JP3545287B2 - セラミック電子部品の製造方法および脱バインダ方法 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法および脱バインダ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば積層型セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品を製造する方法および脱バインダ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック電子部品としての積層型セラミックコンデンサは、通常、内部電極用ペーストと誘電体用ペーストとを、グリーンシート法や印刷法等により積層し、焼成して製造される。かかる内部電極には、一般に、PdやPd合金が用いられてきたが、Pdは高価であるため、比較的安価なNiやNi合金が使用されつつある。
【0003】
ところで、内部電極をNiやNi合金で形成する場合は、大気中で焼成を行うと電極が酸化してしまうという問題がある。このため、一般に、空気中で脱バインダ処理した後は、NiとNi0の平衡酸素分圧よりも低い酸素分圧で焼成し、その後の熱処理により誘電体層を再酸化させている(特開平03−133116号公報、特許第2787746号公報参照)。
【0004】
NiやNi合金製の内部電極を有する積層型セラミックコンデンサは、PdやPd合金製の内部電極を有するものに比べて安価であることから、誘電体層を薄くし且つ誘電体層数を多くすることによって、単位体積当たりの蓄電密度の大容量化が容易になされ得る。しかしながら、薄層および多層化に従い、焼成後のデラミネーションまたはクラック等の構造欠陥の発生が問題となる。
【0005】
また、特公平10−2844287号公報では、10−13 〜10−15 atm(10−8 〜10−10 Pa)という低酸素分圧下での脱バインダが開示されている。特開平5−335177号公報および特開平8−73273号公報においても、低酸素濃度での脱バインダが開示されている。しかしながら、これらの公報に示す技術では、低酸素濃度での脱バインダが開示されているだけであり、いずれの場合も十分な脱バインダが行えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、卑金属を含む電極層と薄層化および多層化される誘電体層とを有するセラミック電子部品であっても、焼成に際してクラック発生のない信頼性の高いセラミック電子部品を製造する方法を提供することにある。また、本発明の目的は、たとえば積層型セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品を製造する際に用いて好適な脱バインダ方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、卑金属を含む電極層と誘電体層とを有するセラミック電子部品を製造する方法であって、セラミック電子部品となるグリーンチップを、HOを含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理する工程と、脱バインダ処理されたグリーンチップを焼成処理する工程とを有する。
【0008】
本発明において、誘電体層の材質は、特に限定されないが、非酸化性雰囲気での焼成が可能な誘電体組成物であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る脱バインダ方法は、卑金属を含む電極形成材料を有するグリーンチップを、HOを含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理することを特徴とする。
【0010】
前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中のHOの分圧は、好ましくは2.8×10−4MPa〜0.012MPa、さらに好ましくは8.6×10−4MPa〜1.2×10−2MPa、特に好ましくは1.2×10−3MPa〜1.2×10−2MPa、最も好ましくは2.3×10−3MPa〜7.3×10−3MPaである。
【0011】
前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中には、水素をさらに含むことが好ましい。また、雰囲気ガス中には、キャリアガスとして、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスが含まれていても良い。
【0012】
前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中の水素の分圧は、好ましくは2.0×10−5MPa〜2.0×10−2MPa、さらに好ましくは10−4MPa〜10−2MPa、特に好ましくは、10−3MPa〜10−2、最も好ましくは、10−3MPa〜7×10−3MPaである。
【0013】
前記電極層としては、特に限定されないが、ニッケル、銅およびタングステンのうちのいずれか、またはそれらの合金を含むことが好ましい。
【0014】
好ましくは、前記脱バインダ処理時の最高温度が200〜1000℃である。また、前記脱バインダ処理時の昇温速度が300℃/時間以下であることが好ましい。
【0015】
【作用】
たとえば積層型セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品の製造過程では、グリーンチップの脱バインダ工程を必要とする。脱バインダ工程では、脱バインダ温度の上昇にともなって、グリーンチップ中の残留炭素は減少する。このとき、脱バインダの雰囲気が空気の場合には、250℃程度の低温でも残留炭素は激減する。しかしながら、空気中で脱バインダ処理を行った場合、同時に、グリーンチップ中の内部電極を構成する卑金属も酸化されることが明らかである。この場合には、特に多層の誘電体層および内部電極層を有する電子部品では、グリーンチップの焼結後において、クラックやデラミネーションが発生しやすくなる。
【0016】
これに対して、本発明の方法では、脱バインダの雰囲気ガス中にHOが含まれるため、バインダを分解するための脱バインダ温度は高くなるものの、内部電極の酸化は、空気中の場合よりも抑制される。さらに、脱バインダの雰囲気ガス中に水素をさらに含ませることで、内部電極の酸化を抑制しながらバインダを除去することが可能になる。その結果、グリーンチップの焼結後において、クラックやデラミネーションの発生が抑制される。
【0017】
したがって、本発明の方法によれば、脱バインダ処理を加湿した雰囲気中で行うことによって、積層型セラミックコンデンサなどの電子部品におけるデラミネーション、クラック等の構造欠陥の発生を顕著に抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る方法により製造される積層型セラミックコンデンサの断面図、
図2は本発明の実施例における脱バインダ温度と炭素残留量との関係を示す図、
図3は本発明の実施例における残留炭素量とニッケル酸化率との関係を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る製造方法により製造される積層型セラミックコンデンサ2は、誘電体層4を介して、第1内部電極層6および第2内部電極層8が交互に多層積層してある素子本体10を有する。この素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された第1内部電極層6または第2内部電極層8と各々導通する一対の第1外部電極12および第2外部電極14が形成してあり、コンデンサ回路を構成する。
【0020】
本発明の実施形態で製造される積層型セラミックコンデンサ2は、内部電極層6および8が、NiまたはNi合金から構成してある。Ni合金としては、Niを95質量%以上含有するNiと、他に、Cr,Co,Al等のうちの1種以上の金属元素との合金であることが好ましい。
【0021】
内部電極層6および8の厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、通常、厚みは、1〜5μm、特に1〜2μm程度である。
【0022】
誘電体層4は、グレインと粒界相で構成されている。また、いわゆるコア−シェル構造のものでも構わない。
【0023】
誘電体層4の材質は、特に限定されないが、例えば、下記式で表される組成の誘電体酸化物を含有する誘電体組成物であることが好ましい。
[(Ba1−x−yCaSr)O]・(Ti1−zZr)O+αMnO+βY+γV+δWO
この場合、xは0〜0.25、好ましくは0〜0.10、yは0〜0.05、好ましくは0〜0.01、zは0.1〜0.3、好ましくは0.15〜0.20、mは1.000〜1.020、好ましくは1.002〜1.015、αは0.01〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.4質量%、βは0.05〜0.5質量%、好ましくは0.2〜0.4質量%、γは0.005〜0.3質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%、δは0.005〜0.3質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%程度含まれることが好ましい。
【0024】
このような誘電体組成物は、非酸化性雰囲気で比較的低温の焼成が可能であるにもかかわらず、高い誘電率を有し、得られるコンデンサにおける絶縁抵抗の加速寿命が向上する。
【0025】
誘電体層4の層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよい。通常、誘電体層4の積層数は、1〜600、特に10〜500程度であり、厚みは、1〜50μm、特に1〜10μm程度である。
【0026】
本発明の製造方法においては、外部電極12および14に含有される導電材は特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。外部電極12および14の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、通常10〜100μm程度である。
【0027】
このようにして得られる積層型セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じ適宜決定すればよい。例えば直方体状の場合は、通常0.6〜3.2mm×0.3〜1.6mm×0.3〜1.6mm程度である。
【0028】
本発明の一実施形態に係る積層型セラミックコンデンサ2の製造方法を、さらに具体的に説明する。
【0029】
まず、誘電体層4用スラリー(ペースト)、内部電極層6および8用ペーストおよび外部電極12および14用ペーストをそれぞれ製造する。
誘電体層4用のスラリーを製造する際に用いる誘電体の粉末としては、誘電体原料を混合、仮焼き、粉砕した、いわゆる固相法の粉体のみでなく、シュウ酸塩沈殿法や水熱合成法などのいわゆる液相法による粉体であってもよい。材料粉末は、通常、平均粒子径0.1〜3μm程度のものが用いられる。
【0030】
誘電体層4用のスラリーを調製する際に用いられるバインダ、可塑剤、分散剤、溶剤等の添加剤は種々のものであってよい。また、ガラスフリットを添加してもよい。
【0031】
バインダとしては、例えばアクリル樹脂、ブチラール樹脂、エチルセルロースなどが用いられる。可塑剤としては、例えばポリエチレングリコール、フタール酸エステル、フタール酸ジブチルなどが用いられる。分散剤としては、例えばオレイン酸、ロジン、グリセリン、オクタデシルアミン、オレイン酸エチル、メンセーデン油などが用いられる。溶剤としては、トルエン、アセトン、テルビネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトンなどが用いられる。
【0032】
このスラリー(ペースト)を調製する際の誘電体材料のスラリー全体に対する割合は、50〜80質量%程度とし、その他、バインダは2〜5質量%、可塑剤は0.1〜5質量%、分散剤は0.1〜5質量%、溶剤は20〜50質量%程度が適当である。
【0033】
次いで、前記誘電体材料とこれらを混合し、例えばポールミルや3本ロール等で混合して誘電体層用スラリー(ペースト)とする。
【0034】
内部電極層6および8用のペーストを製造する際に用いる電極形成材料としては、NiやNi合金、さらにはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0035】
このような電極形成材料は、球状、鱗片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。
また、電極形成材料の平均粒径は0.1〜10μm、さらには0.1〜1μm程度のものを用いるのが好ましい。内部電極層用ペーストは、このような電極形成材料を有機ビヒクル中に分散させて得られる。
【0036】
有機ビヒクルは、バインダーおよび溶剤を含有するものである。バインダーとしては、特に限定されないが、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等の公知のものはいずれも使用可能である。バインダー含有量は、ペースト全体に対して1〜5質量%程度が適当である。
【0037】
溶剤としては、特に限定されないが、例えばテルビネオール、グチルカルビトール、ケロシン等の公知のものはいずれも使用可能である。溶剤の含有量は、ペースト全体に対して20〜60質量%程度が適当である。
【0038】
この他、総計10質量%程度以下の範囲で、必要に応じ、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の分散剤や、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の可塑剤を添加することができる。またデラミネーシヨン防止または焼結抑制等の目的で、電極用ペースト中には、誘電体または絶縁体等の各種セラミック粉体を添加することもできる。また、有機金属レジネートを添加することも有効である。
【0039】
外部電極12および14用のペーストは、上記の導体材料粉末を含有する通常のペーストを用いればよい。
【0040】
このようにして得られた内部電極層用ペーストと、誘電体層用スラリーとは、シート法、印刷法、転写法等により、それぞれ交互に積層され、積層体が得られる。
次に、この積層体を所定のサイズに切断し、グリーンチップとした後、脱バインダ処理および焼成処理を行い、その後、誘電体層4を再酸化させるため、熱処理を行う。
【0041】
本発明の実施形態においては、脱バインダ処理時の雰囲気ガスが、少なくともHOを含有する。雰囲気ガス中にHOを含有しない場合、脱バインダが不十分になりやすく、グリーンチップの焼結後にクラックやデラミネーションが発生しやすくなる傾向にある。
【0042】
また、脱バインダ時の雰囲気ガス中には、HOと同時にHを含有することが好ましい。Hガスが含有されない場合、Niを含む内部電極層が酸化して膨張し、焼結後にクラックやデラミネーションが発生しやすくなる傾向にある。
【0043】
脱バインダ条件としては、下記の条件が好ましい。
昇温速度:10〜300℃/時間、特に50〜100℃/時間、
保持温度:200〜900℃、特に250〜600℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間。
【0044】
また、脱バインダ時の雰囲気ガスは、大気圧において、窒素ガスをキャリアガスとして、HOとHとを含むガスであることが好ましい。HO分圧は、好ましくは、2.8×10−4MPa〜0.12MPa、さらに好ましくは、8.6×10−4MPa〜1.2×10−2MPa、特に好ましくは1.2×10−3MPa〜1.2×10−2MPa、最も好ましくは2.3×10−3MPa〜7.3×10−3MPaである。
また、H分圧は、好ましくは2.0×10−5MPa〜2.0×10−2MPa、さらに好ましくは10−4MPa〜10−2MPa、特に好ましくは、10−3MPa〜10−2、最も好ましくは、10−3MPa〜7×10−3MPaである。
【0045】
脱バインダ部の雰囲気中のHO分圧を上記範囲とし、且つH分圧を上記範囲とすることで、焼結後のデラミネーションやクラックなどの構造欠陥を有効に抑制することができる。脱バインダ時の雰囲気ガス中の水蒸気濃度が低くなるとバインダーの分解が不十分になり、デラミネーションやクラック等の構造欠陥が発生しやすくなる傾向にある。また、脱バインダ時の雰囲気ガス中の水蒸気濃度が高く、なお且つ水素濃度が低すぎると、Niを含む内部電極層の酸化が進み、デラミネーションやクラック等の構造欠陥が発生しやすくなる傾向にある。
【0046】
次に、焼成条件としては、下記の条件が好ましい。なお、内部電極層としてNiまたはNi合金を用いているので、内部電極層の酸化を防止するために焼成は還元性雰囲気で行う。
保持温度:1150〜1400℃、特に1200〜1300℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
酸素分圧:10−8〜10−14 MPa、特に10−11 〜10−13MPa、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間。
【0047】
焼成時の雰囲気用ガスには、加湿したN,Hの混合ガスを用いることが好適である。焼成において1100℃以上の雰囲気の酸素分圧は10−9MPa以下であることが好ましい。1100℃以上の雰囲気の酸素分圧が10−9MPaより高いと、内部電極層が酸化され易くなる。
【0048】
還元性雰囲気で焼成した後、積層体には熱処理を施すことが好ましい。熱処理は内部電極層の酸化を抑制しつつ、温度保持部の低酸素分圧焼成で一部還元した誘電体を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗を増加させ、高い信頼性(高温加速寿命)を確保することができる。
【0049】
熱処理は、以下の条件で行うことが好ましい。
保持温度:1100C以下、特に500〜1100℃、
保持時間:0〜20時間、特に1〜10時間、
酸素分圧:10−9 MPa以上、特に10−8MPa以上、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間。
【0050】
熱処理時の雰囲気ガスには、加湿したN,Hの混合ガスを用いることが好適である。
【0051】
脱バインダ処理後に焼成を行うが、これらは独立に行っても、連続して行ってもよい。
【0052】
また、焼成および熱処理エ程も、独立に行っても、連続して行ってもよい。連続して行う場合は、焼成における降温部において、1100℃以下の一部の温度範囲の雰囲気の酸素分圧を10−9MPa以上とすればよい。また、このときに、温度を一定に保持する温度保持部を降温過程の途中に設けてもよい。好ましい保持温度および保持時間は上記した通りである。
【0053】
このようにして得られた焼結体には、例えばバレル研磨、サンドブラスト等にて端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼き付けて外部電極12および14を形成する。必要に応じ、外部電極12および14上にSnあるいは半田層をめっきしてもよい。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば上記実施形態では、本発明の製造方法により、積層型セラミックコンデンサを製造しているが、本発明の製造方法は、コンデンサに限らず、その他の電子部品にも適用することができる。また、本発明の脱バインダ方法は、セラミック電子部品を製造する場合に限定されず、その他の部品の脱バインダ処理にも適用することができる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
出発原料として、下記の酸化物を準備した。
BaCO:65.28質量%、
TiO:23.72質量%、
ZrO:7.49質量%、
CaCO:2.88質量%、
SiO:0.05質量%、
MnCO: 0.24質量%、
:0.25質量%、
:0.04質量%、
WO:0.05質量%。
【0056】
上記の出発原料をジルコニア製ポールミルで16時間湿式混合した。次いで、スプレードライヤーで乾燥させた後、空気中にて、1200℃で3時間仮焼した。得られた仮焼物をポールミルで16時間湿式粉砕し、平均粒子径0.7μmのチタン酸バリウム系の誘電体材料を得た。
【0057】
この誘電体材料を下記の成分と配合し、ボールミルで16時間混合して、誘電体層用スラリーを得た。
誘電体材料 :100質量部、
アセトン :51.6質量部、
トルエン :14.31質量部、
酢酸エチル :17.7質量部、
分散剤 :0.28質量部、
可塑剤 :0.13質量部、
アクリル樹脂:5.7質量部。
【0058】
次に下記の成分を、3本ロールにより混合し、内部電極用ペーストとした。
Ni :44.6質量%、
テルピネオール :52質量%、
エチルセルロース :3質量%、
ベンゾトリアゾール :0.4質量%。
【0059】
これらのペーストを用い、以下のようにして図1に示される積層型セラミックコンデンサ2を製造した。
まず、誘電体スラリーから、いわゆるドクターブレード法によって厚さ7μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシート上に、内部電極ペーストを用いて印刷法により内部電極層を形成した。このようなシートを200枚積層し、上下に内部電極を印刷していない誘電体グリーンシートを30枚ずつ積層し、120℃で5分間、1ton/cm(約98MPa)で加熱圧着した。
【0060】
次いで所定のサイズに切断し、脱バインダ処理した後、焼成および熱処理を連続して下記の条件にて行った。
(脱バインダ処理)
昇温速度:200℃/時間、
保持温度:200℃、
保持時間:2時間、
雰囲気:加湿したNガスとH (5%)との混合ガス。
【0061】
(焼成)
昇温速度:900℃までは300℃/時間、900℃以上は200℃/時間、
保持温度:1270℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNガスとH(5%)の混合ガス、
酸素分圧:10−13 MPa。
【0062】
(熱処理)
保持温度:1100℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNガス、
酸素分圧:10−7MPa。
【0063】
上記脱バインダ処理、焼成および熱処理のそれぞれの雰囲気用ガスの加湿には、ウェッターを使用し、焼成および熱処理の場合にはこのウェッターの水温を35℃に制御した。なお、脱バインダ時の雰囲気ガス中のHO分圧およびH分圧を測定したところ、HO分圧は、5.5×10−3MPaあり、H分圧は、5.0×10−3MPaであった。
【0064】
上記のようにして得られた各種焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、InGa合金を塗布して試験用電極を形成した。
【0065】
このようにして製造した積層型セラミックコンデンサのサイズは、3.2mm×1.6mm×1.4mmであり、誘電体層4の厚みは4μm、内部電極6および8の厚みは1.3μmであった。
【0066】
次に、得られた種々の試験用コンデンサ(各100個)を、エポキシ樹脂に埋め込んで硬化後、研削、研磨することによって断面を観察し、デラミネーションまたはクラックなどの構造欠陥が発生したコンデンサの個数を調べた。
得られた結果を下記の表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は8%であり、少ないことが確認された。なお、構造欠陥発生率とは、100個の試験用コンデンサにおいて、デラミネーションまたはクラックなどの構造欠陥が発生したコンデンサの割合を示す。
【0067】
【表1】
Figure 0003545287
【0068】
実施例2
脱バインダ時の保持温度を300℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は3%であり、少ないことが確認された。
【0069】
実施例3
脱バインダ時の保持温度を400℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は0%であり、少ないことが確認された。
【0070】
実施例4
脱バインダ時の保持温度を600℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は0%であり、少ないことが確認された。
【0071】
実施例5
脱バインダ時の保持温度を800℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は2%であり、少ないことが確認された。
【0072】
実施例6
脱バインダ時の保持温度を1000℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は8%であり、少ないことが確認された。
【0073】
実施例7
脱バインダ時の保持温度を1200℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は27%であり、実施例1〜6に比べては多いが比較例に比べては少ないことが確認された。
【0074】
実施例8
脱バインダ時の保持温度を100℃にした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は29%であり、実施例1〜6に比べては多いが比較例に比べては少ないことが確認された。
【0075】
実施例9
脱バインダ時の保持温度を300℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は12%であり、少ないことが確認された。
【0076】
実施例10
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は13%であり、少ないことが確認された。
【0077】
実施例11
脱バインダ時の保持温度を600℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は15%であり、少ないことが確認された。
【0078】
実施例12
脱バインダ時の保持温度を800℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを加湿したNガスとし、HO分圧を、5.5×10−3MPaとし、H分圧を、0MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は16%であり、少ないことが確認された。
【0079】
比較例1
脱バインダ時の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は83%であり、実施例に比較して増大することが確認された。
【0080】
比較例2
脱バインダ時の保持温度を250℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は74%であり、実施例に比較して増大することが確認された。
【0081】
比較例3
脱バインダ時の保持温度を300℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は100%であり、実施例に比較して増大することが確認された。
【0082】
比較例4
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は100%であり、実施例に比較して増大することが確認された。
【0083】
比較例5
脱バインダ時の保持温度を500℃とし、脱バインダ時の雰囲気ガスを乾燥空気とした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、構造欠陥発生率は100%であり、実施例に比較して増大することが確認された。
【0084】
評価1
表1から以下のことがわかる。まず、空気中で脱バインダ処理した場合、300℃以下の低温でデラミネーションまたはクラック等の構造欠陥が減少する傾向が認められるものの完全に抑制することはできず、バインダ成分の除去も不十分になる。これに対して、加湿した窒素中ではバインダの減少する温度は高温になるものの、デラミネーションやクラック等の構造欠陥の発生率は空気中の場合よりもかなり低くなる。さらに、加湿した窒素、水素混合気流中ではデラミネーションやクラック等の構造欠陥の発生が激減することを明瞭に示している。
また、実施例1〜6と実施例7,8とを比較することで、脱バインダ時の保持温度は、200〜1000℃が好ましいことが確認できた。
【0085】
また、図2に示すように、積層型セラミックコンデンサの製造において、脱バインダ工程で、脱バインダ温度の上昇にともなって残留炭素は減少する。このとき、脱バインダの雰囲気が空気の場合には250℃程度の低温でも残留炭素は激減する。しかしながら、図3に示すように、空気中で脱バインダ処理を行った場合、同時に内部電極層のNiも酸化されることが明らかである。この場合には、多層品においてデラミネーションやクラックが発生しやすくなる。
【0086】
これに対して、脱バインダの雰囲気がHOを含むガスの場合、図2に示すように、バインダーが分解する温度は高くなるものの、図3に示すように、Niの酸化は空気中の場合よりも抑制されていることが明らかである。さらに、脱バインダの雰囲気がHO+Hの場合、Niの酸化を防止しながらバインダーを除去することが可能であることが分かる。
【0087】
実施例13
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を、5.2×10−4MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は11%であった。
【0088】
【表2】
Figure 0003545287
【0089】
実施例14
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を、8.6×10−4MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は9%であった。
【0090】
実施例15
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を、1.2×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は6%であった。
【0091】
実施例16
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を、2.3×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は0%であった。
【0092】
実施例17
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を、7.3×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は0%であった。
【0093】
実施例18
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を、1.2×10−2MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は3%であった。
【0094】
実施例19
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、5.0×10−5MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は12%であった。
【0095】
実施例20
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、1×10−4MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は7%であった。
【0096】
実施例21
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、1×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は0%であった。
【0097】
実施例22
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、7×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は0%であった。
【0098】
実施例23
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、1×10−2MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は0%であった。
【0099】
実施例24
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、2.0×10−2MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は5%であった。
参考例1
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.2×10−4MPaとし、H分圧を、4.0×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は21%であった。
参考例2
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を5.2×10−2MPaとし、H分圧を、4.0×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は20%であった。
参考例3
脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、3.0×10−2MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表2に示す。表2に示すように、構造欠陥発生率は28%であった。
【0100】
評価2
表2に示すように、HO分圧およびH分圧は、下記の範囲にあるときに、特に構造欠陥の抑制に効果があることが確認できた。すなわち、HO分圧は、好ましくは、2.8×10−4MPa〜0.012MPa、さらに好ましくは、8.6×10−4MPa〜1.2×10−2MPa、特に好ましくは1.2×10−3MPa〜1.2×10−2MPa、最も好ましくは2.3×10−3MPa〜7.3×10−3MPaである。また、H分圧は、好ましくは2.0×10−5MPa〜2.0×10−2MPa、さらに好ましくは10−4MPa〜10−2MPa、特に好ましくは、10−3MPa〜10−2、最も好ましくは、10−3MPa〜7×10−3MPaである。
【0101】
実施例25
脱バインダ時の昇温速度を250℃/時間とし、保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表3に示す。表3に示すように、構造欠陥発生率は1%であった。
【0102】
【表3】
Figure 0003545287
【0103】
実施例26
脱バインダ時の昇温速度を300℃/時間とし、脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表3に示す。表3に示すように、構造欠陥発生率は4%であった。
【0104】
参考例4
脱バインダ時の昇温速度を350℃/時間とし、脱バインダ時の保持温度を400℃とし、脱バインダ時のHO分圧を1.7×10−3MPaとし、H分圧を、4×10−3MPaとした以外は、実施例1と同様にして、試験用コンデンサを製造し、構造欠陥発生率を調べた。結果を表3に示す。表3に示すように、構造欠陥発生率は18%であった。
【0105】
評価3
実施例25、実施例26および参考例1を比較することで、脱バインダ時の昇温速度が300℃/時間以下の場合に、特に構造欠陥発生率が低下することが確認できた。
【0106】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の方法によれば、脱バインダ処理を加湿した雰囲気中で行うことによって、積層型セラミックコンデンサなどの電子部品におけるデラミネーション、クラック等の構造欠陥の発生を顕著に抑制することができる。特に、脱バインダ時の雰囲気を加湿した窒素、水素混合気流中でおこなうことによって構造欠陥の発生が顕著に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る方法により製造される積層型セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例における脱バインダ温度と炭素残留量との関係を示す図である。
【図3】図3は本発明の実施例における残留炭素量とニッケル酸化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
2… 積層型セラミックコンデンサ
4… 誘電体層
6… 第1内部電極層
8… 第2内部電極層
10… 素体本体
12… 第1外部電極
14… 第2外部電極

Claims (8)

  1. 卑金属を含む電極層と誘電体層とを有するセラミック電子部品を製造する方法であって、
    セラミック電子部品となるグリーンチップを、HOを含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理する工程と、
    脱バインダ処理されたグリーンチップを焼成処理する工程とを有し、
    前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中のHOの分圧が、8.6×10−4MPa〜1.2×10−2MPaであり、
    前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中には、水素をさらに含み、
    前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中の水素の分圧が、2×10 −5 MPa〜2×10 −2 MPaであることを特徴とする
    セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中の水素の分圧が、10−4MPa〜10−2MPaであることを特徴とする請求項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記電極層が、ニッケル、銅およびタングステンのうちのいずれか、またはそれらの合金を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記脱バインダ処理時の保持温度が250〜600℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記脱バインダ処理時の昇温速度が300℃/時間以下である請求項1〜のいずれかに記載のセラミック電子部品の製造方法。
  6. 卑金属を含む電極形成材料を有するグリーンチップを、HOを含む雰囲気ガス下で脱バインダ処理し、
    前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中のHOの分圧が、8.6×10−4MPa〜1.2×10−2MPaであり、
    前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中には、水素をさらに含み、
    前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中の水素の分圧が、2×10 −5 MPa〜2×10 −2 MPaであることを特徴とする
    脱バインダ方法。
  7. 前記脱バインダ処理における雰囲気ガス中の水素の分圧が、10−4MPa〜10−2MPaであることを特徴とする請求項に記載の脱バインダ方法。
  8. 前記卑金属が、ニッケル、銅およびタングステンのうちのいずれか、またはそれらの合金を含むことを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の脱バインダ方法。
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