JP2001135545A - セラミック電子部品の製造方法および脱バインダ方法 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法および脱バインダ方法

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JP2001135545A
JP2001135545A JP31168199A JP31168199A JP2001135545A JP 2001135545 A JP2001135545 A JP 2001135545A JP 31168199 A JP31168199 A JP 31168199A JP 31168199 A JP31168199 A JP 31168199A JP 2001135545 A JP2001135545 A JP 2001135545A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 卑金属を含む電極層と薄層化および多層化さ
れる誘電体層とを有するセラミック電子部品であって
も、焼成に際してクラック発生のない信頼性の高いセラ
ミック電子部品を製造する方法を提供することにある。 【解決手段】 卑金属を含む電極層6,8と誘電体層4
とを有するセラミック電子部品を製造する方法であっ
て、セラミック電子部品となるグリーンチップを、H
Oを含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理する工程
と、脱バインダ処理されたグリーンチップを焼成処理す
る工程とを有するセラミック電子部品の製造方法。脱バ
インダ処理における雰囲気ガス中には、水素をさらに含
むことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば積層型セ
ラミックコンデンサなどのセラミック電子部品を製造す
る方法および脱バインダ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミック電子部品としての積層型セラ
ミックコンデンサは、通常、内部電極用ペーストと誘電
体用ペーストとを、グリーンシート法や印刷法等により
積層し、焼成して製造される。かかる内部電極には、一
般に、PdやPd合金が用いられてきたが、Pdは高価
であるため、比較的安価なNiやNi合金が使用されつ
つある。
【0003】ところで、内部電極をNiやNi合金で形
成する場合は、大気中で焼成を行うと電極が酸化してし
まうという問題がある。このため、一般に、空気中で脱
バインダ処理した後は、NiとNi0の平衡酸素分圧よ
りも低い酸素分圧で焼成し、その後の熱処理により誘電
体層を再酸化させている(特開平03−133116号
公報、特許第2787746号公報参照)。
【0004】NiやNi合金製の内部電極を有する積層
型セラミックコンデンサは、PdやPd合金製の内部電
極を有するものに比べて安価であることから、誘電体層
を薄くし且つ誘電体層数を多くすることによって、単位
体積当たりの蓄電密度の大容量化が容易になされ得る。
しかしながら、薄層および多層化に従い、焼成後のデラ
ミネーションまたはクラック等の構造欠陥の発生が問題
となる。
【0005】また、特公平10−2844287号公報
では、10−13 〜10−15atm(10−8
10−10 Pa)という低酸素分圧下での脱バインダ
が開示されている。特開平5−335177号公報およ
び特開平8−73273号公報においても、低酸素濃度
での脱バインダが開示されている。しかしながら、これ
らの公報に示す技術では、低酸素濃度での脱バインダが
開示されているだけであり、いずれの場合も十分な脱バ
インダが行えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、卑金
属を含む電極層と薄層化および多層化される誘電体層と
を有するセラミック電子部品であっても、焼成に際して
クラック発生のない信頼性の高いセラミック電子部品を
製造する方法を提供することにある。また、本発明の目
的は、たとえば積層型セラミックコンデンサなどのセラ
ミック電子部品を製造する際に用いて好適な脱バインダ
方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、卑
金属を含む電極層と誘電体層とを有するセラミック電子
部品を製造する方法であって、セラミック電子部品とな
るグリーンチップを、HOを含む雰囲気ガス下で脱
バインダ処理する工程と、脱バインダ処理されたグリー
ンチップを焼成処理する工程とを有する。
【0008】本発明において、誘電体層の材質は、特に
限定されないが、非酸化性雰囲気での焼成が可能な誘電
体組成物であることが好ましい。
【0009】また、本発明に係る脱バインダ方法は、卑
金属を含む電極形成材料を有するグリーンチップを、H
Oを含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理することを
特徴とする。
【0010】前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中
のHOの分圧は、好ましくは2.8×10−4MP
a〜0.012MPa、さらに好ましくは8.6×10
−4MPa〜1.2×10−2MPa、特に好ましくは
1.2×10−3MPa〜1.2×10−2MPa、最
も好ましくは2.3×10−3MPa〜7.3×10
−3MPaである。
【0011】前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中
には、水素をさらに含むことが好ましい。また、雰囲気
ガス中には、キャリアガスとして、窒素ガスやアルゴン
ガスなどの不活性ガスが含まれていても良い。
【0012】前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中
の水素の分圧は、好ましくは2.0×10−5MPa〜
2.0×10−2MPa、さらに好ましくは10−4
Pa〜10−2MPa、特に好ましくは、10−3MP
a〜10−2、最も好ましくは、10−3MPa〜7×
10−3MPaである。
【0013】前記電極層としては、特に限定されない
が、ニッケル、銅およびタングステンのうちのいずれ
か、またはそれらの合金を含むことが好ましい。
【0014】好ましくは、前記脱バインダ処理時の最高
温度が200〜1000℃である。また、前記脱バイン
ダ処理時の昇温速度が300℃/時間以下であることが
好ましい。
【0015】
【作用】たとえば積層型セラミックコンデンサなどのセ
ラミック電子部品の製造過程では、グリーンチップの脱
バインダ工程を必要とする。脱バインダ工程では、脱バ
インダ温度の上昇にともなって、グリーンチップ中の残
留炭素は減少する。このとき、脱バインダの雰囲気が空
気の場合には、250℃程度の低温でも残留炭素は激減
する。しかしながら、空気中で脱バインダ処理を行った
場合、同時に、グリーンチップ中の内部電極を構成する
卑金属も酸化されることが明らかである。この場合に
は、特に多層の誘電体層および内部電極層を有する電子
部品では、グリーンチップの焼結後において、クラック
やデラミネーションが発生しやすくなる。
【0016】これに対して、本発明の方法では、脱バイ
ンダの雰囲気ガス中にHOが含まれるため、バイン
ダを分解するための脱バインダ温度は高くなるものの、
内部電極の酸化は、空気中の場合よりも抑制される。さ
らに、脱バインダの雰囲気ガス中に水素をさらに含ませ
ることで、内部電極の酸化を抑制しながらバインダを除
去することが可能になる。その結果、グリーンチップの
焼結後において、クラックやデラミネーションの発生が
抑制される。
【0017】したがって、本発明の方法によれば、脱バ
インダ処理を加湿した雰囲気中で行うことによって、積
層型セラミックコンデンサなどの電子部品におけるデラ
ミネーション、クラック等の構造欠陥の発生を顕著に抑
制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態に係
る方法により製造される積層型セラミックコンデンサの
断面図、図2は本発明の実施例における脱バインダ温度
と炭素残留量との関係を示す図、図3は本発明の実施例
における残留炭素量とニッケル酸化率との関係を示す図
である。
【0019】図1に示すように、本発明の一実施形態に
係る製造方法により製造される積層型セラミックコンデ
ンサ2は、誘電体層4を介して、第1内部電極層6およ
び第2内部電極層8が交互に多層積層してある素子本体
10を有する。この素子本体10の両端部には、素子本
体10の内部で交互に配置された第1内部電極層6また
は第2内部電極層8と各々導通する一対の第1外部電極
12および第2外部電極14が形成してあり、コンデン
サ回路を構成する。
【0020】本発明の実施形態で製造される積層型セラ
ミックコンデンサ2は、内部電極層6および8が、Ni
またはNi合金から構成してある。Ni合金としては、
Niを95質量%以上含有するNiと、他に、Cr,C
o,Al等のうちの1種以上の金属元素との合金である
ことが好ましい。
【0021】内部電極層6および8の厚み等の諸条件
は、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、通常、厚
みは、1〜5μm、特に1〜2μm程度である。
【0022】誘電体層4は、グレインと粒界相で構成さ
れている。また、いわゆるコア−シェル構造のものでも
構わない。
【0023】誘電体層4の材質は、特に限定されない
が、例えば、下記式で表される組成の誘電体酸化物を含
有する誘電体組成物であることが好ましい。 [(Ba1−x−yCaSr)O]・(Ti1−zZr)O
+αMnO+βYO+γVO+δWO この場合、xは0〜0.25、好ましくは0〜0.1
0、yは0〜0.05、好ましくは0〜0.01、zは
0.1〜0.3、好ましくは0.15〜0.20、mは
1.000〜1.020、好ましくは1.002〜1.
015、αは0.01〜0.5質量%、好ましくは0.
1〜0.4質量%、βは0.05〜0.5質量%、好ま
しくは0.2〜0.4質量%、γは0.005〜0.3
質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%、δは0.
005〜0.3質量%、好ましくは0.01〜0.1質
量%程度含まれることが好ましい。
【0024】このような誘電体組成物は、非酸化性雰囲
気で比較的低温の焼成が可能であるにもかかわらず、高
い誘電率を有し、得られるコンデンサにおける絶縁抵抗
の加速寿命が向上する。
【0025】誘電体層4の層数や厚み等の諸条件は、目
的や用途に応じ適宜決定すればよい。通常、誘電体層4
の積層数は、1〜600、特に10〜500程度であ
り、厚みは、1〜50μm、特に1〜10μm程度であ
る。
【0026】本発明の製造方法においては、外部電極1
2および14に含有される導電材は特に限定されない
が、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を
用いる。外部電極12および14の厚さは用途等に応じ
て適宜決定されればよいが、目的や用途に応じ適宜決定
すればよいが、通常10〜100μm程度である。
【0027】このようにして得られる積層型セラミック
コンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じ適宜
決定すればよい。例えば直方体状の場合は、通常0.6
〜3.2mm×0.3〜1.6mm×0.3〜1.6m
m程度である。
【0028】本発明の一実施形態に係る積層型セラミッ
クコンデンサ2の製造方法を、さらに具体的に説明す
る。
【0029】まず、誘電体層4用スラリー(ペース
ト)、内部電極層6および8用ペーストおよび外部電極
12および14用ペーストをそれぞれ製造する。誘電体
層4用のスラリーを製造する際に用いる誘電体の粉末と
しては、誘電体原料を混合、仮焼き、粉砕した、いわゆ
る固相法の粉体のみでなく、シュウ酸塩沈殿法や水熱合
成法などのいわゆる液相法による粉体であってもよい。
材料粉末は、通常、平均粒子径0.1〜3μm程度のも
のが用いられる。
【0030】誘電体層4用のスラリーを調製する際に用
いられるバインダ、可塑剤、分散剤、溶剤等の添加剤は
種々のものであってよい。また、ガラスフリットを添加
してもよい。
【0031】バインダとしては、例えばアクリル樹脂、
ブチラール樹脂、エチルセルロースなどが用いられる。
可塑剤としては、例えばポリエチレングリコール、フタ
ール酸エステル、フタール酸ジブチルなどが用いられ
る。分散剤としては、例えばオレイン酸、ロジン、グリ
セリン、オクタデシルアミン、オレイン酸エチル、メン
セーデン油などが用いられる。溶剤としては、トルエ
ン、アセトン、テルビネオール、ブチルカルビトール、
メチルエチルケトンなどが用いられる。
【0032】このスラリー(ペースト)を調製する際の
誘電体材料のスラリー全体に対する割合は、50〜80
質量%程度とし、その他、バインダは2〜5質量%、可
塑剤は0.1〜5質量%、分散剤は0.1〜5質量%、
溶剤は20〜50質量%程度が適当である。
【0033】次いで、前記誘電体材料とこれらを混合
し、例えばポールミルや3本ロール等で混合して誘電体
層用スラリー(ペースト)とする。
【0034】内部電極層6および8用のペーストを製造
する際に用いる電極形成材料としては、NiやNi合
金、さらにはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0035】このような電極形成材料は、球状、鱗片状
等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状の
ものが混合したものであってもよい。また、電極形成材
料の平均粒径は0.1〜10μm、さらには0.1〜1
μm程度のものを用いるのが好ましい。内部電極層用ペ
ーストは、このような電極形成材料を有機ビヒクル中に
分散させて得られる。
【0036】有機ビヒクルは、バインダーおよび溶剤を
含有するものである。バインダーとしては、特に限定さ
れないが、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ブ
チラール樹脂等の公知のものはいずれも使用可能であ
る。バインダー含有量は、ペースト全体に対して1〜5
質量%程度が適当である。
【0037】溶剤としては、特に限定されないが、例え
ばテルビネオール、グチルカルビトール、ケロシン等の
公知のものはいずれも使用可能である。溶剤の含有量
は、ペースト全体に対して20〜60質量%程度が適当
である。
【0038】この他、総計10質量%程度以下の範囲
で、必要に応じ、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリ
ン脂肪酸エステル等の分散剤や、ジオクチルフタレー
ト、ジブチルフタレート等の可塑剤を添加することがで
きる。またデラミネーシヨン防止または焼結抑制等の目
的で、電極用ペースト中には、誘電体または絶縁体等の
各種セラミック粉体を添加することもできる。また、有
機金属レジネートを添加することも有効である。
【0039】外部電極12および14用のペーストは、
上記の導体材料粉末を含有する通常のペーストを用いれ
ばよい。
【0040】このようにして得られた内部電極層用ペー
ストと、誘電体層用スラリーとは、シート法、印刷法、
転写法等により、それぞれ交互に積層され、積層体が得
られる。次に、この積層体を所定のサイズに切断し、グ
リーンチップとした後、脱バインダ処理および焼成処理
を行い、その後、誘電体層4を再酸化させるため、熱処
理を行う。
【0041】本発明の実施形態においては、脱バインダ
処理時の雰囲気ガスが、少なくともHOを含有す
る。雰囲気ガス中にHOを含有しない場合、脱バイ
ンダが不十分になりやすく、グリーンチップの焼結後に
クラックやデラミネーションが発生しやすくなる傾向に
ある。
【0042】また、脱バインダ時の雰囲気ガス中には、
Oと同時にHを含有することが好ましい。H
ガスが含有されない場合、Niを含む内部電極層が
酸化して膨張し、焼結後にクラックやデラミネーション
が発生しやすくなる傾向にある。
【0043】脱バインダ条件としては、下記の条件が好
ましい。 昇温速度:10〜300℃/時間、特に50〜100℃
/時間、 保持温度:200〜900℃、特に250〜600℃、 保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間。
【0044】また、脱バインダ時の雰囲気ガスは、大気
圧において、窒素ガスをキャリアガスとして、H
とHとを含むガスであることが好ましい。H
分圧は、好ましくは、2.8×10−4MPa〜0.1
2MPa、さらに好ましくは、8.6×10−4MPa
〜1.2×10−2MPa、特に好ましくは1.2×1
−3MPa〜1.2×10−2MPa、最も好ましく
は2.3×10−3MPa〜7.3×10−3MPaで
ある。また、H分圧は、好ましくは2.0×10
−5MPa〜2.0×10−2MPa、さらに好ましく
は10−4MPa〜10−2MPa、特に好ましくは、
10−3MPa〜10−2、最も好ましくは、10−3
MPa〜7×10−3MPaである。
【0045】脱バインダ部の雰囲気中のHO分圧を
上記範囲とし、且つH分圧を上記範囲とすること
で、焼結後のデラミネーションやクラックなどの構造欠
陥を有効に抑制することができる。脱バインダ時の雰囲
気ガス中の水蒸気濃度が低くなるとバインダーの分解が
不十分になり、デラミネーションやクラック等の構造欠
陥が発生しやすくなる傾向にある。また、脱バインダ時
の雰囲気ガス中の水蒸気濃度が高く、なお且つ水素濃度
が低すぎると、Niを含む内部電極層の酸化が進み、デ
ラミネーションやクラック等の構造欠陥が発生しやすく
なる傾向にある。
【0046】次に、焼成条件としては、下記の条件が好
ましい。なお、内部電極層としてNiまたはNi合金を
用いているので、内部電極層の酸化を防止するために焼
成は還元性雰囲気で行う。 保持温度:1150〜1400℃、特に1200〜13
00℃、 保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、 酸素分圧:10−8〜10−14 MPa、特に10
−11 〜10−13 MPa、 冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間。
【0047】焼成時の雰囲気用ガスには、加湿したN
,Hの混合ガスを用いることが好適である。焼
成において1100℃以上の雰囲気の酸素分圧は10
−9MPa以下であることが好ましい。1100℃以上
の雰囲気の酸素分圧が10−9MPaより高いと、内部
電極層が酸化され易くなる。
【0048】還元性雰囲気で焼成した後、積層体には熱
処理を施すことが好ましい。熱処理は内部電極層の酸化
を抑制しつつ、温度保持部の低酸素分圧焼成で一部還元
した誘電体を再酸化するための処理であり、これにより
絶縁抵抗を増加させ、高い信頼性(高温加速寿命)を確
保することができる。
【0049】熱処理は、以下の条件で行うことが好まし
い。 保持温度:1100C以下、特に500〜1100℃、 保持時間:0〜20時間、特に1〜10時間、 酸素分圧:10−9 MPa以上、特に10−8MPa
以上、 冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300
℃/時間。
【0050】熱処理時の雰囲気ガスには、加湿したN
,Hの混合ガスを用いることが好適である。
【0051】脱バインダ処理後に焼成を行うが、これら
は独立に行っても、連続して行ってもよい。
【0052】また、焼成および熱処理エ程も、独立に行
っても、連続して行ってもよい。連続して行う場合は、
焼成における降温部において、1100℃以下の一部の
温度範囲の雰囲気の酸素分圧を10−9MPa以上とす
ればよい。また、このときに、温度を一定に保持する温
度保持部を降温過程の途中に設けてもよい。好ましい保
持温度および保持時間は上記した通りである。
【0053】このようにして得られた焼結体には、例え
ばバレル研磨、サンドブラスト等にて端面研磨を施し、
外部電極用ペーストを焼き付けて外部電極12および1
4を形成する。必要に応じ、外部電極12および14上
にSnあるいは半田層をめっきしてもよい。
【0054】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されず、本発明の範囲内で種々に改変することができ
る。たとえば上記実施形態では、本発明の製造方法によ
り、積層型セラミックコンデンサを製造しているが、本
発明の製造方法は、コンデンサに限らず、その他の電子
部品にも適用することができる。また、本発明の脱バイ
ンダ方法は、セラミック電子部品を製造する場合に限定
されず、その他の部品の脱バインダ処理にも適用するこ
とができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に
限定されない。実施例1 出発原料として、下記の酸化物を準備した。 BaCO:65.28質量%、 TiO:23.72質量%、 ZrO:7.49質量%、 CaCO:2.88質量%、 SiO:0.05質量%、 MnCO: 0.24質量%、 Y:0.25質量%、 V:0.04質量%、 WO:0.05質量%。
【0056】上記の出発原料をジルコニア製ポールミル
で16時間湿式混合した。次いで、スプレードライヤー
で乾燥させた後、空気中にて、1200℃で3時間仮焼
した。得られた仮焼物をポールミルで16時間湿式粉砕
し、平均粒子径0.7μmのチタン酸バリウム系の誘電
体材料を得た。
【0057】この誘電体材料を下記の成分と配合し、ボ
ールミルで16時間混合して、誘電体層用スラリーを得
た。 誘電体材料 :100質量部、 アセトン :51.6質量部、 トルエン :14.31質量部、 酢酸エチル :17.7質量部、 分散剤 :0.28質量部、 可塑剤 :0.13質量部、 アクリル樹脂:5.7質量部。
【0058】次に下記の成分を、3本ロールにより混合
し、内部電極用ペーストとした。 Ni :44.6質量%、 テルピネオール :52質量%、 エチルセルロース :3質量%、 ベンゾトリアゾール :0.4質量%。
【0059】これらのペーストを用い、以下のようにし
て図1に示される積層型セラミックコンデンサ2を製造
した。まず、誘電体スラリーから、いわゆるドクターブ
レード法によって厚さ7μmのグリーンシートを作製し
た。このグリーンシート上に、内部電極ペーストを用い
て印刷法により内部電極層を形成した。このようなシー
トを200枚積層し、上下に内部電極を印刷していない
誘電体グリーンシートを30枚ずつ積層し、120℃で
5分間、1ton/cm(約98MPa)で加熱圧
着した。
【0060】次いで所定のサイズに切断し、脱バインダ
処理した後、焼成および熱処理を連続して下記の条件に
て行った。 (脱バインダ処理) 昇温速度:200℃/時間、 保持温度:200℃、 保持時間:2時間、 雰囲気:加湿したNガスとH (5%)との混合
ガス。
【0061】(焼成) 昇温速度:900℃までは300℃/時間、900℃以
上は200℃/時間、 保持温度:1270℃、 保持時間:2時間、 冷却速度:300℃/時間、 雰囲気ガス:加湿したNガスとH(5%)の混
合ガス、 酸素分圧:10−13 MPa。
【0062】(熱処理) 保持温度:1100℃、 保持時間:2時間、 冷却速度:300℃/時間、 雰囲気ガス:加湿したNガス、 酸素分圧:10−7MPa。
【0063】上記脱バインダ処理、焼成および熱処理の
それぞれの雰囲気用ガスの加湿には、ウェッターを使用
し、焼成および熱処理の場合にはこのウェッターの水温
を35℃に制御した。なお、脱バインダ時の雰囲気ガス
中のHO分圧およびH 分圧を測定したところ、H
O分圧は、5.5×10−3MPaあり、H 分圧
は、5.0×10−3MPaであった。
【0064】上記のようにして得られた各種焼結体の端
面をサンドブラストにて研磨した後、InGa合金を塗
布して試験用電極を形成した。
【0065】このようにして製造した積層型セラミック
コンデンサのサイズは、3.2mm×1.6mm×1.
4mmであり、誘電体層4の厚みは4μm、内部電極6
および8の厚みは1.3μmであった。
【0066】次に、得られた種々の試験用コンデンサ
(各100個)を、エポキシ樹脂に埋め込んで硬化後、
研削、研磨することによって断面を観察し、デラミネー
ションまたはクラックなどの構造欠陥が発生したコンデ
ンサの個数を調べた。得られた結果を下記の表1に示
す。表1に示すように、構造欠陥発生率は8%であり、
少ないことが確認された。なお、構造欠陥発生率とは、
100個の試験用コンデンサにおいて、デラミネーショ
ンまたはクラックなどの構造欠陥が発生したコンデンサ
の割合を示す。
【0067】
【表1】
【0068】実施例2 脱バインダ時の保持温度を300℃にした以外は、実施
例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠
陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよう
に、構造欠陥発生率は3%であり、少ないことが確認さ
れた。
【0069】実施例3 脱バインダ時の保持温度を400℃にした以外は、実施
例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠
陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよう
に、構造欠陥発生率は0%であり、少ないことが確認さ
れた。
【0070】実施例4 脱バインダ時の保持温度を600℃にした以外は、実施
例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠
陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよう
に、構造欠陥発生率は0%であり、少ないことが確認さ
れた。
【0071】実施例5 脱バインダ時の保持温度を800℃にした以外は、実施
例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠
陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよう
に、構造欠陥発生率は2%であり、少ないことが確認さ
れた。
【0072】実施例6 脱バインダ時の保持温度を1000℃にした以外は、実
施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造
欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、構造欠陥発生率は8%であり、少ないことが確認
された。
【0073】実施例7 脱バインダ時の保持温度を1200℃にした以外は、実
施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造
欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、構造欠陥発生率は27%であり、実施例1〜6に
比べては多いが比較例に比べては少ないことが確認され
た。
【0074】実施例8 脱バインダ時の保持温度を100℃にした以外は、実施
例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠
陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよう
に、構造欠陥発生率は29%であり、実施例1〜6に比
べては多いが比較例に比べては少ないことが確認され
た。
【0075】実施例9 脱バインダ時の保持温度を300℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧
を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0M
Paとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コン
デンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1
に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は12%で
あり、少ないことが確認された。
【0076】実施例10 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧
を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0M
Paとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コン
デンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1
に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は13%で
あり、少ないことが確認された。
【0077】実施例11 脱バインダ時の保持温度を600℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧
を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0M
Paとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コン
デンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1
に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は15%で
あり、少ないことが確認された。
【0078】実施例12 脱バインダ時の保持温度を800℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧
を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0M
Paとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コン
デンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1
に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は16%で
あり、少ないことが確認された。
【0079】比較例1 脱バインダ時の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実
施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造
欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すよ
うに、構造欠陥発生率は83%であり、実施例に比較し
て増大することが確認された。
【0080】比較例2 脱バインダ時の保持温度を250℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様
にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を
調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠
陥発生率は74%であり、実施例に比較して増大するこ
とが確認された。
【0081】比較例3 脱バインダ時の保持温度を300℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様
にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を
調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠
陥発生率は100%であり、実施例に比較して増大する
ことが確認された。
【0082】比較例4 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様
にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を
調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠
陥発生率は100%であり、実施例に比較して増大する
ことが確認された。
【0083】比較例5 脱バインダ時の保持温度を500℃とし、脱バインダ時
の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様
にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を
調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠
陥発生率は100%であり、実施例に比較して増大する
ことが確認された。
【0084】評価1 表1から以下のことがわかる。まず、空気中で脱バイン
ダ処理した場合、300℃以下の低温でデラミネーショ
ンまたはクラック等の構造欠陥が減少する傾向が認めら
れるものの完全に抑制することはできず、バインダ成分
の除去も不十分になる。これに対して、加湿した窒素中
ではバインダの減少する温度は高温になるものの、デラ
ミネーションやクラック等の構造欠陥の発生率は空気中
の場合よりもかなり低くなる。さらに、加湿した窒素、
水素混合気流中ではデラミネーションやクラック等の構
造欠陥の発生が激減することを明瞭に示している。ま
た、実施例1〜6と実施例7,8とを比較することで、
脱バインダ時の保持温度は、200〜1000℃が好ま
しいことが確認できた。
【0085】また、図2に示すように、積層型セラミッ
クコンデンサの製造において、脱バインダ工程で、脱バ
インダ温度の上昇にともなって残留炭素は減少する。こ
のとき、脱バインダの雰囲気が空気の場合には250℃
程度の低温でも残留炭素は激減する。しかしながら、図
3に示すように、空気中で脱バインダ処理を行った場
合、同時に内部電極層のNiも酸化されることが明らか
である。この場合には、多層品においてデラミネーショ
ンやクラックが発生しやすくなる。
【0086】これに対して、脱バインダの雰囲気がH
Oを含むガスの場合、図2に示すように、バインダ
ーが分解する温度は高くなるものの、図3に示すよう
に、Niの酸化は空気中の場合よりも抑制されているこ
とが明らかである。さらに、脱バインダの雰囲気がH
O+Hの場合、Niの酸化を防止しながらバイ
ンダーを除去することが可能であることが分かる。
【0087】実施例13 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を、5.2×10−4MPaとし、H
分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は11%であった。
【0088】
【表2】
【0089】実施例14 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を、8.6×10−4MPaとし、H
分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は9%であった。
【0090】実施例15 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を、1.2×10−3MPaとし、H
分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は6%であった。
【0091】実施例16 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を、2.3×10−3MPaとし、H
分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は0%であった。
【0092】実施例17 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を、7.3×10−3MPaとし、H
分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は0%であった。
【0093】実施例18 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を、1.2×10−2MPaとし、H
分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は3%であった。
【0094】実施例19 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、5.0×10−5MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は12%であった。
【0095】実施例20 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、1×10−4MPaとした以外は、実施例1と
同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生
率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構
造欠陥発生率は7%であった。
【0096】実施例21 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、1×10−3MPaとした以外は、実施例1と
同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生
率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構
造欠陥発生率は0%であった。
【0097】実施例22 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、7×10−3MPaとした以外は、実施例1と
同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生
率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構
造欠陥発生率は0%であった。
【0098】実施例23 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、1×10−2MPaとした以外は、実施例1と
同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生
率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構
造欠陥発生率は0%であった。
【0099】実施例24 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、2.0×10−2MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は5%であった。参考例1 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.2×10−4MPaとし、H
分圧を、4.0×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は21%であった。参考例2 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を5.2×10−2MPaとし、H
分圧を、4.0×10−3MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は20%であった。参考例3 脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時
のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H
分圧を、3.0×10−2MPaとした以外は、実施例
1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥
発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すよう
に、構造欠陥発生率は28%であった。
【0100】評価2 表2に示すように、HO分圧およびH分圧は、
下記の範囲にあるときに、特に構造欠陥の抑制に効果が
あることが確認できた。すなわち、HO分圧は、好
ましくは、2.8×10−4MPa〜0.012MP
a、さらに好ましくは、8.6×10−4MPa〜1.
2×10−2MPa、特に好ましくは1.2×10−3
MPa〜1.2×10−2MPa、最も好ましくは2.
3×10 MPa〜7.3×10−3MPaである。
また、H分圧は、好ましくは2.0×10−5MP
a〜2.0×10−2MPa、さらに好ましくは10
−4MPa〜10−2MPa、特に好ましくは、10
−3MPa〜10−2、最も好ましくは、10−3MP
a〜7×10−3MPaである。
【0101】実施例25 脱バインダ時の昇温速度を250℃/時間とし、保持温
度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.
7×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3
MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コ
ンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表
3に示す。表3に示すように、構造欠陥発生率は1%で
あった。
【0102】
【表3】
【0103】実施例26 脱バインダ時の昇温速度を300℃/時間とし、脱バイ
ンダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のH
O分圧を1.7×10−3MPaとし、H 分圧
を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様
にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を
調べた。結果を表3に示す。表3に示すように、構造欠
陥発生率は4%であった。
【0104】参考例4 脱バインダ時の昇温速度を350℃/時間とし、脱バイ
ンダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のH
O分圧を1.7×10−3MPaとし、H 分圧
を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様
にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を
調べた。結果を表3に示す。表3に示すように、構造欠
陥発生率は18%であった。
【0105】評価3 実施例25、実施例26および参考例1を比較すること
で、脱バインダ時の昇温速度が300℃/時間以下の場
合に、特に構造欠陥発生率が低下することが確認でき
た。
【0106】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の方法
によれば、脱バインダ処理を加湿した雰囲気中で行うこ
とによって、積層型セラミックコンデンサなどの電子部
品におけるデラミネーション、クラック等の構造欠陥の
発生を顕著に抑制することができる。特に、脱バインダ
時の雰囲気を加湿した窒素、水素混合気流中でおこなう
ことによって構造欠陥の発生が顕著に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る方法により
製造される積層型セラミックコンデンサの断面図であ
る。
【図2】 図2は本発明の実施例における脱バインダ温
度と炭素残留量との関係を示す図である。
【図3】 図3は本発明の実施例における残留炭素量と
ニッケル酸化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
2… 積層型セラミックコンデンサ 4… 誘電体層 6… 第1内部電極層 8… 第2内部電極層 10… 素体本体 12… 第1外部電極 14… 第2外部電極

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卑金属を含む電極層と誘電体層とを有す
    るセラミック電子部品を製造する方法であって、 セラミック電子部品となるグリーンチップを、H
    を含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理する工程と、 脱バインダ処理されたグリーンチップを焼成処理する工
    程とを有するセラミック電子部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記脱バインダ処理における雰囲気ガス
    中のHOの分圧が、2.8×10−4MPa〜0.
    012MPaであることを特徴とする請求項1に記載の
    セラミック電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記脱バインダ処理における雰囲気ガス
    中には、水素をさらに含むことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記脱バインダ処理における雰囲気ガス
    中の水素の分圧が、2×10−5MPa〜2×10−2
    MPaであることを特徴とする請求項3に記載のセラミ
    ック電子部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電極層が、ニッケル、銅およびタン
    グステンのうちのいずれか、またはそれらの合金を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラ
    ミック電子部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記脱バインダ処理時の最高温度が20
    0〜1000℃であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記脱バインダ処理時の昇温速度が30
    0℃/時間以下である請求項1〜6のいずれかに記載の
    セラミック電子部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 卑金属を含む電極形成材料を有するグリ
    ーンチップを、H Oを含む雰囲気ガス下で脱バインダ
    処理することを特徴とする脱バインダ方法。
  9. 【請求項9】 前記脱バインダ処理における雰囲気ガス
    中のHOの分圧が、2.8×10‐4MPa〜0.
    012MPaであることを特徴とする請求項8に記載の
    脱バインダ方法。
  10. 【請求項10】 前記脱バインダ処理における雰囲気ガ
    ス中には、水素をさらに含むことを特徴とする請求項8
    または9に記載の脱バインダ方法。
  11. 【請求項11】 前記脱バインダ処理における雰囲気ガ
    ス中の水素の分圧が、2.0×10‐5MPa〜2.0
    ×10‐2MPaであることを特徴とする請求項10に
    記載の脱バインダ方法。
  12. 【請求項12】 前記卑金属が、ニッケル、銅およびタ
    ングステンのうちのいずれか、またはそれらの合金を含
    むことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の
    脱バインダ方法。
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