JP2001126196A - 障害物衝突防止システム - Google Patents

障害物衝突防止システム

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JP2001126196A JP30491599A JP30491599A JP2001126196A JP 2001126196 A JP2001126196 A JP 2001126196A JP 30491599 A JP30491599 A JP 30491599A JP 30491599 A JP30491599 A JP 30491599A JP 2001126196 A JP2001126196 A JP 2001126196A
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高橋  宏
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晃 久野
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久 江連
Tetsuhiro Kondo
哲啓 近藤
Riyouji Matsubara
亮滋 松原
Yasuyuki Ohira
泰幸 大平
Kenichi Otani
健一 大谷
Hiroshi Mashita
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Takao Inobe
孝男 伊野部
Kazumasa Miyamoto
一正 宮本
Kazutaka Kawahara
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    • G08SIGNALLING
    • G08GTRAFFIC CONTROL SYSTEMS
    • G08G1/00Traffic control systems for road vehicles
    • G08G1/16Anti-collision systems
    • G08G1/164Centralised systems, e.g. external to vehicles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T2201/00Particular use of vehicle brake systems; Special systems using also the brakes; Special software modules within the brake system controller
    • B60T2201/02Active or adaptive cruise control system; Distance control
    • B60T2201/022Collision avoidance systems

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 AHS車が「見通し不良区間」を走行する場
合や先行車が急に減速した際でも衝突の回避を効果的に
行うことのできる障害物衝突防止システムを提供する。 【解決手段】 障害物検出設備によって検出される障害
物情報及び道路線形情報を処理する路側処理設備と複数
の固定点情報検出支援設備と各情報を車両側に通信する
路車間通信設備とを具備し、自車がサービス区間に進入
したことを認識する固定点情報検出センサと、自車両と
障害物との離間距離を算出し自動制御指令を出力する車
載処理装置と、自動減速制御を行う車両制御装置とを具
備した車両とにより構成され、これら各設備によって提
供される情報を統合することにより障害物を検出し、減
速停止或は回避制御を自動的に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、道路を走行中の
AHS車(以下、本システムが適用する車両を『AHS
車』と称する。)が停車中の他の車両や障害物に対して
衝突を回避するための障害物衝突防止システムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、走行中のAHS車が道路上に
存在する障害物(停車車両)に衝突するのを回避するた
めの障害物衝突防止システムとしては、この障害物をA
HS車側に設けられている車載センサにより検出するこ
とが行われている。図19は従来の一般的な障害物衝突防
止の方法を示す全体構成ブロック図である。すなわち、
障害物衝突システム1としては車両であるAHS車2に
道路上の障害物の周辺状況を検出する車載センサである
周辺状況検出センサ3と、自車両の位置を検出する自車
両位置検出センサ4と自車両の走行速度を検出する自車
両状態検出センサ5と、これら各センサ3,4,5から
の情報を処理する車載処理装置6とを具えている。7は
車両制御装置で、この車両制御装置7により自車両の走
行速度(操舵角)の自動制御(減速制御)が行われる。
そして、周辺状況検出センサ3による障害物の検出時に
は自車両位置検出センサ4と自車両状態検出センサ5と
の統合した車載処理装置6からの情報に基づいて、警報
装置である車両HMI8により運転者に対して警報を行
う。この警報によって、予め運転者は障害物の位置(存
在)を認識することにより、障害物を回避することがで
き衝突を未然に防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のこの
種の障害物衝突防止システムの場合には視野の悪い所謂
「見通し不良区間」に対する対策がなされていなかっ
た。すなわち、図20に示すような見通しの悪いカーブ路
等に障害物(停止車両)が存在する場合には、運転者か
らはこの障害物を遠方から即座に認識することができな
いうえ、障害物衝突防止装置による検出機能も発揮する
ことができないことから衝突回避が不能となる恐れがあ
った。また、前方に障害物がない場合でも例えば上下勾
配の激しい坂道等で先行車が急に減速した際には、減速
制御を行う対応が遅れるため、やはり衝突の回避ができ
なくなる恐れがあった。このような衝突事故による交通
事故が発生すると、運転者の安全を確保することができ
ないうえに深刻な交通渋滞を招く恐れがあるため、「見
通し不良区間」においての衝突防止対策の実現が望まれ
ている。
【0004】そこで、この発明の目的は、前記のような
障害物衝突防止システムのもつ問題を解決し、AHS車
が「見通し不良区間」を走行する場合や先行車が急に減
速した際でも衝突の回避を迅速且つ確実に行うことので
きる障害物衝突防止システムを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記のよう
な目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、道
路上の障害物情報を検出する障害物検出設備と、この障
害物検出設備によって検出される障害物情報を道路線形
情報が格納された路側データベースを用いて処理する路
側処理設備と、この路側処理設備により処理された情報
を車両側の路車間通信装置に通信伝達する路車間通信設
備と、所定のサービス区間に配置された複数の固定点情
報検出支援設備とを具備した道路設備と、車載装置とし
て、前記固定点情報検出支援設備を検出して自車がサー
ビス区間に進入したことを認識する固定点情報検出セン
サと、路車間通信設備との間で情報の通信伝達が行われ
る路車間通信装置と、走行時の自車両と障害物との離間
距離を算出する距離算出機能と、この算出される離間距
離に基づく衝突判定機能とを有し自動制御指令を出力す
る車載処理装置と、この車載処理装置から出力された情
報に基づいて自車両の自動減速制御、停止或は回避制御
を行う車両制御装置と、運転者に対しての警報の報知を
行う車両HMIとを具備した車両とにより構成される障
害物衝突防止システムであって、これら各設備によって
提供される情報を統合することにより自車にとって危険
な障害物を検出し、この障害物の検出時には警報装置に
より運転者に対する警告を行うと共に、次いで車両制御
装置により自車両に対する走行速度の減速停止或は回避
制御または走行車線の変更制御を自動的に行うことを特
徴とする請求項1に記載の障害物衝突防止システム。
【0006】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において車載装置として、道路上の障害物の周辺
状況を検出する周辺状況検出センサを具備し、この周辺
状況検出センサにより検出された情報と障害物検出設備
により検出された情報とが統合されることを特徴とする
ものである。
【0007】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において所定のサービス区間内では、車線を識別
するための複数の固定点情報検出支援設備が具備され、
この固定点情報検出支援設備により認識される車線情報
は車両側に設けられた固定点情報検出センサにより検出
されることによって、自車の走行する車線上の障害物の
みを特定して危険の判定を行うことを特徴とするもので
ある。
【0008】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において道路設備として、路面の湿潤、積雪、凍
結などの路面状況を検出するための路面状況検出設備を
具備し、この路面情報は路車間通信設備によって車両に
伝達され、車両の車載処理装置により算出される減速距
離L1が車両の減速度をαとし、走行車両の空走時間を
0とし、立ち上がり時間をt1とし、車両の走行速度を
vとして算出されるときに、減速度αを路面情報から推
定することを特徴とするものである。
【0009】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において道路設備側と各車両との通信伝達を個別
通信とし、複数の車両のうちの何れかの車両の前方或は
近傍に存在する障害物の情報や障害物によって前方を走
行する車両が減速停止することを予測し、この情報を選
択的に道路設備を介して、他の車両に提供すると共に、
この車両に対して道路設備側から減速制御及び回避制御
を指示伝達することを特徴とするものである。
【0010】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において障害物検出設備は見通しの悪いカーブ等
の道路の一部が湾曲した曲状周縁部に具えることを特徴
とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態におけ
る障害物衝突防止システムを示す全体構成ブロック図で
ある。ここで、各装置及び設備の設置台数は一例として
単独で示しているが実際には設置部位や路側インフラ設
備の監視範囲等によって複数となる場合がある。また、
図中の入出力データは本発明の基本となる情報データの
みを示している。以下、図1に示す全体構成ブロック図
を参照して、本発明の詳細を説明する。
【0012】本発明の特徴は車両側に具えた車載センサ
と路側インフラ設備(道路設備側)に具えた障害物情報
を検出する障害物検出設備とから検出される両者の障害
物情報とを統合することにより障害物の位置を検出する
ことにある。このため、障害物衝突防止システム1aを
構成するAHS車2側には道路上(路側)の障害物の周
辺状況を検出する車載センサとしての周辺状況検出セン
サ3と、自車両の位置を検出する自車両位置検出センサ
4と自車両の走行速度を検出する自車両状態検出センサ
5とこれら各センサ3,4,5からの情報を処理する車
載処理装置6とを具えている。7は車両制御装置で、こ
の車両制御装置7により自車両の走行速度(操舵角)の
制御が行われる。8は警報装置としての車両HMIであ
る。
【0013】ここで、各センサ、装置の詳細を説明する
と周辺状況検出センサ3により走行中のAHS車近傍の
障害物の位置及び先行車両の走行速度が検出される。ま
た、車載処理装置6は自車両で必要となる各種情報を収
集し、これらの情報に基づいて演算処理及び衝突判定を
行う装置で、自車両と障害物との距離及び制動開始タイ
ミングを計算し、車両制御装置7或は車両HMI8に対
して「指示値」を出力する。この「指示値」とは、減速
制御及び警報信号のタイミング値である。また、9は路
側設備によって検出される路面情報及び障害物情報とを
受信するための路車間通信装置である。後述するよう
に、この路車間通信装置9に受信された障害物情報は車
載処理装置6に直接伝達される。
【0014】そして、周辺状況検出センサ3による障害
物の検出時には自車両位置検出センサ4と自車両状態検
出センサ5を基にした車載処理装置6からの情報に基づ
いて、警報装置である車両HMI8により運転者に対す
る情報提供や警報を行う。
【0015】一方、道路設備側には路側インフラ設備で
ある道路上の障害物情報を検出する障害物検出設備10と
道路上の路面情報を検出する路面状況検出設備11とを具
えている。障害物検出設備10は基本的にはAHS車の走
行を阻害する障害物(四輪車以上の駐停車車両及び低速
走行車両)の位置を検出する設備であり、本例では見通
しの悪いカーブ等の「見通し不良区間」に設置される。
路面状況検出設備11は走行道路の路面状況を検出する設
備で、具体的には「乾燥」「湿潤」「凍結」等の比較的
路面状況の変化が大きい部位が検出される。13は走行支
援情報作成設備として機能する、主に出力データの作成
や演算処理を行うための路側処理設備で、この路側処理
設備13に対して障害物検出設備10及び路面状況検出設備
11から道路上の路面情報及び障害物情報が伝達される。
【0016】また、14は路側データベースで、この路側
データベース14には道路線形情報が格納され路側処理設
備13との間で必要時に情報伝達が行われる。但し、路側
データベース14からの情報提供はカーブ路や上下勾配の
激しい坂道等の「見通し不良区間」においてのみ提供さ
れるものとする。これについては、AHS車2側にもナ
ビゲーションシステム等により道路線形情報を保存させ
ることができるため、この道路線形情報も併用して利用
することもできる。そして、これら各設備10,11によっ
て検出される路面情報及び障害物情報は路側処理設備13
によって処理され路車間通信設備15を介してAHS車2
側の路車間通信装置9に伝達される。
【0017】また、本発明では路側インフラ設備側に道
路上の車線情報を識別することができる固定点情報検出
支援設備12を具えており、この固定点情報検出支援設備
12により検出された車線情報は車両側に設けられた固定
点情報検出センサ17に伝達される。そして、これらの伝
達情報及び路車間通信設備15及び周辺状況検出センサ3
からの検出情報に基づいて路面情報及び障害物情報が検
出される。これら各設備10,11,12によって検出される
路面情報及び障害物情報とを路車間通信設備15を介して
車両側の路車間通信装置9に通信伝達し、前述したよう
にこれら周辺状況検出センサ3からの情報と路車間通信
装置9に伝達された両者の障害物情報とを統合すること
により障害物が検出される。そして、障害物の検出時に
は警報装置により運転者に対する警告を行う。この警報
によって、運転者は障害物を回避することができ衝突を
防止することができる。
【0018】以下、図2〜図4を参照して本発明の実施
形態による構成及び機能の詳細を説明する。ここでは、
自専道における直線部では、道路上に存在する障害物は
主に周辺状況検出センサ3(図1参照)により検出する
ことを前提としており、その他のサービスが提供されて
いる区間では路面状況等の情報を受けることができる。
ここで、以下で記載する「サービスエリア」とは本発明
による「障害物衝突防止の方法」が機能させることがで
きる所定の道路範囲(部位)を示すものとする。
【0019】図2は本発明が適用される部位の1つであ
るカーブ路(自専路/片側)を示している。この図2に
示すように、道路上のサービスエリア内においては複数
の固定点情報検出支援設備12,12がほぼ等間隔(例え
ば、2m間隔)で設置され、このうちP1地点の固定点
情報検出支援設備12aはサービスイン用として、P5
点の固定点情報検出支援設備12bはサービスアウト用と
して機能する。これら固定点情報検出支援設備として
は、実際にはレーンマーカ等を採用することができる。
また、その他のP2〜P4地点の固定点情報検出支援設備
12は車線情報の識別用として機能する。10は図1で説明
した障害物検出設備で、この障害物検出設備10は図示の
ように「見通し不良区間」の近傍である湾曲部に設置さ
れている。このように、「見通し不良区間」ではAHS
車2による障害物(停止車両)の認識が困難なため障害
物検出設備10が設置される。
【0020】そして、図3に示すように、先ずサービス
エリア内に進入したAHS車2はP 1地点の固定点情報
検出支援設備12aによりサービスが提供されることを認
識すると共に、ここから障害物衝突防止機能(サービ
ス)が開始される(S1)。また、この時AHS車2は
複数の固定点情報検出支援設備12を通過する毎に、自車
両の位置が把握され(S2)、これによって基点である
1地点(サービスイン)からの距離が周期的に検出さ
れる(S3)。次いで、さらに固定点情報検出支援設備
12によりAHS車2は自車両がどの車線位置を走行して
いるかを認識する(S4)。ここで、障害物検出設備10
によってサービスエリア内の障害物を検出した際には、
障害物が存在する車線及び基点P1地点から障害物まで
の距離(離間距離)の位置情報が障害物情報としてAH
S車2に提供される。この障害物情報は、一定の周期で
路面状況情報、道路線形情報と共に路車間通信設備15を
介してAHS車2に送信される。そして、車載処理装置
6によってこのように送信された障害物情報と自車両と
基点P1地点との距離に基づいて障害物との距離を算出
する(S5)。また、ここでAHS車2は障害物の情報
を情報提供開始点であるP2地点で運転者に対する情報
提供を行うと共に(S6)、障害物の車線、この車線内
での位置、距離、路面状況情報、道路線形情報に基づい
て障害物と衝突するか否かの判定を行う(S7)。
【0021】そして、走行中のAHS車2が障害物と衝
突すると判定された場合には、警報開始点であるP3
点においてブザー等の警報により運転者に対する警告が
行われる(S8)。この際、図4に示すように、運転者
による障害物の回避操作(ステアリング操作)が不適切
であると判定された場合には、車両制御装置7により減
速開始点である地点P4の位置で車両の走行速度を減速
させ停止させる(S9)。この時の減速走行は、運転者
に速度制御の他にレーントラッキング制御や車線逸脱防
止警報制御装置を併用することができる。このような減
速停止機能はAHS車が停止した時点で終了となる(S
10)。そして、AHS車が固定点情報検出支援設備12b
のサービスアウト地点である地点P5を通過した時点で
一連のサービスシステムは終了となる(S11)。尚、サ
ービスエリア内での「見通し不良区間」の範囲は、当然
道路状況によって異なるため、サービスイン用及びサー
ビスアウト用の固定点情報検出支援設備及び障害物検出
設備の配置は、適用道路形状に準じてその都度検討する
必要がある。
【0022】図5は本発明の障害物衝突防止システムに
おける判定方法の概略(1例)を示す説明図である。こ
こで、曲線Aは通常の状態で、運転者が障害物の手前
(直前)で走行車両を減速させて停止させた際の「速度
−位置曲線」を示し、曲線Bは緊急時に運転者が急ブレ
ーキを作動させた時、或はAHS車の車両制御装置7
(図1参照)による制御により減速させて停止させた際
の「速度−位置曲線」をそれぞれ示している。これらの
曲線A,Bによる「速度−位置曲線」は、自車両の速
度、路側インフラ設備側から入力した路面情報及び道路
線形情報に基づいて車載処理装置6(図1参照)の演算
処理により計算することができる。すなわち、例えばA
HS車が障害物の手前において走行速度120(km/h)で
走行している場合を想定すると、車載処理装置は車両の
位置、走行速度、路面状況、道路の線形を常に監視する
ことによりAHS車が障害物と衝突するかを判定し、こ
の例では、図中「PA地点」に到達した時点で、衝突の
可能性があると判断し、この「PA地点」で運転者に対
しての警報が発っせられる。次いで、運転者による障害
物の回避操作が不適切であると判定された場合には、距
離LA走行後(空走距離)に障害物の手前位置でAHS
車を停止させる。この減速停止制御及び距離LAの算出
は車両制御装置7により行う。
【0023】図6は、前述した本発明に適用されるタイ
ムチャート図の一例を示すものある。すなわち、このタ
イムチャート図は、前記図2に示す道路部位(カーブ
路)を対象とした路側処理設備を中心としている。ここ
で、図中Aは障害物情報の処理、Bは路面状況の処理、
Cはデータ出力処理をそれぞれ示している。また、
(B)は路面データの更新がないものとしている。この
タイムチャート図によると路面状況入力周期は60S毎に
起動され、障害物情報の入力周期及び路側処理設備13の
処理周期及び路車間通信設備15の処理周期はそれぞれ0.
1S毎に起動される。そして、路面状況入力時に路面状
況の処理が行われ、データ出力処理時に、路車間通信設
備を介してそれぞれのAHS車に対する通信処理が行わ
れる。本発明での入力情報は障害物情報と路面状況であ
り、このうち障害物情報は0.1S毎に障害物検出設備10
から入手され、路面状況は60S毎に路面状況検出設備11
から入手され路側データベース14に保存される。
【0024】図7,8は、前述した本発明に適用する路
側設備の管理範囲を算出するためのタイムチャート図及
び機能説明図で、これら各図ではAHS車と運転者の動
作を中心としている。すなわち、本発明に適用する路側
設備の管理範囲は「見通し不良区間」の範囲と固定点情
報検出支援設備から「見通し不良区間」の入口までの範
囲を加算したものとなる。実際には、前述したように
「見通し不良区間」の範囲は道路形状に依存するため、
ここでは基本となる図7に示す固定点情報検出支援設備
(P1地点)から「見通し不良区間」の入口までの距離
3を計算するもので、具体的にこの「距離L3」は以下
の「数1」の算出式により計算することができる。
【0025】
【数1】L3=L2+L1+L0
【0026】ここで、「距離L2」はAHS車が固定点
情報検出支援設備を通過した後にAHS車の処理時間t
2経過後に進む距離で、具体的にこの「距離L2」は以下
の「数2」の算出式により計算することができる。
【0027】
【数2】L2=V・t2 ここで、このAHS車の走行速度を例えば、V=120(k
m/h)とすると、L2=120(km/h)・0.2S=6.7mとな
る。
【0028】また、「距離L1」は運転者に情報提供を
行った後、運転者が情報提供に対して反応し実際にブレ
ーキを作動させてAHS車を停止させるまでの減速距離
を示すもので、この減速距離L1は以下の「数3」の算
出式により計算することができる。
【0029】
【数3】 そして、この式にt0(AHS車の空走時間)=2.65
(s)、t1(立ち上がり時間)=0.5s、v(車の速
度)=120(km/h)、情報提供後の運転者による減速度
である:α(減速率)=3.0(m/s2)をそれぞれ代入
すると、「減速距離L1」は282mとなる。
【0030】また、距離L0は障害物の手前である程度
の余裕をもって停止する場合の余裕距離を示すもので、
この「余裕距離L0」は以下の「数4」の算出式により
計算することができる。
【0031】
【数4】L0=平均車頭時間・0.1・車両速度 そして、この式に平均車頭時間=1.5s、車両速度V=1
20(km/h)をそれぞれ代入すると、余裕距離L0は5.0
mとなる。従って、以上の「数2」〜「数4」から算出
した算出値(L2,L1,L0)により、固定点情報検出
支援設備から「見通し不良区間」の入口までの「距離L
3」は、 L3=L2+L1+L0=67+282+5=294≒300m となる。この距離L3の値は周辺状況検出センサ3によ
り検出された検出範囲と同じ値である。これは、AHS
車の周辺状況検出センサにより障害物を検出する場合の
検出範囲も上記の値(約、300m)となることを表して
いる。
【0032】図9,図10は前述した図2を対象に路側処
理設備13の処理フローを示している。このうち図9は路
面状況検出設備11により検出された路面状況を処理する
処理フローである。図9に示すように、「処理フロー」
の開始とほぼ同時に路側状況処理設備11が「60s毎」に
起動され、この路面状況処理設備11により検出された路
面状況情報及び検出時刻がそれぞれ路側データベース14
に「保存データ」として保存される。
【0033】また、図10はAHS車に送出される出力デ
ータの作成処理フローを示している。図10に示すよう
に、「処理フロー」の開始は障害物情報の入力で起動と
同時に0.1秒毎に起動され、先ず「道路選択」による
「障害物情報の取得」が行われ、次いで「出力データの
作成処理」が路側データベース設備14に保存されている
「保存データ」を基に路側処理設備13との間で障害物の
位置、路面状況、道路線形情報とを送受することにより
「出力データの作成処理」が行われる。作成された出力
データは路車間通信設備15を介して、AHS車側に送信
され、この処理フローは「全ての道路の障害物情報を処
理した」時点で終了となる。
【0034】図11は本発明を適用する道路として「片側
2車線(道路Y1,道路Y2)の上下線」での「入出力デ
ータ」の一例を示すものである。具体的には、カーブ路
の半径が「400mm」で、このカーブ路の両側に位置する
直線部がそれぞれ「300mm」の例を示すもので、この図1
1を対象とする路側処理設備13の「入力データ」の一覧
を以下の「表1」に示す。この「表1」では、データの
大項目を道路Y1,Y2上における第1,2車線上の障害
物の位置とし、障害物情報と路面状況の「入力源」とし
ては、それぞれ障害物検出設備10と路面状況検出設備11
による検出データが所定の入力周期により行われる。
【0035】
【表1】 さらに、路車間通信設備15からAHS車への「出力デー
タ」の一覧を以下の「表2」に示す。
【0036】
【表2】 この「表2」では、出力データの大項目として「道路の
線形情報」が追加されている。ここで記載された「道路
の線形」の詳細は図12(A),(B)に示されている。すな
わち、サービスエリア内では「道路の線形」データは勾
配が変化する点(位置)と2つの変化点間の平均勾配及
びその曲率半径が変化する点(位置)と2つの変化点間
の曲率半径とするもので、図11に示すようなサービスエ
リアは実際にはその距離が比較的距離が短いため(数百
m)、曲率半径変化点及び勾配変化点は最大で3箇所と
なる。
【0037】ここで、本発明者は本発明では全ての道路
部位を対象としていることから、その一例として「自専
道(単路)−カーブ−信号なし」について検討すると共
に、この「自専道−カーブ−信号なし」の条件に基づく
設備構成を検討した。この設備構成の詳細について以
下、図13〜図16を参照して説明する。また、図17には路
側処理設備とその管理範囲をまとめた構成図を示す。
【0038】図13は固定点情報検出支援設備の設置例の
一例を示している。この図13に示すように、例えば固定
点情報検出支援設備を10m間隔で配置した場合には、車
線識別用として1車線当り60個(合計、240個)の固定
点情報検出支援設備が必要となる。また、サービスエリ
ア内ではサービスイン/アウト用としての固定点情報検
出支援設備は、各車線に2個(合計、12個)ずつとな
る。
【0039】図14は路面状況検出設備の設置例の一例を
示している。このように「自専道−カーブ−信号なし」
の条件に基づく路面状況検出設備は見通しの悪いカーブ
等の道路の一部が湾曲した曲状周縁部に設置されてい
る。
【0040】図15は障害物検出設備の設置例の一例を示
している。「自専道−カーブ−信号この場合、図15に示
すように、障害物検出設備による「検出範囲」が200m
で3車線分が検出可能と仮定すると片側車線に障害物検
出設備が3台(上下線にセンサヘッドが6個)必要とな
る。
【0041】図16は、路車間通信設備の設置例の一例を
示している。この図16に示すように、路車間通信設備は
情報提供範囲であるサービスエリア全域がこの路車間通
信設備による「通信範囲」となる。
【0042】図17は、路側設備とその管理範囲の設置例
の一例を示している。この図17に示すように、路側処理
設備を基点として路面状況検出設備、障害物検出設備、
路側データベース、路車間通信設備がそれぞれ所定の位
置に配置され広範囲な情報管理を可能としている。
【0043】図18は、本発明による路車間においての個
別通信を説明するための説明図である。ここでは、図18
に示すように道路の2車線上にそれぞれ障害物25と障害
物26が1個ずつ存在し、片側の車線上(図18で下側)に
存在する障害物26に向かって、2台のAHS車2a,2
bが走行する場合を想定する。すなわち、この実施形態
ではAHS車2aに対する障害物情報は、障害物25と障
害物26の両者の情報を送信するのではなく、AHS車2
aが走行していない車線上に存在する障害物25の情報は
予め省略し、AHS車2aが走行している前方の障害物
26の情報のみを伝達する構成である。これによると、A
HS車2a内部での情報処理にかかる負荷を低減するこ
とができ、さらにAHS車2aと障害物26間の離間距離
を道路設備側で演算処理し、この処理に基づくデータに
より危険の判定を的確に行って前述した警報や回避制御
指令を行うことができる。また、AHS車2bに対して
は、例えば、このAHS車2bの前方を走行するAHS
車2aが、障害物26との衝突を回避するために減速停止
することを路側処理設備13などの道路設備により推測
し、これによりAHS車2bが前方のAHS車2aに追
突することを回避する警報や回避制御指令を的確に伝達
することが可能となる。さらに、AHS車2aが減速停
止操作を実際に行ったときに、その情報をAHS車2a
から道路設備を介してAHS車2bに送信することによ
って、さらに正確な情報を提供することも可能となる。
【0044】
【発明の効果】この発明は、上記のようであって、請求
項1に記載の発明は、道路上の障害物情報を検出する障
害物検出設備と、この障害物検出設備によって検出され
る障害物情報を道路線形情報が格納された路側データベ
ースを用いて処理する路側処理設備と、この路側処理設
備により処理された情報を車両側の路車間通信装置に通
信伝達する路車間通信設備と、所定のサービス区間に配
置された複数の固定点情報検出支援設備とを具備した道
路設備と、車載装置として、前記固定点情報検出支援設
備を検出して自車がサービス区間に進入したことを認識
する固定点情報検出センサと、路車間通信設備との間で
情報の通信伝達が行われる路車間通信装置と、走行時の
自車両と障害物との離間距離を算出する距離算出機能
と、この算出される離間距離に基づく衝突判定機能とを
有し自動制御指令を出力する車載処理装置と、この車載
処理装置から出力された情報に基づいて自車両の自動減
速制御、停止或は回避制御を行う車両制御装置と、運転
者に対しての警報の報知を行う車両HMIとを具備した
車両とにより構成される障害物衝突防止システムであっ
て、これら各設備によって提供される情報を統合するこ
とにより自車にとって危険な障害物を検出し、この障害
物の検出時には警報装置により運転者に対する警告を行
うと共に、次いで車両制御装置により自車両に対する走
行速度の減速停止或は回避制御または走行車線の変更制
御を自動的に行うので、必要且つ無駄のない情報が選択
できると共に、AHS車が「見通し不良区間」を走行す
る場合や先行車が急に減速した際でも衝突の回避を迅速
に且つ確実に行うことができるという効果がある。
【0045】請求項2に記載の発明は、車載装置とし
て、道路上の障害物の周辺状況を検出する周辺状況検出
センサを具備し、この周辺状況検出センサにより検出さ
れた情報と障害物検出設備により検出された情報とが統
合されるので、必要且つ無駄のない情報が選択できると
共に、AHS車が「見通し不良区間」を走行する場合や
先行車が急に減速した際でも衝突の回避を迅速に且つ確
実に行うことができるという効果がある。また、走行中
のAHS車に対する交通事故を防止できることから運転
者の安全を確実に確保することができると共に、交通渋
滞の低減をより図れるという効果がある。
【0046】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において所定のサービス区間内では、車線を識別
するための複数の固定点情報検出支援設備が具備され、
この固定点情報検出支援設備により認識される車線情報
は車両側に設けられた固定点情報検出センサにより検出
されることによって、自車の走行する車線上の障害物の
みを特定して危険の判定を精緻に行え必要且つ無駄のな
い情報が選択できると共に、AHS車が「見通し不良区
間」を走行する場合や先行車が急に減速した際でも衝突
の回避を迅速に且つ確実に行うことができるという効果
がある。
【0047】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において路面の湿潤、積雪、凍結などを検出する
ための路面状況検出設備を道路設備として具備し、検出
した路面状況を車両に伝達することによって車両側では
自車の停止距離を算出し、運転者に対する警報や、自動
停止のために制動をかける適切なタイミングなどを精緻
に求めることができるという効果がある。
【0048】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において道路設備側と各車両との通信伝達を個別
通信とし、複数の車両のうちの何れかの車両の前方或は
近傍に存在する障害物の情報や障害物によって前方を走
行する車両が減速停止することを予測し、この情報を選
択的に道路設備を介して、他の車両に提供すると共に、
この車両に対して道路設備側から減速制御及び回避制御
を指示伝達するので、必要且つ無駄のない情報が停止距
離を精緻に算出し、適切なタイミングで選択できると共
に、他車に対する追突を回避する警報や回避制御指令を
的確に伝達することが可能となる。
【0049】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において障害物検出設備は見通しの悪いカーブ等
の道路の一部が湾曲した曲状周縁部に具えるので、必要
且つ無駄のない情報が選択できると共に、AHS車が
「見通し不良区間」を走行する場合や先行車が急に減速
した際でも衝突の回避を迅速に且つ確実に行うことがで
きるという効果がある。また、走行中のAHS車に対す
る交通事故を防止できることから運転者の安全を確実に
確保することができると共に、交通渋滞の低減をより図
れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の障害物衝突防止システムを示す全体構
成ブロック図である。
【図2】同カーブ路での構成及び機能の概略を示す説明
図である。
【図3】同機能手順を示すためのタイムチャートである
(その1)。
【図4】同機能手順を示すためのタイムチャートである
(その2)。
【図5】障害物衝突防止システムの1例を示す説明図で
ある。
【図6】路側処理設備のタイムチャートである。
【図7】AHS車を中心とする構成及び機能の概略を示
す説明図である。
【図8】AHS車を中心とするタイムチャートである。
【図9】路側処理設備における路面状況の処理フロー図
である。
【図10】路側処理設備における出力データの作成処理
フロー図である。
【図11】自専路での対象部位を説明する図である。
【図12】(A)は曲率半径の変化点を、(B)は勾配変化
点をそれぞれ示す説明図である。
【図13】固定点情報検出支援設備の設置例の一例を示
す図である。
【図14】路面状況検出設備の設置例の一例を示す図で
ある。
【図15】障害物検出設備の設置例の一例を示す構成図
である。
【図16】路車間通信設備の設置例の一例を示す構成図
である。
【図17】路側設備とその管理範囲の設置例の一例を示
す構成図である。
【図18】路車間の個別通信を説明するための説明図で
ある。
【図19】従来の障害物衝突防止システムを示す全体構
成ブロック図である。
【図20】従来の障害物衝突防止システムによる障害物
の認識状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a 障害物衝突防止システム 2,2a,2b AHS車 3 周辺状況検出センサ 4 自車両位置検出センサ 5 自車両状態検出センサ 6 車載処理装置 7 車両制御装置 8 車両HMI 9 路車間通信装置 10 障害物検出設備 11 路面状況検出設備 12 固定点情報検出支援設備 13 路側処理設備 14 路側データベース 15 路車間通信設備 17 固定点情報検出センサ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月25日(2000.8.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 障害物衝突防止システム
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、道路を走行中の
AHS車(以下、本システムが適用する車両を『AHS
車』と称する。)が停車中の他の車両や障害物に対して
衝突を回避するための障害物衝突防止システムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、走行中のAHS車が道路上に
存在する障害物(停車車両)に衝突するのを回避するた
めの障害物衝突防止システムとしては、この障害物をA
HS車側に設けられている車載センサにより検出するこ
とが行われている。図19は従来の一般的な障害物衝突防
止の方法を示す全体構成ブロック図である。すなわち、
障害物衝突システム1としては、車両であるAHS車2
に道路上の障害物の周辺状況を検出する車載センサであ
る周辺状況検出センサ3と、自車両の位置を検出する自
車両位置検出センサ4と、自車両の走行速度を検出する
自車両状態検出センサ5と、これら各センサ3,4,5
からの情報を処理する車載処理装置6とを具えている。
7は車両制御装置で、この車両制御装置7により自車両
の走行速度(操舵角)の自動制御(減速制御)が行われ
る。そして、周辺状況検出センサ3による障害物の検出
時には自車両位置検出センサ4と自車両状態検出センサ
5との統合した車載処理装置6からの情報に基づいて、
警報装置である車両HMI8により運転者に対して警報
を行う。この警報によって、予め運転者は障害物の位置
(存在)を認識することにより、障害物を回避すること
ができて、衝突を未然に防止することができる。また視
野の悪い所謂「見通し不良区間」に対する対策がなされ
ていなかった。すなわち、図20に示すような見通しの悪
いカーブ路等に障害物(停止車両)が存在する場合に
は、運転者からはこの障害物を遠方から即座に認識する
ことができないため、路側の障害物衝突防止装置により
検出した障害物の情報を車両に提供して衝突を回避する
システムも提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のこの
種の障害物衝突防止システムの場合には、先行車が障害
物を検出して急停車した際には、減速制御が遅れるた
め、衝突の回避ができなくなる恐れがあった。そしてこ
のような衝突事故による交通事故が発生すると、運転者
の安全を確保することができないうえに深刻な交通渋滞
を招く恐れがあるため、「見通し不良区間」においての
衝突防止対策の実現が望まれている。
【0004】そこで、この発明の目的は、前記のような
障害物衝突防止システムのもつ問題を解決し、AHS車
が「見通し不良区間」を走行する場合や先行車が急に減
速した際でも衝突の回避を迅速且つ確実に行うことので
きる障害物衝突防止システムを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記のよう
な目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、道
路上の障害物情報を検出する障害物検出設備と、この障
害物検出設備によって検出される障害物情報を道路線形
情報が格納された路側データベースを用いて処理する路
側処理設備と、この路側処理設備により処理された情報
を車両側の路車間通信装置に通信伝達する路車間通信設
備と、所定のサービス区間に配置された複数の固定点情
報検出支援設備とを具備した道路設備と、車載装置とし
て、前記固定点情報検出支援設備を検出して、自車がサ
ービス区間に進入したことを認識する固定点情報検出セ
ンサと、路車間通信設備との間で情報の通信伝達が行わ
れる路車間通信装置と、走行時の自車両と障害物との離
間距離を算出する距離算出機能と、この算出される離間
距離に基づく衝突判定機能とを有し自動制御指令を出力
する車載処理装置と、この車載処理装置から出力された
情報に基づいて自車両の自動減速制御、停止又は回避制
御を行う車両制御装置と、運転者に対しての警報の報知
を行う車両HMIとを具備した車両とにより構成されこ
れら各設備によって提供される情報を統合することによ
り自車にとって危険な障害物を検出し、この障害物の検
出時には警報装置により運転者に対する警告を行うと共
に、車両制御装置により自車両に対する走行速度の減速
停止或は回避制御又は走行車線の変更制御を自動的に行
い、道路設備側と各車両との通信伝達を個別通信とし、
複数の車両のうちの何れかの車両の前方或は近傍に存在
する障害物の情報や障害物によって前方を走行する車両
が減速停止することを予測し、この情報を選択的に道路
設備を介して、他の車両に提供すると共に、この車両に
対して道路設備側から減速制御及び回避制御を指示伝達
することを特徴とするものである。
【0006】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において車載装置として、道路上の障害物の周辺
状況を検出する周辺状況検出センサを具備し、この周辺
状況検出センサにより検出された情報と障害物検出設備
により検出された情報とが統合されることを特徴とする
ものである。
【0007】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の発明において、道路設備として、路面の湿潤、
積雪、凍結などの路面状況を検出するための路面状況検
出設備を具備し、この路面情報は路車間通信設備によっ
て車両に伝達され、車両の車載処理装置により算出され
る減速距離L1が車両の減速度をαとし、走行車両の空
走時間をt0とし、立ち上がり時間をt1とし、車両の
走行速度をvとして算出されるときに、減速度αを路面
情報から推定することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態におけ
る障害物衝突防止システムを示す全体構成ブロック図で
ある。ここで、各装置及び設備の設置台数は一例として
単独で示しているが、実際には設置部位や路側インフラ
設備の監視範囲等によって複数となる場合がある。ま
た、図中の入出力データは本発明の基本となる情報デー
タのみを示している。以下、図1に示す全体構成ブロッ
ク図を参照して、本発明の詳細を説明する。
【0009】本発明の特徴は車両側に具えた車載センサ
と、路側インフラ設備(道路設備側)に具えた障害物情
報を検出する障害物検出設備とから検出される両者の障
害物情報とを統合することにより障害物の位置を検出す
ることにある。このため、障害物衝突防止システム1a
を構成するAHS車2側には道路上(路側)の障害物の
周辺状況を検出する車載センサとしての周辺状況検出セ
ンサ3と、自車両の位置を検出する自車両位置検出セン
サ4と、自車両の走行速度を検出する自車両状態検出セ
ンサ5とこれら各センサ3,4,5からの情報を処理す
る車載処理装置6とを具えている。7は車両制御装置
で、この車両制御装置7により自車両の走行速度(操舵
角)の制御が行われる。8は警報装置としての車両HM
Iである。
【0010】ここで、各センサ、装置の詳細を説明する
と周辺状況検出センサ3により走行中のAHS車近傍の
障害物の位置及び先行車両の走行速度が検出される。ま
た、車載処理装置6は自車両で必要となる各種情報を収
集し、これらの情報に基づいて演算処理及び衝突判定を
行う装置で、自車両と障害物との距離及び制動開始タイ
ミングを計算し、車両制御装置7或は車両HMI8に対
して「指示値」を出力する。この「指示値」とは、減速
制御及び警報信号のタイミング値である。また、9は路
側設備によって検出される路面情報及び障害物情報を受
信するための路車間通信装置である。後述するように、
この路車間通信装置9に受信された障害物情報は車載処
理装置6に直接伝達される。
【0011】そして、周辺状況検出センサ3による障害
物の検出時には自車両位置検出センサ4と自車両状態検
出センサ5を基にした車載処理装置6からの情報に基づ
いて、警報装置である車両HMI8により運転者に対す
る情報提供や警報を行う。
【0012】一方、道路設備側には路側インフラ設備で
ある道路上の障害物情報を検出する障害物検出設備10
と、道路上の路面情報を検出する路面状況検出設備11と
を具えている。障害物検出設備10は基本的にはAHS車
の走行を阻害する障害物(四輪車以上の駐停車車両及び
低速走行車両)の位置を検出する設備であり、本例では
見通しの悪いカーブ等の「見通し不良区間」に設置され
る。路面状況検出設備11は走行道路の路面状況を検出す
る設備で、具体的には「乾燥」「湿潤」「凍結」等の比
較的路面状況の変化が大きい部位が検出される。13は走
行支援情報作成設備として機能する、主に出力データの
作成や演算処理を行うための路側処理設備で、この路側
処理設備13に対して障害物検出設備10及び路面状況検出
設備11から道路上の路面情報及び障害物情報が伝達され
る。
【0013】また、14は路側データベースで、この路側
データベース14には道路線形情報が格納され路側処理設
備13との間で必要時に情報伝達が行われる。但し、路側
データベース14からの情報提供は、カーブ路や上下勾配
の激しい坂道等の「見通し不良区間」においてのみ提供
されるものとする。これについては、AHS車2側にも
ナビゲーションシステム等により道路線形情報を保存さ
せることができるため、この道路線形情報も併用して利
用することもできる。そして、これら各設備10,11によ
って検出される路面情報及び障害物情報は、路側処理設
備13によって処理され路車間通信設備15を介してAHS
車2側の路車間通信装置9に伝達される。
【0014】また、本発明では路側インフラ設備側に道
路上の車線情報を識別することができる固定点情報検出
支援設備12を具えており、この固定点情報検出支援設備
12により検出された車線情報は、車両側に設けられた固
定点情報検出センサ17に伝達される。そして、これらの
伝達情報及び路車間通信設備15及び周辺状況検出センサ
3からの検出情報に基づいて、路面情報及び障害物情報
が検出される。これら各設備10,11,12によって検出さ
れる路面情報及び障害物情報とを路車間通信設備15を介
して車両側の路車間通信装置9に通信伝達し、前述した
ようにこれら周辺状況検出センサ3からの情報と路車間
通信装置9に伝達された両者の障害物情報とを統合する
ことにより障害物が検出される。そして、障害物の検出
時には警報装置により運転者に対する警告を行う。この
警報によって、運転者は障害物を回避することができ衝
突を防止することができる。
【0015】以下、図2〜図4を参照して本発明の実施
形態による構成及び機能の詳細を説明する。ここでは、
自専道における直線部では、道路上に存在する障害物
は、主に周辺状況検出センサ3(図1参照)により検出
することを前提としており、その他のサービスが提供さ
れている区間では、路面状況等の情報を受けることがで
きる。ここで、以下で記載する「サービスエリア」と
は、本発明による「障害物衝突防止の方法」が機能させ
ることができる所定の道路範囲(部位)を示すものとす
る。
【0016】図2は本発明が適用される部位の1つであ
るカーブ路(自専路/片側)を示している。この図2に
示すように、道路上のサービスエリア内においては複数
の固定点情報検出支援設備12,12がほぼ等間隔(例え
ば、2m間隔)で設置され、このうちP1地点の固定点
情報検出支援設備12aはサービスイン用として、P5地
点の固定点情報検出支援設備12bはサービスアウト用と
して機能する。これら固定点情報検出支援設備として
は、実際にはレーンマーカ等を採用することができる。
また、その他のP2〜P4地点の固定点情報検出支援設
備12は車線情報の識別用として機能する。10は図1で説
明した障害物検出設備で、この障害物検出設備10は図示
のように「見通し不良区間」の近傍である湾曲部に設置
されている。このように、「見通し不良区間」ではAH
S車2による障害物(停止車両)の認識が困難なため障
害物検出設備10が設置される。
【0017】そして、図3に示すように、先ずサービス
エリア内に進入したAHS車2は、P1地点の固定点情
報検出支援設備12aによりサービスが提供されることを
認識すると共に、ここから障害物衝突防止機能(サービ
ス)が開始される(S1)。また、この時AHS車2は
複数の固定点情報検出支援設備12を通過する毎に、自車
両の位置が把握され(S2)、これによって基点である
P1地点(サービスイン)からの距離が周期的に検出さ
れる(S3)。次いで、さらに固定点情報検出支援設備
12により、AHS車2は自車両がどの車線位置を走行し
ているかを認識する(S4)。ここで、障害物検出設備
10によって、サービスエリア内の障害物を検出した際に
は、障害物が存在する車線及び基点P1地点から障害物
までの距離(離間距離)の位置情報が障害物情報として
AHS車2に提供される。この障害物情報は、一定の周
期で路面状況情報、道路線形情報と共に路車間通信設備
15を介してAHS車2に送信される。そして、車載処理
装置6によってこのように送信された障害物情報と自車
両と基点P1地点との距離に基づいて障害物との距離を
算出する(S5)。また、ここでAHS車2は障害物の
情報を情報提供開始点であるP2地点で運転者に対する
情報提供を行うと共に(S6)、障害物の車線、この車
線内での位置、距離、路面状況情報、道路線形情報に基
づいて障害物と衝突するか否かの判定を行う(S7)。
【0018】そして、走行中のAHS車2が障害物と衝
突すると判定された場合には、警報開始点であるP3地
点においてブザー等の警報により運転者に対する警告が
行われる(S8)。この際、図4に示すように、運転者
による障害物の回避操作(ステアリング操作)が不適切
であると判定された場合には、車両制御装置7により減
速開始点である地点P4の位置で、車両の走行速度を減
速させ停止させる(S9)。この時の減速走行は、運転
者に速度制御の他にレーントラッキング制御や車線逸脱
防止警報制御装置を併用することができる。このような
減速停止機能はAHS車が停止した時点で終了となる
(S10)。そして、AHS車が固定点情報検出支援設備
12bのサービスアウト地点である地点P5を通過した時
点で、一連のサービスシステムは終了となる(S11)。
尚、サービスエリア内での「見通し不良区間」の範囲
は、当然道路状況によって異なるため、サービスイン用
及びサービスアウト用の固定点情報検出支援設備及び障
害物検出設備の配置は、適用道路形状に準じてその都度
検討する必要がある。
【0019】図5は本発明の障害物衝突防止システムに
おける判定方法の概略(1例)を示す説明図である。こ
こで、曲線Aは通常の状態で、運転者が障害物の手前
(直前)で走行車両を減速させて停止させた際の「速度
−位置曲線」を示し、曲線Bは緊急時に運転者が急ブレ
ーキを作動させた時、又はAHS車の車両制御装置7
(図1参照)による制御により減速させて停止させた際
の「速度−位置曲線」をそれぞれ示している。これらの
曲線A,Bによる「速度−位置曲線」は、自車両の速
度、路側インフラ設備側から入力した路面情報及び道路
線形情報に基づいて、車載処理装置6(図1参照)の演
算処理により計算することができる。すなわち、例えば
AHS車が障害物の手前において走行速度120(km/h)
で走行している場合を想定すると、車載処理装置は車両
の位置、走行速度、路面状況、道路の線形を常に監視す
ることによりAHS車が障害物と衝突するかを判定し、
この例では、図中「PA地点」に到達した時点で、衝突
の可能性があると判断し、この「PA地点」で運転者に
対しての警報が発っせられる。次いで、運転者による障
害物の回避操作が不適切であると判定された場合には、
距離LA走行後(空走距離)に障害物の手前位置でAH
S車を停止させる。この減速停止制御及び距離LAの算
出は車両制御装置7により行う。
【0020】図6は、前述した本発明に適用されるタイ
ムチャート図の一例を示すものある。すなわち、このタ
イムチャート図は、前記図2に示す道路部位(カーブ
路)を対象とした路側処理設備を中心としている。ここ
で、図中Aは障害物情報の処理、Bは路面状況の処理、
Cはデータ出力処理をそれぞれ示している。また、
(B)は路面データの更新がないものとしている。この
タイムチャート図によると路面状況入力周期は60S毎に
起動され、障害物情報の入力周期及び路側処理設備13の
処理周期及び路車間通信設備15の処理周期はそれぞれ0.
1S毎に起動される。そして、路面状況入力時に路面状
況の処理が行われ、データ出力処理時に、路車間通信設
備を介してそれぞれのAHS車に対する通信処理が行わ
れる。本発明での入力情報は障害物情報と路面状況であ
り、このうち障害物情報は0.1S毎に障害物検出設備10
から入手され、路面状況は60S毎に路面状況検出設備11
から入手され路側データベース14に保存される。
【0021】図7,8は、本発明に適用する路側設備の
管理範囲を算出するためのタイムチャート図及び機能説
明図で、これら各図ではAHS車と運転者の動作を中心
としている。すなわち、本発明に適用する路側設備の管
理範囲は、「見通し不良区間」の範囲と固定点情報検出
支援設備から「見通し不良区間」の入口までの範囲を加
算したものとなる。実際には、前述したように「見通し
不良区間」の範囲は道路形状に依存するため、ここでは
基本となる図7に示す固定点情報検出支援設備(P1地
点)から「見通し不良区間」の入口までの距離L3を計
算するもので、具体的にこの「距離L3」は以下の「数
1」の算出式により計算することができる。
【数1】L3=L2+L1+L0 ここで、「距離L2」はAHS車が固定点情報検出支援
設備を通過した後にAHS車の処理時間t2経過後に進
む距離で、具体的にこの「距離L2」は以下の「数2」
の算出式により計算することができる。
【数2】ここで、このAHS車の走行速度を例えば、V
=120(km/h)とすると、L2=120(km/h)・0.2S=
6.7mとなる。
【0022】また、「距離L1」は運転者に情報提供を
行った後、運転者が情報提供に対して反応し実際にブレ
ーキを作動させてAHS車を停止させるまでの減速距離
を示すもので、この減速距離L1は以下の「数3」の算
出式により計算することができる。
【数3】 そして、この式にt0(AHS車の空走時間)=2.65
(s)、t1(立ち上がり時間)=0.5s、v(車の速
度)=120(km/h)、情報提供後の運転者による減速度
である:α(減速率)=3.0(m/s2)をそれぞれ代入
すると、「減速距離L1」は282mとなる。
【0023】また、距離L0は障害物の手前である程度
の余裕をもって停止する場合の余裕距離を示すもので、
この「余裕距離L0」は以下の「数4」の算出式により
計算することができる。
【数4】L0=平均車頭時間・0.1・車両速度 そして、この式に平均車頭時間=1.5s、車両速度V=1
20(km/h)をそれぞれ代入すると、余裕距離L0は5.0
mとなる。従って、以上の「数2」〜「数4」から算出
した算出値(L2,L1,L0)により、固定点情報検
出支援設備から「見通し不良区間」の入口までの「距離
L3」は、 L3=L2+L1+L0=67+282+5=294≒300m となる。この距離L3の値は周辺状況検出センサ3によ
り検出された検出範囲と同じ値である。これは、AHS
車の周辺状況検出センサにより障害物を検出する場合の
検出範囲も上記の値(約、300m)となることを表して
いる。
【0024】図9,図10は図2を対象に路側処理設備13
の処理フローを示している。このうち図9は路面状況検
出設備11により検出された路面状況を処理する処理フロ
ーである。図9に示すように、「処理フロー」の開始と
ほぼ同時に路側状況処理設備11が「60s毎」に起動さ
れ、この路面状況処理設備11により検出された路面状況
情報及び検出時刻がそれぞれ路側データベース14に「保
存データ」として保存される。
【0025】また、図10はAHS車に送出される出力デ
ータの作成処理フローを示している。図10に示すよう
に、「処理フロー」の開始は障害物情報の入力で起動と
同時に0.1秒毎に起動され、先ず「道路選択」による
「障害物情報の取得」が行われ、次いで「出力データの
作成処理」が、路側データベース設備14に保存されてい
る「保存データ」を基に路側処理設備13との間で障害物
の位置、路面状況、道路線形情報とを送受することによ
り「出力データの作成処理」が行われる。作成された出
力データは路車間通信設備15を介して、AHS車側に送
信され、この処理フローは「全ての道路の障害物情報を
処理した」時点で終了となる。
【0026】図11は本発明を適用する道路として「片側
2車線(道路Y1,道路Y2)の上下線」での「入出力
データ」の一例を示すものである。具体的には、カーブ
路の半径が「400mm」で、このカーブ路の両側に位置す
る直線部がそれぞれ「300mm」の例を示すもので、この
図11を対象とする路側処理設備13の「入力データ」の一
覧を以下の「表1」に示す。この「表1」では、データ
の大項目を道路Y1,Y2上における第1,2車線上の
障害物の位置とし、障害物情報と路面状況の「入力源」
としては、それぞれ障害物検出設備10と路面状況検出設
備11による検出データが所定の入力周期により行われ
る。
【表1】
【0027】さらに、路車間通信設備15からAHS車へ
の「出力データ」の一覧を以下の「表2」に示す。
【表2】 この「表2」では、出力データの大項目として「道路の
線形情報」が追加されている。ここで記載された「道路
の線形」の詳細は図12(A),(B)に示されている。すな
わち、サービスエリア内では「道路の線形」データは勾
配が変化する点(位置)と2つの変化点間の平均勾配及
びその曲率半径が変化する点(位置)と2つの変化点間
の曲率半径とするもので、図11に示すようなサービスエ
リアは実際にはその距離が比較的距離が短いため(数百
m)、曲率半径変化点及び勾配変化点は最大で3箇所と
なる。
【0028】ここで、本発明者は本発明では全ての道路
部位を対象としていることから、その一例として「自専
道(単路)−カーブ−信号なし」について検討すると共
に、この「自専道−カーブ−信号なし」の条件に基づく
設備構成を検討した。この設備構成の詳細について以
下、図13〜図16を参照して説明する。また、図17には路
側処理設備とその管理範囲をまとめた構成図を示す。
【0029】図13は固定点情報検出支援設備の設置例の
一例を示している。この図13に示すように、例えば固定
点情報検出支援設備を10m間隔で配置した場合には、車
線識別用として1車線当り60個(合計、240個)の固定
点情報検出支援設備が必要となる。また、サービスエリ
ア内ではサービスイン/アウト用としての固定点情報検
出支援設備は、各車線に2個(合計、12個)ずつとな
る。
【0030】図14は路面状況検出設備の設置例の一例を
示している。このように「自専道−カーブ−信号なし」
の条件に基づく路面状況検出設備は見通しの悪いカーブ
等の道路の一部が湾曲した曲状周縁部に設置されてい
る。
【0031】図15は障害物検出設備の設置例の一例を示
している。「自専道−カーブ−信号この場合、図15に示
すように、障害物検出設備による「検出範囲」が200m
で3車線分が検出可能と仮定すると片側車線に障害物検
出設備が3台(上下線にセンサヘッドが6個)必要とな
る。
【0032】図16は、路車間通信設備の設置例の一例を
示している。この図16に示すように、路車間通信設備は
情報提供範囲であるサービスエリア全域がこの路車間通
信設備による「通信範囲」となる。
【0033】図17は、路側設備とその管理範囲の設置例
の一例を示している。この図17に示すように、路側処理
設備を基点として路面状況検出設備、障害物検出設備、
路側データベース、路車間通信設備がそれぞれ所定の位
置に配置され広範囲な情報管理を可能としている。
【0034】図18は、本発明による路車間においての個
別通信を説明するための説明図である。ここでは、図18
に示すように道路の2車線上に障害物25〜27が存在し、
片側の車線上(図18で下側)を2台のAHS車2a,2
bが走行する場合を想定する。すなわち、この実施形態
ではAHS車2aに対する障害物情報は、障害物25と障
害物26の両者の情報を送信し、AHS車2aが通過した
障害物27の情報は省略する。これに対してAHS車2b
には、障害物26と障害物27の両者の情報を送信し、障害
物27より前方にある障害物25の情報は省略する。この構
成によると、AHS車内部での情報処理にかかる負荷を
低減することができ、さらにAHS車2aと障害物26間
の離間距離を道路設備側で演算処理し、この処理に基づ
くデータにより危険の判定を的確に行って前述した警報
や回避制御指令を行うことができる。また、AHS車2
bに対しては、例えば、このAHS車2bの前方を走行
するAHS車2aが、障害物26との衝突を回避するため
に減速停止することを路側処理設備13などの道路設備に
より推測し、これによりAHS車2bが前方のAHS車
2aに追突することを回避する警報や回避制御指令を的
確に伝達することが可能となる。さらに、AHS車2a
が減速停止操作を実際に行ったときに、その情報をAH
S車2aから道路設備を介してAHS車2bに送信する
ことによって、さらに正確な情報を提供することも可能
となる。
【0035】
【発明の効果】この発明は、上記のようであって、請求
項1に記載の発明は、道路上の障害物情報を検出する障
害物検出設備と、この障害物検出設備によって検出され
る障害物情報を道路線形情報が格納された路側データベ
ースを用いて処理する路側処理設備と、この路側処理設
備により処理された情報を車両側の路車間通信装置に通
信伝達する路車間通信設備と、所定のサービス区間に配
置された複数の固定点情報検出支援設備とを具備した道
路設備と、車載装置として、前記固定点情報検出支援設
備を検出して自車がサービス区間に進入したことを認識
する固定点情報検出センサと、路車間通信設備との間で
情報の通信伝達が行われる路車間通信装置と、走行時の
自車両と障害物との離間距離を算出する距離算出機能
と、この算出される離間距離に基づく衝突判定機能とを
有し自動制御指令を出力する車載処理装置と、この車載
処理装置から出力された情報に基づいて自車両の自動減
速制御、停止或は回避制御を行う車両制御装置と、運転
者に対しての警報の報知を行う車両HMIとを具備した
車両とにより構成され、これら各設備によって提供され
る情報を統合することにより自車にとって危険な障害物
を検出し、この障害物の検出時には警報装置により運転
者に対する警告を行うと共に、次いで車両制御装置によ
り自車両に対する走行速度の減速停止或は回避制御また
は走行車線の変更制御を自動的に行うので、必要且つ無
駄のない情報が選択できると共に、AHS車が「見通し
不良区間」を走行する場合や先行車が急に減速した際で
も衝突の回避を迅速に且つ確実に行うことができ、また
道路設備側と各車両との通信伝達を個別通信とし、複数
の車両のうちの何れかの車両の前方或は近傍に存在する
障害物の情報や障害物によって前方を走行する車両が減
速停止することを予測し、この情報を選択的に道路設備
を介して、他の車両に提供すると共に、この車両に対し
て道路設備側から減速制御及び回避制御を指示伝達する
ので、必要且つ無駄のない情報が停止距離を精緻に算出
し、適切なタイミングで選択できると共に、他車に対す
る追突を回避する警報や回避制御指令を的確に伝達する
ことが可能となる。るという効果がある。
【0036】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、車載装置として、道路上の障害物の周
辺状況を検出する周辺状況検出センサを具備し、この周
辺状況検出センサにより検出された情報と障害物検出設
備により検出された情報とが統合されるので、必要且つ
無駄のない情報が選択できると共に、AHS車が「見通
し不良区間」を走行する場合や先行車が急に減速した際
でも衝突の回避を迅速に且つ確実に行うことができると
いう効果がある。また、走行中のAHS車に対する交通
事故を防止できることから運転者の安全を確実に確保す
ることができると共に、交通渋滞の低減をより図れると
いう効果がある。
【0037】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において路面の湿潤、積雪、凍結などを検出する
ための路面状況検出設備を道路設備として具備し、検出
した路面状況を車両に伝達することによって車両側では
自車の停止距離を算出し、運転者に対する警報や、自動
停止のために制動をかける適切なタイミングなどを精緻
に求めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の障害物衝突防止システムを示す全体構
成ブロック図である。
【図2】同カーブ路での構成及び機能の概略を示す説明
図である。
【図3】同機能手順を示すためのタイムチャートである
(その1)。
【図4】同機能手順を示すためのタイムチャートである
(その2)。
【図5】障害物衝突防止システムの1例を示す説明図で
ある。
【図6】路側処理設備のタイムチャート図である。
【図7】AHS車を中心とする構成及び機能の概略を示
す説明図である。
【図8】AHS車を中心とするタイムチャート図であ
る。
【図9】路側処理設備における路面状況の処理フロー図
である。
【図10】路側処理設備における出力データの作成処理
フロー図である。
【図11】自専路での対象部位を説明する図である。
【図12】(A)は曲率半径の変化点を、(B)は勾配変化
点をそれぞれ示す説明図である。
【図13】固定点情報検出支援設備の設置例の一例を示
す図である。
【図14】路面状況検出設備の設置例の一例を示す図で
ある。
【図15】障害物検出設備の設置例の一例を示す構成図
である。
【図16】路車間通信設備の設置例の一例を示す構成図
である。
【図17】路側設備とその管理範囲の設置例の一例を示
す構成図である。
【図18】路車間の個別通信を説明するための説明図で
ある。
【図19】従来の障害物衝突防止システムを示す全体構
成ブロック図である。
【図20】従来の障害物衝突防止システムによる障害物
の認識状況を示す説明図である。
【符号の説明】 1,1a 障害物衝突防止システム 2,2a,2b AHS車 3 周辺状況検出センサ 4 自車両位置検出センサ 5 自車両状態検出センサ 6 車載処理装置 7 車両制御装置 8 車両HMI 9 路車間通信装置 10 障害物検出設備 11 路面状況検出設備 12 固定点情報検出支援設備 13 路側処理設備 14 路側データベース 15 路車間通信設備 17 固定点情報検出センサ
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正内容】
【図18】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G08G 1/00 G08G 1/00 J 1/09 1/09 F R V (72)発明者 久保田 浩司 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 茂木 聡 東京都品川区南大井六丁目26番1号 い すゞ自動車株式会社内 (72)発明者 大屋 晴聖 東京都港区虎ノ門一丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 村上 英明 京都府京都市右京区花園土堂町10番地 オ ムロン株式会社内 (72)発明者 山田 雅也 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友電気工業株式会社内 (72)発明者 高橋 宏 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 久野 晃 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 江連 久 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝内 (72)発明者 近藤 哲啓 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内 (72)発明者 松原 亮滋 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 日 立電線株式会社内 (72)発明者 大平 泰幸 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 大谷 健一 東京都千代田区丸の内二丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 間下 博 東京都港区青山二丁目1番1号 本田技研 工業株式会社内 (72)発明者 伊野部 孝男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 宮本 一正 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 川原 和孝 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5H180 AA01 BB04 CC27 EE01 FF04 FF13 FF27 LL01 LL04 LL07 LL09 LL15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 道路上の障害物情報を検出する障害物検
    出設備と、この障害物検出設備によって検出される障害
    物情報を道路線形情報が格納された路側データベースを
    用いて処理する路側処理設備と、この路側処理設備によ
    り処理された情報を車両側の路車間通信装置に通信伝達
    する路車間通信設備と、所定のサービス区間に配置され
    た複数の固定点情報検出支援設備とを具備した道路設備
    と、車載装置として、前記固定点情報検出支援設備を検
    出して自車がサービス区間に進入したことを認識する固
    定点情報検出センサと、路車間通信設備との間で情報の
    通信伝達が行われる路車間通信装置と、走行時の自車両
    と障害物との離間距離を算出する距離算出機能と、この
    算出される離間距離に基づく衝突判定機能とを有し自動
    制御指令を出力する車載処理装置と、この車載処理装置
    から出力された情報に基づいて自車両の自動減速制御、
    停止或は回避制御を行う車両制御装置と、運転者に対し
    ての警報の報知を行う車両HMIとを具備した車両とに
    より構成される障害物衝突防止システムであって、これ
    ら各設備によって提供される情報を統合することにより
    自車にとって危険な障害物を検出し、この障害物の検出
    時には警報装置により運転者に対する警告を行うと共
    に、次いで車両制御装置により自車両に対する走行速度
    の減速停止或は回避制御または走行車線の変更制御を自
    動的に行うことを特徴とする障害物衝突防止システム。
  2. 【請求項2】 車載装置として、道路上の障害物の周辺
    状況を検出する周辺状況検出センサを具備し、この周辺
    状況検出センサにより検出された情報と障害物検出設備
    により検出された情報とが統合されることを特徴とする
    請求項1に記載の障害物衝突防止システム。
  3. 【請求項3】 所定のサービス区間内では、車線を識別
    するための複数の固定点情報検出支援設備が具備され、
    この固定点情報検出支援設備により認識される車線情報
    は車両側に設けられた固定点情報検出センサにより検出
    されることによって、自車の走行する車線上の障害物の
    みを特定して危険の判定を行うことを特徴とする請求項
    1に記載の障害物衝突防止システム。
  4. 【請求項4】 道路設備として、路面の湿潤、積雪、凍
    結などの路面状況を検出するための路面状況検出設備を
    具備し、この路面情報は路車間通信設備によって車両に
    伝達され、車両の車載処理装置により算出される減速距
    離L1が車両の減速度をαとし、走行車両の空走時間を
    0とし、立ち上がり時間をt1とし、車両の走行速度を
    vとして算出されるときに、減速度αを路面情報から推
    定することを特徴とする請求項1に記載の障害物衝突防
    止システム。
  5. 【請求項5】 道路設備側と各車両との通信伝達を個別
    通信とし、複数の車両のうちの何れかの車両の前方或は
    近傍に存在する障害物の情報や障害物によって前方を走
    行する車両が減速停止することを予測し、この情報を選
    択的に道路設備を介して、他の車両に提供すると共に、
    この車両に対して道路設備側から減速制御及び回避制御
    を指示伝達することを特徴とする請求項1に記載の障害
    物衝突防止システム。
  6. 【請求項6】 障害物検出設備は見通しの悪いカーブ等
    の道路の一部が湾曲した曲状周縁部に具えることを特徴
    とする請求項1に記載の障害物衝突防止システム。
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