JP2001156543A - アンテナ装置 - Google Patents

アンテナ装置

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JP2001156543A
JP2001156543A JP33158499A JP33158499A JP2001156543A JP 2001156543 A JP2001156543 A JP 2001156543A JP 33158499 A JP33158499 A JP 33158499A JP 33158499 A JP33158499 A JP 33158499A JP 2001156543 A JP2001156543 A JP 2001156543A
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linear element
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根 秀 一 関
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化が可能で、所望の放射パターンを容易
に得ることができるアンテナ装置を提供する。 【解決手段】 アンテナ装置は、筐体101の一端側に
接続された線状素子102と、線状素子102の一端に
接続された線状素子103,104とを備えており、筐
体と線状素子102との間に給電点105が設けられて
いる。線状素子103,104は、線状素子102との
接続点を境にして略180度異なる方向に配置されてい
る。線状素子103,104の長さの和を電波の放射周
波数の半波長の整数倍にし、かつ線状素子102の電気
的長さを線状素子103,104の電気的長さの差の絶
対値の半分以下にする。これにより、不要な周波数成分
を抑制して、所望の周波数の電波を放射させることがで
きる。また、給電線からの不要輻射を防止できるととも
に、アンテナ装置を小型化できる。さらに、無指向性に
近い放射パターンを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型化が可能なア
ンテナ装置に関し、例えば、携帯電話やPHS(Persona
l Handy Phone)などの小型通信機器などに利用可能なア
ンテナ装置を対象とする。
【0002】
【従来の技術】近年、無線機とアンテナが一体化された
通信機器が多くなってきた。この種の通信機器には、PH
Sや携帯電話などの携帯無線機や、小形の無線基地局な
どがある。この種の通信機器のアンテナには、無指向性
に近い特性が要求される。
【0003】また、携帯無線機は、落下時の破壊等に対
する耐性を持たせる必要があり、基地局は風雨等の自然
災害による破壊等に対する耐性を持たせる必要があるた
め、無線機とアンテナとを一体化するのが望ましい。
【0004】しかしながら、無線機とアンテナとを一体
化すると、無線機の筐体から放射された電磁波の影響を
受けて、アンテナからの放射パターンが変化してしまう
ことが知られている。
【0005】この原因について、以下に簡単に説明す
る。無線機の筐体は、導体でできており、内蔵する無線
回路のグランドとシールドの役目も果たしている。この
筐体は、アンテナにとってもグランドになっているた
め、アンテナに給電された高周波電流が筐体に流れ込
み、上記のように筐体からも電波の放射が起きるという
問題がある。特に、内蔵アンテナの場合、アンテナから
の放射量が少ないため、無線機筐体の影響を強く受けて
しまう。
【0006】これらの影響を削減するため、ダイポール
アンテナを用いるという提案がなされている(特開昭61
-205004号公報)。ダイポールアンテナは、グランドを
必要としないアンテナなので、アンテナを直接グランド
である筐体に接続する必要がなく、高周波電流の筐体へ
の漏洩を抑制することができるためである。
【0007】しかしながら、ダイポールアンテナも、実
際には実現が難しいという問題があった。その理由は、
ダイポールアンテナを筐体に近接して配置すると、アン
テナのインピーダンスが非常に低くなり、給電線との整
合が取れなくなるためである。
【0008】このような問題を解決する手法として、特
開昭61-205004号公報には、整合をとるために折り返し
構造にした給電回路が開示されている。しかしながら、
実際には、折り返し構造にするのは難しい。
【0009】図13は特開昭61-205004号公報に開示さ
れた給電回路の概略構成を示す斜視図である。図13の
符号5の部分からもわかるように、給電点からアンテナ
に平衡給電(平行2線)する必要があるが、一般に無線
機では不平衡(たとえば同軸給電やマイクロストリップ
線路)な状態で給電が行われるため、平衡不平衡変換
(バラン)を設けなければならない。従来例では、この
バランを省略している。
【0010】また、平衡給電を行わない場合でも、安易
に給電線を配置すると給電線の影響によりアンテナ特性
が変化してしまう。これは、ダイポールアンテナ自体が
平衡型の素子であるため、給電点において平衡不平衡変
換(バラン)が必要になり、アンテナ給電点から給電線
に不要な電流が漏洩し、この電流からの放射により、ア
ンテナの放射特性が変化してしまうためである。
【0011】このように、ダイポールアンテナを用いる
場合には、給電回路に比較的大きな構造のバランが必要
になるという問題がある。
【0012】一般にバランは、四分の一波長の長さを有
する。たとえば、給電線である同軸線の外導体に平行に
四分の一波長の長さの線状素子を配置し、その一端を外
導体に短絡する。これにより、その開放端から短絡端を
見ると高いインピーダンスとできるため、外導体への不
要電流の漏洩を防ぐことができる。
【0013】しかしながら、原理上、四分の一波長程度
の長さが必要になり、使用する周波数によっては、バラ
ンのサイズが非常に大きくなってしまう。このため、ア
ンテナおよび無線機全体の小型化が困難になる。
【0014】また、複数のアンテナを筐体に取り付け、
ダイバーシチ・アンテナを構成する場合においても、上
記の問題は同様に起こりうる。
【0015】本発明は、このような点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、小型化が可能で、所望の放射
パターンを容易に得ることができるアンテナ装置を提供
することにある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の発明は、筐体と、一端が前記筐体の
端部に接続された第1の線状素子と、前記第1の線状素
子の他端にそれぞれ接続され、互いに略180度異なる
方向に配置される第2および第3の線状素子と、を備
え、前記第2および第3の線状素子の電気的長さの和が
送信電波または受信電波の周波数の半波長の整数倍で、
かつ、前記第1の線状素子の電気的長さが前記第2およ
び第3の線状素子の電気的長さの差の絶対値の半分以下
である。
【0018】請求項1の発明では、第2および第3の線
状素子の電気的長さの和が電波の放射周波数の半波長の
整数倍で、かつ、第1の線状素子の電気的長さが第2お
よび第3の線状素子の電気的長さの差の絶対値の半分以
下になるようにしたため、所望の共振モードのみで各線
状素子を共振させることができる。したがって、所望の
周波数の電波を送信または受信することができる。ここ
で、電気的な長さとは、その素子が共振する周波数の波
長の長さのことである。一般に、電気的な長さは、折り
曲げ等により短くなり、誘電体等を近づけることにより
長くなる。
【0019】請求項2の発明では、第2および第3の線
状素子を筐体表面に近接して配置するため、アンテナ装
置全体のサイズを小型化できる。
【0020】請求項3の発明では、2組のアンテナを平
行に配置するため、スペース・ダイバーシチ・アンテナ
を構成でき、受信感度を向上できるとともに、電波状態
が時間的に高速に変化するような場合(例えば、移動通
信時)でも、電波状態の変化を抑制して安定した通信が
可能になる。
【0021】請求項4の発明では、2組のアンテナを互
いに見通せないように配置するため、アンテナ間の電磁
界的な結合を小さくできる。
【0022】請求項5の発明では、2組のアンテナを略
90度異なる方向に配置するため、互いに相関の低い信
号を効率よく受信できる。したがって、アンテナ間の距
離を離さなくても、受信信号の相関を低くすることがで
きる。
【0023】請求項6の発明では、2組のアンテナを略
90度異なる方向に配置し、かつ、各アンテナを互いに
見通せないように配置するため、請求項4の発明の効果
に加えて、アンテナ間の電磁界的な結合を小さくでき
る。
【0024】請求項7の発明では、第1〜第3の線状素
子からなる第1のアンテナとは別個に、第4の線状素子
からなる第4のアンテナを設けて、両アンテナを平行に
配置するため、両アンテナの合成利得を得ることがで
き、感度が向上する。
【0025】請求項8の発明では、第1〜第3の線状素
子からなる第1のアンテナとは別個に、第4の線状素子
からなる第4のアンテナを設けて、両アンテナを略90
度異なる方向に配置するため、偏波ダイバーシチ・アン
テナを構成でき、互いに相関の低い信号を効率よく受信
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るアンテナ装置
について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】(第1の実施形態)図1は本発明によるア
ンテナ装置の第1の実施形態の斜視図である。図1のア
ンテナ装置は、筐体101の一端側に接続された線状素
子(第1の線状素子)102と、線状素子102の一端
に接続された線状素子(第2および第3の線状素子)1
03,104とを備えており、筐体と線状素子102と
の間に給電点105が設けられている。
【0028】線状素子103,104は、線状素子10
2との接続点を境にして略180度異なる方向に配置され
ている。より具体的には、線状素子102〜104はT
字型に配置され、T字の横棒を構成する線状素子10
2,103は、筐体101の一辺に略平行になるように
配置されている。また、線状素子103,104の長さ
の和が、送信電波または受信電波の周波数の半波長の整
数倍になるようにしている。
【0029】筐体101はアルミニウム等の導体ででき
ており、図1では省略しているが、内部に無線回路を内
蔵している。この無線回路のシールドも、筐体101自
身で行っている。
【0030】図1のアンテナ装置に類似したアンテナと
して、T字型のモノポールアンテナが従来から知られて
いる。この種のモノポールアンテナでは、T字の横棒を
構成する2つの線状素子の長さを略等しくして、四分の
一波長の低姿勢型アンテナとして使用している。また、
従来は、T字の縦棒の部分からの電波の放射を利用する
のが一般的であった。
【0031】これに対して、図1のアンテナ装置は、T
字の横棒の部分(線状素子103、104)からの電波
の放射を利用する。また、本実施形態では、図2に示す
ように、線状素子102,103,104のそれぞれの
長さA,B,Cを、(1)式の関係を満たすように設定
している。
【0032】2×A<|B−C| …(1) 以下、(1)式の関係を満たすように各線状素子の長さ
を設定する理由について説明する。図1のアンテナ装置
は、3つの共振モードm1,m2,m3を有する。図3
(a)は共振モードm1〜m3の概要を説明する図、図
3(b)は各共振モードm1〜m3の振動の様子を示す
図である。
【0033】共振モードm1は、所望の半波長ダイポー
ルアンテナの共振モードであり、給電点105からみる
と、LとCの等価回路でいうと並列共振モードになる。
図3の場合、共振時に給電点105での電流が最小にな
る。
【0034】共振モードm2,m3は、非所望の四分の
一波長のモノポールアンテナの共振モードであり、Lと
Cの等価回路でいうと直列共振モードになる。共振モー
ドm2,m3では、共振時に給電点105における電流
が最大になる。
【0035】所望のモードである共振モードm1は、共
振モードm2,m3の直列共振が分離することにより、
共振モードm2,m3の各共振周波数の間の周波数で共
振する並列共振モードである。このため、共振モードm
1での共振を行わせるには、各々のモードの共振周波数
は、以下の(2)式または(3)式の関係を満たす必要
がある。
【0036】 共振モードm2の共振周波数<共振モードm1の共振周波数<共振モードm3 の共振周波数 …(2) 共振モードm3の共振周波数<共振モードm1の共振周波数<共振モードm2 の共振周波数 …(3) ここで、各共振モードの共振波長をλ1、λ2、λ3と
すると、共振波長はそれぞれ、各線状素子102〜10
4の長さA〜Cを用いて、 共振モードm1のとき、λ1=2×(B+C) 共振モードm2のとき、λ2=4×(B+A) 共振モードm3のとき、λ3=4×(C+A) と表現できる。
【0037】例えば、線状素子2の長さBが線状素子3
の長さCより短い場合を想定すると、 λ2<λ1<λ3 となることが条件であるため、 4×(B+A)<2×(B+C)<4×(C+A) …(4) となる。(4)式をAで整理すると、 (B−C)<2×A<(C−B) となる。ここで、Aは正の値をとり、またBがCより長
い場合を考慮に入れると、 2×A<|B−C|.........(1) となる。
【0038】(1)式において、各アンテナ素子は、電
気的な長さを考慮する必要がある。ここで、電気的な長
さとは、その素子が共振する周波数の波長の長さのこと
である。上記の共振モードm2,m3の四分の一波長モ
ノポールアンテナは、線状素子102との接合点で折り
曲げられているために、その電気的な長さが実際の物理
的な長さより数%縮んでしまうことが知られている。す
なわち、折れ曲がった素子がまっすぐな素子と同一の周
波数で共振するためには、物理的な長さをより長くする
必要がある。
【0039】共振モードm1の半波長モノポールアンテ
ナでも同様に縮みが発生するが、四分の一波長モノポー
ルアンテナと異なって、給電点105近傍の折り曲げ部
の効果が発生しない分、四分の一波長アンテナよりも縮
み効果が小さくなる。
【0040】例えば、縮み効果が、共振モードm2,3
に比較的強く発生している場合には、上述した(4)式
は、共振モードm2,3の縮み率をαとすると、(5)
式のようになる。
【0041】 4×α×(B+A)<2×(B+C)<4×α×(C+A) …(5) (5)式を変形すると、(6)式のようになる。
【0042】 B+(1−2×α)×C<2×α×A<C+(1−2×α)×B …(6) ここで、αの値は、各線状素子102〜104の構造に
あわせて決定すればよい。また、図1の線状素子10
3,104の長さB,Cによってインピーダンスが変化
するため、長さB,Cを調整することにより、給電点1
05との整合を取ることができる。
【0043】また、図1のアンテナ装置は、筐体101
への不要な電流の漏洩が少ないという特徴を備えてい
る。以下にこの理由を説明する。
【0044】図1のアンテナ装置は、並列共振で動作す
るため、給電点105を流れる電流は、線状素子10
3,104を流れる電流よりも少なくなる。従って、給
電点105から筐体101へと漏洩する電流の量は、直
列共振型のアンテナより少なくなる。このため、筐体1
01からの不要輻射が抑制されて、アンテナの放射特性
への影響が小さくなる。
【0045】図4は図1のアンテナ装置のアンテナ特性
を示す図であり、図4(a)は周波数と利得の劣化量を
表す不整合損との関係を示す図、図4(b)はスミスチ
ャート図、図4(c)は垂直偏波と水平偏波の放射パタ
ーンを示す図、図4(d)は図4(c)の座標を説明す
る図である。
【0046】図4では、線状素子102の長さAを0.02
6λ(λは動作周波数)、線状素子103の長さBを0.2
21λ、線状素子104の長さCを0.279λとした場合の
例を示している。この場合、上述した(1)式の関係を
満たしている。
【0047】図4(a)からわかるように、共振モード
m1の共振周波数f0での不整合損は十分に小さいこと
がわかる。また、図4(b)のスミスチャートからわか
るように、インピーダンス特性が50オームを中心とし
てループを描くように変化しており、比較的広帯域にわ
たって、給電線との整合が取れていることがわかる。
【0048】また、図4(c)の放射パターンからわか
るように、放射パターンは外周円に沿って均等に広がっ
ており、ダイポールアンテナ自体の特性である、無指向
性パターンとなっていることがわかる。また垂直偏波が
小さいことから、筐体101からの不要輻射も小さいこ
とがわかる。
【0049】図5は本実施形態の周波数とアンテナ利得
との関係を示す図である。図示のように、共振モードm
1の共振周波数f1でのアンテナ利得が大きく、共振モ
ードm2,m3の共振周波数f2,f3でのアンテナ利
得は十分に小さいことがわかる。すなわち、上述した
(1)式の関係を満たすように線状素子102〜104
の各長さA,B,Cを設定することにより、共振モード
m1の共振周波数で電波を放射させることができる。
【0050】このように、本実施形態のアンテナは、比
較的簡易な構成でありながら、従来問題となっていたア
ンテナに近接する他の部位からの影響を抑制して、ダイ
ポールアンテナとしての動作を実現していることがわか
る。
【0051】また、本出願人の実験によれば、線状素子
102の長さAをそのままにして、線状素子103の長
さBを0.234λ、線状素子104の長さCを0.266λとし
ても、アンテナの動作は所望の特性を示すことがわかっ
た。また、第一共振点(共振モードm2)と第三共振点
(共振モードm3)の値から縮み率を計算した結果、縮
み率αは0.95であることがわかった。これらのパラメー
タは(6)式の関係を満たすため、所望の共振モードm
1での共振が行われ、筐体101からの不要輻射の影響
が少ないアンテナ放射パターンを得ることができる。
【0052】(第2の実施形態)第2の実施形態は、第
1の実施形態と同様の構造のアンテナを2組設けたもの
である。
【0053】図6は本発明によるアンテナ装置の第2の
実施形態の斜視図である。図6のアンテナ装置では、図
1と同様の構造のアンテナを2組、略平行に配置してい
る。各アンテナ(第1および第2のアンテナ)11,1
2は、図1と同様に、T字形状の線状素子102〜10
4で構成されており、線状素子102と筐体101との
間に給電点105が設けられている。これら2組のアン
テナ11,12は、ダイバーシチ・アンテナを構成して
いる。
【0054】また、図6では、各アンテナ11,12の
線状素子102と103を平行に配置すると共に、各々
のアンテナ素子を同一面内で距離を隔てて配置してい
る。このような構成により、スペース・ダイバーシチ・
アンテナとして動作させることができる。
【0055】スペース・ダイバーシチとは、複数のアン
テナを距離を離して配置し、各アンテナで受信した信号
を選択または合成して受信感度を向上させる方法で、特
に電波状態が時間的に高速に変化する移動通信において
は、電波状態の変化を抑制して安定した通信を行う方法
として広く用いられている。
【0056】ダイバーシチを構成するアンテナは、それ
ぞれのアンテナが受信する信号の相関が低いことが望ま
れる。また、スペース・ダイバーシチでは、アンテナ間
の距離を十分広くとることにより信号の相関を下げるこ
とを可能としている。
【0057】より具体的には、少なくとも半波長以上離
して2組のアンテナ11,12を配置するのが望まし
い。そのためには、筐体101の大きさを半波長以上に
する必要がある。
【0058】また、図6の構成において、アンテナ間の
距離が半波長程度の場合には、アンテナ間に電磁界的な
結合が生じ、アンテナの指向性に変化が生じる。このア
ンテナの指向性の変化によっても受信信号の相関を下げ
ることができる。これにより、ダイバーシチ効果の向上
が期待できる。
【0059】図7は2組のアンテナ11,12を背中合
わせとなるように配置した例を示す斜視図である。図7
のように配置することにより、アンテナ同士が互いに見
通し内に存在しなくなり、アンテナ間の電磁界的な結合
を小さくできる。したがって、アンテナ特性の変化を起
こさせる電磁界結合を抑制し、不要なアンテナ特性の変
化をなくすことができる。2組のアンテナ11,12を
図6のように配置するか、図7のように配置するかは、
システムの仕様により選択すればよい。
【0060】図8は筐体101の対向する2面にそれぞ
れアンテナ11,12を接続した例を示す図である。図
8のような構成により、2組のアンテナ11,12間の
距離を広げることができ、ダイバーシチ効果を向上でき
る。また、アンテナ同士が見通し内に存在しなくなるた
め、アンテナ間の電磁界的な結合を小さくできる。
【0061】(第3の実施形態)第3の実施形態は、2
組のアンテナを互いに略90度異なる方向に配置するも
のである。
【0062】図9は本発明に係るアンテナ装置の第3の
実施形態の斜視図である。図9のアンテナ装置は、図1
と同様の構造の2組のアンテナ11,12を互いに略9
0度異なる方向に配置している。各アンテナ11,12
は、図1と同様に、T字形状の線状素子102〜104
で構成されており、線状素子102と筐体101との間
に給電点105が設けられている。これら2組のアンテ
ナ11,12は、偏波ダイバーシチ・アンテナを構成し
ている。
【0063】実際の屋外における電波環境では、垂直偏
波と水平偏波の相関が非常に低いことが知られている。
従って、図9のようにアンテナ素子を略90度異なる方
向に配置することにより、互いに相関の低い信号を受信
することが可能となる。
【0064】図9のアンテナは、アンテナ間の距離を離
さなくても、受信信号の相関を低くできるという利点を
有する。したがって、アンテナ間の距離を短くできる
分、筐体101のサイズを小さくできる。
【0065】図10は図9の変形例であり、2組のアン
テナ11,12を互いに背中合わせに配置したものであ
る。背中合わせに配置することにより、アンテナ間の結
合を減らすことができ、不要な特性変動を抑制すること
ができる。
【0066】また、図10の場合も、図9と同様に、ア
ンテナ間の距離を短くしても、受信信号の相関を低くで
きる。
【0067】(第4の実施形態)第4の実施形態は、3
つの線状素子からなるアンテナとは別個に、線状素子か
らなるアンテナを設けるものである。
【0068】図11は本発明に係るアンテナ装置の第4
の実施形態のブロック図である。図11のアンテナ装置
は、図1と同様の構造のアンテナ11とは別個に、筐体
101から突出する線状素子(第4の線状素子)106
からなるアンテナ13を備えている。
【0069】まず、これらのアンテナ11,13により
アレーアンテナを構成する場合について説明する。図1
1では、アンテナ13を構成する線状素子106を、ア
ンテナを構成する線状素子102,103に略平行に配
置しており、両アンテナをできるだけ近接して配置して
いる。
【0070】両アンテナ11,13を互いに同相になる
ように給電することにより、両アンテナ11,13によ
る合成利得を向上させることができる。この場合、線状
素子106は半波長程度となるようにすればよい。
【0071】従来の場合、線状素子を2段構造にして筐
体101から突出させて構成する必要があったが、本実
施形態では、半分の長さでそれと同等の利得を得ること
ができる。
【0072】また、これらのアンテナ11,13をダイ
バーシチ・アンテナとして使用することも可能である。
この場合、線状素子106は半波長または四分の一波長
程度であればよい。
【0073】図12は図11の変形例であり、2組のア
ンテナ11,13を互いに略90度異なる方向に配置し
た偏波ダイバーシチ・アンテナの例を示す斜視図であ
る。図12の線状素子106はその中央部で給電する構
成とし、ほぼ半波長程度の長さとする。これにより、線
状素子106からの電波の放射はダイポールアンテナと
同様になる。
【0074】上述した第1〜第4の実施形態で説明した
各アンテナを任意に組合せて構成してもよい。例えば、
図6と図9とを組み合わせて、3つ以上のアンテナを設
けて、その一部のアンテナを平行に配置するとともに、
残りを略90度に配置してもよい。また、これらのアン
テナに、図11や図12で説明したアンテナ13を組み
合わせてもよい。このように、アンテナの本数や配置に
は特に制限はない。
【0075】上述した各実施形態では、矩形状の筐体1
01を用いる例を説明したが、筐体101の形状には特
に制限はない。
【0076】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、第2および第3の線状素子の電気的長さの和が電
波の放射周波数の半波長の整数倍で、かつ、第1の線状
素子の電気的長さが第2および第3の線状素子の電気的
長さの差の絶対値の半分以下になるようにしたため、不
要な周波数成分を抑制して、所望の周波数の電波を放射
させることができる。また、給電線からの不要輻射を防
止できるとともに、アンテナ装置を小型化できる。さら
に、無指向性に近い放射パターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアンテナ装置の第1の実施形態の
斜視図。
【図2】各線状素子の長さを説明する図。
【図3】(a)は共振モードm1〜m3の概要を説明す
る図、(b)は各共振モードm1〜m3の振動の様子を
示す図。
【図4】図1のアンテナ装置のアンテナ特性を示す図。
【図5】本実施形態の周波数とアンテナ利得との関係を
示す図。
【図6】本発明によるアンテナ装置の第2の実施形態の
斜視図。
【図7】2組のアンテナを背中合わせとなるように配置
した例を示す斜視図。
【図8】筐体の対向する2面にそれぞれアンテナを接続
した例を示す図。
【図9】本発明に係るアンテナ装置の第3の実施形態の
斜視図。
【図10】2組のアンテナを互いに背中合わせに配置し
た例を示す図。
【図11】本発明に係るアンテナ装置の第4の実施形態
のブロック図。
【図12】2組のアンテナを互いに略90度異なる方向
に配置した偏波ダイバーシチ・アンテナの例を示す斜視
図。
【図13】特開昭61-205004号公報に開示された給電回
路の概略構成を示す斜視図。
【符号の説明】
11〜13 アンテナ 101 筐体 102〜104,106 線状素子 105 給電点
フロントページの続き Fターム(参考) 5J021 AA03 AA06 AA13 AB02 CA01 GA07 GA08 HA05 HA10 JA07 5J047 AA12 AB01 AB07 BA11 FA01 FA02 FD01 5K059 CC03 CC05 DD31 EE02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筐体と、 一端が前記筐体の端部に接続された第1の線状素子と、 前記第1の線状素子の他端にそれぞれ接続され、互いに
    略180度異なる方向に配置される第2および第3の線
    状素子と、を備え、 前記第2および第3の線状素子の電気的長さの和が送信
    電波または受信電波の周波数の半波長の整数倍で、か
    つ、前記第1の線状素子の電気的長さが前記第2および
    第3の線状素子の電気的長さの差の絶対値の半分以下で
    あることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 【請求項2】前記第2および第3の線状素子を前記筐体
    表面に近接して配置することを特徴とする請求項1に記
    載のアンテナ装置。
  3. 【請求項3】前記第1、第2および第3の線状素子から
    なるアンテナを複数組備え、 これらアンテナのうち少なくとも2組のアンテナについ
    て、各アンテナの前記第2および第3の線状素子をそれ
    ぞれ互いに平行に配置することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のアンテナ装置。
  4. 【請求項4】前記平行に配置された前記第2および第3
    の線状素子を有する少なくとも2組のアンテナを、互い
    に見通せないように配置することを特徴とする請求項3
    に記載のアンテナ装置。
  5. 【請求項5】前記第1、第2および第3の線状素子から
    なるアンテナを複数組備え、 これらアンテナのうち少なくとも2組のアンテナについ
    て、各アンテナの前記第2および第3の線状素子を互い
    に略90度異なる方向に配置することを特徴とする請求
    項1または2に記載のアンテナ装置。
  6. 【請求項6】前記互いに略90度異なる方向に配置され
    た前記第2および第3の線状素子を有する少なくとも2
    組のアンテナを、互いに見通せないように配置すること
    を特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
  7. 【請求項7】前記第1、第2および第3の線状素子から
    なる第1のアンテナとは別個に、前記筐体から突出する
    第4の線状素子からなる第2のアンテナを備え、 前記第1および第2のアンテナを互いに平行に配置する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装
    置。
  8. 【請求項8】前記第1、第2および第3の線状素子から
    なる第1のアンテナとは別個に、前記筐体から突出する
    第4の線状素子からなる第2のアンテナを備え、 前記第1および第2のアンテナを互いに略90度異なる
    方向に配置することを特徴とする請求項1または2に記
    載のアンテナ装置。
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