JP2001152079A - 熱硬化型粉体塗料 - Google Patents

熱硬化型粉体塗料

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JP2001152079A
JP2001152079A JP33309199A JP33309199A JP2001152079A JP 2001152079 A JP2001152079 A JP 2001152079A JP 33309199 A JP33309199 A JP 33309199A JP 33309199 A JP33309199 A JP 33309199A JP 2001152079 A JP2001152079 A JP 2001152079A
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resin
group
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JP33309199A
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Isamu Takabayashi
勇 高林
Kazuhiko Onishi
和彦 大西
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平滑性及び加工性に優れた粉体塗料を提供す
る。 【解決手段】 下記成分(A)、成分(B)及び成分
(C)の総合計量を基準として (A)熱軟化温度が30〜140℃で水酸基価25〜2
00mgKOH、数平均分子量400〜20,000の
粉体塗料用基体樹脂60〜90重量% (B)40℃未満で固体かつ125℃以上で液状であ
り、ウレトジオン基および必要に応じて遊離イソシアネ
ート基を含有し、かつ脂肪族、脂環式又は芳香族のジイ
ソシアネートから製造される重付加化合物9〜40重量
% (C)1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデ
セン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノ
ネン−7、及び6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−
ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7から選ばれる
少なくとも1種の解離触媒0.01〜1重量%、 を熱硬化性樹脂成分として含有してなることを特徴とす
る熱硬化型粉体塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、仕上がり外観及
び加工性に優れた塗膜を提供する熱硬化型粉体塗料に関
する。
【0002】
【従来からの技術及びその課題】 従来より、熱硬化型
粉体塗料は家電製品、自動車、車両、事務用品、鋼製家
具、建材等の工業用製品分野において屋外又は屋内用途
として広く使用されている。上記した熱硬化型粉体塗料
としては、水酸基含有アクリル樹脂や水酸基含有ポリエ
ステル樹脂にブロックポリイソシアネート架橋剤を配合
してなる粉体塗料が公知である。該ブロックポリイソシ
アネート架橋剤として使用されているブロック化剤とし
ては、ε−カプロラクタムが一般的に使用されている
が、このものは塗膜を加熱焼付け硬化させた際に発生し
たε−カプロラクタムが多量に揮散するため、このもの
が焼付け炉などの壁面にヤニとして蓄積され、このもの
が落下した際に塗膜外観に悪影響を及ぼしたり、また焼
付け炉に設けられた空気清浄用フィルターの目を詰まら
せ燃料の燃焼効率を低下させたりするといった問題点が
ある。
【0003】また、従来のブロックポリイソシアネート
硬化型粉体塗料では、より加工性が要求される塗装物品
を満足させることは難しく、ユーザーから加工性の向上
が要求されているのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、従来か
らの問題点を解消するために鋭意研究を重ねた結果、特
定のウレタン架橋剤と特定のブロック化剤の解離触媒を
組み合せることにより仕上がり性、加工性に優れた粉体
塗料を開発するに至った。
【0005】即ち、本発明は、 1、 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の総
合計量を基準として (A)熱軟化温度が30〜140℃で水酸基価25〜2
00mgKOH、数平均分子量400〜20,000の
粉体塗料用基体樹脂60〜90重量% (B)40℃未満で固体かつ125℃以上で液状であ
り、ウレトジオン基および必要に応じて遊離イソシアネ
ート基を含有し、かつ脂肪族、脂環式又は芳香族のジイ
ソシアネートから製造される重付加化合物9〜40重量
% (C)1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデ
セン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノ
ネン−7、及び6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−
ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7から選ばれる
少なくとも1種の解離触媒0.01〜1重量%、 を熱硬化性樹脂成分として含有してなることを特徴とす
る熱硬化型粉体塗料、 2、水酸基含有基体樹脂が水酸基含有ポリエステル系樹
脂、水酸基含有アクリル系樹脂、水酸基含有フッ素系樹
脂及び水酸基含有シリコン樹脂から選ばれる少なくとも
1種の水酸基含有基体樹脂である上記1に記載の熱硬化
型粉体塗料、 3、上記1又は2に記載の熱硬化型粉体塗料において、
該熱硬化型粉体塗料の(A)、(B)及び(C)成分1
00重量部に対して (D)熱軟化温度が焼付け温度以上、数平均分子量2
0,000以上、且つ平均粒子径0.05μm〜150
μmの範囲である微粒子を0〜20重量部 配合してなることを特徴とする熱硬化型粉体塗料に関す
る。
【0006】
【発明の実施の形態】 本発明粉体塗料で使用する水酸
基含有基体樹脂(A)は、従来からブロックポリイソシ
アネート硬化型粉体塗料で用いられているものが使用で
きる。該水酸基含有基体樹脂としては、例えば水酸基含
有ポリエステル系樹脂、水酸基含有アクリル系樹脂、水
酸基含有フッ素系樹脂及び水酸基含有シリコン樹脂が挙
げられる。これらの水酸基含有樹脂は数平均分子量40
0〜20,000、特に1000〜10,000の範囲
のものが好ましい。また、該樹脂の軟化温度は30〜1
40℃、特に35〜100℃の範囲のものが好ましい。
水酸基含有量は、樹脂水酸基価で25〜200mgKO
H/g、特に30〜150mgKOH/gの範囲が好ま
しい。
【0007】水酸基含有ポリエステル系樹脂としては、
例えば(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、ヘ
キサヒドロ(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フ
タル酸等の芳香族又は脂環族ジカルボン酸と(ポリ)エ
チレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ブ
チレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチルプロ
ピオン酸等の2価アルコール、必要に応じて安息香酸等
のモノカルボン酸、(無水)トリメリット酸等の3価以
上のカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、グリセリン、ペンタエリスリットール等の
3価以上のアルコールとを反応させて得られる樹脂が挙
げられる。該ポリエステル系樹脂の中でも、特に酸成分
として、加工性に劣るisoフタル酸を主成分としたポ
リエステル樹脂に適用することが好ましい。
【0008】水酸基含有アクリル系樹脂としては、例え
ば水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー(例えばヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート等)、ガラス転移温度が40
℃以上の硬質アクリルモノマー(例えばメチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、iso-ブチルメタク
リレート、ter-ブチルメタクリレート、ter-ブチ
ルアクリレート等)及び必要に応じてガラス転移温度が
40℃以未満の軟質アクリルモノマー(例えばメチルア
クリレート、エチルアクリレート、n-ブチルメタクリ
レート、iso-ブチルアクリレート、2エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート
等)、アクリルモノマー以外のラジカル重合性不飽和モ
ノマー(例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチル
スチレン、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリ
ルアミド等)、上記水酸基以外の官能基含有ラジカル重
合性不飽和モノマー(例えばグリシジル(メタ)アクリ
レート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等)を
ラジカル共重合反応させて得られる水酸基含有アクリル
基体樹脂が挙げられる。
【0009】水酸基含有フッ素系樹脂としては、例えば
ヒドロキシエチルビニルエーテルのごときヒドロキシア
ルキルビニルエーテル類、フルオロオレフィン(例えば
4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、2フッ化エチレ
ン、3フッ化塩化エチレン2フッ化塩化エチレンな
ど)、必要に応じてその他ラジカル重合可能なモノマー
(ビニルエーテル類、アリルエーテル類、 ビニルエス
テル類、プロペニルエステル類、オレフィン系化合物類
など)との共重合体などが挙げられる。
【0010】また、該フッ素系樹脂として、上記した水
酸基含有アクリル系樹脂において、その他のモノマー成
分としてパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート
(例えばパーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレー
ト、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレ−
ト、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート
など)を必須モノマー成分として使用した樹脂が挙げら
れる。
【0011】水酸基含有シリコン系樹脂として、上記し
た水酸基含有アクリル系樹脂において、その他のモノマ
ー成分としてビニルトリメトキシシラン、(メタ)アク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリメチルシランなどを必須モノマー成
分として使用した樹脂が挙げられる。上記した水酸基含
有基体樹脂(A)において、特に、水酸基含有ポリエス
テル系樹脂が加工性、平滑性、コスト等の点から好まし
い。
【0012】本発明粉体塗料で使用される重付加化合物
(B)は、ウレトジオン基および必要に応じて遊離イソ
シアネート基を含有する重付加化合物から選ばれる。こ
れらの化合物は、例えば、脂肪族系ジイソシアネート化
合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリ
メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジ
イソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リ
ジンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネ
ート等:脂環式系ジイソシアネート化合物としては、イ
ソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス
(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキ
サン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、
1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シ
クロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネー
ト、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2
−シクロヘキサンジイソシアネート等:芳香族ジイソシ
アネート化合物としては、キシリレンジイソシアネー
ト、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキ
シリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート等:その
他のポリイソシアネート類としては、トリフェニルメタ
ン−4,4′,4″−トリイソシアネート等の3個以上
のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物
類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブチレングリコール、ポリアルキレングリコール、
トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ル等のポリ
オールの水酸基に対してイソシアネート基が過剰量とな
る量のポリイソシアネート化合物を反応させてなる付加
物類、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)などのビューレットタイプ付加物、
イソシアヌル環タイプ付加物等が挙げられる。
【0013】これらの内でも1,6−ヘキサメチレンジ
イソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3,
3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘ
キサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)
が好ましい。
【0014】このような重付加化合物の製造は、ウレト
ジオン基を含有するポリイソシアネートと、イソシアネ
ート基に対して二官能価および必要に応じて一官能価の
化合物、特には二価および必要に応じて一価のアルコー
ルとの反応によることが一般的に知られており、例えば
DE−A2,420,475(米国特許第4,044,
171、参考のためにここに引用)、EP−A45,9
96(米国特許第4,483,798、参考のためにこ
こに引用)、およびEP−A45,998(米国特許第
4,463,154、参考のためにここに引用)に記載
されている。ウレトジオン基および必要に応じて遊離イ
ソシアネート基を含有する重付加化合物は一般に、ウレ
トジオン基含有量〔C222 (分子量:84)とし
て計算〕を3〜17重量%有する。これらの化合物の融
点または融点範囲は、好ましくは40〜125℃の範囲
内にある。
【0015】ウレトジオン基を含有し、成分(B)とし
て用いる重付加化合物は、好ましくは、 a)遊離イソシアネート基含有量〔NCO(分子量:4
2)として計算〕が0〜2重量%、 b)ウレトジオン基含有量〔C222 (分子量:8
4)として計算〕が3〜16重量%、 c)ウレタン基含有量〔CHNO2 (分子量:59)と
して計算〕が10〜22重量%、 d)カルボン酸エステル基含有量〔CO2 (分子量:4
4)として計算〕が0〜20重量%、ならびに e)カーボネート基含有量〔CO3 (分子量:60)と
して計算〕が0〜25重量%を有し、カルボン酸エステ
ル基およびカーボネート基の合計量が少なくとも1重量
%のものである。
【0016】EP−A639,598(カナダ出願第
2,130,075)によれば、ウレトジオン基を含有
するこれらの重付加化合物は、 I) ウレトジオン基を含有し平均イソシアネート官能価
が2.0のポリイソシアネート、および II) 必要に応じて、I)およびII) 成分の合計重量に基づ
き70重量%までの他のジイソシアネートと、 III)エステル基および/またはカーボネート基を含有す
る平均分子量が134〜1200のジオール、 IV) 必要に応じて、III)およびVI) 成分の合計重量に基
づき80重量%までの、エステル基および/またはカー
ボネート基を含有しない平均分子量が62〜300のジ
オール、ならびに V) 必要に応じて、III)、VI) およびV)成分の合計重量
に基づき40重量%までの1個のイソシアネート反応基
を含有する化合物とを、イソシアネート基:イソシアネ
ート反応基の当量比が1.2:1〜0.6:1で反応さ
せることにより製造される。
【0017】また、成分(B)の商品名として、例え
ば、クレラン VP LS 2147(住友バイエルウ
レタン株式会社製、下記一般式のもの)が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】成分(B)は、本発明の粉体塗料組成物に
おいて、水酸基含有基体樹脂成分(A)のヒドロキシル
基につき成分(B)のイソシアネート基が0.6〜1.
4個、好ましくは0.8〜1.2個あるような量で使用
される。
【0020】本発明粉体塗料で使用される解離触媒
(C)は、(C)1,8−ジアザビシクロ(5,4,
0)−ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,
3,0)−ノネン−7、及び6−ジブチルアミノ−1,
8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7
から選ばれる少なくとも1種の解離触媒である。
【0021】本発明粉体塗料において、水酸基含有基体
樹脂(A)、重付加化合物(B)及び解離触媒(C)の
配合割合は、3者の成分を基準として成分(A)が60
〜90重量%、好ましくは70〜80重量%、成分
(B)が9〜40重量%、好ましくは19〜25重量
%、成分(C)が0.01〜1重量%、好ましくは0.
1〜0.5重量%の範囲内である。成分(A)の配合割
合が60重量%未満になると塗膜の加工性等が劣り、一
方、90重量%を越えると、塗膜の加工性等が劣る。成
分(B)の配合割合が9重量%未満になると硬化性等が
劣り、一方、40重量%を越えると、塗膜の加工性等が
劣る。成分(C)の配合割合が0.01重量%未満にな
ると硬化性等が劣り、一方、1重量%を越えると、塗膜
が変色(黄色)するといった欠点がある。
【0022】本発明粉体塗料において、必要に応じて熱
軟化温度が焼付け温度以上、好ましくは160℃以上、
更に200℃以上、数平均分子量20,000以上、好
ましくは50,000以上、更に100,000以上、
平均粒子径約0.05μm〜150μm、好ましくは
0.1μm〜100μmの範囲の微粒子を、上記成分
(A)〜(C)成分の総合計量100重量部に対して0
〜20重量部、好ましくは1〜10重量部配合すること
が好ましい。熱軟化温度が焼付け温度未満になると塗膜
の平滑性(塗膜表面に凹凸が目立ち易くなる)が劣り、
数平均分子量が20,000未満になると塗膜の機械的
特性が悪くなり、平均粒子径が0.1μm未満になると
塗料の熱流動性が劣るために塗膜の平滑性などが悪くな
り、一方、150μmを超えると塗膜にブツなどの欠陥
を生じる。また、微粒子(D)には水酸基を含有するこ
とが好ましい。該微粒子の水酸基は成分(B)を介して
成分(A)と化学結合するので塗膜の耐久性(耐候性、
耐水性、機械的特性など)に優れるといった効果を発揮
する。
【0023】本発明粉体塗料においては、特にコアシェ
ル型の水酸基含有ゴム複合樹脂粒子を使用することが好
ましい。この水酸基含有ゴム複合樹脂粒子はゴム状ポリ
マーをコア層とし、ビニル系重合体をシェル層とするコ
アシェル構造を有する粒子であり、水酸基価が約0.1
〜30mgKOH/g、特に約0.5〜20mgKOH
/gの範囲のものが好ましい。水酸基価が約0.1mg
KOH/g未満になると塗膜の加工性、耐水性などの性
能が低下し、一方約30mgKOH/gを超えると耐水
性、耐候性、平滑性等が低下するので好ましくない。該
水酸基はシェル層に導入されたものである。
【0024】また、コアシェル構造はコア層、ミッド
層、シェル層の3層構造を有していても良く、この場合
には、コア層又はミッド層がゴム状ポリマーで形成さ
れ、シェル層がビニル系重合体で形成されたものが使用
できる。粒子の粒径は、約0.05μm〜150μm、
好ましくは約0.1μm〜100μmの範囲である。粒
子径が約0.05μm未満になると粉体塗料の静電塗装
作業性が低下し、一方、約150μmを越えると塗膜の
平滑性が悪くなるので好ましくない。シェル層の軟化温
度(ガラス転移温度)約20℃未満になると粉体塗料を
貯蔵している間に粒子同士が融着を起こして小さな固ま
りを生じ、このものが静電塗装機の輸送管に詰まったり
して塗装トラブルの原因になったり、塗膜のブツの原因
になったりするので好ましくない。
【0025】コア層を形成するゴム状ポリマーとして
は、ゴム状のポリマーを形成する不飽和単量体の重合体
である。不飽和単量体の具体例としては、例えば、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メ
タ)アクリレート:酢酸ビニル等のビニルエステル:塩
化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
リデン等のビニルハライド又はビニリデンハライド:
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等
の含窒素不飽和単量体:スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族化合物:ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、メチロール(メタ)アクリル
アミド等の水酸基含有不飽和単量体:(メタ)アクリル
酸等の不飽和酸:ブタジェン、イソプレン等のジェン系
単量体等が挙げられる。これらのものは1種もしくは2
種以上併用して使用することができる。重合体の代表例
としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステルゴ
ム、ポリブタジェンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ塩
化ビニル、スチレン−ブタジェンゴム、スチレン−ブタ
ジェン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレ
ンゴム、スチレン−ブチレンゴム、スチレン−エチレン
ゴム、エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。これ
らの中でも、特にポリ(メタ)アクリル酸エステルゴ
ム、ポリブタジェンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレ
ン−ブタジェンゴムが好ましい。
【0026】シェル層を形成するビニル系重合体は、上
記ビニル系単量体、例えば、水酸基含有不飽和単量体
(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸またはメタ
クリル酸のC2〜C8 ヒドロキシアルキルエステル;ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リブチレングリコールなどのポリエーテルポリオールと
(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸とのモノエ
ステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルポ
リオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
などの水酸基含有不飽和モノマーとのモノエーテル;
α,β−不飽和カルボン酸と、カージュラE10(シェ
ル化学社製)やα−オレフィンエポキシドのようなモノ
エポキシ化合物との付加物;グリシジル(メタ)アクリ
レートと酢酸、プロピオン酸、p−t−ブチル安息香
酸、脂肪酸類のような一塩基酸との付加物;無水マレイ
ン酸や無水イタコン酸のごとき酸無水基含有不飽和化合
物と、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類とのモ
ノエステル化物またはジエステル化物;ヒドロキシエチ
ルビニルエーテルのごときヒドロキシアルキルビニルエ
ーテル類、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートのような塩素を含んだ水酸基含有単量
体、アリルアルコ−ルなど)を必須成分として必要に応
じてアルキル(メタ)アクリレート(上記した硬質アク
リルモノマーや軟質アクリルモノマーなど)、前記含窒
素不飽和単量体、芳香族化合物、エポキシ基含有不飽和
単量体等の不飽和単量体をガラス転移温度が約20℃以
上、好ましくは約30〜110℃の範囲に調整したビニ
ル系重合体が使用できる。
【0027】上記したゴム複合粒子の製造方法は、従来
から公知の方法、例えば、予めゴム状ポリマーエマルシ
ョンの存在下でビニル系不飽和単量体及びラジカル重合
性開始剤を添加したエマルション重合法や懸濁重合法等
によって得ることができる。
【0028】この水酸基含有ゴム複合樹脂粒子として
は、例えば、武田薬品工業(株)の商品名として、スタ
フィロイドAC−4030等が挙げられる。
【0029】本発明粉体塗料は、必要に応じて充填剤、
着色顔料、流動性調整剤、表面調整剤、スベリ性付与剤
などの粉体塗料用添加剤などを配合することができる。
本発明粉体塗料は、例えば、静電粉体スプレー、摩擦帯
電塗装機等により静電粉体塗装し、通常、約30〜20
0μm 、好ましくは約40〜100μmの範囲で塗装す
ることができる。塗装膜の焼付条件は、通常、被塗物温
度約160〜210℃で約30〜60分間である。
【0030】本発明粉体塗料は、従来から使用されてい
る基材に塗装することができる。該基材としては、例え
ば鉄鋼、亜鉛、アルミニウム、銅、スズ等の金属素材、
これらの金属に表面処理を施したもの、これらの金属素
材に必要に応じてプライマーや中塗り塗装を施した下地
塗装膜等が挙げられる。
【0031】また、適用される分野としては、例えば車
両関係、家電関係、建築関係、道路関係、事務用機器等
に適用することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明をより具体的に
説明する。
【0033】ウレトジオン基を含有する重付加化合物
(B)の製造 (a)エステル基を含有するジオールの製造 901gの1,4−ブタンジオール、および1712g
のε−カプロラクトンを、窒素雰囲気下、室温で一緒に
混合し、0.3gの錫(II)オクトエートと混合し、次
いで160℃に5時間加熱した。室温へ冷却後、無色液
状の生成物で以下の特性を有するものを得た。 粘度(23℃): 180mPa・s OH価: 416mgKOH/g 遊離カプロラクトン: 0.2% 平均分子量(OH価から計算): 269 エステル基含有量(計算): 25.3% (b)エステル基およびウレトジオン基を含有する成分
(B)の製造例 1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソ
シアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)から調製さ
れ、かつ17.9%の遊離イソシアネ─ト基含有量およ
び19.1%のウレトジオン基含有量〔熱間滴定(ho
t titration)で決定〕を有する、ウレトジ
オン基を含有するポリイソシアネート1000g(4.
3当量)を、乾燥窒素の下で80℃に加熱した。次い
で、a)で得たエステル基を含有するジオール457g
(3.4当量)と、2−エチル−1−ヘキサノール 1
17g(0.9当量)との混合物を添加し、反応混合物
のNCO含有量が約2時間後の0.7%の値に下がるま
で、該混合物を最高反応温度105℃にて攪拌した。溶
融物を金属薄板上へ流して冷却し、実質的に無色の固体
樹脂であって、以下の特性を有するものを得た。 NCO含有量: 0.7% ウレトジオン含有量(計算値): 12.1% 全NCO含有量(計算値): 12.8% 融点: 82〜83℃
【0034】実施例1 GV−560(日本ユピカ(株)社製、isoフタル酸
/トリメチロールプロパン/ネオペンチルグリコール=
0.973/0.104/0.808モル比、軟化温度
57℃、水酸基価52mgKOH/g)95g、上記ウ
レトジオン基を含有する重付加化合物(B)28g、
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−
7を0.2g、JR603(テイカ株式会社製、酸化チ
タン)15gを混合し、エクストルーダによって溶融混
練し、冷却後、アトマイザーによって微粉砕し、150
メッシュで濾過して実施例1のポリエステル樹脂粉体塗
料を製造した。
【0035】実施例2 実施例1において1,8−ジアザビシクロ(5,4,
0)−ウンデセン−7に代えて1,5−ジアザビシクロ
(4,3,0)−ノネン−7を同量置き換えた以外は実
施例1と同様にして実施例2のポリエステル樹脂粉体塗
料を製造した。
【0036】実施例3 実施例1において、1,8−ジアザビシクロ(5,4,
0)−ウンデセン−7に代えて6−ジブチルアミノ−
1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン
−7を同量置き換えた以外は実施例1と同様にして実施
例3のポリエステル樹脂粉体塗料を製造した。
【0037】実施例4 実施例1において、原料としてスタフィロイドAC−4
030(武田薬品工業(株)、商品名、水酸基価約5m
gKOH/g、1次粒子径約0.5μm)5gを配合し
た以外は実施例1と同様にして実施例4のポリエステル
樹脂粉体塗料を製造した。
【0038】実施例5 実施例2において、原料としてスタフィロイドAC−4
030(武田薬品工業(株)、商品名、水酸基価約5m
gKOH/g、1次粒子径約0.5μm)5gを配合し
た以外は実施例2と同様にして実施例5のポリエステル
樹脂粉体塗料を製造した。
【0039】実施例6 実施例3において、原料としてスタフィロイドAC−4
030(武田薬品工業(株)、商品名、水酸基価約5m
gKOH/g、1次粒子径約0.5μm)5gを配合し
た以外は実施例3と同様にして実施例6のポリエステル
樹脂粉体塗料を製造した。
【0040】実施例7〜12 実施例1〜6において、ウレトジオン基を含有する重付
加化合物(B)に代えて、クレラン VP LS 21
47(住友バイエルウレタン株式会社製)を使用した以
外は実施例1〜6と同様の方法で製造した。なお、実施
例1〜6のものは実施例7〜12に準じ相当する。
【0041】比較例1 GV−560(日本ユピカ(株)社製、isoフタル酸
/トリメチロールプロパン/ネオペンチルグリコール=
0.973/0.104/0.808モル比、軟化温度
57℃、水酸基価52mgKOH/g)95g、ベスタ
ゴンB1530(ヒュルス社製、NCO含量約15重量
%)10g、JR603(テイカ株式会社製、酸化チタ
ン)15gを混合し、エクストルーダによって溶融混練
し、冷却後、アトマイザーによって微粉砕し、150メ
ッシュで濾過して比較例1のポリエステル樹脂粉体塗料
を製造した。
【0042】比較例2 比較例1において、原料としてスタフィロイドAC−4
030(武田薬品工業(株)、商品名、水酸基価約5m
gKOH/g、1次粒子径約0.5μm)5gを配合し
た以外は比較例1と同様にして比較例2のポリエステル
樹脂粉体塗料を製造した。
【0043】上記した実施例及び比較例の粉体塗料をガ
ルバナイズ鋼板にりん酸亜鉛で化成処理を施した鋼板
(0.8×70×150mm)に静電粉体塗装し、16
0℃20分間加熱して塗膜を形成した。
【0044】実施例及び比較例の試験結果を表1に示
す。
【0045】
【表1】表1
【0046】仕上がり外観:塗膜表面の平滑性を肉眼で
観察した。○;良好、△;劣る、×;著しく劣る。
【0047】塗膜光沢:JIS K−5400 7.6
(1990)に準じて測定した。 (反射率60度) エリクセン試験:JIS K−5400 8.2(19
90)に準じて測定した。塗膜にワレ、剥がれを生じる
までの押し出し距離(mm)を測定した。
【0048】耐衝撃試験:JIS K−5400 8.
3.2(1990)デュポン式耐衝撃性試験に準じて、
落錘重量500g、撃心の尖端直径1/2インチ、落錘
高さ50cmの条件にて塗装板の塗面に衝撃を加えた。つ
いで衝撃を加えた部分にセロハン粘着テ−プを貼着させ
瞬時にテ−プを剥がしたときの塗膜の剥がれ程度を評価
した。○:塗面に剥がれが認められない、△:塗面にわ
ずかの剥がれが認められる、×:塗面にかなりの剥がれ
が認められる。
【0049】塗料揮発減量(%):粉体塗料を160℃
20分間加熱した際の加熱減量を求めた。(焼付け後の
粉体塗料の重量/加熱前の粉体塗料の重量)×100
【0050】
【発明の効果】従来熱硬化型粉体塗料として、水酸基含
有アクリル樹脂や水酸基含有ポリエステル樹脂にε−カ
プロラクタムブロックポリイソシアネート架橋剤を配合
してなる粉体塗料が一般的に使用されているが、このも
のは塗膜を加熱焼付け硬化させた際にε−カプロラクタ
ムが多量に揮散するため、このものが焼付け炉などの壁
面にヤニとして蓄積され、このものが落下した際に塗膜
外観に悪影響を及ぼしたり、また焼付け炉に設けられた
空気清浄用フィルターの目を詰まらせ燃料の燃焼効率を
低下させたりするといった問題点があり、また、加工性
が十分でないといった問題点がある。本発明の熱硬化型
粉体塗料は、架橋剤として、ジイソシアネートの重付加
させて得られる化合物(B)を使用していることから、
該化合物中の
【0051】
【化2】
【0052】結合が加熱により切断されて遊離のイソシ
アネート基が生成されるので、塗膜の加熱の際にイソシ
アネートブロック剤が遊離し多量に発生する恐れはな
い。
【0053】また、重付加化合物(B)の解離触媒とし
て1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン
−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン
−7、及び6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシ
クロ(5,4,0)−ウンデセン−7の特定のアミジン
系触媒が低温硬化に特に有効に作用することが分かっ
た。
【0054】更に、本発明において、特に水酸基含有ゴ
ム複合樹脂粒子を含有させることにより、該水酸基含有
ゴム複合樹脂粒子が塗膜中に粒子として存在し、外から
の衝撃などによるエネルギーを吸収することにより加工
性が良くなる。また、該ゴム複合樹脂粒子成分はイソシ
アネート架橋剤により水酸基含有基体樹脂と化学結合す
るのでより加工性が向上し、また耐候性、耐水性等の耐
久性も向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(A)、成分(B)及び成分
    (C)の総合計量を基準として (A)熱軟化温度が30〜140℃で水酸基価25〜2
    00mgKOH、数平均分子量400〜20,000の
    粉体塗料用基体樹脂60〜90重量% (B)40℃未満で固体かつ125℃以上で液状であ
    り、ウレトジオン基および必要に応じて遊離イソシアネ
    ート基を含有し、かつ脂肪族、脂環式又は芳香族のジイ
    ソシアネートから製造される重付加化合物9〜40重量
    % (C)1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデ
    セン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノ
    ネン−7、及び6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−
    ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7から選ばれる
    少なくとも1種の解離触媒0.01〜1重量%、を熱硬
    化性樹脂成分として含有してなることを特徴とする熱硬
    化型粉体塗料。
  2. 【請求項2】 水酸基含有基体樹脂が水酸基含有ポリエ
    ステル系樹脂、水酸基含有アクリル系樹脂、水酸基含有
    フッ素系樹脂及び水酸基含有シリコン樹脂から選ばれる
    少なくとも1種の水酸基含有基体樹脂である請求項1に
    記載の熱硬化型粉体塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の熱硬化型粉体塗
    料において、該熱硬化型粉体塗料の(A)、(B)及び
    (C)成分100重量部に対して (D)熱軟化温度が焼付け温度以上、数平均分子量2
    0,000以上、且つ平均粒子径0.05μm〜150
    μmの範囲である微粒子を0〜20重量部 配合してなることを特徴とする熱硬化型粉体塗料。
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