JP3440169B2 - 人工島地盤およびその施工方法 - Google Patents

人工島地盤およびその施工方法

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JP3440169B2 JP26165695A JP26165695A JP3440169B2 JP 3440169 B2 JP3440169 B2 JP 3440169B2 JP 26165695 A JP26165695 A JP 26165695A JP 26165695 A JP26165695 A JP 26165695A JP 3440169 B2 JP3440169 B2 JP 3440169B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川、海などの水
域を陸地として利用するために河床、海床上または軟弱
地盤上に設置される人工島地盤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、河川、海などの水域を陸地と
して利用するための方法としては埋立によるものがほと
んどである。その一例を図17に基づき詳述すると、埋
立予定区域の周囲に二重矢板式の鋼製セル50を設置
し、埋立区域を周囲の海域から仕切った後、土砂を投入
することにより内部の埋立を行う。海底地盤は多くの場
合、沖積粘土地盤であるため、前記鋼製セル50の設置
地盤Aはたとえばサンドコンパクションパイル工法など
の方法により地盤の安定化が図られるとともに、埋立て
領域の海底地盤Bは軟弱地盤の早期安定と不同沈下を防
止するために、沖積粘性土層にサンドドレーンを打設し
て地盤改良を行った後、若しくは平行して地盤改良を行
いながら土砂が投入される。前記サンドドレーン工法併
用による埋立工事は、たとえばサンドドレーンの打設→
砂撒船によるサンドドレーン排水層の形成→底開バージ
による直投→揚土船による揚土→陸地形成の施工手順に
より行われる。
【0003】なお、前記鋼製セル50による護岸構造の
他、消波ケーソン護岸、石積護岸、自立鋼管矢板式護
岸、ジャケット式護岸などの各種護岸形式が適宜採用さ
れる。
【0004】これらの内、自立鋼管矢板式護岸、ジャケ
ット式護岸などの形式の場合には、護岸の安定のため、
護岸前面側の海底をも地盤改良する場合もある。いずれ
にしても、埋立方式による場合には、埋立領域のほぼ全
面およびその近接領域に亘り地盤改良を必要としてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記サ
ンドドレーン工法による地盤改良の場合には、底開バー
ジによる直投の途中工程で圧密促進のために数カ月の放
置期間を適宜のサイクルで必要とし、その結果埋立てに
要する施工期間が長くなるなどの問題がある。また、地
盤改良工事により水質汚濁の問題が発生するとともに、
地盤改良に要する費用が膨大であり、埋立工事費が嵩む
などの問題もある。
【0006】さらに、護岸や埋立土砂の安定のために、
護岸前面側海底地盤の地盤改良を必要とし、かつ地盤改
良船が航路内に侵入しての工事とならざるを得ない場合
などは、運行船舶との調整を必要とし、工事時間の制約
を受けるなど施工上の問題も生ずる。
【0007】他方、支持地盤が深い場合などの条件下
で、自立鋼管矢板式護岸、ジャケット式護岸などの護岸
形式を採用する場合には、支持杭を支持層まで延長しな
ければならず、工費的にも不経済なものとなる。また、
杭の突出長が長いことによる側方流動の問題や地震時の
土圧作用による変形なども問題となる。
【0008】そこで、本発明の主たる課題は、地盤改良
工事をほとんどまたは全く必要としないで水域に陸地を
形成すること、および施工期間の大幅な短縮を図れるこ
と、さらには不同沈下、側方流動や地震時土圧による変
形の問題が生じないなどの種々の利点を備えた人工島地
盤およびそのための施工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、軟弱地盤または支持層としては不適な地
盤を対象としてその上に設置される人工島地盤であっ
て、前記人工島地盤は、前記軟弱地盤または支持層とし
ては不適な地盤上に、半浮き体として設置される人工島
地盤本体たる中空の設置ケーソンと、この設置ケーソン
連結部材を介して付設されるとともに、支持層に達し
ない長さで前記軟弱地盤または支持層としては不適な地
盤中に挿入され、前記設置ケーソンの上面レベルおよび
傾斜調整が可能なアンカー材を備える土圧受壁体とから
なることを特徴とするものである。
【0010】この場合、前記土圧用受壁体としては、た
とえばケーソン、板状体、中空板状体、鋼管矢板を閉鎖
形状断面または二重に建込み頭部をコンクリート躯体で
一体化したもの、杭体、またはこの杭による連続体(中
列杭)など種々のものを挙げることができる。この中で
も圧入により所定の根入れ長さで設置した圧入ケーソン
は水平支持力を十分に確保できる点で最も優れている。
【0011】また、前記設置ケーソンとしては、半浮き
体とするために浮き上がり安全率を1.1〜1.5と
し、かつ設置ケーソンの設置地盤面における接地圧を、
注水量の調整により圧密降伏応力以下とするのが望まし
い。
【0012】したがって、本発明の場合には、人工島地
盤本体たる中空の設置ケーソンは、好ましくは浮き上が
り安全率を1.1〜1.5とし、圧密降伏応力以下の接
地圧状態で前記軟弱地盤または支持層としては不適な地
盤上に設置される。すなわち、前記設置ケーソンは、浮
力により自重が軽減された状態で前記地盤上に置かれ
る。かかる設置ケーソンは通常、構造規模は大きく、設
置当初に若干の沈下があったとしても、基本的に半浮き
体であることおよび接地圧の分散が効果的に行われるこ
とにより、すぐに安定して定位する。その後に上載分布
荷重や偏載荷重の後荷重が載荷されたとしても、自重に
よる荷重が支配的であることおよび接地圧の分散が効果
的に行われること等により設置ケーソンは沈下すること
なく安定を保つ。
【0013】しかし、一方で波浪や地震時慣性力による
設置ケーソンの側方移動が問題となる。そのため本発明
においては、支持層に達しない長さの前記土圧受壁体を
設置ケーソンに付帯させ、そして前記設置ケーソンに生
ずる横方向力のほとんどを前記土圧受壁体により抵抗さ
せる。この場合、設置ケーソンと土圧受壁体とを一体化
することによりラーメン式構造形式となり、効果的に横
荷重に抵抗できるようになる。
【0014】本発明に係る前記人工島地盤の場合には、
地盤改良工事を殆どまたは全く必要としない。したがっ
て、工費が比較的廉価で済むとともに、施工期間も同時
に短縮される。また、海上輸送により曳航して施工現場
に沈設する施工方法を採る場合には航路を占用すること
もなく、効率的に施工を進めることができる。さらに
は、杭打設等のよる騒音公害の問題の発生もないし、水
質汚濁などの環境問題の発生も心配がない。
【0015】他方、前記設置ケーソンの底面に対し一体
的に、実質的に連続した格子状の滑動防止用突起を形成
することもできる。これにより、側方移動に対して補助
的に抵抗することができる。
【0016】また、前記設置ケーソンの底面に対し一体
的に、錐状突起およびその先端から突出する軸部からな
る独楽状突部を整列配置で多数形成することもできる。
かかる独楽状突部を設けることにより、沈下抑制効果お
よび支持力増加効果を見込める。原理的には、前記錐状
突起と間詰め砕石との相乗効果により、応力分散効果が
現れ、それに加えて前記軸部の貫入効果により設置ケー
ソン直下の地盤の側方流動を防ぎ、沈下抑制効果が生ず
る。また、局部破壊を防ぐことで支持力増加効果も期待
できる。
【0017】かかる独楽状突部形成は公知の独楽型基礎
工法の応用であり、本発明人工島地盤に適用することに
より、相応の効果を見込むことができる。
【0018】さらに、水平方向移動抑制の補助のため
に、前記人工島地盤に対して、一端が支持地盤に対して
定着されたステーアンカーを設けることもできる。
【0019】他方、前記土圧受壁体の挿入設置に際し、
支持地盤に対して先端が定着された略鉛直方向のアンカ
ー材を設け、このアンカー材を反力材として油圧ジャッ
キにより前記土圧受壁体の圧入を行うのが望ましい。前
記土圧受壁体を圧入によって地盤中に挿入することによ
り、周面地盤を乱すことがないため、土圧面の抵抗を効
果的にきかせることができるようになる。また、地盤が
軟弱地盤系であることを考慮すれば、圧入による方法が
最も効率的である。この場合、ケーソンなどの筒状の土
圧受壁体の場合、内部の土砂については、掘削すること
なくそのまま残置することができる。
【0020】前記ケーソン圧入方法において、前記アン
カー材を土圧受壁体の内部を挿通する状態で設け、前記
アンカー材を反力材として油圧ジャッキにより土圧受壁
体の圧入を行い、その後、前記設置ケーソンと土圧受壁
体とを一体化した後、前記アンカー材を反力材として油
圧ジャッキにより設置ケーソン上面の傾斜調整を行うこ
ともできる。
【0021】さらに、前記中空の設置ケーソンを軟弱地
盤または支持層としては不適な地盤上に沈設させる際、
注水を過剰に行い圧密を先行させた後、沈下が安定した
段階で所定の接地圧となるように所定量の排水を行うこ
ともできる。地盤が正規圧密地盤であるような場合は、
かかるプレロード工法の採用により、人工島地盤設置後
の沈下を抑制することができる。また、放置期間は設置
ケーソン上を作業ヤードとして土圧受壁体の挿入を行う
ことができるため施工工程を阻害することもないし、ま
た設置ケーソン内への注水および排水作業のみで簡単に
行えるため作業も簡単で済む。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る人工島
地盤の概念図であり、図2はその横断面図、図3はその
平面図である。本発明に係る人工島地盤1は、支持層H
が深いため支持杭を設けることが不経済であるなどの場
合に、軟弱地盤若しくは支持層としては不適な河底/海
底地盤Sを設置対象としてその上に設置されるものであ
り、前記地盤S上に半浮き体として置かれる設置ケーソ
ン2と、この設置ケーソン2に付帯されるとともに、支
持層Hに到達しない所定の根入れ長さで前記地盤S中に
挿入設置される土圧受壁体たる圧入ケーソン3、3…と
から構成される。前記設置ケーソン2と圧入ケーソン
3、3…とはそれぞれ単独で設置され、最後にこれらは
連結部材等により一体化される。
【0023】先ず、前記設置ケーソン2は、コンクリー
ト製の中空函体であり、内部に縦および横方向の隔壁2
a,2bを有しセル状に区分されている。かかる設置ケ
ーソン2は、たとえば他地の製作ヤードで製作された
後、水面上に浮かべて施工現場まで曳航される。施工現
場においては、正確に位置決めした後、各セルまたは所
定のセルに対して注水を行い、海底面上に沈置させる。
なお、場合によっては設置ケーソン2の下側部分のみを
ヤードにて製作した後、曳航・沈設し、その後施工現場
において上側部分を現場打ちにより施工することもでき
る。
【0024】この場合、注水量は設置ケーソンの接地圧
や浮き上がり安全率等を考慮した上で決定される。仮
に、設置地盤が過圧密地盤であるような場合は、圧密降
伏応力以下の接地圧とすることにより、その後の沈下量
を抑制することができる。また、設置地盤が正規圧密地
盤であるような場合には、図12に示されるプレロード
工法の採用によりその後の沈下を抑制することができ
る。具体的には、図12(A) に示されるように、設置ケ
ーソン2を軟弱地盤または支持層としては不適な地盤S
上に沈設させる際、注水を過剰に行い圧密を先行させ
る。圧密期間は、前記設置ケーソン2上を作業ヤードと
して利用し、後述する圧入ケーソン3の挿入設置を行
う。その後、図12(C) に示されるように、圧密沈下が
安定した段階で所定の接地圧となるように所定量の排水
を行う。この場合、設置後の浮き上がり安全率(設置ケ
ーソンの平均単位重量/水または海水の単位重量)とし
ては、1.1〜1.5、好ましくは1.1〜1.3とし
て設置するのが望ましい。また、前記設置ケーソン2の
設置に当り、海底にヘドロなどが溜まっている場合など
には、これらのヘドロを除去した後、砂あるいは砕石な
どを敷き均し、その上に設置するのが望ましい。なお、
前記設置ケーソン2としては、前記した他ヤード製作→
曳航→沈設の施工法を採ることなく、施工現場において
周囲の締切りを行いドライとした状態で、コンクリート
打設により現場構築することもできるし、また鋼製ある
いはこれらの複合構造とすることもできる。さらに、1
つの設置ケーソン2が大規模であるような場合には、こ
の大設置ケーソン2を製作および曳航可能なブロックに
分割し、各ブロック毎に沈設した後、これらブロックを
相互に連結することで対応することができる。
【0025】一方、圧入ケーソン3は、一般的に基礎と
して用いられている断面方形の角筒状の函体である。図
1の例では前記設置ケーソン2の全周に亘り、連続する
ように隣接配置されている。本発明においては、前記圧
入ケーソン3は、支持地盤まで達しない根入れ長さで地
盤中に挿入設置される。この場合の根入れ長さは、前記
設置ケーソン2に発生する地震時慣性力を前記圧入ケー
ソン3の壁面に作用する地盤抵抗(受動土圧)でもって
支持させ得る長さとされ、最終的には安定計算により求
められる。また、人工島地盤の設置エリアが広い場合に
は、図4に示されるように、人工島地盤1の中間の適宜
の位置に圧入ケーソン3、3…を設けるようにする。い
ずれにしても、土圧受壁体たる圧入ケーソン3は、設置
ケーソン2が側方移動しないように、十分な配置パター
ンで設けられる。
【0026】前記圧入ケーソン3としては、もちろん通
常の施工手順に従い、順次ブロック単位でコンクリート
を現場打設していきながらケーソンを構築・沈設してい
くこともできるが、本発明の場合にはケーソンの根入れ
長さが短くて済むことおよび施工期間の短縮の観点から
は工場またはヤード製作のRCまたはPCケーソンが有
利である。前記PCケーソンは既製の筒状の鉄筋コンク
リートブロックを積み重ね、その都度ポストテンション
方式でストレスを導入し組成したものであり、少なくと
も2ブロックを長手方向に連続させる場合に採用され
る。前記ケーソン長さが運搬可能な長さである場合には
相互のプレストレス連結が不要であり、前記RCケーソ
ンで十分である。図示の例では、前記設置ケーソン2上
を製作ヤードとして活用し、ここでケーソンブロックを
製作した後、設置ケーソン2上に置かれた作業クレーン
により吊上げ、所定位置に据え付けを行う。
【0027】圧入ケーソン3の設置方法としては、好ま
しくは図5および図6に示される圧入方法によって施工
される。支持地盤Hに対して先端が定着された略鉛直方
向のアンカー材10、10…を設け、このアンカー材1
0、10…を反力材として油圧ジャッキ12、12…に
より前記圧入ケーソン3の挿入を行う。詳述すると、前
記設置ケーソン2上から削孔機を用いて削孔を行いなが
ら支持地盤Hに先端を定着させたアンカー材10を設け
る。前記アンカー材10は下側のPC鋼材部10Bと上
側の節付ロッド部10Aとからなり、打設箇所は傾斜制
御性の点より圧入ケーソン3の4隅近傍とする。
【0028】次いで、圧入ケーソン3を所定位置にセッ
ティングするとともに、この圧入ケーソン3の上面に梁
部材11を渡し、梁部材11の上側に前記アンカー材1
0を挿通した状態で油圧ジャッキ12を設置する。油圧
ジャッキ12は、上部に前記節付ロッド部10Aを把持
するグリップ部12aを備え、圧入ケーソン3の挿入に
際しては、前記節付ロッド部10Aをグリップした状態
で伸長させることにより、前記アンカー材10を反力材
として反作用的に圧入ケーソン3を地盤中に押し込む。
そして、前記4つの油圧ジャッキ12、12…の連係操
作により、圧入ケーソン3の傾斜や変位を制御しながら
ゆっくりと圧入する。
【0029】たとえば、前記圧入ケーソン3が2つのケ
ーソンブロックからなる場合には、第1ケーソンブロッ
クの圧入が完了したならば、圧入設備を一旦取外し、そ
の上に第2ケーソンブロックを積み重ね、この第2ケー
ソンブロックの上に圧入設備を盛り替えした後、同様の
手順により地盤中に挿入し、最後にポストテンション方
式でストレスを導入し一体化する。
【0030】前述の要領により、設置ケーソン2と圧入
ケーソン3、3…の設置が完了したならば、たとえば図
7に示される要領により、設置ケーソン2と圧入ケーソ
ン3とを連結ボルト13を用いて一体化する。設置ケー
ソン2と圧入ケーソン3との間には、圧入ケーソン3の
圧入作業の便宜等の理由から若干の隙間Lが空けられて
いる。この状態で両者間に渡したスリーブ14により周
囲との縁を切った状態で連結ボルト13を貫通させ、そ
れぞれ設置ケーソン2側および圧入ケーソン3側からナ
ット15、15を螺合した後、前記隙間L部分に水中コ
ンクリート4を打設する。その後、打設コンクリートの
硬化を待って、ナット15を締め付け両者を堅固に連結
する。締結が完了したならば、防錆キャップ16を被
せ、内部に防錆用グリースを充填し、連結作業を完了す
る。もちろん、他の連結方法を採用することもできる
が、かかる連結態様の場合には、個々の圧入ケーソン3
に生じている相対的位置ずれや傾斜等の設置誤差をすべ
て吸収しながら両者の完全な一体化が図られる。
【0031】ところで、本発明に係る人工島地盤はその
要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
図8および図9に示されるように、設置ケーソン2の下
面に一体的に、縦方向に連続した突起5A、5A…と横
方向に連続した突起5B、5B…とにより格子状の滑動
防止用突起5を形成することもできる。かかる滑動防止
用突起5を設けることにより、側壁に作用する土圧抵抗
により設置ケーソン2の側方移動を補助的に防止するこ
とができるとともに、設置ケーソン2直下の地盤の側方
流動を防ぎ、沈下抑制効果も期待できる。
【0032】また、図10に示されるように、設置ケー
ソン2の底面に一体的に、錐状突起6aおよびその先端
から突出する軸部6bからなる独楽状突部6を整列配置
で多数形成することもできる。かかる独楽状突部6によ
り、前述したように、前記錐状突起6aと間詰め砕石7
との噛み合い相乗効果により応力分散が図られ、かつこ
れに加えて前記軸部6bが地盤中に貫入されることによ
り地盤と前記軸部6bとの間に摩擦抵抗が働き、設置ケ
ーソン直下地盤の側方変形を防いで沈下抑制効果を生ず
る。
【0033】一方、前記圧入ケーソン3は、好ましくは
連続するように隣接配置されるが、必ずしも連続して配
置される必要はない。たとえば、図11に示されるよう
に、土圧受壁体たる圧入ケーソン3を適宜の間隔で圧入
した後、圧入ケーソン3、3間に跨がる板状受壁体8を
前記圧入ケーソン3の外面に縦方向に連続形成された凹
溝3aをガイドとして地盤中に圧入することもできる。
このように、離間をおいて挿入設置された圧入ケーソン
3、3…とこれら圧入ケーソン3、3の間を埋める板状
受壁体8とにより土圧受壁体を構成することもできる。
さらには、前記圧入ケーソン3に代えて、設置ケーソン
2の一体的に連結された板状の土圧受壁体のみとするこ
ともできる。土圧受壁体の構造としては、好ましくは前
記ケーソン構造が最適であるが、土圧抵抗に十分に抗す
ることができるものであれば構造形式は問わない。
【0034】一方、設置ケーソン2の移動阻止のための
補助工法として、図13に示されるように、設置ケーソ
ン2上から斜方向に向けて、支持地盤Hに定着させたス
テーアンカー17、17を設けることもできる。
【0035】さらに、図14に示されるように、アンカ
ー材10、10…を圧入ケーソン3の内側に設けた状態
で圧入ケーソン3の挿入を行い、その後、前記設置ケー
ソン2と圧入ケーソン3とを一体化した後、前記アンカ
ー材10を反力材として油圧ジャッキ12により設置ケ
ーソン2上面のレベルおよび傾斜調整を行うこともでき
る。前記設置ケーソン2の上面側処理としては、将来に
亘りセル内への水の侵入を阻止するために、図16に示
されるように、ゴムまたは樹脂系の材料による防水被膜
処理20を施した後、その上面側にアスファルト舗装な
どの舗装工を施工するのが望ましい。
【0036】他方、設置ケーソン2上にビル22などの
構造物を建てるに当り、ビル等の構造物が小規模の場合
には設置ケーソン2上に直接載せることができるが、大
規模なビル等の場合は、図15に示されるように、設置
ケーソン2を鉛直方向に貫きかつ支持層Hに達する支持
杭23、23…を設け、この支持杭23、23…上に構
造物を構築することで対処できる。この場合、前記設置
ケーソン2における支持杭23の貫通部は、支持杭23
が若干横方向に移動できるように、ゴムなどの可撓性材
料を用いたシール構造とするのが望ましい。
【0037】ところで、本発明に係る人工島地盤の用途
としては、水域を陸地に変えて、運動場や公園あるいは
各種の公共施設などとして有効利用できることはもちろ
ん、規模を大きくした場合には飛行機の滑走路などとし
て利用することもできる。
【0038】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、地
盤改良工事を殆どまたは全く必要としないで水域に陸地
を形成することができるようになる。また、施工期間の
大幅な短縮を図れる。さらには、不同沈下、側方流動や
地震時土圧による変形の問題が生じないなど種々の利点
を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る人工島地盤の概念図である。
【図2】その横断面図である。
【図3】その平面図である。
【図4】大規模人工島地盤の場合の横断面である。
【図5】圧入ケーソンの施工要領図である。
【図6】圧入設備の概念図である。
【図7】設置ケーソンと圧入ケーソンとの連結部拡大図
である。
【図8】設置ケーソンの変形例図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視図である。
【図10】設置ケーソンの変形例図である。
【図11】圧入ケーソンの設置態様変形例図である。
【図12】プレロード工法の施工手順図である。
【図13】ステーアンカーの設置状態図である。
【図14】設置ケーソンの上面傾斜調整要領図である。
【図15】設置ケーソン上に構造物を建てた場合の構造
図である。
【図16】舗装工の説明図である。
【図17】従来の埋立要領説明図である。
【符号の説明】 1…人工島地盤、2…設置ケーソン、3…圧入ケーソ
ン、4…水中コンクリート、5…滑動防止用突起、6…
独楽状突部、7…砕石、8…板状受壁体、10…アンカ
ー材、10A…節付ロッド部、10B…PC鋼材部、1
1…梁部材、12…油圧ジャッキ、13…連結ボルト、
14…スリーブ、15…ナット、16…防錆キャップ、
17…ステーアンカー、20…防水被膜処理、S…軟弱
地盤、H…支持地盤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−216903(JP,A) 特開 平6−158668(JP,A) 特開 平6−123119(JP,A) 特開 平2−91323(JP,A) 特開 平5−118043(JP,A) 実開 平5−47033(JP,U) 実開 平3−12937(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 27/06

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟弱地盤または支持層としては不適な地盤
    を対象としてその上に設置される人工島地盤であって、
    前記人工島地盤は、前記軟弱地盤または支持層としては
    不適な地盤上に、半浮き体として設置される人工島地盤
    本体たる中空の設置ケーソンと、 この設置ケーソンに連結部材を介して付設されるととも
    に、支持層に達しない長さで前記軟弱地盤または支持層
    としては不適な地盤中に挿入され、前記設置ケーソンの
    上面レベルおよび傾斜調整が可能なアンカー材を備える
    土圧受壁体とからなることを特徴とする人工島地盤。
  2. 【請求項2】前記土圧用受壁体が所定の根入れ長さで沈
    設したケーソンである請求項1記載の人工島地盤。
  3. 【請求項3】前記設置ケーソンの浮き上がり安全率が
    1.1〜1.5である請求項1、2いずれかに記載の人
    工島地盤。
  4. 【請求項4】前記設置ケーソンの設置地盤面における接
    地圧を、注水量の調整により圧密降伏応力以下とする請
    求項1〜3いずれかに記載の人工島地盤。
  5. 【請求項5】前記設置ケーソンの底面に対し一体的に、
    実質的に連続した格子状の滑動防止用突起を形成した請
    求項1〜4いずれかに記載の人工島地盤。
  6. 【請求項6】前記設置ケーソンの底面に対し一体的に、
    錐状突起およびその先端から突出する軸からなる独楽状
    突部を整列配置で多数形成した請求項1〜4いずれかに
    記載の人工島地盤。
  7. 【請求項7】前記人工島地盤に対して、一端が支持地盤
    に対して定着されたステーアンカーを設けた請求項1〜
    いずれかに記載の人工島地盤。
  8. 【請求項8】請求項1〜7いずれかに記載の人工島地盤
    を施工するための施工法であって、前記土圧受壁体の挿
    入設置に際し、支持地盤に対して先端が定着された略鉛
    直方向のアンカー材を設け、このアンカー材を反力材と
    して油圧ジャッキにより前記土圧受壁体の圧入を行う
    とを特徴とする人工島地盤の施工方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜7いずれかに記載の人工島地盤
    を施工するための施工法であって、前記アンカー材を前
    記土圧受壁体の内部を挿通する状態で設け、前記アンカ
    ー材を反力材として油圧ジャッキにより土圧受壁体の圧
    入を行い、その後、前記設置ケーソンと土圧受壁体とを
    一体化した後、前記アンカー材を反力材として油圧ジャ
    ッキにより設置ケーソン上面の傾斜調整を行うことを特
    徴とする人工島地盤の施工方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜7記載の人工島地盤を施工す
    るための施工法であって、前記中空の設置ケーソンを軟
    弱地盤または支持層としては不適な地盤上に沈設させる
    際、注水を過剰に行い圧密を先行させた後、沈下が安定
    した段階で所定の接地圧となるように所定量の排水を行
    ことを特徴とする人工島地盤の施工方法。
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