JP2001149963A - 有機ハロゲン化合物を含有する排水の処理方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物を含有する排水の処理方法

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JP2001149963A
JP2001149963A JP33435299A JP33435299A JP2001149963A JP 2001149963 A JP2001149963 A JP 2001149963A JP 33435299 A JP33435299 A JP 33435299A JP 33435299 A JP33435299 A JP 33435299A JP 2001149963 A JP2001149963 A JP 2001149963A
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catalyst
wastewater
organic halogen
scale
compound
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Junichi Miyake
純一 三宅
Toru Ishii
徹 石井
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ダイオキシン類,コプラナ−PCBなどの有機
ハロゲン化合物およびカルシウムイオンなどのスケール
成分を含有する排水を効率よく除去する方法を提供す
る。 【解決手段】有機ハロゲン化合物を含有する排水を、処
理温度20〜370℃でかつ該排水が液相を保持する圧
力下で、酸化剤の存在下で触媒を用いて湿式酸化処理す
るにあたり、スケール分散剤を添加した後に湿式酸化処
理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシン類,
コプラナ−PCBなどの有機ハロゲン化合物とカルシウ
ムイオンなどのスケール成分を含む排水を処理する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に有機ハロゲン化合物は化学的に安
定であり、特にダイオキシン類,コプラナ−PCBにお
いては自然界では半永久的に残存するといわれているほ
ど分解しにくい物質であるのに加え、排水中でのその含
有量が非常に低いため、これを効率よく処理することは
従来の排水処理方法では困難であった。従来の排水処理
方法としては、生物学的分解処理法、化学的分解処理方
法、物理学的分解処理方法などの種々の方法が提案され
ているが、未だ効率的な処理方法は確立されていない。
【0003】有機ハロゲン化合物の1種以上を含み、か
つカルシウムイオンなどのスケール成分を含む排水(以
下、単に有機ハロゲン化合物含有排水と記載することも
ある。)の処理方法のひとつとして湿式酸化処理が検討
されている。しかし、有機ハロゲン化合物を含有する排
水には、スケール生成の原因となる物質が含まれている
場合が多く、これを湿式酸化処理する際に固体触媒を用
いた場合には、スケールが固体触媒表面において生成し
て処理性能を低下させることが多く、触媒の性能や寿命
に問題があった。また、スケールが熱交換器において生
成して閉塞や熱交換性能低下を引き起こしたり、配管な
どにおいてスケールが生成して閉塞を引き起こしたりす
ることが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
ハロゲン化合物含有排水の効果的な処理方法を提供する
ことにある。本発明では、有機ハロゲン化合物含有排水
を触媒を用いて湿式酸化処理するにあたり、スケールが
固体触媒表面において生成して処理性能を低下させるこ
と、およびスケールが熱交換器において生成して閉塞や
熱交換性能低下を引き起こすことなどを抑制することに
より、効率よく安定的に処理する方法を提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために鋭意研究した結果、有機ハロゲン化合
物の1種以上を含み、かつカルシウムイオンなどのスケ
ール成分を含む排水を処理するに際し、排水にスケール
分散剤を添加した後、該排水が液相を保持する圧力下、
かつ酸化剤供給下において、該排水を加熱して触媒を用
いることにより排水中の該有機ハロゲン化合物を酸化お
よび/または分解処理する湿式酸化処理を行うことを特
徴とする新規な排水の処理方法を見出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】かくして本発明は、以下のごとき排水の処
理方法を提供する。
【0007】(1)有機ハロゲン化合物の1種以上を含
み、かつカルシウムイオンなどのスケール成分を含む排
水を処理するに際し、排水にスケール分散剤を添加した
後、該排水が液相を保持する圧力下、かつ酸化剤供給下
において、該排水を加熱して触媒を用いることにより排
水中の該有機ハロゲン化合物を酸化および/または分解
処理する湿式酸化処理を行うことを特徴とする排水の処
理方法。
【0008】(2)有機ハロゲン化合物がダイオキシン
類および/またはコプラナ−PCBである(1)に記載
の排水の処理方法。
【0009】(3)触媒が、チタン、ケイ素、アルミニ
ウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、クロム、ランタン、セリウム、タングステン、銅、
銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよ
びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素および
/または炭素化合物を含有する触媒である(1)または
(2)に記載の排水の処理方法。
【0010】(4)触媒が、チタン、ケイ素、アルミニ
ウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラ
ジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選
ばれる少なくとも1種の元素の金属および/または化合
物、および/または炭素化合物を含有する固体触媒であ
る(1)または(2)に記載の排水の処理方法。
【0011】(5)触媒が、触媒A成分として鉄、チタ
ン、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ば
れる少なくとも1種の元素からなる酸化物および/また
は炭素化合物を、また触媒B成分としてマンガン、コバ
ルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、
金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイ
リジウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属およ
び/または化合物を含有するものである(1)または
(2)に記載の排水の処理方法。
【0012】(6)スケール分散剤が、高分子スケール
分散剤および/または重合燐酸塩である(1)〜(5)
に記載の排水の処理方法。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、上記の課題を解決する
ために鋭意研究した結果、有機ハロゲン化合物の1種以
上を含み、かつカルシウムイオンなどのスケール成分を
含む排水を処理するに際し、排水にスケール分散剤を添
加した後、該排水が液相を保持する圧力下、かつ酸化剤
供給下において、該排水を加熱して触媒を用いることに
より排水中の該有機ハロゲン化合物を酸化および/また
は分解処理する湿式酸化処理を行うことを特徴とする新
規な排水の処理方法である。
【0015】以下、具体的に個々について本発明を説明
する。
【0016】本発明において有機ハロゲン化合物とは、
その分子内に少なくとも1個以上のハロゲン原子を含有
する有機化合物であればよく、例えば塩化メチル、塩化
エチル、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テト
ラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、塩化ビニ
ル、クロロホルムなどの脂肪族有機塩素化合物;臭化メ
チル、臭化エチル、臭化ビニルなどの脂肪族有機臭素化
合物;モノクロロベンゼン、ポリ塩化ベンゼン、クロロ
フェノール、ポリ塩化フェノール、塩化ベンジルなどの
芳香族有機塩素化合物;臭化ベンジル、臭化ベンジリデ
ンなどの芳香族有機臭素化合物;トリクロロフルオロメ
タン、ジクロロフルオロメタンなどのフロン;ダイオキ
シン類(臭素化合物も含む。);コプラナ−PCBなど
のポリ塩化ビフェニール類(PCB);ポリ臭化ビフェ
ニール類(PBB);アルドリン、ディルドリン、エン
ドリン、クロルデンなどの残留性有機汚染物質(POP
s);2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4
−ジクロロフェノキシ酢酸、アトラジン、アラクロー
ル、シマジン、ニトロフェン、トリフルラリン、ヘキサ
クロロシクロヘキサン、1,2−ジブロモ−3−クロロ
プロパン、ケルセン、ベンゾエピン、ヘプタクロル、メ
トキシクロル、シペルメトリン、エスフェンバレレー
ト、フェンバレレート、ペルメトリンなどのハロゲンを
含有する外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)な
どが例示されるが、これらの有機ハロゲン化合物に限定
されるものではない。これらの中でも本発明は、特にダ
イオキシン類、コプラナ−PCBの処理に対して有効で
ある。
【0017】スケール成分とは、排水の処理により固形
物を生成しやすい成分のことであり、具体的には、アル
ミニウム、リン、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、
カドミウム、亜鉛、スズ、アンチモン、鉛、タリウム、
水銀、ヒ素およびビスマスからなる群から選ばれる少な
くとも1種の元素をさす。これらスケール成分の状態は
特に限定されるのではなく、例えば、各種のイオンまた
は有機金属化合物等の形態がある。また本発明に係る固
形物の状態としても特に限定されるものではなく、例え
ば、不溶性もしくは難溶性の酸化物や塩などの形態があ
る。
【0018】また、本発明の処理対象となる有機ハロゲ
ン化合物の1種以上を含み、かつカルシウムイオンなど
のスケール成分を含む排水としては、例えば、廃棄物焼
却炉の排ガスを湿式洗浄した洗煙排水などの廃棄物焼却
炉からの排水や、浸出水などのゴミ埋立地からの排水、
あるいは各種工業排水などが挙げられる。
【0019】図1は、本発明の排水の処理方法により、
排水中の有機ハロゲン化合物を処理する一つの実施態様
を示したものである。以下、本発明の排水の処理方法
を、図1に基づいて説明する。
【0020】有機ハロゲン化合物含有排水を排水供給ラ
イン1から、またスケール分散剤をスケール分散剤供給
ライン2から混合タンク3に導入し、ここで両者を均一
に混合し、次いでこれら混合液をポンプ4により昇圧す
る。ライン5からの空気をコンプレッサー6で昇圧した
後、有機ハロゲン化合物含有排水にスケール分散剤を添
加した混合液に混入させる。ここで得られる気液混合物
をライン7を経て、熱交換器8で加熱した後、さらに加
熱器9で加熱し、湿式酸化反応塔10に導入し、ここで
湿式酸化を行う。処理液はライン11を経て、熱交換器
8および冷却器12により冷却した後、気液分離器13
に導入し、ここで気液分離する。処理液はライン16か
ら処理水タンク17に排出させる。なお、気液分離器1
3では、液面コントローラ(LC)により液面を検出し
て液面制御弁14を作動させて一定の液面を保持すると
ともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出し
て圧力制御弁15を作動させて圧力を所定値に維持す
る。
【0021】スケール分散剤としては、一般的に水処理
においてスケール分散剤として用いられているものであ
れば特に限定されるものではなく、いずれも使用するこ
とができる。ただし、スケール分散剤は湿式酸化処理に
より分解されにくいものであることが必要であり、湿式
酸化処理の条件により適宜選択する必要がある。例え
ば、カルシウムイオンなどのスケール成分をキレート結
合などによって捕捉することができる高分子スケール分
散剤や重合燐酸塩などを用いることができる。
【0022】上記高分子スケール分散剤としては、必要
に応じてアニオン性、カチオン性、ノニオン性のものを
単独もしくは組み合わせて用いることができる。アニオ
ン性高分子スケール分散剤の代表例としては、アクリル
酸重合体、アクリル酸系共重合体、例えばアクリル酸/
マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸基含有モ
ノマー共重合体、およびそれらのアルカリ金属(ナトリ
ウム、カリウムなど)塩、並びにポリアクリルアミド部
分加水分解物などを挙げることができる。また、カチオ
ン性高分子スケール分散剤の代表例としては、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート(共)重合体、エチ
レンイミン(共)重合体などのほかに、キトサンなどを
挙げることができる。また、ノニオン性高分子スケール
分散剤の代表例としては、アクリルアミド(共)重合
体、エチレンオキシド(共)重合体、ビニルアルコール
(共)重合体、尿素−ホルマリン共重合体などを挙げる
ことができる。なお、(共)重合体とは、例えばアルキ
ルアミド(共)重合体の場合、アクリルアミド単独重合
体およびアクリルアミドと共重合可能な単量体との共重
合体を意味する。通常は、アニオン性水溶性ポリマーが
用いられるが、金属イオンが陰イオンの場合には、カチ
オン性水溶性ポリマーが用いられる。
【0023】重合燐酸塩としては、特に限定されるもの
ではないが、例えばヘキサメタ燐酸ソーダなどを用いる
ことができる。
【0024】スケール分散剤は、スケール成分と迅速か
つ緊密に接触させるために、水または排水中に予め溶解
して水溶液の形態で添加するのがよい。固体のスケール
分散剤をそのまま排水中に投入すると溶解させるのが困
難となり、スケール成分との迅速かつ緊密な接触が十分
得られないこともある。スケール分散剤を添加する方法
の代表例としては、スケール分散剤を水に溶解させて添
加する方法、排水の一部を分取し、これにスケール分散
剤を溶解させて添加する方法などを挙げることができ
る。
【0025】スケール分散剤とスケール成分との迅速か
つ緊密な接触を促進するためには、スケール分散剤を排
水に添加した後、排水を十分撹拌するのがよい。撹拌方
法の代表例としては、撹拌羽根を回転させる方法、空気
などでバブリングする方法などを挙げることができる。
なお、排水のライン中にスケール分散剤を直接に連続供
給して、特に撹拌することなく混合させてもよい。
【0026】スケール分散剤の添加方法には特に制限は
なく、バッチ式でも、連続式でもよい。また、その添加
位置についても、混合タンク3に添加しても、あるいは
ライン1の排水に直接添加してもよい。いずれにして
も、スケール分散剤と排水中のスケール成分との迅速か
つ緊密な接触が得られるようにするのがよい。また、ス
ケール分散剤の添加量についても特に限定されるもので
はない。
【0027】撹拌は、排水を連続式に処理する場合に
は、常時行うのがよく、一方バッチ式に行う場合には、
前記混合タンク3の容量などによって異なるが、スケー
ル分散剤の添加後、少なくとも1分間、好ましくは3分
間以上撹拌するのがよい。また、排水とスケール分散剤
との混合は、通常、0〜100℃の範囲の温度で行う
が、5〜80℃の範囲で行うのが好ましい。
【0028】湿式酸化反応塔としては、排水の湿式酸化
に一般に用いられている装置を用いることができる。反
応塔は単管式、多管式のいずれの形式であってもよい
し、必要に応じて、両者を組み合わせて使用することも
できる。また、触媒湿式酸化処理法には、固体触媒を用
いるものや均一系触媒を用いるものがあるが、本発明に
おいては、いずれの処理方法も用いることができる。
【0029】上記触媒湿式酸化処理法に用いる固体触媒
としては、触媒湿式酸化処理に一般に用いられている固
体触媒を用いることができる。具体的には、液相酸化の
条件下で活性と耐久性とを兼ね備えた触媒であれば、い
ずれも使用することができる。例えば、チタン、ケイ
素、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、
金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイ
リジウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属およ
び/または化合物、および/または炭素化合物を含有す
る触媒を挙げることができる。ここでいう炭素化合物と
は、活性炭や活性炭素繊維などのことを指す。なかでも
特に、次の触媒A成分と触媒B成分とを含有する固体触
媒が好適に用いられる。ここで触媒A成分とは、鉄、チ
タン、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選
ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、または炭素化合
物であり、また触媒B成分とは、マンガン、コバルト、
ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白
金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウ
ムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属および/ま
たは化合物である。
【0030】触媒A成分の具体例としては、チタン酸化
物、鉄酸化物、ジルコニウム酸化物などの金属酸化物、
チタン酸化物−ジルコニウム酸化物、チタン酸化物−鉄
酸化物などの2元または多元系酸化物(複合酸化物も含
む)の他に、活性炭、もしくは金属酸化物と活性炭の混
合物などを挙げることができる。触媒A成分の固体触媒
に占める割合は、30〜99.95重量%の範囲が好ま
しく、触媒A成分を30重量%以上の割合で用いること
により、固体触媒の耐久性が向上する。
【0031】触媒B成分の具体例としては、前記元素の
金属、酸化物および複合酸化物を挙げることができる。
固体触媒中の触媒B成分の割合は0.05〜70重量%
とするのが好ましく、その割合を0.05重量%とする
ことにより、排水中の有機ハロゲン化合物を十分に酸化
および/または分解処理することが可能となる。なお、
前記元素のうち、銀、金、白金、パラジウム、ロジウ
ム、ルテニウムおよびイリジウム(以下、「B−1成
分」という)の場合には、その金属および/または化合
物の割合(合計量)は固体触媒の0.05〜10重量%
とするのがよい。10重量%を超える割合で使用して
も、それに相応した処理性能の向上は認められず、かえ
って高価な原料であるがために、固体触媒のコストアッ
プとなって経済的に不利となる。そのほかの、マンガ
ン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステンおよ
び銅(以下、「B−2成分」という)の場合には、その
金属および/または化合物の割合(合計量)は固体触媒
の0.05〜70重量%とするのがよい。もちろん、合
計量が0.05〜70重量%の範囲において、B−1成
分とB−2成分とをそれぞれ0.05%〜10重量%お
よび0.05〜70重量%の範囲で組み合わせて用いる
こともできる。
【0032】固体触媒は、触媒B成分として、B−1成
分を含有している場合が特に触媒活性が高く、効果的で
ある。特に、B−1成分の中でも、白金、パラジウム、
ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少
なくとも1種の元素の金属および/または化合物を含有
している場合は触媒活性が高く好ましい。B−2成分の
中では、マンガン、コバルト、ニッケルおよび銅が好適
に用いられる。
【0033】触媒の形状については特に制限はなく、例
えば粒状、球状、ペレット状およびリング状のいずれで
もよく、またハニカム状などの一体構造体でもよい。懸
濁物を含む排水を処理する場合には、固形物や沈殿物な
どにより触媒層での閉塞が起こる可能性があるので、ハ
ニカム状のものが好適に用いられる。
【0034】また、均一系触媒を用いる場合には、触媒
湿式酸化処理に一般に用いられている均一系触媒を用い
ることができる。具体的には、液相酸化の条件下で活性
のある触媒であれば、いずれも使用することができる。
例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、
ジルコニウム、ランタン、セリウム、タングステン、
銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム
およびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属元
素のイオンを均一系触媒として挙げることができる。
【0035】均一系触媒の濃度としては、合計で5〜5
000mg/リットルであればよいが、10〜3000
mg/リットルであることが好ましく、50〜2000
mg/リットルであることが更に好ましい。均一系触媒
の濃度が合計で5mg/リットルより低い場合には、触
媒作用が十分に得られない場合が多く、また5000m
g/リットルを超える場合には必要以上に金属イオンを
添加することになり経済的でない。
【0036】均一系触媒は、通常、塩の形で添加するこ
とが多く、例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などが挙げ
られるが、特にこれらに限定されるものではない。ま
た、錯イオンの形のものも使用することができる。
【0037】また、本発明の対象となる排水中には均一
系触媒として利用できる金属イオンがもとから含まれて
いることが多い。このような場合には該金属イオンを利
用して処理することができるため、排水中に均一系触媒
として添加する金属イオン量を軽減することができる。
この場合、もとから排水中に含まれていた均一系触媒と
して利用できる金属イオンと均一系触媒として添加する
金属イオンの合計量は5〜5000mg/リットルであ
ればよいが、10〜3000mg/リットルであること
が好ましく、50〜2000mg/リットルであること
が更に好ましい。均一系触媒の濃度が合計で5mg/リ
ットルより低い場合には、触媒作用が十分に得られない
場合が多く、また5000mg/リットルを超える場合
には必要以上に金属イオンを添加することになり経済的
でない。
【0038】本発明の対象となる排水のpHは、特に限
定されるものではない。排水が中性〜弱アルカリ性であ
る場合には、金属イオンは水酸化物として沈殿するた
め、アンモニウムイオンなどを共存させて錯イオンとし
て溶解させることが好ましい。
【0039】湿式酸化処理法の実施条件については特に
制限はなく、湿式酸化処理に一般に用いられている条件
下に行うことができる。通常、20〜370℃、好まし
くは100〜300℃の温度およびこの温度で排水が液
相を保持する圧力下で湿式酸化を行う。温度が370℃
を超えると排水を液相に保持できなくなる。一方、温度
が20℃未満では、処理効率が低下する。ただし、湿式
酸化処理の温度はスケール成分が酸化などにより析出す
ることのない温度を選定する必要がある。
【0040】排水の処理量は、処理温度が高い場合には
多くすることができ、逆に低い場合には少ないものとな
る。一般に、空間速度として、0.1〜20hr-1が効
果的であり、より効果的には0.5〜10hr-1であ
り、さらに効果的には1〜5hr-1である。
【0041】また湿式酸化処理には、酸素および/また
はオゾンを含有するガス、過酸化水素などの酸化剤が用
いられる。酸素および/またはオゾンは適宜不活性ガス
などにより希釈して用いることができる。一般には、空
気が用いられるが、それ以外に、他のプラントより生じ
る酸素含有の排ガスも適宜使用することもできる。酸化
剤の使用量は、排水中の被酸化性物質の濃度により適宜
選択することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0043】図1の装置を用いて有機ハロゲン化合物含
有排水の触媒湿式酸化処理を1000時間連続して行っ
た。処理対象となる有機ハロゲン化合物としては、ダイ
オキシン類濃度が6000ng/リットル、TEQ52
ng/リットルであり、カルシウムイオンを50mg/
リットル、マグネシウムイオンを15mg/リットル含
有する廃棄物焼却炉洗煙排水を用いた。有機ハロゲン化
合物含有排水をライン1から混合タンク3に導入し、そ
こにライン2からスケール分散剤を添加した。スケール
分散剤は、平均分子量22万のポリアクリル酸ソーダを
固形分濃度約30%の水溶液の状態で用いた。また、ス
ケール分散剤の添加量は、カルシウムイオンおよびマグ
ネシウムイオンの1mol量に対してカルボキシル基4
mol量となる量にした。混合タンクからスケール分散
剤を添加した有機ハロゲン含有排水をポンプ4により1
リットル/hrの流量で昇圧フィードした。一方、ライ
ン5からの空気をコンプレッサー6で昇圧した後、75
Nリットル/hrの流量で上記有機ハロゲン化合物含有
排水に混入させた。この気液混合物をライン7を経て、
熱交換器8で加熱した後、さらに加熱器9で加熱し、湿
式酸化反応塔10に導入し、処理温度130℃で湿式酸
化処理し、被処理液はライン11を経て、熱交換器8お
よび冷却器12により冷却した後、気液分離器13に導
入した。気液分離器13では、液面コントローラ(L
C)により液面を検出して液面制御弁14を作動させて
一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(P
C)により圧力を検出して圧力制御弁15を作動させて
0.6MPaGの圧力を保持するように操作した。処理
液は処理液排出ライン16から処理水タンク17へ排出
した。なお、触媒はチタン−鉄の酸化物と白金からなる
触媒(白金0.3重量%)を1リットル使用した。
【0044】その結果、1000時間安定して触媒湿式
酸化処理でき、1000時間後の処理水中のダイオキシ
ン類濃度は22ng/リットル、TEQ0.12ng/
リットルであった。処理終了後開放した湿式酸化反応塔
の内部には、特に固形物の堆積は観測されず、また抜き
出した触媒の表面にカルシウムなどの付着は観測されな
かった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、カルシウムイオンなど
のスケール成分を含む有機ハロゲン化合物含有排水を触
媒を用いて湿式酸化処理するにあたり、触媒性能低下を
防止し、排水中に含有される有機ハロゲン化合物を、効
率よく安定的に処理することができる。
【0046】湿式酸化処理に固体触媒を用いる場合に
は、排水にスケール分散剤を添加することにより、スケ
ール生成による閉塞や、固体触媒表面でスケールが生成
して被覆することによる処理性能低下を防止することが
でき、安定して高い処理性能を得ることができる。
【0047】また、湿式酸化処理に均一系触媒を用いる
場合には、排水にスケール分散剤を添加することによ
り、スケール生成による閉塞を防止するとともに、均一
系触媒として作用する金属イオンを液中に安定して存在
させることができるため、安定して高い処理性能を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る湿式酸化処理の処理装置の実施態
様の一つである。
【符号の説明】
3.混合タンク 4.排水供給ポンプ 6.コンプレッサー 8.熱交換器 9.加熱器 10.湿式酸化反応塔 12.冷却器 13.気液分離器 14.液面制御弁 15.圧力制御弁 17.処理水タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D050 AA12 AA13 AB19 AB31 AB47 AB58 AB59 AB60 AB62 AB63 AB64 AB66 BB01 BB02 BB09 BC01 BC02 BC05 BC06 BC07 BC10 BD02 BD06 BD08 CA01 4G069 AA03 AA08 BB02A BB04A BB15A BC09B BC10B BC16A BC31A BC32A BC33A BC42A BC43A BC50A BC50B BC51A BC58A BC60A BC62A BC66A BC66B BC67A BC68A BC70A BC71A BC72A BC74A BC75A BC75B BD05A CA05 CA07 CA10 CA19 DA06 DA08 FA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ハロゲン化合物の1種以上を含み、
    かつカルシウムイオンなどのスケール成分を含む排水を
    処理するに際し、排水にスケール分散剤を添加した後、
    該排水が液相を保持する圧力下、かつ酸化剤供給下にお
    いて、該排水を加熱して触媒を用いることにより排水中
    の該有機ハロゲン化合物を酸化および/または分解処理
    する湿式酸化処理を行うことを特徴とする排水の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 有機ハロゲン化合物がダイオキシン類お
    よび/またはコプラナ−PCBである請求項1に記載の
    排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 触媒が、チタン、ケイ素、アルミニウ
    ム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
    ル、クロム、ランタン、セリウム、タングステン、銅、
    銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよ
    びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素および
    /または炭素化合物を含有する触媒である請求項1また
    は2に記載の排水の処理方法。
  4. 【請求項4】 触媒が、チタン、ケイ素、アルミニウ
    ム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
    ル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラ
    ジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選
    ばれる少なくとも1種の元素の金属および/または化合
    物、および/または炭素化合物を含有する固体触媒であ
    る請求項1または2に記載の排水の処理方法。
  5. 【請求項5】 触媒が、触媒A成分として鉄、チタン、
    ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる
    少なくとも1種の元素からなる酸化物および/または炭
    素化合物を、また触媒B成分としてマンガン、コバル
    ト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、
    白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジ
    ウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属および/
    または化合物を含有するものである請求項1または2に
    記載の排水の処理方法。
  6. 【請求項6】 スケール分散剤が、高分子スケール分散
    剤および/または重合燐酸塩である請求項1〜5に記載
    の排水の処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10324136A1 (de) * 2003-05-26 2004-12-16 Bergische Universität Wuppertal Vorrichtung zur Behandlung von Abwässern, insbesondere enthaltend Küpenfarbstoffe, hierbei eingesetzte Filtrationsmembran sowie Verfahren zur Behandlung von Abwässern unter Verwendung dieser Vorrichtung
WO2015141567A1 (ja) * 2014-03-18 2015-09-24 栗田工業株式会社 水処理用分散剤及び水処理方法

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WO2015141567A1 (ja) * 2014-03-18 2015-09-24 栗田工業株式会社 水処理用分散剤及び水処理方法
JP2015174082A (ja) * 2014-03-18 2015-10-05 栗田工業株式会社 水処理用分散剤及び水処理方法

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