JP2001149075A - WWドメインを有するヒト核蛋白質とそれをコ−ドするcDNA - Google Patents
WWドメインを有するヒト核蛋白質とそれをコ−ドするcDNAInfo
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Abstract
びそれをコードするヒトcDNAを提供する。 【解決手段】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
むヒト核蛋白質と、このヒト核蛋白質をコードするDN
A、例えば配列番号2で表される塩基配列を含むcDN
A、および上記のヒト核蛋白質に対する抗体。
Description
の核に存在し、WWドメインを有する新規蛋白質と、こ
の蛋白質をコードしているcDNAおよびこの蛋白質に
対する抗体に関するものである。この発明の蛋白質およ
び抗体は、各種疾患の診断および治療に有用であり、こ
の発明のヒトcDNAは、遺伝子診断用プローブや遺伝
子治療用遺伝子源として有用である。また、cDNAは
この発明の蛋白質を大量生産するための遺伝子源として
用いることが出来る。
蛋白質の総称である。核内には生物の設計図であるゲノ
ムDNAが存在しており、核蛋白質はこれらのゲノムD
NAの複製、転写調節などに関与している。核蛋白質の
中で機能が明らかになっている代表的なものは、転写因
子、スプライシング因子、核内レセプター、細胞周期調
節因子、癌抑制因子などがある。これらの因子は、発生
・分化などの生命現象のみならず、癌等の疾患とも密接
に関係している(村松正寛編、NEW メディカルサイエン
ス、「転写のしくみと疾患」)。したがって、これらの
核蛋白質は、特定遺伝子の転写・翻訳を調節する低分子
医薬品を開発するためのタ−ゲット蛋白質としての可能
性を秘めており、できるだけ多くの核蛋白質を得ること
が望まれている。
PTBドメインと類似した蛋白質−蛋白質相互作用モチ
ーフの新しいファミリーである。このドメインは、2個
の保存されたトリプトファンを持つ約40アミノ酸残基か
らなり、SH3ドメインと同様にプロリンリッチなアミ
ノ酸配列に結合することが知られている(H. I. Chenand
M. Sudol. (1995) Proc. Natl. Sci. 92, 7819-782
3)。WWドメインとそのリガンドが結合したもののX線
結晶解析の結果、立体構造はSH3と異なることが判明
している(M. J. Macias et al. (1996) Nature, 382, 6
46-649)。他のプロテインモチーフと同様に細胞骨格系
(P. Bork and M. Sudol (1994) TIBS, 19,531-533)、情
報伝達系に関与する蛋白質(H. I. Chen and M. Sudol.
(1995) Proc. Natl.Sci.92, 7819-7823)、蛋白分解系の
ユビキチン-プロテインリガーゼ(O. Staub et al. (199
6) EMBO J. 15, 2371-2380)、転写活性化因子(P. Bork
andM. Sudol (1994) TIBS,19, 531-533)などに含まれて
おり、細胞内情報伝達系において重要な役割を果たして
いると考えられている。
の核に存在する新規蛋白質、この蛋白質をコードするc
DNAおよびこのヒト核蛋白質に対する抗体を提供する
ことを課題としている。
を解決するものとして、以下(1)〜(7)の発明を提供す
る。 (1) 配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト核蛋白質。 (2) 発明(1)の蛋白質をコードするDNA断片。 (3) 発明(1)の蛋白質をコードするヒトcDNAであっ
て、配列番号2の塩基配列を含むDNA断片。 (4) 配列番号2の塩基配列からなる、発明(3)のDNA
断片。 (5) 発明(2)から(4)のいずれかのDNA断片をインビ
トロ翻訳あるいは宿主細胞内で発現しうる発現ベクタ
ー。 (6) 発明(5)の発現ベクターによる形質転換体であっ
て、発明(1)のヒト核蛋白質を生産しうる形質転換細
胞。 (7) 発明(1)のヒト核蛋白質に対する抗体。
は、ヒトの臓器、細胞株などから単離する方法、配列番
号1のアミノ酸配列に基づき化学合成によってペプチド
を調製する方法、あるいは配列番号1のアミノ酸配列を
をコードするDNAを用いて組換えDNA技術で生産す
る方法などにより取得することができるが、組換えDN
A技術で取得する方法が好ましく用いられる。例えば、
発明(3)または(4)のcDNAを有するベクターからイン
ビトロ転写によってRNAを調製し、これを鋳型として
インビトロ翻訳を行なうことによりインビトロで蛋白質
を発現できる。また翻訳領域を公知の方法により適当な
発現ベクターに組換えれば、大腸菌、枯草菌等の原核細
胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞で、
cDNAがコードしている蛋白質を大量に発現させるこ
とができる。
Aを発現させて生産させる場合には、このcDNAの翻
訳領域を、RNAポリメラーゼプロモーターを有するベ
クターに組換え(発明(5))、プロモーターに対応する
RNAポリメラーゼを含む、ウサギ網状赤血球溶解物や
小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に添加すれば、
発明(1)の蛋白質をインビトロで生産することができ
る。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、
T3、SP6などが例示できる。これらのRNAポリメ
ラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKA
1、pCDM8、pT3/T7 18、pT7/3 1
9、pBluescript IIなどが例示できる。
でDNAを発現させて生産させる場合には、微生物中で
複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部
位、cDNAクローニング部位、ターミネーター等を有
する発現ベクターに、発明(3)のcDNAの翻訳領域を
組換えた発現ベクター(発明(5))を作成し、この発現
ベクターで宿主細胞を形質転換したのち、得られた形質
転換体(発明(6))を培養すれば、このcDNAがコー
ドしている蛋白質を微生物内で大量生産することができ
る。この際、任意の翻訳領域の前後に開始コドンと停止
コドンを付加して発現させれば、任意の領域を含む蛋白
質断片を得ることができる。あるいは、他の蛋白質との
融合蛋白質として発現させることもできる。この融合蛋
白質を適当なプロテアーゼで切断することによってこの
cDNAがコードする蛋白質部分のみを取得することも
できる。大腸菌用発現ベクターとしては、pUC系、p
Bluescript II、pET発現システム、pGEX発現シ
ステムなどが例示できる。
発現させて生産させる場合には、発明(3)のcDNAの
翻訳領域を、プロモーター、スプライシング領域、ポリ
(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに組換
え(発明(5))、真核細胞内に導入すれば(発明(6))、
発明(1)の蛋白質を真核細胞内で生産することができ
る。発現ベクターとしては、pKA1、pCDM8、p
SVK3、pMSG、pSVL、pBK−CMV、pB
K−RSV、EBVベクター、pRS、pYES2など
が例示できる。また、pIND/V5−His、pFL
AG−CMV−2、pEGFP−N1、pEGFP−C
1などを発現ベクタ−として用いれば、Hisタグ、F
LAGタグ、GFPなど各種タグを付加した融合蛋白質
として発現させることもできる。真核細胞としては、サ
ル腎臓細胞COS7、チャイニーズハムスター卵巣細胞
CHOなどの哺乳動物培養細胞、出芽酵母、分裂酵母、
カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞などが一般に用
いられるが、発明(1)の蛋白質を発現できるものであれ
ば、いかなる真核細胞でもよい。発現ベクターを真核細
胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、
リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法
を用いることができる。
発現させたのち、培養物から目的蛋白質を単離精製する
ためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことがで
きる。例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処
理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、
遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS−PAGE、等
電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性
クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ
ー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
れるアミノ酸配列のいかなる部分アミノ酸配列を含むペ
プチド断片(5アミノ酸残基以上)も含まれる。これら
のペプチド断片は抗体を作製するための抗原として用い
ることができる。また、発明(1)の蛋白質には、他の任
意の蛋白質との融合蛋白質も含まれる。例えば、実施例
に挙げたグルタチン−S−トランスフェラ−ゼ(GS
T)や緑色蛍光蛋白質(GFP)との融合蛋白質などが
例示できる。
コードするすべてのDNAが含まれる。このDNAは、
化学合成による方法、cDNAクローニングによる方法
などを用いて取得することができる。
A)は、例えばヒト細胞由来cDNAライブラリーから
クローン化することができる。cDNAはヒト細胞から
抽出した ポリ(A)+RNAを鋳型として合成する。ヒト
細胞としては、人体から手術などによって摘出されたも
のでも培養細胞でも良い。cDNAは、岡山−Berg法
(Okayama, H. and Berg, P., (1982) Mol. Cell Biol.
2, 161-170)、Gubler−Hoffman法(Gubler, U. and H
offman, (1983) J. Gene 25, 263-269)などいかなる方
法を用いて合成してもよいが、完全長クローンを効率的
に得るためには、実施例にあげたようなキャッピング法
(Kato, S. et al.(1994) Gene, 150, 243-250)を用い
ることが望ましい。
れる塩基配列を含むことを特徴とするものであり、例え
ば、配列番号3で表されるものは、2669bpからなる塩基
配列を有し、2115bpのオープンリーディングフレーム
(ORF)を有していた。このORFは、704アミノ酸
残基からなる蛋白質をコードしていた。発明(3)または
(4)のcDNAを大腸菌や動物培養細胞内で発現させる
と、約80kDaの蛋白質が得られた。この蛋白質はRNA
ポリメラ−ゼIIのC末端ドメインと結合することから、
転写制御に関与していると考えられる。
ているので、配列番号2あるいは配列番号3に記載のc
DNAの塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチ
ドプローブを用いて、ヒト細胞から作製したヒトcDN
Aライブラリーをスクリーニングすることにより、発明
(3)または(4)のcDNAと同一のクローンを容易に得る
ことができる。あるいは、これらのオリゴヌクレオチド
をプライマ−として、ポリメラ−ゼ連鎖反応(PCR)
法を用いて、目的cDNAを合成することもできる。
繁に認められる。従って配列番号2あるいは配列番号3
において、1または複数個のヌクレオチドの付加、欠失
および/または他のヌクレオチドによる置換がなされて
いるcDNAも発明(3)および(4)の範疇にはいる。
または複数個のアミノ酸の付加、欠失および/または他
のアミノ酸による置換がなされている蛋白質も、配列番
号1で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質の活性を有
する限り、発明(1)の範疇に入る。
号2あるいは3で表される塩基配列のいかなる部分塩基
配列を含むcDNA断片(10bp以上)も含まれる。ま
た、センス鎖およびアンチセンス鎖からなるDNA断片
もこの範疇にはいる。これらのDNA断片は遺伝子診断
用のプローブとして用いることができる。
として用いて動物を免役した後、血清から得ることが出
きる。抗原としては配列番号1のアミノ酸配列に基づき
化学合成したペプチドや、真核細胞や原核細胞で発現さ
せた蛋白質を用いることが出きる。あるいは、上記の真
核細胞用発現ベクターを注射や遺伝子銃によって、動物
の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取することによっ
て作製することができる(例えば、特開平7−3131
87号公報の発明)。動物としては、マウス、ラット、
ウサギ、ヤギ、ニワトリなどが用いられる。免疫した動
物の脾臓から採取したB細胞をミエロ−マと融合させて
ハイブリド−マを作製すれば、発明(1)の蛋白質に対す
るモノクロ−ナル抗体を産生することができる。
詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明はこれら
の例に限定されるものではない。なお、DNAの組換え
に関する基本的な操作および酵素反応は、文献("Molecu
lar Cloning. A Laboratory Manual", Cold Spring Har
bor Laboratory, 1989)に従った。制限酵素および各種
修飾酵素は特に記載の無い場合宝酒造社製のものを用い
た。各酵素反応の緩衝液組成、並びに反応条件は付属の
説明書に従った。cDNA合成は文献(Kato, S. et a
l.(1994) Gene, 150, 243-250)に従った。 (1)cDNAクロ−ニング ヒト完全長cDNAライブラリ−(WO97/0319
0記載)から選択したcDNAクロ−ンの大規模塩基配
列決定の結果、クロ−ンHP03494を得た。このク
ロ−ンは、291bpの5’非翻訳領域、2115bpのORF、2
63bpの3’非翻訳領域からなる構造を有していた(配列
番号3)。ORFは704アミノ酸残基からなる蛋白質
をコードしていた。
を用いてプロテインデータベースを検索したが、類似性
を有する既知蛋白質はなかった。また、このcDNAの
塩基配列を用いてGenBankを検索したところ、ESTの
中に90%以上の相同性を有するもの(例えば、アクセシ
ョン番号A1758365)が存在したが、部分配列なのでこの
発明の蛋白質と同じ蛋白質をコ−ドしているかどうかは
判定できない。
示したように、43番目から78番目までの領域が、WWド
メインと類似性を有していた。49番目と72番目のトリプ
トファン、75番目のプロリンが、これまで知られている
全てのWWドメインに保存されているアミノ酸残基であ
る。
ssue Northern Blot(Clontech社製)をmRNAソ−ス
として用いた。プローブとして、完全長HP03494 cDNAの
EcoRI-NotI断片を、ランダムプライマーラベリングキッ
ト(Pharmacia社製)により放射能ラベルして用いた。ノ
−ザンブロットハイブリダイゼ−ションの条件はすべ
て、キットに付属のプロトコールに従った。心臓、脳、
胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、すい臓、脾臓、胸腺、
前立腺、睾丸、卵巣、小腸、大腸、末梢血すべてに約3k
bのハイブリダイゼ−ションバンドが得られ、この蛋白
質はハウスキーピングなものであることが示唆された。 (3)インビトロ翻訳による蛋白質合成 この発明のcDNAを有するプラスミドベクターを用い
て、TNTウサギ網状赤血球溶解物キット(プロメガ社
製)によるインビトロ転写/翻訳を行なった。この際[
35S]メチオニンを添加し、発現産物をラジオアイソト
ープでラベルした。いずれの反応もキットに付属のプロ
トコールに従って行なった。プラスミド2μgを、TN
Tウサギ網状赤血球溶解物12.5μl、緩衝液(キットに
付属)0.5μl、アミノ酸混合液(メチオニンを含まな
い)2μl、[35S]メチオニン(アマーシャム社)2
μl(0.35MBq/μl)、T7RNAポリメラーゼ0.5μ
l、RNasin 20Uを含む総量25μlの反応液中で30℃
で90分間反応させた。反応液3μlにSDSサンプリン
グバッファー(125mMトリス塩酸緩衝液、pH 6.8、120mM
2−メルカプトエタノール、2%SDS溶液、0.025%
ブロモフェノールブルー、20%グリセロール)2μlを
加え、95℃3分間加熱処理した後、SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動にかけた。オートラジオグラフィ
ーを行ない、翻訳産物の分子量を求めた。その結果、こ
のクロ−ンは、ORFから予想される分子量80,618とほ
ぼ同じ80kDaの翻訳産物を生成した。 (4)大腸菌によるGST融合蛋白質の発現 EcoRI認識部位を付加した翻訳開始コドンから始まる26
merのセンスプライマー(配列番号4)とSalI認識部位
を付加した停止コドンまでを含む26 merのアンチセンス
プライマー(配列番号5)を用い、pHP03494を鋳型とし
てPCRにより翻訳領域を増幅した。PCR産物をEcoR
Iで消化し、pGEX-5X-1(Pharmacia社製)のEcoRI部位に挿
入した。塩基配列を確認した後、宿主大腸菌BL21の形質
転換を行った。LB培地中で37℃で5時間培養し、IPTGを
最終濃度が0.4 mMになるように加え、さらに37℃で2.5
時間培養した。菌体を遠心により分離し、溶解溶液(50
mM Tris-HCl (pH7.5), 1mM EDTA-1% Triton X-100 ,
0.2% SDS, 0.2 mM PMSF)に溶かし、一度-80℃で凍結さ
せ融解させた後、超音波破砕を行った。1000 xg で30分
遠心し、上清にグルタチオンセファロース4Bを加え、4
℃で1時間インキュベートした。ビーズを十分洗浄した
後、溶出溶液(10 mM Tris-50 mM グルタチオン)で融
合蛋白質を溶出した。その結果、分子量約110 kDaのGST
-HP03494融合蛋白質を得た。 (5)抗体作製 上記の融合蛋白質を抗原として家兔に常法により免疫を
行い抗血清を得た。抗血清はまず、40%飽和硫安沈殿画
分をGSTアフィニティーカラムによりGST抗体を除いた。
素通り画分をさらにGST-HP03494の抗原カラムにより精
製した。 (6)ウェスタンブロット ヒトフィブロサルコ−マ細胞株HT-1080の溶解物をSDS-P
AGEにより分離し、PVDF膜ブロットした後、5%スキムミ
ルクを含む0.05% Tween20-PBS(TPBS)で1時間室温で
ブロッキングし、抗体をTPBSで10000倍希釈したものと
1時間インキュベートした。TPBSで3回洗浄し、さらにT
PBSで10000 倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標
識ヤギ抗ウサギIgGと1時間インキュベートした。TPBS
で4回洗浄し、ECL試薬(Amersham 社製)により発光さ
せて検出したところ、分子量80kDaのシグナルが得られ
た。この分子量はウサギ無細胞翻訳系による本蛋白質の
インビトロ翻訳産物の分子量と一致していた。 (7)GFP融合蛋白質の発現 EcoRI認識部位を付加した翻訳開始コドンから始まる26
merのセンスプライマー(配列番号4)とSal I認識部位
をを付加した停止コドンまでを含む26 merのアンチセン
スプライマー(配列番号5)を用い、pHP03494を鋳型と
してPCRにより翻訳領域を増幅した。PCR産物を EcoRI、
Sal Iで消化し、GFP融合蛋白質発現用ベクタ−pEGFP
-C2(Clontech社製)のEcoRI部位に挿入した。塩基配列を
確認した後、得られたpEGFP-C2-HP03494をリポフェクシ
ョン法によりHeLa細胞にトランスフェクトした。蛍光顕
微鏡により観察したところpEGFP-C2をトランスフェクト
した細胞では、細胞全体に蛍光が見られるのに対し、pE
GFP-C2-HP03494では核のみに蛍光が見られた。この結果
からHP03494は核に存在する蛋白質であることが示され
た。 (8)RNAポリメラ−ゼII C末端ドメイン(CTD)との結
合 BamHI認識部位を付加した翻訳開始コドン から始まる33
merのセンスプライマー(配列番号6)とEcoRI認識部
位を付加した停止コドンまでを含む33 merのアンチセン
スプライマー(配列番号7)を用い、pHP03494を鋳型と
してPCRによりWWドメインをコ−ドする翻訳領域を増
幅した。PCR産物を BamHI、EcoRIで消化し、pGEX-5X-1
(Pharmacia社製)のBamHI-EcoRI部位に挿入した。これを
(4)と同様にして大腸菌内で発現させ、GSTとHP03494
のWWドメインの融合蛋白質GST-HP03494WWを得、これをS
DS-PAGEで分離した後、PVDF膜に転写し、32Pラベルした
GST-CTDまたは、核抽出物によりリン酸化した32P-GST-p
CTD(リン酸化体)(Hirose, Y and Manley, J. L. (199
8) Nature, 395, 93-96)とインキュベートし、ファーウ
エスタン法(Kaelin, Jr.et al., (1992) Cell, 70, 351
-364)により検出した。HP03494のWWドメインはリン酸化
されたCTDとより強く結合することが示された。このこ
とから、この発明の蛋白質は転写調節に関与しているこ
とが示唆された。
規蛋白質、この蛋白質をコードするDNA、この蛋白質
をコードするヒトcDNA、およびこのヒト核蛋白質に
対する抗体を提供する。この発明の蛋白質および抗体
は、癌などの病態の診断および治療などに有用である。
このDNAを用いることにより、この蛋白質を大量に発
現することができる。この蛋白質と結合する低分子化合
物をスクリ−ニングすることによる、新しい型の抗腫瘍
剤等の医薬を探索することができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 配列番号1のアミノ酸配列を含むヒト核
蛋白質。 - 【請求項2】 請求項1の蛋白質をコードするDNA断
片。 - 【請求項3】 請求項1の蛋白質をコードするヒトcD
NAであって、配列番号2の塩基配列を含むDNA断
片。 - 【請求項4】 配列番号2の塩基配列からなる、請求項
3のDNA断片。 - 【請求項5】 請求項2から4のいずれかのDNA断片
をインビトロ翻訳あるいは宿主細胞内で発現しうる発現
ベクター。 - 【請求項6】 請求項5の発現ベクターによる形質転換
体であって、請求項1のヒト核蛋白質を生産しうる形質
転換細胞。 - 【請求項7】 請求項1のヒト核蛋白質に対する抗体。
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