JP2001164028A - 発泡性スチレン系樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子およびその製造方法

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JP2001164028A
JP2001164028A JP35444999A JP35444999A JP2001164028A JP 2001164028 A JP2001164028 A JP 2001164028A JP 35444999 A JP35444999 A JP 35444999A JP 35444999 A JP35444999 A JP 35444999A JP 2001164028 A JP2001164028 A JP 2001164028A
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styrene
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styrene resin
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Naoki Nakayama
直樹 中山
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Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発泡性スチレン系樹脂粒子について、予備発泡
の段階においてブロッキングの発生を防止することがで
き、かつ、良好な融着性を示す発泡成形品を得ることが
できるようにする。 【解決手段】動的粘弾性試験における複素弾性係数の値
が100℃ないし115℃の間において勾配−3×10
7ないし−5×106の範囲にて減少するところのポリエ
チレンワックスよりなるブロッキング防止剤兼用融着促
進剤を、発泡性スチレン系樹脂粒子の総重量に基づいて
0.05ないし2.0重量%添加する。これは、発泡剤
の含浸を押出し成形により作られたスチレン系樹脂粒子
に対して行なうかまたはその押出し成形の間に行なうこ
とにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を作る製法におい
て、その押出し成形の際、スチレン系樹脂に添加され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡性スチレン系
樹脂粒子およびその製造方法に関する。より詳しくは、
本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子の予備発泡の段階
においてブロッキング、つまり予備発泡粒子同士が互い
に融着して塊を形成する現象の発生を防止し、かつ、こ
の予備発泡粒子より得られる発泡成形品において良好な
融着性を示す発泡性スチレン系樹脂粒子、および、該発
泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発泡性スチレン系樹脂粒子は、次
の三つの方法により製造されている。一つの製法は、ス
チレン系樹脂の押出し成形により作られたペレット形態
のスチレン系樹脂粒子(押出しペレット)が分散された
水性懸濁液の系内に、発泡剤を添加し、これを該押出し
ペレットに含浸させることにより、発泡性スチレン系樹
脂粒子を製造する方法である。もう一つの製法は、スチ
レン系樹脂を所定の添加剤とともに押出し機に投入し、
押出し成形によりスチレン系樹脂粒子を作る過程におい
て、押出し成形機の内部でスチレン系樹脂が溶融混練さ
れている系内に発泡剤を添加し、該スチレン系樹脂粒子
に含浸せしめることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子
を製造する方法である。さらに他の製法は、スチレン系
単量体が分散されている水性懸濁液の系内に、発泡剤を
該単量体の懸濁重合の間にまたはその後に添加し、重合
生成したスチレン系樹脂粒子に含浸させることにより、
発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法である。そし
て、これらの製造過程の際、発泡性スチレン系樹脂粒子
には、予備発泡におけるブロッキングの発生を防止する
ために、ブロッキング防止剤がブレンドされ、該樹脂粒
子の表面に被覆されている。ブロッキング防止剤として
は、従来、脂肪酸ビスアマイド類、例えばエチレンビス
ステアリン酸アマイドおよびメチレンビスステアリン酸
アマイド、またはメチロールアマイド類、または高級脂
肪酸金属塩類、例えばステアリン酸カルシウムおよびス
テアリン酸亜鉛などが使用されている。一方、予備発泡
樹脂粒子を用いて発泡成形を行なった場合、得られる発
泡成形品は、所要の諸物性を有するためには、発泡粒子
が相互に強固に融着した構造のものでなければならな
い。そこで、従来、この融着性を向上させるために、発
泡性スチレン系樹脂粒子には、融着促進剤がブレンドさ
れ、該樹脂粒子の表面に被覆されている。融着促進剤と
しては、従来、高級脂肪酸トリグリセライド、例えばオ
レイン酸トリグリセライド、または、植物油脂もしくは
動物油脂の硬化油(水素添加油)などが使用されてい
る。通常、上述のブロッキング防止剤および融着促進剤
は、予備発泡におけるブロッキング防止および発泡成形
における融着促進という所期の目的を達成するために、
各々、所定の割合にて適量づつ発泡性スチレン系樹脂粒
子に一緒にブレンドされ、該樹脂粒子の表面に一緒にな
って被覆されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の方
法にあっては、二種の薬剤を発泡性スチレン系樹脂粒子
にブレンドする後工程が必要とされる他、ブレンドされ
る発泡性スチレン系樹脂粒子の各々の特性にそれぞれ適
合させるべく、ブロッキング防止剤および融着促進剤
を、これら添加剤の作用が最も良好に発揮される範囲の
配合比率にて、発泡性スチレン系樹脂粒子に夫々ブレン
ドすることが必要とされる。これら添加剤の配合が最適
な範囲を外れて為されたときには、予備発泡の段階でブ
ロッキングの発生が増大したりあるいは発泡成形品にお
いて融着性が悪化するなどの不具合が生じる可能性が高
まる。この問題を解決する手段として、特公平4‐64538
号公報には、ブロッキング防止剤成分のエチレンビスス
テアリン酸アミドと融着促進剤成分の12‐ヒドロキシス
テアリルトリグリセリドとの混融物をドライブレンドに
よって発泡性ポリスチレンビーズの表面に被覆する方法
が開示されている。しかし、この方法は、そのブレンド
に先立ち、上記の混融物を微細粉末に微粉砕しなければ
ならず、しかも得られた微細粉末が発泡性ポリスチレン
ビーズの表面に均一に被覆されるようにドライブレンド
することが要求され、全体として手間がかかり、作業性
が悪いという問題を有していた。一方、特開昭58−1257
28号公報は、発泡性ポリスチレンの製造方法において、
密度少なくとも15.4kg/m3、分子量700〜1500、多分
散度1.2未満そして融点少なくとも102℃であるポ
リエチレンワックスを、スチレンモノマーの重合系に添
加することにより、発泡性ポリスチレンビーズについ
て、より小さい気泡(セルサイズ)と、発泡成形につい
て、より短い成形サイクルとを得る方法を開示してい
る。また、特公平8−2990号公報は、分子量400〜900、
融点85℃ないし110℃であるポリエチレンワックス
を熱可塑性樹脂粒子に被覆することにより、得られた成
形品コップ等の洩れ防止能が阻害されない発泡性熱可塑
性樹脂粒子を得る技術を開示している。しかしながら、
これらの発明に使用されるポリエチレンワックスは、そ
の分子量および融点などが限定されているものの、比較
的広い範囲の、言わば典型的なポリエチレンワックスで
ある。より重要なことに、発泡性ポリスチレンビーズに
おけるポリエチレンワックスの添加例は、上述の公報な
どに見られるが、予備発泡におけるブロッキング防止並
びに発泡成形品における融着性の向上を目的として、特
定のポリエチレンワックスを発泡性スチレン系樹脂粒子
の製造過程で添加もしくは被覆した例は、特許公報など
の刊行物に未だ開示されていない。
【0004】本発明は、上述の諸背景に基づいてなされ
たものであって、その課題とするところは、予備発泡の
段階においてブロッキングの発生を防止することがで
き、かつ、得られる発泡成形品において良好な融着性を
示すことができるところの発泡性スチレン系樹脂粒子を
提供することにある。本発明は、また、ブロッキング防
止剤および融着促進剤のブレンドおよび該ブレンド物の
添加という工程を経ずに、ブロッキング防止および融着
性改良の両面で良好な性能を有する発泡性スチレン系樹
脂粒子を作ることができるところの発泡性スチレン系樹
脂粒子の製造方法を提供することを他の課題とする。本
発明のその他の目的、効果および利点は、以下の記載お
よび特許請求の範囲の記載より導かれる。
【0005】本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、まっ
たく驚くべきことに、スチレン系樹脂の押出し成形によ
り作られたペレット形態のスチレン系樹脂粒子に発泡剤
を含浸させることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を
製造する方法において、あるいは、押出し成形によりス
チレン系樹脂粒子を作る過程において押出し成形機の内
部でスチレン系樹脂が溶融混練されている系内に発泡剤
を添加し、含浸せしめることにより、発泡性スチレン系
樹脂粒子を製造する方法において、ブロッキング防止剤
かつ融着促進剤として、特定のポリエチレンワックス、
即ち動的粘弾性試験における複素弾性係数の値が100
℃ないし115℃の間において勾配−3×107ないし
−5×106の範囲にて減少するという特性を有するポ
リエチレンワックスを、上記押出し成形の際、発泡性ス
チレン系樹脂粒子の総重量に基づいて0.05ないし
2.0重量%スチレン系樹脂に添加すると、得られた発
泡性スチレン系樹脂粒子は、その予備発泡において優れ
たブロッキング防止の効果を奏し、かつ、最終的に得ら
れる発泡成形品において大変良好な融着性を示すという
事実を見い出し、そして、ここに本発明を完成するに至
った。
【0006】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明は、
より明確には、スチレン系樹脂粒子に、ブロッキング防
止剤兼用融着促進剤および発泡剤を含有してなる発泡性
スチレン系樹脂粒子において、該ブロッキング防止剤兼
用融着促進剤は、動的粘弾性試験における複素弾性係数
の値が100℃ないし115℃の間において勾配−3×
107ないし−5×106の範囲にて減少するところのポ
リエチレンワックスよりなり、かつ、前記ブロッキング
防止剤兼用融着促進剤は、発泡性スチレン系樹脂粒子の
総重量に基づいて0.05ないし2.0重量%添加され
ていることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子に関
する。また、本発明は、スチレン系樹脂の押出し成形に
より作られたペレット形態のスチレン系樹脂粒子に発泡
剤を含浸させることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子
を製造する方法において、動的粘弾性試験における複素
弾性係数の値が100℃ないし115℃の間において勾
配−3×107ないし−5×106の範囲にて減少すると
ころのポリエチレンワックスよりなるブロッキング防止
剤兼用融着促進剤を、前記押出し成形の際、得られる発
泡性スチレン系樹脂粒子の総重量に基づいて0.05な
いし2.0重量%前記スチレン系樹脂に添加することを
特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関す
る。また、本発明は、押出し成形によりスチレン系樹脂
粒子を作る過程において、押出し成形機の内部でスチレ
ン系樹脂が溶融混練されている系内に発泡剤を添加し、
含浸せしめることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を
製造する方法において、動的粘弾性試験における複素弾
性係数の値が100℃ないし115℃の間において勾配
−3×107ないし−5×106の範囲にて減少するとこ
ろのポリエチレンワックスよりなるブロッキング防止剤
兼用融着促進剤を、前記押出し成形の際、得られる発泡
性スチレン系樹脂粒子の総重量に基づいて0.05ない
し2.0重量%前記スチレン系樹脂に添加することを特
徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法にも関す
る。さらに、本発明は、発泡剤の含浸をスチレン系単量
体の懸濁重合系において行なう発泡性スチレン系樹脂粒
子の製法にも広げて適用されうる。すなわち、本発明
は、スチレン系単量体を水性媒体中で懸濁重合し、その
後生成したスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させるこ
とにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法に
おいて、動的粘弾性試験における複素弾性係数の値が1
00℃ないし115℃の間において勾配−3×107
いし−5×106の範囲にて減少するところのポリエチ
レンワックスよりなるブロッキング防止剤兼用融着促進
剤を、前記懸濁重合の際、得られる発泡性スチレン系樹
脂粒子の総重量に基づいて0.05ないし2.0重量%
添加することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の
製造方法にも関する。
【0007】
【発明の実施の形態】ポリエチレンワックスのうち、本
発明においてブロッキング防止剤兼用融着促進剤として
使用されるポリエチレンワックス、つまり動的粘弾性試
験における複素弾性係数の値が100℃ないし115℃
の間において勾配−3×107ないし−5×106の範囲
にて減少するところの特定のポリエチレンワックスが、
発泡性スチレン系樹脂粒子の予備発泡において優れたブ
ロッキング防止効果を奏しかつ得られる発泡成形品にお
いて大変良好な融着性の促進効果を奏するところの理由
は、未だよく判らない。しかしながら、かような性質を
有するポリエチレンワックスは、通常行なわれるところ
の予備発泡の温度(つまり、100℃〜105℃)にお
いて、高い弾性と高い粘性挙動を保持しており、発泡性
スチレン系樹脂粒子の表面において滑剤作用を強く発揮
しうる状態にあり、従って、発泡性スチレン系樹脂粒子
同士の凝集を抑制し、ブロッキング防止の効果を奏する
ものと推量される。また、上述の性質を有するポリエチ
レンワックスは、通常行なわれるところの発泡成形の温
度(つまり105℃〜115℃)において、弾性と粘性
が急激に低下し、滑剤作用を発揮する状態から溶融状態
に移行し、従って、発泡成形の際、発泡粒子同士の融着
を促進し、融着性向上の効果を奏するものと推量され
る。ポリエチレンワックスの滑剤作用を発揮する状態か
ら溶融状態への変化を把握するには、ポリエチレンワッ
クスの弾性と粘性挙動との各変化を観察することが最も
適切であるが、この変化は、ポリエチレンワックスの動
的粘弾性試験において、温度100℃〜115℃の間に
おける複素弾性係数の値の低下とよく一致するのであ
る。その温度の範囲において、ポリエチレンワックスの
複素弾性係数の値が急激に減少することは、ポリエチレ
ンワックスが、かような温度に加熱されたとき、滑剤作
用を発揮する状態から溶融状態に急変化することを意味
する。本発明者は、予備発泡および発泡成形が通常行な
われる温度範囲、つまり100℃〜115℃の間におい
て複素弾性係数の値が勾配−3×107ないし−5×1
6の範囲にて急に減少するという性質を有するポリエ
チレンワックスを、適当な量発泡性スチレン系樹脂粒子
に含有させたとき、その発泡性スチレン系樹脂粒子の予
備発泡において優れたブロッキング防止効果を奏し、か
つ、得られる発泡成形品において大変良好な融着性の促
進効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至っ
たのである。発泡性スチレン系樹脂粒子に含有されるポ
リエチレンワックスが、動的粘弾性試験における複素弾
性係数の値の低下が100℃未満の温度域において生じ
るものであるとき、得られる発泡性スチレン系樹脂粒子
の予備発泡において、ブロッキング防止の効果は何ら発
揮されず、予備発泡樹脂粒子が凝集して粒子同士が融着
してしまい、塊が形成される。一方、発泡性スチレン系
樹脂粒子に含有されるポリエチレンワックスが、動的粘
弾性試験における複素弾性係数の値の低下が115℃を
越える温度域において生じるものであるとき、得られる
発泡性スチレン系樹脂粒子を用いて発泡成形したとき、
発泡樹脂粒子同士の融着性能が極端に悪く、発泡成形品
として最低必要とされる品質さえも備えていない不良製
品が得られる。さらに、発泡性スチレン系樹脂粒子に含
有されるポリエチレンワックスが、動的粘弾性試験にお
ける複素弾性係数の値の低下が温度100℃〜115℃
の間で生じるものであったとしても、その複素弾性係数
の値が勾配−5×106を越えて減少するものであると
き、得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の予備発泡にお
けるブロッキング防止効果も、また、最終的に作られる
発泡成形品における融着性の促進効果も、所期の満足な
水準に達せず、中途半端なものとなってしまう。一方、
動的粘弾性試験における複素弾性係数の値の低下が温度
100℃〜115℃の間で生じるが、その複素弾性係数
の値が勾配−3×107未満にて減少するという性質を
有するところのポリエチレンワックスは、商業的に入手
することができない。従って、本発明においては、動的
粘弾性試験における複素弾性係数の値が100℃ないし
115℃の間において勾配−3×107ないし−5×1
6の範囲にて減少するところの特定のポリエチレンワ
ックスが適用される。また、本発明において、かような
特定のポリエチレンワックスは、発泡性スチレン系樹脂
粒子の総重量に基づいて0.05ないし2.0重量%添
加される。ポリエチレンワックスの配合量がこの範囲内
であるとき、発泡性スチレン系樹脂粒子の予備発泡にお
いて優れたブロッキング防止効果を奏し、かつ、得られ
る発泡成形品において大変良好な融着性の促進効果を奏
する。ポリエチレンワックスの配合量が0.05重量%
未満であるとき、発泡性スチレン系樹脂粒子の予備発泡
においてブロッキング防止の効果が事実上発揮されず、
また、発泡成形品においても融着性が相当に悪化する傾
向が見られる。反対に、ポリエチレンワックスの配合量
が2.0重量%を越えるとき、発泡性スチレン系樹脂粒
子の予備発泡において良好なブロッキング防止効果を奏
するものの、発泡成形品において融着性が著しく低下す
る現象が見られる。また、本発明において、ポリエチレ
ンワックスは、押出し成形によりスチレン系樹脂粒子を
作るとき、その成形前のスチレン系樹脂に予め配合され
るか、または押出し成形の際、溶融混練されているスチ
レン系樹脂に配合される。すると、発泡性スチレン系樹
脂粒子の予備発泡において優れたブロッキング防止効果
を奏し、かつ、得られる発泡成形品において大変良好な
融着性の促進効果を奏する。これに対して、上記の特定
の性質を有するポリエチレンワックスであっても、それ
を発泡性スチレン系樹脂粒子にブレンド被覆したとき
は、不思議なことに、予備発泡においてブロッキング防
止の目立った改良効果が得られず、また、発泡成形品に
おいて融着性の格別な改良効果が得られないことを、本
発明者は実験を通じて確認している。かかる差異が生じ
る理由はよく判らないが、本発明に従うとき、ポリエチ
レンワックスが、発泡性スチレン系樹脂粒子の表面近傍
に存在する他、該樹脂粒子の内部全体にも存在すること
によって、初めて、予備発泡におけるブロッキング防止
効果と発泡成形品における融着性促進効果が併せて奏す
るようになるものと推量される。
【0008】本発明において使用されるポリエチレンワ
ックスは、蝋状の低分子量ポリエチレンであり、室温に
て粉体もしくは粒状の形態を成している.。ポリエチレ
ンワックスは、発泡性スチレン系樹脂粒子の内部全体に
わたって含有されればよく、従って、例えば、ポリエチ
レンワックスを、押出し成形機の内部でスチレン系樹脂
が溶融混練されているときに添加し、そして押出し成形
および発泡剤の含浸を為すことにより、ポリエチレンワ
ックスが含有された発泡性スチレン系樹脂粒子を得るこ
とができる。ポリエチレンワックスは、水性媒体中での
スチレン系単量体の懸濁重合の間に添加してもよい。し
かしながら、重合されたスチレン系樹脂粒子に発泡剤を
含浸する工程において、ポリエチレンワックスを添加す
るという方法は、ポリエチレンワックスがスチレン系樹
脂粒子の内部に効率よく含有されず、その大部分が未利
用のまま残ってしまうので、好ましくない。本発明にお
ける基材樹脂のスチレン系樹脂には、スチレン系単量体
の単独重合体に限らず、他の単量体との共重合体(スチ
レン系単量体を50%以上の割合で使用して作られる)
が含まれる。そしてスチレン系単量体には、単独のスチ
レンの他に、α−メチルスチレン、エチルスチレン、p
−クロロスチレン等の置換スチレンが含まれる。また、
共重合体の相手方の単量体には、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチ
ルアクリレート等の(メタ)アクリレート、並びに、ア
クリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルカルバゾール
等のビニル系単量体などが挙げられる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上のものを併用してもよい。従っ
て、本発明に用いるスチレン系樹脂としては、ポリスチ
レンの他、ポリα−メチルスチレン、ポリp−クロロス
チレン等のポリ置換スチレンの他、スチレンと置換スチ
レン(例えばα−メチルスチレン等)との共重合体、あ
るいは、スチレンとビニル系単量体(例えばアクリロニ
トリル)との共重合体などが挙げられる。より好ましい
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリスチレン
−ブタジエン共重合体、ポリスチレン−無水マレイン酸
共重合体、ポリスチレン−アクリロニトリル共重合体、
スチレンのグラフト共重合体などが挙げられる。また、
上記のスチレン系樹脂としては、通常、重量平均分子量
150,000ないし500,000を有する、より好
ましくは重量平均分子量200,000ないし300,
000を有する高分子量のスチレン系樹脂が使用される
が、部分的に、より低分子量のスチレン樹脂をブレンド
することも可能である。また、スチレン系樹脂には、他
の樹脂、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂が半量以
下の割合でブレンドされたものも含まれる。
【0009】また、上記のスチレン系樹脂には、懸濁重
合により新規に合成されたスチレン系樹脂に限られず、
スチレン系樹脂発泡体などの再利用(リサイクル)化に
よって再生されたスチレン系樹脂が適用される。再生さ
れたスチレン系樹脂を発泡性スチレン系樹脂粒子の原料
に用いることは、資源の再利用および環境保護の面から
も好ましいことである。従って、近年では、再生された
スチレン系樹脂の利用が急速に進んでいる。再生された
スチレン系樹脂には、市場に流通し使用されたスチレン
系樹脂およびスチレン系樹脂発泡体を回収し、続いて該
発泡体にあっては溶融等によって減容し、次いで、回収
されたスチレン系樹脂を裁断によって細かく粉砕し、そ
してその粉砕物を押出し機内に投入し、押出し成形する
ことにより、得られるところのペレット形態のスチレン
系樹脂粒子(所謂、再生ペレット)が含まれる。また、
発泡性スチレン系樹脂粒子の生産工場内において、その
製造過程で生じるオフグレードの発泡性スチレン系樹脂
粒子、即ち粒径が0.5mm未満もしくは粒径が2mm
を越えスチレン系樹脂発泡体の一般的な用途に適さない
要求品質外の発泡性スチレン系樹脂粒子を回収し、これ
を押出し成形することにより、得られるところの再生ペ
レットもまた、再生されたスチレン系樹脂として、本発
明におけるスチレン系樹脂粒子に利用することができ
る。ペレット形態のスチレン系樹脂粒子を使用する場合
には、ポリエチレンワックスは、再生ペレットへの押出
し成形の際、押出し成形機内に、回収されたスチレン系
樹脂と一緒に投入され、一緒に溶融混練される。なお、
新規に合成されたスチレン系樹脂は、水性媒体中でのス
チレン系単量体等の懸濁重合により製造される。これら
の懸濁重合は、重合開始剤、分散剤および分散助剤など
を含む水性懸濁系の中で進められる。重合開始剤として
は、一般的なラジカル重合に使用される重合開始剤、例
えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸ブチル、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、あるい
は、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げ
られる。また、分散剤としては、例えばリン酸三カルシ
ウム、リン酸マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等
の難水溶性無機塩、または、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機高分子
が挙げられる。さらに、分散剤と組み合せて使用される
分散助剤としては、ドデシルフェニルオキサイドジスル
ホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α
−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンオクチルフェノールエーテル等のノニオン界
面活性剤が挙げられる。
【0010】また本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子に
は、通常、スチレン系樹脂粒子100重量部に基づい
て、3ないし15重量部の、より好ましくは5ないし1
0重量部の揮発性発泡剤が含浸される。揮発性発泡剤と
しては、例えばプロパン、ブタン、n−ペンタン、イソ
ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、または、塩化
メチル、フレオン等のハロゲン化炭化水素が利用され
る。これら揮発性発泡剤は、単独で使用してもよく、ま
た二種以上の組合せで使用してもよい。しかしながら、
環境破壊の要因となりにくい脂肪族炭化水素が好ましく
用いられる。発泡性樹脂粒子の乾燥処理の際に揮発性発
泡剤の逸散が少なく、かつ、発泡成形品とした場合の発
泡剤残留量が少ないといった点から、ブタンまたはペン
タンがより好ましく用いられ、中でもペンタンが最も好
ましく用いられる。揮発性発泡剤の含浸処理は、一つに
は、まず、押出し成形により作られたペレット形態のス
チレン系樹脂粒子をオートクレーブ内の水性懸濁液に分
散させ、そして、揮発性発泡剤を該分散系に圧入し、適
宜加熱することにより、発泡剤をスチレン系樹脂粒子に
含浸させ、その後冷却するというプロセスにより行なわ
れる。このプロセスに用いる水性懸濁液には、懸濁安定
剤、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウ
ム、ハイドロキシアパタイト等の難水溶性無機塩、また
は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メ
チルセルロース等の有機高分子などが配合される。な
お、ペレット形態のスチレン系樹脂粒子は、スチレン系
樹脂の押出し成形により得られたストランドをロータリ
ー式ペレタイザーにおいて切断することにより、作られ
る。また、他の方法として、揮発性発泡剤の含浸処理
は、スチレン系樹脂の押出し成形の間に、即ちスチレン
系樹脂を押出し成形機内に添加剤および助剤とともに投
入し、同成形機内部でそれらを加熱溶融し、スクリュー
により混練する過程において、その溶融・混練している
系に揮発性発泡剤を添加し、該スチレン系樹脂に含浸せ
しめ、次いで、押出し成形を完了させるというプロセス
により行なわれる。
【0011】また、一般に、発泡性スチレン系樹脂粒子
は、揮発性発泡剤の他に、所望により、各種の添加剤、
改質剤並びに助剤、例えば、難燃剤、セル形成剤、可塑
剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤等を適当な量、スチレン
系樹脂粒子に配合することができる。これら薬剤は、従
来発泡性スチレン系樹脂粒子において利用されているも
のより適宜選択して使用され、スチレン系樹脂の押出し
成形の工程、スチレン系単量体の懸濁重合の工程もしく
は発泡剤の含浸の工程において添加される。例えば、難
燃剤としては、ヘキサブロムシクロドデカン、テトラブ
ロモビスフェノールAなどが挙げられる。また、セル形
成剤の例としては、エチレンビスステアリン酸アマイ
ド、タルクなどが挙げられる。さらに、可塑剤の例とし
ては、DOP、DOA、DBP、ヤシ油、パーム油等が
挙げられる。
【0012】以上のように、本発明の発泡性スチレン系
樹脂粒子は、スチレン系樹脂の押出し成形により、ペレ
ット形態のスチレン系樹脂粒子を作り、その際、該スチ
レン系樹脂に、上記の性質を有するポリエチレンワック
スを添加し、そして、該スチレン系樹脂粒子の水性懸濁
系に発泡剤を圧入し、続いて適宜加熱して含浸させるこ
とにより製造されるか、または、スチレン系樹脂の押出
し成形によりスチレン系樹脂粒子を作り、同時に、その
過程において、押出し成形機の内部でスチレン系樹脂が
溶融混練されている系内に発泡剤を添加して含浸せし
め、また、その押出し成形の際、上記の性質を有するポ
リエチレンワックスを成形前のまたは溶融混練している
前記スチレン系樹脂に添加し、含浸することにより製造
される。さらに、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子
は、スチレン系単量体をオートクレーブ内に水性媒体中
に懸濁重合し、この際、上記の性質を有するポリエチレ
ンワックスを重合の前またはその間に添加し、そして、
重合の完了の際、発泡剤を懸濁系内に圧入し、続いて適
宜加熱して、生成したスチレン系樹脂粒子に含浸させる
ことにより製造される。而して、作られた本発明に係る
発泡性スチレン系樹脂粒子は、必要により任意の見かけ
比重にまで予備発泡し、次いで、常法に従い、予備発泡
粒子を金型等の成形型内に充填し、そして蒸気を用いて
加熱発泡することにより、予備発泡粒子を相互に融着さ
せて、所望の形状(寸法)の発泡成形品を作ることがで
きる。
【0013】−動的粘弾性試験− 粉体もしくは粒状のポリエチレンワックスをその溶融温
度以上の温度にまで加熱し、続いて、得られた溶融体を
冷却し、固体のプレートに形作ったものを、動的粘弾性
試験の試料とする。この試料を動的粘弾性試験機におい
て、例えば毎分1℃ないし5℃の昇温速度、1ないし1
0ヘルツの振動数の条件において圧縮することにより、
複素弾性係数を求める。複素弾性係数Eは、測定する物
質の弾性と粘性の指標を合せて表わす指標であって、貯
蔵弾性率をE′、損失弾性率をE″としたとき、次式よ
り算出される。
【化1】 そして、ポリエチレンワックスにおける複素弾性係数E
の値は、測定温度に対して依存性があり、その値は、あ
る温度範囲(試料の性質によって異なる)において急激
に減少する。従って、温度と複素弾性係数Eの関係を示
すグラフにおいて、複素弾性係数Eの値が急激に減少す
る温度域における勾配の値を求める。この勾配値は、市
販の動的粘弾性試験機を用いて、自動的に決定すること
ができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の最良の実施形態と思われる実
施例を説明することにより、本発明をより明らかにす
る。
【0015】実施例1および比較例1ないし3 −スチレン系樹脂粒子の製造− スチレン系樹脂としてポリスチレン樹脂を使用し、これ
に以下の表1に示されるポリエチレンワックス試料Aな
いしDの中の一種を、ポリスチレン樹脂100重量部に
対し1.0重量部の割合で添加し、次いで、この混合物
を押出し成形機内に投入し、続いてこれを成形機内部で
加熱溶融しスクリューにより混練し、そしてストランド
の形態にて押出し成形した。その後、得られたストラン
ドをロータリー式ペレタイザーにおいて切断して、ペレ
ット形態のスチレン系樹脂粒子を作った。 −発泡剤の含浸− 得られたペレット形態のスチレン系樹脂粒子1500g
rを5Lのオートクレーブ内に、イオン交換水2500
grおよび分散剤(ポリビニルアルコールおよびメチル
セルロース)6grとともに添加した。次いで、この混
合物を攪拌し、そして攪拌を継続する条件の下、揮発性
発泡剤のn−ペンタン126gをオートクレーブ内に圧
入した。続いて、オートクレーブ内の水性懸濁系を12
0℃に昇温し、その状態を3時間保持することにより、
発泡剤をスチレン系樹脂粒子に含浸させた。しかして、
含浸処理の後、この懸濁系を室温にまで冷却し、生成し
た発泡性スチレン系樹脂粒子をオートクレーブより取り
出した。その後、得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を
洗浄し、続いて遠心分離機を用いて遠心分離により脱水
し、次にドライヤーを用いて十分に乾燥し、そして乾燥
された発泡性スチレン系樹脂粒子を篩分けにより分別し
て、粒径1.0〜1.2mmの発泡性スチレン系樹脂粒
子を得た。 −予備発泡および発泡成形− 得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を、室温にて3日間
熟成した後、101℃の水蒸気を用いて、嵩発泡倍率5
0倍にまで予備発泡を行ない、そして、この予備発泡の
過程におけるブロッキングの発生量を測定した。各々の
予備発泡粒子についての測定の結果は、以下の表2にそ
れぞれ示される。その後、得られた予備発泡粒子を、室
温にて24時間熟成した後、自動成形機の成形型内に投
入し、圧力(ゲージ圧)68.6kPa にて8秒間加
熱する条件で発泡成形を行ない、続いて成形型を5秒間
水冷しそして放冷した後に、成形型より取り出して、樹
脂発泡成形品を作成した。その後、得られた各々の発泡
成形品について、破断面における発泡粒子相互の融着性
をそれぞれ調べた。その結果は、以下の表2にそれぞれ
示される。
【0016】比較例4 ポリエチレンワックス試料Aを、押出し成形にあたって
スチレン系樹脂に混和しなかった点を除いて、実施例1
の条件と同じ条件にて、実施例1における手順と同じ手
順を行ない、粒径1.0〜1.2mmの発泡性スチレン
系樹脂粒子を作った。そして、得られた発泡性スチレン
系樹脂粒子に、ポリエチレンワックス試料Aを、ブレン
ダを用いて該樹脂粒子100重量部に基づいて1.0重
量部の割合でドライブレンドし、試料Aを発泡性スチレ
ン系樹脂粒子の表面に被覆した。その後、ドライブレン
ドされた発泡性スチレン系樹脂粒子を使用し、実施例1
と同じ条件および手順にて、予備発泡および発泡成形を
行ない、そして、予備発泡におけるブロッキングの発生
量並びに発泡成形品における発泡粒子相互の融着性をそ
れぞれ調べた。その結果は、以下の表2に示される。
【0017】本実施例に使用されたポリエチレンワック
スAないしDについて、動的粘弾性試験をそれぞれ行な
い、測定された複素弾性係数の値が減少するところの温
度範囲と勾配を各々求めた。なお、この試験の結果は、
図1ないし図4のグラフにそれぞれ示す。
【0018】 表2中、各項目は、次の意義を有する。 ブロッキングの発生量a (%):予備発泡された粒子の
総量に対する、予備発泡粒子が3個以上凝集してブロッ
キングが発生した粒子の量の百分率。この値は、径8m
mの篩を用いて予備発泡された粒子を篩分けし、篩を通
過せず篩上に残った粒子が、ブロッキングが発生した粒
子として、算出される。 融着率b(%):得られた発泡成形品を破断したとき、
その破断面に存在する発泡粒子の総数に対する、粒子の
内部で引き裂かれている(粒子と粒子との境界面で分離
されていない)発泡粒子の数の百分率。この値は、発泡
成形品を任意の箇所で破断し、その一定の大きさの破断
面より、粒子の内部で引き裂かれている発泡粒子の数
と、発泡粒子の総数とを数えて、算出される。
【0019】表2より、次のことがわかる。 1)複素弾性係数の値が減少する温度域での勾配が急であ
るポリエチレンワックスAを、押出し成形の過程でスチ
レン系樹脂に予め添加した実施例1の発泡性スチレン系
樹脂粒子にあっては、予備発泡においてブロッキングの
発生が殆ど無く、また、得られる発泡成形品において
も、大変優れた融着性が得られる。 2)複素弾性係数の値が減少する温度域での勾配が緩やか
なポリエチレンワックスBを、押出し成形の過程でスチ
レン系樹脂に予め添加した比較例1の発泡性スチレン系
樹脂粒子にあっては、予備発泡においてブロッキングの
発生が相当に見られ、また、発泡成形品においても、融
着性がかなり劣ったものが得られる。 3)複素弾性係数の値が減少する温度域が115℃を越え
ているポリエチレンワックスCを、押出し成形の過程で
スチレン系樹脂に予め添加した比較例2の発泡性スチレ
ン系樹脂粒子にあっては、予備発泡においてブロッキン
グの発生が殆ど見られなかったものの、発泡成形品にお
いて融着性が著しく悪いものが得られる。 4)複素弾性係数の値が減少する温度域が100℃未満で
あるポリエチレンワックスDを、押出し成形の過程でス
チレン系樹脂に予め添加した比較例3の発泡性スチレン
系樹脂粒子にあっては、得られた発泡成形品において融
着性が良好であったものの、予備発泡においてブロッキ
ングの発生が頻繁に見られる。 5)ポリエチレンワックスAをドライブレンドにより発泡
性スチレン系樹脂粒子の表面に被覆した比較例4の発泡
性スチレン系樹脂粒子にあっては、予備発泡においてブ
ロッキングの発生が少ないものの、発泡成形品において
は、発泡粒子がまったく融着していない大変粗悪な製品
が得られる。
【0020】実施例2、実施例3、比較例5および比較
例6 ポリエチレンワックス試料Aの添加量を、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子100重量部に基づいて、0.2重量部
(実施例2)、1.5重量部(実施例3)、0.01重
量部(比較例5)および4.0重量部(比較例6)にそ
れぞれ変更した点を除いて、実施例1の条件と同じ条件
にて、実施例1における手順と同じ手順を繰返し行な
い、粒径1.0〜1.2mmの発泡性スチレン系樹脂粒
子をそれぞれ作った。そして、得られた各例の発泡性ス
チレン系樹脂粒子を使用し、実施例1と同じ条件および
手順にて、予備発泡および発泡成形を行ない、そして、
予備発泡におけるブロッキングの発生量並びに発泡成形
品における発泡粒子相互の融着性をそれぞれ調べた。そ
の結果は、以下の表3に示される。
【0021】 表3中、ブロッキングの発生量(%)および融着率
(%)は、表2において説明した意義と同一の意義を有
する。
【0022】表3より、次のことがわかる。 1)ポリエチレンワックスAの添加量が0.05ないし
2.0重量%の範囲内である実施例2および実施例3の
発泡性スチレン系樹脂粒子にあっては、ともに、予備発
泡においてブロッキングの発生が殆ど無く、また、発泡
成形品においても、優れた融着性が得られる。 2) ポリエチレンワックスAの添加量が0.05重量%
未満である比較例5の発泡性スチレン系樹脂粒子にあっ
ては、予備発泡において、ブロッキングの発生がより頻
繁になり、かつ、得られる発泡成形品においても、融着
性の低下が見られる。 3) ポリエチレンワックスAの添加量が2.0重量%を
越える比較例6の発泡性スチレン系樹脂粒子にあって
は、予備発泡においてブロッキングの発生がより減少す
るものの、発泡成形品において、融着性の低下が著しく
顕著になる。
【0023】実施例4および比較例7ないし9 −発泡性スチレン系樹脂粒子の製造− ファドラー型攪拌機を備えた内容量5Lのオートクレー
ブ中に、イオン交換水1800g、懸濁安定剤としてリ
ン酸三石灰5.4gおよびドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム0.05gを投入し、混合攪拌した。次い
で、オートクレーブ内の系に、スチレンモノマー180
0g、重合開始剤として過酸化ベンゾイル5.4g、第
三ブチルパーオキシベンゾエ−ト1.8gおよび上記の
表1に示されるポリエチレンワックス試料AないしDの
中の一種3.6gをそれぞれ、作られる発泡性スチレン
系樹脂粒子100重量部に基づいて0.2重量部添加
し、さらに、攪拌を続行しながら、オートクレーブ内の
懸濁系を90℃まで昇温し、そしてその温度にて5時間
保持して、スチレンの重合を進行させることにより、重
合体のスチレン系樹脂粒子を生成した。そして、重合の
終了の後、攪拌を継続しながら、発泡剤のn−ペンタン
126gをオートクレーブ内に圧入した。次いで、オー
トクレーブ内の懸濁系を120℃に昇温し、その状態を
3時間保持することにより、発泡剤をスチレン系樹脂粒
子に含浸させた。この処理の後、重合反応系(懸濁系)
を室温にまで冷却し、生成した発泡性スチレン系樹脂粒
子をオートクレーブより取り出し、次いで、得られた発
泡性スチレン系樹脂粒子を酸洗浄し、その表面に残存す
るリン酸三石灰を取り除いた。その後、発泡性スチレン
系樹脂粒子を、遠心分離機を用いて遠心分離により脱水
し、次いでドライヤーを用いて乾燥することにより、そ
の樹脂粒子の表面における付着水を取り除いた。その
後、篩分けにより、粒径1.0〜1.2mmの発泡性ス
チレン系樹脂粒子を分別して得た。 −予備発泡および発泡成形− 得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を、室温にて3日間
熟成した後、101℃の水蒸気を用いて、嵩発泡倍率5
0倍にまで予備発泡を行ない、そして、この予備発泡の
過程におけるブロッキングの発生量を測定した。各々の
予備発泡粒子についての測定の結果は、以下の表4にそ
れぞれ示される。その後、得られた予備発泡粒子を、室
温にて24時間熟成した後、自動成形機の成形型内に投
入し、圧力(ゲージ圧)68.6kPa にて8秒間加
熱する条件で発泡成形を行ない、続いて成形型を5秒間
水冷しそして放冷した後に、成形型より取り出して、樹
脂発泡成形品を作成した。その後、得られた各々の発泡
成形品について、破断面における発泡粒子相互の融着性
をそれぞれ調べた。その結果は、以下の表4にそれぞれ
示される。
【0024】比較例10 ポリエチレンワックス試料Aを懸濁重合系に添加しなか
った点を除いて、実施例4の条件と同じ条件にて、実施
例4における手順と同じ手順を行ない、粒径1.0〜
1.2mmの発泡性スチレン系樹脂粒子を作った。そし
て、得られた発泡性スチレン系樹脂粒子に、ポリエチレ
ンワックス試料Aを、ブレンダを用いて該樹脂粒子10
0重量部に基づいて0.2重量部ドライブレンドし、発
泡性スチレン系樹脂粒子の表面に被覆した。その後、ド
ライブレンドされた発泡性スチレン系樹脂粒子を使用
し、実施例4と同じ条件および手順にて、予備発泡およ
び発泡成形を行ない、そして、予備発泡におけるブロッ
キングの発生量並びに発泡成形品における発泡粒子相互
の融着性をそれぞれ調べた。その結果は、以下の表4に
示される。
【0025】実施例5、実施例6、比較例11および比
較例12 ポリエチレンワックス試料Aの添加量を、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子100重量部に基づいて、0.10重量部
(実施例5)、0.4重量部(実施例6)、0.005
重量部(比較例11)および3.0重量部(比較例1
2)にそれぞれ変更した点を除いて、実施例4の条件と
同じ条件にて、実施例4における手順と同じ手順を行な
い、粒径1.0〜1.2mmの発泡性スチレン系樹脂粒
子をそれぞれ作った。そして、得られた各例の発泡性ス
チレン系樹脂粒子を使用し、実施例4と同じ条件および
手順にて、予備発泡および発泡成形を行ない、そして、
予備発泡におけるブロッキングの発生量並びに発泡成形
品における発泡粒子相互の融着性をそれぞれ調べた。そ
の結果は、以下の表4に示される。
【0026】 なお、表4中、ブロッキングの発生量(%)および融着
率(%)は、表2において説明した意義と同一の意義を
有する。
【0027】表4より、次のことがわかる。 1)複素弾性係数の値が減少する温度域での勾配が急なポ
リエチレンワックスAを懸濁重合時に添加した実施例4
の発泡性スチレン系樹脂粒子にあっては、予備発泡にお
いてブロッキングの発生が殆ど無く、また、得られる発
泡成形品においても、大変優れた融着性が得られる。 2)複素弾性係数の値が減少する温度域での勾配が緩やか
なポリエチレンワックスBを添加した比較例7の発泡性
スチレン系樹脂粒子にあっては、予備発泡においてブロ
ッキングの発生が相当に見られ、また、発泡成形品にお
いても、融着性がかなり劣ったものが得られる。 3)複素弾性係数の値が減少する温度域が115℃を越え
ているポリエチレンワックスCを添加した比較例8の発
泡性スチレン系樹脂粒子にあっては、予備発泡において
ブロッキングの発生が殆ど見られなかったものの、発泡
成形品において、融着性が著しく悪いものが得られる。 4)複素弾性係数の値が減少する温度域が100℃未満で
あるポリエチレンワックスDを添加した比較例9の発泡
性スチレン系樹脂粒子にあっては、発泡成形品において
融着性が良好であったものの、予備発泡においてブロッ
キングの発生が頻繁に見られる。 5)ポリエチレンワックスAをドライブレンドにより発泡
性スチレン系樹脂粒子の表面に被覆した比較例10の発
泡性スチレン系樹脂粒子にあっては、予備発泡において
ブロッキングの発生が少ないものの、発泡成形品におい
ては、発泡粒子の融着性が低下し、大変粗悪な製品が得
られる。 6)ポリエチレンワックスAの添加量が0.05ないし
2.0重量%の範囲内である実施例5および実施例6の
発泡性スチレン系樹脂粒子にあっては、ともに、予備発
泡においてブロッキングの発生が殆ど無く、また、発泡
成形品においても、優れた融着性が得られる。 7) ポリエチレンワックスAの添加量が0.05重量%
未満である比較例11の発泡性スチレン系樹脂粒子にあ
っては、予備発泡においてブロッキングの発生がより頻
繁になり、かつ、得られる発泡成形品においても、融着
性の低下が見られる。 8) ポリエチレンワックスAの添加量が2.0重量%を
越える比較例12の発泡性スチレン系樹脂粒子にあって
は、予備発泡においてブロッキングの発生がより減少す
るものの、発泡成形品において、融着性の低下が著しく
顕著になる。
【0028】
【発明の効果】以上の説明よりわかるように、本発明に
よれば、予備発泡の段階においてブロッキングの発生を
防止することができ、かつ、得られる発泡成形品におい
て良好な融着性を示すことができるところの発泡性スチ
レン系樹脂粒子が得られる。また、本発明によれば、ブ
ロッキング防止剤および融着促進剤のブレンド添加とい
う工程を経ずに、ブロッキング防止および融着性改良の
両面で良好な性能を有する発泡性スチレン系樹脂粒子を
作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリエチレンワックス試料Aについて、動的粘
弾性試験における温度(℃)と複素弾性係数との関係を
示すグラフである。
【図2】ポリエチレンワックス試料Bについて、動的粘
弾性試験における温度(℃)と複素弾性係数との関係を
示すグラフである。
【図3】ポリエチレンワックス試料Cについて、動的粘
弾性試験における温度(℃)と複素弾性係数との関係を
示すグラフである。
【図4】ポリエチレンワックス試料Dについて、動的粘
弾性試験における温度(℃)と複素弾性係数との関係を
示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系樹脂粒子に、ブロッキング防止
    剤兼用融着促進剤および発泡剤を含有してなる発泡性ス
    チレン系樹脂粒子において、該ブロッキング防止剤兼用
    融着促進剤は、動的粘弾性試験における複素弾性係数の
    値が100℃ないし115℃の間において勾配−3×1
    7ないし−5×106の範囲にて減少するところのポリ
    エチレンワックスよりなり、かつ、前記ブロッキング防
    止剤兼用融着促進剤は、発泡性スチレン系樹脂粒子の総
    重量に基づいて0.05ないし2.0重量%添加されて
    いることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. 【請求項2】スチレン系樹脂の押出し成形により作られ
    たペレット形態のスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸さ
    せることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する
    方法において、動的粘弾性試験における複素弾性係数の
    値が100℃ないし115℃の間において勾配−3×1
    7ないし−5×106の範囲にて減少するところのポリ
    エチレンワックスよりなるブロッキング防止剤兼用融着
    促進剤を、前記押出し成形の際、得られる発泡性スチレ
    ン系樹脂粒子の総重量に基づいて0.05ないし2.0
    重量%前記スチレン系樹脂に添加することを特徴とする
    発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】押出し成形によりスチレン系樹脂粒子を作
    る過程において、押出し成形機の内部でスチレン系樹脂
    が溶融混練されている系内に、発泡剤を添加し、含浸せ
    しめることにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造す
    る方法において、動的粘弾性試験における複素弾性係数
    の値が100℃ないし115℃の間において勾配−3×
    107ないし−5×106の範囲にて減少するところのポ
    リエチレンワックスよりなるブロッキング防止剤兼用融
    着促進剤を、前記押出し成形の際、得られる発泡性スチ
    レン系樹脂粒子の総重量に基づいて0.05ないし2.
    0重量%前記スチレン系樹脂に添加することを特徴とす
    る発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
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