JP2001163810A - 1d−キロ−イノシトールの新規合成方法および中間体 - Google Patents
1d−キロ−イノシトールの新規合成方法および中間体Info
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 従来既知の1D−キロ−イノシトール製造法
に比べて、安価で効率よく高純度の1D−キロ−イノシ
トールを合成できる新しい方法を提供する。 【解決手段】 式(1)のミオ−イノシトールの2,3
−アセタールを選択的な有機スルホニル化、更にヒドロ
キシル基保護基の導入次にカルボン酸アルカリ金属塩と
共に非反応性の極性溶媒中で加熱反応させ、式(VI)
の化合物を生成し、更に式(VI)の化合物の脱保護処
理により式(A)のID−キロ−イノシトールを生成さ
せる。
に比べて、安価で効率よく高純度の1D−キロ−イノシ
トールを合成できる新しい方法を提供する。 【解決手段】 式(1)のミオ−イノシトールの2,3
−アセタールを選択的な有機スルホニル化、更にヒドロ
キシル基保護基の導入次にカルボン酸アルカリ金属塩と
共に非反応性の極性溶媒中で加熱反応させ、式(VI)
の化合物を生成し、更に式(VI)の化合物の脱保護処
理により式(A)のID−キロ−イノシトールを生成さ
せる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安価なミオ-イノ
シトール(myo-Inositol)を原料として利用できて1D-キ
ロ-イノシトール(1D-chiro-Inositol)を簡便に効率よ
く製造する新しい合成方法に関するものである。
シトール(myo-Inositol)を原料として利用できて1D-キ
ロ-イノシトール(1D-chiro-Inositol)を簡便に効率よ
く製造する新しい合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1D-キロ-イノシトールは近年、インシュ
リン非依存性糖尿病の治療薬(PCT公開WO 90/10439号公
報)あるいは多嚢胞性卵巣症候群の治療薬(The New En
glandJournal of Medicine, 340巻1314-1320頁、1999
年)として有効であることが示され、注目されている。
リン非依存性糖尿病の治療薬(PCT公開WO 90/10439号公
報)あるいは多嚢胞性卵巣症候群の治療薬(The New En
glandJournal of Medicine, 340巻1314-1320頁、1999
年)として有効であることが示され、注目されている。
【0003】次式(A) で表される1D-キロ-イノシトールは、9種類存在するイ
ノシトール立体異性体の一つであり、その製造方法の代
表例については次の(a)〜(d)の方法が知られてい
る。
ノシトール立体異性体の一つであり、その製造方法の代
表例については次の(a)〜(d)の方法が知られてい
る。
【0004】(a)抗生物質のカスガマイシンの加水分
解によって、その分子構成部分である1D-キロ-イノシト
ールを得る3つの方法、すなわち(i)カスガマイシン
の強酸による加水分解法(米国特許第5,091,596号)、(i
i)カスガマイシンをアセチル化した後に加水分解する
方法(米国特許第5,463,142号)、および(iii)強酸性
イオン交換樹脂によるカスガマイシンの加水分解法(米
国特許第5,714,643号)。
解によって、その分子構成部分である1D-キロ-イノシト
ールを得る3つの方法、すなわち(i)カスガマイシン
の強酸による加水分解法(米国特許第5,091,596号)、(i
i)カスガマイシンをアセチル化した後に加水分解する
方法(米国特許第5,463,142号)、および(iii)強酸性
イオン交換樹脂によるカスガマイシンの加水分解法(米
国特許第5,714,643号)。
【0005】(b)グルクロン酸を原料として10段階以
上の化学合成ステップを経て、1D-キロ-イノシトールを
合成する方法(米国特許第5,406,005号)。 (c)ブーゲンビリアなどの植物中に含まれるピニトー
ルを、脱メチル化して1D-キロ-イノシトールを調製する
方法(米国特許第5,827,896号)。 (d)アグロバクテリウム・ツメファシエンス、アグロ
バクテリウム・ラジオバクター、アグロバクテリウム・
リゾゲネスまたはアグロバクテリウム・ルビの細胞を、
ミオ-イノシトールに作用させて、これから、1D-キロ-
イノシトール、1L-キロ-イノシトール、シローイノシト
ール、ネオ-イノシトールの混合物を製造する方法(特
開平9-140,388号)。
上の化学合成ステップを経て、1D-キロ-イノシトールを
合成する方法(米国特許第5,406,005号)。 (c)ブーゲンビリアなどの植物中に含まれるピニトー
ルを、脱メチル化して1D-キロ-イノシトールを調製する
方法(米国特許第5,827,896号)。 (d)アグロバクテリウム・ツメファシエンス、アグロ
バクテリウム・ラジオバクター、アグロバクテリウム・
リゾゲネスまたはアグロバクテリウム・ルビの細胞を、
ミオ-イノシトールに作用させて、これから、1D-キロ-
イノシトール、1L-キロ-イノシトール、シローイノシト
ール、ネオ-イノシトールの混合物を製造する方法(特
開平9-140,388号)。
【0006】しかしながら、上記(a)〜(c)に示す
1D−キロ−イノシトールを製造する既知の方法は、いず
れも工業的規模で実施する場合には操作の煩雑さ、ある
いはコスト面で問題があり、必ずしも満足し得るもので
はない。また、上記(d)の方法では、4種のイノシト
ール立体異性体の混合物が生成するのであり、そして特
にD体とL体との分離が困難であるので、その混合物の
精製操作が煩雑である。また、単離された1D-キロ-イノ
シトールの最終的な収率は1%以下の低収率であり、工
業的には全く経済性がない。
1D−キロ−イノシトールを製造する既知の方法は、いず
れも工業的規模で実施する場合には操作の煩雑さ、ある
いはコスト面で問題があり、必ずしも満足し得るもので
はない。また、上記(d)の方法では、4種のイノシト
ール立体異性体の混合物が生成するのであり、そして特
にD体とL体との分離が困難であるので、その混合物の
精製操作が煩雑である。また、単離された1D-キロ-イノ
シトールの最終的な収率は1%以下の低収率であり、工
業的には全く経済性がない。
【0007】さらに、次式(B) で表されるミオ-イノシトールを(1R)-(+)-カンファー(c
amphor)のジメチルアセタールでアセタール化し且つ得
られたアセタール化生成物を適当に後処理すると、ミオ
-イノシトールの2位および3位ヒドロキシル基が(1R)-
(+)-カンファーのジメチルアセタールからアセタール部
分のメトキシ基2個の解離により誘導された1,1-ジ置換
メチリデン基1個で保護されたミオ-イノシトール保護
誘導体、すなわち次式(C) で表される1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビ
シクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシトールの光学
的に純粋な物質(ジアステレオマー)が容易に調製できる
ことが知られている(例えば、Bruzikら;「J. Am. Che
m. Soc.」114巻6361-6374頁(1992)参照)。
amphor)のジメチルアセタールでアセタール化し且つ得
られたアセタール化生成物を適当に後処理すると、ミオ
-イノシトールの2位および3位ヒドロキシル基が(1R)-
(+)-カンファーのジメチルアセタールからアセタール部
分のメトキシ基2個の解離により誘導された1,1-ジ置換
メチリデン基1個で保護されたミオ-イノシトール保護
誘導体、すなわち次式(C) で表される1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビ
シクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシトールの光学
的に純粋な物質(ジアステレオマー)が容易に調製できる
ことが知られている(例えば、Bruzikら;「J. Am. Che
m. Soc.」114巻6361-6374頁(1992)参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記の(a)〜(d)
にあげられた上記の短所を有する従来の1D-キロ-イノシ
トール製造法に代えて、安価な原料から簡便に且つ効率
よく高純度の1D-キロ-イノシトールを製造できる新規な
方法を開発することが要望されている。本発明の目的
は、その要望に合致できる1D-キロ-イノシトールの新規
な合成方法を提供することにある。
にあげられた上記の短所を有する従来の1D-キロ-イノシ
トール製造法に代えて、安価な原料から簡便に且つ効率
よく高純度の1D-キロ-イノシトールを製造できる新規な
方法を開発することが要望されている。本発明の目的
は、その要望に合致できる1D-キロ-イノシトールの新規
な合成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究を行った。一連の研究の結
果として、前記の式(C)で表された1D-2,3-ジ-O-アセ
タール化-ミオ-イノシトールに、ピリジン単独よりなる
溶媒中で、もしくは酸結合剤として働くピリジンまたは
トリアルキルアミンのような有機塩基の存在下にジクロ
ロメタンのような塩素化炭化水素溶媒中で−50℃〜室温
の範囲の温度でトリフルオロメタンスルホン酸無水物を
1〜5時間反応させると、式(C)の化合物の1位ヒド
ロキシル基のみが選択的にトリフルオロメタンスルホニ
ル基でスルホニル化された化合物を主生成物として生成
および収穫できることが発見された。
的を達成するために鋭意研究を行った。一連の研究の結
果として、前記の式(C)で表された1D-2,3-ジ-O-アセ
タール化-ミオ-イノシトールに、ピリジン単独よりなる
溶媒中で、もしくは酸結合剤として働くピリジンまたは
トリアルキルアミンのような有機塩基の存在下にジクロ
ロメタンのような塩素化炭化水素溶媒中で−50℃〜室温
の範囲の温度でトリフルオロメタンスルホン酸無水物を
1〜5時間反応させると、式(C)の化合物の1位ヒド
ロキシル基のみが選択的にトリフルオロメタンスルホニ
ル基でスルホニル化された化合物を主生成物として生成
および収穫できることが発見された。
【0010】さらに、上記の式(C)の1D-2,3-ジ-O-ア
セタール化-ミオ-イノシトールでは、その2位および3
位のヒドロキシル基が(1R)-(+)-カンファーのジメチル
アセタールから誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型
のジ官能性のヒドロキシル保護基でアセタールの形で保
護されたものであるが、ミオ-イノシトールの2位およ
び3位のヒドロキシル基は、一般的には、光学活性なケ
トンまたはアルデヒドから誘導された、あるいは該ケト
ンまたはアルデヒドのジメチルアセタールから誘導体さ
れた1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能性のヒドロキ
シル保護基でもアセタールの形で保護できることが知見
され、また(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタール
以外の光学活性なケトンまたはアルデヒドのジメチルア
セタールから誘導された1,1-ジ置換メチリデン基で2,3-
ジ-O-アセタール化されたミオ-イノシトールは、適当な
後処理を受けると、光学的に高い純度のジアステレオマ
ーとして収得できることが知見された。
セタール化-ミオ-イノシトールでは、その2位および3
位のヒドロキシル基が(1R)-(+)-カンファーのジメチル
アセタールから誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型
のジ官能性のヒドロキシル保護基でアセタールの形で保
護されたものであるが、ミオ-イノシトールの2位およ
び3位のヒドロキシル基は、一般的には、光学活性なケ
トンまたはアルデヒドから誘導された、あるいは該ケト
ンまたはアルデヒドのジメチルアセタールから誘導体さ
れた1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能性のヒドロキ
シル保護基でもアセタールの形で保護できることが知見
され、また(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタール
以外の光学活性なケトンまたはアルデヒドのジメチルア
セタールから誘導された1,1-ジ置換メチリデン基で2,3-
ジ-O-アセタール化されたミオ-イノシトールは、適当な
後処理を受けると、光学的に高い純度のジアステレオマ
ーとして収得できることが知見された。
【0011】さらに、1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-
イノシトールの1位ヒドロキシル基は、トリフルオロメ
タンスルホン酸無水物以外の種々なスルホニル化剤で選
択的にスルホニル化できることも知見された。このよう
に得られたところの後記の一般式(III)の1D-1-O-有機ス
ルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトール
は、残りの遊離の4位、5位、6位のヒドロキシル基3
個を有するが、これら3個のヒドロキシル基は、糖の化
学で糖のヒドロキシル基の保護のために常用されるモノ
官能性のヒドロキシル保護用のアシル基で容易に閉塞で
きることも知見された。
イノシトールの1位ヒドロキシル基は、トリフルオロメ
タンスルホン酸無水物以外の種々なスルホニル化剤で選
択的にスルホニル化できることも知見された。このよう
に得られたところの後記の一般式(III)の1D-1-O-有機ス
ルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトール
は、残りの遊離の4位、5位、6位のヒドロキシル基3
個を有するが、これら3個のヒドロキシル基は、糖の化
学で糖のヒドロキシル基の保護のために常用されるモノ
官能性のヒドロキシル保護用のアシル基で容易に閉塞で
きることも知見された。
【0012】また、このようにして得られたところの後
記の一般式(IV)の1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-ア
セタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシトールは、
これに非プロトン性の極性有機溶媒例えばN,N-ジメチル
ホルムアミド中で加熱下に安息香酸リチウム、一般的に
は芳香族カルボン酸またはアルカン酸のアルカリ金属塩
を作用させると、1位の立体配置の反転を伴って、1位
の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離と、使用され
た該カルボン酸のアロイルオキシ基またはアルカノイル
オキシ基による求核置換反応が行われ、それによって、
後記の一般式(VI)で表される1D-6-O-アロイルまたはア
ルカノイル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-保護
-キロ-イノシトールが生成できることが知見された。さ
らに研究を通して、様々な知見が得られた。
記の一般式(IV)の1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-ア
セタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシトールは、
これに非プロトン性の極性有機溶媒例えばN,N-ジメチル
ホルムアミド中で加熱下に安息香酸リチウム、一般的に
は芳香族カルボン酸またはアルカン酸のアルカリ金属塩
を作用させると、1位の立体配置の反転を伴って、1位
の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離と、使用され
た該カルボン酸のアロイルオキシ基またはアルカノイル
オキシ基による求核置換反応が行われ、それによって、
後記の一般式(VI)で表される1D-6-O-アロイルまたはア
ルカノイル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-保護
-キロ-イノシトールが生成できることが知見された。さ
らに研究を通して、様々な知見が得られた。
【0013】これらの知見に基づいて、ミオ-イノシト
ールの光学的に純粋な2,3-ジ-O-アセタール化生成物か
ら出発して、効率よく高純度の1D-キロ-イノシトールを
合成できることを本発明者らは見出した。このようにし
て、本発明は完成された。
ールの光学的に純粋な2,3-ジ-O-アセタール化生成物か
ら出発して、効率よく高純度の1D-キロ-イノシトールを
合成できることを本発明者らは見出した。このようにし
て、本発明は完成された。
【0014】従って、第1の本発明によると、次の一般
式(I) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表されるミオ-
イノシトールの2,3-アセタールを、次の一般式(II) (R3SO2)2O (II) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
ある〕で表される有機スルホン酸無水物、あるいは次の
一般式(II') R3SO2X (II') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもち、Xは塩素または臭
素原子である〕で表される有機スルホン酸クロリドまた
はブロミドと反応させて、一般式(I)のミオ-イノシ
トール誘導体の1位ヒドロキシル基の選択的な有機スル
ホニル化を行い、これにより次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールを
生成する第1工程と、一般式(III)の化合物に、モノ
官能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基ま
たはアロイル基R4を有するヒドロキシル保護基導入用
のアシル化剤を反応させて次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基、好ましく
はアセチル基またはアロイル基、好ましくはベンゾイル
基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O
-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシトール
を生成する第2工程と、一般式(IV)の化合物に次の一
般式(V) R5CO2-M (V) 〔式中、Mはアルカリ金属原子、好ましくはリチウムま
たはナトリウムもしくはカリウム原子を示し、R5は低
級アルキル基またはアリール基、好ましくは低級アルキ
ル基で置換されてもよいフェニル基を示す〕のカルボン
酸アルカリ金属塩を非反応性の極性有機溶媒中で加熱下
に反応させ、これによって一般式(IV)のミオ-イノシ
トール保護誘導体の1位の立体配置の反転を伴う、1位
の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離とアルカノイ
ルオキシ基またはアロイルオキシ基-O-CO-R5による置換
反応を行って、次の一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールを生
成する第3工程と、さらに一般式(VI)の化合物のヒド
ロキシル基保護用のアシル基R4ならびにアルカノイル
基またはアロイル基-CO-R5を脱保護処理により一般式(V
I)の化合物から脱離させ且つこうして次の一般式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成する第4工程と、一
般式(VII)の1D-キロ-イノシトール誘導体を酸処理し
て、これにより一般式(VII)の化合物から、上記の式
(a)で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第5工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法が
提供される。
式(I) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表されるミオ-
イノシトールの2,3-アセタールを、次の一般式(II) (R3SO2)2O (II) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
ある〕で表される有機スルホン酸無水物、あるいは次の
一般式(II') R3SO2X (II') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもち、Xは塩素または臭
素原子である〕で表される有機スルホン酸クロリドまた
はブロミドと反応させて、一般式(I)のミオ-イノシ
トール誘導体の1位ヒドロキシル基の選択的な有機スル
ホニル化を行い、これにより次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールを
生成する第1工程と、一般式(III)の化合物に、モノ
官能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基ま
たはアロイル基R4を有するヒドロキシル保護基導入用
のアシル化剤を反応させて次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基、好ましく
はアセチル基またはアロイル基、好ましくはベンゾイル
基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O
-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシトール
を生成する第2工程と、一般式(IV)の化合物に次の一
般式(V) R5CO2-M (V) 〔式中、Mはアルカリ金属原子、好ましくはリチウムま
たはナトリウムもしくはカリウム原子を示し、R5は低
級アルキル基またはアリール基、好ましくは低級アルキ
ル基で置換されてもよいフェニル基を示す〕のカルボン
酸アルカリ金属塩を非反応性の極性有機溶媒中で加熱下
に反応させ、これによって一般式(IV)のミオ-イノシ
トール保護誘導体の1位の立体配置の反転を伴う、1位
の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離とアルカノイ
ルオキシ基またはアロイルオキシ基-O-CO-R5による置換
反応を行って、次の一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールを生
成する第3工程と、さらに一般式(VI)の化合物のヒド
ロキシル基保護用のアシル基R4ならびにアルカノイル
基またはアロイル基-CO-R5を脱保護処理により一般式(V
I)の化合物から脱離させ且つこうして次の一般式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成する第4工程と、一
般式(VII)の1D-キロ-イノシトール誘導体を酸処理し
て、これにより一般式(VII)の化合物から、上記の式
(a)で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第5工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法が
提供される。
【0015】第1の本発明方法の第1工程で出発化合物
として用いられる一般式(I)のミオ-イノシトールの
2,3-アセタールは、ミオ-イノシトールに(1R)-(+)-カン
ファーのジメチルアセタールを酸触媒の存在下に反応さ
せて得られた次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基を示す〕の1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ
-イノシトール、すなわち前記の式(C)の化合物であるの
が好ましい。
として用いられる一般式(I)のミオ-イノシトールの
2,3-アセタールは、ミオ-イノシトールに(1R)-(+)-カン
ファーのジメチルアセタールを酸触媒の存在下に反応さ
せて得られた次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基を示す〕の1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ
-イノシトール、すなわち前記の式(C)の化合物であるの
が好ましい。
【0016】先づ、上記の式(Ia)の化合物の調製法を
説明する。光学活性なケトンの一種である(1R)-(+)-カ
ンファーをメタノール中で酸触媒、例えば硫酸、塩化水
素、の存在下にオルトぎ酸トリメチルと反応させると、
次式(D) で表される(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタール
が得られる。この場合には、ジメチルスルホキシドまた
はN,N-ジメチルホルムアミドにミオ-イノシトールを懸
濁させ、その懸濁液に式(D)の(1R)-(+)-カンファー・
ジメチルアセタールを、ミオ-イノシトールの1モル当
り2モル比またはやや過剰の量で加え、さらに触媒量の
酸、例えば硫酸、塩化水素またはp-トルエンスルホン酸
を加え、その反応混合物を50〜90℃の温度で2〜5時
間、攪拌下に反応にかけることができる。これによっ
て、前記の式(Ia)のミオ-イノシトール-2,3-アセター
ル、および2位、3位以外の他のヒドロキシル基の所で
ビス-O-アセタール化されたミオ-イノシトール誘導体が
生成される。
説明する。光学活性なケトンの一種である(1R)-(+)-カ
ンファーをメタノール中で酸触媒、例えば硫酸、塩化水
素、の存在下にオルトぎ酸トリメチルと反応させると、
次式(D) で表される(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタール
が得られる。この場合には、ジメチルスルホキシドまた
はN,N-ジメチルホルムアミドにミオ-イノシトールを懸
濁させ、その懸濁液に式(D)の(1R)-(+)-カンファー・
ジメチルアセタールを、ミオ-イノシトールの1モル当
り2モル比またはやや過剰の量で加え、さらに触媒量の
酸、例えば硫酸、塩化水素またはp-トルエンスルホン酸
を加え、その反応混合物を50〜90℃の温度で2〜5時
間、攪拌下に反応にかけることができる。これによっ
て、前記の式(Ia)のミオ-イノシトール-2,3-アセター
ル、および2位、3位以外の他のヒドロキシル基の所で
ビス-O-アセタール化されたミオ-イノシトール誘導体が
生成される。
【0017】得られたミオ-イノシトールのアセタール
化誘導体を含む反応液に有機塩基、例えばナトリウムメ
トキシド、トリエチルアミンを加えて中和し、その中和
された反応液を溶媒の留去により濃縮すると、式(Ia)の
所望な1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトール
と、望ましくないその他のビス-O-アセタール化された
ミオ-イノシトール誘導体の混合物がシロップとして得
られる。このシロップを適当な有機溶剤、好ましくはメ
タノール、アセトン、またはクロロホルム−メタノール
の混液もしくはヘキサン−メタノールの混液に溶解し、
その溶液に少量の水および触媒量のp-トルエンスルホン
酸を加えて室温で5〜20時間攪拌する。この場合に、式
(Ia)の所望な1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシ
トールは比較的安定であるが、望ましくないその他のビ
ス-O-アセタール化されたミオ-イノシトールからはカン
ファー由来のトランス配置を有するアセタール形の保護
基が脱離され、そして懸濁液状の反応液が得られる。こ
の反応液にヘキサンを混和し、生じた沈澱を濾取し、得
られた固体を水洗および乾燥し、さらに乾燥した固体を
含水メタノールから晶出させると、式(Ia)の所望な化
合物を高い光学純度の結晶として得ることができる。
化誘導体を含む反応液に有機塩基、例えばナトリウムメ
トキシド、トリエチルアミンを加えて中和し、その中和
された反応液を溶媒の留去により濃縮すると、式(Ia)の
所望な1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトール
と、望ましくないその他のビス-O-アセタール化された
ミオ-イノシトール誘導体の混合物がシロップとして得
られる。このシロップを適当な有機溶剤、好ましくはメ
タノール、アセトン、またはクロロホルム−メタノール
の混液もしくはヘキサン−メタノールの混液に溶解し、
その溶液に少量の水および触媒量のp-トルエンスルホン
酸を加えて室温で5〜20時間攪拌する。この場合に、式
(Ia)の所望な1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシ
トールは比較的安定であるが、望ましくないその他のビ
ス-O-アセタール化されたミオ-イノシトールからはカン
ファー由来のトランス配置を有するアセタール形の保護
基が脱離され、そして懸濁液状の反応液が得られる。こ
の反応液にヘキサンを混和し、生じた沈澱を濾取し、得
られた固体を水洗および乾燥し、さらに乾燥した固体を
含水メタノールから晶出させると、式(Ia)の所望な化
合物を高い光学純度の結晶として得ることができる。
【0018】上記の式(Ia)の化合物中の(1R)-(+)-カ
ンファー-置換メチリデン基は互いにシス配置に位置す
る2位と3位の水酸基に結合しており、これは互いにト
ランス配置に位置した隣接する水酸基に結合するものに
比べて、酸に対して比較的安定である。
ンファー-置換メチリデン基は互いにシス配置に位置す
る2位と3位の水酸基に結合しており、これは互いにト
ランス配置に位置した隣接する水酸基に結合するものに
比べて、酸に対して比較的安定である。
【0019】上記の式(Ia)のミオ-イノシトールの2,3
-アセタールの調製に当っては、光学活性なケトンであ
る(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールを用い、
これをミオ-イノシトールに反応させることによって、
式(Ia)のミオ-イノシトールの2,3-アセタールを得
た。しかしながら(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセ
タールの代りに、光学活性なケトンまたはアルデヒドの
一種である下記の(i)〜(xvi)のケトンまたはアル
デヒド、あるいはこれらのジメチルアセタールを用い、
これをミオ-イノシトールに上記と同様に反応させ且つ
アセタール化反応生成物を後処理することによっても、
第1の本発明方法の第1工程で用いる一般式(I)のミ
オ-イノシトールの2,3-アセタールとして利用するのに
適当な2,3-ジ-O-アセタール化したミオ-イノシトールを
調製することが可能である。
-アセタールの調製に当っては、光学活性なケトンであ
る(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールを用い、
これをミオ-イノシトールに反応させることによって、
式(Ia)のミオ-イノシトールの2,3-アセタールを得
た。しかしながら(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセ
タールの代りに、光学活性なケトンまたはアルデヒドの
一種である下記の(i)〜(xvi)のケトンまたはアル
デヒド、あるいはこれらのジメチルアセタールを用い、
これをミオ-イノシトールに上記と同様に反応させ且つ
アセタール化反応生成物を後処理することによっても、
第1の本発明方法の第1工程で用いる一般式(I)のミ
オ-イノシトールの2,3-アセタールとして利用するのに
適当な2,3-ジ-O-アセタール化したミオ-イノシトールを
調製することが可能である。
【0020】(i)式 で表される(1R)-(-)-フエンコン(fenchone) (ii)式 で表される〔(1R)-endo〕-(+)-3-ブロモカンファー (iii)式 で表される3,9-ジブロモ-(+)-カンファー (iv)式 で表される9,10-ジブロモ-(+)-カンファー。
【0021】(v)式 で表される3,9,10-トリブロモ-(-)-カンファー (vi)式 で表される(+)-3-(トリフルオロアセチル)カンファー (vii)式 で表される(-)-メンタン(menthane) (viii)式 で表される(R)-(+)-プレゴン(pulegone) (ix)式 で表される(S)-(+)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-
2-メチル-2-シクロヘキセン-1-オン。
2-メチル-2-シクロヘキセン-1-オン。
【0022】(x)式 で表される(R)-(-)-カルボン(carvone) (xi)式 で表される(1R)-(-)-ミルテナール(myrtenal) (xii)式 で表される(1R)-(+)-ノピノン(nopinone) (xiii)式 で表される(1S)-1-ベルベノン(verbenone) (xiv)式 で表される(1S,2S,5S)-(-)-2-ヒドロキシ-3-ピナノン(p
inanone) (xv)式 で表される(R)-(+)-メチルシクロペンタノン (xvi)式 で表される(R)-(+)-3-メチルシクロヘキサン。
inanone) (xv)式 で表される(R)-(+)-メチルシクロペンタノン (xvi)式 で表される(R)-(+)-3-メチルシクロヘキサン。
【0023】従って、第1の本発明方法の第1工程で用
いる一般式(I)の化合物の2位、3位にあるヒドロキ
シル基をアセタールの形で保護する次式(a) で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能性のヒ
ドロキシル保護基は、(1R)-(+)-カンファーのジメチル
アセタールから誘導される1,1-ジ置換メチリデン型の基
であることができるのみならず、上記の(i)〜(xv
i)に挙げた光学活性なケトンまたはアルデヒドのジメ
チルアセタールから誘導される1,1-ジ置換メチリデン型
の基であることもできる。
いる一般式(I)の化合物の2位、3位にあるヒドロキ
シル基をアセタールの形で保護する次式(a) で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能性のヒ
ドロキシル保護基は、(1R)-(+)-カンファーのジメチル
アセタールから誘導される1,1-ジ置換メチリデン型の基
であることができるのみならず、上記の(i)〜(xv
i)に挙げた光学活性なケトンまたはアルデヒドのジメ
チルアセタールから誘導される1,1-ジ置換メチリデン型
の基であることもできる。
【0024】次に、第1の本発明方法の第1〜第5工程
の実施法を具体的に説明する。第1の本発明方法の第1
工程を行うに当っては、例えば酸結合剤としても作用す
るピリジン単独よりなる溶媒中に、あるいは酸結合剤と
して作用するピリジンやトリアルキルアミンである有機
塩基の存在下に、反応性水素をもたない非プロトン性の
有機溶媒、例えばジクロロメタンのような塩素化炭化水
素中に、一般式(I)の1D-ミオ-イノシトール-2,3-ア
セタールを溶解する。次いで一般式(II)の有機スルホ
ン酸無水物または一般式(II')の有機スルホン酸ハラ
イドを溶解する。得られた反応混合物を冷却下に攪拌し
て、-50℃ないし室温の範囲の温度、好ましくは-40℃な
いし0℃の範囲の温度で式(I)の化合物の1位ヒドロ
キシル基を式(II)または(II')のスルホニル化剤で
選択的に有機スルホニル化する反応を行う。
の実施法を具体的に説明する。第1の本発明方法の第1
工程を行うに当っては、例えば酸結合剤としても作用す
るピリジン単独よりなる溶媒中に、あるいは酸結合剤と
して作用するピリジンやトリアルキルアミンである有機
塩基の存在下に、反応性水素をもたない非プロトン性の
有機溶媒、例えばジクロロメタンのような塩素化炭化水
素中に、一般式(I)の1D-ミオ-イノシトール-2,3-ア
セタールを溶解する。次いで一般式(II)の有機スルホ
ン酸無水物または一般式(II')の有機スルホン酸ハラ
イドを溶解する。得られた反応混合物を冷却下に攪拌し
て、-50℃ないし室温の範囲の温度、好ましくは-40℃な
いし0℃の範囲の温度で式(I)の化合物の1位ヒドロ
キシル基を式(II)または(II')のスルホニル化剤で
選択的に有機スルホニル化する反応を行う。
【0025】上記の有機スルホニル化剤として式(II)
のスルホン酸無水物を用いる場合には、これは式(I)
の1D-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの1モルあた
り等モル比またはやや過剰に用いうる。また、有機スル
ホニル化剤として式(II')のスルホン酸ハライドを用
いる場合でも、これは式(I)の1D-ミオ-イノシトール
-2,3-アセタールの1モルあたり等モル比またはやや過
剰の量で用いうる。
のスルホン酸無水物を用いる場合には、これは式(I)
の1D-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの1モルあた
り等モル比またはやや過剰に用いうる。また、有機スル
ホニル化剤として式(II')のスルホン酸ハライドを用
いる場合でも、これは式(I)の1D-ミオ-イノシトール
-2,3-アセタールの1モルあたり等モル比またはやや過
剰の量で用いうる。
【0026】式(II)のスルホン酸無水物は、低級アル
カン、好ましくは(C1〜C6)アルカン、あるいはω-
トリハロ(低級)アルカン、好ましくはω-トリフルオロ-
(C1〜C6)アルカンのスルホン酸から誘導されたスル
ホン酸無水物であることができる。式(II)のスルホン
酸無水物としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸またはトリフルオロメタンスルホン酸の無水物を用い
るのが好ましい。また、式(II)のスルホン酸無水物
は、芳香族スルホン酸の無水物であることができる。こ
の芳香族スルホン酸の無水物としては、ベンゼンスルホ
ン酸、p-トルエンスルホン酸またはp-ニトロベンゼンス
ルホン酸の無水物を用いるのが好ましい。
カン、好ましくは(C1〜C6)アルカン、あるいはω-
トリハロ(低級)アルカン、好ましくはω-トリフルオロ-
(C1〜C6)アルカンのスルホン酸から誘導されたスル
ホン酸無水物であることができる。式(II)のスルホン
酸無水物としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸またはトリフルオロメタンスルホン酸の無水物を用い
るのが好ましい。また、式(II)のスルホン酸無水物
は、芳香族スルホン酸の無水物であることができる。こ
の芳香族スルホン酸の無水物としては、ベンゼンスルホ
ン酸、p-トルエンスルホン酸またはp-ニトロベンゼンス
ルホン酸の無水物を用いるのが好ましい。
【0027】さらに、式(II')のスルホン酸ハライド
は、(C1〜C6)アルキルスルホニル・クロリドまたは
ブロミド、あるいはフェニルスルホニル・クロリドまた
はブロミド、あるいはベンジルスルホニル・クロリドま
たはブロミドであることができる。
は、(C1〜C6)アルキルスルホニル・クロリドまたは
ブロミド、あるいはフェニルスルホニル・クロリドまた
はブロミド、あるいはベンジルスルホニル・クロリドま
たはブロミドであることができる。
【0028】第1の本発明方法の第1工程では、有機ス
ルホニル化反応の終了後に、反応液を減圧下に蒸留して
溶媒を除去し、その残渣として所望な式(III)の1-O-
有機スルホニル化生成物を分離することができる。しか
し、その反応液から式(III)の1-O-有機スルホニル化生
成物を分離することなく、その反応液を直ちに本発明方
法の第2工程にかけることが便利である。
ルホニル化反応の終了後に、反応液を減圧下に蒸留して
溶媒を除去し、その残渣として所望な式(III)の1-O-
有機スルホニル化生成物を分離することができる。しか
し、その反応液から式(III)の1-O-有機スルホニル化生
成物を分離することなく、その反応液を直ちに本発明方
法の第2工程にかけることが便利である。
【0029】第1の本発明方法の第2工程は次のように
実施できる。第1工程で得られた反応液に、糖の化学で
糖のヒドロキシル基を保護するのに常用されるモノ官能
性のヒドロキシル保護基、例えば(C2〜C6)アルカノ
イル基、特にアセチル基、またはベンゾイル基のような
アロイル基を有するヒドロキシル基保護用のアシル化剤
を、ヒドロキシル保護基導入剤として、加えて、式(II
I)の1-O-有機スルホニル化生成物の4位、5位および
6位の遊離のヒドロキシル基のすべてを保護するアシル
化反応を、糖の化学の慣用のヒドロキシル基保護法に従
って常法で行う。ヒドロキシル基保護のためのアシル化
反応は、室温または高めた温度で1〜10時間で反応混合
物の攪拌下に行って、終了できる。
実施できる。第1工程で得られた反応液に、糖の化学で
糖のヒドロキシル基を保護するのに常用されるモノ官能
性のヒドロキシル保護基、例えば(C2〜C6)アルカノ
イル基、特にアセチル基、またはベンゾイル基のような
アロイル基を有するヒドロキシル基保護用のアシル化剤
を、ヒドロキシル保護基導入剤として、加えて、式(II
I)の1-O-有機スルホニル化生成物の4位、5位および
6位の遊離のヒドロキシル基のすべてを保護するアシル
化反応を、糖の化学の慣用のヒドロキシル基保護法に従
って常法で行う。ヒドロキシル基保護のためのアシル化
反応は、室温または高めた温度で1〜10時間で反応混合
物の攪拌下に行って、終了できる。
【0030】この第2工程で用いるモノ官能性のヒドロ
キシル保護基としてのアルカノイル基またはアロイル基
R4を有するヒドロキシル保護基導入剤(アシル化剤)と
しては、(C2〜C6)アルカノイル・クロリド、ブロミ
ドまたはヨージド、例えばアセチルクロリド、プロピオ
ニルクロリドを使用することができ、また(C2〜C6)
アルカン酸無水物、例えば無水酢酸を使用できる。さら
に該ヒドロキシル保護基導入剤(アシル化剤)としては芳
香族カルボン酸、例えば安息香酸のクロリドまたは無水
物を使用できる。
キシル保護基としてのアルカノイル基またはアロイル基
R4を有するヒドロキシル保護基導入剤(アシル化剤)と
しては、(C2〜C6)アルカノイル・クロリド、ブロミ
ドまたはヨージド、例えばアセチルクロリド、プロピオ
ニルクロリドを使用することができ、また(C2〜C6)
アルカン酸無水物、例えば無水酢酸を使用できる。さら
に該ヒドロキシル保護基導入剤(アシル化剤)としては芳
香族カルボン酸、例えば安息香酸のクロリドまたは無水
物を使用できる。
【0031】上記の第2工程で式(III)の1D-1-O-有機
スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの4
位、5位、6位のヒドロキシル基を保護する反応を終了
した後は、生成された式(IV)の1D-1-O-有機スルホニ
ル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イ
ノシトールを含む反応液に、少量の水を加えて余剰の試
薬を分解する。その後、反応液を水に非混和性の有機溶
媒、例えばクロロホルムで希釈し、その有機層を分取
し、さらに硫酸水素カリウムの希水溶液、炭酸水素ナト
リウムの希水溶液および水で順次洗浄し、さらに乾燥
し、減圧下に濃縮すると、式(IV)の化合物がシロップま
たは結晶として収得できる。
スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの4
位、5位、6位のヒドロキシル基を保護する反応を終了
した後は、生成された式(IV)の1D-1-O-有機スルホニ
ル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イ
ノシトールを含む反応液に、少量の水を加えて余剰の試
薬を分解する。その後、反応液を水に非混和性の有機溶
媒、例えばクロロホルムで希釈し、その有機層を分取
し、さらに硫酸水素カリウムの希水溶液、炭酸水素ナト
リウムの希水溶液および水で順次洗浄し、さらに乾燥
し、減圧下に濃縮すると、式(IV)の化合物がシロップま
たは結晶として収得できる。
【0032】第1の本発明方法の第3工程は次のように
実施できる。すなわち、第2工程から得られた式(IV)
の化合物を非反応性で極性の適当な有機溶媒、例えばN,
N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)な
どに溶解し、さらに得られた溶液に式(V)のカルボン酸
アルカリ金属塩を加える。得られた反応混合物を加熱下
に攪拌して、40℃〜180℃の温度で1〜20時間反応を行
う。
実施できる。すなわち、第2工程から得られた式(IV)
の化合物を非反応性で極性の適当な有機溶媒、例えばN,
N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)な
どに溶解し、さらに得られた溶液に式(V)のカルボン酸
アルカリ金属塩を加える。得られた反応混合物を加熱下
に攪拌して、40℃〜180℃の温度で1〜20時間反応を行
う。
【0033】式(V)のカルボン酸アルカリ金属塩とし
ては、(C2〜C6)アルカン酸のリチウム塩またはナト
リウム塩もしくはカリウム塩、特に酢酸リチウム、酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸リチウムなど
を使用できる。また、式(V)のカルボン酸アルカリ金
属塩としては、芳香族カルボン酸、例えば安息香酸また
はp-メチル安息香酸のアルカリ金属塩を供用できる。安
息香酸リチウムが好ましい。
ては、(C2〜C6)アルカン酸のリチウム塩またはナト
リウム塩もしくはカリウム塩、特に酢酸リチウム、酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸リチウムなど
を使用できる。また、式(V)のカルボン酸アルカリ金
属塩としては、芳香族カルボン酸、例えば安息香酸また
はp-メチル安息香酸のアルカリ金属塩を供用できる。安
息香酸リチウムが好ましい。
【0034】式(V)のカルボン酸塩は式(IV)の化合
物の1モル当りに2〜10モル比の過剰の量で用いる。第
3工程で反応を行うことによって、式(IV)の化合物の
1位の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3が脱離して、式
(V)のカルボン酸塩のアルカノイルオキシ基またはア
ロイルオキシ基-O-CO-R5で置き換えられる置換反応が進
行して、1位の立体配置が反転した式(VI)の1D-6-O-ア
ルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,
4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールを生成する。第3
工程で反応が終了した後は、得られた反応液を濃縮す
る。得られた残渣を水非混和性の有機溶媒、例えばトル
エン、酢酸エチル、ジメチルエーテルまたはクロロホル
ムで抽出し、その得られた抽出液を水洗、乾燥し、さら
に濃縮すると、式(VI)の化合物を収得できる。
物の1モル当りに2〜10モル比の過剰の量で用いる。第
3工程で反応を行うことによって、式(IV)の化合物の
1位の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3が脱離して、式
(V)のカルボン酸塩のアルカノイルオキシ基またはア
ロイルオキシ基-O-CO-R5で置き換えられる置換反応が進
行して、1位の立体配置が反転した式(VI)の1D-6-O-ア
ルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,
4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールを生成する。第3
工程で反応が終了した後は、得られた反応液を濃縮す
る。得られた残渣を水非混和性の有機溶媒、例えばトル
エン、酢酸エチル、ジメチルエーテルまたはクロロホル
ムで抽出し、その得られた抽出液を水洗、乾燥し、さら
に濃縮すると、式(VI)の化合物を収得できる。
【0035】第1の本発明方法の第4工程は、次のよう
に実施できる。すなわちこの第4工程では、前記の第3
工程で得た式(VI)の化合物の3位、4位、5位のヒド
ロキシル基の保護用のアシル基R4の脱離と、6位のヒ
ドロキシル基に結合したアシル基-CO-R5の脱離とが糖の
化学で常用される脱保護法に準じて常法で行われる。第
4工程の脱保護反応を行うには、先づ、式(VI)の化合
物を適当なプロトン性有機溶媒、例えば無水メタノール
に溶解し、その溶液に塩基、例えばナトリウムメトキシ
ドのメタノール溶液を加えて室温で1〜2時間反応を行
う。これによって、式(VI)の化合物からアシル基型の
ヒドロキシル保護基R4が脱離でき、それと同時に6位
のヒドロキシル基に結合したアシル基-CO-R5が脱離でき
る。このようにして生成された次式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕の1D-1,2-ジ-O-アセタール化
-キロ-イノシトールを含む反応液を酸性イオン交換樹
脂、例えばアンバーライトCG-120(H+型)で処理して中
和し、中和された反応液を濃縮する。得られた残渣をジ
エチルエーテルまたはヘキサンなどで洗浄すると、式(V
II)の化合物よりなる固体が得られる。
に実施できる。すなわちこの第4工程では、前記の第3
工程で得た式(VI)の化合物の3位、4位、5位のヒド
ロキシル基の保護用のアシル基R4の脱離と、6位のヒ
ドロキシル基に結合したアシル基-CO-R5の脱離とが糖の
化学で常用される脱保護法に準じて常法で行われる。第
4工程の脱保護反応を行うには、先づ、式(VI)の化合
物を適当なプロトン性有機溶媒、例えば無水メタノール
に溶解し、その溶液に塩基、例えばナトリウムメトキシ
ドのメタノール溶液を加えて室温で1〜2時間反応を行
う。これによって、式(VI)の化合物からアシル基型の
ヒドロキシル保護基R4が脱離でき、それと同時に6位
のヒドロキシル基に結合したアシル基-CO-R5が脱離でき
る。このようにして生成された次式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕の1D-1,2-ジ-O-アセタール化
-キロ-イノシトールを含む反応液を酸性イオン交換樹
脂、例えばアンバーライトCG-120(H+型)で処理して中
和し、中和された反応液を濃縮する。得られた残渣をジ
エチルエーテルまたはヘキサンなどで洗浄すると、式(V
II)の化合物よりなる固体が得られる。
【0036】次に、第5工程では、式(VII)の化合物
から、式(VII)の化合物の1位および2位のヒドロキシ
ル基をアセタールの形で保護する次式(a) の1,1-ジ置換メチリデン基の脱離が糖化学で常用の脱保
護法に準じて行われる。このためには、式(VII)の化合
物を酸で処理する。例えば、式(VII)の化合物を50%酢
酸水に溶解して50℃〜100℃で30分〜1時間加熱する
と、脱アセタール化が行われる。
から、式(VII)の化合物の1位および2位のヒドロキシ
ル基をアセタールの形で保護する次式(a) の1,1-ジ置換メチリデン基の脱離が糖化学で常用の脱保
護法に準じて行われる。このためには、式(VII)の化合
物を酸で処理する。例えば、式(VII)の化合物を50%酢
酸水に溶解して50℃〜100℃で30分〜1時間加熱する
と、脱アセタール化が行われる。
【0037】式(VII)の化合物の1位、2位のヒドロキ
シル基から上記のように脱アセタールすると、式(A)の1
D-キロ-イノシトールが生成される。生成した1D-キロ-
イノシトールを含む反応液を濃縮し、得られた残渣を水
で抽出し、得られた水性抽出液をジエチルエーテルまた
はヘキサンなどで洗浄した後、濃縮することによって、
無色固体として光学純度の高い1D-キロ-イノシトールを
収得できる。あるいは前記の脱アセタール反応の反応液
を濃縮乾固し、その残渣にジエチルエーテルおよび水を
加えて攪拌し、水性相を分取すると、1D-キロ-イノシト
ールの水溶液を得ることもできる。
シル基から上記のように脱アセタールすると、式(A)の1
D-キロ-イノシトールが生成される。生成した1D-キロ-
イノシトールを含む反応液を濃縮し、得られた残渣を水
で抽出し、得られた水性抽出液をジエチルエーテルまた
はヘキサンなどで洗浄した後、濃縮することによって、
無色固体として光学純度の高い1D-キロ-イノシトールを
収得できる。あるいは前記の脱アセタール反応の反応液
を濃縮乾固し、その残渣にジエチルエーテルおよび水を
加えて攪拌し、水性相を分取すると、1D-キロ-イノシト
ールの水溶液を得ることもできる。
【0038】こうして得られた高純度の1D-キロ-イノシ
トールは、1D-キロ-イノシトールの市販の純品と物性が
一致して、融点238℃および比旋光度〔α〕D 25 +65°(c
1,水)を示した。得られた1D-キロ-イノシトール生成物
は適当な溶媒、例えば含水メタノールから結晶化するこ
とによって、更に精製できる。
トールは、1D-キロ-イノシトールの市販の純品と物性が
一致して、融点238℃および比旋光度〔α〕D 25 +65°(c
1,水)を示した。得られた1D-キロ-イノシトール生成物
は適当な溶媒、例えば含水メタノールから結晶化するこ
とによって、更に精製できる。
【0039】第1の本発明方法は、前記の式(Ia)の1D-
2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトールから出発し
て行われるのが都合よいので、第1の本発明方法の好ま
しい実施法としては、次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基を示す〕の1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミ
オ-イノシトールに−50℃ないし室温の範囲の温度でト
リフルオロメタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホ
ン酸無水物またはp-トルエンスルホニルクロリドあるい
はメタンスルホニルクロリドをピリジンの単独よりなる
溶媒中で、もしくは酸結合剤として作用する有機塩基、
好ましくはピリジンまたはトリアルキルアミンである有
機塩基の存在下で塩素化炭化水素、好ましくはジクロロ
メタンである有機溶媒中で反応させて次の一般式(IIIb) 〔式中、R3aはトリフルオロメチル基またはp-メチルフ
ェニル基またはメチル基を示す〕で表される1D-1-O-有
機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトー
ルを生成する第1工程と、一般式(IIIb)の化合物にヒ
ドロキシル保護基導入用のアシル化剤として酢酸無水
物、アセチルクロリド、安息香酸無水物またはベンゾイ
ルクロリドを酸結合剤として働く有機塩基、好ましくは
ピリジンまたはトリエチルアミンのような有機塩基の存
在下に有機溶剤中で反応させて次の一般式(IVb) 〔式中、R3aは上記と同じ意味をもち、R4aはアセチル
基またはベンゾイル基であるモノ官能性のヒドロキシル
保護基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシ
トールを生成する第2工程と、一般式(IVb)の化合物に
安息香酸リチウムまたはナトリウムもしくはカリウム、
あるいは酢酸リチウムまたはナトリウムもしくはカリウ
ムを有機溶媒、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド中
で高めた温度で反応させて次の一般式(VIb) 〔式中、R4aは上記と同じ意味をもち、R5aはフェニル
基またはメチル基である〕で表される1D-6-O-ベンゾイ
ルまたはアセチル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-
O-アセチルまたはベンゾイル-キロ-イノシトールを生成
する第3工程と、一般式(VIb)の化合物を低級アルカノ
ール中で塩基としてのアルカリ金属の(C1〜C4)アルコ
キシドで処理して、一般式(VIb)の化合物の3位、4
位、5位のヒドロキシル基を保護するアシル基(すなわ
ち、アセチル基またはベンゾイル基)、ならびに6位の
ヒドロキシル基に結合したアシル基(-CO-R5a)を脱離
し、これによって次式(VIIa) で表される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトー
ルを生成する第4工程と、上記の式(VIIa)の化合物を酸
水溶液で処理することにより脱アセタール化して前記の
式(A)の1D-キロ-イノシトールを生成する第5工程から
成る、1D-キロ-イノシトールの合成方法として行われる
のが便利である。
2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトールから出発し
て行われるのが都合よいので、第1の本発明方法の好ま
しい実施法としては、次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基を示す〕の1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミ
オ-イノシトールに−50℃ないし室温の範囲の温度でト
リフルオロメタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホ
ン酸無水物またはp-トルエンスルホニルクロリドあるい
はメタンスルホニルクロリドをピリジンの単独よりなる
溶媒中で、もしくは酸結合剤として作用する有機塩基、
好ましくはピリジンまたはトリアルキルアミンである有
機塩基の存在下で塩素化炭化水素、好ましくはジクロロ
メタンである有機溶媒中で反応させて次の一般式(IIIb) 〔式中、R3aはトリフルオロメチル基またはp-メチルフ
ェニル基またはメチル基を示す〕で表される1D-1-O-有
機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトー
ルを生成する第1工程と、一般式(IIIb)の化合物にヒ
ドロキシル保護基導入用のアシル化剤として酢酸無水
物、アセチルクロリド、安息香酸無水物またはベンゾイ
ルクロリドを酸結合剤として働く有機塩基、好ましくは
ピリジンまたはトリエチルアミンのような有機塩基の存
在下に有機溶剤中で反応させて次の一般式(IVb) 〔式中、R3aは上記と同じ意味をもち、R4aはアセチル
基またはベンゾイル基であるモノ官能性のヒドロキシル
保護基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシ
トールを生成する第2工程と、一般式(IVb)の化合物に
安息香酸リチウムまたはナトリウムもしくはカリウム、
あるいは酢酸リチウムまたはナトリウムもしくはカリウ
ムを有機溶媒、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド中
で高めた温度で反応させて次の一般式(VIb) 〔式中、R4aは上記と同じ意味をもち、R5aはフェニル
基またはメチル基である〕で表される1D-6-O-ベンゾイ
ルまたはアセチル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-
O-アセチルまたはベンゾイル-キロ-イノシトールを生成
する第3工程と、一般式(VIb)の化合物を低級アルカノ
ール中で塩基としてのアルカリ金属の(C1〜C4)アルコ
キシドで処理して、一般式(VIb)の化合物の3位、4
位、5位のヒドロキシル基を保護するアシル基(すなわ
ち、アセチル基またはベンゾイル基)、ならびに6位の
ヒドロキシル基に結合したアシル基(-CO-R5a)を脱離
し、これによって次式(VIIa) で表される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトー
ルを生成する第4工程と、上記の式(VIIa)の化合物を酸
水溶液で処理することにより脱アセタール化して前記の
式(A)の1D-キロ-イノシトールを生成する第5工程から
成る、1D-キロ-イノシトールの合成方法として行われる
のが便利である。
【0040】さらに、第1の本発明方法は、その第1工
程の出発化合物として前記の式(Ia)の1D-2,3-ジ-O-アセ
タール化-ミオ-イノシトールを用いて行われる場合に
は、本発明の第1工程、第2工程、第3工程および第4
工程ならびに第5工程の各方法はそれぞれに新規な方法
である。
程の出発化合物として前記の式(Ia)の1D-2,3-ジ-O-アセ
タール化-ミオ-イノシトールを用いて行われる場合に
は、本発明の第1工程、第2工程、第3工程および第4
工程ならびに第5工程の各方法はそれぞれに新規な方法
である。
【0041】従って、第2の本発明においては、次の一
般式(I) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表されるミオ-
イノシトールの2,3-アセタールを、次の一般式(II) (R3SO2)2O (II) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
ある〕で表される有機スルホン酸無水物、あるいは次の
一般式(II') R3SO2X (II') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもち、Xは塩素または臭
素原子である〕で表される有機スルホン酸クロリドまた
はブロミドと反応させて、一般式(I)のミオ-イノシト
ール誘導体の1位ヒドロキシル基の選択的な有機スルホ
ニル化を行うことから成る、次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの
製造法が提供される。
般式(I) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表されるミオ-
イノシトールの2,3-アセタールを、次の一般式(II) (R3SO2)2O (II) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
ある〕で表される有機スルホン酸無水物、あるいは次の
一般式(II') R3SO2X (II') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもち、Xは塩素または臭
素原子である〕で表される有機スルホン酸クロリドまた
はブロミドと反応させて、一般式(I)のミオ-イノシト
ール誘導体の1位ヒドロキシル基の選択的な有機スルホ
ニル化を行うことから成る、次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの
製造法が提供される。
【0042】さらに、第3の本発明においては、次の一
般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもち、R3は低級アルキル基、ω-ト
リハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好ましくはフ
ェニル基、または低級アルキル基でもしくはニトロ基で
置換されたフェニル基、あるいはアラルキル基、好まし
くはベンジル基である〕で表される1D-1-O-有機スルホ
ニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールに、モノ官能
性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基または
アロイル基R4を有するヒドロキシル保護基導入用のア
シル化剤を反応させることから成る、次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはアロ
イル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシ
トールの製造法が提供される。
般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもち、R3は低級アルキル基、ω-ト
リハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好ましくはフ
ェニル基、または低級アルキル基でもしくはニトロ基で
置換されたフェニル基、あるいはアラルキル基、好まし
くはベンジル基である〕で表される1D-1-O-有機スルホ
ニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールに、モノ官能
性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基または
アロイル基R4を有するヒドロキシル保護基導入用のア
シル化剤を反応させることから成る、次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはアロ
イル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシ
トールの製造法が提供される。
【0043】さらに、第4の本発明においては次の一般
式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはアロ
イル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシト
ールに次の一般式(V) R5CO2-M (V) 〔式中、Mはアルカリ金属原子、特にリチウムまたはナ
トリウムもしくはカリウム原子を示し、R5は低級アル
キル基またはアリール基、好ましくは低級アルキル基で
置換されてもよいフェニル基を示す〕のカルボン酸アル
カリ金属塩を非プロトン性の極性有機溶媒中で加熱下に
反応させ、これによって一般式(IV)のミオ-イノシト
ール保護誘導体の1位の立体配置の反転を伴う、1位の
有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離とアルカノイル
オキシ基またはアロイルオキシ基-O-CO-R5による置換反
応を行うことから成る、次の一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-アシル-キロ-イノシトールの
製造法が提供される。
式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはアロ
イル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシト
ールに次の一般式(V) R5CO2-M (V) 〔式中、Mはアルカリ金属原子、特にリチウムまたはナ
トリウムもしくはカリウム原子を示し、R5は低級アル
キル基またはアリール基、好ましくは低級アルキル基で
置換されてもよいフェニル基を示す〕のカルボン酸アル
カリ金属塩を非プロトン性の極性有機溶媒中で加熱下に
反応させ、これによって一般式(IV)のミオ-イノシト
ール保護誘導体の1位の立体配置の反転を伴う、1位の
有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離とアルカノイル
オキシ基またはアロイルオキシ基-O-CO-R5による置換反
応を行うことから成る、次の一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-アシル-キロ-イノシトールの
製造法が提供される。
【0044】さらに、第5の本発明においては次の一般
式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性のヒドロキ
シル保護基としてのアルカノイル基またはアロイル基を
示し、R5は低級アルキル基またはアリール基、好まし
くは低級アルキル基で置換されてもよいフェニル基を示
す〕で表される1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アシル-キロ-イノ
シトールのモノ官能性のヒドロキシル保護基R4および
アルカノイル基またはアロイル基-CO-R5を脱保護処理に
より一般式(VI)の化合物から脱離させることから成る、
次式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールの製造法が提供される。
式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性のヒドロキ
シル保護基としてのアルカノイル基またはアロイル基を
示し、R5は低級アルキル基またはアリール基、好まし
くは低級アルキル基で置換されてもよいフェニル基を示
す〕で表される1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アシル-キロ-イノ
シトールのモノ官能性のヒドロキシル保護基R4および
アルカノイル基またはアロイル基-CO-R5を脱保護処理に
より一般式(VI)の化合物から脱離させることから成る、
次式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールの製造法が提供される。
【0045】さらに、第6の本発明においては、次式(V
II) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表される1D-1,2
-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトールから、1位およ
び2位ヒドロキシル基をアセタールの形で保護する1,1-
ジ置換メチリデン基の型のヒドロキシル保護基を酸処理
により脱離させることから成る、次式(A) の1D-キロ-イノシトールの製造法が提供される。
II) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表される1D-1,2
-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトールから、1位およ
び2位ヒドロキシル基をアセタールの形で保護する1,1-
ジ置換メチリデン基の型のヒドロキシル保護基を酸処理
により脱離させることから成る、次式(A) の1D-キロ-イノシトールの製造法が提供される。
【0046】更に、本発明者らは、第1の本発明方法と
は異なる新しいルートで1D-キロ-イノシトールを製造で
きる新規方法を開発する目的で別段の研究を進めた。こ
れら別段の研究の結果として、第1の本発明方法で中間
体として得た前記の一般式(IV)の1D-1-O-有機スルホニ
ル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイル
またはアロイル-ミオ-イノシトールを、非反応性の極性
有機溶媒中で加熱下にフッ化ナトリウム、一般的には、
アルカリ金属フッ化物で処理する場合に、一般式(IV)
のミオ-イノシトール-O-アシル誘導体の1位の有機スル
ホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒ
ドロキシル基の立体配置が反転した次の一般式(VIII
a) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールを生成することができ、ま
た並行的に起こるアシル転移によって次の一般式(VIII
c) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一方
を生成することが知見された。
は異なる新しいルートで1D-キロ-イノシトールを製造で
きる新規方法を開発する目的で別段の研究を進めた。こ
れら別段の研究の結果として、第1の本発明方法で中間
体として得た前記の一般式(IV)の1D-1-O-有機スルホニ
ル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイル
またはアロイル-ミオ-イノシトールを、非反応性の極性
有機溶媒中で加熱下にフッ化ナトリウム、一般的には、
アルカリ金属フッ化物で処理する場合に、一般式(IV)
のミオ-イノシトール-O-アシル誘導体の1位の有機スル
ホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒ
ドロキシル基の立体配置が反転した次の一般式(VIII
a) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールを生成することができ、ま
た並行的に起こるアシル転移によって次の一般式(VIII
c) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一方
を生成することが知見された。
【0047】こうして生成された式(VIIIa)〜式(VIIId)
の化合物を含む反応液を水洗、乾燥および濃縮し、こう
して得られたシロップを不純物の除去の目的でクロマト
グラフィーにかけると、前記の式(VIIIa)の化合物、式
(VIIIb)の化合物、式(VIIIc)の化合物および式(VIIId)
の化合物よりなる混合物、あるいは式(VIIIa)の化合物
と、式(VIIIb)の化合物と、式(VIIIc)の化合物および/
または式(VIIId)の化合物とよりなる混合物を採取でき
ることが知見された。
の化合物を含む反応液を水洗、乾燥および濃縮し、こう
して得られたシロップを不純物の除去の目的でクロマト
グラフィーにかけると、前記の式(VIIIa)の化合物、式
(VIIIb)の化合物、式(VIIIc)の化合物および式(VIIId)
の化合物よりなる混合物、あるいは式(VIIIa)の化合物
と、式(VIIIb)の化合物と、式(VIIIc)の化合物および/
または式(VIIId)の化合物とよりなる混合物を採取でき
ることが知見された。
【0048】こうして得られた前記の混合物を低級アル
カノール中でアルカリ金属アルコキシドで処理し、これ
によって式(VIIIa)の化合物と、式(VIIIb)の化合物と、
式(VIIIc)の化合物および/または式(VIIId)の化合物と
からアルカノイル基またはアロイル基R4を脱離する
と、第1の本発明方法の第4工程で得られた次の一般式
(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成することが認められ
た。
カノール中でアルカリ金属アルコキシドで処理し、これ
によって式(VIIIa)の化合物と、式(VIIIb)の化合物と、
式(VIIIc)の化合物および/または式(VIIId)の化合物と
からアルカノイル基またはアロイル基R4を脱離する
と、第1の本発明方法の第4工程で得られた次の一般式
(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成することが認められ
た。
【0049】従って、第7の本発明においては、次の一
般式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、さらにR4はモノ官
能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基また
はアロイル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニ
ル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイル
またはアロイル-ミオ-イノシトールを、アルカリ金属フ
ッ化物の存在下に非反応性の極性有機溶媒中で加熱下に
処理し、これによって一般式(IV)のミオ-イノシトー
ル-O-アシル誘導体の1位の有機スルホニルオキシ基-O-
SO2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒドロキシル基の立
体配置が反転した次の一般式(VIIIa) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールを生成し、また並行的に起
こるアシル転移によって次の一般式(VIIIc) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一方
を生成する第1工程と、こうして得られた第1工程の生
成物の混合物を低級アルカノール中でアルカリ金属アル
コキシドで処理し、これによって式(VIIIa)の化合物
と、式(VIIIb)の化合物と、式(VIIIc)の化合物および/
または式(VIIId)の化合物とから、アルカノイル基また
はアロイル基R4を脱離させ且つこうして次の一般式(VI
I) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成する第2工程と、一
般式(VII)の1D-キロ-イノシトール誘導体を酸処理し
て、これにより一般式(VII)の化合物から、上記の式
(a)で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第3工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法が
提供される。
般式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、さらにR4はモノ官
能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基また
はアロイル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニ
ル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイル
またはアロイル-ミオ-イノシトールを、アルカリ金属フ
ッ化物の存在下に非反応性の極性有機溶媒中で加熱下に
処理し、これによって一般式(IV)のミオ-イノシトー
ル-O-アシル誘導体の1位の有機スルホニルオキシ基-O-
SO2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒドロキシル基の立
体配置が反転した次の一般式(VIIIa) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールを生成し、また並行的に起
こるアシル転移によって次の一般式(VIIIc) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一方
を生成する第1工程と、こうして得られた第1工程の生
成物の混合物を低級アルカノール中でアルカリ金属アル
コキシドで処理し、これによって式(VIIIa)の化合物
と、式(VIIIb)の化合物と、式(VIIIc)の化合物および/
または式(VIIId)の化合物とから、アルカノイル基また
はアロイル基R4を脱離させ且つこうして次の一般式(VI
I) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成する第2工程と、一
般式(VII)の1D-キロ-イノシトール誘導体を酸処理し
て、これにより一般式(VII)の化合物から、上記の式
(a)で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第3工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法が
提供される。
【0050】上記の第7の本発明方法は、その好ましい
実施法として、次の一般式(IVa) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
あり、さらにR4はモノ官能性のヒドロキシル保護基と
してのアルカノイル基、好ましくはアセチル基またはア
ロイル基、好ましくはベンゾイル基を示す〕で表される
1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-
トリ-O-アルカノイルまたはアロイル-ミオ-イノシトー
ルを、アルカリ金属フッ化物、好ましくはフッ化ナトリ
ウムの存在下に非反応性の極性有機溶媒中で加熱下に処
理し、これによって一般式(IVa)のミオ-イノシトール
-O-アシル誘導体の1位の有機スルホニルオキシ基-O-SO
2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒドロキシル基の立体
位置が反転した次の一般式(VIIIa-1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb-
1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールを生成し、また並行的に
起こるアシル転移によって次の一般式(VIIIc-1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId-
1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一
方を生成する第1工程と、こうして得られた第1工程の
生成物の混合物を低級アルカノール中でアルカリ金属ア
ルコキシドで処理し、これによって式(VIIIa-1)の化合
物と、式(VIIIb-1)の化合物と、式(VIIIc-1)の化合物お
よび/または式(VIIId-1)の化合物とから、アルカノイ
ル基またはアロイル基R4を脱離させ且つこうして次の
一般式(VIIa) で表される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトー
ルを生成する第2工程と、一般式(VIIa)の1D-キロ-イ
ノシトール誘導体を酸処理して、これにより一般式(VI
Ia)の化合物から、カンファー置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第3工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法を
包含する。
実施法として、次の一般式(IVa) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
あり、さらにR4はモノ官能性のヒドロキシル保護基と
してのアルカノイル基、好ましくはアセチル基またはア
ロイル基、好ましくはベンゾイル基を示す〕で表される
1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-
トリ-O-アルカノイルまたはアロイル-ミオ-イノシトー
ルを、アルカリ金属フッ化物、好ましくはフッ化ナトリ
ウムの存在下に非反応性の極性有機溶媒中で加熱下に処
理し、これによって一般式(IVa)のミオ-イノシトール
-O-アシル誘導体の1位の有機スルホニルオキシ基-O-SO
2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒドロキシル基の立体
位置が反転した次の一般式(VIIIa-1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb-
1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールを生成し、また並行的に
起こるアシル転移によって次の一般式(VIIIc-1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId-
1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一
方を生成する第1工程と、こうして得られた第1工程の
生成物の混合物を低級アルカノール中でアルカリ金属ア
ルコキシドで処理し、これによって式(VIIIa-1)の化合
物と、式(VIIIb-1)の化合物と、式(VIIIc-1)の化合物お
よび/または式(VIIId-1)の化合物とから、アルカノイ
ル基またはアロイル基R4を脱離させ且つこうして次の
一般式(VIIa) で表される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトー
ルを生成する第2工程と、一般式(VIIa)の1D-キロ-イ
ノシトール誘導体を酸処理して、これにより一般式(VI
Ia)の化合物から、カンファー置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第3工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法を
包含する。
【0051】次に、第7の本発明による方法を詳しく説
明する。第7の本発明方法の第1工程で出発化合物とし
て用いられる一般式(IV)の化合物は、第1の本発明方法
の第2工程で得られた生成物である。
明する。第7の本発明方法の第1工程で出発化合物とし
て用いられる一般式(IV)の化合物は、第1の本発明方法
の第2工程で得られた生成物である。
【0052】第7の本発明方法の第1工程は次のように
実施できる。すなわち第1の本発明方法の第2工程から
得られた式(IV)の化合物を、第7の本発明方法の第1
工程では、先づ非反応性で極性の適当な有機溶媒、例え
ばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMP
A)などに溶解し、さらに得られた溶液にアルカリ金属フ
ッ化物、好ましくはフッ化ナトリウムを加える。得られ
た反応混合物を加熱下に攪拌して、100℃〜180℃の温度
で1〜20時間反応を行う。
実施できる。すなわち第1の本発明方法の第2工程から
得られた式(IV)の化合物を、第7の本発明方法の第1
工程では、先づ非反応性で極性の適当な有機溶媒、例え
ばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMP
A)などに溶解し、さらに得られた溶液にアルカリ金属フ
ッ化物、好ましくはフッ化ナトリウムを加える。得られ
た反応混合物を加熱下に攪拌して、100℃〜180℃の温度
で1〜20時間反応を行う。
【0053】アルカリ金属フッ化物としては、一般的に
は、リチウムまたはナトリウムまたはカリウムのフッ化
物を使用できる。アルカリ金属フッ化物は式(IV)の化
合物の1モル当りに等モル比から10モル比の過剰の量
で用いる。本法の第1工程で反応を行うことによって、
式(IV)の化合物の1位の有機スルホニルオキシ基-O-S
O2R3が脱離される反応が進行して、ヒドロキシル基の立
体配置の反転された式(VIIIa)の1D-1,2-ジ-O-アセター
ル化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトール及び式(VII
Ib)の1D-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-保護-キ
ロ-イノシトールを生成する。
は、リチウムまたはナトリウムまたはカリウムのフッ化
物を使用できる。アルカリ金属フッ化物は式(IV)の化
合物の1モル当りに等モル比から10モル比の過剰の量
で用いる。本法の第1工程で反応を行うことによって、
式(IV)の化合物の1位の有機スルホニルオキシ基-O-S
O2R3が脱離される反応が進行して、ヒドロキシル基の立
体配置の反転された式(VIIIa)の1D-1,2-ジ-O-アセター
ル化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトール及び式(VII
Ib)の1D-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-保護-キ
ロ-イノシトールを生成する。
【0054】第7の本発明方法の第1工程では、前記の
ようにして、式(VIIIa)及び式(VIIIb)の1D-キロ-イノ
シトール誘導体が生成される。他方、式(VIIIa)及び式
(VIIIb)の化合物を生成する反応と並行的に、式(VIIIa)
及び式(VIIIb)の化合物のヒドロキシル基に結合してい
たアルカノイル基またはアロイル基R4が遊離のヒドロ
キシル基に移動するアシル転移を起す反応も進行する。
その結果、第1工程の終了後に得られた反応液中には、
式(VIIIa)の化合物と式(VIIIb)の化合物が生成されて
おり、また場合によっては、式(VIIIc)の化合物と式(VI
IId)の化合物との何れか一方または両方が生成されてい
る。反応液中に含有されて混在する式(VIIIa)の化合
物、式(VIIIb)の化合物、式(VIIIc)の化合物、式(VIII
d)の化合物を、それぞれ相互にクロマトグラフィー的に
分離できる技術は未だ見出されていないが、第7の本発
明の方法の第2工程で中間体として用いる場合、混合物
のままで何ら支障がない。
ようにして、式(VIIIa)及び式(VIIIb)の1D-キロ-イノ
シトール誘導体が生成される。他方、式(VIIIa)及び式
(VIIIb)の化合物を生成する反応と並行的に、式(VIIIa)
及び式(VIIIb)の化合物のヒドロキシル基に結合してい
たアルカノイル基またはアロイル基R4が遊離のヒドロ
キシル基に移動するアシル転移を起す反応も進行する。
その結果、第1工程の終了後に得られた反応液中には、
式(VIIIa)の化合物と式(VIIIb)の化合物が生成されて
おり、また場合によっては、式(VIIIc)の化合物と式(VI
IId)の化合物との何れか一方または両方が生成されてい
る。反応液中に含有されて混在する式(VIIIa)の化合
物、式(VIIIb)の化合物、式(VIIIc)の化合物、式(VIII
d)の化合物を、それぞれ相互にクロマトグラフィー的に
分離できる技術は未だ見出されていないが、第7の本発
明の方法の第2工程で中間体として用いる場合、混合物
のままで何ら支障がない。
【0055】第7の本発明方法の第2工程では、前段の
第1工程で得られた上記の混合物を低級アルカノール中
でアルカリ金属アルコキシドで処理し、これによって式
(VIIIa)の化合物と式(VIIIb)の化合物と式(VIIIc)の化
合物および/または式(VIIId)の化合物とからアルカノ
イル基またはアロイル基R4を脱離させ且つこうして一
般式(VII)の1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシト
ールを生成できる。該第2工程は、第1の本発明方法の
第4工程と全く同じ要領で実施できる。
第1工程で得られた上記の混合物を低級アルカノール中
でアルカリ金属アルコキシドで処理し、これによって式
(VIIIa)の化合物と式(VIIIb)の化合物と式(VIIIc)の化
合物および/または式(VIIId)の化合物とからアルカノ
イル基またはアロイル基R4を脱離させ且つこうして一
般式(VII)の1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシト
ールを生成できる。該第2工程は、第1の本発明方法の
第4工程と全く同じ要領で実施できる。
【0056】第7の本発明方法の第3工程では、前段の
第2工程で得られた式(VII)の化合物を、それから1,1-
ジ-置換メチリデン基の型のヒドロキシル保護基(=C-R1,
-R2)を脱離させるための脱保護反応にかける。これによ
って、目的の1D-キロ-イノシトールを生成できる。該第
3工程は、第1の本発明方法の第5工程と全く同じ要領
で実施できる。
第2工程で得られた式(VII)の化合物を、それから1,1-
ジ-置換メチリデン基の型のヒドロキシル保護基(=C-R1,
-R2)を脱離させるための脱保護反応にかける。これによ
って、目的の1D-キロ-イノシトールを生成できる。該第
3工程は、第1の本発明方法の第5工程と全く同じ要領
で実施できる。
【0057】さらに、第8の本発明では、新規な中間体
化合物として、次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールが
提供される。
化合物として、次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールが
提供される。
【0058】上記の一般式(III)のアセタールは次の
一般式(III') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-
O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシ
トールであることができる。
一般式(III') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-
O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシ
トールであることができる。
【0059】第9の本発明によると、新規な中間体とし
て次の一般式(IV) 〔式中、次式(a) の基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドから誘導さ
れた、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジメチルア
セタールから、アセタール部分のメトキシ基2個の解離
により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキル基、
ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好ましく
はフェニル基、または低級アルキル基でもしくはニトロ
基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル基、好
ましくはベンジル基であり、R4はモノ官能性のヒドロ
キシル保護基としてのアルカノイル基またはアロイル基
である〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-
アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシトール
が提供される。
て次の一般式(IV) 〔式中、次式(a) の基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドから誘導さ
れた、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジメチルア
セタールから、アセタール部分のメトキシ基2個の解離
により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキル基、
ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好ましく
はフェニル基、または低級アルキル基でもしくはニトロ
基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル基、好
ましくはベンジル基であり、R4はモノ官能性のヒドロ
キシル保護基としてのアルカノイル基またはアロイル基
である〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-
アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシトール
が提供される。
【0060】第9の本発明による一般式(IV)の化合物
は次の一般式(IVb) 〔式中、R3aはトリフルオロメチル基、p-メチルフェニ
ル基またはメチル基であり、R4aはアセチル基またはベ
ンゾイル基である〕で表される1D-2,3-O-(D-1',7',7'-
トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-O
-有機スルホニル-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシト
ールであることが好ましい。
は次の一般式(IVb) 〔式中、R3aはトリフルオロメチル基、p-メチルフェニ
ル基またはメチル基であり、R4aはアセチル基またはベ
ンゾイル基である〕で表される1D-2,3-O-(D-1',7',7'-
トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-O
-有機スルホニル-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシト
ールであることが好ましい。
【0061】第10の本発明によると、新規な中間体と
して一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールが提
供される。
して一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールが提
供される。
【0062】第11の本発明によると、新規な中間体と
して一般式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールが提供される。
して一般式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールが提供される。
【0063】第12の本発明によると、第7の本発明方
法で生成された新規な生成物として、次の一般式(VIII
a) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、一般式(VIIIc) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとから成る群から選ばれる
化合物が提供される。
法で生成された新規な生成物として、次の一般式(VIII
a) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、一般式(VIIIc) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとから成る群から選ばれる
化合物が提供される。
【0064】さらに、第13の本発明によると、次式
(B) で表されるミオ-イノシトールを次式(E) で表されるオルトぎ酸トリメチルおよび低級アルキルア
ルコール、好ましくはメタノールの存在下に次式(F) で表される(1R)-(+)-カンファーと極性有機溶媒、好ま
しくはジメチルスルホキシドの有機溶媒中で触媒量の
酸、好ましくは硫酸の存在下に50℃ないし100℃の範囲
の温度で反応させることから成る、次式(Ia) の化合物と次式(IXa) の化合物と、次式(IXb) の化合物と、次式(IXc) の化合物とを製造する方法が提供される。
(B) で表されるミオ-イノシトールを次式(E) で表されるオルトぎ酸トリメチルおよび低級アルキルア
ルコール、好ましくはメタノールの存在下に次式(F) で表される(1R)-(+)-カンファーと極性有機溶媒、好ま
しくはジメチルスルホキシドの有機溶媒中で触媒量の
酸、好ましくは硫酸の存在下に50℃ないし100℃の範囲
の温度で反応させることから成る、次式(Ia) の化合物と次式(IXa) の化合物と、次式(IXb) の化合物と、次式(IXc) の化合物とを製造する方法が提供される。
【0065】第13の本発明方法においては、ミオ-イ
ノシトールを適当な極性有機溶媒、好ましくはジメチル
スルホキシド(DMSO)またはN,N-ジメチルホルムアミド(D
MF)の有機溶媒中に懸濁させ、この懸濁液に脱水剤とし
て作用するオルトぎ酸トリメチルをミオ-イノシトール
の1モル当り3〜15モル比の過剰の量で、ならびに低級
アルキルアルコール、好ましくはメタノールをミオ-イ
ノシトールの1モル当り5〜20モル比の過剰の量で加
え、さらに触媒量の酸、例えば硫酸、塩化水素、または
p-トルエンスルホン酸を加え,その反応混合物を50〜10
0℃の範囲の温度で4〜20時間、撹拌下に反応にかける
ことができる。これによって、ミオ-イノシトール-2,3-
アセタール、および2位、3位以外のヒドロキシル基の
所で過度にアセタール化されたミオ-イノシトール誘導
体が生成される。
ノシトールを適当な極性有機溶媒、好ましくはジメチル
スルホキシド(DMSO)またはN,N-ジメチルホルムアミド(D
MF)の有機溶媒中に懸濁させ、この懸濁液に脱水剤とし
て作用するオルトぎ酸トリメチルをミオ-イノシトール
の1モル当り3〜15モル比の過剰の量で、ならびに低級
アルキルアルコール、好ましくはメタノールをミオ-イ
ノシトールの1モル当り5〜20モル比の過剰の量で加
え、さらに触媒量の酸、例えば硫酸、塩化水素、または
p-トルエンスルホン酸を加え,その反応混合物を50〜10
0℃の範囲の温度で4〜20時間、撹拌下に反応にかける
ことができる。これによって、ミオ-イノシトール-2,3-
アセタール、および2位、3位以外のヒドロキシル基の
所で過度にアセタール化されたミオ-イノシトール誘導
体が生成される。
【0066】得られたミオ-イノシトールのアセタール
化誘導体を含む反応液に有機塩基、例えばナトリウムメ
トキシド、トリエチルアミンを加えて中和し、その中和
された反応液を溶媒の留去により濃縮すると、式(Ia)
の所望な化合物1D-2,3-ジ-0-アセタール化-ミオ-イノシ
トールと、望まないその他の過度にアセタール化された
ミオ-イノシトール誘導体の混合物がシロップとして得
られる。このシロップを適当な有機溶媒、好ましくはメ
タノール、アセトン、またはクロロホルム-メタノール
の混液もしくはヘキサン-メタノールの混液に溶解し
て、その溶液に少量の水および触媒量のp-トルエンスル
ホン酸を加えて室温で5〜20時間撹拌する。
化誘導体を含む反応液に有機塩基、例えばナトリウムメ
トキシド、トリエチルアミンを加えて中和し、その中和
された反応液を溶媒の留去により濃縮すると、式(Ia)
の所望な化合物1D-2,3-ジ-0-アセタール化-ミオ-イノシ
トールと、望まないその他の過度にアセタール化された
ミオ-イノシトール誘導体の混合物がシロップとして得
られる。このシロップを適当な有機溶媒、好ましくはメ
タノール、アセトン、またはクロロホルム-メタノール
の混液もしくはヘキサン-メタノールの混液に溶解し
て、その溶液に少量の水および触媒量のp-トルエンスル
ホン酸を加えて室温で5〜20時間撹拌する。
【0067】この場合に、式(Ia)の所望な化合物1D-
2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトールは比較的安
定であるが、過度にアセタール化されたミオ-イノシト
ール誘導体の混合物からは、酸に対して比較的不安定な
カンファー由来のトランス配置を有するアセタール形の
保護基が脱離され、そして、懸濁液状の反応液が得られ
る。この反応液にヘキサンを混和して、生じた沈殿を濾
取し、得られた固体を水洗し、乾燥すると、式(Ia)の
化合物およびその異性体である式(IXa)、式(IXb)、
式(IXc)の化合物の混合物が得られる。この混合物に
ついて含水メタノールから結晶化を行うことで式(Ia)
の化合物を高い光学純度の結晶として得ることができ
る。
2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシトールは比較的安
定であるが、過度にアセタール化されたミオ-イノシト
ール誘導体の混合物からは、酸に対して比較的不安定な
カンファー由来のトランス配置を有するアセタール形の
保護基が脱離され、そして、懸濁液状の反応液が得られ
る。この反応液にヘキサンを混和して、生じた沈殿を濾
取し、得られた固体を水洗し、乾燥すると、式(Ia)の
化合物およびその異性体である式(IXa)、式(IXb)、
式(IXc)の化合物の混合物が得られる。この混合物に
ついて含水メタノールから結晶化を行うことで式(Ia)
の化合物を高い光学純度の結晶として得ることができ
る。
【0068】ミオ-イノシトールに対するカンファー置
換メチリデン基の型のジ官能性ヒドロキシル保護基の導
入は、従来、カンファーから合成により(1R)-(+)-カ
ンファーのジメチルアセタールを調製し、こうして得ら
れた(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールをアセ
タール化剤としてミオ-イノシトールに対して用いるこ
とで行われていた。しかし、第13の本発明によると、
ミオ-イノシトールに対するカンファー置換メチリデン
基の型のジ官能性ヒドロキシル保護基の導入に際して、
(1R)-(+)-カンファーから(1R)-(+)-カンファーのジメチ
ルアセタールを調製する工程が省略され、アセタール化
剤として(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールを
用いることなく、直接に(1R)-(+)-カンファーを用いて
もミオ-イノシトールに対するカンファー置換メチリデ
ン基の型のジ官能性ヒドロキシル保護基の導入が可能と
なった。
換メチリデン基の型のジ官能性ヒドロキシル保護基の導
入は、従来、カンファーから合成により(1R)-(+)-カ
ンファーのジメチルアセタールを調製し、こうして得ら
れた(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールをアセ
タール化剤としてミオ-イノシトールに対して用いるこ
とで行われていた。しかし、第13の本発明によると、
ミオ-イノシトールに対するカンファー置換メチリデン
基の型のジ官能性ヒドロキシル保護基の導入に際して、
(1R)-(+)-カンファーから(1R)-(+)-カンファーのジメチ
ルアセタールを調製する工程が省略され、アセタール化
剤として(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールを
用いることなく、直接に(1R)-(+)-カンファーを用いて
もミオ-イノシトールに対するカンファー置換メチリデ
ン基の型のジ官能性ヒドロキシル保護基の導入が可能と
なった。
【0069】
【発明の実施の形態】次に、第1の本発明方法で出発化
合物として用いられる一般式(I)の1D-2,3-ジ-O-アセ
タール化-ミオ-イノシトールの一例の化合物の調製を例
示する参考例、ならびに第1の本発明方法を例示する実
施例1〜5、ならびに第7の本発明方法を例示する実施
例7〜8、およびその他の実施例をあげて、本発明を具
体的に説明する。しかし、本発明が下記の参考例および
実施例に限定されることはない。
合物として用いられる一般式(I)の1D-2,3-ジ-O-アセ
タール化-ミオ-イノシトールの一例の化合物の調製を例
示する参考例、ならびに第1の本発明方法を例示する実
施例1〜5、ならびに第7の本発明方法を例示する実施
例7〜8、およびその他の実施例をあげて、本発明を具
体的に説明する。しかし、本発明が下記の参考例および
実施例に限定されることはない。
【0070】参考例1 次式(Ia)の1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.2.1〕
ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシトール〔化
合物(1)〕の合成 KS. Bruzik等の方法「Carbohydrate Research, 195巻、
67-73頁、1989年:およびJ. Am. Chem. Soc, 114巻, 63
61-6374頁、1992年」に準じて、ミオ-イノシトールから
光学的に純粋な上記の化合物(1)を合成する。
ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシトール〔化
合物(1)〕の合成 KS. Bruzik等の方法「Carbohydrate Research, 195巻、
67-73頁、1989年:およびJ. Am. Chem. Soc, 114巻, 63
61-6374頁、1992年」に準じて、ミオ-イノシトールから
光学的に純粋な上記の化合物(1)を合成する。
【0071】このために、ミオ-イノシトール14.0 gを
ジメチルスルホキシド65 mLに懸濁せしめた。得られた
ミオ-イノシトール縣濁液に(1R)-(+)-カンファーのジメ
チルアセタール29.3 gおよび硫酸0.36 mLを加えた。得
られた混合物を70℃で3時間攪拌して反応せしめた(ア
セタール化反応)。
ジメチルスルホキシド65 mLに懸濁せしめた。得られた
ミオ-イノシトール縣濁液に(1R)-(+)-カンファーのジメ
チルアセタール29.3 gおよび硫酸0.36 mLを加えた。得
られた混合物を70℃で3時間攪拌して反応せしめた(ア
セタール化反応)。
【0072】得られた均一の反応液に28%ナトリウムメ
トキシドのメタノール溶液1.1 mLを加えて中和し、その
後、中和された溶液を濃縮してシロップを得た。このシ
ロップをクロロホルム-メタノール(10:1)の混液66 mL
に溶解した。この溶液に水0.6mL及びp-トルエンスルホ
ン酸55 mgを加えて室温で1晩攪拌した。これによっ
て、過度にアセタール化された生成物から選択的にトラ
ンス-アセタール基を脱離せしめた。
トキシドのメタノール溶液1.1 mLを加えて中和し、その
後、中和された溶液を濃縮してシロップを得た。このシ
ロップをクロロホルム-メタノール(10:1)の混液66 mL
に溶解した。この溶液に水0.6mL及びp-トルエンスルホ
ン酸55 mgを加えて室温で1晩攪拌した。これによっ
て、過度にアセタール化された生成物から選択的にトラ
ンス-アセタール基を脱離せしめた。
【0073】こうして得られた懸濁液状の反応液は、上
記の所望な式(Ia)の化合物(1)を含有するものである。
この反応液にヘキサン1.5 Lを加え、生じた沈殿をろ取
して固体(24.1 g)を得た。これをさらに水(80 mL×4)
で良く洗浄し乾燥して上記の表題化合物(1)の粗製物16.
7 gを得た。
記の所望な式(Ia)の化合物(1)を含有するものである。
この反応液にヘキサン1.5 Lを加え、生じた沈殿をろ取
して固体(24.1 g)を得た。これをさらに水(80 mL×4)
で良く洗浄し乾燥して上記の表題化合物(1)の粗製物16.
7 gを得た。
【0074】このように水洗および乾燥された固体の粗
化合物(1)をメタノール水から結晶化させると、無色結
晶として式(Ia)の表題化合物(1)の10.4 gを得た(収率43
%)。本結晶は、前述のKS. Bruzik等の文献中に記載され
ている式(Ia)の化合物と物性値の点で一致した。
化合物(1)をメタノール水から結晶化させると、無色結
晶として式(Ia)の表題化合物(1)の10.4 gを得た(収率43
%)。本結晶は、前述のKS. Bruzik等の文献中に記載され
ている式(Ia)の化合物と物性値の点で一致した。
【0075】実施例1 (1) 次式(IIIc)の1D-1-O-トリフルオロメタンスルホニ
ル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘ
プト-2'-イリデン)-ミオ-イノシトール〔化合物(2)〕の
合成 前記の参考例1で得た1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチ
ル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシ
トール、すなわち化合物(1)の1.0 gを、ピリジン-ジク
ロロメタン(1:1)の混液30 mLに溶解した。その溶液
を-20℃に冷却しながら、この溶液にトリフルオロメタ
ンスルホン酸無水物0.60 mLを加えた。反応混合物の温
度を-20℃に2時間保って反応を行った (1-O-トリフル
オロメタンスルホニル化)。 生成された上記の式(III
c)の化合物(2)を含む反応液が得られた。
ル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘ
プト-2'-イリデン)-ミオ-イノシトール〔化合物(2)〕の
合成 前記の参考例1で得た1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチ
ル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシ
トール、すなわち化合物(1)の1.0 gを、ピリジン-ジク
ロロメタン(1:1)の混液30 mLに溶解した。その溶液
を-20℃に冷却しながら、この溶液にトリフルオロメタ
ンスルホン酸無水物0.60 mLを加えた。反応混合物の温
度を-20℃に2時間保って反応を行った (1-O-トリフル
オロメタンスルホニル化)。 生成された上記の式(III
c)の化合物(2)を含む反応液が得られた。
【0076】(1’) 式(IIIc)の化合物(2)の合成の別例 参考例1で得た化合物(1)の500 mgをピリジン-ジクロロ
メタン(1:1)の混液15mLに溶解した。その溶液を-20℃に
冷却下、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水
物0.33mLを加えた。得られた反応混合物を-20℃の温度
で2時間反応せしめた(1-O-トリフルオロメタンスルホ
ニル化)。
メタン(1:1)の混液15mLに溶解した。その溶液を-20℃に
冷却下、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水
物0.33mLを加えた。得られた反応混合物を-20℃の温度
で2時間反応せしめた(1-O-トリフルオロメタンスルホ
ニル化)。
【0077】得られた反応液に少量の水を加えて剰余の
試薬を分解した。その後、反応液をクロロホルムで稀釈
した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水溶液、
5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、さら
に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その乾燥された溶液
を濃縮して無色固体として粗化合物(2)の705 mgを得た
(粗収率99%、化合物(2)としての純度60%)。
試薬を分解した。その後、反応液をクロロホルムで稀釈
した。有機層を分取し、5%硫酸水素カリウム水溶液、
5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、さら
に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その乾燥された溶液
を濃縮して無色固体として粗化合物(2)の705 mgを得た
(粗収率99%、化合物(2)としての純度60%)。
【0078】1H-NMRスペクトルによると、本固体は化合
物(2)と1,4-ジ-O-トリフルオロメタンスルホニル体とア
ンヒドロ体との混合物であり、各成分化合物の比率はお
よそ60:16:24であった。化合物(2)はシリカゲルカラム
クロマトグラフィー中に一部分解し、また、フリーザー
中保存でも数日で分解する不安定物質であった。
物(2)と1,4-ジ-O-トリフルオロメタンスルホニル体とア
ンヒドロ体との混合物であり、各成分化合物の比率はお
よそ60:16:24であった。化合物(2)はシリカゲルカラム
クロマトグラフィー中に一部分解し、また、フリーザー
中保存でも数日で分解する不安定物質であった。
【0079】化合物(2)の1H-NMRスペクトルを次に示
す。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、トリメチルシラ
ン(TMS)を内部標準とした) δ 0.84, 0.87, および 0.97(各s, 3H, CH3×3),3.39
(t, 1H, H-5),3.61 (dd, 1H, H-4),3.95 (dd, 1H, H-
3),3.99 (t, 1H, H-6),4.47 (みかけ上t, 1H, H-2),4.9
4 (dd, 1H, H-1); J1,2=5Hz, J2,3=5.5Hz, J3,4=7Hz, J4,5=10Hz, J5,6=10
Hz, J1,6=10Hz.
す。1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、トリメチルシラ
ン(TMS)を内部標準とした) δ 0.84, 0.87, および 0.97(各s, 3H, CH3×3),3.39
(t, 1H, H-5),3.61 (dd, 1H, H-4),3.95 (dd, 1H, H-
3),3.99 (t, 1H, H-6),4.47 (みかけ上t, 1H, H-2),4.9
4 (dd, 1H, H-1); J1,2=5Hz, J2,3=5.5Hz, J3,4=7Hz, J4,5=10Hz, J5,6=10
Hz, J1,6=10Hz.
【0080】(2) 次式(IVc)の1D-4,5,6-トリ-O-アセチ
ル-1-O-トリフルオロメタンスルホニル-2,3-O-(D-1',
7',7'-トリメチル〔2.2.1〕-ビシクロヘプト-2'-イリデ
ン)-ミオ-イノシトール〔化合物(3)〕の合成 (但し、Meはメチル基、またAcはアセチル基を示す)。
前段(1)で1-O-トリフルオロメタンスルホニル化反応に
より生成された式(IIIc)の化合物(2)を含む反応液に対
して、無水酢酸2.7 mLを加えた。得られた反応混合物を
室温にて1時間保って反応せしめた(O-アセチル化)。反
応液に少量の水を加えて余剰の試薬を分解し、その後、
クロロホルムで稀釈した。得られたクロロホルム層を5
%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水
溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。乾燥した溶液を濃縮して無色結晶の形の式(IVc)の
表題化合物(3)の1.79 gを得た(粗収率98%)。
ル-1-O-トリフルオロメタンスルホニル-2,3-O-(D-1',
7',7'-トリメチル〔2.2.1〕-ビシクロヘプト-2'-イリデ
ン)-ミオ-イノシトール〔化合物(3)〕の合成 (但し、Meはメチル基、またAcはアセチル基を示す)。
前段(1)で1-O-トリフルオロメタンスルホニル化反応に
より生成された式(IIIc)の化合物(2)を含む反応液に対
して、無水酢酸2.7 mLを加えた。得られた反応混合物を
室温にて1時間保って反応せしめた(O-アセチル化)。反
応液に少量の水を加えて余剰の試薬を分解し、その後、
クロロホルムで稀釈した。得られたクロロホルム層を5
%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水
溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。乾燥した溶液を濃縮して無色結晶の形の式(IVc)の
表題化合物(3)の1.79 gを得た(粗収率98%)。
【0081】融点(クロロホルム-n-ヘキサンより結晶
化後):121-122℃(分解) 比旋光度:〔α〕D 23 - 42° (c 1,クロロホルム) 1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.88, 0.99, および 1.02(各s, 3H, CH3×3),2.0
4, 2.08, および 2.10(各s, 3H, Ac×3),4.18 (dd, 1
H, H-3),4.58 (dd, 1H, H-2),5.07 (dd, 1H, H-5),5.12
(dd, 1H, H-1),5.16 (dd, 1H, H-4),5.61 (dd, 1H, H-
6); J1,2=4Hz, J2,3=6.5Hz, J3,4=5Hz, J4,5=6Hz, J5,6=8H
z, J1,6=10.5Hz.
化後):121-122℃(分解) 比旋光度:〔α〕D 23 - 42° (c 1,クロロホルム) 1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.88, 0.99, および 1.02(各s, 3H, CH3×3),2.0
4, 2.08, および 2.10(各s, 3H, Ac×3),4.18 (dd, 1
H, H-3),4.58 (dd, 1H, H-2),5.07 (dd, 1H, H-5),5.12
(dd, 1H, H-1),5.16 (dd, 1H, H-4),5.61 (dd, 1H, H-
6); J1,2=4Hz, J2,3=6.5Hz, J3,4=5Hz, J4,5=6Hz, J5,6=8H
z, J1,6=10.5Hz.
【0082】(3) 次式(VIc)の1D-3,4,5-トリ-O-アセチ
ル-6-O-ベンゾイル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.
2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(4)〕の合成 (但し、Meはメチル基、またAcはアセチル基を示す)。
前段(2)で得た化合物(3)の36.1 mgをN,N-ジメチルホル
ムアミド0.70 mLに溶解した。この溶液に安息香酸リチ
ウム〔式(V)の化合物の一例〕の63.6 mgを加えて、得ら
れた混合物を80℃で2時間加熱して、反応を行った。
ル-6-O-ベンゾイル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.
2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(4)〕の合成 (但し、Meはメチル基、またAcはアセチル基を示す)。
前段(2)で得た化合物(3)の36.1 mgをN,N-ジメチルホル
ムアミド0.70 mLに溶解した。この溶液に安息香酸リチ
ウム〔式(V)の化合物の一例〕の63.6 mgを加えて、得ら
れた混合物を80℃で2時間加熱して、反応を行った。
【0083】得られた反応液を濃縮し、得られた残渣を
クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム抽出液
を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して
無色固体34.0 mgを得た。本固体をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(展開系;ヘキサン-クロロホルム-ア
セトン=8:4:1)にて精製し、無色固体として式(V
Ic)の表題化合物(4)の29.3 mgを得た。化合物(1)からの
収率83%。
クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム抽出液
を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して
無色固体34.0 mgを得た。本固体をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(展開系;ヘキサン-クロロホルム-ア
セトン=8:4:1)にて精製し、無色固体として式(V
Ic)の表題化合物(4)の29.3 mgを得た。化合物(1)からの
収率83%。
【0084】融点(n-ヘキサンより結晶化後):138-139℃ 比旋光度:〔α〕D 23 +64° (c 1,クロロホルム) 1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.87, 0.99, および 1.00(各s, 3H, CH3×3),1.9
8, 2.04, および 2.11(各s, 3H, Ac×3),4.22 (t, 1H,
H-2),4.33 (dd, 1H, H-1),5.25 (みかけ上t, 1H, H-
3),5.40 (dd, 1H, H-5),5.43 (dd, 1H, H-4),5.81 (t,
1H, H-6); J1,2=J2,3=6Hz, J3,4=7.5Hz, J4,5= 〜9Hz, J5,6=J1,6
=3Hz.
8, 2.04, および 2.11(各s, 3H, Ac×3),4.22 (t, 1H,
H-2),4.33 (dd, 1H, H-1),5.25 (みかけ上t, 1H, H-
3),5.40 (dd, 1H, H-5),5.43 (dd, 1H, H-4),5.81 (t,
1H, H-6); J1,2=J2,3=6Hz, J3,4=7.5Hz, J4,5= 〜9Hz, J5,6=J1,6
=3Hz.
【0085】(4a) 次式(VIIa)の1D-1,2-O-(D-1',7',7'
-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キ
ロ-イノシトール〔化合物(5)〕の合成 前段(3)で得られた化合物(4)の34.3 mgを無水メタノー
ル1.1 mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウムメトキ
シドのメタノール溶液20 μLを加えた。得られた混合物
を室温で1時間保って反応を行った(脱アシル化による
脱保護)。その反応液に酸性イオン交換樹脂アンバーラ
イトCG-120(H+型)48.6 mgを加えて中和し、ろ過した。
そのろ液を濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルで
洗浄して無色固体として式(VIIa)の表題化合物(5)の18.
7 mgを得た(収率94%)。
-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キ
ロ-イノシトール〔化合物(5)〕の合成 前段(3)で得られた化合物(4)の34.3 mgを無水メタノー
ル1.1 mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウムメトキ
シドのメタノール溶液20 μLを加えた。得られた混合物
を室温で1時間保って反応を行った(脱アシル化による
脱保護)。その反応液に酸性イオン交換樹脂アンバーラ
イトCG-120(H+型)48.6 mgを加えて中和し、ろ過した。
そのろ液を濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルで
洗浄して無色固体として式(VIIa)の表題化合物(5)の18.
7 mgを得た(収率94%)。
【0086】融点(水より結晶化後):274-275℃ 比旋光度:[α]D 20+78°(c 0.5,ピリジン)1 H-NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド中、TMS内
部標準) δ 0.75, 0.83, および0.96(各s, 3H, CH3×3),3.17
(dt, 1H, H-3),3.34-3.41 (m, 2H, H-4, 5),3.77 (dd,
1H, H-2),3.81 (みかけ上dt, 1H, H-6),4.03 (dd, 1H,
H-1),4.68 (d, 1H, HO-4または5),4,70 (d, 1H, HO-5ま
たは4),4.74 (d, 1H, HO-3),4.94 (d, 1H, HO-6); J1,2=6.5Hz, J2,3=8Hz, J3,4=8Hz, J5,6=2Hz,J1,6=4.5H
z, J3,HO-3=5.5Hz, J4,HO-4=4.5Hz, J5,HO-5=4.5Hz, J6,HO-6=5Hz.
部標準) δ 0.75, 0.83, および0.96(各s, 3H, CH3×3),3.17
(dt, 1H, H-3),3.34-3.41 (m, 2H, H-4, 5),3.77 (dd,
1H, H-2),3.81 (みかけ上dt, 1H, H-6),4.03 (dd, 1H,
H-1),4.68 (d, 1H, HO-4または5),4,70 (d, 1H, HO-5ま
たは4),4.74 (d, 1H, HO-3),4.94 (d, 1H, HO-6); J1,2=6.5Hz, J2,3=8Hz, J3,4=8Hz, J5,6=2Hz,J1,6=4.5H
z, J3,HO-3=5.5Hz, J4,HO-4=4.5Hz, J5,HO-5=4.5Hz, J6,HO-6=5Hz.
【0087】(4b) 次式(A)の1D-キロ-イノシトールの
製造 前段(4a)で得られた固体の化合物(5)を、50%酢酸水溶液
1.5 mLに懸濁せしめた。得られた懸濁液を80℃で30分間
加熱攪拌して化合物(5)の脱アセタール化を行った。反
応液を濃縮し、さらにトルエンとの共沸を行った。得ら
れた残渣を水で抽出し、抽出液をジエチルエーテルで洗
浄後、濃縮を行って無色固体として表題の1D-キロ-イノ
シトールの10.2 mgを得た(収率95%)。こうして得られた
1D-キロ-イノシトールは、市販品の純品と物性の点で一
致した。
製造 前段(4a)で得られた固体の化合物(5)を、50%酢酸水溶液
1.5 mLに懸濁せしめた。得られた懸濁液を80℃で30分間
加熱攪拌して化合物(5)の脱アセタール化を行った。反
応液を濃縮し、さらにトルエンとの共沸を行った。得ら
れた残渣を水で抽出し、抽出液をジエチルエーテルで洗
浄後、濃縮を行って無色固体として表題の1D-キロ-イノ
シトールの10.2 mgを得た(収率95%)。こうして得られた
1D-キロ-イノシトールは、市販品の純品と物性の点で一
致した。
【0088】実施例2 (1) 次式(IIId)の1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル
〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエ
ンスルホニル-ミオ-イノシトール〔化合物(6)〕の合成 参考例1で得られた式(Ia)の化合物(1)の1.0gを、ピリ
ジン-ジクロロメタン(1:1)の混液30 mLに溶解した。
得られた溶液を-20℃に冷却しながらこの溶液にp-トル
エンスルホニルクロリド1.21gを加え、-20℃の温度に
て20時間反応せしめた(1-O-p-トルエンスルホニル
化)。生成された式(IIId)の化合物(6)を含む反応液が
得られた。
〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエ
ンスルホニル-ミオ-イノシトール〔化合物(6)〕の合成 参考例1で得られた式(Ia)の化合物(1)の1.0gを、ピリ
ジン-ジクロロメタン(1:1)の混液30 mLに溶解した。
得られた溶液を-20℃に冷却しながらこの溶液にp-トル
エンスルホニルクロリド1.21gを加え、-20℃の温度に
て20時間反応せしめた(1-O-p-トルエンスルホニル
化)。生成された式(IIId)の化合物(6)を含む反応液が
得られた。
【0089】(1') (IIId)の化合物(6)の合成の別例 化合物(1)の500mgをピリジン−ジクロロメタン(1:
1)の混液15mLに溶解した。その溶液を-20℃に冷却下
に、この溶液にp-トルエンスルホニルクロリド620mgを
加えて、-20℃の温度にて20時間反応せしめた(1-O-p-
トルエンスルホニル化)。
1)の混液15mLに溶解した。その溶液を-20℃に冷却下
に、この溶液にp-トルエンスルホニルクロリド620mgを
加えて、-20℃の温度にて20時間反応せしめた(1-O-p-
トルエンスルホニル化)。
【0090】得られた反応液に少量の水を加えて余剰の
試薬を分解した。その後、反応液を濃縮し、得られたシ
ロップをクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液
を5%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。その乾燥された溶液を濃縮して無色固体770mgを
得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開系;クロロホルム−メタノール=10:1)にて精
製し、無色固体の形で式(IIId)の化合物(6)の634mgを得
た(収率85%)。
試薬を分解した。その後、反応液を濃縮し、得られたシ
ロップをクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液
を5%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。その乾燥された溶液を濃縮して無色固体770mgを
得た。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開系;クロロホルム−メタノール=10:1)にて精
製し、無色固体の形で式(IIId)の化合物(6)の634mgを得
た(収率85%)。
【0091】融点(クロロホルム-n-ヘキサンより結晶
化後):143−144℃ 比旋光度:[α]D 21 -32°(c1,クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド中、TMS内
部標準) δ 0.73, 0.81および0.85(各s,3H,CH3×3),2.41
(s,3H, CH 3 C6H4),3.02 (dt, 1H, H-5),3.17 (ddd, 1H,
H-4),3.42 (dt, 1H, H-6),3.73 (dd, 1H, H-3),4.06 (d
d, 1H, H-2),4.62 (dd, 1H, H-1),4.93 (d, 1H, HO-4),
4.95 (d, 1H, HO-5),5.24 (d, 1H, HO-6); J1,2=4.5Hz, J2,3=6Hz, J3,4=7Hz, J4,5=9.5Hz, J5,6=
9.5Hz, J1,6=9.5Hz, J4,HO-4=5Hz, J5,HO-5=5Hz, J6,HO-6=5Hz
化後):143−144℃ 比旋光度:[α]D 21 -32°(c1,クロロホルム)1 H-NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド中、TMS内
部標準) δ 0.73, 0.81および0.85(各s,3H,CH3×3),2.41
(s,3H, CH 3 C6H4),3.02 (dt, 1H, H-5),3.17 (ddd, 1H,
H-4),3.42 (dt, 1H, H-6),3.73 (dd, 1H, H-3),4.06 (d
d, 1H, H-2),4.62 (dd, 1H, H-1),4.93 (d, 1H, HO-4),
4.95 (d, 1H, HO-5),5.24 (d, 1H, HO-6); J1,2=4.5Hz, J2,3=6Hz, J3,4=7Hz, J4,5=9.5Hz, J5,6=
9.5Hz, J1,6=9.5Hz, J4,HO-4=5Hz, J5,HO-5=5Hz, J6,HO-6=5Hz
【0092】(2) 次式(IVd)の1D-4,5,6-トリ-O-アセチ
ル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘ
プト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエンスルホニル-ミオ-イ
ノシトール〔化合物(7)〕の合成 前段(1)で得られた式(IIId)の化合物(6)を含む反応液に
対して、無水酢酸2.7mLを加え、得られた混合物を室温
にて2時間保って反応を行った(O-アセチル化)。得られ
た反応液に少量の水を加えて余剰の試薬を分解後、その
反応液をクロロホルムで稀釈した。そのクロロホルム希
釈された有機層を5%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭
酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。さらに、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥された溶液を濃縮し
て無色結晶として式(IVd)の表題の化合物(7)の1.88gを
得た(粗収率99%)。
ル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘ
プト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエンスルホニル-ミオ-イ
ノシトール〔化合物(7)〕の合成 前段(1)で得られた式(IIId)の化合物(6)を含む反応液に
対して、無水酢酸2.7mLを加え、得られた混合物を室温
にて2時間保って反応を行った(O-アセチル化)。得られ
た反応液に少量の水を加えて余剰の試薬を分解後、その
反応液をクロロホルムで稀釈した。そのクロロホルム希
釈された有機層を5%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭
酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。さらに、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥された溶液を濃縮し
て無色結晶として式(IVd)の表題の化合物(7)の1.88gを
得た(粗収率99%)。
【0093】融点(クロロホルム-n-ヘキサンより結晶
化後):226-227℃ 比旋光度:[α]D 23 -36°(c 1,クロロホルム) 1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.85, 0.91, および 0.96(各s, 3H, CH3×3),1.89,
1.99, および 2.06(各s, 3H, Ac×3),2.44 (s, 3H, CH
3 C6H4),4.05 (t, 1H, H-3),4.42 (dd, 1H, H-2),4.91
(dd, 1H, H-1),5.00 (t, 1H, H-5),5.12 (dd, 1H, H-
4),5.44 (dd, 1H, H-6); J1,2=4Hz, J2,3=6Hz, J3,4=6Hz, J4,5=J5,6=8Hz, J1,6=
10.5Hz.
化後):226-227℃ 比旋光度:[α]D 23 -36°(c 1,クロロホルム) 1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.85, 0.91, および 0.96(各s, 3H, CH3×3),1.89,
1.99, および 2.06(各s, 3H, Ac×3),2.44 (s, 3H, CH
3 C6H4),4.05 (t, 1H, H-3),4.42 (dd, 1H, H-2),4.91
(dd, 1H, H-1),5.00 (t, 1H, H-5),5.12 (dd, 1H, H-
4),5.44 (dd, 1H, H-6); J1,2=4Hz, J2,3=6Hz, J3,4=6Hz, J4,5=J5,6=8Hz, J1,6=
10.5Hz.
【0094】(3) 次式(VIc)の1D-3,4,5-トリ-O-アセチ
ル-6-O-ベンゾイル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.
2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(4)〕の合成 (ただし、Meはメチル基、またAcはアセチル基を示
す)。前段(2)で得られた化合物(7)の100mgをN,N-ジメ
チルホルムアミド2mLに溶解した。この溶液に安息香酸
リチウム215mgを加えて5時間加熱還流せしめた。さら
に安息香酸リチウム100mgを加えて3時間加熱還流し
た。
ル-6-O-ベンゾイル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル〔2.
2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(4)〕の合成 (ただし、Meはメチル基、またAcはアセチル基を示
す)。前段(2)で得られた化合物(7)の100mgをN,N-ジメ
チルホルムアミド2mLに溶解した。この溶液に安息香酸
リチウム215mgを加えて5時間加熱還流せしめた。さら
に安息香酸リチウム100mgを加えて3時間加熱還流し
た。
【0095】得られた反応液を濃縮し、得られた残渣を
クロロホルムで抽出した。そのクロロホルム抽出液より
なる有機層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。さらに濃縮して得られたシロップをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開系クロロホルム)にて精製
すると、式(VIc)の表題の化合物(4)の53mgを得た(化合
物(1)からの収率58%)。
クロロホルムで抽出した。そのクロロホルム抽出液より
なる有機層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。さらに濃縮して得られたシロップをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開系クロロホルム)にて精製
すると、式(VIc)の表題の化合物(4)の53mgを得た(化合
物(1)からの収率58%)。
【0096】(4) 1D-キロ-イノシトールの製造 前段(3)で得られた化合物(4)を、実施例1の(4a)および
(4b)の方法と同様に、ナトリウムメトキシドによる塩基
処理して脱アシル反応にかけ、また酢酸処理による脱ア
セタール反応にかけると、目的の1D-キロ-イノシトール
が得られた。
(4b)の方法と同様に、ナトリウムメトキシドによる塩基
処理して脱アシル反応にかけ、また酢酸処理による脱ア
セタール反応にかけると、目的の1D-キロ-イノシトール
が得られた。
【0097】実施例3 (1) 式(IIId)の1D-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.
2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエンスル
ホニル-ミオ-イノシトール〔化合物(6)の合成〕 参考例1で得た化合物(1)500mgをピリジン10mLに溶解し
た。その溶液を-15℃に冷却下に、この溶液にp-トルエ
ンスルホニルクロリド605mgを加えた。得られた反応混
合物を同温度にて20時間保ち、反応せしめた(1-O-p-ト
ルエンスルホニル化)。
2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエンスル
ホニル-ミオ-イノシトール〔化合物(6)の合成〕 参考例1で得た化合物(1)500mgをピリジン10mLに溶解し
た。その溶液を-15℃に冷却下に、この溶液にp-トルエ
ンスルホニルクロリド605mgを加えた。得られた反応混
合物を同温度にて20時間保ち、反応せしめた(1-O-p-ト
ルエンスルホニル化)。
【0098】(2) 次式(IVe)の1D-4,5,6-トリ-O-ベンゾ
イル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロ
ヘプト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエンスルホニル-ミオ
-イノシトール〔化合物(8)〕の合成 (ただしBzはベンゾイル基を示す。以下、同様)。前段
(1)で生成された式(IIId)の化合物(6)を含む反応液に、
塩化ベンゾイル0.92mLを加えた。得られた反応混合物を
室温にて1時間保ち反応せしめた(O-ベンゾイル化)。
イル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロ
ヘプト-2'-イリデン)-1-O-p-トルエンスルホニル-ミオ
-イノシトール〔化合物(8)〕の合成 (ただしBzはベンゾイル基を示す。以下、同様)。前段
(1)で生成された式(IIId)の化合物(6)を含む反応液に、
塩化ベンゾイル0.92mLを加えた。得られた反応混合物を
室温にて1時間保ち反応せしめた(O-ベンゾイル化)。
【0099】得られた反応液に少量の水を加えて余剰の
試薬を分解した。その反応液を濃縮し、得られたシロッ
プをクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液とし
て得た有機層を5%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭酸
水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、濃縮した。得られた固体をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開系;トルエン−酢酸エ
チル=12:1)にて精製し、式(IVe)の表題化合物(8)の
1.05gを得た。化合物(1)よりの収率84%。
試薬を分解した。その反応液を濃縮し、得られたシロッ
プをクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液とし
て得た有機層を5%硫酸水素カリウム水溶液、5%炭酸
水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、濃縮した。得られた固体をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開系;トルエン−酢酸エ
チル=12:1)にて精製し、式(IVe)の表題化合物(8)の
1.05gを得た。化合物(1)よりの収率84%。
【0100】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中,TM
S内部標準) δ0.91, 1.04, および1.17(各s,3H,CH3×3),2.26
(s, 3H, CH 3 C6H4),4.34 (t, 1H, H-3),4.68 (dd, 1H,H
-2),5.15 (dd, 1H, H-1),5.54 (t,1H,H-5),5.63 (d
d,1H,H-4),5.96 (dd,1H,H-6); J1,2=4Hz, J2,3=6Hz, J3,4=6Hz, J4,5=9Hz, J5,6=9Hz,
J1,6=10Hz.
S内部標準) δ0.91, 1.04, および1.17(各s,3H,CH3×3),2.26
(s, 3H, CH 3 C6H4),4.34 (t, 1H, H-3),4.68 (dd, 1H,H
-2),5.15 (dd, 1H, H-1),5.54 (t,1H,H-5),5.63 (d
d,1H,H-4),5.96 (dd,1H,H-6); J1,2=4Hz, J2,3=6Hz, J3,4=6Hz, J4,5=9Hz, J5,6=9Hz,
J1,6=10Hz.
【0101】(3)次式(VId)の1D-3,4,5,6-テトラ-O-ベン
ゾイル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシク
ロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール〔化合物
(9)〕の合成 前段(2)で得られた式(IVe)の化合物(8)の100mgをN,N-ジ
メチルホルムアミド3mLに溶解した。この溶液に安息香
酸ナトリウム92mgを加えて6時間加熱還流して反応を行
った。
ゾイル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシク
ロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール〔化合物
(9)〕の合成 前段(2)で得られた式(IVe)の化合物(8)の100mgをN,N-ジ
メチルホルムアミド3mLに溶解した。この溶液に安息香
酸ナトリウム92mgを加えて6時間加熱還流して反応を行
った。
【0102】得られた反応液を濃縮し、得られた残渣を
クロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液として得
られた有機層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、濃縮すると、式(VId)の表題化合物(9)の75mgを得た
(粗収率80%)。
クロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液として得
られた有機層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、濃縮すると、式(VId)の表題化合物(9)の75mgを得た
(粗収率80%)。
【0103】化合物(9)の1H-NMRスペクトル(重クロロ
ホルム中,TMS内部標準) δ 0.91, 1.06, および1.16(各s, 3H, CH3×3),4.47
(t, 1H, H-2), 4.55(dd, 1H, H-1),5.78 (dd, 1H, H-
3), 5.88(dd, 1H, H-5),6.04 (t, 1H, H-6), 6.05(みか
け上t, 1H, H-4); J1,2=6Hz, J2,3=6Hz, J3,4=8Hz, J4,5=9.5Hz, J5,6=3H
z, J1,6=3Hz.
ホルム中,TMS内部標準) δ 0.91, 1.06, および1.16(各s, 3H, CH3×3),4.47
(t, 1H, H-2), 4.55(dd, 1H, H-1),5.78 (dd, 1H, H-
3), 5.88(dd, 1H, H-5),6.04 (t, 1H, H-6), 6.05(みか
け上t, 1H, H-4); J1,2=6Hz, J2,3=6Hz, J3,4=8Hz, J4,5=9.5Hz, J5,6=3H
z, J1,6=3Hz.
【0104】(4) 次式(VIIa)の1D-1,2-O-(D-1',7',7'-
トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キ
ロ-イノシトール〔化合物(5)〕の合成 前段(3)で得られた化合物(9)の83.0mgを無水メタノール
2.5mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウムメトキシド
のメタノール溶液30μLを加えた。その混合物を室温で
1時間保って反応を行った(脱アシル化による脱保
護)。その反応液に酸性イオン交換樹脂アンバーライト
CG-120(H+型)73mgを加えて中和し、ろ過した。そのろ
液を濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し
て無色固体として式(VIIa)の表題化合物(5)の34.3mgを
得た(収率96%)。
トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キ
ロ-イノシトール〔化合物(5)〕の合成 前段(3)で得られた化合物(9)の83.0mgを無水メタノール
2.5mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウムメトキシド
のメタノール溶液30μLを加えた。その混合物を室温で
1時間保って反応を行った(脱アシル化による脱保
護)。その反応液に酸性イオン交換樹脂アンバーライト
CG-120(H+型)73mgを加えて中和し、ろ過した。そのろ
液を濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し
て無色固体として式(VIIa)の表題化合物(5)の34.3mgを
得た(収率96%)。
【0105】(5) 1D-キロ-イノシトールの製造 前段で得られた化合物(5)を、次いで実施例1,(4b)の方
法と同様に、50%酢酸水溶液で処理して、化合物(5)を脱
アセタール化した。得られた反応液を実施例1,(4b)に
おける後処理と同様に後処理すると、目的の1D-キロ-イ
ノシトールが無色固体として得られた。
法と同様に、50%酢酸水溶液で処理して、化合物(5)を脱
アセタール化した。得られた反応液を実施例1,(4b)に
おける後処理と同様に後処理すると、目的の1D-キロ-イ
ノシトールが無色固体として得られた。
【0106】実施例4 (1) 式(IVc)の化合物(3)から次式(VIe)の1D-3,4,5,6-
テトラ-O-アセチル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.
2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(10)の合成〕 実施例1,(2)で得られた化合物(3)の103.0mgをN,N-ジメ
チルホルムアミド2mLに溶解した。この溶液に酢酸カリ
ウム87mgを加えて80℃で1時間反応せしめた。
テトラ-O-アセチル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.
2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(10)の合成〕 実施例1,(2)で得られた化合物(3)の103.0mgをN,N-ジメ
チルホルムアミド2mLに溶解した。この溶液に酢酸カリ
ウム87mgを加えて80℃で1時間反応せしめた。
【0107】得られた反応液を濃縮し、得られた残渣を
クロロホルムで抽出し、クロロホルム抽出液を水洗し
た。その後、この溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
濃縮してシロップ92.4mgを得た。このシロップをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開系;クロロホルム
−酢酸エチル=20:1)にて精製し、無色固体の形で式
(VIe)の表題化合物(10)の71.1mgを得た。化合物(1)から
の収率81%。
クロロホルムで抽出し、クロロホルム抽出液を水洗し
た。その後、この溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
濃縮してシロップ92.4mgを得た。このシロップをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開系;クロロホルム
−酢酸エチル=20:1)にて精製し、無色固体の形で式
(VIe)の表題化合物(10)の71.1mgを得た。化合物(1)から
の収率81%。
【0108】比旋光度:[α]D 21 +46°(c 1,クロロホ
ルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.86, 0.94, および0.97(各s, 3H, CH3×3),2.0
1, 2.03, 2.07, および2.13(各s, 3H, Ac×4),4.14 (t,
1H, H-2),4.18 (dd, 1H, H-1),5.17 (t, 1H, H-3),5.23
-5.30 (m, 2H, H-4, 5),5.56 (t, 1H, H-6).
ルム)1 H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TMS内部標準) δ 0.86, 0.94, および0.97(各s, 3H, CH3×3),2.0
1, 2.03, 2.07, および2.13(各s, 3H, Ac×4),4.14 (t,
1H, H-2),4.18 (dd, 1H, H-1),5.17 (t, 1H, H-3),5.23
-5.30 (m, 2H, H-4, 5),5.56 (t, 1H, H-6).
【0109】(2) 式(VIe)の化合物(10)から式(VIIa)の
化合物(5)の合成 前段(1)で得られた式(VIe)の化合物(10)の138mgを無水
メタノール4.1mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウム
メトキシドのメタノール溶液50μLを加えて、その混合
物を室温で1時間保って反応を行った。得られた反応液
に酸性イオン交換樹脂アンバーライトCG-120(H+型)6
6mgを加えて中和し、ろ過し、そして、ろ液を濃縮し
た。得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄して無色固
体として式(VIIa)の化合物(5)の88.1mgを得た(収率98
%)。
化合物(5)の合成 前段(1)で得られた式(VIe)の化合物(10)の138mgを無水
メタノール4.1mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウム
メトキシドのメタノール溶液50μLを加えて、その混合
物を室温で1時間保って反応を行った。得られた反応液
に酸性イオン交換樹脂アンバーライトCG-120(H+型)6
6mgを加えて中和し、ろ過し、そして、ろ液を濃縮し
た。得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄して無色固
体として式(VIIa)の化合物(5)の88.1mgを得た(収率98
%)。
【0110】(3) 1D-キロ-イノシトールの製造 前段(2)で得られた式(VIIa)の化合物(5)の28.0mgを50%
酢酸水溶液1.5mLに懸濁せしめた。得られた懸濁液を80
℃で30分間加熱撹拌して反応した。生成された1D-キロ-
イノシトールを含む均一の反応液を濃縮し、さらにトル
エンとの共沸を行った。得られた残渣を水で抽出し、水
抽出液をジエチルエーテルで洗浄後、濃縮を行って無色
固体の表題の1D-キロ-イノシトールの15.2mgを得た。収
率95%。こうして得られた1D-キロ-イノシトールは市販
品の1D-キロ-イノシトールと物性が一致した。
酢酸水溶液1.5mLに懸濁せしめた。得られた懸濁液を80
℃で30分間加熱撹拌して反応した。生成された1D-キロ-
イノシトールを含む均一の反応液を濃縮し、さらにトル
エンとの共沸を行った。得られた残渣を水で抽出し、水
抽出液をジエチルエーテルで洗浄後、濃縮を行って無色
固体の表題の1D-キロ-イノシトールの15.2mgを得た。収
率95%。こうして得られた1D-キロ-イノシトールは市販
品の1D-キロ-イノシトールと物性が一致した。
【0111】実施例5 (1) 式(IVd)の化合物(7)から次式(VIe)の1D-3,4,5,6-テ
トラ-O-アセチル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.
1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(10)〕の合成 実施例2、(2)で得られた式(IVd)の化合物(7)の106.0mg
をN,N-ジメチルホルムアミド3mLに溶解した。この溶液
に酢酸カリウム89mgを加え、得られた混合物を150℃で
8時間反応せしめた。得られた化合物(10)を含む反応液
を濃縮し、得られた残渣をクロロホルムで抽出した。こ
のクロロホルム抽出液を5%炭酸水素ナトリウム水溶
液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃
縮すると、化合物(10)を含むシロップ71mgを得た。
トラ-O-アセチル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.
1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノシトール
〔化合物(10)〕の合成 実施例2、(2)で得られた式(IVd)の化合物(7)の106.0mg
をN,N-ジメチルホルムアミド3mLに溶解した。この溶液
に酢酸カリウム89mgを加え、得られた混合物を150℃で
8時間反応せしめた。得られた化合物(10)を含む反応液
を濃縮し、得られた残渣をクロロホルムで抽出した。こ
のクロロホルム抽出液を5%炭酸水素ナトリウム水溶
液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃
縮すると、化合物(10)を含むシロップ71mgを得た。
【0112】このシロップをシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開系;ヘキサン−アセトン=3:1)に
て精製し、表題化合物(10)の49.3mgを得た。化合物(1)
からの収率57%。 (2) 1D-キロ-イノシトールの製造 前段(1)で得られた式(VIe)の化合物(10)を、実施例4,
(2)および(3)の方法と同様にして、脱保護のため処理す
ると、目的の1D-キロ-イノシトールが得られた。
グラフィー(展開系;ヘキサン−アセトン=3:1)に
て精製し、表題化合物(10)の49.3mgを得た。化合物(1)
からの収率57%。 (2) 1D-キロ-イノシトールの製造 前段(1)で得られた式(VIe)の化合物(10)を、実施例4,
(2)および(3)の方法と同様にして、脱保護のため処理す
ると、目的の1D-キロ-イノシトールが得られた。
【0113】実施例6 次式(IIIe)の1D-1-O-メタンスルホニル-2,3-O-(D-1',
7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデ
ン)-ミオ-イノシトール〔化合物(11)〕の合成 参考例1で得た式(Ia)の化合物(1)の51.2mgをピリジン-
ジクロロメタン(1:1)の混液1.5mLに溶解した。その溶液
を-20℃に冷却下に、この溶液にメタンスルホニルクロ
リド15μLを加えた。得られた混合物を-20℃の温度にて
20時間保って反応を行った。
7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデ
ン)-ミオ-イノシトール〔化合物(11)〕の合成 参考例1で得た式(Ia)の化合物(1)の51.2mgをピリジン-
ジクロロメタン(1:1)の混液1.5mLに溶解した。その溶液
を-20℃に冷却下に、この溶液にメタンスルホニルクロ
リド15μLを加えた。得られた混合物を-20℃の温度にて
20時間保って反応を行った。
【0114】生成された化合物(11)を含む反応液に少量
の水を加えて余剰の試薬を分解した後、濃縮し、得られ
たシロップを酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチ
ル抽出液よりなる有機層を5%硫酸水素カリウム水溶
液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥された溶液を濃縮
して無色固体として式(IIIe)の化合物(11)の59.5mgを得
た(粗収率93%、純度約85%)。
の水を加えて余剰の試薬を分解した後、濃縮し、得られ
たシロップを酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチ
ル抽出液よりなる有機層を5%硫酸水素カリウム水溶
液、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥された溶液を濃縮
して無色固体として式(IIIe)の化合物(11)の59.5mgを得
た(粗収率93%、純度約85%)。
【0115】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TM
S内部標準) δ 0.83, 0.87, および0.99(各s, 3H, CH3×3),3.15
(s, 3H, CH3SO2),3.39 (t, 1H, H-5),3.56 (dd, 1H, H-
4),3.88 (t, 1H, H-6),3.91 (dd, 1H, H-3),4.46 (みか
け上t, 1H, H-2),4.76 (dd, 1H, H-1); J1,2=4.5Hz, J2,3=5.5Hz, J3,4=7Hz, J4,5=10Hz, J5,6=
10Hz, J1,6=10Hz.
S内部標準) δ 0.83, 0.87, および0.99(各s, 3H, CH3×3),3.15
(s, 3H, CH3SO2),3.39 (t, 1H, H-5),3.56 (dd, 1H, H-
4),3.88 (t, 1H, H-6),3.91 (dd, 1H, H-3),4.46 (みか
け上t, 1H, H-2),4.76 (dd, 1H, H-1); J1,2=4.5Hz, J2,3=5.5Hz, J3,4=7Hz, J4,5=10Hz, J5,6=
10Hz, J1,6=10Hz.
【0116】実施例7 (1) 式(IVd)の1D-4,5,6-トリ-O-アセチル-2,3-O-(D-
1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリ
デン)- 1-O-p-トルエンスルホニル-ミオ-イノシトール
〔化合物(7)〕から次式(VIIIa-2)〜(VIIId-2)の1D-3,4,
5-トリ-O-アセチル-, 3,4,6-トリ-O-アセチル, -3,5,6-
トリ-O-アセチル-, および-4,5,6-トリ-O-アセチル-1,2
-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-
イリデン)-キロ-イノシトール〔化合物(12a)、(12b)、
(12c)および化合物(12d)〕の合成
1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリ
デン)- 1-O-p-トルエンスルホニル-ミオ-イノシトール
〔化合物(7)〕から次式(VIIIa-2)〜(VIIId-2)の1D-3,4,
5-トリ-O-アセチル-, 3,4,6-トリ-O-アセチル, -3,5,6-
トリ-O-アセチル-, および-4,5,6-トリ-O-アセチル-1,2
-O-(D-1',7',7'-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-
イリデン)-キロ-イノシトール〔化合物(12a)、(12b)、
(12c)および化合物(12d)〕の合成
【0117】式(IVd)の化合物(7)の106.0mgをジメチル
スルホキシド1.5mLに溶解した。この溶液にフッ化ナト
リウム72.7mgを加えて、得られた混合物を170℃で15時
間保って反応を行った。生成された上記の式(VIIIa-2)
の化合物、式(VIIIb-2)の化合物、式(VIIIc-2)の化合物
および式(VIIId-2)の化合物を含む反応液を酢酸エチル
で希釈した。酢酸エチルで希釈された有機層を水洗した
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた
シロップをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
系;クロロホルム-酢酸エチル=3:1)にて精製し、
表題の化合物(12a)、(12b)、(12c)および(12d)の混合物
(各化合物の含有率32:32:23:13%)の51.6mgを無色固
体として得た。化合物(1)よりの収率65%。
スルホキシド1.5mLに溶解した。この溶液にフッ化ナト
リウム72.7mgを加えて、得られた混合物を170℃で15時
間保って反応を行った。生成された上記の式(VIIIa-2)
の化合物、式(VIIIb-2)の化合物、式(VIIIc-2)の化合物
および式(VIIId-2)の化合物を含む反応液を酢酸エチル
で希釈した。酢酸エチルで希釈された有機層を水洗した
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた
シロップをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
系;クロロホルム-酢酸エチル=3:1)にて精製し、
表題の化合物(12a)、(12b)、(12c)および(12d)の混合物
(各化合物の含有率32:32:23:13%)の51.6mgを無色固
体として得た。化合物(1)よりの収率65%。
【0118】1H-NMRスペクトル(重クロロホルム中、TM
S内部標準) 化合物(12a): δ 2.31 (d, HO-6), 4.17 (dd, H-2), 4.28 (dd, H-
1),4.34 (みかけ上q, H-6), 5.14 (dd, H-3), 5.22 (d
d, H-5),5.34 (dd, H-4); J1,2=6Hz, J2,3=7.5Hz, J3,4=9.5Hz, J4,5=9Hz, J5,6=3
Hz, J1,6=3.5Hz,J6,HO-6=3Hz. 化合物(12b): δ 4.04 (m, H-5), 4.11 (t, H-2), 〜4.20 (dd, H-
1),5.10-5.15(m, H-3, 4), 5.51(t, H-6); J1,2=6Hz, J2,3=〜7Hz, J5,6=3Hz, J1,6=3Hz. 化合物(12c): δ 2.37 (d, HO-4), 3.86 (dt, H-4), 〜4.12 (H-2),
〜4.16 (H-1), 4.95 (dd, H-3), 〜5.14 (H-5), 5.56
(dd, H-6); J2,3=7Hz, J3,4=9z, J4,5=9Hz, J5,6=3Hz, J1,6=3Hz. 化合物(12d): δ 2.52 (d, HO-3), 3.79 (ddd, H-3), 4.08 (t, H-
2),4.21 (dd, H-1), 5.07 (t, H-4), 5.23 (dd, H-5),
5.43 (t, H-6); J1,2=6.5Hz, J2,3=7Hz, J3,4=8Hz, J4,5=8Hz, J5,6=3H
z, J1,6=4Hz,J3,HO-3=4Hz.
S内部標準) 化合物(12a): δ 2.31 (d, HO-6), 4.17 (dd, H-2), 4.28 (dd, H-
1),4.34 (みかけ上q, H-6), 5.14 (dd, H-3), 5.22 (d
d, H-5),5.34 (dd, H-4); J1,2=6Hz, J2,3=7.5Hz, J3,4=9.5Hz, J4,5=9Hz, J5,6=3
Hz, J1,6=3.5Hz,J6,HO-6=3Hz. 化合物(12b): δ 4.04 (m, H-5), 4.11 (t, H-2), 〜4.20 (dd, H-
1),5.10-5.15(m, H-3, 4), 5.51(t, H-6); J1,2=6Hz, J2,3=〜7Hz, J5,6=3Hz, J1,6=3Hz. 化合物(12c): δ 2.37 (d, HO-4), 3.86 (dt, H-4), 〜4.12 (H-2),
〜4.16 (H-1), 4.95 (dd, H-3), 〜5.14 (H-5), 5.56
(dd, H-6); J2,3=7Hz, J3,4=9z, J4,5=9Hz, J5,6=3Hz, J1,6=3Hz. 化合物(12d): δ 2.52 (d, HO-3), 3.79 (ddd, H-3), 4.08 (t, H-
2),4.21 (dd, H-1), 5.07 (t, H-4), 5.23 (dd, H-5),
5.43 (t, H-6); J1,2=6.5Hz, J2,3=7Hz, J3,4=8Hz, J4,5=8Hz, J5,6=3H
z, J1,6=4Hz,J3,HO-3=4Hz.
【0119】(2) 次式(VIIa)の1D-1,2-O-(D-1',7',7'-
トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-
イノシトール〔化合物(5)〕の合成 前段(1)で無色固体として得られた化合物(12a)、(12
b)、(12c)および(12d)よりなる混合物45.2mgを無水メ
タノール1.4mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウムメ
トキシドのメタノール溶液18μLを加えて、得られた混
合物を室温で1時間反応せしめた(脱アセチル化)。
トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-
イノシトール〔化合物(5)〕の合成 前段(1)で無色固体として得られた化合物(12a)、(12
b)、(12c)および(12d)よりなる混合物45.2mgを無水メ
タノール1.4mLに溶解した。この溶液に28%ナトリウムメ
トキシドのメタノール溶液18μLを加えて、得られた混
合物を室温で1時間反応せしめた(脱アセチル化)。
【0120】生成された化合物(5)を含む反応液に酸性
イオン交換樹脂アンバーライトCG-120(H+型)21mgを加
えて中和し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、得られ
た残渣をジエチルエーテルで洗浄すると、式(VIIa)の化
合物(5)の30.0mgを得た(収率93%)。
イオン交換樹脂アンバーライトCG-120(H+型)21mgを加
えて中和し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、得られ
た残渣をジエチルエーテルで洗浄すると、式(VIIa)の化
合物(5)の30.0mgを得た(収率93%)。
【0121】(3) 式(A)の1D-キロ-イノシトールの製造 前段(2)で得られた固体の化合物(5)の29.0mgを、50%酢
酸水溶液1.5mLに懸濁せしめた。得られた懸濁液を80℃
で30分間加熱した(脱アセタール化)。生成された1D-キ
ロ-イノシトールを含む反応液を濃縮し、さらにトルエ
ンとの共沸を行った。得られた残渣を水で抽出し、抽出
液をジエチルエーテルで洗浄後、濃縮した。無色固体と
して表題の1D-キロ-イノシトールの15.9mgを得た(収率9
6%)。こうして得られた1D-キロ-イノシトールは、市販
品の純品と物性の点で一致した。
酸水溶液1.5mLに懸濁せしめた。得られた懸濁液を80℃
で30分間加熱した(脱アセタール化)。生成された1D-キ
ロ-イノシトールを含む反応液を濃縮し、さらにトルエ
ンとの共沸を行った。得られた残渣を水で抽出し、抽出
液をジエチルエーテルで洗浄後、濃縮した。無色固体と
して表題の1D-キロ-イノシトールの15.9mgを得た(収率9
6%)。こうして得られた1D-キロ-イノシトールは、市販
品の純品と物性の点で一致した。
【0122】実施例8 (1) 次式(IVc)の1D-4,5,6-トリ-O-アセチル-1-O-トリフ
ルオロメタンスルホニル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチ
ル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシト
ール〔化合物(3)〕から次式(VIIIa-2)〜(VIIIc-2)の1D-
3,4,5-トリ-O-アセチル,-3,4,6-トリ-O-アセチル-,お
よび-3,5,6-トリ-O-アセチル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリ
メチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノ
シトール〔化合物(12a)、化合物(12b)および化合物(12
c)〕の合成 式(IVc)の化合物(3)の98.0 mgをN,N-ジメチルホルムア
ミド2 mLに溶解した。この溶液にフッ化ナトリウム74.5
mgを加えて、得られた混合物を100℃で2時間保って反
応せしめた。
ルオロメタンスルホニル-2,3-O-(D-1',7',7'-トリメチ
ル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-イノシト
ール〔化合物(3)〕から次式(VIIIa-2)〜(VIIIc-2)の1D-
3,4,5-トリ-O-アセチル,-3,4,6-トリ-O-アセチル-,お
よび-3,5,6-トリ-O-アセチル-1,2-O-(D-1',7',7'-トリ
メチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-キロ-イノ
シトール〔化合物(12a)、化合物(12b)および化合物(12
c)〕の合成 式(IVc)の化合物(3)の98.0 mgをN,N-ジメチルホルムア
ミド2 mLに溶解した。この溶液にフッ化ナトリウム74.5
mgを加えて、得られた混合物を100℃で2時間保って反
応せしめた。
【0123】反応液を濃縮し、得られた残渣をクロロホ
ルムで抽出した。有機層(クロロホルム抽出液)を5%
炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られたシロップ
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系;クロ
ロホルム−酢酸エチル=3:1)にて精製し、表題の化
合物(12a)、化合物(12b)、および化合物(12c)の混合物
(各化合物の含有率38:58:4%)の43.2 mgを無色固体と
して得た。化合物(1)よりの収率56%。
ルムで抽出した。有機層(クロロホルム抽出液)を5%
炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した後、無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られたシロップ
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系;クロ
ロホルム−酢酸エチル=3:1)にて精製し、表題の化
合物(12a)、化合物(12b)、および化合物(12c)の混合物
(各化合物の含有率38:58:4%)の43.2 mgを無色固体と
して得た。化合物(1)よりの収率56%。
【0124】(2) 1D-キロ-イノシトール誘導体の製造 前段(1)で無色固体として得られた化合物(12a)、(12b)
および(12c)よりなる混合物の40 mgを、実施例7、(2)
と同様にして、無水メタノールに溶解し、その溶液に28
%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加えて、室
温で1時間反応を行った。その反応液を、実施例7、
(2)における後処理と同様にして、後処理した。式(VII
a)の化合物(5)の27.7 mgが得られた。さらに、化合物
(5)の27.7 mgを実施例7、(3)と同様にして50%酢酸
水溶液で処理して、化合物(5)を脱アセタール反応にか
けた。その反応液を実施例7、(3)における後処理と同
様にして、後処理すると、1D-キロ-イノシトールの15.1
mgが無色固体として得られた。
および(12c)よりなる混合物の40 mgを、実施例7、(2)
と同様にして、無水メタノールに溶解し、その溶液に28
%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加えて、室
温で1時間反応を行った。その反応液を、実施例7、
(2)における後処理と同様にして、後処理した。式(VII
a)の化合物(5)の27.7 mgが得られた。さらに、化合物
(5)の27.7 mgを実施例7、(3)と同様にして50%酢酸
水溶液で処理して、化合物(5)を脱アセタール反応にか
けた。その反応液を実施例7、(3)における後処理と同
様にして、後処理すると、1D-キロ-イノシトールの15.1
mgが無色固体として得られた。
【0125】実施例9 式(B)のミオ-イノシトールから1D-2,3-O-(D-1',7',7'-
トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-
イノシトール〔化合物(1)〕の合成
トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ-
イノシトール〔化合物(1)〕の合成
【0126】ミオ-イノシトールの2.00 gをジメチルス
ルホキシド10 mLに懸濁せしめ、この懸濁液に(1R)-(+)
-カンファー6.0 g、オルトぎ酸トリメチル5.5 mL、メタ
ノール3.6 mL、及び硫酸0.40 mLを加え70℃で8時間攪
拌して反応せしめた(ビス-アセタール化)。
ルホキシド10 mLに懸濁せしめ、この懸濁液に(1R)-(+)
-カンファー6.0 g、オルトぎ酸トリメチル5.5 mL、メタ
ノール3.6 mL、及び硫酸0.40 mLを加え70℃で8時間攪
拌して反応せしめた(ビス-アセタール化)。
【0127】均一の反応液に、28%ナトリウムメトキシ
ドのメタノール溶液1.3 mLを加えて中和した。得られた
混合物を濃縮してシロップを得た。このシロップをクロ
ロホルム-メタノール(10:1)の混液16.5 mLに溶解し、こ
の溶液に水0.15 mL及びp-トルエンスルホン酸80 mgを加
えて室温で2時間攪拌し選択的にトランス-アセタール
基を脱離せしめた。懸濁液状の反応液にヘキサンを加
え、生じた沈澱をろ取し、次いで水(16 mL×4)で洗
浄し乾燥した。化合物(1)を主成分とするモノアセター
ル体の混合物〔化合物(1)、化合物(13)、化合物(14)お
よび化合物(15)よりなる混合物であって、各化合物の含
有率は47:18:32:3%〕の2.85 g(モノアセタール体とし
ての収率82%)を無色固体として得た。
ドのメタノール溶液1.3 mLを加えて中和した。得られた
混合物を濃縮してシロップを得た。このシロップをクロ
ロホルム-メタノール(10:1)の混液16.5 mLに溶解し、こ
の溶液に水0.15 mL及びp-トルエンスルホン酸80 mgを加
えて室温で2時間攪拌し選択的にトランス-アセタール
基を脱離せしめた。懸濁液状の反応液にヘキサンを加
え、生じた沈澱をろ取し、次いで水(16 mL×4)で洗
浄し乾燥した。化合物(1)を主成分とするモノアセター
ル体の混合物〔化合物(1)、化合物(13)、化合物(14)お
よび化合物(15)よりなる混合物であって、各化合物の含
有率は47:18:32:3%〕の2.85 g(モノアセタール体とし
ての収率82%)を無色固体として得た。
【0128】
【発明の効果】本発明による1D-キロ-イノシトールの合
成のための新規方法は、安価なミオ-イノシトールを原
料として利用できるものであり、しかも純粋な物質とし
て容易に調製できる1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イ
ノシトールから出発して、実質的に5つの反応工程を経
て、高い光学純度の1D-キロ-イノシトールを高い収率で
製造することを可能にする。本方法の各々の反応工程
は、簡便に実施できて且つ各工程の所望な生成物を効率
よく生成できる。本発明による1D-キロ-イノシトールの
合成方法は、高い光学純度の1D-キロ-イノシトールを高
い効率で製造できる工業的方法として有用である。
成のための新規方法は、安価なミオ-イノシトールを原
料として利用できるものであり、しかも純粋な物質とし
て容易に調製できる1D-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イ
ノシトールから出発して、実質的に5つの反応工程を経
て、高い光学純度の1D-キロ-イノシトールを高い収率で
製造することを可能にする。本方法の各々の反応工程
は、簡便に実施できて且つ各工程の所望な生成物を効率
よく生成できる。本発明による1D-キロ-イノシトールの
合成方法は、高い光学純度の1D-キロ-イノシトールを高
い効率で製造できる工業的方法として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝田 智久 埼玉県朝霞市根岸台七丁目10番15号 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号ニュ ーフジマンション701 (72)発明者 梅澤 純夫 東京都新宿区新宿5丁目1番1号−709 (72)発明者 千葉 馨 神奈川県藤沢市辻堂新町二丁目6番24号 (72)発明者 伊藤 伸浩 神奈川県厚木市戸田2385番地 北興化学厚 木寮
Claims (18)
- 【請求項1】 次の一般式(I) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表されるミオ-
イノシトールの2,3-アセタールを、次の一般式(II) (R3SO2)2O (II) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
ある〕で表される有機スルホン酸無水物、あるいは次の
一般式(II') R3SO2X (II') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもち、Xは塩素または臭
素原子である〕で表される有機スルホン酸クロリドまた
はブロミドと反応させて、一般式(I)のミオ-イノシ
トール誘導体の1位ヒドロキシル基の選択的な有機スル
ホニル化を行い、これにより次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールを
生成する第1工程と、一般式(III)の化合物に、モノ
官能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基ま
たはアロイル基R4を有するヒドロキシル保護基導入用
のアシル化剤を反応させて次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基、好ましく
はアセチル基またはアロイル基、好ましくはベンゾイル
基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O
-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシトール
を生成する第2工程と、一般式(IV)の化合物に次の一
般式(V) R5CO2-M (V) 〔式中、Mはアルカリ金属原子、好ましくはリチウムま
たはナトリウムもしくはカリウム原子を示し、R5は低
級アルキル基またはアリール基、好ましくは低級アルキ
ル基で置換されてもよいフェニル基を示す〕のカルボン
酸アルカリ金属塩を非反応性の極性有機溶媒中で加熱下
に反応させ、これによって一般式(IV)のミオ-イノシ
トール保護誘導体の1位の立体配置の反転を伴う、1位
の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離とアルカノイ
ルオキシ基またはアロイルオキシ基-O-CO-R5による置換
反応を行って、次の一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノシトールを生
成する第3工程と、さらに一般式(VI)の化合物のヒド
ロキシル基保護用のアシル基R4ならびに6位のアルカ
ノイル基またはアロイル基-CO-R5を脱保護処理により一
般式(VI)の化合物から脱離させ且つこうして次の一般式
(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成する第4工程と、一
般式(VII)の1D-キロ-イノシトール誘導体を酸処理し
て、これにより一般式(VII)の化合物から、上記の式
(a)で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第5工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法。 - 【請求項2】 請求項1に示された一般式(I)のミオ
-イノシトールの2,3-アセタールは、ミオ-イノシトール
に(1R)-(+)-カンファーのジメチルアセタールを酸触媒
の存在下に反応させて得られた次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基を示す〕の1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル[2.2.1]ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミオ
-イノシトールである請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 次式(Ia) 〔式中、Meはメチル基を示す〕の1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-ミ
オ-イノシトールに-50℃ないし室温の範囲の温度でトリ
フルオロメタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン
酸無水物またはp-トルエンスルホニルクロリドあるいは
メタンスルホニルクロリドをピリジンの単独よりなる溶
媒中で、もしくは酸結合剤として働くピリジンまたはト
リアルキルアミンである有機塩基の存在下で塩素化炭化
水素、好ましくはジクロロメタンの有機溶媒中で反応さ
せて次の一般式(IIIb) 〔式中、R3aはトリフルオロメチル基またはp-メチルフ
ェニル基あるいはメチル基を示す〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-ミオ-イノシト
ールを生成する第1工程と、一般式(IIIb)の化合物に
ヒドロキシル保護基導入剤として酢酸無水物、アセチル
クロリド、安息香酸無水物またはベンゾイルクロリドを
酸結合剤として働く有機塩基、好ましくはピリジンまた
はトリエチルアミンのような有機塩基の存在下に有機溶
剤中で反応させて次の一般式(IVb) 〔式中、R3aは上記と同じ意味をもち、R4aはアセチル
基またはベンゾイル基であるモノ官能性のヒドロキシル
保護基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アシル-ミオ-イノシ
トールを生成する第2工程と、一般式(IVb)の化合物に
安息香酸リチウムまたはナトリウムもしくはカリウム、
あるいは酢酸リチウムまたはナトリウムもしくはカリウ
ムを有機溶媒、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミド中
で高めた温度で反応させて次の一般式(VIb) 〔式中、R4aは上記と同じ意味をもち、R5aはフェニル
基またはメチル基である〕で表される1D-6-O-ベンゾイ
ルまたはアセチル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-
O-アセチルまたはベンゾイル-キロ-イノシトールを生成
する第3工程と、一般式(VIb)の化合物を低級アルカノ
ール中で塩基としてのアルカリ金属の(C1〜C4)アルコ
キシドで処理して、一般式(VIb)の化合物の3位、4位
および5位のヒドロキシル基を保護するアシル基(すな
わち、アセチル基またはベンゾイル基)、ならびに6位
のヒドロキシル基に結合したアシル基(-CO-R5a)を脱離
し、これによって次式(VIIa) で表される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトー
ルを生成する第4工程と、上記の式(VIIa)の化合物を酸
水溶液で処理することにより脱アセタール化して前記の
式(A)の1D-キロ-イノシトールを生成する第5工程から
成る、請求項1に記載の1D-キロ-イノシトールの合成方
法。 - 【請求項4】 次の一般式(I) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表されるミオ-
イノシトールの2,3-アセタールを、次の一般式(II) (R3SO2)2O (II) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
ある〕で表される有機スルホン酸無水物、あるいは次の
一般式(II') R3SO2X (II') 〔式中、R3は前記と同じ意味をもち、Xは塩素または臭
素原子である〕で表される有機スルホン酸クロリドまた
はブロミドと反応させて、一般式(I)のミオ-イノシト
ール誘導体の1位ヒドロキシル基の選択的な有機スルホ
ニル化を行うことから成る、次の一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタールの
製造法。 - 【請求項5】 次の一般式(III) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基である〕で表される1D-1-O-
有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-アセタール
に、モノ官能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノ
イル基またはアロイル基R4を有するヒドロキシル保護
基導入用のアシル化剤を反応させることから成る、次の
一般式(IV) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は前記と同じ意味をもち、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはアロ
イル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシト
ールの製造法。 - 【請求項6】 次の一般式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、R4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはアロ
イル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシト
ールに次の一般式(V) R5CO2-M (V) 〔式中、Mはアルカリ金属原子、特にリチウムまたはナ
トリウムもしくはカリウム原子を示し、R5は低級アル
キル基またはアリール基、好ましくは低級アルキル基で
置換されてもよいフェニル基を示す〕のカルボン酸アル
カリ金属塩を非プロトン性の極性有機溶媒中で加熱下に
反応させ、これによって一般式(IV)のミオ-イノシト
ール保護誘導体の1位の立体配置の反転を伴う、1位の
有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3の脱離とアルカノイル
オキシ基またはアロイルオキシ基-O-CO-R5による置換反
応を行うことから成る、次の一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-1,2-ジ-O-ア
セタール化-3,4,5-トリ-O-アシル-キロ-イノシトールの
製造法。 - 【請求項7】 次の一般式(VI) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R4はモノ官能性
のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基またはア
ロイル基を示し、R5は低級アルキル基またはアリール
基、好ましくは低級アルキル基で置換されてもよいフェ
ニル基を示す〕で表される1D-6-O-アルカノイルまたは
アロイル-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-保護-
キロ-イノシトールのヒドロキシル基保護用のアシル基
R4およびアルカノイル基またはアロイル基-CO-R5を脱
保護処理により一般式(VI)の化合物から脱離させること
から成る、次式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールの製造法。 - 【請求項8】 次式(VII) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示す〕で表される1D-1,2
-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトールから、1位およ
び2位ヒドロキシル基をアセタールの形で保護する1,1-
ジ置換メチリデン基の型のヒドロキシル保護基を酸処理
により脱離させることから成る、次式(A) の1D-キロ-イノシトールの製造法。 - 【請求項9】 次の一般式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基でもしくは
ニトロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、さらにR4はモノ官
能性のヒドロキシル保護基としてのアルカノイル基、好
ましくはアセチル基またはアロイル基、好ましくはベン
ゾイル基を示す〕で表される1D-1-O-有機スルホニル-2,
3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-ミオ-イノシトールを、アルカリ金属フッ化
物の存在下に非反応性の極性有機溶媒中で加熱下に処理
し、これによって一般式(IV)のミオ-イノシトール-O-
アシル誘導体の1位の有機スルホニルオキシ基-O-SO2R3
の脱離を起し、これに伴い、ヒドロキシル基の立体配置
が反転した次の一般式(VIIIa) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールを生成し、また並行的に起
こるアシル転移によって次の一般式(VIIIc) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一方
を生成する第1工程と、こうして得られた第1工程の生
成物の混合物を低級アルカノール中でアルカリ金属アル
コキシドで処理し、これによって式(VIIIa)の化合物
と、式(VIIIb)の化合物と、式(VIIIc)の化合物および/
または式(VIIId)の化合物とから、アルカノイル基また
はアロイル基R4を脱離させ且つこうして次の一般式(VI
I) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-ジ-O-アセ
タール化-キロ-イノシトールを生成する第2工程と、一
般式(VII)の1D-キロ-イノシトール誘導体を酸処理し
て、これにより一般式(VII)の化合物から、上記の式
(a)で表される1,1-ジ置換メチリデン基の型のジ官能
性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第3工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法。 - 【請求項10】 次の一般式(IVa) 〔式中、R3は低級アルキル基、ω-トリハロ-(低級)ア
ルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基、または
低級アルキル基でもしくはニトロ基で置換されたフェニ
ル基、あるいはアラルキル基、好ましくはベンジル基で
あり、さらにR4はモノ官能性のヒドロキシル保護基と
してのアルカノイル基、好ましくはアセチル基またはア
ロイル基、好ましくはベンゾイル基を示す〕で表される
1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-
トリ-O-アルカノイルまたはアロイル-ミオ-イノシトー
ルを、アルカリ金属フッ化物、好ましくはフッ化ナトリ
ウムの存在下に非反応性の極性有機溶媒中で加熱下に処
理し、これによって一般式(IVa)のミオ-イノシトール
-O-アシル誘導体の1位の有機スルホニルオキシ基-O-SO
2R3の脱離を起し、これに伴い、ヒドロキシル基の立体
配置が反転した次の一般式(VIIIa-1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトール及び次の一般式(VIIIb-
1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールを生成し、また並行的に
起こるアシル転移によって次の一般式(VIIIc-1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId-
1) 〔式中、R4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,
2-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまた
はアロイル-キロ-イノシトールとの両方または何れか一
方を生成する第1工程と、こうして得られた第1工程の
生成物の混合物を低級アルカノール中でアルカリ金属ア
ルコキシドで処理し、これによって式(VIIIa-1)の化合
物と、式(VIIIb-1)の化合物と、式(VIIIc-1)の化合物お
よび/または式(VIIId-1)の化合物とから、アルカノイ
ル基またはアロイル基R4を脱離させ且つこうして次の
一般式(VIIa) で表される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトー
ルを生成する第2工程と、一般式(VIIa)の1D-キロ-イ
ノシトール誘導体を酸処理して、これにより一般式(VI
Ia)の化合物から、カンファー置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を脱離させて次式(A) の1D-キロ-イノシトールを生成する第3工程とから成る
ことを特徴とする、1D-キロ-イノシトールの合成方法。 - 【請求項11】 一般式(III) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR3は請求項1におけると同じ意味をもつ〕で表
される1D-1-O-有機スルホニル-ミオ-イノシトール-2,3-
アセタール。 - 【請求項12】 次の一般式(III') 〔式中、R3は請求項1におけると同じ意味をもつ〕で
表される1D-1-O-有機スルホニル-2,3-ジ-O-アセタール
化-ミオ-イノシトールである請求項11に記載の2,3-ア
セタール。 - 【請求項13】 次の一般式(IV) 〔式中、次式(a) で表される基は、光学活性なケトンまたはアルデヒドか
ら誘導された、あるいは該ケトンまたはアルデヒドのジ
メチルアセタールからアセタール部分のメトキシ基2個
の解離により誘導された1,1-ジ置換メチリデン基の型の
ジ官能性ヒドロキシル保護基を示し、R3は低級アルキ
ル基、ω-トリハロ-(低級)アルキル基、アリール基、好
ましくはフェニル基、または低級アルキル基もしくはニ
トロ基で置換されたフェニル基、あるいはアラルキル
基、好ましくはベンジル基であり、R 4はモノ官能性の
ヒドロキシル保護基である〕で表される1D-1-O-有機ス
ルホニル-2,3-ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-保護-
ミオ-イノシトール。 - 【請求項14】 一般式(IV)の化合物が次の一般式
(IVb) 〔式中、R3aはトリフルオロメチル基、p−メチルフェ
ニル基またはメチル基であり、R4aはアセチル基または
ベンゾイル基である〕で表される1D-2,3-O-(D-1',7',7'
-トリメチル〔2.2.1〕ビシクロヘプト-2'-イリデン)-1-
O-有機スルホニル-4,5,6-トリ-O-保護-ミオ-イノシトー
ルである請求項13に記載の化合物。 - 【請求項15】 一般式(VI) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
ならびにR4およびR5は請求項1におけると同じ意味を
もつ〕で表される1D-6-O-アルカノイルまたはアロイル-
1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-保護-キロ-イノ
シトール。 - 【請求項16】 一般式(VII) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
は請求項1におけると同じ意味をもつ〕で表される1D-
1,2-ジ-O-アセタール化-キロ-イノシトール。 - 【請求項17】 次の一般式(VIIIa) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は請求項1におけると同じ意味をもつ〕で表
される1D-1,2-ジ-O-アセタール化-3,4,5-トリ-O-アルカ
ノイルまたはアロイル-キロ-イノシトールと、次の一般
式(VIIIb) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,4,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、一般式(VIIIc) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-3,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールと、次の一般式(VIIId) 〔式中、R1およびR2を有する1,1-ジ置換メチリデン基
およびR4は前記と同じ意味をもつ〕で表される1D-1,2-
ジ-O-アセタール化-4,5,6-トリ-O-アルカノイルまたは
アロイル-キロ-イノシトールとから成る群から選ばれる
化合物。 - 【請求項18】 次式(B) で表されるミオ-イノシトールを次式(E) で表されるオルトぎ酸トリメチルおよび低級アルキルア
ルコール、好ましくはメタノールの存在下に次式(F) で表される(1R)-(+)-カンファーと極性有機溶媒、好ま
しくはジメチルスルホキシドの有機溶媒中で触媒量の
酸、好ましくは硫酸の存在下に50℃ないし100℃の範囲
の温度で反応させることから成る、次式(Ia) の化合物と次式(IXa) の化合物と、次式(IXb) の化合物と、次式(IXc) の化合物とを製造する方法。
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