JPH08225802A - 粉末射出成形用組成物およびその製造方法 - Google Patents
粉末射出成形用組成物およびその製造方法Info
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Abstract
の外観不良を発生させず、なおかつ低炭素量、低酸素量
の粉末射出成形品およびその製造方法を提供すること。 【構成】 焼結用粉末としてTi粉末を用い、酸触媒分
解性有機バインダとしてポリオキシメチレンを含む粉末
射出成形用組成物であって、非酸触媒分解性有機バイン
ダとして、解重合性の樹脂であるポリブチルメタクリレ
ートを用い、前記非酸触媒分解性有機バインダを前記焼
結用粉末の表面にコーティングした後、前記コーティン
グした焼結用粉末と酸触媒分解性有機バインダを混練し
て作製した粉末射出成形用組成物およびその製造方法、
さらに前記粉末射出成形用組成物を成形し、発煙硝酸を
用いて酸触媒分解脱脂をおこなった後、真空焼成して得
た焼結部品。 【効果】 低酸素量、低炭素量で、なおかつ自重変形量
が少なく、表面荒れなどの外観不良のない焼結部品を得
ることができる。
Description
とその製造方法およびその焼結部品に関するものであっ
て、さらに詳細には、焼結粉末と少なくとも一種類の酸
触媒分解性樹脂を含む有機バインダとを混合し、これを
所望の形状に射出成形した後、成形体から前記有機バイ
ンダを除去し、前記成形体を焼結して粉末射出成形品を
作製するための粉末射出成形用組成物とその製造方法お
よびその焼結部品に関する。
いて複雑形状の部品を製造するための方法として、これ
らの粉末に熱可塑性樹脂である有機バインダを分散混合
し、これを射出成形法により成形し、次いでこの成形体
中に含まれる樹脂を除去、すなわち脱脂をおこなった
後、前記成形体を焼成し、所望の金属、セラミック部品
を得る方法が実施されている。この粉末射出成形法は、
粉末冶金と呼ばれる圧縮成形法等と比較して、三次元の
複雑な形状の製品を高い寸法精度で量産できるという利
点を有している。
有機バインダを除去する方法として、加熱分解法(特公
昭61−58563号など)、溶媒抽出法(特公昭59
−27743号など)などが提案、実施されている。ま
た、焼結用粉末と有機バインダの一成分としてポリオキ
シメチレンを用いて成形をおこない、成形体を酸触媒を
含有するガス状雰囲気の中で処理することによって前記
ポリオキシメチレンをホルムアルデヒド(沸点−21
℃)と水(沸点100℃)に分解し、雰囲気温度110
から120℃で前記分解生成物を蒸発させてガス化除去
する酸触媒分解脱脂法が提案、実施されている(ドイツ
国特許出願第p3926869号および同第p4000
278号)。この方法の場合には、酸触媒としてプロト
ン酸またはフッ化ホウ素等が使用される。
性向上を目的として、有機バインダの第二成分としてポ
リオキシメチレンに均質に可溶あるいは一定粒度で分散
可能であり、なおかつ酸触媒では分解しない樹脂すなわ
ち非酸触媒分解性有機バインダを混練時に添加する方法
がおこなわれている(特開平5−98306)。ここで
用いられている非酸触媒分解性有機バインダ成分として
は、脂肪族ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリアルキ
レンオキシド、ポリエチレン等があった。
ように非酸触媒分解性有機バインダを酸触媒分解性有機
バインダと焼結用粉末からなる粉末射出成形用組成物に
添加した場合には、酸触媒分解脱脂後に残余の非酸触媒
分解性有機バインダを加熱によって分解、除去しなけれ
ばならず、この非酸触媒分解性有機バインダに起因する
炭素が焼成体中に残存し、焼成体の機械的特性に悪影響
を及ぼすという問題点を有していた。また、特にチタン
など酸素の固溶しやすい焼結用粉末を用いた場合には、
混練、成形、酸触媒分解脱脂時における熱と雰囲気中の
わずかな酸素によって焼結用粉末中に酸素が固溶し、結
果として焼成体中の酸素量が増加して焼成体の強度が低
下するという問題点を有していた。
用されているポリオキシメチレンの酸触媒分解脱脂温度
は110〜120℃であるが、非酸触媒分解性有機バイ
ンダとして従来用いられてきたポリエチレン(軟化点約
120℃)を使用した場合は、酸触媒分解脱脂温度でポ
リエチレンが軟化し、酸触媒分解脱脂時に自重変形が発
生するという問題点を有していた。さらに、ポリオキシ
メチレンの軟化温度は165℃から170℃であり、非
酸触媒分解性有機バインダであるポリエチレンの軟化温
度との差が大きいために、その差に起因して成形時に非
酸触媒分解性有機バインダが分離して、成形体の表面荒
れなどの外観不良が発生するという問題点を有してい
た。
粉末射出成形用組成物としたとき、混練、成形、酸触媒
分解脱脂工程における焼結用粉末の酸化を防止する機能
を有し、なおかつ熱分解後の残留炭素が少なく、酸触媒
分解脱脂時の軟化による自重変形が生じにくく、成形時
に酸触媒分解性有機バインダとの分離が起こらない樹脂
であることが重要である。したがって本発明の目的は上
記問題点を解決し、亀裂および表面荒れのない成形体を
得ることができ、なおかつ脱脂工程での自重変形を防止
し、低炭素量、低酸素量の焼成体を得るための粉末射出
成形用組成物およびその製造方法とその粉末射出成形用
組成物を用いて作製した焼結部品を提供することにあ
る。
記問題点について鋭意検討した結果、これらの要求特性
を満たす非酸触媒分解性有機バインダならびにそれを用
いた粉末射出成形用組成物を見いだすことができた。
射出成形用組成物およびその製造方法およびその焼結部
品は下記記載の構成を採用する。
粉末と少なくとも一種類の酸触媒分解性有機バインダを
含む粉末射出成形用組成物において、前記酸触媒分解性
有機バインダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒では分
解しない樹脂である非酸触媒分解性有機バインダをあら
かじめ焼結用粉末表面にコーティングした後、前記コー
ティングした焼結用粉末と酸触媒分解性有機バインダと
を混練して作製することを特徴とするものである。
焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒分解性有機バイ
ンダを含む粉末射出成形用組成物において、前記酸触媒
分解性有機バインダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒
では分解しない樹脂である非酸触媒分解性有機バインダ
をあらかじめ焼結用粉末表面にコーティングした後、前
記コーティングした焼結用粉末、酸触媒分解性有機バイ
ンダと同時に非酸触媒分解性有機バインダを混練して作
製することを特徴とするものである。
は、焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒分解性有機
バインダを含む粉末射出成形用組成物の製造方法におい
て、前記焼結用粉末の表面に、前記酸触媒分解性有機バ
インダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒では分解しな
い樹脂である非酸触媒分解性有機バインダをあらかじめ
コーティングする工程と、前記コーティングした焼結用
粉末と酸触媒分解性有機バインダとを混練する工程を含
むことを特徴とする粉末射出成形用組成物の製造方法で
ある。
造方法は、焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒分解
性有機バインダを含む粉末射出成形用組成物の製造方法
において、前記焼結用粉末の表面に、前記酸触媒分解性
有機バインダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒では分
解しない樹脂である非酸触媒分解性有機バインダをあら
かじめコーティングする工程と、前記コーティングした
焼結用粉末と酸触媒分解性有機バインダと前記非酸触媒
分解性有機バインダとを混練する工程を含むことを特徴
とする粉末射出成形用組成物の製造方法である。
触媒分解性有機バインダをコーティングする工程は、溶
媒を用いた湿式混合か、あるいは熱エネルギー、機械的
エネルギーを利用した乾式混合によりコーティングをお
こなう工程であることが好ましい。
明の粉末射出成形用組成物を用い、成形および酸触媒分
解脱脂を行った後、焼結することにより作製した焼結部
品である。
粉末、酸触媒分解性有機バインダと同時に混練する非酸
触媒分解性有機バインダは、コーティングした非酸触媒
分解性有機バインダと同種類であっても良いが、異なる
種類の非酸触媒分解性有機バインダでも良い。
インダは、酸触媒で分解しない樹脂であるが、熱分解が
一気に進行し、分解後の炭素が残存しにくい解重合性の
樹脂であることが好ましい。
有機バインダは、その軟化温度が、用いられる酸触媒分
解性有機バインダの種類および分解反応機構により決定
される酸触媒分解脱脂温度より高いことが好ましく、前
記酸触媒分解性有機バインダの軟化温度に近いことが好
ましい。
性有機バインダの量は、焼結用粉末表面全体を被覆可能
な量が好ましく、粉末の形状、比表面積に依存するが、
全バインダ量のうち5ないし12重量%が好ましい。
シメチレン樹脂が使用される場合には、本発明で用いら
れる非酸触媒分解性有機バインダとしては、ポリメチル
メタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチ
ルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル、あるい
はポリαメチルスチレン、アタクチックポリプロピレン
などを用いることができる。
ては、金属粉末として鉄または鉄合金粉末、タングステ
ンまたはタングステン系合金粉末、チタンまたはチタン
系合金粉末あるいは磁性合金粉末等があり、またセラミ
ック粉末として窒化珪素粉末、炭化珪素粉末、アルミナ
粉末、ジルコニア粉末などがある。また金属粉末とセラ
ミック粉末との混合粉末を使用することができる。
造方法について詳しく説明する。
機バインダをコーティングする。ここで、非酸触媒分解
成分としては硝酸などの酸触媒によって分解せず、なお
かつ軟化温度が酸触媒分解脱脂処理温度よりも高い樹脂
が用いられる。また、成形時の有機バインダの分離を防
止するためには、酸触媒分解性有機バインダと非酸触媒
分解性有機バインダの軟化温度が近いことが好ましく、
例えば酸触媒分解性有機バインダ成分として軟化温度1
65〜170℃のポリオキシメチレン(酸触媒分解脱脂
処理温度が110〜120℃程度)を用いた場合には、
非酸触媒分解性有機バインダの軟化温度は150℃から
180℃程度であることが好ましい。
結用粉末へのコーティング方法としては、溶媒を用いた
湿式混合、または熱エネルギーおよび機械的エネルギー
を利用した乾式混合等を用いることができる。湿式混合
においては、前記非酸触媒分解性有機バインダをそれが
可溶である溶媒に溶解させた後、焼結用粉末を投入し、
溶液中で撹拌混合した後、溶媒を加熱あるいは減圧等に
よって除去し、前記焼結用粉末を乾燥、粉砕する方法で
ある。一方、熱エネルギーおよび機械的エネルギーを利
用した乾式混合は粉末と非酸触媒分解性有機バインダを
コーティング装置内に投入し、これらの粒子を気相中に
分散させながら、衝撃力を主体とする熱エネルギーある
いは機械的エネルギーを粒子に与えることにより、非酸
触媒分解性有機バインダを粉末表面にコーティングする
方法である。乾式混合において、非酸触媒分解性有機バ
インダを焼結用粉末表面に薄く均一にコーティングする
ためには、前記非酸触媒分解性有機バインダは前記焼結
用粉末よりも細かい粒状であることが好ましい。
め非酸触媒分解性有機バインダをコーティングすること
により、混練、成形、酸触媒分解脱脂時における焼結用
粉末の酸化を防止し、低酸素量の焼成体を得ることがで
きる。ここで、焼結用粉末として例えば鉄やステンレス
鋼を用いた場合には、酸触媒分解脱脂時に粉末が酸化さ
れても、焼成を水素還元雰囲気下でおこなうことができ
るため、焼成初期に酸化された粉末が還元され、結果と
して焼成体中の酸素量を低減させることができる。しか
し、焼結用粉末として例えばチタンを用いた場合、活性
金属であるチタンは鉄やステンレス鋼に比べて酸素が固
溶しやすいだけでなく、焼成工程を水素還元雰囲気下で
おこなった場合には、チタンの水素化物が形成されてし
まう。すなわち、チタンは水素還元処理をおこなうこと
ができないため、混練、成形、酸触媒分解脱脂工程での
酸化を極力防止することが必要である。したがって本発
明において、焼結用粉末の表面にあらかじめ非酸触媒分
解性有機バインダをコーティングすることは、チタン、
チタン合金等のように、酸化され易く、なおかつ焼成を
水素還元雰囲気下でおこなうことのできない焼結用粉末
に対して特に有効である。
酸触媒分解性有機バインダとを混練し、粉末射出成形用
組成物を作製する。混練は、大気あるいは不活性雰囲気
でおこなうことができるが、チタンのような活性金属粉
末に対しては、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下で
の混練が必要である。また、酸触媒分解性有機バインダ
の熱分解を防止するためにも、不活性雰囲気下での混練
が望ましい。この際、混練温度は使用する酸触媒分解性
有機バインダの軟化温度(ポリオキシメチレンの場合は
165〜170℃)以上でかつ酸触媒分解性有機バイン
ダの熱分解が起こらない温度(ポリオキシメチレンの場
合は170℃から190℃程度)が好ましい。また、酸
触媒分解脱脂後の保形性を向上させるため、混練時に、
コーティングした非酸触媒分解性有機バインダと同じ種
類でも、また異なる種類でもよい非酸触媒分解性有機バ
インダを若干添加することもできる。混練後、前記組成
物をペレット化し粉末射出成形用組成物を得る。
方法により成形し、粉末射出成形体を得る。ここで、非
酸触媒分解性有機バインダとして、その軟化温度が酸触
媒分解性有機バインダの軟化温度にほぼ等しい樹脂を用
いていることにより、射出成形時における非酸触媒分解
性有機バインダの分離を防止することができる。従来の
酸触媒分解脱脂用組成物では、酸触媒分解性有機バイン
ダと非酸触媒分解性有機バインダの軟化温度の差が大き
いためにバインダが分離し成形体の外観不良が発生して
いた。しかし、本発明の粉末射出成形用組成物を用いる
ことにより、従来に比べて成形性が安定し、表面荒れな
どの外観不良のない成形体を得ることができる。
た成形体をガス状の酸含有雰囲気中で処理をおこなう。
酸触媒分解脱脂で用いられる酸触媒としては、例えばハ
ロゲン化水素酸および硝酸、蓚酸、蟻酸、酢酸あるいは
フッ化ホウ素などが用いられる。本発明における触媒分
解脱脂は、酸触媒を計量装置を介してキャリヤーガスに
加えたり、あるいは酸触媒を適当な溶媒に溶解させた酸
触媒溶液を作製し、前記キャリヤーガスおよび前記酸触
媒溶液の流量を適当に制御しながらおこなうこともでき
る。このようにして、酸触媒分解性有機バインダである
ポリオキシメチレンが少なくとも80%、好ましくは9
0%以上除去された成形体を得る。本発明においては、
酸触媒分解脱脂時に粉末表面全体が非酸触媒分解性有機
バインダでコーティングされているため、酸触媒分解脱
脂工程における粉末の酸化を防止することができる。ま
た、本発明で用いる非酸触媒分解性有機バインダの軟化
点は、酸触媒分解処理温度よりも高いため、成形体の自
重変形を起こすことなく酸触媒分解脱脂をおこなうこと
ができる。
なかった非酸触媒分解性有機バインダの除去をおこな
う。非酸触媒分解性有機バインダは、触媒分解脱脂後に
連続して加熱分解をおこなうか、あるいは焼成の初期工
程の加熱によって分解除去することができる。ここで、
本発明で使用される非酸触媒分解性有機バインダは解重
合性の樹脂であるため、加熱分解が一気に進行し、モノ
マーとして分解除去される。したがって、加熱分解脱脂
後には炭素がほとんど残存しない。一方、ポリエチレン
など従来の非酸触媒分解性有機バインダでは、加熱によ
って高分子がランダムに分解されるため、加熱分解脱脂
後にも揮散除去されなかった一部の分子に起因して炭素
が残存してしまう。このように、非酸触媒分解性有機バ
インダとして、解重合性の樹脂を用いることにより、結
果として焼成体中の炭素量を低減することができる。
原料粉末に応じた所定の雰囲気下で、所定の処理温度、
処理時間おこなうことにより、所望の形状、寸法および
焼結密度を持つ粉末射出成形品を得ることができる。
いることにより、表面荒れなどの欠陥が無く、なおかつ
脱脂時の自重変形を防止し、低炭素量、低酸素量の粉末
射出成形品を得ることができる。
め非触媒分解性有機バインダをコーティングすることに
より、後工程である混練、成形、酸触媒分解脱脂時にお
ける熱と雰囲気中に含まれる微量の酸素による焼結用粉
末の酸化を防止することができ、低酸素量の焼成体を得
ることができる。本発明は、特に、酸素が固溶しやす
く、なおかつ水素還元雰囲気下での焼成が不可能である
チタン、チタン合金などの粉末に有効である。また、本
発明における非酸触媒分解性有機バインダの軟化点は、
酸触媒分解性有機バインダの軟化温度近傍であるため、
成形時に有機バインダが分離することはなく、表面状態
の良好な成形体を得ることができる。また、本発明にお
ける非酸触媒分解性有機バインダの軟化点は、触媒分解
脱脂温度よりも高いため、触媒分解脱脂時における非酸
触媒分解性有機バインダの軟化に伴う成形体の自重変形
を防止することができる。さらに、本発明における非触
媒分解成性有機バインダは、解重合性の樹脂であるため
に低炭素量の焼成体を得ることができる。これは、従
来、非酸触媒分解用有機バインダとして用いられていた
樹脂は、加熱分解時に高分子鎖がランダムに分解するの
に対して、本発明で用いられる解重合性の樹脂は、高分
子の末端からモノマーを再生しながら秩序だって分解す
るためである。
る。
末の表面に、非酸触媒分解性有機バインダであるポリブ
チルメタクリレート(軟化温度160℃)の湿式コーテ
ィングをおこなった。まず、ポリブチルメタクリレート
をトルエンに溶解させ、ポリブチルメタクリレートのト
ルエン溶液を作製した。次に、前記ポリブチルメタクリ
レートのトルエン溶液中に前記チタン粉末を添加し、3
0分間撹拌した。ここでそれぞれの仕込み量は、チタン
粉末100重量部に対してポリブチルメタクリレート
2.1重量部とした。その後、ロータリーエバポレータ
ーによってトルエンを減圧除去、乾燥した後、粉砕して
コーティング粉末を作製した。前記コーティング粉末と
酸触媒分解性有機バインダであるポリオキシメチレン
(軟化温度165℃)18.5重量部を180℃の窒素
雰囲気中で30分間混練した後ペレット化し、粉末射出
成形用組成物を作製した。
形機により、樹脂温度170から190℃、金型温度1
10℃にて図1に示す成形体を得た。図1に示す成形体
は、幅10mm、高さ3mm、奥行き8mmで、上面板
の厚みが0.5mmの箱型をしたものである。ここで、
成形体にはバインダの分離等は全く認められず、表面状
態の良好な成形体を得ることができた。
形体を120℃の窒素雰囲気中において、発煙硝酸を
0.03cc/分で供給する処理を6時間おこない、ポ
リオキシメチレンの酸触媒分解脱脂をおこなった。
真空中で500℃まで10℃/分で昇温させた後、その
温度で1時間保持をおこない、非酸触媒分解性有機バイ
ンダであるポリブチルメタクリレートを加熱分解除去し
た。さらに、10℃/分の昇温速度で1250℃まで加
熱後その温度で2時間保持して焼成体を得た。得られた
焼成体について、炭素量、酸素量をそれぞれ炭素分析
計、酸素分析計を用いて測定し、ビッカース硬度をビッ
カース硬度計を用いて測定した。また、図2に示す自重
変形量xを測定した。結果を表1に示す。得られた焼成
体には、表面荒れなどの外観不良は発生しなかった。
末100重量部に対して、非酸触媒分解性有機バインダ
として平均粒径1μmのポリメチルメタクリレート(軟
化温度180℃)2.1重量部を添加し、表面改質装置
(奈良ハイブリタイゼーションシステムNHSー1型
奈良機械製作所製)を用い、回転数8000rpmで1
0分間処理をおこないコーティング粉末を作製した。前
記コーティング粉末と、酸触媒分解性有機バインダであ
るポリオキシメチレン18.5重量部を180℃の窒素
雰囲気中で30分間混練した後ペレット化し、粉末射出
成形用組成物を作製した。
形機により、樹脂温度170から190℃、金型温度1
10℃にて図1に示す成形体を得た。成形体にはバイン
ダの分離等は全く認められず、表面状態の良好な成形体
を得ることができた。
形体を120℃の窒素雰囲気中、発煙硝酸を0.03c
c/分で供給する処理を6時間おこない、ポリオキシメ
チレンの酸触媒分解脱脂をおこなった。続けて残余の非
酸触媒分解性有機バインダを除去するため、前記酸触媒
分解脱脂炉内中で450℃まで1時間で昇温させ、その
温度で1時間保持をおこなった。
真空中、10℃/分の昇温速度で1250℃まで加熱後
その温度で2時間保持して焼成体を得た。得られた焼成
体を実施例1と同様に評価した。評価結果を併せて表1
に示す。焼成体には、表面荒れなどの外観不良は発生し
なかった。
末100重量部に対して、非酸触媒分解性有機バインダ
として平均粒径1μmのポリメチルメタクリレート(軟
化温度180℃)2.1重量部を添加し、表面改質装置
(奈良ハイブリタイゼーションシステムNHS−1型
奈良機械製作所製)を用い、回転数8000rpmで1
0分間処理をおこないコーティング粉末を作製した。前
記コーティング粉末と酸触媒分解性有機バインダである
ポリオキシメチレン(軟化温度165℃)16.4重量
部と非酸触媒分解性有機バインダであるポリメチルメタ
クリレート2.1重量部を180℃の窒素雰囲気中で3
0分間混練した後ペレット化し、粉末射出成形用組成物
を作製した。
射出成形機により、樹脂温度170℃から190℃、金
型温度110℃にて図1に示す成形体を得た。成形体に
はバインダの分離等は全く認められず、表面状態の良好
な成形体を得ることができた。
で酸触媒分解脱脂、非酸触媒分解性有機バインダの除去
および焼成をおこなった。得られた焼成体を実施例1と
同様に評価した。評価結果を併せて表1に示す。焼成体
には表面荒れなどの外観不良は発生しなかった。
末100重量部に対して、非酸触媒分解性有機バインダ
としてポリブチルメタクリレート2.1重量部、酸触媒
分解性有機バインダとしてポリオキシメチレン18.5
重量部を加圧式ニーダーを用いて窒素雰囲気中、175
℃で30分混練した後ペレット化し、粉末射出成形用組
成物を作製した。
射出成形機により、樹脂温度170℃から180℃、金
型温度110℃にて図1に示す成形体を得た。成形体に
はバインダの分離等は認められなかった。
で酸触媒分解脱脂、非酸触媒分解性有機バインダの除去
および焼成をおこなった。得られた焼成体を実施例1と
同様に評価した。評価結果を併せて表1に示す。焼成体
には表面荒れなどの外観不良は発生しなかった。
末の表面に、非酸触媒分解性有機バインダであるポリエ
チレン(軟化温度120℃)の湿式コーティングをおこ
なった。まず、ポリエチレンをトルエンに溶解させ、ポ
リエチレンのトルエン溶液を作製した。次に、前記ポリ
エチレンのトルエン溶液中に前記チタン粉末を添加し、
30分間撹拌した。ここでそれぞれの仕込み量は、チタ
ン粉末100重量部に対してポリエチレン2.1重量部
とした。その後、ロータリーエバポレーターによってト
ルエンを減圧除去、乾燥した後、粉砕してコーティング
粉末を作製した。前記コーティング粉末と、酸触媒分解
性有機バインダであるポリオキシメチレン(軟化温度1
65℃)18.5重量部を窒素雰囲気中、180℃にて
30分間混練した後ペレット化し、粉末射出成形用組成
物を作製した。
実施例1と同様の成形条件で図1に示す成形体を得た。
ここで、得られた成形体に表面荒れが発生した。これ
は、非酸触媒分解性有機バインダであるポリエチレンと
酸触媒分解性有機バインダであるポリオキシメチレンの
軟化温度の差が大きく、成形時に有機バインダが分離し
たためである。
で酸触媒分解脱脂、非酸触媒分解性有機バインダの除去
および焼成をおこなった。得られた焼成体を実施例1と
同様に評価した。評価結果を併せて表1に示す。焼成体
には表面荒れによる外観不良が発生していた。
末100重量部に対して、非酸触媒分解性有機バインダ
としてポリエチレン2.1重量部と酸触媒分解性有機バ
インダとしてポリオキシメチレン18.5重量部を加圧
ニーダーを用いて175℃にて30分混練した後ペレッ
ト化し、粉末射出成形用組成物を得た。
1と同様の成形条件で図1に示す成形体を得た。ここ
で、得られた成形体に表面荒れが発生した。これは比較
例2と同様に、非酸触媒分解性有機バインダであるポリ
エチレンと酸触媒分解性有機バインダであるポリオキシ
メチレンの軟化温度の差が大きく、成形時に有機バイン
ダが分離したためである。
で酸触媒分解脱脂、非酸触媒分解性有機バインダの除去
および焼成をおこなった。得られた焼成体を実施例1と
同様に評価した。評価結果を併せて表1に示す。焼成体
には表面荒れによる外観不良が発生していた。
例1、実施例2、実施例3は、従来の組成物である比較
例3と比較して、炭素量、酸素量が少なく、自重変形量
も少ないことが明かである。また実施例1と比較例1に
示されるように、非酸触媒分解性有機バインダを粉末表
面にコーティングした場合は、従来のように非酸触媒分
解成分を混練時に単に添加した場合に比べて、焼成体中
の酸素量が低減されている。これは、粉末表面が完全に
非酸触媒分解性有機バインダで被覆されることによっ
て、混練、成形、酸触媒分解脱脂時における粉末の酸化
が防止されたためである。また、実施例1〜3は比較例
2,3に比べて、自重変形量が大幅に減少していること
が判る。これは、酸触媒分解脱脂温度において、比較例
2,3のものは、非酸触媒分解性有機バインダが軟化し
ているのに対して、実施例1〜3のものは、非酸触媒分
解性有機バインダが軟化しないためである。さらに、実
施例1〜3は比較例2,3に比べて焼成体中の炭素量が
減少している。これは、各実施例において非酸触媒分解
性有機バインダとして解重合性の樹脂を用いることによ
り、非酸触媒分解性有機バインダに起因する残留炭素が
低減されたためである。また比較例1,2,3に示した
ように、焼成体中の酸素量、炭素量の増加によって焼成
体の硬度は上昇するが、この事は結果として焼成体の脆
化と強度の低下を引き起こす。しかし本発明の粉末射出
成形用組成物を用いることにより、硬度の上昇は起こら
ず、良好である。
成物を用いることにより、低炭素量、低酸素量で機械的
特性に優れ、さらに変形量が小さく、表面荒れなどの外
観不良のない粉末射出成形品を製造することができる。
一種類の酸触媒分解性有機バインダを含む粉末射出成形
用組成物において、非酸触媒分解性有機バインダとし
て、その軟化温度が触媒分解脱脂処理温度よりも高く、
なおかつ酸触媒分解性有機バインダの軟化温度に近い樹
脂を用い、前記非酸触媒分解性有機バインダを焼結用粉
末表面にあらかじめコーティングした後、前記コーティ
ングした焼結用粉末と少なくとも酸触媒分解性有機バイ
ンダを混練して作製した粉末射出成形用組成物を用いる
ことにより、脱脂時の自重変形を防止し、成形体の表面
荒れなどの外観不良を発生させることなく、しかも低炭
素量、低酸素量である機械的特性に優れた粉末射出成形
部品を得ることができる。また、本発明は特にチタン、
チタン合金など、酸素、炭素などが固溶しやすく、なお
かつ水素還元雰囲気下での焼成が困難な粉末射出成形部
品の製造に有効である。
形状を示す図である。
自重変形量を示す図である
Claims (8)
- 【請求項1】 焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒
分解性有機バインダを含む粉末射出成形用組成物におい
て、前記焼結用粉末の表面に、前記酸触媒分解性有機バ
インダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒では分解しな
い樹脂である非酸触媒分解性有機バインダをあらかじめ
コーティングした後、前記コーティングした焼結用粉末
と酸触媒分解性有機バインダとを混練して作製すること
を特徴とする粉末射出成形用組成物。 - 【請求項2】 焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒
分解性有機バインダを含む粉末射出成形用組成物におい
て、前記焼結用粉末の表面に、前記酸触媒分解性有機バ
インダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒では分解しな
い樹脂である非酸触媒分解性有機バインダをあらかじめ
コーティングした後、前記コーティングした焼結用粉末
と酸触媒分解性有機バインダと非酸触媒分解性有機バイ
ンダとを混練して作製することを特徴とする粉末射出成
形用組成物。 - 【請求項3】 前記非酸触媒分解性有機バインダが、解
重合性の樹脂であることを特徴とする請求項1および請
求項2記載の粉末射出成形用組成物。 - 【請求項4】 前記酸触媒分解性有機バインダとしてポ
リオキシメチレンを用い、非酸触媒分解性有機バインダ
としてポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリ
レート、ポリαメチルスチレン、アタクチックポリプロ
ピレンより選ばれた少なくとも一種類の樹脂を用いるこ
とを特徴とする請求項1および請求項2記載の粉末射出
成形用組成物。 - 【請求項5】 焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒
分解性有機バインダを含む粉末射出成形用組成物の製造
方法において、前記焼結用粉末の表面に、前記酸触媒分
解性有機バインダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒で
は分解しない樹脂である非酸触媒分解性有機バインダを
あらかじめコーティングする工程と、前記コーティング
した焼結用粉末と酸触媒分解性有機バインダとを混練す
る工程を含むことを特徴とする粉末射出成形用組成物の
製造方法。 - 【請求項6】 焼結用粉末と少なくとも一種類の酸触媒
分解性有機バインダを含む粉末射出成形用組成物の製造
方法において、前記焼結用粉末の表面に、前記酸触媒分
解性有機バインダと近接した軟化温度を持つ、酸触媒で
は分解しない樹脂である非酸触媒分解性有機バインダを
あらかじめコーティングする工程と、前記コーティング
した焼結用粉末と酸触媒分解性有機バインダと非酸触媒
分解性有機バインダとを混練する工程を含むことを特徴
とする粉末射出成形用組成物の製造方法。 - 【請求項7】 前記焼結用粉末の表面に前記非酸触媒分
解性有機バインダをコーティングする工程は、溶媒を用
いた湿式混合か、あるいは熱エネルギー、機械的エネル
ギーを利用した乾式混合によりコーティングをおこなう
工程であることを特徴とする請求項5または請求項6記
載の粉末射出成形用組成物の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1、請求項2、請求項3あるいは
請求項4記載の粉末射出成形用組成物を用い、成形およ
び酸触媒分解脱脂を行った後、焼結することにより作製
した焼結部品。
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ID=12428290
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1995
- 1995-02-23 JP JP03494495A patent/JP3569019B2/ja not_active Expired - Lifetime
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