JPH1164343A - フローインジェクション分析装置 - Google Patents

フローインジェクション分析装置

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JPH1164343A
JPH1164343A JP22935697A JP22935697A JPH1164343A JP H1164343 A JPH1164343 A JP H1164343A JP 22935697 A JP22935697 A JP 22935697A JP 22935697 A JP22935697 A JP 22935697A JP H1164343 A JPH1164343 A JP H1164343A
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JP
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acid
alkali
flow
sample liquid
liquid
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JP22935697A
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Makoto Satoda
誠 里田
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DKK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前処理部で試料液中の懸濁物質を酸又はアル
カリにより分解してから成分検出を行うフローインジェ
クション分析装置において、試料液中に分解用酸又はア
ルカリで分解されにくい懸濁物質が含まれている場合
に、この物質を容易に分解できるようにする。 【解決手段】 下記及びの構成の一方又は両方を採
用する。 前処理部に、キャリヤ液としての第1の分解用酸又は
アルカリの流れに試料液を注入する試料液注入手段と、
試料液注入手段により試料液を注入した第1の分解用酸
又はアルカリの流れに第2の分解用酸又はアルカリの流
れを合流させる分解試薬合流手段とを設ける。 前処理部に、キャリヤ液の流れに試料液を注入する試
料液注入手段と、試料液注入手段により試料液を注入し
たキャリヤ液の流れに分解用酸又はアルカリの流れを合
流させる分解試薬合流手段と、試料液注入手段によるキ
ャリヤ液の流れへの試料液の注入と切り替えてキャリヤ
液の流れへの高濃度の酸又はアルカリの注入を行う高濃
度試薬注入手段とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前処理部において
試料液中の懸濁物質を酸又はアルカリにより分解してか
ら試料液中の成分を検出するフローインジェクション分
析装置に関する。本発明のフローインジェクション分析
装置は、例えば、試料液中の全鉄測定装置、全シリカ測
定装置などに構成することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、フローインジェクション分析装置
として、前処理部において試料液中の懸濁物質を酸又は
アルカリにより分解した後、検出部において試料液中の
成分を検出するものが使用されている。例えば、図3に
示すTPTZ法による試料液中の全鉄測定装置は、その
一例である。
【0003】図3の装置において、2は六方切替バル
ブ、4は計量管、6は試料液導入流路、8は試料液排出
流路、10はサンプリングポンプ、12はキャリヤ液導
入流路、14は測定流路、16は分解用酸注入流路、1
8は分解器、20は冷却器、22は還元試薬注入流路、
24は発色試薬注入流路、26はpH調整剤注入流路、
28は検出器(吸光光度分析装置)、30,32,3
4,36,38はそれぞれ送液ポンプ、40,42,4
4,46はそれぞれ反応コイルを示す。本装置において
は、冷却器20及びそれより上流側の部分が前処理部4
8を構成し、冷却器20より下流側の部分が検出部50
を構成している。
【0004】TPTZ法は、鉄イオンを含む試料液に還
元試薬(塩化ヒドロキシルアンモニウム)を添加して3
価の鉄イオンを2価の鉄イオンに還元し、次いで試料液
に発色試薬(TPTZ;2,4,6−トリ−2−ピリジ
ル−1,3,5−トリアジン)及びpH調整剤(酢酸ア
ンモニウム溶液)を添加することにより、TPTZと2
価の鉄イオンとの反応により発色成分を生成させるとと
もに、試料液のpHを発色反応に適した3.4〜5.8
にした後、この試料液を吸光光度分析装置で測定するこ
とによって、試料液中の鉄イオン濃度に対応した信号を
得るものである。
【0005】上記TPTZ法によって試料液中の全鉄濃
度の測定を行う場合、試料液中にはイオン状の鉄の他
に、コロイド鉄や、ヘマタイト(Fe23)、マグネタ
イト(Fe34)といった懸濁物質状の酸化鉄が含まれ
ていることがあるため、これらコロイド鉄や懸濁物質状
の酸化鉄をイオン状の鉄に分解する必要がある。したが
って、図2の装置による試料液中の全鉄濃度の測定は、
次のように行われる。
【0006】まず、六方切替バルブ2を実線で示した流
路状態(計量側)とし、サンプリングポンプ10及び送
液ポンプ30,32,34,36,38をそれぞれ作動
させる。この状態において、試料液は試料液導入流路
6、計量管4、試料液排出流路8を順次流れ、計量管4
には試料液が充満している。
【0007】次に、六方切替バルブ2を点線で示した流
路状態(インジェクト側)に切り替える。これにより、
キャリヤ液導入流路12からのキャリヤ液(純水等)の
流れに計量管4内の試料液が注入される。試料液が注入
されたキャリヤ液は測定流路14に入り、測定流路14
と分解用酸注入流路16との連結箇所において上記キャ
リヤ液の流れと分解用酸(塩酸溶液等)の流れとが合流
する。さらに、合流したキャリヤ液と分解用酸は、反応
コイル40を通って分解器18に入る。分解器18内に
おいて、キャリヤ液は高温・高圧条件でキャピラリ管を
流れ、該キャピラリ管内で試料液中に含まれるコロイド
鉄、酸化鉄のイオンへの分解が行われる。その後、キャ
リヤ液は冷却器20で冷却される。
【0008】さらに、キャリヤ液には、還元試薬注入流
路22、発色試薬注入流路24、pH調整剤注入流路2
6から、それぞれ還元試薬、発色試薬、pH調整剤が添
加される。その後、キャリヤ液は検出器に入り、該検出
器が試料液中の全鉄濃度に対応した信号を発生する。本
装置では、上述した操作を繰り返して測定を行うもの
で、例えば5分間隔で測定が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前処理部において試料
液中の懸濁物質を酸又はアルカリにより分解してから試
料液中の成分を検出するフローインジェクション分析装
置では、測定対象成分であるが分解用酸又はアルカリに
よって分解されにくい懸濁物質が試料液中に存在する
と、測定上不都合が生じる。すなわち、キャリヤ液の流
れに懸濁物質を含む試料液が注入され、このキャリヤ液
が検出器に向けて進行するとき、懸濁物質は固体状であ
るため、配管内壁に衝突することなどによって試料液よ
り遅れて流路を進行する。この懸濁物質が分解用酸又は
アルカリによって分解されにくい物質であると、試料液
よりかなり遅れた位置で分解されるため、例えば検出器
として吸光光度分析計等の目的成分のピークを検出する
ものを用いた場合に、ピーク幅が広がったり、いったん
ベースラインに戻った後にさらにピークが生じたりする
ので、各測定間の時間間隔を長くとることが必要とな
り、測定を迅速に行うことができなくなるといった不都
合が生じる。すなわち、ピークが次のピークと重なると
濃度計算に誤差を与えるので、ピーク幅が広がったり、
いったんベースラインに戻った後にさらにピークが生じ
たりしたときには、測定時間間隔を長くする必要が生
じ、その結果測定の迅速性が失われる。
【0010】例えば、図2に示した全鉄測定装置で測定
を行う試料液中には、前述したように、コロイド鉄や、
ヘマタイト(Fe23)、マグネタイト(Fe34)と
いった懸濁物質状の酸化鉄が含まれていることがある
が、コロイド鉄、ヘマタイトは分解用酸によって分解さ
れやすいのに対し、マグネタイトは分解されにくいた
め、分解器18内において試料液からかなり遅れた位置
で分解する。そして、その結果ピーク幅が広がったり、
いったんベースラインに戻った後にさらにピークが生じ
たりするため、各測定間の時間間隔を長くとることが必
要となり、測定を迅速に行うことができなかった。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、前処理部において試料液中の懸濁物質を酸又はアル
カリにより分解してから試料液中の成分を検出するフロ
ーインジェクション分析装置であって、試料液中に分解
用酸又はアルカリで分解されにくい懸濁物質が含まれて
いる場合に、該懸濁物質を容易に分解することができ、
したがってピーク幅が広がったり、いったんベースライ
ンに戻った後にさらにピークが生じたりすることを防止
して、迅速に測定を行うことが可能なフローインジェク
ション分析装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、下記の第1〜第3発明を提供する。第1発明 前処理部において試料液中の懸濁物質を酸又はアルカリ
により分解してから試料液中の成分を検出するフローイ
ンジェクション分析装置であって、前記前処理部は、キ
ャリヤ液としての第1の分解用酸又はアルカリの流れに
試料液を注入する試料液注入手段と、試料液注入手段に
より試料液を注入した第1の分解用酸又はアルカリの流
れに第2の分解用酸又はアルカリの流れを合流させる分
解試薬合流手段とを具備することを特徴とするフローイ
ンジェクション分析装置。
【0013】第2発明 前処理部において試料液中の懸濁物質を酸又はアルカリ
により分解してから試料液中の成分を検出するフローイ
ンジェクション分析装置であって、前記前処理部は、キ
ャリヤ液の流れに試料液を注入する試料液注入手段と、
試料液注入手段により試料液を注入したキャリヤ液の流
れに分解用酸又はアルカリの流れを合流させる分解試薬
合流手段と、試料液注入手段によるキャリヤ液の流れへ
の試料液の注入と切り替えて該キャリヤ液の流れへの高
濃度の酸又はアルカリの注入を行う高濃度試薬注入手段
とを具備することを特徴とするフローインジェクション
分析装置。
【0014】第3発明 前処理部において試料液中の懸濁物質を酸又はアルカリ
により分解してから試料液中の成分を検出するフローイ
ンジェクション分析装置であって、前記前処理部は、キ
ャリヤ液としての第1の分解用酸又はアルカリの流れに
試料液を注入する試料液注入手段と、試料液注入手段に
より試料液を注入した第1の分解用酸又はアルカリの流
れに第2の分解用酸又はアルカリの流れを合流させる分
解試薬合流手段と、試料液注入手段による第1の分解用
酸又はアルカリの流れへの試料液の注入と切り替えて該
第1の分解用酸又はアルカリの流れへの高濃度の酸又は
アルカリの注入を行う高濃度試薬注入手段とを具備する
ことを特徴とするフローインジェクション分析装置。
【0015】キャリヤ液として例えば純水を使用する
と、キャリヤ液の流れに試料液を注入し、さらにこのキ
ャリヤ液の流れと分解用酸又はアルカリの流れとを合流
させた場合、図1(a)に模式的に示すように、試料液
の前後は純水となり、酸又はアルカリは試料液中に拡散
する。したがって、試料液の後ろ側で酸又はアルカリが
純水によって希釈され、試料液より遅れて進行する懸濁
物質の分解効率が低下するため、分解用酸又はアルカリ
で分解されにくい懸濁物質は分解器内等において容易に
分解せず、試料液よりかなり遅れた位置で分解する。そ
の結果、ピーク幅が広がったり、いったんベースライン
に戻った後にさらにピークが生じたりする。
【0016】これに対し、第1発明では、キャリヤ液と
して第1の分解用酸又はアルカリを用いたので、第1の
分解用酸又はアルカリの流れに試料液を注入し、さらに
この第1の分解用酸又はアルカリの流れと第2の分解用
酸又はアルカリの流れとを合流させた場合、図1(b)
に模式的に示すように、試料液の前後は分解用酸又はア
ルカリとなるため、純水をキャリヤ液として用いた場合
のように試料液の後ろ側で酸又はアルカリが希釈される
ことがない。したがって、試料液の後ろ側において酸又
はアルカリの濃度が維持され、試料液より遅れて進行す
る懸濁物質の分解効率が向上するので、分解用酸又はア
ルカリで分解されにくい懸濁物質であってもこの懸濁物
質は分解器内等において試料液内あるいは試料液と近い
位置で容易に分解する。したがって、ピーク幅が広がっ
たり、いったんベースラインに戻った後にさらにピーク
が生じたりすることが防止される。また、第1発明で
は、キャリヤ液として第1の分解用酸又はアルカリを用
いたので、第1の分解用酸又はアルカリの流れと第2の
分解用酸又はアルカリの流れとの合流箇所より上流側、
例えば図3の装置の六方切替バルブ2内等に滞留してい
る懸濁物質を分解しやすくなる。さらに、第1の分解用
酸又はアルカリの流れと第2の分解用酸又はアルカリの
流れとを合流させるようにしたので、試料液の前後から
第1の分解用酸又はアルカリが試料液中に拡散し、試料
液の側方から第2の分解用酸又はアルカリが試料液中に
拡散する。したがって、試料液全体と酸又はアルカリと
が均一に混合され易くなり、均一な懸濁物質分解作用を
得ることが可能となる。
【0017】第2発明では、試料液注入手段によるキャ
リヤ液の流れへの試料液の注入と切り替えて該キャリヤ
液の流れへの高濃度の酸又はアルカリの注入を行うよう
にしたので、キャリヤ液として例えば純水を使用し、こ
のキャリヤ液の流れに試料液を注入し、さらに高濃度の
酸又はアルカリを注入した後、このキャリヤ液の流れと
分解用酸又はアルカリの流れとを合流させた場合、図1
(c)に模式的に示すように、試料液の後方に高濃度の
酸又はアルカリが位置することになる。したがって、試
料液中に分解用酸又はアルカリではきわめて分解されに
くい懸濁物質が存在していても、この懸濁物質を高濃度
の酸又はアルカリによって試料液と近い位置で確実に分
解することができる。この場合、高濃度の酸又はアルカ
リの使用量は少なくてよいので、目的成分の検出のため
に測定対象液を適切なpHに調整する必要がある場合で
も、大量のpH調整剤を使用することなく、容易に試料
液のpHを適切な範囲にすることができる。
【0018】第3発明では、キャリヤ液として第1の分
解用酸又はアルカリを用いるとともに、試料液注入手段
による第1の分解用酸又はアルカリの流れへの試料液の
注入と切り替えて該第1の分解用酸又はアルカリの流れ
への高濃度の酸又はアルカリの注入を行うようにしたの
で、第1の分解用酸又はアルカリの流れに試料液を注入
し、さらに高濃度の酸又はアルカリを注入した後、この
第1の分解用酸又はアルカリの流れと第2の分解用酸又
はアルカリの流れとを合流させた場合、図1(d)に模
式的に示すように、試料液の前後は分解用酸又はアルカ
リとなるとともに、試料液の後方に高濃度の酸又はアル
カリが位置することになる。したがって、第3発明によ
れば、前述した第1発明の作用効果及び第2発明の作用
効果の両方を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図2は本発明フローインジェクシ
ョン分析装置の一実施形態例に係るTPTZ法による全
鉄測定装置を示すフロー図である。本装置は、次に述べ
る点を除けば図3に示した装置と同じであるため、図2
において図3の装置と同一構成の部分には、同一参照符
号を付してその説明を省略する。
【0020】本装置においては、試料液導入流路6に切
替バルブ52を介して高濃度酸導入流路54が連結さ
れ、切替バルブ52の切り替えによって六方切替バルブ
2、計量管4、試料液排出流路8への試料液の送液又は
高濃度酸の送液を行うことができるようになっている。
また、本装置においては、キャリヤ液導入流路12から
六方切替バルブ2にキャリヤ液として第1の分解用酸を
送液し、分解用酸注入流路から測定流路14に第2の分
解用酸を送液するようになっている。
【0021】本装置は、第3発明を実施し得るもので、
本装置においては、六方切替バルブ2、計量管4、キャ
リヤ液導入流路12、送液ポンプ30によって試料液注
入手段が構成され、分解用酸注入流路16、送液ポンプ
32によって分解試薬合流手段が構成され、切替バルブ
52、高濃度酸導入流路54、六方切替バルブ2、計量
管4によって高濃度試薬注入手段が構成されている。
【0022】図3の装置を用いた第3発明による試料液
中の全鉄濃度の測定は、次のように行われる。 (1)切替バルブ52を試料液送液側にするとともに、
六方切替バルブ2を実線で示した流路状態(計量側)と
し、サンプリングポンプ10及び送液ポンプ30,3
2,34,36,38をそれぞれ作動させる。この状態
において、計量管4には試料液が充満している。
【0023】(2)六方切替バルブ2を点線で示した流
路状態(インジェクト側)に切り替える。これにより、
キャリヤ液導入流路12からのキャリヤ液としての第1
の分解用酸の流れに計量管4内の試料液が注入される。
【0024】(3)切替バルブ52を高濃度酸送液側に
切り替えるとともに、六方切替バルブ2を実線で示した
流路状態(計量側)に切り替え、一定時間待機する(例
えば15秒)。この状態において、計量管4には高濃度
酸が充満している。
【0025】(4)六方切替バルブ2を点線で示した流
路状態(インジェクト側)に切り替える。これにより、
キャリヤ液導入流路12からの第1の分解用酸の流れに
計量管4内の高濃度酸が注入される。
【0026】(5)試料液及び高濃度酸が注入された第
1の分解用酸は測定流路14に入り、測定流路14と分
解用酸注入流路16との連結箇所において上記第1の分
解用酸の流れと第2の分解用酸の流れとが合流する。さ
らに、合流した第1の分解用酸と第2の分解用酸は、反
応コイル40を通って分解器18に入る。分解器18内
において、合流した第1の分解用酸と第2の分解用酸は
高温・高圧条件でキャピラリ管を流れ、該キャピラリ管
内で試料液中に含まれるコロイド鉄、酸化鉄のイオンへ
の分解が行われる。その後、第1の分解用酸と第2の分
解用酸の流れは冷却器20で冷却される。
【0027】(6)還元試薬注入流路22、発色試薬注
入流路24、pH調整剤注入流路26から、第1及び第
2の分解用酸の流れにそれぞれ還元試薬、発色試薬、p
H調整剤が添加される。その後、第1及び第2の分解用
酸の流れは検出器に入り、該検出器が試料液中の全鉄濃
度に対応した信号を発生する。本装置は、(1)〜
(6)を繰り返して測定を行うものである。
【0028】なお、以上では第3発明を実施する場合に
ついて述べたが、第1発明のみを実施する場合には、高
濃度酸の注入を行わなければよい。したがって、切替バ
ルブ52、高濃度酸導入流路54は省略してもよい。ま
た、第2発明のみを実施する場合には、キャリヤ液導入
流路12から六方切替バルブ2に通常のキャリヤ液を送
液すればよい。
【0029】本例のように、本発明において前処理部で
酸により分解する懸濁物質が試料液中の酸化鉄である場
合、特筆すべきこととして下記の事項が挙げられる。 第1発明及び第3発明における第1及び第2の分解用
酸の酸濃度は0.7〜3mol/Lが適当である。 第2発明及び第3発明における高濃度酸の酸濃度は7
mol/L以上、特に9mol/L以上、中でも12m
ol/L程度が適当である。 分解対象が酸化鉄である場合、発色反応に適したpH
範囲は3.4〜5.8であるから、測定対象液のpHが
この範囲となるように測定対象液にpH調整剤を注入す
ることが適当である。
【0030】また、本発明において前処理部で酸又はア
ルカリにより懸濁物質を分解する場合、特筆すべきこと
として一般的に下記の事項が挙げられる。 (イ)第2発明における高濃度酸又はアルカリのキャリヤ
液の流れへの注入及び第3発明における高濃度酸又はア
ルカリの第1の分解用酸又はアルカリの流れへの注入
は、1回でもよく、複数回でもよい。 (ロ)第1及び第2の分解用酸又はアルカリ並びに高濃度
酸又はアルカリとしては、塩酸溶液、硫酸溶液、硝酸溶
液、炭酸ナトリウム溶液といった適宜の酸又はアルカリ
溶液を使用することができる。 (ハ)第1の分解用酸又はアルカリの酸又はアルカリ濃度
と第2の分解用酸又はアルカリの酸又はアルカリ濃度と
は同じでもよく、同じでなくてもよいが、同じであるか
ほぼ同等であることが好ましい。両者の酸又はアルカリ
濃度を同じにするかほぼ同等にすると、第1及び第2の
分解用酸又はアルカリの送液ポンプの流量が多少変動し
ても分解用酸又はアルカリ全体の濃度が変化しないの
で、ベースラインが安定するという利点が得られる。 (ニ)第2発明におけるキャリヤ液としては、例えば純
水、酸濃度12m mol/L程度の希酸溶液等を使用
することができる。 (ホ)検出部において測定対象液に添加するpH調整剤の
濃度及び流量は、第1及び第2の分解用酸又はアルカ
リ、高濃度酸又はアルカリの流量及び濃度や、高濃度酸
又はアルカリの注入回数などに応じて適宜設定する。
【0031】なお、本実施形態例においては、前処理部
において試料液中の懸濁物質を酸により分解する例を示
したが、前処理部において試料液中の懸濁物質をアルカ
リにより分解する例としては、例えば、試料液中の全シ
リカ測定装置を挙げることができる。
【0032】
【実施例】図2に示した装置を用い、表1に示した条件
で実験A〜Kを行った。装置としては、下記のものを用
いた。 ・サンプリングポンプ10:30秒/1ストローク(1
ストロークは6mLに相当する。) ・計量管4の容量:300μL ・分解器18のキャピラリ管:内径0.5mm、長さ7
m ・分解器18における加熱温度:198℃ ・冷却器20:水冷式 ・反応コイル40,42,44:内径0.5mm、長さ
3m ・反応コイル46:内径0.5mm、長さ10m ・検出器28:セル長10mm、検出波長595nm
【0033】キャリヤ液、分解用酸及び高濃度酸として
は塩酸溶液、還元試薬としては塩化ヒドロキシルアンモ
ニウム溶液、発色試薬としてはTPTZ溶液、pH調整
剤としては酢酸アンモニウム溶液を用いた。なお、本例
で用いたサンプリングポンプ10は、ワンストローク3
0秒なので、試料液を注入してから約15秒後に高濃度
酸を注入できた。
【0034】また、試料液としては下記のものを用い
た。この場合、試料液の測定回数(試料液の注入回数)
を、実験Aでは4回、Bでは3回、Cでは3回、Dでは
1回、Eでは1回、Fでは2回、Gでは1回、Hでは1
回、Iでは1回、Jでは2回、Kでは1回とした。 ・実験A:FeCl3濃度500μg/Lの標準液 ・実験B:数百μg/Lのコロイド鉄を主として含む実
サンプル ・実験C:約1000μg/Lのヘマタイトを主として
含む実サンプル ・実験D〜K:約2000μg/Lのマグネタイトを主
として含む実サンプル
【0035】
【表1】
【0036】実験A〜Kで得られたピーク波形を図4〜
14に示す。これらの図より、下記のことがわかる。 ・FeCl3標準液、コロイド鉄を含む試料液、ヘマタ
イトを含む試料液は、実質的にマグネタイトを含まない
ため、キャリヤ液として希酸溶液を用いた場合でも、良
好なピークが得られている(実験A:図4、実験B:図
5、実験C:図6)。 ・マグネタイトを含む試料液はマグネタイトが分解され
にくいため、キャリヤ液として希酸溶液を用いる従来の
方法では、ピーク幅が広がり、またいったんベースライ
ンに戻った後にさらにピークが生じている(実験D:図
7)。 ・マグネタイトを含む試料液は、キャリヤ液として分解
用酸を用いた場合、ピーク幅が狭くなる。しかし、いっ
たんベースラインに戻った後にピークが生じている(実
験E:図8)。 ・マグネタイトを含む試料液について、キャリヤ液とし
て分解用酸を用い、かつ高濃度酸を注入した場合、ピー
ク幅が狭くなり、しかもベースラインに戻った後にピー
クは生じていない(実験F:図9)。ただし、分解用酸
又は高濃度酸の濃度が低い場合は、ピーク波形が悪化す
る(実験G:図10、実験H:図11、実験I:図1
2)。 ・マグネタイトを含む試料液について、高濃度酸の注入
回数を複数回とすることにより、分解用酸の濃度をある
程度低く抑えても良好なピーク波形が得られる(実験
J:図13、実験K:図14)。
【0037】
【発明の効果】本発明のフローインジェクション分析装
置によれば、試料液中に分解用酸又はアルカリで分解さ
れにくい懸濁物質が含まれている場合に、該懸濁物質を
容易に分解することができ、したがってピーク幅が広が
ったり、いったんベースラインに戻った後にさらにピー
クが生じたりすることを防止して、迅速に測定を行うこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はキャリヤ液の流れに試料液を注入し、
さらにこのキャリヤ液の流れと分解用酸又はアルカリの
流れとを合流させた状態を模式的に示す図、(b)は第
1の分解用酸又はアルカリの流れに試料液を注入し、さ
らにこの第1の分解用酸又はアルカリの流れと第2の分
解用酸又はアルカリの流れとを合流させた状態を模式的
に示す図、(c)はキャリヤ液の流れに試料液を注入
し、さらに高濃度の酸又はアルカリを注入した後、この
キャリヤ液の流れと分解用酸又はアルカリの流れとを合
流させた状態を模式的に示す図、(d)は第1の分解用
酸又はアルカリの流れに試料液を注入し、さらに高濃度
の酸又はアルカリを注入した後、この第1の分解用酸又
はアルカリの流れと第2の分解用酸又はアルカリの流れ
とを合流させた状態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態例に係るTPTZ法による
全鉄測定装置を示すフロー図である。
【図3】従来のTPTZ法による全鉄測定装置の一例を
示すフロー図である。
【図4】実施例における実験Aにより得られたピーク波
形である。
【図5】実施例における実験Bにより得られたピーク波
形である。
【図6】実施例における実験Cにより得られたピーク波
形である。
【図7】実施例における実験Dにより得られたピーク波
形である。
【図8】実施例における実験Eにより得られたピーク波
形である。
【図9】実施例における実験Fにより得られたピーク波
形である。
【図10】実施例における実験Gにより得られたピーク
波形である。
【図11】実施例における実験Hにより得られたピーク
波形である。
【図12】実施例における実験Iにより得られたピーク
波形である。
【図13】実施例における実験Jにより得られたピーク
波形である。
【図14】実施例における実験Kにより得られたピーク
波形である。
【符号の説明】
2 六方切替バルブ 4 計量管 6 試料液導入流路 8 試料液排出流路 10 サンプリングポンプ 12 キャリヤ液導入流路 14 測定流路 16 分解用酸注入流路 18 分解器 20 冷却器 22 還元試薬注入流路 24 発色試薬注入流路 26 pH調整剤注入流路 28 検出器 48 前処理部 50 検出部 52 切替バルブ 54 高濃度酸導入流路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前処理部において試料液中の懸濁物質を
    酸又はアルカリにより分解してから試料液中の成分を検
    出するフローインジェクション分析装置であって、前記
    前処理部は、キャリヤ液としての第1の分解用酸又はア
    ルカリの流れに試料液を注入する試料液注入手段と、試
    料液注入手段により試料液を注入した第1の分解用酸又
    はアルカリの流れに第2の分解用酸又はアルカリの流れ
    を合流させる分解試薬合流手段とを具備することを特徴
    とするフローインジェクション分析装置。
  2. 【請求項2】 前処理部において試料液中の懸濁物質を
    酸又はアルカリにより分解してから試料液中の成分を検
    出するフローインジェクション分析装置であって、前記
    前処理部は、キャリヤ液の流れに試料液を注入する試料
    液注入手段と、試料液注入手段により試料液を注入した
    キャリヤ液の流れに分解用酸又はアルカリの流れを合流
    させる分解試薬合流手段と、試料液注入手段によるキャ
    リヤ液の流れへの試料液の注入と切り替えて該キャリヤ
    液の流れへの高濃度の酸又はアルカリの注入を行う高濃
    度試薬注入手段とを具備することを特徴とするフローイ
    ンジェクション分析装置。
  3. 【請求項3】 前処理部において試料液中の懸濁物質を
    酸又はアルカリにより分解してから試料液中の成分を検
    出するフローインジェクション分析装置であって、前記
    前処理部は、キャリヤ液としての第1の分解用酸又はア
    ルカリの流れに試料液を注入する試料液注入手段と、試
    料液注入手段により試料液を注入した第1の分解用酸又
    はアルカリの流れに第2の分解用酸又はアルカリの流れ
    を合流させる分解試薬合流手段と、試料液注入手段によ
    る第1の分解用酸又はアルカリの流れへの試料液の注入
    と切り替えて該第1の分解用酸又はアルカリの流れへの
    高濃度の酸又はアルカリの注入を行う高濃度試薬注入手
    段とを具備することを特徴とするフローインジェクショ
    ン分析装置。
  4. 【請求項4】 前処理部において酸又はアルカリにより
    分解する懸濁物質が試料液中の酸化鉄である請求項1〜
    3に記載のフローインジェクション分析装置。
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