JPH0899990A - アジド化ヌクレオシド誘導体の製造方法 - Google Patents

アジド化ヌクレオシド誘導体の製造方法

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JPH0899990A
JPH0899990A JP7199755A JP19975595A JPH0899990A JP H0899990 A JPH0899990 A JP H0899990A JP 7199755 A JP7199755 A JP 7199755A JP 19975595 A JP19975595 A JP 19975595A JP H0899990 A JPH0899990 A JP H0899990A
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reaction
azido
toluoyl
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JP7199755A
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English (en)
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Hiroyuki Kyomori
浩之 京盛
Tomoyasu Nagase
友康 永瀬
Kenichi Takatsuki
健一 高月
Akihiro Yamashita
陽弘 山下
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KOBAYASHI KORYO KK
KOBAYASHI PERFUMERY CO
Original Assignee
KOBAYASHI KORYO KK
KOBAYASHI PERFUMERY CO
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Publication date
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高収率、高選択的、高純度のアジド化ヌクレ
オシド誘導体の製造方法の提供。 【構成】 2’−デオキシウリジン誘導体の5’−水酸
基を芳香族アシル保護脱離基により保護し、3’−水酸
基にアルキルスルホニルによる保護脱離基を導入し、さ
らに強塩基により2,3’−アンヒドロ化し、これにア
ンモニウム塩の存在下でのアジドイオンによる3’−ア
ジド化の後、上記の5’−水酸基の保護基を温和な条件
で除去することからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアジド化ヌクレオシ
ド誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アジド化ヌクレオシド誘導体は、AZT
(アジドチミジン)に代表されるアジド化ヌクレオシド
化合物製造のための中間体等として重要である。
【0003】従来より、アジド化ヌクレオシド誘導体合
成方法は、一般的に知られているものとしては図1に示
されるように数ステップから構成されている。すなわ
ち、2’−デオキシウリジン誘導体の5’−水酸基を適
当な保護基により保護し、3’−水酸基に適当な脱離基
を導入し、強塩基による2,3’−アンヒドロ化し、ア
ジドイオンによる3’−アジド化の後、最後に上記の
5’−水酸基の保護基を除去するというステップである
(例えば、松田等、Nucleosides and Nucleotides,9
(4),587-597,1990 参照)。
【0004】ここで、第一のステップの5’−水酸基を
適用な保護基により保護する反応においては、上記した
従来の方法に用いられている保護基化剤、例えばt−ブ
チルジメチルシリルクロリドやトリチルクロリドは非常
に高価であり、従って3’−アジド−2’,3’−ジデ
オキシウリジン誘導体の製造コストを押し上げる大きな
要因となるという問題点がある。したがって、より安価
な保護基化剤を用いて同様の効果を有する保護基化反応
の開発が切望されている(例えば、松田等、Nucleoside
s and Nucleotides,9(4),587-597,1990 ;Glinski 等、
J. Org. Chem.,1973, 38(25),4299-4305 参照)。
【0005】さらに、5’−水酸基の選択的アシル保護
基化剤として広く用いられているピバロイルクロリド
(トリメチルアセチルクロリド)により導入されるピバ
ロイル基は、脱保護基化のために強い塩基性条件を必要
とし、従って該脱保護基化反応の長時間化をもたらすの
みならず、反応生成物に好ましくない影響(例えば、収
率の減少、光学純度の低下等)を与える可能性があると
いう問題点がある。従って、より温和な反応条件下で脱
保護基化可能な保護基の開発も切望されている。
【0006】また、第二のステップのアンヒドロ化反応
は、塩基によるアンヒドロ体を合成するための中間体と
してさらに3’−水酸基に脱離基が導入されたものを調
製することを含むものであるが、反応の選択性、収率、
操作の容易性などの点から3’−水酸基への脱離基試薬
等の条件設定が難しいという問題点がある。従って、高
選択的な、かつ高収率で操作容易な脱離基導入反応の開
発が切望されている。
【0007】また、アンヒドロ体のアジド化反応におい
ては以下に示す(以下においては、5´- 水酸基保護基
化−2, 3´- アンヒドロ- チミジンを原料とした方法
のみ記載する)いくつかの方法が知られているが、これ
らの方法では、アジドイオン(N3 - )を用いるアジド
化反応における脱離基(アグリコン部)の脱離能力は必
ずしも十分でないため、選択的に反応が進行せず不純物
が生成し易い傾向がありこのような不純物の生成は、合
成収率の向上を阻害するのみならず、該不純物を除去す
るための繁雑な精製工程を必要不可欠のものとするとい
う問題点がある。したがって、より選択的でかつ不純物
の生成の少ないアジド化方法の開発が切望されている。
【0008】 5´-O- トリチル- 2, 3´- アンヒ
ドロチミジンとNaN3 との反応による3´- アジド-
3´- デオキシ- 5´-O- トリチルチミジン合成方法
(J. Org. Chem., 1973, 38(25),4299-4305 (Glinski
等))。
【0009】
【化1】
【0010】 5´-O- トリチル- 2, 3´- アンヒ
ドロチミジンとLiN3 との反応による3´- アジド-
3´- デオキシ- 5´-O- トリチルチミジン合成方法
(Nucleosides & Nucleotides, 1990, 9(5), 629-637
(渡辺等))。
【0011】
【化2】
【0012】 安息香酸存在下、5´- O-t- ブチル
ジメチルシリル- 2, 3´- アンヒドロチミジンとLi
3 との反応により3´- アジド- 5´-0-t- ブチルジ
メチルシリル−3´- デオキシチミジン合成方法(Nucl
eosides & Nucleotides, 1990,9(5), 587-597 (松田
等))
【0013】
【化3】
【0014】さらに、上記アジド化物の脱保護基反応
は、一般的には温和な条件での加水分解反応であるが、
最適な条件は保護基の種類に大きく依存する。従って、
5’−水酸基に使用される保護基の種類により最適化さ
れた脱保護基反応の開発が切望されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、アジド化ヌクレオシド誘導体を、高収率、高選択
的、高純度で製造しうる方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の要望
に鑑み、鋭意研究し、上記の従来技術の有する問題点を
解消し、2’−デオキシウリジン誘導体の5’−水酸基
を適当な保護基により保護し、3’−水酸基に適当な脱
離基を導入し、強塩基による2,3’−アンヒドロ化
し、アジドイオンによる3’−アジド化の後、最後に上
記の5’−水酸基の保護基を温和な条件で除去すること
により、高収率、高選択的、高純度のアジド化ヌクレオ
シド誘導体の製造方法を見出すことに成功し本発明を完
成するに至った。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者等は鋭意研究の結果、安
価な芳香族アシルハライドを選択的に5’−水酸基の保
護基化剤として用いることが可能であり、従って3’−
アジド−2’,3’−ジデオキシウリジン誘導体の製造
に極めて有効であることを見いだした。
【0018】さらに、アンヒドロ化反応中間体調製のた
めにアルキルスルホニルハライドを3’−水酸基の保護
基化剤として用いることが可能であり、従って3’−ア
ジド−2’,3’−ジデオキシウリジン誘導体の製造に
極めて有効であることを見いだした。
【0019】また、アジド化反応において、触媒として
アンモニウム塩、またはアルキルアミン塩を使用するこ
とが、5´水酸基を保護した2, 3´- アンヒドロデオ
キシウリジン誘導体の高選択的アジド化に極めて効果的
であり、従って3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ
ウリジン誘導体の製造に極めて有効であることを見いだ
した。
【0020】また、上記芳香族アシルハライドによる選
択的5’−水酸基の保護基を温和な条件で脱保護基可能
とする条件を見いだし、従って3’−アジド−2’,
3’−ジデオキシウリジン誘導体の製造に極めて有効で
あることも見いだした。
【0021】従って、上記知見に基づき、安価な試薬を
使用し、高収率かつ高純度で、操作性の容易なアジド化
ヌクレオシド誘導体の製造が可能となる。
【0022】すなわち、本発明は、次式
【0023】
【化4】
【0024】(ここで、Xは、水素、ハロゲン、複素
環、アルキル、アリール、アルケニル、またはハロゲン
置換されたアルキル、アリール、アルケニルを表す)で
表される2’−デオキシウリジン誘導体の5’−水酸基
の芳香族アシル基によるエステル化反応による5’−芳
香族アシル保護基化−2’−デオキシウリジン誘導体の
製造方法に係るものである。
【0025】また、本発明は、その芳香族アシル基が、
ベンゾイル基、p−トルオイル基、o−トルオイル基、
2、4、6ートリメチルベンゾイル基、p−クロロベン
ゾイル基、o−クロロベンゾイル基、p−メトキシベン
ゾイル基、o−メトキシベンゾイル基からなる群から選
ばれることを特徴とするものである。
【0026】また、本発明は、5' −水酸基芳香族アシ
ル保護基化−2’−デオキシウリジン誘導体の3’−水
酸基をスルホニル基によるスルホン酸エステル化するス
テップと、塩基触媒によるアンヒドロ化するステップと
を有する、5’−水酸基芳香族アシル保護基化−2,
3’−アンヒドロ−2’−デオキシウリジン誘導体の製
造方法に係るものである。
【0027】
【化5】
【0028】さらに本発明は、このスルホニル基が、メ
タンスルホニル基、またはp−トルエンスルホニル基で
あることを特徴とするものである。
【0029】また本発明は、その強塩基触媒が、ジアザ
ビシクロウンデセン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムからなる群
より選ばれることを特徴とするものである。
【0030】また、本発明は、次式
【0031】
【化6】
【0032】(ここで、Xは、水素、ハロゲン、複素
環、アルキル、アリール、アルケニル、またはハロゲン
置換されたアルキル、アリール、アルケニルを表し、R
3 は、アルキルカルボニル基、またはアリールカルボニ
ル基を表す。)で表された5’−水酸基を保護した2,
3’−アンヒドロ−2’−デオキシウリジン誘導体に、
アンモニウム塩の存在下でアジドイオンの反応によるア
ジド化ヌクレオシド誘導体の製造方法に係るものであ
る。
【0033】さらに本発明は、R3 がトリチル基、ピバ
ロイル基、1−アダマントイル基、ベンゾイル基、p−
トルオイル基、またはo−トルオイル基、2、4、6−
トリメチルベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、o
−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、o
−メトキシベンゾイル基から選ばれることを特徴とする
ものである。
【0034】また本発明は、R3 がトリチル基であるこ
とを特徴とするものである。
【0035】また本発明は、R3 がoーまたはp−トル
オイル基であることを特徴とするものである。
【0036】また本発明は、そのアンモニウム塩が塩化
アンモニウムであることを特徴とするものである。
【0037】さらに本発明は、アジドイオンを与えるア
ジド化試薬がアジ化ナトリウムであることを特徴とする
ものである。
【0038】また本発明は、5’−水酸基を保護した
3’ーアジド−2’、3’−ジデオキシウリジン誘導体
の脱保護基反応による3’ーアジド−2’、3’−ジデ
オキシウリジン誘導体の製造方法に係るものである。
【0039】
【化7】
【0040】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0041】ステップ1:本発明において使用する原料
は、下記一般式に示される2'- デオキシウリジン誘導体
である。
【0042】
【化8】
【0043】ここで、本発明においては、置換基Xは、
5’−水酸基保護基化、およびアンヒドロ化、3’−ア
ジド化反応を妨害しない限り特に制限されない。
【0044】このようなXとしては、例えば水素原子、
ハロゲン原子、複素環、もしくはハロゲン原子により置
換されることもあるアルキル基またはアリール基または
アルケニル基などが使用可能であり、特に水素原子、ま
たはメチル基のものが好ましく使用可能である。
【0045】さらに本発明においては、Xとしてのハロ
ゲン原子がF、Cl、Br、Iのものが出発化合物とし
て好適に使用可能である(Bull.Chem.Soc.Jpn.,60,(198
7),2073-2077) 。これらXがCl,Br,Iの場合にお
いての本発明においての各ステップでの反応条件は、そ
れぞれの置換基により最適化可能である。
【0046】また本発明では、5’−水酸基の保護基と
して、下に示されるように芳香属アシル基が好適に使用
可能であり、例えばベンゾイル基、p-トルオイル基、o-
トルオイル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル基、p-クロ
ロベンゾイル基、o-クロロベンゾイル基、p-メトキシベ
ンゾイル基、o-メトキシベンゾイル基等が好ましく使用
可能である。特に、安価な面からベンゾイル基が好まし
く、またアジド化反応での安定性の面からはo-またはp-
トルオイル基が好ましく使用可能である。
【0047】特に本発明において、好適に使用可能な出
発化合物としては、上記芳香族を有する酸ハロゲン化物
である。
【0048】(5'- 水酸基芳香族アシル保護基化-2'-デ
オキシウリジン誘導体)
【0049】
【化9】
【0050】(上記式中、R1 は芳香族アシル基を現
す。Xは前記におけると同義。) 上記芳香族アシルハライドおよび芳香族酸無水物が用い
る保護基化反応において、保護基化試薬の使用量は、5'
- 水酸基選択性の点から、原料たる2'- デオキシウリジ
ン誘導体1モルに対して0.5 〜1.5 モル、好ましくは0.
9 〜1.2 モル程度用いることが可能である。
【0051】また該反応に使用可能な溶媒としては、ア
シル化反応に実質的に不活性であり、該反応の反応温度
において液状である有機または無機の化合物(ないし、
2種以上の該化合物の混合物)を特に制限なく使用可能
である。特に、原料の溶解性の点からピリジンが好まし
く用いられる。反応性向上の点から、トリエチルアミ
ン、炭酸ナトリウムのような有機または無機の塩基など
を上記溶媒に混合して用いることも可能である。
【0052】上記溶媒の使用量は特に制限はされない
が、反応効率および撹拌の容易性を考慮して、原料の2'
- デオキシウリジン誘導体1モルに対して0.5 〜4 l程
度用いることが好ましい。
【0053】本発明において上記反応条件は、原料の2'
- デオキシウリジン誘導体を上記溶媒中に溶解または懸
濁させた後、上記保護基化試薬を滴下反応させることが
5'-水酸基選択性にとって好ましい。また、必要応じ
て、上記保護基化試薬を上記溶媒で希釈した後に滴下反
応させることも可能である。滴下に要する時間は15分〜
2 時間程度が好ましい。反応温度は反応効率および副反
応制御のバランスの点からは、-20 〜50℃程度であるこ
とが好ましい。
【0054】保護基化反応の進行および終了は、TLC
(薄層クロマトグラフィー;シリカゲル、アルミナ
等)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)等の通常の
手段によって確認することが可能である。さらに、赤外
線吸収スペクトル(IR)によりエステル基の形成が確
認可能である。反応時間は、上記した反応温度や保護基
化試薬にも依存し、上記の方法による反応進行状態をモ
ニターし、少なくとも90%以上の反応が進行すること
が望ましい。通常は5 時間以下、更には10分〜3 時間程
度が好ましい。
【0055】生成物の単離は、反応混合液から、適当な
溶媒により抽出して行う。例えば酢酸エチル、クロロホ
ルム、トルエン、ヘキサン等が好適に使用可能である。
抽出溶媒を除いた後、粗生成物を得るが、必要な場合
は、さらに精製することが可能である。例えば、シリカ
ゲルカラム、分取用HPLC等が好適に使用可能であ
る。
【0056】精製物の構造は、IR、核磁気共鳴(NM
R)、または質量分析(MS)等により確認可能であ
る。純度は、TLC、HPLC、IR、NMR、融点測
定等により確認可能である。
【0057】ステップ2:本発明においては、ステップ
2は、3’−水酸基の保護基化により中間体5'-水酸基
芳香族アシル保護基化-3'-スルホニル基化-2'-デオキシ
ウリジン誘導体の生成と、それに続いて強塩基によるア
ンヒドロ化反応によりなる。
【0058】ステップ1で得られた5'- 水酸基芳香族ア
シル保護基化-2'-デオキシウリジン誘導体の3’−水酸
基の保護基としては下に示されるようにメタンスルホニ
ル基、p-トルエンスルホニル基等に代表されるアルキル
またはアリールスルホニル基が好適に使用可能である。
【0059】
【化10】
【0060】(上記式中、脱離基R2 はメタンスルホニ
ル基、p-トルエンスルホニル基等に代表されるアルキル
またはアリールスルホニル基を表す。R1 およびXは前
記におけると同義。) 上記スルホニルハライドを用いる保護基化反応におい
て、保護基化試薬の使用量は、3'-水酸基選択性の点か
ら、原料たる5'- 水酸基芳香族アシル保護基化-2'-デオ
キシウリジン誘導体1モルに対して0. 8〜4モル、好
ましくは1.2〜2.5モル程度用いることが可能であ
る。
【0061】また該反応に使用可能な溶媒としては、ア
シル化反応に実質的に不活性であり、該反応の反応温度
において液状である有機または無機の化合物(ないし、
2種以上の該化合物の混合物)を特に制限なく使用可能
である。特に、原料の溶解性の点からピリジンが好まし
く用いられる。反応性向上の点から、トリエチルアミ
ン、炭酸ナトリウムのような有機または無機の塩基など
を上記溶媒に混合して用いることも可能である。
【0062】上記溶媒の使用量は特に制限はされない
が、反応効率および撹拌の容易性を考慮して、原料の5'
- 水酸基芳香族アシル保護基化-2'-デオキシウリジン誘
導体1モルに対して0.5 〜4 l程度用いることが好まし
い。
【0063】本発明において上記反応条件は、原料の5'
- 水酸基芳香族アシル保護基化-2'-デオキシウリジン誘
導体を上記溶媒中に溶解または懸濁させた後、上記保護
基化試薬を滴下反応させることが3'-水酸基選択性にと
って好ましい。また、必要に応じて、上記保護基化試薬
を上記溶媒で希釈した後に滴下反応させることも可能で
ある。滴下に要する時間は15分〜2 時間程度が好まし
い。反応温度は反応効率および副反応制御のバランスの
点からは、-20 〜50℃程度であることが好ましい。
【0064】保護基化反応の進行および終了は、TLC
(薄層クロマトグラフィー;シリカゲル、アルミナ
等)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)等の通常の
手段によって確認することが可能である。さらに、赤外
線吸収スペクトル(IR)によりスルホン酸エステル基
の形成が確認可能である。反応時間は、上記した反応温
度や保護基化試薬にも依存し、上記の方法による反応進
行状態をモニターし、少なくとも90%以上の反応が進
行することが望ましい。通常は5 時間以下、更には10分
〜3 時間程度が好ましい。
【0065】生成物の単離は行わず、反応混合液から、
適当な溶媒(例えばトルエン、酢酸エチル、クロロホル
ム、ヘキサン等が好適に使用可能である)により抽出
し、ついで抽出溶媒を除いた後、粗生成物5'- 水酸基芳
香族アシル保護基化-3'-スルホニル基化-2'-デオキシウ
リジン誘導体を得る。
【0066】さらに、この粗生成物を適当な溶媒(アセ
トニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノ
ール、エタノール、2−プロパノール等)に溶解または
懸濁させ、加熱、撹拌の条件下で強塩基(1、8−ジア
ザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、フタル酸ナトリウム、フ
タル酸カリウム等)を反応させてアンヒドロ化する。
【0067】上記溶媒の使用量は特に制限はされない
が、反応効率および撹拌の容易性を考慮して、原料の粗
生成物5'- 水酸基芳香族アシル保護基化-3'-スルホニル
基化-2'-デオキシウリジン誘導体1モルに対して0.5 〜
4 l程度用いることが好ましい。
【0068】本発明において上記反応条件は、原料の5'
- 水酸基芳香族アシル保護基化-3'-スルホニル基化-2'-
デオキシウリジン誘導体を上記溶媒中に溶解または懸濁
させた後、上記強塩基を滴下反応させることが3'-水酸
基選択性にとって好ましい。また、必要応じて、上記保
護基化試薬を上記溶媒で希釈した後に滴下反応させるこ
とも可能である。滴下に要する時間は15分〜2 時間程度
が好ましい。反応温度は反応効率および副反応制御のバ
ランスの点からは、10〜80℃程度であることが好ま
しい。
【0069】本発明においては、上記強塩基の使用量
は、原料の5'- 水酸基芳香族アシル保護基化-3'-スルホ
ニル基化-2'-デオキシウリジン誘導体1モルに対し0.
8モルから1.5モル程度が望ましい。
【0070】アンヒドロ化反応の進行および終了は、T
LC(薄層クロマトグラフィー;シリカゲル、アルミナ
等)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)等の通常の
手段によって確認することが可能である。反応時間は、
上記した反応温度や強塩基にも依存し、上記の方法によ
る反応進行状態をモニターし、少なくとも90%以上の
反応が進行することが望ましい。通常は5 時間以下、更
には10分〜3 時間程度が好ましい。
【0071】生成物の単離は、反応混合液から、適当な
溶媒により抽出して行う。例えばトルエン、クロロホル
ム、ヘキサン等が好適に使用可能である。抽出溶媒を除
いた後、粗生成物を得るが、必要な場合は、さらに精製
することが可能である。例えば、シリカゲルカラム、分
取用HPLC等が好適に使用可能である。
【0072】精製物の構造は、IR、核磁気共鳴(NM
R)、または質量分析(MS)等により確認可能であ
る。純度は、TLC、HPLC、IR、NMR、融点測
定等により確認可能である。
【0073】ステップ3:本発明において使用可能なア
ンヒドロ化物は、下に示される5’- 水酸基保護基化-
2, 3´- アンヒドロ- 2´- デオキシウリジン誘導体
である。
【0074】
【化11】
【0075】(上記式中、R3 は5’−水酸基の保護基
を表す。Xは前記おけると同義。) 本ステップにおいて、保護基R3 は、5´- 水酸基の保
護が可能な基である限り特に制限されない。生成物たる
アジド化ヌクレオシド誘導体の脱保護の容易性の点から
は、R3 は弱酸性(pH=1〜4程度)または弱塩基性
(pH=9〜13程度)で脱離可能な基であることが好
ましい。
【0076】
【化12】
【0077】(上記式中、R3 は前記(化4)における
と同義。) このような保護基としては、例えば、トリチル基(C6
5 3 Cー 、ピバロイル基(CH3 3 C- CO- 、
1- アダマントイル基、ベンゾイル基、p−トルオイル
基、o−トルオイル基、2,4,6−トリメチルベンゾ
イル基、p−クロロベンゾイル基、o−クロロベンゾイ
ル基、p−メトキシベンゾイル基、o−メトキシベンゾ
イル基等が好ましく使用可能である。中でも、弱酸性条
件下における脱保護の容易性の点からは、トリチル基が
特に好ましく、また弱塩基性条件下における脱保護の容
易性の点からは、o−またはp−トルオイル基が特に好
ましく用いられる。
【0078】本発明において触媒として使用するアンモ
ニウム塩としては、無機アンモニウム塩または有機アン
モニウム塩(例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基を
含むテトラアルキルアンモニウム塩)のいずれも使用可
能であるが、操作性の点からは、無機アンモニウム塩が
好ましく用いられる。
【0079】本発明においては、上記した無機アンモニ
ウム塩として、例えば、塩化アンモニウムNH4 Cl、
硫酸アンモニウム(NH4 2 SO4 、臭化アンモニウ
ムNH4 Br等が使用可能であるが、反応収率の点から
は、塩化アンモニウムが特に好ましく用いられる。
【0080】反応効率および後処理の容易性のバランス
の点からは、上記触媒たるアンモニウム塩は、原料たる
5´- 水酸基保護基化- 2, 3´- アンヒドロ- 2´-
デオキシウリジン誘導体(化4)1モルに対して、0.
2モル以上、更には1〜2モル程度用いることが好まし
い。
【0081】本発明においてアジドイオンを与えるアジ
ド化試薬としては、アジド基(N3 - )を有する試薬を
特に制限なく使用可能であるが、反応性の点からは、例
えばアジ化ナトリウムNaN3 、アジ化リチウムLiN
3 、アジ化トリメチルシリル(CH3 3 Si- N
3 (すなわちTMS- N3 )等が好適に使用可能であ
る。中でも、操作性の点からは、アジ化ナトリウムが特
に好ましく用いられる。
【0082】反応効率および後処理の容易性のバランス
の点からは、上記アジド化試薬は、原料たる5´- 水酸
基保護基化- 2, 3´- アンヒドロ- 2´- デオキシウ
リジン誘導体(化4)1モルに対して、0.8モル以
上、更には1.2〜6モル程度用いることが好ましい。
【0083】本発明においては、必要に応じて溶媒を用
いてもよい。このような溶媒としては、本発明における
アジド化反応に実質的に不活性であり、且つ、該反応の
反応温度において液状である有機または無機の化合物
(ないし、2種以上の該化合物の混合物)を特に制限な
く使用可能である。原料およびアジド化試薬の溶解性の
点からは、DMF(ジメチルホルムアミド)、ジオキサ
ン、ジグリム、HMPA(ヘキサメチルホスホラス・ト
リアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)、DMI
(1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン)、DMSO
(ジメチルスルホキシド)、1−メチル−2−ピロリド
ン等が好ましく用いられる。中でも、反応収率の点から
は、DMFが特に好ましく用いられる。また、アジド化
試薬の溶解性の改善のため、原料の溶解性を損なわない
範囲で前記の溶媒に水を混合してもよい。
【0084】上記溶媒の使用量は特に制限されないが、
反応効率および攪拌の容易性のバランスの点からは、原
料たる5´- 水酸基保護基化- 2, 3´- アンヒドロ-
2´- デオキシウリジン誘導体(化4)7.5ミリモル
スケールで、3.5ml以上、更には5〜50ml程度
用いることが好ましい。
【0085】本発明において、上記アンモニウム塩の存
在下で、原料の2, 3´- アンヒドロ- 2´- デオキシ
ウリジン誘導体にアジドイオンを反応させてアジド化ヌ
クレオシド誘導体(化5)を得る反応条件は、液相での
反応が可能である限り特に制限されない。反応効率およ
び副反応抑制のバランスの点からは、反応温度は、80
℃以上、更には100〜150℃程度であることが好ま
しい。
【0086】上記アジド化反応の終了は、IR,NM
R、TLC,HPLC等の通常の手段によって確認する
ことが可能である。反応時間は、上記した反応温度にも
よるが、通常は30時間以下、更には30分〜15時間
程度であることが好ましい。
【0087】生成物の単離は、反応混合液から、適当な
溶媒により抽出して行う。例えばトルエン、酢酸エチ
ル、クロロホルム、ヘキサン等が好適に使用可能であ
る。抽出溶媒を除いた後、粗生成物を得るが、必要な場
合は、さらに精製することが可能である。例えば、シリ
カゲルカラム(例えば酢酸エチル/ヘキサン(1vol/1vo
l))、分取用HPLC等が好適に使用可能である。
【0088】精製物の構造は、IR、NMR、またはM
S等により確認可能である。純度は、TLC、HPL
C、IR、NMR測定等により確認可能である。
【0089】ステップ4:5’- 水酸基保護基化- 3´
- アジド−2’、3’−ジデオキシウリジン誘導体の
5’−水酸基保護基の脱保護基化反応においては、塩基
としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニ
ア、アルキルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド等が好適に使用可能である。特に、本発明
においては、反応操作が容易なために、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等が好適に使用可能である。
【0090】上記脱保護基反応において、塩基の使用量
は、反応副生成物抑制の点からは、原料たる5’- 水酸
基保護基化- 3´- アジド−2’、3’−ジデオキシウ
リジン誘導体の1モルに対し、0.05〜2.0モル、
好ましくは0.2〜1.0モル程度用いることが可能で
ある。
【0091】また該反応に使用可能な溶媒としては、該
加水分解反応に実質的に不活性であり、該反応の反応温
度において液状である有機または無機の化合物(ない
し、2種以上の該化合物の混合物)を特に制限なく使用
可能である。特に、原料の溶解性の点からメタノールが
好ましく用いられる。上記溶媒の使用量は特に制限はさ
れないが、反応効率および撹拌の容易性を考慮して、原
料の5’- 水酸基保護基化- 3´- アジド−2’、3’
−ジデオキシウリジン誘導体1モルに対して0.5〜4
l程度用いることが好ましい。
【0092】本発明において上記反応条件は、原料の
5’- 水酸基保護基化- 3´- アジド−2’、3’−ジ
デオキシウリジン誘導体を上記溶媒中に溶解または懸濁
させた後、上記塩基を加えて反応させることが好まし
い。温度は反応効率および副反応制御のバランスの点か
らは、40〜80℃程度(例えばメタノールの還流)で
あることが好ましい。
【0093】脱保護基化反応の進行および終了は、TL
C(薄層クロマトグラフィー;シリカゲル、アルミナ
等)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)等の通常の
手段によって確認することが可能である。反応時間は、
上記した脱保護基化試薬や反応温度、および保護基の種
類にも依存し、上記の方法による反応進行状態をモニタ
ーし、少なくとも90%以上の反応が進行することが望
ましい。通常は5 時間以下、更には10分〜3 時間程度が
好ましい。
【0094】生成物の単離は次のように行う。反応混合
液を冷却後、適当な酸(塩酸等)により中和した後、溶
媒を除き、得られた水溶液をエーテルで洗浄し、水溶液
を濃縮する。この濃縮された水溶液を冷却(約10℃)
し、3’−アジド−2’、3’−ジデオキシウリジン誘
導体の白色結晶が析出する。
【0095】精製物の構造は、IR、核磁気共鳴(NM
R)、または質量分析(MS)等により確認可能であ
る。純度は、TLC、IR、HPLC、NMR、融点測
定等により確認可能である。
【0096】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。
【0097】ステップ1 実施例(1−1) (チミジンから5'- O-o- トルオイルチミジンの合成)
ピリジン40ml中にチミジン(10.0g、41.3
ミリモル)を溶解した溶液に、0〜5℃に冷却下に撹拌
しながらo−トルオイルクロリド(7.02g、45.
4ミリモル)を1時間で滴下した。その後さらに0〜5
℃で2時間撹はんして上記保護基化反応を完結させた。
【0098】TLCでモニターし、原料のチミジンがほ
ぼ消失した時点で反応の終了を確認した。
【0099】上記保護基化反応の終了後、反応混合物を
炭酸水素ナトリウム(4.20g、49.9ミリモル)
を含む水40ml中に投入した。これにトルエン40m
lを加え、分液ロートを用いて抽出を行った。このトル
エン抽出操作を2回行いトルエン有機層を集めた。
【0100】得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾
燥し、トルエンをロータリーエバポレータを用いて除き
白色の固体残さを得た。
【0101】得られた固体残さを酢酸エチル/n−ヘキ
サン=2/1の混合溶媒で30mlに溶解し、シリカゲ
ルカラム(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1の混合溶
媒)を用いて精製した。上記シリカゲルカラム溶出液か
ら溶媒を減圧下で除き、白色結晶として、5’−O−o
−トルオイルチミジンが得られた(収量12.08g、
収率85.0%)。この固体の融点は115℃(塩化メ
チレンより再結晶)であった。TLC(シリカゲル、酢
酸エチル/n−ヘキサン 5:1)で単一スポットを示
し、Rf値は0.3であった。1 H−NMR(DMSO
−d6 、テトラメチルシラン)データは:δ1.57
(s,3H、ヘテロ環CH3 ), δ2.28(t,2
H,J=7.2Hz、H−2’), δ2.57(s,
3H、o−トルオイルCH3 ), δ4.00〜4.3
3(m,1H、H−3’), δ4.35〜4.75
(m,3H、H−4’,H−5’), δ5.55
(d,1H、J=5.0Hz、H−3’OH), δ
6.35(t,1H,J=7.2Hz、H−1’),
δ7.20〜7.65(m,4H、o−トルオイル、H
−6), δ7.80〜8.15(m,1H、o−トル
オイル), δ11.32(s,1H、3−NH)であ
った。
【0102】本実施例で説明した反応条件と実質的に同
様にして、Xが水素、アルキル、ハロゲン(F,Cl,
Br,I)である場合においても好適に対応する生成物
5’−O−o−トルオイル−2’−デオキシウリジン誘
導体を得ることが可能である。
【0103】実施例(1−2) (チミジンから5'-O-p- トルオイルチミジンの合成)芳
香族アシルハライドとしてo−トルオイルクロリドの代
りに、p−トルオイルクロリド(7.02g、45.4
ミリモル)を用い、実施例(1−1)と同様にして、
5’−O−p−トルオイルチミジンの白色結晶固体が得
られた(収量12.08g、収率85.0%)。この固
体の融点は185℃(塩化メチレンから再結晶)であっ
た。TLC(シリカゲル、酢酸エチル/n−ヘキサン
5:1)で単一スポットを示し、Rf値は0.30であ
った。1 H−NMR(DMSO−d6 、テトラメチルシ
ラン)データは:δ1.57(s,3H、ヘテロ環CH
3), δ2.28(t,2H,J=7.2Hz、H−
2’), δ2.57(s,3H、p−トルオイルCH
3 ), δ4.00〜4.33(m,1H、H−
3’), δ4.35〜4.75(m,3H、H−
4’,H−5’), δ5.55 (d,1H、J=
5.0Hz、H−3’OH), δ6.35(t,1
H,J=7.2Hz、H−1’), δ7.22(d,
2H,J=7.2Hz、p−トルオイル), δ7.5
1(s,1H、H−6), δ7.76(d,2H,J
=7.2Hz、p−トルオイル), δ11.30
(s,1H、3−NH) 実施例(1−3) (チミジンから5'-O-p- クロロベンゾイルチミジンの合
成)芳香族アシルハライドとしてo−トルオイルクロリ
ドの代りに、p−クロロベンゾイルクロリド(7.94
g、45.4ミリモル)を用い、実施例(1−1)と同
様にして、5’−O−p−クロロベンゾイルチミジンの
白色結晶固体が得られた(収量11.17g、収率7
3.7%)。この固体の融点は184℃(塩化メチレン
から再結晶)であった。TLC(シリカゲル、酢酸エチ
ル/n−ヘキサン 5:1)で単一スポットを示し、R
f値は0.30であった。1 H−NMR(DMSO−d
6 、テトラメチルシラン)データは; δ1.70
(s,3H、ヘテロ環CH3 ), δ2.20(t,2
H,J=7.2Hz、H−2’),δ4.00〜4.3
0(m,1H、H−3’), δ4.35〜4.75
(m,3H、H−4’,H−5’), δ5.55
(d,1H、J=5.0Hz、H−3’OH), δ
6.35(t,1H,J=7.2Hz、H−1’),
δ7.20(s,1H、H−6), δ7.35(d、
2H,J=7.2Hz、p−クロロベンゾイル), δ
7.95(d,2H,J=7.2Hz、p−クロロベン
ゾイル), δ11.00(s,1H、3−NH) ステップ2 実施例(2−1) (5'-O-o- トルオイルチミジンから5'-O-o- トルオイル
-2,3'-アンヒドロチミジンの合成)ピリジン40mlに
5’−0−o−トルオイルチミジン(12.08g、3
5.1ミリモル)を溶解し、得られた溶液に0〜5℃に
冷却下に撹拌し、メタンスルホニルクロリド(13.5
g、121ミリモル)を30分間で滴下した。さらに0
〜5℃で2時間撹拌してスルホニル基化反応を完結させ
た。反応はTLCでモニターし、原料の5’−0−o−
トルオイルチミジンのスポットがほぼ消失することを確
認した。
【0104】上記スルホニル基化反応の終了後、反応混
合物を炭酸水素ナトリウム(16.6g、198ミリモ
ル)を含む水40ml中に投入する。これにトルエン4
0mlを加えて抽出し、有機層を分離した。この抽出操
作を2回繰り返し有機層を合せて無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、ロータリーエバポレータを用いて、溶媒を除
き、白色固体残さを得た。
【0105】得られた固体残さをアセトニトリル100
mlに溶解し、得られた溶液を50℃に加熱保持し、
1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセ
ン(DBU)(7.5g、49.2ミリモル)をゆっく
りと滴加した。さらに50℃で2時間撹拌を続けアンヒ
ドロ化反応を完結させた。
【0106】反応はTLCでモニターし、該中間体のス
ポットがほぼ完全に消失することを確認した。
【0107】上記アンヒドロ化反応の終了後、ロータリ
ーエバポレータを用いて溶媒を除き白色固体残さを得
た。
【0108】この残さにクロロホルム50mlと水50
mlを加えて溶解し、クロロホルム抽出を行い有機層を
分離した。この抽出操作を2回行い、有機層を合せて、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレータ
を用いて、溶媒を除いた。
【0109】得られた残さをアセトニトリル100ml
から再結晶することにより、5’−O−o−トルオイル
−2,3’−アンヒドロチミジンの白色結晶が得られた
(収量10.60g、収率88.2%)。この固体の融
点は194℃であった。TLC(シリカゲル、クロロホ
ルム/メタノール7:1)で単一スポットを示し、Rf
値は0.35であった。1 H−NMR(DMSO−
6 、テトラメチルシラン)データは;δ1.53
(s,3H、ヘテロCH3 ), δ2.35〜2.70
(m,5H、H−2’;o−トルオイルCH3 ), δ
4.30〜4.75(m,3H、H−4’;H−
5’), δ5.35〜5.65(m,1H、H−
3’), δ5.90〜6.05(m,1H、H−
1’), δ7.35〜7.55(m,3H、o−トル
オイル), δ7.63(s,1H、H−6), δ
7.75〜7.95(m,1H、o−トルオイル) 本実施例で説明した反応条件と実質的に同様にして、X
が水素、アルキル、ハロゲン(F,Cl,Br,I)で
ある場合においても好適に対応する生成物5’−O−o
−トルオイル−2’−デオキシ−2,3’−アンヒドロ
ウリジン誘導体を得ることが可能である。
【0110】実施例(2−2) (5'-O-p- トルオイルチミジンから5'-O-p- トルオイル
-2,3'-アンヒドロチミジンの合成)5’−0−o−トル
オイルチミジンの代りに5’−O−p−トルオイルチミ
ジン(12.08g)を原料として、実施例(2−1)
と同様にして、5’−O−p−トルオイル−2,3’−
アンヒドロチミジンの結晶が得られた(収量10.88
g、収率90.0%)。この固体の融点は217℃であ
った。TLC(シリカゲル、クロロホルム/メタノール
7:1)で単一スポットを示し、Rf値は0.35であ
った。1 H−NMR(DMSO−d6 、テトラメチルシ
ラン)データは;δ1.53(s,3H、ヘテロ環CH
3 ), δ2.35〜2.70(m,5H、H−2’;
p−トルオイルCH3 ), δ4.30〜4.75
(m,3H、H−4’;H−5’), δ5.35〜
5.65(m,1H、H−3’),δ5.90〜6.0
5(m,1H、H−1’), δ7.22(d,2H,
J=7.2Hz、p−トルオイル), δ7.51
(s,1H、H−6), δ7.76 (d,2H,J
=7.2Hz、p−トルオイル) 実施例(2−3) (5'-O-p- クロロベンゾイルチミジンから5'-O-p- クロ
ロベンゾイル-2,3'-アンヒドロチミジンの合成)5’−
0−o−トルオイルチミジンの代りに5’−O−p−ク
ロロベンゾイルチミジン(11.17g)を原料とし
て、実施例(2−1)と同様にして、5’−O−p−ク
ロロベンゾイル−2,3’−アンヒドロチミジンの結晶
が得られた(収量10.11g、収率91.0%)。こ
の固体の融点は213℃であった。TLC(シリカゲ
ル、クロロホルム/メタノール7:1)で単一スポット
を示し、Rf値は0.3であった。1 H−NMR(DM
SO−d6 、テトラメチルシラン)データは;δ1.7
0(s,3H、ヘテロ環CH3 ), δ2.35〜2.
70(m,2H、H−2’), δ4.30〜4.75
(m,3H、H−4’;H−5’), δ5.35〜
5.65(m,1H、H−3’), δ5.90〜6.
05(m,1H、H−1’), δ7.20(s,1
H、H−6), δ7.35(d,2H,J=7.2H
z、p−クロロベンゾイル), δ7.95(d,2
H、J=7.2Hz、p−クロロベンゾイル) ステップ3 実施例(3−1) (5´-O- トリチル- 2, 3´- アンヒドロチミジンか
ら3´- アジド- 3´-デオキシ- 5´-O- トリチルチ
ミジンの合成)ジメチルホルムアミド35mlに、5´
- O−トリチル- 2, 3´- アンヒドロチミジン(3.
50g、7.5ミリモル)を溶解し、得られた混合溶液
にアジド化試薬としてアジ化ナトリウム(1.75g、
27ミリモル)、および触媒として塩化アンモニウム
(0.60g、11.3ミリモル)を加え、115℃で
加熱しながら約11時間攪拌する。上記アジド化反応の
進行は、TLC等でモニターし、5´-O- トリチル-
2, 3´- アンヒドロチミジンによるスポットがほぼ完
全に消失することにより確認した。
【0111】上記アジド化反応の終了後、得られた反応
混合物を室温まで冷却し、これに水30mlを加えた
後、酢酸エチル(150ml)により抽出した。抽出は
2回行い、有機溶媒層を合せて、水30mlを用いて3
回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、ロ
ータリーエバポレータを用いて、有機溶媒を除き、残渣
を得た。
【0112】得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフ(溶媒:酢酸エチル/n- ヘキサン=1/1)に
より精製した。上記シリカゲルカラムクロマトグラフに
より3´- アジド- 3´- デオキシ- 5´- O−トリチ
ルチミジンが油状物として得られた(収量3.60g、
収率94.0%)。TLC(シリカゲル、酢酸エチル/
n−ヘキサン 5:1)で単一スポットを示し、Rf値
は0.6であった。
【0113】1 H−NMR(CDCl3 、テトラメチル
シラン)データは;δ1.52(s,3H、ヘテロ環C
3 ), δ2.41〜2.50(m,2H、H−
2’),δ3.34(m,1H、H−5’), δ3.
55(m,1H、H−5’),δ3.98(m,1H、
H−4’), δ4.34(m,1H、H−3’),δ
6.25(t,1H,J=6.4Hz、H−1’) δ
7.20〜7.50(m,15H、トリチル), δ
7.55(s,1H、H−6), δ8.42(s,1
H、3−NH)。IRスペクトルデータ:2100cm
-1(−N3 ) 実施例(3−2) 5´- O−トリチル- 2, 3´- アンヒドロチミジンに
対し、塩化アンモニウムの量(当量)を下記(表1)の
ように変化させた以外は、実施例(3−1)と同様の方
法でアジド化反応を行い下記(表1)に示す結果が得ら
れた。
【0114】表1 <NH4 Cl当量> <反応収率> (無使用) 80.3% 0.1当量 79.5% 0.2 89.5% 0.5 89.9% 1.0 92.5% 1.5実施例(3−1) 94.0% 2.0 93.2% 3.0 88.5% 上記表1に示したように、塩化アンモニウムを0.2当
量以上添加することにより反応収率の増加(特に1.0
〜2.0当量添加)が認められた。
【0115】実施例(3−3) 実施例(3−1)で用いた塩化アンモニウムに代えて、
触媒として硫酸アンモニウムまたは臭化アンモニウム、
トリエチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩のい
ずれかを用いた以外は、実施例(3−1)と同様の方法
でアジド化反応を行ったところ、下記(表2)に示す結
果が得られた。
【0116】表2 (他のアンモニウム塩使用下での反応収率) <アンモニウム塩> <反応収率> 硫酸アンモニウム 1.5当量 89.9% 臭化アンモニウム 1.5当量 86.0% トリエチルアミン塩酸塩 1.5当量 88.1% トリメチルアミン塩酸塩 1.5当量 89.2% 上記表2に示したように、いずれのアンモニウム塩を用
いた場合にも、実施例2のデータ(触媒無使用)に比べ
て、反応収率の増加が認められた。
【0117】比較例 安息香酸を触媒として用いた上記アジド化反応において
は、前記文献Nucleosides & Nucleotides 1990, 9
(5), 587-597(松田等)に従って0.2当量使用した場
合反応収率は77.6%であり反応収率の増加は認めら
れないが、1.0当量使用した場合は85.7%となり
反応収率の増加が認められた。
【0118】実施例(3−4) (5'-O-o- トルオイル-2,3'-アンヒドロチミジンから3'
- アジド-3'-デオキシ-5'-O-o-トルオイルチミジンの合
成)原料として、5’−0−o−トルオイル−2,3’
−アンヒドロチミジン(2.57g、7.5ミリモル)
を用い、実施例(3ー1)と同様の反応条件により、
3’−アジド−3’−デオキシ−5’−O−o−トルオ
イルチミジンが油状物として得られた(収量2.75
g、収率95.0%)。TLC(シリカゲル、酢酸エチ
ル/n−ヘキサン 5:1)で単一スポットを示し、R
f値は0.4であった。1 H- NMR(CDCl3 、テ
トラメチルシラン)データは; δ1.57(s,3
H、ヘテロ環CH3 ), δ2.25〜2.75(m,
5H、H−2’;トルオイルCH3 ), δ4.00〜
4.80(m,4H、H−3’;H−4’;H−
5’), δ6.26(t,1H,J=6.4Hz、H
−1’),δ7.10〜7.70(m,4H、o−トル
オイル;H−6), δ7.80〜8.15(m,1
H、o−トルイオル), δ10.40(s,1H、3
−NH)。IRスペクトルデータ:2100cm-1(−
3 )。
【0119】本実施例で説明した反応条件と実質的に同
様にして、Xがアルキル基である場合においても好適に
対応する生成物3’−アジド−5’−O−o−トルオイ
ル−2’,3’−ジデオキシウリジン誘導体を得ること
が可能である。
【0120】実施例(3−5) (5'-O-p- トルオイル-2,3'-アンヒドロチミジンから3'
- アジド-3'-デオキシ-5'-O-p-トルオイルチミジンの合
成)原料として、5’−O−p−トルオイル−2,3’
−アンヒドロチミジン(2.57g、7.5ミリモル)
を用い、実施例(3−1)と同様の反応条件で、3’−
アジド−3’−デオキシ−5’−O−p−トルオイルチ
ミジンが油状物として得られた(収量2.62g、収率
91.0%)。TLC(シリカゲル、酢酸エチル/n−
ヘキサン 5:1)で単一スポットを示し、Rf値は
0.4であった。1 H- NMR(CDCl3 、テトラメ
チルシラン)データは;δ1.57(s,3H、ヘテロ
環CH3 ), δ2.25〜2.75(m,5H、H−
2’;トルオイルCH3 ), δ4.00〜4.80
(m,4H、H−3’;H−4’;H−5’), δ
6.20(t,1H,J=6.4Hz、H−1’),
δ7.10〜7.45(m,3H、p−トルオイル;H
−6), δ7.80〜8.15(d,2H,J=7.
8Hz、p−トルオイル), δ10.28(s,1
H、3−NH)。 IRスペクトルデータ:2100c
ー1(−N3 )。
【0121】実施例(3−6) (5'-O-p- クロロベンゾイル-2,3'-アンヒドロチミジン
から3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-p-クロロベンゾイル
チミジンの合成)原料として、5’−O−p−クロロベ
ンゾイル−2,3’−アンヒドロチミジン(2.72
g、7.5ミリモル)を用い、実施例(3−1)と同様
の条件で、3’−アジド−3’−デオキシ−5’−O−
p−クロロベンゾイルチミジンが油状物として得られた
(収量2.59g、収率85.0%)。TLC(シリカ
ゲル、酢酸エチル/n−ヘキサン 5:1)で単一スポ
ットを示し、Rf値は0.35であった。1 H- NMR
(CDCl3 、テトラメチルシラン)データは;δ1.
60(s,3H、ヘテロ環CH3 ), δ2.41〜
2.50(m,2H、H−2’), δ4.00〜4.
95(m,4H、H−3’;H−4’;H−5’),
δ6.26(t,1H,J=6.4Hz、H−1’),
δ7.41(d,2H,J=7.2Hz、p−クロロ
ベンゾイル), δ7.80〜8.10(m,3H、p
−クロロベンゾイル;H−6), δ10.20(s,
1H、3−NH)。IRスペクトルデータ:2100c
ー1(−N3 )。
【0122】実施例(3−7) (5'-O-o- トルオイル-2,3'-アンヒドロ-2'-デオキシウ
リジンから3'- アジド-2',3'- ジデオキシ-5'-O-o-トル
オイルウリジンの合成)原料として、5'-O-o- トルオイ
ル-2,3'-アンヒドロ-2'-デオキシウリジン(2.46
g、7.5ミリモル)を用い、実施例(3−1)と同様
の条件で、3'- アジド-2',3'- ジデオキシ-5'-O-o-トル
オイルウリジンが油状物として得られた(収量2.65
g、収率95.0%)。TLC(シリカゲル、酢酸エチ
ル/n−ヘキサン 5:1)で単一スポットを示し、R
f値は0.30であった。1 H- NMR(CDCl3
テトラメチルシラン)データは;δ2.25〜2.75
(m,5H、H−2;o−トルオイルCH3 ), δ
4.00〜4.80(m,4H、H−3’;H−4’;
H−5’), δ5.40(d、1H、J=7.8H
z、H−5)、δ6.20(t,1H,J=6.0H
z、H−1’), δ7.10〜7.70(m,4H,
o−トルオイル;H−6), δ7.80〜8.15
(m,1H、o−トルオイル), δ10.60(s,
1H、3−NH)。IRスペクトルデータ:2100c
ー1(−N3 )。
【0123】実施例(3−8) (5'-O-o- トルオイル-2,3'-アンヒドロ-5- フルオロ-
2'-デオキシウリジンから3'- アジド-2',3'- ジデオキ
シ-5- フルオロ-5'-O-o-トルオイルウリジンの合成)原
料として、5'-O-o- トルオイル-2,3'-アンヒドロ-5- フ
ルオロ-2'-デオキシウリジン(2.60g、7.5ミリ
モル)を用い、実施例(3−1)と同様の条件で、3'-
アジド-2',3'- ジデオキシ-5- フルオロ-5'-O-o-トルオ
イルウリジンが油状物として得られた(収量2.77
g、収率95.0%)。TLC(シリカゲル、酢酸エチ
ル/n−ヘキサン 5:1)で単一スポットを示し、R
f値は0.50であった。1 H- NMR(CDCl3
テトラメチルシラン)データは;δ2.25〜2.75
(m,5H、H−2;o−トルオイルCH3 ), δ
4.00〜4.80(m,4H、H−3’;H−4’;
H−5’)、δ6.20(t,1H,J=6.6Hz、
H−1’), δ7.10〜7.65(m,3H,o−
トルオイル),δ7.80(d、1H、J=6.6H
z、H−6)、δ7.80〜8.15(m,1H、o−
トルオイル), δ10.50(s,1H、3−N
H)。IRスペクトルデータ:2100cmー1(−
3 )。
【0124】本実施例で説明した反応条件と実質的に同
様にして、XがCl、Br、Iである場合においても好
適に対応する生成物3’−アジド−5’−O−o−トル
オイル−2’,3’−ジデオキシウリジン誘導体を得る
ことが可能である。
【0125】ステップ4 実施例(4−1) (3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-o-トルオイルチミジン
から3'- アジド-3'-デオキシチミジンの合成)メタノー
ル60mlに3’−アジド−3’−デオキシ−5’−O
−o−トルオイルチミジン(11.56g 、30.0ミ
リモル)を溶解し、得られた混合溶液に水酸化ナトリウ
ム(1.00g)のメタノール(20ml)溶液を加
え、2時間加熱還流した。反応の進行は、TLC等でモ
ニターし、3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-o-トルオイル
チミジンによるスポットがほぼ完全に消失することを確
認した。
【0126】上記脱保護基反応終了後、反応混合物を室
温まで冷却し、1規定塩酸を用いて反応混合物のpHを
6.5〜7.0に調節した。さらに水160mlを加え
た後、減圧下でメタノールを除いた。
【0127】得られた水溶液をジエチルエーテル(80
ml)を用いて2回洗浄した後、さらに得られた水溶液
を減圧下で40mlまで濃縮した後、10℃に冷却し
た。3’−アジド−3’−デオキシチミジンが白色結晶
として析出した(収量6.31g 収率78.7%)。
TLC(シリカゲル、ジエチルエーテル)で単一スポッ
トを示し、Rf値は0.2であった。この固体の融点は
122〜3℃(水から再結晶)であった。再結晶品はH
PLC(カラムInertsilODS−2;溶媒アセトニトリ
ル:水:トリエチルアミン:酢酸の混合溶媒(体積比4
00:600:2:1))により純度99.5%以上で
あることが確認された。メタノール中の吸収スペクトル
は吸収極大波長は265.8nm、水中の吸収スペクト
ルは吸収極大波長は266.6nmであった。さらに旋
光度は、[α]D +48.8°(25℃;C=0.5;
水)、+59.7°(20℃;C=0.8;メタノー
ル)であった。1 H- NMR(DMSO−d6 、テトラ
メチルシラン)データは;δ1.80(s、3H、ヘテ
ロ環CH3 )、δ2.20〜2.45(m、2H、H−
2’)、δ3.55〜4.05(m、3H、H−4’;
H−5’)、δ4.25〜4.65(m、1H、H−
3’)、δ5.24(t、1H、J=5Hz、5’−O
H)、δ6.18(t、1H、J=7.2Hz、H−
1’)、δ7.76(bs,1H、H−6)、δ11.
33(bs、1H、3−NH)。IRスペクトルデー
タ:2090cmー1
【0128】これらの物理化学測定データーは文献値
(例えば、Tetrahedoron,44,2(1988)625-636;J.Pharm.S
ci.,79 6(1990)531-533; J.Heterocycl.Chem.,30 5(199
3)1445-52; J.Am.Chem.Soc.,115 15(1993)6730-6737 を
参照)と一致した。
【0129】本実施例で説明した反応条件と実質的に同
様にして、Xがアルキル基である場合においても好適に
対応する生成物3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ
ウリジン誘導体を得ることが可能である。
【0130】実施例(4−2) (3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-p-トルオイルチミジン
から3'- アジド-3'-デオキシチミジンの合成)メタノー
ル60ml中に3’−アジド−3’−デオキシ−5’−
O−p −トルオイルチミジン(11.56g 、30.0
ミリモル)を溶解し、得られた原料溶液に水酸化ナトリ
ウム(1.00g)のメタノール(20ml)溶液を加
え、30分間加熱還流させた。
【0131】以下、実施例(4−1)と同様の操作によ
り、3’−アジド−3’−デオキシチミジンの白色結晶
が晶出した(収量6.35g 収率79.2%)。
【0132】実施例(4−3) (3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-p-クロロベンゾイルチ
ミジンから3'- アジド-3'-デオキシチミジンの合成)メ
タノール60mlに3’−アジド−3’−デオキシ−
5’−O−p−クロロベンゾイルチミジン(12.17
g 、30.0ミリモル)を溶解し、得られた溶液に水酸
化ナトリウム(1.00g)のメタノール(20ml)
溶液を加え、10分間加熱還流させた。
【0133】以下、実施例(4−1)と同様の操作によ
り、3’−アジド−3’−デオキシチミジンの白色結晶
が晶出した(収量6.36g 収率79.3%)。
【0134】実施例(4−4) (3'- アジド-2',3'- ジデオキシ-5'-O-o-トルオイルウ
リジンから3'- アジド-2',3'- ジデオキシウリジンの合
成)メタノール60mlに3'- アジド-2',3'- ジデオキ
シ-5'-O-o-トルオイルウリジン(11.14g、30.
0ミリモル)を溶解し、得られた溶液に水酸化ナトリウ
ム(1.00g)のメタノール(20ml)溶液を加
え、2時間加熱還流させた。
【0135】以下、実施例(4−1)と同様の操作によ
り、3'- アジド-2',3'- ジデオキシウリジンの白色結晶
が晶出した(収量6.08g 収率80.0%)。さら
にアセトンで再結晶して得られた結晶の融点は164〜
5℃であった。TLC(シリカゲル、ジエチルエーテ
ル)で単一スポットを示し、Rf値は0.15であっ
た。
【0136】1 H−NMR(DMSO、テトラメチルシ
ラン)データは;δ2.20〜2.45(m、2H、H
−2’)、δ3.50〜4.05(m、3H、H−
4’;H−5’)、δ4.25〜4.65(m、1H、
H−3’)、δ5.20(bs,1H、5’−OH)、
δ5.60(d,1H、J=7.8Hz、H−5)、δ
6.10(t,1H、J=7.2Hz、H−1’)、δ
7.80(d,1H、J=7.8Hz、H−6)、δ1
1.30(bs、1H、3−NH)。IRスペクトルデ
ータ:2100cmー1(−N3 )。
【0137】実施例(4−5) (3'- アジド-2',3'- ジデオキシ-5- フルオロ-5'-O-o-
トルオイルウリジンから3'- アジド-2',3'- ジデオキシ
-5- フルオロウリジンの合成)メタノール60mlに3'
- アジド-2',3'- ジデオキシ-5- フルオロ-5'-O-o-トル
オイルウリジン(11.68g、30.0ミリモル)を
溶解し、得られた溶液に水酸化ナトリウム(1.00
g)のメタノール(20ml)溶液を加え、2時間加熱
還流させた。
【0138】以下、実施例(4−1)と同様の操作によ
り、3'- アジド-2',3'- ジデオキシ-5- フルオロウリジ
ンの白色結晶が晶出した(収量6.35g 収率80.
0%)。さらに2−プロパノールで再結晶して得られた
結晶の融点は148〜9℃であった。TLC(シリカゲ
ル、ジエチルエーテル)で単一スポットを示し、Rf値
は0.25であった。
【0139】1 H−NMR(DMSO、テトラメチルシ
ラン)データは;δ2.20〜2.45(m、2H、H
−2’)、δ3.50〜4.05(m、3H、H−
4’;H−5’)、δ4.25〜4.65(m、1H、
H−3’)、δ5.10(bs,1H、5’−OH)、
δ6.20(t,1H、J=6.6Hz、H−1’)、
δ8.20(d,1H、J=6.6Hz、H−6)、δ
11.40(bs、1H、3−NH)。IRスペクトル
データ:2100cmー1(−N3 )。
【0140】本実施例で説明した反応条件と実質的に同
様にして、XがCl,Br,Iである場合においても好
適に対応する生成物3’−アジド−2’,3’−ジデオ
キシウリジン誘導体を得ることが可能である。
【0141】比較例 (3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-トリメチルアセチルチ
ミジンから3'- アジド-3'-デオキシチミジンの合成)メ
タノール60mlに3'- アジド-3'-デオキシ-5'-O-トリ
メチルアセチルチミジン(10.54g、30ミリモ
ル)を溶解し、得られた原料溶液に水酸化ナトリウム
(1.00g)のメタノール溶液(20ml)を加え反
応させたところ、反応が終了するのに20時間を要し
た。
【0142】以下実施例(4−1)と同様の操作を実施
したところ3'- アジド-3'-デオキシチミジンの微黄色結
晶が析出した(収量6.14g、収率76.5%)。
【0143】
【発明の効果】以上のように本発明は、2’−デオキシ
ウリジン誘導値の5’−水酸基を選択的に保護基により
保護し、さらに3’−水酸基に適当な脱離基を導入し、
強塩基による2,3’−アンヒドロ化中間体を経由し、
アジドイオンによる3’−アジド化し、最後に上記の
5’−水酸基の保護基を除去することにより、高収率、
高選択的、高純度のアジド化ヌクレオシド誘導体の製造
を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】2’−デオキシウリジン誘導体の5’−水酸基
を適当な保護基により保護し、3’−水酸基に適当な脱
離基を導入し、強塩基による2、3’−アンヒドロ化
し、アジドイオンによる3’−アジド化の後、最後に
5’−水酸基の保護基を除去するという、一般的に知ら
れているアジド化ヌクレオチド誘導体合成ステップを示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 陽弘 千葉県市川市大和田4−12−1 小林香料 株式会社市川研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式 【化8】 (ここで、Xは、水素、ハロゲン、複素環、アルキル、
    アリール、アルケニル、またはハロゲン置換されたアル
    キル、アリール、アルケニルを表す)で表される2’−
    デオキシウリジン誘導体の5’−水酸基の芳香族アシル
    基によるエステル化反応による5’−芳香族アシル保護
    基化−2’−デオキシウリジン誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記芳香族アシル基が、ベンゾイル基、
    p−トルオイル基、o−トルオイル基、2、4、6ート
    リメチルベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、o−
    クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、o−
    メトキシベンゾイル基からなる群から選ばれることを特
    徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 5' −水酸基芳香族アシル保護基化−
    2’−デオキシウリジン誘導体の3’−水酸基をスルホ
    ニル基によるスルホン酸エステル化するステップと、塩
    基触媒によるアンヒドロ化するステップとを有する、
    5’−水酸基芳香族アシル保護基化−2,3’−アンヒ
    ドロ−2’−デオキシウリジン誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記スルホニル基が、メタンスルホニル
    基、またはp−トルエンスルホニル基であることを特徴
    とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記強塩基触媒が、ジアザビシクロウン
    デセン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、フタル酸
    ナトリウム、フタル酸カリウムからなる群より選ばれる
    ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 次式 【化11】 (ここで、Xは、水素、ハロゲン、複素環、アルキル、
    アリール、アルケニル、またはハロゲン置換されたアル
    キル、アリール、アルケニルを表し、R3 は、アルキル
    カルボニル基、またはアリールカルボニル基を表す。)
    で表された5’−水酸基を保護した2,3’−アンヒド
    ロ−2’−デオキシウリジン誘導体に、アンモニウム塩
    の存在下でアジドイオンの反応によるアジド化ヌクレオ
    シド誘導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記R3 がトリチル基、ピバロイル基、
    1−アダマントイル基、ベンゾイル基、p−トルオイル
    基、またはo−トルオイル基、p−クロロベンゾイル
    基、o−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル
    基、o−メトキシベンゾイル基、2、4、6ートリメチ
    ルベンゾイル基から選ばれることを特徴とする請求項6
    記載のアジド化ヌクレオシド誘導体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記R3 がトリチル基であることを特徴
    とする請求項7記載のアジド化ヌクレオシド誘導体の製
    造方法。
  9. 【請求項9】前記R3 がoーまたはp−トルオイル基ト
    リチル基であることを特徴とする請求項7記載のアジド
    化ヌクレオシド誘導体の製造方法。
  10. 【請求項10】前記アンモニウム塩が塩化アンモニウム
    である請求項6記載のアジド化ヌクレオシド誘導体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】前記アジドイオンを与えるアジド化試薬
    がアジ化ナトリウムである請求項6記載のアジド化ヌク
    レオシド誘導体の製造方法。
  12. 【請求項12】5’−水酸基を保護した3’ーアジド−
    2’,3’−ジデオキシウリジン誘導体の脱保護基反応
    による3’ーアジド−2’,3’−ジデオキシウリジン
    誘導体の製造方法。
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CN102731600A (zh) * 2012-03-13 2012-10-17 绿洲生物技术(南通)有限公司 齐多夫定及其中间体的制备方法
CN113461759A (zh) * 2021-07-02 2021-10-01 华东理工大学 基于连续流微反应技术合成齐多夫定叠氮化中间体的方法

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