JP2001152235A - 溶鉄の炭素濃度調整方法 - Google Patents
溶鉄の炭素濃度調整方法Info
- Publication number
- JP2001152235A JP2001152235A JP33161599A JP33161599A JP2001152235A JP 2001152235 A JP2001152235 A JP 2001152235A JP 33161599 A JP33161599 A JP 33161599A JP 33161599 A JP33161599 A JP 33161599A JP 2001152235 A JP2001152235 A JP 2001152235A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molten iron
- carbon
- hydrocarbon
- carburizing
- concentration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 溶鉄を過剰に脱炭処理し、加炭剤を添加して
炭素濃度を調整する方法において、加炭剤の歩留まりが
高く、的中率の良好な溶鉄の炭素濃度調整を提供する。 【解決手段】 (1)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限
を超えて脱炭し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭する
ことにより溶鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前
記炭化水素の添加速度から換算される炭素添加速度が溶
鉄質量トン当り0.2kg/min以下である。(2)溶鉄を
炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱炭後に、脱酸処理
し、溶鉄内に炭化水素を添加して加炭することにより溶
鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前記炭化水素の
添加速度から換算される炭素添加速度が溶鉄質量トン当
り0.2kg/min以下である。(3)炭化水素を多重管の
最外管以外の多重管の流路から溶鉄中に添加する。
炭素濃度を調整する方法において、加炭剤の歩留まりが
高く、的中率の良好な溶鉄の炭素濃度調整を提供する。 【解決手段】 (1)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限
を超えて脱炭し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭する
ことにより溶鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前
記炭化水素の添加速度から換算される炭素添加速度が溶
鉄質量トン当り0.2kg/min以下である。(2)溶鉄を
炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱炭後に、脱酸処理
し、溶鉄内に炭化水素を添加して加炭することにより溶
鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前記炭化水素の
添加速度から換算される炭素添加速度が溶鉄質量トン当
り0.2kg/min以下である。(3)炭化水素を多重管の
最外管以外の多重管の流路から溶鉄中に添加する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鉄中に加炭剤を
添加して行う溶鉄の炭素濃度調整方法に関する。
添加して行う溶鉄の炭素濃度調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】目標濃度範囲が設けられた鋼種を精錬し
て炭素濃度を目標濃度範囲に調整する場合、精錬中の溶
鉄中の炭素濃度を連続的に測定することは困難であり、
例えば真空脱炭精錬処理では、真空脱炭前の炭素濃度と
排ガス分析結果から処理中の炭素濃度を推定する方法が
行われている。
て炭素濃度を目標濃度範囲に調整する場合、精錬中の溶
鉄中の炭素濃度を連続的に測定することは困難であり、
例えば真空脱炭精錬処理では、真空脱炭前の炭素濃度と
排ガス分析結果から処理中の炭素濃度を推定する方法が
行われている。
【0003】しかし、溶鉄中の[C]濃度が、例えば
0.015〜0.024質量%(以下、単に%で質量%
を示す)という狭幅の炭素濃度範囲が近年求められてい
る。
0.015〜0.024質量%(以下、単に%で質量%
を示す)という狭幅の炭素濃度範囲が近年求められてい
る。
【0004】この狭幅な範囲の炭素鋼を得るには、排ガ
ス分析結果からの情報だけでは十分でなく、例えば特開
平4−143210号公報には、狭幅の範囲が要求され
る炭素鋼を得るための真空脱ガス精錬方法が提案されて
いる。
ス分析結果からの情報だけでは十分でなく、例えば特開
平4−143210号公報には、狭幅の範囲が要求され
る炭素鋼を得るための真空脱ガス精錬方法が提案されて
いる。
【0005】その発明の骨子は、真空脱ガス処理時の真
空圧力を1.3×104 〜4×10 4 Pa(100〜3
00Torr)に管理し、従来に比較して低い真空度で真空
脱炭処理を行うことにあり、その結果、脱炭速度を遅く
設定することが可能となり、狭幅の範囲が要求される炭
素鋼でも的中率を高めることができるとしている。
空圧力を1.3×104 〜4×10 4 Pa(100〜3
00Torr)に管理し、従来に比較して低い真空度で真空
脱炭処理を行うことにあり、その結果、脱炭速度を遅く
設定することが可能となり、狭幅の範囲が要求される炭
素鋼でも的中率を高めることができるとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように脱
炭速度を遅くした場合には、確かに炭素濃度の的中率を
高めることは可能であるが、脱炭時間が長くなるという
新たな問題が発生する。
炭速度を遅くした場合には、確かに炭素濃度の的中率を
高めることは可能であるが、脱炭時間が長くなるという
新たな問題が発生する。
【0007】本発明の目的は、溶鉄を過剰に脱炭処理
し、加炭剤を添加して炭素濃度を調整する方法におい
て、加炭剤の歩留まりが高く、的中率の良好な溶鉄の炭
素濃度調整を提供する。
し、加炭剤を添加して炭素濃度を調整する方法におい
て、加炭剤の歩留まりが高く、的中率の良好な溶鉄の炭
素濃度調整を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、溶鉄中に炭
化水素を添加する速度を変化させる加炭試験を重ねた結
果、下記の知見を得た。
化水素を添加する速度を変化させる加炭試験を重ねた結
果、下記の知見を得た。
【0009】溶鉄中への炭化水素の添加速度を徐々に上
げて加炭試験を行うと、ある炭化水素の添加速度で急激
に炭化水素の加炭剤としての歩留まりが低下することが
わかった。
げて加炭試験を行うと、ある炭化水素の添加速度で急激
に炭化水素の加炭剤としての歩留まりが低下することが
わかった。
【0010】図1は、炭素添加速度と炭化水素の加炭剤
歩留まりとの関係を示すグラフである。
歩留まりとの関係を示すグラフである。
【0011】なお、横軸の炭素添加速度とは、溶鉄質量
1トン(以下、単にtともいう)当りの炭化水素の添加
速度(m3 (標準状態)/min・t)から換算される炭素添
加速度(kg/min・t)を意味する。
1トン(以下、単にtともいう)当りの炭化水素の添加
速度(m3 (標準状態)/min・t)から換算される炭素添
加速度(kg/min・t)を意味する。
【0012】換算方法は、例えば、炭化水素としてC3
H8 を使用し、炭化水素の添加速度が1m3 (標準状態)
/min・tの場合に、以下の通りである。
H8 を使用し、炭化水素の添加速度が1m3 (標準状態)
/min・tの場合に、以下の通りである。
【0013】C3 H8 が1kmolのガス量は、22.4m3
(標準状態)であるから、1m3 (標準状態)のガス量
は、1/22.4=0.0446kmolの相当する。
(標準状態)であるから、1m3 (標準状態)のガス量
は、1/22.4=0.0446kmolの相当する。
【0014】C3 H8 には、3個の炭素原子が入ってお
り、炭素原子量は12kg/kmolであるので、炭化水素
から換算される炭素分は、0.0446kmol×3×12
kg/kmol=1.6kgとなる。
り、炭素原子量は12kg/kmolであるので、炭化水素
から換算される炭素分は、0.0446kmol×3×12
kg/kmol=1.6kgとなる。
【0015】従って、C3 H8 の添加速度が1m3 (標準
状態)/min・tであれば、炭素添加速度は1.6kg/min
・tとなる。
状態)/min・tであれば、炭素添加速度は1.6kg/min
・tとなる。
【0016】同図に示すように、炭素添加速度が0.2
kg/min・tを越えると炭素の加炭剤としての歩留まりが
急激に低下することがわかった。
kg/min・tを越えると炭素の加炭剤としての歩留まりが
急激に低下することがわかった。
【0017】歩留まりが急激に低下する理由は、炭素添
加速度が0.2kg/min・tを越えると炭化水素の分解で
発生する水素気泡が溶鉄と炭化水素との接触を遮断する
からであると推定できる。
加速度が0.2kg/min・tを越えると炭化水素の分解で
発生する水素気泡が溶鉄と炭化水素との接触を遮断する
からであると推定できる。
【0018】炭素添加速度が0.2kg/min・tを越える
と、炭素の加炭剤としての歩留まりが急激に低下するこ
とから、所定の加炭量に対して大量の炭化水素を添加す
ることが必要となりコストアップの問題を生じることが
判明し、炭素添加速度を溶鉄質量t当り0.2kg/min以
下で加炭する必要があることがわかった。
と、炭素の加炭剤としての歩留まりが急激に低下するこ
とから、所定の加炭量に対して大量の炭化水素を添加す
ることが必要となりコストアップの問題を生じることが
判明し、炭素添加速度を溶鉄質量t当り0.2kg/min以
下で加炭する必要があることがわかった。
【0019】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
もので、その要旨は、下記のとおりである。 (1)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱炭
し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭することにより溶
鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前記炭化水素の
添加速度から換算される炭素添加速度が溶鉄質量トン当
り0.2kg/min以下であることを特徴とする炭素濃度調
整方法。 (2)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱炭後
に、脱酸処理し、溶鉄内に炭化水素を添加して加炭する
ことにより溶鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前
記炭化水素の添加速度から換算される炭素添加速度が溶
鉄質量トン当り0.2kg/min以下であることを特徴とす
る炭素濃度調整方法。 (3)炭化水素を多重管の最外管以外の多重管の流路か
ら溶鉄中に添加することを特徴とする上記(1)または
(2)に記載の炭素濃度調整方法。
もので、その要旨は、下記のとおりである。 (1)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱炭
し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭することにより溶
鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前記炭化水素の
添加速度から換算される炭素添加速度が溶鉄質量トン当
り0.2kg/min以下であることを特徴とする炭素濃度調
整方法。 (2)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱炭後
に、脱酸処理し、溶鉄内に炭化水素を添加して加炭する
ことにより溶鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前
記炭化水素の添加速度から換算される炭素添加速度が溶
鉄質量トン当り0.2kg/min以下であることを特徴とす
る炭素濃度調整方法。 (3)炭化水素を多重管の最外管以外の多重管の流路か
ら溶鉄中に添加することを特徴とする上記(1)または
(2)に記載の炭素濃度調整方法。
【0020】
【発明の実施の形態】250質量トン(以下、単にtと
もいう)規模のRH真空脱ガス装置(以下、単にRHと
もいう)にて、初期炭素濃度0.04%から真空脱炭を
行い、炭素の目標濃度範囲を0.015〜0.024%
に指定された溶鉄を溶製した例で従来技術と本発明とを
比較する。
もいう)規模のRH真空脱ガス装置(以下、単にRHと
もいう)にて、初期炭素濃度0.04%から真空脱炭を
行い、炭素の目標濃度範囲を0.015〜0.024%
に指定された溶鉄を溶製した例で従来技術と本発明とを
比較する。
【0021】前記特開平4−143210号公報に開示
されている真空度を2.66×10 4 Pa(200Tor
r)一定として脱炭処理をした場合には、脱炭速度定数
K(1/min)は0.05となる。
されている真空度を2.66×10 4 Pa(200Tor
r)一定として脱炭処理をした場合には、脱炭速度定数
K(1/min)は0.05となる。
【0022】脱炭速度定数Kは以下の式で求められる。 −d[C]/dt=K・[C] このとき、0.04%から目標濃度範囲の上限である
0.024%に到達する時間は10.2分、0.04%
から目標濃度範囲の下限である0.015%に到達する
時間は19.6分であり、脱炭処理中に目標濃度範囲に
入っていた時間は、19.6−10.2=9.4分間と
長く、ばらつき要因が他にあったとしても炭素濃度を目
標濃度範囲に制御することは容易である。
0.024%に到達する時間は10.2分、0.04%
から目標濃度範囲の下限である0.015%に到達する
時間は19.6分であり、脱炭処理中に目標濃度範囲に
入っていた時間は、19.6−10.2=9.4分間と
長く、ばらつき要因が他にあったとしても炭素濃度を目
標濃度範囲に制御することは容易である。
【0023】しかし、従来技術で述べたように脱炭速度
が遅く脱炭時間が長いという問題がある。
が遅く脱炭時間が長いという問題がある。
【0024】そこで、短時間に炭素濃度の成分調整が終
了する方法として、通常操業通り真空排気系能力の許す
限り真空度を上げて真空脱炭処理を行った結果、脱炭速
度定数K(1/min)は0.3と高くなった。
了する方法として、通常操業通り真空排気系能力の許す
限り真空度を上げて真空脱炭処理を行った結果、脱炭速
度定数K(1/min)は0.3と高くなった。
【0025】しかし、0.04%から目標濃度範囲の上
限である0.024%に到達する時間は1.7分、0.
04%から目標濃度範囲の下限である0.015%に到
達する時間は3.3分であった。
限である0.024%に到達する時間は1.7分、0.
04%から目標濃度範囲の下限である0.015%に到
達する時間は3.3分であった。
【0026】したがって、真空脱炭処理中に狙いの範囲
に入っていたのは3.3−1.7=1.6分間に過ぎ
ず、真空脱炭のみでこの成分範囲に制御することは困難
であると言える。
に入っていたのは3.3−1.7=1.6分間に過ぎ
ず、真空脱炭のみでこの成分範囲に制御することは困難
であると言える。
【0027】そこで、はじめから目標濃度範囲の下限よ
りも低い濃度まで脱炭し、その後コークスなどの固体炭
素剤を用いて加炭処理を行う方法が考えられる。
りも低い濃度まで脱炭し、その後コークスなどの固体炭
素剤を用いて加炭処理を行う方法が考えられる。
【0028】しかし、固体炭素剤は、RH真空脱ガス装
置等の真空槽内の合金投入口から落下により添加する
が、固体炭素剤は一般的に比重が軽く、排気系から排出
されたり、真空槽内壁に付着堆積する割合が多く歩留ま
りが低く、しかも歩留まりの変動が大きいという問題が
ある。すなわち、固体炭素剤では、精度よく加炭するこ
とが困難である。
置等の真空槽内の合金投入口から落下により添加する
が、固体炭素剤は一般的に比重が軽く、排気系から排出
されたり、真空槽内壁に付着堆積する割合が多く歩留ま
りが低く、しかも歩留まりの変動が大きいという問題が
ある。すなわち、固体炭素剤では、精度よく加炭するこ
とが困難である。
【0029】発明者らは、炭素を安定して歩留まりよく
添加できる方法として、炭化水素中の炭素を利用するこ
とに着眼した。
添加できる方法として、炭化水素中の炭素を利用するこ
とに着眼した。
【0030】一方、従来から例えば酸素底吹き転炉の底
吹き羽口から流す酸素の発熱対策として、底吹き羽口を
二重管構造とし、内管に酸素、外管に炭化水素を流し、
炭化水素の分解時の吸熱冷却作用を活用して炭化水素の
流量を酸素の発熱量とバランスするように酸素流量の約
5%程度を流すことが一般的に実施されている。
吹き羽口から流す酸素の発熱対策として、底吹き羽口を
二重管構造とし、内管に酸素、外管に炭化水素を流し、
炭化水素の分解時の吸熱冷却作用を活用して炭化水素の
流量を酸素の発熱量とバランスするように酸素流量の約
5%程度を流すことが一般的に実施されている。
【0031】しかし、炭化水素の分解で生じた炭素は、
炭化水素流量の約20倍の流量の酸素に消費され、CO
ガスに添加するため、溶鉄の加炭剤としての機能を利用
できない。
炭化水素流量の約20倍の流量の酸素に消費され、CO
ガスに添加するため、溶鉄の加炭剤としての機能を利用
できない。
【0032】炭化水素は、通常の固体加炭剤のように排
気系に排出されたり、内壁に付着したりすることがない
ため、炭化水素流量と時間を管理するだけで加炭量を設
定できるという利点がある。
気系に排出されたり、内壁に付着したりすることがない
ため、炭化水素流量と時間を管理するだけで加炭量を設
定できるという利点がある。
【0033】しかし、前述のように炭化水素の添加速度
から換算される炭素添加速度が溶鉄t当り0.2kg/min
・tを越えると炭化水素の分解にともない水素気泡が大
量に発生し、溶鉄と添加した炭化水素との接触を遮断す
る現象が生じるため、歩留まりが大きく低下する。
から換算される炭素添加速度が溶鉄t当り0.2kg/min
・tを越えると炭化水素の分解にともない水素気泡が大
量に発生し、溶鉄と添加した炭化水素との接触を遮断す
る現象が生じるため、歩留まりが大きく低下する。
【0034】本発明に使用する炭化水素は、例えばCH
4 、C2 H6 、C3 H8 、C4 H10などであり、これら
の炭化水素を単独あるいは混合して用いることができ
る。
4 、C2 H6 、C3 H8 、C4 H10などであり、これら
の炭化水素を単独あるいは混合して用いることができ
る。
【0035】また、溶鉄中に溶解酸素が多量に残留して
いると、分解で生じた炭素が溶解酸素と反応してCOガ
スを形成し、同様に炭素の歩留まりが低下するおそれが
あるため、溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱
炭後に、脱酸処理を行うことが好ましい。
いると、分解で生じた炭素が溶解酸素と反応してCOガ
スを形成し、同様に炭素の歩留まりが低下するおそれが
あるため、溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超えて脱
炭後に、脱酸処理を行うことが好ましい。
【0036】脱酸処理は、AlまたはAl合金等を溶鉄
中に添加し、通常の環流処理を行うことで実施できる。
中に添加し、通常の環流処理を行うことで実施できる。
【0037】本発明は、RH、DHあるいはVOD、タ
ンク脱ガスなどの真空脱ガス装置を用いることができ
る。また、転炉やAOD等の精錬炉にも用いることもで
きる。
ンク脱ガスなどの真空脱ガス装置を用いることができ
る。また、転炉やAOD等の精錬炉にも用いることもで
きる。
【0038】以下では、本発明をRHで行う場合につい
て説明する。 (1)溶鉄を転炉にて吹錬した後に取鍋へ未脱酸あるい
は弱脱酸で出鋼し、溶鉄中の酸素濃度を100ppm 以上
の状態でRH真空脱ガス装置へ搬送し、真空脱炭を行
う。
て説明する。 (1)溶鉄を転炉にて吹錬した後に取鍋へ未脱酸あるい
は弱脱酸で出鋼し、溶鉄中の酸素濃度を100ppm 以上
の状態でRH真空脱ガス装置へ搬送し、真空脱炭を行
う。
【0039】(2)真空脱炭処理中には脱炭のために必
要な酸素を酸化鉄あるいは酸素ガスの形態で溶鉄に添加
する。
要な酸素を酸化鉄あるいは酸素ガスの形態で溶鉄に添加
する。
【0040】(3)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を
超えて脱炭し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭するこ
とにより溶鉄の炭素濃度を調整する。
超えて脱炭し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭するこ
とにより溶鉄の炭素濃度を調整する。
【0041】(4)溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を
超えて脱炭し、溶鉄の酸素濃度が0.08%を超えると
きには、脱酸処理し、溶鉄の酸素濃度を0.08%以下
とした後に溶鉄内に炭化水素の添加口から添加して加炭
することが望ましい。
超えて脱炭し、溶鉄の酸素濃度が0.08%を超えると
きには、脱酸処理し、溶鉄の酸素濃度を0.08%以下
とした後に溶鉄内に炭化水素の添加口から添加して加炭
することが望ましい。
【0042】(5)炭化水素の添加手段は、環流ガス供
給用羽口、取鍋内に浸漬したランスのノズル、真空槽内
耐火物側壁の羽口等が使用できる。
給用羽口、取鍋内に浸漬したランスのノズル、真空槽内
耐火物側壁の羽口等が使用できる。
【0043】(6) 炭化水素の添加口は、単管でもよ
いが、炭化水素の分解は吸熱反応であり、添加口が冷却
され、溶鉄が添加口に固着し易くなり、炭化水素の流量
制御等が困難になるおそれがある。従って、添加口の炭
化水素分解時の冷却を防止するために、二重管または三
重管等の多重管を用いることが望ましい。
いが、炭化水素の分解は吸熱反応であり、添加口が冷却
され、溶鉄が添加口に固着し易くなり、炭化水素の流量
制御等が困難になるおそれがある。従って、添加口の炭
化水素分解時の冷却を防止するために、二重管または三
重管等の多重管を用いることが望ましい。
【0044】すなわち、添加口に二重管を使用する場
合、内管に炭化水素を供給し、外管に不活性ガスを供給
することにより、外側の不活性ガスが断熱材の役目を果
たし添加口の冷却を防止することができる。
合、内管に炭化水素を供給し、外管に不活性ガスを供給
することにより、外側の不活性ガスが断熱材の役目を果
たし添加口の冷却を防止することができる。
【0045】また、添加口の大きさに余裕があれば、三
重管も有効であり、最も内側の内管または内管の外側の
中管に炭化水素を供給し、最も外側の外管に不活性ガス
を供給することにより、最も外側の外管を通る不活性ガ
スが断熱材の役目を果たし添加口の冷却を防止すること
ができる。
重管も有効であり、最も内側の内管または内管の外側の
中管に炭化水素を供給し、最も外側の外管に不活性ガス
を供給することにより、最も外側の外管を通る不活性ガ
スが断熱材の役目を果たし添加口の冷却を防止すること
ができる。
【0046】多重管に供給される断熱用の不活性ガスと
してはAr、N2 、CO、CO2 などが単独あるいは混
合したもので使用できる。
してはAr、N2 、CO、CO2 などが単独あるいは混
合したもので使用できる。
【0047】
【実施例】250t転炉で粗脱炭した溶鉄を取鍋に出鋼
し、RH真空脱ガス装置で真空脱炭を行ない、溶鉄中の
[C]の目標濃度範囲を0.015〜0.024%とし
て溶製した。
し、RH真空脱ガス装置で真空脱炭を行ない、溶鉄中の
[C]の目標濃度範囲を0.015〜0.024%とし
て溶製した。
【0048】RH真空脱ガス装置で目標濃度範囲の下限
を超えて0.01%まで過剰脱炭し、RH真空脱炭後、
加炭目標炭素濃度を0.016%に設定して必要な添加
炭素量(kg/t)を定めた。
を超えて0.01%まで過剰脱炭し、RH真空脱炭後、
加炭目標炭素濃度を0.016%に設定して必要な添加
炭素量(kg/t)を定めた。
【0049】必要添加炭素量(kg/t)から決められ
る炭化水素(C3 H8 ) のガス量(m3 (標準状態)/ ・
t)を換算し、環流ガス用羽口の添加口は二重管構造で
内管から所定流量(m3 (標準状態)/min・t)を設定
し、外管からのAr流量を一定流量の0.001m3 (標
準状態)/min・tとした。表1に試験結果を示す。
る炭化水素(C3 H8 ) のガス量(m3 (標準状態)/ ・
t)を換算し、環流ガス用羽口の添加口は二重管構造で
内管から所定流量(m3 (標準状態)/min・t)を設定
し、外管からのAr流量を一定流量の0.001m3 (標
準状態)/min・tとした。表1に試験結果を示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示すように、試験番号1のコークス
を加炭剤として使用し、必要量を溶鉄中に一括添加した
従来例では、加炭剤の歩留まりが50%と低く、さら
に、10ヒート実施時の歩留まりの最高値と最小値の差
である歩留まりのばらつきが40%と大きかったため、
1回の加炭処理での的中率が50%と低かった。
を加炭剤として使用し、必要量を溶鉄中に一括添加した
従来例では、加炭剤の歩留まりが50%と低く、さら
に、10ヒート実施時の歩留まりの最高値と最小値の差
である歩留まりのばらつきが40%と大きかったため、
1回の加炭処理での的中率が50%と低かった。
【0052】試験番号2〜6の炭化水素を加炭剤として
使用した場合、炭素添加速度が0.2kg/min・t以下で
は加炭剤の歩留まりが92〜98%と高く、かつ、歩留
まりのばらつきが2〜3と小さいために的中率は100
%となり良好であった。
使用した場合、炭素添加速度が0.2kg/min・t以下で
は加炭剤の歩留まりが92〜98%と高く、かつ、歩留
まりのばらつきが2〜3と小さいために的中率は100
%となり良好であった。
【0053】試験番号7〜8の炭化水素を加炭剤として
使用した場合でも、炭素添加速度が0.2kg/min・t超
では加炭剤の歩留まりが40〜70%と低く、かつ、歩
留まりのばらつきが15〜30%と大きいため、的中率
が低下した。
使用した場合でも、炭素添加速度が0.2kg/min・t超
では加炭剤の歩留まりが40〜70%と低く、かつ、歩
留まりのばらつきが15〜30%と大きいため、的中率
が低下した。
【0054】
【発明の効果】本発明により、加炭剤の歩留まりが高
く、的中率の良好な溶鉄の炭素濃度調整が可能となっ
た。
く、的中率の良好な溶鉄の炭素濃度調整が可能となっ
た。
【図1】炭素添加速度と加炭剤の歩留まりとの関係を示
すグラフである。
すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超え
て脱炭し、溶鉄中に炭化水素を添加して加炭することに
より溶鉄の炭素濃度を調整する方法であって、前記炭化
水素の添加速度から換算される炭素添加速度が溶鉄質量
トン当り0.2kg/min以下であることを特徴とする炭素
濃度調整方法。 - 【請求項2】 溶鉄を炭素の目標濃度範囲の下限を超え
て脱炭後に、脱酸処理し、溶鉄内に炭化水素を添加して
加炭することにより溶鉄の炭素濃度を調整する方法であ
って、前記炭化水素の添加速度から換算される炭素添加
速度が溶鉄質量トン当り0.2kg/min以下であることを
特徴とする炭素濃度調整方法。 - 【請求項3】 炭化水素を多重管の最外管以外の多重管
の流路から溶鉄中に添加することを特徴とする請求項1
または2に記載の炭素濃度調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33161599A JP3646592B2 (ja) | 1999-11-22 | 1999-11-22 | 溶鉄の炭素濃度調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33161599A JP3646592B2 (ja) | 1999-11-22 | 1999-11-22 | 溶鉄の炭素濃度調整方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001152235A true JP2001152235A (ja) | 2001-06-05 |
JP3646592B2 JP3646592B2 (ja) | 2005-05-11 |
Family
ID=18245645
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33161599A Expired - Fee Related JP3646592B2 (ja) | 1999-11-22 | 1999-11-22 | 溶鉄の炭素濃度調整方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3646592B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003027128A (ja) * | 2001-07-10 | 2003-01-29 | Nkk Corp | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 |
KR100916099B1 (ko) * | 2002-12-27 | 2009-09-08 | 주식회사 포스코 | 중저탄소강 제조를 위한 용강의 정련방법 |
KR101063465B1 (ko) * | 2003-12-19 | 2011-09-08 | 주식회사 포스코 | 용강의 진공탈탄공정에서의 탄소농도 제어방법 |
-
1999
- 1999-11-22 JP JP33161599A patent/JP3646592B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003027128A (ja) * | 2001-07-10 | 2003-01-29 | Nkk Corp | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 |
JP4686917B2 (ja) * | 2001-07-10 | 2011-05-25 | Jfeスチール株式会社 | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 |
KR100916099B1 (ko) * | 2002-12-27 | 2009-09-08 | 주식회사 포스코 | 중저탄소강 제조를 위한 용강의 정련방법 |
KR101063465B1 (ko) * | 2003-12-19 | 2011-09-08 | 주식회사 포스코 | 용강의 진공탈탄공정에서의 탄소농도 제어방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3646592B2 (ja) | 2005-05-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN109234493B (zh) | 一种通过喷吹氮气稳定增氮的炼钢方法 | |
CN103468866B (zh) | 一种中高碳钢水的精炼工艺 | |
JP5601132B2 (ja) | 清浄性に優れた低炭素アルミキルド鋼の溶製方法 | |
CN105002328B (zh) | 一种if钢rh真空增碳脱氧的控制方法 | |
JP7265136B2 (ja) | 極低窒素鋼の溶製方法 | |
JP2001152235A (ja) | 溶鉄の炭素濃度調整方法 | |
JP4686917B2 (ja) | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 | |
JP2005232536A (ja) | 高清浄鋼の溶製方法 | |
KR20050005067A (ko) | 선행가탄을 이용한 극저탄소강 개재물 발생 저감 방법 | |
JP2000119732A (ja) | 高清浄極低炭素鋼の溶製方法 | |
JP2729458B2 (ja) | 電気炉溶鋼を用いた低窒素鋼の溶製法 | |
JP3587887B2 (ja) | ステンレス鋼溶製時の吸窒防止法 | |
JPS63143216A (ja) | 極低炭素・低窒素鋼の溶製方法 | |
CN108774663A (zh) | 超低碳高铬钢rh脱碳过程控温保铬方法 | |
JP7269485B2 (ja) | 高窒素ステンレス溶鋼の溶製方法 | |
JP2006152368A (ja) | 低炭素高マンガン鋼の溶製方法 | |
RU2754337C1 (ru) | Способ производства стали, легированной азотом в ковше | |
JPH0633133A (ja) | 極低炭素鋼の製造方法 | |
KR100225249B1 (ko) | 슬로핑 발생 억제를 위한 잔류 슬래그량 조절방법 | |
JPH11217623A (ja) | 環流式真空脱ガス装置での溶鋼の精錬方法 | |
JP2000119730A (ja) | 溶鋼の減圧精錬方法 | |
JP3671769B2 (ja) | 精錬時のスラグフォーミングの抑制方法 | |
JP3282487B2 (ja) | ホーロー用鋼の製造方法 | |
JP2023003384A (ja) | 溶鋼の脱窒処理方法 | |
JP2023174044A (ja) | 低炭素鋼の溶製方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050118 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050131 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |