JP2001158796A - α−グルコシルジオスミンの製造方法及びフラボノイド組成物 - Google Patents

α−グルコシルジオスミンの製造方法及びフラボノイド組成物

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JP2001158796A
JP2001158796A JP34033899A JP34033899A JP2001158796A JP 2001158796 A JP2001158796 A JP 2001158796A JP 34033899 A JP34033899 A JP 34033899A JP 34033899 A JP34033899 A JP 34033899A JP 2001158796 A JP2001158796 A JP 2001158796A
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Takashi Yumoto
本 隆 湯
Hideo Sato
藤 英 雄 佐
Yoichi Aiba
羽 洋 一 相
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Original Assignee
Toyo Sugar Refining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】α-グルコシルヘスペリジンを、酸化脱水
素反応させてα-グルコシルジオスミンを得ることを特
徴とするα-グルコシルジオスミンの製造方法。上記反
応を、溶媒中でヨウ素の存在下に行うことが好ましい。
また上記反応を、酸性条件下に行うことが好ましい。上
記溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)であること
が好ましい。上記酸性条件を、反応系への硫酸の添加に
より達成させることが好ましい。α-グルコシルヘスペ
リジン100重量部に対して、α-グルコシルジオスミ
ンを10〜1000重量部の量で含有することを特徴と
するフラボノイド組成物。 【効果】水溶性のα-グルコシルジオスミンを低コスト
で効率よく大量に得られるようなα-グルコシルジオス
ミンの製造方法が提供される。また該製法で得られるフ
ラボノイド組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、α-グルコシルジオスミ
ンの製造方法及びフラボノイド組成物に関する。さらに
詳しくは、本発明は、水溶性のα-グルコシルジオスミ
ンを低コストで効率よく大量に得られるようなα-グル
コシルジオスミンの製造方法に関する。また本発明は、
上記のようにして得られたα-グルコシルジオスミンを
含有するフラボノイド組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ミカン科(Rutaceae)植物から抽
出されるフラボノイド類の一種であるジオスミンは、静
脈強化剤、血管保護剤等として静脈疾患の治療に錠剤、
カプセル剤、発泡性錠剤などの剤型で経口投与されてお
り、これを長期間継続して大量に経口投与することの意
義も認められるようになっている。
【0003】しかしながら、ジオスミンは、水不溶性で
あり、またほとんどの溶媒に対しても不溶性であり、こ
のため服用にあたり、水や適当な溶媒に溶かして摂取す
ることができず、また嚥下量にも限界があるため大量に
経口投与しにくいとの問題点があった。このような問題
点を解決すべく、従来より種々の提案がなされており、
例えば、特開平8−208469号公報には、ミカン科
植物から抽出されたジオスミンのようなフラボノイド類
を経口投与するための薬学的組成物であって、錠剤又は
サシェット(小カプセル)の形態で提供される超微粒子
ジオスミンを含有する発泡性顆粒である組成物が開示さ
れ、該組成物は、水に容易に分散するため、1度にジオ
スミンを大量摂取することが可能である旨記載されてい
る。
【0004】また、特開平7−107972号公報に
は、水難溶性のフラボノイド類を水溶性化できれば、抗
高血圧剤、出血性疾患予防剤等の薬剤として、化粧品等
の用途では紫外線吸収剤として、また食品分野では機能
性添加剤としての利用が期待できるなどの観点から、フ
ラボノイド類をpH8以上のアルカリ域で、あるいは/
およびサイクロデキストリンを加えて可溶化する工程、
および該アルカリ域でサイクロデキストリン合成酵素で
糖転移させる工程により、フラボノイド類の配糖体を生
成させる方法が開示されている。このようにして得られ
たフラボノイド類の配糖体は、中和後も沈殿を生ずるこ
とがない。なお上記公報では、上記フラボノイド類とし
ては、ヘスペリジン、ジオスミン等が挙げられている。
【0005】また、該公報の実施例には、糖供与体(ド
ナー)としての可溶性澱粉と、糖受容体(アクセプタ
ー)として難溶性フラボノイドであるジオスミン、ナリ
ンジン、ネオヘスペリジンおよびルチンを含有する溶液
をpH9に調整してこれら難溶性フラボノイドを可溶化
した後、CGTaseを添加し反応させて、ジオスミン
などそれぞれの難溶性フラボノイドにグルコースが1〜
10個付加された配糖体を得たことが記載されている。
【0006】しかしながら、原料のジオスミンは、ミカ
ン科植物等には少量しか含まれておらず、例えば、金沢
医科大学の田中氏等の報告によれば、温州ミカン1g中
には、ヘスペリジンは34.707mg含まれている
が、ジオスミンは0.064mgしか含まれておらず、
天然物を原料として、低コストで水溶性の糖転移ジオス
ミン(α-グルコシルジオスミン)などを得ることは困
難であるという問題点がある。
【0007】そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねたと
ころ、原料としてジオスミンを用いるのではなく、柑橘
類などを中心に自然界に幅広く存在しており、極めて低
コストで容易に入手可能なヘスペリジンを原料とし、こ
れに糖転移して得られる水溶性のα-グルコシルヘスペ
リジンを酸化脱水素して水溶性のα-グルコシルジオス
ミンを製造することにより、低コストで容易に、水溶性
のα-グルコシルジオスミンを多量に得ることができる
ことなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】なお、「フラバノンを脱水素化反応してフ
ラボンを得るための新規な試薬系(I2/DMSO/H2
SO4)」(W Fatma,Jawaid Iqbal,H Ismail,Kh Ishrat
ullah,WA Shaido及びW Rahman,1978,12,19、J.Chem.So
c.)と題する論文には、 5,7,4’−トリメトキシ
フラバノン(I)を、触媒量のヨウ素(I2)と濃硫酸の
存在下にジメチルスルホキシド(DIMSO)とともに
約0.5時間100℃で加熱したところ、5,7,4’
−トリメトキシフラボン(II)が得られたことが記載さ
れている。
【0009】
【化1】
【0010】しかしながら、該文献には、α-グルコシ
ルヘスペリジンからα-グルコシルジオスミンを得る方
法については、何ら記載も示唆もされていない。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、水への溶解度
が著しく高く、水溶液などとしての摂取が可能であるよ
うなα-グルコシルジオスミンを低コストで簡単かつ大
量に製造しうるようなα-グルコシルジオスミンの製造
方法を提供することを目的としている。
【0012】また、本発明は、α-グルコシルヘスペリ
ジンと、α-グルコシルジオスミンとを特定量比で含有
し、水溶性に優れ、利尿剤などさまざまな用途に利用で
きるフラボノイド組成物を提供することを目的としてい
る。
【0013】
【発明の概要】本発明に係るα-グルコシルジオスミン
の製造方法は、α-グルコシルヘスペリジンを、酸化脱
水素反応させてα-グルコシルジオスミンを得ることを
特徴としている。本発明では、上記反応を、溶媒中でヨ
ウ素の存在下に行うことが好ましい。
【0014】本発明では、上記反応を、酸性条件下に行
うことが好ましく、このような酸性条件を、反応系への
硫酸の添加により達成させることが望ましい。本発明で
は、上記溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)であ
ることが好ましい。本発明に係るフラボノイド組成物
は、α-グルコシルヘスペリジン100重量部に対し
て、α-グルコシルジオスミンを10〜1000重量部
の量で含有することを特徴としている。
【0015】本発明によれば、水溶性のα-グルコシル
ジオスミンを低コストで大量に製造できる。本発明に係
るフラボノイド組成物は、上記製法で得られ、α-グル
コシルヘスペリジンと、α-グルコシルジオスミンとを
特定量比で含有しており、水溶性に優れ、薬剤の用途で
は、経口摂取可能な抗高血圧剤、出血性疾患予防剤、利
尿剤等として、化粧品等の用途では紫外線吸収剤とし
て、また食品分野では機能性添加剤などとして、さまざ
まな用途に利用できる。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るα-グルコシ
ルジオスミンの製造方法について、具体的に説明する。<α-グルコシルジオスミンの製造> 本発明では、下記
式[II]で示すα-グルコシルヘスペリジンを、酸化脱水
素反応させて、下記式[III]で示すα-グルコシルジオ
スミンを製造している。
【0017】
【化2】
【0018】上記式[II]、[III]中、Gはグルコースを
示し、nは1〜20の整数を示す。本発明で用いられる
原料のα-グルコシルヘスペリジンは、上記式[II]に示
されるように、下記式[I]で示されるヘスペリジンの
グルコースの4位の位置にグルコース(G)がα-1,
4結合で順次n個(1〜20個)結合した化合物、また
はこれらグルコース数の異なるα-グルコシルヘスペリ
ジンの混合物である。
【0019】なお、ヘスペリジンは、下記式[I]で示さ
れる。
【0020】
【化3】
【0021】このようなα-グルコシルヘスペリジンの
製法については、従来より公知の方法を採用することが
でき、例えば、本発明者らが先に提案した特開平10−
323196号公報の他、特開平3−7593号公報に
記載の方法などを採用すればよい。本発明では、α-グ
ルコシルジオスミン製造用原料として、α-グルコシル
ヘスペリジンの他に、例えば、ヘスペレチン、ジオスミ
ン、ジオスメチンなどのフラボノイド類、糖類などが含
まれたものも使用できる。このように本発明では、α-
グルコシルヘスペリジンを含有する限り、天然原料であ
る柑橘系植物から得られる抽出・精製物であってもよ
く、合成物であってもよいが、好ましくは該原料中にα
-グルコシルヘスペリジンが50重量%以上、さらに好
ましくは80重量%以上の量で含まれていることが製造
効率の点で望ましい。
【0022】本発明においては、上記反応は、酸性条件
下でも、中性域などでも行うことができるが、通常、p
H7以下、好ましくはpH6.0〜1.0、さらに好ま
しくはpH5.0〜2.0の酸性条件下に反応を行うこ
とが反応速度を高める上で望ましい。この際用いられる
酸としては、無機酸でも有機酸でもよいが、好ましくは
無機酸が用いられる。
【0023】無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭
酸、燐酸、過塩素酸等が挙げられ、硫酸が好ましい。有
機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン
酸、フェノール、エノール、チオール、酸イミド、オキ
シム、スルホアミド等が挙げられる。このような酸は、
上記pH値となるような量で、1種または2種以上組合
せて用いられる。
【0024】本発明では、上記反応を、ヨウ素(I2
の存在下に行うことが反応性に優れるため好ましい。ヨ
ウ素は、α-グルコシルヘスペリジン100重量部に対
して、通常、0.001〜20重量部、好ましくは0.
1〜10重量部の量で用いられる。本発明では、上記反
応を溶媒の存在下に行うことが望ましい。
【0025】本発明では、溶媒としては、例えば、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、炭素数1〜10の脂肪
族アルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、
好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)が用いら
れる。このような溶媒は、1種または2種以上組み合わ
せて用いてもよい。このような溶媒は、α-グルコシル
ヘスペリジン1重量部に対して、通常、0.5〜100
重量部、好ましくは1〜10重量部の量で用いられる。
また、上記したように、原料中にα-グルコシルヘスペ
リジン以外の成分を含むα-グルコシルジオスミン製造
用原料を用いる場合には、その含有量に合わせて、溶媒
を適宜増量すればよい。
【0026】また、このような反応は、通常、10〜1
20℃、好ましくは20〜70℃の温度で、常圧下ある
いは加圧下(0〜10MPa)に、通常0.1〜240
時間、好ましくは1〜24時間行われる。本発明では、
上記のように、溶媒好ましくはジメチルスルホキシド中
で、このようなα-グルコシルジオスミン製造用原料と
してのα-グルコシルヘスペリジンに、ヨウ素を、好ま
しくは硫酸に代表される酸性条件下で作用させると、α
-グルコシルヘスペリジンの酸化脱水素反応が速やかに
進行して、所望のα-グルコシルジオスミンを主体とす
る反応生成物(フラボノイド組成物)が得られる。
【0027】このようにして得られたフラボノイド組成
物には、原料のα-グルコシルヘスペリジン100重量
部に対して、α-グルコシルジオスミンが通常、10〜
1000重量部、好ましくは50〜200重量部の量で
含まれていることが抗高血圧剤、出血性疾患予防剤、利
尿剤等として、化粧品等の用途では紫外線吸収剤とし
て、また食品分野では機能性添加剤、酸化防止剤、呈味
改善剤、退色防止剤等として用いる上で優れた薬効、性
能が期待できるため望ましい。またこのような反応生成
物より得られる固形分には、α-グルコシルジオスミン
が、通常、10〜90重量%、好ましくは30〜70重
量%の量で含まれていることが望ましい。
【0028】なお、このようにして得られた反応生成物
には、上記α-グルコシルジオスミンの他に、未反応原
料のα-グルコシルヘスペリジンなどの水溶性ヘスペリ
ジン;副反応物のジオスミン、ヘスペリジン、糖類例え
ば、グルコースなど;が含まれていることが多い。この
ようなα-グルコシルジオスミンが含まれた反応生成物
であるフラボノイド組成物は、水溶性に優れており、溶
媒を留去した後、精製して、触媒として用いたヨウ素、
糖類、塩などを除去し、必要により粉末化するなど固化
して、医薬品、健康食品等としてそのまま用いてもよ
く、あるいは種々の医薬品、化粧品、健康食品、通常の
食品等に添加して用いてもよく、あるいは、さらにクロ
マト分離法等によりα-グルコシルジオスミンのみを分
取して用いてもよい。
【0029】[フラボノイド組成物]本発明に係るフラボ
ノイド組成物には、α-グルコシルヘスペリジン100
重量部に対して、α-グルコシルジオスミンが10〜1
000重量部、好ましくは50〜200重量部の量で含
有されている。このようなフラボノイド組成物は、上述
したように、α-グルコシルヘスペリジンを、酸化脱水
素反応させて得られる。このようにして得られたフラボ
ノイド組成物には、通常、糖類、塩類、溶媒、触媒とし
て用いたハロゲンなどが含まれている。このフラボノイ
ド組成物から、糖類、塩類、溶媒、触媒として用いたハ
ロゲンなどを除去するには、従来より公知の方法を採用
すればよく、例えば、溶媒を留去してからカチオン交換
樹脂、アニオン交換樹脂を用いて塩類、触媒として用い
たハロゲンを除去する方法や、多孔性吸着樹脂を用いる
方法、または両者を組み合わせて用いる方法等が挙げら
れる。
【0030】多孔性吸着樹脂を用いる方法についてさら
に詳説すると、本発明では、カラムに上記多孔性吸着樹
脂を充填し、高濃度のエタノール水溶液等で活性化して
おき、このカラムに、α-グルコシルジオスミンを含有
する上記フラボノイド組成物(α-グルコシルジオスミ
ン含有液)を10〜60℃の温度で通液する等の方法
で、該樹脂に上記フラボノイド組成物を接触させ、α-
グルコシルジオスミン、α-グルコシルヘスペリジン等
を吸着させる。この際に、反応に用いた溶媒や触媒、副
生物として含まれている糖類、塩類は樹脂に吸着されず
に流出しやすい。
【0031】この際用いられる多孔性吸着樹脂として、
具体的には、例えば、HP−20、HP−50、XAD
−2等の非極性樹脂、XAD−7等の中間極性樹脂が挙
げられる。次いで、充填樹脂容量の1〜4倍量程度の水
または温水(10〜60℃程度)で洗浄して遊離糖や塩
類を主体とする夾雑物を除去した後、アルコール、アル
コール−水(アルコール/水=50〜100/25〜
1)等の溶離液を10〜60℃の温度で通液する等の方
法で、該樹脂に吸着しているα-グルコシルジオスミ
ン、α-グルコシルヘスペリジン等のフラボノイド類を
溶出させる。
【0032】このようにして得られたフラボノイド組成
物には、α-グルコシルヘスペリジン100重量部に対
して、α-グルコシルジオスミンが10〜1000重量
部、好ましくは50〜200重量部で含まれている。な
お、少量のヘスペリジン、ジオスミン、糖類等の成分が
少量含まれていてもよい。なお、上記アルコールとして
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル等の炭素数が1〜5の低級アルコールが挙げられる。
【0033】この液状のフラボノイド組成物(溶出液)
は、そのまま使用することもできるが、上記溶出液を必
要により濃縮し、真空乾燥等すれば、粉末状などの性状
を有し、水溶性のフラボノイド組成物を得ることができ
る。本発明に係るフラボノイド組成物は、このようにα
-グルコシルジオスミンを高濃度で含有しており、しか
も該組成物は、α-グルコシルヘスペリジンとα-グルコ
シルジオスミンとを含み、水溶性に優れており、抗高血
圧剤、出血性疾患予防剤(静脈強化剤、血管保護剤等)
等の経口摂取可能な薬剤として、またより広範な種類の
ガンに対する制ガン剤として、化粧品等の用途では紫外
線吸収剤として、また食品分野では機能性添加剤として
の利用が期待できる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、水溶性のα-グルコシ
ルジオスミンを低コストで効率よく大量に製造できる。
本発明に係るフラボノイド組成物は、水溶性に優れたα
-グルコシルジオスミンを高濃度で含有し、また水溶性
のα-グルコシルヘスペリジンと、α-グルコシルジオス
ミンとを特定量比で含有し、著しく水溶性に優れてお
り、薬剤の用途では、経口摂取可能な抗高血圧剤、出血
性疾患予防剤等として、化粧品等の用途では紫外線吸収
剤として、また食品分野では機能性添加剤などとしての
利用が期待できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明に係るα-グルコシルジオスミ
ンの製造方法について、実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明は、係る実施例により何ら制限される
ものではない。
【0036】
【実施例1】<A液>ジメチルスルホキシド(DMS
O)250mlにα-モノグルコシルヘスペリジン(東
洋精糖(株)製)12.5gを溶解させた後、ヨウ素
0.5gを加えて溶解させ、次いで、濃度2mol/L
の硫酸を5ml加えてpH2.0とし、密閉容器内で7
0℃の温度で12時間反応させた(A液)。 <B液>上記A液の調製工程において、濃度2mol/
Lの硫酸5mlに代えて、水5ml添加した以外は、上
記と同様にして、試料液(B液)を調製した。 <A液、B液の分析>上記A液および調製直後のB液
を、それぞれ50倍希釈して高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)分析を行った。
【0037】上記B液のHPLC分析結果を図1に示
し、また上記A液のHPLC分析結果を図2に示す。な
お、HPLC分析条件は以下の通り。 <HPLC分析条件> カラム:C18 UG(4.6mmID×250mm) 移動相:水/メタノール/酢酸=65/30/5(v/
v) 流速:0.5ml/分 温度:45℃ 検出器:フォトダイオードアレイ検出器 上記B液のHPLCクロマトグラフ(図1)では、リテ
ンションタイム(R.T.)が7.5分の位置にあるα
-モノグルコシルヘスペリジン(a)のピークの高さ
が、A液のHPLCクロマトグラフ(図2)では、約1
/5に減少し、これに代わってR.T.が8.9分の位
置と9.8分の位置に新たなピークが生じた。
【0038】これら各ピークを示す物質の紫外部吸収ス
ペクトル(図3)を見ると、図1ではR.T.が7.5
分にあるα-モノグルコシルヘスペリジンは、フラバノ
ン特有の285nm付近に紫外部極大吸収を示している
ことが分かる。一方、図2では、R.T.が8.9分の
位置と9.8分の位置に生じていた新たなピークの紫外
部吸収スペクトルは、250nmおよび350nm付近
にそれぞれ最大吸収およびそれに次ぐ2番目の大きな吸
収を示した。
【0039】この紫外部吸収スペクトルは、フラボンの
一種であるジオスミンの紫外部吸収スペクトルと一致し
ており、またHPLC分析によりR.T.が9.8分の
位置のピークは、ジオスミン試薬(シグマ社製)のHP
LC分析を行った場合のR.T.と一致した。以上のこ
とから、図2においてR.T.が8.9分および9.8
分の位置に生じた新たなピークを示す物質のうち、R.
T.が9.8分の位置のピークは、ジオスミンであるこ
とが分かった。
【0040】またR.T.が8.9分の位置にピークを
示す物質を分離し、これにα-グルコシダーゼ(トラン
スグルコシダーゼL「アマノ」天野製薬(株)製)を作
用させたところ、ジオスミンのR.T.の位置にそのピ
ークが移動したことから、R.T.が8.9分の位置の
ピークは、グルコシルジオスミンであることが判明し
た。
【0041】さらに、R.T.が8.9分の位置にピー
クを示す物質にα-グルコシダーゼを作用させたとこ
ろ、ジオスミンとグルコースが等モル量で生じたことか
ら、このピークは、モノグルコシルジオスミンであるこ
とが判明した。
【0042】
【実施例2】<C液>実施例1において、A液調製の際
に、濃度2mol/Lの硫酸を添加しなかった以外は、
実施例1のA液と同様にして、試料液(C液)を調製し
た。<D液>実施例1において、A液調製の際に、濃度
2mol/Lの硫酸を添加せず、また溶媒のジメチルス
ルホキシド(DMSO)250mlに代えて水255m
lを用いた以外は、実施例1のA液と同様にして、試料
液(D液)を調製した。<C液、D液の分析>上記C液
については24時間間隔でサンプルを採取し96時間経
過したサンプルまで、またD液については調製直後のサ
ンプルを採取し、それぞれ50倍希釈して上記実施例1
の場合と同様な条件でHPLC分析を行った。
【0043】その結果、D液のHPLC分析のときに見
られたα-モノグルコシルヘスペリジンのピークの高さ
が、C液のHPLC分析では時間の経過と共に減少して
おり、96時間経過後のサンプルでは、α-モノグルコ
シルヘスペリジンのピークの高さがC液調製直後の場合
に比して、約1/4に減少し、代わって、モノグルコシ
ルジオスミンのピーク(R.T.=9.8分)の高さ
が、時間の経過と共に増加していることが分かった。
【0044】C液調製後、96時間経過後のHPLC分
析の結果を図4に示す。<α-モノグルコシルジオスミ
ンの濃縮・乾燥>実施例1のA液を、多孔性合成吸着樹
脂(商品名:「ダイヤイオンHP−20」、三菱化成工
業(株))のカラムにSV:1.5で通液し、次いで該
カラムを樹脂容量の2倍量の温水で洗浄した。
【0045】次いで、濃度50%のエタノール水溶液を
樹脂容量の2倍量通し、樹脂に吸着していた画分を溶出
させ回収した。上記多孔性合成吸着樹脂カラムにA液を
通液させた際に吸着されず、そのまま流出した画分と、
温水洗浄時の流出画分と、上記エタノール水溶液を通液
した際に得られた溶出・流出画分の各成分を分析したと
ころ、A液の通液時の流出画分及び温水洗浄画分には、
糖、塩等が含まれ、50%エタノール水溶液通液時の溶
出画分には、モノグルコシルヘスペリジン、ヘスペリジ
ン、モノグルコシルジオスミン、ジオスミンが含まれて
いた。
【0046】50%エタノール水溶液通液時の溶出画分
を真空下に、エバポレーターで濃縮後、真空下で乾燥
し、可溶性フラボノイド配糖体の粉末11.5gを得
た。該可溶性フラボノイド配糖体の粉末を分析したとこ
ろ、この粉末には、下記成分が下記の量で含まれてい
た。 モノグルコシルヘスペリジン29重量% ヘスペリジン 13重量% モノグルコシルジオスミン 30重量% ジオスミン 11重量%。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1におけるB液のHPLC分析
結果を示す。
【図2】図2は、実施例1におけるA液のHPLC分析
結果を示す。
【図3】図3は、実施例1におけるA液およびB液でH
PLC分析の結果、ピークを示す物質の紫外部吸収スペ
クトルを示す。
【図4】図4は、C液調製後、96時間経過後のHPL
C分析の結果を示す。
【符号の説明】
a・・・・・モノグルコシルヘスペリジン b・・・・・モノグルコシルジオスミン c・・・・・ジオスミン d・・・・・ヘスペリジン
フロントページの続き (72)発明者 相 羽 洋 一 千葉県市原市岩崎西1丁目6番地41 東洋 精糖株式会社千葉工場内 Fターム(参考) 4C057 AA19 BB04 DD01 KK08 4C086 AA03 AA04 EA11 MA04 ZA36 ZA83

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α-グルコシルヘスペリジンを、酸化脱水
    素反応させてα-グルコシルジオスミンを得ることを特
    徴とするα-グルコシルジオスミンの製造方法。
  2. 【請求項2】上記反応を、溶媒中でヨウ素の存在下に行
    うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】上記反応を、酸性条件下に行うことを特徴
    とする請求項1〜2の何れかに記載の方法。
  4. 【請求項4】上記溶媒がジメチルスルホキシド(DMS
    O)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記
    載の方法。
  5. 【請求項5】上記酸性条件を、反応系への硫酸の添加に
    より達成させることを特徴とする請求項2〜4の何れか
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】α-グルコシルヘスペリジン100重量部
    に対して、α-グルコシルジオスミンを10〜1000
    重量部の量で含有することを特徴とするフラボノイド組
    成物。
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Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0860443A1 (fr) * 1997-02-21 1998-08-26 Innokem, SARL Procédé de fabrication industrielle de diosmine à partir de l'hesperidine

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