JP4024999B2 - ダイオキシン類含有液の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コプラナ−PCB,多塩素化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン,多塩素化ジベンゾフランなど、所謂ダイオキシン類を分解または酸化(以下、「分解」と略記することがある。)する方法に関し、より詳細には液水中に含まれるコプラナ−PCB,ダイオキシン類などを効率的に分解または酸化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にダイオキシン類,コプラナ−PCB(以下、「ダイオキシン類」と略記することがある。)は化学的に安定しているため分解されにくく、自然界では半永久的に残存し、特に土壌,河川,湖などに年々蓄積されるため問題となっている。土壌や気体に含まれるダイオキシン類を分解し、除去する方法は種々提案されているが、ダイオキシン類を含有する液体の場合、その含有量が非常に低いため、液中に含まれるダイオキシン類を効率よく処理することは従来の処理方法では困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は液中に含まれるダイオキシン類の効果的な処理方法を提供することにある。また本発明の別の目的は、土壌中に含まれるダイオキシン類の効果的な処理方法を提供することにある。更に本発明の目的は、液中に含まれるダイオキシン類の処理に供した装置の効果的な洗浄方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明の方法とは、ダイオキシン類および/またはコプラナ−PCB含有液中のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBを分解する方法であって、触媒および酸素源の存在下、20℃〜370℃の範囲内で該液が液相を保持する圧力下において、該液中に含まれるダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBを酸化または分解することに要旨を有する該液中のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBの処理方法である。
【0005】
尚、上記液がダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBを含有する土壌または灰を抽出用液と接触させることによって得られたものであってもよく、この際、ダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBを含有する土壌または灰を抽出用液中に投入してダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBを土壌または灰から分離させる接触方法を用いてもよい。
【0006】
また上記触媒が、チタン,ケイ素,アルミニウム,ジルコニウム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,セリウム、タングステン,銅,銀,金,白金,パラジウム,ロジウム,ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素、および/または活性炭を含有する触媒であることが望ましい。
【0007】
また本発明はダイオキシン類および/またはコプラナ−PCB含有液中のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBの分解に用いる湿式酸化処理装置の洗浄方法であって、該装置内にアルカリ洗浄液または酸洗浄液を導入し、該洗浄液が液相を保持する圧力下で洗浄することに要旨を有する湿式酸化処理装置の洗浄方法である。
【0008】
この際、該湿式酸化装置が触媒,吸着剤,充填材の少なくとも1種が組み込まれた湿式酸化処理装置であることが推奨される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは液中に含まれるダイオキシン類を浄化する方法について種々検討を重ねた結果、該液を湿式酸化処理によって処理することによってダイオキシン類をほとんど含まない高度に浄化された処理水が得られることを見出した。
【0010】
本発明の方法によって処理される液としては所謂ダイオキシン類を含有する液であれば特に限定されない。ダイオキシン類としては多塩素化ジベンゾパラジオキシン(PCDDs)や多塩素化ジベンゾフラン(PCDFs)など(臭素化合物も含む。)だけでなく、コプラナ−PCBなどのポリ塩化ビフェニール類(PCB)等も含む。
【0011】
またダイオキシン類を含有する液としては、廃棄物焼却炉の排ガスを湿式洗浄した洗煙排水などの廃棄物焼却炉からの排水や、浸出水などのゴミ埋立地からの排水、あるいは金属精錬工業や紙パルプ工業などの各種工業排水などが例示されるが、これらに特に限定されない。
【0012】
更に本発明の方法はダイオキシン含有液に限定されるのではなく、土壌に含まれるダイオキシン類をも処理することが可能である。
【0013】
この様な土壌としてはダイオキシン類を含有する土壌であれば特に限定されないが、農薬を散布した土壌(例えばゴルフ場の土壌など)や、廃棄物焼却施設の湿式洗煙循環水が浸透した土壌、ゴミ埋立地の浸出水が浸透した土壌、廃棄物焼却炉から排出される飛灰や焼却灰、あるいはこれらの飛灰や焼却灰を含有する土壌などが例示される。
【0014】
土壌中に含まれるダイオキシン類を分解する場合、まず土壌中に含まれるダイオキシン類を抽出することが推奨される。
【0015】
以下、図1を用いて土壌中に含まれるダイオキシン類の抽出方法について説明する。尚、図1は土壌中のダイオキシン類の抽出に関する本発明の実施態様の一例を示す概略図であり、本発明で用いることができる装置はこれに限定する趣旨ではない。
【0016】
ダイオキシン類を含む土壌を土壌供給ライン1から浮上分離装置2に供給し、該装置内で土壌中のダイオキシン類を抽出用液中に移行させる。浮上分離装置2は供給された土壌と抽出用液とを該装置内で接触させることができる装置であれば特に限定されない。この様な装置内で土壌と該液とを接触させると、ダイオキシン類が抽出された土壌は沈殿し、ダイオキシン類は該液中に微粒子状,あるいは微粒子状物に付着して浮遊している状態、あるいは液表面に浮いている状態であるかもしれないが、該装置内での土壌、及びダイオキシン類の存在状態は特に限定されない。最も好ましいダイオキシン類の存在状態は該液中に溶解している状態である。ダイオキシン類は灰や飛灰などの燃焼残留物に含まれていることが多いので、浮上分離装置2ではこの様な燃焼残留物からダイオキシン類を抽出することが望ましい。
【0017】
浮上分離装置2には気泡を存在させることが望ましい。気泡によって抽出液中に浮遊するダイオキシン類やダイオキシン類付着微粒子状物を液表面に浮上させることができる。該装置内に気泡を存在させる方法は特に限定されないが、加圧した気体(例えば0.1〜0.5MPa(Gauge)に加圧した空気)を抽出用液に添加し、該液体を浮上分離装置2に添加すればよい。この様な気体としては特に限定されないが、抽出用液に溶解しない性質を有する気体が望ましく、例えば抽出用液に水を用いた場合の該気体としてはオゾン含有気体,窒素含有気体,酸素含有気体などが例示され、更にこれらの気体がコンプレッサーなどで加圧されていてもよい。また過酸化水素を抽出用液に添加してもよい。あるいは浮上分離装置2内で曝気などの方法を採用してもよい。気泡を浮上分離装置2内で気泡を発生させる方法として例えば曝気,触媒,薬剤等によって過酸化水素の溶解速度を加速させる方法でもよい。上記した気泡発生方法は単独で、あるいは組み合わせて用いることもできる。
【0018】
抽出用液としては特に限定されないが、水を用いることが望ましい。尚、ダイオキシン類は疎水性であるので、ダイオキシン類の水への溶解性を促進することができる溶剤を抽出用液と接触する前に土壌に添加しておくことが望ましい。
この様な作用を有する溶剤としては特に限定されないが、メタノールなどのアルコール類が例示される。
【0019】
浮上分離装置2内における抽出用液の温度が高い方が分離効率が高いので望ましいが、温度は特に限定されない。望ましい抽出用液の温度としては例えば5℃以上、より好ましくは20℃以上、最も好ましくは50℃以上であり、好ましくは95℃以下である。95℃を超えると該液が気相となることがあり、また液相を保つために大型の装置が必要になることがある。
【0020】
抽出用液の温度の調節方法としては特に限定されないが、例えば熱交換器(図示せず)やヒーター(図示せず)を用いて該液の温度を調節すればよい。
【0021】
抽出用液の供給方法は特に限定されないが、抽出用液供給ライン21から浮上分離装置2に供給してもよく、その際、酸素含有ガスを抽出用液に添加してから浮上分離装置2に供給してもよい。
【0022】
抽出用液供給ライン1は浮上分離装置2の上部、あるいは図示する様に下部と接続されていてもよく、接続位置は限定されない。
【0023】
浮上分離装置2に供給する土壌の供給方法は連続式でもよく、あるいはバッチ式でもよい。また土壌を攪拌しながら浮上分離装置2に供給すると抽出用液との接触により土壌に含まれるダイオキシン類や飛灰などのダイオキシン類含有物を効率的に土壌から分離することができるので望ましい。尚、この際の攪拌方法は特に限定されない。
【0024】
本発明の方法によれば、まず抽出用液を浮上分離装置2に導入し、その後土壌を該装置2に導入することが接触効率向上の観点から望ましい。
【0025】
ダイオキシン類が取り除かれた土壌は土壌排出ライン3から排出される。またダイオキシン類を含有する抽出溶液は抽出液排出ライン4から取り出されるが、該液は供給タンク5に送液してもよく、或いは直接湿式酸化に供する液供給ライン6に送液してもよい。
【0026】
本発明の方法によれば、ダイオキシン類および/またはコプラナ−PCB含有液中のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBは、触媒および酸素源の存在下、20℃〜370℃の範囲内で該液が液相を保持する圧力下において、酸化又は分解することができる。
【0027】
以下、図2を用いて本発明のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCB含有液中のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBの酸化又は分解方法について説明するが、図2は本発明の実施態様の一例を示す概略図であり、本発明で用いることができる湿式酸化処理装置はこれに限定する趣旨ではない。
【0028】
ダイオキシン類含有液は液供給ライン6を通して反応器13に供給されるが、該液は液供給ライン6の任意の位置に設置したポンプ7によって昇圧することが望ましい。
【0029】
この際の空間速度(LHSV)は特に限定されず、湿式酸化反応器13(以下、「反応器」と略記する。)の処理能力によって適宜決定すればよいが、通常は、反応器あたりの空間速度で好ましくは0.1hr-1以上、より好ましくは0.5hr-1以上、更に好ましくは1hr-1以上であり、好ましくは20hr-1以下、より好ましくは10hr-1以下、更に好ましくは5hr-1となるように調整することが推奨される。空間速度が0.1hr-1未満の場合、ダイオキシン類含有液の処理量が低下して、過大な設備が必要となることがある。また逆に20hr-1を超える場合には、反応器13内でのダイオキシン類の分解が十分行なえない場合がある。
【0030】
本発明ではダイオキシン類含有液に予め陽イオンを添加しておくことが好ましい。陽イオンとしては湿式酸化処理によって発生するハロゲンイオンと対をなす陽イオンであり、その様な陽イオンを該ハロゲンイオン当量もしくはそれ以上に添加し、塩を形成させることが好ましい。陽イオンを添加する場合、ナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属イオンを添加することがより好ましい。アルカリ金属イオンを該液に添加することによって該液が処理中に酸性になることを防ぐことができるので、例えば反応器13の材質の耐久性が劣化することを防止するだけでなく、反応器13での反応速度も向上し、より迅速なダイオキシン類の処理が可能となる。アルカリ金属イオンとしては該液に溶解して塩基性を示すものであれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,酢酸ナトリウムなどが例示される。酢酸ナトリウムなどの有機酸を含む塩を該液に添加しても反応器13内での湿式酸化処理によって酢酸は二酸化炭素と水に分解される。
【0031】
この様な陽イオンの添加方法については特に限定されず、例えば供給タンク5に添加してもよく、あるいは別途添加ライン(図示せず)を設けてダイオキシン類含有液に添加してもよい。
【0032】
本発明の湿式酸化処理は酸素源の存在下で行うことが出来る。特に液中の酸素濃度を高めると反応器13内でのダイオキシン類の分解効率を向上させることができるので、該液に酸素源を供給することが望ましい。また該液に酸素源を供給しない場合には、該液中の溶存酸素を酸素源として用いることができる。
【0033】
本発明で用いることの出来る酸素源としては、特に限定されず、純酸素,酸素富化ガス,空気,オゾン等の酸素分子および/またはオゾンを含有するガス(以下、「酸素含有ガス」ということがある。)が好ましいが、過酸化水素や他のプラントで生じた酸素含有ガスを利用してもよい。これらの中でも空気を用いることが経済的観点から推奨される。また純酸素やオゾンは不活性ガスで希釈して用いることも出来る。
【0034】
酸素源を供給する場合の供給量は特に限定されず、液中のダイオキシン類を分解処理する能力を高めるのに有効な量を供給すればよい。例えば酸素含有ガスの供給量は、酸素含有ガスに含まれる酸素量を検出し、酸素含有ガス流量調節弁(図示せず)によって供給量を適宜調節してもよい。酸素含有ガスの供給量として好ましくは該液中のダイオキシン類の理論酸素要求量の0.5倍以上、より好ましくは1倍以上であり、好ましくは100倍以下、より好ましくは50倍以下の酸素量であることが推奨される。酸素含有ガスの供給量が0.5倍未満の場合は、ダイオキシン類が十分に分解されずに湿式酸化処理を経て得られた処理液中(液排出ライン7から得られる液)に比較的多く残留していることがある。また100倍を超えて供給しても分解処理能力が飽和することがあり、更に大型の装置が必要となることがある。
【0035】
酸素含有ガスの存在下でダイオキシン類の処理を行う場合には、酸素含有ガスを酸素含有ガス供給ライン8から導入し、コンプレッサー9で昇圧した後、ダイオキシン類含有液が熱交換器11に供給される前に該液に混入することが望ましい。
【0036】
該液は次に熱交換器11に送られて予備加熱された後、更に加熱器12で加熱されて反応器13に供給されるが、ダイオキシン類含有液の加熱方法としては特に限定されず、熱交換器11および/または加熱器12によって加熱してもよく、更に反応器13にヒーター(図示せず)などの加熱手段を設けて該液を加熱してもよい。これらの加熱手段は単独で用いてもよく、あるいは任意に組合せて用いることができる。
【0037】
また熱交換器11に供給されたダイオキシン類含有液は、反応器13で処理され排出された高温の処理液によって熱交換されてもよく、あるいは他の工場から排出された高温の液体によって熱交換されてもよく、該液を加熱するための熱媒体については特に限定されない。
【0038】
ダイオキシン類含有液は反応器13に供給される前に熱交換器11および/または加熱器12によって予備加熱されていれば、反応器13内で処理が効率的に進行するので望ましい。
【0039】
ダイオキシン類含有液の反応器13への供給方法としては、気液上向並流,気液下向並流,気液向流など種々の形態を用いることができ、特に限定されない。
【0040】
反応器13内でのダイオキシン類含有液の温度は他の条件にも影響されるが、370℃を超える温度に加熱されていると、ダイオキシン類含有液を液相状態にできず、かつ設備の大型化,ランニングコストが上昇することがあるので、加熱温度は好ましくは370℃以下,より好ましくは300℃以下,更に好ましくは250℃以下とすることが望ましい。一方、排水の温度が20℃未満では該液中のダイオキシン類の分解を効率的に行うことが困難になるので、好ましくは20℃以上,より好ましくは50℃以上とすることが望ましい。
【0041】
本発明では該液が液相を保持できるように反応器内に圧力を加えることが推奨される。また反応器13の処理液出口側の圧力調整弁22によって反応器内で該液が液相を保持できるように処理温度に応じて圧力を適宜調節することが望ましい。例えば処理温度が20℃以上,100℃未満の場合には、大気圧下においても該液は液相状態であり、経済性の観点から大気圧下でもよいが、処理効率を向上させるためには加圧することが好ましい。また処理温度が100℃以上の場合、大気圧下では該液が気化することが多いため、該液が液相を保持できる様に圧力を加えることが望ましい。また例えばダイオキシン類含有液が廃棄物焼却炉の排ガスを湿式洗浄した洗煙排水などである場合には、該液の温度が50〜90℃程度であることが多いので該液を加熱せずに本発明の方法によって処理してもよい。
【0042】
尚、本発明で用いられる湿式酸化法において、反応器の数,種類,形状等は特に限定されず、通常の湿式酸化処理に用いられる反応器を単数又は複数組合せて用いることができ、例えば単管式の反応器や多管式の反応器などを用いることが出来る。また複数の反応器を設置する場合、目的に応じて反応器を直列または並列にするなど任意の配置とすることができる。
【0043】
本発明においてダイオキシン類の分解または酸化は主に反応器13内で行なわれ、且つ触媒の存在下で行なわれる。触媒湿式酸化処理法は、固体触媒を用いる方法や均一系触媒を用いる方法があるが、本発明ではいずれの方法も用いることができる。
【0044】
本発明で用いることができる触媒としては例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素、および/または活性炭を含有する触媒を挙げることができる。
【0045】
特に触媒としては、液相酸化の条件下で活性と耐久性とを兼ね備えた固体触媒を用いることが好ましく、例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素、および/または1種以上の元素を含む化合物、および/または活性炭を含有する触媒を挙げることができる。尚、活性炭には、通常の活性炭の他、活性炭素繊維なども含まれる。
【0046】
上述した触媒の中でも次の触媒A成分と触媒B成分とを含有する触媒、特に固体触媒が好適に用いられる。ここで触媒A成分としては、鉄、チタン、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む酸化物、または活性炭である。触媒A成分の具体例としては、チタン酸化物、鉄酸化物、ジルコニウム酸化物などの金属酸化物、チタン酸化物−ジルコニウム酸化物、チタン酸化物−鉄酸化物などの2元または多元系酸化物(複合酸化物も含む)の他に、活性炭、もしくは金属酸化物と活性炭の混合物などを挙げることができるがこれらに限定される趣旨ではない。触媒A成分の固体触媒に占める割合は、30質量%以上が好ましく、99.95質量%以下であることが好ましい。固体触媒の耐久性向上の観点から触媒A成分を30質量%以上の割合で用いることが好ましい。
【0047】
触媒B成分としては、マンガン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素および/または1種以上の元素を含む化合物である。
【0048】
触媒B成分の具体例としては、前記元素の金属,酸化物および複合酸化物を挙げることができるがこれらに限定される趣旨ではない。固体触媒中の触媒B成分の割合は0.05質量%以上が好ましく、70質量%以下であることが好ましい。ダイオキシン類含有液中のダイオキシン類を十分に分解するという観点から触媒B成分を0.05質量%以上の割合で用いることが望ましい。
【0049】
更に触媒B成分の中でも銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウム(以下、「B−1成分」という)から選ばれる少なくとも1種以上の元素および/または1種以上の元素を含む化合物の場合、その割合(合計量)は固体触媒の10質量%以下とするのが望ましい。10質量%を超える場合、それに相応した処理性能の向上は認められず、またこれらは高価な原料であるので触媒のコストが上昇するためコストの面からも望ましくない。
【0050】
また上記触媒成分の中でもマンガン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステンおよび銅(以下、「B−2成分」という)から選ばれる少なくとも1種以上の元素および/または1種以上の元素を含む化合物の場合、その割合(合計量)は固体触媒の70質量%以下とするのが望ましい。
【0051】
尚、合計量が固体触媒の0.05以上、70質量%以下の範囲内であれば、B−1成分とB−2成分とを組合せてもよく、その際、B−1成分を上記0.05質量%以上,10質量%以下、B−2成分を0.05質量%以上,70質量%以下で組み合わせて、上記範囲内となる様にすることが推奨される。
【0052】
触媒B成分としてB−1成分から選ばれる少なくとも1種以上の元素および/または1種以上の元素を含む化合物が固体触媒に含有されていると、触媒活性が高くなるので望ましい。またB−1成分の中でも、白金,パラジウム,ロジウム,ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素および/または1種以上の元素の化合物が固体触媒に含有されていると、特に触媒活性が高いので推奨される。またB−2成分としてはマンガン,コバルト,ニッケルおよび銅から選ばれる少なくとも1種以上の元素および/または1種以上の元素を含む化合物が好適に用いられる。
【0053】
触媒の形状については特に制限はなく、例えば粒状、球状、ペレット状およびリング状のいずれでもよく、またハニカム状などの一体構造体でもよい。懸濁物を含むダイオキシン類含有液を処理する場合には、固形物や沈殿物などにより触媒層での閉塞が起こる可能性があるので、ハニカム状の触媒が好適に用いられる。
【0054】
また反応器13内にはこれらの触媒以外にも、気液の攪拌,接触効率の向上,気液の偏流低減等を目的として、種々の充填物、内作物などを組み込んでもよい。
【0055】
また充填物や内作物の材質・形状については特に限定されず、金属製あるいはセラミックス製のものを用いることができる。
【0056】
本発明の方法によってダイオキシン類は分解又は酸化され無害化処理されるが、本発明において「ダイオキシン類の分解又は酸化」とは、ダイオキシン類の酸化,分解,脱ハロゲン化などを意味する。
【0057】
反応器13でダイオキシン類含有液は分解又は酸化処理され、得られた処理液は処理液ライン14より排出されて必要に応じて熱交換器11や冷却器15で適度に冷却された後、気液分離器16によって気体と液体に分離される。この際、熱交換器11と冷却器15は単独で、或いは組合せて用いることができるが、組合せて用いる場合、処理液を熱交換器11に供給した後に冷却器15に供給することが望ましい。
【0058】
気液分離器16では液面コントローラーLCを用いて液面状態を検出し、液面制御弁18によって気液分離器内の液面が一定となるように制御することが望ましい。尚、ここで「一定」とは液面が一定値,あるいは一定の範囲内であることを意味する。
【0059】
尚、処理水を冷却せずに、或いは冷却器である程度冷却した後に、圧力調整弁(図示せず)を介して排出した後、気液分離器16によって気体と液体に分離しても良い。
【0060】
気液分離器16で気体を除去された液体は液排出ライン17を通して排出される。尚、気液分離器16から排出された該液は液タンク20に送液されてもよく、或いは該液を生物処理など公知の方法に供して更に処理することもできる。
【0061】
また気液分離器16内の圧力は圧力コントローラーPCにより圧力を検出して圧力制御弁22を作動させて圧力を所定値に維持することが望ましい。気液分離器16内で気液分離して得られた気体はガス排出ライン19を通じて大気中に放出してもよく、あるいは更に公知の方法に供して処理してもよい。
【0062】
ダイオキシン類含有液を上記した様な方法によって処理すれば、ダイオキシン類をほとんど含まない高度に浄化された処理液とすることができる。
【0063】
以下、本発明のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCB含有液中のダイオキシン類および/またはコプラナ−PCBの分解又は酸化に用いる湿式酸化処理装置の洗浄方法について説明する。
【0064】
本発明の洗浄方法は、熱交換器、加熱器、反応器など湿式酸化処理に用いられる装置の内壁や、反応器に充填した吸着剤,充填剤,触媒などの充填物の表面などに発生するスケールもしくは沈降物などの固形物(以下、「固形物」ということがある。)を取り除くことができる洗浄方法に関するものである。
【0065】
本発明の洗浄方法はアルカリ洗浄液または酸洗浄液を上記した様なダイオキシン類の処理に用いた湿式酸化処理装置に導入し、該洗浄液が液相を保持する圧力下で洗浄を行なうことに要旨を有する。
【0066】
固形物を除去することによって該装置の熱効率向上,触媒活性向上,触媒寿命向上など様々の効果を得ることができる。
【0067】
また定期的に本発明の洗浄方法を用いて洗浄することによって、上記本発明のダイオキシン類の処理方法を安定して実施することができ、高い処理効率を維持することができる。
【0068】
本発明において「スケール生成物質」とは、湿式酸化処理装置の内部でスケール、もしくは沈降物などの固形物が生成する原因となる物質を意味する。具体的には、重金属類、アルミニウム,リン,ケイ素,カルシウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素をさす。ここでいう重金属類とは、鉄,クロム,銅,ニッケル,コバルト,マンガン,カドミウム,亜鉛,スズ,アンチモン,鉛,タリウム,水銀,ヒ素およびビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素である。これらスケール生成物質の状態は特に限定されず、各種のイオンまたは有機金属化合物などの形態が例示される。
【0069】
また本発明における「スケール、もしくは沈降物などの固形物」とは、これらスケール生成物質が不溶性もしくは難溶性の酸化物や各種塩などの形態となったものである。
【0070】
本発明において「洗浄処理」とは、これらの生成物,固形物を取り除くための本発明の洗浄方法の実施を意味し、また「洗浄効果」とは、本発明の洗浄方法による該生成物,固形物の除去を意味する。
【0071】
本発明の洗浄方法による洗浄対象としては、上記した様なダイオキシン類の湿式酸化処理に用いられる装置であれば、湿式酸化処理装置の機器,配管、更に構造物,充填物など特に限定されないが、本発明の洗浄方法は特に触媒,吸着材,充填材などの充填物や、反応器,熱交換器,加熱器,配管の洗浄に対して有効である。
【0072】
反応器は、内部に何も充填せずに空塔として使用する型式であってもよく、或いは触媒を充填して触媒湿式酸化処理を行なう型式であってもよい。また反応器内に金属製またはセラミック製などの充填材を充填して液およびガスの接触効率向上などを図る型式のものであってもよく、或いはセラミック製などの吸着剤を充填してスケール生成物質などを吸着除去する型式であってもよい。これら触媒,充填材,吸着剤(以下、「充填物」と略記することもある。)の材質,形状については特に限定されず、種々の充填物が用いられる。
【0073】
反応器内に充填物が存在する場合、スケールが充填物表面で生成して閉塞気味になったり、或いは完全に表面が閉塞し、所定の流量が得られなくなり処理が継続が困難となることがあった。特に触媒(固体触媒)が充填されている場合には、スケールが触媒表面で生成すると触媒活性が低下したり、触媒寿命が短くなるなどの問題があった。本発明の洗浄方法を用いればこの様な問題を解決することができる。
【0074】
湿式酸化処理に用いる装置の内面、即ち被処理液と接触する材質(以下、「装置材質」と略記することがある。)は、通常使用される材質であれば特に限定されないが、例えばチタン、チタン−パラジウム、ジルコニウム、SUS、ハステロイ(登録商標)、塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)などが好ましい。また金属材質表面にテフロン(登録商標)などをコーティングしたものであっても使用することができる。塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレンなどは高温下では装置材質の強度低下などを生じるため低温で洗浄処理を行う必要がある。
【0075】
尚、後記する酸洗浄液を用いる場合、SUSに対して洗浄効果はあるものの、SUSの耐食性が劣化することもあるので、処理温度を低くすると共に、酸濃度を低くし、更に鉄もしくは銅濃度を高くして、しかも短時間で洗浄処理を行うことが推奨される。
【0076】
本発明で用いることができる洗浄液としてはアルカリ洗浄液、あるいは酸洗浄液が好適に用いられる。アルカリ洗浄液の成分としては特に限定されないが、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムが洗浄効果の観点から推奨される。
【0077】
アルカリ洗浄液中のアルカリ濃度は特に限定されないが、1g/リットル以上であれば高い洗浄効果が得られるので望ましい。また10g/リットル以上であると更に高い洗浄効果得られるので推奨される。該濃度が1g/リットル未満の場合は、洗浄効果が著しく減少することがある。また10g/リットル未満の場合はアルカリ洗浄液の使用量が多くなるので、洗浄後のアルカリ洗浄液の処理が煩雑になることがあり、また短時間で洗浄処理を完結するためには処理温度を比較的高温にしなければ十分な洗浄効果が得られないことがある。
【0078】
またアルカリ濃度は合計で好ましくは400g/リットル未満であり、より好ましくは300g/リットル未満である。400g/リットル以上である場合は、アルカリ洗浄液の粘性が増加して、アルカリ洗浄液の供給が困難になることがある。また該濃度が400g/リットル以上の場合、温度を高くすると被洗浄装置の装置材質の耐食性が低下することがあり望ましくない。尚、アルカリ濃度は上記範囲内であれば洗浄処理中に適宜変更することができる。
【0079】
また本発明のアルカリ洗浄液として、水酸化ナトリウム含有洗浄液,水酸化カリウム含有洗浄液が好適な洗浄液として用いられるが、濃度,温度など同条件下では洗浄効果に特に有意差は認められないので、コスト面から水酸化ナトリウム含有洗浄液を用いることが推奨される。また炭酸ナトリウムおよび/または炭酸カリウムを用いた洗浄液であれば、更に装置材質の耐食性の低下を抑制することができるので望ましい。尚、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなども本発明の洗浄方法で用いることもできるが、高コストとなるので望ましくない。
【0080】
アルカリ洗浄液を用いる場合の洗浄液の温度としては、特に限定されないが好ましくは50℃以上、より好ましくは130℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下である。該温度が50℃未満の場合、十分な洗浄効果が得られないことがある。また300℃を超える場合、洗浄時間を短縮することができ、また洗浄効果も向上するが、洗浄液の液相を保持するために圧力を高めなくてはならず、液相を維持するために大型の設備が必要になることがあるので好ましくない。
【0081】
本発明の洗浄方法によって取り除こうとする物質がアルミニウム、リン、ケイ素を主成分とするスケールもしくは沈降物などの固形物である場合、アルカリ洗浄液は特に効果的であるが、該物質が鉄を主成分とする固形物の場合、アルカリ洗浄液を用いると鉄の構造が三酸化二鉄となって安定化してしまい、該固形物の洗浄除去が困難になることがあるので、この様な場合は酸洗浄液を用いることが好ましい。
【0082】
アルカリ洗浄液に代えて、本発明の洗浄液として酸洗浄液を用いることが出来る。洗浄液として用いることができる酸としては特に限定されないが、塩酸または硫酸が洗浄効果の観点から推奨される。
【0083】
酸洗浄液中の酸濃度は特に限定されないが、3g/リットル以上であれば高い洗浄効果がえられるので望ましい。また10g/リットル以上であれば、更に高い洗浄効果得られるので推奨される。該濃度が3g/リットル未満の場合は、洗浄効果が著しく減少することがある。また10g/リットル未満の場合は酸洗浄液の使用量が多くなるので、洗浄後の酸洗浄液の処理が煩雑になることがあり、また短時間で洗浄処理を完結するためには処理温度を比較的高温にしなければ十分な洗浄効果が得られないことがある。
【0084】
また酸濃度は合計で好ましくは700g/リットル未満であり、より好ましくは300g/リットル未満である。700g/リットル以上であると、酸洗浄液の粘性が増加して、酸洗浄液の供給が困難になることがある。また該濃度が700g/リットル以上の場合、温度を高くすると被洗浄装置の装置材質の耐食性が低下することがあり望ましくない。尚、酸濃度は上記範囲内であれば洗浄処理中に適宜変更することができる。
【0085】
また本発明の酸洗浄液は塩酸と硫酸とを含んでいてもよく、上記範囲内であれば夫々の濃度を適宜選択することができる。本発明の酸洗浄液としては固形物の組成にかかわらず高い洗浄効果を発揮することができる塩酸を用いることが最も推奨される。
【0086】
本発明の洗浄方法によって取り除こうとする物質が鉄,アルミニウム,リン,ケイ素,カルシウム,マグネシウムを主成分とするスケールもしくは沈降物などの固形物である場合、酸洗浄液は特に効果的である。
【0087】
酸洗浄液を用いる場合の洗浄温度としては、特に限定されないが好ましくは10℃以上、より好ましくは50℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下である。100℃以下であれば常圧での操作が可能となり操作性が向上するため好適である。また洗浄温度が50℃以上であれば洗浄時間を短縮することができ、かつ洗浄力も向上するため推奨される。なお、処理温度が200℃を超え、かつ酸洗浄液として塩酸および/または硫酸を含有する場合、特に塩酸および/または硫酸の濃度が濃い場合には装置材質の耐食性が低下することがある。
【0088】
このため該高温でかつ酸洗浄液に含まれる塩酸および/または硫酸の濃度が濃い場合には、酸洗浄液に重金属イオンおよび/または重金属化合物を添加することが推奨される。重金属イオンおよび/または重金属化合物を添加することによって装置材質の腐食を低減することができる。尚、この場合においても洗浄温度を160℃未満として処理することが該腐食低減の観点から好ましい。
【0089】
酸洗浄液に添加する重金属イオンおよび/または重金属化合物としては、鉄,銅,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,セリウムなどから選ばれる少なくとも1種以上のイオンおよび/または1種以上を含む化合物が例示され、これらの中でも好ましくは鉄および/または銅のイオンおよび/またはこれらを含む化合物である。また重金属化合物よりも重金属イオンが好ましく、さらに重金属イオンの中でも高酸化数のイオンがより好ましい。
【0090】
上記重金属イオンおよび/または重金属化合物としては酸洗浄液にイオンとして溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、鉄イオンの場合には3価であることが好ましく、銅イオンの場合には2価であることが好ましい。
【0091】
鉄イオンおよび/または銅イオンの濃度は特に限定されないが、その合計が好ましくは50mg/リットル以上、より好ましくは100mg/リットル以上であり、好ましくは100g/リットル以下、より好ましくは10g/リットル以下の割合で洗浄液に含有されていることが望ましい。50mg/リットル未満の場合は、酸洗浄液による装置材質の耐食性低下作用に対して十分な防止効果が得られないことがある。また100g/リットルを超えて含有している場合には、洗浄後の洗浄液の処理において固形物が増加するため好ましくない。
【0092】
尚、上記重金属イオンおよび/または重金属化合物の濃度は処理温度、洗浄液中の酸濃度などの処理条件に応じて適宜変更することができる。例えば処理温度が高い場合、あるいは洗浄液中の酸濃度が高い場合には、鉄イオンおよび/または銅イオンの濃度を高くすることが望ましい。例えば処理温度90℃,塩化水素濃度100g/リットルの場合には、鉄イオンおよび/または銅イオンの合計濃度が300mg/リットル以上1g/リットル未満であることが効果的である。
【0093】
また洗浄液に存在する鉄イオンおよび/または銅イオンが上記濃度となる様に適宜鉄イオンおよび/または銅イオンを添加して該濃度を調整することが望ましい。
【0094】
酸洗浄液に添加する鉄イオンおよび/または銅イオンの形態は、特に限定されるものではないが、鉄イオンの場合は塩化第二鉄,硫酸第二鉄,硝酸第二鉄,酢酸第二鉄などの鉄塩を添加することが効果的であり、また銅イオンの場合には塩化第二銅,硫酸第二銅,硝酸第二銅,酢酸第二銅などの銅塩を添加することが効果的である。これらの中でも特に塩化物もしくは硫酸塩を添加することが好ましい。
【0095】
以上、鉄と銅について示したが、本発明の趣旨に反しない限り、更にクロム、マンガン,ニッケル,コバルト,セリウムから選ばれる少なくとも1種以上も同様に用いることもできる。
【0096】
本発明に係る洗浄時の処理圧力は、処理温度との相関により適宜選択され、アルカリ洗浄液又は酸洗浄液(以下、「洗浄液」と略記する。)が液相を保持する圧力のもとで洗浄処理を行なうことが望ましい。
【0097】
本発明の洗浄処理には洗浄液に酸化剤を添加・使用することが望ましい。酸化剤としては特に限定されず、例えば酸素含有ガス,オゾン含有ガス,過酸化水素などが用いられる。酸素および/またはオゾンは適宜不活性ガスなどにより希釈して用いることができる。酸化剤としては空気を用いることが経済的観点から推奨されるが、他のプラントより生じる酸素含有の排ガスも適宜使用してもよい。
【0098】
酸化剤の使用量としては特に限定されないが、装置材質が金属の場合、該材質の酸化皮膜を形成することができる必要量以上であることが効果的である。材質の酸化皮膜を形成することができる必要量以下であると装置材質の耐食性に問題を生じることがある。酸化剤が酸素および/またはオゾンを含有するガスである場合、ガス中の酸素濃度(オゾンなどの場合には酸素換算濃度)は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であって、好ましくは100%以下、好ましくは30%以下である。酸化剤の供給量は酸化剤流量測定装置(図示せず)を設けて適宜調節,供給することができる。
【0099】
また、酸化剤の洗浄液への供給方法は特に限定されるものではなく、例えば酸素含有ガス供給ライン8から供給してもよいし、本発明の洗浄液とともに気液混合の状態で液供給ライン6から供給してもよい。
【0100】
本発明の洗浄方法を実施するために必要な時間は特に限定されず、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であって、好ましくは48時間以内、より好ましく24時間以内とすることが望ましい。1時間未満である場合には洗浄が不十分になることがあり、また48時間を超える場合には洗浄のための時間が長すぎて本来の排水処理に当てる時間が少なくなるため好ましくない。
【0101】
本発明の洗浄処理は、洗浄液を常に供給・排出する状態で洗浄を行なう連続式の洗浄方法であってもよいし、処理装置内に滞留させて一定時間洗浄を行なった後に洗浄液を抜き出すバッチ式であってもよい。
【0102】
洗浄液の量としては、洗浄の条件によって適宜変更することができ、特に限定されるものではないが、通常は洗浄対象とする処理装置の内容積の好ましくは1倍以上、より好ましくは3倍以上であって、好ましくは20倍以下、より好ましくは、15倍以下であることが好ましい。また、洗浄液の空間速度(LHSV)は、好ましくは0.01hr-1以上、より好ましくは0.1hr-1以上であり、好ましくは100hr-1以下であることが好ましく、より好ましくは10hr-1以下である。例えば連続式の洗浄方法では洗浄液の空間速度を1hr-1とし、処理時間を1〜20時間程度としてもよい。また、バッチ式の場合では1〜20回程度洗浄を繰り返してもよく、一回の操作では1時間程度装置内に洗浄液を滞留させることが望ましい。
【0103】
また洗浄液の処理装置内での流れ方向は通常の排水処理運転の時と同方向であってもよいし、逆方向であってもよいが、逆方向であるほうが効果的であり望ましい。また、バッチ式で洗浄する場合は洗浄液を処理装置に供給する方向と抜き出す方向が同じであってもよいし逆であってもよいが、同じ方向である方が効果的である。
【0104】
また、洗浄後の洗浄液(以下、「洗浄廃液」ということがある。)を装置より抜き出す方法は、通常の排水運転時に使用している液排出ライン17や液供給ライン6から抜き出してもよく、或いは別のラインから抜き出してもよく、特に限定されない。バッチ式の洗浄方法の場合、洗浄液を供給したラインと抜き出すラインが同じであってもよい。
【0105】
洗浄廃液は必要に応じてpHを調整したり、固液分離などの操作を行った後、廃棄処分してもよく、また必要に応じて生物処理や化学処理、物理処理など公知の処理を施すこともできる。
【0106】
洗浄廃液が酸洗浄液の場合、pH調整剤としてアルカリを用いることが推奨される。該アルカリは特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなど種々のものを用いることができる。また洗浄廃液がアルカリ洗浄液の場合、pH調整剤として酸を用いることが推奨される。該酸は特に限定されるものではなく、塩酸や硫酸など種々のものを用いることができる。
【0107】
洗浄廃液を固液分離する場合の固液分離方法は特に限定されるものではなく、公知の固液分離方法,固液分離装置を用いて適宜行うことができる。固液分離装置としては、例えば沈降分離処理装置、遠心分離処理装置、濾過分離処理装置など種々のものを用いてもよく、固液分離に際して必要に応じて凝集剤,凝集助剤または濾過助剤などを添加してもよい。これらの添加剤を添加すると洗浄廃液の固液分離処理速度や分離効率が向上するので添加することが好ましい。また凝集剤、凝集助剤,濾過助剤としては特に限定されるものではなく、公知のものを用いればよい。
【0108】
以下、実施例によって本発明を更に詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0109】
【実施例】
実施例1
図2に示す装置を使用し、ダイオキシン類含有液の湿式酸化処理を行なった。湿式酸化処理には直径25mm,長さ2500mmの円筒状の反応器13を用い、内部には固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物と白金(Ptとして0.3質量%)からなる触媒1リットルを充填した。ダイオキシン類含有液として廃棄物焼却炉洗煙排水を用いた。処理に供したダイオキシン類含有液のダイオキシン類の濃度は120ng/リットル、TEQは1.0ng/リットルであった。該液を液供給ライン6を通して供給すると共にポンプ7によって1リットル/hの流量で昇圧フィードした後、熱交換器11及び加熱器12によって165℃に加熱し、反応器13の底部から供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン8から供給し、コンプレッサー9で昇圧した後、30Nリットル/hrの流量となる様に、酸素含有ガス流量調節弁(図示せず)で流量を制御して熱交換器11の手前で該液に混入した。尚、反応器13では気液上向並流で処理を行った。また反応器13では電気ヒーター(図示せず)を用いて該液を165℃に保温し、ダイオキシン類の湿式酸化処理を実施した。反応器13で処理された該液(以下、「処理液」と略記する)は、処理液ライン14を経て熱交換器11およびクーラー15を介して気液分離器16に送り気液分離した。気液分離器16では液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁18を制御し、ライン17から液体を排出した。また圧力制御弁22は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、0.9MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。ライン17から排出された液のTEQは0.009ng/リットルであり、ダイオキシン濃度は0.8ng/リットルであった。
【0110】
実施例2〜17
触媒を変更した以外は実施例1と同様の条件でダイオキシン類含有液の湿式酸化処理を行なった。
【0111】
実施例2:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とマンガン(MnO2として5質量%)からなる触媒を用いた。
【0112】
実施例3:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とコバルト(CoOとして5質量%)からなる触媒を用いた。
【0113】
実施例4:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とニッケル(NiOとして5質量%)からなる触媒を用いた。
【0114】
実施例5:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とセリウム(CeO2として5質量%)からなる触媒を用いた。
【0115】
実施例6:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とタングステン(WO3として5質量%)からなる触媒を用いた。
【0116】
実施例7:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物と銅(CuOとして5質量%)からなる触媒を用いた。
【0117】
実施例8:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物と銀(Agとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0118】
実施例9:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物と金(Auとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0119】
実施例10:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とパラジウム(Pdとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0120】
実施例11:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とロジウム(Rhとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0121】
実施例12:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とルテニウム(Ruとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0122】
実施例13:固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物とイリジウム(Irとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0123】
実施例14:固体触媒(ペレット状)としてチタン酸化物と白金(Ptとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0124】
実施例15:固体触媒(ペレット状)としてチタン−ジルコニウムの酸化物と白金(Ptとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0125】
実施例16:固体触媒(ペレット状)としてチタン−ケイ素の酸化物と白金(Ptとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0126】
実施例17:固体触媒(ペレット状)としてアルミニウム−ケイ素の酸化物と白金(Ptとして0.3質量%)からなる触媒を用いた。
【0127】
実施例18
触媒をとして活性炭と白金(Ptとして0.3質量%)からなる固体触媒(ペレット状)を用い、処理温度を95℃として、圧力制御弁を全開にして加圧しなかった以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。
【0128】
比較例1
実施例1において、触媒を用いない以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。上記実施例1〜18および比較例1の結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
実施例19
図1の装置を用いてダイオキシン類含有土壌の処理を行った。処理対象となるダイオキシン類含有土壌としては、廃棄物焼却施設内で採取した土壌に廃棄物焼却灰を添加したものを用いた。ダイオキシン類濃度は810ng/g(5.2ng−TEQ/g)であった。この有機ハロゲン化合物含有土壌を土壌供給ライン1から浮上分離装置2に0.03kg/hrで攪拌しながら供給した。抽出用液供給ライン21からは0.3MPa(Gauge)の圧力下で空気を飽和溶解させた加圧水を3リットル/hrで供給した。ダイオキシン類を除去した土壌は土壌排出ライン3から排出した。土壌排出ライン3から排出した土壌のダイオキシン類濃度は72ng/g(460pg−TEQ/g)であった。浮上分離装置2で発生したダイオキシン類含有液は抽出液排出ライン4から供給タンク5に送液した。該液中のダイオキシン類濃度は、7400ng/リットル(69ng−TEQ/リットル)であった。供給タンク5のダイオキシン類含有液は、液供給ライン6を通してポンプ7に供給し、3リットル/hrの流量で昇圧フィードした。一方、酸素含有ガス供給ライン8からの空気をコンプレッサー9で昇圧した後、100Nリットル/hrの流量でダイオキシン類含有液に混入させた。この気液混合物を液供給ライン6aを経て、熱交換器11で加熱し、さらに加熱器12で加熱した後、触媒を充填した湿式酸化反応器13の底部から導入した。触媒としてはチタン−鉄の酸化物と白金からなるペレット状の固体触媒(白金0.3質量%)を3リットル使用した。尚、反応器13では気液上向並流で処理を行った。また該反応器13では電気ヒーター(図示せず)を用いて該液を165℃に保温し、ダイオキシン類の湿式酸化処理を実施した。反応器13で処理された該液(以下、「処理液」と略記する)は、処理液ライン14を経て熱交換器11およびクーラー15を介して気液分離器16に送り気液分離した。気液分離器16では液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁18を制御し、ライン17から液体を排出した。また圧力制御弁22は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、0.9MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。ライン17から排出された液のTEQは0.7ng/リットルであり、ダイオキシン濃度は91pg/リットルであった。
【0131】
実施例20
図2に示す湿式酸化処理装置を使用し、100時間連続してダイオキシン類含有排水の処理を行い、これにより生成した固形物に対して本発明の洗浄方法を用いた洗浄処理を6時間連続して実施した。以下に詳細な実験方法および結果について記述する。内部に固体触媒(ペレット状)としてチタン−鉄の酸化物と白金からなる触媒(Ptとして0.3質量%)1リットルを充填した反応器13を用いた。ダイオキシン類含有液として廃棄物焼却炉洗煙排水を用いた。処理に供したダイオキシン類含有液のダイオキシン類濃度は110ng/リットル、TEQは0.9ng/リットルであり、カルシウム濃度が160mg/リットルであった。このダイオキシン類含有液を液供給ライン6からポンプ7により1リットル/hrの流量で昇圧フィードした。一方、酸素含有ガス供給ライン8からの空気を供給し、コンプレッサー9で昇圧した後、30Nリットル/hrの流量で上記ダイオキシン類含有排水に混入させた。この気液混合物を液供給ライン6aを経て、熱交換器11で加熱した後、さらに加熱器12で加熱し、上記触媒を充填した湿式酸化反応器13に導入した。反応器13では、気液上向並流で処理を行った。反応器13では、電気ヒーター(図示せず)を用いて該液を165℃に保温し、ダイオキシン類の湿式酸化処理を実施した。反応器13で処理された該液(以下、「処理液」と略記する)は、処理液ライン14を経て熱交換器11およびクーラー15を介して気液分離器16に送り気液分離した。気液分離器16では液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁18を制御し、ライン17から液体を排出した。また圧力制御弁22は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、0.9MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。
【0132】
上記湿式酸化処理後、湿式酸化反応器13に充填していた触媒の表面には固形物が多量に付着していた。これをエレクトロン・プローブ・マイクロアナライザーで分析した結果、カルシウムを主成分とする固形物であった。引き続き上記固形物の付着した触媒に対して、本発明の洗浄方法によって上記湿式酸化処理装置の洗浄処理を以下の通り実施した。アルカリ洗浄液を液供給ライン6からポンプ7により0.5リットル/hrの流量で昇圧フィードした。アルカリ洗浄液としては100g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を用いた。一方、酸素含有液供給ライン8からの空気を導入し、コンプレッサー9で昇圧した後、0.05Nm3/hrの流量で上記アルカリ洗浄液に混入させた。この気液混合物を液供給ライン6aを経て、熱交換器11で加熱した後、さらに加熱器12で165℃まで加熱し、湿式酸化反応器13に底部から導入した。尚、反応器13では気液上向並流で処理を行った。また反応器13では、電気ヒーター(図示せず)を用いて該液を165℃に保温し、反応管の内表面及び触媒表面に付着した固形物などの洗浄処理を実施した。反応器13で使用されたアルカリ洗浄液(以下、「使用済み洗浄液」と略記する)は、処理液ライン14を経て熱交換器11およびクーラー15を介して気液分離器16に送り気液分離した。気液分離器16では液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁18を制御し、液排出ライン17から液体を排出した。また圧力制御弁22は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、0.9MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。これに引き続き、前述したダイオキシン類含有液の湿式酸化処理を同条件で行い、再度本発明の洗浄処理を上記条件と同じ条件で洗浄処理を2回繰り返した。その結果、湿式酸化処理装置は閉塞することなく運転でき、洗浄処理後の触媒表面には特に固形物は付着していなかった。
【0133】
実施例21
湿式酸化処理の対象排水と触媒を変更した以外は実施例20と同一の条件で処理を行った。処理対象となるダイオキシン類含有排水としては、アルミニウムを110mg/リットル含み、かつダイオキシン類を含有する廃棄物焼却炉洗煙排水を用いた。触媒はチタン−ジルコニウムの酸化物と白金からなる固体触媒(白金0.3質量%)を1リットル使用した。上記ダイオキシン類含有液の湿式酸化処理後の触媒表面には固形物が多量に付着していた。これをエレクトロン・プローブ・マイクロアナライザーで分析した結果、アルミニウムを主成分としたものであることがわかった。実施例20と同様にして本発明の洗浄方法を用いて洗浄処理した結果、触媒表面には特に固形物は付着していなかった。
【0134】
実施例22
洗浄処理時に空気を供給しないこと、洗浄液中の水酸化ナトリウム濃度を20g/リットルとしたこと、および洗浄時間を40時間としたこと以外は実施例20と同一の条件で処理を行った。上記ダイオキシン類含有液の湿式酸化処理後の触媒表面には固形物が多量に付着していたが、実施例20と同様にして本発明の洗浄方法を用いて洗浄処理した結果、洗浄処理前に触媒表面に付着していた固形物をほぼ除去することができた。
【0135】
実施例23
600mg/リットルの鉄イオンと100g/リットルの塩酸を含有する洗浄液を用い洗浄処理温度を90℃、洗浄時の圧力を常圧とした以外は実施例20と同一の条件で処理を行った。湿式酸化処理後の触媒表面には実施例20と同様にカルシウムを主成分とする固形物が多量に付着していたが、実施例20と同様にして本発明の洗浄方法を用いて洗浄処理した結果、洗浄処理前に触媒表面に付着していた固形物をほぼ除去することができた。
【0136】
実施例24
洗浄液として0.8g/リットルの銅イオンを含有した200g/リットルの硫酸水溶液を用いた以外は実施例23と同じ条件で処理を行った。湿式酸化処理後の触媒表面には実施例23と同様にカルシウムを主成分とする固形物が多量に付着していた。これに対し、洗浄処理後の触媒表面には特に固形物は付着していなかった。
【0137】
実施例25
洗浄処理時に空気を供給しないこと以外は実施例23と同一の条件で処理を行った。その結果、洗浄処理前に触媒表面に付着していた固形物は、洗浄処理後若干残存したものの湿式酸化処理を継続するには支障のない程度のものであった。
【0138】
比較例2
本発明の洗浄処理を行わなかった以外は実施例20と同一の条件でダイオキシン類含有液の湿式酸化処理を行なった。(連続して湿式酸化処理のみを行った。)その結果、約300時間後に湿式酸化反応器13内で閉塞がおこり、湿式酸化処理が継続できなくなった。湿式酸化反応器13を開放したところ、触媒表面や反応器内壁に多量の固形物が付着していた。これをエレクトロン・プローブ・マイクロアナライザーで分析した結果、カルシウムを主成分とするものであることが分かった。
【0139】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、液中に含有されるダイオキシン類を、二次的に有害物質を生成することなく、炭酸ガス、水、および溶解塩類や灰分などに効率よく転換せしめ、無害化することが可能である。
【0140】
また本発明の洗浄方法を用いればダイオキシン類含有液を湿式酸化処理した後の処理装置に付着、生成している固形物等を効率よく洗浄処理することができるので、処理装置の閉塞を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【図2】本発明に係る処理装置の実施態様の一つである。
【図3】本発明に係る浮上分離装置の実施態様の一つである。
【符号の説明】
1.土壌供給ライン
2.浮上分離装置
3.土壌排出ライン
4.抽出液排出ライン
5.供給タンク
6.液供給ライン
6a.液供給ライン
7.ポンプ
8.酸素含有ガス供給ライン
9.コンプレッサー
11.熱交換器
12.加熱器
13.反応器
14.処理液ライン
15.冷却器
16.気液分離器
17.液排出ライン
18.液面制御弁
19.ガス排出ライン
20.液タンク
21.抽出用液供給ライン
22.圧力制御弁
LC.液面コントローラー
PC.圧力コントローラー
Claims (6)
- ダイオキシン類および/またはコプラナーPCB含有液中のダイオキシン類および/またはコプラナーPCBを反応器内で分解する方法であって、上記液に予め陽イオンを添加し、活性炭および白金を含有する触媒ならびに酸素源の存在下、20℃〜370℃の範囲内で該液が液相を保持する圧力下において、該液中に含まれるダイオキシン類および/またはコプラナーPCBを酸化または分解することを特徴とするダイオキシン類および/またはコプラナーPCBの処理方法。
- 上記液がダイオキシン類および/またはコプラナーPCBを含有する土壌または灰を抽出用液と接触させることによって得られた液である請求項1に記載の方法。
- 上記接触がダイオキシン類および/またはコプラナーPCBを含有する土壌または灰を抽出用液中に投入してダイオキシン類および/またはコプラナーPCBを土壌または灰から分離させる接触方法を用いる請求項2に記載の方法。
- 上記触媒が、さらに、チタン,ケイ素,アルミニウム,ジルコニウム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,セリウム,タングステン,銅,銀,金,パラジウム,ロジウム,ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有する触媒である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 上記酸化または分解処理後に、上記反応器内にアルカリ洗浄液または酸洗浄液を導入し、該洗浄液が液相を保持する圧力下で洗浄するものである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 上記反応器は、触媒,吸着剤,充填材の少なくとも1種が組み込まれた湿式酸化処理装置である請求項5に記載の方法。
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