JP2001153202A - 遊星ローラ動力伝達装置 - Google Patents

遊星ローラ動力伝達装置

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JP2001153202A
JP2001153202A JP33457799A JP33457799A JP2001153202A JP 2001153202 A JP2001153202 A JP 2001153202A JP 33457799 A JP33457799 A JP 33457799A JP 33457799 A JP33457799 A JP 33457799A JP 2001153202 A JP2001153202 A JP 2001153202A
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roller
planetary
power transmission
oil
transmission device
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JP33457799A
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Tomoaki Makino
智昭 牧野
Takashi Nozaki
孝志 野▲崎▼
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数を増加させることなく、安定した良
好な潤滑油の供給を実現することにある。 【解決手段】 サンローラ21とその外周側に同心配置
されたアウターリング22との間に円周方向で等間隔に
それぞれ配置された複数の第一ローラ23および第二ロ
ーラ24を半径方向に多段に配置し、サンローラ21、
第一ローラ23および第二ローラ24、アウターリング
22を相互に圧接させ、潤滑剤により各摩擦接触面間に
形成された油膜を介してその油膜の剪断力により動力を
伝達させる遊星ローラ動力伝達装置において、前記潤滑
剤は、25℃混和ちょう度が350〜500の範囲にあ
る潤滑グリースとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遊星ローラ動力伝達
装置に関し、例えばローラを径方向に多段に配置して入
力回転を減速または増速する摩擦式多段ローラ変速機な
どの遊星ローラ動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブは摩擦伝動装置の
一種であり、滑らかな表面を有する二面間に形成された
油膜を介して動力が伝達される。そのため、歯車よりも
低振動・低騒音での運転が可能である。一定の変速比を
有するトラクションドライブの代表的なものに、例え
ば、図4に示すような遊星ローラ動力伝達装置がある。
【0003】この遊星ローラ動力伝達装置は、サンロー
ラ1と、そのサンローラ1と軸心を一致させて配置され
たアウターリング2と、そのサンローラ1とアウターリ
ング2の間に形成される空間に配置された複数個の遊星
ローラ3と、それら遊星ローラ3を円周方向に等間隔か
つ回転自在に保持するキャリア4とを備えている。
【0004】この装置では、ハウジング5に対して軸受
6で支持された高速回転軸7の一端にサンローラ1を同
軸的に設け、そのサンローラ1の軸心と一致するように
アウターリング2を配置している。このアウターリング
2は、その回転が拘束されるようにハウジング5にボル
ト8で固定されている。サンローラ1とアウターリング
2との間には、複数個の遊星ローラ3が圧接状態で設け
られ、ハウジング9に対して軸受10で支持された低速
回転軸11の一端に設けられたキャリア4によって、遊
星ローラ3が円周方向に等間隔かつ回転自在に保持され
ている。
【0005】そのキャリア4には円周方向等間隔に支持
軸12が植設され、その支持軸12に対して遊星ローラ
3を軸受13を介して回転自在に支持している。遊星ロ
ーラ3の内周面が軸受13を介して支持軸12と接触す
ることにより、高速回転軸7と低速回転軸11間で動力
の伝達が行われる。ハウジング5に固定されたアウター
リング2の両側に二枚の側板14を配置することによ
り、遊星ローラ3の軸方向移動が規制されている。
【0006】例えば、この遊星ローラ動力伝達装置を減
速機として使用する場合、高速回転軸7が入力軸、低速
回転軸11が出力軸となり、高速回転軸7によるサンロ
ーラ1の回転が、遊星ローラ3のサンローラ軸心周りの
回転となってキャリア4を介して低速回転軸11に伝達
される。また、増速機として使用する場合には、低速回
転軸11が入力軸、高速回転軸7が出力軸となり、低速
回転軸11によるキャリア4の回転が、遊星ローラ3の
サンローラ軸心周りの回転となって高速回転軸7に伝達
される。
【0007】このような一組の遊星ローラ動力伝達装置
は、その変速比を10以上に設定することも可能である
が、サンローラ1と遊星ローラ3の接触面圧およびアウ
ターリング2と遊星ローラ3の接触面圧のバランスか
ら、通常、その変速比は3〜6が適当である。そこで、
さらに大きな変速比をとれる動力伝達装置として、例え
ば図5(a)(b)または図6に示すような摩擦式多段
ローラ変速機がある。
【0008】この多段ローラ変速機は、その軸心が一致
するように配置されたサンローラ1及びアウターリング
2と、そのサンローラ1とアウターリング2の間に形成
された空間に、複数のローラが円周方向等間隔に回転自
在に配置された二種類以上のローラ群、例えば図5
(a)(b)の多段ローラ変速機では、二種類のローラ
群を構成する各ローラ3a,3b、また、図6の多段ロ
ーラ変速機では、三種類のローラ群を構成する各ローラ
3a〜3cとで構成される。
【0009】後述するようにローラ3a〜3cのそれぞ
れの個数は三個以上である。それらのローラ3a〜3c
のうち、少なくとも一種類のローラを複数の円筒で構成
し、そのローラが二つの異なる回転半径を有する摩擦接
触部の転走面を持つことにより、一層大きな変速比を確
保することができる。
【0010】すなわち、図5(a)(b)の多段ローラ
変速機は、サンローラ1とアウターリング2の間に二種
類の第一ローラ3aおよび第二ローラ3bをそれぞれ四
個ずつ設け、第一ローラ3aにのみ二種類の回転半径R
1LとR1Sを有する転走面を形成したものである。第一ロ
ーラ3aと第二ローラ3bのサンローラ周りの回転(公
転)が拘束される場合、変速比eは、e=(RO 1L
/(RS 1S)となる。一方、第一ローラ3aおよび第
二ローラ3bのサンローラ周りの回転(公転)を拘束す
る代わりに、アウターリング2の回転を拘束する場合に
は、変速比eは、e=(RO 1L)/(RS 1S)−1
となる。
【0011】図6の多段ローラ変速機は、サンローラ1
とアウターリング2の間に三種類の第一〜第三ローラ3
a〜3cをそれぞれ五個ずつ設け、そのうち第一ローラ
3aおよび第二ローラ3bのそれぞれに二種類の回転半
径R1LとR1Sおよび回転半径R2LとR2Sを有する転走面
を形成したものである。第一〜第三ローラ3a〜3cの
サンローラ周りの回転(公転)が拘束される場合、変速
比eは、e=(RO 1L2L)/(RS 1S2S)とな
る。一方、第一〜第三ローラ3a〜3cのサンローラ周
りの回転(公転)を拘束する代わりに、アウターリング
2の回転を拘束する場合には、変速比eは、e=(RO
1L2L)/(RS 1S2S)+1となる。
【0012】このようにローラを径方向に多段化させる
ことで軸方向のサイズが大きくなることを避けて大きな
変速比を得ることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、遊星ローラ
動力伝達装置を長時間に亘って安定して運転させるため
には、サンローラ1と遊星ローラ3(多段ローラ)との
摩擦接触部、もしくはアウターリング2と遊星ローラ3
(多段ローラ)との摩擦接触部に充分な油膜が形成され
るように潤滑油を安定して供給することが必要である。
その潤滑方式として油浴潤滑または強制潤滑を採用する
場合は十分な潤滑油を各摩擦接触部に供給できるが、シ
ール機構の付加などにより装置の大型化およびコストの
増大を招来する。装置の小型化および製作コストの低減
のためには、潤滑方式をグリース潤滑にすることが望ま
しい。
【0014】しかしながら、グリース潤滑の場合、運転
に伴って転走面からグリースが排除されて潤滑油不足と
なりやすい。前述した多段ローラ変速機では、摩擦接触
部における面圧を低下させて転がり疲労寿命を向上させ
るため、各摩擦接触部はすべて線接触させている。この
ように各摩擦接触部における接触形態が線接触である場
合は、運転に伴う転走面からのグリースの排除が点接触
の場合よりも著しくて潤滑油不足による損傷を招来しや
すい。
【0015】このような潤滑油不足による損傷を防ぐた
めの対策として、装置構成部材の転走面のいずれかに接
する含油部材またはグリース保持部材を設けたものがあ
る。図7は含油部材15を設けた多段ローラ変速機を示
し、図8はグリース保持部材16を設けた多段ローラ変
速機を示す。
【0016】図7に示す多段ローラ変速機は、第二ロー
ラ3b間に円筒形状の含油部材15を配置したものであ
り、この含油部材15が第二ローラ3bの転走面と接す
ることで潤滑油が第二ローラ3bの表面に供給される。
なお、含油部材15と第二ローラ3bの過度の接触を防
止するために含油部材15を中空構造とし、ハウジング
または低速回転軸(図示せず)に植設した支持軸17に
支持されている。
【0017】図8に示す多段ローラ変速機は、第二ロー
ラ3b間に略扇状のグリース保持部材16を配置したも
のであり、このグリース保持部材16は第二ローラ3b
の外周面にほぼ沿う凹曲面18を有し、この凹曲面18
と第二ローラ3b間に形成されたすきまに潤滑グリース
が保持され、その潤滑グリースが第二ローラ3bの表面
に供給される。なお、グリース保持部材16と第二ロー
ラ3bの過度の接触を防止するためにグリース保持部材
16を中空構造とし、ハウジングまたは低速回転軸(図
示せず)に植設した支持軸19に支持されている。
【0018】しかしながら、前述したように含油部材1
5またはグリース保持部材16を多段ローラ変速機に設
けることは、潤滑油不足による損傷を防ぐための対策と
しては有効であるが、含油部材15またはグリース保持
部材16を設けることで部品点数が増加するために製品
のコストアップを招来するという問題が生じ、この点を
改善することが望まれていた。
【0019】そこで、本発明は前述した点を改善するた
めに提案されたもので、その目的とするところは、部品
点数を増加させることなく、安定した良好な潤滑油の供
給を実現し得る遊星ローラ動力伝達装置を提供すること
にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明は、サンローラと、その外
側に同軸上に配置されたアウターリングと、前記サンロ
ーラとアウターリングの間に圧接状態で介装された複数
の遊星ローラと、前記遊星ローラを円周方向等間隔に回
転自在に保持するキャリアとを備え、潤滑剤により各摩
擦接触面間に形成された油膜を介してその油膜の剪断力
により動力を伝達させるものにおいて、前記潤滑剤は、
25℃混和ちょう度が350〜500の範囲にある潤滑
グリースであることを特徴とする。
【0021】本発明は、前記遊星ローラが円周方向等間
隔に回転自在に配置された二種類以上のローラ群を半径
方向に多段に圧接状態で配置し、前記ローラ群のうち、
少なくとも一種類のローラ群の各遊星ローラが異なる回
転半径を持つ複数の外周面を有する多段ローラ変速機に
も適用可能である。また、本発明では、前記サンロー
ラ、アウターリングおよび遊星ローラの軸方向両側にシ
ール部材を配置してグリース滞留空間を形成することが
望ましい。
【0022】本発明の遊星ローラ動力伝達装置では、運
転に伴って一旦転走面から排除された潤滑グリースを再
度転走面に供給することができるか否かは、その潤滑グ
リースの流動性に大きく関連する。潤滑グリースのちょ
う度が低く流動性が悪いと、簡単なシール機構で潤滑グ
リースを保持し、変速機外部へのグリース漏洩を少なく
できる利点がある。
【0023】しかしながら、潤滑グリースをその流動性
のみで再度転走面に付着させることは難しく、含油部材
(図7参照)やグリース保持部材(図8参照)のような
他部材を介して潤滑グリースを再度転走面に付着できる
ような手段が必要である。しかし、このような潤滑改良
部材の追加はコスト上昇を余儀なくされて好適な手段で
はなかった。
【0024】一方、前述したように25℃混和ちょう度
が350〜500の範囲にある潤滑グリースを使用する
と、潤滑グリースのちょう度が高く流動性がよいことか
ら、シール機構が不十分であると変速機外部に潤滑グリ
ースが漏れ出てしまい、変速機内部で潤滑グリースが不
足するため、損傷に到る可能性がある。しかし、シール
機構が十分であれば、潤滑グリースそのものの流動性に
より転走面に潤滑グリースが継続的に入り込ませること
ができる。このシール機構を簡素な構造にすることで、
含油部材(図7参照)やグリース保持部材(図8参照)
のような潤滑改良部材を設けるよりも安価に遊星ローラ
動力伝達装置の耐久性を向上させ得る。
【0025】なお、前記潤滑グリースとしては、合成系
基油にウレア系増ちょう剤を組み合わせたものが好適で
ある。さらに、合成系基油としては、二個以上のシク
ロヘキシル環を有する化合物より生成される合成ナフテ
ン油、縮合脂環構造を有する化合物より生成される合
成ナフテン油、gem−ジメチル構造を有するポリα
−オレフィンより生成される合成パラフィン油があり、
これら〜のうちのいずれかを使用することが望まし
い。
【0026】二個以上のシクロヘキシル環を有する化
合物より生成される合成ナフテン油、縮合脂環構造を
有する化合物より生成される合成ナフテン油、gem
−ジメチル構造を有するポリα−オレフィンより生成さ
れる合成パラフィン油のいずれの合成系基油は、高いト
ラクション係数を有し、また、ウレア系増ちょう剤は、
耐熱性に優れているだけでなく、基油との親和性が良好
で、かつ、剪断安定性に優れ油分離が少ない長所を有す
る。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下に詳述す
る。
【0028】まず、図1(a)(b)に示す実施形態の
摩擦式多段ローラ変速機の構造は以下の通りである。こ
の多段ローラ変速機は、サンローラ21とアウターリン
グ22の間に二種類の第一ローラ23および第二ローラ
24がそれぞれ四個ずつ設けられ、一端をサンローラ2
1とした高速回転軸25と、その高速回転軸25と同軸
状に配置されたアウターリング22との間に、サンロー
ラ21の外周面および第二ローラ24に摩擦接触する第
一ローラ23と、第一ローラ23およびアウターリング
22の内周面に摩擦接触する第二ローラ24がそれぞれ
円周等間隔に圧接状態で配置されている。
【0029】この実施形態では、第一ローラ23が複数
の円筒で形成されることで二種類の転走面を有してい
る。前記高速回転軸25を軸受支持するハウジング26
(キャリア)には、四つの支持軸27が植設されてお
り、第二ローラ24が軸受28を介して支持軸27に支
持されることで第二ローラ24のサンローラ周りの回転
(公転)が拘束され、その結果、第一ローラ23のサン
ローラ周りの回転も拘束される。アウターリング22と
低速回転軸29をボルト30とナット31によって結合
することにより、アウターリング22の回転を低速回転
軸29に伝達させる。なお、アウターリング22の両側
に二枚の側板32を配置することにより、第二ローラ2
4の軸方向移動が規制されている。
【0030】この実施形態では、アウターリング22と
低速回転軸29とは別部材であり、両者をボルト30と
ナット31で結合した構造であるが、低速回転軸29の
一端内周面が転走面となるような摩擦接触部を有するよ
うに、低速回転軸29とアウターリング22とを一体に
形成したものであってもよい。
【0031】その他の実施形態として、第一ローラ23
および第二ローラ24のサンローラ周りの回転(公転)
を拘束する代わりに、アウターリング22の回転を拘束
する実施形態の摩擦式多段ローラ変速機の構造を図2
(a)(b)に示す。
【0032】この実施形態の多段ローラ変速機は、図1
(a)(b)に示す実施形態の場合と同様、サンローラ
21とアウターリング22の間に、それぞれ四個の第一
ローラ23および第二ローラ24が円周等間隔に圧接状
態で配置されている。アウターリング22は、高速回転
軸25と同軸状になるようにハウジング26にボルト3
0で固定されている。また、低速回転軸29の一端には
キャリア39が設けられ、そのキャリア39には、四つ
の支持軸27が植設されており、第二ローラ24が軸受
28を介して支持軸27に支持されている。動力はサン
ローラ21の回転と第一ローラ23および第二ローラ2
4のサンローラ周りの回転(公転)によって伝達され
る。なお、アウターリング22の両側に二枚の側板32
を配置することにより、第二ローラ24の軸方向移動が
規制されている。
【0033】これら二つの実施形態の多段ローラ変速機
では、サンローラ21、第一及び第二ローラ23,2
4、アウターリング22の各摩擦接触面間に形成された
油膜を介してその油膜の剪断力により動力を伝達させ
る。トラクションドライブに使用される油(トラクショ
ン油)は、できるだけ大きなトラクション係数(トラク
ション/法線荷重)を具備していることが望まれる。ま
た、トラクションドライブを構成する転がり要素の疲労
寿命は、法線荷重の約三乗に反比例するといわれてい
る。そのため、トラクション係数の高い油を使用するこ
とで法線荷重を低く設定できるため、装置の寿命を延ば
すことができる。
【0034】また、装置の小型化および製作コストの低
減化のためには、潤滑方式をグリース潤滑にすることが
望ましい。トラクションドライブの動力伝達部である摩
擦接触部では、二物体が転がりすべり接触することで動
力伝達に必要な摩擦力が発生する。そのため、摩擦接触
部では二物体間のすべりに起因する発熱が生じ、その近
傍に存在する潤滑グリースは温度上昇の影響を受けるこ
とになる。
【0035】そこで、前記潤滑グリースとしては、合成
系基油にウレア系増ちょう剤を組み合わせたものが好適
である。前記合成系基油としては、二個以上のシクロ
ヘキシル環を有する化合物より生成される合成ナフテン
油、縮合脂環構造を有する化合物より生成される合成
ナフテン油、gem−ジメチル構造を有するポリα−
オレフィンより生成される合成パラフィン油があり、こ
れら〜のうちのいずれかを使用することが望まし
い。
【0036】この実施形態では、合成系基油にウレア系
増ちょう剤を組み合わせた潤滑グリースを使用すること
により、合成系基油が高いトラクション係数を有するた
め、法線荷重を低く設定しても動力が伝達できて結果的
に寿命の向上が図れ、さらに、ウレア系増ちょう剤の持
つ優れた耐熱性でもって、温度上昇による増ちょう剤の
流動特性の変化を抑制する。
【0037】合成ナフテン油において高いトラクション
係数を示す分子構造は、シクロヘキシル環などのシクロ
アルカン構造である。特に、二個以上のシクロヘキシル
環を有する化合物(例えば2,4−ジシクロヘキシル−
2−メチルペンタン)または縮合脂環構造を有する化合
物(例えば1,1,3−トリメチル−3−シクロヘキシ
ルヒドリンダン)より生成される合成ナフテン油は、高
いトラクション係数を有する。また、gem−ジメチル
構造を有するポリα−オレフィン(例えばポリイソブチ
レン)より生成される合成パラフィン油も、高いトラク
ション係数を有する。
【0038】一方、グリース用増ちょう剤は、金属石
鹸系、コンプレックス石鹸系、非石鹸系の三種類に
大別される。金属石鹸系の代表的なものに、カルシウム
石鹸、ナトリウム石鹸、リチウム石鹸があり、カルシウ
ム石鹸は耐熱性が劣り(常用60℃まで)、トラクショ
ンドライブの使用には不適である。リチウム石鹸は比較
的耐熱性が良好であるが(常用120〜130℃)、増
ちょう剤成分であるリチウムステアレートがトラクショ
ン係数を低下させるので適さない。
【0039】このような金属石鹸系の増ちょう剤の耐熱
性を向上させたものとして、コンプレックス石鹸系の増
ちょう剤があるが、さらに耐熱性に優れたものに非石鹸
系の増ちょう剤がある。なかでもウレア系増ちょう剤
は、耐熱性に優れているだけでなく、基油との親和性が
良好で、かつ、剪断安定性に優れ油分離が少ない長所を
有する。また、分子中に酸化の触媒となる金属元素を含
まず、合成系基油と組み合わせて広く使用されている。
【0040】この実施形態における潤滑グリースには、
25℃混和ちょう度が350〜500の範囲にあるもの
を使用する。ちょう度は、潤滑グリースの軟らかさを表
わす値であり、流動性の良否を示し、例えば前述した合
成系基油とウレア系増ちょう剤との混合割合を変更する
ことにより最適な流動性を示すちょう度に選定すること
ができる。
【0041】この多段ローラ変速機では、運転に伴って
一旦転走面から排除された潤滑グリースを再度転走面に
供給することができるか否かは、その潤滑グリースの流
動性に大きく関連する。ここで、25℃混和ちょう度に
基づいて米国グリース協会(NLGI)が規定したグリ
ースちょう度番号を図3の表に示す。潤滑グリースのち
ょう度が低く流動性が悪い潤滑グリース(例えば主に転
がり軸受で使用されるNLGIちょう度2号または3
号)を用いると、簡単なシール機構で潤滑グリースを保
持し、変速機外部へのグリース漏洩を少なくできる利点
がある。
【0042】しかしながら、潤滑グリースをその流動性
のみで再度転走面に付着させることは難しく、含油部材
(図7参照)やグリース保持部材(図8参照)のような
他部材を介して潤滑グリースを再度転走面に付着できる
ような手段が必要となり、このような潤滑改良部材の追
加はコスト上昇を余儀なくされて好適な手段ではなかっ
た。
【0043】そこで、前述したように25℃混和ちょう
度が350〜500の範囲にある潤滑グリース(例えば
NLGIちょう度番号0号、00号または000号で、
好ましくは、NLGIちょう度番号00号)を使用する
ことにより、潤滑グリースのちょう度が高く流動性がよ
いことから、シール機構が十分であれば、潤滑グリース
そのものの流動性により転走面に潤滑グリースが継続的
に入り込ませることができる。このシール機構を簡素な
構造にすることで、含油部材15(図7参照)やグリー
ス保持部材16(図8参照)のような潤滑改良部材を設
けるよりも安価に遊星ローラ動力伝達装置の耐久性を向
上させることができる。
【0044】シール機構としては、図1(a)(b)に
示す実施形態においては、変速機の高速回転軸側にシー
ル部材33を介装することによりハウジング26との間
にグリース滞留空間34を形成し、変速機の低速回転軸
側ではその低速回転軸29の一端に拡径した連結部35
をシール部材として機能させ、その連結部35との間に
グリース滞留空間36を形成し、これらグリース滞留空
間34,36に潤滑グリースを溜めることで外部へのグ
リース漏洩を防止できる。
【0045】また、図2(a)(b)に示す実施形態に
おいては、変速機の高速回転軸側ではハウジング26自
体をシール部材として機能させ、そのハウジング26と
の間にグリース滞留空間37を形成し、変速機の低速回
転軸側にシール部材38を介装することにより、低速回
転軸29の一端に形成されたキャリア39との間にグリ
ース滞留空間40を形成し、これらグリース滞留空間3
7,40に潤滑グリースを溜めることで外部へのグリー
ス漏洩を防止できる。
【0046】なお、前記実施形態では、二種類のローラ
を半径方向に多段に配置した多段ローラ変速機について
説明したが、本発明はこれに限定されることなく、三種
類以上の多段ローラを備えた他の多段ローラ変速機や一
種類のローラを介装した遊星ローラ変速機にも適用可能
であるのは勿論である。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、潤滑剤として、25℃
混和ちょう度が350〜500の範囲にある潤滑グリー
スを使用したことにより、従来使用していた含油部材や
グリース保持部材などのような潤滑改良部材を設ける必
要がないので、部品点数を増加させることなく、簡素な
シール機構を設けるだけで、潤滑グリースそのものの流
動性により転走面に潤滑グリースが継続的に入り込ませ
ることができるので、安定した良好な潤滑油の供給を実
現することができ、安価に遊星ローラ動力伝達装置の耐
久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遊星ローラ動力伝達装置の実施形
態で多段ローラ変速機を示し、(a)は(b)のB−B
線に沿う断面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面
【図2】本発明の他の実施形態で多段ローラ変速機を示
し、(a)は(b)のD−D線に沿う断面図、(b)は
(a)のC−C線に沿う断面図
【図3】25℃混和ちょう度に基づいて米国グリース協
会(NLGI)が規定したグリースちょう度番号を示す
【図4】遊星ローラ動力伝達装置の一例を示し、(a)
は(b)のF−F線に沿う断面図、(b)は(a)のE
−E線に沿う断面図
【図5】(a)は遊星ローラ動力伝達装置の他例で多段
ローラ変速機を示し、(b)は(a)のG−G線に沿う
断面図
【図6】多段ローラ変速機の他例を示す断面図
【図7】図5(a)の多段ローラ変速機に含油部材を設
けた例を示す断面図
【図8】図5(a)の多段ローラ変速機にグリース保持
部材を設けた例を示す断面図
【符号の説明】
21 サンローラ 22 アウターリング 23 遊星ローラ(第一ローラ) 24 遊星ローラ(第二ローラ) 26 キャリア(ハウジング) 33 シール部材 34,36 グリース滞留空間

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンローラと、その外側に同軸上に配置
    されたアウターリングと、前記サンローラとアウターリ
    ングの間に圧接状態で介装された複数の遊星ローラと、
    前記遊星ローラを円周方向等間隔に回転自在に保持する
    キャリアとを備え、潤滑剤により各摩擦接触面間に形成
    された油膜を介してその油膜の剪断力により動力を伝達
    させるものにおいて、前記潤滑剤は、25℃混和ちょう
    度が350〜500の範囲にある潤滑グリースであるこ
    とを特徴とする遊星ローラ動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 前記遊星ローラが円周方向等間隔に回転
    自在に配置された二種類以上のローラ群を半径方向に多
    段に圧接状態で配置し、前記ローラ群のうち、少なくと
    も一種類のローラ群の各遊星ローラが異なる回転半径を
    持つ複数の外周面を有することを特徴とする請求項1に
    記載の遊星ローラ動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 前記サンローラ、アウターリングおよび
    遊星ローラの軸方向両側にシール部材を配置してグリー
    ス滞留空間を形成したことを特徴とする請求項1または
    2に記載の遊星ローラ動力伝達装置。
  4. 【請求項4】 前記潤滑グリースは、合成系基油にウレ
    ア系増ちょう剤を組み合わせたものとしたことを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の遊星ローラ動力
    伝達装置。
  5. 【請求項5】 前記合成系基油が、二個以上のシクロヘ
    キシル環を有する化合物より生成される合成ナフテン油
    であることを特徴とする請求項4記載の遊星ローラ動力
    伝達装置。
  6. 【請求項6】 前記合成系基油が、縮合脂環構造を有す
    る化合物より生成される合成ナフテン油であることを特
    徴とする請求項4記載の遊星ローラ動力伝達装置。
  7. 【請求項7】 前記合成系基油が、gem−ジメチル構
    造を有するポリα−オレフィンより生成される合成パラ
    フィン油であることを特徴とする請求項4記載の遊星ロ
    ーラ動力伝達装置。
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