JP2803518B2 - 被酸化性物質または被還元性物質の除去方法、金属酸化物類担持複合体およびその製造方法 - Google Patents

被酸化性物質または被還元性物質の除去方法、金属酸化物類担持複合体およびその製造方法

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JP2803518B2 JP5065473A JP6547393A JP2803518B2 JP 2803518 B2 JP2803518 B2 JP 2803518B2 JP 5065473 A JP5065473 A JP 5065473A JP 6547393 A JP6547393 A JP 6547393A JP 2803518 B2 JP2803518 B2 JP 2803518B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、産業廃棄物などの溶液
中に存在する被酸化性物質または被還元性物質を金属酸
化物類存在下で分解して除去する方法ならびにそれに適
した金属酸化物類担持複合体およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】本明細書において、「酸化物類」とは、酸
化物および水酸化物の総称である。
【0003】
【従来の技術】金属の酸化物類は触媒としては微粒子に
して使用され、そのままでは操作性や取扱い性が悪いの
で、工業的には、通常成形体としてまたは担体に担持し
て使用される。
【0004】たとえば、特開昭57−39185号公
報、特開昭57−172927号公報および特開昭57
−207184号公報には、塩化アルカリ水溶液の電解
用陽イオン交換膜として、電解電圧の低減を目的とした
金属の酸化物とフッ素系有機陽イオン交換膜との複合体
が開示され、金属酸化物の粉末を媒体中で結合体と混合
し、フィルター上に多孔質層のケークを形成し、膜面に
加熱して圧着して製造される。該複合体においては、金
属酸化物は、イオン交換膜の表面に物理的に密着されて
いる。
【0005】被酸化性物質を含む溶液を酸化剤の共存下
に金属酸化物と接触させて被酸化性物質(COD成分)
を分解する方法として、特開昭52−41453号公
報、特開昭52−105651号公報および特開昭52
−23860号公報に次亜塩素酸塩を酸化剤として、こ
れを流動状態で使用する方法が述べられている。しか
し、これらの方法では、触媒による二次汚染の防止およ
びコストの低減のため、処理後触媒を分離して回収する
必要があるが、触媒粒子がきわめて微細であって濾過性
がわるく、分離回収に大容量の濾過機を必要とする。
【0006】これらの改良方法として、特開昭52−1
28648号公報、特開昭49−37465号公報およ
び特開昭55−27075号公報では、触媒を担体、バ
インダー等によって成形体にして用いることが提案され
ている。具体的には、たとえば、特開昭55−2707
5号公報では、ニッケル酸化物、マンガン酸化物または
コバルト酸化物を塩素および/またはフッ素を含む樹脂
を付着媒体として担体上に担持した触媒が提案されてお
り、その触媒はニッケル、マンガンまたはコバルトの塩
を塩素および/またはフッ素を含む樹脂に付着させ、樹
脂を硬化させたのち、酸化剤で処理して製造される。こ
れら改良法のように触媒を成形体とすれば、取扱い性お
よび操作性は向上するが、本発明者らの検討したところ
によれば、使用時成形体から触媒成分、担体、バインダ
ーなどが剥離して、触媒の損失を起こすだけでなく、浮
遊物質(SS)や触媒成分に由来する重金属による問題
を派生させる。さらに、被処理液にSS成分やカルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン等の難溶性物質を形成し
やすいイオンが存在する場合は、SS成分や沈殿物が触
媒表面に付着して触媒活性を急激に低下させる。
【0007】被還元性物質を含む溶液を金属酸化物を用
いて分解させる方法としては、特開昭63−13014
1号公報に、白金族金属酸化物自体またはこれをチタ
ン、セラミックスなどの無機系担体に担持したものを触
媒として次亜塩素酸塩を分解する方法が提案されてい
る。しかし、この触媒を粉末として懸濁床や流動床に使
用すると、該触媒が床から流出するのを防ぐのが困難で
あり、成形体にすると当然懸濁床や流動床に使用するこ
とができない。また、上記の担持には、300℃以上の
高温での焼き付け処理を要する。
【0008】また、特開昭56−65633号公報およ
び特開昭60−71086号公報では、ニッケル、銅な
どの塩、酸化物などを溶液に溶解させたり、懸濁させた
ものを触媒として使用することが提案されている。しか
し、この方法を工業規模で適用するには、触媒流出によ
る二次汚染の防止および触媒コスト低減のために、分解
後の液から触媒を分離して回収し、場合によっては触媒
を再生する必要があるが、触媒はきわめて微細であって
その分離回収に大容量の装置を必要とする。
【0009】さらに、特開昭61−149240号公
報、特開昭56−108587号公報、特開昭56−9
7544号公報および特開昭58−115002号公報
では、触媒の種々の方法による成形または固定化が提案
されている。具体的には、たとえば特開昭56−975
44号公報では、ニッケル、コバルト等の酸化物を有機
樹脂マトリックスで成形したペレット触媒が提案されて
おり、粉末状ニッケル、コバルト等の酸化物とポリオレ
フィン、ハロゲン化ポリオレフィンなどの粉末状樹脂と
を粉砕し、均一に混合し、圧縮成形し、樹脂の軟化点ま
たはそれに近い温度で焼結して粒状とするものである。
これらの触媒は、金属酸化物を樹脂で物理的に固めただ
けのものであるので、結合力が弱く、懸濁床や流動床に
は使用することができず、固定床においても長時間使用
すると金属酸化物が剥落して、触媒の損失、ラインの閉
塞、SS成分や触媒成分による処理液の二次的な汚染な
どを引き起こす(固定床によって固形分を含む液を処理
するには、前もって固形分を除去する必要がある)。さ
らに、これらの方法の問題点として、触媒調製工程が長
くかつ複雑であること、触媒(成形体)の外表面しか反
応に関与しないことなどを挙げることができる。
【0010】特開昭60−71085号公報では、液中
の過酸化水素をアニオン交換樹脂、具体的にはスチレン
−ジビニルベンゼン共重合体を母体とするアニオン交換
樹脂にパラジウム触媒を担持した複合体によって分解す
る方法が提案されている。この方法によれば、触媒の有
効表面積を大きくすることができるが、担体が炭化水素
を主鎖とする高分子化合物なので、耐熱性および耐薬品
性に劣る。とくに、過酸化水素が共存する系に使用する
ので、その劣化速度は著しく大きい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の種々の問題を解決した、すなわち、(1)溶液中に存
在する被酸化性物質または被還元性物質を金属の酸化物
類で分解して除去するにあたり、金属の酸化物類の反応
活性が高く;その活性が劣化しにくく;金属の酸化物類
が反応槽から流出しにくく;被処理液にSS成分が含ま
れていても金属の酸化物類の作用が衰えにくく;被処理
液にアルカリ土類金属イオンが含まれていても沈殿を生
成させにくく、沈殿が生成しても金属の酸化物類の作用
が衰えにくく;酸化剤以外の薬剤を使用する必要がな
く;かつ、設備費も小さくて済む方法、ならびに、
(2)物理的強度が高く、化学的安定性が高く、成分が
剥離しにくく、変形や変質が起こりにくく、有効面積が
大きく、かつ、製造が容易であってそのコストも低い、
上記方法に使用するのに適した金属の酸化物類の複合体
およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、 被酸化性物質を含む溶液を、酸化剤の存在下に、フ
ッ素系有機陽イオン交換体にMn、周期表1B族元素お
よび周期表8族元素から選ばれた少なくとも1種の金属
(以下、Mn等という)の酸化物類が担持されている金
属酸化物担持複合体(以下、Mn酸化物等担持複合体と
いう)と接触させることによる、被酸化性物質の除去方
法、 Mn酸化物等担持複合体を酸化剤と接触させたの
ち、被酸化性物質を含む溶液と接触させることによる、
被酸化性物質の除去方法、 被還元性物質を含む溶液を、Mn酸化物等担持複合
体と接触させることによる、被還元性物質の除去方法、 Mn等の酸化物類のうち少なくとも5wt%がフッ
素系有機陽イオン交換体の内部に担持されている、Mn
酸化物等担持複合体、および フッ素系有機陽イオン交換体を、その対イオンをM
n等のイオンとしたのち、アルカリおよび/または酸化
剤と接触させることによる、Mn酸化物等担持複合体の
製造方法 を要旨とするものである。
【0013】以下、これらについて詳細に説明する。
【0014】(Mn等の酸化物類)Mn酸化物等担持複
合体を構成するMn等の酸化物類は、先の定義から明ら
かなように、Mn;Cu,Agなどの周期表1B族元素
およびFe,Co,Ni,Pd,Ptなどの周期表8B
族元素の少なくとも1種の酸化物(過酸化物を含む)お
よび水酸化物(酸化物でもあり水酸化物でもあるオキシ
水酸化物を含む)の少なくとも1種であり、具体的に
は、Mn(OH)2,MnO2,Mn23 ,Mn34
Fe(OH)2,Fe(OH)3,Fe23,Fe34
FeO;Co(OH)2,Co(OH)3,Co23
Co34,CoO2;Ni(OH)2,NiO,Ni
23,Ni34,NiO2,NiOOH;Cu(O
H)2,CuO,Cu2O;Pd(OH)2,Pd2O,P
23,PdO2,PdO3などを例示することができ
る。もっとも、これらのいずれかを担持した複合体によ
って被酸化性物質または被還元性物質の溶液を処理する
際、これらの金属の酸化物類が変化することなく作用す
るとは限らない。たとえば、環境すなわち上記溶液のp
H、温度、酸化還元電位などに応じて、金属元素の原子
価が変化してまたは変化しながら、あるいは酸化物が水
酸化物に転化するなどして、つまり他のMn等の酸化物
類に変化してあるいは変化しながら、被酸化性物質また
は被還元性物質を分解することがありうる。これら金属
の酸化物類は、単一の化合物、その2種類以上または異
種金属元素間の複合化合物のいずれからなるものでもよ
い。Mn等の酸化物類のうち、経済性などより、Ni、
Co、Cu、Pdなどの酸化物類が好ましく、なかでも
NiまたはCoのそれがとくに好ましい。これら金属の
酸化物類は、化学分析、X線回折、X線光電子分光法、
電子プローブマイクロアナリシス等によって同定するこ
とができる。
【0015】(フッ素系有機陽イオン交換体)Mn酸化
物等担持複合体を構成するフッ素系有機陽イオン交換体
としては、市販のフッ素系有機陽イオン交換樹脂やフッ
素系有機陽イオン交換膜のいずれのものをも使用するこ
とができ、たとえば、テトラフルオロエチレンとパーフ
ルオロビニルエーテルとの共重合体に陽イオン交換基が
導入されたNafion(デュポン社製)、Flemi
on(旭硝子(株)製)等の商標が付された陽イオン交
換体を好適に用いることができる。このパーフルオロカ
チオン交換体がもっとも耐久性に富むが、炭化水素系陽
イオン交換体を窒素、アルゴン等の不活性ガスで希釈し
たフッ素ガスと接触させてえられるもののように、主鎖
に一部水素が残った構造のものも使用することができ
る。これらフッ素系有機陽イオン交換体のイオン交換基
としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸
基、フェノール性水酸基等があり、いずれも好適に使用
することができる。なかでも、Mn等の酸化物類との結
合力の点でスルホン酸基またはカルボン酸基をもつもの
がより望ましい。該フッ素系有機陽イオン交換体のイオ
ン交換容量が大きいほど、金属の酸化物類を強く結合す
ることができ、とくにMn酸化物等担持複合体を後述の
イオン交換法によって製造する場合は、酸化物類を多く
含むことができ、被酸化性物質または被還元性物質を含
む溶液を長い期間処理することができ、具体的には0.
3ミリグラム当量/乾燥体グラム以上、とくに0.5ミ
リグラム当量/乾燥体グラム以上のものを選ぶのがよ
い。該フッ素系有機陽イオン交換体の形状は、膜状、球
状、繊維状のいずれでもよい。さらに、該フッ素系有機
陽イオン交換体としては、イオン交換膜法食塩電解の隔
膜として用いられた使用済みの陽イオン交換膜でもよ
く、使用条件に合わせて適当な形状・大きさに切って使
用すればよい。
【0016】(Mn酸化物等担持複合体)Mn酸化物等
担持複合体に担持されたMn等の酸化物類のうちすくな
くとも5%が該複合体の内部に担持されているものがよ
い。フッ素系有機陽イオン交換体に担持されたMn等の
酸化物類は、表面に担持されたものも比較的剥離しにく
いのであるが、それでも内部に担持されたものにくらべ
れば耐剥離性が劣るからである。いっぽう、活性は表面
に担持されたものが多いほど高くなるので、Mn等の酸
化物類の全担持量に対するフッ素系有機陽イオン交換体
の表面に担持されているものの割合は、2〜90%がさ
らによく、5〜80%であればなおよく、10〜70%
がもっともよい。
【0017】Mn酸化物等担持複合体におけるMn等の
酸化物類の担持量は、0.1wt%以上が好ましく、
0.2wt%以上であればさらによい。この担持量は、
大きいほど該複合体の活性は高くなるが、担持量が大き
くなるにつれてその増加に対する性能の向上は鈍化し、
フッ素系有機陽イオン交換体に対するMn等の酸化物類
の結合力が低下し、かつ、該複合体を後述のイオン交換
によつて製造する場合はそのイオン交換処理の繰り返し
回数を大幅に上げねばならなくなるので、50wt%以
下が望ましい。
【0018】該複合体におけるMn等の酸化物類の分布
状態およびその内部の該酸化物類の定量は、該複合体を
切断し、断面を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、
光学顕微鏡、電子プローブマイクロアナリシス等を用い
て行うことができる。
【0019】(Mn酸化物等担持複合体の用途)Mn酸
化物等担持複合体は、後に詳述する、産業廃棄物などの
溶液中に存在する被酸化性物質または被還元性物質の除
去のための触媒または酸化剤として使用されるほか、酸
化還元を伴う有機合成の触媒としての用途が考えられ
る。
【0020】(Mn酸化物等担持複合体の製造方法)M
n酸化物等担持複合体は、たとえば、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンなどのフル
オロカーボンなどの結合体とカルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースな
どのセルロース類、ポリエチレングリコール、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリメチルビニルエーテル、カゼイン、ポ
リアクリルアミドなどの水可溶性物質などの増粘剤とM
n等の酸化物類の粉末とを混合し、アルコール、ケトン
等によってペースト状とし、これをフッ素系有機陽イオ
ン交換体に転写しまたはスクリーン印刷する方法;フッ
素系重合体を結合剤として、これにMn等の酸化物類の
粉末を加え、薄層状に成形したのち、これをフッ素系有
機陽イオン交換体に圧着する方法;フッ素系有機陽イオ
ン交換体の対イオンをイオン交換により、Mn等のイオ
ンとし、次に該イオン交換体をアルカリおよび/または
酸化剤と接触させてMn等のイオンを酸化物類に変える
方法などによって製造することができる。これらの方法
のうち、えられる複合体の反応活性および耐剥離性の点
から、最後者のイオン交換による方法がもっとも好まし
い。この場合、内部にイオン交換基をもつフッ素系有機
陽イオン交換体を選択することにより、その内部にMn
等の酸化物類が担持された複合体がえられる。また、上
記のイオン交換処理とアルカリおよび/または酸化剤に
よる処理とを繰り返すことによって、Mn等の酸化物類
の担持量を上げていくことができる。
【0021】(イオン交換によるMn酸化物等担持複合
体の製造方法)以下、上記のイオン交換によるMn酸化
物等担持複合体の製造方法について説明する。
【0022】Mn等のイオンとのイオン交換処理に供す
るフッ素系有機陽イオン交換体としては、H型、アルカ
リ金属型、アルカリ土類金属型、アンモニウム型などの
いずれも使えるが、Mn等のイオンとのイオン交換率お
よびイオン交換速度の点ではH型がもっとも望ましく、
ついでNa型、K型などのアルカリ金属型が望ましい。
市販のフッ素系有機陽イオン交換体は、通常、K型であ
り、前記のイオン交換膜法食塩電解に用いられた使用済
みの陽イオン交換膜はNa型であるので、これらはその
型のまままたはH型にイオン交換処理をしたうえで、M
n等のイオンとのイオン交換処理に供すればよい。
【0023】該イオン交換処理は、Mn等の化合物が溶
解したまたは懸濁したイオン交換液とフッ素系有機陽イ
オン交換体とを接触させることによって行われる。この
溶媒としては、通常この種のイオン交換に用いられる、
水および/または有機溶媒を使用しうるが、より経済的
な水系で実施すればよい。Mn等の化合物としては、溶
媒にわずかでも溶解してMn等のイオンを生じるもので
あれば、たとえば塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭
酸塩、リン酸塩、水酸化物などのいずれをも用いうる
が、比較的入手が容易であって環境上悪影響のない塩化
物、硝酸塩、硫酸塩などが望ましい。イオン交換液の濃
度は、通常この種のイオン交換に用いられる、0.01
モル/l〜飽和濃度でよく、0.1〜3モル/lがさら
に好ましい。
【0024】また、フッ素系有機陽イオン交換体として
H型を使用すれば、Mn等の化合物としてその酸化物類
のような難溶性のものを使用しても、その懸濁液中で速
やかにイオン交換が進行し、系に陰イオンが蓄積せず、
フッ素系有機陽イオン交換体がH型であるから金属イオ
ンも蓄積しないので、上記懸濁液を繰り返し使用しう
る。このMn等の酸化物類として水酸化物を使用すれば
いっそうイオン交換速度を速くしうる。また、このMn
等の酸化物類は、小さいほど当然イオン交換速度が速く
なり、100μm以下の微粉末がよい。
【0025】このイオン交換処理の時間は、通常2〜2
4時間とすればよい。その処理温度は、低すぎればイオ
ン交換の速度が遅く、高すぎれば装置材料に高価なもの
を必要とするので、5〜100℃、とくに10〜90℃
とするのがよい。つまり、常温でよい。
【0026】このイオン交換は、通常採用されている、
固定床、流動床、移動床、懸濁床等の方式で実施するこ
とができる。以上の処理によってイオン交換率が30%
以上になり、固定床流通式または懸濁床の繰り返しによ
ればほぼ100%にすることもできる。上記のH型フッ
素系有機陽イオン交換体をMn等の酸化物類の懸濁液か
らなるイオン交換液でイオン交換する場合は、いずれの
方式によっても、少ないイオン交換液で比較的容易にイ
オン交換率をほぼ100%とすることができる。
【0027】後述のとおり、このイオン交換処理後Mn
等のイオンを酸化物類に転化してえられるMn酸化物等
担持複合体中のMn等のイオンを酸化物類の担持量が所
望の値に達していない場合は、イオン交換および上記の
転化の処理を繰り返さなければならない。この繰り返し
の回数を少なくして効率を挙げるために、イオン交換率
が50%以上となるように以上の条件を選択するのがよ
い。
【0028】以上のようにイオン交換処理してえられた
フッ素系有機陽イオン交換体を、次にアルカリおよび/
または酸化剤と接触させれば、該イオン交換体における
Mn等のイオンがその酸化物類に転化してMn酸化物等
担持複合体がえられる。
【0029】このアルカリとしては、アルカリ金属の水
酸化物、その炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、ア
ンモニア、アミン等の水溶液をあげることができるが、
ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の
水溶液のような強アルカリを使用するのがよい。上記の
転化反応の速度を大きくすることができるからである。
このアルカリとの接触によって、Mn等のイオンは微細
な水酸化物としてイオン交換体の内部および表面に強固
に結合した形で析出する。
【0030】酸化剤としては、塩素、次亜塩素酸
(塩)、亜塩素酸(塩)、塩素酸(塩)、塩素化シアヌ
ル酸(塩);臭素、次亜臭素酸(塩)、亜臭素酸
(塩)、臭素酸(塩);ヨウ素、ヨウ素の酸素酸
(塩);過酸化水素、オゾン、過マンガン酸(塩)、重
クロム酸(塩)等の1種または2種以上をあげることが
できるが、入手が容易であって環境上悪影響のない塩
素、次亜塩素酸塩などが望ましい。この酸化剤との接触
によって、Mn等のイオンは微細な高次の値数の酸化物
類となってイオン交換体の内部および表面に結合した形
で析出する。この酸化剤による場合は、Mn酸化物等担
持複合体におけるMn等の酸化物類と陽イオン交換体と
の結合が上記のアルカリによる場合よりもいっそう強固
になり、かつ活性も高くなるが、これは酸化物類におけ
るMn等の価数が高いものほどイオン交換体のイオン交
換基との電気的作用および有効表面積がなんらかの理由
で高くなることによるものと推定される。この酸化剤に
よる処理は、pHを5以上、好ましくは7以上にして行
うことにより短時間で効率よく済ますことができる。し
かし、そのpHは、高すぎるとその効果の向上が鈍化す
るので、14以下が望ましい。たとえば、次亜塩素酸塩
水溶液は、アルカリ性なのでそのまま使用すればよい
が、塩素のように酸を生じるものの場合はアルカリを併
用してpHを5以上にするのがよい。
【0031】Mn等のイオンの酸化物類への転化処理の
時間は、アルカリおよび/または酸化剤の種類、濃度お
よび量、pH、温度などによって異なるが、通常3分〜
3時間とすればよい。その処理温度は、低すぎれば転化
に長時間を要したり転化が不十分となり、高すぎれば熱
エネルギーを多く消費するにすぎないことになるので、
5〜90℃、とくに10〜70℃とするのがよい。つま
り、常温でよい。
【0032】以上のようにしてえられたMn酸化物等担
持複合体中のMn等の酸化物類の担持量をさらに大きく
したい場合は、上記のイオン交換および転化の処理を繰
り返せばよい。繰り返し回数は、2回または3回がよ
く、4回以上繰り返しても上記酸化物類の担持量はそれ
ほど増加しない。
【0033】(被酸化性物質および被還元性物質の除去
方法)、およびの方法(以下、本発明方法と総称
する)について説明する。
【0034】前記またはの方法が適用される被酸化
性物質の溶液の被酸化性物質として、アルコ−ル類、ア
ルデヒド類、ケトン類、有機酸類、炭水化物、アンモニ
ア、アンモニウム塩、アミン類、アミノ酸類等の化学的
酸素要求物質、すなわちCOD成分を例示することがで
きる。これらは、通常、分解して、水、炭酸ガス、窒素
ガス等の無害成分に変化する。一般家庭より排出される
生活廃水はもっぱら被酸化性物質を溶解しており、ま
た、化学工業、紙・パルプ工業、繊維工業、食品工業等
より排出される産業廃水にも被酸化性物質が溶解してい
るものが多くあるが、またはの方法はいずれに対し
ても有効に適用することができる。
【0035】これら被酸化性物質の溶液を、前記の方
法、すなわち次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜
塩素酸カルシウム、過酸化水素、オゾン等の酸化剤共存
下にMn酸化物等担持複合体と接触させることによっ
て、該被酸化性物質が分解される。酸化剤の使用量は、
被酸化性物質の種類、処理温度などに左右されるが、通
常被酸化性物質に対して当量ないしその2倍程度とすれ
ばよい。
【0036】この方法はMn酸化物等担持複合体を触媒
として使用するものであるが、前記の方法、すなわち
Mn酸化物等担持複合体を酸化剤によって酸化処理して
から被酸化性物質の溶液と接触させる方法は、酸化剤と
の接触によってMn酸化物等担持複合体に担持されてい
る金属酸化物類が高次の酸化状態に転化したものの酸化
力を利用するものであり、被酸化性物質が酸化されるに
つれ金属酸化物類が低次の酸化状態へ還元されるので、
遂には酸化力を失い、それ以上被酸化性物質を分解し続
けることはできない。しかし、こうして反応活性を失っ
たMn酸化物等担持複合体を再度上記の酸化剤による酸
化処理に付すことによって、繰り返し被酸化性物質の溶
液を処理することができる。この方法に使用する酸化剤
にも格別の制限はなく、上記の次亜塩素酸、次亜塩素酸
ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過酸化水素等の溶
液やオゾン等を含む雰囲気を好適に使用することができ
る。
【0037】いっぽう、前記の方法によって被還元性
物質の溶液を処理する場合、その被還元性物質として
は、塩素、次亜塩素酸(塩)、亜塩素酸(塩)、塩素酸
(塩)、塩素化イソシアヌル酸(塩);臭素、次亜臭素
酸(塩)、亜臭素酸(塩)、臭素酸(塩);同様にヨウ
素、ヨウ素の酸素酸(塩);過酸化水素;オゾン等を挙
げることができる。これらは、分解処理後、塩化物、臭
化物、ヨウ化物、水、酸素といった環境上支障のない無
害な物質に変換される。この溶液に属する具体的廃水と
しては、食塩電解工業の塩素系廃水;次亜塩素酸ナトリ
ウム、高度さらし粉、塩素化イソシアヌル酸、亜臭素酸
ナトリウム、臭化水素、臭素、過酸化水素等を製造する
または利用するプラントからの廃水;オゾン酸化、殺
菌、漂白工程からの廃水等を挙げることができる。この
方法は、このような廃水だけでなく、工業プロセスの工
程液処理、例えばイオン交換膜法食塩電解における脱塩
素工程等でも有効に適用することができる。
【0038】この溶液中の被還元性物質はMn酸化物等
担持複合体と接触するだけで分解し、Mn酸化物等担持
複合体に担持している金属酸化物類は被還元性物質によ
って高次の酸化状態に転移するにしてもそれ以上の変化
を起こさず、その状態で触媒として作用して被還元性物
質の分解を継続させる。
【0039】本発明方法は、被酸化性物質と被還元性物
質とが共存している溶液にも適用することができる。す
なわち、この溶液をMn酸化物等担持複合体と接触させ
ることにより被還元性物質は分解し、系に酸化剤を添加
するかまたはMn酸化物等担持複合体を前もって酸化剤
によって酸化処理しておくことによって被酸化性物質も
同時に分解される。溶液中に共存していた被酸化性物質
と被還元性物質とが直接反応しなくとも、Mn酸化物等
担持複合体の触媒作用による被還元性物質の分解によっ
て生じた発生期の酸素が被酸化性物質を直接分解した
り、Mn等の酸化状態を高めてそれを分解するので、上
記の酸化剤の使用量はその分少なくて済み、場合によっ
ては酸化剤をまったく使用しなくともよい。また、たと
えば、これらの方法による処理温度が処理前の温度より
高い場合は、溶液中に共存していた被酸化性物質と被還
元性物質とが一部直接反応することがありうる。このよ
うな場合は、当然本発明方法による処理の負担はさらに
小さくなる。
【0040】従来の金属酸化物類や触媒を担持させたイ
オン交換体を使用する方法によってシリカ、アルミナ、
炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄等の無機
物、樹脂類等のSS成分やMg,Ca,Sr,Baなど
のアルカリ土類金属イオンなどの難溶性沈殿を生じやす
いイオンを含む液を処理すると、金属酸化物類や触媒を
担持させた交換体にSS成分や沈殿が付着して、その触
媒活性を急速に低下させる。それに対して、本発明方法
による場合は、理由は明らかでないが、Mn酸化物等担
持複合体がSS成分に影響されにくく、かつ、アルカリ
土類金属イオンを含む液を処理しても沈殿を生じさせに
くく、沈殿を生じてもその影響を受けにくい。したがっ
て、本発明方法は、炭酸カルシウム、シリカ、酸化鉄等
の固形物は多くの廃液に含まれるがそのような液;カル
シウムイオンが多量存在する高度さらし粉廃液;プロピ
レンのクロルヒドリン化や石灰乳によるケン化反応によ
るプロピレンオキシドの製造プラントから排出されるプ
ロピレングリコ−ル等の有機物を含む塩化カルシウム廃
液;アリルクロライドを出発原料とし石灰乳をケン化剤
とするエピクロルヒドリン製造プラントから排出される
有機物を含む塩水液廃水にも有効に適用することができ
る。
【0041】分解処理の形式としては、固定床、流動
床、移動床、懸濁床等のいずれをも採用することができ
る。また、連続式、回分式、半回分式のいずれの方式を
もとりうる。工業的に好ましい形式は固定床連続式であ
るが、固形物が存在する場合は懸濁床連続式が好まし
い。又、固定床連続式では液を大循環し、酸又はアルカ
リでpHを調節して処理すると特に効果的である。
【0042】Mn酸化物等担持複合体の形状は、前記し
た様に膜状、球状、繊維状いずれでもよい。膜状のもの
は、ロ−ル状にしても、ハニカム状や碁盤目状に切断し
てもよい。球状のものは、通常のイオン交換樹脂のよう
に0.1〜1mm程度が好ましい。また、繊維状に裁断
したものでもよい。懸濁床や流動床で行う場合、小さい
方が好ましく、衝突による金属酸化物類の剥離を抑える
ことができる。
【0043】処理槽中のMn酸化物等担持複合体の濃度
は、分解処理形式によって異なるが、懸濁床または流動
床では、30〜200g/リットルとすれば流動性がよ
くなって液が均一化し、かつ複合体を変形させることな
く操作することができる。固定床の場合は、更に高くで
き、通常100〜1000g/リットルである。
【0044】処理する時の溶液のpHは、Mn等の金属
の種類によっても異なるが、通常3〜11、更に好まし
くは5〜10とすることによって反応活性を高くするこ
とができる。アルカリ土類金属を含み、CO2が発生す
る場合は、pHが高いと沈殿が生じやすいので、上記の
範囲で10以下、とくに9以下とするのが望ましい。温
度にも格別の制限はない。高温ほど、効率よく処理する
ことができるが、通常、エネルギーを多く必要とする。
低温では、処理速度は低下するが、通常、エネルギ−的
に有利である。もっとも、液の温度が高すぎて本発明の
方法を適用する前に冷却するのが望ましい場合もある。
好ましい温度は10〜100℃、更に好ましくは15〜
90℃である。
【0045】処理時間についても特に制限はない。通常
の接触時間(平均滞留時間)0.2〜10時間で効率よ
く処理することができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0047】例中、Mn酸化物等担持複合体中のフッ素
系イオン交換体のH型換算に対するMn等の担持量(w
t%)は、該複合体の試料を塩酸に入れてMn等の酸化
物類を溶解させたのち、セイコー電子(株)製 SPS
−7000による誘導結合フラズマ発光分光法によって
Mn等の量(Ag)を測定し、この時H型となったフッ
素系有機陽イオン交換体を110℃で12時間乾燥した
のち重量(Wg)を測定し、 (A/W)×100 によって求めた。
【0048】また、Mn酸化物等担持複合体の内部に担
持されているMn等の酸化物類の割合は、Mn酸化物等
担持複合体を切断し、断面を走査型電子顕微鏡、電子プ
ローブマイクロアナリシスおよびX線光電子分光法の3
者の方法によって観察して定量した。
【0049】実施例1 イオン交換膜法食塩電解に使用したフッ素系有機陽イオ
ン交換膜Nafion954(Du Pont社製)を
よく洗浄した後、10mm×10mmの大きさに切断し
た(この切断片を、以下、使用済みナフィオン膜片とい
う)。
【0050】2リットルビ−カ−にN−NiCl2水溶
液1.5リットルおよび上記の切断したフッ素系有機陽
イオン交換膜300g(湿潤状態)を入れ、1.0時間
攪拌しながらイオン交換処理した。次に、溶液を抜き出
し、新たにN−NiCl2水溶液1.5リットルを入
れ、同様に1.0時間処理し、溶液を抜き出した。
【0051】次に、3.0wt%NaClO水溶液(p
H10)1.5リットルを入れた2リットルビーカーに
イオン交換処理した前記イオン交換体を全量入れたとこ
ろ、ニッケルイオンは黒色の酸化物となった。得られた
複合体のフッ素系有機陽イオン交換体乾燥重量に対する
Niの比率は、2.0wt%であった。また、X線光電
子分光法で複合体表面に付着している金属酸化物類を分
析したところ、Ni23であった。担持しているNi2
3の63%がイオン交換膜の内部にあった。
【0052】次いで、オーバーフロー管付き1.5リッ
トルセパラブルフラスコの反応槽に上記の複合体120
g(乾燥重量換算)を入れ、攪拌速度300rpmにし
て、Ca(ClO)2 10.2wt%、NaCl 1
9.8wt%および若干の固形物を含んだpH9.5の
水溶液を0.35リットル/Hrの流速で連続的に供給
し、同時に、オーバーフロー管より処理液を流出させ
た。反応槽内でCa(ClO)2が分解し、酸素ガスが
発生するのが認められた。反応を開始して、3日後、該
反応槽出口のCa(ClO)2濃度は1.91wt%と
なり、分解率は81.3%であった。更に反応を継続し
たところ、28日後の該反応槽出口のCa(ClO)2
濃度は1.96wt%であり、分解率は80.8%であ
り、ほとんど複合体の性能の変化がみられなかった。ま
た、複合体からのニッケルの酸化物剥離等の変化もほと
んどなかった。
【0053】比較例1 セメントを担体として過酸化ニッケルを成形した黒色の
棒柱状触媒パニオンSA(有恒金属(株)製)300g
を用いる以外、実施例1と同様の操作により、触媒の活
性及び寿命の試験を行った。該触媒を分析したところ成
形触媒に占めるNiの割合は約30%であった。該触媒
は反応槽下部に沈んでいるため、攪拌羽根が触媒に衝突
しないように、分解槽の上部のみを300rpmにて攪
拌した。反応開始時は分解槽内から酸素ガスの発生が認
められた。反応開始1日後、反応槽出口のCa(Cl
O)2濃度は2.76wt%で分解率は72.9%であ
った。反応開始3日後、反応槽出口のCa(ClO)2
濃度は8.76wt%で分解率は14.1%と急激に低
下していた。この時、分解槽内からの酸素ガスの発生は
ほとんどなく、しかも触媒の表面に白色沈殿物が付着し
ており、回折X線で解析したところ炭酸カルシウムであ
った。
【0054】実施例2 実施例1と同様の方法により複合体を300g調製し
た。
【0055】実施例1で用いた1.5リットルセパラブ
ルフラスコでCaCl228wt%およびCa(Cl
O)21.25wt%を含むカルシウムイオン高濃度溶
液を処理した。反応開始3日後、該反応槽出口のCa
(ClO)2濃度は0.23wt%、分解率は81.6
%となった。更に反応を継続したところ、35日後の該
反応槽出口のCa(ClO)2濃度は0.22wt%で
あり、性能の変化がみられなかった。又、複合体表面の
変化は認められず、しかも反応槽内は透明に近く、黒色
のNi酸化物の浮遊は見られなかった。
【0056】実施例3 実施例1で調製したと同様の方法により複合体を300
g調製した。
【0057】該複合体を内径42mm、充填層高100
0mmのジャケット付きカラムに充填し、ジャケットに
温水を流してカラム内温度を50℃とした。カラム下部
より有効塩素濃度5.3wt%を含むNaClO水溶液
(pH11)を1.0リットル/Hrの流速で連続的に
供給し、上部より処理液をオーバーフローさせた。反応
開始2日後、カラム出口の有効塩素濃度は0.090w
t%、分解率98.3%であった。更に、反応を継続し
反応開始38日後、カラム出口の有効塩素濃度は0.0
96wt%、分解率は98.2%であり、活性の低下は
みられなかった。また、カラム内の反応液は無色透明で
あり、ニッケルの溶解、ニッケルの酸化物の脱落等の変
化もみられなかった。
【0058】実施例4 実施例1と同様の方法により調製した複合体70gを
1.15wt%のメタノール水溶液0.5リットル入っ
た1.5リットルセパラブルフラスコに入れた。次に有
効塩素濃度6.5wt%の次亜塩素酸ナトリウムを0.
5リットル添加し、水溶液を50℃に維持した。0.3
時間後の槽内メタノール濃度は0.24wt%であり、
分解率は58.3%と高いものであった。この間、槽内
の溶液はほぼ無色透明であって、複合体からのNiの酸
化物の剥離はほとんど認められなかった。
【0059】実施例5 N−NiCl2水溶液をN−CoCl2水溶液に換えるほ
かは実施例1と同じ条件にして複合体をえた。複合体
は、黒色であり、イオン交換膜乾燥重量に対するCoの
担持率は1.8wt%であった。また、担持しているC
oのうち、75%がイオン交換膜の内部にあった。
【0060】200ml丸底フラスコに6.0wt%N
aClO水溶液(pH12.0)100mlを入れ、温
度を50℃、攪拌速度を300rpmとしたのち、上記
複合体を4.0g(乾燥重量換算)入れた。反応開始2
時間後、NaClOは1.6wt%となり、すなわち分
解率は73.3%であり、複合体からのコバルト酸化物
類の剥離は認められなかった。
【0061】実施例6 N−NiCl2水溶液をN−CuCl2水溶液に換えるほ
かは実施例1と同じ条件にして複合体をえた。複合体
は、黒色であり、イオン交換体乾燥重量に対するCuの
担持率は1.2wt%であった。
【0062】200ml丸底フラスコに6.0wt%N
aClO水溶液(pH12.0)100mlを入れ、温
度を70℃、攪拌速度を300rpmとしたのち、上記
複合体を5.0g(乾燥重量換算)入れた。反応開始2
時間後、NaClOは2.2wt%となり、すなわち分
解率は63.9%であり、複合体からの銅酸化物類の剥
離は認められなかった。
【0063】実施例7 化学分析用Pd水溶液(関東化学(株)製、Pdイオン
を1000ppm含むN−HNO3水溶液)100ml
を200mlビーカーに入れ、使用済みナフイオン膜片
を5g(湿潤状態)入れ、1時間後該膜を取り出し、蒸
留水で洗浄し、3.0wt%NaClO水溶液100m
lを入れた200mlビーカーに投入して複合体をえ
た。複合体は、茶褐色であり、フッ素系有機陽イオン交
換体(乾燥重量)に対するPdの担持率は0.03wt
%であった。
【0064】次いで、200ml丸底フラスコに5.0
wt%H22水溶液(pH9.0)100mlを入れ、
温度を70℃、攪拌速度を300rpmとしたのち、上
記複合体を2.0g(乾燥重量換算)入れた。反応開始
1時間後、H22濃度は1.4wt%となり、すなわち
分解率は72.0%であり、複合体からのパラジウム酸
化物類の剥離は認められなかった。
【0065】実施例8 N−NiCl2水溶液をN−MnCl2水溶液に換えるほ
かは実施例1と同じ条件にして複合体をえた。複合体
は、黒色であり、イオン交換体乾燥重量に対するMnの
担持率は0.9wt%であった。
【0066】200ml丸底フラスコに5.0wt%H
22水溶液(pH9.0)100mlを入れ、温度を5
0℃、攪拌速度を300rpmとしたのち、上記複合体
を2.0g(乾燥重量換算)入れた。反応開始2時間
後、H22は0.16wt%となり、すなわち分解率は
96.8%であり、複合体からのマンガン酸化物類の剥
離は認められなかった。
【0067】実施例9 Pd水溶液を化学分析用Fe水溶液(関東化学(株)
製、Feイオンを1000ppm含む0.1N−HNO
3水溶液)に換えるほかは実施例7と同じ条件にして複
合体を作製した。複合体は、茶褐色であり、フッ素系有
機陽イオン交換体(乾燥重量)に対するFeの担持率は
0.8wt%であった。
【0068】次いで、200ml丸底フラスコに6.5
4wt%H22水溶液(pH9.0)100mlを入
れ、温度を50℃、攪拌速度を300rpmとしたの
ち、上記複合体を1.6g(乾燥重量換算)入れた。反
応開始1時間後、H22濃度は1.82wt%となり、
すなわち分解率は72.2%であり、複合体からのFe
酸化物類の剥離は認められなかった。
【0069】
【発明の効果】(1)本発明の被酸化性物質または被還
元性物質の除去方法によれば、それに触媒または酸化剤
として使用するMn等の酸化物類の反応活性が高く;そ
の活性が劣化しにくく;それが反応槽から流出しにく
く;被処理液にSS成分が含まれていてもその作用が衰
えにくく;被処理液にアルカリ土類金属イオンが含まれ
ていても沈殿を生成させにくく、沈殿が生成してもその
作用が衰えにくく;酸化剤以外の薬剤を使用する必要が
なく;かつ、設備費も小さくて済む。(2)とくに提案
したMn等の酸化物類は、物理的強度が高く、化学的安
定性が高く、成分が剥離しにくく、変形や変質が起こり
にくく、有効面積が大きく、かつ、製造が容易であって
そのコストも低く、上記方法に使用するのに適してい
る。(3)また、とくに提案した方法によってえられる
Mn等の酸化物類は、いっそう耐剥離性が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/70 B01J 31/08 C02F 1/72

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被酸化性物質を含む溶液を、酸化剤の存在
    下に、フッ素系有機陽イオン交換体にMn、周期表1B
    族元素および周期表8族元素から選ばれた少なくとも1
    種の金属(以下、Mn等という)の酸化物類が坦持され
    ている金属酸化物坦持複合体(以下、Mn酸化物等坦持
    複合体という)と接触させることを特徴とする、被酸化
    性物質の除去方法。
  2. 【請求項2】Mn酸化物等坦持複合体を酸化剤と接触さ
    せたのち、被酸化性物質を含む溶液と接触させることを
    特徴とする請求項1に記載の被酸化性物質の除去方法。
  3. 【請求項3】被還元性物質を含む溶液を、Mn酸化物等
    坦持複合体と接触させることを特徴とする、被還元性物
    質の除去方法。
  4. 【請求項4】Mn等の酸化物類のうち少なくとも5wt
    %がフッ素系有機陽イオン交換体の内部に坦持されて
    り、請求項1または請求項2に記 載の被酸化性物質の除
    去方法、又は、請求項3に記載の被還元性物質の除 去方
    法に使用することを特徴とするMn酸化物等坦持複合
    体。
  5. 【請求項5】フッ素系有機陽イオン交換体を、その対イ
    オンをMn等のイオンとしたのち、アルカリおよび/ま
    たは酸化剤と接触させることからなる、請求項4に記載
    Mn酸化物等坦持複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】酸化剤が次亜塩素酸またはその塩の水溶液
    である、請求項5に記載のMn酸化物等坦持複合体の製
    造方法。
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