(株)製)等を使用することができるが、これらに限られるものではない。
本発明において用いることのできる有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系等から選ばれる黒色の顔料が挙げられる。
その他、本発明で用いることのできる有機性の不溶性色材としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、フタロシアニン系、カルボニル系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系等の疎水性染料から選ばれる黒色の染料が挙げられる。これらの中でも分散染料が特に好ましい。
ブラックインク中の色材量に関しては0.1〜15質量%使用されることが好ましい。15質量%以上使用するとインクの粘度が高くなりすぎ、吐出安定性や目詰まり等に不具合を生じる場合がある。
[荷電性樹脂擬似微粒子]
本発明で使用されるブラックインクにおいて使用する荷電性樹脂擬似微粒子としては、水に対し不溶であり、一般的に用いられるいかなる樹脂成分で構成された樹脂微粒子でも使用可能である。荷電性樹脂擬似微粒子であるかどうかについては、水媒体中において自己分散可能であり、その水中での分散粒径が例えば光散乱法等で測定可能であり、好ましくはその分散粒径の中心値が10〜200nmの範囲にあることが望ましい。更に、インクジェット記録用インクの長期保存安定性の観点から、分散粒径の多分散度指数が0.2未満に抑えられることが更に好ましい。分散粒径の中心値が200nmより大きい場合又は多分散度指数が0.2より大きい場合には、水不溶性色材を微細に分散安定化するという本来の目的が充分達成されない場合がある。又、分散粒径の中心値が10nmより小さい場合には、樹脂微粒子の形態を充分に維持できず、樹脂が水に溶解しやすくなるために、本発明のメリットが得られない場合がある。
荷電性樹脂擬似微粒子を構成する樹脂成分は、一般的に用いられるあらゆる天然又は合成高分子、或いは本発明のために新規に開発された高分子等、いかなる樹脂成分であっても制限なく使用できる。使用できる樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類等が挙げられる。特に、一般的に使用でき、樹脂微粒子の機能設計を簡便に行える観点から、アクリル樹脂やスチレン/アクリル樹脂が類される、ラジカル重合性不飽和結合を有するモノマー成分の重合体或いはこれを用いた共重合体が好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられるラジカル重合性不飽和結合を有するモノマー(以降、ラジカル重合性モノマー或いは単にモノマーとして表記する)としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。疎水性モノマーと分類される、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等の如き(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の如きスチレン系モノマー;イタコン酸ベンジル等の如きイタコン酸エステル;マレイン酸ジメチル等の如きマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等の如きフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
又、以下のような親水性モノマーとして分類されるものも好ましく用いられる。例えば、アニオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー及びこれらの塩、スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、アクリル酸−2−スルホン酸エチル、メタクリル酸−2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きスルホン酸基を有するモノマーとこれらの塩、メタクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。これらの中でも特に、アクリル酸及びメタクリル酸を使用することが好ましい。
又、カチオン性基を有するモノマーとしてはアクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル等の如き第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル等の如き第2級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル等の如き第3級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の如き第4級アンモニウム基を有するモノマー、各種ビニルイミダゾール類等が挙げられる。
又、ノニオン性の親水性モノマーとしては、具体的には、例えば構造内にラジカル重合性の不飽和結合と強い親水性を示すヒドロキシル基を同時に有するモノマー類がこれに当てはまる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル等がこれに分類される。この他、公知又は新規の各種オリゴマー、マクロモノマー等についても制限なく使用できる。
特に、荷電性樹脂擬似微粒子を、上述したうちの、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むモノマー成分の共重合体からなる構成とすることによって、更に好適な印字特性を有するインクジェット記録用インクが得られる。即ち、樹脂微粒子を作製する際に、例えば、使用する重合開始剤の種類や濃度、構成するモノマーの種類や共重合比率等の多くの制御因子によって、色材表面に固着する樹脂微粒子の種々の特性等を、適宜に制御することが可能であるが、このとき少なくとも1種類の疎水性モノマーを用いて構成することで水不溶性色材への良好な固着性と熱安定性を、少なくとも1種類の親水性モノマーを用いて構成することで良好な形態制御と分散安定性を、それぞれ付与できる。従って、これらのモノマーを同時に用いることで、常に良好に色材に固着し、且つ良好な分散安定性を有する樹脂微粒子とすることができる。上記の条件を満たした上で更に、樹脂微粒子を構成するモノマー種や共重合比率を適宜選択することにより、本発明で使用する分散性色材及び/又は色材に固着されている樹脂微粒子にさらなる機能性を付与できる。
例えば、前記疎水性モノマーとして、α位にメチル基を有し且つラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを少なくとも含有することも、好ましい形態である。α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂微粒子を固着することにより、特に、熱エネルギーによりインクを吐出させるサーマルインクジェット方式において、分散性色材を含むインクジェット記録用インクの吐出性が極めて良好になる。この理由は明らかでないが、α位にメチル基を有するラジカル重合性モノマーを用いた樹脂は、高温にて解重合を起こすことから、インクに熱エネルギーが加わったときにα位にメチル基を有するモノマー成分から構成された樹脂が解重合を起こし、吐出口内へのこびりつきが起こりにくくなるため、吐出性が向上すると考えられる。
又、前記疎水性モノマーとして、アクリル酸アルキルエステル化合物及びメタアクリル酸アルキルエステル化合物(以降、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物のように表記する)を少なくとも含有することも、好ましい形態である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物は、水不溶性色材のもつ疎水性表面への良好な接着性を有すると同時に、前記親水性モノマー成分との共重合性に優れ、前記荷電性樹脂擬似微粒子の表面性質の均一性、及び水不溶性色材への均一な固着性という観点から、好ましい結果を与える。
上記した好ましい疎水性モノマー類のうち、メタクリル酸ベンジル又はメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種を含むことは、特に好ましい。上述した好ましい理由に加え、上記2種のモノマーは、荷電性樹脂擬似微粒子に好ましい耐熱性と透明性を付与し、この樹脂微粒子を固着した水不溶性色材を含むインクは、記録紙上で優れた発色性を示すことになる。
上述したように、前記疎水性モノマーや親水性モノマーといった樹脂微粒子を構成するモノマー種や共重合比率を適宜選択することにより、本発明で使用する分散性色材や、色材に固着されている樹脂微粒子の性質を制御することができるが、荷電性樹脂擬似微粒子に含まれる共重合体成分のガラス転移温度が−40℃以上60℃以下となるように制御することも好ましい形態である。このような荷電性樹脂擬似微粒子を得るには、上述した好ましく用いられるモノマー群のうち、そのモノマーから得られるホモポリマーのガラス転移温度が低いことが知られているものを選択して用いる。例えば、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸をモノマーとして適切な比率で用いることも好ましい実施形態である。又、メタクリル酸エチルとメタクリル酸をモノマーとして適切な比率で用いることも別の好ましい実施形態である。荷電性樹脂擬似微粒子のガラス転移温度は、一般的に用いられる示差走査熱分析にて測定することができる。例えば、本発明においては、METTLER社製のDSC822eを用いて測定した値を使用する。
ガラス転移温度が−40℃以上60℃以下となる共重合体成分を含んで構成される前記分散性色材は、樹脂微粒子に付与される高い造膜性によって、記録紙上で隣り合った色材と造膜し、強固な着色膜を形成し得る。従って、印字物に高い耐擦過性を付与するだけでなく、耐擦過性に極めて不利な光沢記録媒体上においても耐擦過性の優れた印字物とすることができる。特に、前記分散性色材とともに荷電性樹脂擬似微粒子が更に分散して存在するインクの形態においては、光沢記録媒体における光沢性、耐擦過性、更には耐引っ掻き性に優れた印字物を得られる。
更に、水不溶性色材として顔料を用いる場合において、顔料と前記荷電性樹脂擬似微粒子との割合(樹脂微粒子質量/顔料質量=B/Pと表す)を、0.3〜0.9の範囲となるようにすることも、印字物の耐擦過性を高める上で望ましい実施形態である。B/P比を0.3以上とすることで、色材間、及び色材と記録媒体間との接着性を高めることで印字物に優れた耐擦過性を付与し得る。特に、上述したようなガラス転移温度が−40℃以上60℃以下となる共重合体成分を含んで構成される前記荷電性樹脂擬似微粒子を固着してなる水不溶性色材からなる分散性色材を用いた場合には、その造膜性をより効果的に発現することができ、光沢紙における耐擦過性を高める結果となる。B/Pが0.9より著しく大きい場合には、荷電性樹脂擬似微粒子が顔料に固着せずに樹脂微粒子単独で分散している割合が増え、色材の分散安定性の向上効果がやや少なくなりはじめると考えられるからである。
上述したB/Pは、一般的には示差熱重量測定法によって求めることができるが、本発明ではMETTLER社製のTGA/SDTA851にて測定、算出した値とする。本発明においては、本発明の分散性色材又はインクジェット記録用インクを80,000回転、2時間の条件にて遠心分離した沈降物を乾燥、秤量し、窒素雰囲気、或いは大気中において昇温を行ったときの顔料及び樹脂成分のそれぞれの分解温度前後での質量変化を求め、B/Pを算出した。
前記荷電性樹脂擬似微粒子を、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むモノマー成分の共重合体からなる構成において、親水性モノマーとしてアニオン性モノマーを少なくとも含む構成も、好ましい形態である。特に、インク中に、水以外の水性溶剤や、浸透剤、無機及び有機塩、防腐剤等の各種添加剤を含む場合において、インクの長期保存安定性を保つ上で効果的に作用する。アニオン性モノマーを含む構成とすることで、前記荷電性樹脂擬似微粒子により多くのアニオン性基を導入することができ、色材の表面官能基密度を前述したような好ましい値へ制御する手法としても有効である。前記アニオン性モノマーとしては、水中でアニオン性を示す官能基を有するモノマーであれば特に限定されないが、他のモノマー成分との共重合性、汎用性、アニオン性の強さ等の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチレンスルホン酸及びこれらの塩が特に好ましく用いられる。
[荷電性樹脂擬似微粒子の合成及び水不溶性色材への固着]
本発明に使用されるブラックインクの好ましい製造方法について述べる。本発明者らの検討によれば、本発明にかかるカラーインクとともに使用される上述したような特性を有するブラックインクは、下記の条件で水系析出重合法を適用することによって、極めて簡便に製造することができる。即ち、先ず、分散剤として機能する水溶性樹脂にて水不溶性色材を分散することによって水不溶性色材の水分散体とし、次いで、この水分散体中にて、水性ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合性モノマーを水系析出重合する工程によって、荷電性樹脂擬似微粒子を固着する製造方法である。この工程を経て得られた分散性色材は、前記水系析出重合過程にて合成された荷電性樹脂擬似微粒子を、均一且つ点在した状態で強力に固着した水不溶性色材からなり、単独での分散安定性に優れている。前記水系析出重合過程において、前記荷電性樹脂擬似微粒子の特性を、これまで述べたような好ましい形態に簡便に制御することができ、その際にも本発明の特徴である水不溶性色材との固着状態が良好に達成される。以降、上記製造方法における好ましい実施形態を詳しく述べる。
[水不溶性色材の分散]
先ず、先に挙げたような本発明に好ましく用いられる水不溶性色材を分散剤にて水に分散させて水分散体とする。この際に使用する分散剤としては、一般的な高分子分散剤及び水溶性高分子であれば、イオン性、ノニオン性等、いずれのものも使用できる。本発明で使用する分散剤は、充分な水溶性を示し、色材微粒子表面及び重合工程で加えられるラジカル重合性モノマー、特に疎水性モノマーの油滴界面への吸着サイトとなる、疎水部分を有しているものが好ましい。更に望ましくは、その後の重合工程で用いる疎水性モノマーのうちの少なくとも1種類が、分散剤を構成するユニットとして存在しているようにすることが好ましい。
上記で使用できる分散剤として機能する、高分子分散剤及び水溶性高分子の製造方法は、特に限定されず、例えば、イオン性基を有するモノマーと、他の重合し得るモノマーとを、非反応性溶媒中で、触媒の存在下又は不存在下で反応させることにより製造できる。特に、その後の重合工程における分散系内の安定性と、該分散系内で形成される水に不溶な樹脂微粒子の水不溶性色材表面への固着促進とを両立させる点からは、列挙したようなイオン性基を有するモノマーと、スチレンモノマーとを必須成分として重合させることによって得られるスチレン/アクリル系高分子化合物、又はイオン性基を有するモノマーと、炭素原子の個数が5以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとを必須成分として重合させることによって得られるイオン性基含有アクリル系高分子化合物から選ばれる分散剤を用いることも好ましい。この際、得られる水不溶性色材が特にアニオン性基を有することを目的とする場合にはアニオン性の分散剤を、一方、得られる水不溶性色材が特にカチオン性基を有することを目的とする場合には、カチオン性基を有するか、或いはノニオン性の分散剤を、それぞれ選択することが望ましい。
後の水系析出重合の過程における、荷電性樹脂擬似微粒子の水不溶性色材への固着を促進することと、重合過程での水不溶性色材の分散安定性を保持することを両立する観点から、アニオン性分散剤を用いる場合には酸価100〜250のもの、カチオン性分散剤を用いる場合にはアミン価150〜300のものをそれぞれ用いることが望ましい。酸価及びアミン価がこの範囲より小さい場合には、水系析出重合の際に前記疎水性モノマーと分散剤との親和性が、水不溶性色材と分散剤との親和性より高くなり、分散剤が水不溶性色材表面からはずれやすくなるために、分散状態を保てなくなる場合がある。又、酸価及びアミン価がこの範囲より大きい場合には、水不溶性色材表面での分散剤の排除体積効果及び静電反発力が強くなりすぎるために、水不溶性色材への荷電性樹脂擬似微粒子の固着が阻害される場合がある。アニオン性分散剤を用いる場合には、水不溶性色材への樹脂微粒子の固着を阻害しない観点から、アニオン性基としてカルボキシル基を有する分散剤を選択するのが好ましい。
水不溶性色材を分散剤にて水分散体とする過程において、色材は、好ましくは分散粒径が0.01〜0.5μm(10〜500nm)の範囲、特に好ましくは0.03〜0.3μm(30〜300nm)の範囲に分散する。この過程での分散粒径が、得られる荷電性樹脂擬似微粒子が固着した水不溶性色材の分散粒径に大きく反映し、前述したようにインクジェット適性や分散安定性の観点、及び画像の耐候性の観点で、上記の範囲が好ましい。
又、本発明で使用する水不溶性色材の分散粒径分布は、なるべく単分散であることが好ましい。一般的には、荷電性樹脂擬似微粒子が固着して得られる水不溶性色材の粒径分布は、図2(b)に示した重合工程よりも前の、水分散体の粒径分布よりも狭くなる傾向にあるが、基本的には前記水分散体の粒径分布に依存する。又、水不溶性色材と樹脂微粒子とのヘテロ凝集による固着を確実に誘起するためにも、色材の粒径分布を狭くすることは重要である。本発明者らの検討によれば、インクジェット記録用のインクとしての良好な分散安定性、吐出安定性を得るためには、色材の多分散度指数が0.25以下の範囲にあるものを使用することが望ましい。
ここで、分散状態にある色材の粒径は各種測定方式で異なり、特に、有機顔料は球形粒子である場合は極めて少ないが、本発明においては大塚電子工業社製ELS−8000にて動的光散乱法を原理として測定し、キュムラント解析することによって求められた粒径と多分散度指数を用いる。
水不溶性色材を分散させる方法としては、前記したような条件で色材が水に安定に分散できる方法のうち、前記したような分散剤を用いた方法であれば、従来知られているいずれの方法でも用いることができ、限定されない。或いは本発明のために新規に開発された分散方法であってもよい。使用する高分子分散剤の添加量としては、一般的には、例えば、水不溶性色材が顔料である場合は、顔料に対し10質量%〜130質量%とすることが適している。
色材を分散させるほかの方法として、分散剤として界面活性剤を用いる方法であっても、以下順次説明する製造方法を適用することは可能であるが、界面活性剤を用いた場合にあっては、高分子分散剤に比して色材への吸着力が強いために、荷電性樹脂擬似微粒子の固着を阻害する場合がある。又、色材への吸着力の弱い界面活性剤を用いた場合においては、色材を十分に分散させるために多量の界面活性剤を添加する必要があり、この場合も荷電性樹脂擬似微粒子の色材への付着を阻害する。又、荷電性樹脂擬似微粒子が固着した水不溶性色材が得られたとしても、インクジェット記録用インクに用いた場合、残留した界面活性剤が色材の記録媒体への浸透を誘起し、高い画像濃度が得られない。以上のような理由により、本発明の製造方法を適用するにあたっては、高分子分散剤を用いることが望ましい。
又、用いる水不溶性色材は、それ自体が自己分散性を有しないことが好ましい。水不溶性色材自体が自己分散性を有する場合には、本明細書で述べている好ましい高分子分散剤を用いた場合においても、分散剤が色材に充分に吸着せず、効率的な荷電性樹脂擬似微粒子の固着を誘起できない場合がある。
本発明で用いる色材の分散方法としては、ペイントシェイカー、サンドミル、アジテーターミル、3本ロールミル等の分散機やマイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルチマイザー等の高圧ホモジナイザー、超音波分散機等、それぞれの色材に一般的に用いられる分散方法であれば、どのような手法でも制限されない。
[ラジカル重合開始剤]
上記において使用するラジカル重合開始剤としては、一般的な水溶性のラジカル重合開始剤であれば、どのようなものでも使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸塩等が挙げられる。或いは水溶性ラジカル重合開始剤と還元剤の組み合わせによるレドックス開始剤であってもよい。具体的には、前記に列挙した、色材、分散剤、モノマーの特性を考慮して、最適な組み合わせとなるように設計して使用する。望ましくは、得ようとする荷電性樹脂擬似微粒子が固着した水不溶性色材の表面特性と同符号の重合開始剤残基を与える重合開始剤を選択する。即ち、例えば、アニオン性基を有する水不溶性色材を得る場合には、開始剤残基がノニオン性又はアニオン性となるものを選択することで、表面電荷をより効率的に得ることができる。同様に、カチオン性基を有する前記水不溶性色材を得る場合には、開始剤残基がノニオン性又はカチオン性となるものを選択するのが好ましい。
[ラジカル重合性モノマー]
上記した製造方法で用いられるラジカル重合性モノマーは、前記水系析出重合を経て前記荷電性樹脂擬似微粒子を構成する成分であるので、[実質的に水に不溶な樹脂微粒子]の項で述べたように、得たい樹脂微粒子の特性、及び樹脂微粒子を固着してなる水不溶性色材の特性によって適宜選択すればよい。本発明の製造方法においても、従来から公知であるラジカル重合性モノマー、又は本発明のために新規に開発されたラジカル重合性モノマーのいかなるものでも使用できる。
[水系析出重合]
続いて、本発明で使用されるブラックインクの特徴である、荷電性樹脂擬似微粒子を合成しつつ、水不溶性色材の粒子表面に該樹脂微粒子を固着させる工程である、水系析出重合の好ましい実施形態について述べる。図2は、上記製造方法の工程フローを模式的に記載した工程図である。先ず、図2(a)に示したように、水溶液中に色材3を分散剤4によって分散した水分散体を用意する。次に、図2(a)で用意した分散体を攪拌しながら昇温し、この中に、モノマー成分6を、例えば、水性ラジカル重合開始剤5と共に添加する(図2(b)参照)。
添加された水性ラジカル重合開始剤5は、昇温することにより解裂してラジカルを発生し、水分散体に添加されたモノマー成分のうち、微量に水相に溶解した疎水性モノマーと水相中の水溶性モノマーとの反応に寄与する。前記反応が進行すると、モノマー成分の重合反応によって生成したオリゴマーは水に不溶となり、水相より析出するが、このとき析出したオリゴマーは十分な分散安定性を有していないため、合一して荷電性樹脂擬似微粒子を形成する。
この荷電性樹脂擬似微粒子は更に、水溶液中に分散している水不溶性色材3を核としてヘテロ凝集することにより安定化される。従って、色材の分散単位一つに対し、複数の荷電性樹脂擬似微粒子が固着した形態として、本発明で使用する分散性色材が得られる(図2(c)参照)。更に、重合にともなう析出と色材への固着が同時に進行する本工程においては、荷電性樹脂擬似微粒子が十分な分散安定性を有しない段階で色材とヘテロ凝集を起こすため、荷電性樹脂擬似微粒子と色材との間には強い分子間力及び疎水性相互作用が働き、更に荷電性樹脂擬似微粒子は、色材の表面形状に対してより安定な形に吸着して、強固に色材に吸着、即ち固着する。以上のような過程により、前記した構成の分散性色材が、容易に形成される(図2(d)参照)。
重合反応条件は、使用する重合開始剤及び分散剤、モノマーの性質によっても異なるが、例えば、反応温度は100℃以下とし、好ましくは40〜80℃の範囲とする。又、反応時間は、1時間以上、好ましくは6時間〜30時間である。反応中の攪拌速度は、50〜500rpm、好ましくは150〜400rpmとするのが望ましい。
前述した工程において、特に少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーを含むモノマー成分を重合させて荷電性樹脂擬似微粒子を得る際には、好ましくは前記モノマー成分を、水性ラジカル重合開始剤を含んだ水不溶性色材の水分散体中に滴下することが望ましい。疎水性モノマーと親水性モノマーのように性質の異なるモノマーの混合物から、所望の荷電性樹脂擬似微粒子を均一に得るためには、前記性質の異なるモノマーの共重合比率を常に一定に保つことが望ましい。前記モノマーの混合物を一定時間内に重合反応で消費されるモノマー量に比して過剰に重合系内に添加した場合、特定のモノマー種のみが先行して重合し、残りのモノマーは先行で重合したモノマーが消費されてから重合する傾向があり、この場合生成する荷電性樹脂擬似微粒子の性質に大きな不均一が生じる。こうして生成した荷電性樹脂擬似微粒子のうち、特に親水性モノマー成分の含有量の大きいものは、水不溶性色材の表面に固着できない場合がある。
更に親水性モノマー成分の含有量の大きい樹脂成分に至っては、その高い親水性によって析出できず、荷電性樹脂擬似微粒子を形成できずに水溶性樹脂成分として系内に残存してしまう場合がある。一方、前記モノマー成分を、水性ラジカル重合開始剤を含んだ水不溶性色材の水分散体中に滴下することによって、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合比率が常に一定に保たれ、所望の共重合比率で構成される荷電性樹脂擬似微粒子を均一に得ることができる。
又、親水性モノマーとして、特に、アクリル酸、メタクリル酸等のアニオン性モノマーを重合系内に添加する際に、色材を分散している高分子分散剤の特性によっては部分的に不安定化し、凝集を引き起こす場合もある。これを防ぐために、アニオン性モノマーをあらかじめ中和し、ナトリウム塩やカリウム塩の状態で添加することも好適な実施形態である。
上述した工程にて得た自己分散樹脂微粒子を固着した水不溶性色材を用いてインクジェット記録用インクを調製する際には、上記の工程に加えて更に精製処理を行うことが望ましい。この際に使用する精製するための方法としては、通常一般的に用いられている精製方法から最適なものを選択して用いればよい。例えば、遠心分離法や、限外濾過法を用いて精製することも好ましい実施形態である。
上述した工程を経れば、多くの制御因子をコントロールすることによって、水不溶性色材の表面に所望の共重合体からなる荷電性樹脂擬似微粒子を形成できる。特に高い分散安定性を目的としてアニオン性モノマーを使用する場合には、上記の工程を経た水不溶性色材は、上記工程で用いるアニオン性モノマーが比較的少ない量であっても大きな表面官能基密度を得ることができ、高い分散安定性を付与することができる。この結果、耐水性を損なうことなく、水不溶性色材の分散安定性を高くすることが可能となる。この理由は明らかでないが、本発明者らの検討によれば、水中で発生したラジカルにより重合が開始され、オリゴマーが析出して荷電性樹脂擬似微粒子を形成するにおいて、アニオン性モノマー由来成分の多い部分が優先的に水相側、即ち、荷電性樹脂擬似微粒子の表面付近に配向する。この状態は、前記樹脂微粒子が水不溶性色材に固着した後にも維持され、構造的に大きな比表面積を有する本発明の水不溶性色材の表面は、更にアニオン性モノマー成分由来のアニオン性基が多く存在し、結果として、前記樹脂微粒子を固着した水不溶性色材はより少ないアニオン性モノマー成分で安定化されると予想される。
[塩]
本発明にかかるカラーインクとともに使用するブラックインクには、(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3(但し、M1は、アルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムのいずれかを表わし、Phは、フェニル基を表わす)から選ばれる少なくとも1種の塩が含有される。上記M1で表されるアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCs等が挙げられる。又、有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。これらは、夫々に相当する有機アミンから誘導される。
インク中に、上記に列挙したような塩を含有させることにより、高品位画像が得られ難かったにじみの大きな紙、例えば、普通紙に印字した場合にも、高品位な画像形成が可能となる。これは記録媒体である紙面上にインクを付着させた場合に、吐出させる前のインク状態では色材は安定に分散しているが、紙面に吐出印字後に、インクの水分蒸発等により色材の凝集がおき、色材は紙表面に残り、インク溶媒である液成分のみが記録媒体に浸透する固液分離の現象が速やかに起こるため、シャープネスや画像濃度が向上するものと考えられる。
インク中におけるこれらの塩の量は、総量で0.1〜5質量%が好ましい。即ち、0.1質量%未満では固液分離の効果が発現しにくく、又、5質量%よりも多いとインク中での分散安定性が低下してくる場合があるからである。
[インク中のその他の成分]
本発明で使用するブラックインクは、上記で説明した分散性色材及び塩を、水性媒体、特に、水及び水溶性有機溶剤の混合媒体中に混合することで構成されるのが好ましい。
本発明で使用するブラックインクは、インクの保存安定性とノズル先端部での保湿性、そして記録紙における定着性を調節するために、溶媒系の選択は重要である。この際に使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;チオジエチレングリコール;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環式ケトン類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物等が挙げられる。上記水溶性有機溶剤の含有量は、0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%の範囲である。
インク中の水の含有量は、インク全質量の20〜95質量%、とりわけ60〜95質量%の範囲が好ましい。含有量が20質量%より少ないと粘度が高くなる、紙上で滲みやすくなる、定着性が劣る等の不都合を生じる場合があり、95質量%よりも多いと、蒸発成分が多すぎて固着特性が悪化することもある。水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが望ましい。
固着特性を向上させるために、蒸発抑制効果のある化合物、粘度上昇を抑制する化合物等の従来使用されていた水溶性有機溶剤とは異なる固着防止剤を使用してもよい。この固着防止剤としては、尿素、エチレン尿素、トリメチロールプロパン、塩酸トリエチルアミン等のトリエチルアミンの塩、塩酸トリエタノールアミン等のトリエタノールアミンの塩、トルエンスルホンアミドの誘導体等が挙げられる。これらの固着防止剤はインク中に0〜30質量%の範囲で適宜選択して使用することが好ましい。又、記録媒体への浸透性を助けるための浸透剤、防腐剤、防黴剤等を含んでもよい。
<カラーインク>
次に、上記で説明した特定のブラックインクによって光沢記録媒体上に記録されたブラックインクの記録領域上への記録に用いられる本発明にかかるカラーインクについて説明する。カラーインクは、ブラックインクと併用されてカラー画像を形成するためのインクであり、カラーの色材を含有してなる。
本発明にかかるカラーインクと前述したブラックインクとの主たる相違点は、色材としてカラーの色材を使用することと、ブラックインクにおいて必須の成分であった特定の塩、即ち、(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3(但し、M1は、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表わし、Phはフェニル基を表わす)のいずれの塩も実質的に含有しないことである。
以下、より具体的にカラーインクの説明を行う。色材としては、顔料や疎水性染料、水溶性染料等が考えられ、従来公知のものをいずれも使用することができる。これらの中でも、耐水性や堅牢性の点から顔料を使用することが好ましい。イエローインクに使用される顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、55、73、74、75、83、86、93、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166.168、180、185等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
又、マゼンタインクに使用される顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red5、7、9、12、48、52、53、57、57:1、97、112、122、123、149、168、175、176、177、180、184、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
又、シアンインクとして使用される顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64が挙げられる、これらに限られるものではない。
これ以外に、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられるが、これらに限られるものではない。尚、上記した顔料以外の本発明のために新たに製造された顔料も、勿論、使用可能である。
本発明において使用する顔料の好ましい平均粒径は0.005〜0.5μmである。5μmより大きいと微小なインク滴を吐出するノズル口を詰まらせたり、長期間インクを放置したとき等に顔料が沈降する、といった不具合が生じる場合がある。
又、顔料は、インク中に0.1〜15質量%の範囲で使用されることが好ましい。15質量%よりも多く使用するとインクの粘度が高くなりすぎ、吐出安定性や目詰まり等に不具合を生じる場合がある。
又、カラーインクの場合は、文字品位についてブラックインクほど記録濃度、シャープネスを問われにくいため、インク中に界面活性剤等の浸透剤を1質量%程度以上添加し、普通紙でのカラー間にじみ(ブリード)を抑えるような浸透系インクが想定される。この目的のために使用する具体的な界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、アセチレングリコール化合物類、ソルビタンエステル類、ソルビタンエステルエーテル類、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー類、オキシエチレンアルキルアミン類、脂肪酸のアルコールアミド類、多価アルコールの脂肪酸エステル類、アセチレングリコールのエチレンオキシド付加化合物等が挙げられる。
上記したような浸透系インクの場合におけるインク中の顔料の分散方法に関しては、前述したブラックインクの分散方法と同様に荷電性樹脂擬似微粒子を顔料に点在して固着させる分散方法がカラーインクの記録濃度の点でも好ましいが、一般的な、高分子分散剤や界面活性剤を使用した分散方式であってもかまわない。
本発明にかかるカラーインクは、前述したブラックインクにおいて必須成分であった、特定の塩、即ち、(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3(但し、M1は、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表わし、Phはフェニル基を表わす)塩のいずれもが、実質的に含有されないようにして調製されることが重要である。かかる構成のカラーインクを、前述したブラックインクと併用することによって、特に光沢性に優れる画像形成が達成される。
これは前述したブラックインクで記録した場合は、水性媒体の蒸発によりインク中の塩濃度が増加し凝集するのに対し、本発明のカラーインクが上打ちされると、塩濃度増加が少なくなり凝集が抑えられるためであると考えられる。更に詳細に説明すると、上述の塩を含有したブラックインク単独で形成された記録媒体上のインクドットは、表面張力によって表面が平滑になる前に凝集により表面が固まってしまい凹凸状態の光沢が劣ったものになる可能性がある。一方本発明にかかるカラーインクを上打ちする方法をとることで、塩濃度増加が少なく色材の凝集が有効に抑制される。その結果インクの表面張力によりドット表面が平滑になり光沢性に優れる。
本発明にかかるカラーインクは、上記した特定の塩が含有されておらず、これを用いることによって、塩と顔料等の水不溶性色材とを含有した上述のブラックインクによって形成したインクドットにおける色材の凝集が抑制されて、表面張力によってドットの平滑性が高まり、結果として光沢性に優れる画像が得られる。本発明にかかるカラーインクは、上記した特定の塩を含まないものであることと、色材がカラーであること以外、インク中の成分は、前述したブラックインクのものと同様である。
<記録画像>
本発明にかかるインクジェット記録画像は、本発明にかかるカラーインクを用いて、後述するようなインクジェット記録装置にて記録媒体上に形成される。本発明における記録媒体は、インクジェット記録可能であれば、どののような媒体でも制限なく用いることができるが、先に説明したように、特に、記録媒体として光沢記録媒体を使用した場合に、本発明の顕著な効果が得られる。即ち、ブラックインクを記録した領域上に、本発明にかかるカラーインクで記録を行うことで、ブラックインクによる黒の記録濃度の高さと、カラーインクの上乗せによる効果で表面平滑性が得られ、高い画像濃度と光沢性に優れる画像となる。
一方、記録媒体として普通紙等の光沢性がなくにじみの大きい紙等を使用する場合には、ブラックインクを記録した領域上にカラーインクの記録を行わないことが好ましい。これはブラックインクの塩による固液分離特性が塩を含有しないカラーインクで阻害され、記録濃度、シャープネスが充分に得られない可能性があるためである。
[画像記録方法及び記録装置]
本発明にかかる分散性色材、及び該色材を含有する水性インクは、インクジェット吐出方式のヘッドに用いられ、又、そのインクが収納されているインクタンクとしても、或いは、その充填用のインクとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらす。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し、インク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明である米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも、本発明は有効である。又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体、或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。尚、インクの全量が100質量部となるように水で調整した。
[実施例1]
<ブラックインクの調製>
本実施例で使用するブラックインク1を下記の要領で作製した。先ず、カーボンブラック10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤10部、水74部からなる組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液K1を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用し、ポット内の充填率は70%とした。本実施例で使用したカーボンブラックは、米国Cabot社より上市されているBlack Pearls 880(以下、BP880と略す)であり、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤には、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。かかるスチレン−アクリル酸系樹脂分散剤は、予め、水及び上記の酸価と当量の水酸化カリウムを加えて80℃にて攪拌し、水溶液としたものを使用した。得られた顔料分散液K1は、平均分散粒径98nmで安定に分散されており、多分散度指数は0.16であった。
次に、上記で得た顔料分散液K1を100部として、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル5.5部、アクリル酸0.5部、水酸化カリウム0.12部、過硫酸カリウム0.05部と水20部からなる。得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した。その後、更に12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより、沈降物である分散性色材K1を得た。該分散性色材K1を水に分散し、80,000回転、90分間の遠心分離を行って沈降物を水に再分散させたものを乾燥させ、走査型電子顕微鏡JSM−6700(日本電子ハイテック(株)製)にて5万倍にて観察したところ、該分散性色材K1は、樹脂擬似微粒子がカーボンブラックの表面に点在して固着している状態が観察された。更に、この分散液を80,000回転、90分の条件にて遠心分離を行って上澄みの質量固形分が1%以内となることを確認し、色材表面に樹脂擬似微粒子が固着した状態にあることを確かめた。尚、本実施例に記載されるこれ以降の色材についても同様の手法にて形態を確認している。
得られた分散性色材K1がインク中に4%濃度で含まれ、且つインクの全量が100部となるように水で調整して、安息香酸アンモニウムを含む下記成分を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例ブラックインク1とした。このブラックインク1の表面官能基密度は370μmol/g、表面エネルギーは46mJ/m2、Tgは105℃であった。
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 5部
・トリメチロールプロパン 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファインケミ
カル社製) 0.2部
・安息香酸アンモニウム 1部
・イオン交換水 残部
<カラーインクの調製>
(シアンインクの調製)
次に、本実施例の各色のカラーインクを下記の要領で作製した。先ず、シアンの色材としてピグメントブルー(PB)15:3(クラリアント社製)を10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系分散剤10部、水74部からなる組成を有する混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液C1を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用、ポット内の充填率は70%とした。分散剤として用いたスチレン−アクリル樹脂は、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。得られた顔料分散液C1は平均分散粒径108nmにて安定に分散されており、多分散度指数は0.14であった。
次に、上記顔料分散液C1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.05部と水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した後、更に、12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより、沈降物である分散性色材C1を得た。ブラックインクの場合と同様にして、得られた分散性色材C1を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、該分散性色材C1は、樹脂擬似微粒子が色材の表面に点在して固着している状態が観察された。更に、その状態は、色材表面に樹脂擬似微粒子が固着したものであることを確かめた。
(マゼンタインクの調製)
次に、マゼンタの色材としてピグメントレッド122を10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系樹脂分散剤10部、水74部からなる組成の混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液M1を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用し、ポット内の充填率は70%とした。分散剤として用いたスチレン−アクリル樹脂は、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。得られた顔料分散液M1は平均分散粒径98nmにて安定に分散されており、多分散度指数は0.15であった。
次に、前記顔料分散液M1を100部として、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。該混合液は、メタクリル酸ベンジル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.01部と水20部からなる。得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した。その後、更に12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより、沈降物である分散性色材M1を得た。ブラックインクの場合と同様にして、得られた分散性色材M1を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、該分散性色材M1は、樹脂擬似微粒子が色材の表面に点在して固着している状態が観察された。更に、その状態は、色材表面に樹脂擬似微粒子が固着したものであることを確かめた。
(イエローインクの調製)
次に、イエローの色材としてピグメントイエロー180を10部、グリセリン6部、スチレン−アクリル酸系分散剤10部、水74部からなる組成を有する混合液を、金田理化工業社製のサンドミルにて1,500rpm、5時間分散し、顔料分散液Y1を得た。サンドミルでは0.6mm径のジルコニアビーズを使用、ポット内の充填率は70%とした。分散剤として用いたスチレン−アクリル樹脂は、共重合比70:30、Mw=8,000、酸価170のものを使用した。得られた顔料分散液Y1は平均分散粒径120nmにて安定に分散されており、多分散度指数は0.14であった。
次に、上記顔料分散液Y1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の組成の混合液を徐々に滴下して加え、重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.05部と水20部からなる。上記したようにして5時間かけて重合後、得られた分散液を水にて10倍に希釈し、5,000rpmにて10分間遠心分離を行って凝集成分を除去した後、更に、12,500rpm、2時間の条件で遠心分離することにより、沈降物である分散性色材Y1を得た。ブラックインクの場合と同様にして、得られた分散性色材Y1を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、該分散性色材Y1は、樹脂擬似微粒子が色材の表面に点在して固着している状態が観察された。更に、その状態は、色材表面に樹脂擬似微粒子が固着したものであることを確かめた。
(各カラーインクの調製)
得られた分散性色材C1、M1及びY1がインク中に5%濃度で含まれ、且つインクの全量が100部となるように水で調整して、塩を含まない下記成分を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、それぞれシアンインク1、マゼンタインク1、イエローインク1とした。シアンインク1の表面官能基密度は250μmol/g、表面エネルギーは44mJ/m2、Tgは103℃であった。マゼンタインク1の表面官能基密度は280μmol/g、表面エネルギーは42mJ/m2、Tgは70℃であった。イエローインク1の表面官能基密度は260μmol/g、表面エネルギーは45mJ/m2、Tgは103℃であった。
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 5部
・トリメチロールプロパン 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファインケミ
カル社製) 1部
・イオン交換水 残部
[評価]
上記で得たブラックインク1と、カラーインクであるシアンインク1、マゼンタインク1、イエローインク1を使用し、インクジェット記録装置にて記録媒体への印字を行って、得られた画像について評価した。使用したインクジェット記録装置としては、BJ S600(キヤノン(株)製)を用いて光沢記録媒体HG−201(キヤノン社製)、及び普通紙(キヤノン(株)社製 PPC用紙NSK)に画像を形成した。光沢記録媒体への印字方法はブラックインクを100%dutyべたで記録した領域上にカラーインク3色の各30%dutyべたで記録したものと各種画像を印字した。又、普通紙への印字は、ブラックインク100%dutyべたを記録した領域上にカラーインクの記録を行わなかった。
尚、ここで用いた記録ヘッドは、360dpiの記録密度を有し、駆動周波数は、5KHzとした。又、1ドットあたりの吐出体積は60pl/dotのヘッドを使用した。そして、上記条件で印字した印字物の光沢性、光学濃度、耐擦過性を以下のようにして評価し、その結果を表1に示した。
<光沢性>
各記録用インクを用いて光沢記録媒体に各種画像印字を行い、光沢性を下記の基準で評価した。印字画像のいずれの部分においても一様な光沢性を示すものをA、濃色部で少しざらつきがあるものをB、画像のざらつきが目立つものをCとした。
<光学濃度(OD)>(普通紙)
各記録用インクを用いてキヤノンPPC用紙に黒色べた画像を印字後、1日経過した印字物のブラック光学濃度(OD)を測定した。印字物のODが1.45以上である場合をA、ODが1.4以上1.45未満である場合をB、ODが1.4未満である場合をCと、それぞれ評価した。
<耐擦過性>
印字物(光沢記録媒体)の耐擦過性は、印字部分を40g/cm2の重さをかけたシルボン紙で5回擦り、印字部分の乱れを目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:擦れによる印字の乱れや白色部の汚れがない
B:擦れによる印字の乱れや白色部の汚れが殆どなく、気にならない
C:擦れにより印字が大きく乱れ、白色部に汚れがみられる
[実施例2]
実施例1において、ブラックインクの調製で使用したと同様の顔料分散液K1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、8時間重合を行った。該混合液は、スチレン5.7部、アクリル酸0.3部、水酸化カリウム0.07部、過硫酸カリウム0.05部と水20部からなる。重合後、実施例1で用いたと同様の方法で遠心分離にて精製を行い、分散性色材K2を得た。実施例1の場合と同様にして、得られた分散性色材K2を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、該分散性色材K2は、樹脂擬似微粒子が色材の表面に点在して固着している状態が観察された。更に、その状態は、色材表面に樹脂擬似微粒子が固着したものであることを確かめた。
得られた分散性色材K2がインク中に4%濃度になるように、実施例1の場合と同様にして、分散性色材K2と安息香酸アンモニウムとを含むブラックインク2を調製した。このブラックインク2の表面官能基密度は390μmol/g、表面エネルギーは43mJ/m2、Tgは106℃であった。
上記で得たブラックインク2と、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクとを使用して画像形成を行い、実施例1と同様な評価を行い、その結果を表1中に示した。この際、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクと、記録装置は、実施例1におけるものと同じものを使用した。
[実施例3]
実施例1において、ブラックインクの調製で使用したと同様の顔料分散液K1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。該混合液は、アクリル酸ブチル6部、過硫酸カリウム0.05部と水20部からなる。上記のようにして5時間かけて重合した後、実施例1の場合と同様の方法で遠心分離にて精製を行い、分散性色材K3を得た。得られた分散性色材K3について、実施例1の場合と同様の方法で、色材表面の状態の観察を行ったところ、該分散性色材K3にあっても、樹脂微粒子が顔料の表面に固着している様子が観察された。しかし、実施例1におけるブラックインクの場合と比べて、樹脂微粒子同士が融着した部分が多いものであることが確認された。
得られた分散性色材K3がンク中に4%濃度になるように、実施例1と同様にして、分散性色材K3と安息香酸アンモニウムとを含むブラックインク3を調製した。このブラックインク3の表面官能基密度は90μmol/g、表面エネルギーは28mJ/m2、Tgは30℃であった。
上記で得たブラックインク3と、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクとを使用して画像形成を行い、実施例1と同様な評価を行い、その結果を表1中に示した。この際、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクと、記録装置は、実施例1におけるものと同じものを使用した。
[実施例4]
実施例1において、ブラックインクの調製で使用したと同様の顔料分散液K1を100部用い、窒素雰囲気下、70℃に加熱した状態で、モーターで攪拌しながら下記の混合液を徐々に滴下して加え、5時間重合を行った。該混合液は、メタクリル酸メチル17.2部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.8部、過硫酸カリウム0.05部と水20部からなる。上記のようにして7時間かけて重合した後、実施例1の場合と同様の方法で遠心分離にて精製を行い、分散性色材K4を得た。
実施例1の場合と同様にして、得られた分散性色材K4を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、該分散性色材K4は、樹脂擬似微粒子が色材の表面に点在して固着している状態が観察された。更に、その状態は、色材表面に樹脂擬似微粒子が固着したものであることを確かめた。
得られた分散性色材K4がインク中に4%濃度になるように、実施例1の場合と同様にして、分散性色材K4と安息香酸アンモニウムとを含むブラックインク4を調製した。このブラックインク4の表面官能基密度は395μmol/g、表面エネルギーは45mJ/m2、Tgは113℃であった。
上記で得たブラックインク4と、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクとを使用して画像形成を行い、実施例1と同様な評価を行い、その結果を表1中に示した。この際、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクと、記録装置は、実施例1におけるものと同じものを使用した。
[実施例5]
実施例1で調製した分散性色材K1がインク中に4%濃度で含まれ、且つインクの全量が100部となるように水で調整して、安息香酸アンモニウムを含む下記成分を混合し、更に、ポアサイズが2.5ミクロンのメンブレンフィルターにて加圧濾過し、本実施例で使用するブラックインク5を調製した。
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 5部
・トリエチレングリコール 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファインケミ
カル社製) 0.2部
・安息香酸ナトリウム 1部
・イオン交換水 残部
上記で得たブラックインク5と、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクとを使用して画像形成を行い、実施例1と同様な評価を行い、その結果を表1中に示した。この際、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクと、記録装置は、実施例1におけるものと同じものを使用した。
[実施例6]
実施例1で調製した、シアンインク1、マゼンタインク1及びイエローインク1のカラーインクにおいて使用した分散性色材C1、M1、Y1の代わりに、水溶性染料C.I.ダイレクトブルー199、C.I.アシッドレッド35、C.I.ダイレクトイエロー86をそれぞれ使用した以外は同様な処方で、シアンインク2、マゼンタインク2、イエローインク2をそれぞれ調製した。そして、これらのカラーインク2と、実施例1で調製したブラックインク1を使用し、実施例1で使用したと同様の記録装置で画像を形成し、実施例1で行ったと同様な評価をした。その結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1で調製したブラックインク1において使用した重合工程前の顔料分散液K1を用い、顔料濃度が4%になるように、ブラックインク1の調製で使用したインク成分を混合し(全100部)、実施例1で調製したブラックインク1と同様にして、比較例のブラックインク6を調製した。得られた比較ブラックインク6中の色材を実施例1で行ったと同様の方法で観察したところ、色材の表面には何ら固着している樹脂微粒子は観察されなかった。
上記で得た比較ブラックインク6と、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクとを使用して画像形成を行い、実施例1と同様な評価を行い、その結果を表1中に示した。この際、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクと、記録装置は、実施例1におけるものと同じものを使用した。
[比較例2]
実施例1で調製したシアンインク1、マゼンタインク1、イエローインク1の各カラーインクにおいて、インク成分中に安息香酸アンモニウムの濃度が1%となるようにインク中に安息香酸アンモニウムを添加した以外は同様にして、本比較例の比較シアンインク3、比較マゼンタインク3、比較イエローインク3をそれぞれ調製した。そして、これらの比較カラーインク3と、実施例1で使用したブラックインク1及び記録装置を使用して画像を形成して、実施例1と同様な評価を行った。その結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例1で調製したブラックインク1において、ブラックインク1中の安息香酸アンモニウム1%を含有させずに、この分をイオン交換水に置き換えたインクを調製して比較ブラックインク7とした。
上記で得た比較ブラックインク7と、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクとを使用して画像形成を行い、実施例1と同様な評価を行い、その結果を表1中に示した。この際、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインクと、記録装置は、実施例1におけるものと同じものを使用した。
[分散性色材の特性]
上記の実施例1〜4で得た各分散性色材においては、それぞれ下記に説明した方法で各種の物性を測定した。
<ガラス転移温度:Tg(℃)>
各分散性色材に固着している樹脂微粒子のガラス転移温度は、分散性色材を乾燥させたものを試料とし、メトラー・トレド社製DSC822eにて測定した。
<表面官能基密度>
各分散性色材の表面官能基密度は、次の方法で求めた。先ず、各分散性色材の水分散液に大過剰量の塩酸水溶液を加え、遠心分離装置にて20,000rpm、1時間の条件で沈降したものを純水に再分散させ、固形分率を求めて沈降物を秤量し、既知量の炭酸水素ナトリウムを加えて攪拌した分散液を、更に遠心分離装置にて80,000rpm、2時間の条件にて沈降させた。上澄みを秤量し、0.1規定塩酸にて中和滴定より求めた中和量から、炭酸水素ナトリウムの既知量及び純水を測定したブランク値を差し引き、表面官能基密度を算出した。極性基としてカチオン性基を有することが明らかな場合には、同様の手法にて、塩酸の代わりに水酸化ナトリウムを、炭酸水素ナトリウムの代わりに塩化アンモニウムを用いた以外は上記と同様にして求めた。
<表面エネルギー>
各分散性色材を乾燥し、粉砕したものをカラムに詰め、サーフィス・メジャメント・システム社製インバース・ガス・クロマトグラフにて、プローブガスをヘキサン、ヘプタン、ペンタン、クロロホルム、エタノール、アセトンとしてそれぞれ測定し、各支持時間のプロットを外挿することで求めた。
Figure 2006008891
表1に示したように、いずれの実施例においても、光沢性を含めた優れた印字品位と優れた耐擦過性を示す画像が得られた。一方、比較例1では、実施例の場合と異なり、比較ブラックインク6が、自己分散性微粒子が顔料に付着していない色材を用いているが、印字物は、光学濃度と擦過性がともに劣っていた。比較例2から、使用したブラックインクと比較カラーインク3の両方ともに塩が含まれているため、光沢性において実施例の場合よりも劣った画像となることがわかった。比較例3から、ブラックインクに塩が含まれていない場合には、光学濃度が劣るものとなることがわかった。
本発明による、荷電性樹脂擬似微粒子を固着している分散性色材の基本的構造を示す模式図である。 本発明の製造方法における代表的な工程の模式図である。 本発明の製造方法における荷電性樹脂擬似微粒子の精製と色材への固着過程を示す模式図である。 本発明の荷電性樹脂擬似微粒子を、色材と固着する界面側から拡大した模式図である。
符号の説明
1:色材
2:荷電性樹脂擬似微粒子
3:分散樹脂
4:モノマー
5:重合開始剤水溶液
6:分散性色材
7:モノマーが重合して形成されたオリゴマー
8:オリゴマーが水に不溶化した析出物
9−1:荷電性樹脂擬似微粒子中の親水性モノマーユニット部分
9−2:荷電性樹脂擬似微粒子中の疎水性モノマーユニット部分
10:色材との結合部位

Claims (21)

  1. インクジェット記録用ブラックインクによって記録媒体上に記録されたブラックインクの記録領域上への記録に用いられるインクジェット記録用カラーインクであって、記録媒体が光沢記録媒体であり、上記ブラックインクの記録が、水不溶性色材と1種以上の荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含み、該水不溶性色材は、該荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって単独で分散しており、且つ(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3(但し、M1は、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表わし、Phはフェニル基を表わす)から選ばれる少なくとも1種の塩を含有しているインクによって行われたものであり、カラーインクの成分として、該ブラックインクに含有されている上記のいずれの塩も実質的に含有されていないことを特徴とするインクジェット記録用カラーインク。
  2. 色調が、イエロー、マゼンタ及びシアンのいずれかである請求項1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  3. カラーインクの色材が、荷電性樹脂擬似微粒子を顔料粒子表面に固着させることによって分散している分散性色材を含む請求項1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  4. 前記ブラックインクが、前記した塩を総量で0.1〜5質量%含む請求項1に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  5. 前記荷電性樹脂擬似微粒子が、極性基を有している請求項1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  6. 前記極性基が、アニオン性基又はカチオン性基である請求項5に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  7. 前記分散性色材の表面官能基密度が、250μmol/g以上1,000μmol/g未満である請求項1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  8. 前記分散性色材の表面エネルギーが、70mJ/m2以下である請求項1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  9. 前記荷電性樹脂擬似微粒子が共重合体成分を含んで構成されており、該共重合体成分のガラス転移温度が、−40℃以上60℃以下である請求項1又は3に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  10. 前記共重合体成分が、少なくとも1種類の疎水性モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むモノマー成分の共重合体を含んでなる請求項9に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  11. 前記疎水性モノマーが、α位にメチル基を有し、且つ、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを少なくとも含有する請求項10に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  12. 前記疎水性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステル化合物を少なくとも含有する請求項10に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  13. 前記疎水性モノマーが、メタクリル酸ベンジル又はメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも一種を含有する請求項10に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  14. 前記親水性モノマーが、アニオン性モノマーを少なくとも含有する請求項10〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  15. 前記アニオン性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチレンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種を含む請求項14に記載のインクジェット記録用カラーインク。
  16. インクジェット記録方式で記録媒体上にインクが付与されて画像形成が行われ、且つ、記録媒体上のブラックインクによって記録された記録領域上に、カラーインクが記録されて画像が形成される構成を有するインクジェット記録装置であって、上記インクが、請求項1〜15のいずれか1項に記載のインクジェット記録用カラーインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  17. 前記記録媒体が光沢記録媒体である場合に、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクによる記録が行われて画像が形成され、記録媒体が光沢記録媒体でない場合には、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクの記録を行うことなく画像が形成されるように構成されている請求項16に記載のインクジェット記録装置。
  18. インクジェット記録方式で記録媒体上にブラックインクを付与して記録した後、該ブラックインクによって記録した領域上にカラーインクを付与して画像を形成するインクジェット記録方法であって、上記インクが、請求項1〜15のいずれか1項に記載のインクジェット記録用カラーインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  19. 記録媒体が光沢記録媒体である場合は、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクで記録を行って画像を形成し、記録媒体が光沢記録媒体でない場合は、ブラックインクによって記録された記録領域上にカラーインクで記録を行わないで画像を形成する請求項18に記載のインクジェット記録方法。
  20. インクジェット記録方式で記録媒体上に、ブラックインクの記録領域上にカラーインクで記録がされて形成されたインクジェット記録画像であって、記録媒体が光沢記録媒体であり、且つ上記カラーインクが、請求項1〜15のいずれか1項に記載のインクジェット記録用カラーインクであることを特徴とするインクジェット記録画像。
  21. カラーインクとブラックインクを用いて光沢記録媒体に画像を形成する記録方法に対して、適用されるブラックインクであって、水不溶性色材と1種以上の荷電性樹脂擬似微粒子とからなる分散性色材を含み、該水不溶性色材は、該荷電性樹脂擬似微粒子を固着することによって単独で分散していることを特徴とするブラックインク。
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