JP2001139699A - 樹脂製精密摺動部品 - Google Patents

樹脂製精密摺動部品

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JP2001139699A
JP2001139699A JP31995199A JP31995199A JP2001139699A JP 2001139699 A JP2001139699 A JP 2001139699A JP 31995199 A JP31995199 A JP 31995199A JP 31995199 A JP31995199 A JP 31995199A JP 2001139699 A JP2001139699 A JP 2001139699A
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fiber
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sliding
reinforcing material
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Masaki Egami
正樹 江上
Takuya Ishii
卓哉 石井
Eiichiro Shimazu
英一郎 島津
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Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンターや光式または光磁気式の記憶・読
み取り装置などにおけるキャリッジなどに代表される潤
滑性樹脂を用いた精密摺動部品が、所要の精密成形性を
有すると共に、低摩擦係数であり、かつ耐摩耗性に優れ
る特性をもつようにすることである。 【解決手段】 ガラス繊維または炭素繊維などの繊維状
補強材を分散状態に配合した潤滑性樹脂組成物で摺動面
を形成している電子画像の走査部品、記憶装置用ピック
アップのキャリッジまたは印刷用ヘッドのキャリッジな
どの樹脂製精密摺動部品において、前記繊維状補強材
を、摺動面に対して繊維軸の角度が30度以下になるよ
うに配向させたものとする。または、摺動面に対して繊
維軸の角度を限定せずに、前記繊維状補強材が、繊維径
10μm 以下の繊維状補強材である樹脂製精密摺動部品
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プリンターや光
式または光磁気式の電子画像記憶・読み取り装置あるい
はMO、DVD、CD−ROMなどに代表される記憶装
置などに装着されたキャリッジの摺動部、その他の電子
機器の精密摺動部品などに用いられる潤滑性樹脂の精密
部品用成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの入出力手段であるプリン
ターや光式または光磁気式の画像記憶・読み取り装置
(スキャナ)あるいはMO、DVD、CD−ROMなど
に代表される記憶装置には、電子画像記憶・読み取り装
置の光センサーおよび光源が装着された走査部品や印刷
用ヘッド、または光や光磁気ピックアップを滑らかに移
動させ、かつ精度良く位置決めする必要があり、これら
を軌道に沿って滑らかに移動させる装置はキャリッジと
呼ばれている。
【0003】このようなキャリッジなどの摺動部、その
他の電子機器の精密摺動部品は、部品の寸法精度が非常
に高いこと、および常温環境で安定した摺動特性が要求
されるものであり、精密な位置決めやスムーズな動作が
できる摺動部品であることが求められる。
【0004】合成樹脂を用いて製造された精密摺動部品
は、成形収縮率が低く、成形歪が小さいという精密成形
性を有すると共に、摺動部品および摺動相手部品がいず
れも低摩耗量で使用できるという摺動性が要求されるも
のであり、このような摺動部品を形成する従来の樹脂材
料としては、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレ
ンテレフタレートまたはポリカーボネートなどの樹脂を
主成分とし、ガラス繊維および四フッ化エチレン樹脂
(PTFE)を添加して精密成形性を高めた樹脂材料が
知られている。
【0005】電子機器の合成樹脂製の精密摺動部品は、
その摺動相手となる部品材料が、ステンレス鋼、電気ニ
ッケルめっきで表面処理された鋼などであり、比較的低
硬度の金属材料である場合が多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の潤滑性樹脂からなる精密成形体は、その摺動特性を充
分に安定させることが困難であり、精密な寸法で成形で
きるようにするために配合した繊維状補強材が摺動相手
材を傷付ける場合がある。
【0007】すなわち、摺動相手材が、比較的低硬度の
金属材料からなる場合は、ガラス繊維のような高硬度の
繊維状補強材で摺動時に傷付けられ、少しでも摺動相手
材が傷付けられ摺動面が粗くなり始めると、摩耗速度は
急加速される。
【0008】特に、電子機器の合成樹脂製精密摺動部品
は、スムーズに摺動しなくなると電子機器の機能に悪影
響を及ぼすことがあり、例えばコンピュータのプリンタ
ーやスキャナのキャリッジの摺動性が低下すると、読取
や再生された画像に乱れが生じ、機械動作音が高くなっ
て騒音を発する等の動作不良を起こす場合もある。
【0009】そこで、この発明の課題は上記した問題点
を解決し、例えばプリンターや光式または光磁気式の記
憶・読み取り装置などにおけるキャリッジなどに代表さ
れる潤滑性樹脂を用いた精密摺動部品が、所要の精密成
形性を有すると共に、低摩擦係数であり、かつ耐摩耗性
に優れる特性をもつようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、繊維状補強材を分散状態に配合した潤滑性樹脂組
成物で摺動面を形成した樹脂製精密摺動部品において、
前記繊維状補強材を、摺動面に対して繊維軸の角度が3
0度以下になるように配向させたことを特徴とする樹脂
製精密摺動部品としたのである。
【0011】または、繊維状補強材を分散状態に配合し
た潤滑性樹脂組成物で摺動面を形成した樹脂製精密摺動
部品において、前記繊維状補強材が、繊維径10μm 以
下の繊維状補強材であることを特徴とする樹脂製精密摺
動部品としたのである。
【0012】前者の繊維状補強材の繊維軸の配向角度を
調整した発明では、繊維状補強材の繊維端部が摺動面に
対して30度以下というゆるやかな角度で露出するの
で、繊維軸の直径断面積に比べてかなり広い繊維の端面
が摺動面と同一平面上に現れ、繊維端部が相手材に及ぼ
す損傷度合が少なくなる。
【0013】すなわち、摺動部品に分散している繊維
が、摺動相手に対して繊維端部の接触面積を広くして、
個々の繊維が摺動相手材を損傷させ難く、摺動面の摩耗
量を可及的に少なくすることができる。
【0014】また、この発明の繊維状強化材は、樹脂中
に分散して配向しているが、潤滑性樹脂組成物を強化し
ていることには変わりはなく、補強された樹脂製精密摺
動部品は、所要の精密成形性を満たし、また低摩擦係数
である特性は維持される。
【0015】後者の樹脂製精密摺動部品に係る発明、す
なわち繊維状補強材が繊維径10μm 以下の繊維状補強
材を分散状態に配合した潤滑性樹脂組成物で摺動面を形
成した発明では、ガラス繊維または炭素繊維程度の高硬
度の繊維状補強材であっても摺動面に露出した端部が、
摺動相手材を損傷することのない非常に細かい粒子にな
って粉砕され、または細径であるために柔軟になり、摺
動相手材を損傷しないと考えられる。
【0016】また、この発明においては、繊維強化材が
潤滑性樹脂組成物中に無配向状態で分散して樹脂を強化
しており、そのために樹脂製精密摺動部品は、所要の精
密成形性を満たし、また低摩擦係数である特性を有す
る。
【0017】そして、上記いずれかの樹脂製精密摺動部
品に係る発明においては、潤滑性樹脂組成物として、変
性ポリフェニレンエーテル樹脂またはシンジオタクチッ
クポリスチレン樹脂を主成分とする潤滑性樹脂組成物を
採用した場合に、所期した作用効果がより確実に得られ
る。
【0018】また、上記両発明では、潤滑性樹脂組成物
として、固体潤滑剤もしくは液体潤滑剤または両者併用
した潤滑剤を配合した潤滑性樹脂組成物である場合に、
所期した作用効果がより確実に得られる。
【0019】また、上記両発明では、繊維状補強材とし
てガラス繊維または炭素繊維を採用することによって所
期した作用効果がより確実に得られる。
【0020】また、上記両発明は、精密摺動部品が、電
子画像の走査部品、記憶装置用ピックアップのキャリッ
ジまたは印刷用ヘッドのキャリッジである場合を含む発
明である。
【0021】
【発明の実施の形態】本願の請求項に記載した各発明に
用いる潤滑性樹脂組成物は、自己潤滑性の樹脂からなる
か、もしくは自己潤滑性の樹脂を含有する樹脂組成物で
あるか、または樹脂以外の固体潤滑剤または液体潤滑剤
を配合した樹脂組成物である。
【0022】樹脂組成物の基材(主成分)となる樹脂と
しては、精密成形に適する合成樹脂を採用することがで
き、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ABS樹
脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、
ポリイミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、メチルペンテンポリマー、ポリアリルスル
ホン、ポリアリルエーテル、ポリエーテルケトン、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリスルホン、全芳香族ポリエ
ステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、フッ素樹脂が挙げられる。
【0023】また、精密摺動部品の形状が複雑である場
合には、射出成形が可能な熱可塑性樹脂を採用すること
が好ましい。そして、熱可塑性樹脂のうちでもポリフェ
ニレンエーテルを主成分とする変性ポリフェニレンエー
テルやポリスチレン、特に分子構造に規則性をもたせて
結晶性ポリマーとしたシンジオタクチックポリスチレン
などが好ましいものである。
【0024】因みに、変性ポリフェニレンエーテル樹脂
とは、ポリフェニレンエーテル樹脂に例えば非晶性ポリ
スチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂等
の結晶性ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の単体ま
たはこれらの2種以上をアロイ化したもので、これらは
ポリカーボネート樹脂同様の非結晶性樹脂になり、成形
時に結晶化する場合の収縮や変形がなく、特に成形時の
寸法安定性に優れたものである。ポリスチレン系樹脂を
ブレンドした市販の変性PPE樹脂としては、旭化成工
業社製のザイロンや日本ジーイープラスチックス社製の
ノリルが挙げられるが、これは難燃剤を配合したグレー
ドであってもよい。
【0025】また、ポリスチレン系樹脂以外の樹脂をブ
レンドした変性PPE樹脂であってもよく、例えば、P
PE樹脂に対してブレンド可能な樹脂としては、ポリア
ミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、またはポ
リブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエス
テル樹脂を挙げることができる。
【0026】潤滑性樹脂組成物に配合する潤滑剤は、固
体潤滑剤もしくは液体潤滑剤または両者併用した潤滑剤
のいずれであってもよい。固体潤滑剤としては、四フッ
化エチレン樹脂、黒鉛、二硫化モリブデンなどが挙げら
れる。液体潤滑剤としては、鉱油、ポリオールエステル
油、ジエステル油、エーテル油、ポリフェニレンエーテ
ル油、ポリアルファオレフィン油、シリコーン油、フッ
素化油、シクロペンタン油などの合成潤滑油または精製
された天然潤滑油が挙げられる。これらの潤滑剤のう
ち、特に好ましい固体潤滑剤としては、四フッ化エチレ
ン樹脂もしくは黒鉛または両者を併用した固体潤滑剤で
ある。
【0027】本願の請求項に記載の各発明で用いる繊維
状補強材は、樹脂組成物の精密成形性を損なわないよう
に配合されるものであり、その種類としては、ガラス繊
維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、アルミナ繊
維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒
化ホウ素繊維、金属繊維などが挙げられる。これらのう
ち、特にガラス繊維は補強効果が高くて好ましいもので
あり、炭素繊維は摺動相手材がアルミニウムなどの軟質
相手材である場合にも耐摩耗性が良くて好ましいもので
ある。繊維状補強材は、樹脂に対する均一分散性を向上
させるために、シランカップリングなどの表面処理を施
したものであることも好ましい。
【0028】繊維状補強材の繊維軸の配向角度を調整し
た発明では、繊維状補強材の繊維径および繊維長を特に
限定する必要はないが、好ましくは繊維状補強材は繊維
径が20μm以下のものを採用すれば、摺動相手材を損
傷せず、摩擦音を発生させない作用がより確実である。
また、繊維長は、精密な成形性があるように調整すれば
よく、繊維の種類(硬さ、弾性)によって異なるが、例
えば繊維長3mmのガラス繊維を使用可能である。因み
にこのような繊維は、コンパウンドの調製時や射出成型
時に折れて配合当初より短くなると考えられる。
【0029】ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状補強材
の配合量は、3〜25容量%であることが好ましく、よ
り好ましくは5〜20容量%である。なぜなら、所定の
配合割合未満では、充分な補強効果がなく、所定量を越
えて多量に配合すると溶融状態の樹脂の流動性が低下
し、射出成形等によって精密に成形することが容易でな
くなるからである。
【0030】繊維状補強材の繊維軸の配向角度を調整す
るには、繊維を配向させた樹脂成形体を形成し、必要に
応じてこれを切削加工する方法を採用することができ
る。射出成形を行なうと、溶融樹脂の流動方向と平行す
るように繊維状補強材を配向させることができるほか、
溶融樹脂の流れが金型内で合流した部分であるウェルド
部では、通常、繊維状補強材は樹脂の流動方向に対して
直角方向に配向する。
【0031】このような成形時の配向性を利用して摺動
面に対する繊維軸の角度を30度以下になるように配向
させるには、射出成形時の樹脂の流動方向を摺動面とほ
ぼ平行になるように金型を設計すると共に、摺動面にウ
ェルド部が現れないように調整する。
【0032】繊維状補強材の軸方向に対する摺動方向の
向きは、どのような向きであってもよく、繊維軸と摺動
面が交差する角度が30度以下であれば所期した効果が
得られる。繊維軸と摺動面が交差する角度が30度を越
える場合は、摺動部品の摺動面が摺動相手材を損傷させ
やすくなり、摺動中に摩擦係数が急激に増大し、摺動音
が発生するようになる。
【0033】図1または図2に示すように、摺動面が円
曲面の精密摺動部品A、B(図1は円柱形、図2は円筒
形)である場合は、外面または内面などに対応する摺動
面の各部分の接線を含む面と、その摺動面各部分との繊
維状補強材4の繊維軸との角度θを30度以下になるよ
うにすればよい。
【0034】なお、繊維軸の角度を制御する部分を摺動
面の表層にとどめ、成形品内部は繊維軸がランダムな方
向を向くような構造をとることも可能である.そのよう
な場合、繊維軸の角度が制御された表層の厚みとしては
1000μm程度である。
【0035】一方、繊維状補強材が繊維径10μm 以下
の繊維状補強材を分散状態に配合した潤滑性樹脂組成物
で摺動面を形成した発明では、摺動面各部分との繊維状
補強材の繊維軸との角度は特に限定されることはなく、
例えば無配向の状態で繊維状補強材を分散させたもので
あってもよい。
【0036】繊維径が10μm を越える太径の繊維状補
強材を採用すると、繊維状補強材が摺動相手材を損傷し
易くなり、その損傷に伴って摩擦係数が急激に増大し、
摺動音が発生するようになる。この傾向は、繊維軸と摺
動面が30度以上の大きな角度で交差するように配向し
ている場合に顕著である。このような傾向から、より好
ましい繊維状補強材の繊維径は8μm以下であり、実用
性からみた細径限度を示せば、3〜10μm、好ましく
は4〜8μmである。
【0037】この発明の精密摺動部品用樹脂組成物に
は、この発明の効果を阻害しないように、種々の物性改
善のための添加剤または充填剤を配合してもよく、その
ような添加材料としては、カーボン、マイカ、タルク、
ウォラストナイト、金属酸化物粉末、チタン酸カリウ
ム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウムなどのウィスカ、二硫化モ
リブデン、リン酸塩、炭酸塩、ステアリン酸塩、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−
エトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)その
他の溶融フッ素樹脂等が挙げられる。
【0038】なお、この発明の実施形態としては、精密
摺動部品全体を潤滑性樹脂組成物で形成してもよく、ま
た摺動部分のみを潤滑性樹脂組成物で形成し、その他の
部分を潤滑性樹脂組成物以外の他の材料で構成してもよ
い。また、精密摺動部品の摺動面に潤滑剤を外部から供
給せず、無潤滑で動作させてもよく、摺動時にグリース
や潤滑油を供給してもよい。さらにまた、必要に応じて
摺動相手材に潤滑性を高めるためのコーティング、メッ
キ、ダイヤモンドライクカーボンの被膜を形成すること
もできる。
【0039】
【実施例】実施例1〜4および比較例1〜4に用いた原
料を以下にまとめて示し、〔 〕内には表中に示す略称
を示した。
【0040】(1) 変性ポリフェニレンエーテル樹脂〔変
性PPE〕 旭化工業社製:ザイロン600H (2) シンジオタクチックポリスチレン樹脂〔SPS〕 出光石油化学社製:ザレックS131(ガラス繊維30
%配合材、繊維径10μm) (3) ガラス繊維〔GF〕 旭ファイバーグラス社製:チョップドストランドCS0
3MA497 (4) 四フッ化エチレン樹脂〔PTFE〕 住友スリーエム社製:ホスタフロンTF9205 (5) 黒鉛〔GRP〕 ロンザ社製:KS10
【0041】〔実施例1〜4、比較例1〜4〕表1に示
した各原材料を同表に示した配合割合で配合し、(実施
例1、2および比較例1、2では繊維状補強材を二軸押
出機の途中で供給することにより)、原材料を溶融混練
し押し出してペレットを作製した。得られたペレットを
射出成形機に供給し、表1に示す成形条件で、図3
(a)に示すような厚さ3mmのJIS 1号のダンベ
ル型試験片1を射出成形により作製した。
【0042】この射出成形では、溶融樹脂の流れ方向
(図3(a)中に矢印で示す。)がダンベル型試験片の
長手方向に一致するように射出成形ゲート2を試験片端
部に配置し、繊維状補強材4の配向が最も安定している
ダンベル型の中央部のくびれ部分から円柱状のピン型試
験片(直径2.5mm、高さ2mm)3を切削加工によ
って切り出した。なお、切削加工をする際には、図3
(b)、(c)に示すように、ピン型試験片3または
3’の円形端面に対して繊維状補強材4の軸が0度(平
行)、30度、45度、90度(直交)に配向する状態
に切り出し位置を調整した。
【0043】得られたピン型試験片を用いて以下の条件
で摩擦摩耗試験を行ない、結果を表1中に併記した。
【0044】<摩擦摩耗試験>ピンオンディスク型の摩
擦摩耗試験機を用い、以下の試験条件で測定した。測定
項目は、試験開始直後の動摩擦係数、20時間連続摩擦
試験の終了時の動摩擦係数、試験中の摺動音の有無(有
り:×印、無し:○印の2段階評価)、試験の終了後の
表面粗さ(Rz)とした。 面圧:0.1MPa 速度:36m/min. 雰囲気温度:25℃ 摺動相手材の材質:電気ニッケルメッキした鋼板(表面
粗さRa=0.04μm) 試験時間:20時間
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果からも明らかなように、繊維状
補強材の繊維軸角度を摺動面に対して30度より大きく
して摺動する比較例では、試験開始直後の摩擦係数は低
いが、試験時間の経過にともなって摺動相手材のニッケ
ルメッキ表面を損傷し、その後、急速に摩擦係数が増大
し、試験終了時に摩擦係数は開始時の2倍以上の値にな
った。また、繊維軸角度が90度という大きな値の比較
例2と比較例4は、試験中に摺動音が発生した。
【0047】これに対して繊維状補強材の繊維軸角度を
摺動面に対して30度以下に小さくして摺動する実施例
では、試験時間中に摩擦係数値の変動は小さく、摺動相
手材の表面粗さは小さく滑らかな状態に保たれており、
摺動音の発生もなかった。
【0048】次に、実施例5〜8および比較例5、6に
用いた原料を以下にまとめて示し、〔 〕内には表中に
示す略称を示した。
【0049】(1) 変性ポリフェニレンエーテル樹脂〔P
PE〕 旭化工業社製:ザイロン600H (2) シンジオタクチックポリスチレン樹脂〔SPS〕 出光石油化学社製:ザレックS131 (3) 四フッ化エチレン樹脂〔PTFE〕 住友スリーエム社製:ホスタフロンTF9205 (4) 黒鉛〔GRP〕 ロンザ社製:KS10 (5) ガラス繊維〔GF(13 μm) 〕 旭ファイバーグラス社製:チョップドストランドCS0
3MA497、繊維径13μm (6) ガラス繊維〔GF(6μm) 〕 日本電気ガラス社製社製:ECS03T−531DE、
繊維径6 μm (7) ガラス繊維〔GF(10 μm) 〕 旭ファイバーグラス社製:チョップドストランドCS0
3JA497、繊維径10μm (8) 炭素繊維〔CF(7μm) 〕 東邦レーヨン社製:ベスファイトHTA−C6−S、繊
維径7 μm (9) 炭素繊維〔CF(18 μm) 〕 呉羽化学工業社製:クレカC−103T、繊維径18μm
【0050】〔実施例5〜8、比較例5、6〕表2に示
した各原材料を同表に示した配合割合でブラベンダー型
粘度計に供給して溶融混練した。混練物を3mm角のチ
ップ状に粗砕し、これを金型内で表2に示す条件で加熱
圧縮成形して直径30mm、長さ10mmの円柱状成形
体を得た。この円柱状成形体から切削加工することによ
って直径3mm、長さ10mmのピン型試験片を切り出
した。このピンの表面および内部の繊維状補強材の向き
は、ランダム(無配向)であり、切り出された成形体の
摺動面に対して繊維軸は直角、平行、斜め状のものが混
在していた。
【0051】得られたピン型試験片を用い、前記した摩
擦摩耗試験を同じ条件で行ない、試験開始直後の動摩擦
係数、20時間連続摩擦試験の終了時の動摩擦係数、試
験中の摺動音の有無(有り:×印、無し:○印の2段階
評価)、試験の終了後の表面粗さ(Rz)を調べ、これ
らの結果を表2中に併記した。
【0052】
【表2】
【0053】表2の結果からも明らかなように、補強繊
維材の繊維径が10μmを越える大径である比較例5、
6では、試験開始直後の摩擦係数は低いが、試験時間の
経過と共に摺動相手材のニッケルめっき面を損傷させ、
それにより摩擦係数は急激に増大し、試験終了時には試
験開始時の摩擦係数値の2倍以上の値になった。そし
て、繊維径13μmのガラス繊維を用いた比較例5で
は、試験時間中に摺動音が発生した。
【0054】これに対して、補強繊維材の繊維径が10
μm以下の細径である実施例5〜8では、試験時間中に
摩擦係数値の変動は小さく、摺動相手材の表面粗さは小
さく滑らかな状態に保たれており、摺動音の発生もなか
った。
【0055】
【発明の効果】本願の繊維状補強材の繊維軸の配向角度
を調整した樹脂製精密摺動部品に係る発明では、繊維状
補強材の繊維端部が摺動面に対して30度以下というほ
ぼ平行する状態で露出するので、繊維端部が相手材に及
ぼす損傷度合が少なくなり、かつ精密成形が可能であ
り、例えばプリンターや光式または光磁気式の記憶・読
み取り装置などにおけるキャリッジなどに代表される摺
動性精密部品が、所要の精密成形性を満足するものにな
ると共に、低摩擦係数でありかつ耐摩耗性に優れる特性
をもつようになるという利点がある。
【0056】また、本願の繊維状補強材が繊維径10μ
m 以下の繊維状補強材を分散状態に配合した潤滑性樹脂
組成物で摺動面を形成した発明では、摺動面に露出した
繊維端部が、摺動相手材を損傷することのない非常に細
かい粒子になって粉砕されるため、摺動性精密部品が低
摩擦係数でありかつ耐摩耗性に優れる特性をもつように
なり、かつ所要の精密成形性を満足するという利点があ
る。
【0057】また、上記いずれかの樹脂製精密摺動部品
に係る発明において、潤滑性樹脂組成物として、変性ポ
リフェニレンエーテル樹脂またはシンジオタクチックポ
リスチレン樹脂を主成分とする潤滑性樹脂組成物を採用
した場合、または潤滑性樹脂組成物として、固体潤滑剤
もしくは液体潤滑剤または両者併用した潤滑剤を配合し
た潤滑性樹脂組成物である場合においては、摺動性精密
部品が低摩擦係数でありかつ耐摩耗性に優れる特性をも
つようになり、かつ所要の精密成形性を満足するという
利点がより確実に得られる。
【0058】また、上記いずれかの樹脂製精密摺動部品
に係る発明において、繊維状補強材としてガラス繊維ま
たは炭素繊維を採用した発明では、上記した利点がより
確実に得られる。
【0059】また、上記いずれかの樹脂製精密摺動部品
に係る発明において、精密摺動部品が、電子画像の走査
部品、記憶装置用ピックアップのキャリッジまたは印刷
用ヘッドのキャリッジである発明では、読取や再生され
た画像に乱れが生じることが殆どなくなり、機械動作音
が小さくて騒音を発しない、また動作不良を起こさない
という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】円柱形の精密摺動部品の端面図
【図2】円筒形の精密摺動部品の軸方向断面図
【図3】(a)ダンベル型試験片の斜視図 (b)ピン型試験片の斜視図 (c)他のピン型試験片の斜視図
【符号の説明】
1 ダンベル型試験片 2 射出成形ゲート 3 ピン型試験片 4 繊維状補強材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島津 英一郎 三重県桑名市大字東方字尾弓田3066 エヌ ティエヌ株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA22 AA27 AA51 AA78 AB03 AB28 AD01 AD06 AE11 AH18 BA01 BB05 BC03 BC06 4J002 BB012 BB171 BB231 BC031 BD121 BD152 BE041 BG021 BN151 CB001 CC031 CC181 CC211 CF061 CF071 CF161 CG001 CH052 CH071 CH072 CH091 CL001 CM041 CN011 CN031 CP032 DA017 DA026 DA067 DE147 DG026 DJ007 DK007 DL007 FA047 FD010 FD172 FD176 GM00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状補強材を分散状態に配合した潤滑
    性樹脂組成物で摺動面を形成した樹脂製精密摺動部品に
    おいて、 前記繊維状補強材を、摺動面に対して繊維軸の角度が3
    0度以下になるように配向させたことを特徴とする樹脂
    製精密摺動部品。
  2. 【請求項2】 潤滑性樹脂組成物が、変性ポリフェニレ
    ンエーテル樹脂またはシンジオタクチックポリスチレン
    樹脂を主成分とする潤滑性樹脂組成物である請求項1記
    載の樹脂製精密摺動部品。
  3. 【請求項3】 潤滑性樹脂組成物が、固体潤滑剤もしく
    は液体潤滑剤または両者併用した潤滑剤を配合した潤滑
    性樹脂組成物である請求項1または2に記載の樹脂製精
    密摺動部品。
  4. 【請求項4】 繊維状補強材が、ガラス繊維または炭素
    繊維である請求項1に記載の樹脂製精密摺動部品。
  5. 【請求項5】 精密摺動部品が、電子画像の走査部品、
    記憶装置用ピックアップのキャリッジまたは印刷用ヘッ
    ドのキャリッジである請求項1〜4のいずれかに記載の
    樹脂製精密摺動部品。
  6. 【請求項6】 繊維状補強材を分散状態に配合した潤滑
    性樹脂組成物で摺動面を形成した樹脂製精密摺動部品に
    おいて、 前記繊維状補強材が、繊維径10μm 以下の繊維状補強
    材であることを特徴とする樹脂製精密摺動部品。
  7. 【請求項7】 潤滑性樹脂組成物が、変性ポリフェニレ
    ンエーテル樹脂またはシンジオタクチックポリスチレン
    樹脂を主成分とする潤滑性樹脂である請求項6記載の樹
    脂製精密摺動部品。
  8. 【請求項8】 潤滑性樹脂組成物が、固体潤滑剤もしく
    は液体潤滑剤または両者併用した潤滑剤を配合した潤滑
    性樹脂組成物である請求項6または7に記載の樹脂製精
    密摺動部品。
  9. 【請求項9】 繊維状補強材が、ガラス繊維または炭素
    繊維である請求項6に記載の樹脂製精密摺動部品。
  10. 【請求項10】 精密摺動部品が、電子画像の走査部
    品、記憶装置用ピックアップのキャリッジまたは印刷用
    ヘッドのキャリッジである請求項6〜9のいずれかに記
    載の樹脂製精密摺動部品。
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