JP2001140032A - 高強度で靱性に優れたシームレス鋼管用鋼 - Google Patents

高強度で靱性に優れたシームレス鋼管用鋼

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JP2001140032A
JP2001140032A JP32312699A JP32312699A JP2001140032A JP 2001140032 A JP2001140032 A JP 2001140032A JP 32312699 A JP32312699 A JP 32312699A JP 32312699 A JP32312699 A JP 32312699A JP 2001140032 A JP2001140032 A JP 2001140032A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インライン熱処理により製造できる降伏応力が
110ksi以上の高強度で靱性に優れたシームレス鋼
管用鋼を提供することにある。 【解決手段】質量%にて、C:0.15%〜0.35
%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.3%〜1.5
%、S:0.005%以下、Cr:0.05%〜1.5
%、sol.Al:0.001%〜0.2%を基本成分と
し、Pを0.015%未満、Nを0.003%未満およ
びTiを微量含有させる、のいずれかにしたシームレス
鋼管用鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インライン熱処理
により製造できる高強度で靱性に優れたシームレス鋼管
用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】高級油井管等に用いられるシームレス鋼
管に対しては、高強度と靱性の両立が求められることが
多い。この要求に対しては、従来は製管後にオフライン
での熱処理により調質し、結晶粒を微細化することによ
り対応してきた。しかし、近年シームレス鋼管の製造方
法においても省プロセス化の要求が強まり、インライン
熱処理化が検討されている。
【0003】しかしながら、インライン熱処理では、オ
フライン熱処理のように冷却、加熱により生じる逆変態
がなく、オフライン熱処理に比べて結晶粒が粗大になり
やすいので、靭性の確保が困難であるという問題があ
る。その改善方法として、例えば、特開平08−130
31号公報には、Nb、Tiを添加した低合金鋼を未再
結晶域である低温度で、累積圧下率が50%以上となる
熱間圧延をおこない、その後インラインで300℃以下
まで加速冷却し、焼戻し処理をおこなう微細組織の低温
靱性に優れた鋼板の製造法が開示されている。鋼板の製
造のように低温圧延が可能な場合は、Nb、Tiを積極
的に添加して、再結晶温度を上昇させることによって未
再結晶加工割合を増加させることができるので、組織微
細化に極めて有効である。
【0004】ところが、シームレス鋼管の製造方法は、
中実ビレットを穿孔し、ホローシェルの内側にマンドレ
ルを挿入して圧延する方法が一般的であり、マンドレル
との摩擦係数、マンドレルの寿命、高温強度を考慮する
と、鋼板のように低温圧延することは困難である。従っ
てシームレス鋼管の製造では再結晶温度域以上で仕上げ
圧延を実施し、直ちに焼入れをおこなう加工熱処理が主
流となっていて、上記のような鋼板の製造方法の適用は
困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、イン
ライン熱処理により製造できる降伏応力が758MPa
(110ksi)以上の高強度で靱性に優れたシームレ
ス鋼管用鋼を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】シームレス鋼管のインラ
イン熱処理プロセスにおいて有効な靭性改善方法とし
て、本発明者は、TiNやMnSなどの介在物量を適切
に低減することで、γ粒が比較的粗大な組織であって
も、実用上十分な破面遷移温度を示す550MPa(8
0ksi)級の鋼を提示した(特願平10−11494
9号)。
【0007】しかしながら、その成分系をベースとして
強度を上げるためにC量を増加させ、かつ焼戻し温度を
調整して、降伏応力758MPa以上の高強度の油井管
とすると、破面遷移温度自体が高温側に移動するととも
に、遷移温度からかなり離れた高温側でも脆性破面が残
存する(以下、温度に対する延性破面率の変化率の低下
と記す)問題があることが試験の結果判明した。
【0008】図1は、シャルピー衝撃試験結果の一例を
示す図である。この試験にオフライン熱処理材として
は、焼入れ性が良好なTi−B鋼を用いた。インライン
熱処理材には焼入れ性が良好であるためバラツキの少な
いCr鋼を用いた。化学組成は以下の通りであった。
【0009】オフライン熱処理材:質量%で、C:0.
23%、Si:0.31%、Mn:1.3%、Cr:
0.1%、Ti:0.02%、B:0.0014%、
N:0.004、sol.Al:0.021%、P:0.0
28%、S:0.004%。
【0010】インライン熱処理材:質量%で、C:0.
23%、Si:0.3%、Mn:1.35%、Cr:
0.2%、P:0.026%、S:0.001%、sol.
Al:0.022%、N:0.006%。
【0011】熱間圧延は、製管時の穿孔圧延を模擬し
て、1250℃に加熱後圧延を開始し、圧下率50〜7
8%、圧延仕上げ温度は950℃とした。
【0012】インライン熱処理としては、実機の製造ラ
インを模擬して、圧延仕上げ後の鋼材を960℃に加
熱、8分保持した後、直ちに水焼入れし、500℃で焼
戻し処理をおこなった。また、オフライン熱処理として
は、圧延後の常温の鋼材を920℃に加熱、水焼入れ
し、520℃で焼戻し処理を施した。このような処理に
より降伏応力が758MPa級になるように調整してシ
ャルピー衝撃試験片を作製し、試験温度を−100〜1
00℃の温度範囲で種々変化させて試験を実施し、延性
破面率を求めた。
【0013】図1は、上記試験結果を試験温度と延性波
面率との関係で整理した図である。図1から明らかなよ
うに、従来のプロセスであるオフライン熱処理材は、試
験温度が−30〜−10℃になって、延性破面率が立ち
上がりはじめると、急激に延性破面率が大きくなり(す
なわち、温度に対する延性破面率の変化率が大きくな
り)、延性破面率50%と80%の温度差は極めて小さ
い。しかしながら、特願平10−114949号で示し
た550MPa(80ksi)級の鋼のC量を高めて、
さらに焼戻し温度を調整して758MPa級とした材料
では、オフライン熱処理材と同等の破面遷移温度(vT
rs:延性破面率50%となる温度)が得られている
が、延性破面率の立ち上がり傾きは小さく(すなわち、
温度に対する延性破面率の変化率が小さく)、延性破面
率50%と80%の温度差は大きい。
【0014】本発明者らは、50%破面遷移温度ではな
く、80〜90%程度の延性破面率が得られる温度を十
分低温にすることができ、インライン熱処理をおこなっ
てもオフライン熱処理材と遜色のない衝撃特性が得られ
る化学組成について、鋭意検討をおこなった。その結
果、下記の知見を得た。
【0015】1)特願平10−114949号公報に示
されている清浄化に関する基本思想を、Cが高い油井用
鋼に適用すると確かに、破面遷移温度が低下して良好と
なるが、温度に対する延性破面率の変化率は改善され
ず、連動して吸収エネルギーの立ち上がりがゆるやかで
あるため、破面遷移温度よりかなり高温での吸収エネル
ギーの要求値が満たされない問題がある。これは、破面
遷移温度からかなり離れた高い温度でも、粒界破壊を含
む脆性破面が残存し、吸収エネルギーが低下するからで
あった。
【0016】2)インライン熱処理をおこなうと、温度
変化に対する延性破面率や吸収エネルギーの変化率が、
オフライン熱処理材に比べて小さくなる主原因は、鋼中
のNが影響している。したがって、Nの低減が有効であ
る。
【0017】3)Nの低減の代わりに、Pを0.01%
以下に低減すると、温度変化に対する延性破面率や吸収
エネルギーの変化率はやや大きくなるものの、全般的な
遷移曲線の形態には影響を及ぼさないが、破面遷移温度
自体を下げる効果がある。したがって、80〜90%の
延性遷移温度で比較しても、オフライン熱処理材と同等
の靭性が得られる。また、50%破面遷移温度では、オ
フライン熱処理材より格段に低温側にシフトして良好と
なる。
【0018】4)精錬コストを下げるためにPまたはN
を低減しない場合は、Tiの微量添加によりNを固定す
れば、温度に対する延性破面率や吸収エネルギーの変化
率を大きくすることができる。Tiに関しては本質的に
は靭性を低下させる元素であるが、Nは延性破面率や吸
収エネルギーの温度に対する変化率を低下させる作用が
顕著であるめ、それをTiで固定すれば微量のTi添加
でも著しい効果が得られる。
【0019】本発明は、これらの知見に基づきなされた
もので、その要旨は以下の通りである。
【0020】(1)質量%にて、C:0.15%〜0.
35%、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.3%〜
1.5%、P:0.015%未満、S:0.005%以
下、Cr:0.05%〜1.5%、sol.Al:0.00
1%〜0.2%、N:0.015%以下、Ti:0〜
0.015%、Mo:0〜1%、Nb:0〜0.01
%、V:0〜0.5%、B:0〜0.003%、Ca:
0〜0.01%、Mg:0〜0.01%、REM:0〜
0.01%を含み、残部Feおよび不純物からなる高強
度で靭性に優れたシームレス鋼管用鋼。
【0021】(2)上記(1)に記載の鋼において、
P、NおよびTiの含有量が、P:0.015%〜0.
025%、N:0.003%未満、Ti:0.0082
%以下、である高強度で靭性に優れたシームレス鋼管用
鋼。
【0022】(3)上記(1)に記載の鋼において、P
およびTiの含有量が、P:0.015%〜0.025
%、Ti:0.003%〜0.015%の範囲内で、か
つ「3.4×N%−0.002」%以下である高強度で
靭性に優れたシームレス鋼管用鋼。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のシームレス鋼管用
鋼の化学組成を規定した理由について詳しく説明する。
なお、化学組成の%表示はすべて質量%を示す。
【0024】C Cは、鋼管の強度を確保するために必要な元素で、0.
15%未満では焼入れ性が不足して必要とする強度を確
保することが難しい。一方、0.35%を超えると焼入
れ時に割れが発生すると共に、靱性の劣化が大きい。し
たがって、C含有量は、0.15%〜0.35%とし
た。
【0025】Si Siは、鋼の脱酸を目的として含有させる。また、焼戻
し軟化抵抗を高めて強度上昇にも寄与する。これらの効
果を得るためには、0.1%以上含有させることが必要
であり、一方1.5%を超えて含有させると、靭性の低
下もたらす。したがって、Si含有量は0.1〜1.5
%とした。
【0026】Mn Mnは、鋼の焼入れ性を増し、鋼管の強度確保に有効な
成分である。含有量が0.3%以下では、焼入れ性の不
足によって強度および靱性ともに満足できる製品を製造
することができない。一方で、1.5%を超えて含有さ
せると、偏析が増えて靱性を低下させる。したがって、
Mn含有量は、0.3〜1.5%とした。
【0027】P Pは不純物として鋼中に不可避的に存在するが、本発明
鋼においては衝撃特性や製造コストを左右する重要な元
素である。N含有量を低減しない場合は、靭性を確保す
るために0.015%未満と十分に低減する必要があ
る。
【0028】Nを低減する場合や微量Tiの添加をおこ
なう場合は、精錬コスト高となる低P化は必要でなく、
0.015〜0.025%の範囲内であっても靭性が確
保できる。
【0029】S Sは、MnSを形成したり、CaやREMと結合してオ
キシサルファイドを形成して介在物として鋼中に存在す
る。その含有量が多いと靭性が低下するので0.005
%以下に抑える必要がある。
【0030】Cr Crは、必要な焼入性と焼戻し軟化抵抗を確保するため
に含有させる。含有量が0.05%未満では、焼入れ性
のほかに焼戻し軟化抵抗を高める効果が得られないので
0.05%以上とする必要がある。しかし、1.5%を
超えると靭性が低下するので上限は1.5%とする。
【0031】sol.Al Alは脱酸のために必須の元素であり、sol.Alで0.
001%以上は含有させなければ、脱酸不足によって鋼
質の劣化を招く。しかし、0.2%を超えて含有させる
と、靭性の低下を招くため好ましくない。したがって、
sol.Al含有量は、0.001%〜0.2%とした。
【0032】N Nは、不純物で高温延性を低下させると同時に衝撃試験
における延性破面率の温度に対する変化率を低下させ
る。その作用は、インライン熱処理をおこなって結晶粒
が大きい場合に特に顕著である。したがって、Nは低け
れば低い方がよい。しかし、低N化は低P化と同様に精
錬時間が長くなったり、特別の精錬設備が必要となった
りするので、N含有量はP含有量やTi添加の有無によ
り下記のように調整する。
【0033】精錬設備や精錬コストの観点からPを0.
015%未満に低減できない場合は、Nを0.003%
未満に低減するか、後述するように微量のTiを添加し
て鋼中のNを固定すると、延性破面率の温度に対する変
化率を大きくすることができるので、破面遷移温度自体
があまり低温側に移動しなくても、所定の延性破面率、
吸収エネルギーを確保できる。
【0034】Pを0.015%未満に低減して靭性を確
保する場合は、N含有量を極めて低く抑える必要はなく
0.15%以下で十分な靭性が確保できる。
【0035】Ti Pを0.015%未満に低減して遷移温度カーブを低温
側にシフトさせて靭性を改善する場合には、Tiは含有
させる必要はない。しかし、溶接熱影響部の靱性改善や
連続鋳造性を改善するためにTiを含有させてもよい
が、過剰に含有させると低P化した場合の効果が小さく
なり、また鋼中のNを固定して生成するTiNが多くな
ると、靭性を大きく低下させるので、含有させる場合の
Ti含有量の上限は0.015%とした。
【0036】Nを0.003%未満に低減する場合は、
Tiを含有させる必要はない。しかしながら、溶接熱影
響部の靱性改善や連続鋳造時の表面割れを改善する目的
で含有させることができるが、Tiが0.0082%以
上となると、過剰のTiが焼戻し時にTiCとして析出
して強度バラツキが大きくなるので、低N化の場合のT
iの上限は0.0082%とした。
【0037】また、Nを0.003%以上の含有量に許
容し、延性破面率の温度に対する変化率を改善する場合
は、0.003〜0.015%のTiが必要である。た
だし、Nと結びつかない過剰Tiが多くなると、TiC
を生成して強度バラツキが発生するようになる。したが
って、過剰Tiを0.002%以下とする必要があり、
そのためにはTiは、「3.4×N%−0.002」%
以下を満たす必要がある。
【0038】Mo Moは必要により含有させる元素で、厚肉の鋼管の場合
にさらに焼入性および焼戻し軟化抵抗を高めて高温焼戻
しが必要な場合に含有させるのがよい。含有させる場
合、その含有量が0.05%未満では前記効果が得られ
ないので、0.05%以上とするのが望ましい。しか
し、1%を超えると靭性劣化が著しくなるので1%以下
とする。
【0039】Nb Nbは、いわゆる制御圧延によって製造される鋼材にお
いては必須の添加元素であるが、本発明においては制御
圧延を基本的に利用しないため含有させる必要性はな
い。しかし、Nbは強度を高めるのに有効であるが、
0.01%を超えると1000℃以上の高温で圧延を終
了した場合には、析出強化を通して靱性を著しく損なっ
たり、鋼管の部位によるバラツキの原因になる。このた
めに、含有させる場合は、0.01%以下とするのがよ
い。より好ましくは、0.005%以下である。
【0040】V Vは、析出強化によって強度を高めるが、比較的靱性へ
の悪影響が小さく、強度アップのため必要により含有さ
せる。また、焼戻し軟化抵抗のほかに焼入れ性も向上さ
せる効果もある。含有させてこれらの効果を得るために
は0.05%以上とするのが望ましい。しかし、0.5
%を超えると靭性が大きく劣化するので0.5%以下と
した。
【0041】B Bは、厚肉の鋼管を製造する場合焼入れ性が不足してい
る場合に含有させると良好な焼入れ性を確保することが
できる。含有させる場合、0.0003%以上が好まし
いが、0.003%を超えて含有させると、焼戻し後に
236タイプの炭化物の生成を促進して靭性が低下す
るので上限は0.003%とした。
【0042】Ca、Mg Ca、Mgは、必要により含有させる元素で、鋼中のS
と反応して溶鋼中で硫酸化物を生成する。この硫酸化物
は、MnSなどと異なり、圧延加工によって圧延方向に
伸びることがなく、圧延後も球状である。このため、機
械的性質の異方性を改善し、特に圧延直角方向の衝撃性
質を向上させる。また、延伸した介在物の先端等を割れ
の起点とする水素誘起割れを抑制する作用もある。これ
らの効果得る場合に含有させればよいが、含有量が0.
01%を超えると、清浄度の低下によって母材の靭性が
低下するので、上限を0.01%とするのがよい。
【0043】REM(希土類元素) REMは、組織の微細化や、Sを固定して靭性を改善す
る作用があり、必要により含有させるが、0.01%を
超えるとかえって靱性が低下するので含有させる場合は
0.01%以下とするのがよい。
【0044】
【実施例】表1に示す化学組成の22種の鋼を、試験用
の容量150kgの真空溶解炉にて溶製した。丸鋳型に
鋳造して得られた150kgインゴットを鍛造後、実機
のインラインでの加工熱処理を模擬した圧延を実施し
た。加工熱処理条件を以下に示す。
【0045】鍛造材加熱温度(製管法におけるビレット
加熱に対応):1250℃ 圧延(穿孔圧延に対応):加工度70%、仕上げ温度1
050℃、圧延後20秒後に950℃の炉に10分間挿
入、その後直ちに水焼入れを実施。さらに、焼戻しによ
って強度が758MPaグレードになるように調整。
【0046】
【表1】
【0047】製造した各鋼板からは、JIS4号シャル
ピー試験片および丸棒引っ張り試験片を、それぞれ長手
方向が圧延方向と平行になるよう採取して、シャルピー
衝撃試験と引っ張り試験に供した。
【0048】引張り試験片は1枚の圧延材の先端部、中
央部および後端部の場所で表層各4本、中心部各4本の
合わせて24本採取した。降伏強度、引張り強度は24
本の平均とし、また、強度バラツキを評価するために、
24本の引張り強度の標準偏差を求めた。その結果は表
2に示す通りであった。
【0049】
【表2】
【0050】さらに、延性破面率が50%になる温度
(T50)、同じく80%になる温度(T80)と、そ
の温度差(T80−T50)も求め、表2に併せて示
す。
【0051】表2から明らかなように、本発明例 のP
を低減した鋼番1〜4は、T80−T50は小さくはな
いものの、T80が低く押さえられるので、実用上問題
なく使用できる。本発明例の極低N化した鋼番5〜8
や、微量Ti含有鋼の鋼番9〜15ではT80−T50
が小さくなるので、良好な靭性が得られる。また、本発
明例では強度バラツキも小さく押さえられていることが
分かる。
【0052】一方、比較例においては、表2に示すよう
に鋼番16は低P(請求項1に記載の鋼)であるが、N
およびTi含有量が本発明で規定する範囲外であり、鋼
番17はPは高目、極低Nであり(請求項2に記載の
鋼)、Tiを過剰に含有しており靱性は良好であるもの
の強度バラツキが大きく、実用に耐えない。
【0053】鋼番18〜21は、P、Nは高目で請求項
3記載の鋼に対応するが、鋼番18ではTi無添加、鋼
番19はTiが少なすぎてT80−T50が大きくて靱
性が劣っている。鋼番20では、数式で規定する量より
も多いTiを含有しているので、靱性は良好であるもの
の強度のバラツキが問題である。また、鋼番21は、数
式で規定する範囲内のTiを含有しているがその絶対量
が多過ぎ、靭性が低下している。鋼番22は、P含有量
が規定範囲より多く、靭性が低下している。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、高強度で靱性に優れた
シームレス鋼管をインライン熱処理で生産できるので、
高生産効率および省エネルギーにより、安価に鋼管を供
給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】延性破面率とシャルピー衝撃試験温度との関係
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村尾 暢俊 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 阿部 俊治 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%にて、C:0.15%〜0.35
    %、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.3%〜1.
    5%、P:0.015%未満、S:0.005%以下、
    Cr:0.05%〜1.5%、sol.Al:0.001%
    〜0.2%、N:0.015%以下、Ti:0〜0.0
    15%、Mo:0〜1%、Nb:0〜0.01%、V:
    0〜0.5%、B:0〜0.003%、Ca:0〜0.
    01%、Mg:0〜0.01%、REM:0〜0.01
    %を含み、残部Feおよび不純物からなることを特徴と
    する高強度で靭性に優れたシームレス鋼管用鋼。
  2. 【請求項2】質量%にて、C:0.15%〜0.35
    %、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.3%〜1.
    5%、P:0.015%〜0.025%、S:0.00
    5%以下、Cr:0.05%〜1.5%、sol.Al:
    0.001%〜0.2%、N:0.003%未満、T
    i:0.0082%以下、Mo:0〜1%、Nb:0〜
    0.01%、V:0〜0.5%、B:0〜0.003
    %、Ca:0〜0.01%、Mg:0〜0.01%、R
    EM:0〜0.01%を含み、残部Feおよび不純物か
    らなることを特徴とする高強度で靭性に優れたシームレ
    ス鋼管用鋼。
  3. 【請求項3】質量%にて、C:0.15%〜0.35
    %、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.3%〜1.
    5%、P:0.015%〜0.025%、S:0.00
    5%以下、Cr:0.05%〜1.5%、sol.Al:
    0.001%〜0.2%、Ti:0.003%〜0.0
    15%の範囲内で、かつ「3.4×N%−0.002」
    %以下、N:0.003%〜0.015%、Mo:0〜
    1%、Nb:0〜0.01%、V:0〜0.5%、B:
    0〜0.003%、Ca:0〜0.01%、Mg:0〜
    0.01%、REM:0〜0.01%を含み、残部Fe
    および不純物からなることを特徴とする高強度で靭性に
    優れたシームレス鋼管用鋼。
JP32312699A 1999-11-12 1999-11-12 高強度で靱性に優れたシームレス鋼管用鋼 Expired - Fee Related JP4196501B2 (ja)

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