JP3270433B2 - 根入れ式擁壁 - Google Patents

根入れ式擁壁

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JP3270433B2
JP3270433B2 JP23478699A JP23478699A JP3270433B2 JP 3270433 B2 JP3270433 B2 JP 3270433B2 JP 23478699 A JP23478699 A JP 23478699A JP 23478699 A JP23478699 A JP 23478699A JP 3270433 B2 JP3270433 B2 JP 3270433B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】 本発明は河川護岸、道路や
宅地法面等に施工されるプレキャストまたは現場打ちの
擁壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来から幅広く採用されている擁壁
は、立壁と底版で構成される抗土圧構造物であり、この
典型例としては図22に示した逆T式擁壁40がある。
この構造の特徴は次の通りである。 ・図22と図23に示したように立壁41および底版4
2で構成される土留擁壁でありRC構造,ブレキヤスト
コンクリート構造がある。 ・背面土圧に対しては、図24に示したようにコンクリ
ートおよび裏込土44の自重、そして底版部の地盤反力
で安定化する。 ・基礎形式には直接基礎および杭基礎があり、地盤43
の条件が良好な場合は直接基礎でよいが、地盤条件が悪
い場合は杭基礎とするか地盤改良等を必要とする。
【0003】この擁壁の長所を摘示すると次の通りであ
る。 ・構造形式としては重力式、L型、逆T式、扶壁式、U
型等種類が豊富であり、使用目的に応じた選定が可能で
ある。 ・従来から幅広く使用され、構造は比較的シンプルであ
る。 ・設計法はほぼ確立されているとみなされている。 ・標準設計が整備されている。他方、この擁壁の短所と
しては、次のことが挙げられている。 ・底版42を有するため、空洞化の発生等に伴うルーフ
ィングが懸念される。 ・構造の安定上底版幅が広く、本堤45の切込が大きい
ため擁壁背面の必要用地幅が増す。また、土砂の掘削量
も多く、コンクリート使用量も多い。 ・地盤条件が悪い場合には杭基礎となり、一般に杭本数
は多い。 ・現場打ちの場合は一般に工期が長い。
【0004】ちなみにコンクリート使用量と掘削量につ
いて実際の設計数値を挙げれば、図22に示したように
擁壁天端から河床までの高さが2.5mの場合、コンク
リートの使用量は2.9m/mであり、掘削量は2
0.2m/mである。図23に示したように擁壁天端
から河床までの高さが6.2mの場合、コンクリートの
使用量は8.2m/mであり、掘削量は61.9m
/mである。
【0005】このように従来の逆T式擁壁では、底版下
の地盤支持力や滑動に対する安定性能が設計に大きな影
響を及ぼす。このため、地盤条件が良好でない場合に
は、杭基礎等の基礎工や地盤改良が必要になる。一方、
擁壁と同様な機能を期待されているものに、矢板(鋼矢
板・コンクリート矢板)等の自立式擁壁があるが、自立
式擁壁では、根入れ部の受働反力が設計上のクリティカ
ルな条件となることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者らは従来の
逆T式擁壁の上記難点を解決するために種々の検討と実
験解析を重ねて本発明に想到した。すなわち、本発明の
目的は、地盤条件の適用範囲が広く、良好でない地盤へ
の対応が可能であるとともに、コンクリート使用量が従
来の逆T式擁壁の半分程度であり、施工に当たっては本
堤の切込みの低減でき、擁壁背面の必要地幅の低減が可
能であり、掘削量が従来の逆T式擁壁の半分程度とな
り、また、遮水矢板工を別途施す必要がなく、空洞化の
発生等に伴うルーフィングの心配もない、根入れ式擁壁
を提供することである。また、本発明の別の目的は、上
記各利点を備えているとともに、周辺地盤を緩めず、施
工スペースが狭い場合にも適用でき、低振動・低騒音の
施工ができ、近接構造物への影響が少ないグランドアン
カーによる圧入工法を使用した根入れ式プレキャスト擁
壁を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】 以下、添付図面中の参
照符号を用いて説明すると、請求項1の発明の根入れ式
擁壁では、正面壁1の背面に一枚または二枚の扶壁2を
有するプレキャストブロック3を使用し、複数段に積み
上げたプ レキャストブロック3を上下方向のPC鋼材4
またはボルト接合などより相互連結して立壁単位体5を
構成し、左右に配列した複数個の立壁単位体5を左右方
向のPC鋼材6,ボルト接合または横桁部材11などに
より相互連結して立壁7を構成し、立壁7の下方部分を
根入れ部として地盤8に埋設し、立壁単位体5の最下段
のプレキャストブロック3Aに杭9を連接する。
【0008】請求項2の発明の根入れ式擁壁では、正面
壁1の背面に一枚または二枚の扶壁2を有するプレキャ
ストブロック3を使用し、複数段に積み上げたプレキャ
ストブロック3を上下方向のPC鋼材4またはボルト接
合などより相互連結して立壁単位体5を構成し、左右に
配列した複数個の立壁単位体5を左右方向のPC鋼材
6,ボルト接合または横桁部材11などにより相互連結
して立壁7を構成し、立壁7の下方部分を根入れ部とし
て地盤8に埋設し、立壁単位体5の最下段のプレキャス
トブロック3Aに筒状基礎部材10を連接する。 請求項
の発明の根入れ式擁壁では、請求項2の発明の前記構
成に加えて、横桁部材11を使用し、立壁単位体5の最
下段のプレキャストブロック3Aと筒状基礎部材10の
間に、左右に隣接する2個または3個以上の立壁単位体
5に渡る横桁部材11を連接する。
【0009】請求項4の発明の根入れ式擁壁では、複数
個のプレキャストブロックを上下左右に相互連結して立
壁7を構成する。立壁7の下方部分を根入れ部として地
盤8に埋設するが、その際、根入れ部となる最下段のプ
レキャストブロック3Aをグランドアンカーを用いた圧
入工法により所要深さに埋設し、その上に上段側のプレ
キャストブロック3を設置し、立壁7を組立てる。
【0010】立壁7の下方部分を根入れ部として、グラ
ンドアンカーを用いた圧入工法によって地盤に埋設ない
し沈設する方法の一例を図21に示してある。本例で
は、擁壁を築造する基礎地盤8に、ケーシングを使用し
ながら垂直に定着地盤8aまで所要深さのアンカー用孔
を削孔する。次に、あらかじめ組み立てておいたPC綱
撚り線からなるアンカーケーブル50を前記ケーシング
内に挿入する。そして、インナーグラウト用ホースを経
由してインナーグラウト材をケーシング内に注入する。
次に、アウターグラウト用ホースを経由して、アウター
グラウト材をケーシングに注入する。そして、グラウト
材を加圧注入しながらケーシングを地盤から引き抜く。
最後に、グラウト材が固まった段階でアンカーケーブル
50を緊張し、アンカーケーブル50の定着金具によっ
て定着させ、防錆油を充填して保護キャップを取りつけ
る。
【0011】根入れ部となるプレキャストブロック3A
や筒状などの基礎部材10を基礎地盤8の所定箇所に設
置し、基礎部材10などの上面に縦構の補助桁材51を
載置し、補助桁材51上に複数台の圧入装置52が設置
される。この圧入装置52は、補助桁材51に固着され
た装置本体と、例えば油圧ジャッキ手段によって、装置
本体に対して上下方向に駆動される上側のチャック手段
53と、装置本体に対して不動の下側のチャック手段5
4とからなる。前記アンカーケーブル50を上側のチャ
ック手段53で掴んだ状態で、上側のチャック手段53
を上昇させると、当該チャック手段の上昇分だけ前記基
礎部材10が地盤8に圧入される。最初の圧入作動の終
了時に、下側のチャック手段54によってアンカーケー
ブル50を掴んだ後、上側のチャック手段53を解放し
て下降させる。最下降位置にて上側チャック手段53に
よってアンカーケーブル50を再び掴んだ後、下側チャ
ック手段54を解放し、上側のチャック手段を最上昇位
置まで上昇させる。以下、この作動を繰り返すことによ
って、基礎部材10は根入れ部として地盤8の所要深さ
まで圧入される。根入れ部となるプレキャストブロック
3Aや基礎部材10は複数段に分割構成することもでき
る。圧入の進行に応じて扶壁2等の上面に突出したアン
カーケーブル50は適宜に切断され、適当な定着金具に
よって扶壁2等に定着される。このアンカーケーブル5
0を前記PC鋼材4やPC鋼材21に連結したり、アン
カーケーブル50の上部を前記PC鋼材21等として利
用することもできる。
【0012】請求項5の発明の根入れ式擁壁では、地表
面から所要深さまで溝を掘り下げ、該溝底面に筒状や井
桁状などの基礎部材10を設置し、該基礎部材10を前
記したようなグランドアンカーを用いた圧入工法により
地盤8に埋設する。この基礎部材10の上に、複数個の
プレキャストブロック3を上下左右に基礎部材10を含
めて相互連結して立壁7を構成する。前記溝内にある立
壁7の下方部分を根入れ部とするため、該溝を埋め戻
す。これによって、立壁7の根入れ部は、埋められた下
方部分と基礎部材10の両者によって構成される。地盤
8を掘り下げずに地表面に基礎部材10を設置し、地表
面から基礎部材10を前記したグランドアンカーを用い
た圧入工法で地盤8に埋設し、該基礎部材10に立壁7
のプレキャストブロック3を順次連結して行くこともで
きる。この場合には、基礎部材10が立壁7の根入れ部
を構成することになる。請求項6の発明の根入れ式擁壁
では、請求項5の前記構成に加えて、最下段のプレキャ
ストブロック3Aと前記基礎部材10の間に横桁部材1
1を設置し、横桁部材1を基礎部材10とプレキャスト
ブロック3に連結する。
【0013】請求項1の根入れ式擁壁を例えば河川の堰
堤部に適用する場合には、本堤12の水面側部分を所要
奥行きまで切り込む。トレンチャーあるいは細幅の爪を
有するバックホウによって、立壁7の根入れ部施工のた
めに所要深さの溝掘りを行ない、立壁単位体5の最下段
となるプレキャストブロック3Aを溝底部に水平に設置
する。溝底部には必要に応じて砂利や砂が敷き均され
る。 プレキャストコンクリート製のRC構造の杭9の打
設は、立壁単位体5の最下段のプレキャストブロック3
Aをテンプレートとして行なわれる。具体的には、プレ
キャストブロック3Aの扶壁2が厚肉に成形され、扶壁
2の前後端部には杭9が嵌めこまれる透孔20が形成さ
れている。
【0014】プレキャストブロック3Aの前記透孔20
に杭9の下端部が挿入され、透孔20を案内として杭9
が地盤8に打設される。打設終了後、杭9の上端部はグ
ラウト材の注入によってプレキャストブロック3Aに結
合一体化される。 杭9を併用する根入れ式擁壁では、根
入れ部のプレキャストブロック3の段数は、杭を使用し
ない場合と比較して減らすことができる。 最下段のプレ
キャストブロック3Aの上に所要段数のプレキャストブ
ロックが 積み上げられ、PC鋼材やボルト接合、あるい
は嵌め合い接合などの公知の接合方式に利用によって相
互連結される。立壁7の下方部分は根入れ部として地盤
8に埋設され、周辺土砂が突き固められる。
【0015】ブロックの連結手段としてPC鋼材を選択
したときには、最下段のプレキャストブロック3Aに
は、ブロック成形時にPC鋼材4の下端部自体が埋設固
定されているか、PC鋼材4の下端部をねじ込むための
端末金具13が埋設固定されている。最下段のプレキャ
ストブロック3Aにあらかじめ固定されているPC鋼材
4、あるいは施工現場で端末金具13にねじ込み固定さ
れたPC鋼材4を上段側のプレキャストブロック3の縦
孔14に挿通しながら、複数段のプレキャストブロック
3を順次に積み上げる。
【0016】全段数のプレキャストブロック3を積み上
げた後、PC鋼材4の上端部に端末金具15を装填し、
公知の手法によってPC鋼材4を緊張してから端末金具
15によって最上段のプレキャストブロック3BにPC
鋼材4を固定する。立壁単位体5の高さによっては、プ
レキャストブロック3をある段数まで積み上げた段階で
PC鋼材4の緊張と固定を行ない、さらにPC鋼材4を
中継ぎして上段側のプレキャストブロック3を積み上げ
て行くこともできる。プレキャストブロック3の縦孔1
4とPC鋼材4間の隙間には、公知の手法によってグラ
ウト材が充填され、PC鋼材4は緊張状態でプレキャス
トブロック3に結合一体化される。
【0017】このようにプレキャストブロック3、3
A,3Bの積み上げとPC鋼材4の緊張によって複数個
の立壁単位体5を組み立て、左右方向に配列した後、立
壁単位体5の特定段のプレキャストブロック3Cに設け
た横孔16にPC鋼材6を挿通する。例えば左端の立壁
単位体5のプレキャストブロック3CにPC鋼材6の左
端部を端末金具によって固定し、PC鋼材6の右端部に
端末金具を装填してPC鋼材6を緊張した後、端末金具
によってPC鋼材6を右端の立壁単位体5のプレキャス
トブロック3Cに固定する。PC鋼材6は適当に中継ぎ
しながら使用することもできる。
【0018】前記特定段のプレキャストブロック3C
は、PC鋼材6の緊結作業の便宜のためには、河床面や
地表面付近に来る段のものとするのが望ましい。プレキ
ャストブロック3Cの横孔16とPC鋼材6間の隙間に
は、グラウト材が充填され、PC鋼材6は緊張状態でプ
レキャストブロック3Cに結合一体化される。横孔16
を形成する部分は正面壁1の前面側に張出して設けるこ
とができ、この接合用張出し部17は、PC鋼材6のグ
ラウト処理後に河床面18に埋められる。これらの工程
請求項2以降の根入れ式擁壁においても同様である。
【0019】左右方向に所要個数の立壁単位体5を連結
して立壁7を構成した後、根入れ部も含めて立壁7の裏
面側空所には裏込土19が充填され、締め固めが行なわ
れる。立壁7の高さによっては、安定性確保のために、
前記特定段のプレキャストブロック3Cまで積み上げて
PC鋼材6で緊結した段階で、根入れ部の土砂の埋め戻
しと締め固めを先行的に行なうこともできる。あるいは
また、根入れ部から地上部を含めて、プレキャストブロ
ックを一段ないし数段積み上げる毎に裏込土の充填と締
め固めを行なうこともできる。
【0020】請求項2の根入れ式擁壁では、立壁5は下
部地盤8に定置されたプレキャストコンクリート製のR
C構造の筒状基礎部材10によって支持される。例えば
円筒体あるいは角筒体よりなる筒状基礎部材10は、前
記のように溝掘りされた溝底部内に中心軸線が垂直にな
るように設置され、開口端部の水平端面に立壁単位体5
の最下段のプレキャストブロック3Aが設置される。筒
状基礎部材10には、筒状基礎部材10の成形時にPC
鋼材21の下端部自体が埋設固定されているか、PC鋼
材21の下端部ねじ込み用の端末金具が埋設固定されて
いる。
【0021】筒状基礎部材10にあらかじめ固定されて
いるPC鋼材21、あるいは施工現場で筒状基礎部材1
0の端末金具にねじ込み固定したPC鋼材21を、立壁
単位体5の最下段のプレキャストブロック3Aの縦孔に
挿通し、PC鋼材21の上端部に端末金具を装填し、P
C鋼材21を緊張させてからPC鋼材21を最下段のプ
レキャストブロック3Aに固定させる。筒状基礎部材1
0からのPC鋼材21の長さ如何によっては、最下段の
プレキャストブロック3Aだけでなく、その上段側の1
個または複数個のプレキャストブロック3を最下段のプ
レキャストブロック3Aと一緒に筒状基礎部材10に連
接することもできる。
【0022】筒状基礎部材10を併用する根入れ式擁壁
では、根入れ部のプレキャストブロック3の段数は、筒
状基礎部材10を使用しない場合と比較して減らすこと
ができる。最下段のプレキャストブロック3Aを筒状基
礎部材10に連接してから以降の作業は、請求項1の擁
壁の場合と同様にして進行される。
【0023】請求項3の根入れ式擁壁は、立壁7が下部
地盤8に定置されたプレキャストコンクリート製のRC
構造の筒状基礎部材10によって支持される点において
は、請求項2の根入れ式擁壁と同じであるが、請求項3
の擁壁では、立壁単位体5の最下段のプレキャストブロ
ック3Aと筒状基礎部材10の間には、左右方向に配置
される横桁部材11が挿入される。
【0024】筒状基礎部材10は前記のように溝掘りさ
れた溝底部内に設置され、開口端部の水平端面にプレキ
ャストコンクリート製のRC構造の横桁部材11が設置
される。筒状基礎部材10には、筒状基礎部材10の成
形時にPC鋼材22の下端部自体が埋設固定されている
か、PC鋼材22の下端部ねじ込み用の端末金具が埋設
固定されている。
【0025】筒状基礎部材10にあらかじめ固定されて
いるPC鋼材22、あるいは施工現場で筒状基礎部材1
0の端末金具にねじ込み固定したPC鋼材22を、横桁
部材11の縦孔に挿通し、PC鋼材22の上端部に端末
金具を装填し、PC鋼材22を緊張させてからPC鋼材
22を横桁部材11に固定させる。筒状基礎部材10か
らのPC鋼材22の長さ如何によっては、横桁部材11
だけでなく、立壁単位体5の最下段のプレキャストブロ
ック3Aあるいは最下段のプレキャストブロック3Aと
ともに上段側の1個または複数個のプレキャストブロッ
ク3を、横桁部材11と一緒に筒状基礎部材10に連接
することもできる。
【0026】筒状基礎部材10と横桁部材11を併用す
る根入れ式擁壁では、根入れ部のプレキャストブロック
3の段数は、筒状基礎部材10と横桁部材11を使用し
ない場合と比較して減らすことができる。最下段のプレ
キャストブロック3Aを横桁部材11に連接してから以
降の作業は、請求項1の擁壁の場合と同様にして進行さ
れる。
【0027】請求項4および請求項5の発明の根入れ式
擁壁では、立壁7は下部の定着地盤8にグランドアンカ
ーを用いた圧入工法により埋設されたプレキャストコン
クリート製のRC構造の筒状基礎部材10によって支持
される。例えば円筒体あるいは角筒体によりなる筒状基
礎部材10は、前記のように溝掘りされた溝底部内から
中心軸線が垂直になるように圧入により埋設され、開口
端部の水平端面に立壁単位体7の最下段のプレキャスト
ブロック3Aが設置される。筒状基礎部材10には、成
形時にPC鋼材20の下端部自体が埋設されているか、
PC鋼材20の下端部にねじ込み用の端末金具が埋設固
定されている。
【0028】筒状基礎部材10にあらかじめ固定されて
いるPC鋼材20、あるいは施工現場で筒状基礎部材1
0の端末金具にねじ込み固定したPC鋼材20を、立壁
単位体5の最下段のプレキャストブロック3Aの縦孔1
4に挿通し、PC鋼材20の上端部に端末金具を装填
し、PC鋼材20を緊張させてからPC鋼材20を最下
段のプレキャストブロック3Aに固定させる。筒状基礎
部材10からのPC鋼材20の長さ如何によっては、最
下段のプレキャストブロック3Aだけでなく、その上段
側の1個または複数個のプレキャストブロック3を最下
段のプレキャストブロック3Aと一緒に筒状基礎部材1
0に連接することもできる。
【0029】筒状基礎部材10を併用するグランドアン
カーによる圧入工法を使用した根入れ式プレキャスト擁
壁では、根入れ部のプレキャストブロック3の段数は、
筒状基礎部材10を使用しない場合と比較して減らすこ
とができる。最下段のプレキャストブロック3Aを筒状
基礎部材10に連結してから以降の作業は、請求項1の
発明の根入れ式擁壁の場合と同様にして進行される。
【0030】請求項6の発明の根入れ式擁壁では、立壁
7が下部地盤8に定着されたプレキャストコンクリート
製のRC構造の筒状基礎部材10によって支持される点
においては、前記した請求項5の発明の根入れ式擁壁と
同じであるが、請求項6の発明では、立壁単位体5の最
下段プレキャストブロック3Aと筒状基礎部材19の間
には、左右方向に配置される横桁部材11が挿入され
る。筒状基礎部材10は前記のように溝掘りされた溝底
部内から圧入され、開口端部の水平端面にプレキャスト
コンクリート製のRC構造の横桁部材11が設置され
る。筒状基礎部材10には、成形時にPC鋼材21の下
端部自体が埋設固定されているか、PC鋼材21の下端
部ねじ込み用の端末金具が埋設固定されている。
【0031】筒状基礎部材10にあらかじめ固定されて
いるPC鋼材21、あるいは施工現場で筒状基礎部材1
0の端末金具にねじ込み固定したPC鋼材21を、横桁
部材11の縦孔に挿通し、PC鋼材21の上端部に端末
金具を装填し、PC鋼材21を緊張させてからPC鋼材
21を横桁部材11に固定させる。筒状基礎部材10か
らのPC鋼材21の長さ如何によっては、横桁部材11
だけでなく、立壁単位体5の最下段のプレキャストブロ
ック3Aあるいは最下段のプレキャストブロック3Aと
ともに上段側の1個または複数個のプレキャストブロッ
ク3を、横桁部材11と一緒に筒状基礎部材10に連接
することもできる。
【0032】筒状基礎部材10と横桁部材11を併用す
るグランドアンカーによる圧入根入れ式プレキャスト擁
壁では、根入れ部のプレキャストブロック3の段数は、
筒状基礎部材10と横桁部材11を使用しない場合と比
較して減らすことができる。最下段のプレキャストブロ
ック3Aを横桁部材11に連結してから以降の作業は、
前記した請求項1の発明の根入れ式擁壁の場合と同様に
して進行される。
【0033】請求項1の根入れ式擁壁の安定機構では、
図15に示したように背面からの水平土圧に対しては、
立壁7の根入れ部の前面抵抗力、前記立壁側面に作用す
る壁周面摩擦力および杭9の周面摩擦力によって抵抗す
る。
【0034】請求項2の根入れ式擁壁の安定機構では、
図16に示したように背面からの水平土圧に対しては、
立壁7の根入れ部の前面抵抗力、前記立壁側面に作用す
る壁周面摩擦力および筒状基礎部材10の周面摩擦力に
よって抵抗する。請求項3の根入れ式擁壁の安定機構で
は、図17に示したように背面の水平土圧に対しては、
立壁7の根入れ部の前面抵抗力、前記立壁側面に作用す
る壁周面摩擦力、筒状基礎部材10の周面摩擦力および
横桁部材11の周面摩擦力によって抵抗する。
【0035】請求項4の発明のグランドアンカーによる
圧入工法を使用した根入れ式プレキャスト擁壁の安定機
構では、図18に示したように背面からの水平土圧に対
しては、立壁7の根入れ部の前面抵抗力および立壁側面
に作用する壁周面摩擦力によって抵抗する。
【0036】請求項5の発明のグランドアンカーによる
圧入工法を利用した根入れ式プレキャスト擁壁の安定機
構では、図16に示したように請求項2の発明の根入れ
式擁壁と同様に、背面からの水平土圧に対しては、立壁
7の根入れ部の前面抵抗力、前記立壁側面に作用する壁
周面摩擦力および筒状基礎材10の周面摩擦力によって
抵抗する。
【0037】請求項6の発明のグランドアンカーによる
圧入工法を使用した根入れ式プレキャスト擁壁の安定機
構では、図17に示したように請求項3の根入れ式擁壁
と同様に、背面からの水平土圧に対しては、立壁7の根
入れ部の前面抵抗力、前記立壁側面に作用する壁周面摩
擦力、筒状基礎材10および横桁部材11の周面摩擦力
によって抵抗する。
【0038】
【発明の実施の形態】 図1に示した実施例の根入れ式
プレキャスト擁壁では、プレキャストブロック3,3
A,3B,3Cは図3と図4に示したように正面壁1の
背面左右に二枚の扶壁2を平行に設けたものであり、図
示の寸法関係のもとに5段積まれ、根入れ部は1.5段
相当分になっている。扶壁2の奥行き寸法は上下段との
同等に設定されている。擁壁天端から河床までの高さが
2.5mである本例では、コンクリートの使用量は1.
8m/mであり、掘削量は12.1m/mである。
杭9が挿入される透孔20は、正面壁1と扶壁2の付け
根部に1個、扶壁2の後端部に1個の2個設けられてい
る。後ろ側の2本の杭9は前傾している。
【0039】図2に示した別の実施例の擁壁では、プレ
キャストブロック3,3A,3Bは図3と図4に示した
ように正面壁1の背面左右に二枚の扶壁2を平行に設け
たものであり、図示の寸法関係のもとに8段積まれ、根
入れ部は2段となっている。扶壁2の奥行き寸法は各段
とも同じになっている。擁壁天端から河床までの高さが
6.2mである本例では、コンクリートの使用量は3.
7m/mであり、掘削量は30.7m/mである。
杭9が挿入される透孔20は、正面壁1と扶壁2の付け
根部に1個、扶壁2の後端部に1個の2個設けられてい
る。後ろ側の2本の杭9は前傾している。
【0040】図5に示した別の実施例の擁壁では、プレ
キャストブロック3,3A,3Bは図3と図4に示した
ように正面壁1の背面左右に二枚の扶壁2を平行に設け
たものであり、図示の寸法関係のもとに8段積まれ、根
入れ部は2段となっている。扶壁2の奥行き寸法は各段
とも同じになっている。筒状基礎部材10は角筒体で構
成されている。
【0041】図6に示した別の実施例の擁壁では、プレ
キャストブロック3,3A,3Bは図3と図4に示した
ように正面壁1の背面左右に二枚の扶壁2を平行に設け
たものであり、図示の寸法関係のもとに8段積まれ、根
入れ部は2段となっている。扶壁2の奥行き寸法は各段
とも同じになっている。筒状基礎部材10は円筒体で構
成されている。横桁部材11は角棒状に形成され、前後
2本使用され、PC鋼材やボルト接合によってプレキャ
ストブロック3と筒状基礎部材10に連接されている。
【0042】図7に示した別の実施例の擁壁では、プレ
キャストブロック3は図3に示したように正面壁1の背
面左右に二枚の扶壁2を平行に設けたものである。筒状
基礎部材10は角筒体で構成され、左右に隣接する2個
のプレキャストブロック3を支持している。横桁部材1
1は後方側に1本だけ使用されている。横桁部材11
は、隣接の2個のプレキャストブロック3の片側2個、
他側1個の合計3個の扶壁2に対しPC鋼材やボルト接
合によって連接されている。この連接を順次繰返すこと
によって、左右複数個の立壁単位体5が結合一体化され
る。
【0043】図8に示した別の実施例の擁壁では、プレ
キャストブロック3は図3に示したように正面壁1の背
面左右に二枚の扶壁2を平行に設けたものである。この
二枚の扶壁2,2に対して横桁部材11がPC鋼材やボ
ルト接合によって連接されている。
【0044】図9に示した別の実施例の擁壁では、プレ
キャストブロック3は図3に示したように正面壁1の背
面左右に二枚の扶壁2を平行に設けたものである。横桁
部材11は前方側に1本だけ使用されており、正面壁1
を支持している。
【0045】図10に示した別の実施例の擁壁では、プ
レキャストブロック3は図3に示したように正面壁1の
背面左右に二枚の扶壁2を平行に設けたものである。筒
状基礎部材10は円筒体で構成されている。横桁部材1
1は前後2本使用され、PC鋼材やボルト接合によって
プレキャストブロック3と筒状基礎部材10に連接され
ている。
【0046】図11に示した別の実施例の擁壁では、プ
レキャストブロック3は正面壁1の背面左右に二枚の扶
壁2を平行に設けたものである。筒状基礎部材10は円
筒体で構成されている。横桁部材11は前後2本使用さ
れ、PC鋼材やボルト接合によってプレキャストブロッ
ク3と筒状基礎部材10に連接されている。左右に隣接
する2個の筒状基礎部材10は扶壁2の上方で互いに当
接し、円形内部空間の下方に2個の扶壁2が来るように
寸法設定されている。
【0047】図12に示した別の実施例の擁壁では、プ
レキャストブロック3は正面壁1の背面左右に二枚の扶
壁2を平行に設けたものである。筒状基礎部材10は円
筒体で構成されている。横桁部材11は前後2本使用さ
れ、PC鋼材やボルト接合によってプレキャストブロッ
ク3と筒状基礎部材10に連接されている。左右に隣接
する2個の筒状基礎部材10は扶壁2を外れたところで
互いに当接しており、円形内部空間の下方にほぼ4個の
扶壁2が来るように寸法設定されている。
【0048】図13に示した別の実施例の擁壁では、プ
レキャストブロック3は正面壁1の背面左右に二枚の扶
壁2を平行に設けたものである。筒状基礎部材10は円
筒体で構成されている。横桁部材11は前後2本使用さ
れ、PC鋼材やボルト接合によってプレキャストブロッ
ク3と筒状基礎部材10に連接されている。左右に隣接
する2個の筒状基礎部材10は互いに当接しておらず、
円形内部空間の下方にほぼ4個の扶壁2が来るように寸
法設定されている。
【0049】図14に示した別の実施例の擁壁では、プ
レキャストブロック3は正面壁1の背面左右に二枚の扶
壁2を平行に設けたものである。横桁部材11は前方側
に1本だけ使用されており、正面壁1を支持している。
【0050】図19と図20に示した更に別の実施例の
根入れ式擁壁は、プレキャストブロックとしてボックス
型ブロックを使用し、奥行き寸法の異なる複数段のボッ
クス型ブロックをPC鋼材やボルト接合などの公知の連
結手段によって相互連結して立壁7を構成し、最も奥行
きの深いボックス型ブロックで形成された下方部分が、
根入れ部として利用されている。
【0051】
【発明の効果】 以上のように請求項1の発明の根入れ
式プレキャスト擁壁では、正面壁1の背面に一枚または
二枚の扶壁2を有するプレキャストブロック3を使用
し、複数段に積み上げたプレキャストブロック3を上下
方向のPC鋼材4により相互連結して立壁単位体5を構
成し、左右に配列した複数個の立壁単位体5を左右方向
のPC鋼材6または横桁部材11により相互連結して立
壁7を構成し、立壁7の下方部分を根入れ部として地盤
8に埋設し、かつ、立壁単位体5の最下段のプレキャス
トブロック3Aに杭9を連接するものであるから、次の
ような利点がある。立壁根入れ部の前面抵抗、前記立
壁側面および杭に作用する周面摩擦力によって水平土圧
に抵抗するため、高い安定性を有する。このような安定
機構から地盤条件の適用範囲が広く、軟弱地盤への対応
が可能である。底版を有しないため、空桐化の発生等
に伴うルーフィングの心配がない。フレーム構造によ
り壁厚の低減を図れる。コンクリート使用量は従来の逆
T式擁壁に比べて約半分程度である。立壁根入れ部
は、遮水工としての機能を有し、遮水矢板を必要としな
い。杭のみに依存する従来の逆T式擁壁に比べ杭本数
を大幅に低減できる。底版を有しないとともに、杭の
打設は最下段のプレキャストブロックをテンプレートと
してなされ、扶壁の奥行き寸法以上の打設作業用空間を
確保する必要がないため、本堤の切込を低減でき、擁壁
背面側の必要用地幅を低滅できる。また、掘削量は従来
の逆T式の擁壁と比べて約半分程度となる。
【0052】請求項2の発明の根入れ式プレキャスト擁
壁では、正面壁1の背面に一枚または二枚の扶壁2を有
するプレキャストブロック3を使用し、複数段に積み上
げたプレキャストブロック3を上下方向のPC鋼材4ま
たは横桁部材11により相互連結して立壁単位体5を構
成し、左右に配列した複数個の立壁単位体5を左右方向
のPC鋼材6により相互連結して立壁7を構成し、立壁
7の下方部分を根入れ部として地盤8に埋設し、かつ、
立壁単位体5の最下段のプレキャストブロック3Aに筒
状基礎部材10を連接するものであるから、次のような
利点がある。立壁根入れ部の前面抵抗、前記立壁側面
および筒状基礎部材に作用する周面摩擦力によって水平
土圧に抵抗するため、高い安定性を有する。このような
安定機構から地盤条件の適用範囲が広く、軟弱地盤への
対応が可能である。底版を有しないため、空桐化の発
生等に伴うルーフィングの心配がない。扶壁を活用し
たフレーム構造により壁厚の低減を図れる。コンクリー
ト使用量は従来の逆T式擁壁に比べ約半分程度である。
立壁根入れ部は、遮水工としての機能を有し、遮水矢
板を必要としない。底版を有しておらず、また、筒状
基礎部材は立壁の前後方向に大きくはみ出すものではな
いから、本堤の切込を低減でき、擁壁背面側の必要用地
幅を低滅できる。また、掘削量は従来の逆T式の擁壁と
比べて約半分程度となる。
【0053】請求項3の発明の根入れ式プレキャスト擁
壁では、正面壁1の背面に一枚または二枚の扶壁2を有
するプレキャストブロック3を使用し、複数段に積み上
げたプレキャストブロック3を上下方向のPC鋼材4ま
たは横桁部材11により相互連結して立壁単位体5を構
成し、左右に配列した複数個の立壁単位体5を左右方向
のPC鋼材6により相互連結して立壁7を構成し、立壁
7の下方部分を根入れ部として地盤8に埋設し、かつ、
立壁単位体5の最下段のプレキャストブロック3Aと筒
状基礎部材10の間に左右方向の横桁部材11を連接す
るものであるから、次のような利点がある。立壁根入
れ部の前面抵抗、前記立壁側面、筒状基礎部材および横
桁部材に作用する周面摩擦力によって水平土圧に抵抗す
るため、高い安定性を有する。このような安定機構から
地盤条件の適用範囲が広く、軟弱地盤への対応が可能で
ある。底版を有しないため、空桐化の発生等に伴うル
ーフィングの心配がない。扶壁を活用したフレーム構
造により壁厚の低減を図れる。横桁部材の付加を考慮に
入れても、コンクリート使用量は従来の逆T式擁壁に比
べ約半分弱程度である。立壁根入れ部は、遮水工とし
ての機能を有し、遮水矢板を必要としない。底版を有
しておらず、また、横桁部材が扶壁の下部空間に配置さ
れるとともに、筒状基礎部材は立壁の前後方向に大きく
はみ出すものではないから、本堤の切込を低減でき、擁
壁背面側の必要用地幅を低滅できる。また、掘削量は横
桁部材の付加を考慮に入れても、従来の逆T式の擁壁と
比べて約半分弱程度となる。
【0054】請求項4ないし請求項6の発明の根入れ式
プレキャスト擁壁は、複数個のプレキャストブロックを
上下左右に相互連結して立壁を構成し、立壁の下方部分
を根入れ部として、グランドアンカーを用いた圧入工法
により地盤に埋設するものであるから、次のような利点
が有る。根入れ式とすることによる利点として、前記請
求項1ないし請求項3の発明と同様に、次の点が挙げら
れる。立壁根入れ部の前面抵抗、立壁側面および筒状
基礎部材に作用する周面摩擦力によって水平土圧に抵抗
するため、高い安定性を有する。このような安定機構の
ため地盤条件の適用範囲が広く、良好でない地盤への対
応が可能である。底版を有しないため、空洞化の発生
に伴うルーフィングの心配がない。コンクリートの使
用量は従来の逆T式擁壁に比べて約半分程度である。
立壁根入れ部は、遮水工としての機能を備えるために、
遮水矢板を必要としない。底版を有しないことから、
控え分の掘削が不要となり、本堤の切り込みを低減で
き、擁壁背面の必要用地幅を低減できる。加えて根入れ
部を圧入とすることから、掘削量は従来の逆T式の擁壁
と比べ約半分程度となる。また、グランドアンカーによ
る圧入工法によって根入れ部を地盤に埋設ないし沈設す
ることによる利点として、次の点がさらに挙げられる。 (1) 擁壁の根入れ部は、プレキャストコンクリート構造
であり、部材厚は薄くても耐力は大きく、また圧入時の
周面摩擦力が小さい。 (2) 周辺地盤を緩めないため、設計上緩みの影響を考慮
しない地盤反力が期待できる。 (3) 施工精度が高く、施工中(沈設途中)の傾斜等のト
ラブルへの対応が容易である。 (4) 現場打ちのRC構造ではないので、躯体の養生が不
要で連続施工が可能であり、工期短縮を図れる。 (5) 地盤条件や施工条件が厳しい場合を除いて、水上施
工も可能である。 (6) 仮締切り工や土留・支保工が不要であり、河川の護
岸工事等で有利である。 (7) 狭隘な施工ヤード、上空制限等の施工スペースの少
ないところにも適用可能である。 (8) 近接構造物への影響が少ない。 (9) 低振動・低騒音工法であるため周辺環境対策が容易
である。 (10)地盤条件や施工条件によっては、仮設工や近接構造
物の防護工の省略等によって、コスト削減に寄与すると
ころが大きい。これらの特徴点は、河川護岸における擁
壁工事や急斜面近傍での擁壁工事等の施工条件が厳しい
ところで有効になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る根入れ式擁壁の垂直
断面図である。
【図2】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の垂
直断面図である。
【図3】 図1と図2の擁壁で使用したプレキャストブ
ロックの平面図である。
【図4】 図1と図2の擁壁で使用した最下段のプレキ
ャストブロックの平面図である。
【図5】 本発明の他の実施例に係る根入れ式擁壁の垂
直断面図である。
【図6】 本発明のさらに他の実施例に係る根入れ式擁
壁の垂直断面図である。
【図7】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の水
平断面図である。
【図8】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の水
平断面図である。
【図9】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の水
平断面図である。
【図10】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の
水平断面図である。
【図11】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の
水平断面図である。
【図12】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の
水平断面図である。
【図13】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の
水平断面図である。
【図14】 本発明の別の実施例に係る根入れ式擁壁の
水平断面図である。
【図15】 本発明の根入れ式擁壁の一例における安定
機構の概念図である。
【図16】 本発明の根入れ式擁壁の他の例における安
定機構の概念図である。
【図17】 本発明の根入れ式擁壁のさらに他の例にお
ける安定機構の概念図である。
【図18】 本発明の根入れ式擁壁のさらに他の例にお
ける安定機構の概念図である。
【図19】 本発明の根入れ式擁壁をボックス型ブロッ
クの相互連結によって構築した一例を示す立面図であ
り、杭や筒状基礎部材,横桁部材の図示は省略されてい
る。
【図20】 図19の根入れ式擁壁の斜視図であり、杭
や筒状基礎部材、横桁部材の図示は省略されている。
【図21】 グランドアンカーによる圧入工法を使用し
て筒状基礎部材を地盤に沈設する施工例を示す概略説明
図である。
【図22】 従来の逆T式擁壁の一例を示す垂直断面図
である。
【図23】 従来の逆T式擁壁の別例を示す垂直断面図
である。
【図24】 従来の逆T式擁壁における安定機構の概念
図である。
【符号の説明】
1 正面壁 2 扶壁 3 プレキャストブロック 4 PC鋼材 5 立壁単位体 6 PC鋼材 7 立壁 8 地盤 9 杭 10 筒状基礎部材 11 横桁部材 12 本堤 50 アンカーケーブル 51 補助桁材 52 圧入装置 53 上側チャック手段 54 下側チャック手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田坂 晃宏 岡山県岡山市藤原西町2丁目7番34号 大和クレス株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−177103(JP,A) 特開 平3−36328(JP,A) 特開 昭53−2924(JP,A) 特開 平9−209377(JP,A) 特開 平4−368519(JP,A) 特開 昭60−112932(JP,A) 特開 平4−254618(JP,A) 特開 平11−131508(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 29/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正面壁1の背面に一枚または二枚の扶壁
    2を有するプレキャストブロック3を使用し、複数段に
    積み上げたプレキャストブロック3を上下方向のPC鋼
    材4またはボルト接合などより相互連結して立壁単位体
    5を構成し、左右に配列した複数個の立壁単位体5を左
    右方向のPC鋼材6,ボルト接合または横桁部材11な
    どにより相互連結して立壁7を構成し、立壁7の下方部
    分を根入れ部として地盤8に埋設し、立壁単位体5の最
    下段のプレキャストブロック3Aに杭9を連接した根入
    れ式擁壁。
  2. 【請求項2】 正面壁1の背面に一枚または二枚の扶壁
    2を有するプレキャストブロック3を使用し、複数段に
    積み上げたプレキャストブロック3を上下方向のPC鋼
    材4またはボルト接合などより相互連結して立壁単位体
    5を構成し、左右に配列した複数個の立壁単位体5を左
    右方向のPC鋼材6,ボルト接合または横桁部材11な
    どにより相互連結して立壁7を構成し、立壁7の下方部
    分を根入れ部として地盤8に埋設し、立壁単位体5の最
    下段のプレキャストブロック3Aに筒状基礎部材10を
    連接した根入れ式擁壁。
  3. 【請求項3】 立壁単位体5の最下段のプレキャストブ
    ロック3Aと筒状基礎部材10の間に、左右に隣接する
    2個または3個以上の立壁単位体5に渡る横桁部材11
    を連接した請求項2の記載の根入れ式擁壁。
  4. 【請求項4】 複数個のプレキャストブロックを上下左
    右に相互連結して立壁7を構成し、立壁7の下方部分を
    根入れ部として,グランドアンカーを用いた圧入工法に
    より地盤8に埋設した根入れ式擁壁。
  5. 【請求項5】 基礎部材10をグランドアンカーを用い
    た圧入工法により地盤8に埋設し、複数個のプレキャス
    トブロックを上下左右に相互連結して立壁7を構成し、
    立壁7の下方部分を根入れ部として、前記基礎部材10
    の上に埋設した根入れ式擁壁。
  6. 【請求項6】 最下段のプレキャストブロック3Aと前
    記基礎部材10の間に横桁部材11を連接した請求項5
    に記載の根入れ式擁壁。
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