JP2001127378A - 半導体集積素子とその製造方法 - Google Patents

半導体集積素子とその製造方法

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JP2001127378A
JP2001127378A JP30919299A JP30919299A JP2001127378A JP 2001127378 A JP2001127378 A JP 2001127378A JP 30919299 A JP30919299 A JP 30919299A JP 30919299 A JP30919299 A JP 30919299A JP 2001127378 A JP2001127378 A JP 2001127378A
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semiconductor
mask
layer
integrated device
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Tomokazu Mukohara
智一 向原
Tatsuo Kurobe
立郎 黒部
Akihiko Kasukawa
秋彦 粕川
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる層構造をバットジョイント接合すると
きに、選択成長時にその膜厚を厚くしてもマスクへの這
い上がり成長が起こらない半導体集積素子、とりわけ、
低しきい値電流で動作する狭出射半導体レーザ素子を提
供する。 【解決手段】 活性層を含む層構造の活性層領域Iとそ
れにバットジョイント接合する導波路層領域IIとが半導
体基板の上に形成されており、バットジョイント接合面
Jは、活性層領域Iにおける少なくとも活性層を構成す
る半導体材料の結晶方位[011]に対して45°の角
度で傾斜する垂直面である半導体レーザ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体集積素子とそ
の製造方法に関し、更に詳しくは、狭出射半導体レーザ
素子として使用すると、活性層領域と導波路層構造との
接合界面における結合損失の増大を招くことがないの
で、しきい値電流の増加と発光効率の低下が抑制される
半導体集積素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光源である半導体レーザ素子と光経路で
ある光ファイバを接続して光モジュールを組み立てる場
合、光ファイバとの光結合が容易に行えるということか
らすれば、用いる半導体レーザ素子としては出力ビーム
径が小さい狭出射半導体レーザ素子が好適である。ま
た、光モジュールそれ自体やそれを組み込んだ光通信シ
ステム全体のコストの面からいえば、前記狭出射半導体
レーザ素子は低コストで製造できるものであることが好
ましい。
【0003】ここで、従来から知られている狭出射半導
体レーザ素子の製造について、図面に則して説明する。
まず、MOCVD法やMBE法などのエピタキシャル結
晶成長法で、n−InPから成る基板1の上に、n−I
nPから成る下部クラッド層2,GaInAsP/Ga
InAsPから成る量子井戸構造と光閉じ込め層を有す
る活性層3,そしてp−InPから成る上部クラッド層
4を順次成膜して活性層領域であるスラブ状の第1の半
導体層構造Iを形成する(図7)。
【0004】なお、この場合、層構造Iを構成する上記
各半導体材料は、結晶方位[011]が図7の矢印で示
した方向となるようにエピタキシャル成長しているもの
とする。ついで、層構造Iにおける上記クラッド層4の
上に例えばSiO2やSiNxを用いて複数個のマスク5
をパターニングする。1個のマスク近辺の状態を平面図
として図8に示す。
【0005】この場合、マスク5の平面視パターンは長
方形形状であり、その縁辺5aの形状が前記した結晶方
位[011]に対して直交する形状になっているのが通
例である。マスク5をパターニングしたのち、例えばリ
ン酸系のエッチセントを用いたウェットエッチング処理
を行い、図9で示したように、マスク5の直下に位置す
る層構造Iは残して他の部分は基板1までエッチング除
去し、マスク5の縁辺5aから基板1にまで至るエッチ
ング面Iaを形成する。その場合、層構造IにおけるI
nPとGaInAsPとの間ではエッチングの選択性が
異なるため、形成されたエッチング面Iaには段差が生
じている。
【0006】ついで、基板表面の全体に対して例えばM
OCVD法によりGaInAsPとInPとを順次選択
成長させて、図10と図10のXI−XI線に沿う断面図で
ある図11で示したように、導波路層6と保護層7を含
み、導波路層領域として機能する第2の半導体層構造II
を形成し、層構造Iのエッチング面Iaと層構造IIとの
間でバットジョイント接合面Jを形成する。したがっ
て、このバットジョイント接合面Jは、前記した結晶方
位[011]に対して平面的に直交する段差を有する形
状になっている。
【0007】そして、層構造I(活性層領域)の活性層
3で発振したレーザ光は、バットジョイント接合面Jで
前記層構造Iと光結合する導波路層6に導波して図11
の矢印で示したように出射していく。また、この層構造
IIは選択成長で形成されているので、その膜厚はマスク
5が形成されている層構造I側、すなわち、光の入射端
側で厚くなり、そこから遠ざかるほど順次膜厚は薄くな
り、最も離れた地点、すなわち光の出射端では最も薄く
なる。その場合、層構造IIにおける導波路層6の光の導
波方向における長短によっても異なるが、例えば導波路
層6の長さが150μm程度であるとすると、その入射
端側の膜厚と出射端の膜厚との比は、通常、1:1/3
〜1/2程度になる。
【0008】ついで、マスク5を除去したのち、バット
ジョイント接合している層構造Iと層構造IIの上面から
エッチング処理を行って、2つの層構造部分を所定の幅
と所定の高さのリッジ形状にし、更にそのリッジの両側
部と表面に対する通常の埋め込み作業を行い、最後に電
極の形成工程を経て目的とする狭出射半導体レーザ素子
が製造される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した製
造工程における層構造IIの選択成長時に、図12で示し
たように、導波路層6、したがって保護層7がマスク5
の上にまで這い上がり成長することがある。とくに、層
構造IIの厚みを厚くすると、上記した這い上がり成長は
顕著となり、全体の表面にはバットジョイント接合面J
を中心にして凸部8が形成される。
【0010】このような事態が発生すると、層構造IIの
選択成長工程に続く埋め込み工程や電極形成工程を経て
製造した素子において、上記這い上がり成長に基づいて
形成されている凸部8により、例えばその素子をJ/D
でボンディングし、パッシブアライメントにより光ファ
イバと接続する際に円滑な光軸合わせの作業が困難とな
り、その結果、光モジュールの製造コストを高めること
になる。
【0011】したがって、狭出射半導体レーザ素子の製
造に際し、選択成長で形成する層構造IIに関しては、バ
ットジョイント接合面Jの上面に上記した這い上がり成
長に基づく凸部8が形成されないようにすることが必要
になる。また、この素子の場合、前記したウェットエッ
チング処理時に形成された層構造Iのエッチング面(接
合面)Iaには段差があるので、層構造IIの形成時に異
常成長が起こって、接合面に例えば空洞などが形成され
ることがある。
【0012】一方、このレーザ素子の場合、活性層領域
I(層構造I)と導波路層領域II(層構造II)のバット
ジョイント接合面Jにおける光結合効率は大きければ大
きいほど好適である。具体的には、光結合効率が100
%であることを最良とする。そして、上記光結合効率
は、選択成長で形成された層構造IIの膜厚で律速され
る。
【0013】そこで、層構造Iにおける下部クラッド層
2の厚みを2μm、活性層3の厚みを300nm、上部ク
ラッド層4の厚みを2μmと仮定し、このときの層構造
IIにおける導波路層6の厚みと光結合効率との関係を計
算してみると図13に示したような関係になる。図中、
実線は活性層3の厚み方向における光中心と導波路層6
の厚み方向における光中心の位置ずれ(Δd:単位はn
m)が0、すなわち両光中心は合致している場合であ
り、破線は上記Δd値が100nmの場合である。
【0014】なお、後者の場合は、層構造Iのエッチン
グ処理時に、エッチングの終止点が基板表面ではなく、
更にそれよりも深くエッチングしたときに起こるケース
である。図13から明らかなように、活性層3と導波路
層6の光中心が合致している場合(Δd=0)には、導
波路層6の膜厚を300nm程度にするとバットジョイン
ト接合面Jでの光結合効率は100%になる。
【0015】すなわち、層構造IIにおける導波路層6の
膜厚が300nm程度の厚みになるまで選択成長を行って
はじめて、バットジョイント接合面Jでは100%の光
結合効率を実現することができる。仮に、後者のΔd=
100nmの場合のように、層構造Iのエッチング処理時
に過度にエッチングしたときには、層構造IIにおける導
波路層6が更に厚膜となるように選択成長を行うことが
必要になる。
【0016】しかしながら、厚膜の層構造IIを選択成長
で形成すると、前記したようにバットジョイント接合面
近辺に這い上がり成長による凸部8が形成されるという
不都合が発生する。このような問題、すなわち上記凸部
の発生問題は、選択成長時の這い上がり成長が起こらな
い程度に、層構造IIにおける導波路層6の膜厚を薄くす
れば解消できるが、その場合には図13から明らかなよ
うに光結合効率の低下、更にはしきい値電流の上昇が起
こってしまい、そもそもレーザ素子としての特性劣化を
招いてしまう。
【0017】更には、前記したように、選択成長で形成
された層構造IIは、層構造I側(光の入射端側)で厚
く、出射端側で薄くなっているので、バットジョイント
接合面Jにおける膜厚を薄くすると、出射端面側の膜厚
はその1/3〜1/2程度になってしまい導波路として
の機能を喪失することも考えられる。このようなことか
ら、出射端側の膜厚もある厚みを確保することが必要に
なってくるが、その場合にはバットジョイント接合面J
においてはかなりの厚膜状態になるため、選択成長時の
這い上がり成長が発生しやすくなる。
【0018】このように、上記した狭出射半導体レーザ
素子に代表されるバットジョイント接合面を有する半導
体集積素子には、厚膜の層構造IIを選択成長で形成した
ときに這い上がり成長によってバットジョイント接合面
の上部表面に凸部が生成するという問題がある。また、
層構造Iにウェットエッチング処理を行うと、前記した
ように、バットジョイント接合面に空洞が生ずるという
問題もある。
【0019】本発明は、層構造IIを選択成長で形成する
半導体集積素子における上記した問題を解決し、バット
ジョイント接合面における層構造IIの膜厚が300nm程
度にまで厚膜化してもマスクへの這い上がり成長に基づ
く凸部の生成は起こらず、低いしきい値電流と高い発光
効率で作動する狭出射半導体レーザ素子として有用な半
導体集積素子とその製造方法の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、第1の半導体層構造と第2
の半導体層構造とがバットジョイント接合して半導体基
板の上に形成されている半導体集積素子において、前記
バットジョイント接合面は、前記第1の半導体層構造に
対するドライエッチング処理で形成され、かつ前記第1
の半導体層構造を構成する半導体材料の結晶方位に対し
て傾斜した垂直面になっていることを特徴とする半導体
集積素子、好ましくは、前記バットジョイント接合面の
前記傾斜角は45°±10°である半導体集積素子が提
供される。
【0021】具体的には、活性層を含む層構造の活性層
領域とそれにバットジョイント接合する導波路層領域と
が半導体基板の上に形成されており、前記バットジョイ
ント接合面は、前記活性層領域における少なくとも活性
層を構成する半導体材料の結晶方位に対して傾斜する垂
直面であることを特徴とする半導体レーザ素子が提供さ
れる。
【0022】また、本発明においては、エピタキシャル
結晶成長法で半導体基板の上に第1の半導体層構造を形
成する工程;前記第1の半導体層構造の表面にマスクを
形成したのちドライエッチング処理を行って、前記第1
の半導体層構造の一部をドライエッチング除去する工
程;および前記ドライエッチング除去した部分に選択成
長法で第2の半導体層構造を形成して前記第1の半導体
層構造と第2の半導体層構造をバットジョイント接合す
る工程;を含む半導体集積素子の製造方法において、前
記マスクは、形成すべき前記バットジョイント接合面側
の縁辺が前記第1の半導体層構造を構成する半導体材料
の結晶方位に対して傾斜している平面視形状を有するこ
とを特徴とする半導体集積素子の製造方法が提供され
る。
【0023】また、前記マスクは、中央に位置する中央
マスク部分と、前記中央マスク部分の両側に位置し、か
つ前記中央マスク部分よりも長尺な両側マスク部分とか
ら成る平面視形状を有する半導体集積素子の製造方法が
提供される。そして前記マスクの縁辺の傾斜角が45°
±10°であることを好適とする半導体集積素子の製造
方法が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に則して本発明の半導
体集積素子の実施態様を説明するが、その説明は、図7
〜図11で示した狭出射半導体レーザ素子を例にして行
う。まず、図7で示した場合と同じようにn−InPか
ら成る基板1の(001)面に活性層領域である第1の
半導体層構造Iが形成される。したがって、この層構造
Iを構成する各半導体材料の結晶方位[011]は図7
の矢印方向(レーザ光の導波方向)に向いている。
【0025】ついで、この層構造Iの最上層を構成する
上部クラッド層4の上に、SiO2やSiNxを用いてマ
スクを複数個形成したのちエッチング処理を行って、前
記層構造Iの一部が基板1の表面までエッチング除去さ
れる。本発明においては、上記マスクが次のような平面
視形状を有していることを最大の特徴とする。以下にそ
れを説明する。
【0026】図1は、層構造Iの上部クラッド層4の上
に複数個形成されているマスク5のうち、1個のマスク
の近辺の状態を示す平面図である。図1から明らかなよ
うに、本発明で形成するマスク5は、層構造Iと後述す
る層構造IIとでバットジョイント接合面を形成すべき箇
所における縁辺5aが層構造Iを構成する半導体材料の
結晶方位[011]に対して角度θで傾斜するような平
面視形状を有している。
【0027】ここで、傾斜角θは、後述する選択成長時
に、層構造Iとの間で100%の光結合効率を実現する
ために、バットジョイント接合面における層構造IIの膜
厚を300nm程度にまで厚くしてもマスク5への這い上
がり成長が起こらないようにするためには、45°±1
0°に設定することが好ましい。このようなマスク5を
形成したのち、例えばCH4/H2を用いたRIEによる
ドライエッチング処理が行われる。そのときのエッチン
グ終止点は、基板1の表面となるように目標を定める。
【0028】このドライエッチング処理によりマスク5
の直下に位置する層構造Iの部分以外の部分はエッチン
グ除去され、図2で示したように、基板1の上には、結
晶方位[011]に対して角度θで傾斜する垂直なドラ
イエッチング面Iaを有する層構造Iが残置する。この
ドライエッチング面1aには、ウェットエッチング処理
で形成されたエッチング面の場合のような段差を生じて
いない。そして、このドライエッチング面Iaが後述す
る層構造IIとのバットジョイント接合面になる。
【0029】ついで、この基板1に対して、導波路層用
の半導体材料と保護層用の半導体材料の選択成長を順次
行って、層構造Iのエッチング面Iaに第2の半導体層
構造IIを光の導波方向にバットジョイント接合したの
ち、全体の上面からエッチング処理を行って、基板1の
上に所定の幅と高さを有するリッジ形状を形成する。し
たがって、この工程終了後にあっては、図3と図3のIV
−IV線に沿う断面図である図4で示したように、リッジ
形状をし、導波路層6と保護層7とから成り、光の入射
端側は、等幅のリッジ形状をした層構造Iにバットジョ
イント結合している層構造IIが基板1の上に形成され
る。
【0030】そして、このバットジョイント接合面Jの
場合、その平面視形状が層構造Iを構成する半導体材料
の結晶方位[011]に対して角度θ、具体的には45
°±10°傾斜している垂直面になる(図3)。そし
て、理由は明確ではないが、マスク5の縁辺5aを結晶
方位[011]に対して角度θで傾斜させたことによ
り、導波路層領域(層構造II)は、バットジョイント接
合面Jでその膜厚が300nm程度になってもマスク5の
上に這い上がり成長することがなく、両層構造の境界上
部に図12で示したような凸部は発生しない。
【0031】次に、別の例を説明する。このマスク9
は、図5で示したように、中央に位置する中央マスク部
分9aと、この中央マスク部分9bの両側に位置する一
対の両側マスク部分9c,9cとから成る平面視形状を
有しており、かつ両側マスク部分9c,9cは中央マス
ク部分9bよりも光の導波方向で長尺になっている。そ
して、両側マスク部分9c,9cと中央マスク部分9b
のそれぞれの縁辺9aが層構造Iを構成する半導体材料
の結晶方位[011]に対して角度θ(45°±10
°)で傾斜していることは、図1で示したマスク5の場
合と変わらない。
【0032】このマスク9を形成した層構造Iにドライ
エッチング処理を行うと、図6で示したように、基板1
の上には、平面視形状はマスク9と同じで、結晶方位
[011]に対して角度θ(45°±10°)で傾斜し
たドライエッチング面Iaを有する層構造Iが残置す
る。したがって、この層構造Iにおいては、中央マスク
部分9bのエッチング面と2個の両側マスク部分9c,
9cの側部エッチング面との間に、平面視形状が菱形を
した空間部分10が形成されることになる。
【0033】そして、ここに選択成長を行うと、半導体
材料は、中央マスク部分9bから上記空間部分10に矢
印のように流れ込んで結晶成長するとともに、両側マス
ク部分9c,9cからも同じく上記空間部分10に矢印
のように流れ込んで結晶成長して導波路層領域の形成が
進む。また、当然のこととして上記空間部分10以外の
箇所でも選択成長が進んで導波路層領域が形成されてい
く。
【0034】そして、基板上への導波路領域(層構造I
I)の形成後にあっては、エッチング処理を行うことに
より、中央マスク部分9bの幅を有する活性層領域と、
それにバットジョイント接合する導波路層領域とから成
るリッジ形状が形成される。したがって、このマスク9
を用いたレーザ素子の場合には、中央マスク部分9b直
下に位置する層構造Iのエッチング面がバットジョイン
ト接合面として機能する。
【0035】このマスク9を用いると、空間部分10に
おける導波路層領域の成膜速度は他の箇所における成膜
速度より大きいので、例えば、形成した導波路層領域の
出射端側の膜厚を必要膜厚にする場合、その入射端側、
すなわち、空間部分10における中央マスク部分9bの
直下の層構造Iのエッチング面近傍で必要とされる例え
ば300nm程度の膜厚を迅速に実現することができる。
【0036】ここで、次のような狭出射半導体レーザ素
子を製造した。n−InPから成る基板1の(001)
面の上に、n−InPから成る厚み50nmの下部クラッ
ド層2、GaInAsP/GaInAsPの歪量子井戸
構造とGaInAsPの光閉じ込め層から成る厚み10
0nmの活性層3、p−InPから成る厚み50nmの上部
クラッド層4をMOCVD法で順次成膜して図5で示し
た結晶方位[011]を有する層構造Iを形成し、その
上に、中央マスク部分9bの長さが800μm、基板1
の長手方向と直交する方向の幅が10μmであり、両側
マスク部分9c,9cの長さが900μmであり、前記
結晶方位[011]に対して縁辺9aの傾斜角θが45
°であるマスク9を形成したのち、CH4/H2を用いる
RIEにより層構造Iに対するドライエッチング処理を
行って図6で示した層構造Iを基板1の上に形成した。
【0037】ついで、GaInAsPの選択成長とIn
Pの選択成長を順次行い、導波路層と厚み50nmの保護
層から成り、全体の長さが150μmの導波路層領域を
形成した。この導波路層領域では、その出射端側の膜厚
は100nm程度、入射端側の膜厚は300nm程度になっ
ている。ついで、マスク9を除去し、リッジを形成し、
更に埋め込み工程と電極形成工程を経てレーザ素子にし
た。
【0038】この素子のしきい値電流は2mAであった。
また水平方向は9°、垂直方向は10°の狭出射レーザ
ビームが得られた。
【0039】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
半導体集積素子は、それを狭出射半導体レーザ素子とし
て用いた場合、活性層領域(層構造I)との間で100
%の光結合効率を実現できる300nm程度の膜厚にま
で、境界上部に凸部を生成することなく導波路層領域
(層構造II)を選択成長で形成することができる。
【0040】したがって、しきい値電流は低くなるとと
もに、光ファイバとの接続作業も円滑に行うことができ
る。なお、以上の説明は狭出射半導体レーザ素子を例に
して行ったが、本発明の素子構造においては、活性層領
域(層構造I)をDFBレーザ素子構造とし、導波路層
構造(層構造II)を電界吸収型変調器の構造とすること
により、EA−DFBレーザ素子にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層構造Iの上に本発明で用いるマスクを形成し
た状態を示す平面図である。
【図2】層構造Iにエッチング処理を行ったのちの状態
を示す斜視図である。
【図3】層構造Iと層構造IIのバットジョイント接合を
示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明で用いる別のマスクを層構造Iに形成し
た状態を示す平面図である。
【図6】図5の層構造Iにエッチング処理を行ったのち
の状態を示す斜視図である。
【図7】層構造Iを示す断面図である。
【図8】層構造Iの上に従来のマスクを形成した状態を
示す平面図である。
【図9】図8の層構造Iにエッチング処理を行ったのち
の状態を示す断面図である。
【図10】層構造Iと層構造IIが形成する従来のバット
ジョイント接合面を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】層構造IIのマスクへの這い上がり成長を示す
断面図である。
【図13】光結合効率に対する導波路層の厚み影響に関
する計算結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 半導体基板 2 下部クラッド層 3 活性層 4 上部クラッド層 5 マスク 5a マスク5の縁辺 6 導波路層 7 保護層 8 凸部 9 マスク 9a マスク9の縁辺 9b 中央マスク部分 9c 両側マスク部分 10 空間部分 I 第1の半導体層構造(活性層領域) Ia 第1の半導体層構造のエッチング面 II 第2の半導体層構造(導波路層領域) J バットジョイント接合面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粕川 秋彦 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 2H047 KA03 KA13 MA05 NA04 PA24 QA02 TA32 5F073 AA64 AB21 AB25 AB28 CA12 DA25 EA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の半導体層構造と第2の半導体層構
    造とがバットジョイント接合して半導体基板の上に形成
    されている半導体集積素子において、 前記バットジョイント接合面は、前記第1の半導体層構
    造を構成する半導体材料の結晶方位に対して傾斜した垂
    直面になっていることを特徴とする半導体集積素子。
  2. 【請求項2】 前記バットジョイント接合面の前記傾斜
    角は45°±10°である請求項1の半導体集積素子。
  3. 【請求項3】 活性層を含む層構造の活性層領域とそれ
    にバットジョイント接合する導波路層領域とが半導体基
    板の上に形成されており、前記バットジョイント接合面
    は、前記活性層領域における少なくとも活性層を構成す
    る半導体材料の結晶方位に対して傾斜する垂直面である
    ことを特徴とする半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記バットジョイント接合面の前記傾斜
    角は45°±10°である請求項3の半導体レーザ素
    子。
  5. 【請求項5】 エピタキシャル結晶成長法で半導体基板
    の上に第1の半導体層構造を形成する工程;前記第1の
    半導体層構造の表面にマスクを形成したのちエッチング
    処理を行って、前記第1の半導体層構造の一部をエッチ
    ング除去する工程;および前記エッチング除去した部分
    に選択成長法で第2の半導体層構造を形成して前記第1
    の半導体層構造と第2の半導体層構造をバットジョイン
    ト接合する工程;を含む半導体集積素子の製造方法にお
    いて、 前記マスクは、形成すべき前記バットジョイント接合面
    側の縁辺が前記第1の半導体層構造を構成する半導体材
    料の結晶方位に対して傾斜している平面視形状を有する
    ことを特徴とする半導体集積素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記エッチング処理がドライエッチング
    処理である請求項5の半導体集積素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記マスクは、中央に位置する中央マス
    ク部分と、前記中央マスク部分の両側に位置し、かつ前
    記中央マスク部分よりも長尺な両側マスク部分とから成
    る平面視形状を有する請求項5の半導体集積素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記マスクの縁辺の傾斜角が45°±1
    0°である請求項5または6の半導体集積素子の製造方
    法。
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