JP2001123191A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2001123191A
JP2001123191A JP30553899A JP30553899A JP2001123191A JP 2001123191 A JP2001123191 A JP 2001123191A JP 30553899 A JP30553899 A JP 30553899A JP 30553899 A JP30553899 A JP 30553899A JP 2001123191 A JP2001123191 A JP 2001123191A
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JP
Japan
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acid
lubricating oil
unsaturated bond
cis
trans
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JP30553899A
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English (en)
Inventor
Akinari Ohira
晃也 大平
Masaki Egami
正樹 江上
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来と同等以上の低発塵性、低トルク性、長
寿命を示しながら、音響劣化を低く抑えた情報機器用の
転がり軸受を提供する。 【解決手段】 分子構造中に不飽和結合を有する潤滑油
を潤滑剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高速で使用する
転がり軸受に関し、特に、低騒音(低振動)が要求され
る箇所に使用される軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、情報機器に使用される転がり軸受
の潤滑に、潤滑油やグリースが使用されたり、潤滑油と
グリース等の半固体潤滑油が併用されたりする。情報機
器の小型化、高性能化に伴い、回転軸用軸受に要求され
る音響レベルが年々厳しくなっていきている。
【0003】例えば、特開平8−283767号公報に
記載された軸受は、40℃での動粘度が10mm2 /s
以上のエステル油を必須成分とした潤滑剤組成物を使用
することにより、高温・高速回転下において優れた音響
特性を示す。
【0004】図1に示した一般的なハードディスク装置
(以下、「HDD」と略する。)の回転軸の支持構造
は、ハブ1を介して磁気ディスク2を回転自在に支持す
る回転軸3と、先端に磁気ヘッド(図示せず)を取り付
けたアーム4の回転軸5とを有する構造である。これら
の回転軸3、5は、軸方向に間隔を開けて配置された2
個1組の玉軸受6、7で支持されている。
【0005】そして、磁気ディスク2の回転軸3を支持
する一組の玉軸受6の内輪8は、回転軸3と一体に回転
するように取り付け、外輪9をスピンドルモータ10の
筒形固定子11の内周に嵌めて固定し、深皿回転子12
の中心に回転軸3を固定して回転軸3をスピンドルモー
タ10で回転させる。
【0006】このような回転軸支持構造によって回転自
在に支持された磁気ディスク2は、スピンドルモータ1
0の回転速度に応じて高速回転するが、その際に磁気記
録データを読み書きする磁気ヘッドを取り付けたアーム
(通称「スイングアーム」という。)も適宜に動作す
る。
【0007】アーム4の末端は、回転軸5の上部で支持
され、この回転軸5をコイル等からなるアクチュエータ
(図示せず)で軸回りに回転させ、アーム4の先端を所
要角度だけ旋回させて磁気ヘッドを所要位置に移動させ
る。このように回転軸5の回転動作により、磁気ディス
ク2の記録有効域における所要の磁気記録データの読み
書きが可能となる。
【0008】従来のハードディスク装置の回転軸を支持
する転がり軸受は、高精度の小型玉軸受(ミニチュア玉
軸受:JIS B 0104「軸受外径9mm未満の玉
軸受」)が使用されており、少なくとも寸法精度や回転
精度は、JIS5級以上のものが使用される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報には、高温・高速回転下においても音響特性を良好に
保ったまま、低発塵化、低トルク化、長寿命化等が可能
と表記されているが、高速回転下における音響劣化を十
分に考慮していないため、潤滑油の選定が十分でない。
【0010】通常、軸受を高速回転下で一定時間回転さ
せると、良好な油膜の形成が難しくなるため、初期の音
響レベルより一定時間運転後の音響レベルは悪化する。
このため、潤滑油の種類を限定しないと、高速回転下で
一定時間運転することにより、音響レベルがかなり劣化
する可能性がある。
【0011】そこで、この発明は、従来と同等以上の低
発塵性、低トルク性、長寿命を示しながら、音響劣化を
低く抑えた情報機器用の転がり軸受を提供することを課
題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、分子構造中
に不飽和結合を有する潤滑油や、分子構造中に不飽和結
合を有する潤滑油を基油としたグリースを潤滑剤として
用いることにより、上記課題を解決したのである。
【0013】上記の潤滑油を用いることにより、音響劣
化を低く抑えることができる。すなわち、潤滑条件が厳
しくなると、転動体と内輪・外輪との接触部で金属接触
が発生し、摩耗が促進される可能性がある。通常、金属
の表面は酸化被膜で覆われているが、金属接触により極
めて活性な新生面が出現する。この新生面に対しては、
分子構造中に不飽和結合を有する油が不飽和結合を持た
ない油より吸着しやすい。したがって、潤滑状態が悪化
して仮に新生面が出現した場合、分子構造中に不飽和結
合を有する油は、即座に新生面に吸着して潤滑膜を再生
することが可能であり、金属接触による摩耗の促進を低
く抑えることが可能となる。つまり、分子構造中に不飽
和結合を有する油を転がり軸受に使用することにより、
潤滑条件の厳しい高速回転下での音響劣化を低く抑える
ことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0015】この発明にかかる転がり軸受は、分子構造
中に不飽和結合を有する潤滑油を潤滑剤として用いたも
のである。
【0016】例えば、エステル油、ポリフェニルエーテ
ル油、オレフイン系炭化水素油、芳香族系炭化水素油、
ナフテン系鉱油、芳香族系鉱油等が挙げられる。
【0017】エステル油としては、脂肪族系塩基酸と直
鎖又は分岐アルコールの反応から得られる脂肪族系ポリ
エステルや、芳香族系塩基酸と直鎖又は分岐アルコール
の反応から得られる芳香族系ポリエステル等があげられ
るが、特に限定されるものではない。上記脂肪族系ポリ
エステルとしては、二塩基酸と分岐アルコールの反応か
ら得られるジエステル油、多価アルコールと一塩基酸の
反応から得られるポリオールエステル油が挙げられる。
【0018】上記芳香族系塩基酸としては、テレフタル
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等がある。主な芳
香族ポリエステルとしては、テレフタルメリテート、ト
リオクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルト
リメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどが挙
げられる。
【0019】上記ポリオールエステル油としては、以下
に示す多価アルコールと一塩基酸を反応させて得られる
ものが挙げられる。
【0020】多価アルコールに反応させる一塩基酸は単
独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いても良い。
さらに、多価アルコールと二塩基酸、及び一塩基酸の混
合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエス
テルとして用いても良い。
【0021】上記一塩基酸は、不飽和結合を有する化合
物であり、二塩基酸は、不飽和結合を有する化合物であ
っても飽和結合のみからなる化合物であってもよい。上
記一塩基酸の例としては、後述する直鎖モノエン酸、分
岐モノエン酸、ジ、トリ、テトラエン酸に示されるもの
と同様の化合物があげられる。また、上記二塩基酸のう
ち不飽和結合を有する二塩基酸としては、テレフタル酸
があげられる。さらに、上記二塩基酸のうち飽和結合を
有する二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸等があげられる。
【0022】上記の多価アルコールとしては、トリメチ
ロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(P
E)、ジペンタエリスリトール(DPE)、ネオペンチ
ルグリコール(NPG)、2−メチルー2一プロピルー
1,3−プロパンジオール(MPPD)などが挙げられ
る。
【0023】上記脂肪族系塩基酸は、不飽和結合を有す
ることが必要であり、以下のものが例としてあげられ
る。
【0024】直鎖モノエン酸としては、2−ヘキセン
酸、3−ヘキセン酸、4−ヘキセン酸、5−ヘキセン
酸、2−ヘプテン酸、3−ヘプテン酸、5−ヘプテン
酸、6−ヘプテン酸、cis−2−オクテン酸、tra
ns−2−オクテン酸、3−オクテン酸、cis−2−
ノネン酸、trans−2−ノネン酸、3−ノネン酸、
2−デセン酸、4−デセン酸、9−デセン酸、9−ウン
デセン酸、10−ウンデセン酸、2−ドデセン酸、3−
ドデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、11−
ドデセン酸、2−トリデセン酸、cis−9−トリデセ
ン酸、12−トリデセン酸、4−テトラデセン酸、5−
テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、6−ペンタデセ
ン酸、cis−9−ペンタデセン酸、14−ペンタデセ
ン酸、2−ヘキサデセン酸、trans−3−ヘキサデ
セン酸、cis−7−ヘキサデセン酸、cis−9−ヘ
キサデセン酸、trans−9−ヘキサデセン酸、2−
ヘプタデセン酸、cis−7−ヘプタデセン酸、cis
−8−ヘプタデセン酸、cis−9−ヘプタデセン酸、
trans−2−オクタデセン酸、cis−2−オクタ
デセン酸、trans−3−オクタデセン酸、cis−
3−オクタデセン酸、trans−4−リオクタデセン
酸、cis−6−オクタデセン酸、trans−6−オ
クタデセン酸、cis−7−オクタデセン酸、tran
s−7−オクタデセン酸、cis−8−オクタデセン
酸、trans−8−オクタデセン酸、cis−9−オ
クタデセン酸、trans−9−オクタデセン酸、ci
s−11−オクタデセン酸、trans−11−オクタ
デセン酸、cis−9−ノナデセン酸、cis−11−
エイコセン酸、trans−11−エイコセン酸、ci
s−13−ドコセン酸、trans−13−ドコセン
酸、cis−15−テトラコセン酸、trans−15
−テトラコセン酸、cis−17−ヘキサコセン酸等が
あげられる。
【0025】分岐モノエン酸としては、trans−2
−メチルー2−ペンテン酸、trans−4−メチル−
3−ペンテン酸、2−メチレン−ヘキセン酸、cis−
2−メチル−ヘキセン酸、3,4−ジメチル−3−ペン
テン酸、trans−2−メチルー2−ヘプテン酸、3
−メチル−2−ノネン酸、3−メチルー3−ノネン酸、
5−メチルー2−ウンデセン酸、2,4−ジメチル−2
−デセン酸、5,9−ジメチル−2−デセン酸、2−メ
チル−2−ドデセン酸、(−)−5−メチル−2−トリ
デセン酸、L(+)−2,4−ジメチル−2−ドデセン
酸、L(+)−2,5−ジメチル−2−ドリデセン酸、
2−メチル−9−オクタデセン酸、2,5−ジメチル−
2−ヘプタデセン酸、2−エチル−9−オクタデセン
酸、2−メチルー2−エイコセン酸、2,2−ジメチル
−11−エイコセン酸、trans−2,4−ジメチル
−2−ヘンエイコセン酸、trans−2,5−ジメチ
ルー2−ヘンエイコセン酸、2−メチル−2−ヘキサコ
セン酸、2,4−ジメチル−2−ペンタコセン酸等があ
げられる。
【0026】ジ−、トリ−及びテトラエン酸としては、
2,4−ヘキサジエン酸、trans−8,trans
−10−オクタデカジエン酸、cis−9,cis−1
2−オクタデカジエン酸、trans−9,trans
−12−オクタデカジエン酸、cis−9,trans
−11−オクタデカジエン酸、trans−10,ci
s−12−オクタデカジエン酸、cis−9,cis−
11−オクタデカジエン酸、cis−10,cis−1
2−オクタデカジエン酸、trans−10,tran
s−12−オクタデカジエン酸、trans−9,tr
ans−11−オクタデカジエン酸、trans−8,
trans−10−オクタデカジエン酸、cis−9,
trans−11,trans−13−オクタデカトリ
エン酸、trans−9,trans−11,tran
s−13−オクタデカトリエン酸、cis−9,cis
−11,trans−13−オクタデカトリエン酸、c
is−9,cis−12,cis−15−オクタデカト
リエン酸、trans−10,trans−12,tr
ans−14−オクタデカトリエン酸、9,11,1
3,15−オクタデカテトラエン酸、2,2−ジメチル
−cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、
5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、12,2
0−ヘンエイコサジエン酸、9,13−ドコサジエン
酸、4,8,12,15,19−ドコサペンタエン酸、
2,2−ジメチルーcis−11,cis−14−エイ
コサジエン酸、9,15−テトラコサジエン酸等があげ
られる。
【0027】上述したような分子構造中に不飽和結合を
有する潤滑油を内・外輪のレース面、転動体に滴下して
もよく、また潤滑油を適当な濃度で溶媒に希釈した液に
浸漬し、軸受表面に一様な被膜を形成させるオイルプレ
ーティングを行ってもよい。
【0028】この発明に使用する潤滑油の40℃の動粘度
は、実用性を考慮して5〜300mm2 /s が適してお
り、好ましくは10〜150mm2 /s の範囲である。
【0029】なお、エステル系潤滑油には、防錆剤や酸
化防止剤または油性向上剤など、周知の添加剤を配合し
てもよい。
【0030】潤滑油に添加して用いることのできる上記
防錆剤としては、有機系スルホン酸金属塩であるバリウ
ムスルホネート、カルシウムスルホネートなどがあり、
酸化防止剤としては、含窒素化合物系酸化防止剤とフェ
ノール系酸化防止剤のそれぞれ単独または両者混合した
ものが挙げられる。また、窒素化合物系の酸化防止剤と
しては、フェニル−α−ナフチルアミン、ジフェニルア
ミン、フェニレンジアミン、オレイルアミドアミン、フ
ェノチアジンなどが挙げられる。
【0031】また、フェノール系酸化防止剤としては、
p−t e r t −ブチルフェニサルレート、2,6−ジー
tert−ブチル−p−フェニルフェノール、2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフ
ェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6
−tert−オクチルフェノール)、4,4’ーブチレ
ンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、テ
トラキス〔メチレン−3−3(3′,5’−ジ−ter
t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−β−(4′−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル)フェ
ノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4’−チオビス
−〔6−tert−ブチル−m−クレゾール〕、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5′−
メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなど
のヒンダードフェノールが挙げられる。
【0032】油性向上剤としては、高級脂肪酸としてオ
レイン酸、ステアリン酸など、高級アルコールとして、
ラウリルアルコール、オレイルアルコールなど、アミン
では、ステアリルアミン、セチルアミンなど、リン酸エ
ステルではリン酸トリクレジルなどが挙げられる。
【0033】さらに、上記組成物以外でもその効果を損
なわない範囲で、極圧剤や粘度指数向上剤、摩耗防止剤
等を配合してもよい。
【0034】なお、この発明で記述する不飽和結合と
は、分子構造中の炭素−炭素間の二重結合、三重結合を
意味する。
【0035】次に、上記潤滑油のみでは耐久性が不充分
の場合は、回転トルク値が許容範囲に納まる程度で、分
子構造中に不飽和結合を有する潤滑油を基油としたグリ
ースを封入した転がり軸受を使用することができる。上
記グリースの基油としては、上記の分子構造中に不飽和
結合を有する潤滑油と同様のものを使用することができ
る。
【0036】また、グリースの増ちょう剤としては、石
けん系として、カルシウム系石けん、ナトリウム系石け
ん、リチウム系石けん、バリウム系石けん、アルミニウ
ム系石けん、亜鉛系石けん等や、カルシウム系コンプレ
ックス石けん、ナトリウム系コンプレックス石けん、リ
チウム系コンプレックス石けん、バリウム系コンプレッ
クス石けん、アルミニウム系コンプレックス石けん、亜
鉛系コンプレックス石けん等のコンプレックス石けん系
があげられる。また、非石けん系として、ナトリウムテ
レフタメート、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テ
トラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタ
ン化合物、ジウレタン化合物、シリカエアロゲル、モン
モリロナイト、ベントン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、フルオリネートエチレンプロピレンコポリマー、窒
化ホウ素等があげられる。
【0037】これらの中で音響劣化を低く抑えた情報機
器用の転がり軸受に使用する場合、好ましいのは、ナト
リウム系石けん、リチウム系石けん、ポリウレア化合
物、ウレア・ウレタン化合物等である。
【0038】本発明の形態潤滑剤が潤滑油、グリースい
ずれの場合においても、油潤滑のすべてに不飽和結合を
有する潤滑油を用いても良いし、不飽和結合を有する潤
滑油と、不飽和結合を有さない潤滑油を混合して用いて
も良い。
【0039】ところで、この発明における転がり軸受
は、内・外輪の間に保持器を介して複数個の転動体を保
持している周知の構造のものである。具体例としては、
転がり軸受の転動体をボールとした玉軸受をあげること
ができる。特に、上記の分子中に不飽和結合を持たない
潤滑油膜を摩擦面に形成させると、軸受の音響劣化がか
なり抑えられるので、従来では、音響劣化を抑えにくか
った内輪内径φ8mm以下の玉軸受に使用することがで
きる。使用できる玉軸受は、製造可能なものであれは特
に限定されず、現状で生産可能な玉軸受の内輪内径の下
限値は1mmである。
【0040】このような軸受に組み込む保持器の材質
は、鉄板、ガラス繊維やウイスカーを配合したポリアミ
ド樹脂、潤滑油を配合した含油樹脂などの周知の材料で
あれば限定されないが、騒音や異常音を発生しないよう
に音響特性を考慮すれば、樹脂製保持器を採用すること
が好ましい。なお、このような軸受にはシール(密封)
装置を付設してもよいのは勿論である。
【0041】この発明にかかる転がり軸受は、ハードデ
ィスクドライブ(HDD)、ビデオテープレコーダ(V
TR)、デジタルオーディオテープレコーダ(DA
T)、レーザービームプリンタ(LBP)等の情報機器
回転軸用の転がり軸受として使用することができる。ま
た、CD−ROM、DVD等のコンパクトディスクやH
DD、高容量フロッピー(登録商標)ディスクドライブ
等のディスク記憶装置のディスク回転軸を支持する部分
や、スピンドルモータに使用することができる。
【0042】
【実施例】〔実施例1〕分子中に不飽和結合を有するエ
ステル系潤滑油としてトリメチロールプロパンとcis
−9−オクタデセン酸のエステル反応物(40℃での動
粘度:48.3mm2 /s)を2mg、転走面に滴下
し、グリース(増ちょう剤:1,2ヒドロキシステアリ
ン酸リチウム12wt%、基油:ペンタエリスリトール
とオクタン酸のエステル反応物88wt%、ちょう度:
220)を8.5mg封入したミニアチェア玉軸受(軸
受寸法:φ5×φ13×3(mm)、内輪・外輪・転動
体は軸受鋼、保持器はガラス繊維で強化したポリアミド
66樹脂)を8個準備した。
【0043】この軸受をそれぞれアキシャル方向に1.
6kgfの予圧をかけてスピンドルに組み込んだ。この
スピンドルを70℃の恒温槽に入れ、外輪回転数が54
00rpmとなるように回転させ、135時間の耐久試
験を実施した。
【0044】試験後の軸受を取り出し、軸受に0.8k
gfのアキシャル荷重をかけ、1800rpmで30秒
間運転し、振動値Gを測定した。耐久試験後の軸受振動
値と、あらかじめ耐久試験前に測定した単体の軸受振動
値との比(試験後の振動値/試験前の振動値)を表1に
示した。なお、表1の値は、8個の軸受の平均値であ
る。
【0045】〔実施例2〕実施例1において分子中に不
飽和結合を有するエステル系潤滑油としてペンタエリス
リトールとcis−9−オクタデセン酸のエステル反応
物(40℃での動粘度64.2mm2 /s)を使用した
こと例外は全く同様にして転がり軸受を製造し、同じ条
件で耐久試験を行い、試験前後の振動値を測定して、そ
の比を表1に示した。
【0046】〔実施例3〕実施例1において分子中に不
飽和結合を有するエステル系潤滑油としてトリメリット
酸−2−エチルヘキシル(40℃での動粘度80mm2
/s)を使用したこと以外は全く同様にして転がり軸受
を製造し、同じ条件で耐久試験を行い、試験前後の振動
値を測定して、その比を表1に示した。
【0047】〔実施例4〕実施例1においてミニアチェ
ア玉軸受に対して、エステル系潤滑油に代えてグリース
のみ(増ちょう剤:12ヒドロキシステアリン酸リチウ
ム12wt%、基油:ペンタエリスリトールとcis−
9−オクタデセン酸のエステル反応物88wt%、ちょ
う度:220)を9.5mg封入して転がり軸受を製造
し、同じ条件で耐久試験を行い、試験前後の振動値を測
定して、その比を表1に示した。
【0048】〔比較例1〕実施例1において分子中に不
飽和結合を有しないエステル系潤滑油としてペンタエリ
スリトールとオクタン酸のエステル反応物(40℃での
動粘度33.5mm2 /s)を使用したこと以外は全く
同様にして転がり軸受を製造し、同じ条件で耐久試験を
行い、試験前後の振動値を測定して、その比を表1に示
した。
【0049】〔比較例2〕実施例1において潤滑油にエ
ステル油ではなく分子中に不飽和結合を有しないポリ−
α−オレフイン油の新日鉄化学社製シンフルード601
(40℃での動粘度30.5mm2 /s)を使用したこ
と以外は全く同様にして転がり軸受を製造し、同じ条件
で耐久試験を行い、試験前後の振動値を測定して、その
比を表1に示した。
【0050】〔比較例3〕実施例1において潤滑油にエ
ステル油ではなく分子中に不飽和結合を有しないポリー
α−オレフイン油の新日鉄化学社製シンフルード801
(40℃での動粘度46.Omm2 /s)を使用したこ
と以外は全く同様にして転がり軸受を製造し、同じ条件
で耐久試験を行い、試験前後の振動値を測定して、その
比を表1に示した。
【0051】〔比較例4〕実施例1においてミニアチェ
ア玉軸受に対して、エステル系潤滑油に代えてグリース
のみ(増ちょう剤:12ヒドロキシステアリン酸リチウ
ム12wt%、基油:ペンタエリスリトールとオクタン
酸のエステル反応物88wt%、ちょう度:220)を
9.5mg封入して転がり軸受を製造し、同じ条件で耐
久試験を行い、試験前後の振動値を測定して、その比を
表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】結果 表1の結果から、比較例1の分子中に不飽和結合を有し
ないエステル系潤滑油としてペンタエリスリトールとオ
クタン酸のエステル反応物を使用した場合、初期の振動
値を1とすれば、所定の条件下で耐久試験を行うこと
で、振動値は初期の約2.3倍となった。また、比較例
2、3に示すように、潤滑油として分子中に不飽和結合
を有しないポリーα−オレフイン油を使用した場合、振
動値は初期の約2倍となった。また、不飽和結合を有し
ないエステル系潤滑油を基油に用いたグリースを使用し
た比較例4の場合、振動値は初期の約2.3倍となっ
た。
【0054】これらに対して、実施例1〜4の分子中に
不飽和結合を有するエステル系潤滑油を使用した場合、
初期の振動値を1とすれば、所定の条件下で耐久試験を
行うことで、振動値は初期の約1.6倍以下となった。
【0055】従って、分子中に不飽和結合を有する油を
転がり軸受の潤滑油として使用することで、軸受の音響
劣化を小さく抑えることができる。
【0056】
【発明の効果】本願の発明は、分子中に不飽和結合を有
する油を転がり軸受の潤滑油として使用するので、軸受
の音響劣化をかなり抑えることができる。
【0057】また、本願の発明にかかる転がり軸受は、
所定の粘度範囲のエステル系潤滑油を採用したCD−R
OM 、DVD などのコンパクトディスクやハードデ
ィスクドライブ(HDD)、高容量フロッピーディスク
ドライブなどのディスク記憶装置におけるスピンドルモ
ータ等に使用される転がり軸受を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハードディスク装置の回転軸支持構造の例を示
す断面図
【符号の説明】
1 ハブ 2 磁気ディスク 3 回転軸 4 アーム 5 回転軸 6 玉軸受 7 玉軸受 8 内輪 9 外輪 10 スピンドルモータ 11 筒形固定子 12 深皿形回転子 13 転動体 14 転動体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:02 C10N 40:02 50:10 50:10 Fターム(参考) 3J101 AA02 CA40 EA63 EA67 FA01 FA31 GA53 4H104 AA22B AA24B AA26B BB17B BB33A BB34A BE13B CD02B CE14B FA01 FA02 FA03 LA20 PA01 PA04 QA18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子構造中に不飽和結合を有する潤滑油
    を潤滑剤として用いた転がり軸受。
  2. 【請求項2】 分子構造中に不飽和結合を有する潤滑油
    を基油としたグリースを封入した転がり軸受。
  3. 【請求項3】 潤滑剤として潤滑油及びグリースを用
    い、上記潤滑油及びグリースの基油の少なくとも一方の
    分子構造中に不飽和結合を有する転がり軸受。
  4. 【請求項4】 分子構造中に不飽和結合を有する潤滑油
    が脂肪族系ポリエステル又は芳香族系ポリエステルであ
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の転が
    り軸受の転動体をボールとした玉軸受。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の転が
    り軸受、又は請求項5に記載の玉軸受を情報機器回転軸
    に用いる情報機器回転軸用軸受。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至4のいずれかに記載の転が
    り軸受、又は請求項5に記載の玉軸受を情報機器のディ
    スク記憶装置のディスク回転軸を支持する部分に使用す
    るディスク回転軸支持用軸受。
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JP7401717B2 (ja) 2021-10-25 2023-12-19 ミネベアミツミ株式会社 グリース組成物、ピボットアッシー軸受および該軸受を備えた軸受装置

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