JP2767120B2 - 化合物tan―1139およびその製造法 - Google Patents

化合物tan―1139およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は医薬、農薬、動物薬などの製造分野において
有用な、新規化合物TAN−1139(以下「TAN−1139」と略
称することもある)、およびその製造法に関する。
従来の技術 神経伝達物質アセチルコリンは副交感神経、体性神
経、また或る種の中枢神経の興奮により神経終末から放
出され、多様な生理的機能を発揮するが、アセチルコリ
ンエステラーゼ(AChE)によって速やかに加水分解さ
れ、不活性化される。この酵素の阻害剤はアセチルコリ
ンの不活性化を妨げ、アセチルコリン濃度を高めること
が出来、その作用機作を通じて、緑内障、重症筋無力症
の治療剤あるいは殺虫剤などとして開発されている[ア
ン・シルバー(Ann Silver)著、コリンエステラーゼの
生物学、North−Holland Pub.Comp.,Amsterdam,197
4]。また、最近、老人性アルツハイマー型痴呆症にお
いて脳内アセチルコリン量の減少が原因であるとする考
えから、該酵素阻害剤がこの疾病の治療薬として研究さ
れている[R.E.BeckerおよびE.Giacobini,Drug Develop
ment Research,12巻,p.163−195,1988]。
しかし、これまで見出されたAChE阻害剤は毒性の強さ
などの欠点を有しており、その利用が制限されている。
発明が解決しようとする課題 本発明者らはかかる現状に鑑み、これまで知られてい
る化合物とは異なる多様なAChE阻害剤を見出すことは非
常に重要であると考え、微生物代謝産物中に該活性を示
す化合物を広範に検索した。その結果、土壌から分離さ
れた多数の微生物中、或る種の微生物がAChE阻害物質を
培地中に蓄積しうることを知り、この化合物を単離し、
その物理化学的および生物学的性質から当該化合物が新
規化合物であることを確かめ、これをTAN−1139と称す
ることにした。また、該微生物がストレプトミセス(St
reptomyces)属に属することが判明した。本発明者ら
は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ね、本発明
を完成するにいたった。
すなわち本発明は(1)TAN−1139、および(2)ス
トレプトミセス属に属しTAN−1139を生産し得る能力を
有する微生物を培地に培養し、培養物中にTAN−1139を
生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするTAN
−1139の製造法を提供するものである。
本発明の製造法で使用されるTAN−1139を生産する微
生物としてはストレプトミセス属に属し、TAN−1139を
産生する能力を有する微生物であればいずれのものでも
よい。その例としてはインド国の土壌中より分離された
AI−2005株が挙げられ、本菌株の菌学的性質は下記のと
おりである。なお、各種培地上の性質はとくに指示しな
い限り、28℃で14日間培養し、常法に従って観察したも
のであり、色調はカラー・ハーモニー・マニュアル(Co
lor Harmony Manual)第4版[コンティナー・コーポレ
ーション・オブ・アメリカ(Container Corporation of
America)、1958年発行]によった。
1.形態 気菌糸および胞子の形成は、酵母エキス寒天、グルコ
ース・アスパラギン寒天、グリセロール・アスパラギン
寒天、スターチ寒天、チロシン寒天等の培地で中程度に
認められる。気菌糸の分枝は単純分岐で、車軸分岐は認
められず、その先端にはループ状またはゆるいスパイラ
ル状に胞子の連鎖が認められる。菌束糸、菌核、胞子の
う等の特殊な構造は認められない。電子顕微鏡による観
察では、胞子の表面は平滑であり、胞子の形は卵形ない
し円筒形であり、それらの大きさは0.4〜0.6×0.7〜1.1
ミクロンで、通常10個以上連鎖する。また、これらの胞
子は運動性は示さない。
2.各種分類培地上の性質(28℃,14日間培養) 1)蔗糖硝酸塩寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :貧弱、ペール・イエロー(1ca) 裏面の色 :ペール・イエロー(1ca)〜ブライト・イ
エロー(2na) 可溶性色素:なし 2)酵母エキス・麦芽エキス寒天培地 生 育 :良好 気菌糸 :中程度、パール(3ba) 裏面の色 :ブライト・マリゴールド(3pa)〜アンバ
ー(3nc) 可溶性色素:なし 3)オート・ミール寒天培地 生 育 :貧弱 気菌糸 :貧弱、ライトメロン・イエロー(3ea)〜
ライト・アプリコット(4ea) 裏面の色 :ライト・アイボリー(2ca) 可溶性色素:なし 4)澱粉無機塩寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :中程度、パール・ピンク(3ca〜4ca) 裏面の色 :アプリコット(3ea) 可溶性色素:なし 5)グリセロール・アスパラギン寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :中程度、パール・ピンク(3ca) 裏面の色 :ブライト・メイズ(3la)〜マリゴールド
(3na) 可溶性色素:なし 6)グルコース・アスパラギン寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :中程度、パール・ピンク(3ca) 裏面の色 :ブライト・メイズ(3la)〜アンバー(3l
c) 可溶性色素:なし 7)ペプトン・酵母エキス・鉄寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :着生せず 裏面の色 :ライト・ブラウン(3lg) 可溶性色素:生成する。ゴールデン・ブラウン(3pi) 8)チロシン寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :中程度、パール・ピンク(3ca) 裏面の色 :トパーズ(3ne)〜デープ・ブラウン(3p
l) 可溶性色素:生成するが弱い。アンバー(3nc) 9)栄養寒天培地 生 育 :中程度 気菌糸 :貧弱、白色 裏面の色 :ライト・メイズ(3ea)〜バンブー(2gc) 可溶性色素:なし 3.生理的性質 1)生育温度:16℃〜45℃ 至適温度:34℃〜39℃ 2)ゼラチンの液化:陰性 3)澱粉の加水分解:陽性 4)ミルクのペプトン化:陽性 5)ミルクの凝固:陰性 6)硝酸塩の還元:陰性 7)メラニン様色素の生成:陽性 8)炭素源の利用性 D−グルコース + D−キシロース ± L−アラビノース + L−ラムノース + D−フラクトース + D−ガラクトース + ラフィノース + D−マンニトール + i−イノシトール + サリシン + シュークロース + 無添加 − 基礎培地:プリードハムとゴットリーブ寒天培地 4.全菌体の加水分解中のシアミノピメリン酸および糖の
分析 本菌は、全菌体の加水分解物中に、LL−ジアミノピメ
リン酸を含有し、アラビノースおよびマジュロースを含
まず、タイプIに属する。
以上の分類的性質を要約すると、AI−2005株は気菌
糸先端がループ状又はゆるいスパイラル状を呈し、連鎖
する胞子を形成する。胞子表面は平滑である。菌束糸
を形成せず、運動性胞子を生成しない。発育色調は淡
黄色ないし、褐色を示し、気菌糸はパール・ピンク(3c
a)である。はメラニン様色素生成が認められる。
菌体よりLL−ジアミノピメリン酸が検出され、構成糖と
してアラビノースやマジュロースは検出されないことに
より、本菌は細胞壁タイプIで、糖型はC型に属する。
以上の性質をもとにアール・イー・ブッファナン・ア
ンド・エヌ・イー・ギボンス編、バージーズ・マニュア
ル・オブ・デタミネーティブ・バクテリオロジー(Berg
ey′s Manual of Determinative Bacteriology)第8
版,1974年に従って検索を行った結果、上記AI−2005株
はストレプトミセス属に属することが判明したので、本
菌をストレプトミセスエスピー.(Streptomyces sp.)
AI−2005と命名した。
AI−2005株は、昭和63年12月26日財団法人・発酵研究
所(IFO)に受託番号IFO 14809として、また本菌は平成
1年1月30日、通商産業省、工業技術院微生物工業技術
研究所(FRI)にブタペスト条約に基づいて受託番号 F
ERM BP−2262として、それぞれ寄託されている。
ストレプトマイセス属に属するTAN−1139の生産菌
は、他の放射菌の場合と同様に、たとえば紫外線、エッ
クス線、放射線などの照射、単胞子分離、種々の変異処
理、その他の手段で変異させることが出来、このような
変異株あるいは自然に得られる突然変異株であっても、
上記した分類学的性状との比較において実質的に別種と
するに足らず、しかも当該化合物を生産する性質を有す
るものは、すべて本発明方法に利用し得る。
当該化合物生産菌の培養に用いられる培地は該菌が利
用し得る栄養源を含むものなら、液状でも固状でもよい
が、大量に処理するときには液体培地を用いるのがより
適当である。培地には、当該化合物生産菌が同化し得る
炭素源、窒素源、無機物質、微量栄養源が適宜配合され
る。炭素源としては、たとえばブドウ糖、乳糖、ショ
糖、麦芽糖、デキストリン、澱粉、グリセリン、マンニ
トール、ソルビトール、油脂類(例、大豆油、ラード
油、チキン油など)、n−パラフィンその他が、窒素源
としては、たとえば肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、
大豆粉、コーン・スティープ・リカー、ペプトン、棉実
粉、廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸ア
ンモニウムなど)その他が用いられる。さらにナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む塩
類、鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金
属塩類、リン酸、ホウ酸などの塩類や酢酸、プロピオン
酸などの有機酸の塩類が適宜用いられる。その他、アミ
ノ酸(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、
リジン、メチオニン、プロリンなど)、ペプチド(例、
ジペプチド、トリペプチドなど)、ビタミン類(例、
B1、B2、ニコチン酸、B12、Cなど)、核酸類(例、プ
リン、ピリミジン、その誘導体など)等を含有させても
よい。もちろん、培地のpHを調節する目的で無機または
有機の酸またはアルカリ類、緩衝剤等を加え、あるいは
消泡の目的で油脂類、界面活性剤等の適量を添加して差
し支えない。液体培養に際しては、培地のpHは中性付
近、特にpH5.5〜7が好ましい。培養温度は約24℃〜30
℃、培養時間は約48時間〜120時間が好ましい。
培養経過に伴って生産されるTAN−1139は、測定条件
下でアセチルコリンエステラーゼを50%阻害する必要な
サンプル量として定量し、その逆数をユニット(unit)
として表わした。通常、約2〜3日間の培養でTAN−113
9の生産量は最高に達する。
培養物から目的とする化合物TAN−1139を採取するに
は、TAN−1139が中性で脂溶性を示す化合物であるか
ら、この性質を利用する一般的手段で採取することがで
きる。
培養物中TAN−1139は主として濾液中に含まれるの
で、培養液をpH3ないし10、好ましくはpH4ないし8に調
整後、水と混和しない有機溶媒、たとえばジクロロメタ
ン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトンあるいはイソ
ブタノールなどを加え、活性物質を抽出する方法が用い
られる。
また液を吸着性樹脂たとえばアンバーライトXAD−I
I(ローム・アンド・ハース社製、米国)、ダイアイオ
ンHP−20(三菱化成社製、日本),アンバーライトSP−
207(三菱化成社製、日本)または活性炭(武田薬品
製、日本)などを用いたクロマトグラフィー法に付す方
法が有利に用いられる。なお、吸着性樹脂を用いたカラ
ムから目的の活性物質を溶出するには、水または含水溶
媒、たとえば含水メタノール、含水アセトン,イソブタ
ノール水などが有利に用いられる。かくして得られた抽
出液あるいは溶出液を減圧下濃縮すると、TAN−1139を
含有する粗物質が得られる。
粗物質をさらに精製し、純粋なTAN−1139を得るには
種々のクロマトグラフィー法が有利に用いられる。担体
としてはシリカゲル、セルロース、セファデックスLH−
20(ファルマシア社製、スウェーデン)などが用いら
れ、これらは通常カラムクロマトグラフィー法で行われ
る。カラムから活性物質を溶出するには適当な有機溶媒
たとえばヘキサン、トルエン、酢酸エチル、ジクロロエ
タン、アセトン、メタノールなどの単独あるいは混合溶
媒が用いられる。溶出液を濃縮し、冷所で放置するか、
濃縮残渣を適当な結晶化溶媒たとえばジエチルエーテ
ル、酢酸エチル、メタノールあるいはこれらの混合液で
溶解し、冷所で放置すると、TAN−1139の結晶が得られ
る。
かくして、後記の実施例2で得られたTAN−1139の物
理化学的性質はつぎのとおりである。
1)外観:無色結晶 2)融点:110°±5℃ 3)比旋光度:▲[α]23 D▼−7.3°±3.0°(C1.0、
メタノール中) 4)マス・スペクトル測定法:m/z234(M+、EIMS法) 5)元素分析値:(%) 実測値; C,41.10;H,4.74;P,12.99 計算値; C,41.04;H,4.74;P,13.23;O,41.00 6)分子式;C8H11PO6 7)紫外部吸収(UV)スペクトル:メタノール中 8)赤外部吸収スペクトル:KBr中,(第1図)主な吸収
波数を示す(cm-1) 3470,2980,2930,1760,1680,1480,1430, 1400,1380,1290,1270,1250,1230,1210, 1120,1080,1050,1000, 950, 850, 840, 770, 710, 680, 630, 600, 560, 500, 450 9)13C−核磁気共鳴スペクトル:75MHz重クロロフォル
ム中,(第2図)。
下記のシグナルを示す(δppm) 168.77および168.75(Q),161.32および161.21(Q),
111.98および111.94(Q),67.48および67.40(CH2),6
4.10(CH2),55.80および55.72(CH3),39.55(CH),1
8.03および17.97(CH3)(ただし、Qは四級炭素,CH2
はメチレン,CH3はメチル,CHはメチンを示す) 10)1H−核磁気共鳴スペクトル:300MHz,重クロロフォル
ム中,(δppm)。
下記のシグナルを示す。
2.46(s),2.47(s),3.81(t),3.93(s),3.97
(s),3.79(t),4.44(m),4.15(dd),4.23(d
d),4.33(dd),4.36(dd)(ただし、s:シングレット,
t:トリプレット,m:マルティプレット,dd:ダブルダブレ
ットを示す) 11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体:シリカゲル60F254(メルク社製、西独) 展開溶媒:酢酸エチル:n−ヘキサン (3:1) Rf=0.25 12)高速液体クロマトグラフィー(HPLC): 担体:ODSカラム(YMC−Pack A312、山村化学研究所製,
日本) 移動相:27%アセトニトリル/0.02Mリン酸バッファー(p
H6.3) 流速:2ml/min 検出:254nm Rt=3.2(分) 13)呈色反応: 陽性:濃硫酸,過マンガン酸カリウム,リンモリブデン
酸反応 14)溶解性: 易溶;クロロフォルム,酢酸エチル,アセトン 可溶;水 15)物質の区別:中性物質 次にTAN−1139の生物活性について述べる。
TAN−1139の酵素阻害活性は、牛脳から抽出したアセ
チルコリンエステラーゼとともに、市販(シグマ社、U.
S.A)の馬血清偽コリンエステラーゼ、ブタ肝臓エステ
ラーゼ、および牛膵臓トリプシンについても測定した。
牛脳からのアセチルコリンエステラーゼ粗酵素の調
製: 牛脳は京都中央畜産副生物卸協同組合より購入した。
全脳(約400g湿重量)を表面の血管・被膜を取り除き、
0.32M蔗糖を含む緩衝液A[20mM Tris−HCl(pH,7.6)
+3mM MgCl2]で洗浄し、同緩衝液中(脳1gに対し緩衝
液3ml)で、ハサミで細切し、ポリトロンホモゲナイザ
ー(Kinematica Gmb H. SWIT.)を用いてホモゲナイズ
(20秒、10回、氷水中で冷却)した。ガーゼろ過後、蔗
糖濃度を0.25Mになるように調整し、7,000×gで10分間
遠心、0.25M蔗糖を含む緩衝液Aで洗浄した。沈渣に2
%トリトンX−100を含む緩衝液Aを加え、テフロンホ
モゲナイザーを用いて懸濁、酵素を可溶化し、その遠心
上清(10,000×g,20分)をアセチルコリンエステラーゼ
粗酵素液として用いた。この標品(0.04〜0.08unit/mg
protein,15〜20mg protein/ml)の偽コリンエステラー
ゼ活性はアセチルコリンエステラーゼ活性の1/100以下
であった。
酵素活性測定法:ジー・エル・エルマン(G.L.Ellma
n)等のDTNB(Dithiobisnitrobenzoate)法を改変して
用いた[Biochem.Pharmacol.,7,88(1961)]。
反応液1ml中に、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH,7.
0),3.3mM DTNB,サンプルを含み、アセチルコリンエス
テラーゼには基質として0.5mMアセチルチオコリンを、
偽コリンエステラーゼには基質として0.5mMブチルチオ
コリンを加え、30℃で30分反応後、0.2NHCl 1mlを加え
反応を停止し、5〜10分後、0.5Mリン酸カリウム緩衝液
(pH,7.0)1mlを加えて発色し、412nmの吸光度を測定し
た。
エステラーゼは0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH,7.0)
1ml中で1mM酢酸4−ニトロフェニルの、トリプシンは50
mMリン酸カリウム緩衝液(pH,8.0)中で1mMベンゾイル
−L−アルギニンエチルエステルの加水分解を測定する
ことにより測定した。
TAN−1139による酵素阻害活性は表1に示したよう
に、アセチルコリンエステラーゼに対して最も強い阻害
活性を示した。偽コリンエステラーゼのエステラーゼに
対しても阻害活性を示したが、トリプシンはほとんど阻
害されなかった。
スコポラミン誘発健忘に対する作用: 明暗箱を用いた受動的回避学習課題において、抗コリ
ン剤であるスコポラミンはマウスに回避反応の著しい障
害(健忘)を誘発する。このスコポラミン誘発健忘に対
するTAN−1139の作用を調べた。
受動的回避学習課題を用いて、マウスの学習行動に及
ぼす影響を検討した。明暗2室からなる装置の明室に入
れたマウスは暗い方を好む習性に従って、速やかに暗室
へ移動する。マウスが暗室へ移動したところで床から電
気ショック(0.4mA,3秒間)を与えた(獲得試行)。翌
日、再びマウスを暗室へ入れると(保持テスト)、前日
の電気ショックを受けたことを覚えていて、なかなか暗
室に入ろうとしない。ところが獲得試行の15分前にスコ
ポラミン(1mg/kg)を皮下投与されたマウスは、電気シ
ョックを受けたことを覚えることが出来ずに、保持テス
トにおいて再び速やかに暗室へ移動する。つまり、保持
テストにおいて、マウスが明室にとどまった時間(回避
時間)が学習の指標となる。TAN−1139(0.3mg/kg)
は、獲得試行の30分前に、つまりスコポラミン投与の15
分前、および保持テストの30分前の2回腹腔内投与する
ことにより、スコポラミン処置マウスの回避時間を2倍
近く延長した。これはTAN−1139がマウスのスコポラミ
ン誘発健忘に対して改善作用を有する可能性を示唆する
ものであり、中枢コリン神経系の機能低下を主徴とする
アルツハイマー型痴呆症への応用も期待される。
TAN−1139の毒性:TAN−1139は経口投与では100mg/kg
で全く毒性を示さなかった。腹腔内投与ではLD50は2.2m
g/kgであった。
TAN−1139の殺虫活性:TAN−1139は100p.p.m.の濃度
で、ハスモンヨトウに対し殺虫性を示した。
実施例 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
るが、これによって本発明が限定されるものではない。
なお、培地におけるパーセント(%)は、特に断りのな
い限り、重量/容量パーセントを表示する。
実施例1 0.4%グルコース、0.4%酵母エキス、1%麦芽エキ
ス、2%寒天を含むISP−2(ディフコ社、U.S.A.)斜
面培地に培養したストレプトミセス エスピー・AI−20
05株(IFO 14809,FERM BP−2262)を200ml容三角フラス
コ内の2%グルコース、3%可溶性澱粉、1%生大豆
粉、1%コーン・スティープ・リカー(CSL)、0.5%ペ
プトン、0.3%NaCl、0.5%CaCO3を含む40mlの種培地(p
H,7.0)に接種し、28℃、48時間回転振盪機上で培養
し、前培養を得た。得られた前培養液の10mlを2000ml容
坂口フラスコ内の500mlの種培地に移植し、28℃、48時
間往復振盪機上で培養し、種培養液を得た。この種培養
液500mlを種培地(上記種培地と同一組成)30lを含む50
l容ステンレス・スチール・タンクに移植し、通気・30l
/分、撹拌・280回転/分、内圧・1kg/cm2の条件で培養
した。得られた培養液の10lを2000l容ステンレス・スチ
ール・タンク内の0.5%グルコース、5%デキストリ
ン、3.5%脱脂大豆粉、0.7%CaCO3を含む1200lの主培地
(pH,7.0)に移植し、26℃、通気・1200l/分、撹拌・90
回転/分、内圧・1kg/cm2の条件で、96時間培養した
(1万ユニット/ml)。
実施例2 培養液(1170l)から濾過により菌体を除去し、液
をpH3に調節した後、酢酸エチル(500l)で抽出した。
得られた有機層を水(75l)で洗浄後濃縮して粗油状物
(320g)を得た。これをメタノール(100ml)に溶解
し、活性炭カラム(1.0l)に吸着させ、水(3l)、50%
メタノール水(4l)及びメタノール(3l)で順次溶出
し、1lづつに分画した。各画分を高速液体クロマトグラ
フィーにて分析し、目的物のピークを成分として含む画
分を集めて、減圧下0.5lにまで濃縮した。濃縮液をダイ
アイオンHP−20(50〜100メッシュ,2.0l)のカラムを通
過させ、水(6l),20%メタノール水(8l),50%メタノ
ール水(6.5l)及び70%メタノール水(6l)で順次溶出
し、2lづつに分画した。各画分を前記と同様に分析し、
目的物を主ピークとして含む画分を集めて濃縮し、油状
物(49.8g)を得た。これをクロロホルムに溶解し、シ
リカゲル(メルク社 Art.7734,0.5l)のカラムに吸着
させ、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒、8:2(2l),
6:4(3l)及び4:6(3l)で順次溶出し、0.5lづつに分画
した。各画分を前述のように分析し、目的物の単一ピー
クを示す画分を集めて減圧下濃縮した。酢酸エチル−ジ
エチルエーテルより結晶化し、TAN−1139の無色結晶(1
9.1g)を得た。
発明の効果 化合物TAN−1139は、アセチルコリンエステラーゼの
阻害作用を有し、中枢コリン神経系の機能低下を主徴と
するアルツハイマー型痴呆症などの治療用医薬として利
用可能である。
【図面の簡単な説明】
実施例2で得られたTAN−1139について、第1図はその
赤外部吸収スペクトルを、第2図はその13C−核磁気共
鳴スペクトルをそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:465) (C12N 1/20 C12R 1:465) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 1/06 BIOSIS(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の物理化学的性質を有する化合物TAN
    −1139 (1)融点:110±5℃ (2)分子式:C8H11PO6 (3)紫外部吸収スペクトル:メタノール中 (4)赤外部吸収スペクトル:KBr中 主な吸収波数を示す(cm-1) 3470,2980,2930,1760,1680,1480,1430, 1400,1380,1290,1270,1250,1230,1210, 1120,1080,1050,1000, 950, 850, 840, 770, 710, 680, 630, 600, 560, 500, 450 (5)13C−核磁気共鳴スペクトル:75MHz 重クロロホルム中 下記のシグナルを示す(δppm) 168.77および168.75(Q),161.32および161.21(Q),
    111.98および111.94(Q),67.48および67.40(CH2),6
    4.10(CH2),55.80および55.72(CH3),39.55(CH),1
    8.03および17.97(CH3
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し化合物TAN−113
    9生産し得る能力を有する微生物を培地に培養し、培養
    物中にTAN−1139を生成,蓄積せしめ、これを採取する
    ことを特徴とする化合物TAN−1139の製造法。
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