JP2001157843A - 光触媒及びその製造方法 - Google Patents

光触媒及びその製造方法

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JP2001157843A
JP2001157843A JP34482899A JP34482899A JP2001157843A JP 2001157843 A JP2001157843 A JP 2001157843A JP 34482899 A JP34482899 A JP 34482899A JP 34482899 A JP34482899 A JP 34482899A JP 2001157843 A JP2001157843 A JP 2001157843A
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metal oxide
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cadmium
layered composite
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Akira Yoshida
章 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた安定性や耐久性を有し、しかも波長の
長い可視光によっても励起可能な新規な光触媒を提供す
る。 【解決手段】 金属としてアルカリ金属、チタン及びニ
オブを含む層状複合金属酸化物と、その層間に包摂され
た硫化カドミウムからなる光触媒とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光化学反応、環境
汚染物質の分解除去などに好適に使用することができる
新規な光触媒及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、酸化チタン(TiO)に代
表される光応答性半導体特性を有する金属酸化物を用い
て半導体光触媒反応を行わせることについては、多くの
分野において研究がなされており、ある程度の実用性が
認められている。
【0003】この光応答性半導体特性を有する金属化合
物は、その結晶分子における価電子帯と伝導帯との間の
エネルギーギャップである「禁止帯」の値以上のエネル
ギーを有する光を吸収すると、価電子帯の電子が伝導帯
に光励起されて、伝導帯には自由電子が、価電子帯には
正孔が生成し、これらにより還元反応と酸化反応を生起
し、光触媒反応が進行する。しかし、半導体光触媒によ
って水が光分解するには、半導体のバンド幅が水の電解
圧(理論値1.23V+過電圧0.4V=1.63V)
より大きくなる必要がある上に、伝導体の電子が水を還
元することができ、かつ価電子帯の正孔が水を酸化する
ことができる能力を有していなければならない。すなわ
ち、伝導帯の下端が水からの水素発生電位よりマイナス
側に、価電子帯の上端が酸素発生電位よりプラス側に位
置していなくてはならない。このような制約があるため
に、理論的に水を完全分解できる半導体の種類は限られ
ている。
【0004】そして、一般にこのような能力をもつ金属
化合物(TiO)を主体とする光触媒を製造する方法
として、これまで無機材料粉末を用いて、直接高温焼結
する方法、半導体に金属又は金属化合物の水溶液を吸着
させた後、この半導体に吸着した金属又は金属化合物を
酸化、還元、あるいは還元後に一部酸化する方法及びい
わゆるゾル−ゲル方法などが提案されている。
【0005】しかしながら、このような方法により得ら
れる光応答性半導体特性を有する金属化合物を用いた光
触媒については、半導体のバンド幅が大きすぎるため、
太陽光の可視光部分を吸収できず、ほぼ近紫外光のみが
反応に寄与し、また光エネルギーによる励起により生じ
た電子と正孔が容易に再結合するために、種々の反応系
における反応量子収率が極めて低いという欠点がある。
さらに、CdSやZnSなどの光触媒については、バン
ドギャップの大きさと位置は適当であるが、安定性や耐
久性が低いという欠点がある。
【0006】ところで、最近、層状ペロブスカイト(K
CaNb10)型の層状複合金属酸化物が光応答
性半導体特性を有し、光触媒として利用しうることが明
らかにされ、このものは、構成する元素やその含有割合
を種々に組み合わせて異なった組成、例えば、一般式 K(CaNan−3Nb3n+1) (式中のnは3〜6の数である)で表わされる組成にす
ることができるので、その物性の調整が容易であるとい
う利点を有している。
【0007】しかしながら、これらの層状複合金属酸化
物は、通常二酸化チタンよりも大きい3.2〜3.4e
Vというバンドギャップを有しており、そのままでは、
波長の長い可視光により励起する光触媒として利用する
ことができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、これまでの光触媒がもつ欠点を克服し、
優れた安定性や耐久性を有し、しかも波長の長い可視光
によっても励起可能な新規な光触媒を提供することを目
的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光応答性
半導体特性を有する光触媒について種々研究を重ねた結
果、層状複合金属酸化物の層間にバンドギャップ2.5
eVの硫化カドミウムを包摂させると、意外にも可視光
を吸収して励起電子を放出することができ、水を還元し
て水素を発生する反応の光触媒として作用することを見
出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】すなわち、本発明は、層間に硫化カドミウ
ムを包摂した層状複合金属酸化物からなる光触媒、及び
層状複合金属酸化物を、水溶性カドミウム塩水溶液中で
加熱処理し、乾燥したのち、硫化水素と反応させること
を特徴とする光触媒の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の光触媒は、層状複合金属
酸化物と硫化カドミウムとから構成されているが、この
層状複合金属酸化物としては、一般式 M(TiNb0.5+2y+2.5z) (I) (式中のMはアルカリ金属及びタリウムの中から選ばれ
た少なくとも1種の金属であり、x,y及びzはそれぞ
れ1±0.05である)で表わされる組成を有する層状
複合金属酸化物、式K(Ti)で表わされる組
成又はそのTiの一部、好ましくはその10原子%以下
が、V,Cr,Nb及びWの中から選ばれた少なくとも
1種の金属に置き換えられた組成を有する層状複合金属
酸化物、一般式 SiO−CaNan−3Nb3n+1 (II) (式中のnは3〜6の数であり、Nbの一部、好ましく
はその10原子%以下がNi,V,Cu,Cr及びWの
中から選ばれた少なくとも1種の金属で置き換えられて
もよい)で表わされる組成をもつ、シリカピラーにより
層間架橋した層状複合金属酸化物などが用いられる。
【0012】これらの層状複合金属酸化物は、通常の複
合金属酸化物を製造する場合と同様、それを構成する金
属成分の酸化物又は焼成により酸化物に変化し得る化合
物、例えば炭酸塩、重炭酸塩などを原料として用い、公
知の方法により製造することができる。これらの原料
は、いずれも市販品をそのまま使用することができる。
【0013】すなわち、各原料を目的とする組成に相当
する金属原子比で混合し、水を加えて均一混和したの
ち、乾燥し、電気炉のような加熱炉により、800〜1
100℃の範囲内の温度で焼成する。また、シリカピラ
ーにより層間架橋した層状複合金属酸化物は、例えば特
開平11−180715号公報に記載されている方法に
従い、前記一般式(I)の組成をもつ層状複合金属酸化
物を、プロトン交換処理した後、長鎖アルキルアミンを
インターカレートし、次いでテトラアルコキシシランを
反応させ、さらに酸素含有ガス雰囲気中、400〜60
0℃の温度で焼成することによって得ることができる。
この際に用いる長鎖アルキルアミン例えばヘキシルアミ
ンやテトラアルコキシシラン例えばテトラエトキシシラ
ンは市販品をそのまま用いることができる。
【0014】本発明の光触媒は、このようにして製造し
た、層状複合金属酸化物に硫化カドミウムが包摂された
ものであるが、これは例えば水溶性カドミウム塩水溶液
中に層状複合金属酸化物粉末を投入し、層状複合金属酸
化物中にカドミウム塩を十分に含浸させたのち、乾燥
し、硫化水素ガスと接触させ、反応させることによって
製造することができる。
【0015】この際用いる水溶性カドミウム塩として
は、塩化カドミウム、ヨウ化カドミウム、硫酸カドミウ
ム、硝酸カドミウム、酢酸カドミウムなどがある。これ
らは通常1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の範
囲の濃度の水溶液として用いられる。層状複合金属酸化
物へ水溶性カドミウム塩を含浸させる処理は、通常30
〜100℃、好ましくは50〜70℃の温度において1
〜150時間行われる。
【0016】このようにして、カドミウム塩水溶液を含
浸させた層状複合金属酸化物の乾燥は、80〜150
℃、好ましくは100〜120℃の範囲の濃度に1〜1
0時間保持することによって行われる。この乾燥は、所
望ならば0.1〜0.8Paの減圧下で行うこともでき
る。
【0017】次に、このようにして得られるカドミウム
塩含有層状複合金属酸化物は、硫化水素ガスと接触さ
せ、カドミウム塩を硫化カドミウムに変化させる必要が
あるが、この硫化水素ガスとの接触は、カドミウム塩含
有層状複合金属酸化物を粉末状で硫化水素ガス雰囲気中
に保持するか、あるいはカドミウム塩含有層状複合金属
酸化物スラリー中に硫化水素ガスを導入することによっ
て行われる。この硫化水素ガスとの接触処理により、カ
ドミウム塩は、硫化カドミウムに変換する。この変換反
応は、40時間程度で完了するが、通常は1〜20時間
で十分である。このようにして反応させたのち、得られ
た硫化カドミウムを包摂した層状複合金属酸化物を濾別
し、所望に応じ常法に従って、蒸留水により洗浄し、乾
燥することにより目的とする光触媒が得られる。このよ
うにして得られた硫化カドミウムを包摂した層状複合金
属酸化物の同定は、X線回折により行うことができる。
【0018】本発明の光触媒は、太陽光の照射のもと、
これに水を供給することにより、水を効率よく水素と酸
素に分解することができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0020】実施例1 塩化カドミウム1.833gを蒸留水100mlに溶解
し、塩化カドミウム水溶液を調製した。次に、この塩化
カドミウム水溶液中へ層状K(TiNbO)粉末2.
0gを投入し、60℃において7日間反応させたのち、
これを濾別し、110℃の電気乾燥機中で20時間乾燥
した。このようにして得た塩化カドミウム含有K(Ti
NbO)を硫化水素ガスを満たした容器中に40時間
保持することにより硫化カドミウムを包摂したK(Ti
NbO)からなる光触媒1.8gを得た。
【0021】実施例2 酢酸カドミウム二水塩2.0gを蒸留水100mlに溶
解し、酢酸カドミウム水溶液を調製した。次に、この酢
酸カドミウム水溶液100ml中へ層状K(TiNbO
)粉末2.0gを投入し、60℃において3日間反応
させたのち、固形分を濾別し、新たに上記酢酸カドミウ
ム水溶液100mlを加え、さらに3日間反応させた。
このように処理した粉末を濾別し、常法に従って水洗
し、乾燥したのち、蒸留水100ml中に分散させてス
ラリーとした。次いで、このスラリー中に硫化水素ガス
をバブリングさせながら12時間反応させたのち、固形
分を濾別し、水洗、乾燥することにより、硫化カドミウ
ムを包摂したK(TiNbO)からなる光触媒1.8
gを得た。
【0022】実施例3 炭酸カリウム0.1モル、二酸化チタン0.195モ
ル、酸化ニオブ0.025モルを粉末状でよく混合した
のち、空気中で820℃で20時間、1100℃で10
時間焼成して層状K(Ti3.9Nb0.1)粉
末を調製した。別に酢酸カドミウム二水塩2.67gを
蒸留水50mlに溶解して酢酸カドミウム水溶液を調製
し、この中に前記の粉末2.1gを投入し、60〜70
℃の温度で7日間反応させたのち濾別し、得られた固形
分を110℃の電気乾燥機中で乾燥した。次いで、それ
を硫化水素ガスを満たした容器の中に40時間保持する
ことにより、硫化カドミウムを包摂したK(Ti
3.9Nb0.1)からなる光触媒1.9gを得
た。
【0023】実施例4 層状CaNb10粉末3.0gを、n‐ヘキシル
アミン80mlとエチルアルコール40mlとの混合物
中に投入し、室温でかきまぜながら7日間反応させるこ
とにより、ヘキシルアミンでインターカレーションした
層状CaNb 10粉末を調製した。次いで、上記
の粉末2.5gをテトラエトキシシラン80mlと混合
し、65℃でかきまぜながら7日間反応させたのち、生
成物を取り出し、空気中、500℃において焼成するこ
とにより、層間にシリカピラーを有する層状CaNb
10粉末2.2gを得た。このようにして得た粉末
1.3gを密閉容器中で真空脱気後、同じようにして脱
気した1.25M塩化カドミウム水溶液12mlを加
え、アルゴンガスを導入して容器内圧力をほぼ1Paに
保持し、20時間反応させた。得られた生成物を濾別
し、乾燥したのち、硫化水素ガスを満たした容器に入
れ、40時間反応させた。このようにして、硫化カドミ
ウムを包摂した層状SiO−CaNb から
なる光触媒1.2gを得た。
【0024】実施例5 薄型円筒状受光セルの上に実施例1,3及び4で得た光
触媒及び比較のためのCdS触媒を各0.1gずつ分散
させて載置したのち、0.1M硫化ナトリウム水溶液2
0mlを導入し、キセノンランプで照射しながら6時間
分解反応を行わせたのち、この間に生成した水素量を測
定した。この結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】なお、この表中の安定性及び耐久性は以下
の方法で評価した。 (1)安定性;水素発生量がほとんど認められなくなる
までの時間を測定した。 (2)耐久性;120時間水の分解を行わせたのち、
0.1M硫化ナトリウム水溶液20mlを添加し、触媒
能力が完全に回復するものを○、回復不十分なものを△
とした。
【0027】この表から分かるように、本発明の光触媒
は、これまでのCdS光触媒に比べ優れた水の光分解性
能を示すほか、安定性、耐久性においても改善されてい
る。
【0028】実施例6 実施例3の光触媒を用い、実施例5におけるキセノンラ
ンプの照射の代りに太陽光を6時間照射すること以外
は、実施例5と同様にして、水の光分解を行った。その
結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明の光触媒は、安定性、耐久性が優
れ、かつ従来のCdS系光触媒よりも高い水の光分解性
を示す。また、本発明によれば、種々の元素を組み合わ
せることにより、実用に適した各種の組成の光触媒を提
供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年6月26日(2000.6.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 光触媒及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光化学反応、環境
汚染物質の分解除去などに好適に使用することができる
新規な光触媒及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、酸化チタン(TiO)に代
表される光応答性半導体特性を有する金属酸化物を用い
て半導体光触媒反応を行わせることについては、多くの
分野において研究がなされており、ある程度の実用性が
認められている。
【0003】この光応答性半導体特性を有する金属化合
物は、その結晶分子における価電子帯と伝導帯との間の
エネルギーギャップである「禁止帯」の値以上のエネル
ギーを有する光を吸収すると、価電子帯の電子が伝導帯
に光励起されて、伝導帯には自由電子が、価電子帯には
正孔が生成し、これらにより還元反応と酸化反応を生起
し、光触媒反応が進行する。しかし、半導体光触媒によ
って水が光分解するには、半導体のバンド幅が水の電解
圧(理論値1.23V+過電圧0.4V=1.63V)
より大きくなる必要がある上に、伝導体の電子が水を還
元することができ、かつ価電子帯の正孔が水を酸化する
ことができる能力を有していなければならない。すなわ
ち、伝導帯の下端が水からの水素発生電位よりマイナス
側に、価電子帯の上端が酸素発生電位よりプラス側に位
置していなくてはならない。このような制約があるため
に、理論的に水を完全分解できる半導体の種類は限られ
ている。
【0004】そして、一般にこのような能力をもつ金属
化合物(TiO)を主体とする光触媒を製造する方法
として、これまで無機材料粉末を用いて、直接高温焼結
する方法、半導体に金属又は金属化合物の水溶液を吸着
させた後、この半導体に吸着した金属又は金属化合物を
酸化、還元、あるいは還元後に一部酸化する方法及びい
わゆるゾル−ゲル方法などが提案されている。
【0005】しかしながら、このような方法により得ら
れる光応答性半導体特性を有する金属化合物を用いた光
触媒については、半導体のバンド幅が大きすぎるため、
太陽光の可視光部分を吸収できず、ほぼ近紫外光のみが
反応に寄与し、また光エネルギーによる励起により生じ
た電子と正孔が容易に再結合するために、種々の反応系
における反応量子収率が極めて低いという欠点がある。
さらに、CdSやZnSなどの光触媒については、バン
ドギャップの大きさと位置は適当であるが、安定性や耐
久性が低いという欠点がある。
【0006】ところで、最近、層状ペロブスカイト(K
CaNb10)型の層状複合金属酸化物が光応答
性半導体特性を有し、光触媒として利用しうることが明
らかにされ、このものは、構成する元素やその含有割合
を種々に組み合わせて異なった組成、例えば、一般式 K(CaNan−3Nb3n+1) (式中のnは3〜6の数である)で表わされる組成にす
ることができるので、その物性の調整が容易であるとい
う利点を有している。
【0007】しかしながら、これらの層状複合金属酸化
物は、通常二酸化チタンよりも大きい3.2〜3.4e
Vというバンドギャップを有しており、そのままでは、
波長の長い可視光により励起する光触媒として利用する
ことができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、これまでの光触媒がもつ欠点を克服し、
優れた安定性や耐久性を有し、しかも波長の長い可視光
によっても励起可能な新規な光触媒を提供することを目
的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光応答性
半導体特性を有する光触媒について種々研究を重ねた結
果、金属としてアルカリ金属、チタン及びニオブを含む
層状複合金属酸化物の層間にバンドギャップ2.5eV
の硫化カドミウムを包摂させると、意外にも可視光を吸
収して励起電子を放出することができ、水を還元して水
素を発生する反応の光触媒として作用することを見出
し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】すなわち、本発明は、金属としてアルカリ
金属、チタン及びニオブを含む層状複合金属酸化物と、
その層間に包摂された硫化カドミウムからなる光触媒、
及び上記の層状複合金属酸化物を、水溶性カドミウム塩
水溶液中で加熱処理し、乾燥したのち、硫化水素と反応
させることを特徴とする光触媒の製造方法を提供するも
のである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の光触媒は、層状複合金属
酸化物と硫化カドミウムとから構成されているが、この
層状複合金属酸化物としては、一般式 M(TiNb0.5+2y+2.5z) (I) (式中のMはアルカリ金属の中から選ばれた少なくとも
1種の金属であり、x,y及びzはそれぞれ1±0.0
5である)で表わされる組成を有する層状複合金属酸化
物、式K(Ti)で表わされる組成のTiの一
部、好ましくはその10原子%以下がNbに置き換えら
れた組成を有する層状複合金属酸化物が用いられる。
【0012】これらの層状複合金属酸化物は、通常の複
合金属酸化物を製造する場合と同様、それを構成する金
属成分の酸化物又は焼成により酸化物に変化し得る化合
物、例えば炭酸塩、重炭酸塩などを原料として用い、公
知の方法により製造することができる。これらの原料
は、いずれも市販品をそのまま使用することができる。
【0013】すなわち、各原料を目的とする組成に相当
する金属原子比で混合し、水を加えて均一混和したの
ち、乾燥し、電気炉のような加熱炉により、800〜1
100℃の範囲内の温度で焼成する。
【0014】本発明の光触媒は、このようにして製造し
た、金属としてアルカリ金属、チタン及びニオブを含む
層状複合金属酸化物に硫化カドミウムを包摂したもので
あるが、これは例えば水溶性カドミウム塩水溶液中に層
状複合金属酸化物粉末を投入し、層状複合金属酸化物中
にカドミウム塩を十分に含浸させたのち、乾燥し、硫化
水素ガスと接触させ、反応させることによって製造する
ことができる。
【0015】この際用いる水溶性カドミウム塩として
は、塩化カドミウム、ヨウ化カドミウム、硫酸カドミウ
ム、硝酸カドミウム、酢酸カドミウムなどがある。これ
らは通常1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の範
囲の濃度の水溶液として用いられる。層状複合金属酸化
物へ水溶性カドミウム塩を含浸させる処理は、通常30
〜100℃、好ましくは50〜70℃の温度において1
〜150時間行われる。
【0016】このようにして、カドミウム塩水溶液を含
浸させた層状複合金属酸化物の乾燥は、80〜150
℃、好ましくは100〜120℃の範囲の濃度に1〜1
0時間保持することによって行われる。この乾燥は、所
望ならば0.1〜0.8Paの減圧下で行うこともでき
る。
【0017】次に、このようにして得られるカドミウム
塩含有層状複合金属酸化物は、硫化水素ガスと接触さ
せ、カドミウム塩を硫化カドミウムに変化させる必要が
あるが、この硫化水素ガスとの接触は、カドミウム塩含
有層状複合金属酸化物を粉末状で硫化水素ガス雰囲気中
に保持するか、あるいはカドミウム塩含有層状複合金属
酸化物スラリー中に硫化水素ガスを導入することによっ
て行われる。この硫化水素ガスとの接触処理により、カ
ドミウム塩は、硫化カドミウムに変換する。この変換反
応は、40時間程度で完了するが、通常は1〜20時間
で十分である。このようにして反応させたのち、得られ
た硫化カドミウムを包摂した層状複合金属酸化物を濾別
し、所望に応じ常法に従って、蒸留水により洗浄し、乾
燥することにより目的とする光触媒が得られる。このよ
うにして得られた硫化カドミウムを包摂した層状複合金
属酸化物の同定は、X線回折により行うことができる。
【0018】本発明の光触媒は、太陽光の照射のもと、
これに水を供給することにより、水を効率よく水素と酸
素に分解することができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0020】実施例1 塩化カドミウム1.833gを蒸留水100mlに溶解
し、塩化カドミウム水溶液を調製した。次に、この塩化
カドミウム水溶液中へ層状K(TiNbO)粉末2.
0gを投入し、60℃において7日間反応させたのち、
これを濾別し、110℃の電気乾燥機中で20時間乾燥
した。このようにして得た塩化カドミウム含有K(Ti
NbO)を硫化水素ガスを満たした容器中に40時間
保持することにより硫化カドミウムを包摂したK(Ti
NbO)からなる光触媒1.8gを得た。
【0021】実施例2 酢酸カドミウム二水塩2.0gを蒸留水100mlに溶
解し、酢酸カドミウム水溶液を調製した。次に、この酢
酸カドミウム水溶液100ml中へ層状K(TiNbO
)粉末2.0gを投入し、60℃において3日間反応
させたのち、固形分を濾別し、新たに上記酢酸カドミウ
ム水溶液100mlを加え、さらに3日間反応させた。
このように処理した粉末を濾別し、常法に従って水洗
し、乾燥したのち、蒸留水100ml中に分散させてス
ラリーとした。次いで、このスラリー中に硫化水素ガス
をバブリングさせながら12時間反応させたのち、固形
分を濾別し、水洗、乾燥することにより、硫化カドミウ
ムを包摂したK(TiNbO)からなる光触媒1.8
gを得た。
【0022】実施例3 炭酸カリウム0.1モル、二酸化チタン0.195モ
ル、酸化ニオブ0.025モルを粉末状でよく混合した
のち、空気中で820℃で20時間、1100℃で10
時間焼成して層状K(Ti3.9Nb0.1)粉
末を調製した。別に酢酸カドミウム二水塩2.67gを
蒸留水50mlに溶解して酢酸カドミウム水溶液を調製
し、この中に前記の粉末2.1gを投入し、60〜70
℃の温度で7日間反応させたのち濾別し、得られた固形
分を110℃の電気乾燥機中で乾燥した。次いで、それ
を硫化水素ガスを満たした容器の中に40時間保持する
ことにより、硫化カドミウムを包摂したK(Ti
3.9Nb0.1)からなる光触媒1.9gを得
た。
【0023】比較例 層状CaNb10粉末3.0gを、n‐ヘキシル
アミン80mlとエチルアルコール40mlとの混合物
中に投入し、室温でかきまぜながら7日間反応させるこ
とにより、ヘキシルアミンでインターカレーションした
層状CaNb 10粉末を調製した。次いで、上記
の粉末2.5gをテトラエトキシシラン80mlと混合
し、65℃でかきまぜながら7日間反応させたのち、生
成物を取り出し、空気中、500℃において焼成するこ
とにより、層間にシリカピラーを有する層状CaNb
10粉末2.2gを得た。このようにして得た粉末
1.3gを密閉容器中で真空脱気後、同じようにして脱
気した1.25M塩化カドミウム水溶液12mlを加
え、アルゴンガスを導入して容器内圧力をほぼ1Paに
保持し、20時間反応させた。得られた生成物を濾別
し、乾燥したのち、硫化水素ガスを満たした容器に入
れ、40時間反応させた。このようにして、硫化カドミ
ウムを包摂した層状SiO−CaNb から
なる光触媒1.2gを得た。
【0024】実施例4 薄型円筒状受光セルの上に実施例1,3及び比較例で得
た光触媒及び対照例としてCdS触媒を各0.1gずつ
分散させて載置したのち、0.1M硫化ナトリウム水溶
液20mlを導入し、キセノンランプで照射しながら6
時間分解反応を行わせたのち、この間に生成した水素量
を測定した。この結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】なお、この表中の安定性及び耐久性は以下
の方法で評価した。 (1)安定性;水素発生量がほとんど認められなくなる
までの時間を測定した。 (2)耐久性;120時間水の分解を行わせたのち、
0.1M硫化ナトリウム水溶液20mlを添加し、触媒
能力が完全に回復するものを○、回復不十分なものを△
とした。
【0027】この表から分かるように、本発明の光触媒
は、これまでのCdS光触媒に比べ優れた水の光分解性
能を示すほか、安定性、耐久性においても改善されてい
る。
【0028】実施例5 実施例3の光触媒を用い、実施例4におけるキセノンラ
ンプの照射の代りに太陽光を6時間照射すること以外
は、実施例4と同様にして、水の光分解を行った。その
結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明の光触媒は、安定性、耐久性が優
れ、かつ従来のCdS系光触媒よりも高い水の光分解性
を示す。また、本発明によれば、種々の元素を組み合わ
せることにより、実用に適した各種の組成の光触媒を提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D048 AA21 AB03 BA02X BA06X BA07X BA13X BA15X BA16X BA17Y BA23Y BA24X BA27Y BA42X BA46X EA01 4G069 AA02 AA08 AA09 BA02A BA02B BA12A BA12B BA21C BA48A BB06A BB06B BB08C BB09A BB09B BB10C BB12C BC01A BC02A BC03A BC03B BC09A BC09B BC19A BC36A BC36B BC36C BC50A BC50B BC54A BC55A BC55B BC58A BC60A BD12C BD14C BE08C CA10 CA11 CC33 FA01 FB06 FB29 FB50 FB57 FC02 FC07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層間に硫化カドミウムを包摂した層状複
    合金属酸化物からなる光触媒。
  2. 【請求項2】 層状複合金属酸化物が、一般式 M(TiNb0.5+2y+2.5z) (式中のMはアルカリ金属及びタリウムの中から選ばれ
    た少なくとも1種の金属であり、x,y及びzはそれぞ
    れ1±0.05である)で表わされる組成を有する請求
    項1記載の光触媒。
  3. 【請求項3】 層状複合金属酸化物がK(Ti
    )又はそのTiの一部がV,Cr,Nb及びWの
    中から選ばれた少なくとも1種の金属により置換された
    組成を有する請求項1記載の光触媒。
  4. 【請求項4】 層状複合金属酸化物が、一般式 SiO−CaNan−3Nb3n+1 (式中のnは3〜6の数であり、Nbの一部はNi,
    V,Cu,Cr及びWの中から選ばれた少なくとも1種
    の金属で置き換えられてもよい)で表わされる組成をも
    ち、かつ層間にシリカの支柱を有する層間架橋体である
    請求項1記載の光触媒。
  5. 【請求項5】 層状複合金属酸化物を、水溶性カドミウ
    ム塩水溶液中で加熱処理し、乾燥したのち、硫化水素と
    反応させることを特徴とする請求項1記載の光触媒の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 30〜100℃の温度で加熱処理する請
    求項5記載の製造方法。
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