JP2001133465A - フローインジェクション分析装置 - Google Patents

フローインジェクション分析装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1台の装置に対する1回のサンプル溶液の取
り込みによって2種の成分の分析を同時に実現するこ
と。 【解決手段】 前処理部Aにサンプル溶液を導入して溶
解処理し、分析部Bにおいて前処理部Aで前処理したサ
ンプル溶液をサンプル切取振分け弁31により所定量づ
つ切り取り2系統の細管32,33に交互に振り分け、
各細管32,33中のサンプル溶液を独立してフローイ
ンジェクション方式により分析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フローインジェク
ション方式を使用した分析装置において、1回のサンプ
ル溶液導入で異なる複数の成分を同時に分析できるよう
にする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電施設のボイラー給水系等では、その
給水中に鉄や銅等の金属成分が析出又は溶存している
と、それらがボイラー、タービン、配管等に付着してそ
れらを劣化させ、発電に支障を来す場合があるところか
ら、そのボイラ給水中の金属成分の量は厳しく管理しな
ければならない。
【0003】そこで、この銅や鉄等の金属成分の量を検
出する手法のひとつとして、フローインジェクション分
析が使用されている。
【0004】このフローインジェクション分析は、検出
すべき成分を含むサンプル溶液を細管中に一定流量で流
し、そこに薬液をセグメント状に注入してその細管内で
の両者の接触部分で例えば発色反応させ、その発色度合
を下流の分光検出器等で検出してサンプル溶液の成分濃
度分析を行うものである。
【0005】図6はその原理を説明するための図であ
る。採取したサンプル溶液はまず前処理部Aに給送さ
れ、そこでそのサンプル溶液中に析出している懸濁成分
の溶解によるイオン化、還元や酸化による調整等の処理
が行われた後、分析部Bに送られる。この分析部Bで
は、サンプル切取部51において一定量が切り取られて
細管52に給送される。この細管52にはキャリアポン
プ53によってキャリア溶液が一定流量で供給されてお
り、その流れの中にサンプル溶液がセグメント状に注入
される。そして、この細管52の途中には1又は複数の
薬液注入ポンプ54a,54b,54c,・・・により
PH調整用、発色反応用等その他の薬液が間欠的に注入
されるようになっており、これらの薬液がサンプル溶液
中にセグメント状に注入される。55は吸光度計等から
なる検出器であり、発色反応したサンプル溶液に特定波
長光を透過させてその吸収程度をみることによりその成
分の濃度等が検出される。そして、その検出内容は電気
データ信号として取り出され、図示しない後段の演算処
理部で処理されて表示/記録に供される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のフロ
ーインジェクション分析では、サンプル溶液中に2以上
の成分が含まれていてこれらを分析する場合、1台の装
置でこれを行うときは、サンプル溶液を複数回に分けて
採取すると共に、分析対象を変更する毎に薬液の切り替
え、検出器の光の波長の切り替え等を行うことが必要に
なり、非能率であった。また、同時に分析する場合には
同様の分析装置を複数用意する必要があった。
【0007】本発明の目的は、サンプル溶液を1台の装
置に1回導入することで複数の成分の同時分析が可能と
なるようにして、上記した問題を解決したフローインジ
ェクション分析装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1の発明は、導入したサンプル溶液を所定量づつ
切り取り複数系統の細管に順次振り分ける切取振分け手
段と該各系統の細管中のサンプル溶液を独立してフロー
インジェクション方式により分析する手段を有する分析
部を具備するよう構成した。
【0009】第2の発明は、第1の発明において、導入
したサンプル溶液に溶解、酸化、還元等の処理を加える
前処理部を前記分析部の上流に設けて構成した。
【0010】第3の発明は、第2の発明において、前記
前処理部が前記サンプル溶液を所定量切り取り第1キャ
リア溶液により押送する切取手段を具備し、前記分析部
の前記切取振分け手段が前記前処理部から給送された前
記切り取られたサンプル溶液及び該サンプル溶液の上流
の一部と下流の一部を含むように切り取り第2のキャリ
ア溶液により前記各系統の細管に順次振り分けるよう構
成した。
【0011】第4の発明は、第1乃至第3の発明におい
て、前記分析部において、薬液注入用ポンプとしてダブ
ルプランジャ型レシプロポンプを使用し、前記細管に異
なる薬液を180度位相差で注入するよう構成した。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の原理説明用のフロ
ーインジェクション分析装置の系統図である。ここで
は、前処理部Aで処理したサンプル溶液を分析部Bに導
入してフローインジェクション分析を行う。この分析部
Bは2系統の反応分析部を具備し、各系統の細管11,
12にはサンプル切取振分け部13によって交互に一定
量だけ切り取ったサンプル溶液をセグメント状にしてキ
ャリア溶液(図示せず)によって押送する。一方の細管
11には薬液注入ポンプ14a,14b,14c,・・
・によって各種薬液が間欠的に注入され、他方の細管1
2には別の薬液注入ポンプ15a,15b,15c,・
・・によって別の各種薬液が間欠的に注入される。16
は検出器であり、両細管11,12を流れるサンプル溶
液の特定波長の吸収程度から目的成分の分析を行う。こ
のとき異なる波長が要求されるときは、1個の光源から
所望の波長の光を2種取り出して使用する。
【0013】このように本実施形態では、サンプル溶液
を一定間隔で2系統の細管11,12に交互に振り分け
て給送しているので、1回サンプル溶液を導入して異な
る成分を独立し同時に分析できる。このとき、各系統の
相互間で影響を及ぼすことはない。
【0014】図2は本発明をボイラ給水中に析出してい
る銅と鉄を分析するフローインジェクション分析装置に
適用した系統図である。前処理部Aにおいて、21は第
1キャリア溶液供給ポンプであり、2系統の配管から供
給される第1キャリア溶液(例えば純水)aを給送す
る。22はボイラ給水から採取したサンプル溶液bを切
り取ってキャリア溶液aにセグメント状にはめ込むため
のサンプル切取弁であり、一定量の切り取りのためのサ
ンプルループ22aを有する。23は溶解液ポンプであ
り、2系統の配管から供給される溶解液(例えば塩酸)
cをサンプル切取弁22の下流に注入する。24はマイ
クロ波を加熱エネルギーとして利用した溶解部であり、
マイクロ波空胴共振器内の電界エネルギー集中部を溶液
が通過するように構成されている。25は溶解部24の
下流に設けた冷却部であり、所定温度に冷却管理した溶
液dを配管26に給送する。
【0015】分析部Bにおいて、31は前処理部Aから
給送される溶液dのうちのサンプル溶液部分を完全に含
む領域を一定量だけ切り取り、第2キャリア溶液(例え
ば、0.18モルの塩酸)e1,e2により第1細管32と
第2細管33に交互に振り分けて押送する16弁型のサ
ンプル切取振分け弁であり、一定量の切取用のサンプル
ループ31a,31bを有する。34はその第2キャリ
ア溶液eをサンプル切取振分け弁31にe1,e2に分
けて給送する第2キャリア溶液供給ポンプである。35
は銅発色用薬液f(例えばDTCS)と鉄マスク用薬液
g(例えば酒石酸)を第1細管32に交互に間欠的に供
給する薬液注入ポンプ、36は鉄還元用薬液h(例えば
塩酸ヒドロキシルアミン)と鉄発色用薬液i(例えばT
PTZ)を第2細管32に交互に間欠的に供給する薬液
注入ポンプ、37はPH調整用薬液j(例えば酢酸アン
モニウム緩衝液)を第1配管32と第2配管33に交互
に間欠的に供給する薬液注入ポンプである。
【0016】第1配管32には、PH調整用薬液j、鉄
マスク用薬液g、銅発色用薬液fの順序で下流方向に向
けて注入点が設けられ、銅発色用薬液fの注点の下流に
反応コイル38、検出器39、背圧コイル40が順次設
けられている。また、第2配管33には、鉄還元用薬液
h、鉄発色用薬液i、PH調整用薬液jの順序で下流方
向に向けて注入点が設けられ、そのPH調整用jの注入
点の下流に検出器41、背圧コイル42が順次設けられ
ている。
【0017】なお、以上において、ポンプ21,23,
34〜37は、すべてダブルプランジャ型レシプロポン
プであり、入力側に2系統で供給される溶液を180度
の位相差で2系統の出力側に交互に間欠的に供給する。
また、検出器39,41は共通の光源から出射した光か
ら所定の同一又は異なる波長の光を選択してそれを検出
光としたものであり、ここでは反応溶液を透過させてそ
の吸収程度により成分分析を行う。この検出器39,4
1で検出された信号は図示しない演算処理部で処理さ
れ、表示/記録に供される。
【0018】さて、前処理部Aのサンプル切取弁22
は、図3(a)に示すように第1の切替状態では開口部2
−3,4−5,6−1が各々連通しており、サンプル溶
液bがサンプルループ22aを経由してドレインに排出
されている。ここで、図3(b)に示すような第2の切替
状態に切り替えると、開口部1−2,3−4,5−6が
各々連通してサンプルループ22a内に一定量貯蔵され
ているサンプル溶液bがそのまま第1キャリア溶液aに
よって下流に押し出される。
【0019】したがって、サンプル切取弁22を所定の
周期で第1と第2の切替状態に交互に切り替えることに
よって、第1キャリア溶液a内に所定のピッチで所定の
長さ(量)のサンプル溶液bがセグメントの形で押し込
まれて給送される。
【0020】このサンプル溶液bはポンプ23で給送さ
れる溶解液cと混入されてから溶解部24の方向の押送
され、そこでマイクロ波加熱により溶解される。これに
よって、切り取られたサンプル溶液b中に析出していた
鉄成分や銅成分の懸濁物がイオン化される。そして、こ
の後に冷却部25で後段での化学反応に適した所定温度
にまで冷却されてから、配管26により分析部Bに給送
される。
【0021】分析部Bのサンプル切取振分け弁31は、
図4(a)に示すように第1の切替状態では開口部1−
2,3−4,5−6,7−8,9−10,11−12,
13−14,15−16が連通しており、溶液dがサン
プルループ31bを介してドレインに排出され、第2キ
ャリア溶液ポンプ34から供給される第2キャリア溶液
e1が第1細管32に給送され、第2キャリア溶液e2
がサンプルループ31a内の溶液dを第2細管33に押
送している。
【0022】ここで、図4(b)に示すような第2の切替
状態に切り替えると、開口部16−1,2−3,4−
5,6−7,8−9,10−11,12−13,14−
15が連通して、溶液dがサンプルループ31aを介し
てドレインに排出され、第2キャリア溶液ポンプ34か
ら供給される第2キャリア溶液e1がサンプルループ3
1b内のサンプル溶液dを第1細管32に押送し、第2
キャリアe2が第2配管33に給送される。
【0023】したがって、サンプル切取振分け弁31を
第1と第2の切替状態に一定の周期で切り替えれば、第
1細管32と第2細管33に第2キャリア溶液eによっ
て交互に溶液dがセグメント状に押し込まれて給送され
るようになる。
【0024】ここで、サンプル切取振分け弁31でのサ
ンプル切取量(サンプルループ31a,31bの長さや
関連する配管長によって決まる)を前記サンプル切取弁
22でのサンプル切取量(サンプルループ22aの長さ
や関連する配管長によって決まる)の2倍(例えば40
0μl用)に設定しておけば、サンプル切取弁22の切
り替えタイミングとサンプル切取振分け弁31の切り替
えタイミングを調整することによって、配管26の溶液
d内のサンプル溶液b’(サンプル溶液bを溶解液cで
溶解したもの)の長さ(例えば200μl相当)の前後
の長さ(例えば100μl相当)を含む2倍の長さ(例
えば400μl相当)をサンプル切取振分け弁31で切
り取って、第1,第2の細管32,33に交互に押送す
ることができる。すなわち、図5に示すように、サンプ
ル切取弁22で切り取られたサンプル溶液bの部分b’
を完全に含む形のサンプル溶液b”をサンプル切取振分
け弁31で切り取ることができる。図5中のa’は第1
キャリア溶液aに溶解液cを混入した領域部である。
【0025】以上のようにして、第1の細管32に振り
分けられたサンプル溶液b”は、薬液jの注入によって
PH調整され、その下流での薬液gの注入によって鉄イ
オンがマスキングされ、その下流で銅発色用薬液fが注
入されてから、反応コイル38に至ってそこで反応が促
進され、検出器39で発色部分での特定波長の吸収程度
が検出される。
【0026】一方、第2の細管33に振り分けられたサ
ンプル溶液b”は、薬液hの注入によって鉄イオンF
e2+、Fe3+等が全てFe2+に統一還元され、その下流で鉄
発色用薬液iが注入され、最後に薬液jの注入によって
PH調整されてから、検出器41で発色部分での特定波
長の吸収程度が検出される。
【0027】背圧コイル40,42は、第1,第2の細
管32,33の送液圧力に対して所定の背圧を与えて、
反応によって生じる可能性のある気泡の発生を抑制す
る。
【0028】以上のように、ここでは前処理部Aで前処
理したサンプル溶液dを分析部Bにおいて銅分析用と鉄
分析用の2系統に振り分けて分析しているので、1台の
装置にサンプル溶液を1回導入することで、銅と鉄を同
時に分析することができる。また、薬液注入用ポンプと
してダブルプランジャ型レシプロポンプを使用している
ので、2種の薬液を1個のポンプで供給することができ
必要ポンプ台数を半減できることは勿論、送られる液が
180度位相差を持つので同一細管に注入するときは無
脈流化を図ることができ、さらに、サンプル溶液を薬液
でサンドイッチ状に挟むことができるので、両者を確実
に接触させることができる。
【0029】なお、以上では銅と鉄を同時分析する例に
ついて説明したが、これに限られるものではなく、検出
器39,41の波長を変更し、薬液を変更することによ
り、シリカとリン酸、亜鉛と鉄、亜鉛と銅、その他の2
種の成分を同時に分析することができる。また、サンプ
ル切取振分弁31を3系統以上の系統に振り分ける弁に
交換すれば、3種以上の成分を同時に分析することがで
きる。
【0030】
【発明の効果】以上から本発明によれば、1台の装置に
対する1回のサンプル溶液の取り込みによって複数の成
分の分析を同時に実現することができる。このとき、個
々の成分分析用のサンプル溶液は独立した別系統に分離
されるので、薬液の選定に系統相互間の干渉について特
別の注意を払う必要はない。また、薬液注入用ポンプと
してダブルプランジャ型レシプロポンプを使用している
ので、必要ポンプ台数を半減でき、同一細管に注入する
ときは無脈流化を図ることができ、さらに、サンプル溶
液を薬液でサンドイッチ状に挟むことができるので、両
者を確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理説明用のフローインジェクショ
ン分析装置の系統図である。
【図2】 具体例のフローインジェクション分析装置の
系統図である。
【図3】 (a)、(b)は図2のサンプル切取弁22の切替
説明図である。
【図4】 (a)、(b)は図2のサンプル切取振分け弁31
の切替説明図である。
【図5】 サンプル切取振分け弁31の切取振分けの説
明図である。
【図6】 従来のフローインジェクション分析装置の原
理説明図である。
【符号の説明】
A:前処理部、B:分析部 11,12:細管、13:サンプル切取振分け部、14
a,14b,14c,15a,15b,15c:薬液注
入ポンプ、16:検出器 21:第1キャリア溶液供給ポンプ、22:サンプル切
取弁、23:溶解液供給ポンプ、24:溶解部、25:
冷却部、26:配管 31:サンプル切取振分け弁、32,33:細管、3
4:第2キャリア溶液供給ポンプ、35,36,37:
薬液注入ポンプ、38:反応コイル、39:検出器、4
0:背圧コイル、41:検出器、42:背圧コイル。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導入したサンプル溶液を所定量づつ切り取
    り複数系統の細管に順次振り分ける切取振分け手段と該
    各系統の細管中のサンプル溶液を独立してフローインジ
    ェクション方式により分析する手段を有する分析部を具
    備することを特徴とするフローインジェクション分析装
    置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 導入したサンプル溶液に溶解、酸化、還元等の処理を加
    える前処理部を前記分析部の上流に設けたことを特徴と
    するフローインジェクション分析装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、 前記前処理部が前記サンプル溶液を所定量切り取り第1
    キャリア溶液により押送する切取手段を具備し、前記分
    析部の前記切取振分け手段が前記前処理部から給送され
    た前記切り取られたサンプル溶液及び該サンプル溶液の
    上流の一部と下流の一部を含むように切り取り第2のキ
    ャリア溶液により前記各系統の細管に順次振り分けるこ
    とを特徴とするフローインジェクション分析装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3において、 前記分析部において、薬液注入用ポンプとしてダブルプ
    ランジャ型レシプロポンプを使用し、前記細管に異なる
    薬液を180度位相差で注入することを特徴とするフロ
    ーインジェクション分析装置。
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