JP2001131133A - 新規ミエロペルオキシダーゼ阻害物質およびその製造方法 - Google Patents

新規ミエロペルオキシダーゼ阻害物質およびその製造方法

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JP2001131133A
JP2001131133A JP2000250995A JP2000250995A JP2001131133A JP 2001131133 A JP2001131133 A JP 2001131133A JP 2000250995 A JP2000250995 A JP 2000250995A JP 2000250995 A JP2000250995 A JP 2000250995A JP 2001131133 A JP2001131133 A JP 2001131133A
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JP
Japan
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compound
strain
penicillium
ethyl
producing
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JP2000250995A
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Tatsuo Tanimoto
達夫 谷本
Itsushin Tanaka
一新 田中
Mutsuo Nakajima
睦男 中島
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】強いミエロペルオキシダーゼ阻害活性を有する
抗動脈硬化剤を提供する。 【解決手段】式I、II、III の化合物およびペニシリウム属に属する式(I)の化合物
の生産菌を培養し、培養物より一般式Iの化合物を採取
する製造方法等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動脈硬化の成因と
考えられる低比重リポ蛋白質(Low Density Lipoprotei
n:以下、「LDL」という。)の酸化変性に関わるミエロ
ペルオキシダーゼを阻害する活性を有する、新規化合物
群、その製造方法、該化合物群の生産菌及び該化合物群
を有効成分として含有する医薬等に関する。
【0002】
【従来の技術】動脈硬化症は狭心症、心筋梗塞、脳卒中
などの虚血性心疾患の主因となる疾患である。動脈硬化
症の原因のひとつとして古くから血漿中のLDLコレステ
ロールの上昇が挙げられ、現在ではプラバスタチンなど
のLDLコレステロールを低下させる薬剤が絶大な治療効
果を示している。
【0003】近年、スタインバーグ(Steinberg)らによ
り酸化LDLと粥状動脈硬化病変の進展との関連性が指摘
されて以来、動脈硬化の進展における酸化変性LDLの問
題が注目されるようになって来た。(Steinberg, D., et
al, N. Engl. J. Med., 1989年320巻915項 参照) LDLは主にコレステロールエステル、リン脂質、アポB−
100蛋白より構成される。高脂血症などで代謝の遅れ
たLDLは内皮下間隙に入り込み、ここで内皮細胞やマク
ロファージに由来する様々な酸化因子により酸化変性を
受ける。その脂質成分は過酸化脂質となり、アポB−1
00蛋白は断片化され、LDL粒子全体としては陰性の荷
電を帯びるようになる。このような酸化修飾を受けたLD
L、すなわち酸化変性LDLは、主にスカベンジャー受容体
を介してマクロファージに無制限に取りこまれ、マクロ
ファージは取り込んだ脂質を処理しきれなくなって泡沫
細胞と化し、そのまま内皮下間隙に泡沫細胞が蓄積して
粥状動脈硬化層が形成される。
【0004】従って、LDL低下剤ではないLDLの酸化的変
性を抑制する化合物によっても、動脈硬化病変の発生・
進展を阻止することができ、動脈硬化症の治療薬に成り
得ると考えられる。
【0005】ミエロペルオキシダーゼはヘム蛋白の一種
で、過酸化水素より、次亜塩素酸を産生する。次亜塩素
酸は脂質やLDLを酸化する。また本酵素はチロシンと過
酸化水素より、チロシルラジカルを産生する。チロシル
ラジカルもまた、LDLを酸化変性する。さらに血管壁の
動脈硬化病変部には本酵素が高発現しており、in vivo
において本酵素がLDLの酸化変性に関与していることが
強く示唆されている(Daugherty, A., et al, J. Clin.
invest., 1994年94巻437頁 参照)。
【0006】従って、LDLの酸化変性の一部を担うミエ
ロペルオキシダーゼを阻害する化合物は、LDLの酸化変
性を抑制し、動脈硬化病変の発生・進展を阻止すること
ができ、動脈硬化症の治療薬に成り得ると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ペニシ
リウム(Penicillium)属に属する菌の培養液中よりミ
エロペルオキシダーゼを阻害する新規化合物群を採取
し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 下記
式(I)で表される化合物又はその薬理上許容される誘
導体又はその薬理上許容される塩、
【0009】
【化4】 (2) 下記式(II)で表される化合物又はその薬理上
許容される誘導体又はその薬理上許容される塩、
【0010】
【化5】 (3) 下記式(III)で表される化合物又はその薬理
上許容される誘導体又はその薬理上許容される塩、
【0011】
【化6】 (4) ペニシリウム(Penicillium)属に属する、
(1)に記載の化合物の生産菌を培養する工程を含むこ
とを特徴とする(1)に記載の化合物の製造方法、
(5) ペニシリウム・レイストリッキ(Penicillium
raistrickii)SANK10999株を培養する工程を
含むことを特徴とする(1)に記載の化合物の製造方
法、(6) ペニシリウム・レイストリッキ(Penicill
ium raistrickii)SANK10999株(FERM-
BP6742)、(7) ペニシリウム(Penicilliu
m)属に属する、(2)又は(3)記載の化合物の生産
菌を培養する工程を含むことを特徴とする、(2)又は
(3)に記載の化合物の製造方法、(8) ペニシリウ
ム・トーミ(Penicillium thomii)SANK10899
株を培養する工程を含むことを特徴とする、(2)又は
(3)に記載の化合物の製造方法、(9) ペニシリウ
ム・トーミ(Penicillium thomii)SANK10899
株(FERM-BP6741)、(10) (1)乃至
(3)のいずれか1項に記載の化合物を有効成分として
含有する医薬、及び、(11) (1)乃至(3)のい
ずれか1項に記載の化合物を有効成分として含有する抗
動脈硬化剤に関する。
【0012】本発明の式(I)で表される化合物(以下
「化合物I」という。)は、下記の物理化学的性状を有
する。 1)性質;白色粉末。 2)溶解性;ジメチルスルホキシド(以下、「DMS
O」という。)、メタノール、アセトン、酢酸エチルに
可溶。ヘキサンに不溶。 3)分子式;C121625(高分解能マススペクトル
により決定) 4)分子量;268(FAB-MSスペクトルにより決定) 5)紫外線吸収スペクトル;λmax nm (ε)メタノール
溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、206(3
4175)、238(11749)、294(396
6)nmに吸収極大を示す。 6)赤外線吸収スペクトル(KBr);νmax(cm-1)K
Brディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは、次の
通りである。 3290、2942、1715、1666、1509、
1457、1207、1157、1034、920、8
32 7)1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm) 重メタノール溶液中[テトラメチルシラン(以下「TM
S」という。)内部基準]で測定した核磁気共鳴スペク
トル(360MHz)は、次の通りである。 2.52(2H,m),2.63(2H,m),3.72(3H,s),3.83(3H,s),
6.39(1H,dd,8.6,2.5 Hz),6.5(1H,d,2.5 Hz),6.75(1
H,d,8.6 Hz), 8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm) 重メタノール溶液中(TMS内部基準)で測定した核磁
気共鳴スペクトル(90MHz)は、次の通りである。 30.2(t),30.6(t),56.2(q),56.3(q),100.2(d),105.8
(d),115.0(d),132.9(s),150.0(s),156.6(s),174.5(s),
176.7(s) 9)高速液体クロマトグラフィー 分離カラム;ウォーターズ シンメトリー ODS(φ4.6×
150mm) 移動相;25%アセトニトリル−0.3%トリエチルアミン燐
酸緩衝液(pH3.1) 流速;1.0ml/分 検出波長;210nm 温度 ;25℃ 保持時間;3.7分。
【0013】本発明の式(II)で表される化合物(以下
「化合物II」という。)は下記の物理化学的性状を有す
る。 1)性質;白色粉末。 2)[α]D 20 +1.8° (c0.55、H2O ) 3)溶解性;水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、
メタノールに可溶。アセトン、酢酸エチルに不溶。 4)分子式;C131935(高分解能マススペクトル
により決定) 5)分子量; 297(FAB-MSスペクトルにより決定) 6)紫外線吸収スペクトル;λmax nm(ε) メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、
202(31054)、235(8292)、290
(2875)nmに吸収極大を示す。 7)赤外線吸収スペクトル(KBr);νmax (cm-1) KBrディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは、次
の通りである。3236、2940、1647、160
4、1508、1456、1410、1207、115
6、1034、920、830 8)1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm) 重DMSO溶液中(TMS内部基準 )で測定した核磁気共
鳴スペクトル(360MHz)は、次の通りである。 1.87(2H,m),2.29(2H,t),3.15(1H,t),3.65(3H,s),
3.77(3H,s),6.36(1H,dd,8.6,2.5 Hz),6.50(1H,d,2.5
Hz),6.57(1H, S),6.58(1H,d,8.6 Hz) 9)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm) 重DMSO溶液中(TMS内部基準)で測定した核磁気共鳴
スペクトル(90MHz)は、次の通りである。 27.2(t),30.0(t),53.5(d),55.2(q),55.3(q), 99.0
(d), 104.0(d), 112.4(d), 132.2(s), 147.5(s), 153.
5(s), 169.2(s), 171.5(s) 10)高速液体クロマトグラフィー 分離カラム;ウォーターズ シンメトリー ODS(φ4.6×
150mm) 移動相;20%メタノール-水 流速;1.0ml/分 検出波長;210nm 温度 ;25℃ 保持時間;5.5分。
【0014】本発明の式(III)で表される化合物(以
下「化合物III」という。)は下記の物理化学的性状を
有する。 1)性質;白色粉末。 2)[α]D 20 −16.4° (c0.55、H2O ) 3)溶解性;水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、
メタノールに可溶。アセトン、酢酸エチルに不溶。 4)分子式;C131936(高分解能マススペクトル
により決定) 5)分子量;313(FAB-MSスペクトルにより決定) 6)紫外線吸収スペクトル;λmax nm(ε) メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、
202(33353)、235(8714)、288
(3305)nmに吸収極大を示す。 7)赤外線吸収スペクトル(KBr);νmax (cm-1) KBrディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは、次
の通りである。 3244、2940、1633、1508、1467、
1403、1208、1156、1038、920、8
31 8)1H−核磁気共鳴スペクトル; δ(ppm) 重水溶液中で測定した核磁気共鳴スペクトル(360MH
z)は、次の通りである。 2.25(2H,m), 3.72(3H,s), 3.80(3H,s)、3.89(1H,dd,
3.82,7.1 Hz),4.38(1H,dd,3.96、9.0 Hz) 6.48(1H,
dd,8.6,2.2 Hz), 6.60(1H,d,2.2 Hz), 6.73(1H,d,8.6 H
z), 9)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm) 重水溶液中(ジオキサン内部基準)で測定した核磁気共
鳴スペクトル(90MHz)は、次の通りである。 33.9(t),52.8(d),55.9(q),56.1(q),68.9(d),99.8
(d),105.3(d),114.5(d),130.3(s),148.9(s),154.7
(s),173.5(s),174.9(s) 10)高速液体クロマトグラフィー 分離カラム;ウォーターズ シンメトリー ODS(φ4.6×
150mm) 移動相;20%メタノール-水 流速;1.0ml/分 検出波長;210nm 温度 ;25℃ 保持時間;4.9分。 化合物I、化合物II又は化合物IIIの「薬学上許容される
誘導体」とは、ヒトまたは動物体内で加水分解等の化学
的若しくは生物学的方法により開裂し化合物I、化合物I
I又は化合物IIIを生成するように化合物I、化合物II又
は化合物IIIの水酸基、アミノ基またはカルボキシル基
が保護された誘導体(いわゆる「プロドラッグ」)をい
い、そのような誘導体か否かは、ラットやマウスのよう
な実験動物に経口、点鼻、経鼻、経肺、静脈注射等によ
り投与し、その後の動物の体液を調べ、化合物I、化合
物II又は化合物IIIを検出できることにより決定でき
る。化合物I、化合物II又は化合物IIIはカルボキシル基
を有し、また、水酸基又はアミノ基を有することがある
ので、このような誘導体に導くことができる。
【0015】そのような薬理上許容される誘導体として
は、水酸基又は/及びアミノ基が脂肪族又は芳香族アシ
ル基のようなアシル基で修飾された誘導体及びカルボキ
シル基が保護されたエステル誘導体を挙げることができ
る。
【0016】脂肪族アシル基としては、例えば、アセチ
ル、プロピオニル、ブタノイル、2-メチルプロピオニ
ル、2,2−ジメチルプロピオニル(ピバロイル)、ペ
ンタノイル、イソペンタノイル、2−メチルブタノイ
ル、ネオペンタノイル、ヘキサノイル、イソヘキサノイ
ル、4−メチルペンタノイル、3−メチルペンタノイ
ル、2−メチルペンタノイル、3,3−ジメチルブタノ
イル、2,2−ジメチルブタノイル、2,3−ジメチル
ブタノイル、2−エチルブタノイル、ヘプタノイル、2
−メチルヘキサノイル、3−メチルヘキサノイル、4−
メチルヘキサノイル、5−メチルヘキサノイル、4,4
−ジメチルペンタノイル、オクタノイル、2−メチルヘ
プタノイル、3−メチルヘプタノイル、4−メチルヘプ
タノイル、5−メチルヘプタノイル、6−メチルヘプタ
ノイル、2−エチルヘキサノイル、5,5−ジメチルヘ
キサノイル、ノナノイル、3−メチルオクタノイル、4
−メチルオクタノイル、5−メチルオクタノイル、6−
メチルオクタノイル、2−エチルヘプタノイル、6,6
−ジメチルヘプタノイル、デカノイル、3−メチルノナ
ノイル、8−メチルノナノイル、3−エチルオクタノイ
ル、3,7−ジメチルオクタノイル、7,7−ジメチル
オクタノイル、ウンデカノイル、4,8−ジメチルノナ
ノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノ
イル、ペンタデカノイル、3,7,11−トリメチルド
デカノイル、ヘキサデカノイル、4,8,12−トリメ
チルトリデカノイル、1−メチルペンタデカノイル、1
4−メチルペンタデカノイル、13,13−ジメチルテ
トラデカノイル、ヘプタデカノイル、15−メチルヘキ
サデカノイル、オクタデカノイル、1−メチルヘプタデ
カノイル、ノナデカノイルまたはエイコサノイル基のよ
うな炭素数2乃至20個のアルカノイル基;メトキシカ
ルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニ
ル、イソプロポキシカルボニル、ブチルオキシカルボニ
ル、イソブチルオキシカルボニル、s−ブチルオキシカ
ルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ペンチルオキ
シカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオ
キシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオ
キシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ウンデシル
オキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、トリデ
シルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニ
ル、ペンタデシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキ
シカルボニル、ヘプタデシルオキシカルボニル、オクタ
デシルオキシカルボニルまたはノナデシルオキシカルボ
ニル基のような炭素数2乃至20個のアルコキシカルボ
ニル基を挙げることができる。これら脂肪族アシル基の
アルキル部分は、アミノ基で置換されていてもよく、3
乃至7員環状構造及び2又は3重結合を有していてもよ
い。
【0017】芳香族アシル基としては、例えば、ベンゾ
イル、α−ナフトイル、β−ナフトイルのような炭素数
7乃至11個のアリールカルボニル基;2−フェニルア
セチル、3−フェニルプロピオニル、4−フェニルブチ
リル、5−フェニルペンタノイル、6−フェニルヘキサ
ノイル、7−フェニルヘプタノイル、8−フェニルオク
タノイル、9−フェニルノナノイル、10−フェニルデ
カノイル、10−ナフチルデカノイル基のような炭素数
8乃至20個のアラルキルカルボニル基を挙げることが
できる。これら芳香族アシル基のアリ−ル部分は、炭素
数1乃至4個のアルキル基、ハロゲン原子または炭素数
1乃至4個のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0018】カルボキシル基が保護されたエステル誘導
体のエステル残基としては、例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブ
チル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチ
ルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシ
ル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペ
ンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、
3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、
1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、
1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2
−エチルブチル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−
メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキ
シル、5−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,
4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチ
ル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メ
チルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチ
ル、1−プロピルペンチル、2−エチルヘキシル、5,
5−ジメチルヘキシル、ノニル、3−メチルオクチル、
4−メチルオクチル、5−メチルオクチル、6−メチル
オクチル、1−プロピルヘキシル、2−エチルヘプチ
ル、6,6−ジメチルヘプチル、デシル、1−メチルノ
ニル、3−メチルノニル、8−メチルノニル、3−エチ
ルオクチル、3,7−ジメチルオクチル、7,7−ジメ
チルオクチル、ウンデシル、4,8−ジメチルノニル、
ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、
3,7,11−トリメチルドデシル、ヘキサデシル、
4,8,12−トリメチルトリデシル、1−メチルペン
タデシル、14−メチルペンタデシル、13,13−ジ
メチルテトラデシル、ヘプタデシル、15−メチルヘキ
サデシル、オクタデシル、1−メチルヘプタデシル、ノ
ナデシルまたはアイコシル基のような炭素数1乃至20
個のアルキル基;前記のアルキル基において1又は2個
の2重結合を有する炭素数2乃至20個のアルケニル
基;前記のアルキル基において1又は2個の3重結合を
有する炭素数2乃至20個のアルキニル基;ベンジル、
フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチ
ル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、8
−フェニルオクチル、10−フェニルデシルまたは10
−ナフチルデシル基のような炭素数7乃至20個のアラ
ルキル基;アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシ
メチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメ
チル、ヘキサノイルオキシメチル、オクタノイルオキシ
メチル、デカノイルオキシメチル、ドデカノイルオキシ
メチル、テトラデカノイルオキシメチル、ヘキサデカノ
イルオキシメチル、オクタデカノイルオキシメチル、1
−(アセチルオキシ)エチル、1−(プロピオニルオキ
シ)エチル、1−(ブチリルオキシ)エチル、1−(ペ
ンタノイルオキシ)エチル、1−(ヘキサノイルオキ
シ)エチル、1−(オクタノイルオキシ)エチル、1−
(デカノイルオキシ)エチル、1−(ドデカノイルオキ
シ)エチル、1−(テトラデカノイルオキシ)エチル、
1−(ヘキサデカノイルオキシ)エチル、1−(オクタ
デカノイルオキシ)エチル基のような1−(炭素数2乃
至20個のアルカノイルオキシ)炭素数1乃至3個のア
ルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシ
カルボニルオキシメチル、プロピルオキシカルボニルオ
キシメチル、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチ
ル、ブチルオキシカルボニルオキシメチル、イソブチル
オキシカルボニルオキシメチル、s−ブチルオキシカル
ボニルオキシメチル、t−ブチルオキシカルボニルオキ
シメチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、2
−ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、3−ペンチ
ルオキシカルボニルオキシメチル、イソペンチルオキシ
カルボニルオキシメチル、ネオペンチルオキシカルボニ
ルオキシメチル、シクロペンチルオキシカルボニルオキ
シメチル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、2
−ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、3−ヘキシ
ルオキシカルボニルオキシメチル、イソヘキシルオキシ
カルボニルオキシメチル、シクロヘキシルオキシカルボ
ニルオキシメチル、ヘプチルオキシカルボニルオキシメ
チル、オクチルオキシカルボニルオキシメチル、デシル
オキシカルボニルオキシメチル、ドデシルオキシカルボ
ニルオキシメチル、テトラデシルオキシカルボニルオキ
シメチル、ヘキサデシルオキシカルボニルオキシメチ
ル、オクタデシルオキシカルボニルオキシメチル、1−
(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシ
カルボニルオキシ)エチル、1−(プロピルオキシカル
ボニルオキシ)エチル、1−(イソプロピルオキシカル
ボニルオキシ)エチル、1−(ブチルオキシカルボニル
オキシ)エチル、1−(イソブチルオキシカルボニルオ
キシ)エチル、1−(s−ブチルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(t−ブチルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(2−ペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(3−ペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(イソペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(ネオペンチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(2−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(3−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(イソヘキシルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキ
シ)エチル、1−(ヘプチルオキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(オクチルオキシカルボニルオキシ)エチ
ル、1−(デシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1
−(ドデシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(テトラデシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(ヘキサデシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−
(オクタデシルオキシカルボニルオキシ)エチル基のよ
うな1−(炭素数1乃至20個のアルコキシカルボニル
オキシ)炭素数1乃至3個のアルキル基;5−メチル−
2−オキソ−1、3−ジオキソレン−4−イルメチル基
を挙げることができる。
【0019】化合物I、化合物II又は化合物IIIの薬理上
許容される誘導体として好適には、カルボキシル基が炭
素数1乃至6個のアルキル基若しくは炭素数7乃至10
個のアラルキル基によって保護されたエステル誘導体で
あり、更に好適には、カルボキシル基がエチル、メチル
又はベンジル基によって保護されたエステル誘導体であ
る。化合物I、化合物II又は化合物IIIはカルボキシル基
を有するため、塩基と結合して塩を形成する場合があ
る。また、化合物II又は化合物IIIは塩基性のアミノ基
を有するため、酸と結合して塩を形成する場合がある。
化合物I、化合物II又は化合物IIIの「薬理上許容される
塩」とはそのように形成された塩のうち薬理上許容され
るものを示す。
【0020】塩基との塩としては、たとえばリチウム
塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属の
塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土
類金属の塩;アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、ジ
イソプロピルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩のよう
な有機塩基の塩等が挙げられ、好適にはアルカリ金属の
塩であり、更に好適にはナトリウム塩である。
【0021】酸との塩としては、たとえば塩酸塩、臭化
水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸の
塩;酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、
マロン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩など
のカルボン酸の塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホ
ン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩
などのスルホン酸の塩;グルタミン酸塩、アスパラギン
酸塩などのアミノ酸の塩等が挙げられ、好適には無機酸
の塩又はカルボン酸の塩であり、更に好適には塩酸塩、
硝酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩又はシュウ酸塩であ
る。
【0022】また、化合物I、化合物II若しくは化合物I
II又はそれらの薬理上許容される誘導体あるいはそれら
の薬理上許容される塩は、大気中に放置しておくことに
より、水分を吸収し吸着水が付いたり水和物となる場合
があり、または他のある種の溶媒を吸収し溶媒和物とな
る場合があるが、そのような塩も本発明に包含される。
本発明の化合物II及び化合物IIIは分子内に不斉炭素原
子を1又は2個有するため、各々がR配置又はS配置で
ある光学異性体が存在する。式(II)及び式(III)にお
いては、これらの異性体及びこれらの異性体の混合物が
すべて単一の式で示されている。本発明はこれらの各々
の異性体及びこれらの二以上の異性体の混合物をすべて
包含する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の化合物Iの製造方法にお
いて用いられる、ペニシリウム(Penicillium)属に属
する菌株としては、例えばペニシリウム・レイストリッ
キ(Penicillium raistrickii)SANK 10999
株を挙げることができる。SANK 10999株は茨
城県つくば市において採集された落葉より分離したもの
である。
【0024】本発明の化合物II又は化合物IIIの製造方
法において用いられる、ペニシリウム(Penicillium)
属に属する菌株としては、例えばペニシリウム・トーミ
(Penicillium thomii)SANK10899株を挙げ
ることができる。SANK10899株は、京都府北桑
田郡美山町の落葉広葉樹の樹皮より分離された菌株であ
る。
【0025】SANK10899株とSANK1099
9株をピット等の方法(Pitt, J. I.The genus Penicill
ium and its teleomorphic states Eupenicillium and
Talaromyces. Academic Press, London.1979年; Pitt,
J. I. A laboratory guideto common Penicillium spe
cies (2nd edition). CSIRO, Division of Food Proces
sing, North Ryde NSW, Austraria 1988年.)に従い、3
種類の培地(CYA, MEA, G25N)に接種して、菌学的性状
を観察した。色調の表示は「メチューン・ハンドブック
・オブ・カラー」 (Kornerup, A. and Wanscher, J. H.
Methuen handbook of colour(3rd. edition). Erye Me
thuen, London.1978年)に従った。
【0026】3種類の培地(CYA, MEA, G25N)の組成は
以下の通りである。CYA培地 {ザペックイーストエキスアガー(Czapek Yeast Extract Agar)培 地} リン酸水素2カリウム 1.0g ザペック濃縮液 10ml イーストエキス 5g シュークロース 30g 寒天 15g 蒸留水 1000mlMEA培地 {モルトエキスアガー(Malt Extract Agar)培地} モルトエキス 20g ペプトン 1g グルコース 20g 寒天 20g 蒸留水 1000mlG25N培地 {25%グリセロール硝酸(25% Glycerol Nitrate Agar)培地} リン酸水素2カリウム 0.75g ザペック濃縮液 7.5ml イーストエキス 3.7g グリセロール 250g 寒天 12g 蒸留水 750ml 上記において、ザペック濃縮液とは、以下の組成の溶液
を示す。
【0027】 硝酸ナトリウム 30g 塩化カリウム 5g 硫酸マグネシウム7水和物 5g 硫酸鉄(I)7水和物 0.1g 硫酸亜鉛7水和物 0.1g硫酸銅5水和物 0.05g 蒸留水 100ml 1.菌学的性状 SANK10999株の菌学的性状は以下の通りであ
る。
【0028】CYA培地上での成長は、25℃、1週間の
培養で22乃至28mmである。コロニーは放射状のしわを有
し、厚い羊毛状である。菌核は多数形成され、菌糸で覆
われている。菌糸は白色である。分生子形成は中程度で
中心部に限られる。裏面はイエロー(3A8)乃至ペールイ
エロー(3A3)である。MEA培地上での成長は、25℃、1
週間の培養で15乃至20mmである。コロニーは平坦、羊毛
状である。菌糸は白色、時々中心部でライトイエロー(4
A5)である。分生子形成は中程度である。裏面はライト
イエロー(3A4)乃至ペールイエロー(3A3)である。G25
N培地上での成長は、25℃、1週間の培養で8乃至13mmで
ある。コロニーは羊毛状である。菌糸は白色である。裏
面はイエロシュホワイト(3A2)である。5℃又は37℃では
発芽しない。
【0029】菌核は直径50乃至100μm、白色である。分
生子柄は長さ200乃至350μmで粗面である。ペニシリは
二輪生で、頂生する。メトレは長さ14乃至20μm、2乃至
5本で、先端は頂のう状にふくらみ、粗面である。フィ
アライドは長さ10乃至13μm、多数で、とっくり型であ
る。分生子は直径2.5乃至3.1μm、長い胞子連鎖を形成
し、球形又は亜球形で、滑面である。
【0030】以上の菌学的性状より、本菌に該当する菌
を検索したところ、ピットの文献(Pitt, J. I. The gen
us Penicillium and its teleomorphic states Eupenic
illium and Talaromyces. Academic Press, London.197
9年; Pitt, J. I. A laboratory guide to common Pen
icillium species (2nd edition)1988年. CSIRO, Divis
ion of Food Processing, North Ryde NSW, Austrari
a.)に記載されているペニシリウム レイストリッキ
ジスミス(Penicillium raistrickii G. Smith)の性状
とほぼ一致した。よって本菌株をペニシリウム レイス
トリッキ ジスミス(Penicillium raistrickii G. Smi
th)と同定した。
【0031】尚、SANK10999株は、ペニシリウ
ム・レイストリッキ SANK10999株として、平
成11年6月3日に通商産業省工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託され、受託番号FERM BP−67
42が付された。
【0032】SANK10899株の菌学的性状は以下
の通りである。
【0033】CYA培地上での成長は、25℃、1週間の
培養で直径40乃至46mmである。コロニーは、深い放射状
のしわを有し、ビロード状である。菌糸は白色である。
菌核は多数形成され、菌糸やペニシリで覆われている。
分生子形成は非常におう盛で、その色はグレイッシュグ
リーン(26E6)である。無色透明な浸出液を生成する。裏
面はペールイエロー(3A3)またはライトイエロー(3A4)で
ある。MEA培地上での成長は、25℃、1週間の培養で
直径42乃至46mmである。コロニーは薄い平坦で、細粉状
である。菌糸は白色である。菌核は多数形成される。分
生子形成は少ないかまたは中程度である。裏面はペール
イエロー(4A3)である。G25N培地上での成長は、25
℃、1週間の培養で直径18乃至21mmである。コロニーは
中央部で凸状で、放射状のしわを有し、羊毛状である。
菌糸は白色である。裏面はペールイエロー(4A3)または
ライトイエロー(4A5)である。5℃又は37℃では発芽しな
い。
【0034】菌核は直径200乃至350μm、濃黄色で、後
にオレンジ色となり、堅い。分生子柄は長さ300乃至500
μm、粗面で、先端は頂のう状にふくらむ。ペニシリは
単輪生である。フィアライドは長さ9.5乃至11.5μm、多
数で、とっくり型である。分生子は直径3乃至3.8μm、
長い胞子連鎖を形成し、球形又は亜球形、滑面またはわ
ずかに粗面である。
【0035】以上の菌学的性状より、本菌に該当する菌
を検索したところ、ピットの文献(Pitt, J. I. The gen
us Penicillium and its teleomorphic states Eupenic
illium and Talaromyces. Academic Press, London.197
9年; Pitt, J. I. A laboratory guide to common Pen
icillium species (2nd edition)1988年. CSIRO, Divis
ion of Food Processing, North Ryde NSW, Austrari
a.)に記載されているペニシリウム トーミ メーレ(P
enicillium thomii Maire)の性状とほぼ一致した。
よって本菌株をペニシリウム トーミ メーレ(Penici
llium thomii Maire)と同定した。
【0036】尚、SANK 10899株は、ペニシリ
ウム トーミSANK 10899株として、平成11年6
月3日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託され、受託番号 FERM BP-6741が付
された。糸状菌は、一般に、自然界において又は人工的
な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、化学薬品処
理等)により、変異を起こす場合があり、また、遺伝的
方法、例えば、組み換え、形質導入又は形質転換等によ
り人工的に変異させる場合がある。本発明のSANK1
0999株及びSANK10899株も糸状菌であるた
め、このような変異を起こし変異株となる場合がある。
本発明のSANK10999株は、化合物Iを生産する
限り、これらの変異株及びそれと明確に区別されない全
ての菌株を包含し、また、本発明のSANK10899
株は、化合物II又は化合物IIIを生産する限り、これら
の変異株及びそれと明確に区別されない全ての菌株を包
含する。 2.培養について 化合物I、II又はIIIを生産させるために、SANK10
899株及びSANK10999株の培養に使用される
培地は、醗酵生成物を生産するために通常使用される培
地であれば特に限定はなく、通常、微生物が同化できる
炭素源、窒素源及び無機塩を含有する。
【0037】炭素源としては、例えば、グルコース、フ
ルクトース、マルトース、シュークロース、マンニトー
ル、グリセリン、デキストリン、オート麦、ライ麦、デ
ンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、綿実油、糖蜜、
クエン酸、酒石酸等が挙げられ、これらは単独又は併用
して使用することができる。炭素源の添加量は、通常、
培地量の1乃至10重量%の範囲である。
【0038】窒素源としては、通常、蛋白質およびその
加水分解物を含有する物質または無機塩が使用される。
このような窒素源としては、例えば、大豆粉、フスマ、
落花生粉、綿実粉、カゼイン加水分解物、ファーマミ
ン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エキ
ス、イースト、イーストエキス、マルトエキス、硝酸ナ
トリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等が挙
げられ、これらは単独または併用して使用することがで
きる。窒素源の添加量は、通常、培地量の0.2乃至1
0重量%の範囲である。
【0039】栄養無機塩としては、例えば、ナトリウム
イオン、アンモニウムイオン、カルシウムイオン、リン
酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、炭酸イオン等の
イオンを得ることのできる塩類が使用される。また、カ
リウム、カルシウム、コバルト、マンガン、マグネシウ
ム等の金属を微量含む塩類も使用することができる。
【0040】液体培養を行う場合には、必要に応じて、
消泡剤を用いることができ、このような消泡剤として
は、例えば、シリコン油、植物油、界面活性剤等が使用
される。
【0041】培地のpHは、通常、5.0乃至8.0である。
【0042】培養温度は、通常、15℃乃至30℃であ
り、好適には20℃乃至26℃である。
【0043】化合物IはSANK10999株を、化合
物II又は化合物IIIはSANK10899株を、好気的
培養法で好気的に培養することにより得られる。このよ
うな培養法としては、例えば、固体培養法、振盪培養法
又は通気撹拌培養法等が用いられる。
【0044】小規模な培養は、23℃で数日間振盪培養
を行うのが良好である。培養は、三角フラスコ中で一段
階または複数段階の種の発育工程により開始する。種培
養は、フラスコに滅菌した種培養用培地を加え、SAN
K10899株又はSANK10999株を接種した
後、定温インキュベーター中で数日間または充分に成長
するまで振盪することによりを行う。得られた種培養液
の一部または全部は、次段階の種培養用培地または生産
培養用培地に接種するのに使用される。培養は、滅菌し
た生産培養用培地を含むフラスコに、種培養液を接種
し、一定温度で数日間振盪することにより行う。
【0045】大量培養は、撹拌機、通気装置を備えた適
当なタンクで培養するのが好ましい。培地は、タンクの
中で作製することができ、121℃に加熱して滅菌後、
冷却して使用する。培養は、タンク内の生産培養用培地
に種培養液を接種し、23℃で通気撹拌して行う。この
方法は多量の化合物を得るのに適している。
【0046】培養時間は、通常、150時間乃至200
時間で化合物I、化合物II又は化合物IIIの生産量は最高
値に達する。 3.抽出精製について 培養終了後、培養液中の液体部分に存在する化合物I、
化合物II及び化合物IIIは、菌体、その他の固形部分を
珪藻土をろ過助剤とするろ過操作又は遠心分離等によっ
て分別し、そのろ液から、化合物I、化合物II又は化合
物IIIの物理化学的性質を利用して抽出し、精製するこ
とにより採取される。また、化合物I、化合物II又は化
合物IIIは、菌体、その他の固形部分から、メタノール
水又はアセトン水等により抽出することができる。
【0047】化合物I、化合物II又は化合物IIIは、化合
物I、化合物II又は化合物IIIを含む溶液に、水と混和し
ない有機溶剤、たとえば、ブチルアルコール、酢酸エチ
ル等を単独または組み合わて加えることにより抽出する
ことができる。
【0048】また、活性炭、吸着用樹脂又はイオン交換
樹脂を用いて精製することもできる。活性炭又は吸着用
樹脂としては、例えば、アンバーライト XAD−2 、XAD
−4(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオン HP
−10、HP−20、HP−50、CHP20P(三菱化成(株)社製)
等を使用することができる。化合物I、化合物II又は化
合物IIIは、該化合物を含む溶液を上述の吸着剤の層を
通過させて不純物を吸着させて取り除き、あるいは、化
合物I、化合物II又は化合物IIIを吸着させた後、メタノ
ール水又はアセトン水等の水と有機溶剤との混合溶剤を
用いて溶出させて精製することができる。イオン交換樹
脂としては、例えば、ダウエックス50W×4、ダウエ
ックス1×2、ダウエックスSBR-P(ダウ・ケミカル社
製)等を使用することができる。化合物I、化合物II又
は化合物IIIは該化合物を含む液を上述のイオン交換樹
脂の層を通過させて不純物を吸着させて取り除き、又
は、化合物I、化合物II又は化合物IIIを吸着させた後、
塩酸又はアンモニア水を用いて溶出させて精製すること
ができる。
【0049】このようにして得られた化合物I、化合物I
I又は化合物IIIは、更に、シリカゲル、フロリジルのよ
うな担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー;アビ
セル(旭化成工業(株)社製)、セファデックス LH−2
0(ファルマシア社製)等を用いた分配カラムクロマト
グラフィー;コスモシル140 C18カラム(ナカラ
イテスク社製)、セップパックカートリッジ プラスC
18(ウォーターズ社製)等を用いた逆相カラムクロマ
トグラフィー;順相、逆相カラム等を用いた高速液体ク
ロマトグラフィー等で精製することができる。
【0050】本発明の化合物I、化合物II又は化合物III
の精製における挙動は次に挙げる各々の測定方法によっ
て確認することができる。
【0051】1)ミエロペルオキシダーゼ阻害活性 ミエロペルオキシダーゼ活性は以下の方法により測定し
た。
【0052】ヒト・ミエロペルオキシダーゼをリン酸ナ
トリウム緩衝液中で過酸化水素、グアイアコールと反応
させるとグアイアコールラジカルが生じ、直ちに重合し
てテトラグアイアコールが生成する。生成したテトラグ
アイアコールは470nm付近に吸収極大を示すので、470nm
の吸光度をマイクロプレートリーダーで測定することに
よりミエロペルオキシダーゼ活性を測定した(Klebanof
fら、Methods in Enzymology、105巻、399頁、1984
年)。
【0053】 2)高速液体クロマトグラフィー 分離カラム;ウォーターズ シンメトリー ODS(φ4.6×150mm) 移動相;化合物I:25%アセトニトリル−0.3%トリエチルアミン燐酸緩衝液 (pH3.1) 化合物II:20%メタノール−水 化合物III:20%メタノール−水 流速;1.0ml/分 検出波長;210nm 温度;25℃ 保持時間; 化合物I:3.7分 化合物II:5.0分 化合物III:4.9分 化合物I、化合物II又は化合物IIIの薬理上許容される誘
導体は、医薬品製造化学の分野において通常使用される
方法により製造することができる。
【0054】また、化合物I、化合物II又は化合物III
は、溶媒中、薬理上許容される酸又は塩基を加えること
によって薬理上許容される塩に変換することができる。
【0055】使用される溶媒は特に限定はないが、例え
ば、ベンゼンのような芳香族炭化水素類;ジクロロメタ
ン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;エー
テル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテ
ル類;酢酸エチルのようなエステル類;メタノール、エ
タノールのようなアルコール類;アセトンのようなケト
ン類;アセトニトリルのようなニトリル類;ヘキサン、
シクロヘキサンのような炭化水素類又はこれらの混合溶
媒を挙げることができる。
【0056】使用される酸は、薬理上許容されるもので
あればよく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸の
ような無機酸類;酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸のような
カルボン酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸のようなスル
ホン酸類;グルタミン酸、アスパラギン酸のようなアミ
ノ酸類を挙げることができる。
【0057】使用される塩基は、薬理上許容されるもの
であればよく、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウ
ムのようなアルカリ金属の水酸化物若しくは炭酸塩;カ
ルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属の水
酸化物若しくは炭酸塩;アンモニウム、トリエチルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミンのよ
うな有機塩基等を挙げることができる。
【0058】目的の塩は、化合物I、化合物II又は化合
物IIIに酸又は塩基の溶液を加えることにより通常結晶
又は粉末として得られる。また、塩を含む溶液に塩を溶
かさない溶媒を加えることにより沈殿物として得ること
もでき、塩を含む溶液から溶媒を留去することによって
も得ることができる。
【0059】また、本発明の化合物I、化合物II若しく
は化合物III又はそれらの薬理上許容される誘導体又は
その薬理上許容される塩を抗動脈硬化薬として用いる場
合には、その使用目的に応じて単体でも使用できるが、
薬学的効果を助長または安定化するために、医薬製剤技
術分野において通常使用しうる既知の補助剤や担体を用
いて製剤化することができる。例えば、錠剤、カプセル
剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等または注射剤(静脈
内、筋肉内、皮下)などをあげることができる。これら
の各種製剤は常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊
剤、潤沢剤、溶解剤、矯味矯臭、コーティング剤既知の
医薬製剤分野において通常使用しうる既知の補助剤を用
いて製剤化することができる。その使用量は症状、年
齢、体重、投与方法および剤形等によって異なるが、例
えば、1回当り、下限1mg(好ましくは10mg)、上限200
0mg(好ましくは1000mg)を1日当り1乃至数回症状に
応じて投与することが望ましい。
【0060】本発明の化合物I、化合物II又は化合物III
は、文献未記載の新規化合物であり、LDL酸化変性に関
わっているミエロペルオキシダーゼに対する強い阻害活
性を有する。従って、本化合物は抗動脈硬化剤として有
用である。
【0061】
【実施例】次に、実施例、試験例及び製剤例を挙げて本
発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定され
ない。 実施例1.化合物Iの製造方法
【0062】
【化7】 (A)SANK10999株の培養 下記の培地組成−1で示される培地を80mlずつ500
ml容三角フラスコ2本に入れ、121℃で20分間加熱滅
菌した。それぞれのフラスコの培地にペニシリウム・レ
イストリッキ(Penicillium raistrickii)SANK1
0999株(FERM BP−6742)をスラントよ
り1白金耳接種し、回転振盪培養機で、210rpm、23℃で
96時間培養し種培養液とした。
【0063】培地組成-1 可溶性デンプン 2% グリセリン 3% グルコース 3% ゼラチン 2.5% 大豆粉 1% イースト エキス 0.25% 硝酸アンモニウム 0.25% 寒天末 0.3%CB-442(消泡剤) 0.01% 水道水 滅菌前 pH6.5 培地組成−1(除く寒天末)で示される培地を80mlずつ
500ml容三角フラスコ13本に入れ121℃で20分間加
熱滅菌した。この培地を室温で23℃に冷却した後、上記
のペニシリウム・レイストリッキ(Penicillium raistr
ickii)SANK10999株(FERM BP−674
2)種培養液5mlを接種し、回転振盪培養機で、210rp
m、23℃で7日間培養した。 (B)化合物Iの単離 得られた培養液1Lにろ過助剤としてセライト545
(ジョンズ マンビルプロダクト コーポレーション
製)50gを加えてろ紙ろ過をしてろ液850mlを得
た。ろ液のpHを1N塩酸で3.0に調整して1Lの酢酸エ
チルを加えて1回抽出をした。抽出液を1Lの飽和塩化
ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水
後、減圧下濃縮乾固して化合物Iを含む抽出油状物234m
gを得た。
【0064】次いでこの油状物を逆相カラムクロマトグ
ラフィーで精製した。すなわち、あらかじめ10%メタノ
ール-0.3%トリエチルアミン燐酸緩衝液(pH3.1)で平衡化
した40mlのコスモシル140 C18カラム(ナカライ
テスク社製)に、40mlの同緩衝液で溶解した、上記油
状物234mgを供与した。同緩衝液で展開溶出して17ml
ずつ分画した。すべての画分について、分析用HPLC
カラム[分離カラム;ウォーターズ シンメトリーODS
(φ4.6×150mm)、移動相;25%アセトニトリル−0.3%
トリエチルアミン燐酸緩衝液(pH3.1)、流速;1.0ml/
分、温度;25℃、検出波長;210nm]に注入し、保持時
間3.7分に化合物Iが溶出されるか否かを観察したとこ
ろ、画分No.4-8に該化合物が存在することが確認され
た。そこで、画分No.4-8を集めた(85ml)。集めた画分の
アセトニトリルを留去後、20mlのダイヤイオン HP-20カ
ラムに供与した。100mlの蒸留水でカラムを洗浄
後、80mlの50%アセトン水で吸着画分を溶出し、減
圧下濃縮乾固して化合物Iを含む粗粉末60mgを得た。
【0065】次に、この粗粉末を4mlの25%アセトニト
リル-水で溶解した。この溶液を1mlずつ4回に分けて以
下の操作を行った。あらかじめ25%アセトニトリル−0.
3%トリエチルアミン燐酸緩衝液(pH3.1)で平衡化したH
PLCカラム(センシュウパックODS ペガシル 20φ×1
50mm)に該溶液(1ml)を注入し、25%アセトニトリル−
0.3%トリエチルアミン燐酸緩衝液(pH3.1)を移動相とし
て、流速6ml/分で溶出し、保持時間11.1〜12.6分の溶
出液を集めた。4回のHPLC分取により得た溶出液を
合わせて3mlに減圧下濃縮し、濃縮液を、2個直列に
つないだ逆相セップパックカートリッジ プラスC18
(ウオーターズ社製)に供与し、10mlの蒸留水でカ
ラムを洗浄後、10mlの40%アセトニトリル-水で吸
着画分を溶出した。溶出液を減圧下濃縮乾固して化合物
Iの白色粉末28.9mgを得た。 実施例2.化合物IIの製造方法
【0066】
【化8】 (A)SANK10899株の培養 培地組成−1で示される培地を80mlずつ500ml容
三角フラスコ2本に入れ121℃で20分間加熱滅菌した。
それぞれのフラスコの培地にペニシリウム トーミ(Pen
icillium thomii)SANK10899株(FERM B
P−6741)をスラントより1白金耳接種し、回転振
盪培養機で、210rpm、23℃で96時間培養し種培養液とし
た。
【0067】培地組成−1(除く寒天末)で示される培
地を80mlずつ500ml容三角フラスコ13本に入
れ、121℃で20分間加熱滅菌した。この培地を室温で23
℃に冷却した後、上記のペニシリウム トーミ(Penicil
lium thomii)SANK10899株(FERM BP−
6741)種培養液5mlを接種し、回転振盪培養で、210
rpm、23℃で7日間培養した。 (B)化合物IIの単離 得られた培養液0.5Lにろ過助剤としてセライト545
(ジョンズ マンビルプロダクト コーポレーション
製)25gを加えてろ紙ろ過をして得た菌体を、80%ア
セトン水300mlに懸濁し、30分間攪拌後、ろ紙ろ過
を行ないアセトン抽出液を得た。減圧下濃縮後、蒸留水
を加え100mlとし、50mlのダイヤイオン HP-20カラ
ムに供与した。200mlの蒸留水でカラムを洗浄後、
200mlの50%アセトン水で溶出して、50mlづつ
分画をした。画分No.1〜2を集め、これを合わせて、
減圧下濃縮して50mlとし、20mlのダウエックス50W
×4(H +)のカラムに供与した。100mlの蒸留水で
カラムを洗浄後、0.5規定アンモニア水で吸着画分を溶
出し、10mlづつ分画を行なった。画分No.2〜6を集
め、これを合わせて減圧下濃縮乾固して化合物IIを含む
粗粉末160mgを得た。
【0068】次に、この粗粉末を4mlの25%メタノール
-水で溶解した。この溶液を1mlずつ4回に分けて以下の
操作を行った。あらかじめ20%メタノール-水で平衡化
したHPLCカラム(センシュウパックODS ペガシル 2
0φ×150mm)に該溶液(1ml)を注入した。20%メタノー
ル-水を移動相として流速6ml/分で溶出し、保持時間1
2.6〜14.1分の溶出液を集めた。4回のHPLC分取に
より得た溶出液を合わせて減圧下濃縮凍結乾燥して化合
物IIの白色粉末21.3mgを得た。 実施例3.化合物IIIの製造方法
【0069】
【化9】 (A)SANK10899株の培養 培地組成−1で示される培地を80mlずつ500ml容
三角フラスコ2本に入れ121℃で20分間加熱滅菌した。
この培地にペニシリウム トーミ(Penicilliumthomii)
SANK10899株(FERM BP−6741)を
スラントより1白金耳接種し、回転振盪培養機で、210r
pm、23℃で96時間培養し種培養液とした。
【0070】培地組成−1(除く寒天末)で示される培地
を80mlずつ500ml容三角フラスコ13本に入れ、
121℃で20分間加熱滅菌した。この培地を室温で23℃に
冷却した後、上記のペニシリウム トーミ(Penicillium
thomii)SANK10899株(FERM BP−67
41)種培養液5mlを接種し、回転振盪培養機で、210rp
m、23℃で7日間培養した。
【0071】(B)化合物IIIの単離 得られた培養液0.5Lにろ過助剤としてセライト545
(ジョンズ マンビル プロダクト コーポレーション
製)25gを加えてろ紙ろ過をして得た菌体を、80%ア
セトン水300mlに懸濁し、30分間攪拌後、ろ紙ろ過
を行ないアセトン抽出液を得た。減圧下濃縮後、蒸留水
を加え100mlとし、50mlのダイヤイオンHP-20カラ
ムに供与した。200mlの蒸留水でカラムを洗浄後、
200mlの50%アセトン水で溶出して、50mlづつ
分画をした。画分No.1〜2を集めてを減圧下濃縮して
50mlとして、20mlのダウエックス50W×4(H+)の
カラムに供与した。100mlの蒸留水でカラムを洗浄
後、0.5規定アンモニア水で吸着画分を溶出した。活性
画分50mlを減圧下濃縮乾固して化合物IIIを含む粗粉末1
60mgを得た。
【0072】次に、この粗粉末を4mlの25%メタノール
-水で溶解した。この溶液を1mlずつ4回に分けて以下の
操作を行った。あらかじめ20%メタノール-水で平衡化
したHPLCカラム(センシュウパックODS ペガシル 2
0φ×150mm)に該溶液(1ml)を注入した。20%メタノー
ル-水を移動相として、流速6ml/分で溶出し、保持時間
10.8〜12分の溶出液を集めた。4回のHPLC分取によ
り得た溶出液を合わせて減圧下濃縮後、凍結乾燥して化
合物IIIの白色粉末3.7mgを得た。 試験例1.ミエロペルオキシダーゼ活性測定。
【0073】ミエロペルオキシダーゼ活性は以下の方法
により測定した。
【0074】ヒト・ミエロペルオキシダーゼをリン酸ナ
トリウムバッファー中で過酸化水素、グアイアコールと
反応させるとグアイアコールラジカルが生じ、直ちに重
合してテトラグアイアコールが生成する。生成したテト
ラグアイアコールは470nm付近に吸収極大を示すので、4
70nmの吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定する
ことによりミエロペルオキシダーゼ活性を測定した(Kl
ebanoffら、Methodsin Enzymology、105巻、399頁、198
4年)。
【0075】反応は96穴マイクロプレートを用いて行な
った。
【0076】1アッセイの反応液の組成は以下に示すと
おりであり、ヒト・ミエロペルオキシダーゼを最後に添
加し、添加後よく攪拌して反応を開始した。1アッセイの反応液の組成 100mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0) 10μl 3mM 過酸化水素溶液 10μl 300μM グアイアコール(シグマ社製) 10μl 被検物質のメタノール溶液 5μl 蒸留水 60μl 2.5μg/ml ヒト・ミエロペルオキシダーゼ 5μl (コスモ・バイオ社製) 総容量 100μl 反応は室温で行ない、マイクロプレートリーダーで470n
mの吸光度を5分間、連続測定し、1分あたりの吸光度の
平均増加を算出して、これをミエロペルオキシダーゼ活
性とした。
【0077】化合物I、化合物IIおよび化合物IIIの阻害
活性は、反応液にメタノールに溶解した各種濃度の化合
物I、化合物IIおよび化合物IIIを共存させて反応を行な
い、阻害剤を含まないメタノールのみを添加した対照の
酵素活性を100%として阻害率を求め、さらに、50%
阻害濃度(IC50値)を算出して求めた。
【0078】その結果、前記アッセイ法における化合物
I、化合物IIおよび化合物IIIのヒト・ミエロペルオキシ
ダーゼに対するIC50値は、それぞれ99ng/ml、60ng/mlお
よび97ng/mlであった。 上記処方の粉末を混合し、60メッシュのふるいを通した
後、この粉末を250mgの3号ゼラチンカプセルに入れ、カ
プセル剤とする。 上記処方の粉末を混合し、トウモロコシデンプン糊を用
いて湿式造粒、乾燥した後、打錠機により打錠して、1
錠200mgの錠剤とする。この錠剤は必要に応じて糖衣を
施すことができる。
【0079】
【発明の効果】本発明の化合物I、化合物IIおよび化合
物IIIはミエロペルオキシダーゼに対し強い阻害活性を
有していることから、優れた抗動脈硬化剤等として有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/14 C12N 1/14 A C12P 13/02 C12P 13/02 13/04 13/04 // C12N 9/99 C12N 9/99 (C12N 1/14 (C12N 1/14 A C12R 1:80) C12R 1:80) (C12P 13/02 (C12P 13/02 C12R 1:80) C12R 1:80) (C12P 13/04 (C12P 13/04 C12R 1:80) C12R 1:80)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で表される化合物又はその薬
    理上許容される誘導体又はその薬理上許容される塩。 【化1】
  2. 【請求項2】下記式(II)で表される化合物又はその薬
    理上許容される誘導体又はその薬理上許容される塩。 【化2】
  3. 【請求項3】下記式(III)で表される化合物又はその
    薬理上許容される誘導体又はその薬理上許容される塩。 【化3】
  4. 【請求項4】ペニシリウム(Penicillium)属に属す
    る、請求項1に記載の化合物の生産菌を培養する工程を
    含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】ペニシリウム・レイストリッキ(Penicill
    ium raistrickii)SANK 10999株を培養する
    工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物の
    製造方法。
  6. 【請求項6】ペニシリウム・レイストリッキ(Penicill
    ium raistrickii)SANK 10999株(FERM-
    BP6742)。
  7. 【請求項7】ペニシリウム(Penicillium)属に属す
    る、請求項2又は請求項3記載の化合物の生産菌を培養
    する工程を含むことを特徴とする、請求項2又は請求項
    3に記載の化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】ペニシリウム・トーミ(Penicillium thom
    ii)SANK10899株を培養する工程を含むことを
    特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の化合物の製
    造方法。
  9. 【請求項9】ペニシリウム・トーミ(Penicillium thom
    ii)SANK10899株(FERM-BP674
    1)。
  10. 【請求項10】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    化合物を有効成分として含有する医薬。
  11. 【請求項11】請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    化合物を有効成分として含有する抗動脈硬化剤。
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JP2011519944A (ja) * 2008-05-07 2011-07-14 ヘンケル コーポレイション 嫌気性硬化性組成物のための硬化促進剤
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CN107746849A (zh) * 2017-09-29 2018-03-02 天津科技大学 一种甾体羟化酶基因的高效筛选方法

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