JP2001139505A - 塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置 - Google Patents
塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置Info
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Abstract
抑制した、塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体の回
収装置を提供する。 【解決手段】 懸濁重合又は乳化重合によって得られる
塩化ビニル系重合体スラリー2を棚段塔12内でスチー
ムと接触させて前記スラリー中の未反応単量体を分離回
収する塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置
において、前記棚段塔12の棚段20を開口率0.1〜
15%、孔径2〜20mmのデュアルフロートレー20
を用いて構成する。28はスチーム供給管である。
Description
スラリー中の未反応塩化ビニル単量体の回収装置に関
し、更に詳述すると、棚段塔を有する回収装置の棚段を
デュアルフロートレーで構成する未反応塩化ビニル単量
体の回収装置に関する。
濁重合や乳化重合によって得られる塩化ビニル系重合体
スラリー(以後スラリーと略称する)中には、未反応単
量体が残存している。懸濁重合又は乳化重合により製造
される塩化ビニル重合体は多孔質の粒状物質であるの
で、その微細孔中に未反応単量体が吸着されており、通
常重合直後において未反応単量体濃度は数千ppmの値
を示す。
量体を回収することは、作業環境の改善に好ましいこと
であるのみならず、製品歩留りの向上等の好ましい効果
が期待される。
棚段塔の塔頂からスラリーを供給すると共に、塔底から
スチームを供給することにより、棚段塔内をほぼ満液状
体で流下するスラリーと棚段塔内を上昇するスチームと
を向流状態で気液接触させて、スチームと共に未反応単
量体を塔頂から回収する方法が提案されている(特公昭
60−12327号公報)。
く、ガス相部を形成すると共に、棚段上で気液接触させ
て、スチームと共に未反応単量体を塔頂から回収する方
法も提案されている(特開平10ー338708号公
報)。
る蒸留塔とほぼ同様の構造の棚段塔を使用して未反応単
量体を回収するものである。前記棚段塔内の棚段は、泡
鐘トレーで代表されるように、トレー上に泡鐘キャップ
や、ダウンカマーの流路を形成する堰等の構造物を装備
させた複雑な構造をしている。
上記棚段塔を用いて、常圧ないし減圧下でスラリーが直
接スチームで加熱される。この方法によれば、スラリー
は70〜100℃に保たれた状態で、10〜30分間、
棚段塔内で処理される。
棚段塔内は酸性かつ高温に保たれている。このような環
境下において、スラリーは前述のように棚段塔内を移動
させられながら、未反応塩化ビニル単量体がストリッピ
ングされるため、スラリー中の塩化ビニル系重合体が熱
劣化を起すことがある。この熱劣化を起した塩化ビニル
系重合体が製品に混入されると、得られる塩化ビニル系
重合体製品の着色等の原因になる。
は、スラリー中の塩化ビニル系重合体が充填塔を閉塞さ
せる問題がある。
題を解消し、長期間に亘り、連続してスラリーから未反
応単量体を除去する技術を確立すべく鋭意検討した。そ
の結果、従来用いていた棚段塔の棚段の構造は、前述の
ようにスラリーがトレー上を水平移動し、ダウンカマー
部で堰の上をオーバーフローする複雑な構造であり、こ
のため棚段塔内でスラリーの移動に偏りが生じること、
その結果スラリーの一部が長時間棚段塔内に残留して熱
劣化を起すこと等を知得した。更に、棚段塔内の棚段
(トレー)としてデュアルフロートレー(無堰多孔板)
を使用すると、長期間連続してスラリーから塩化ビニル
系未反応単量体を除去しても、塩化ビニル系重合体の熱
劣化を有効に防止し得、その結果高品質の塩化ビニル系
重合体を製造できることを見出した。本発明は上記知見
に基づき完成された。
期間に亘り製品塩化ビニル系重合体の熱劣化を生じるこ
と無く連続運転することの出来る、塩化ビニル系重合体
スラリー中の単量体回収装置を提供することにある。
に本発明は、棚段塔を少なくとも有してなり、前記棚段
塔の塔頂側から懸濁重合又は乳化重合によって得られる
塩化ビニル系重合体スラリーを棚段塔内に供給すると共
に、棚段塔下部側から棚段塔内にスチームを供給して塩
化ビニル系重合体スラリーとスチームとを塔内満液状態
で向流接触させることにより前記スラリー中の未反応単
量体を分離回収する塩化ビニル系重合体スラリー中の単
量体回収装置において、前記棚段塔内の棚段がデュアル
フロートレーを用いて構成されてなることを特徴とする
塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置を提案
するものである。
塩化ビニル系重合体スラリーは、塩化ビニル単量体を単
独で懸濁重合又は乳化重合することにより得られる。又
は塩化ビニル単量体と、塩化ビニル単量体と共重合可能
な単量体(以下、共重合可能な単量体と略記する)とを
懸濁重合又は乳化重合することによっても得られる。
リレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート等のアクリル酸エステル、又
はメタアクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等のビニルアルコールのカルボン酸エステル
類;アルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩
化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリ
デン類等が例示される。
との配合割合は、塩化ビニル単量体100重量部に対し
て共重合可能な単量体を30重量部以下とすることが好
ましい。
ビニル単量体の重合方法に準じ、特に制限はない。即
ち、重合系においては、ポリビニルアルコール、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース等の分散安定剤;アルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムやアルキル硫酸ナトリ
ウム等の乳化剤;緩衝剤;粒径調整剤;消泡剤;抗酸化
剤;連鎖移動剤等が必要により添加され、公知の重合開
始剤を用いて重合される。
体スラリー中の塩化ビニル系重合体濃度(スラリー濃
度)は5〜50重量%が好ましく、特に10〜40重量
%が好ましい。スラリー濃度が50%を超える場合は、
後述する棚段塔中において流動性に乏しくなり、操作性
が悪くなる。又、スラリー濃度が5重量%未満の場合は
経済性が悪くなる。
リー中の単量体回収装置の一例を示すフロー図である。
り製造された塩化ビニル系重合体スラリー2は受入れタ
ンク4に搬入され、貯蔵される。前記スラリー2は、次
いでスラリー供給ポンプ6を作動させることにより、熱
交換器8を介装したスラリー供給管10を通って棚段塔
12の塔頂側14に送られ、棚段塔12内に供給され
る。なお、16はスラリー供給管10に介装されたバル
ブである。
が閉塞された円筒状の塔主体18と、前記塔主体18内
に所定間隔離間して水平に取付けられた1以上の多孔円
盤状の棚段(無堰多孔板、本明細書ではデュアルフロー
トレーという。)20とを有する。
15%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。開口
率が15%を超える場合は、スラリー及びスチームの移
動に偏りが生じ、未反応塩化ビニル単量体の回収効率が
低下する。開口率が0.1%未満の場合は、スラリーの
処理能力が低下する。
mが好ましく、5〜15mmがより好ましい。孔径が2
mm未満の場合はスラリーによる開口の閉塞が起りやす
くなる。孔径が20mmを超える場合は、スラリー及び
スチームの移動に偏りが生じ、塩化ビニル系未反応単量
体の回収効率が低下する。
り、棚段塔内でスラリー中の塩化ビニル系重合体の部分
的滞留が抑制され、塩化ビニル重合体の局部的な熱劣化
を防止できる。このため、長時間連続運転が可能にな
る。
ラリーは上から下に移動し、水蒸気、未反応単量体は下
から上に移動し、向流接触する。
で洗浄が容易であることから、処理するスラリーのグレ
ードを切り替える際に、塔内を洗浄する目的で用いる洗
浄液が棚段塔内全体を均一に流れ、棚段塔内の洗浄効率
が高い。このため、処理するスラリーのグレードを切り
替えた時の、切替え前後のスラリー同士の混合に基づく
汚染が防止される。
れる蒸留塔と同じ構造のものである。棚段の数は、スラ
リー中の塩化ビニル系未反応単量体の除去されるべき程
度、スラリー処理量等に応じて適宜決定される。
通常の蒸留塔の材質と同様のものでよい。棚段塔の接液
部の溶接箇所において応力腐食割れを長期間抑制するた
めには、オーステナイト相とフェライト相とを有する2
相ステンレス合金を使用することが好ましい。具体的に
は、塔主体、トレー、ノズル、その他付属設備を上記2
相ステンレス合金で構成する。
率は20〜80%が好ましく、特に30〜60%が好ま
しい。
ト相とを有する2相ステンレス合金の断面を顕微鏡で観
察し、これらの両相の面積比から算出する。
的には、SUS329J1(オーステナイト相30〜5
0%、フェライト相70〜50%)、SUS329J3
L(オーステナイト相30〜50%、フェライト相70
〜50%)、SUS329J4L(オーステナイト相3
0〜50%、フェライト相70〜50%)が例示され
る。
間連続で使用しても溶接部等における応力腐食割れが発
生し難くなる。
相とフェライト相とを有する2相ステンレス合金をライ
ニングしたものを用いても良い。即ち、少なくとも棚段
塔12の内面のスラリーと接触する接液部を上記オース
テナイト相とフェライト相とを有する2相ステンレス合
金で構成すれば良い。
ら棚段塔12内に供給された前記スラリーは、棚段塔1
2内をほぼ完全に満たした満液状態で下方に移動しなが
ら、後述するスチームと向流接触させられ、スラリー中
の塩化ビニル等の未反応単量体がストリッピングされ
る。
の液溜り状態を示し、トレー上のスラリーの液深が隣接
トレー間距離の50%以上、好ましくは70%以上、特
に好ましくは80〜99%である状態を示す。液深が隣
接トレー間距離の50%未満である場合は、未反応単量
体のストリッピング効率が低下し、更に必要なスチーム
供給量が増大する。
は、次いで塔底側22に連結された取出し管24を通っ
て熱交換器8に送られ、ここで前記タンク4から送られ
てくるスラリーと熱交換された後、未反応単量体を除去
したスラリーとして遠心分離器(図示せず)に送られ、
ここで脱水される。なお、26は取出し管24に介装さ
れたスラリー取出しポンプである。
の塔底側22に連結されている。なお、30は前記スチ
ーム供給管に介装されたバルブである。
ら棚段塔12内に供給されたスチームは、スラリーで満
液状態の棚段塔12内を上方に移行しながら、前述のよ
うにスラリー中の未反応単量体をストリッピングし、塔
頂側14に至る。
塔頂側14に連結されていると共に、その他端は分離器
34に連結されている。なお、36はコンデンサー、3
8は真空ポンプで、前記吸引管32にそれぞれ介装され
ている。そして、前記真空ポンプ38の吸引により棚段
塔12内は減圧に保たれている。
応単量体は、一部が重合体に吸着され、他は水中に溶解
している。これらの未反応単量体を効率よく回収するた
めに、スラリーは常圧ないしは減圧下、望ましくは減圧
下で直接スチームで加熱される。更に他に支障のない範
囲で、スラリーは可能な限り高温かつ長時間棚段塔内に
滞留してストリッピングされることが望ましい。
0分間のストリッピング処理が望ましい。スラリーが1
10℃を超える高温、90分間を超えるストリッピング
処理を受ける場合は、得られる塩化ビニル重合体が熱劣
化を起している恐れがある。又、スラリーが70℃未満
の低温、10分間未満の短時間の処理を受ける場合は、
スラリー中の未反応単量体の十分な回収が期待できな
い。
応単量体とは、前記吸引管32を通ってコンデンサー3
6に到達し、ここで冷却されてスチームは凝縮水とな
り、配管40を通って分離器34に送られる。
ンサー36を通過し、更に真空ポンプ38を通過した
後、分離器34に送られ、ここで塩化ビニル系未反応単
量体が回収される。回収された塩化ビニル系未反応単量
体は回収管42を通って、重合工程(不図示)に返送さ
れる。
化ビニル系重合体スラリーは、受入れタンクに貯留した
ものを用いたがこれに限られず、その他本発明の要旨を
逸脱しない範囲内で種々変形しても差支えない。
説明する。
ニル単量体を懸濁重合して製造したもので、ポリマー濃
度35kg/100L、スラリーpH3、スラリー中の
塩素イオン濃度30〜40ppm、未反応塩化ビニル単
量体濃度は3000〜4000ppmであった。
ト相からなる2相ステンレス合金であるSUS329J
4Lを用いて製造した棚段塔を有する単量体回収装置を
用いて、11月間連続運転を行った。ストリッピング処
理されたスラリーを乾燥して塩化ビニル重合体製品を得
た。11月間の運転終了後、得られた塩化ビニル系重合
体製品の熱劣化の有無を評価した。表1に得られた結果
をまとめた。
成のもので、棚段塔高さ5000mm、塔径1500m
m、棚段は孔径6mmの孔を穿設した円盤状のデュアル
フロートレーであって、開口率2%のものを8枚備えた
ものであった。塔底温度98℃、塔頂温度88℃、塔頂
圧0.067Mpa−abs.、スラリー処理量15m
3/hrの条件で連続運転した。なお、処理後のスラリ
ー中の未反応単量体濃度は15〜20ppmであった。
フロートレーの代りにオーステナイト相とフェライト相
からなる2相ステンレス合金であるSUS329J4L
で製造した泡鐘トレーを用いた以外は、実施例1と同様
にして単量体回収装置の連続運転を行った。実施例1と
同様にして得られた塩化ビニル系重合体製品の熱劣化の
有無を評価した。表1に得られた結果をまとめた。
ナイト相とフェライト相からなる2相ステンレス合金で
あるSUS329J4Lで製造したシーブトレーを用い
た以外は、実施例1と同様にして単量体回収装置の連続
運転を行った。実施例1と同様にして得られた塩化ビニ
ル系重合体製品の熱劣化の有無を評価した。表1に得ら
れた結果をまとめた。
00g中の着色塩化ビニル樹脂粒子の個数を目視でカウ
ントする。
重合体スラリー中の単量体回収装置は、棚段塔内の棚段
をデュアルフロートレーを用いて構成したので、棚段塔
内におけるスラリーの流れが均一になり、棚段塔内にお
けるスラリーの部分的滞留に基づく塩化ビニル系重合体
の熱劣化が有効に防止される。更に、デュアルフロート
レーはスラリーの流れを乱すことが少ないので、棚段塔
内で塩化ビニル系重合体スラリーとスチームとを満液状
態で向流接触させても、スラリーがバックミキシングす
ることが無い状態で未反応単量体がストリッピングされ
るので、未反応単量体の除去効率が高い。
ステナイト相とフェライト相とを有する2相ステンレス
合金で構成する場合は、棚段塔の溶接箇所等において応
力腐食割れが発生し難く、長期間の運転に耐える。
体回収装置の一例を示すフロー図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 棚段塔を少なくとも有してなり、前記棚
段塔の塔頂側から懸濁重合又は乳化重合によって得られ
る塩化ビニル系重合体スラリーを棚段塔内に供給すると
共に、棚段塔下部側から棚段塔内にスチームを供給して
塩化ビニル系重合体スラリーとスチームとを塔内満液状
態で向流接触させることにより前記スラリー中の未反応
単量体を分離回収する塩化ビニル系重合体スラリー中の
単量体回収装置において、前記棚段塔内の棚段がデュア
ルフロートレーを用いて構成されてなることを特徴とす
る塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31969599A JP3959908B2 (ja) | 1999-11-10 | 1999-11-10 | 塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31969599A JP3959908B2 (ja) | 1999-11-10 | 1999-11-10 | 塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001139505A true JP2001139505A (ja) | 2001-05-22 |
JP3959908B2 JP3959908B2 (ja) | 2007-08-15 |
Family
ID=18113162
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31969599A Expired - Lifetime JP3959908B2 (ja) | 1999-11-10 | 1999-11-10 | 塩化ビニル系重合体スラリー中の単量体回収装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3959908B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005225968A (ja) * | 2004-02-12 | 2005-08-25 | Nippon Zeon Co Ltd | 揮発性有機物のストリッピング方法及び重合トナーの製造方法 |
-
1999
- 1999-11-10 JP JP31969599A patent/JP3959908B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005225968A (ja) * | 2004-02-12 | 2005-08-25 | Nippon Zeon Co Ltd | 揮発性有機物のストリッピング方法及び重合トナーの製造方法 |
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