JP2001132369A - 勾配面用梯子および梯子の設置方法 - Google Patents

勾配面用梯子および梯子の設置方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 勾配面を有する構造物にも容易に設置するこ
とができる梯子を提供する。勾配面を有する構造物に梯
子を安定して設置することができ、その位置調整も容易
に行うことが可能な梯子の設置方法を提供する。 【解決手段】 勾配面を有する構造物5に係止するため
のフック2を上端部に備えるとともに、該構造物5の勾
配面上を滑動するための車輪3を下端部に備える勾配面
用梯子L1とし、該構造物5に既設されている掛止用突
起部7に支持させるようにして横架材6を架設し、上記
梯子L1を、該横架材6に係止するようにして設置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根等のよ
うな勾配面を有する構造物に架設して使用するための梯
子に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】例えば図
7に示すように、建物の屋上階Rから葺下し屋根5上へ
下りて、トップライト周りの点検やシーリング作業とい
った各種メンテナンス作業を行うような場合、該葺下し
屋根5がある程度以上の勾配を有するものであると、直
接該葺下し屋根5上に下りて作業を行うのは困難である
ため、同図に示すような梯子L10等の昇降手段を使用
する必要がある。
【0003】しかしながら、特に上記葺下し屋根5のよ
うな勾配面に、梯子L10等を上方から設置するのは面
倒である。例えば外壁面などの垂直面に沿って梯子を設
置する場合であれば、梯子を垂直に降ろしていくように
すればよいが、上記のような勾配面の場合は、該勾配面
に沿って梯子を斜め下方におろしておくか、あるいは図
7中の矢印A10に示すように、梯子L10の下端部を
前方にさしだすようにしてから該勾配面上に下ろすよう
にする必要があるため、特に該梯子L10が長尺である
場合やその重量が大である場合ほど、この動作が行いづ
らい。
【0004】また、梯子L10を十分に安定して設置す
ることが難しい場合も多く、このためメンテナンス作業
の際の安全性が不十分となりやすい。さらにまた、梯子
L10の位置を変更するのが面倒な場合や困難な場合も
あり、このため上記メンテナンス作業が非効率的となっ
たり不十分となったりしやすいという問題もある。
【0005】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、勾配面を有する構造物にも容易に設置すること
ができる梯子を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明は、勾配面を有する構造物に
梯子を安定して設置することができ、その位置調整も容
易に行うことが可能な梯子の設置方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本発明の請求項1に記載の勾配面用梯子は、
勾配面を有する構造物に設置して使用するための梯子で
あって、前記構造物に係止するためのフックを上端部に
備えるとともに、前記勾配面上を滑動するための車輪を
下端部に備えることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の請求項2に記載の勾配面用
梯子は、前記請求項1に記載の勾配面用梯子において、
少なくとも上端部に手摺を備えることを特徴とするもの
である。
【0009】また、本発明の請求項3に記載の勾配面用
梯子は、前記請求項1または2に記載の勾配面用梯子に
おいて、複数の分割体を着脱可能に連結することにより
構成されていることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の請求項4に記載の梯子の設
置方法は、勾配面を有する構造物に梯子を設置する方法
であって、前記構造物に既設されている掛止用突起部に
支持させるようにして横架材を架設し、前記請求項1乃
至3に記載の勾配面用梯子を、該横架材に係止するよう
にして設置することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、実施形態を例示し、本発明
を具体的に記述する。図1には、本発明の一実施形態に
係る勾配面用梯子が示されている。同図に示す勾配面用
梯子(以下、単に梯子とも称す)L1は、梯子本体1
に、フック2および車輪3が設けられた構成となってい
る。
【0012】梯子本体1は、複数の分割体1T、1M、
1Bを上下方向に連結することにより構成されている。
上記各分割体1T、1M、1Bは、いずれもアルミニウ
ム製の部材となっており、通常の梯子と同様に、縦方向
に延びる両側材の間に複数の横桟を架設した基本構成と
なっている。
【0013】上記複数の分割体1T、1M、1Bのう
ち、最上部を構成する分割体(以下、上部エレメントと
称す)1Tにおいては、図2にも示すように、両側材1
a、1aの上端にフック2、2がそれぞれ配設されてい
る。該両側材1a、1aの上端部には、それぞれ外側へ
突出させるようにしてUボルト11、11が固定されて
おり、該フック2、2は、チェーンを介して該Uボルト
11、11に連結されている。該フック2、2には、外
れ止め手段としてラッチ2a、2aがそれぞれ設けられ
ている。
【0014】上記上部エレメント1Tの両側材1a、1
aの上端近傍および下端近傍(計4箇所)には、それぞ
れ短尺の脚1bが配設されている。該脚1bは、設置面
に対し梯子L1を支持する部材であり、該上部エレメン
ト1Tの裏側方向へ、即ち、両側材1a、1aおよび横
桟によって構成される面に垂直な方向に沿って一方側方
向へ突出するように設けられている。該脚1bの自由端
には、弾性材1cが配設されている。
【0015】上記上部エレメント1Tの両側材1a、1
aの下端には、中間部を構成する分割体(以下、中間部
エレメントと称す)1Mの両側材1d、1dの上端が着
脱可能に連結される。前記上部エレメント1Tの両側材
1a、1aの下端には、上下に2つのピン挿通孔が設け
られた挿入片12、12が下方へ突出するようにしてそ
れぞれ接合されている。前記中間部エレメント1Mの両
側材1d、1dの上端部には、上面視コの字形状のプレ
ートを、内部に若干の間隙が形成されるようにして外側
から嵌着することにより、バックル部13,13がそれ
ぞれ設けられており、該バックル部13,13には、前
記間隙の内部へ出入可能な連結ピン13a、13aがそれ
ぞれ配設されている。また、該バックル部13、13の
やや下方には、ピン挿通孔14、14がそれぞれ配設さ
れている。
【0016】上記上部エレメント1Tの挿入片12、1
2を、バックル部13、13内に挿入し、該挿入片1
2、12の上側のピン挿通孔に連結ピン13a、13aを
挿通し、さらに、下側のピン挿通孔と、前記中間部エレ
メント1Mのピン挿通孔14、14とに、トグルピン
(図示せず)を挿通してロックすることによって、上部
エレメント1Tと中間部エレメント1Mとが連結され
る。
【0017】上記中間部エレメント1Mは、上端部以外
は前記上部エレメント1Tとほぼ同様の構成を有してい
る。
【0018】上記中間部エレメント1Mの両側材1d、
1dの下端には、図3に示すように、下端部を構成する
分割体(以下、下部エレメントと称す)1Bの両側材1
e、1eの上端が着脱可能に連結される。この連結構造
は、前記図2に示す上部エレメント1Tと中間部エレメ
ント1Mとの連結構造と同様である。
【0019】上記下部エレメント1Bは、下端部以外は
前記中間部エレメント1Mと同様の構成を有している。
【0020】上記下部エレメント1Bの両側材1e、1
eの下端には、車輪3、3がそれぞれ配設されている。
該車輪3、3は、該下部エレメント1Bの幅方向に平行
な軸に支持された状態で、旋回し得ないように固定され
ており、該車輪3、3により、図3中の矢印A1に示す
ように、梯子L1の下端を該梯子L1の長さ方向にほぼ
沿って滑動させ得るようになっている。該車輪3、3
は、該車輪3、3を高さ調節可能に支持するブラケット
3a、3aを介して、上記両側材1e、1eの下端に取り
付けられている。
【0021】上記梯子L1には、必要に応じ、図1に示
すような手摺4が左右両側に取り付けられる(図1では
一方の手摺4のみ図示)。該手摺4は、パイプを枠状に
構成してなり、対向する2長辺部と2短辺部とにより略
長方形状の外形を有し、一方長辺部の両端に位置する隅
部は丸く形成されている。中央部より若干一方短辺部寄
りの位置には、該短辺部に平行にパイプが架設されてお
り、このほぼ中央部のパイプと、該パイプに若干近接す
る上記短辺部のパイプとは、他方長辺部、即ち前記両端
が丸形の長辺部に対向する長辺部よりも外側へやや突出
して、それぞれ短尺の突出片4a、4aを形成してい
る。
【0022】図2に示すように、前記上部エレメント1
Tにおける両側材1a、1aの外側面の上端近傍および
下端近傍、より具体的には、前記各脚1bの配設位置よ
り若干内側寄りの位置には、該脚1bと同方向に延びる
短尺のパイプ4bがそれぞれ配設されており、前記手摺
4の突出片4aが該パイプ4bに挿入され固定されるよ
うになっている。
【0023】上記梯子L1は、前記中間部エレメント1
Mを省略、あるいは必要数だけ追加することにより、段
階的に長さを調整することができる。該梯子L1を縮小
する場合には、前記上部エレメント1Tと下部エレメン
ト1Bとを直接連結すればよく、延長する場合には、前
記上部エレメント1Tと下部エレメント1Bとの間に、
必要数の中間部エレメント1Mを追加して連結すればよ
い。
【0024】以下、上記梯子L1を建物の葺下し屋根に
設置する方法の一例を順次記述する。 (1)まず、図4に示すように、葺下し屋根5の上端部
に横架材6を架設する。
【0025】ここに示す例では、上記葺下し屋根5の上
端縁に沿った複数の適宜位置に、安全帯取付用のループ
状部7が既設されている。該ループ状部7は、半リング
状の部材の両端を葺下し屋根5の屋根流れ面上に固着す
るようにして設けられている。一方、上記横架材6とし
ては単管が用いられており、両端部をクランプ6a等を
介して上記ループ状部7に掛止することによって、葺下
し屋根5の上端縁に沿って該横架材6を水平な状態に架
設するようになっている。上記クランプ6aにも、ルー
プ状の掛止部が設けられており、該クランプ6aの掛止
部と前記葺下し屋根5のループ状部7とが、シャックル
8等を介して掛止されるようになっている。また、該ク
ランプ6aには、葺下し屋根5との間に介在させるため
のゴム等よりなる弾性材(図示せず)が設けられてい
る。
【0026】(2)ついで、梯子L1を組み立てる。
【0027】梯子L1は、葺下し屋根5の長さに応じて
適当な長さとなるように組み立て、必要に応じ手摺4を
取り付ける。
【0028】(3)ついで、図5に示すように、梯子L
1を屋根流れ面に沿って下方におろしていくようにす
る。
【0029】このとき、梯子L1の下端は車輪3、3に
より屋根流れ面上で滑動させるようにしておろしていく
ようにすればよい。またこのとき、前記手摺4を取り付
けておくと、該手摺4を把持することにより梯子L1を
より容易に扱うことができ、さらに、該手摺4を図5に
示すように梯子L1の上端から突出させるようにして取
り付けておくと、梯子L1がより扱いやすくなる。
【0030】(4)ついで、図6に示すように、上端を
前記横架材6に係止するようにして、梯子L1を葺下し
屋根5に設置固定する。
【0031】このとき、梯子L1の上端はフック2、2
により横架材6に係止すればよい。これにより、該梯子
L1の上端が、横架材6を介し、葺下し屋根5に係止固
定される。
【0032】上記梯子L1を撤去する際には、上記とほ
ぼ逆の手順によればよい。
【0033】上記梯子L1によれば、勾配面を有する構
造物に係止するためのフック2、2を上端部に備えると
ともに、該構造物の勾配面上を滑動するための車輪3、
3を下端部に備えるものとなっているので、該車輪3、
3により下端を勾配面上で滑動させるようにしておろし
ていき、フック2、2により上端を構造物に係止するよ
うにすることにより、該勾配面に沿って梯子L1を容易
に設置することができる。即ち、下端を勾配面上に支承
させながら梯子L1をおろしていくことができるので、
大きな労力を要することなく該梯子L1を上方から容易
に設置することができる。
【0034】さらに、上記梯子L1によれば、上端部に
手摺4を備えるものとなっているので、より昇降がしや
すい上、該手摺4をハンドルとして使用することによっ
て梯子L1の設置および撤去をさらに容易に行うことが
できる。
【0035】さらに、上記梯子L1によれば、複数の分
割体1T、1M、1Bを着脱可能に連結することにより
構成されているので、設置箇所に応じて段階的に長さを
調整することができ、また分割することで運搬、保管等
が容易となる。
【0036】また、上記梯子の設置方法によれば、勾配
面を有する構造物に既設されている掛止用突起部、即ち
葺下し屋根5のループ状部7に支持させるようにして横
架材6を架設し、前記図1乃至図3に示す梯子L1を、
該横架材6に係止するようにして設置するようにしてい
るので、該梯子L1を十分に安定して設置することがで
き、また、該梯子L1を横架材6に沿って横方向に容易
に移動させることができるため、その位置変更も容易で
ある。
【0037】上記梯子L1およびその設置方法には、様
々な変更を加えることが可能である。例えば、該梯子L
1を複数に分割せずに一体に構成してもよい。さらにこ
の場合、該梯子L1を折り畳み式、スライド式等により
伸縮可能な構成としてもよい(図示せず)。
【0038】また、例えば、該梯子L1の中間部エレメ
ント1Mないし下部エレメント1Bにも前記とほぼ同様
にして手摺を設け得る構成としてもよい(図示せず)。
ただしこれによれば、該梯子L1の昇降の上では有利で
あるが、メンテナンス作業の際に邪魔となるきらいがあ
り、また軽量化の点でやや不利である。
【0039】また、例えば、該梯子L1は、建物の屋根
以外にも、勾配面を有する構造物であって該梯子L1を
係止し得る構造を有しているものであれば、任意の構造
物に好適に設置することができる。さらには、該梯子L
1を係止し得る構造を有している構造物であれば、例え
ば建物の外壁面等の垂直面であっても、該梯子L1を設
置して使用することができる。
【0040】また、横架材6を支持させるための掛止用
突起部としても、前記ループ状部7のようなもの以外に
も任意のものが可能であり、例えば、鉤形状の突起部
や、ボルト等であってもよい。さらには、構造物自体が
横架材6と同等に機能し得る部位を有している場合に
は、横架材6を介さずに梯子L1を直接当該構造物に係
止固定するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1に記載
の勾配面用梯子によれば、勾配面を有する構造物に係止
するためのフックを上端部に備えるとともに、該構造物
の勾配面上を滑動するための車輪を下端部に備えるの
で、該車輪により下端を勾配面上で滑動させるようにし
ておろしていき、フックにより上端を構造物に係止する
ようにすることにより、該勾配面に沿って梯子を容易に
設置することができる。即ち、下端を勾配面上に支承さ
せながら梯子をおろしていくことができるので、該梯子
の長さや重量が多少大きくなっても、比較的少ない労力
で該梯子を上方から容易に設置することができる。
【0042】さらに加えて、本発明の請求項2に記載の
勾配面用梯子によれば、少なくとも上端部に手摺を備え
るので、より昇降がしやすい上、該手摺をハンドルとし
て使用することによって梯子の設置および撤去をさらに
容易に行うことができる。
【0043】さらに加えて、本発明の請求項3に記載の
勾配面用梯子によれば、複数の分割体を着脱可能に連結
することにより構成されているので、設置箇所に応じて
段階的に長さを調整することができ、また分割すること
で運搬、保管等が容易となる。
【0044】また、本発明の請求項4に記載の梯子の設
置方法によれば、勾配面を有する構造物に既設されてい
る掛止用突起部に支持させるようにして横架材を架設
し、前記請求項1乃至3に記載の勾配面用梯子を、該横
架材に係止するようにして設置するようにするので、該
梯子をを十分に安定して設置することができ、したがっ
て、メンテナンス作業の際の安全性を十分に確保するこ
とができる。また、該梯子を横架材に沿って横方向に容
易に移動させることができるため、その位置変更も容易
であり、したがって、上記メンテナンス作業を効率良く
かつ十全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る勾配面用梯子を示す
斜視図。
【図2】図1の勾配面用梯子の上部エレメント、中間部
エレメントおよびその連結構造を示す分解斜視図。
【図3】図1の勾配面用梯子の下部エレメントおよびそ
の連結構造を示す分解斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係る梯子の設置方法の第
1行程を示す模式図。
【図5】図4の第1行程に続く第2行程を示す模式図。
【図6】図5の第2行程に続く第3行程を示す模式図。
【図7】従来の梯子の設置方法の一例を示す模式図。
【符号の説明】
2 フック 3 車輪 5 葺下し屋根(勾配面を有する構造物) 6 横架材 7 ループ状部(掛止用突起部) L1 勾配面用梯子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 勾配面を有する構造物に設置して使用す
    るための梯子であって、 前記構造物に係止するためのフックを上端部に備えると
    ともに、前記勾配面上を滑動するための車輪を下端部に
    備えることを特徴とする勾配面用梯子。
  2. 【請求項2】 少なくとも上端部に手摺を備えることを
    特徴とする請求項1に記載の勾配面用梯子。
  3. 【請求項3】 複数の分割体を着脱可能に連結すること
    により構成されていることを特徴とする請求項1または
    2に記載の勾配面用梯子。
  4. 【請求項4】 勾配面を有する構造物に梯子を設置する
    方法であって、 前記構造物に既設されている掛止用突起部に支持させる
    ようにして横架材を架設し、請求項1乃至3に記載の勾
    配面用梯子を、該横架材に係止するようにして設置する
    ことを特徴とする梯子の設置方法。
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