JP2001158116A - 印刷装置の調整方法、調整方法を記録した記録媒体、および印刷装置 - Google Patents

印刷装置の調整方法、調整方法を記録した記録媒体、および印刷装置

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JP2001158116A
JP2001158116A JP34228899A JP34228899A JP2001158116A JP 2001158116 A JP2001158116 A JP 2001158116A JP 34228899 A JP34228899 A JP 34228899A JP 34228899 A JP34228899 A JP 34228899A JP 2001158116 A JP2001158116 A JP 2001158116A
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dot
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image
dots
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Shigeaki Sumiya
繁明 角谷
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラープリンタにより高画質な印刷を行うた
めには、各色インクの使用量を極めて正確に調整してお
く必要があるが、高精度に調整するためには特殊な装置
等の他に多大な労力が必要であるという問題があった。 【解決手段】 1つのインクについてはインク使用量を
高精度に調整しておき、このインクを基準インクとして
他のインクのインク使用量を調整する。基準インクと色
相が同じインクを調整する場合は、調整するインクの画
像と基準インクの画像とを形成し、それぞれの明度を比
較することで高精度でインク使用量を調整する。また、
基準インクを含んだ各色インクで印刷した画像が無彩色
になるように調整することによって、色相の異なるイン
クのインク使用量を高精度で調整することができる。こ
うすれば予め基準インクのインク使用量を高精度に調整
しておけば、他色インクについては一般消費者が目視で
精度良く調整することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、記録媒体上に各
色のインクドットを形成して幅広い自然色の画像を印刷
する技術に関し、詳しくはドット形成時のインク使用量
を調整する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】カラープリンタは、通常、シアン色・マ
ゼンタ色・イエロ色の各色のドットを記録媒体上に形成
することによって、幅広い自然色の画像を印刷してい
る。わずかな種類の各色ドットによって幅広い自然色の
表現が可能である理由は、単位面積当たりに形成する各
色ドットの個数を増減させることで、記録媒体上で各色
ドットが占める面積を変化させ、色彩学にいう減法混色
の原理を用いて種々の色を表現しているからである。
【0003】ところが、カラープリンタの製造上のばら
つきによって、記録媒体上に形成されるドットの大きさ
は、設計時に想定されている大きさと異なる場合があ
る。例えば、インクジェット方式と呼ばれる、各色のイ
ンク滴を吐出して記録媒体上にインクドットを形成する
方式では、インク吐出用のノズルの製造誤差によりイン
ク滴の大きさがばらつき、設計状態とは異なる大きさの
ドットが形成される場合がある。また、熱転写方式と呼
ばれる、発熱体に通電しインクリボン上のインクを記録
媒体に転写してドットを形成する方式では、インクリボ
ンや発熱体の製造誤差によりドットの大きさにばらつき
が生じ得る。
【0004】形成されるドットの大きさがばらついて、
各色のドットが占める面積が設計時に想定されている面
積と異なってくると、正確な色を表現することができな
くなる。例えば、シアン色ドットが大きめに、マゼンタ
色ドットが小さめにばらつく場合等のように、各色間で
のドットのばらつき方が異なれば、印刷される色相は目
標とする色とは違ったものとなる。また、各色ドット間
のばらつき方に違いがない場合でも、シアン色・マゼン
タ色・イエロ色ドットが共に大きめにばらつけば暗い
(明度が低い)色が印刷され、小さめにばらつけば明る
い(明度が高い)色が印刷される。このように正確な色
を表現することができなければ、高画質の画像を印刷す
ることはできない。
【0005】このような問題を回避するためには、カラ
ープリンタが形成する全色のドットについて、設計時に
想定した大きさと実際に形成される大きさとの違いを補
正しておく必要がある。補正方法には種々のものが存在
するが、結局それらの方法では、ドット形成時のインク
使用量を調整している。例えば、形成されるドットが設
計時に想定した大きさとなるように、実際にドットの大
きさを調整する場合は、ドットの大きさを変えるために
インク使用量を変化させる。すなわち、インクジェット
方式ではインク吐出量を増減させることにより、熱転写
方式ではインク転写量を増減させることにより、ドット
の大きさを変化させる。また、ドットの大きさ自体は変
えないが、単位面積あたりに形成するドットの個数を変
えることでドットの大きさを間接的に調整する場合は、
ドット個数が変化することによりインク使用量も変化し
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、カラープリン
タが使用する全色のインクについて、ドット形成時のイ
ンク使用量を補正する作業には多大な労力が必要である
という問題がある。すなわち、インク使用量を補正する
ためには、何らかの方法を用いて各色ドットのばらつき
量を調べなければらない。ばらつき量を知るためには、
通常、各色毎に印刷した画像を測色したり、また、イン
クジェット方式であれば各色インク毎にインク吐出重量
を計測する等の、手間のかかる作業が必要となる。更に
これら計測値に基づいてインク使用量を補正するために
は、カラープリンタ本体の調整を要したり、またはプリ
ンタを制御するためのデータを変更しなければならな
い。そのため、カラープリンタが使用する全色のインク
について、インク使用量を調整する作業は非常に手間の
かかる作業となるのである。
【0007】とはいえ、このような調整を特殊な装置等
を用いずに一般消費者が行うのは困難であるため、カラ
ープリンタの出荷前に、全色のインクについてインク使
用量を調整しておかなければ一般消費者が高画質の画像
を印刷することは難しい。
【0008】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、カラープリンタ
の出荷前に各色インクのばらつきを調整する労力を軽減
させながら、なおかつ一般消費者が高画質な画像の印刷
を可能とする技術の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明のイ
ンク使用量の調整方法は、次の構成を採用した。すなわ
ち、本発明の調整方法は、記録媒体上に各色インクのド
ットを形成して幅広い自然色で表現された画像を印刷す
る印刷装置の、該ドット形成時のインク使用量を調整す
る方法であって、ドット形成時のインク使用量が第1の
精度を有する前記各色インクの中から、基準インクとし
て少なくとも1つのインクを選択し、該選択された基準
インクの前記インク使用量を、より高い精度を有する第
2の精度に予め調整しておき、前記基準インクを含む前
記各色インクを用いて、前記記録媒体上に無彩色の画像
が印刷されるべき条件で所定の画像を形成し、該形成さ
れた画像の色相に基づき、前記第1の精度を有する各色
インクの中から前記インク使用量の補正を要するインク
を検出し、該検出したインクについて、ドット形成時の
インク使用量を調整することを要旨とする。
【0010】かかるインク使用量の調整方法において
は、各色インクと基準インクとを用いて無彩色の画像を
印刷すべき条件で、記録媒体上に所定の画像を形成す
る。該形成された画像の色相に基づき、前記第1の精度
を有する各色インクの中からインク使用量の補正が必要
なインクを検出し、検出したインクについてはインク使
用量を補正する。このような手続を繰り返すことによ
り、各色インクのインク使用量の精度を基準インクに相
当する精度まで調整することができ、そのための特殊な
装置や熟練などの必要がない。従って、基準インクのイ
ンク使用量を予め精度良く調整しておけば、他の各色イ
ンクについては基準インクより荒い精度で調整しておい
たとしても、一般消費者が各色インクの精度を基準イン
ク相当まで調整することができる。その結果、印刷装置
の出荷前にインクドットの大きさを調整する労力を軽減
しながら、一般消費者が高画質の画像を印刷することが
可能となる。
【0011】また、上記調整方法に対応する本発明の印
刷装置は、次の構成を採用した。すなわち、本発明の印
刷装置は、記録媒体上に各色インクのドットを形成し
て、幅広い自然で表現された画像を印刷可能な印刷装置
であって、前記各色インクでドットを形成する際のイン
ク使用量が、第1の精度である第1のドット形成手段
と、前記インク使用量を、該第1の精度より高い精度の
第2の精度に調整した第2のドット形成手段と、前記第
1および第2のドット形成手段により無彩色の画像が印
刷されるべき条件で、前記記録媒体上に所定の画像を形
成する無彩色画像形成手段と、該形成された画像の色相
に基づいて前記インク使用量の補正を要すると判断され
た前記第1のドット形成手段については、該ドット形成
手段の前記インク使用量を調整するインク使用量調整手
段とを備えることを要旨とする。
【0012】かかる調整方法によりインク使用量が調整
される印刷装置おいては、第1のドット形成手段と第2
のドット形成手段により無彩色の画像を印刷すべき条件
で、記録媒体上に各色のインクドットを形成し所定の画
像を印刷する。該印刷された画像の色相に基づいて、第
1のドット形成手段の中からインク使用量の補正が必要
なドット形成手段を判断し、該第1のドット形成手段の
インク使用量を補正する。このような手続を繰り返すこ
とにより、第1のドット形成手段のインク使用量の精度
を第2のドット形成手段に相当する精度まで調整するこ
とができ、そのための特殊な装置や熟練などの必要がな
い。従って、第2のドット形成手段のインク使用量を予
め精度良く調整しておけば、第1のドット形成手段につ
いては荒い精度で調整しておいたとしても、一般消費者
が第2のドット形成手段に相当する精度まで調整するこ
とができる。その結果、印刷装置の出荷前にドット形成
手段のインク使用量を調整する労力を軽減しながら、一
般消費者が高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0013】かかるインク使用量の調整方法は、互いに
色相が同一で明度の異なる同色系インクが複数使用され
る印刷装置において、それら同色系インクの調整に適用
することも可能である。すなわち、そのような同色系イ
ンクの中から少なくとも1つのインクを基準インクとし
て選択し、該基準インクのインク使用量を第2の精度で
調整しておく。無彩色の画像を形成する代わりに、第1
の精度を有する同色系インクによる所定の画像と、第2
の精度に調整した基準インクによる所定の画像とを、そ
れら画像の明度が互いに等しくなるべき条件で記録媒体
上に形成する。形成された各画像の明度を比較すること
によって前記第1の精度を有する同色系インクのインク
使用量を補正する。こうすれば、同色系インクの中の基
準インクについてインク使用量を精度良く調整しておく
だけで、他の同色系インクについてもインク使用量の精
度を基準インクに相当する精度まで、一般消費者が調整
することができる。その結果、高画質の印刷を可能とし
たまま、印刷装置の出荷前にインク使用量を調整する労
力を軽減することが可能となる。
【0014】また、かかるインク使用量の調整方法は、
大きさの異なるドットの形成が可能な印刷装置におい
て、大きさの異なるドット間の調整に適用することも可
能である。すなわち、基準インクで形成される各種大き
さのドットの中の少なくとも1つのドットについて、該
ドット形成時のインク使用量を第2の精度で調整してお
く。無彩色の画像を形成する代わりに、第2の精度に調
整されたドットによる基準インクの画像と、第1の精度
を有するドットによる基準インクの画像とを、それら画
像の明度が互いに等しくなるべき条件で記録媒体上に形
成する。形成された各画像の明度を比較することによっ
て前記第1の精度を有するドットのインク使用量を補正
する。こうすれば、基準インクの中の少なくとも1つの
大きさのドットについてインク使用量を精度良く調整し
ておくだけで、基準インクの他の大きさのドットについ
ても相当する精度まで、インク使用量を一般消費者が調
整することができる。その結果、出荷前にインク使用量
を調整する労力を軽減したにもかかわらず、一般消費者
が高画質の画像を印刷することが可能となる。
【0015】かかるインク使用量の調整方法において
は、各色インクの中からイエロインクを基準インクとし
て選択することも好適である。イエロインクは次の理由
から濃度の低いインクを使用する必要性は乏しく、通常
は1つのイエロインクで低濃度から高濃度まで広い濃度
範囲を表現している。すなわち、イエロインクは明度の
高い(明るい)インクであるため、他色インクに比較し
てインクドットが目立ちにくい特性がある。従って通常
のイエロインクに加えて濃度の低いイエロインクを使用
して、粒状感の悪化による画質の低下を回避する必要性
は、他色インクよりも乏しい。このことから、イエロイ
ンクのインク使用量を精度良く調整しておけば、一般消
費者は広い濃度範囲で精度良く調整されたイエロインク
を基準に使用することができ、他色インクを精度良く調
整することが容易となる。
【0016】また、かかるインク使用量の調整方法にお
いては、各色インクの中からブラックインクを基準イン
クとして選択することも好ましい。イエロインクと同様
に、ブラックインクも通常は1つのインクで低濃度から
高濃度まで広い濃度範囲を表現しているので、ブラック
インクのインク使用量を精度良く調整しておけば、一般
消費者が他色インクを精度良く調整することが容易とな
る。
【0017】この発明は、以下のような態様も含んでい
る。すなわち、請求項1記載のインク使用量の調整方法
を実現するプログラムを記録した記録媒体であって、前
記ドット形成時のインク使用量が前記第1の精度を有す
る前記各色インクと、前記第2の精度を有する基準イン
クとを用いて、前記記録媒体上に無彩色の画像が印刷さ
れるべき条件で所定の画像を形成する機能と、前記補正
を要すると判断された各色インクについて、前記インク
使用量を補正する機能とを実現するプログラムを、コン
ピュータで読み取り可能に記録した記録媒体としての態
様である。
【0018】かかる記録媒体に記憶されたプログラムが
コンピュータに読み込まれると、該コンピュータは、第
1の精度を有する各色インクと第2の精度を有する基準
インクとを用いて、記録媒体上に無彩色の画像が印刷さ
れるべき条件で所定の画像を形成する。該形成された画
像の色相から補正を要する各色インクを判断すると、該
各色インクのインク使用量を該コンピュータを用いて補
正する。このような手順を繰り返すことにより、各色イ
ンクの中の少なくとも1つのインクについてインク使用
量を精度良く調整しておくだけで、一般消費者が各色イ
ンクのインク使用量も相当する精度まで調整することが
できる。その結果、出荷前にインク使用量を調整する労
力を軽減しながら、一般消費者が高画質の画像を印刷す
ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】A.装置の構成 本発明の実施の形態を、実施例に基づいて説明する。図
1は、本発明の実施例において使用される印刷装置の構
成を示す説明図である。図示するように、この印刷装置
は、コンピュータ80にカラースキャナ21とカラープ
リンタ20とが接続されており、コンピュータ80に所
定のプログラムがロードされ実行されることによって、
全体として印刷装置として機能する。印刷しようとする
カラー原稿は、カラースキャナ21でコンピュータ80
が認識可能なカラー画像データORGに変換された後、
コンピュータ80に入力される。コンピュータ80は、
所定の画像処理を行って、カラー画像データORGをプ
リンタで印刷可能な画像データに変換し、カラープリン
タ20に出力する。コンピュータ80が扱う画像データ
には、カラースキャナ21で取り込んだ画像の他に、コ
ンピュータ80上で各種のアプリケーションプログラム
91により作成した画像や、カラースキャナ21から取
り込んだ画像に加工を加えた画像等も用いられる。これ
ら画像データの変換結果は、プリンタで印刷可能な画像
データFNLとして、カラープリンタ20に出力され、
この画像データFNLに従って、カラープリンタ20は
印刷用紙上に各色のインクドットを形成する。この結
果、コンピュータ80から出力されたカラー画像データ
に対応したカラー画像が、印刷用紙上に得られることに
なる。
【0020】コンピュータ80は、各種の演算処理を実
行するCPU81・ROM82・RAM83・入力イン
ターフェース84・出力インターフェース85・CRT
コントローラ(CRTC)86・ディスクコントローラ
(DDC)87・シリアル入出力インターフェース(S
IO)88等から構成されており、これらはバス89で
接続されて相互にデータのやり取りが可能となってい
る。CRTC86はカラー表示可能なCRT23への信
号出力を制御し、DDC87はフレキシブルディスクド
ライブ25やハードディスク26あるいは図示しないC
D−ROMドライブ等とのデータのやり取りを制御す
る。ROM82やハードディスク26には、RAM83
にロードされCPU81で実行される各種のプログラム
や、デバイスドライバの形式で提供される各種のプログ
ラムが記憶されている。また、SIO88をモデム24
を経由して公衆電話回線PNTに接続すれば、外部のネ
ットワーク上にあるサーバSVから必要なデータやプロ
グラムをハードディスク26にダウンロードすることが
可能となる。
【0021】コンピュータ80に電源を投入すると、R
OM82およびハードディスク26に記憶されていたオ
ペレーティングシステムが起動し、オペレーティングシ
ステムの管理の下で、各種アプリケーションプログラム
91が動くようになっている。
【0022】カラープリンタ20は、カラー画像の印刷
が可能なプリンタであり、本実施例では、印刷用紙上に
シアン・ライトシアン(薄いシアン)・マゼンタ・ライ
トマゼンタ(薄いマゼンタ)・イエロ・ブラックの合計
6色のインクを吐出することによってカラー画像を印刷
するインクジェットプリンタを使用している。但し、本
発明はインクを吐出してドットを形成するカラープリン
タに限定されるものではなく、例えば昇華型あるい溶融
型の熱転写方式でドットを形成するカラープリンタであ
っても構わない。また、本実施例で使用したインクジェ
ットプリンタのインク吐出方式は、後述するようにピエ
ゾ素子PEを用いる方式を採用しているが、他の方式に
よりインクを吐出するヘッドを備えたプリンタを用いる
ものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒー
タに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によ
ってインクを吐出する方式のプリンタに適用するものと
してもよい。
【0023】また、本実施例のカラープリンタ20はバ
リアブルドットプリンタ、すなわち大きさの異なる大・
中・小の3種類のドットを、各色毎に形成することが可
能なプリンタである。バリアブルドットプリンタを使用
して、形成するドットの大きさを変えれば、ドット毎に
多値の階調を表現することが可能となるので、豊かな階
調表現の画像を印刷することができる。尚、本実施例の
カラープリンタ20は、インクの吐出方法を工夫するこ
とによって、単一のインク吐出ノズルを用いて3種類の
大きさのドットを形成している。かかるインクの吐出方
法については後述する。また、インク吐出方法の説明か
ら明らかな通り、ドットの大きさは3種類に限られるも
のではなく、必要に応じて更に多種類のドットを形成す
るものであっても構わない。
【0024】図2は、本印刷装置のソフトウェアの構成
を概念的に示すブロック図である。コンピュータ80に
おいては、すべてのアプリケーションプログラム91は
オペレーティングシステムの下で動作する。オペレーテ
ィングシステムには、ビデオドライバ90やプリンタド
ライバ92が組み込まれていて、各アプリケーションプ
ログラム91から出力される画像データは、これらのド
ライバを介して、カラープリンタ20に出力される。画
像の加工を行うレタッチ等のアプリケーションプログラ
ム91は、カラースキャナ21から取り込んだ画像をビ
デオドライバ90を介してCRT23に表示させ、画像
を確認しながら所定の加工を行うことができる。
【0025】アプリケーションプログラム91が印刷命
令を発すると、コンピュータ80のプリンタドライバ9
2は、アプリケーションプログラム91から画像データ
を受け取って所定の画像処理を行い、プリンタが印刷可
能な画像データに変換する。図2に概念的に示すように
プリンタドライバ92が行う画像処理は、解像度変換モ
ジュール93と、色変換モジュール94と、ハーフトー
ンモジュール95と,インターレースモジュール96の
大きく4つのモジュールから構成されている。各モジュ
ールで行う画像処理の内容は後述するが、プリンタドラ
イバ92が受け取った画像データはこれらモジュールで
変換された後、最終的な画像データFNLとしてカラー
プリンタ20に出力される。尚、本実施例のカラープリ
ンタ20は、画像データFNLに従ってドットを形成す
る役割を果たすのみであり画像処理は行っていないが、
もちろん、カラープリンタ20で画像変換の一部を行う
ものであってもよい。
【0026】図3に、本実施例のカラープリンタ20の
概略構成を示す。このカラープリンタ20は、図示する
ように、キャリッジ40に搭載された印字ヘッド41を
駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、
このキャリッジ40をキャリッジモータ30によってプ
ラテン36の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモー
タ35によって印刷用紙Pを搬送する機構と、制御回路
60とから構成されている。キャリッジ40をプラテン
36の軸方向に往復動させる機構は、プラテン36の軸
と並行に架設されたキャリッジ40を摺動可能に保持す
る摺動軸33と、キャリッジモータ30との間に無端の
駆動ベルト31を張設するプーリ32と、キャリッジ4
0の原点位置を検出する位置検出センサ34等から構成
されている。印刷用紙Pを搬送する機構は、プラテン3
6と、プラテン36を回転させる紙送りモータ35と、
図示しない給紙補助ローラと、紙送りモータ35の回転
をプラテン36および給紙補助ローラに伝えるギヤトレ
イン(図示省略)とから構成されている。制御回路60
は、プリンタの操作パネル59と信号をやり取りしつ
つ、紙送りモータ35やキャリッジモータ30、印字ヘ
ッド41の動きを適切に制御している。カラープリンタ
20に供給された印刷用紙Pは、プラテン36と給紙補
助ローラの間に挟み込まれるようにセットされ、プラテ
ン36の回転角度に応じて所定量だけ送られる。
【0027】キャリッジ40には黒(K)インクを収納
するインクカートリッジ42と、シアン(C1)・ライ
トシアン(LC)・マゼンタ(M1)・ライトマゼンタ
(LM)・イエロ(Y1)の合計5色のインクを収納す
るインクカートリッジ43とが装着されている。もちろ
ん、KインクとLCインク・LMインクとを同じインク
カートリッジに収納したり、KインクとYインクとを同
じインクカートリッジに収納させる等してもよい。複数
のインクを1つのカートリッジに収納可能とすれば、イ
ンクカートリッジをコンパクトに構成することができ
る。キャリッジ40の下部にある印字ヘッド41には、
K・C・M・Y・LC・LMの各インクに対して、イン
ク吐出用ヘッド44・45・46・47・48・49が
それぞれ形成されている。キャリッジ40の底部には図
示しない導入管が各インク毎に立設されており、キャリ
ッジ40にインクカートリッジを装着すると、カートリ
ッジ内の各インクは導入管を通じて、それぞれのインク
吐出用ヘッド44ないし49に供給される。各ヘッドに
供給されたインクは、以下に説明する方法によって印字
ヘッド41から吐出され、印刷用紙上にドットを形成す
る。
【0028】図4(a)は各色ヘッドの内部構造を示し
た説明図である。各色のインク吐出用ヘッド44ないし
49には、各色毎に48個のノズルNzが設けられてい
て、各ノズルには、インク通路50とその通路上にピエ
ゾ素子PEが設けられている。ピエゾ素子PEは周知の
ように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速
に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施
例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所
定時間幅の電圧を印可することにより、図4(b)に示
すようにピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、
インク通路50の一側壁を変形させる。この結果、イン
ク通路50の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて伸縮
し、この収縮分に相当するインクが粒子Ipとなってノ
ズルNzから高速で吐出される。このインクIpがプラ
テン36に装着された印刷用紙Pに染み込むことによ
り、印刷用紙Pの上にドットが形成される。
【0029】図5は、インク吐出用ヘッド44ないし4
9におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明
図である。図示するように、インク吐出用ヘッドの底面
には、各色毎のインクを吐出する6組のノズルアレイが
形成されており、1組のノズルアレイ当たり48個のノ
ズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されて
いる。尚、各ノズルアレイに含まれる48個のノズルN
zは千鳥状に配列されている必要はなく、一直線上に配
列されていてもよい。ただし、図5(a)に示すように
千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく
設定し易いという利点がある。
【0030】図5に示すように、各色のインク吐出用ヘ
ッド44ないし49は、キャリッジ40の搬送方向にヘ
ッドの位置がずれている。また、各色ヘッド毎のノズル
に関しても、ノズルが千鳥状に配置されている関係上、
キャリッジ40の搬送方向に位置がずれている。カラー
プリンタ20の制御回路60は、キャリッジ40を搬送
しながらノズルを駆動する際に、ノズルの位置の違いに
よるヘッド駆動タイミングの違いを考慮しながら、適し
たタイミングでそれぞれのヘッドを駆動している。
【0031】本実施例のカラープリンタ20は、図5に
示したように一定径のノズルNzを備えているが、かか
るノズルNzを用いて互いに大きさの異なる3種類のド
ットを形成することができる。以下にこの原理について
説明する。図6は、インクが吐出される際のノズルNz
の駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を示した説
明図である。図6において破線で示した駆動波形が通常
のドットを吐出する際の波形である。区間d2において
一旦、基準電圧よりも低い電圧をピエゾ素子PEに印加
すると、先に図4で説明したのとは逆にインク通路50
の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形する。
ノズルへのインクの供給速度には限界があるため、イン
ク通路50の拡大に対してインクの供給量が不足し、図
6の状態Aに示した通り、インク界面MeはノズルNz
の内側にへこんだ状態となる。また、図6の実線で示す
駆動波形を用いて区間d1に示すように電圧を急激に低
くすると、インクの供給量が更に不足して、状態aで示
すように状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態とな
る。
【0032】次に、ピエゾ素子PEに高い電圧を印加す
ると(区間d3)、インク通路50の断面積の減少によ
り通路内のインクが圧縮され、インク滴がインクノズル
から吐出される。このとき、インク供給量が不足してい
ると吐出されるインク滴も小さくなる。従って、インク
界面があまり内側にへこんでいない状態(状態A)から
は、状態Bおよび状態Cに示すごとく大きなインク滴が
吐出され、インク界面が大きくへこんだ状態(状態a)
からは状態bおよび状態cに示すごとく小さなインク滴
が吐出される。このように、駆動電圧を低くする際(区
間d1,d2)の変化率を変えれば、形成されるドット
の大きさを変化させることができる。
【0033】カラープリンタ20は、2種類の駆動波形
を連続的に出力する。この様子を図7に示した。電圧を
低くする際の変化率を比べれば、駆動波形W1とW2
は、それぞれ小さなインク滴Ipsと大きなインク滴I
pmとに対応していることが分かる。キャリッジ40が
主走査方向に移動しながら、駆動波形W1を出力し、次
いで駆動波形W2を出力する場合を考える。駆動波形W
1により吐出される小さなインク滴Ipsは飛翔速度が
比較的小さく、駆動波形W2により吐出される大きなイ
ンク滴Ipmは飛翔速度が大きいので、吐出されてから
印刷用紙に到着するまでの所要時間は、小さなインク滴
Ipsの方が長くなる。当然、インクの吐出位置から印
刷用紙に到着した位置の主走査方向へ移動距離も、小さ
なインク滴Ipsの方が大きなインク滴Ipmより長く
なる。従って、駆動波形W1と駆動波形W2のタイミン
グを調節すれば、図7に示すように、小さなインク滴I
psと大きなインク滴Ipmとを同一画素に吐出するこ
とが可能となる。
【0034】本実施例のカラープリンタ20では、駆動
波形W1のみをピエゾ素子PEに供給することによって
小さなドットを、駆動波形W2のみをピエゾ素子PEに
供給することによって中ドットを、駆動波形W1とW2
をともに供給し、2つのインク滴を同一画素に吐出する
ことによって大ドットを形成している。もちろん、駆動
波形の種類を増やすことによって、更に多種類の大きさ
のドットを形成することも可能である。
【0035】図8は、カラープリンタ20の制御回路6
0の内部構成を示す説明図である。図示するように、制
御回路60の内部には、CPU61・PROM62・R
AM63・コンピュータ80とのデータのやり取りを行
うPCインターフェース64・紙送りモータ35やキャ
リッジモータ30等とデータのやり取りを行う周辺機器
入出力部(PIO)65・タイマ66・駆動バッファ6
7等が設けられている。駆動バッファ67は、インク吐
出用ヘッド44ないし49にドットのオン・オフ信号を
供給するバッファとして使用される。これらは互いにバ
ス68で接続され、相互にデータにやり取りが可能とな
っている。また、制御回路60には、所定周波数で駆動
波形を出力する発振器70、および発振器70からの出
力をインク吐出用ヘッド44ないし49に所定のタイミ
ングで分配する分配出力器69も設けられている。
【0036】図8に示す構成を有する制御回路60は、
コンピュータ80から画像データFNLを受け取ると、
ドットのオン・オフ信号を一時RAM63に蓄える。C
PU61は、紙送りモータ35やキャリッジモータ30
の動きと同期を採りながら、所定のタイミングでドット
データを駆動バッファ67に出力する。
【0037】次に、CPU61が駆動バッファ67にド
ットのオン・オフ信号を出力することによって、ドット
が吐出されるメカニズムについて説明する。図9は、イ
ンク吐出用ヘッド44ないし49の1つのノズル列を例
にとって、その接続を示す説明図である。インク吐出用
ヘッド44ないし49のノズル列は、駆動バッファ67
をソース側とし、分配出力器69をシンク側とする回路
に介装されており、ノズル列を構成する各ピエゾ素子P
Eは、その電極の一方が駆動バッファ67の各出力端子
に、他方が一括して分配出力器69の出力端子に、それ
ぞれ接続されている。分配出力器69からは、図9に示
す通り、発振器70の駆動波形が出力されている。CP
U41が駆動バッファ67に、各ノズル毎のドットのオ
ン・オフ信号を出力すると、オン信号を受け取ったピエ
ゾ素子PEだけが駆動波形によって駆動される。この結
果、駆動バッファ67からオン信号を受け取っていたピ
エゾ素子PEのノズルから一斉にインク粒子Ipが吐出
される。
【0038】以上のようなハードウェア構成を有するカ
ラープリンタ20は、キャリッジモータ30を駆動する
ことによって、各色のインク吐出用ヘッド44ないし4
9を印刷用紙Pに対して主走査方向に移動させ、また紙
送りモータ35を駆動することによって、印刷用紙Pを
副走査方向に移動させる。制御回路60の制御の下、キ
ャリッジ40の主走査および副走査を繰り返しながら、
適切なタイミングで印字ヘッド41を駆動することによ
って、カラープリンタ20は印刷用紙上にカラー画像を
印刷している。
【0039】B.画像処理の概要 上述のように、カラープリンタ20は、画像データFN
Lの供給を受けてカラー画像を印刷する機能を有する
が、画像データFNLは、コンピュータ80がカラー画
像に所定の画像処理を行って生成する。図10はコンピ
ュータ80のプリンタドライバ92内で、CPU81が
行う画像処理の概要を示すフローチャートである。以
下、同図に従って、画像処理の概要を説明する。
【0040】画像処理を開始するとCPU81は、画像
データを入力する(ステップS100)。この画像デー
タは図2で説明したようにアプリケーションプログラム
91から供給されるデータであり、画像を構成する各画
素毎にR・G・Bそれぞれの色について、0〜255の
値の256階調を有するデータである。この画像データ
の解像度は、原画像のデータORGの解像度等に応じて
変化する。
【0041】CPU81は、入力された画像データの解
像度をカラープリンタ20が印刷するための解像度に変
換する(ステップS102)。画像データの解像度が印
刷解像度よりも低い場合には、線形補間により隣接する
原画像データの間に新たなデータを生成することで解像
度変換を行う。逆に画像データの解像度が印刷解像度よ
りも高い場合には、一定の割合でデータを間引くことに
より解像度変換を行う。
【0042】次に、CPU81は色変換処理を行う(ス
テップS104)。色変換処理とはR・G・Bの階調値
からなる画像データをカラープリンタ20で使用するC
・M・Y等の各色の階調値のデータに変換する処理であ
る。この処理は、色変換テーブルLUTを用いて行われ
ており(図2参照)、LUTにはR・G・Bのそれぞれ
の組合せからなる色をカラープリンタ20で表現するた
めのC・M・Y・K・LC・LMの組合せが記憶されて
いる。色変換テーブルを用いて色変換を行う処理自体に
ついては、公知の種々の技術が適用可能であり、例えば
補間演算による処理が適用できる。
【0043】色変換処理を終了すると階調数変換処理を
開始する(ステップS106)。本実施例においては、
色変換後の画像データはC・M・Y・K・LC・LMの
6色の256階調画像となっている。一方、本実施例の
カラープリンタ20では、「ドットを形成しない」、
「小ドットを形成する」、「中ドットを形成する」、
「大ドットを形成する」の合計4つの状態しか採り得な
い。従って、256階調を有する画像を、カラープリン
タ20が表現できる4階調で表現された画像に変換する
必要がある。このような変換を行う処理が階調数変換処
理である。すなわち、記録媒体上で大・中・小の各ドッ
トの形成され易さを、原画像の階調値に応じて変化させ
ることによって、原画像の256階調をカラープリンタ
20が表現可能な4階調値で表現するのである。図11
は、原画像の階調値に応じて、大・中・小の各ドットの
ドット記録率が変化していく様子を示す説明図である。
ドット記録率とは、ある階調値のベタ領域を印刷する際
に該領域内の画素に対してドットが形成される割合をい
う。実際には、コンピュータ80のRAM83には、図
11のように、階調値に対するドット記録率を各大きさ
のドット毎に記録したテーブル(ドット記録率テーブ
ル)が記憶されていて、原画像の階調値に対して、ドッ
ト記録率テーブルに記憶されている割合でドットが形成
されるように、階調数変換処理を行っている。
【0044】CPU81は階調数変換処理を終了する
と、インターレース処理を開始する(ステップS10
8)。この処理は、階調数変換処理によってドットの形
成有無を表す形式に変換された画像データを、カラープ
リンタ20に転送すべき順序に並べ替える処理である。
すなわち、前述のようにカラープリンタ20は、キャリ
ッジ40の主走査と副走査を繰り返しながら、印字ヘッ
ド41を駆動して印刷用紙Pの上にドット列(ラスタ)
を形成していく。図4を用いて説明したように、各色毎
のインク吐出用ヘッド44ないし49には、複数のノズ
ルNzが設けられているので、1回の主走査で複数本の
ラスタを形成することができる。それらラスタは互いに
ノズルピッチkだけ離れている。ノズルピッチkはでき
るだけ小さな値とすることが望ましいが、ヘッド製造の
都合上、ノズルピッチkを画素の間隔(ノズルピッチk
が1の場合に相当)まで小さくすることは困難である。
その結果、画素間隔で並ぶラスタを形成するには、ま
ず、ノズルピッチkだけ離れた複数のラスタを形成し、
次にヘッド位置を少しずらして、ラスタの間に新たなラ
スタを形成していくといった制御が必要となる。
【0045】また、印刷画質を向上させるために、1本
のラスタを複数回の主走査に分けて形成したり、更には
印刷時間を短縮するために、主走査の往動時と復動時の
それぞれでドットを形成するといった制御も行われる。
これらの制御を行うと、カラープリンタ20が実際にド
ットを形成する順序は、画像データ上で画素の順序と異
なった順序となるので、インターレース処理において画
像データの並べ替えを行うのである。
【0046】インターレース処理が終了すると、画像デ
ータはプリンタが印刷可能な画像データFNLとして、
カラープリンタ20に出力される(ステップS11
0)。
【0047】C.基準インクの調整 以上説明してきたカラープリンタ20は、C・M・Y・
LC・LM・Kのそれぞれのインクについて、大・中・
小の各大きさのドットを形成するが、インクを吐出する
ノズルの製造上のばらつき等により、それぞれのドット
の大きさは設計時に想定されている大きさとは異なって
いる場合がある。設計状態の大きさでドットが形成され
なければ、記録媒体上に正確な色を表現することができ
ないので、ドットの大きさを調整しておかなければなら
ない。
【0048】実際に形成されるドットの大きさと設計時
に想定された大きさとのズレ量は、各色毎に異なり、更
にはドットの大きさ毎にも異なる場合があると考えられ
るが、本実施例のカラープリンタ20では調整に要する
労力を軽減するために、Yインクの中ドットの大きさの
みを調整している。
【0049】ドットの大きさの調整は次のように、イン
ク重量を計測することにより行う。すなわち、Yインク
を吐出するインク吐出用ヘッド47を駆動して、中ドッ
ト形成用のインク滴Ipm(図6参照)を吐出させ、所
定時間内に吐出されるインク重量を計測する。計測した
インク重量と設計値とを比較することにより、Yインク
の中ドット全体として設計状態からのズレ量を定量的に
知ることができる。もちろん、Yインクを吐出する個々
のノズル間にもばらつきが存在するが、前述のインター
レース処理を行うこともあり、実際にはノズル間のばら
つきを問題とする必要はなく、全体としてのばらつきが
分かれば十分である。
【0050】尚、本実施例ではインク吐出重量を計測す
ることによって、設計状態からのズレ量を計測している
が、実際に印刷したYインクの画像を測色計によって計
測し、設計状態の色との測色値の差として、ズレ量を計
測しても構わない。
【0051】Yインクの中ドット全体としてのズレ量が
分かったら、ズレ量に応じてピエゾ素子PEの駆動波形
(図7参照)を修正する。すなわち、インクを吸い込む
ために負電圧を加える傾きやインクを吐出するために加
える最高電圧の値等を変更して、吐出されるインク滴の
大きさを調整するのである。
【0052】駆動波形を調整する原理について、図12
を用いて簡単に説明する。図12は発振器70(図8参
照)が所定の駆動信号を発生させる様子を概念的に説明
した説明図である。図12(a)に示すように、発振器
70は、4つの抵抗R1・R2・R3・R4と4つのス
イッチング素子S1・S2・S3・S4とを用いて1つ
の回路を構成し、この回路の中央から電圧を取り出して
コンデンサC1を接続したような構成となっている。ス
イッチング素子は、CPU61の制御に従い回路を電気
的に開閉する機能を有する素子であって、カラープリン
タ20ではトランジスタが使用されている。回路の一方
には正電圧が他方には負電圧が印可されていて、発振器
70はCPU61の指示に従って4つのスイッチング素
子を開閉することによって、所定の駆動波形を出力して
いる。以下に、図12(b)を用いて説明する。
【0053】初期状態、すなわちいずれのスイッチング
素子(以下、素子)も開いている(以下、オフ)状態で
は、発振器70の出力端子には電圧は発生しない。素子
S2が閉じる(以下、オン)とコンデンサC1が放電す
るに従って出力端子の電圧が下がり始め、素子S2がオ
フになるまで低下する。この時の電圧の降下速度は抵抗
R2の抵抗値が大きければ緩やかとなり、抵抗値が小さ
ければ急激に低下する。次いで素子S1がオンになると
コンデンサC1が充電されるに従って出力端子の電圧は
上昇し始め、素子S1がオフになるまで上昇する。この
時の電圧上昇速度も、抵抗R1の抵抗値によって決ま
る。再び素子S2をオンにして出力端子の電圧を低下さ
せ、端子電圧が0になったら素子S2をオフにする。発
振器70は、このように素子S1およびS2を所定タイ
ミングで開閉することにより、小ドット形成用の駆動波
形W1を出力している。中ドット用の駆動波形W2も素
子S3とS4を同様に開閉して出力する。抵抗R3とR
4の抵抗値を変更すれば、電圧の降下速度あるいは上昇
速度を変化させることができる。
【0054】以上の説明から明らかなように、スイッチ
ング素子S1ないしS4の開閉タイミングおよび抵抗R
1ないしR4の抵抗値を変更することによって、ピエゾ
素子PEの駆動波形を修正している。
【0055】前述したように、インク吐出重量を計測す
ることによって設計状態からのズレ量が定量的に分かっ
ているので、駆動波形の修正も比較的容易である。すな
わち、スイッチング素子の開閉タイミングや各種の抵抗
値の組合せ毎に、インク吐出重量の変化率が予め実験的
に求められているので、設計状態のインク吐出重量に対
するズレ量の比率を計算し、変化率が一致する条件を選
択して修正すればよい。
【0056】また、図8に示すように、本実施例のカラ
ープリンタ20では発振器70の出力は分配出力器69
を介して各ピエゾ素子PEに供給されている。このた
め、Yインクの中ドット用の駆動波形を修正すると、全
インクの駆動波形が変更されてしまうが、後述するよう
に、Yインクの中ドットを基準として全てのドットを調
整するので実用上の問題は生じない。尚、Yインク専用
の発振器を新たに追加して、Yインクの駆動波形を修正
しても、他色のインクが影響を受けないようにすること
もでき、このようにしてもよいのはもちろんである。
【0057】上述したように、本実施例のカラープリン
タ20では、ピエゾ素子PEの駆動波形を修正して、実
際に吐出されるインク滴の大きさを修正している。しか
し、インク滴の大きさを修正する代わりに、画像処理に
より形成されるドットの密度(単位面積あたりに形成さ
れるドットの個数)を修正するものであっても構わな
い。例えば、計測したインク吐出重量が少ない場合は、
形成されるドットの大きさが設計状態より小さめとなる
から、単位面積当たりのドット数が多めに形成されるよ
うに画像処理の条件を修正する。逆に計測したインク吐
出重量が多い場合は、ドットが少なめに形成されるよう
に修正するのである。
【0058】本実施例のカラープリンタ20は、以上の
方法によってYインクの中ドットの大きさが精度よく調
整された状態で出荷される。他のドットについてはこれ
ほどの精度は確保されていないが、後述する方法を用い
て、一般消費者が他のドットについても容易に精度よく
調整することができるので、高画質の画像を印刷するこ
とができる。尚、Yインクの中ドットに加えて小ドット
や、更には他色のドットを調整しておいてもよく、調整
されたドットの種類が多いほど一般消費者の調整が楽に
なるのはもちろんであるが、反面、出荷前に行う調整作
業の労力が増大する。
【0059】D.各色ドットの調整作業 本実施例のカラープリンタ20は、以下のようにして各
色ドットの大きさを調整することができる。以下に説明
する方法は、何ら特殊な装置や熟練を必要とせず、各色
ドットの大きさを精度よく調整することができる。従っ
て、カラープリンタ20の出荷時には、全てのドットに
ついては大きさが精度よく調整されていなくても、一般
消費者が必要に応じて調整することにより、高画質の画
像を印刷することが可能である。
【0060】図13は、各色ドットを調整する処理の流
れを示すフローチャートである。この作業は、専用のア
プリケーションプログラムを起動させて行う。図13に
示すように、調整作業は大きく4つのステップから構成
されているが、各ステップにおいては、専用アプリケー
ションプログラムからプリンタドライバ92の機能を使
用して実際に画像を印刷しながら、各色ドットの調整作
業を進める。
【0061】専用アプリケーションプログラムを起動さ
せると、初めに、図14に示すような画面がコンピュー
タ80のCRT23上に現れる。図示するように画面上
に4つのステップが表示されており、各ステップは図1
3に示したフローチャートの各ステップと対応してい
る。原則として、図13に示すフローチャートに従って
各ステップの作業を進めるが、図14に示した画面上で
任意のステップを選択することにより直接対応する作業
を行うことも可能となっている。以下では、図13のフ
ローチャートに従って、各ステップの内容を説明する。
【0062】(1)基準インク内の調整 初めに、基準インク内の調整作業を行う(ステップS1
50)。前述したように本実施例のカラープリンタ20
は、Yインクの中ドットの大きさは当初から精度よく調
整されているものの、同じYインクでも小ドットの大き
さは同じ精度では調整されていない。そこで、ステップ
S150においてはYインクの中ドットを基準として、
同じYインクの小ドットの大きさを調整するのである。
【0063】カラープリンタ20は、大・中・小の3種
類のドットを形成することが可能であるが、前述したよ
うに大ドットは、小ドット用のインク滴Ipsと中ドッ
ト用のインク滴Ipmとを同一箇所に吐出することで形
成している。ここでは中ドットの大きさは調整済みであ
るので、小ドットの大きさのみ調整すれば、大ドットの
大きさも自ずから調整されたことになる。尚、本明細書
において基準インクとは、予めドットの大きさが精度よ
く調整されているインクをいう。本実施例では、Yイン
クが基準インクとなる。
【0064】マウス等のポインティングデバイスを使用
して、図14に示す画面上で「基準インク内の調整」を
選択すると、基準インク内の調整作業が開始される。こ
の処理が開始されると、CRT23の画面上には図15
に示す画面が表示され、また、自動的に図16に示すよ
うな画像が印刷される。図16の画像は調整パターンと
呼ばれる画像で、図示するように、基準インク(Yイン
ク)を用いて2つの正方形の画像が印刷されている。左
側の画像は中ドットのみを用いて印刷された階調値Aの
画像で、基準画像と呼ばれる。右側の画像は小ドットの
みを用いて印刷された調整画像と呼ばれる画像である。
調整画像のドット記録率(単位面積あたりのドットの形
成個数)は、もし小ドットの大きさが設計時に想定され
た大きさであれば、階調値Aの画像が印刷されるような
ドット記録率に設定されている。そこで図16のような
調整パターンを印刷して基準画像と調整画像の明度(明
るさ)を比較し、2つの画像の明度が同じになるように
調整画像の明度を調整することにより、小ドットの大き
さのズレを補正するのである。
【0065】図17は、基準インク内の調整作業の流れ
を示すフローチャートである。作業を開始すると初めに
調整パターンを自動的に印刷する(ステップS20
0)。上述のように基準インク内の調整作業は、調整パ
ターンの基準画像と調整画像の明度を比較しながら進め
るので、まず初めに調整パターンを印刷するのである。
次いで選択されたボタンを判断する(ステップS20
2)。すなわち、図15に示した画面上で、「調整パタ
ーン印刷」・「確定」のいずれのボタンが選択されたか
を判断する。「調整パターン印刷」が選択された場合は
調整値を取得し(ステップS204)、調整値に従って
修正された調整パターンを印刷する(ステップS20
6)。この調整値とは、小ドットの大きさをどの程度補
正すればよいかを示す値であり、操作者が図15に示し
たCRT画面から入力した値である。画面に入力する値
は、調整作業の開始と同時に印刷された調整パターンの
基準画像と調整画像とを比較することで操作者が判断す
る。すなわち、基準画像に対して調整画像が暗い(明度
が低い)ようであれば調整画像の調整値として正の値
(例えば+5%等)を入力し、逆に明るければ調整値と
して負の値を入力する。印刷された調整画像を見て、い
かなる調整値で印刷された画像であるかを容易に確認す
ることができるように、調整画像の下側に設定された調
整値が印刷されている(図16参照)。ステップS20
6では、こうして入力された調整値の分だけ調整画像の
明度を調整し、新たな調整パターンを印刷するのであ
る。指定された調整値に従って、明度が修正された調整
画像を印刷しているのは、専用アプリケーションプログ
ラムがプリンタドライバ92の機能を利用して実現して
いるが、これについては後述する。
【0066】操作者は、こうして印刷された新たな調整
パターンの基準画像と調整画像とを比較し、両者の明度
がまだ一定していなければ調整値を修正して、再度「調
整パターン印刷」を選択する。このような作業を繰り返
すことにより、最終的に基準画像と調整画像との明度を
一致させることができる。両者が一致したら、画面上で
「確定」ボタンを選択すると、最終的に入力されている
調整値を取得して(ステップS208)各色ドットの調
整処理に戻る(図13)。
【0067】以上のように、操作者の行う作業は、並ん
で印刷される基準画像と調整画像の明度が一致するまで
何度でも調整画像の明度を調整することであり、何ら熟
練や特殊な装置を必要としない。更に、並んで印刷され
た画像の明度が僅かにでも異なっていれば容易に認識す
ることができるので、正確な調整値を決定することがで
きる。
【0068】(2)各色インク間の調整 図13に示すように、「基準インク内の調整」が終了す
ると「各色インク間の調整」を開始する(ステップS1
60)。既に、「基準インク内の調整」において基準イ
ンク(本実施例ではYインク)の小ドットの大きさが調
整されているので、「各色インク間の調整」ではこれら
を基準として他色インクのドットの大きさを調整する。
【0069】図14に示す画面上で「各色インク間の調
整」を選択すると、各色インク間の調整作業が開始され
る。この処理が開始されると、CRT23の画面上には
図18に示す画面が表示され、また、自動的に図19に
示すような調整パターンが印刷される。各色インク間の
調整作業で使用される調整パターンは、図19に示すよ
うに、4つの正方形a・b・c・dがそれぞれ階調値B
・C・D・Eで印刷された画像であり、各正方形の色相
はおおよそ無彩色となっている。「おおよそ」というの
は、各色ドットの大きさが設計状態であれば無彩色とな
る条件で各画像が印刷されているところを、製造上のば
らつきから各色ドットの大きさが異なるために、印刷画
像をよく見れば完全な無彩色にはなっていないことがあ
り得るからである。また、それぞれの階調値は、図19
に示すように所定のドットの組合せで印刷できるような
値に設定されている。すなわち、階調値Bは「淡Cイン
クの小ドット+淡Mインクの小ドット+Yインクの小ド
ット」の組合せにより、階調値Cは「淡Cインクの中ド
ット+淡Mインクの中ドット+Yインクの中ドット」、
階調値Dは「Cインクの小ドット+Mインクの小ドット
+Yインクの小ドット」、階調値Eは「Cインクの中ド
ット+Mインクの中ドット+Yインクの中ドット」の組
合せによって、それぞれ印刷されるような階調値に設定
されている。
【0070】図19の調整パターンを用いて、各色ドッ
ト間の調整を行う原理は以下のようなものである。例え
ば正方形aは、「淡Cインクの小ドット+淡Mインクの
小ドット+Yインク」の組合せにより印刷されており、
これら各ドットが設計状態通りの大きさとなっていれ
ば、設定通りに無彩色の画像が印刷されるはずである。
ところが製造上のばらつきにより、例えば淡Cインクの
小ドットが大きくなっていれば、印刷画像はシアン色を
帯びた灰色となる。また、淡Cインクの小ドットと淡M
インクの小ドットが共に小さめになっていれば、印刷画
像はイエロ色を帯びた灰色となる。このように、印刷画
像の色相からどのドットを修正しなければならないかを
容易に判断することができる。そこで、ドットの大きさ
を既に精度よく調整済みのYインクの小ドットを基準と
して、正方形aの色相が設定通りに無彩色となるよう
に、淡Cインクの小ドットと淡Mインクの小ドットの大
きさを調整するのである。同様の原理により、正方形b
を用いて淡Cインクの中ドットと淡Mインクの中ドット
を、正方形cを用いてCインクの小ドットとMインクの
小ドットを、正方形dを用いてCインクの中ドットとM
インクの中ドットを調整すれば、最終的にYインクの小
・中ドットを基準に、淡Cインク・淡Mインク・Cイン
ク・Mインクの全てのドットを大きさを調整することが
できる。
【0071】各色インク間の調整作業の流れも、先に図
17のフローチャートを用いて説明した基準インク内の
調整作業の流れとほとんど同じものとなる。以下に、図
17を流用して、各色インク間の調整作業を簡単に説明
する。作業が開始されると、図19の調整パターンが自
動的に印刷される(ステップS200相当)。次いで選
択されたボタンを判断し(ステップS202相当)、
「調整パターン印刷」が選択された場合は、調整値を取
り込んで(ステップS204相当)、修正された調整パ
ターンを印刷する(ステップS206相当)。この調整
値は、図19の調整パターンに印刷された4つの正方形
の色相が無彩色となるように、図18に示す画面上で入
力された値である。図18に示すように、基準インクを
除く各色インクについて、小・中ドットのそれぞれに入
力されている。印刷された調整パターンの画像を確認し
て、4つの正方形が無彩色になっていなければ、図18
の画面上でそれぞれの調整値を修正する。例えば、正方
形cの色相がマゼンタ色を帯びた灰色であった場合を考
える。正方形cは「Cインクの小ドット+Mインクの小
ドット+Yインクの小ドット」を用いて印刷されている
ので、この場合はMインクの小ドットが少し大きめにな
っていると判断できる。また、正方形dの色相がイエロ
色を帯びた灰色となっている場合、Yインクの中ドット
は既に大きさを調整済みであるので、Cインクの中ドッ
トとMインクの中ドットが共に小さめになっていると判
断できる。このような判断に基づいて、図18の画面上
でそれぞれの調整値を入力するのである。
【0072】調整値を修正した後、再び「調整パターン
印刷」を選択すると、これら新たな調整値を取得して
(ステップS204相当)、修正した調整パターンを印
刷する(ステップS206相当)。このような作業を繰
り返すことにより、4つの正方形の色相を全て無彩色に
調整することができる。
【0073】調整パターンに印刷された4つの正方形の
色相が全て無彩色となったら、図18の画面上で「確
定」を選択すると、最終的な調整値を取得して(ステッ
プS208相当)各色ドットの調整処理に戻る(図1
3)。尚、画面上で入力された調整値に従って、修正さ
れた調整パターンを印刷しているのは、専用アプリケー
ションプログラムの機能であるが、これについては後述
する。
【0074】(3)各色インク間の微調整 「各色インク間の調整」作業が終了すると、Yインク・
淡Cインク・Cインク・淡Mインク・Mインクの全ての
インクについて、小ドットと中ドットの大きさが調整さ
れたことになる。しかし、全ての調整は目視によって行
われている関係上、調整結果に誤差が含まれている可能
性も皆無ではない。とはいえ、人間の感覚は敏感で、特
に無彩色の画像を印刷した場合など、各色ドットの大き
さが僅かでもずれていると、無彩色の画像の所々が僅か
に色を帯び、画質の低下を非常に敏感に認識する。そこ
で、「各色インク間の微調整」作業では、広い階調範囲
の無彩色画像を印刷することにより、全てのドットが正
しく調整されていることを確認し、必要があればドット
の大きさを修正する作業を行う。
【0075】図14に示す画面上で「各色インク間の微
調整」を選択すると、各色インク間の微調整作業が開始
され、CRT23には図20に示すような画面が現れ
る。また、図21に示すような調整パターンが自動的に
印刷される。
【0076】各色インク間の微調整に使用される調整パ
ターンは、図21に示すように、11個の正方形aない
しkが一列に印刷された画像であり、個々の正方形の階
調値は、低い値(明るい)から高い値(暗い)に向かっ
て11段階に変化している。各正方形は、それぞれの階
調値において無彩色の色相が表現されるはずの条件で印
刷されていて、各色ドットが正確に調整されていれば全
ての正方形が完全な無彩色で印刷されることになる。図
21の調整パターンの各正方形の階調値は次のような値
に設定されているので、印刷された調整パターンにより
各色ドットが正確に調整されていることを確認するだけ
でなく、正確に調整されていないドットの微調整をする
ことが可能となっている。
【0077】図22は、無彩色のグラデーションパター
ン、すなわち、色相が白色から黒色に自然に移り変わる
ような画像を印刷したときの、各色ドットのドット記録
率(単位面積当たりに形成されるドットの個数)を示し
たものである。図が煩雑化することを避けるために、淡
CインクとCインクのドットを図22(a)に、淡Mイ
ンクとMインクのドットを図22(b)に、Yインクの
ドットを図22(c)に、それぞれ分けて示してある。
図示するように、無彩色の階調値が変化するにつれて各
色ドットの記録率は変化し、それぞれのドット毎に記録
率が最大となる特定の階調値が存在している。例えば、
淡Cインクの小ドットは階調値Fで最大値をとり、淡C
インクの中ドットは階調値Gで最大値をとる。Yインク
の小ドットは階調値Hで最大値を採り、Yインクの中ド
ットは階調値Iで最大値をとる。図21の調整パターン
における各正方形の階調値は、各ドットの記録率がほぼ
最大値となるような階調値、およびその前後の階調値が
選ばれている。例えば、淡Cインクの中ドットは階調値
Gで最大値をとるから階調値Gに加えて、その前後の階
調値Jおよび階調値Kが選択される。
【0078】このように選択された各正方形について、
ドット記録率が最大となるのがいずれのドットであるか
は、調整パターンから容易に知ることができる。すなわ
ち、図21に示すように、調整パターンの下側には各色
インク毎に、小・中ドットの記録率が最大値となる正方
形が表示されている。例えば、淡Cインクは正方形aを
印刷するときに小ドットの記録率が最大となり、正方形
dを印刷することに中ドットの記録率が最大となる。
尚、淡Mインクについても全く同じ記載となっている
が、これは淡Mインクのドット記録率が最大になる階調
値が淡Cインクの記録率が最大になる階調値と正確に一
致していることを示しているのではなく、ほぼ同じ階調
値で最大となることを示しているに過ぎない。
【0079】各色インク間の微調整を開始すると、自動
的に調整パターンが印刷されるので、全ての正方形の色
相が完全な無彩色であることを確認する。全ての正方形
が完全な無彩色で印刷されていれば、各色ドットが正確
に調整されていると判断することができる。
【0080】完全な無彩色でない正方形が存在する場
合、色相がずれている正方形の種類と色相がずれている
方向から、修正すべきドットと修正すべき方向を、次の
ようにして知ることができる。例えば、正方形dが少し
シアン色を帯びているとする。調整パターンの下欄の表
示を見れば、淡Cインクの中ドットが大きめになってい
ると判断することができる。
【0081】図22に示すドット記録率を見れば明らか
なとおり、淡Cインクの中ドットは正方形cおよび正方
形eの印刷の際にも使用されている。従って、正方形d
の色相がシアン色にずれていれば、ズレ量がごく僅かで
ない限りは、両側の正方形の色相もシアン側に偏ってい
るはずである。このように、両側の正方形の色相も見な
がら調整するので、各色ドットの微調整を正確に行うこ
とができる。また、両側の正方形の色相がどの程度ずれ
ているかを参考にして、ドットの修正量をある程度定量
的に推定することができるという利点もある。
【0082】各色インク間の微調整を行う作業も、先に
図17のフローチャートを用いて説明した基準インク内
の調整作業の流れとほとんど同じものとなる。以下に、
図17を流用して、各色インク間の微調整作業をごく簡
単に説明する。作業が開始されると、図21の調整パタ
ーンが自動的に印刷され(ステップS200相当)、次
いで選択されたボタンを判断する(ステップS202相
当)。「調整パターン印刷」が選択された場合は、図2
0の画面上で入力された調整値を取り込んで(ステップ
S204相当)、修正された調整パターンを印刷する
(ステップS206相当)。印刷された調整パターンの
画像を確認して、全ての正方形の色相が無彩色になって
いなければ、図20の画面上で対応するドットの調整値
を修正する。このような作業を繰り返すことにより、全
ての正方形の色相が完全な無彩色になっていることが確
認できたら、図20の画面上で「確定」を選択すると、
最終的な調整値を取得して(ステップS208相当)各
色ドットの調整処理に戻る(図13)。
【0083】各色インク間の微調整が終了すると、専用
アプリケーションプログラムは、インクの吐出量の補正
を行って全ての処理を終了する。ここで説明の都合上、
インク吐出量の補正方法について説明する前に、専用ア
プリケーションプログラムに含まれる「濃淡インク間の
調整」という機能について簡単に説明し、インク吐出量
の補正方法については、その後に説明することにする。
【0084】(4)濃淡インク間の調整 以上に説明してきた実施例ではYインクを基準インクと
しており、Yインクについては、カラープリンタ20は
濃度の異なるインクを使用していない。しかし、例えば
淡Yインクのように濃度の異なるYインクを使用する場
合は皆無ではない。また、基準インクはYインクに限定
されるものではなく、CインクやMインク等のように、
濃度の異なるインクが使用されるようなインクを基準イ
ンクとするものであってもよい。これらのように濃淡イ
ンクの一方が基準インクとなっている場合は、このイン
クを基準に他方の濃淡インクのドットの大きさを調整す
る必要がある。このような調整を行う機能が、「濃淡イ
ンク間の調整」と呼ばれる機能である。
【0085】尚、本実施例のカラープリンタ20のよう
に、濃淡インクのないインクを基準インクとすれば、一
般消費者が濃淡インク間の調整作業を行う必要がなくな
るので便利である。もちろん、例えばCインクと淡Cイ
ンクとを共に調整してから出荷すれば、一般消費者が濃
淡インク間の調整作業を行う必要はなくなるが、出荷前
に2つのインクの調整を行わなければならなくなる。本
実施例のカラープリンタ20は、このような点を考慮し
て濃淡インクのないYインクを基準インクに選択してい
るのである。
【0086】CインクやMインク等のように濃淡インク
が使用されるインクが基準インクとなっている場合は、
カラープリンタ20の出荷時に、専用アプリケーション
プログラム内のプログラムスイッチがセットされる。こ
のような専用アプリケーションプログラムを起動する
と、CRT23上に図23に示すような画面が現れる。
図23を見れば明らかなように、この画面は、プログラ
ムスイッチのセットされていない画面(図14参照)に
対して「STEP2 濃淡インク間の調整」というボタ
ンB1が追加されたような画面となっている。
【0087】図24は、濃淡インク間の調整を含んで各
色ドットの調整を行う場合の、処理全体の流れを示すフ
ローチャートである。以下では淡Cインクの中ドットの
大きさが正確に調整されている(すなわち淡Cインクが
基準インク)ものと仮定して、図24のフローチャート
に従ってそれぞれの作業内容を説明していく。
【0088】初めに行う「基準インク内の調整」作業
(ステップS300)では、予めドットの大きさが正確
に調整されている淡Cインクの中ドットを基準に、淡C
インクの小ドットの大きさを調整する。具体的な内容
は、図13ないし図17を用いて前述した内容とほぼ同
様である。すなわち、前述のYインクを淡Cインクと読
み替えればよい。
【0089】「基準インク内の調整」が終わると「濃淡
インク間の調整」を開始する(ステップS310)。こ
のステップでは、淡Cインクを基準として、Cインクの
インク吐出量を調整する。すなわち、淡CインクとCイ
ンクとは互いに色相が同一で濃度が異なっているだけな
ので、淡Cインクを基準としてCインクを調整すること
が可能である。
【0090】図23に示す画面上で「濃淡インク間の調
整」を選択すると、濃淡インク間の調整作業が開始され
る。この処理が開始されると、CRT23の画面上には
図25に示す画面が表示され、また、自動的に図26に
示すような調整パターンが印刷される。ここでは、淡C
インクの中ドットの大きさが予め精度よく調整されてい
る場合を想定しているので、図26の調整パターンで
は、淡Cインクの中ドットを基準とするCインクの小ド
ットの調整と、調整されたCインクの小ドットを基準と
するCインクの中ドットの調整を行う。すなわち、上段
の左側の画像は淡Cインクの中ドットのみで印刷された
階調値Mの基準画像であり、上段の右側の画像はCイン
クの小ドットのみで印刷された調整画像である。この調
整画像は、Cインクの小ドットの大きさが設計状態通り
であれば階調値Mとなるようなドット記録率に設定され
ているので、調整画像の明度が基準画像の明度と一致す
るように調整値を設定することにより、Cインクの小ド
ットの大きさを調整することができる。
【0091】上段の調整が終わったら、下段の調整を開
始する。下段の左側の画像はCインクの小ドットで印刷
された階調値Nの基準画像であり、下段の右側の画像は
Cインクの中ドットで印刷された調整画像である。上段
の調整によって、Cインクの小ドットの大きさは補正さ
れているので、これを基準として、下段ではCインクの
中ドットの大きさを補正するのである。
【0092】濃淡インク間の調整作業の流れは、先に図
17のフローチャートを用いて説明した基準インク内の
調整作業の流れとほとんど同じものとなる。以下に、図
17を流用して、濃淡インク間の調整作業を簡単に説明
する。作業が開始されると、図26の調整パターンが自
動的に印刷される(ステップS200相当)。次いで選
択されたボタンを判断し(ステップS202相当)、
「調整パターン印刷」が選択された場合は、調整値を取
り込んで(ステップS204相当)、修正された調整パ
ターンを印刷する(ステップS206相当)。この調整
値は、Cインクの小ドットの大きさをどの程度補正すれ
ばよいか、および、Cインクの中ドットの大きさをどの
程度補正すればよいかを示す値である。前述のように、
上段の調整が完了するまでは下段の調整は行えないの
で、下段の調整値には適当な値を入力しておけばよい。
調整パターンの画像を確認して、調整値を修正していく
ことにより、最終的には、調整パターンの上段に印刷さ
れた基準画像の明度と調整画像の明度とを、および下段
の基準画像の明度と調整画像の明度とを、それぞれ一致
させることができる。この状態で画面上の「確定」を選
択すると、最終的な調整値を取得して(ステップS20
8相当)各色ドットの調整処理に戻る(図24)。尚、
画面上で入力された調整値に従って、明度が修正された
調整画像を印刷しているのは、専用アプリケーションプ
ログラムがプリンタドライバ92に機能を利用して実現
しているが、これについては後述する。
【0093】「濃淡インク間の調整」作業が終了する
と、「各色インク間の調整」(ステップS320)、次
いで「各色インク間の微調整」(ステップS330)と
いった作業を行う。これら作業では、「濃淡インク間の
調整」作業によって調整済みの淡CインクとCインクを
基準として、他のインクの調整を行うのである。これら
作業の具体的内容は、図17ないし図22を用いて前述
した内容と同様であり、前述のYインクとあるところを
淡Cインクと読み替えればよいので、説明を省略する。
【0094】「各色インク間の微調整」作業を終了する
と、専用アプリケーションプログラムはインク吐出量の
補正を行う。説明の都合上、「インク吐出量の補正方
法」と関連性の深い「修正された調整パターンの印刷方
法」について初めに説明し、その後にインク吐出量の補
正方法を説明する。
【0095】(5)修正された調整パターンの印刷 前述してきたように、画面上で各色ドットの調整量を入
力し、「調整パターン印刷」を指定すると、専用アプリ
ケーションプログラムが各色ドットの調整量をプリンタ
ドライバ92に伝え、プリンタドライバ92が指定され
た調整量で修正された調整パターンを印刷する。実際に
は、プリンタドライバ92は、ドット記録率テーブル
(図11参照)を変更することによって、修正された調
整パターンを印刷しているが、かかる機能はプリンタド
ライバ92が行っている階調数変換処理を利用すること
によって実現している。そこで、階調数変換処理につい
て簡単に説明した後に、修正された調整パターンをプリ
ンタドライバ92が印刷するための処理について説明す
る。
【0096】尚、本実施例では組織的ディザ法と呼ばれ
る方法を用いて階調数変換処理を行っているが、もちろ
ん誤差拡散法と呼ばれる方法を用いるものとしても構わ
ない。
【0097】図27は、プリンタドライバ92がCPU
81を用いて、組織的ディザ法により階調数変換処理を
行うフローチャートである。本実施例では、C・M・Y
・K・LC・LMの各色毎に階調数変換処理を並行して
行っているが、説明の煩雑化を避けるために、以下の説
明では、色を特定せずに説明する。
【0098】階調数変換処理を開始すると、CPU81
は画像データCdを読み込む(ステップS400)。こ
の画像データCdは、色変換後の256階調を有する各
色毎の画像データである。次に、前述した図11のドッ
ト記録率テーブルを参照して、画像データCdに対する
大・中・小の各ドットのドット記録率Rdl・Rdm・
Rdsを一度に取得する(ステップS402)。尚、ド
ット記録率Rdは、全ての画素にドットが形成されてい
る状態をドット記録率Rd=255と定義されている。
これは、コンピュータ80がデータを8bitで表現す
ることに起因するデータ処理上の都合によるものであ
る。
【0099】次に、大ドットのドット記録率Rdlと第
1の閾値thlとの大小を比較し(ステップS40
4)、大ドットのドット記録率Rdlの方が大きけれ
ば、多値化結果Cdrに大ドットを形成することを意味
する値「3」を代入する(ステップS406)。第1の
閾値thlは、ディザマトリックスによって各画素毎に
異なる値が設定されている。
【0100】ここで、図28を用いることにより、組織
的ディザ法による階調数変換処理の考え方を説明してお
く。説明を簡略化するために、図28では、画像データ
の一部(4×4の画素)のみを取り出して表している。
組織的ディザ法を用いて、例えば縦・横1000×10
00の画素からなる画像データCdを多値化する場合
に、同じ大きさ(縦・横1000×1000)のディザ
マトリックスを用意し、ディザマトリックスの各画素に
0〜255の閾値をランダムに設定しておく。そして画
像データの階調値とディザマトリックスの閾値とを、位
置の対応する画素毎に比較し、画像データの階調値がデ
ィザマトリックスの閾値より大きければその画素にドッ
トを形成する、逆に小さければドットを形成しないと判
断するものである。図28には、対応する画素毎に、画
像データの階調値とディザマトリックスの閾値とを比較
し、画像データの階調値が大きい画素にだけドットが形
成されている(図中ではハッチを施して表示)様子が示
されている。実際には縦・横16×16の大きさのマト
リックスに0〜255の閾値を偏りなく設定したディザ
マトリックスを用意し、このディザマトリックスの位置
をずらして使用している。
【0101】本実施例のプリンタドライバ92は、以上
説明した組織的ディザ法に基づいて、ドット記録率テー
ブル(図11)を参照して画像データCdを各ドットに
ついてのドット記録率Rdに変換し、得られたドット記
録率Rdの値に対して階調数変換処理を行っているので
ある。
【0102】大ドットのドット記録率Rdlが第1の閾
値thlより小さい場合には、中ドットについてのドッ
ト形成有無を判断する。すなわち、中ドットのドット記
録率Rdmと第2の閾値thmとの大小を比較し(ステ
ップS408)、中ドットのドット記録率Rdmの方が
第2の閾値thmより大きければ、多値化結果Cdrの
中ドットを形成することを表す値「2」を代入する(ス
テップS410)。このように、大ドットを形成しなか
った画素について中ドットの形成有無を判断しているの
で、大ドットと中ドットが同じ画素の形成されることが
ない。また、中ドットの形成有無を判断する第2の閾値
thmの値は、中ドット用に設定されたディザマトリッ
クスに設定されている。中ドット用のディザマトリック
スを大ドット用のものと共用する場合、例えば閾値に2
55付近の大きな値が設定されている画素には、大ドッ
トも中ドットも形成され難くなり、ひいては画質の低下
をきたすおそれがある。かかることの無いよう、本実施
例のプリンタドライバ92は大・中・小の各ドット毎
に、それぞれのディザマトリックスを用意している。も
ちろん、コンピュータ80の記憶容量を節約する必要性
が高い場合には、各ドットのディザマトリックスを共用
するものとしてもよい。
【0103】中ドットのドット記録率Rdmが第2の閾
値thmより小さい場合には、小ドットのドット形成有
無を判断する。すなわち小ドットのドット記録率Rds
と第3の閾値thsとの大小を比較し(ステップS41
2)、小ドットのドット記録率Rdsの方が第3の閾値
thsより大きければ、多値化結果Cdrの小ドットを
形成することを意味する値「1」を代入し(ステップS
414)、小ドットのドット記録率Rdsの方が小さけ
れば、ドットを形成しないことを意味する値「0」を多
値化結果Cdrに代入する(ステップS416)。こう
して、全ての画素について、ドットの判断を終了すると
(ステップS418)、階調数変換処理を終了する。プ
リンタドライバ92はこの階調数変換処理結果に基づい
て、図10の画像処理ルーチンにより、画像を印刷して
いる。
【0104】各色ドットの調整処理を行う専用アプリケ
ーションプログラムは、次のようにして、修正ドット記
録率テーブルを生成させ、このテーブルを使用してプリ
ンタドライバ92に階調数変換処理を行わせることによ
って、修正された調整パターンを印刷する。図29は、
専用アプリケーションプログラムがこのような処理を行
う流れを示すフローチャートである。
【0105】図15・図18・図20・図25に示した
各画面上で、「調整パターン印刷」を選択すると割り込
みが発生して、図29に示す処理が開始される。かかる
処理では、修正の対象となるドット記録率テーブルをプ
リンタドライバ92から取り込む必要がある。そこで、
処理を開始すると初めに、ドット記録率テーブルを取り
込み済みか否かを判断し(ステップS500)、取り込
んでいなければプリンタドライバ92からドット記録率
テーブルを取り込む(ステップS502)。ドット記録
率テーブルの取り込みが終わったら、続いて、図15等
に示した各画面上で指定された各色ドットの調整値を取
り込む(ステップS504)。図15等に示されている
ように、調整値はパーセント表示で入力されている。こ
の調整値を取り込むと、取り込んだドット記録率テーブ
ルに記録されている各ドットの記録率の値に、指定され
た調整値を乗算して修正ドット記録率テーブルを生成さ
せる(ステップS506)。
【0106】こうして修正ドット記録率テーブルを生成
すると、このテーブルを使用して調整パターンを印刷す
るようプリンタドライバ92に指示を出した後、次の割
り込みが発生するまで待機状態となる。
【0107】以上に説明したように、修正された調整パ
ターンの印刷においては、記録媒体上に形成される各ド
ットの大きさを修正するのではなく、実際にはドット記
録率テーブルを修正することによって、単位面積当たり
に形成される各色ドットの個数を変更している。ドット
の大きさを変更する代わりに、このようにドットの形成
個数を変更することによっても、単位面積当たりにドッ
トが占める割合を変更することができ、ドットの大きさ
を変更したのと同様な効果を得ることができる。記録媒
体上に形成されるドットの大きさを変更する場合に比べ
て、ドットの個数を変更する方が容易である。更に、ド
ットの個数を変更する方法は、例えば5%だけ多くする
というような定量的な変更も正確に行うことができると
いう利点がある。
【0108】(6)インク吐出量の補正 図13または図24に示すように、各色インク間の微調
整が終了すると、続いてインク吐出量の補正を開始す
る。この処理では、図20に示した画面上で最終的に指
定した各色の小・中ドットの調整値を、プリンタドライ
バ92のデータに反映させる処理を行う。各色ドットの
最終的な調整値をプリンタドライバ92のデータに反映
させることによって、以降の印刷においては、各色ドッ
トのばらつきが補正された画像を印刷することができ
る。
【0109】尚、この処理では、各色のドット毎にドッ
トの個数を修正してもよいが、各色ドット毎に修正する
のではなく適正なインク吐出量が得られるようにドット
全体として修正をおこなってもよい。つまり、例えば、
小ドットを増加させる代わりに、相当するだけ中ドット
を増加させるような調整を行ってもよい。従って、この
処理は、インク吐出量の補正を行う処理であると考える
ことができる。この処理をインク吐出量補正処理と呼ぶ
のはこのためである。
【0110】本実施例では、プリンタドライバ92が階
調数変換処理に用いるドット記録率テーブルを、専用ア
プリケーションプログラムが生成した修正ドット記録率
テーブルで書き換えてしまうことによって、各色ドット
のインク吐出量を補正している。具体的には、図20の
画面上で「確定」を選択すると、専用アプリケーション
プログラムが、ドット記録率テーブル(図11参照)を
修正ドット記録率テーブルで書き換える。こうすること
により、以降の印刷においては、各色ドットの大きさが
調整された画像を印刷することができる。
【0111】以上、各種の実施例について説明してきた
が、本発明は上記すべての実施例に限られるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実
施することができる。例えば、上述の機能を実現するソ
フトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)
を、通信回線を介してコンピュータシステムのメインメ
モリまたは外部記憶装置に供給し実行するものであって
もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の印刷装置の概略構成図である。
【図2】ソフトウェアの構成を示す説明図である。
【図3】本実施例のプリンタの概略構成図である。
【図4】本実施例のプリンタにおけるドット形成原理を
示す説明図である。
【図5】本実施例のプリンタにおけるノズル配列を示す
説明図である。
【図6】本実施例のプリンタにより大きさの異なるドッ
トを形成する原理を説明する説明図である。
【図7】本実施例のプリンタにおけるノズルの駆動波形
および該駆動波形により形成されるドットの様子を示す
説明図である。
【図8】本実施例のプリンタの制御装置の内部構成を示
す説明図である。
【図9】本実施例のプリンタヘッドが駆動バッファから
データを受けてドットを形成する様子を示す説明図であ
る。
【図10】本実施例における画像処理ルーチンの流れを
示すフローチャートである。
【図11】本実施例で用いられるドット記録率テーブル
の一例を示す説明図である。
【図12】本実施例の発振器において駆動波形を生成す
る方法を示す説明図である。
【図13】本実施例の各色ドットの調整処理の流れを示
すフローチャートである。
【図14】本実施例の各色ドットの調整処理を開始する
と表示される画面の様子を示す説明図である。
【図15】本実施例の基準インク内の調整作業を開始す
ると表示される画面の様子を示す説明図である。
【図16】本実施例の基準インク内の調整作業で使用す
る調整パターンを示す説明図である。
【図17】本実施例の基準インク内の調整処理の流れを
示すフローチャートである。
【図18】本実施例の各色インク間の調整作業を開始す
ると表示される画面の様子を示す説明図である。
【図19】本実施例の各色インク間の調整作業で使用す
る調整パターンを示す説明図である。
【図20】本実施例の各色インク間の微調整作業を開始
すると表示される画面の様子を示す説明図である。
【図21】本実施例の各色インク間の微調整作業で使用
する調整パターンを示す説明図である。
【図22】無彩色のグラデーションパターンを印刷する
時に各色ドットのドット記録率が変化する様子を示す説
明図である。
【図23】本実施例の各色ドットの調整処理を開始する
と表示される画面の様子を示す説明図である。
【図24】本実施例の各色ドットの調整処理の流れを示
すフローチャートである。
【図25】本実施例の濃淡インク間の調整作業を開始す
ると表示される画面の様子を示す説明図である。
【図26】本実施例の濃淡インク間の調整作業で使用す
る調整パターンを示す説明図である。
【図27】本実施例の組織的ディザ法による階調数変換
処理の一例を示したフローチャートである。
【図28】組織的ディザ法の概要を示す説明図である。
【図29】本実施例において修正された調整パターンを
印刷する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
20…カラープリンタ 21…カラースキャナ 23…CRT 24…モデム 25…フレキシブルディスクドライブ 26…ハードディスク 30…キャリッジモータ 31…駆動ベルト 32…プーリ 33…摺動軸 34…位置検出センサ 35…紙送りモータ 36…プラテン 40…キャリッジ 41…CPU 41…印字ヘッド 42…インクカートリッジ 43…インクカートリッジ 44〜47…インク吐出用ヘッド 50…インク通路 59…操作パネル 60…制御回路 61…CPU 62…PROM 63…RAM 64…PCインターフェース 66…タイマ 67…駆動バッファ 68…バス 69…分配出力器 70…発振器 80…コンピュータ 81…CPU 82…ROM 83…RAM 84…入力インターフェース 85…出力インターフェース 86…CRTC 87…DDC 88…SIO 89…バス 90…ビデオドライバ 91…アプリケーションプログラム 92…プリンタドライバ 93…解像度変換モジュール 94…色変換モジュール 95…ハーフトーンモジュール 96…インターレースモジュール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/26 101

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体上に各色インクのドットを形成
    して幅広い自然色で表現された画像を印刷する印刷装置
    の、該ドット形成時のインク使用量を調整する方法であ
    って、 ドット形成時のインク使用量が第1の精度を有する前記
    各色インクの中から、基準インクとして少なくとも1つ
    のインクを選択し、 該選択された基準インクの前記インク使用量を、より高
    い精度を有する第2の精度に予め調整しておき、 前記基準インクを含む前記各色インクを用いて、前記記
    録媒体上に無彩色の画像が印刷されるべき条件で所定の
    画像を形成し、 該形成された画像の色相に基づき、前記第1の精度を有
    する各色インクの中から前記インク使用量の補正を要す
    るインクを検出し、 該検出したインクについて、ドット形成時のインク使用
    量を調整する方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインク使用量を調整する
    方法であって、 前記印刷装置では、互いに色相が同一で明度が異なる同
    色系インクを用いて、それぞれのインク色のドットの形
    成が可能であり、 前記基準インクとして、前記同色系インクの中から少な
    くとも1つのインクが選択されており、 前記無彩色の画像に代えて、前記基準インクによる所定
    の画像と、前記第1の精度を有する同色系インクによる
    所定の画像とを、それら画像の明度が等しくなるべき条
    件で記録媒体上に形成し、 該形成された各画像の明度を比較することにより、前記
    第1の精度を有する同色系インクの中から前記インク使
    用量の補正を要するインクを検出し、 該検出したインクについて行うインク使用量の調整方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のインク使用量を調整する
    方法であって、 前記印刷装置では、大きさの異なるドットの形成が可能
    であり、 前記基準インクで形成される各種大きさのドットの中の
    少なくとも1種類のドットについては、該ドット形成時
    のインク使用量を前記第2の精度に調整しておき、 前記無彩色の画像に代えて、前記基準インクの第2の精
    度で調整されたドットによる所定の画像と、前記基準イ
    ンクの第1の精度のドットによる所定の画像とを、それ
    ら画像の明度が等しくなるべき条件で記録媒体上に形成
    し、 該形成された各画像の明度を比較することにより、前記
    第1の精度を有するドットの中から前記インク使用量の
    補正を要するドットを検出し、 該検出したドットについて行うインク使用量の調整方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のインク使用量を調整する
    方法であって、 前記基準インクとして、前記各色インクの中からイエロ
    インクを選択するインク使用量の調整方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のインク使用量を調整する
    方法であって、 前記基準インクとして、前記各色インクの中からブラッ
    クインクを選択するインク使用量の調整方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のインク使用量の調整方法
    を実現するプログラムを記録した記録媒体であって、 前記ドット形成時のインク使用量が前記第1の精度を有
    する前記各色インクと、前記第2の精度を有する基準イ
    ンクとを用いて、前記記録媒体上に無彩色の画像が印刷
    されるべき条件で所定の画像を形成する機能と、 前記補正を要すると判断された各色インクについて、前
    記インク使用量を補正する機能とを実現するプログラム
    を、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体。
  7. 【請求項7】 記録媒体上に各色インクのドットを形成
    して、幅広い自然で表現された画像を印刷可能な印刷装
    置であって、 前記各色インクでドットを形成する際のインク使用量
    が、第1の精度である第1のドット形成手段と、 前記インク使用量を、該第1の精度より高い精度の第2
    の精度に調整した第2のドット形成手段と、 前記第1および第2のドット形成手段により無彩色の画
    像が印刷されるべき条件で、前記記録媒体上に所定の画
    像を形成する無彩色画像形成手段と、 該形成された画像の色相に基づいて前記インク使用量の
    補正を要すると判断された前記第1のドット形成手段に
    ついては、該ドット形成手段の前記インク使用量を調整
    するインク使用量調整手段とを備えた印刷装置。
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