JP2001159079A - 人造セルロース繊維の加工方法 - Google Patents

人造セルロース繊維の加工方法

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JP2001159079A
JP2001159079A JP33609199A JP33609199A JP2001159079A JP 2001159079 A JP2001159079 A JP 2001159079A JP 33609199 A JP33609199 A JP 33609199A JP 33609199 A JP33609199 A JP 33609199A JP 2001159079 A JP2001159079 A JP 2001159079A
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Tomoko Takahashi
朋子 高橋
Shinichi Okajima
真一 岡嶋
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強度低下が少なく風合いも良好で、染色堅牢度
に非常に優れた極濃色の染色性と高度な耐スレ性、およ
び優れた保水・吸水性とソフトな風合いを併せつ人造セ
ルロース繊維の加工方法をコスト的に有利に提供する。 【解決手段】(1) 人造セルロース繊維または該繊維を含
む布帛に、エポキシ化合物および酸性触媒と、プロピレ
ングリコールまたはその多量体、脂肪族ポリオール、還
元糖類、二糖類および単糖類の少なくとも一種からなる
第三成分を付与した後、加熱処理する人造セルロース繊
維または該繊維を含む布帛の加工方法。(2) 前記加熱処
理した後に、液流揉布する人造セルロース繊維または該
繊維を含む布帛の加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人造セルロース繊維
の加工方法に関し、さらに詳しくは短時間で効果的に極
濃色の発色性と高度の耐スレ性と高染色堅牢度を付与す
ることができ、かつ優れた保水・吸水性とソフトな風合
いを併せ持つ人造セルロース繊維または該繊維を含む布
帛の改質加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロース系繊維を含む布帛の染色仕上
げ加工において液流染色機等を使用することにより、風
合いが柔らかくなり、また高い生産性が得られるが、染
色加工時にスレが発生し、そのために布帛が白っぽく見
え、極濃色品を得るのが難しいという問題があった。ま
た繰り返し洗濯するとフィブリルの発生により白化した
り、さらに湿摩擦堅牢度がフィブリル化により低下する
という問題もあった。このため、人造セルロース系繊維
を含む布帛のアウターやインナーへの展開が制限されて
いた。
【0003】上記問題を解決する方法として、特開平1
0−237765号方法には、人造セルロース繊維また
は布帛に、エポキシ化合物と酸性触媒とポリエチレング
リコール(以下、PEGということがある)とを付与し
た後、加熱処理する質加工方法が提案されている。この
方法によれば、染色工程等の液流揉布履歴でのスレ発生
を防ぎ、染色性を損なうことなく、柔軟で高度な耐スレ
性と高湿摩擦堅牢度を付与することができるが、湿潤堅
牢度が低下するという欠点があった。また上記方法で
は、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維と人造セル
ロース繊維の複合布帛の場合に、ポリエステル系繊維を
分散染料で、ポリアミド繊維を酸性染料で染色すること
が多いため、これらの分散染料や酸性染料による人造セ
ルロース繊維の汚染が多くなり、染色ムラや堅牢度の低
下が生じ易いという問題があった。さらに上記方法でも
樹脂架橋によりセルロース繊維の染色性低下を防止する
ことはできるが、その効果はまだ不十分であり、極濃色
品を得ることはできなかった。そのため、人造セルロー
ス繊維の商品展開が制限され、特に高発色性が要求され
るブラックフォーマル分野への参入が不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題を解決し、人造セルロース繊維または該
繊維を含む布帛に短時間で効果的に極濃色の発色性と高
度の耐スレ性と高染色堅牢度を付与し、かつ優れた保水
・吸水性とソフトな風合いを低コストで付与することが
できる人造セルロース繊維の加工方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、人造セルロース繊維または
該繊維を含む布帛に、特定の第三成分の存在下で酸性触
媒によりエポキシ化合物を反応させることにより、染色
性が格段に向上し、風合硬化、強度低下の殆どない、し
かも液流染色に耐え得る高度な耐スレ性と高湿摩擦堅牢
度を付与でき、また湿潤堅牢度の低下を防ぐことがで
き、さらに上記の反応後に液流染色機等で揉布すること
により、繊維交絡点に付着した樹脂や未反応樹脂等が脱
落し、繊維の自由度が増してより柔軟化し、さらに高発
色で高湿摩擦堅牢度が顕著に向上することを見いだし、
本発明に到達したものである。すなわち、本願で特許請
求される発明は以下のとおりである。
【0006】(1)人造セルロース繊維に、エポキシ化
合物および酸性触媒と、プロピレングリコールまたはそ
の多量体、脂肪族ポリオール、還元糖類、二糖類および
単糖類から選ばれた少なくとも一種からなる第三成分と
を付与した後、加熱処理することを特徴とする人造セル
ロース繊維の加工方法。 (2)前記加熱処理した後に、液流揉布することを特徴
とする(1)に記載の人造セルロース繊維の加工方法。 (3)人造セルロース繊維を含む布帛に、エポキシ化合
物および酸性触媒と、プロピレングリコールまたはその
多量体、脂肪族ポリオール、還元糖類、二糖類および単
糖類から選ばれた少なくとも一種からなる第三成分とを
付与した後、加熱処理することを特徴とする人造セルロ
ース繊維を含む布帛の加工方法。 (4)前記加熱処理した後に、液流揉布することを特徴
とする(3)に記載の人造セルロース繊維を含む布帛の
加工方法。
【0007】
【作用】本発明における染色性の大幅な向上と湿潤堅牢
度低下抑制の機構は次のように推定される。すなわち、
エポキシ化合物、触媒および上記した第三成分を人造セ
ルロース繊維に付与すると、該エポキシ化合物、触媒お
よび第三成分が繊維内部に浸透、拡散し、その後の加熱
処理により水分が蒸発するが、繊維内部には該エポキシ
化合物、触媒および第三成分が残留し、第三成分による
繊維の膨潤状態が維持され、さらに高温の加熱により、
エポキシ化合物が繊維分子上の水酸基と反応するととも
に第三成分とも反応し、第三成分がエポキシ化合物を介
して繊維と架橋し、架橋長の比較的長い架橋構造ができ
るため、染色時に染料の人造セルロース繊維への進入が
阻害されることがなく、染色性の向上が達成される。
【0008】この染色性向上の機構は、エポキシ化合
物、酸性触媒およびPEGを付与する従来の方法によっ
ても得られるが、PEGの代わりに上記した第三成分を
用いることにより、飛躍的な染色性向上効果を得ること
ができる。エポキシ化合物と酸性触媒およびPEGによ
る加工の場合に染色性を阻害しないとはいえ、その効果
はまだまだ不十分であり、また人造セルロース繊維自身
の湿潤堅牢度が低下する傾向にあるが、本発明の加工方
法によれば、人造セルロース繊維自身の湿潤堅牢度低下
を起こすことなく、高発色性、高湿潤堅牢度を達成する
ことができる。また本発明の加工方法によれば、加工に
よる汚染染料の増加を招かないために染色ムラや堅牢度
低下を引き起こすことがない。この現象は、特に分散/
直接1浴染色や、分散/反応1浴染色、酸性/直接1浴
染色、酸性含金/直接1浴染色においてかなり顕著な効
果として現れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる人造セルロース繊維としては、木材
パルプを原料に、アルカリセルロースを得て、これを二
流化炭素を用いて溶解し、ビスコース原液を作り、酸水
溶液中に紡糸して凝固させる、いわゆる湿式紡糸法によ
るビスコースレーヨンやポリノジック、コットンリンタ
ーを銅アンモニア溶液に溶解して紡糸して得られる銅ア
ンモニアレーヨンなどが挙げられる。特に銅アンモニア
レーヨンの使用は、染色堅牢度に優れた極濃色が得ら
れ、銅アンモニアレーヨンに発生し易いスレが殆どなく
なり、さらに優れた風合いが得られる点で好ましい。
【0010】なお、本発明でいうスレとは、リラックス
精練やシボ立て加工、染色加工工程および洗濯等におい
て、人造セルロース繊維中のセルロース分子鎖間の結合
力が湿潤時に低下した状態で、布帛同志または布帛と染
色機械壁面等の他のものとの摩擦による物理的な力が繊
維に加えられ、繊維が割繊状態になる現象をいい、また
フィブリルとはその割繊された繊維をさす。人造セルロ
ース繊維は、無撚糸、撚糸のいずれでもよいが、撚糸の
場合は、撚数1000〜3000T/m、特に2000
〜2800T/mが好ましい。撚数が1000T/m以
上のものは、それ未満のものに比べて水中で繊維が膨張
したときに発生する解撚力と糸条の糸長方向および断面
方向への寸法変化の関係が大きく異なり、撚数1000
T/m以上のものの方が上述の関係によってシボ立ち性
の大小および均一性に大きく影響を及ぼす。この撚数が
1000T/m未満では解撚力が小さいために短時間で
均一なシボが発現され難く、また撚数が3000T/m
を超えると撚糸斑等が原因で解撚斑が発生しやすく、均
一なシボが得られ難くなる。
【0011】また人造セルロース繊維は、長繊維、短繊
維のいずれでもよいが、長繊維の方が、耐スレ性効果と
湿摩擦堅牢度向上効果がより顕著に発現し、さらに布帛
の表面光沢に優れる点で好ましい。また人造セルロース
繊維のトータルデニールは30〜150dの範囲のもの
が好ましい。単糸デニールは0.95〜2.2dの範囲
のものが好ましい。人造セルロース繊維を加工する際の
繊維形態としては特に制限はなく、糸条、整経糸、織
物、編み物、不織布などの形態で加工することができる
が、織物、編物、不織布などの布帛形態で処理するの
が、顕著な効果が発現するので好ましい。人造セルロー
ス繊維を含む布帛としては、人造セルロース繊維からな
る布帛、人造セルロース繊維と合成繊維および/または
天然繊維との複合布帛が挙げられる。
【0012】合成繊維としては、ポリエステル系繊維、
ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、アセテート系
繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニールアルコール
系繊維、塩化ビニリデン繊維等が挙げられ、天然繊維と
しては、綿、羊毛、麻、絹等が挙げられる。人造セルロ
ース繊維と合成繊維および/または天然繊維との複合形
態としては、混繊または交撚などの複合糸や、交編また
は交織した布帛や、複合糸との交編または交織した布帛
が挙げられる。混合される合成繊維は、無撚糸、撚糸の
いずれでもよいが、撚糸の場合は、シボ立ち性の点か
ら、撚数1000〜3000T/mのものが好ましい。
人造セルロース繊維の混用率には特に限定されないが、
30%以上がその効果が顕著に現れるので好ましい。
【0013】本発明の加工方法では、まず、人造セルロ
ース繊維または該繊維を含む布帛に、エポキシ化合物お
よび酸性触媒と、プロピレングリコールまたはその多量
体、脂肪族ポリオール、還元糖類、二糖類および単糖類
から選ばれた少なくとも1種からなる第三成分とが付与
され、その後、加熱処理される。人造セルロース繊維、
糸条または整経糸への上記成分の付与は、繊維の製造工
程である紡糸、凝固、再生、水洗、乾燥などの連続工程
中の乾燥前の繊維または乾燥後の繊維のいずれで行って
もよく、また織物、編物、不織布等の布帛への付与の場
合は特に制限はない。
【0014】本発明に用いられるエポキシ化合物として
は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリ
セリン、ソルビトール、ポリグリセロール、ペンタエリ
スリトール、トリス(2−ヒドロキシル)イソシアヌレ
ート、トリスメチロールプロパン、ネオペンチルグリコ
ール、フェノールエチレンオキサイド、ラウリルアルコ
ールエチレンオキサイドのモノおよびポリグリシジルエ
ーテルなどが挙げられる。これらのうち、エチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、フェノールエチレンオ
キサイド、ポリグリセロールなどのポリグリシジルエー
テルが好ましく、特にエチレングリコールジグリシジル
エーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル
およびこれらの混合物が顕著な効果が得られる点で好ま
しい。
【0015】これらのエポキシ化合物は水に溶解して使
用するが、溶解度が低い場合には少量の有機溶剤(例え
ばジオキサンまたはイソプロピルアルコール)と水との
混合溶液を用いることができる。本発明に用いられる酸
性触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、有機酸、乳
酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸などのオキシ酸、
アミン塩酸塩等が挙げられる。また塩化アルミニウム、
硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化亜鉛、硝酸
亜鉛、ホウフッ化亜鉛、塩化マグネシウム、ホウフッ化
マグネシウムなどの無機金属塩等も酸性触媒に含まれ
る。これらは用いるエポキシ化合物に適したものを選択
して単独でまたは2種以上組み合わせて用いることがで
きる。特にホウフッ化マグネシウムは反応性に優れてい
る点で好ましい。
【0016】エポキシ化合物の溶液中濃度(有効成分濃
度)は2〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜
10重量%である。エポキシ化合物の濃度が2重量%未
満では耐スレ性効果が不十分な場合があり、20重量%
を超えると固着樹脂量が過剰となるために、布帛の風合
いや染色性が阻害される場合がある。酸性触媒の使用量
は、通常、エポキシ化合物の使用量に対して5〜20重
量%で、好ましくは5〜15%である。触媒量が5%未
満ではエポキシ化合物の架橋が不十分になり耐スレ性が
低下し易く、また湿摩擦堅牢度向上効果の発現も抑制さ
れる。20%を超えると十分に架橋が行えるが、触媒に
よるセルロース繊維へのダメージが大きくなりやすい。
【0017】本発明の加工方法には、第三成分として、
プロピレングリコールまたはその多量体、脂肪族ポリオ
ール、還元糖類、二糖類および単糖類の少なくとも1種
が用いられる。プロピレングリコールの多量体として
は、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、脂肪族ポ
リオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグ
リセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、ト
リメチロールプロパン等が挙げられ、還元糖類として
は、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリ
スリトール等が挙げられ、単糖類としては、キシロー
ス、アラビノース、リボース、エリスロース、ガラクト
ース、ソルビタン等が挙げられ、二糖類としては、ラク
トース、ショ糖、マルトース等が挙げられる。これらの
うち水に可溶なものが好ましく、特にポリプロピレング
リコール(以下、PPGということがある)が好まし
い。
【0018】PPGとしては、分子量が70〜1000
の範囲のものが好ましく、300〜600の範囲のもの
が特に好ましい。分子量が70未満ではエポキシ化合物
との架橋において得られる架橋構造物の架橋長が短すぎ
て染色性向上効果やシボ発現効果が十分に得られない場
合があり、また分子量が600を超えると染色堅牢度が
低下し易く、また水溶解性が劣り、均一付着が困難な場
合がある。上記第三成分の溶液中濃度は、その濃度に比
例して染色性が向上するため、エポキシ化合物の使用量
に応じて適宜決定するのが好ましいが、通常は2〜20
重量%の範囲とされる。第三成分の濃度が2重量%未満
では染色性向上効果が不十分な場合があり、20重量%
を超えると染色性向上効果は十分であるが、染色堅牢度
が低下する場合がある。
【0019】上記エポキシ化合物、酸性触媒および第三
成分は、これらの成分を含む混合溶液を調整した後、人
造セルロース繊維または該繊維を含む布帛に付与するの
が好ましい。この混合溶液は、そのpHが常に5〜7に
なるように溶液の調整時に、酢酸マグネシウム、酢酸亜
鉛、アンモニア水、リン酸等の安定剤を適量加えておく
のが好ましい。また人造セルロース繊維に上記混合溶液
を付与する際には、柔軟剤等他の薬剤を混合してもよ
い。
【0020】上記混合溶液の付与および加熱処理は、例
えば、次のような工程で行うことができる。まず、混合
溶液に人造セルロース繊維を含む布帛を浸す。布帛に対
する混合溶液のウェットピックアップ率は用いる人造セ
ルロース繊維の布帛における混用率や生地形態によって
も異なるが、通常は40%owf以上、好ましくは40
〜120%owfになるようにマングルで絞る等して調
節する。次いで80〜150℃で20秒〜5分間の予備
乾燥を行い、次に130〜200℃で5秒〜5分間、好
ましくは140〜180℃で30秒〜3分間の加熱処理
をする。なお、予備乾燥を省略して熱処理のみでもよい
が、予備乾燥した方が混合溶液のマイグレーション等が
抑制でき、混合溶液が均一に付着するので好ましい。人
造セルロース繊維や布帛への混合溶液の付与は、Dip
/Nip法やキスロールによる片面付与、スプレー法等
による付与等のいずれの方法で行ってもよい。加熱処理
にはピンテンター、ショートループ、シュリンクサーフ
ァー等の加熱装置が用いられる。
【0021】上記混合溶液の付与および加熱処理が施さ
れた人造セルロース繊維または該繊維を含む布帛には、
液流揉布処理するのが好ましい。ここで、液流揉布と
は、液流で揉布することをいい、例えば、液流染色機、
ウインス染色機、パドル染色機、ドラム染色機、ワッシ
ャー、リラクサー等で処理することをいう。この際の液
流としては水流が好ましい。この液流揉布処理をするこ
とにより、繊維上や繊維交絡点に付着した樹脂や未反応
物等が脱落し、繊維の自由度が増し、風合いの柔軟化と
強度低下防止効果が発現する。液流揉布処理は、液流染
色機等で染色することで達成されるが、あらかじめ液流
染色機等でソーピングまたは水洗を行って未反応物を除
去してから染色するのが染色ムラや色ぶれ等を防止でき
るため好ましい。また液流揉布処理は、撚糸布帛の解撚
・シボ立て工程を兼ねて行うことができる。すなわち撚
糸布帛のシボ立て前の生機に本加工を行い、得られた撚
糸布帛をリラクサーやワッシャー等を用い、水でシボ立
てと同時に前記した付着した樹脂や未反応物を除去する
ことができる。
【0022】またソーピングに用いられるソーピング剤
は、前述の付着した樹脂や未反応樹脂を繊維より脱着さ
せやすくする薬剤であり、水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウムなどのアルカリ剤、非イオン系のポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、アルキルチオエーテル、脂肪酸
アルキロールアミドなどの界面活性剤が用いられるが、
薬剤を含まない水洗工程も含まれる。ソーピング剤の使
用濃度(有効成分)および処理条件としては、繊維への
ダメージを考慮して、0.2〜3g/Lで処理浴のpH
が9〜11になるようにアルカリを適当量併用し、40
〜80℃で10〜40分で処理するのが好ましい。
【0023】本発明の加工が施された繊維または布帛の
染色方法には特に限定はなく、例えば、人造セルロース
を染める染料として通常の反応性染料または直接染料が
用いられ、染色方法としては、吸尽法、パッド染色法、
捺染法などが挙げられる。ポリエステル系繊維と人造セ
ルロース繊維の混合物の場合には、直接染料および分散
染料の組み合わせ、または中性、高温下で染着可能な反
応染料および分散染料の組み合わせによる一浴一段染色
法、または分散染料染色後に反応染料染色する一浴二段
染色法もしくは二浴二段染色法などが挙げられる。また
ポリアミド系繊維と人造セルロース繊維混合物の場合
は、酸性染料または酸性含金染料と直接染料との組み合
わせによる一浴一段染色法、または反応染料後、酸性染
料もしくは酸性含金染料で染色する二浴二段染色法が挙
げられる。吸尽法で使用される染色機としては液流染色
機、ウインス染色機、パドル染色機、ドラム染色機等が
挙げられる。
【0024】また、通常行われているように、人造セル
ロース繊維を染色後染料固着のためにFix処理を行う
ことが好ましい。Fix剤としては、ポリアミド系、ポ
リカチオン系、反応型カチオン性固着剤等の通常使用さ
れるFix剤が用いられる。反応性Fix剤の使用は、
高湿摩擦堅牢度を達成できるので好ましい。このような
反応型Fix剤としては、例えば、CIBA−GEIG
Y社製商品名、Cibafix E等が挙げられる。ま
た染料固着のためにFix処理をした後、さらにアニオ
ン系柔軟剤で処理することは、Fix処理でカチオン性
となった布帛をアニオン返しにより、ノニオン化する効
果や、布帛の柔軟性を高めたり、湿摩擦堅牢度を向上さ
せる効果を発現できるために好ましい。
【0025】アニオン系柔軟剤としては、ジアルキルス
ルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
またはポリオキシプロピレンアルキルエーテルの混合
物、ポリオキシエチレン基またはポリオキシプロピレン
基が分子構造中に導入されたアルキルスルホコハク酸
塩、ポリオキシアルキル硫酸エステル塩等が用いられ、
炭素数約8〜20の親油性のアルキル基、ポリオキシエ
チレン基またはポリオキシプロピレン基の非イオン性親
水基、スルホン酸やカルボン酸等のアニオン性極性基を
分子中に持つものが好ましい。ポリオキシエチレン基ま
たはポリオキシプロピレン基の非イオン性親水基により
吸水性も付与することができる。このようなアニオン系
柔軟剤の市販品としては、例えば第一工業製薬社製のフ
ァインソフトAQ−80、一方社油脂化学社製のロンサ
イズN−700、日華化学社製のサンソフターA700
等が挙げられる。
【0026】またポリエステル系繊維と人造セルロース
繊維の混合物を分散染料と直接染料の一浴一段染色法
や、分散染料と反応染料の一浴一段染色法、一浴二段染
色法などで染色した場合に、Fix処理後またはその前
にソーピング処理を行うことは人造セルロース繊維に汚
染した分散染料やポリエステル系繊維の表面に染着して
いる過剰な分散染料または固着していない直接染料およ
び反応染料を除去し、堅牢度低下を防ぐ効果を発現でき
るために好ましい。このソーピング剤としては、通常の
ポリエステル系繊維と人造セルロース繊維の複合染色時
に使用される非イオン系またはアニオン系の界面活性剤
等が用いられる。このようなソーピング剤の市販品とし
ては、例えば日華化学社製のリポトールTC300、T
C350等、コタニ化学工業社製のクインソープT−J
Enew等が挙げられる。
【0027】また仕上げ加工としては、柔軟処理、撥水
処理など通常の処理が行われるが、特にフッソ系やシリ
コーン系撥水剤で処理した場合には、顕著な濃染化が達
成されるので、ブラックフォーマル用途には適したもの
となる。同じ撥水剤で仕上げ加工を実施しても、染色前
に本加工による処理を実施した場合とそうでない場合に
は濃染化の度合いが大きく異なり、本加工処理を実施し
たものは、顕著に濃染化される。特に、濃染化効果の高
い加工剤としては、例えば明成化学社製のフッソ撥水
剤、アサヒガードAG710やAG−730、また日華
化学社製のアミノシリコーン系柔軟撥水剤、ニッカシリ
コーンAMX等が挙げられる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例により本発明をさらに
詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定さ
れるものではない。なお、実施例で示した測定項目は下
記の方法により測定したものである。 (1) 発色性:マクベス分光光度計MS−2020型を用
い、JIS−Z−8730に準じ、CIE Lab表色
系で、作製した布帛のK/S、L値を測定し、発色性評
価とした。 (2) 耐スレ性:染色後と洗濯後の布帛の左右の端、中央
の3箇所、長さ方向に無作為に3箇所の計9箇所から3
cm四方にサンプリングし、ついで、光学顕微鏡で観察
し、さらに、スレ状態の最も大きい場所を中心に1cm
四方にサンプリングし、交絡単位数を20以上含むよう
な倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮り、スレ
状態を下記により定量化し、スレ率を算出した。ここで
交絡単位とは、布帛の経緯糸がそれぞれ交絡し、表に出
ている部分をいい、例えば、経糸の場合、交絡している
緯糸の両隣の緯糸との交絡により区切られ表に出ている
部分をいい、布帛が平織の場合、組織点が経緯糸交互に
交絡単位となる。スレ状態は、写真を肉眼で見て、 単繊維1〜2本フィブリル化しているもの : 0.
5 単繊維3本以上フィブリル化または フィブリル化1本が100μm以上のもの : 1 として点数をつけ、下記式でスレ率を算出した。 スレ率(%)=(フィブリル化の点数の合計/交絡単位
総数)×100
【0029】(3) 水膨潤率(保水性):20℃×60%
Rhの調湿状態の改質加工処理したものおよび未処理の
ものをイオン交換水に30分浸漬し、3500rpmで
5分間遠心脱水したものの重量をW1 (g)とし、その
絶乾重量をW2 (g)とし、以下の式で水膨潤率を算出
した。また、この水膨潤率が大きいほど、保水性が高い
ことを示す。 水膨潤率(%)=〔(W1 −W2 )/W2 〕×100 (4) 湿摩擦堅牢度:JIS−L−0849に準じて測定
した。 (5) 洗濯堅牢度:JIS−L−0844 A2法に準じ
て行い、洗濯後の液汚染および綿、ナイロン汚染を級判
定した。この級数が小さいほど汚染が大きいことを示
す。 (6) DC(ドライクリーニング)液汚染:JIS−L−
0860に準じて行い、パークレン溶液を用いたDC後
の液汚染を級判定した。この級数が小さいほど汚染が大
きいことを示す。
【0030】実施例1 銅アンモニアレーヨン糸(84dtex/45f)とレ
ギュラーエステル加工糸(73dtex/36f)を合
撚した糸(SZ1800T/m)を経、緯糸に使い、経
密度50本/インチ、緯密度42本/インチからなる生
機を通常の処方でリラックス精練、プレセットして布帛
を得た。この布帛を、エチレングリコールジグリシジル
エーテル(エポキシ化合物)5重量%、ホウフッ化マグ
ネシウム(酸性触媒)0.5重量%、酢酸マグネシウム
(安定剤)0.2重量%およびPPG400(第三成
分)4重量%の混合加工水溶液に浸漬後、マングルでウ
ェットピックアップ80%に絞り、100℃で2分乾燥
後、170℃で1分キュアリングした。次いで液流染色
機中でアルカリ減量を行い、排液後、中和、水洗し、そ
の後、分散染料Dianix BlackS−LF01
(三菱化成ヘキスト社製)2.7%owfおよび直接染
料Kayarus Black B160(日本化薬
製)2.9%owfを用い、助剤として分散剤ディスパ
ーN550(明成化学社製)1g/L、pH調整剤ダイ
アサーバpH95(三菱化成ヘキスト社製)1g/Lお
よびボウ硝30g/Lを含む染色浴中で浴比1:20で
130℃の1浴染色を実施した。
【0031】染色後、反応型Fix剤のCibafix
Eを5.5%owf(見掛け濃度)用いて処理し、5
0℃昇温後水酸化ナトリウム1.25g/Lを添加し、
さらに30分間処理を続けた。中和、水洗後、リポトー
ルTC350(日華化学社製)1g/Lの浴中にて40
℃で10分間ソーピング処理を実施した後、水洗、脱
水、乾燥後、仕上げ処理として、シリコーン系柔軟剤
ニッカシリコーンAMZ(日華化学社製)2重量%、フ
ッソ系撥水剤 アサヒガードAG710(明成化学社
製)4重量%および水94重量%の混合液をパディング
し、ヒラノテクシード社製ピンテンターを用いて170
℃で1分間キュアリングし、染色布帛を得た。この布帛
の特性を調べ、その結果を表1に示したが、染色ムラは
全くなく、またブラックフォーマルに適する程の極濃色
品であった。また、湿摩擦堅牢度および洗濯液汚染、洗
濯白布汚染、DC液汚染に優れるものであった。
【0032】実施例2 実施例1において、反応型Fix剤Cibafix E
処理、ソーピング処理した後、続けてアニオン系柔軟剤
ファインソフトAQ−80(第一工業製薬社製)を5%
owf(見掛け濃度)を用い、浴比1:20で40℃で
15分間処理、水洗、脱水、乾燥した以外は実施例1と
同様の仕上げセットを行い、染色布帛を得た。この布帛
の特性を調べ、その結果を表1に示したが、染色ムラは
全くなく、またブラックフォーマルに適する程の極濃色
品であった。また、湿摩擦堅牢度および洗濯液汚染、洗
濯白布汚染、DC液汚染に優れるものであった。
【0033】実施例3 実施例2において、Fix剤として、ポリアミン系Fi
x剤 センカフィックスNFC(センカ社製)5%ow
f(見掛け濃度)を用い、浴比1:20で20分間処理
した以外は実施例2と同様に処理して染色布帛を得た。
この布帛の評価結果を表1に示したが、染色ムラは全く
なく、実施例2のものと同様に極濃色品であった。また
実施例1のものに比べると若干劣るものの、湿摩擦堅牢
度、洗濯液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染に優れたも
のであった。
【0034】実施例4 実施例2において、エポキシ化合物の加工時の混合加工
水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにトリメ
チロールプロパンを3.3重量%用いた以外は実施例2
と同様に処理して染色布帛を得た。この布帛の評価結果
を表1に示したが、実施例2のものと同様に優れた特性
を有していた。 実施例5 実施例2において、エポキシ化合物の加工時の混合加工
水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにD−ソ
ルビトールを2.3重量%用いた以外は実施例2と同様
に処理して染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1
に示したが、実施例2のものと同様に優れた特性を有し
ていた。
【0035】実施例6 実施例2において、エポキシ化合物の加工時の混合加工
水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにD−ガ
ラクトースを4.5重量%用いた以外は実施例2と同様
に処理して染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1
に示したが、実施例2のものと同様に優れた特性を有し
ていた。 実施例7 実施例2において、エポキシ化合物の加工時の混合加工
水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにラクト
ースを4.5重量%用いた以外は実施例2と同様に処理
して染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1に示し
たが、実施例2のものと同様に優れた特性を有してい
た。
【0036】比較例1 実施例2において、混合加工水溶液として、エチレング
リコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物)5重
量%、ホウフッ化マグネシウム(酸性触媒)0.5重量
%、酢酸マグネシウム(安定剤)0.2重量%およびP
EG400が5重量%であるものを用い、該水溶液に浸
漬後、マングルでウェットピックアップ80%に絞り、
120℃で2分乾燥後、170℃で1分キュアリング
し、次いで、液流染色機中でアルカリ減量を行い、排液
後、中和、水洗した以外は実施例2と同様にして染色、
Fix、ソーピング、アニオン系柔軟剤処理、仕上げ加
工を実施して染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表
1に示した。この布帛には染色ムラは全く見られなかっ
たが、実施例2のものと比較するとかなり発色性の劣る
ものであった。また湿摩擦堅牢度には優れるものの、洗
濯液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染が悪いものであっ
た。
【0037】実施例8 実施例2において、液流染色機中で、アルカリ減量、中
和、水洗した後、反応染料Sumifix Black
ENS(住友化学社製) 150%gran5.2%
owfおよび分散染料Dianix Black S−
LF01 2.7%owfを用い、酢酸と酢酸ナトリウ
ムでpH5.5に調整した染色浴で、助剤として分散剤
ディスパーN−550 1g/L、ボウ硝50g/Lお
よび炭酸ナトリウム25g/Lを使用し、浴比1:20
で1浴2段染色を実施し、染色後、リポトールTC35
0 1g/Lにて95℃で10分間ソーピング処理した
以外は実施例2と同様にしてFix処理、アニオン系柔
軟処理、仕上げ加工を実施して染色布帛を得た。この布
帛の評価結果を表1に示した。この布帛は、染色ムラが
全く見られず、またブラックフォーマルに適するほどの
極濃色品に仕上がっていた。また、湿摩擦堅牢度、洗濯
液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染に優れたものであっ
た。
【0038】実施例9 実施例8において、染色、ソーピング後、反応型Fix
の代わりにポリアミン型Fix センカフィックスNF
C 5%owfで処理した以外は実施例8と同様に仕上
げ処理を行って染色布帛を得た。この布帛の評価結果を
表1に示した。この布帛は染色ムラが全く見られず、ま
たブラックフォーマルに適するほどの極濃色のものであ
った。またこの布帛は実施例8のものに比べると若干劣
るものの、湿摩擦堅牢度、洗濯液汚染、洗濯白布汚染、
DC液汚染に優れるものであった。
【0039】比較例2 比較例1において、染色以降の処理を実施例8と同様に
行った以外は比較例1と同様にして染色布帛を得た。こ
の布帛の評価結果を表1に示したが、発色性は実施例8
に比べて低く、洗濯堅牢度、DC液汚染の劣るものであ
った。
【0040】実施例10 実施例2において、布帛を混合加工水溶液に浸漬後、マ
ングルでウェットピックアップ80%に絞り、120℃
で2分乾燥後、170℃で1分キュアリングし、次い
で、通常の処方でリラックス精練、アルカリ減量、中
和、水洗した以外は実施例2と同様にして染色、Fi
x、ソーピング処理、アニオン系柔軟処理、仕上げ加工
を実施して染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1
に示した。この布帛は、染色ムラもなく、シボ立ち性も
良好で、発色性の高いものであった。また、湿摩擦堅牢
度、洗濯液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染に優れるも
のであった。
【0041】比較例3 実施例10において、エポキシ化合物の加工時の混合加
工水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにPE
G400を5重量%用いた以外は実施例10と同様にし
て染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1に示し
た。この布帛は、実施例10のものに比べて発色性が大
きく劣り、また洗濯液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染
の悪いものであった。
【0042】実施例11 湿式流下緊張紡糸法により凝固再生された乾燥前の銅ア
ンモニアレーヨン糸(84dtex/45f)に、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合
物)10重量%、ホウフッ化マグネシウム(酸性触媒)
1.0重量%、酢酸マグネシウム(安定剤)0.5重量
%、PPG400が8重量%および水80.5重量%の
混合加工剤溶液をWet on Wetでキスロールで
ウェットピックアップ率100%で付与し、150℃で
10秒間加熱処理した。この糸と、レギュラーエステル
加工糸(73dtex/36f)を合撚した糸(SZ1
800T/m)を経、緯糸に使い、経密度60本/イン
チ、緯密度52本/インチからなる生機を作製し、通常
の方法でリラックス精練、アルカリ減量を行った後、実
施例2と同様にして染色、Fix、ソーピング、アニオ
ン系柔軟剤処理、仕上げ加工を実施して染色布帛を得
た。この布帛の評価結果を表1に示した。この布帛は、
実施例2のものと同様に染色ムラは全く見られず、シボ
立ち性の良好な外観品位に優れたものであった。また極
濃色に仕上がっており、さらに湿摩擦堅牢度、洗濯液汚
染、洗濯白布汚染、DC液汚染に優れるものであった。
【0043】比較例4 実施例11において、乾燥前の銅アンモニアレーヨン糸
へのエポキシ加工時の混合加工水溶液にPPG400を
4重量%用いる代わりにPEG400を5重量%用いた
以外は実施例11と同様に仕上げて染色布帛を得た。こ
の布帛の評価結果を表1に示した。この布帛は、実施例
11のものに比べて発色性が大きく劣り、また洗濯液汚
染、洗濯白布汚染、DC液汚染の悪いものであった。
【0044】実施例12 銅アンモニアレーヨン糸(84dtex/45f)とエ
ステルT&T糸(45dtex/20f)を合撚(20
00T/m)した糸で巾180cm、48コース、28
ウェルのスムース生機を作製した。この生機をエチレン
グリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物)5
重量%、ホウフッ化マグネシウム(酸性触媒)0.5重
量%、酢酸マグネシウム(安定剤)0.2重量%および
PPG400が4重量%の混合加工水溶液に浸漬後、マ
ングルでウェットピックアップ80%に絞り、100℃
で2分乾燥後、170℃で1分キュアリングした。次い
で、液流染色機中でリラックス精練し排液、水洗した
後、実施例2と同様にして染色、Fix、ソーピング処
理、アニオン系柔軟処理、仕上げ加工を行って染色布帛
を得た。この布帛の評価結果を表1に示した。この染色
布帛は、染色ムラが全く見られず、またブラックフォー
マルに適する程の極濃色であった。さらに湿摩擦堅牢
度、洗濯液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染に優れるも
のであった。また、ノンホルマリン樹脂等で仕上げ加工
をしていないにも関わらず、洗濯での防縮性にも優れた
ものであった。
【0045】実施例13 実施例12において、生機を液流リラックス精練し、乾
燥した後、実施例12と同様にしてエポキシ化合物によ
る加工を施した。次いで、液流染色機中で50℃で水洗
を行い、その後、実施例2と同様にして染色、Fix、
ソーピング処理、アニオン系柔軟処理、仕上げ加工を実
施して染色布帛を得た。得られた布帛の評価結果を表1
に示した。この布帛は、実施例12のものと同様に発色
性、堅牢度に優れたものであった。また洗濯収縮性にも
優れたものであった。
【0046】実施例14 銅アンモニアレーヨンステープル糸(単繊維鮮度1.5
dtex、カット長52mm)の綿番手40’S(Z撚
り:1400T/m)とレギュラーエステル加工糸糸
(73dtex/36f)を合撚(SZ1800T/
m)した糸を経糸に、レギュラーエステル加工糸(56
tex/24f)を緯糸として、経密度50本/イン
チ、緯密度42本/インチの生機を作製した。この生機
を実施例1と同様にリラックス精練、プレセットした
後、実施例1と同様にしてエポキシ化合物による加工を
施した。次いで液流染色機中でアルカリ減量し、排液、
中和、水洗後、実施例2と同様にして染色、Fix、ソ
ーピング処理、アニオン系柔軟処理、仕上げ加工を行っ
て染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1に示し
た。この布帛は、スレや染色ムラが全くなく、またかな
りの極濃色に仕上がっていた。さらに染色堅牢度に優れ
るものであった。
【0047】実施例15 4枚筬、28ゲージのラッシェル経編機を使用し、前筬
に銅アンモニアレーヨン糸(84dtex/45f)を
第1中筬にナイロンマルチフィラメント糸(34dte
x/10f)を、第2中筬にポリウレタンからなる第一
伸縮弾性糸(78dtex)を、後筬にポリウレタンか
らなる第二伸縮弾性糸(45dtex)をそれぞれフル
セットに配置し、前筬、第1中筬、第2中筬および後筬
の編組織および編条件を下記の通りとし生機を得た。 前筬 :11/10/11/11/12/11 第1中筬:10/12/21/23/21/12 第2中筬:00/22/11/33/11/22 後筬 :00/22/22/33/11/11 ランナー長 前筬 :30.6cm/ラック 第1中筬:98.6cm/ラック 第2中筬:10.3cm/ラック 後筬 :17.1cm/ラック 机上密度 90コース/インチ
【0048】該生機を90℃で20秒間湯通しし、巾2
10cm、190℃で45秒間予備セットを行い、目付
190g/m2の伸縮弾性布帛を得た。該布帛を、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合
物)5重量%、ホウフッ化マグネシウム(酸性触媒)
0.5重量%、酢酸マグネシウム(安定剤)0.2重量
%、PPG400が4重量%および水90.3%の混合
溶液に浸漬後、マングルでウェットピックアップ60%
に絞り、160℃で45秒間加熱処理した。次いで液流
染色機中にて50℃で水洗を行い、次に直接染料Kay
arus Black B160 3%owfおよび
1:2酸性含金染料 Aizen Opal Blac
k special(保土谷社製) 3%owfを用
い、助剤としてボウ硝 30g/L、硫酸アンモニウム
4%owfおよびナイロン用防染剤ユニオナールL(セ
ンカ社製)0.5g/Lを含む染色浴で1浴染色を実施
した後、水洗し、その後タンニン酸を用いてナイロンF
ix処理を行い、セルロースFixとしてCibafi
x E処理し、水洗、中和、水洗し、拡布乾燥を行っ
た。その後、仕上げ処理としてファインソフトAQ80
の6%水溶液をパディングし、ヒラノテクシード社製ピ
ンテンターを用いて170℃で1分間キュアリングして
染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1に示した。
この布帛はスレや、染色ムラが全く見られず、かなりの
濃色に仕上がっていた。また、湿摩擦堅牢度、洗濯液汚
染、洗濯白布汚染、DC液汚染に優れるものであった。
さらに、吸水性にも優れるものであった。尚、湿摩擦堅
牢度はシンカーループ面(銅アンモニアレーヨン糸の露
出率100%)を測定した。
【0049】比較例5 実施例14において、生機を湯通しし、190℃予備セ
ットした後、エポキシ化合物の加工時の混合加工水溶液
にPPG400を4重量%用いる代わりにPEG400
を5重量%用いた以外は実施例14と同様の処理で仕上
げて染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表1に示し
た。この布帛は、実施例14のものに比べて発色性が劣
り、また洗濯液汚染、洗濯白布汚染、DC液汚染の大き
いものであった。
【0050】実施例16 2枚筬、40ゲージのトリコット経編機を使用し、前筬
に銅アンモニアレーヨン糸(34dtex/24f)
を、後筬に銅アンモニアレーヨン糸(34dtex/2
4f)を配置し、ハーフトリコットを編成して生機を得
た。この生機を90℃で20秒間湯通し、巾190c
m、180℃で45秒間予備セットを行い、目付110
g/m2 の布帛を得た。得られた布帛をエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル(エポキシ化合物)5重量
%、ホウフッ化マグネシウム(酸性触媒)0.5重量
%、酢酸マグネシウム(安定剤)0.2重量%およびP
PG400が4重量%の混合加工水溶液に浸漬後、マン
グルでウェットピックアップ80%に絞り、100℃で
2分乾燥後、170℃で1分キュアリングした。次い
で、液流染色機中で50℃にて水洗いした後、直接染料
KayarusBlack B160 4.5%owf
を用い、助剤としてボウ硝30g/Lおよび炭酸ナトリ
ウム0.5g/Lを含んだ染色浴中で染色後、反応型F
ix剤のCibafix Eを5.5%owf用いて実
施例2と同様に処理し、その後アニオン系柔軟剤ファイ
ンソフトAQ80を5%owf用いて実施例2と同様に
処理した。その後、170℃で乾燥セットを行って染色
布帛を得た。この布帛の評価結果を表1に示した。この
布帛は、染めムラが全く見られず、かなり濃色のもので
あった。また、湿摩擦堅牢度、洗濯液汚染、洗濯白布汚
染、DC液汚染に優れたものであった。
【0051】実施例17 実施例16において、染色時に用いる染料を反応性染料
Sumifix Black ENS150%を8%o
wfとし、助剤としてボウ硝50g/Lおよび炭酸ナト
リウム25g/Lを含んだ染色浴中で染色し、その後グ
ランアップNC(三洋化成社製)2g/Lでソーピング
処理し、反応型FixのCibafixEで処理した以
外は実施例16と同様に処理して染色布帛を得た。この
布帛の評価結果を表1に示した。実施例16もののと同
様に染色ムラは全く見られず、また発色性、染色堅牢度
にかなり優れるものであった。
【0052】比較例6 実施例16において、エポキシ化合物の加工時の混合加
工水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにPE
G400を5重量%用いた以外は実施例16と同様にし
て染色布帛を得た。この評価結果を表1に示した。この
布帛は、染色ムラは全く見られなかったが、実施例16
のものに比べて発色性がかなり劣り、また、洗濯液汚
染、洗濯白布汚染の大きなものであった。
【0053】実施例18 経糸が銅アンモニアレーヨン糸(84dtex/45
f)、緯糸が銅アンモニアレーヨン糸(112dtex
/70f、撚数2700T/m)からなる経密度121
本/インチ、緯密度74本/インチの生機を通常の処方
でシボ立て、精練乾燥した布帛を用意し、該布帛をジエ
チレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ化合
物)5重量%、ホウフッ化マグネシウム(酸性触媒)
0.5重量%、酢酸マグネシウム(安定剤)0.2重量
%およびPPG400が4重量%の混合加工水溶液に浸
漬し、絞り、乾燥、キュアリングした後、実施例16と
同様に、液流染色機中で、湯洗い、染色、Fix、アニ
オン系柔軟処理、乾燥セットを行って染色布帛を得た。
この布帛の評価結果を表1に示した。得られた布帛はス
レ、染めムラが全く見られず、またシボ品位も良好で濃
色品に仕上がっていた。また、湿摩擦堅牢度、洗濯液汚
染、洗濯白布汚染に優れるものであった。
【0054】実施例19 経糸が銅アンモニアレーヨン糸(84dtex/45
f、撚数2500T/m)、緯糸が銅アンモニアレーヨ
ンステープル(単繊維鮮度1.5dtex、カット長5
2mm)の綿番手40’S(Z:1400T/m)から
なる経密度77本/インチ、緯密度77本/インチの生
機を、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(エ
ポキシ化合物)5重量%、ホウフッ化マグネシウム(酸
性触媒90.5重量%、酢酸マグネシウム(安定剤)
0.2重量%、PPG400が4重量%の混合加工水溶
液に浸漬し、絞り、乾燥、キュアリングした後、実施例
16と同様に湯洗い、染色、Fix、アニオン系柔軟処
理、乾燥セットを実施して染色布帛を得た。この布帛の
評価結果を表1に示した。得られた布帛は、スレ、染色
ムラが全く見られず、またかなり濃色のものであった。
また、染色堅牢度に優れるものであった。
【0055】実施例20 経糸がレーヨン糸(84dtex)、緯糸がレーヨン糸
56dtexとエステル34dtexの交撚糸(撚数2
600T/m)からなる経密度97本/インチ、緯密度
69本/インチの生機を通常の処方でシボ立て、精練乾
燥した布帛を、ジエチレングリコールジグリシジルエー
テル(エポキシ化合物)5重量%、ホウフッ化マグネシ
ウム(酸性触媒90.5重量%、酢酸マグネシウム(安
定剤)0.2重量%、PPG400が4重量%の混合加
工水溶液に浸漬し、絞り、乾燥、キュアリングした後、
実施例2と同様にして液流染色機中で、湯洗い、染色、
Fix、ソーピング処理、アニオン系柔軟処理、仕上げ
加工を行って染色布帛を得た。この布帛の評価結果を表
1に示した。レーヨン糸を用いたこの布帛においても、
染色ムラはなく、またかなり発色性の高いものとなって
いた。さらに、堅牢度も良好なものであった。
【0056】比較例7 実施例20において、エポキシ化合物の加工時の混合加
工水溶液にPPG400を4重量%用いる代わりにPE
G400を5重量%用いた以外は実施例20と同様に処
理して仕上げて染色布帛を得た。得られた布帛は実施例
20のものに比べて発色性、染色堅牢度に劣るものであ
った。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明の人造セルロース繊維の加工方法
によれば、強度低下が少なく、風合いも良好で、染色堅
牢度に非常に優れた極濃色の染色性と高度な耐スレ性、
および優れた保水・吸水性とソフトな風合いを併せつ人
造セルロース繊維または該繊維を含む布帛を低コストで
有利に提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人造セルロース繊維に、エポキシ化合物
    および酸性触媒と、プロピレングリコールまたはその多
    量体、脂肪族ポリオール、還元糖類、二糖類および単糖
    類から選ばれた少なくとも一種からなる第三成分とを付
    与した後、加熱処理することを特徴とする人造セルロー
    ス繊維の加工方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱処理した後に、液流揉布するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の人造セルロース繊維の
    加工方法。
  3. 【請求項3】 人造セルロース繊維を含む布帛に、エポ
    キシ化合物および酸性触媒と、プロピレングリコールま
    たはその多量体、脂肪族ポリオール、還元糖類、二糖類
    および単糖類から選ばれた少なくとも一種からなる第三
    成分とを付与した後、加熱処理することを特徴とする人
    造セルロース繊維を含む布帛の加工方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱処理した後に、液流揉布するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の人造セルロース繊維を
    含む布帛の加工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004332168A (ja) * 2003-05-09 2004-11-25 Kurabo Ind Ltd 保湿性に優れたセルロース系繊維
JP2010528190A (ja) * 2007-05-18 2010-08-19 インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル 繊維状基材を処理するための方法および組成物

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