JP2001134934A - 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の製造装置

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JP2001134934A
JP2001134934A JP31853599A JP31853599A JP2001134934A JP 2001134934 A JP2001134934 A JP 2001134934A JP 31853599 A JP31853599 A JP 31853599A JP 31853599 A JP31853599 A JP 31853599A JP 2001134934 A JP2001134934 A JP 2001134934A
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JP31853599A
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Hiroyuki Ishikawa
宏行 石川
Kenji Sato
健二 佐藤
Mitsuhiro Ono
光浩 小野
Masayoshi Omura
正良 大村
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層の表面性を高精度に保ちながら磁性塗
料中の磁性紛の配向性を向上させ、省スペース・低コス
トで製造を行うことができ、高密度大容量記録に好適な
磁気記録媒体の製造方法及び製造装置を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体9上に塗布された磁性塗料
10中の磁性粉を磁場中で一定方向に配向しながら磁性
塗料10の乾燥を行う磁場中乾燥工程において、磁性粉
を配向させる磁場発生装置3の非磁性支持体9の進行方
向Aの全長にわたって均一な温風を供給して磁気記録媒
体の製造を行う。また、磁性塗料10を乾燥させる温風
を供給する開口部4cを有するノズル4bと、温風の温
度及び風量又は風速がそれぞれに調整されるようになさ
れた調節機構4aとを有するドライヤー4を具備して成
り、ノズル4bの開口部4cが非磁性支持体9の進行方
向Aの全長にわたって温風を供給するように磁場発生装
置3内に配置された製造装置M1を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗布型磁気記録媒
体の製造装置に関わり、特に高密度記録媒体の製造に好
適な磁気記録媒体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、オーディオテープやビデオテー
プとしては、ポリエステルフィルム等の非磁性の支持体
上に、金属微粒子等からなる磁性材料や結合剤、分散
剤、潤滑剤等を有機溶剤に混練分散してなる磁性塗料を
塗布することにより磁性層が形成されて成る、いわゆる
塗布型の磁気記録媒体が使用されている。
【0003】この塗布型の磁気記録媒体は、高密度記録
化を図るために、表面を超平滑化することにより、出力
ロス(スペーシングロス)を最小限に抑えるようになさ
れている。
【0004】また、この塗布型の磁気記録媒体は、高密
度記録化を図るために、磁気特性の向上が検討されてお
り、例えば金属微粒子において保持力160kA/mを
越える材料が開発される等、磁性材料の保持力の強化が
図られ、また、磁性材料の粒子の微粒子化が図られてい
る。
【0005】ところで、塗布型の磁気記録媒体を製造す
る際には、磁性塗料中の磁性紛の長軸を一定方向に向け
るいわゆる配向が行われるが、上述した磁気記録媒体の
高密度化に伴って、この配向性の向上が検討されてい
る。即ち、高密度記録に対応した磁気記録媒体を製造す
るために、高保磁力化した磁性塗料中の磁性紛を一定方
向に向けるのに必要な外部磁場を確保すること及び、微
粒子化した磁性紛を一定方向に向けるためにトルクをか
けやすくすること等の検討が行われている。
【0006】具体的には、外部磁場を発生させるマグネ
ットの大型化が検討されたが、マグネットの大型化は、
製造コストの上昇を招き、また、広い設置スペースを必
要とする等の問題があることから限界がある。超電導マ
グネットを使用することも検討されたが、これには液体
ヘリウムの使用が不可欠となり、ランニングコストが著
しく上昇するとの問題がある。
【0007】そこで、磁性塗料中の磁性紛の配向と、こ
の磁性塗料の乾燥とを同時に行う、いわゆる磁場中乾燥
法を採用することによって、磁性塗料中の磁性紛の配向
が効率よく行われるようにする技術が用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁場中
乾燥法においては、限られたマグネット長では磁性塗料
の表層しか乾燥できず、優れた磁気特性が得られない。
限られた磁場内で磁性塗料を完全に乾燥させるために、
乾燥用の温風の風力を上げると、磁性層の表面の波立ち
や面粗れの発生等により表面精度が劣化して、スペーシ
ングロスが大きくなってしまい、配向性の向上と表面の
平滑化が両立できないとの問題点を有していた。
【0009】これに対して、磁場を発生させるマグネッ
トと磁性塗料を乾燥させるドライヤーとを備えた配向装
置を複数台設置し、この複数台の配向装置から送風され
る温風の温度及び風量又は風速がそれぞれ独立に調整さ
れるように構成された製造装置が提案されている。
【0010】しかしながら、上述の製造装置において
は、磁場を発生させるマグネットと磁性塗料を乾燥させ
るドライヤーとを備えた配向装置を複数台設置するため
にスペースが必要であり、装置の大型化による設置スペ
ースの増大、コスト高等の問題点があった。
【0011】上述した問題の解決のために、本発明にお
いては、磁性層の表面性を高精度に保ちながら磁性塗料
中の磁性紛の配向性を向上させ、省スペース・低コスト
で製造を行うことができ、高密度大容量記録に好適な磁
気記録媒体の製造方法及び製造装置を提供するものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
製造方法は、非磁性支持体上に塗布された磁性塗料中の
磁性粉を磁場中で一定方向に配向しながら当該磁性塗料
の乾燥を行う磁場中乾燥工程において、磁性粉を配向さ
せる磁場発生装置内の非磁性支持体の進行方向の全長に
わたって均一な温風を供給するものである。
【0013】本発明の磁気記録媒体の製造装置は、非磁
性支持体上に塗布された磁性塗料中の磁性粉を一定方向
に配向しながら当該磁性塗料の乾燥を行うものであっ
て、磁性粉を配向させる磁場発生装置を有し、磁性塗料
を乾燥させる温風を供給する開口部を有するノズルと、
温風の温度及び風量又は風速がそれぞれに調整されるよ
うになされた調節機構とを有するドライヤーを具備して
成り、ノズルの開口部が非磁性支持体の進行方向の全長
にわたって温風を供給するように磁場発生装置内に配置
されたものである。
【0014】上述の本発明の磁気記録媒体の製造方法に
よれば、磁性粉を配向させる磁場発生装置の非磁性支持
体の進行方向の全長にわたって均一な温風を供給するこ
とにより、塗料の波立ちを抑制して表面の平滑化を図る
と共に効率よく磁場中乾燥を行うことができる。これに
より、磁性塗料が高度な表面性を保ちながら充分に乾燥
され、かつ磁性塗料中の磁性粉が効率よく配向されるよ
うにすることが可能になる。
【0015】上述の本発明の磁気記録媒体の製造装置に
よれば、ノズルの開口部が非磁性支持体の進行方向の全
長にわたって温風を供給するように磁場発生装置内に配
置されたことにより、進行方向の全長にわたって均一な
温風を供給することが可能になる。また、ドライヤーが
温風の温度及び風量又は風速がそれぞれに調整されるよ
うになされた調節機構を有することにより、風圧により
塗料が波立つことを防いで、磁性塗料が高度な表面性を
保ちながら充分に乾燥されるように、かつ磁性塗料中の
磁性粉が効率よく配向されるように調節することが可能
になる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、非磁性支持体上に塗布
された磁性塗料中の磁性粉を磁場中で一定方向に配向し
ながら当該磁性塗料の乾燥を行う磁場中乾燥工程におい
て、磁性粉を配向させる磁場発生装置内の非磁性支持体
の進行方向の全長にわたって均一な温風を供給する磁気
記録媒体の製造方法である。
【0017】また本発明は、上記磁気記録媒体の製造方
法において、温風の温度を30〜150℃の範囲内に設
定する。
【0018】また本発明は、上記磁気記録媒体の製造方
法において、温風を非磁性支持体の両面側からそれぞれ
供給し、温風の供給位置を非磁性支持体の一方の面側と
他方の面側でずらす。
【0019】本発明は、非磁性支持体上に塗布された磁
性塗料中の磁性粉を一定方向に配向しながら当該磁性塗
料の乾燥を行う磁気記録媒体の製造装置であって、磁性
粉を配向させる磁場発生装置を有し、磁性塗料を乾燥さ
せる温風を供給する開口部を有するノズルと、温風の温
度及び風量又は風速がそれぞれに調整されるようになさ
れた調節機構とを有するドライヤーを具備して成り、ノ
ズルの開口部が非磁性支持体の進行方向の全長にわたっ
て温風を供給するように磁場発生装置内に配置された磁
気記録媒体の製造装置である。
【0020】また本発明は、上記磁気記録媒体の製造装
置において、ノズルの開口部が非磁性支持体の両面側に
各々配置され、非磁性支持体の両面側から温風を供給す
る構成とする。
【0021】また本発明は、上記磁気記録媒体の製造装
置において、非磁性支持体の両面側に配置されたノズル
の開口部において、温風の吹き出し孔の位置が非磁性支
持体の一方の面側と他方の面側で規則的にずらされた関
係となっている構成とする。
【0022】また本発明は、上記磁気記録媒体の製造装
置において、温風によって磁性塗料から蒸発した有機溶
剤を吸引して回収する装置を備えて成る構成とする。
【0023】図1は本発明の一実施の形態として磁気記
録媒体の製造装置の概略構成図(模式図)を示す。この
磁気記録媒体の製造装置は、図1に示すように、コイル
状に巻かれた非磁性支持体9を繰り出す巻き出し装置1
と、非磁性支持体9上に磁性塗料10を塗布する塗布装
置2と、配向及び温風乾燥を行う配向装置M1と、温風
乾燥のみを行う乾燥装置6と、磁性塗料10の高密度化
及び表面粗度の向上を行うカレンダー装置7と、一連の
処理を終了した非磁性支持体9をコイル状に巻き取る巻
き取り装置8とを有して構成される。
【0024】配向装置M1は、図2に概略構成図を示す
ように、磁場を発生させるマグネット3と、磁性塗料1
0を乾燥させるためのドライヤー4と、磁性塗料10の
乾燥時に発生する有機溶剤を吸引回収する溶剤吸引装置
5とを備えて成る。
【0025】マグネット3は、磁性塗料10中の磁性紛
の配向を行う磁場を形成するものであり、例えば磁性塗
料10が塗布された非磁性支持体9の進行方向(図1中
矢印Aで示す方向)にコイルが延在するように複数巻回
されたソレノイドコイルから構成される。このソレノイ
ドコイルは、磁性塗料10が塗布された非磁性支持体9
をその内部に走行させ得る大きさに形成されると共に、
非磁性支持体9がソレノイドコイル内を走行する間に、
磁性塗料10中の磁性紛の配向が完了し得る長さに形成
される。また、マグネット3により形成される磁場の強
度は、磁性紛の保磁力の2倍以上が好ましい。より好ま
しくは2.5倍以上とする。
【0026】ドライヤー4は、非磁性支持体9上に塗布
された磁性塗料10を乾燥させるための温風を送風する
ものであり、非磁性支持体9の進行方向に対してマグネ
ット3の後ろ側に取り付けられる。このドライヤー4
は、開口部4cを有するノズル4bと、このノズル4b
の開口部4cから吹き出される温風の温度及び風量又は
風速を調節する調節機構4aとを有して成る。そして、
ノズル4bの開口部4cが、非磁性支持体9に向けて開
口するように、マグネット3の内側の開口部即ち非磁性
支持体9が通過する部分に設けられている。
【0027】ところで、少なくとも磁性塗料10が塗布
された非磁性支持体9の上側に開口部4cが設けられて
いれば、温風乾燥を行うことが可能である。そして、例
えばガイドローラーを磁性塗料10の塗布されていない
下側に設ければ、非磁性支持体9を支持することができ
る。しかしながら、マグネット3の内部にガイドローラ
ーを設けるためには、マグネット3と非磁性支持体9の
間隔を広げる必要があり、間隔を広げることによりマグ
ネット3からの磁場が弱くなってしまう。
【0028】これに対して、図2に示すように非磁性支
持体9の上下に開口部4cを設け、これらの開口部4c
から温風を吹き出すようにすれば、上下から吹き出した
温風による圧力によって、マグネット3の内部にガイド
ローラーを設けなくても非磁性支持体9をバランスよく
保持することができる。
【0029】さらに、非磁性支持体9の下側のドライヤ
ー4の要部の斜視図を図3に示す。図3に示すように、
この場合はドライヤー4の開口部4cに、温風の吹きだ
し孔として8本の細長い矩形形状のスリット4dを設け
ている。図3ではスリット4dの長辺は非磁性支持体9
の幅より少し長くなっている。このように細長い矩形形
状のスリット4dを設けることにより、非磁性支持体9
の幅方向に均一に温風を当てることができ、また温風の
風速を乾燥に充分な程度にすることができる。
【0030】この矩形形状のスリット4dは、例えば短
辺が1〜3mm幅程度、長辺は非磁性支持体9の幅に対
して−50〜+50mm幅程度とし、テープ状の非磁性
支持体9の走行方向Aに沿って8〜10本程度の複数本
配置することが望ましい。
【0031】溶剤吸引装置5は、磁性塗料10から蒸発
する有機溶剤を吸引する吸引ノズル5bと、空気と有機
溶剤の混合蒸気から有機溶剤を分離し回収する溶剤回収
装置5aとを有して成り、非磁性支持体9の進行方向に
対してマグネット3の前側に取り付けられる。吸引ノズ
ル5bは、排気ダクトとして作用する。また、溶剤回収
装置5aには有機溶剤が分離された蒸気を排出する排気
装置を設けるようにする。
【0032】そして、これらドライヤー4と溶剤吸引装
置5とにより、非磁性支持体9に吹き付けられた温風
は、非磁性支持体9の進行方向とは逆向きに、即ち図2
中矢印Bで示す方向に温風を吹き出し、磁性塗料10の
乾燥を行うことができる。また、ドライヤー4は、調節
機構4aにより、送風する温風の温度及び風量又は風速
を独立して制御できるように構成されている。
【0033】さらに、この配向装置M1には、図示しな
いが、マグネット3の両端に直流電流を供給するための
直流電源と、マグネット3で発生する熱を冷却する冷却
水供給口が設置されている。
【0034】温風の温度及び風量又は風速の制御は、上
述したように、配向装置M1の調節機構4aにより行わ
れる。そして、配向装置M1における温風の風速は、毎
秒1〜20mの範囲内に設定されることが好ましい。よ
り好ましくは、毎秒5〜15mの範囲内である。風速が
これより遅いと乾燥が充分に行われず、これより高速で
あると塗料の波立ちが著しくなり、表面性が急激に悪化
する。
【0035】配向装置M1の温風の温度は、ノズル4b
の開口部4cで測って、30〜150℃の範囲内となる
ように設定されることが好ましい。より好ましくは60
〜100℃の範囲内である。温度が低すぎると、乾燥が
充分に行われない。一方、温度が高すぎると、溶剤の突
沸が起こり、危険であると同時に表面性が悪化するので
好ましくない。
【0036】上述した構成の磁気記録媒体の製造装置
に、磁性塗料10を塗布した非磁性支持体9を通過させ
ることにより、磁気記録媒体20が製造される。
【0037】磁気記録媒体20は、図4にその要部の断
面図を示すように、ポリエステルフィルム等の可撓性を
有する非磁性支持体9上に、磁性材料や縮合剤、分散
剤、潤滑剤等を有機溶剤に混練分散して成る磁性塗料1
0を塗布することにより磁性層が形成されている。
【0038】磁性塗料10に使用される磁性材料は、マ
グヘマイト粉末、コバルト被着マグヘマイト、コバルト
ドープマグヘマイト、マグネタイト、コバルト被着マグ
ネタイト、コバルトドープマグネタイト等の旧来の材料
や、Fe、Co、Ni等の金属、Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Al−P、
Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−Si−Al−M
n、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Zn、Co−N
i、Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−Co−Ni−
Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−
Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co
−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄等が挙げられる。
【0039】最も一般的には、Fe単独あるいは、Fe
−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Niの合金にAl及
び/又はSiを燒結防止の目的で添加したものが用いら
れる。これらの金属粉末の比表面積は20〜90m2
g、好ましくは25〜70m 2 /gであることが望まし
い。さらに、六方晶系板状フェライトも使用可能であ
り、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フ
ェライト、及びこれらに、保磁力を制御する目的で、C
o−Ti、Co−Ti−Zn、Co−Ti−Nb、Co
−Ti−Zn−Nb、Cu−Zr、Cu−Zr、Ni−
Ti等を添加したものも使用可能である。
【0040】磁性塗料10に使用される結合剤は、従来
から磁気記録媒体用の結合剤として使用されている公知
の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂等が使用可
能であり、数平均分子量が5000〜100000のも
のが好ましい。
【0041】熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、
酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル
共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニル塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アク
リル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸
エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステ
ル塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレ
ン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリ
ロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セル
ロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セル
ロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレ
ンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0042】また、熱硬化性樹脂の例としては、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹
脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙
げられる。
【0043】また、上記した全ての結合剤には、顔料の
分散性を向上させる目的で、−SO 3 M、−OSO
3 M、−COOM、P=O(OM)2 等の極性官能基が
導入されていても良い。ここで、各化学式中Mは、水素
原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアル
カリ金属である。
【0044】さらに、上記極性官能基としては、−NR
1 2 、−NR1 2 3 + - の末端基を有する側鎖
型のもの、>NR1 2 + - の主鎖型のものがある。
ここで、各化学式中R1 ,R2 ,R3 は、水素原子ある
いは炭化水素基であり、X-はフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオン
である。また、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等
の極性官能基もある。そして、これら極性官能基の量
は、10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2
〜10-6モル/gとする。
【0045】磁性塗料10には、その他必要に応じて潤
滑剤、非磁性補強粒子等を含有させることが可能であ
る。
【0046】この潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブ
デン、二硫化タングステン、シリコーンオイル、炭素数
10〜22の脂肪酸、並びにこの脂肪酸と炭素数2〜2
6までのアルコールからなる脂肪酸エステル、テルペン
系化合物、並びにこれらのオリゴマー、フッ素系滑剤等
がある。
【0047】また、非磁性補強粒子としては、酸化アル
ミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、炭化珪素、ダイ
ヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタン
カーバイド、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナタ
ーゼ)等がある。この粒子は、強磁性粉末100重量部
に対して、20重量部以下、好ましくは10重量部以
下、さらに好ましくは5重量部以下とされることが望ま
しい。また、粒子のモース硬度は4以上、好ましくは5
以上、さらに好ましくは6以上とされ、比重は2〜6、
好ましくは3〜5の範囲とされ、平均一次粒径は1.0
μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましく
は0.3μm以下とされることが望ましい。
【0048】磁性塗料10の塗料化に用いられる溶剤
は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、
乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステ
ル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2
−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等のエチル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレ
ンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これ
らを適宜混合して使用する。
【0049】これらの磁性材料や結合剤、分散剤、潤滑
剤等が混合装置により有機溶剤に混練分散されて、磁性
塗料10となる。
【0050】混合装置としては、混練の工程で用いられ
る混練装置として、連続二軸混練機、多段階で希釈可能
な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダー、ロールニ
ーダー等、従来から公知の混練機の使用が可能で、何等
限定されるものではない。また、その後の塗料作製工程
においても、分散工程においてロールミル、ボールミ
ル、横型サンドミル、スパイクミル、ピンミル、タワー
ミル、DCP、アジター、ホモジナイザー、超音波分散
機等いずれも使用可能である。
【0051】磁性塗料10は、塗布装置2によりポリエ
ステルフィルム等の可撓性を有する非磁性支持体9上に
塗布されて、磁性塗膜が形成される。
【0052】磁気記録媒体の塗膜構成は、図4に示すよ
うに、非磁性支持体9上に、下層11a、上層11bの
順に塗布する重層塗布型媒体でもよいし、単層のみでも
よい。下層11aは磁性層の場合もあるが、上層の薄層
の効果を期待するならば、非磁性層の方が好ましい。ま
た、必要に応じてバックコート層12も塗布形成され
る。さらに必要ならば、3層以上の塗布も可能であり、
走行耐久性を増進する目的で上層上に耐磨耗性膜をオー
バーコートしてもよいが、スペーシングロスは最小限に
しなければならない。
【0053】重層塗布時の非磁性下層用顔料として用い
られる非磁性顔料には、例えば、α−Fe2 3 等の非
磁性酸化鉄、ゲータイト、ルチル型酸化チタン、アナタ
ーゼ型酸化チタン、酸化錫、酸化タングステン、酸化珪
素、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、チタンカー
バイド、BN、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アル
ミナ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム、炭酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等があり、
これらの非磁性顔料は、単独で用いることも可能である
し、複数を混合して用いることも可能である。
【0054】また、上記非磁性顔料は、目的に応じて適
当量の不純物をドープすることも可能であるし、分散性
の改良、導電性の付与、色調の改善等の目的でAl、S
i、Ti、Sn、Sb、Zr等の化合物で表面処理する
ことも可能である。非磁性顔料の比表面積は5〜100
2 /g、好ましくは20〜70m2 /gであることが
望ましい。比表面積が上記範囲にあると、非磁性顔料の
形状の微粒子化を伴い、下層が平滑化し、結果的に上層
の平滑化が可能となるため、変調ノイズ特性に優れ、ス
ペーシングロスの影響の少ない磁気記録媒体を得ること
が可能である。比表面積が上記範囲より大きいと塗料中
の分散が困難となり、比表面積が上記範囲より小さ過ぎ
ると高密度記録に耐えられる表面平滑性が確保できな
い。また、非磁性下層で使用される結合剤、溶剤は、磁
性層で使用されるものに準じる。
【0055】塗布方法については、特に限定されない
が、上述した各塗料を非磁性支持体9上に重層塗布する
のが好ましく、これには主にダイコーターが用いられ
る。ダイコーターのリップ構成は、2リップ方式、3リ
ップ方式、4リップ方式等が用いられる。非磁性支持体
9上に下層11a及び磁性層(上層)11bを形成する
場合には、一層ずつ塗布乾燥を行ういわゆるウエット・
オン・ドライ塗布方式と、乾燥されていない湿潤状態に
ある下層の上に磁性層を重ねて塗布するいわゆるウエッ
ト・オン・ウエット塗布方式即ち湿潤重層塗布方式とが
あるが、塗膜の均質性、上下界面の接着性、生産性の観
点からウエット・オン・ウエット重層塗布方式による同
時湿潤重層塗布を行うのが好ましい。
【0056】このウエット・オン・ウエット重層塗布方
式は、図5に示すように、供給ロールから繰り出された
フィルム状の支持体9を図5中矢印Aで示す方向へ連続
的に走行させながら、エクストルージョン方式の押し出
しコーター2により下層11a及び磁性層11b用の各
塗料10a及び10bを同時に支持体9上へ重層塗布す
る。
【0057】押し出しコーター2には、上述した各塗料
を収容する塗料溜まり部13a、13bが設けられ、こ
の塗料溜まり部13a、13bから押し出した各塗料1
0a、10bをウエット・オン・ウエット方式で同時に
支持体9上に重ねる。こうしたウエット・オン・ウエッ
ト方式における同時湿潤塗布方式においては、下層11
aが湿潤状態のまま上層の磁性層11b用の磁性塗料1
0bを塗布するので、下層11aの表面(即ち上層11
bとの境界面)が滑らかになると共に、上層11bの表
面性が良好となり、かつ上下層11a、11b間の接着
性も向上する。この結果、特に高密度記録のための高出
力、低ノイズが要求される磁気記録媒体としての要求性
能を満たしたものとなり、かつ膜剥離がなくなり、膜強
度が向上する。また、ドロップアウトも低減することが
可能であり、信頼性も向上する。
【0058】尚、このウエット・オン・ウエット重層塗
布方式によって形成される上下層11a、11b間に
は、明確な境界が実質的に存在する場合以外に、一定の
厚みをもって両層の成分が混在して成る境界領域が存在
する場合があるが、こうした境界領域を除いた上層又は
下層をそれぞれ上層磁性層、下層磁性層あるいは下層非
磁性層とすればよい。
【0059】以上のようにして、非磁性支持体9上に磁
性塗料10が塗布された磁気記録媒体は、配向装置M1
を通過する。磁気記録媒体は、この通過の課程におい
て、支持体9上の磁性塗料10が乾燥されると共に、磁
性塗料10中の磁性粉が効率よく一定方向に配向され
る。このとき、配向装置M1は、通過する磁気記録媒体
に応じてその温度及び風量または風速を設定するように
する。従って、この配向装置M1を通過した磁気記録媒
体は、磁性層表面に波立ちや面粗れを生じさせずに磁性
塗料10の乾燥を行うことができる。
【0060】尚、この磁気記録媒体は、乾燥後にカレン
ダー装置7においてカレンダー処理して、巻き取り装置
8においてコイル状に巻き取られる。さらに、この磁気
記録媒体には、バックコート層が重層塗布層の反対面に
塗布される。その後、この磁気記録媒体は、例えば8m
m幅に裁断されてテープ状にされ、カセット内に収容さ
れてテープカセットとなる。または、この磁気記録媒体
は、カレンダー処理後、所定の寸法に打ち抜かれ、ディ
スケットに収容されて磁気ディスク媒体となる。
【0061】上述の実施の形態によれば、ドライヤー4
のマグネット3内に配置された開口部4cのスリット4
dから非磁性支持体9の進行方向Aの全長にわたって均
一な温風が供給されるので、磁性塗料10の波立ちを抑
制して表面の平滑化を図ると共に効率よく磁場中乾燥を
行うことができる。
【0062】また、ドライヤーが4温風の温度及び風量
又は風速がそれぞれに調整されるようになされた調節機
構4aを有することにより、風圧により磁性塗料10が
波立つことを防いで、磁性塗料10が高度な表面性を保
ちながら充分に乾燥されるように、かつ磁性塗料10中
の磁性粉が効率よく配向されるように調節することが可
能になる。従って、磁性塗料10が高度な表面性を保ち
ながら充分に乾燥され、かつ磁性塗料中の磁性粉が効率
よく配向されるようにすることが可能になり、配向性の
向上と表面の平滑化の両立が図られて高密度記録に対応
することができる磁気記録媒体20を製造することがで
きる。
【0063】また、温風を非磁性支持体9の磁性塗料1
0が塗布された上面側及びその反対の下面側にそれぞれ
ドライヤー4のノズル4bの開口部4cが設けられ、各
々の開口部4cのスリット4dから温風を非磁性支持体
9に供給しているので、ガイドローラー等を設けなくて
もマグネット3中で非磁性支持体9を保持することがで
き、マグネット3と非磁性支持体9との間隔を小さくし
て配向のための磁場の効率をよくすることができる。
【0064】そして、温風によって磁性塗料10から蒸
発した有機溶剤を吸引して回収する装置として吸引ノズ
ル5b及び溶剤回収装置5aを備えて成ることにより、
蒸発した有機溶剤を確実に分離・回収して、配向装置M
1から排気される蒸気を無害なものとすることができ
る。
【0065】また、先に提案された磁場を発生させるマ
グネットと磁性塗料を乾燥させるドライヤーとを備えた
配向装置を複数台設置する製造装置では、吹き出し口の
断面積が小さかったため、非磁性支持体の走行速度を上
げると充分に乾燥させることができなかった。これに対
して、本実施の形態の配向装置M1では、ドライヤー4
の開口部4cがマグネット3内部全体に設けられるた
め、マグネット3による磁場中の全長さ方向で温風を非
磁性支持体9に当てることができ、温風が当たる時間が
長くなるため、非磁性支持体9の走行速度を上げても充
分に乾燥させることが可能になる。しかも乾燥効率も向
上するため、温風の温度を従来より下げても従来の装置
と同様の乾燥効果を得ることが可能になる。
【0066】上述の実施の形態では、配向装置M1の開
口部4cのスリット4dを上下の開口部4cで同じ位置
としていたが、上下の開口部のスリットをずらして配置
してもよい。
【0067】上下の開口部4cでスリット4dを同じ位
置に形成した場合、上下の開口部4cにおける、スリッ
ト4dの位置合わせ精度や上下のスリット4dから出る
風の風速や風量のわずかな差等により、温風が当たる位
置が上下で異なり、スリット4dから吹き出す温風によ
り非磁性支持体9のテープにかかる力のバランスが崩れ
てしまう。そして、例えばスリット4dの位置ずれの方
向や量が複数本のスリット4dでバラツキがあると、テ
ープがばたついてしてしまうことがある。
【0068】そこで、上下のスリット4dの位置を一定
量ずらして配置しておけば、ゆるやかなカーブを描くよ
うにテープが走行するため、位置合わせ精度や風の差が
多少あっても、カーブの振幅や山の位置がわずかに変わ
るだけである。従って、走行状態に及ぼす影響は非常に
小さくなり、テープにかかる力のバランスを維持するこ
とができる。
【0069】より好ましくは、本発明の他の実施の形態
として、例えば図6に配向装置M2の要部の断面図を示
すように、上の吹き出し口4cの2本のスリット4d
(間隔D)の真ん中の位置に下の吹き出し口4cのスリ
ット4dが配置され、下の吹き出し口の2本のスリット
4dの真ん中の位置に上の吹き出し口4cのスリット4
dが配置され、交互に等間隔(間隔D/2)にスリット
4dが配置されるようにする。このようにスリット4d
を等間隔に配置すれば、温風によりテープにかかる力の
バランスをさらに良好とすることができる。
【0070】
【実施例】本発明の効果を確認すべく以下のような実験
を行った。即ち、図1に示すように、配向装置M1を設
置した磁気記録媒体の製造装置に、磁性塗料を塗布した
非磁性支持体を通過させて配向と乾燥を行うにあたり、
配向装置の印加磁場の大きさ、温風の温度、温風の風速
をそれぞれ変更し、これらと製造される磁気記録媒体と
の関係について調べた。
【0071】<実験1> (磁性塗料の塗布)上層塗料及び下層塗料を以下に示す
組成にて作製した。塗料化は、常法に従い、顔料、結合
剤、添加剤、溶剤を混合し、連続式ニーダーにより混練
した後、上層塗料はサンドミルで5時間、下層塗料はサ
ンドミルで3時間それぞれ分散した。
【0072】 上層塗料組成 ・Fe系メタル強磁性粉末(平均長軸長=0.2μm、針状比=9、飽和磁化 量=130Am2 /kg、保磁力=135kA/m) 100重量部 ・ポリ塩化ビニル樹脂(重合度150、極性官能基としてスルホン酸ナトリウ ム塩を5×10-5mol/g含む) 14重量部 ・ポリエステルポリウレタン樹脂(極性官能基としてスルホン酸ナトリウム塩 を1×10-4mol/g含む) 6重量部 ・Al2 3 (一次粒径0.09μm、溶剤中に分散させてスラリーとし、ス ラリーの状態で他の組成物と混合した) 5重量部 ・ステアリン酸 1重量部 ・ヘプチルステアレート 1重量部 ・メチルエチルケトン 150重量部 ・シクロヘキサノン 150重量部 下層塗料組成 ・α−Fe2 3 (比表面積=40m2 /g、針状比=8)100重量部 ・ポリ塩化ビニル樹脂(重合度150、極性官能基としてスルホン酸ナトリウ ム塩を5×10-5mol/g含む) 9重量部 ・ポリエステルポリウレタン樹脂(極性官能基としてスルホン酸ナトリウム塩 を1×10-4mol/g含む) 9重量部 ・ステアリン酸 1重量部 ・ヘプチルステアレート 1重量部 ・メチルエチルケトン 105重量部 ・シクロヘキサノン 105重量部
【0073】(磁性塗料の塗布)得られた上層塗料にポ
リイソシアネート4重量部を、下層塗料にポリイソシア
ネート2重量部をそれぞれ加えて、これら上層及び下層
塗料を4リップ方式ダイコーターを用いて、支持体であ
る3本のアラミドフィルム(厚さ4.5μm,表面粗
度;良粗度面=5.5nm、悪粗度面=7.0nm)上
に重層塗布した。ここで上層及び下層の塗布厚は、乾燥
後に上層が0.15μmとなるように、下層が2.0μ
mとなるように設定した。また、塗布速度は毎分200
mとした。
【0074】(磁性塗料の乾燥及び配向)上述の磁性塗
料10が塗布された非磁性支持体9を3本用意する。そ
してこれらの非磁性支持体9は、設置された配向装置M
1を通過するように送り出され、磁性塗料の乾燥と磁性
塗料中の磁性粉の配向が行われた。この際、配向装置M
1の温風の温度は80℃に、温風の風速は毎秒10mに
設定した。
【0075】そして、配向装置M1の印加磁場の大きさ
を、1本目の支持体を通過させるときには0.64MA
/m(実施例1)とし、2本目の支持体を通過させると
きには0.8MA/m(実施例2)とし、3本目の支持
体を通過させるときには0.32MA/m(実施例3)
とした。
【0076】(測定)以上のようにして製造された磁気
記録媒体には、上層塗料及び下層塗料が塗布された塗布
面の反対面にバック塗料が塗布される。そして、この磁
気記録媒体は、カレンダー処理及び硬化処理が施され、
8mm幅に裁断されてテープ化される。
【0077】こうして完成された3本の磁気テープの表
面粗度、配向の程度、出力(電磁変換特性)をそれぞれ
測定し、これらと印加磁場の大きさとの関係を調べた。
結果を表1に示す。尚、表面粗度は、非接触光学式表面
粗度計(ZYGO社製)で測定し、磁気特性は振動試料
型磁力計(東英工業製)を用いて外部磁場は0.8MA
/m(10kOe)で測定した。配向の程度は角型比
(残留磁束密度/飽和磁束密度)で判断した。出力は、
ソニー製Hi−8デッキを改造して、波長λ=0.5μ
mで測定した。出力は、市販のHi−8MPテープを0
dBとして規格化した。
【0078】
【表1】
【0079】表1の結果から、印加磁場の大きさは、製
造される磁気記録媒体の表面性と配向性に影響を与え、
印加磁場が低くなるほど、角型比や出力が低下すること
がわかった。
【0080】<実験2>実験1で使用した非磁性支持体
9と同様の磁性塗料が塗布された非磁性支持体9を7本
用意する。そして、非磁性支持体9が実験1で使用した
配向装置M1を通過するように送り出され、磁性塗料の
乾燥と磁性塗料中の磁性粉の配向が行われた。この際、
配向装置M1の印加磁場の大きさは0.64MA/mと
し、温風の風速は毎秒10mに設定した。
【0081】そして、それぞれの支持体に対して、配向
装置M1の温風の温度を30℃、40℃、60℃、80
℃、100℃、120℃、150℃に設定し、これらを
実施例4〜実施例10とした。
【0082】(測定)以上のようにして製造された磁気
記録媒体は、実験1と同様に、バック塗料が塗布され、
カレンダー処理及び硬化処理が施され、8mm幅に裁断
されてテープ化される。
【0083】こうして完成された3本の磁気テープの表
面粗度、配向の程度、出力の大きさをそれぞれ実験1と
同様の手法で測定し、これらと温風温度との関係を調べ
た。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】表2の結果から、温風温度が低いときには
表面粗度が小さくなるが、角形比や出力も小さくなって
しまう。温風温度を上げると角型比は向上するが、同時
に溶剤揮発速度の増加に伴って表面粗度が悪化する。特
に、温風温度を60〜100℃の範囲とすると、角形比
85.0以上、出力+5dB以上と充分な特性が得られ
ることがわかる。尚、温風の温度を150℃より高くす
ると、非磁性支持体9のフィルムに変形を生じるので好
ましくない。
【0086】<実験3>実験1で使用したものと同じ磁
性塗料が塗布された4本の非磁性支持体9を用意した。
そして、非磁性支持体9が実験1で使用した配向装置M
1を通過するように送り出され、磁性塗料の乾燥と磁性
塗料中の磁性粉の配向が行われた。この際、配向装置M
1の印加磁場の大きさは0.64MA/mとし、温風の
温度は80℃に設定した。
【0087】そして、配向装置M1の温風の風速を、1
本目の支持体を通過させるときには5m/秒(実施例1
1)とし、2本目の支持体を通過させるときには10m
/秒(実施例12)とし、3本目の支持体を通過させる
ときには15m/秒(実施例13)とし、4本目の支持
体を通過させるときには20m/秒(実施例14)に設
定した。
【0088】(測定)以上のようにして製造された磁気
記録媒体は、実験1と同様に、バック塗料が塗布され、
カレンダー処理及び硬化処理が施され、8mm幅に裁断
されてテープ化される。
【0089】こうして完成された4本の磁気テープの表
面粗度、配向の程度、出力の大きさをそれぞれ実験1と
同様の手法で測定し、これらと温風の風速との関係を調
べた。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】表3の結果から、風速が5〜15m/sの
範囲では、角形比85.0以上、出力+5dB以上と充
分な特性が得られることがわかる。そして、温風の風速
を20m/sと上げすぎると、表面粗度が悪化し、出力
も低下することがわかった。
【0092】従って、前述したように、温風の風速を1
〜15m/sの範囲に設定することが望ましい。尚、風
速を1m/s未満にすると、温風乾燥の効果が充分得ら
れず、マグネット3から出た後に、磁性塗料10内の磁
性粉同士が反発して動くことにより配向が崩れるおそれ
がある。
【0093】<実験4>実験1で使用したものと同じ磁
性塗料10が塗布された2本の非磁性支持体9を用意
し、一方の支持体は、図2に示したように開口部4cの
スリット4dの位置が上下のドライヤー4の開口部4c
で同じ位置である配向装置M1を通過させ(実施例1
5)、他方の支持体は、図6に示したように開口部4c
のスリット4dの位置が上下のドライヤー4の開口部4
cで交互に等間隔に配置された配向装置M2を通過させ
て(実施例16)、それぞれの配向装置M1又はM2に
より、磁性塗料の乾燥と磁性塗料中の磁性粉の配向が行
われた。いずれの場合も、配向装置M1の印加磁場の大
きさは0.64MA/mとし、温風の温度は80℃、風
速は10m/秒に設定した。
【0094】(測定)以上のようにして製造された磁気
記録媒体は、実験1と同様に、バック塗料が塗布され、
カレンダー処理及び硬化処理が施され、8mm幅に裁断
されてテープ化される。
【0095】こうして完成された2本の磁気テープの表
面粗度、配向の程度、出力の大きさをそれぞれ実験1と
同様の手法で測定し、これらとスリットの配置との関係
を調べた。結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】表4の結果から、等間隔に交互にスリット
4dを設けた実施例16の方が、角形比と出力が向上す
ることがわかる。表面粗度は同じ位置にスリット4dを
設けた実施例15の方が小さくなっている。このことか
ら、等間隔に交互にスリット4dを設けることにより多
少表面粗度が上がるが、支持体にかかる力のバランスが
良好になって磁気記録媒体の特性を向上させることがで
きることがわかる。
【0098】以上の実験の結果から明らかなように、非
磁性支持体9のテープが通過するマグネット3内部に温
風を供給するドライヤー4を組み込んだ配向装置M1を
設置して、配向に必要とされる磁場を確保すると共に、
配向装置M1の温風の風速等を調整することにより、高
密度記録に対応した磁気記録媒体を製造することができ
る。
【0099】本発明は、上述の実施の形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他
様々な構成が取り得る。
【0100】
【発明の効果】上述の本発明によれば、温風の温度及び
風量又は風速を調整するようになされた配向装置を通過
する際に非磁性支持体上の磁性塗料の乾燥及び配向を行
うように構成されたことにより、製造される磁気記録媒
体は、高度な表面性を保ちながら乾燥され、配向性の向
上と表面の平滑化の両立が図られ、高密度記録に対応す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造装置の一実施の形
態の概略構成図である。
【図2】配向装置の概略構成図である。
【図3】図2の配向装置の下側のドライヤーの要部の斜
視図である。
【図4】磁気記録媒体の塗膜構成を説明する要部の断面
図である。
【図5】磁性塗料を塗布する塗布装置の模式図である。
【図6】上下の開口部のスリットをずらして形成した配
向装置の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 巻き出し装置、2 塗布装置、3 マグネット、4
ドライヤー、5 溶剤吸引装置、6 乾燥装置、7
カレンダー装置、8 巻き取り装置、9 非磁性支持
体、10 磁性塗料、20 磁気記録媒体、M1,M2
配向装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 光浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 大村 正良 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 3L113 AA02 AA03 AB02 AC08 AC48 AC52 AC54 AC66 BA28 DA24 5D112 AA05 CC11 CC14 CC18 CC19

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に塗布された磁性塗料中
    の磁性粉を磁場中で一定方向に配向しながら当該磁性塗
    料の乾燥を行う磁場中乾燥工程において、 上記磁性粉を配向させる磁場発生装置内の上記非磁性支
    持体の進行方向の全長にわたって均一な温風を供給する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記温風の温度を30〜150℃の範囲
    内に設定することを特徴とする請求項1に記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記温風を上記非磁性支持体の両面側か
    らそれぞれ供給し、該温風の供給位置を非磁性支持体の
    一方の面側と他方の面側でずらすことを特徴とする請求
    項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に塗布された磁性塗料中
    の磁性粉を一定方向に配向しながら当該磁性塗料の乾燥
    を行う磁気記録媒体の製造装置であって、 上記磁性粉を配向させる磁場発生装置を有し、 上記磁性塗料を乾燥させる温風を供給する開口部を有す
    るノズルと、 上記温風の温度及び風量又は風速がそれぞれに調整され
    るようになされた調節機構とを有するドライヤーを具備
    して成り、 上記ノズルの上記開口部が、上記非磁性支持体の進行方
    向の全長にわたって上記温風を供給するように、上記磁
    場発生装置内に配置されたことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造装置。
  5. 【請求項5】 上記ノズルの開口部が、上記非磁性支持
    体の両面側に各々配置され、上記非磁性支持体の両面側
    から上記温風を供給することを特徴とする請求項4に記
    載の磁気記録媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】 上記非磁性支持体の両面側に配置された
    上記ノズルの開口部において、温風の吹き出し孔の位置
    が、上記非磁性支持体の一方の面側と他方の面側で規則
    的にずらされた関係となっていることを特徴とする請求
    項5に記載の磁気記録媒体の製造装置。
  7. 【請求項7】 上記温風によって磁性塗料から蒸発した
    有機溶剤を吸引して回収する装置を備えて成ることを特
    徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造装置。
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