JP2001164098A - ポリエステル樹脂用劣化防止剤 - Google Patents

ポリエステル樹脂用劣化防止剤

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JP2001164098A JP37642599A JP37642599A JP2001164098A JP 2001164098 A JP2001164098 A JP 2001164098A JP 37642599 A JP37642599 A JP 37642599A JP 37642599 A JP37642599 A JP 37642599A JP 2001164098 A JP2001164098 A JP 2001164098A
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polyester resin
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epoxy group
deterioration inhibitor
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幸江 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 260〜320℃の高温で成形されるポリエ
ステル樹脂の劣化を抑制するポリエステル樹脂用劣化防
止剤を提供する。 【解決手段】 エポキシ基を有する化合物をシリカ粒子
に担持させることにより、260〜320℃の高温にお
いても分解することなく、ポリエステル樹脂中の酸及び
水酸基をエポキシ基が捕捉し、ポリエステル樹脂の劣化
を防止するポリエステル樹脂用劣化防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は260〜320℃付
近の高温域において溶融成形されるポリエステル樹脂に
おいて、ポリエステル樹脂の劣化を促進する酸及び水酸
基をエポキシ基を有する化合物を担持させたシリカ粒子
で捕捉することにより、ポリエステル樹脂の加水分解の
進行を防止するポリエステル樹脂用劣化防止剤に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は一般に酸化劣化に強
いが、加水分解を起こしやすい欠点がある。従来のプラ
スチック用の劣化防止剤は昇華性や揮発性が高く、ポリ
エステル樹脂の様な260〜320℃付近の高温域で成
形される場合には分解してその役目を十分果たしていな
い。現在のところ、これらの温度域において用いられる
有効な劣化防止剤はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリエステ
ル樹脂の成形時において、その成形温度である260〜
320℃付近の高温域においても分解されず、かつ製品
としての使用時においても高い加水分解防止機能を持つ
劣化防止剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はシリカ粒子表
面にアルコキシ基とエポキシ基を持つシランカップリン
グ剤を処理することにより、シリカ粒子表面にエポキシ
基を導入し、これをポリエステル樹脂と溶融混練りする
ことにより、ポリエステル樹脂の耐劣化性が改良される
ことを見出し本発明に至った。
【0005】本発明はポリエステル樹脂において、シリ
カ粒子にエポキシ基を導入することによりポリエステル
樹脂の劣化を促進する酸及び水酸基を捕捉し、成形後に
おいてもポリエステル樹脂の加水分解の進行を防止する
ものである。
【0006】また本発明は、シリカ粒子にエポキシ基を
含む化合物を担持させることにより260〜320℃付
近の高温においてのエポキシ化合物の昇華、分解を防ぐ
効果がある。
【0007】すなわち本発明は、260〜320℃付近
の高温域において溶融成形されるポリエステル樹脂にお
いて、エポキシ基を有する化合物を担持させたシリカ粒
子でポリエステル樹脂の劣化を促進する酸及び水酸基を
捕捉することにより、ポリエステル樹脂の加水分解の進
行を防止するポリエステル樹脂用劣化防止剤である。ま
た、エポキシ基がポリエステル樹脂の酸、水酸基を捕捉
する時の触媒として働くアルミナ粒子を併用することに
よりさらに高性能化するポリエステル樹脂用劣化防止剤
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるシリカ粒子は
表面にシラノール基を有するものであればよく、表面の
シラノール基量の関係などから粒径が10μm以下で特
に好ましくは5μm以下がよく、さらに非晶性であるこ
とが望ましい。また樹脂中においての応力集中を低減さ
せるため球状が望ましい。
【0009】シリカ粒子にエポキシ基を有する化合物を
担持させる方法としては、アルコキシ基とエポキシ基を
持つシランカップリング剤をシリカ粒子表面に処理する
ことにより行われる。このときシリカ粒子表面のシラノ
ール基とシランカップリング剤のアルコキシ基が結合
し、シリカ表面にエポキシ基を有する化合物が担持され
る。残存するシラノール基とアルコキシ基は、ポリエス
テル樹脂の劣化を促進するので、シラノール基とアルコ
キシ基は化学量論的に等量反応しなければならない。
【0010】アルミナ粒子はエポキシ基を担持したシリ
カ粒子と混合させて用いる。アルミナ粒子においても粒
径が10μm以下で特に好ましくは5μm以下がよく、
形状は球状であることが望ましい。
【0011】劣化防止剤としての使用方法は、エポキシ
基を有する化合物を担持させたシリカ粒子をポリエステ
ル樹脂の260〜320℃付近の高温域における成形時
に、ポリエステル樹脂に対し0.05〜5重量%程度添
加することにより、ポリエステル樹脂の劣化防止剤とし
て働くことができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例での性能評価方法は次の通りである。
【0013】耐劣化性:70℃の水中に20時間試料を
浸漬し、次の方法で機械的強度を測定し機械的強度から
加水分解性を評価した。
【0014】機械的強度:試料をつかみ幅100mm
で、100mm/minの定速で引張り破壊強度を測定
した。
【0015】
【実施例1】平均粒径0.5μmのシリカ粒子1にγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランカップリング
剤をシリカ粒子1に対し3重量%滴下し撹拌して、エポ
キシ基を有する化合物を担持したシリカ粒子を得た。
【0016】ポリエステル樹脂Aを100gと、1gの
前述のエポキシ基を担持したシリカ粒子とを、280℃
の溶融混練機を用い10分混練りし、孔径0.5mmの
ダイより押し出し、繊維化した。
【0017】得られたポリエステル繊維の耐劣化性を測
定した。結果を表1に示したが、耐劣化性が改質され良
好であった。
【0018】
【実施例2】実施例1のシリカ粒子1を平均粒径10μ
mのシリカ粒子2に変更した以外は実施例1と同様にし
て、ポリエステル繊維を得た。このポリエステル繊維は
耐劣化性が改良され良好であった。
【0019】
【実施例3】実施例1と同様にしてエポキシ基を有する
化合物を担持させたシリカ粒子を得た。ポリエステル樹
脂Bを100gと、エポキシ基を有する化合物を担持さ
せたシリカ粒子1gに、平均粒径0.4μmのアルミナ
粒子を0.5g添加し、280℃の溶融混練機を用い1
0分混練りし孔径0.5mmのダイより押し出し繊維化
した。このポリエステル繊維は耐劣化性が改質され良好
であった。
【0020】
【比較例1】ポリエステル樹脂Aを100gを280℃
において10分間溶融混練りし、孔径0.5mmのダイ
より押し出し、繊維化した。
【0021】
【比較例2】ポリエステル樹脂Aを100gと未処理の
シリカ粒子1を1gとを、280℃において10分間溶
融混練りし、孔径0.5mmのダイより押し出し、繊維
化した。
【0022】
【比較例3】ポリエステル樹脂Bを比較例1と同様にし
て繊維化し、ポリエステル繊維を得た。
【0023】
【比較例4】ポリエステル樹脂Bを100gと未処理の
シリカ粒子1を1gとを、280℃において10分間溶
融混練りし、孔径0.5mmのダイより押し出し、繊維
化した。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明によればポリエステル樹脂の加水
分解進行を防止するポリエステル用劣化防止剤を提供で
きる。したがって、耐劣化性の要求される分野(ジオテ
キスタイル、フィルム、繊維など)に有効で、特に廃ポ
リエステル樹脂のリサイクルに最適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径が10μm以下のシリカ粒子表面に
    エポキシ基を有する化合物を担持させたポリエステル樹
    脂用劣化防止剤。
  2. 【請求項2】 粒径が10μm以下のアルミナ粒子を配
    合した請求項1記載のポリエステル樹脂用劣化防止剤。
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