JP2001163824A - 反応生成液からのアルデヒドの回収法 - Google Patents

反応生成液からのアルデヒドの回収法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルデヒドを反応生成液から効率的に回収す
る方法を提供する。 【解決手段】 アルデヒド、ロジウム化合物及び有
機リン化合物からなる触媒成分、及び炭化水素溶媒を
含むヒドロホルミル化反応生成液と炭素数2〜6の多価
アルコールからなる抽出溶媒とを酸素濃度1000pp
m以下の雰囲気で混合した後、得られた混合物を炭化水
素溶媒層と抽出溶媒層に2層分離し、抽出溶媒層より該
アルデヒドを単離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭化水素溶媒の存在
におけるロジウム−有機リン系触媒によるオレフィン誘
導体のヒドロホルミル化によって生成した高沸点アルデ
ヒドの回収法に関する。より詳細には液状生成物抜出し
方式のヒドロホルミル化プロセスから得られた、ロジウ
ム触媒、有機リン化合物、アルデヒド及び炭化水素溶媒
を含んだ反応生成液から、該高沸点アルデヒドを回収す
る方法に関する。ヒドロホルミル化反応は、炭素−炭素
二重結合に水素と一酸化炭素を各々1モル付加させるこ
とによって、オレフィンをそれよりも炭素数が一つ多い
アルデヒド生成物へ転化する方法として知られている。
有機基質が炭素−炭素二重結合を二つ以上含有すると、
その基質に2個以上のホルミル基が付加し、生成物分子
に含まれる炭素数を2個以上増加させることができる。
また、オレフィンが炭化水素のみで形成されている場合
に限らずカルボキシル基やアルデヒド基、ヒドロキシル
基などをもともと分子内に持っている場合や、炭化水素
のみで形成されている場合でも炭素数が6以上の場合、
その生成したアルデヒドの分子量および沸点は共に著し
く増加する。そこで、高沸点アルデヒドを簡便なるプロ
セスで回収できる工業的技術の確立が望まれる。
【0002】
【従来の技術】工業的なヒドロホルミル化反応によるア
ルデヒドの製造法がロジウム−有機リン化合物系触媒を
用いて、エチレンやプロピレンのような低級オレフィン
において実施されている。これらの製造方法では、アル
デヒドと触媒成分との混合物からアルデヒドを分離する
方法として蒸留法が採用されている。ロジウム−有機リ
ン化合物からなる触媒は熱安定性に乏しく、これらの低
沸点アルデヒドは、反応器中に含まれる高沸点反応混合
物からアルデヒド生成物を蒸気として留出するため未反
応ガスを使用するガスストリッピング式反応器により回
収できる。この方法は比較的低沸点のアルデヒドについ
ては、蒸気圧がヒドロホルミル化プロセスの操作温度で
は比較的高いのでうまくいく。アルデヒドの沸点が上昇
すると、等量の生成物を取り出すためにストリッピング
ガス流量を増加させなければならず、しだいに非現実的
となる。別の生成物分離法は触媒系を含有する高沸点残
留物から高沸点生成物を高温減圧蒸留によって触媒から
分離する方法である。しかし、触媒系が熱安定性に乏し
いため、高価な金属ロジウムがプロセス装置表面に沈着
してヒドロホルミル化プロセスから損失してしまう問題
を有している。
【0003】蒸留法に変わり得る高沸点アルデヒドの回
収法としては、抽出分離法、膜分離法、触媒固定化法が
提案されている(一般的総説として J.of Mol.Cat.A.,1
04(1995)P17-85; J.of Mol.Cat.A.,116(1997)39-42; 触
媒学会誌 vol.39,No5(1997)P341-346)。
【0004】抽出分離法として、水溶性のトリスルホン
化トリフェニルホスフィンナトリウム塩を配位子とする
ロジウム触媒により、有機−水二層系でのプロピレンの
ヒドロホルミル化プロセスが実用化されている。反応後
の層分離で生じる触媒を含む水層は循環使用されてい
る。この有機−水二層系でのヒドロホルミル化プロセス
は混合ブテンには適用可能と言われているが、さらに炭
素数の多いオレフィン原料では水層への溶解度が乏しく
なるため、反応速度が低下して実用的プロセスとしては
成り立たない。
【0005】特表公6−501958号公報には、オレ
フィンのロジウム触媒を用いるヒドロホルミル化反応に
よって製造された高沸点アルデヒドを回収するための、
第一アルカノールおよび水を含んでなる抽出溶媒を用い
る方法が提案されている。この方法を本研究者らが検討
したところ、各種高沸点アルデヒドの抽出溶媒への分配
係数が低く、その分離効率も悪かった。ロジウムの回収
率を上げるためにはカルボン酸のナトリウム塩を多量に
添加する必要があり、生成系から高沸点アルデヒドを回
収しようとするとカルボン酸のナトリウム塩が固体とし
て析出するなど系が複雑になる。アルデヒドはカルボン
酸のナトリウム塩の影響で熱履歴によりアルドール縮合
反応を起こし、高沸点アルデヒドの収率を著しく低下さ
せる。また、有機リン化合物の回収率は満足いくもので
はなかった。抽出溶媒としてメタノールなどの第一アル
カノールを使用するため、抽出された高沸点アルデヒド
はアセタールを生成し収率も低下し好ましい方法ではな
かった。
【0006】膜分離法で触媒成分と高沸点アルデヒドと
してジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化生成物を
分離する方法が特開平2-231435号公報、特開平10-59890
号公報、特開平10-72395号公報に開示されている。ロジ
ウム錯塩化合物と配位子として高分子量のスルホン化ト
リフェニルホスフィンの4級アンモニウム塩を用い、芳
香族ポリアミド膜により二段階膜分離を実施している。
しかし、この方法では高価な配位子を用いなければなら
ない点、膜の耐久性などに問題があり工業化されていな
い。また、特許記載の触媒系では高いヒドロホルミル化
収率を得るには27MPa という高い反応圧を必要としてい
る。
【0007】触媒固定化法として米国特許第4,144,191
号および第4,262,147 号にはポリマーのアミン基に結合
しているロジウム触媒を使用しているが、樹脂担体から
反応系にロジウムが溶出することを防ぐことはできな
い。
【0008】本研究者らは、内部オレフィンであるジシ
クロペンタジエンおよびトリシクロペンタジエンから対
応するジアルデヒドであるトリシクロデカンジカルバル
デヒドおよびペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒ
を製造する方法を検討し〔式(I)および式(II)とし
て以下に示す〕、反応生成液に多価アルコールからなる
抽出溶媒を添加、混合して炭化水素層と抽出溶媒層に分
離して、目的物を抽出溶媒層より得る方法を見いだし特
願平11-188687 号公報として提案している。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】 しかし、この出願では内部オレフィンであるジシクロペ
ンタジエンおよびトリシクロペンタジエンからの対応す
るジアルデヒドの製造のみを検討したものであり、外部
オフィンやカルボン酸基やアルデヒド基、ヒドロキシル
基などをもともと分子内に持っているオレフィン誘導
体、炭素数が6以上のオレフィン誘導体、分子内に炭素
−炭素二重結合を多数個持っているオレフィン誘導体へ
の応用は実施しておらず、その適用が可能か否か不明で
あった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、蒸留
法で必要とされる高温をかけることなく、アルデヒドを
分離する手段を確立することにある。このような分離法
は、触媒成分を各種アルデヒド生成物から効率的に分離
してヒドロホルミル化反応器に戻す操作に適用可能でな
ければならない。また、この分離法は例えばアルデヒド
をアルコール、カルボン酸、アミン誘導体へ転化するプ
ロセスにおいて適した形態の高沸点アルデヒド生成物を
提供しなければならない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、アルデヒド、ロジウ
ム化合物及び有機リン化合物からなる触媒成分及び炭
化水素溶媒を含むヒドロホルミル化反応生成液と炭素数
2〜6の多価アルコールからなる抽出溶媒とを酸素濃度
1000ppm以下の雰囲気で混合した後、得られた混
合物を炭化水素溶媒層と抽出溶媒層に2層分離し、抽出
溶媒層より該アルデヒドを単離することにより、各種ア
ルデヒドを回収することが出来るようになった。またこ
の際、抽出溶媒への触媒成分の溶出をほとんど無視でき
るレベルに低減できた。即ち、炭化水素溶媒への溶解度
が抽出溶媒への溶解度の10倍以上である有機リン化合
物を選択すると、触媒成分である有機リン化合物の溶出
をほとんど無視できるレベルに低減出来た。本発明は各
種アルデヒド、特に大気圧において130℃以上の沸点
を有する高沸点アルデヒドと触媒成分の分離法として有
効であるばかりでなく、高沸点アルデヒドがトリシクロ
デカンジカルバルデヒドおよび/またはペンタシクロペ
ンタデカンジカルバルデヒドである場合にも適用可能で
あることを見いだした。
【0013】本発明に用いられるヒドロホルミル化生成
液は多くのヒドロホルミル化プロセスからの生成液に適
用可能である。本発明により回収または分離されるアル
デヒドはアルデヒド基を1個、2個、3個またはそれ以
上含有する、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合
物または複素環式化合物である。このアルデヒドは好ま
しくは炭素数6以上であり、且つ1気圧において130
℃の沸点を有するアルデヒドである。また、原料となる
オレフィンは内部オレフィン、外部オレフィンどちらで
もよく、分子内に両者を含有していてもよい。
【0014】原料となるオレフィンとしては以下の化合
物が挙げられる。脂肪族モノアルデヒドの原料である脂
肪族モノオレフィンとして、1−ブテン、2−ブテンな
どの各異性体および混合ブテン、ヘキセン、オクテン、
デセン、ドデセンの各異性体とその混合物、および各種
α−オレフィン、ビニルシクロヘキサン類などが挙げら
れる。脂肪族ジアルデヒドの原料である脂肪族ジオレフ
ィンとして、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエ
ン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,
11−ドデカジエン、ジビニルシクロヘキセンなどが挙
げられる。脂環式アルデヒドの原料である脂環式オレフ
ィンとして、シクロヘキセン、1,5−シクロオクタジ
エン、シクロデカトリエン、シクロペンタジエン、ジシ
クロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボル
ネン、ノルボルナジエン、ビニルシクロヘキセン、テル
ペン類などが挙げられる。芳香族骨格および複素環を有
するオレフィンとしてはスチレン類、ジビニルベンゼン
類、ビニルピリジン類が挙げられる。脂肪族アルケナー
ルとしては3−ブテン−1−アール、5−ヘキセン−1
−ア−ル、7−オクテン−1−ア−ル、9−デケン−1
−ア−ル、11−ドデケン−1−アールなどが挙げられ
る。脂環式アルケナールとしては3−(3−ビニルシク
ロヘキシル)プロピオンアルデヒド、3−(4−ビニル
シクロヘキシル)プロピオンアルデヒド、トリシクロデ
センアルデヒドなどが挙げられる。芳香族骨格を有する
アルケナールとしては(3−ビニルフェニル)アセトア
ルデヒド、(4−ビニルフェニル)アセトアルデヒド、
3−ビニルベンズアルデヒド、4−ビニルベンズアルデ
ヒドなどが挙げられる。
【0015】また、原料オレフィンに各種置換基が存在
していてもよく、そのような置換基としてはヒドロキシ
ル基、エーテルおよびアセタールを含むアルコキシ基、
アセトキシのようなアルカノイルオキシ基、アミノ基、
カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキサ
ミド基、ケト基、シアノ基、ハロゲン基などが含まれて
いてもよい。
【0016】本発明におけるアルデヒド合成用の金属錯
体触媒としては、反応条件下においてヒドロホルミル化
触媒能を有する任意のコバルト化合物、またはその他の
ロジウム化合物を用いることができるが、比較的温和な
条件で反応を進行することができるロジウム−有機リン
化合物を用いることが好ましい。本発明で使用されるロ
ジウム化合物は有機リン化合物と錯体を形成し水素と一
酸化炭素存在下でヒドロホルミル化活性を示す物であれ
ばその前駆体の形態によらない。すなわち、Rh(acac)(C
O)2, Rh2O3, Rh4(CO)12, Rh6(CO)16, Rh(NO3)3などの触
媒前駆体物質を有機リン化合物と一緒に反応混合物中に
導入し反応容器内で触媒活性を持つロジウム金属ヒドリ
ドカルボニルリン錯体を形成させてもよいし、あらかじ
めロジウム金属ヒドリドカルボニルリン触媒を調製して
それを反応容器内に導入してもよい。本発明の好ましい
具体例では、Rh(acac)(CO)2 をロジウム前駆体物質とし
て使用して溶媒の存在下に有機リン化合物と反応させた
後、過剰の遊離有機リン化合物と一緒に反応器に導入
し、触媒活性を持つロジウム−有機リン錯体触媒とする
ことができる。いずれにしても、本発明の目的に対して
は、ヒドロホルミル化反応で使用される一酸化炭素およ
び水素の存在する条件下で活性ロジウム−有機リン触媒
が反応混合物中に存在すれば充分である。
【0017】本発明において、ロジウム化合物とヒドロ
ホルミル化反応の触媒を形成する有機リン化合物として
はホスフィンおよびホスファイトである。ホスフィンと
しては第1、第2および第3ホスフィンである。アリー
ル置換アルキルを含むアルキル基、シクロヘキシルのよ
うなシクロアルキル基、並びにフェニルおよび1個以上
のアルキル基で置換されたフェニルのようなアリール基
を置換基として持つ第3ホスフィンが好適に使用され
る。第3ホスフィンにはトリアルキルホスフィン配位
子:例えばトリ−n−ブチルホスフィン、トリシクロヘ
キシルホスフィン、ジシクロヘキシル−n−オクチルホ
スフィン:トリアリールホスフィン例えばトリフェニル
ホスフィン、トリ−O−トリルホスフィン、トリナフチ
ルホスフィン、:混合アリール−アルキルホスフィン化
合物、例えばジシクロヘキシルフェニルホスフィン、シ
クロヘキシルジフェニルホスフィン、ジフェニル−n−
ヘキシルホスフィンが含まれる。キレート性二座ホスフ
ィン、例えばα,α’−ビス(ジフェニルホスフィノ)
−O−キシレン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィ
ノメチル)−1,1’−ビフェニル、トランス−1,2
−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)シクロブテン、
1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、および
1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなどの適
用も可能である。また、不整配位子として広く用いられ
ている、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−
1,1‘−ビナフチル(BINAP) およびその誘導体の適用
も可能である。
【0018】ホスファイトとしては置換基で置換された
ものが好ましい。好適な置換基としてはメチル基、エチ
ル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基等のア
ルキル基;メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブ
チル基、t-ブチル基、メトキシ基などで置換されていて
もよいフェニル基およびナフチル基などのアリール基;
メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-
ブチル基などの脂肪族アルキル基;メチル基、エチル
基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基などの低
級アルキル基で置換されていてもよいシクロペンチル
基、シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基等が挙げ
られる。好適なホスファイトの具体例としては、トリフ
ェニルホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(3−メトキシ−6
−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2−t
−ブチルフェニル)t−ブチルホスファイトなどが挙げ
られるが、これらのホスファイトのみに限定されるもの
ではない。また、これらのホスファイトは単独で使用し
てもよいし、2種以上を組合わせて使用しても良い。上
記トリオルガノホスファイト以外に、特表昭61−50
1268や特開平8−165266、特開平8−337
550、特開平10−45776、特開平10−130
190記載の各種ビスホスファイトが使用できる。不斉
炭素を持つホスファイト配位子も適用可能である。
【0019】本発明で用いられる有機リン化合物の使用
量は、ヒドロホルミル化反応溶液中において有機リン化
合物がロジウム金属に対し1〜400モル倍の範囲、好
ましくは3〜200モル倍の範囲で存在すれば、満足で
きるヒドロホルミル化反応速度でアルデヒドを得ること
が出来る。
【0020】本発明に従うヒドロホルミル化反応は溶媒
を用いずに実施することも可能であるが、反応に不活性
な炭化水素溶媒を用いるとより好適に実施できる。ヒド
ロホルミル化反応終了後、アルデヒドを含有する反応生
成液を抽出溶剤である炭素数2〜6の多価アルコールと
混合し、触媒成分を炭化水素溶媒に、アルデヒド成分を
抽出溶剤に抽出した後、2層分離を行う。そのため炭化
水素溶媒は炭素数2〜6の多価アルコールと層分離する
ものが好ましい。この様な炭化水素溶媒としては芳香族
炭化水素化合物、脂肪族炭化水素化合物、脂環式炭化水
素化合物が挙げられる。
【0021】芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン
およびトルエン、キシレン、メシチレン、プソイドクメ
ンなどのメチルベンゼン類、エチルベンゼン、ジエチル
ベンゼン、トリエチルベンゼンなどのエチルベンゼン
類、イソプロピルベンゼン、1,3−ジイソプロピルベ
ンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼンなどのプロピ
ルベンゼン類、またこれら以外の各種アルキルベンゼン
類が好適に使用できる。脂肪族炭化水素化合物として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオ
クタン、ドデカン、デカン等が好適に使用でき、標準温
度および圧力で液体であればこれらに限定されない。脂
環式炭化水素化合物としてはシクロヘキサン、シクロオ
クタン、シクロドデカン、デカリン、メチルシクロヘキ
サンなどが好適に使用される。一般に極性官能基を有す
る溶媒、例えばケトン類やエステル類、または炭素と水
素以外の原子を有する溶媒は好ましくないが、これは、
このような溶媒が、満足できる分配特性を示さず、かつ
/また触媒系に悪影響を及ぼすためである。
【0022】本発明において好適なロジウム触媒の量と
しては、原料のオレフィンに対して、ロジウム金属とし
て1〜5000ppmであり、より好ましくは5〜20
00ppmである。ロジウムを10ppm以上で使う場
合においては、触媒の再使用が必ず必要になってくる。
ヒドロホルミル化反応を実施するための温度および圧力
に関する条件は、40〜160℃、好ましくは70〜1
40℃の反応温度、および10〜150気圧の反応圧力
である。温度が40℃より低い場合はヒドロホルミル化
の反応が遅く、160℃より高い場合は反応溶液中にお
けるオレフィンやヒドロホルミル化反応生成物からの副
反応が進行し反応成績が悪化する。また、圧力が10気
圧より低い場合はヒドロホルミル化の反応が遅く、15
0気圧より高い場合は高圧の反応装置を使用するため装
置費用が高くなってしまう。反応に用いられる水素/一
酸化炭素混合ガスにおける一酸化炭素に対する水素のモ
ル比は導入ガス組成として0.2〜5.0の範囲から選
ぶことができる。水素/一酸化炭素混合ガスがこの範囲
を外れるとヒドロホルミル化反応の反応活性あるいはア
ルデヒド選択率が低下する。
【0023】一般にヒドロホルミル化反応生成液から
は、例えば、蒸留、薄膜蒸発、水蒸気蒸留などの方法に
より生成物を触媒成分と分離するが、本発明のように大
気圧において少なくとも130゛℃以上の沸点を有するアル
デヒドが生成物の場合、また使用する触媒量、触媒成分
から蒸留による熱的手法の分離法適用が不可能な場合、
経済的に触媒をそのまま破棄することもできない。そこ
で、熱を懸けずに生成物と触媒成分を効率よく分離する
方法が必要である。
【0024】本発明の方法は、ヒドロホルミル化反応終
了後、生成液をそのまま、または、反応で使用した炭化
水素溶媒もしくは他の炭化水素溶媒で希釈した後、抽出
溶剤と混合し、触媒成分を炭化水素溶媒に、アルデヒド
成分を抽出溶剤に抽出し、層分離を行う。抽出溶剤であ
る炭素数2〜6のジオールとしてはエチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール,1,2−プロパンジオ
ール,1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキ
サンジオールが好適に使用される。また、多価アルコー
ルとしてグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチ
ロールプロパンなどの使用も可能である。この中で、エ
チレングリコールやプロパンジオール類、ブタンジオー
ル類が比較的沸点が低く、価格も安く、液体として取扱
もしやすいので好適に使用される。また、これらの抽出
溶媒は単独で使用しても良いし混合物で使用しても良
い。これら炭素数2〜6の多価アルコールに水を共存さ
せて使用しても何等ら問題はなく、水の添加によりアル
デヒドや触媒成分の各層への分配が向上する場合もあ
る。
【0025】ヒドロホルミル化反応に使用される炭化水
素溶媒と抽出溶媒は満足な層分離を実現するため密度に
差があるほうが好ましい。炭化水素溶媒と抽出溶媒の組
合わせで好適な一例としては、メチルシクロヘキサンと
エチレングリコールがある。これに限定されず種々の組
合わせからその触媒系や生成物アルデヒドに合せて選ば
れるものである。
【0026】炭化水素溶媒と抽出溶媒との間のアルデヒ
ド生成物の分配は平衡である。また、触媒成分であるロ
ジウムと有機リン化合物も各溶媒に平衡分配される。特
に配位子として用いた有機リン化合物はその種類により
平衡分配率が変化し、それに伴いロジウムの分配率も変
化する。そこで、有機リン化合物は炭化水素溶媒への溶
解度が大きく、抽出溶媒への溶解度が小さいものを選ぶ
必要がある。炭化水素溶媒への溶解度が抽出溶媒への溶
解度の10倍以上である有機リン化合物を選ぶと、炭化
水素溶媒への分配係数は10以上の値が得られ、有機リ
ン化合物の溶出を充分に抑えることが出来る。更に炭化
水素溶媒への溶解度が抽出溶媒への溶解度の100倍以
上である有機リン化合物を選ぶと、炭化水素溶媒への分
配係数は100以上となり抽出溶媒への有機リン化合物
の溶出を1%以下に容易に低減出来る。例えば、メチル
シクロヘキサンのような炭化水素溶媒に高い溶解度を示
すトリフェニルホスフィンやトリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイトは、抽出溶媒としてエチ
レングリコールを用いると、エチレングリコールには溶
解しないため抽出溶媒への有機リン化合物の溶出は認め
られない。また、触媒成分であるロジウムと有機リン化
合物の抽出溶媒層への抽出をなるべく少なくするために
金属塩を加えてもなんら問題はなく、また層分離を促進
させるため塩析剤を添加してもなんら問題はない。
【0027】抽出溶媒と反応生成液との体積比率は、抽
出溶剤へのアルデヒドの溶解度、抽出すべきアルデヒド
の量によって決まる。例えば、分離すべきアルデヒド
が、抽出溶媒中で高い溶解度を示し、反応生成液中に低
濃度で存在する場合には、反応生成液に対する抽出溶媒
の体積比率が低くてもアルデヒドの実用的抽出が可能で
ある。反応生成液中のアルデヒドの濃度が高いほど、ア
ルデヒドを抽出するために使用する反応生成液に対する
抽出溶媒の体積比率は高くなる。アルデヒドが抽出溶媒
中で比較的低い溶解度を示す場合は、反応生成液に対す
る抽出溶媒の体積比率は10〜0.1の範囲で変動し得
る。また、少ない抽出溶媒使用量でアルデヒドの取得量
を多くするため、抽出溶媒を分け、数回の抽出操作を行
うことが有効である。
【0028】抽出操作を行う温度は特に制限はないが、
ヒドロホルミル化反応温度より高い温度で実施してもな
んの利点もなく、ヒドロホルミル化反応温度以下で実施
するのが実際的である。反応器に反応後、抽出溶媒を添
加し抽出操作を実施してもよいし、反応器からヒドロホ
ルミル化生成液を抜出し、抽出槽で操作を実施してもよ
い。反応器に直接抽出溶媒を添加し抽出操作を実施し、
触媒成分を反応器にそのまま保持して次のヒドロホルミ
ル化を実施することもできる。ヒドロホルミル化生成液
を抜出し、抽出槽で操作を実施する場合は、触媒を含有
する炭化水素溶媒層は反応器に戻され、再度反応に使用
される。また、本プロセスは、バッチプロセスでも連続
プロセスでも実施可能である。
【0029】本抽出操作は酸素濃度1000ppm 以下の雰囲
気で実施する必要がある。即ち、抽出系内の気相中の酸
素が1000ppm 以上になると、有機リン化合物であるホス
フィン類やホスファイト類が酸化されオキサイドとなり
触媒活性が低下する。このことは公知であるが、本発明
者らは新たに酸素の共存が抽出溶媒層へのロジウムの溶
出に大きく影響を与えることを見いだした。酸素共存下
で抽出操作を実施すると、抽出溶媒層へのロジウムの溶
出が無視できないほどの多さとなり、触媒のリサイクル
が不可能になってくる。この原因は、酸素共存下の抽出
操作で有機リン化合物は抽出溶媒層への溶出量に変化の
ないことから、生成物であるアルデヒドが酸化されカル
ボン酸となり、ロジウムのカルボン酸塩を生成し、抽出
溶媒層に溶出するためと考えられる。このような現象
は、ヒドロホルミル化反応生成液と炭素数2〜6の多価
アルコールからなる抽出溶媒を接触させる本発明の抽出
分離法において、はじめて起こった現象であり、今まで
種々提案されてきた溶媒抽出法による触媒成分とアルデ
ヒドの分離法においては認められなかった。本研究者ら
がはじめて見いだしたものであり、これまでこのような
指摘はなかった。
【0030】抽出系内の気相中酸素濃度は1000ppm 以
下、可能な限り100ppm以下の低濃度にすることにより抽
出溶媒層へのロジウムの溶出量は低減する。酸素濃度10
00ppm以下の雰囲気を作る方法としては、抽出工程の雰
囲気をヒドロホルミル化を実施した一酸化炭素、水素
で、または窒素、ヘリウム、アルゴンのような不活性ガ
スでガス置換を行い実施するのが実際的である。抽出に
使用する多価アルコールには酸素が溶存しているので、
脱気操作を行い酸素濃度を低減するとより効果がある。
脱気方法としては減圧下で蒸留したり、窒素や一酸化炭
素、水素ガスを溶液に吹き込むことで溶存酸素濃度を低
下させることができる。当然炭化水素溶媒についても同
様な処理を行うことが好ましい。
【0031】抽出溶媒として多価アルコールを用いる
と、ヒドロホルミル化生成物のアルデヒドがアセタール
化し高沸点生成物に成る場合がある。アセタールの生成
はアルデヒドの収率を低下させるだけでなく、対応する
水素化生成物であるアルコールを得ようとする場合、水
素化還元速度が著しく低下し、生産性が低くなる。さら
に、アセタール体の沸点と対応するアルコールの沸点差
が少ないため蒸留分離が困難であるという問題がある。
多価アルコールに第3級アミンを添加するとこのアセタ
ールの生成を防ぐことができる。
【0032】アセタール生成防止のための第3級アミン
化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルア
ミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの脂肪
族第3級アミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジエチルアニリン、トリフェニルアミンなどの芳香族第
3級アミンおよびピリジン、キノリンなどのヘテロ環式
第3級アミン化合物が挙げられる。これらの内、炭化水
素溶媒に溶解度が低く、多価アルコールへの溶解度の高
いトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミ
ン、N,N−ジメチルエタノールアミンが本発明の溶媒
抽出による触媒成分とアルデヒドを分離する方法の使用
に最適である。ジオールとしてエチレングリコール、プ
ロパンジオール類、ブタンジオール類を用いて抽出操作
を行い、引続き蒸留を行いアルデヒドを取得する場合に
は、これらジオール類より沸点の高いトリエタノールア
ミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミンの使用が特に好ましい。これら第3
級アミンは単独でも2種以上の混合物での使用も可能で
あり、また、使用量もアセタールの生成を防げる量であ
れば特に制限はない。
【0033】第3アミンの添加は、ヒドロホルミル化反
応生成液からの触媒成分とアルデヒド類の分離を行う抽
出工程から実施してもよいし、抽出操作終了後に実施し
てもよい。抽出操作から添加する場合は、多価アルコー
ルと層溶解性の良好なトリエタノールアミン、N−メチ
ルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールア
ミンが好適であり、抽出操作終了後に添加する場合はト
リメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチル
アミン、トリ−n−オクチルアミン、トリエタノールア
ミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミンなどの脂肪族第3級アミン;N,N
−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリ
フェニルアミンなどの芳香族第3級アミンまたはピリジ
ン、キノリンなどのヘテロ環式第3級アミン化合物が好
適に用いられる。
【0034】このようにして多価アルコールに抽出され
たアルデヒド類はそのまま蒸留などの公知手段によって
高沸点アルデヒド類を取得してもよいし、多価アルコー
ルの分離を行うことなく、そのまま、もしくは適当な溶
媒を加え水素化触媒と水素によりアルコールに変換する
ことも可能である。アンモニアと水素により還元アミノ
化反応により高沸点アミンに変換することも可能であ
る。以下に実施例をあげ本発明を説明するが、本発明は
これらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
【実施例】実施例1 [ジシクロペンタジエンのヒドロホルミル化]ガス導入
管およびサンプル抜き出し管を備えた内容量500mL のス
テンレス製電磁攪拌式オートクレーブに、Rh(acac)(CO)
2 0.15g(0.581mmol)、トリス−(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト 7.51g(11.64mmol) およびメ
チルシクロヘキサン 40gを仕込み、窒素ガス 0.5MPa で
2回置換し、水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混
合ガス0.5MPaで3回置換し、反応器内酸素濃度を 100pp
m 以下とした。次いでオートクレーブ内に水素/一酸化
炭素=1/1(モル比)の混合ガスを供給して内圧を
5.0MPa に維持しながら、ジシクロペンタジエン 250g、
およびメチルシクロヘキサン 10gからなる混合液を2時
間かけて連続的にオートクレーブにフィードした。この
間、オートクレーブ内の温度は 100℃に保った。ジシク
ロペンタジエンを含有する上記の混合液のフィード終了
後、 100゛℃で更に3時間攪拌し反応を継続した。
【0036】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、ジシクロペンタジエンの転化
率は100% であり、トリシクロデカンジカルバルデヒド
の収率は 98.4%であることが判った。ジシクロペンタジ
エンの二重結合の1つだけがヒドロホルミル化されたモ
ノアルデヒド体(以下、単にモノアルデヒド体と略称す
る)の収率は1.6%であった。なお、原料であるジシクロ
ペンタジエンと溶媒のメチルシクロヘキサンはヒドロホ
ルミル化反応前に蒸留を実施し、窒素下で保存しておい
たものである。
【0037】[抽出実験]ガス導入管および液導入管、
装置下部にサンプル抜き出し管、耐圧ガラス製覗き窓、
液温測定用鞘管を備え、抽出操作温度を変えられるよう
にジャケットタイプとした縦長の内容量3L 、耐圧0.5M
Paのステンレス製電磁攪拌器付き装置を用いて抽出実験
を実施した。3L 抽出装置を窒素ガス0.5MPaで2回置換
し、水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガス0.
5MPaで3回置換し、装置内酸素濃度を 100ppm 以下とし
た。窒素下で保存したエチレングリコール 1000g, N-メ
チル- ジエタノールアミン 0.70g、メチルシクロヘキサ
ン 950g を仕込んで、水素/一酸化炭素=1/1(モル
比)で0.3MPaに装置を保った。ヒドロホルミル化反応器
下部より抽出装置にパイプを通じてヒドロホルミル化反
応生成液を圧送した。この間抽出装置内は圧力を0.3MPa
に保つようにした。25℃で30分間激しく攪拌し、平衡
状態に到達させた。攪拌を停止し、混合物を30分間に
わたり2層分離させた。炭化水素溶媒を含んでなる上部
層と下部の抽出溶液層を得た。炭化水素溶媒層の重量は
1038.6gであり、トリシクロデカンジカルバルデヒド 2
8.3g、モノアルデヒド 2.62gが含まれていた。ロジウム
は原子として 0.581mmol、リンが原子として11.64mmol
含まれていた。エチレングリコール層の重量は 1332.3g
であり、トリシクロデカンジカルバルデヒド 329.3g 、
モノアルデヒド 2.29gが含まれていた。ロジウムは原子
として 0.003mmol以下、リンは原子として 0.01mmol 以
下で分析検出限界以下であり、実質的にエチレングリコ
ール層への溶出は認められなかった。
【0038】本実験における、トリシクロデカンジカル
バルデヒドとモノアルデヒドの抽出溶媒への分配率を以
下のように定めると、 抽出溶媒へのX成分の分配率=[抽出溶媒へのX成分の
重量]/[X成分の総重量] トリシクロデカンジカルバルデヒドの分配率=92.1% モノアルデヒドの分配率 =46.6% であった。本抽出プロセスの効率を、化合物[X]の分
配係数(Kp)により示すことが出来る。測定でき以下
のように定義される。 Kp=[抽出溶媒中のXの濃度]/[炭化水素溶媒中の
Xの濃度] トリシクロデカンジカルバルデヒドの分配係数 Kp=9.07 モノアルデヒドの分配係数 Kp=0.68 であった。なお、有機リン化合物として使用したトリス
−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトの
メチルシクロヘキサン(MCH) への溶解度は25℃において
32.8g/MCH-100g であった。エチレングリコールに対す
る溶解度は25℃において溶解性を全く示さず実質的にゼ
ロとみなされた。
【0039】実施例2 [トリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化]ガス導
入管およびサンプル抜き出し管を備えた内容量500mL の
ステンレス製電磁攪拌式オートクレーブに、Rh(acac)(C
O)2 0.0334g(0.129mmol)、トリス−(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト 2.50g(3.86mmol)および
メチルシクロヘキサン 40gを仕込み、窒素ガス 0.5MPa
で2回置換し、水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の
混合ガス0.5MPaで3回置換し、反応器内酸素濃度を 100
ppm 以下とした。次いでオートクレーブ内に水素/一酸
化炭素=1/1(モル比)の混合ガスを供給して内圧を
5.0Mpa に維持しながら、トリシクロペンタジエン250g
、およびメチルシクロヘキサン 60gからなる混合液を
2時間かけて連続的にオートクレーブにフィードした。
この間、オートクレーブ内の温度は 100℃に保った。ジ
シクロペンタジエンを含有する上記の混合液のフィード
終了後、100゛℃で更に3時間攪拌し反応を継続した。
【0040】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、トリシクロペンタジエンの転
化率は 100% であり、ペンタシクロペンタデカンジカル
バルデヒドの収率は 99.0%であることが判った。トリシ
クロペンタジエンの二重結合の1つだけがヒドロホルミ
ル化されたモノアルデヒド体の収率は1.0%であった。な
お、原料であるトリシクロペンタジエンと溶媒のメチル
シクロヘキサンはヒドロホルミル化反応前に蒸留を実施
し、窒素下で保存しておいたものである。
【0041】[抽出実験]ガス導入管および液導入管、
装置下部にサンプル抜き出し管、耐圧ガラス製覗き窓、
液温測定用鞘管を備え、抽出操作温度を変えられるよう
にジャケットタイプとした縦長の内容量1L 、耐圧0.5M
Paのステンレス製電磁攪拌器付き装置を用いて抽出実験
を実施した。1L抽出装置を窒素ガス 0.5MPa で2回置換
し、水素/一酸化炭素=1/1(モル比)の混合ガス0.
5MPaで3回置換し、装置内酸素濃度を 100ppm 以下とし
た。蒸留を実施し、窒素下で保存したエチレングリコー
ル 365g, N- メチル- ジエタノールアミン 0.16gを仕込
んで、水素/一酸化炭素=1/1(モル比)で0.3MPaに
装置を保った。ヒドロホルミル化反応器下部より抽出装
置にパイプを通じてヒドロホルミル化生成液を圧送し
た。この間抽出装置内は圧力を0.3MPaに保つようにし
た。25℃で30分間激しく攪拌し、平衡状態に到達させ
た。攪拌を停止し、混合物を30分間にわたり2層分離さ
せた。炭化水素溶媒を含んでなる上部層と下部の抽出溶
液層を得た。炭化水素溶媒層の重量は 109.6gであり、
ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド6.53g 、モ
ノアルデヒド 0.55gが含まれていた。ロジウムは原子と
して 0.129mmol、リンが原子として3.86mmol含まれてい
た。エチレングリコール層の重量は 488.2g であり、ペ
ンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド 122.4g 、モ
ノアルデヒド 0.60gが含まれていた。ロジウムは原子と
して 0.003mmol以下、リンは原子として0.01mmol以下で
分析検出限界以下であり、実質的にエチレングリコール
層への溶出は認められなかった。
【0042】本実験における、ペンタシクロペンタデカ
ンジカルバルデヒドとモノアルデヒドの抽出溶媒への分
配率は、 ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの分配率=94.9% モノアルデヒドの分配率 =52.2% であった。ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド
とモノアルデヒドの分配係数は ペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドの分配係数 Kp=4.21 モノアルデヒドの分配係数 Kp=0.25 であった。
【0043】実施例3 [4−ビニル−1−シクロヘキセンのヒドロホルミル
化]実施例2と同様な操作に従い、オートクレーブにRh
(acac)(CO)2 0.0334g(0.129mmol)、トリス−(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト 2.50g(3.86mmo
l)およびメチルシクロヘキサン 40gを仕込み、4−ビニ
ル−1−シクロヘキセン(以下VCH と略す)136g、およ
びメチルシクロヘキサン 60gからなる混合液を2時間か
けて連続的にオートクレーブにフィードした。この間、
オートクレーブ内の温度は 100℃に保った。4−ビニル
−1−シクロヘキセンを含有する上記の混合液のフィー
ド終了後、 100℃で更に3時間攪拌し反応を継続した。
【0044】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、4−ビニル−1−シクロヘキ
センの転化率は100%であり、VCH のモノ−ホルミル誘導
体(VCH−エナール) の収率は1.2% 、VCH のジ−ホルミ
ル誘導体(VCH−ジアール)の収率は 98.8%であった。
【0045】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。炭化水素溶
媒層には、ロジウムは原子として 0.129mmol、リンが原
子として3.86mmol含まれていた。エチレングリコール層
には、ロジウムは原子として 0.003mmol以下、リンは原
子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以下であり、実
質的にエチレングリコール層への溶出は認められなかっ
た。本実験における、抽出溶媒への分配率は、 VCH −ジアールの分配率=95.2% VCH −エナールの分配率=76.3% であった。分配係数は VCH −ジアールの分配係数 Kp=3.94 VCH −エナール Kp=0.64 であった。
【0046】実施例4 [トランス、トランス、シス−1,5,9−シクロドデ
カトリエンのヒドロホルミル化]実施例2と同様な操作
に従い、オートクレーブにRh(acac)(CO)2 0.0334g(0.12
9mmol)、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ホスファイト 2.50g(3.86mmol)およびメチルシクロヘキ
サン 40gを仕込み、トランス、トランス、シス−1,
5,9−シクロドデカトリエン200g、およびメチルシク
ロヘキサン 60gからなる混合液を2時間かけて連続的に
オートクレーブにフィードした。この間、オートクレー
ブ内の温度は100゛℃に保った。上記の混合液のフィード
終了後、100゛℃で更に3時間攪拌し反応を継続した。
【0047】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、トランス、トランス、シス−
1,5,9−シクロドデカトリエンの転化率は 100% で
あり、モノ−ホルミル−シクロドデカジエン化合物(C13
体) の収率は 0.2% 、ジ−ホルミル−シクロドデセン化
合物(C14体) の収率は1.3%、トリ−ホルミル−シクロド
デカン化合物(C15体)の収率は98.5% であった。
【0048】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。炭化水素溶
媒層には、ロジウムは原子として 0.129mmol、リンが原
子として3.86mmol含まれていた。エチレングリコール層
には、ロジウムは原子として 0.003mmol以下、リンは原
子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以下であり、実
質的にエチレングリコール層への溶出は認められなかっ
た。本実験における、抽出溶媒への分配率は、トリ−ホ
ルミル−シクロドデカン化合物(C15体) の分配率=97.4
% ジ−ホルミル−シクロドデセン化合物(C14体) の分配率
=81.2% モノ−ホルミル−シクロドデカジエン化合物(C13体) の
分配率=52.3% であった。分配係数は C15 体の分配係数 Kp=5.54 C14 体の分配係数 Kp=0.64 C13 体の分配係数 Kp=0.16 であった。
【0049】実施例5 [1,7−オクタジエンのヒドロホルミル化]実施例2
と同様な操作に従い、オートクレーブにRh(acac)(CO)2
0.084g(0.3251mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホス
フィノメチル)−1,1’−ビフェニル0.98g(1.62mmo
l) およびメチルシクロヘキサン 50gを仕込み、1,7
−オクタジエン37.4g 、およびメチルシクロヘキサン 1
00g からなる混合液を2時間かけて連続的にオートクレ
ーブにフィードした。この間、オートクレーブ内の温度
は100゛℃、圧力は2.0MPaに保った。上記の混合液のフィ
ード終了後、100゛℃で更に3時間攪拌し反応を継続し
た。
【0050】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、1,7−オクタジエンの転化
率は98.7%であり、異性ノネナール(C9- エナール、モ
ノ−ヒドロホルミル化生成物) の収率は 8.59%、異性デ
カンジアール(C10-ジアール)の収率は90.1% であっ
た。1,10−デカンジアルデヒドの選択率は、異性デ
カンジアルデヒド(異性デカンジアール)生成物全体の
97.1% であった。
【0051】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。炭化水素溶
媒層には、ロジウムは原子として 0.3251mmol 、リンが
原子として3.24mmol含まれていた。エチレングリコール
層には、ロジウムは原子として 0.003mmol以下、リンは
原子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以下であり、
実質的にエチレングリコール層への溶出は認められなか
った。本実験における、抽出溶媒への分配率は、 1,7−オクタジエの分配率 = 0.2 % 異性ノネナール(C9- エナール)の分配率 = 61.3 % 異性デカンジアール(C10-ジアール)の分配率=97.2 % であった。分配係数は 1,7−オクタジエの分配係数 Kp=0.0008 異性ノネナール(C9- エナール)の分配係数 Kp=0.59 異性デカンジアール(C10-ジアール)の分配係数 Kp=12.8 であった。なお、有機リン配位子として使用した2,
2’−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)−1,1’
−ビフェニルのメチルシクロヘキサン(MCH) への溶解度
は25゛ において18.7g/MCH-100gであった。エチレングリ
コールに対する溶解度は25℃において溶解性を全く示さ
ず実質的にゼロとみなされた。
【0052】実施例6 [1−オクテンのヒドロホルミル化]実施例2と同様な
操作に従い、オートクレーブにRh(acac)(CO)2 0.0100g
(0.0388mmol) 、トリフェニルホスフィン1.02g(3.87mmo
l) およびメチルシクロヘキサン 50gを仕込み、1−オ
クテン100g、およびメチルシクロヘキサン 100g からな
る混合液を2時間かけて連続的にオートクレーブにフィ
ードした。この間、オートクレーブ内の温度は100゛℃、
圧力は2.0MPaに保った。上記の混合液のフィード終了
後、100゛℃で更に3時間攪拌し反応を継続した。
【0053】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、1−オクテンの転化率は 100
% であり、ノナールの収率は 98.7%であった。ノルマル
対イソの比率は5.7 であった。
【0054】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。炭化水素溶
媒層には、ロジウムは原子として 0.0388mmol 、リンが
原子として3.87mmol含まれていた。エチレングリコール
層には、ロジウムは原子として 0.003mmol以下、リンは
原子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以下であり、
実質的にエチレングリコール層への溶出は認められなか
った。本実験における、抽出溶媒への分配率は、 1−ノナールの分配率 = 63.8% 2−ノナールの分配率 = 61.7% であった。分配係数は 1−ノナールの分配係数 Kp=0.78 2−ノナールの分配係数 Kp=0.71 であった。なお、有機リン配位子として使用したトリフ
ェニルホスフィンのメチルシクロヘキサン(MCH) への溶
解度は25℃において 30.8g/MCH-100gであった。エチレ
ングリコールに対する溶解度は25℃において溶解性を全
く示さず実質的にゼロとみなされた。
【0055】実施例7 [2−オクテンのヒドロホルミル化]実施例2と同様な
操作に従い、オートクレーブにRh(acac)(CO)2 0.0100g
(0.0388mmol) 、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト2.50g(3.87mmol) およびメチルシ
クロヘキサン 50gを仕込み、2−オクテン100g、および
メチルシクロヘキサン 100g からなる混合液を2時間か
けて連続的にオートクレーブにフィードした。この間、
オートクレーブ内の温度は100゛℃、圧力は2.0MPaに保っ
た。上記の混合液のフィード終了後、100゛℃で更に3時
間攪拌し反応を継続した。反応終了後、オートクレーブ
下部抜き出し管より生成液を一部サンプリングし、ガス
クロマトグラフィーで分析したところ、2−オクテンの
転化率は 100% であり、ノナールの収率は 98.7%であっ
た。
【0056】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。その結果、
炭化水素溶媒層には、ロジウムは原子として 0.0388mmo
l 、リンが原子として3.87mmol含まれていた。エチレン
グリコール層には、ロジウムは原子として 0.003mmol以
下、リンは原子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以
下であり、実質的にエチレングリコール層への溶出は認
められなかった。本実験における、抽出溶媒への分配率
は、 異性ノナールの分配率= 62.3% であった。分配係数は 異性ノナールの分配係数 Kp=0.74 であった。
【0057】実施例8 [7−オクテン−1−アールのヒドロホルミル化]実施
例2と同様な操作に従い、オートクレーブにRh(acac)(C
O)2 0.0334g(0.129mmol)、トリフェニルホスフィン 1.0
2g(3.88mmol)およびメチルシクロヘキサン50gを仕込
み、7−オクテン−1−アール100g、およびメチルシク
ロヘキサン 100g からなる混合液を2時間かけて連続的
にオートクレーブにフィードした。この間、オートクレ
ーブ内の温度は80℃、圧力は2.0MPaに保った。上記の混
合液のフィード終了後、80℃で更に3時間攪拌し反応を
継続した。
【0058】反応終了後、オートクレーブ下部抜き出し
管より生成液を一部サンプリングし、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、7−オクテン−1−アールの
転化率は 97.3%であり、1,9−ノナンジアールの収率
82.6% 、2−メチル−1,8−オクタンジアールの収率
14.7% であった。
【0059】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。ヒドロホル
ミル化溶媒層には、ロジウムは原子として 0.129mmol、
リンが原子として3.88mmol含まれていた。エチレングリ
コール層には、ロジウムは原子として 0.003mmol以下、
リンは原子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以下で
あり、実質的にエチレングリコール層への溶出は認めら
れなかった。本実験における、抽出溶媒への分配率は、 7−オクテン−1−アールの分配率 = 58.2% 1,9−ノナンジアールの分配率 = 97.3% 2 −メチル−1,8−オクタンジアールの分配率= 96.2% であった。分配係数は 7−オクテン−1−アールの分配係数 Kp=0.45 1,9−ノナンジアールの分配係数 Kp=11.6 2 −メチル−1,8−オクタンジアールの分配係数 Kp=8.16 であった。
【0060】実施例9 [2−オクテンのヒドロホルミル化]実施例2と同様な
操作に従い、オートクレーブにRh(acac)(CO)2 0.084g
(0.3251mmol)、式(III) に示されるホスファイト1.625m
mol およびメチルシクロヘキサン 50gを仕込み、2−オ
クテン100g、およびメチルシクロヘキサン 100g からな
る混合液を2時間かけて連続的にオートクレーブにフィ
ードした。この間、オートクレーブ内の温度は100 ℃、
圧力は5.0MPaに保った。上記の混合液のフィード終了
後、100゛℃で更に3時間攪拌し反応を継続した。反応終
了後、オートクレーブ下部抜き出し管より生成液を一部
サンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析したと
ころ、2−オクテンの転化率は100%あり、ノナールの収
率は 98.8%であった。
【0061】
【化3】
【0062】[抽出実験]実施例2と同様な操作に従
い、エチレングリコール 365g, N- メチル- ジエタノー
ルアミン 0.16gを用い抽出操作を実施した。ヒドロホル
ミル化溶媒層には、ロジウムは原子として 0.325mmol、
リンが原子として3.25mmol含まれていた。エチレングリ
コール層には、ロジウムは原子として 0.003mmol以下、
リンは原子として 0.01mmol 以下で分析検出限界以下で
あり、実質的にエチレングリコール層への溶出は認めら
れなかった。本実験における、抽出溶媒への分配率は、 異性ノナールの分配率 = 61.7% であった。分配係数は 異性ノナールの分配係数 Kp=0.75 であった。なお、有機リン配位子として使用した式(II
I) で示される化合物のメチルシクロヘキサン(MCH) へ
の溶解度は25℃において 28.4g/MCH-100g であった。エ
チレングリコールに対する溶解度は25℃において溶解性
を全く示さず実質的にゼロとみなされた。
【0063】実施例10 実施例2における抽出操作後のロジウムとホスファイト
を含有するメチルシクロヘキサン溶液109.6gを70℃、28
0mmHg で減圧蒸留し60g のメチルシクロヘキサンを留去
した。ロジウムとホスファイトを含有する残った溶液を
用い実施例2のヒドロホルミル化と抽出操作を5回繰り
返した。各回でのペンタシクロペンタデカンジカルバル
デヒド(PPD-dA と略す) の収率を表1に示す。 表1 繰り返し回数 1(実施例2) 2 3 4 5 PPD-dA収率 99.0% 98.4% 99.2% 98.5% 98.4%
【0064】各回での抽出操作でエチレングリコール層
に溶出する触媒成分は、ロジウムは原子として 0.003mm
ol以下、リンは原子として 0.01mmol 以下で分析検出限
界以下であり、実質的にエチレングリコール層への溶出
は認められなかった。ペンタシクロペンタデカンジカル
バルデヒドを含有するエチレングリコール層を、繰り返
し1〜5回までを合計し、減圧蒸留によってエチレング
リコールとペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒド
の大部分を留去した。濃縮された釜残を分析し繰り返し
1〜5回までのエチレングリコール層に溶出した触媒成
分の総量を定量した。ロジウムは仕込みに対し1.4%(1
回当たり0.28% )、リンは仕込みに対し0.3%(1回当た
り0.06% )であった。
【0065】比較例1 実施例2における抽出操作を酸素共存下で実施し、実施
例10と同様に繰り返し実験を行った。抽出操作を行っ
た雰囲気の酸素濃度、ペンタシクロペンタデカンジカル
バルデヒド(PPD-dA)収率、エチレングリコール層に溶出
したロジウムとリンの仕込みに対する割合をまとめて表
2に示す。 表2 繰り返し回数 1 2 3 4 5 抽出時酸素 8000ppm 8000ppm 8000ppm 7000ppm 5000ppm 雰囲気濃度 PPD-dA収率 98.3% 97.0% 96.6% 88.1% 48.8% Rh溶出量 12.3% 15.0% 15.4% 9.2% 5.6% P 溶出量 <0.3% <0.3% <0.3% <0.3% <0.3%
【0066】抽出時酸素雰囲気濃度が1000ppm 以上であ
っても、リンのエチレングリコール層への溶出は認めら
れなかった。これに対して、ロジウムはエチレングリコ
ール層に溶出され、それに伴い、PPD-dA収率は繰り返し
回数3回まではほぼ良好な値が得られたが、4回目、5
回目と急激に低下した。
【0067】
【発明の効果】触媒を損失することなく効率的にアルデ
ヒドを反応生成液から回収できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 和寛 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD16 BB11 BB14 BB19 BB61

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルデヒド、ロジウム化合物及び有
    機リン化合物からなる触媒成分、及び炭化水素溶媒を
    含むヒドロホルミル化反応生成液と炭素数2〜6の多価
    アルコールからなる抽出溶媒とを酸素濃度1000pp
    m以下の雰囲気で混合した後、得られた混合物を炭化水
    素溶媒層と抽出溶媒層に2層分離し、抽出溶媒層より該
    アルデヒドを単離することを特徴とする高沸点アルデヒ
    ドの回収法。
  2. 【請求項2】 炭化水素溶媒への溶解度が抽出溶媒への
    溶解度の10倍以上である有機リン化合物を用いる請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 アルデヒドが大気圧において130℃以
    上の沸点を有する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルデヒドがトリシクロデカンジカルバ
    ルデヒドおよび/またはペンタシクロペンタデカンジカ
    ルバルデヒドである請求項1記載の方法。
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