JP2001156510A - 積層型マジックt - Google Patents

積層型マジックt

Info

Publication number
JP2001156510A
JP2001156510A JP33900499A JP33900499A JP2001156510A JP 2001156510 A JP2001156510 A JP 2001156510A JP 33900499 A JP33900499 A JP 33900499A JP 33900499 A JP33900499 A JP 33900499A JP 2001156510 A JP2001156510 A JP 2001156510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductor
dielectric
conductor layer
magic
waveguide line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP33900499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4199395B2 (ja
Inventor
Hiroshi Uchimura
弘志 内村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP33900499A priority Critical patent/JP4199395B2/ja
Publication of JP2001156510A publication Critical patent/JP2001156510A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4199395B2 publication Critical patent/JP4199395B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の方形導波管を用いたマジックTでは、
小型化が図れず、生産性も低かった。 【解決手段】 第1の誘電体基板71を挟持する上部主導
体層1および下部主導体層2と、これらを所定の繰り返
し間隔および所定の幅で接続する2列の側壁用貫通導体
群3とを具備する第1および第2の誘電体導波管線路a
・c−dをT字状に接続するとともに分岐部の上部主導
体層1に所定の上部開口1aを設けたものに対し、第2
の誘電体基板72と、上部開口1a周囲に所定間隔をもっ
て接続される導体壁用貫通導体群5と、所定の間隔で形
成され、上部開口1aと略同寸法の開口6aを有する複
数の副導体層6とを具備する縦型の誘電体導波管線路b
を接続して成る積層型マジックTである。グリーンシー
ト積層技術を用いて十分な精度でかつ容易に製造するこ
とができ、大幅に小型化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にマイクロ波お
よびミリ波等の高周波信号を伝送・分岐して高周波回路
を構成するための分岐部として用いられる、積層型の誘
電体導波管線路を用いた積層型マジックTに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、マイクロ波やミリ波などの高周波
を用いる回路を構成するための要素に関する技術の研究
が盛んに進められている。この回路構成要素の中には様
々なものがあるが、その一つにマジックTと呼ばれる一
種の方向性結合器がある。このマジックTは、例えば平
衡形の位相検波やミキサ回路等に用いられる。
【0003】この従来のマジックTは、方形導波管のE
面T分岐とH面T分岐とを組み合わせた4端子構造をし
ている。図4に従来のマジックTの構成を斜視図で示
す。図4においてa・b・c・dはそれぞれ導波管を示
しており、通常は方形導波管が用いられている。これら
のうち導波管a・c・dは、H面が同図中に示すx−y
平面に平行な導波管で、導波管bはH面がx−z平面に
平行な導波管である。
【0004】ここで、導波管a・c・dについて見る
と、H面T分岐の導波管構造をしており、導波管b・c
・dについて見ると、E面T分岐の導波管構造をしてい
る。また、各導波管a〜dは、それぞれ周波数とサイズ
を調整し、TE10モードのシングルモードでのみ電磁波
が伝播できるように設定されている。
【0005】この構造のマジックTについてその動作を
簡単に説明する。H面T分岐のうち導波管aから励振す
ると、この電磁波は導波管c・dとは結合できるが、導
波管bとは結合できない。またE面T分岐のうち導波管
bから励振すると、この電磁波は導波管c・dとは結合
できるが、導波管aとは結合できない。すなわち、導波
管aから入力された電磁波は導波管c・dのみに分岐
し、導波管bから入力された電磁波は導波管c・dのみ
に分岐する。しかも、導波管aから入力された電磁波は
同相で分岐されるのに対して、導波管bから入力された
電磁波は逆相で分岐される。
【0006】また、このマジックTに対しては、その2
つの分岐が交差している分岐部においてインピーダンス
のマッチングをとるために、分岐部の内部にインピーダ
ンスの整合器として金属ポール(棒)や金属板が配置さ
れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような構造を持っ
た従来のマジックTは、方形導波管を用いた3次元的な
複雑な構造であるため、作製時の加工が非常に難しいと
いう問題点があった。すなわち、このような構造は金属
ブロックから導波路部分を削り出して作製することも可
能であるが、3次元的な切削加工は容易ではないので、
通常は2つまたは3つの部分に分割して作製される。こ
の場合、各部分の接続部において電磁波の漏れが発生し
たり、接続のずれによる伝送・分岐特性の劣化が発生し
たりしやすいという問題点があった。
【0008】また、分岐部に挿入配置されるインピーダ
ンスマッチングのための整合用金属ポールや金属板も、
マジックTに要求される対称構造を乱さないようにする
ため、図4中のA−B−C線に沿って切断した面に対し
て高い対称性を有していることが求められ、高精度の加
工技術が必要である。このため、良好な伝送・分岐特性
のものを安定して得ることが困難であり、生産性が低
く、その結果、製造コストも高くなってしまうという問
題点があった。
【0009】さらに、伝送・分岐する電磁波の周波数が
低い場合にはその寸法は大きくなり、逆にミリ波のよう
に周波数が高くなると導波管の寸法が著しく小さくなっ
て、いずれの場合もその加工は非常に難しくなるという
問題点もあった。
【0010】本発明は上記事情に鑑みて案出されたもの
であり、その目的は、良好な伝送・分岐特性のものを精
度良くかつ安定して得ることができ、生産性も高いマジ
ックTを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点を解決すべく検討を重ねた結果、従来の方形導波管に
代えて、セラミック製半導体素子収納用パッケージや多
層配線基板等を作製するグリーンシート積層技術を用い
て作製できる横型および縦型の積層型誘電体導波管線路
を用いることにより、容易に、精度良く、しかも安価に
マジックTを製造できることを見出し発明を完成するに
至った。
【0012】すなわち、本発明の積層型マジックTは、
第1の誘電体基板を挟持する上部主導体層および下部主
導体層と、これら上部主導体層および下部主導体層間を
高周波信号の伝送方向に信号波長の2分の1未満の繰り
返し間隔および所定の幅で電気的に接続する2列の側壁
用貫通導体群とを具備し、前記各主導体層および前記側
壁用貫通導体群に囲まれた領域によって前記高周波信号
を伝送する第1および第2の誘電体導波管線路を、前記
第1の誘電体導波管線路の先端を前記第2の誘電体導波
管線路の一方の側部に設けた側部開口に互いの高周波信
号の伝送方向が垂直となるように接続するとともに、分
岐部の前記第2の誘電体導波管線路の前記上部主導体層
に所定の上部開口を設けて成るT字状分岐誘電体導波管
線路に対し、複数の誘電体層を積層して成る第2の誘電
体基板と、前記上部開口周囲の前記第2の誘電体基板内
に積層方向に形成され、所定間隔をもって前記上部主導
体層に電気的に接続される導体壁用貫通導体群と、前記
誘電体層間に前記高周波信号の信号波長の2分の1未満
の間隔で形成され、前記導体壁用貫通導体群を前記誘電
体層間でそれぞれ電気的に接続する、前記上部開口と略
同寸法の開口を有する複数の副導体層とを具備し、前記
複数の副導体層および前記導体壁用貫通導体群に囲まれ
た領域によって前記高周波信号を伝送する縦型の誘電体
導波管線路を、前記上部開口に前記第1および第2の誘
電体導波管線路に対して高周波信号の伝送方向が垂直と
なるように接続して成ることを特徴とするものである。
【0013】また、本発明の積層型マジックTは、上記
構成において、前記T字状分岐誘電体導波管線路の前記
分岐部に、貫通導体および/または導体層から成る整合
器を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】このような構成の本発明の積層型マジックT
は、グリーンシート積層技術を用いて容易に作製するこ
とができる。すなわち、セラミックグリーンシート等の
誘電体グリーンシートに貫通孔加工・メタライズインク
等の導体ペースト埋め込み・導体パターン印刷・積層・
焼成を行なうことにより十分な精度でかつ容易に製造可
能であり、分岐部に設けるインピーダンス整合器として
の金属ポールや金属板に相当する部分も、同様の貫通孔
の形成および導体ペーストの印刷により容易に作製する
ことができる。
【0015】また、誘電体基板および誘電体層を構成す
るセラミックスを始めとする誘電体材料の比誘電率を適
当に選択することにより、周波数の低い場合でも、従来
の方形導波管を用いたマジックTに比べて大幅に小型化
することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の積層型マジックT
について図面を参照しながら説明する。
【0017】図1は、本発明の積層型マジックTの実施
の形態の一例の概略構成を示す斜視図である。図1にお
いて、a・b・c・dはそれぞれ積層型誘電体導波管線
路による導波管であり、a・c・dはT字状分岐誘電体
導波管線路を構成する横型の誘電体導波管線路であり、
bはその上方に接続される縦型の誘電体導波管線路であ
る。
【0018】71は第1の誘電体基板、1は上部主導体
層、2は下部主導体層であり、これら一対の主導体層1
・2により第1の誘電体基板71を上下から挟持してい
る。3は高周波信号である電磁波の伝送方向に信号波長
の2分の1未満の繰り返し間隔および所定の幅で主導体
層1・2間を電気的に接続するように形成された2列の
側壁用貫通導体群である。また、4は主導体層1・2間
にこれらと平行に形成され、2列の側壁用貫通導体群3
のそれぞれを電気的に接続する副導体層であり、良好な
疑似導体壁を得るために必要に応じて形成されるもので
ある。これら各主導体層1・2および側壁用貫通導体群
3ならびに副導体層4に囲まれた領域によって、高周波
信号を伝送する横型の第1の誘電体導波管線路aおよび
第2の誘電体導波管線路c−dが構成される。そして、
第2の誘電体導波管線路c−dの一方の側部に所定の側
壁用貫通導体群を除いて形成された側部開口に、第1の
誘電体導波管線路aの先端を互いの高周波信号の伝送方
向が垂直となるように接続することにより、T字状分岐
誘電体導波管線路を構成している。さらに、この分岐部
の第2の誘電体導波管線路c−dの上部主導体層1には
所定の開口寸法の上部開口1aが設けられている。
【0019】72は複数の誘電体層を積層して成る第2の
誘電体基板、5は上部開口1a周囲の第2の誘電体基板
72内にその積層方向(同図中に示すz方向)に形成さ
れ、所定間隔をもって上部主導体層1に電気的に接続さ
れる導体壁用貫通導体群、6は第2の誘電体基板72の誘
電体層間に高周波信号の信号波長の2分の1未満の間隔
で形成され、導体壁用貫通導体群5を誘電体層間でそれ
ぞれ電気的に接続する、上部開口1aと略同寸法の開口
6aを有する複数の副導体層である。これら複数の副導
体層6および導体壁用貫通導体群5に囲まれた領域によ
って、高周波信号を伝送する縦型の誘電体導波管線路b
が構成される。そして、この誘電体導波管線路bをT字
状分岐誘電体導波管線路の上部主導体層1の上部開口1
aに第1および第2の誘電体導波管線路a・c−dに対
して高周波信号の伝送方向が垂直となるように接続する
ことにより、本発明の積層型マジックTが構成される。
【0020】まず、T字状分岐誘電体導波管線路を構成
する横型の第1および第2の誘電体導波管線路a・c−
dについて説明する。2列の側壁用貫通導体群3は、所
定の幅Whをもって、高周波信号の伝送方向に信号波長
の2分の1未満の所定の繰り返し間隔rをもって形成さ
れ配列されており、これによりこの誘電体導波管線路a
・c−dにおける疑似導体側壁を形成している。ここ
で、所定の幅Whは、導波管をシングルモードで用いる
必要があるので、λ/2<Wh<λとする。なお、この
λは誘電体中における高周波信号の自由空間波長であ
る。
【0021】また、第1の誘電体基板71の厚みHhすな
わち上部主導体層1と下部主導体層2との間隔は、Hh
<λ/2であることが必要である。図1に示す例では、
誘電体導波管a・c−dのE面とH面に当たる部分がそ
れぞれ上部主導体層1および下部主導体層2と側壁用貫
通導体群3および副導体層4で形成されている。また、
間隔rが信号波長の1/2未満の間隔に設定されること
で、側壁用貫通導体群3が電気的な壁を形成している。
【0022】側壁用貫通導体群3と副導体層4とにより
形成され、互いに平行に配置された側壁に対して、磁界
の面は垂直となる。このため、側壁用貫通導体群3の貫
通導体間の隙間が信号波長の1/2より大きいと、その
隙間は電磁波に対するスロットとして作用してそこから
電磁波が漏れることとなるので、この導波管線路に電磁
波を給電しても、電磁波はここで作られる疑似的な導波
管に沿って伝播しないこととなる。しかし、その隙間が
信号波長の1/2、望ましくは信号波長の1/4より小
さいと、電磁波はほとんど漏れることなくこの擬似的な
導波管に沿って伝播することとなる。このときの副導体
層4の役割は、側壁用貫通導体群3ほど重要ではない
が、より擬似的な導体壁をより完全な導体壁に近づける
作用があり、副導体層4を設けることにより電磁波の伝
播特性が改善される。
【0023】その結果、図1に示す構成によれば、一対
の主導体層1・2および2列の側壁用貫通導体群3と副
導体層4によって囲まれる断面積がWh×Hhのサイズ
の領域が、第1および第2の誘電体導波管線路a・c−
dとなる。
【0024】なお、図1に示す例では側壁用貫通導体群
3は2列に形成したが、この側壁用貫通導体群3を4列
あるいは6列に配設して側壁用貫通導体群3による疑似
的な導体壁を2重・3重に形成することにより、導体壁
からの電磁波の漏れをより効果的に防止することができ
る。
【0025】次に、縦型の誘電体導波管線路bについて
説明する。図1によれば、厚さqの誘電体層が複数層積
層され、各々の誘電体層には導波路線路の断面形状、具
体的には上部開口1aの輪郭に沿って、水平方向(同図
中のx−y平面の方向)に信号波長の2分の1未満の所
定の間隔、好適には側壁用貫通導体群3の間隔rと同じ
間隔をもって、導体壁用貫通導体群5が形成されてい
る。この導体壁用貫通導体群5は、その下端がT字状分
岐誘電体導波管線路の上部主導体層1に電気的に接続さ
れている。
【0026】また、第2の誘電体基板72の誘電体層間に
は、全ての導体壁用貫通導体群5と電気的に接続し、導
体壁用貫通導体群5を取り囲むように、上部開口1aと
略同寸法の開口6aを有する複数の副導体層6が互いに
平行に形成されている。なお、これら導体壁用貫通導体
群5の形成間隔および複数の副導体層6の間隔qは、い
ずれも伝播する信号波長の1/2未満(望ましくは1/
4以下)の間隔となるように設定されている。
【0027】このような構成により、縦型の誘電体導波
管線路bにおいては、第2の誘電体基板72の誘電体層の
積層方向に延びる導体壁用貫通導体群5と互いに平行に
形成された複数の副導体層6との格子面によって、導波
管壁が形成される。ここで、上部主導体層1の上部開口
1aおよび副導体層6の開口6aの開口寸法のうち第2
の誘電体導波管線路c−dの伝送方向に直交する方向の
寸法Wvは、縦型の誘電体導波管線路bもシングルモー
ドで用いる必要があるので、λ/2<Wv<λ(λは誘
電体中の自由空間波長)とする。また、第2の誘電体導
波管線路c−dの伝送方向の寸法Hvは、Hv<λ/2
であることが必要である。図1に示す例では、誘電体導
波管線路bのE面にあたる部分は、導体壁用貫通導体群
5および副導体層6で形成される、同図中に示すy−z
面に平行な壁であり、H面にあたる部分は、導体壁用貫
通導体群5および副導体層6で形成されるz−x面に平
行な壁である。
【0028】H面にあたる導体壁用貫通導体群5と副導
体層6により形成されたメッシュ構造の導体壁の穴は、
信号波長の1/2より大きいとその隙間はスロットとし
て作用して電磁波が漏れることとなるので、この誘電体
導波管線路bに電磁波を給電してもここで作られる疑似
的な導波管に沿って伝播しないこととなる。しかし、そ
の隙間が信号波長の1/2(望ましくは信号波長の1/
4)より小さいと、電磁波はほとんど漏れることなくこ
の擬似的な導波管に沿って伝播する。
【0029】また、E面にあたる導体壁用貫通導体群5
と副導体層6により形成されたメッシュ構造では、電磁
波による電流はy方向にのみ流れるので、副導体層6の
間隔qが信号波長の1/2未満であればよい。ここでの
E面を形成する導体壁用貫通導体群5の役割は、副導体
層6ほど重要ではないが、より完全な導体壁に近づける
作用があり、これにより電磁波の伝播特性が改善され
る。
【0030】その結果、図1に示す構成によれば、導体
壁用貫通導体群5と副導体層6とによって囲まれる断面
積がWv×Hvのサイズの領域が、縦型の誘電体導波管
線路bとなる。
【0031】そして、以上説明した横型の誘電体導波管
線路a・c−dによるT字状分岐誘電体導波管線路およ
び縦型の誘電体導波管線路bを図1に示すように形成し
て接続することにより、本発明の積層型マジックTの構
造が完成する。
【0032】次に、図2は本発明の積層型マジックTの
実施の形態の他の例の概略構成を示す部分破断斜視図で
あり、この例では、積層型マジックTの分岐部に、従来
のインピーダンス整合用の金属ポールおよび金属板と同
様に機能する、貫通導体から成る整合器8および導体層
から成る整合器9を形成している。
【0033】本発明の積層型マジックTによれば、第1
の誘電体導波管線路a・第2の誘電体導波管線路c−d
および縦型の誘電体導波管線路bはいずれも誘電体導波
管による伝送線路となるので、その導波管の寸法は第1
および第2の誘電体基板71・72の比誘電率をεr とする
と通常の方形導波管の1/√εr の大きさになる。従っ
て、第1および第2の誘電体基板71・72を比誘電率εr
の大きい誘電体材料によって構成するほど、各導波管の
寸法は小さくすることができ、高密度に配線が形成され
る多層配線基板または半導体素子収納用パッケージ内に
形成可能な大きさのマジックTを構成することができ
る。
【0034】なお、側壁用貫通導体群3および導体壁用
貫通導体群5を構成する貫通導体は前述のように信号波
長λの2分の1未満の間隔rで配設されており、この間
隔rは良好な伝送特性を実現するためには一定の繰り返
し間隔とすることが望ましいが、信号波長λの2分の1
未満の間隔であれば適宜変化させたりいくつかの値を組
み合わせたりしてもよいことは言うまでもない。
【0035】次に、このような水平型および垂直形積層
導波管を用いたマジックTの製造方法を図3に示す分解
斜視図を用いて説明する。
【0036】図3において、70は最下部の誘電体基板と
なる誘電体シートである。その他の符号は図1および図
2において対応する箇所を示している。
【0037】まず、誘電体シート70に横型の第1および
第2の誘電体導波管線路の下部主導体層2となる導体パ
ターンを印刷等により形成する。次に、第1の誘電体基
板71となる誘電体シート群に、側壁用貫通導体群3を構
成する貫通導体および貫通導体から成る整合器8を構成
する整合用貫通導体を必要に応じて形成する。これは、
誘電体シートにNCパンチやレーザ加工等により貫通孔
を形成した後、この貫通孔に金属インク(導体ペース
ト)を埋め込むことにより形成される。その後、上部主
導体層1および副導体層4となる導体パターンを厚膜印
刷法等により形成する。
【0038】また、第2の誘電体基板72を構成する複数
の誘電体シートには、上記と同様にして、導体壁用貫通
導体群5・副導体層6・導体層から成る整合器9を構成
する整合用導体パターンを形成する。
【0039】最後に、これらを一括して積層し、誘電体
シートが樹脂系の場合はキュアすることにより、またセ
ラミックスやガラスセラミックスの場合は焼成すること
により、本発明の積層型マジックTが製造される。
【0040】このような積層型誘電体導波管線路を構成
する第1および第2の誘電体基板71・72に用いる誘電体
材料は、誘電体として機能し高周波信号の伝送を妨げる
ことのない特性を有するものであればとりわけ限定され
るものではないが、伝送線路を形成する際の精度および
製造の容易性の点からは、第1および第2の誘電体基板
71・72はセラミックスから成ることが望ましい。
【0041】このようなセラミックスとしてはこれまで
様々な比誘電率を持つセラミックスが知られているが、
積層型誘電体導波管線路を構成して高周波信号を伝送す
るためには常誘電体であることが望ましい。これは一般
に強誘電体セラミックスは高周波領域では誘電損失が大
きく伝送損失が大きくなるためである。従って、第1お
よび第2の誘電体基板71・72の比誘電率εr は4〜100
程度が適当である。
【0042】このような第1および第2の誘電体基板71
・72に好適なセラミックスとしては、例えばアルミナセ
ラミックスやガラスセラミックス・窒化アルミニウムセ
ラミックス等がある。これらは、セラミックス原料粉末
に適当な有機溶剤・溶媒を添加混合して泥漿状になすと
ともにこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダ
ーロール法等を採用してシート状となすことによって複
数枚のセラミックグリーンシートを得て、しかる後、こ
れらセラミックグリーンシートの各々に適当な打ち抜き
加工を施すとともにこれらを積層し、アルミナセラミッ
クスの場合は1500〜1700℃、ガラスセラミックスの場合
は850 〜1000℃、窒化アルミニウムセラミックスの場合
は1600〜1900℃の温度で焼成することによって製作され
る。
【0043】また、上部主導体層1および下部主導体層
2ならびに副導体層4および副導体層6は、例えば第1
および第2の誘電体基板71・72がアルミナセラミックス
から成る場合であれば、タングステン等の金属粉末に適
当なアルミナ・シリカ・マグネシア等の酸化物や有機溶
剤・溶媒等を添加混合してペースト状にしたものを厚膜
印刷法により少なくとも伝送線路を完全に覆うようにセ
ラミックグリーンシート上に印刷し、しかる後、約1600
℃の高温で焼成し、厚み10〜15μm以上となるようにし
て形成する。
【0044】なお、各導体層および各貫通導体を形成す
る金属粉末としては、誘電体基板がガラスセラミックス
から成る場合は銅・金・銀等が、アルミナセラミックス
や窒化アルミニウムセラミックスから成る場合はタング
ステン・モリブデン・マンガン等が好適である。また、
各導体層1・2・4・6の厚みは、5〜50μm程度とす
ればよい。
【0045】また、貫通導体群3・5を構成する貫通導
体は、例えばビア導体やスルーホール導体等により形成
すればよく、その断面形状も製作が容易な円形の他、矩
形や菱形・六角形・八角形等の多角形であってもよい。
これら貫通導体は、例えば誘電体シートであるセラミッ
クグリーンシートに打ち抜き加工を施して形成した貫通
孔に上記各導体層1・2・4・6と同様の導体ペースト
を埋め込み、しかる後、誘電体シートと同時に焼成して
形成する。なお、これらの貫通導体は直径50〜300 μm
が適当である。
【0046】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更や改良を施すことは何ら差し支えない。例
えば、上記の実施の形態の例では横型の誘電体導波管線
路の各主導体層がH面となるように形成したが、これを
各誘電体導波管線路の断面の寸法を変えてE面となるよ
うに形成してもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明の積層型マジックTによれば、各
導波管を積層型の誘電体導波管線路で構成したことか
ら、グリーンシート積層技術を用いて十分な精度でかつ
容易に製造することができる。また、この製造工程が従
来のグリーンシート積層技術と同じなので、多層配線基
板や半導体素子収納用パッケージ等の内部に容易に組み
込むことが可能である。
【0048】さらに、誘電体基板および誘電体層を構成
する誘電体材料の比誘電率を適当に選択することによ
り、周波数の低い場合でも、従来の方形導波管を用いた
マジックTに比べて大幅に小型化することができる。
【0049】分岐部に設けるインピーダンス整合器とし
ての金属ポールや金属板に相当する部分も、同様の貫通
孔の形成および導体ペーストの印刷により容易に作製す
ることができる。
【0050】以上のように本発明によれば、良好な伝送
・分岐特性のマジックTを精度良くかつ安定して得るこ
とができ、生産性も高いマジックTを提供することがで
きたた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型マジックTの実施の形態の一例
の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の積層型マジックTの実施の形態の他の
例の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の積層型マジックTの製造方法を説明す
るための分解斜視図である。
【図4】従来のマジックTの例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・・上部主導体層 1a・・・・上部開口 2・・・・・下部主導体層 3・・・・・側壁用貫通導体群 5・・・・・導体壁用貫通導体群 6・・・・・副導体層 6a・・・・開口 8・・・・・貫通導体から成る整合器 9・・・・・導体層から成る整合器 71・・・・・第1の誘電体基板 72・・・・・第2の誘電体基板 a・・・・・第1の誘電体導波管線路 b・・・・・縦型の誘電体導波管線路 c−d・・・第2の誘電体導波管線路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の誘電体基板を挟持する上部主導体
    層および下部主導体層と、該上部主導体層および下部主
    導体層間を高周波信号の伝送方向に信号波長の2分の1
    未満の繰り返し間隔および所定の幅で電気的に接続する
    2列の側壁用貫通導体群とを具備し、前記各主導体層お
    よび前記側壁用貫通導体群に囲まれた領域によって前記
    高周波信号を伝送する第1および第2の誘電体導波管線
    路を、前記第1の誘電体導波管線路の先端を前記第2の
    誘電体導波管線路の一方の側部に設けた側部開口に互い
    の高周波信号の伝送方向が垂直となるように接続すると
    ともに、分岐部の前記第2の誘電体導波管線路の前記上
    部主導体層に所定の上部開口を設けて成るT字状分岐誘
    電体導波管線路に対し、複数の誘電体層を積層して成る
    第2の誘電体基板と、前記上部開口周囲の前記第2の誘
    電体基板内に積層方向に形成され、所定間隔をもって前
    記上部主導体層に電気的に接続される導体壁用貫通導体
    群と、前記誘電体層間に前記高周波信号の信号波長の2
    分の1未満の間隔で形成され、前記導体壁用貫通導体群
    を前記誘電体層間でそれぞれ電気的に接続する、前記上
    部開口と略同寸法の開口を有する複数の副導体層とを具
    備し、前記複数の副導体層および前記導体壁用貫通導体
    群に囲まれた領域によって前記高周波信号を伝送する縦
    型の誘電体導波管線路を、前記上部開口に前記第1およ
    び第2の誘電体導波管線路に対して高周波信号の伝送方
    向が垂直となるように接続して成ることを特徴とする積
    層型マジックT。
  2. 【請求項2】 前記T字状分岐誘電体導波管線路の前記
    分岐部に、貫通導体および/または導体層から成る整合
    器を設けたことを特徴とする請求項1記載の積層型マジ
    ックT。
JP33900499A 1999-11-30 1999-11-30 積層型マジックt Expired - Fee Related JP4199395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33900499A JP4199395B2 (ja) 1999-11-30 1999-11-30 積層型マジックt

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33900499A JP4199395B2 (ja) 1999-11-30 1999-11-30 積層型マジックt

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001156510A true JP2001156510A (ja) 2001-06-08
JP4199395B2 JP4199395B2 (ja) 2008-12-17

Family

ID=18323369

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33900499A Expired - Fee Related JP4199395B2 (ja) 1999-11-30 1999-11-30 積層型マジックt

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4199395B2 (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005020415A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Kyocera Corp 誘電体導波管線路と導波管との接続構造並びにその構造を用いたアンテナ装置及びフィルター装置
JP2007282025A (ja) * 2006-04-10 2007-10-25 Mitsubishi Electric Corp 導波管分配器
JP2010141645A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Toko Inc 180度ハイブリッド
JP2010283625A (ja) * 2009-06-05 2010-12-16 Kyocera Corp マジックt
JP2012060430A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Mitsubishi Electric Corp 導波管プレート
JP5269902B2 (ja) * 2008-07-31 2013-08-21 京セラ株式会社 高周波基板および高周波モジュール
JP2014022830A (ja) * 2012-07-13 2014-02-03 Toshiba Corp 導波管接続構造、アンテナ装置およびレーダ装置
US9123979B1 (en) 2013-03-28 2015-09-01 Google Inc. Printed waveguide transmission line having layers with through-holes having alternating greater/lesser widths in adjacent layers
US9130254B1 (en) 2013-03-27 2015-09-08 Google Inc. Printed waveguide transmission line having layers bonded by conducting and non-conducting adhesives
US9142872B1 (en) 2013-04-01 2015-09-22 Google Inc. Realization of three-dimensional components for signal interconnections of electromagnetic waves
JP2017143514A (ja) * 2016-02-08 2017-08-17 日本電産エレシス株式会社 導波路装置および当該導波路装置を備えるアンテナ装置
US9806431B1 (en) 2013-04-02 2017-10-31 Waymo Llc Slotted waveguide array antenna using printed waveguide transmission lines
WO2023042466A1 (ja) * 2021-09-17 2023-03-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 導波路

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005020415A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Kyocera Corp 誘電体導波管線路と導波管との接続構造並びにその構造を用いたアンテナ装置及びフィルター装置
JP2007282025A (ja) * 2006-04-10 2007-10-25 Mitsubishi Electric Corp 導波管分配器
JP4542062B2 (ja) * 2006-04-10 2010-09-08 三菱電機株式会社 導波管分配器
JP5269902B2 (ja) * 2008-07-31 2013-08-21 京セラ株式会社 高周波基板および高周波モジュール
JP2010141645A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Toko Inc 180度ハイブリッド
JP2010283625A (ja) * 2009-06-05 2010-12-16 Kyocera Corp マジックt
JP2012060430A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Mitsubishi Electric Corp 導波管プレート
US9331371B2 (en) 2012-07-13 2016-05-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Waveguide connecting structure, antenna device and radar device
JP2014022830A (ja) * 2012-07-13 2014-02-03 Toshiba Corp 導波管接続構造、アンテナ装置およびレーダ装置
US9130254B1 (en) 2013-03-27 2015-09-08 Google Inc. Printed waveguide transmission line having layers bonded by conducting and non-conducting adhesives
US9123979B1 (en) 2013-03-28 2015-09-01 Google Inc. Printed waveguide transmission line having layers with through-holes having alternating greater/lesser widths in adjacent layers
US9142872B1 (en) 2013-04-01 2015-09-22 Google Inc. Realization of three-dimensional components for signal interconnections of electromagnetic waves
US9806431B1 (en) 2013-04-02 2017-10-31 Waymo Llc Slotted waveguide array antenna using printed waveguide transmission lines
US10103448B1 (en) 2013-04-02 2018-10-16 Waymo Llc Slotted waveguide array antenna using printed waveguide transmission lines
JP2017143514A (ja) * 2016-02-08 2017-08-17 日本電産エレシス株式会社 導波路装置および当該導波路装置を備えるアンテナ装置
WO2023042466A1 (ja) * 2021-09-17 2023-03-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 導波路

Also Published As

Publication number Publication date
JP4199395B2 (ja) 2008-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6515562B1 (en) Connection structure for overlapping dielectric waveguide lines
Jin et al. $ E $-band substrate integrated waveguide orthomode transducer integrated with dual-polarized horn antenna
JPH11284409A (ja) 導波管型帯域通過フィルタ
JP3996879B2 (ja) 誘電体導波管とマイクロストリップ線路の結合構造およびこの結合構造を具備するフィルタ基板
JP4199395B2 (ja) 積層型マジックt
Guo et al. Mode composite waveguide
JP3493265B2 (ja) 誘電体導波管線路および配線基板
JP3517143B2 (ja) 誘電体導波管線路と高周波用線路導体との接続構造
JPH10135714A (ja) 積層型導波管線路の結合構造
JP2001102861A (ja) 積層型開口面アレイアンテナ
JPH11308001A (ja) 誘電体導波管線路の接続構造
JP3981346B2 (ja) 誘電体導波管線路と導波管との接続構造並びにその構造を用いたアンテナ装置及びフィルター装置
JP3517148B2 (ja) 誘電体導波管線路と高周波線路導体との接続構造
JPH1174701A (ja) 誘電体導波管線路の接続構造
JP2000196301A (ja) 誘電体導波管線路と方形導波管との接続構造
JPH11308025A (ja) 方向性結合器
JP3522120B2 (ja) 誘電体導波管線路の接続構造
JP3439985B2 (ja) 導波管型帯域通過フィルタ
JP3398311B2 (ja) 高周波配線基板
JP2005012699A (ja) 誘電体共振器が形成された誘電体導波管線路と導波管との接続構造並びにその構造を用いたアンテナ装置及びフィルター装置
JP3439973B2 (ja) 誘電体導波管線路の分岐構造
JP4203404B2 (ja) 導波管構造体の分岐構造およびアンテナ基板
JP4058381B2 (ja) 誘電体導波管線路と導波管との接続構造並びにその構造を用いたアンテナ基板及びフィルター基板
JP3517140B2 (ja) 誘電体導波管線路と高周波線路との接続構造
JP2004104816A (ja) 誘電体導波管線路および配線基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080909

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081003

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111010

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121010

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131010

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees