JP2001140004A - 金属合金多孔質体の製造方法 - Google Patents

金属合金多孔質体の製造方法

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JP2001140004A
JP2001140004A JP32579799A JP32579799A JP2001140004A JP 2001140004 A JP2001140004 A JP 2001140004A JP 32579799 A JP32579799 A JP 32579799A JP 32579799 A JP32579799 A JP 32579799A JP 2001140004 A JP2001140004 A JP 2001140004A
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metal
porous body
powder
ultrafine particles
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Satoshi Kawamura
聡 川村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大がかりな設備を要さず、容易に低コストで
製造可能な、基材となる金属(A)に超微粒子からなる
金属(B)を合金化した多孔質体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 金属(A)と金属(B)の合金(AB)製の
多孔質体を製造する方法において、平均粒径が1μm以上
の金属(A)の粉末と、平均粒径が1〜100nmであり、金
属有機化合物を出発原料とする金属(B)の超微粒子と
を混合し、成形、焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属合金製の多孔質
体の製造方法に係り、特に高温で使用されてもクリープ
変形が起こらない金属合金製の多孔質体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ二次電池、溶融炭酸塩型燃料電
池等の電池用アノード、排気ガス浄化用触媒担体、ガス
フィルタ等には、ニッケル等の純金属の多孔質体が用い
られている。多くの場合、これらは高温で使用されるの
で、長年の使用によりクリープ変形を起こして当初の気
孔率が低下する。このような多孔質体の多孔構造の変化
は、装置性能の劣化をもたらすことになる。
【0003】これを防止する方法として、多孔質体の主
成分金属材料に第二元素を添加した素材を用いる方法が
広く行われている。例えば、溶融炭酸塩型燃料電池のア
ノードの場合には、主成分をニッケルとし、これに10%
程度のクロムを添加するのが有効であることが知られて
いる。
【0004】この種の多孔質体を製造する場合、第1の
方法として、主成分と第二元素の合金粉末を作製し、こ
の粉末を成形、焼結する方法がある。しかし、一般にこ
れらの合金粉末は、アトマイズ法によって製造されるの
で、粒子が球状になり、焼結した際に多孔度の高いもの
が得られない。又、通常、アトマイズ法によって製造さ
れる粉末は、数十μm以上の粗粒子が大部分を占めるの
で、微細孔を有する多孔質体を製造するための素材には
適さない。
【0005】第2の方法として、発泡や粉末焼結などの
方法で、主成分の多孔質体を予め作製し、これに第二元
素を金属塩などの形で含浸した後、化学的に還元熱処理
する方法がある。しかしながら、製造工程が複雑である
とともに、第二元素を多量に添加する場合には、多数回
にわたる含浸処理が必要であり、工業上の効率が悪い。
【0006】第3の方法として、主成分の粉末と第二元
素の粉末とを混合し、これを成形焼結する方法がある。
前記二通りの方法に比べて、最も単純で容易である。し
かしながら、この方法では、主成分と第二元素の2種類
の粉末の粒度が同程度の場合や、第二元素の粉末の粒度
が主成分の粉末よりも大きい場合、第二元素成分の偏析
が避けられない。このため、第二元素を含有しない部分
を生じる可能性があるとともに、偏析によって、焼結時
に局部的な合金化反応がすすみ、焼結反応に伴う収縮が
不均一になり、割れや変形を起こす場合があった。又、
例え、構造的欠陥が生じなかったとしても、第二元素の
偏析を少なくするには高温で長時間の熱処理が必要とさ
れ、この場合には当初に想定した焼結体の多孔度が低下
することになり好ましくない。
【0007】これを避けるために、主成分の粉末よりも
粒度の小さい第二元素の粉末を使用する方法として、主
成分にはミクロンオーダの粉末を用い、第二元素にはガ
ス中蒸発法による数十nmの超微粒子を用いる方法があ
る。この方法によれば、超微粒子の粒径が主成分である
基材粉末に比べて2桁小さいので、基材粉末間に均一に
分散することが容易であり、大きく偏析することはな
い。
【0008】しかしながら、ここで用いるガス中蒸発法
による数十nmの超微粒子は、非常に酸化し易いという問
題がある。通常の製造方法を適用すると、混合、成形、
焼結の全ての工程において、超微粒子の酸化を避けるこ
とができず、二種金属の合金化が妨げられることにな
り、所望の合金組成に相当する量よりも多くの量を添加
する必要がある。又、超微粒子の場合、急激な酸化は大
きな発熱を伴うので、取り扱いには注意を要する。この
ような超微粒子の酸化を、製造工程において完全に防止
することは、装置が大掛かりになり、技術的、コスト的
に非常に困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みて為されたもので、大がかりな設備を要さず、
容易に低コストで製造可能な、基材となる金属(A)に
超微粒子からなる金属(B)を合金化した多孔質体の製
造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、金属(A)と金属(B)の合金(AB)製の多孔質体を
製造する方法において、平均粒径が1μm以上の金属
(A)の粉末と、平均粒径が1〜100nmであり、金属有機
化合物を出発原料とする金属(B)の超微粒子とを混合
し、成形、焼結することを特徴とする金属合金多孔質体
の製造方法である。
【0011】これにより、金属有機化合物を出発原料と
する金属(B)の超微粒子を、平均粒径が1μm以上の
金属(A)の粉末と、混合、成形、焼結して合金化する
ので、金属(B)を容易に均一に分散して合金化するこ
とができる。従って、偏析に伴う構造的欠陥、即ち、割
れやクラック等が生じやすいという問題を回避できる。
又、この超微粒子の合金化は金属有機化合物を出発原料
として行うので、単に原材料の混合、成形、焼結により
行えるので、大掛かりな設備を必要とせず、容易に且つ
効率的に製造することができる。
【0012】請求項2に記載の発明は、平均粒径1μm以
上の金属(A)の粉末と、平均粒径が1〜100nmであり、
金属有機化合物を出発原料とする金属(B)の超微粒子
との混合物を、多孔質体が得られる焼結温度より低い温
度で熱処理した後、成形、焼結することを特徴とするも
のである。これにより、基材である金属(A)の粉末中
に超微粒子である金属(B)の出発原料を均一に拡散さ
せることができる。従って、この予備熱処理後の粉末を
原料として焼結体を作成することで、焼結体中の金属
(B)の分布は更に均一化される。
【0013】請求項3に記載の発明は、平均粒径が1〜1
00nmであり、金属有機化合物を出発原料とする金属
(B)の超微粒子が、金属有機化合物を無酸素雰囲気下
において、その金属有機化合物の分解開始温度以上、か
つ、完全分解温度未満の温度で加熱して得られた超微粒
子であることを特徴とするものである。これにより、金
属有機化合物を出発原料とし、一部が分解して金属成分
に変質した超微粒子が得られる。この超微粒子は、その
中心部が金属成分からなり、その周りが金属有機化合物
により取り囲まれた状態となっていると考えられ、超微
粒子の酸化を避けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、平均粒径が1μm以上
の主成分金属(A)の基材粉末と、第二元素である添加
金属(B)の超微粒子とを混合し、これを成形、焼結し
て、金属(A)と金属(B)の合金多孔質体を製造する方
法についてのものである。第二元素である添加金属Bの
超微粒子は、金属有機化合物を無酸素雰囲気下(例えば
不活性ガス、還元性ガス、それらの混合ガス、真空など
の雰囲気下)において、その金属有機化合物の分解開始
温度以上、かつ、完全分解温度未満の温度で加熱して得
られる。この超微粒子は平均粒径1〜100nmであり、好ま
しくは1〜20nm程度である。このようなサイズの超微
粒子を用いることによって、第二元素である添加金属
(B)が偏析することがなく、均一に分散した金属(A)
と金属(B)の合金多孔質体を容易に製造できる。
【0015】この超微粒子は、金属有機化合物を出発原
料とし、一部が分解して金属成分に変質した超微粒子
は、実質的に、その中心部が金属成分からなり、その周
りを金属有機化合物が取り囲んだ状態となっていると考
えられる。従って、混合、成形の工程において、第二元
素が酸化することが無く、後述するように効率的に合金
化することが可能である。超微粒子外郭部の金属有機化
合物は、焼結熱処理時に金属成分に変質し、超微粒子全
体が金属となり、容易に基材中に拡散し、添加量の殆ど
が基材と合金化するので、所望の合金組成に相当する量
を添加するだけでよい。
【0016】又、更に拡散を良くするためには、原料の
段階で基材粉末と第二元素超微粒子とを所定量だけ秤量
した後、混合し、多孔質体の焼結温度より低い温度で予
備的に熱処理することによって、よりよく基材中に第二
元素を拡散させることが可能である。この予備熱処理後
の粉末を原料にして焼結体を作製すれば、焼結体中の第
二元素の分布は更に均一化される利点がある。
【0017】尚、粒径1〜20nm程度の超微粒子は、
以下の方法でも得ることができる。即ち、非水系溶媒中
で且つイオン性有機物の存在下で、金属塩、より好まし
くは炭酸塩、蟻酸塩又は酢酸塩等の低温分解性の低分子
量有機金属塩を、該金属塩の分解還元温度以上で且つ前
記イオン性有機物の分解温度以下で加熱する。これによ
り、正に帯電した1〜20nmの粒径のコア金属の周囲
を、イオン性有機物で取り巻いた構造を有する金属超微
粒子が得られる。
【0018】このような金属超微粒子は、液相中での化
学的なプロセスにおいて作製することができるので、大
掛かりな真空装置を用いることなく、簡単な装置を用い
て通常の大気雰囲気化において大量生産が可能であり、
コストが安価である。しかも、粒径が均一であるので、
合金化する段階で極めて均一な分散が可能である。
【0019】尚、基材粉末は、工業的に容易に入手可能
なものであれば良く、特に制約は無い。現状では、アト
マイズ法、粉砕法、カーボニル法など、一般の粉体製造
法によって1μm以上のものが供給されているので、これ
らの中から、用途に応じた材質、粒度のものを用いれば
良い。
【0020】焼結反応の主な駆動力は粉体粒子の表面エ
ネルギである。このエネルギを減少させるように物質移
動が起こり、粉体粒子の表面積が減少するように焼結が
進む。本発明では、焼結すべき素材が2種類の金属粉末
の混合物であり、前記物質移動に伴って、2種の金属の
合金化が進行する。すなわち、基材粉末は相互の融着に
よって、多孔質体の物理的形状を決める多孔構造を形成
するが、その際に各部に分散した第二元素金属と合金化
する。
【0021】この場合、金属有機化合物を出発原料と
し、その中心部が金属成分からなり、その周りを金属有
機化合物が取り囲んだ状態となっている超微粒子の代わ
りに、ガス中蒸発法による超微粒子を用いた場合でも同
様の反応が起こるが、金属有機化合物を出発原料とした
超微粒子の方が表面が酸化していないので、表面の活性
度が高く、焼結反応が進みやすい。従って、ガス中蒸発
法による超微粒子を用いた製造方法と比較すると、同じ
温度で焼結した場合には、焼結体の強度が高くなり、同
じ多孔度の焼結体を得ようとした場合には、低い温度で
焼結することが可能である。
【0022】
【実施例1】次に、実施例について説明する。基材とし
て平均粒径2.2〜2.8μmのニッケル粉末(INCO製Type25
5)を90g、第二元素添加物として、ステアリン酸クロム
を水素ガス気流中で290℃に5時間加熱して得た粒径約10
nmの超微粒子を14g、有機質バインダとしてポリビニル
ブチラールを8g、可塑剤としてヒドロキシプルメチルセ
ルロースを2g、溶剤としてエタノールとトリクレンの重
量比1対1の混合溶液を80g、それぞれ秤量し、これら
をボールミル中で100時間混練してスラリを作製した。
【0023】このスラリをドクターブレード装置によ
り、補強材のニッケル金網(線径0.2mm、20メッシュ)
上に塗布して薄板に成形した。乾燥後の成形体を真空中
で950℃に1時間加熱保持して焼結し、厚さ0.8mmで90mm
角の多孔質板を得た。この多孔質板から約1gの試験片を
採取し、補強材を含んだ状態での多孔度を測定したとこ
ろ、60%の値を示した。又、この多孔質板の人工破壊面
について、EPMA(X線マイクロアナライザー)によ
るクロムの定量分析を行ったところ、クロム濃度は8.5
重量%であった。
【0024】
【実施例2】実施例1に用いたのと同じニッケル粉末
と、ステアリン酸クロムを出発原料とする超微粒子をそ
れぞれ合計重量の86.5重量%、13.5重量%になるように
秤量した。粉体総重量100重量部として50重量部にあた
るトルエンと上記2種の粉体とをボールミル中で100時
間混合した。混合後のスラリを乾燥した後、アルミナル
ツボに入れ、予備熱処理として真空中、650℃で4時間加
熱保持し、ニッケル中へクロムを拡散させた。予備熱処
理後の粉末を乳鉢で粉砕した後、35メッシュのふるいで
粗粒を取り除いた。
【0025】このようにして作製した予備熱処理後の粉
末100gに、実施例1と同種、同量の有機バインダ、可塑
剤、溶剤を加え、実施例1と同じ条件で、混合、成形し
た。乾燥後の成形体を真空中で1020℃に1時間程度加熱
保持して焼結し、実施例1と同様形状の多孔質板を得
た。実施例1と同様にして多孔度を測定したところ、61
%の値を示した。又、実施例1と同様にして、人工破壊
面についてクロムの定量分析を行ったところ、クロム濃
度は9.4重量%であった。
【0026】尚、上記実施例1,2では超微粒子とし
て、出発原料をステアリン酸クロムとした例について述
べたが、クロムを含む金属塩を出発材料としても、同様
にクロムの超微粒子を添加したニッケルの合金多孔質体
を形成することが可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明の合金金属多孔質体の製造法によ
れば、基材粉末中に第二元素が均一に分散し偏析するこ
とがなく、又、その製造工程も、基材粉末単独で焼結す
る場合と同様の工程で、任意組成の合金金属多孔質体を
容易に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 1/08 C22C 1/08 F

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属(A)と金属(B)の合金(AB)製の
    多孔質体を製造する方法において、平均粒径が1μm以上
    の金属(A)の粉末と、平均粒径が1〜100nmであり、金
    属有機化合物を出発原料とする金属(B)の超微粒子と
    を混合し、成形、焼結することを特徴とする金属合金多
    孔質体の製造方法。
  2. 【請求項2】 平均粒径1μm以上の金属(A)の粉末
    と、平均粒径が1〜100nmであり、金属有機化合物を出発
    原料とする金属(B)の超微粒子との混合物を、多孔質
    体が得られる焼結温度より低い温度で熱処理した後、成
    形、焼結することを特徴とする請求項1に記載の金属合
    金多孔質体の製造方法。
  3. 【請求項3】 平均粒径が1〜100nmであり、金属有機化
    合物を出発原料とする金属Bの超微粒子が、金属有機化
    合物を無酸素雰囲気下において、その金属有機化合物の
    分解開始温度以上、かつ、完全分解温度未満の温度で加
    熱して得られた超微粒子であることを特徴とする、請求
    項1又は2に記載の金属合金多孔質体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属(A)は、ニッケルであり、前
    記金属(B)は、クロムであることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれかに記載の金属合金多孔質体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 金属合金からなる多孔質体であって、平
    均粒径が1μm以上の金属(A)の粉末と、平均粒径が1〜
    100nmである金属(B)の超微粒子とが焼結して合金化さ
    れたことを特徴とする金属合金多孔質体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040011853A (ko) * 2002-07-31 2004-02-11 최성조 금속표면상에 미세기공을 형성하는 방법
JP2008156701A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Matsushita Electric Works Ltd 三次元形状造形物の製造方法
CN113549223A (zh) * 2021-08-05 2021-10-26 中国科学院重庆绿色智能技术研究院 一种微米级的mof-303及其制备方法

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