JP2001123454A - 丸太を面材とした土留工法 - Google Patents

丸太を面材とした土留工法

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JP2001123454A
JP2001123454A JP30373999A JP30373999A JP2001123454A JP 2001123454 A JP2001123454 A JP 2001123454A JP 30373999 A JP30373999 A JP 30373999A JP 30373999 A JP30373999 A JP 30373999A JP 2001123454 A JP2001123454 A JP 2001123454A
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利也 栗山
Shuji Nishikawa
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工現場で安価に入手でき森林の荒廃抑制に
も寄与する間伐材を、土石の崩落を直接阻止する面材と
して使用することができると共に、爾後的に交換可能と
した土留工法を実現すること。 【解決手段】 法面の土石等を除去した地ならし箇所
に、柱部材4を前面左右に備えかつ埋め戻し空間11を
隔てた背後に金網面7Cが形成されている鋼製枠体1を
設置する。間伐材等から製作した丸太材2を、鋼製枠体
の前面に略水平姿勢で配列する。U字状部3Aが予め各
丸太材に嵌められているクランパー3を左右に位置する
柱部材4に向けて移動させ、そのU字状部の背後に設け
た係止部3Bと丸太材2とで柱部材4を挟みつけ、丸太
材を柱部材に固定する。埋め戻し空間11に土石等を埋
め戻し、鋼製枠体1を金網面7Cを介して固定する。な
お、クランパー3を逆方向へ移動すれば、丸太材2を外
すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は丸太を面材とした土
留工法に係り、詳しくは、土石等が崩落するおそれのあ
る法面に適用される土留工や床固工であって、埋め戻さ
れた表面を覆って地山の安定を図る木製の面材を交換可
能とした工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】土留工や床固工によって法面表面の崩壊
を防止するための壁面の剛構造化・急傾斜化を実現する
場合、種々な方法が採られる。例えば枠組構造のフレー
ムとその表面に張りつけられる板材を備えた土留工にお
いては、法面の土石等を除去して地ならしされた箇所に
鋼製フレームを自立するように設置し、これに鉄板やそ
の他の面剛性の高い板材さらには金網といったものが張
りつけられる。
【0003】面材は大きい土圧を受けるのでフレームか
ら簡単には外れないように固定されることや、鉄系材料
であれば長期間使用できるということから、原則的に面
材を取り替えるという思想は採用されない。コンクリー
トや鉄との組み合わせによる土留工も開発されている
が、これにおいても同様である。
【0004】ちなみに、ボルト締結や溶接により面材を
固定する方法が採られていると、面材交換の必要が生じ
た場合、背面の土石を除去しても簡単に解体することが
できなかったり、再利用することが不可能となることが
多い。ましてやボルト等が錆びつくといったことは避け
られないので、フレームを引き続き使用することは容易
でない。一方、コンクリートや金属材料を人目に触れる
ところに使用すると自然景観を著しく損なうことにな
り、特別な緑化対策も考慮しなければならなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、山野や森林
を維持するために適宜伐採が行われる。そこで、施工現
場の近くで生じた間伐材等を土留工に使用することがで
きれば、高価な資材の節約のみならず、廃物を利用する
途が開かれる。しかし、木材を積み重ねたり適当に配置
して土留め効果を発揮させることができるにしても、自
然材はいずれ朽ちて土留工等として長期の使用に耐え得
ない。
【0006】木製面材を土留工等に使用する場合、従来
から行われている例では実開昭63−5039号公報に
記載されているように、土留工の柱をなすH形鋼や溝形
鋼の凹みに丸太材を挿入したり、ボルトで直接取りつけ
るなどしている。しかし、上記したごとくいずれは全面
的な再構築が余儀なくされるか、腐食を抑えて耐用期間
を延ばす薬剤処理が必要となる。いずれにしても、長期
的な視野に立てば、鋼製等の土留工に比較してコスト高
は免れ得ない。
【0007】上で触れた間伐材を木製面材として使用す
ることができれば、森林の荒廃防止に一役かうことがで
きる。間伐は森林における土砂流出の抑制や水源かん養
機能の保持、病害虫や風倒木の発生防止のために不可欠
であり、間伐材の利用促進は緊急課題の一つでもある。
【0008】本発明は上記の問題に鑑みなされたもの
で、その目的は、施工現場で安価に入手でき森林の荒廃
抑制にも寄与する間伐材を、土石の崩落を直接阻止する
面材として使用することにより、周囲の自然景観に馴染
みやすい土留工や床固工を実現すること、土留工の長期
耐用を図るべく定期的もしくは不定期な面材の取り替え
工事を極めて円滑に進められること、薬剤等の使用によ
る環境破壊を回避して自然界の保全に寄与させることが
できる丸太を面材とした土留工法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、土石等が崩落
するおそれのある法面に、土留工等を構築する方法に適
用される。その特徴とするところは、図1を参照して、
法面の土石を除去して地ならしすると共に、法面に沿わ
せるべく傾斜して立設される柱部材4を前面左右に備え
かつ埋め戻し空間11を隔てた背後に金網面7Cが形成
されている鋼製枠体1を、地ならし箇所に設置する。埋
め戻して形成された法面の表面を覆って地山の安定を図
る多数の丸太材2,2を、鋼製枠体の前面に略水平姿勢
で配列する。U字状部3Aが予め各丸太材に嵌められて
いるクランパー3を左右に位置する柱部材4に向けて移
動させ(図2を参照)、そのU字状部の背後に設けた係
止部3Bと丸太材2とで柱部材4を挟みつけることによ
って丸太材を柱部材に固定する。そして、丸太材の背後
の埋め戻し空間11に土石等の中詰材を埋め戻して鋼製
枠体1を金網面7Cを介して固定し、またクランパー3
を逆方向へ移動して丸太材2を解脱できるようにしたこ
とである。
【0010】柱部材4は、図2に示すように、隣りあう
鋼製枠体1,1の柱部材を背中合わせにすることができ
るアングル材としておくと都合がよい。
【0011】クランパー3のU字状部3Aは、図4の
(b)および図7に示すように、丸太材2の前面を覆う
ように曲がった棒材もしくは帯材であり、係止部3Bは
その棒材等の端部に設けられた板材となっている。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、土石の崩落防止用面材
として天然木材を使用するので、周囲の景観に融合した
土留工等とすることができる。時間の経過につれてます
ます自然環境に馴染み、面材相互の隙間から草本が生育
すれば自然緑化も自ずと図られる。交換を前提として面
材に木材を使用するので薬品による防腐処理は不要とな
り、化学物質等による土壌や河川の汚染を回避すること
ができる。
【0013】略一定形状に加工された丸太材はクランパ
ーによって鋼製枠体に簡単に着装することができ、また
丸太材の隙間から土石等を少し除去すればクランパーの
逆移動が容易となり、鋼製枠体から簡単に取り外して交
換することができる。したがって、丸太材が朽ち果てる
以前に面材の全部もしくは一部を新しくして、土留工等
としての耐用期間の延長が実現される。
【0014】クランパーは丸太材を保持するU字状部と
丸太材を柱部材に固定する係止部とを備えるが、いずれ
も簡単な構造や形状であるので、施工作業の簡略化が実
現される。たとえクランパーが腐食してもクランパー自
体は安価に製造でき、改修コストの増大も抑えられる。
【0015】アングル材を柱部材に採用すれば、枠体の
小型化が可能となり山間僻地への搬入も容易となる。ま
た隣接する鋼製枠体の柱部材を背中合わせ的に配置すれ
ば、隣りあう柱部材を共通のタイ材で地山に固定してお
くこともできるようになり、資材の節減が図られる。
【0016】クランパーのU字状部が丸太材の前面を覆
うように曲がった棒材もしくは帯材であり、係止部を棒
材等の端部に設けた板材としておけば、クランパーの製
作は極めて容易となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る丸太を面材
とした土留工法を適用して構築された構造物を、図面に
基づいて詳細に説明する。図1は法面の土石等を除去し
た箇所に設置された鋼製枠体1と、その前面に取りつけ
られた丸太材2を示した側面であり、図3は図1の前面
である III−III 線矢視を、図4の(a)は図1中のA
部の拡大を示している。
【0018】図1を参照して、丸太材を使用した構造物
は土石等が崩落するおそれのある法面もしくは傾斜地に
適用される土留工や床固工であり、鋼製枠体1は地なら
しされた箇所に自立できる構造となっている。丸太材2
は鋼製枠体1の前面に配列して固定され、埋め戻して形
成された法面の表面を覆って地山の安定を図るものであ
る。その丸太材2を鋼製枠体1に装着するためのクラン
パー3が、丸太材2の両端部にそれぞれ一つ配置される
(図3も参照)。
【0019】鋼製枠体1は法面に沿って傾斜するように
立設された柱部材4と、それを固定すると共に補強する
各種の金属製枠材が採用されている。このような鋼製枠
体1は高さが例えば2メートル、奥行きが1メートル程
度であり、予め工場で組み立てておくことができる。
【0020】枠体の下には左右にアングル材5Aが水平
に配置され、背後に向かって延びる前面側がガセットプ
レート6Aを介して柱部材4に固定される。その底面部
分に配置された左右一対のアングル材5A,5A(他方
のアングル材は表されていない)間には、図5に示すよ
うに例えば100ミリメートル程度の間隔で鉄線を交差
させた溶接金網7Aが固定され、埋め戻した土砂や土石
といった中詰材との密着を図ることができるようになっ
ている。
【0021】図1に戻って、各柱部材4の上下の中間位
置にもガセットプレート6Bが配置され、上記と同様の
構成をしたアングル材5Bおよび溶接金網7Bが取りつ
けられている。本例では柱部材が上下二本のアングル材
からなっているので、相互を接続するためにもガセット
プレート6Bが使用される。
【0022】このような鋼製枠体1においては、柱部材
4と水平なアングル材5とに斜材8を配置して枠体の剛
性が図られている。そして、柱部材4の背後には埋め戻
し空間11を隔てて金網面が設けられる。この金網面は
法面の土石等を除去して形成された斜面に沿う姿勢の溶
接金網7Cであって、土石を埋め戻した際には水平に敷
設された溶接金網7A,7Bとあいまって枠体を不動状
態に維持する。
【0023】面材の背後に位置する溶接金網7Cと柱部
材4との間には、タイ材9Aが適数本配置され、土石を
埋め戻したときの土圧で柱部材4が変形するのを抑止す
る。この前後に延びるように配置されたタイ材9Aはそ
の先端が曲げられており、図2に示すように柱部材4に
設けた孔4aにひっ掛けられる一方、他端は溶接金網7
Cに係止される。
【0024】柱部材4をアングル材で構成しそれを図の
ように背中合わせに配置すれば、一本のタイ材9Aで隣
りあう鋼製枠体1,1の連結状態を保持させることがで
きると共に、タイ材の使用本数も少なくなる。なお、タ
イ材9Aの背後側では、面剛性の低い溶接金網7Cとの
係合が強固となるように、タイ材受けとしての横バー1
0が左右方向へ縦通するように配置される。
【0025】図1を参照して、柱部材4の上端にもガセ
ットプレート6Cが設けられているが、これは鋼製枠体
1の上に他の鋼製枠体を積み上げて土留工を高層化する
ためのジョイントとしても機能する。すなわち、そのガ
セットプレート6Cと積み上げられた鋼製枠体の下部に
位置するガセットプレートとに跨がるように接続板材
(図示せず)をボルト止めするなどすれば、簡単に鋼製
枠体1,1の上下の一体化を図ることができる。
【0026】このような鋼製枠体1には、土圧を受け止
めるための面材として、丸太材2が多数平行して上下に
配置される。したがって、正面から見ると図3のように
整然とした面を形成する。この丸太材2,2の上下間隔
は任意に選定することができるので、植生マットを背面
に配置したい場合や、自然発生的な草本を覗かせたい場
合には、適度な隙間δをあけて配列される。
【0027】丸太材2は鋼製枠体1の前面に配列して固
定され、埋め戻して形成された法面の表面を覆って地山
の安定を図るが、正面から見て分かるように、左右の柱
部材4,4の前面側のアングル辺に被さる程度の長さと
なっている。なお、丸太材2は製材することにより丸い
断面を有したものとしておけば見栄えは向上するが、完
全な円形棒体である必要もない。
【0028】もちろん、丸太材2の断面は円形に限ら
ず、少々矩形状や三角状となっていてもよい。いずれに
しても、後述するクランパー3により鋼製枠体1に対し
て取りつけ取り外し操作ができる一様な断面形状であれ
ばよい。また、そのための部分としては端部のみが対象
となるので、極端に言えば、端部以外の断面は他の丸太
材と形状や寸法が少々異なっていても差し支えない。
【0029】個々の要素について、以下に詳しく述べ
る。まず、クランパー3を用いて丸太材2を着脱するた
めに、鋼製枠体1の前面左右端に設けられて上下方向へ
延びる柱部材4は、図2に示すように、前後面が一つの
鋼製枠体1において少なくとも相互の対向する方向へ延
びる平坦部4Aを有したものとなっている。
【0030】この例においては、隣りあう鋼製枠体1の
柱部材4と背中合わせにすることができるアングル材が
採用され、一方のアングル辺が隣りあう鋼製枠体1のア
ングル辺と、前面で同一面をなすように配置される。こ
のような姿勢にしておけば、水平な姿勢でアングル材の
平坦部4Aの前面に接触させるようにして丸太材2を整
然と配置することができる。
【0031】クランパー3は、図4の(a)に示すよう
に、丸太材を保持するU字状部3Aと、丸太材を柱部材
に固定する平爪状の係止部3Bとを備える。そのU字状
部3Aは丸太材2の前面周囲に沿うようにU字形に曲が
った棒材であり、係止部3Bは図4の(b)に示すよう
に棒材の両端を固定して橋渡すと共に棒材のない部分3
1 が柱部材4の平坦部4A(図4の(a)を参照)の
後面に係合することができる鉄製の板材となっている。
【0032】このような構造によれば、以下に述べる手
順によって施工することができる。まず、図1に示すよ
うに法面の土石等を除去して地ならしし、鋼製枠体1を
設置する。柱部材4は法面に沿うべく傾斜して立設され
た状態にあり、埋め戻し空間11を隔てた背後には金網
面(溶接金網7C)が配置された恰好となる。
【0033】この鋼製枠体1の前面に略水平姿勢で丸太
材2が配列され、埋め戻して形成される法面の表面を覆
って地山の安定を図る準備が整えられる。その際に各丸
太材2に予め嵌められているU字状部3Aを、図2中の
仮想線の状態から例えば右方向へずらせてクランパー3
を柱部材4に向けて移動する。U字状部3Aの背後に設
けた係止部3Bと丸太材2とで柱部材4を前後から挟み
つけるようにすれば、丸太材が柱部材に固定される。
【0034】図からも分かるように、U字状部3Aはそ
の形状からして柱部材4と重なることがないので、図3
の右下部の例で言えば、係止部3Bのうち図中に3B1
と付した部分のみが、柱部材4の平坦部4Aと重なる。
その結果、U字状部3Aに拘束された丸太材2は、柱部
材4のアングル辺により前方への変位が阻止された係止
部3Bによって、鋼製枠体1から外れることはない。
【0035】同様の手順により次々と上方に丸太材2を
柱部材4に取りつければ、図1や図3のような前面が形
成される。必要であれば、その鋼製枠体1の上に他の鋼
製枠体を積み上げ、相互を接続した後に丸太材を装着す
る。左右の鋼製枠体についても同じ作業が行われ、相互
をボルト等によって接続する。図2に表されたタイ材9
Aも順次配置される。
【0036】また、土砂や土石を埋め戻した場合に柱部
材4,4が開き勝手となるのを防止するために、開き防
止材としてのタイ材9Bを図6のように取りつける。こ
のタイ材9Bは図1に示したガセットプレート6A等や
柱部材4に設けた孔を利用して止められる。
【0037】面材の背面と後方の溶接金網7C(図1を
参照)との間に土石等を埋め戻して転圧するなどすれ
ば、鋼製枠体1は埋め戻し土砂等に絡む溶接金網7A,
7B,7Cを介して固定される。一方、法面や傾斜面は
丸太材2によって覆われ、その表層が補強される。
【0038】丸太材を交換する場合には、クランパー3
を図2中に仮想線で示したように戻せば、係止部3Bが
柱部材4から外れるので、丸太材2をクランパー3と共
に鋼製枠体1から前方へ解脱させることができる。
【0039】すなわち、面材の背後の土が馴染んで密着
していても、クランパー3は金具であって力を掛けて柱
部材4から遠ざかる方向へ移動させれば、クランパー3
を柱部材4から外すことができる。丸太材2,2間の隙
間δ(図3を参照)から土石を少し除去すればクランパ
ー3の移動が一層容易となり、簡単に取り外すことがで
きる。土がかなり固化していても係止部3Bは薄い板材
であり、特別大きな力を及ぼす必要もない。
【0040】なお、石等が噛みこんでいる場合や丸太材
2が腐食しているときなどでは、クランパー3を敢えて
スライドさせるまでもなく、丸太材2を適当な位置で鋸
断すれば、丸太材を単独もしくはクランパーと共に取り
去ることができる。
【0041】除去した跡は丸太材2の形に土が固まった
状態にあるので、同じサイズの丸太材とクランパーであ
れば、空隙部分に簡単に取りつけることができる。クラ
ンパー3の係止部3Bは、鋼製枠体1の柱部材4の平坦
部4Aに係合した状態で係止されているだけであり、柱
部材4が地山に埋もれている状態においても、上記した
作業に何ら支障をきたすことはない。
【0042】このような操作や構造から分かるように、
面材は一本ずつ交換可能であることから、腐食したもの
のみを交換することができる。もちろん、全部を交換す
ることもできるので、丸太使用構造物としての寿命は鋼
製枠体の耐用年まで持続させることが可能となる。すな
わち、木製面材を採用したことによる短命化は回避さ
れ、半永久的な構造物となる。
【0043】それのみならず、天然材を使用した面材は
周囲の自然景観に融合し、年月の経過によりますます環
境に馴染んだ土留工等となる。面材の裏に植生マットを
貼るなどしておけば丸太材相互の隙間から草本が生育す
ることにもなる。また自然発生的な緑化も図ることがで
きる。
【0044】折りを見て面材を交換することにすれば丸
太材の延命処理は必要でなく、したがって薬品による防
腐処理は回避され、化学物質等による土壌や河川の汚染
をきたすおそれもなくなる。
【0045】クランパーは丸太材を保持するU字状部と
丸太材を柱部材に固定する係止部とを備えるが、いずれ
も簡単な構造であって製作が容易で施工時の作業性も向
上する。たとえクランパーが腐食して再使用に耐えない
状態となっていてもU字形に曲がった棒材と平板部材と
からなる安価なものであり、大幅な費用の追加も回避さ
れる。
【0046】クランパーの係止部は鋼製枠体の柱部材に
横方向から係合されているだけであり、柱部材が地山に
密着している状態においても、上記した作業に支障をき
たすことはほとんどない。ちなみに、柱部材4としてア
ングル材を用いれば、上記したごとく隣りあう鋼製枠体
1の柱部材4と背中合わせにすることができ(図2を参
照)、これによって左右に配置される鋼製枠体1,1の
連結も簡単となる。またフレームの小型化も図られ、山
間僻地への搬入も容易である。
【0047】以上述べた例から分かるように、柱部材は
前後面が少なくとも相互の対向する方向に延びる平坦部
を有して前面が面一となるものであればよいので、図示
しないがT形鋼を採用することもできる。そのT形鋼は
一つの鋼製枠体の柱部材であってもよいし、左右に並ぶ
二つの鋼製枠体の境界で跨がるものでもよい。
【0048】柱部材自体は上記のように薄板部分のある
鋼材でなければならないというものでなく、アングル材
以外の形状をした資材を使用することもできる。要は、
U字状部が丸太材を抱えるように機能し、係止部が丸太
材を円形,矩形,H形断面等のいかなる形状の柱部材に
もその背後にひっ掛けることができるようになっていれ
ばよい。もちろん、クランパーを柱部材に係止したとき
許容しがたいガタつきが生じる場合には、適宜な形状の
スペーサを丸太材と係止部との間に介装するなどして姿
勢の安定を図ればよい。
【0049】なお、上記したクランパーは曲がった棒材
と板材とからなるが、図7に示すようにU字状部3Aと
して帯材の曲げたものを使用することもできる。いずれ
にしても、溶接等によって一体化したものとなってい
る。
【0050】丸太材としては間伐材で十分であるが、丸
太に代えて竹材を採用すれば製材加工が極めて簡単とな
る。いずれも施工現場もしくはその近傍で簡単に入手で
きることが多く、構築費の低廉化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る工法により構築された土留工の
側面図。
【図2】 土留工の部分拡大平面図。
【図3】 図1中の III−III 線矢視である土留工の正
面図。
【図4】 クランパーであって、(a)は図1中のA部
拡大図、(b)は単体の斜視図。
【図5】 鋼製枠体の下部に取りつけられるアングル材
と溶接金網の設置状態を説明する平面図および側面図。
【図6】 柱部材の開き防止材としてのタイ材の取付状
態説明図。
【図7】 帯材を曲げ加工した異なる形状のクランパー
の斜視図。
【符号の説明】
1…鋼製枠体、2…丸太材、3…クランパー、3A…U
字状部、3B,3B1 …係止部、4…柱部材、7C…溶
接金網(金網面)、11…埋め戻し空間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 修司 兵庫県神戸市中央区北本町通1丁目1番28 号 川鉄建材株式会社内 Fターム(参考) 2D044 DB41

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土石等が崩落するおそれのある法面に、
    土留工等を構築する方法において、法面の土石を除去し
    て地ならしすると共に、法面に沿わせるべく傾斜して立
    設される柱部材を前面左右に備えかつ埋め戻し空間を隔
    てた背後に金網面が形成されている鋼製枠体を、前記地
    ならし箇所に設置し、 埋め戻して形成された法面の表面を覆って地山の安定を
    図る多数の丸太材を、前記鋼製枠体の前面に略水平姿勢
    で配列し、 U字状部が予め各丸太材に嵌められているクランパーを
    左右に位置する前記柱部材に向けて移動させ、該U字状
    部の背後に設けた係止部と丸太材とで柱部材を挟みつけ
    ることによって丸太材を柱部材に固定し、 該丸太材の背後の埋め戻し空間に土石等の中詰材を埋め
    戻して鋼製枠体を前記金網面を介して固定し、また前記
    クランパーを逆方向へ移動して丸太材を解脱できるよう
    にしたことを特徴とする丸太を面材とした土留工法。
  2. 【請求項2】 前記柱部材はアングル材であって、前記
    鋼製枠体を左右に隣りあうように並べたとき背中合わせ
    にすることができるようになっていることを特徴とする
    請求項1に記載された丸太を面材とした土留工法。
  3. 【請求項3】 前記U字状部は丸太材の前面を覆うよう
    に曲がった棒材もしくは帯材であり、前記係止部は該棒
    材等の端部に設けられた板材であることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載された丸太を面材とした土
    留工法。
JP30373999A 1999-10-26 1999-10-26 丸太を面材とした土留工法 Expired - Fee Related JP3844108B2 (ja)

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