JP2001158103A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2001158103A
JP2001158103A JP34262599A JP34262599A JP2001158103A JP 2001158103 A JP2001158103 A JP 2001158103A JP 34262599 A JP34262599 A JP 34262599A JP 34262599 A JP34262599 A JP 34262599A JP 2001158103 A JP2001158103 A JP 2001158103A
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Japan
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ink
nozzle surface
gap
sealing liquid
recording head
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JP34262599A
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English (en)
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Hiroaki Sato
博昭 佐藤
Yasushi Oki
靖 大木
Susumu Hirakata
進 平潟
Yasushi Suwabe
恭史 諏訪部
Yuji Suemitsu
裕治 末光
Megumi Hasebe
恵 長谷部
Satoru Mori
哲 毛利
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構成でインク乾燥による目詰まりを防
止し、また、シール液体の確実な供給が低コストででき
るインクジェット記録ヘッドを得る。 【解決手段】 記録ヘッド18が休止モードに入る前に
ステッピングモータ86を駆動させ、シール液体規制部
材35を90度回転させて、ノズル面28の移動軌跡上
に空隙部材52のみを配置させ、除去部材44をノズル
面28の移動軌跡上から退避させる。また、記録ヘッド
18のノズル面28が空隙部材52上を通過するとき、
記録ヘッド18の基準面18Aが除去部材44を摺擦す
ることで、シール液体規制部材35が位置決めされる。
このとき、空隙部材52の天面52Bとノズル面28と
の間にギャップtが設けられるようにする。これによっ
て、ギャップtが設計パラメータの一つとして追加さ
れ、膜厚が調整しやすくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、FA
X、複写機等に適用可能な記録装置に関し、特に水性イ
ンクを用紙に吐出することにより画像を記録するインク
ジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェット記録装置において
は、非動作時のインクの乾燥、増粘に起因するノズルの
目詰まりを防止することが大きな課題である。この課題
を解決するために種々のインク材料が開発されている
が、インク溶媒の蒸発を低減することは依然として困難
である。
【0003】このため、市販のインクジェット記録装置
では、非印字時、長期休止時には、樹脂製のキャッピン
グ手段等により、ノズルを外気から遮蔽してインクの乾
燥を遅延させている。
【0004】しかし、このキャッピング手段では、ノズ
ルの気密状態をより効果的に高めるためには、複雑な手
順と装置が必要となる。また、このキャッピング手段で
は、ノズルを空気から完全に遮蔽することができず、保
存中に、ノズル内部のインクの乾燥、増粘が徐々に進行
し、ノズルの目詰まりが発生してしまうことがある。
【0005】このため、長期休止後の目詰まりに起因す
る問題を回避する手段としては、特開昭52−1041
30号公報に開示されているように、インクに不溶のシ
ール液体と、シール液体の膜を張る手段によって、イン
ク吐出口を密封してインクを空気から遮蔽し、インクの
乾燥を防ぐ方法が知られている。
【0006】また、特開昭49−115548号公報に
は、シール液体とぬれ機構により印字装置の非動作時に
インク吐出口を密封し、動作時にはシール液体の供給路
に設けた開閉器によってシール液体の供給路を閉じて、
シール液体がインク吐出口に供給されないようにする方
法が記載されている。
【0007】これらの発明では、インク吐出口と対向し
た位置にプレート等を配置し、プレートがインク吐出口
に触れないようにしてインク吐出口とプレートとの間に
間隙を設け、この間隙にシール液体を流動させること
で、インク吐出口にシール液体を塗布している。
【0008】しかし、この間隙にシール液体を流動さ
せ、或いは、取り除く機構が別途必要となり、装置が複
雑化してしまう。
【0009】一方、特開昭54−69436号公報及び
特開平5−177841号公報では、シール液体として
磁性流体を用い、磁力によりノズル面に対して磁性流体
の除去及び再供給を制御している。
【0010】しかし、通常、磁性流体には、磁性粒子を
分散媒に安定分散させるために分散剤や界面活性剤が用
いられる。このため、インクが磁性流体と溶け合った
り、磁性流体が乳化する危険性がある。
【0011】また、磁性流体は高価な上、磁性流体によ
りノズル面がシールされている状態とシールが解除され
た状態の切り替えに、ポンプや電磁石、支持体による開
閉など外力が必要であり、記録ヘッドの構造の複雑化、
およびそれに伴う印字装置の大型化を招くこととなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮し、簡易な構成でインク乾燥による目詰まりを防止
し、また、シール液体の供給が低コストでできるインク
ジェット記録装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、ノズルから画像情報に基づいてインクを記録紙に向
って吐出して画像を記録する記録ヘッドが、インクの吐
出を休止する休止モードに入る前に供給部材によってノ
ズルのノズル面にインクの乾燥を防止するシール液体が
供給される。一方、位置決め手段が記録ヘッドに当接
し、ノズル面に対する供給部材の位置が決められる。
【0014】このため、例えば、ノズル面と供給部材と
の間に間隙を設けた場合、記録ヘッドが移動しても供給
部材を摺擦することはないので、ノズル面に施された撥
水処理が供給部材との摺擦によって摩耗することはな
い。
【0015】また、シール液体の膜厚は、シール液体の
物性(特に表面張力と粘度)又は摺擦速度等に依存する
が、ノズル面と供給部材との間に間隙を設けることで、
この間隙が設計パラメータの一つとして追加され、膜厚
が調整しやすくなる。
【0016】請求項2に記載の発明では、位置決め手段
が、供給部材がノズル面にシール液体を供給するとき
に、記録ヘッドに当接し、ノズル面と供給部材との離間
距離を一定に保持する除去部材である。
【0017】このように、除去部材を利用して、ノズル
面と供給部材との離間距離を一定に保持するため、位置
決め手段として別途、別部品を設ける必要がない。
【0018】請求項3に記載の発明では、記録ヘッドが
休止モードに入る前に除去部材をノズル面の移動軌跡上
から退避させる退避手段が設けられている。
【0019】このため、一旦、ノズル面に供給されたシ
ール液体が、記録ヘッドがインクを吐出する印字モード
に入る前に除去部材によって除去されることはない。
【0020】請求項4に記載の発明では、退避手段が、
回転手段であり、記録ヘッドが休止モードに入る前に供
給部材をノズル面に対して平行な面上を回転させ、ノズ
ル面の移動軌跡上に供給部材のみを配置させる。
【0021】請求項5に記載の発明では、退避手段が、
直交手段であり、記録ヘッドが休止モードに入る前に供
給部材を記録ヘッドの移動方向に対して直交する方向へ
移動させ、ノズル面の移動軌跡上に供給部材のみを配置
させる。
【0022】請求項6に記載の発明では、供給部材が、
インクの乾燥を防止するシール液体が含浸された空隙部
材であって、この空隙部材を押圧する押圧手段が設けら
れている。この押圧手段によって、空隙部材の内部に含
浸されたシール液体を表面に滲出させることができる。
【0023】請求項7に記載の発明では、空隙部材の少
なくとも天面には、撥インク性の多孔質性樹脂が被覆さ
れている。このため、ノズル面に付着したインクが空隙
部材の内部へ滲み込むことはない。
【0024】
【発明の実施の形態】図1には、本形態に係るインクジ
ェット記録装置10が示されている。インクジェット記
録装置10には一対のシャーシ12が配設されており、
シャーシ12に直交してキャリッジシャフト14が設け
られている。このキャリッジシャフト14と平行にキャ
リッジ送りベルト16が配設されている。
【0025】このキャリッジ送りベルト16にはキャリ
ッジシャフト14に案内されるキャリッジ13が固定さ
れている。このキャリッジ13へ記録ヘッド18を装填
することで記録ヘッド18がキャリッジシャフト14に
沿って移動する。
【0026】一方、シャーシ12には紙送りシャフト2
0がシャーシ12に対して直交した状態で回転可能に軸
支されており、紙送りシャフト20には記録紙Pを搬送
する紙送りローラ22が固定されている。
【0027】このため、記録紙Pは記録ヘッド18の移
動方向と直交する方向へ搬送される。この記録ヘッド1
8の底面18A(以下、「基準面18A」という)から
は、ノズル25が凸設されており、図2(C)に示すよ
うに、ノズル25のノズル面28には、インク24を貯
溜するインク室30が複数設けられている。
【0028】インク室30の内径(ノズル径)は35μ
mとされており、このインク室30のインク吐出口26
からインク24が記録紙P(図1参照)に向って吐出さ
れ、記録紙P上にインク24が付着し絵や文字等の印字
が可能となる。
【0029】図2(A)、(B)、(C)には、このノ
ズル25の基本的な構成が示されている。図2(A)で
は、ノズル25の平面図が示されており、図2(B)で
は図2(A)のA−A断面図が示されている。
【0030】なお、図上、インク吐出口26が設けられ
たノズル面28が上部に配置されているが、インク24
滴は重力方向(下方)に向けて吐出される。
【0031】一方、記録ヘッド18には、図示しないイ
ンク供給手段が設けられており、毛管力や圧力差によっ
て、インク供給手段(図示省略)からインク室30へイ
ンク24が供給される。
【0032】このインク室30の外周面には、インク吐
出手段32が設けられている。このインク吐出手段32
はサーマルインクジェット方式の吐出手段であり、イン
ク室30の外周面に図示しないヒータを設けて構成され
ている。
【0033】ヒータは例えば、多結晶シリコンからなる
発熱体層の上にタンタルからなる保護層を積層して構成
されており、図示しない信号印加手段により画像信号に
応じたタイミングで所定の信号が印加されるように配線
されている。このヒータが加熱すると、インク24に含
まれる揮発成分が瞬時に蒸発して、気泡が発生しインク
24がインク吐出口26から吐出する。
【0034】なお、ここではインク吐出手段32は、イ
ンク室30の外周面に設けられているが、必ずしも外周
面に設ける必要はなく、インク室30の底面の一部に設
けることもできる。
【0035】また、インク吐出手段として、圧電素子方
式を用いても良く、インク室、あるいはインク室に通じ
るインク流路を構成する壁面を、圧電素子の変形が伝搬
可能な部材で構成し、この圧電素子に画像信号に応じて
電圧を印加し、その歪みによってインクを吐出する。
【0036】さらに、インク吐出口26の形状は円形に
限るものではなく、楕円形や多角形など任意の形状であ
ってもその効果は変わるものではない。
【0037】一方、ノズル面28には、シール液体34
が塗布されており、インク吐出口26内のインク24が
空気に接触しないようにしている。このシール液体34
は、性能を維持するため、シール液体34とインク24
とは互いに相溶性がなく、また、シール液体34はイン
ク24とは自発的に乳化しないことが必要である。
【0038】シール液体34がインク24と相溶しない
ためには、シール液体34のインク24に対する溶解度
が常温(25°C)で0.1wt%以下であればよい。
【0039】また、シール液体34がインク24の吐出
を休止する休止モード(記録ヘッド18がホームポジシ
ョンに位置している)のときノズル面28からシール液
体34が蒸発しないためには、常温で不揮発性であるこ
とが必要である。常温で不揮発性とは、具体的には蒸気
圧が25°Cで0.1mmHg以下であればよい。
【0040】さらに、シール液体34の動粘度は、1〜
1000mm2/sの範囲である。また、シール液体3
4の表面張力は15〜70mN/mの範囲であれば利用
できるが、インク24の表面にぬれ進むためには50m
N/m以下であることが望ましく、さらには、使用する
インク24の表面張力より小さいことが望ましい。
【0041】また、後述する被覆材36(図8参照)と
しての多孔質フッ素樹脂に浸透させて用いる場合には、
25mN/m以下であることが好ましい。これらの性質
に適した液体であれば利用できるのはもちろんである
が、複数の材料を混合して粘度や表面張力を調整して用
いることもできる。
【0042】水性のインクを用いる場合のシール液体3
4として、常温で液体の有機溶媒やオイル類を用いるこ
とができる。例えば、オクタン、ノナン、テトラデカ
ン、ドデカンなどの炭化水素、オレイン酸、リノール酸
などの高級脂肪酸、n−デカノール、ジメチルブタノー
ルなどの非水溶性のアルコール類、フタル酸ジブチル、
マレイン酸ジブチルなどの可塑剤の他、植物油、鉱物
油、シリコーンオイル、フッ素オイルなどを用いること
もできる。これらは、単独で用いても良いし、あるいは
均一に混合しうるものであれば複数種を混合して用いて
も構わない。
【0043】図2(B)に示すように、ノズル面28に
塗布されたシール液体34は、インク吐出口26内のイ
ンク24に接触してノズル面28にシール液体34の膜
を形成する。
【0044】このシール液体34の膜厚は、インク室3
0の内径、又は、目詰まり防止のための保存期間などに
よって適宜選択できるが、十分なシール性能と、実用的
なシール液体34の供給及び除去工程を考え合わせる
と、5μm以上、200μm以下が適当であり、より好
ましくは20μm以上、100μm以下である。
【0045】次に、第1形態に係る供給部材について説
明する。
【0046】図1に示すように、記録ヘッド18の移動
軌跡上には、シール液体規制部材35が設けられてお
り、シール液体規制部材35はホルダー37に保持され
ている。
【0047】このシール液体規制部材35には、一例と
して図3及び図4に示すように、ノズル面28のシール
液体34を除去する一対の直方体状の除去部材44が備
えられている。この除去部材44は後述する空隙部材5
2よりも突き出しており、ノズル面28が摺擦する部分
は、平坦面となっている。
【0048】ここで、除去部材44の材料として、シー
ル液体34に対して物性が安定していれば良いため、生
ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、オレフィ
ン系ゴム、エーテル系ゴム、ポリスルフィド系ゴム、ウ
レタン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコーンゴムなど各種
天然ゴム、各種エラストマー(ゴム弾性体)や、これら
ゴム系材料のブレンドゴム、またはこれらゴム系材料と
各種プラスティックとのブレンドゴムなど、各種弾性部
材が使用でき、これら材料の接着などによる組合せを用
いても良い。
【0049】これら材料のなかでも耐熱性、耐候性、耐
薬品性、耐磨耗性、加工性の点で、水素化ニトリルブタ
ジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポ
リジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴ
ム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコー
ンゴム等が好ましい。
【0050】シール液体34に対して物性が不安定な場
合は、表面を保護層で被覆して使用することもできる。
保護層としては、撥液性と低摩擦係特性に優れるフッ素
系樹脂が好ましい。また、弾性が低く剛性が高くなる
が、各種プラスチック材料も適用可能である。
【0051】具体的には、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の成形体
を用いても良い。
【0052】さらに、これらのフィルム材を積層して張
り合わせたものを高精度に切断しても良い。このとき、
貼着剤としては、アクリル系ポリマーやゴム系ポリマー
等が適している。
【0053】一方、除去部材44の間には、箱状のシー
ル液体保持部39が保持されている。このシール液体保
持部39の中には、図7(B)に示すように、シール液
体34が貯蔵されており、シール液体34には供給部材
としての空隙部材52が浸漬されている。この空隙部材
52によって、記録ヘッド18のノズル面28にシール
液体34が供給される(詳細は後述する)。
【0054】空隙部材52は連続空隙構造となってお
り、内部にはシール液体34が含浸されている。空隙部
材52にはシール液体34が含浸可能であれば良く、連
続空隙多孔質構造(例えばスポンジ)又は、連続する細
い流路が設けられた構造(例えば繊維材や紙材等)でも
良い。
【0055】具体的な材質として、不織布、フェルト、
布、合成樹脂材等の多孔性弾性材料の中からシール液体
34によって変質等の問題が生じないものが選択でき
る。例えば、シール液体34がシリコーンオイルの場
合、発泡ポリウレタン等も使用可能である。
【0056】空隙部材52の一例として、図8に示すよ
うに、直方体状に形成された基材51の表面に撥インク
性かつ多孔質性の被覆材36を被覆したものが挙げられ
る。この被覆材36によって、インク24が基材51に
付着することによるシール液体34の汚染や供給不良が
防止できる。
【0057】この被覆材36はインク24の通過を阻止
可能で、シール液体34と接して反応、変質等を起さな
いものであれば良いため、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、
アクリル樹脂等の各種高分子材料が好適に用いられる。
【0058】ここで、被覆材の一例として多孔質フッ素
樹脂について説明する。
【0059】本発明において用いる多孔質フッ素樹脂に
は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビ
ニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエ
チレンエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリ
フルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/
エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体等のポリマーが使
用可能である。
【0060】ポリマー粒子の融点前後の温度で、焼成、
焼結処理を行うことにより、ポリマー粒子の原形を留め
る範囲でポリマー粒子を部分的に融着させ又は焼結させ
て一体の多孔質網状組織を形成するものである。
【0061】平均空隙径は主に使用するシール液体及び
インクの表面張力を勘案して決定するが、0.01〜1
00μm、より好ましくは0.1〜50μmである。な
お、ここでいう平均空隙径とは、シール液体と接する部
材の空隙を意味しており、必ずしも多孔質フッ素樹脂膜
自体の細孔径ではない。
【0062】フィルム状材料を積層して形成した場合、
又は多孔質フッ素樹脂でコートした繊維材料やメッシュ
材料で形成する場合などは、積層部分の空隙、繊維間に
形成される空隙も考慮した平均空隙径である。
【0063】上記条件を満足する好適なものとして、未
焼成のPTFEフィルムをPTFEの融点以下の温度で
延伸して多孔質化しついで延伸状態を保持しながらPT
FEの融点以上の温度で焼成延伸して得られる延伸多孔
質PTFEや、PTFEを粉砕して得られる繊維状粉末
を抄紙して得られるいわゆるPTFEペーパーがある。
これらフィルム状材料は、前記の接着、融着等の接合法
により様々な材質の表面を被覆することが可能である。
【0064】さらに別の形態として、PTFEモールデ
ィングパウダーを原料として、これを低圧圧縮成形した
後、PTFEの融点以上の温度で焼成することにより得
られる成形体も適用可能である。前記3種類の方法がい
ずれもフィルム状の多孔質PTFEであるのに対して、
成形体として選られるので供給部材を単一の部材として
作製することができ、比較的複雑な形状のものも作製し
やすく、接着、融着等の接合工程が不要になり、部材と
しての信頼性が向上する。
【0065】また、モールディングパウダーの種類や粒
子径を変えることにより、空隙径や空隙密度を制御する
ことができるので最適な除去部材を作製できる。さら
に、圧縮成形の際の圧力分布と原料の充填量を制御する
ことにより、前述した平均空隙径を変化させることも可
能である。
【0066】更に別の形態として、金属、ガラス、セラ
ミック等の高耐熱性材料を芯材とし、芯材にフッ素樹脂
ポリマーを塗布して焼成することにより表面に多孔質膜
を形成することも可能である。
【0067】芯材を金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等
で構成すれば、平織り等の処理を施して開口径、開口率
を自在に設定可能なフィルム状の繊維交絡体を形成する
ことができ、そのフィルムにフッ素樹脂ポリマーを塗布
して焼成してもよい。
【0068】また、あらかじめ多孔質フッ素樹脂で被覆
した前記繊維材料を用いることも可能である。この形態
によれば、芯材に機械的強度の高いものを用いることが
できるので、摺擦、圧縮による機械的な疲労による故障
を大幅に改善することができる。
【0069】さらに、多孔質フッ素樹脂を他の材質に被
覆または、多孔質フッ素樹脂同士の積層等には、例えば
シリコーン系接着剤、PFA、FEP等のフッ素系接着
剤、ウレタン系接着剤等を用いて、グラビアパターンロ
ール等で、部分的に、例えば点状、線状、格子状等に接
着する接着法や、熱融着法を用いることができる。上記
接着剤は耐油性を有するので、シール液体としてシリコ
ーンオイル等のオイル類を使用する場合に好適である。
【0070】次に、本形態に係る押圧手段が設けられた
シール液体保持部について説明する。
【0071】図7(A)、(B)に示すように、シール
液体保持部39には、シール液体34が貯溜されてお
り、シール液体34には空隙部材52が浸漬されてい
る。このため、空隙部材52の内部にはシール液体34
が含浸されている。
【0072】また、空隙部材52は、側面がシール液体
規制部材35の内壁39Aに内接した状態で配置されて
いる。また、空隙部材52を間に置いてシール液体規制
部材35の内壁39Aと対向する位置には、押圧手段の
一例としての偏芯カム60が設けられている。
【0073】この偏芯カム60は、図示しない駆動手段
によって回転可能に軸支された回転軸62に固定されて
おり、偏芯位置およびカム径によって、回転軸62が一
回転する間に偏芯カム60が空隙部材52を押圧する状
態と空隙部材52から離れる状態とが設定されている。
【0074】この偏芯カム60によって空隙部材52が
押圧されると、内壁39Aと偏芯カム60との間で空隙
部材52が変形する。これによって、空隙部材52の体
積が減少し、内部に含浸されたシール液体34が空隙部
材52の天面52Bから押し出される。この状態で、ノ
ズル面28が空隙部材52上を通過すると、ノズル面2
8にシール液体34が供給される。
【0075】なお、押圧手段の一例として偏芯カム60
を用いたが、これに限るものではなく、ソレノイドやば
ね材等を用いて空隙部材52を押圧しても良い。また、
それらの手段を空隙部材52の内部に設けて外側に剛体
の部材を配置して空隙部材52を内側から押圧変形させ
ても良い。
【0076】さらに、空隙部材52を加熱する事により
空隙部材52内に保持されているシール液体34の粘度
低下による滲み出しによっても目的を達成できる。ま
た、別の形態として、樹脂材やゴム材の薄膜の袋に気体
を密封してエアバッグを形成し、加熱による気体の体積
膨張を利用する事もできる。
【0077】この場合、空隙部材52の内部に含浸され
るシール液体34の充填量は、空隙に対して30〜95
%程度であるのが好ましい。この割合が大きすぎると空
隙部材52内に混入する気体が環境温度及び圧力変化に
より膨張した際に、体積増加分がシール液体規制部材3
5へあふれ、空隙部材52へのシール液体34の漏れの
原因となる。
【0078】逆に、空隙部材52の内部に含浸されるシ
ール液体34の充填量が、空隙に対して30%未満であ
る場合には、シール液体34の量が少なすぎて、押圧部
材を作動させても空隙部材52の天面52Bへのシール
液体34の滲み出しが不十分となりノズル面28へシー
ル液体34を充分に供給できない恐れがある。
【0079】また、ここでは、偏芯カム60を用いて空
隙部材52を変形させてシール液体34を空隙部材52
の天面52Bから滲み出させたが、図示しない供給手段
(供給ポンプ&配管やシール液体を含浸させたウェブ
等)によってノズル面28と空隙部材52の間にシール
液体34を供給しても良い。
【0080】次に、第1形態に係る退避手段について説
明する。
【0081】一例として図3及び図4には、シール液体
規制部材35は、ホルダー37によって保持されてお
り、このホルダー37の裏面には、ソレノイド71のプ
ランジャー82が連結されている。
【0082】ソレノイド71の内部には、図示しないキ
ー溝が設けられており、プランジャー82から突設され
たキー(図示省略)と係合している。また、ソレノイド
71には、ばね(図示省略)が設けられており、ソレノ
イド71がONの状態では、プランジャー82がキー溝
に沿って突出し、シール液体規制部材35を上昇させ、
ソレノイド71がOFFの状態では、ばねの復原力によ
ってプランジャー82が引き戻され、シール液体規制部
材35が下降する。
【0083】また、ソレノイド71には、歯車73が嵌
合されており、この歯車73にはステッピングモータ8
6に直結されたピニオン75が噛み合っている。このス
テッピングモータ86はステッピングモータドライバ8
8からのパルス信号に基づいて90度正転、或いは、逆
転するようになっている。
【0084】このため、ピニオン75を介して歯車73
に回転力が伝達され、歯車73に嵌合されたソレノイド
71が回転し、プランジャー82を介してシール液体規
制部材35が回転する。このような構成により、シール
液体規制部材35を昇降可能にすると共に、ノズル面2
8に対して平行な面上を回転させることができる。
【0085】図1に示す記録ヘッド18がインク24の
吐出を休止する休止モードに入る前には、ホームポジシ
ョンから記録領域へ移動するとき(矢印A方向)、図3
及び図5に示すように、ステッピングモータドライバ8
8からのパルス信号に基づいてステッピングモータ86
が駆動し、ピニオン75が矢印C方向に回転する。
【0086】このピニオン75を介して歯車73が回転
し、プランジャー82へ回転力が伝達され、シール液体
規制部材35が図5(A)の状態から図3及び図5
(B)の状態へ90度回転する。
【0087】これによって、ノズル面28の移動軌跡上
には、空隙部材52のみが配置され、ノズル面28が空
隙部材52上を通過可能となる。
【0088】一方、除去部材44はノズル面28の移動
軌跡上からは退避しており、除去部材44は空隙部材5
2の天面52Bより突出しているにも拘らず、ノズル面
28が触れることはない。
【0089】このため、一旦、ノズル面28に供給され
たシール液体34は、記録ヘッド18が休止モードに入
る前には除去部材44によって除去されることはない。
【0090】シール液体規制部材35が90度回転する
と共に、ソレノイド86はONの状態となり、シール液
体規制部材35を水平線P1(図5(A)参照)からQ
1へ上昇させる。
【0091】この状態では、シール液体規制部材35の
高さは、位置決め手段としての除去部材44の天面44
Aが、記録ヘッド18の基準面18Aに当接可能な高さ
となっている。
【0092】基準面18Aが天面44Aを摺擦すること
で、シール液体規制部材35の高さは位置決めされる。
この位置決めされた状態で、ノズル面28と空隙部材5
2の天面52Bとの間には微小ギャップtが設けられて
おり、偏芯カム60が空隙部材52を押圧したとき空隙
部材52の天面52Bから滲出されるシール液体34を
ノズル面28に供給する。
【0093】このように、ノズル面28と天面52Bと
の間にギャップtを設けることでノズル面28が空隙部
材52の天面52Bを摺擦しないため、インク吐出口2
6付近のインク付着を防止し、クリーニング効果を高め
るためノズル面28に設けられた表面処理膜にダメージ
を与えないという効果がある。
【0094】但し、この微小ギャップtは偏芯カム60
によって空隙部材52が押圧されたとき、空隙部材52
の天面52Bから滲出されるシール液体34の膜厚以下
とする。これによって、ノズル面28と空隙部材52の
天面52Bとが非接触であっても、ノズル面28には必
ずシール液体34が供給される。
【0095】このような構成により、図5(C)に示す
ように、まず、図示しない駆動手段へ電圧が印可され、
回転軸62が回転し、この回転によって偏芯カム60が
回転して空隙部材52を押圧する。
【0096】これによって、空隙部材52内に含浸され
たシール液体34が空隙部材52の天面52Bから滲み
出て、ギャップtの中にシール液体34が溜まり、ノズ
ル面28が空隙部材52上を通過したとき、このシール
液体34がノズル面28に供給される。
【0097】一方、シール液体34の膜厚は、シール液
体34の物性(特に表面張力と粘度)又は摺擦速度等に
依存するが、ノズル面28と空隙部材52との間に微小
ギャップtを設けることで、微小ギャップtが設計パラ
メータの一つとして追加され、膜厚が調整しやすくな
る。
【0098】ここで、除去部材44が基準面18Aに当
接して、シール液体規制部材35の位置決めとして機能
させることで、ギャップtの精度を上げることができ
る。従って、除去部材44と空隙部材52の高低差はノ
ズル面28と基準面18Aの寸法に応じて設計される。
【0099】なお、ここでは、ノズル面28と空隙部材
52の天面52Bとの間に微小ギャップtを設けたが、
基準面18Aによってシール液体規制部材35が位置決
めされた状態でノズル面28が空隙部材52の天面52
Bを摺擦可能であっても良い。
【0100】この場合、ノズル面28が空隙部材52を
摺擦するときにインク24が空隙部材52の内部へ入り
こむ恐れがあるが、基材51の表面には、撥インク性の
被覆材36がコーティングされ、ノズル面が基材51を
直接摺擦しないため、空隙部材52の内部にインク24
が吸込まれることはない。従って、ノズル面28が空隙
部材52を直接摺擦しても問題はない。
【0101】一方、図1に示す記録ヘッド18が印字モ
ードに入る前には、ホームポジションから記録領域へ移
動する(矢印B方向)とき、図4及び図6に示すよう
に、ステッピングモータドライバ88からのパルス信号
に基づいてステッピングモータ86が駆動し、ピニオン
75が矢印D方向に回転する。
【0102】このピニオン75を介して歯車73が回転
し、プランジャー82へ回転力が伝達され、シール液体
規制部材35が図6(A)の状態から図4及び図6
(B)の状態へ90度回転する。これによって、除去部
材44がノズル面28の移動軌跡上に配置される。
【0103】シール液体規制部材35が90度回転する
と共に、ソレノイド86はOFFとなり、シール液体規
制部材35を水平線Q1からP2へ下降させる。これに
よって、図6(C)に示すように、ノズル面28は除去
部材44を摺擦可能となる。
【0104】また、図6(B)に示すように、ノズル面
28と除去部材44の天面44Aとを、上下方向でオー
バーラップさせるのが良い。これによって、ノズル面2
8が除去部材44を摺擦したとき、除去部材44が記録
ヘッド18の移動方向(矢印方向)へ撓み、ノズル面2
8に塗布されたシール液体34がよりきれいに除去され
る。
【0105】このため、ノズル面28のシール性能を重
視して、高粘度のシール液体34を厚く塗布した場合で
も、ノズル面28からシール液体34を積極的に除去す
ることで、インク24をスムーズに吐出させることがで
きる。従って、高粘度のシール液体34が使用できるの
で、シール液体34が長期間不揮発となり、目詰まりに
対するシール性能を維持することができる。
【0106】このように、除去部材44とノズル面28
との確実な密着性を考慮すると、ノズル面28との最適
なオーバーラップ量(h)は、除去部材44の材質、形
状、サイズ、記録ヘッド18の摺擦速度等に依存する
が、0.5〜3mm程度が望ましい。
【0107】なお、ここでは、ソレノイド71を用いて
シール液体規制部材35を昇降させたが、必ずしも昇降
させる必要はない。
【0108】例えば、図10(A)にはシール液体規制
部材100の正面図が示されており、(B)には(A)
の側断面図が示されているが、これで示すように、ノズ
ル面28と除去部材105とのオーバーラップ量(H)
を0.5〜3mmとし、かつ、ノズル面28と空隙部材
107の天面107Aとのギャップ(T)を偏芯カム6
0により天面107Aから滲出するシール液体34の膜
厚以下にすれば、シール液体規制部材100を昇降させ
る必要はなくなる。
【0109】また、ノズル面28にシール液体34を供
給できれば良いため、空隙部材の天面に直線部があれば
良く、図9(A)に示すように、天面が曲面の基材80
に被覆材81を被覆したものでも良い。さらに、図9
(B)に示すように、直方体状の基材93の天面にエッ
ジ90Aを有する被覆材90を接合させたものでも良
い。
【0110】次に、第2形態に係る退避手段について説
明する。
【0111】なお、ここで、空隙部材の天面からシール
液体を滲み出させる方法として、偏芯カムを用いた押圧
手段を用いるが、第1形態と同一であるため説明は割愛
する。
【0112】図11(A)、(B)に示すシール液体規
制部材100にはホルダー101が設けられており、こ
のホルダー101は、記録ヘッド118の移動方向に対
して直交する方向へ配設された図示しないレールに沿っ
て移動可能となっている。
【0113】ホルダー101の側壁には、ソレノイド9
5のロッド94が連結されている。このソレノイド95
を作動させると、ロッド94が軸方向に往復移動可能と
なっている。
【0114】ソレノイド95の内部には、ばね(図示省
略)が設けられており、ソレノイド95がONの状態で
は、ロッド94が突出し、図11(A)に示すように、
シール液体規制部材100を押し出す。
【0115】また、ソレノイド95がOFFの状態で
は、ばねの復原力によってロッド94が引き戻され、図
11(A)に示すように、シール液体規制部材100を
引き寄せる。
【0116】このように、記録ヘッド118の移動方向
に対して直交方向にシール液体規制部材100を往復移
動可能とし、ノズル面128の移動軌跡上に除去部材9
8或いは、空隙部材104を配置する。
【0117】このため、記録ヘッド118が休止モード
に入る前に、図11(A)に示すように、ソレノイド9
5をONにし、空隙部材104をノズル面128の移動
軌跡上に配置する。
【0118】このとき、除去部材96、98の天面96
A、98Aは記録ヘッド18の基準面18Aに当接し、
この状態で、ノズル面128と空隙部材52との間にギ
ャップtを設ける。
【0119】このように、ノズル面128と空隙部材5
2との間にギャップtを設けても、記録ヘッド18が休
止モードに入る前にノズル面28が空隙部材104上を
通過したとき、偏芯カム60によって空隙部材104の
天面104Bから滲み出したシール液体34がノズル面
128に一定の膜厚で供給される。
【0120】次に、記録ヘッド118が印字モードに入
る前にソレノイド95をOFFにし、図11(B)に示
すように、除去部材98をノズル面128の移動軌跡上
に配置する。
【0121】これによって、記録ヘッド118が印字モ
ードに入る前には、ノズル面128が除去部材98の天
面98Aを摺擦して、ノズル面128に供給されたシー
ル液体34が除去される。
【0122】
【実施例】次に、実施例により本発明における仕様を説
明する。但し、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0123】まず、第1形態に係る供給部材について説
明する。
【0124】図1に示すように、インクジェット記録装
置10には、記録ヘッド18が設けられており、の記録
ヘッド18の吐出手段として、TIJ(サーマルインク
ジェット方式)を用いる。
【0125】この記録ヘッド18には、インク24が吐
出するインク吐出口26を複数設けており、インク室2
6の内径(ノズル径)は35μmで形成している。この
インク吐出口26からインク24を記録紙Pに向って吐
出させる。
【0126】ノズル面28には、シール液体34を塗布
しており、インク吐出口26内のインク24が空気に接
触しないようにしている。このシール液体34は、複数
種類のシリコーンオイルを混合して調製しており、動粘
度が30mm2/s、表面張力が20mN/m、蒸気圧
が0.1mmHg以下(25℃)で不揮発である。
【0127】また、このシール液体34は、性能を維持
させるため、シール液体34とインク24とは互いに相
溶性がなく、また、インク24とは自発的に乳化しな
い。以上のような性質を有するシール液体34を膜厚5
0μmで休止モードに入る前にノズル面28に塗布す
る。
【0128】一方、図3及び図4に示す除去部材44に
は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)が用いられ、
このEPDMを肉厚2mmの短冊状に成形する。また、
図8に示す空隙部材52には、シリコーンスポンジ製の
基材51が用いられ、この基材51を短冊状に、また、
硬度が35±3°となるように成形する。これによっ
て、良好な除去性能を実現するために重要な密着性と、
シール液体34の膜厚の制御を精密に行うために重要な
剛性とが得られる。
【0129】また、被覆材36としてステンレス製金属
繊維を芯材とする多孔質PTFEフィルムで基材51の
底面以外の箇所を被覆した。このため、ノズル面が基材
51を直接摺擦しない。さらに、PTFEフィルムは撥
インク性を有するため、空隙部材52の内部にインク2
4が吸込まれることはない。
【0130】また、空隙部材52の内部(多孔質PTF
Eフィルムとシリコーンスポンジ)には、予め、空隙に
対してシール液体34を80%の充填率で含浸させる。
【0131】ここで、多孔質PTFEフィルムは、ステ
ンレス製金属繊維を平織りしたフィルム状の繊維交絡体
に、PTFEの粉末を焼結させ、平均空隙径が50μm
となるように形成する。そして、シリコーンスポンジに
多孔質PTFEフィルムを熱融着で接合する。
【0132】次に、本形態に係る押圧手段について説明
する。
【0133】図7(A)、(B)に示すように、空隙部
材52をシール液体34を貯溜した箱状のシール液体保
持部39で保持する。このシール液体34には空隙部材
52を接触させ、空隙部材52の内部にシール液体34
を含浸させる。
【0134】また、空隙部材52の側面をシール液体保
持部39の内壁39Aに内接した状態で配置する。ま
た、空隙部材52を挟んでシール液体保持部39の内壁
39Aと対向する位置には、押圧手段としての偏芯カム
60を設ける。
【0135】この偏芯カム60は、記録ヘッド18(図
1参照)が記録領域に位置しているとき(印字モード)
は、空隙部材52から離れて配置しているが、記録ヘッ
ド18が休止モードに入る前に駆動手段へ電圧が印可さ
れ、回転軸62が回転する。この回転軸62の回転によ
って偏芯カム60が矢印方向へ回転する。
【0136】これによって、図7(B)に示すように、
偏芯カム60が回転しながら空隙部材52を押圧する。
このため、空隙部材52の体積が減少し、内部に含浸さ
れたシール液体34を天面52Bから押し出す。空隙部
材52をシール液体保持部39内に配置しているため、
天面52Bから押し出されたシール液体34の漏出が防
止される。
【0137】次に、第1形態に係る退避手段について説
明する。
【0138】図3及び図5に示すように、記録ヘッド1
8が休止モードに入る前にステッピングモータ86を駆
動させ、シール液体規制部材35を90度回転させて、
ノズル面28の移動軌跡上に空隙部材52のみを配置さ
せ、除去部材44をノズル面28の移動軌跡上から退避
させる。
【0139】また、記録ヘッド18のノズル面28が空
隙部材52上を通過するとき、記録ヘッド18の基準面
18Aが除去部材44を摺擦することで、シール液体規
制部材35が位置決めされる。このとき、空隙部材52
の天面52Bとノズル面28との間にギャップtが設け
られるようにする。
【0140】ここで、シール液体34の膜厚は、シール
液体34の物性(特に表面張力と粘度)又は摺擦速度等
に依存するが、ノズル面28と空隙部材52との間に微
小ギャップtを設けることで、微小ギャップtが設計パ
ラメータの一つとして追加され、膜厚が調整しやすくな
る。
【0141】一方、図4及び図6に示すように、記録ヘ
ッド18が印字モードに入る前にはステッピングモータ
86によって、シール液体規制部材35を90度回転さ
せ、除去部材44をノズル面28の移動軌跡上に配置さ
せ、ノズル面28を除去部材44に摺擦させる。
【0142】このとき、図6(B)に示すように、ノズ
ル面28と除去部材44の天面44Aとを、上下方向で
オーバーラップさせると、ノズル面28が摺擦し、除去
部材44が記録ヘッド18の移動方向(矢印方向)へ撓
み、ノズル面28に塗布されたシール液体34がよりき
れいに除去される。
【0143】このため、ノズル面28のシール性能を重
視して、高粘度のシール液体34を厚く塗布した場合で
も、ノズル面28からシール液体34を積極的に除去す
ることで、インク24をスムーズに吐出させることがで
きる。従って、高粘度のシール液体34が使用できるの
で、シール液体34が長期間不揮発となり、目詰まりに
対するシール性能を維持することができる。
【0144】次に、第2形態に係る退避手段について説
明する。
【0145】図11(A)、(B)に示すシール液体規
制部材100のホルダー101を記録ヘッド118の移
動方向に対して直交する方向へ配設された図示しないレ
ールに沿って移動可能としている。ホルダー101の側
壁には、ソレノイド95のロッド94が連結され、ソレ
ノイド95を作動させると、ロッド94が軸方向に往復
移動可能となっている。
【0146】ソレノイド95の内部には、ばね(図示省
略)が設けられており、ソレノイド95がONの状態で
は、ロッド94が突出し、図11(A)に示すように、
シール液体規制部材100を押し出す。
【0147】また、ソレノイド95がOFFの状態で
は、ばねの復原力によってロッド94が引き戻され、図
11(A)に示すように、シール液体規制部材100を
引き寄せる。
【0148】このように、記録ヘッド118の移動方向
に対して直交方向にシール液体規制部材100を往復移
動可能とし、ノズル面128の移動軌跡上に除去部材9
8或いは、空隙部材104を配置させる。
【0149】
【発明の効果】本発明は、上記構成としたので、請求項
1に記載の発明では、ノズル面と供給部材との間に間隙
を設けた場合、記録ヘッドが移動しても供給部材を摺擦
することはないので、ノズル面に施された撥水処理が供
給部材との摺擦によって摩耗することはない。また、シ
ール液体の膜厚は、シール液体の物性(特に表面張力と
粘度)又は摺擦速度等に依存するが、ノズル面と供給部
材との間に間隙を設けることで、この間隙が設計パラメ
ータの一つとして追加され、膜厚が調整しやすくなる。
請求項2に記載の発明では、除去部材を利用して、ノズ
ル面と供給部材との離間距離を一定に保持するため、位
置決め手段として別途、別部品を設ける必要がない。請
求項3〜5に記載の発明では、一旦、ノズル面に供給さ
れたシール液体が、記録ヘッドが印字モードに入る前に
除去部材によって除去されることはない。請求項6に記
載の発明では、ノズル面が空隙部材の表面を摺擦すると
シール液体が供給される。また、ノズル面に付着したイ
ンクが空隙部材の内部へ滲み込むことはない。請求項7
に記載の発明では、空隙部材を押圧して内部に含浸した
シール液体を表面に滲出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本形態に係るインクジェット記録装置の概念
図である。
【図2】 本形態に係るインクジェット記録装置に用い
られる記録ヘッドのノズル面を示す図であり、(A)
は、平面図であり、(B)は、(A)のA−A断面図で
あり、(C)は、斜視図である。
【図3】 第1形態に係る回転手段を用いてノズル面に
シール液体を供給した後の状態を示す斜視図である。
【図4】 第1形態に係る回転手段を用いてノズル面に
供給されたシール液体を除去する前の状態を示す斜視図
である。
【図5】 第1形態に係る回転手段を用いてノズル面に
シール液体を供給する過程を示す図であり、(A)は、
記録ヘッドが記録領域にいる時の状態を示し、(B)
は、(A)の状態からプランジャーを中心に90度回転
させた状態を示し、(C)は、ノズル面にシール液体を
供給している状態を示している。
【図6】 第1形態に係る回転手段を用いてノズル面に
供給されたシール液体を除去する過程を示す図であり、
(A)は、記録ヘッドがホームポジションにいる時の状
態を示し、(B)は、(A)の状態からプランジャーを
中心に90度回転させた状態を示し、(C)は、ノズル
面に供給されたシール液体を除去している状態を示して
いる。
【図7】 本形態に係るインクジェット記録装置に用い
られる押圧手段を示す図であり、(A)は、偏芯カムが
空隙部材を押圧している状態を示し、(B)は、偏芯カ
ムが空隙部材から離れている状態を示している。
【図8】 本形態に係るインクジェット記録装置に用い
られる空隙部材の斜視図である。
【図9】 (A)は、本形態に係るインクジェット記録
装置に用いられる空隙部材の変形例を示す斜視図であ
り、(B)は、その他の変形例を示す斜視図である。
【図10】 第1形態に係る回転手段の変形例を示す図
であり、(A)は、正面図を示し、(B)は、(A)の
B−B矢視図を示している。
【図11】 第2形態に係る直交手段を用いた場合を示
す図であり、(A)は、ノズル面にシール液体を供給す
るときのシール液体規制部材の配置を示し、(B)は、
ノズル面に供給されたシール液体を除去するときのシー
ル液体規制部材の配置を示している。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置 44 除去部材(位置決め手段) 52 空隙部材(供給部材) 60 偏芯カム(押圧手段) 62 回転軸(押圧手段) 73 歯車(回転手段) 75 ピニオン(回転手段) 82 プランジャー(回転手段) 86 ステッピングモータ(回転手段) 88 制御部(回転手段) 94 ロッド(直交手段) 95 ソレノイド(直交手段) 96 除去部材(位置決め手段) 98 除去部材(位置決め手段) 104 空隙部材(供給部材) 107 空隙部材(供給部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平潟 進 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 諏訪部 恭史 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 末光 裕治 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 長谷部 恵 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 毛利 哲 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA17 FA03 FA10 JA24 JB04 JB07 JB08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルから画像情報に基づいてインクを
    記録紙に向って吐出して画像を記録する記録ヘッドが、
    前記インクの吐出を休止する休止モードに入る前にイン
    クの乾燥を防止するシール液体を前記ノズルのノズル面
    に供給する供給部材と、 前記記録ヘッドに当接し、ノズル面に対する供給部材の
    位置を決める位置決め手段と、 を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記位置決め手段が、 前記ノズル面からシール液体を除去すると共に、前記供
    給部材がノズル面にシール液体を供給するときに前記記
    録ヘッドに当接し、ノズル面と供給部材との離間距離を
    一定に保持する除去部材であることを特徴とする請求項
    1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記記録ヘッドが前記休止モードに入る
    前に前記除去部材を前記ノズル面の移動軌跡上から退避
    させる退避手段が設けられたことを特徴とする請求項1
    又は2に記載インクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記退避手段が、前記休止モードに入る
    前に前記供給部材を前記ノズル面に対して平行な面上を
    回転させ、ノズル面の移動軌跡上に前記供給部材のみ配
    置させる回転手段であることを特徴とする請求項3に記
    載インクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記退避手段が、前記休止モードに入る
    前に前記供給部材を記録ヘッドの移動方向に対して直交
    する方向へ移動させ、ノズル面の移動軌跡上に前記供給
    部材のみ配置させる直交手段であることを特徴とする請
    求項3に記載インクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記供給部材が、インクの乾燥を防止す
    るシール液体が含浸された空隙部材であって、前記空隙
    部材を押圧する押圧手段が設けられたことを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装
    置。
  7. 【請求項7】 前記空隙部材の少なくとも天面には、撥
    インク性の多孔質性樹脂が被覆されていることを特徴と
    する請求項6に記載のインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013071360A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Fujifilm Corp インクジェット記録装置

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