JP2018058732A - 銅バナジウム硫化物、光触媒、および助触媒担持Cu3VS4の製造方法 - Google Patents

銅バナジウム硫化物、光触媒、および助触媒担持Cu3VS4の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物ないし該銅バナジウム硫化物を用いる光触媒の水素生成活性およびそれを用いた光電極の光電気化学特性を向上することができる、銅バナジウム硫化物の製造方法、光触媒の製造方法、および助触媒担持Cu3VS4の製造方法を提供する。【解決手段】硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V2S3)を硫黄(S)の存在下に熱処理することを含む、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(Cu3VS4)の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、銅バナジウム硫化物、光触媒、および助触媒担持CuVSの製造方法に関する。
太陽エネルギーを利用する光エネルギー変換システムの実用化は、地球温暖化の抑制、枯渇しつつある化石資源への依存からの脱却を目指す観点から、近年その重要性が増している。なかでも、太陽エネルギーを用いて水を分解し水素を製造する技術は、現行の石油精製技術、アンモニア、メタノールの原料供給技術としてのみならず、燃料電池をベースとした将来の水素エネルギー社会における水素供給技術として有望視されている。
また、光エネルギーを用いて水から水素を製造する技術は、光エネルギーを化学エネルギーに変換する技術と目されているが、実用化されて久しい太陽光発電は生成する電気エネルギーの貯蔵が容易でないために蓄電技術の進展が望まれている一方で、水素をはじめとする化学エネルギーは、エネルギーの貯蔵、輸送、単位当りのエネルギー量において優位なエネルギーになると期待されている。
水分解にて水素と酸素とを発生する光触媒には、水素発生用と酸素発生用の2種に大別される。なかでも、金属硫化物は、長波長の光に応答する材料が多く、水素発生用光触媒としての提案が数多くある。
金属硫化物系の光触媒の提案として、例えば、特許文献1では、水素発生に有効な光触媒として、組成式 Zn1−2x(CuGa)Inで表される複合金属硫化物に関する報告がある。また、特許文献2では、水素発生に有効な光触媒として、CuInSのCuまたはInの一部をAgまたはGaで置換した硫化物固溶体からなる光触媒に関する報告がなされている。また、特許文献3では、水素発生に有効な光触媒として、組成式 (CuAg)In2xZn2(1−2x)で表される可視光活性硫化物固溶体に関する報告がある。
非特許文献1〜5では、水素生成反応に有効な光触媒として、サルバナイト構造を有する、組成式 CuMS(M=Nb,Ta,V)で表される硫化物光触媒が報告されている。
特開2009−066529号公報 特開2006−167652号公報 特開2005−199222号公報
日本化学会第86春季年会(2006年)4D4−06「新規d0系硫化物光触媒による可視光照射下での水素生成反応」 第98回触媒討論会(2007年)A−P061「Sulvanite型硫化物固溶体光触媒による可視光照射下での水素生成反応」 第113回触媒討論会(2014年)A−1P27「d0系金属イオンからなる金属硫化物光触媒の光電気化学特性」 第114回触媒討論会(2014年)A−F29「サルバナイト構造を有するCu3MS4(M=Nb,Ta,V)光触媒をカソードとして用いたソーラー水素製造」 第116回触媒討論会(2015年)A−2I19「サルバナイト構造を有するCu3VS4(M=Nb,Ta,V)光触媒電極を用いたソーラー水素生成反応における表面修飾効果」
銅を含む硫化物は、一般に広範囲の太陽光を吸収できるため、太陽電池として利用されているCIGS(Cu−In−Ga−S)をはじめとして、光応答材料として有用なものが多い。太陽光をエネルギー源にして水を分解して水素を生成する光触媒としても、種々の金属硫化物が提案されている。サルバナイト構造を有する銅やバナジウムを含む硫化物もその一つとして知られている。
しかしながら、可視光照射下での水分解に用いられる、これら金属硫化物が有する光触媒特性や光電気化学特性は、まだ十分とは言えず、さらなる性能向上が求められている。硫化物は一般に狭いバンドギャップ構造によって長波長の光を吸収できる材料が多い。サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)も820nmの吸収端波長を持つものの、可視光照射下での水分解活性ないし水素生成活性は現状では決して高いものではない。
本発明は、かかる現状に鑑み、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)ないし該銅バナジウム硫化物を含む光触媒の可視光照射下における水素生成活性およびそれを用いた光電極(本明細書において、「光触媒電極」ともいうことがある。)の光電気化学特性を向上することができる、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法、光触媒の製造方法、および助触媒担持CuVSの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来の製造方法は高温での固相法(固相反応)が用いられており、得られる銅バナジウム硫化物(CuVS)の結晶の質がよくない、高品位でないために光触媒活性が低下することが考えられ、特に、S量が十分でないために結晶内部にSの欠陥などが存在することが光触媒活性の低さの要因と考えられることを見出した。そして、光触媒の活性を向上させて高性能な水分解活性を得るためには、光触媒の結晶状態が大きく影響するため、結晶性が高い、欠陥がない、不純物がない、といった高品質・高品位な光触媒とする必要があり、そのために、銅バナジウム硫化物のよりよい状態の結晶を製造する方法を見出し、それにより、光触媒活性が増大し、可視光照射下での水分解活性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
[1]硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を硫黄(S)の存在下に熱処理することを含む、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法。
[2]上記硫黄(S)の上記硫化銅(CuS)に対するモル比が0.1以上、4以下である、上記[1]に記載の銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法。
[3]上記熱処理は、300℃以上、700℃以下において行う、上記[1]又は[2]に記載の銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法。
[4]銅バナジウム硫化物(CuVS)を含む光触媒の製造方法であって、
上記銅バナジウム硫化物(CuVS)は、上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される、光触媒の製造方法。
[5]銅バナジウム硫化物(CuVS)に助触媒を担持してなる助触媒担持CuVSの製造方法であって、
前記銅バナジウム硫化物(CuVS)は、上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の製造方法によって製造され、
前記助触媒は、ルテニウム、白金、イリジウム、パラジウム及び金からなる群より選択される少なくとも1つである、
助触媒担持CuVSの製造方法。
[6]上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の方法により製造された銅バナジウム硫化物(CuVS)、上記[4]に記載の方法により製造された光触媒、又は上記[5]に記載の製造方法によって製造された助触媒担持CuVSが導電性基板上に積層または塗布された光電極。
[7] 上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された銅バナジウム硫化物(CuVS)、上記[4]に記載の製造方法によって製造された光触媒、又は上記[5]に記載の製造方法によって製造された助触媒担持CuVSを導電性基板上に積層または塗布して得られる光電極。
[8]水素発生用光電極である、上記[6]又は[7]に記載の光電極。
[9]銅バナジウム硫化物(CuVS)、銅バナジウム硫化物(CuVS)を含む光触媒、又は銅バナジウム硫化物(CuVS)に助触媒を担持してなる助触媒担持CuVSを導電性基板上に積層することを含む、光電極の製造方法であって、
上記銅バナジウム硫化物(CuVS)は、上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の製造方法によって製造され、
上記光触媒は、上記[4]に記載の製造方法によって製造され、
上記助触媒担持CuVSは、上記[5]に記載の製造方法によって製造される、
光電極の製造方法。
本発明によれば、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)ないし該銅バナジウム硫化物を含む光触媒の可視光照射下における水素生成活性およびそれを用いた光電極の光電気化学特性を向上することができる、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法、光触媒の製造方法、および助触媒担持CuVSの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により製造されるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)(本明細書において、かかる「サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)」を「銅バナジウム硫化物」、「CuVS」または「銅バナジウム硫化物(CuVS)」と略記することがある。)は、光触媒として、可視光領域の太陽光を用いて水を分解して水素を生成する光触媒性能に優れている。かかる光触媒は、水素発生用光触媒または光触媒電極、具体的には水素発生用光触媒電極に用いることで、可視光照射下での高い光触媒活性を発現することができる。かかる光電極は新規な光触媒電極として高性能を発揮することができる。
実施例1〜4において各S/Cu比で合成したCuVSの粉末X線回折パターンの(A)全体図および(B)拡大図である。 実施例1〜4において各S/Cu比で合成したCuVSのSEM像である。
以下、具体的な形態を示す。銅バナジウム硫化物(CuVS)ないし光触媒の製造方法、助触媒担持、光触媒電極、水分解による水素製造方法について順に記述する。
1.銅バナジウム硫化物(CuVS)ないし光触媒の製造方法
本発明におけるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法は、硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を硫黄(S)の存在下で熱処理することを含む。この製造方法における合成反応は下記式1に示される。
3CuS + 0.5V −> CuVS + 0.5S ・・・(式1)
硫化銅(CuS)のCuの価数は+2価、硫化バナジウム(V)のVの価数は+3価であるのに対し、生成物のCuVSにおけるCuおよびVの価数は各々+1価と+5価である。すなわち、上記式1で示される反応は、該反応の前後において、Cuは+2価から+1価に還元され、Vは+3価から+5価に酸化されており、酸化還元反応を伴う。
硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)は、CuSおよび/またはVを製造するための原料、例えば、硫化銅(CuS)を合成するための塩化第二銅(CuCl)およびHS、また、三硫化二バナジウム(V)を合成するためのバナジウム(バナジウム単体)および硫黄(S)を系内に投入した後、生成するCuSおよび/またはVを単離することなく上記式1に示される反応を続けてもよいが、不純物の含有量を低減し得る点で、硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を単離するまたは市販の硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を用いるなど、硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を原料として、硫黄(S)の存在下で熱処理することが好ましい。
用いることができる原料としては、硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を主成分としている限り、硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)以外に例えば、亜硫化銅(CuS)などを併用してもよい。Cu(銅)を組成に含む原料化合物を複数種用いる場合、Cu(銅)を組成に含む原料化合物のうち硫化銅(CuS)は、Cuのモル数(当量)に換算して70モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることがさらにより好ましく、かかる範囲内であれば上限としては、例えば97モル%であってもよいが、100モル%であることが特に好ましい。かかる範囲内であれば、得られるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)が優れた水素生成活性を有する傾向にある。
原料として、硫化銅(CuS)に対する硫化バナジウム(V)のモル比(V/CuS)としては、上記式1の反応が行われる量であれば特に限定されないが、製造効率などの点で、上記式1における化学量論上のモル比、すなわち、V/CuS=0.5/3の90%以上、150%以下であってよく、95%以上、130%以下が好ましく、98%以上、120%以下がより好ましく、100%以上、110%以下がさらに好ましい。該モル比(V/CuS)0.5/3に対する百分率(%)に基づき、硫化バナジウム(V)の硫化銅(CuS)に対する上記式1における必要量(化学量論値)に対する実際の仕込み量を定めることができる。
本発明において、硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を硫黄(S)の存在下に熱処理する。硫黄(S)の融点は115.2℃、沸点は444.7℃であり、その比較的低い融点と沸点を利用して、硫黄(S)をフラックス剤として用いることが可能となると考えられる。すなわち、硫黄(S)は、溶媒として原料を可溶化するとともに、硫黄が蒸発することによって溶質が過飽和状態になることによって結晶化が進むと考えられる。
結晶育成法の一つとして、フラックス(融剤)法がよく知られている。溶媒を用いる結晶育成法には、水溶液法、水熱法およびフラックス(融剤)法があり、溶液の徐冷や溶媒の蒸発による過飽和が結晶化の駆動力である。水溶液法は、水を溶媒とし、室温に近い温度での結晶を育成する。水熱法では、100℃を越す水を溶媒とした高温高圧条件下で結晶を育成する。
水を溶媒としない場合であっても、無機化合物(酸化物、ハロゲン化物など)、金属などは、高温で融解することで溶媒になる。これらの溶媒をフラックスと呼び、それを用いる結晶育成法がフラックス法である。フラックスに溶質を溶解させ、溶液の冷却やフラックスの蒸発による過飽和度の変化を駆動力として、結晶を育成する。
フラックス法の長所は、物質(溶質)の融点よりもはるかに低い温度で結晶が成長すること、成長しながら、結晶構造を反映したフラットな結晶面で囲まれた自形をもつこと、装置が簡便で操作が易しいこと、などが挙げられる。自形とは結晶本来の形である。自形をもつことが可能なフラックス法を用いて結晶を育成することにより、結晶方位の指定を容易にすることができる。かかる長所から、結晶育成法としてはフラックス法が好ましい。
本実施態様における硫黄(S)は、その低融点を活かして、上記の通りフラックス剤として機能することを期待することができ、それにより、目的とする結晶育成を有利に進める可能性がある、すなわち、欠陥の少ない高品位な結晶を得ることが容易になると考えられる。本実施態様における熱処理時に共存する硫黄(S)としては、0価のSを含むものであれば特に限定されないが、硫黄単体が好ましく、例えば、S8を単位構造とする斜方硫黄、単斜硫黄等が好適に用いられ、また、その他の各種硫黄を用いることができるが、式1に示される硫化銅(CuS)と硫化バナジウム(V)との反応の副生成物である硫黄(S)を好適に用いることができ、該副生成物のみであってもよいし、該副生成物と、添加する硫黄とを併用してもよい。
本実施態様における熱処理時に共存する硫黄(S)の量は、原料として用いた硫化銅(CuS)に対するモル比(本明細書において、「S/Cuモル比」または「S/Cu比」と表すことがある。)として、0.1以上、4以下であることが好ましく、0.13以上、3以下がより好ましく、0.16以上、2.7以下がさらに好ましい。本明細書においてS/Cuモル比を次のように定義する。Sは反応終了時に系内に存在が期待されるモル量であり、CuはCuSのモル量であり、S/Cuモル比は前者を後者で割った値である。Sについて上記「反応終了時に系内に存在が期待されるモル量」としては、例えば、式1における副生成物である硫黄(S)以外に硫黄(S)を添加しない場合、該式1における副生成物である硫黄(S)のモル数の化学量論値(理論値)であり、また、式1における副生成物である硫黄(S)以外に硫黄(S)を添加する場合、該式1における副生成物である硫黄(S)のモル数の化学量論値(理論値)と、添加する硫黄(S)のモル数との和である。CuSモル量としては、CuSを原料として用いる、すなわち、CuSを系内に添加する乃至仕込む場合、仕込み時のCuSモル量である。CuSモル量としては、仕込み時のCuSモル量を用いることが好ましい。
式1に示される通り、本実施態様のサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造時において、合成反応が進むに従い、硫黄(S)が生成するので、出発原料として、硫黄(S)を積極的に添加せずとも、上記のフラックス剤としての効果発現が期待される。
本実施態様における熱処理時の温度は300℃以上、700℃以下が好ましく、400℃以上、650℃以下がより好ましい。300℃以上であると、結晶成長の遅延を防止しやすい結果、熱処理時間が長くなりすぎず現実的であり、700℃以下であると、硫黄が蒸発してフラックス剤として機能しなくなることを容易に防止でき、よい結晶を得やすい。
本実施態様における熱処理時のその他の条件としては、熱処理の時間、雰囲気ガス、圧力などが挙げられる。熱処理の時間としては、1時間以上、20時間以下が好ましく、2時間以上、15時間以下がより好ましく、3時間以上、12時間以下がさらに好ましい。雰囲気ガスは窒素、アルゴンなどの不活性ガスが好ましい。圧力は特に限定されないが、常圧だけでなく、減圧下においても実施することができる。常圧としては、例えば、0.1MPa±0.01MPaであってよい。減圧下としては、例えば、0.01Pa以上、0.1MPa未満等が挙げられ、0.1Pa以上、0.1MPa以下が好ましい。
熱処理後、生成物である銅バナジウム硫化物を精製する方法は特に限定されない。通常、熱処理後、副生物または過剰に用いた硫黄(S)を除去することが好ましいが、硫黄はその低沸点のために熱処理過程において飛散・遊離しており、生成物である銅バナジウム硫化物と硫黄とをあえて分離する必要がない。すなわち、通常は、熱処理後における後処理工程は特に必要とせず、生成した銅バナジウム硫化物はそのまま次工程に使用することができる。
本実施態様により得られるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、5μm未満であり、より好ましくは0.1μm以上、4μm以下未満であり、さらにより好ましくは0.1μm以上、3μm未満である。
本実施態様により得られるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)は、光触媒、特に、光照射下において水を還元して水素を生成するための触媒として有用である。該銅バナジウム硫化物は、水中において光を照射する際に、光励起された電子が光触媒の表面において水分子に電子を与えることで水素分子が生成すると考えられる。
本実施態様により得られるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)は、光水分解反応用の光触媒として好適に利用することができる。その場合、光水分解反応に供される光触媒の形態としては、特に限定されず、例えば、水中に光触媒を分散させる形態、光触媒を成形体として当該成形体を水中に設置する形態、基材上に光触媒を含む層を設けて積層体とし当該積層体を水中に設置する形態、集電体上に光触媒を固定化して光水分解反応用の光触媒電極とし対極とともに水中に設置する形態などが挙げられ、後者の光触媒電極の形態が好ましい。光触媒電極については後述する。
光触媒を設置する水は、液体状または気体状であってよい。また、上記の水としては、電解質水溶液を用いてもよい。
2.助触媒担持
光水分解に供される光触媒が光水分解活性を効果的に発揮するためには、光触媒表面に水素発生を促進する助触媒を担持して用いることが好ましい。
本実施態様において好適に用いられる助触媒の種類としては、特に限定されないが、例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、金などの貴金属などが挙げられ、なかでも、ルテニウム、イリジウムが好ましく、ルテニウムがより好ましい。助触媒は、2種以上を用いてもよいが、通常、1種のみを用いることでも十分に助触媒の機能を発揮することができる。
助触媒の担持の形態は、特に限定されないが、触媒表面に粒子として担持された状態が好ましい。助触媒は、平均粒子径が0.1〜10nmのナノサイズの微粒子であることが好ましい。
助触媒の担持方法としては、特に限定されず、例えば、含浸、光電着、電気泳動、スパッタ、ドロップキャストなどの一般的な方法などが挙げられる。助触媒を担持させることは、銅バナジウム硫化物(CuVS)の表面処理ともいえる。
担持量も特に限定されるものでなく、光触媒として用いる銅バナジウム硫化物の0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。
本実施態様の、助触媒を担持した、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(本明細書において、「助触媒担持CuVS」と略記することがある。)は、可視光照射下において優れた水素生成活性を有することができる。具体的には、例えば、助触媒としてRuを用いる場合、CuVSに対するRu担持量が2質量%であるRu助触媒担持CuVS粉末0.3gを、0.5mol・L−1NaSおよび0.1mol・L−1SOの水溶液120mLに懸濁させ、300Wのキセノンランプから420nm以上の可視光を照射する場合に生成する水素の単位時間当たりの生成モル数のガスクロマトグラフによる定量値を100μmol・h−1以上とすることができる。該定量値は、好ましくは130μmol・h−1以上であり、より好ましくは140μmol・h−1以上である。該定量値の上限値としては特に限定されないが、例えば、1000mL・h−1以下とすることができる。
3.光触媒電極
上述した、本実施態様におけるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物を用いた光水分解反応用の光触媒電極は、例えば、公知の方法により作製可能である。例えば、ドロップキャスト法、粒子転写法、物理的成膜法、ロールプレス法、電気泳動法などの一般的な方法が好適に用いられる。該光触媒電極に用いるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物としては、上述の助触媒担持CuVSを用いることが好ましい。これらの方法により得られる光触媒電極は、光水分解反応用の光触媒電極に好適である。
本実施態様では、上述のサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物ないし該銅バナジウム硫化物を用いた光触媒を基板上に積層または塗布して得られる光電極が好ましい。基板としては、通常、電極基板、導電性基板などを用いることができ、例えば、透明導電性基板などが挙げられ、フッ素ドープ酸化錫(FTO)基板が好ましい。積層方法としては、上述のドロップキャスト法などを用いることができる。
本実施態様では、特に、電極基板ないし導電性基板上、好ましくは透明電極基板上にドロップキャスト法により作製された電極が良好な光水分解活性を示した。かかる光電極は、例えば、銅バナジウム硫化物(CuVS)粉末を懸濁させた液体を電極基板に滴下することにより銅バナジウム硫化物粉末を該電極基板上に塗布した後、窒素雰囲気炉等の不活性ガス雰囲気炉で150℃〜500℃において数時間、例えば1時間〜10時間加熱することにより、得ることができる。銅バナジウム硫化物粉末の懸濁液としては特に限定されないが、例えば、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノールなどのアルコールを分散媒とする液体が好ましい。電極基板としては特に限定されないが、例えば、フッ素ドープ酸化スズFTO基板、Inドープ酸化スズITOなどが挙げられる。光触媒電極は、具体的には、銅バナジウム硫化物(CuVS)粉末を懸濁させたエタノール溶液をフッ素ドープ酸化錫FTO基板に滴下することで銅バナジウム硫化物粉末をFTO基板上に塗布し、その後窒素雰囲気炉で150℃〜500℃において数時間処理することにより、得ることができ、得られる光触媒電極は、光水分解反応用に好適である。
4.水分解による水素製造方法
本実施態様により製造されるサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物は、粉体そのままの形状の光触媒として、または、上述の光触媒電極として、水若しくは電解質水溶液に浸漬し、当該光触媒または光触媒電極に光を照射して光水分解を行うことで水素を製造することができる。この場合、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物としては、上述の助触媒担持CuVSを用いることが好ましい。
例えば、上述のように導電体で構成される集電体上に光触媒を固定化して酸素生成用の光触媒電極および水素生成用の光触媒電極を得て、電極間を電線などの導電性材料で接続した後、液体状または気体状の水を供給しながら光を照射し、水分解反応を進行させる。必要に応じて電極間に電位差を設けることで、水分解反応を促進することができる。
一方、絶縁基材上に複合光触媒を固定化した固定化物に、または、複合光触媒を加圧成形などした成形体に、水を供給しながら光を照射して水分解反応を進行させてもよい。或いは、複合光触媒を水または電解質水溶液に分散させて、ここに光を照射して水分解反応を進行させてもよい。この場合、必要に応じて攪拌することで、反応を促進することができる。
水素の製造時の反応条件としては、特に限定されないが、例えば、反応温度、反応圧力などを選択することができる。反応温度としては、例えば、0℃以上、200℃以下、好ましくは10℃以上、150℃以下、より好ましくは15℃以上、100℃以下とすることができる。反応圧力としては、例えば、2MPa(G)以下、好ましくは1MPa(G)以下、より好ましくは0.5MPa(G)以下、さらに好ましくは0.25MPa(G)以下とすることができ、かかる範囲内であれば、0.001MPa(G)以上であることが好ましく、0.01MPa(G)以上であることがより好ましい。
照射光は、900nm以下の波長を有する紫外光および可視光を好適に利用することができる。
照射光の光源としては太陽のほか、キセノンランプ、メタルハライドランプなどの太陽光近似光を照射可能なランプ、水銀ランプ、LEDなどが挙げられる。
本実施態様の、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物を用いる光触媒電極は、優れた光電気化学特性を有することができる。具体的には、例えば、助触媒としてRuを用いる場合、CuVSに対するRu担持量が2質量%であるRu助触媒担持CuVS粉末をフッ素ドープ酸化錫(FTO)基板上に該基板1cm当りCuVSが0.5〜15mmol程度の範囲内の量で積層し、窒素雰囲気炉で300℃において1時間加熱して光触媒電極を作成し、該光触媒電極をポテンショスタットにつなぎ、電解液(0.1mol・L−1SO、0.025mol・L−1 KHPOおよび0.025mol・L−1 NaHPO)に浸して室温(20〜25℃)において、キセノンランプを用いて、420nm以下をカットした可視光を照射した場合、0VRHEにおける光電流密度が700μA・cm−2以上とすることができる。該光電流密度の下限値は、好ましくは730μA・cm−2以上、より好ましくは750μA・cm−2以上であり、例えば1000μA・cm−2以上、さらに1500μA・cm−2以上とすることもできる。該光電流密度の上限値としては特に限定されないが、例えば、10mA・cm−2以下とすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明の銅バナジウム硫化物(CuVS)、光触媒および光電極の製造方法並びに光電極について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
予め、使用する原料を別途合成した。硫化銅(CuS)は、塩化第二銅(CuCl)水溶液にHSガスをバブリングすることにより沈殿として生成したCuSを純水で洗浄した後、60℃で乾燥して調製した。三硫化二バナジウム(V)は、バナジウム(バナジウム単体)と硫黄の粉を混合して、700℃において5時間焼成することで得られた。硫黄(S)は市販のものを乳鉢で粉砕して用いた。
上記のようにして得られた硫化銅(CuS)2.868g(30mmol)および三硫化二バナジウム(V)0.990g(5.5mmol;式1におけるCuSに対する必要量の10%過剰量)を石英製のガラス管に入れて0.5Paの真空下にて封管した。その後、環状炉にて500℃10時間の熱処理を行った。その後、室温まで冷却した後、生成した銅バナジウム硫化物を取り出した。尚、得られた銅バナジウム硫化物について、熱処理時の硫化銅(CuS)の仕込み量のモル数に対する、熱処理時に共存する硫黄(S)、具体的には、反応終了時に系内に存在する硫黄(S)のモル数の比(S/Cu比)は0.17と見積もられた。
実施例2
実施例1において、用いる原料に硫黄(S)1.122g(35mmol)を加えた以外は同様にして銅バナジウム硫化物を製造した。S/Cu比(モル比)は反応終了時点において1.33と見積もられた。
実施例3
実施例1において、用いる原料に硫黄(S)2.405g(75mmol)を加えた以外は同様にして銅バナジウム硫化物を製造した。S/Cu比(モル比)は反応終了時点において2.67と見積もられた。
実施例4
実施例1において、用いる原料に硫黄(S)3.687g(115mmol)を加えた以外は同様にして銅バナジウム硫化物を製造した。S/Cu比(モル比)は反応終了時点において4.00と見積もられた。
比較例1
実施例1においては、上述の式1の反応式に従い、出発原料に硫黄(S)が含まれていなくても、熱処理の途上において硫黄(S)が生成してフラックス剤として機能していると考えられる。これに対し、比較例1においては、硫黄(S)が生成しないと考えられる下記式2で示される反応式に基づいた製造法を実施した。
CuS + 4CuS + V → CuVS ・・・(式2)
すなわち、亜硫化銅(CuS)0.796g(5mmol)、硫化銅(CuS)1.912g(20mmol)、三硫化二バナジウム(V)0.990g(5mmol)を石英製のガラス管に入れて0.5Paの真空下にて封管した。その後、環状炉にて500℃10時間の熱処理を行った。その後、室温まで冷却した後、内容物を取り出した。尚、得られた銅バナジウム硫化物における熱処理時の銅に対する硫黄のモル比(S/Cu比)は反応終了時点において0.00と見積もられる。
<粉末X線回折(XRD)による評価>
実施例1〜4において得られた各銅バナジウム硫化物について、粉末X線回折(XRD)を測定した。図1に測定結果を示す。
いずれにおいても、サルバナイト構造に帰属できるピークが観察されるのでサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)が主に生成していることが分かる。ただし、S/Cu比が小さいものでは、11°付近の回折角(2θ)にピークを有することからV、また、58°付近の回折角(2θ)にピークを有することからCuSが不純物として微量残ることが確認された。また、逆にS/Cu比が大きいものでは、23°付近の回折角(2θ)にピークを有することからSが不純物として得られることが確認された。
<SEMによる外観観察>
実施例1〜4において得られた各銅バナジウム硫化物について、電子顕微鏡により粉末の外観を観察した。図2に結果を示す。
S/Cu比が0.17より大きい場合はいずれも1μm以上の比較的大きな結晶が得られていることがわかる。
[Ru助触媒担持CuVSの作製]
実施例1〜4および比較例1において得られた各CuVS粉末に光電着によりRuを助触媒として担持した。すなわち、塩化ルテニウムを含む純水中にCuVS粉末0.5gを懸濁し、撹拌下にキセノンランプにより光照射した。CuVS粉末に対するRu担持量は2質量%であった。
<水素生成活性の評価>
得られた各Ru助触媒担持CuVS粉末を用いて、可視光照射下での水素生成活性を調べた。すなわち、0.3gのRu助触媒担持CuVS粉末を犠牲剤(0.5mol・L−1NaSおよび0.1mol・L−1SO)を含む水溶液(120mL)に懸濁させ、反応管(耐熱性ガラス(Pyrex(登録商標))製窓付き上方照射型)に充填し、300Wのキセノンランプを光源として420nm以上の可視光を照射した。生成した水素はガスクロマトグラフを用いて定量した。結果を表1に示す。
表1から、熱処理時に存在する硫黄(S)の、原料として用いた硫化銅(CuS)に対するモル比(S/Cu比)が0.17以上、4.00以下である、実施例1〜4において得られたサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)は、生成した水素量が142〜256μmol・h−1と高い水素生成活性を示すことがわかった。
これに対し、熱処理時に存在する硫黄(S)の、原料として用いた硫化銅(CuS)に対するモル比(S/Cu比)が0.00である、比較例1において得られたサルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)は、生成した水素量が91μmol・h−1にすぎず、水素生成活性が低いことがわかった。
実施例5
実施例1で得た銅バナジウム硫化物について上記により得られたRu助触媒担持CuVS粉末を用いて光触媒電極を作製した。すなわち、Ru助触媒担持CuVS粉末をフッ素ドープ酸化錫(FTO)基板上にドロップキャスト法により該基板1cm当りCuVSが3mmolモルとなる量を塗布し、窒素雰囲気炉で300℃において2時間熱処理することで光電極を作成した。
実施例6
実施例1において、用いる原料に硫黄(S)0.481g(15mmol)を加えた以外は同様にして銅バナジウム硫化物を製造した。S/Cu比(モル比)は反応終了時点において0.67と見積もられた。得られた銅バナジウム硫化物について上記と同様にしてRu助触媒担持CuVS粉末を得た。該Ru助触媒担持CuVS粉末を用いて、実施例5と同様にして光触媒電極を作製した。
実施例7
実施例2で得られたRu助触媒担持CuVS粉末を用いて、実施例5と同様にして光触媒電極を作製した。
実施例8
実施例3で得られたRu助触媒担持CuVS粉末を用いて、実施例5と同様にして光触媒電極を作製した。
比較例2
比較例1で得られたRu助触媒担持CuVS粉末を用いて、実施例5と同様にして光触媒電極を作製した。
<光電気化学特性の評価>
実施例5〜8および比較例2において得られた各光触媒電極を用いて光電気化学特性を評価した。すなわち、作成した各光電極をポテンショスタットにつなぎ、電解液(0.1mol・L−1SO、0.025mol・L−1 KHPOおよび0.025mol・L−1 NaHPO)に浸して、撹拌下に、室温、常圧において、300Wのキセノンランプを光源として、波長420nm以下の光をカットした可視光のみを照射した。表2に0VRHEにおける光電流密度の結果を示した。
表2から、熱処理時に存在する硫黄(S)の、原料として用いた硫化銅(CuS)に対するモル比(S/Cu比)が0.17以上、4.00以下である、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)を用いた実施例5〜8において得られた光触媒電極は、光電流密度が764〜2140μA・cm−2と高い光電気化学特性を示すことがわかった。
これに対し、熱処理時に存在する硫黄(S)の、原料として用いた硫化銅(CuS)に対するモル比(S/Cu比)が0.00である、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)を用いた比較例1において得られた光触媒電極は、光電流密度が696μA・cm−2にすぎず、光電気化学特性が低いことがわかった。

Claims (5)

  1. 硫化銅(CuS)および硫化バナジウム(V)を硫黄(S)の存在下に熱処理することを含む、サルバナイト構造を有する銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法。
  2. 前記硫黄(S)の前記硫化銅(CuS)に対するモル比が0.1以上、4以下である、請求項1に記載の銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法。
  3. 前記熱処理は、300℃以上、700℃以下において行う、請求項1又は2に記載の銅バナジウム硫化物(CuVS)の製造方法。
  4. 銅バナジウム硫化物(CuVS)を含む光触媒の製造方法であって、
    前記銅バナジウム硫化物(CuVS)は、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される、光触媒の製造方法。
  5. 銅バナジウム硫化物(CuVS)に助触媒を担持してなる助触媒担持CuVSの製造方法であって、
    前記銅バナジウム硫化物(CuVS)は、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造され、
    前記助触媒は、ルテニウム、白金、イリジウム、パラジウム及び金からなる群より選択される少なくとも1つである、
    助触媒担持CuVSの製造方法。

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