JP2001123073A - 高分子電解質ゲル組成物およびその製造法 - Google Patents

高分子電解質ゲル組成物およびその製造法

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JP2001123073A JP30739399A JP30739399A JP2001123073A JP 2001123073 A JP2001123073 A JP 2001123073A JP 30739399 A JP30739399 A JP 30739399A JP 30739399 A JP30739399 A JP 30739399A JP 2001123073 A JP2001123073 A JP 2001123073A
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Kunio Maruyama
國男 丸山
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気化学デバイス用材料として有用なイオン
伝導性高分子電解質ゲル組成物を提供する。 【解決手段】 重合性を有し、且つ、酸と塩を形成して
いない遊離状態にあるアミノ基や第4級アンモニウム塩
基を有するアミン成分化合物を導入したカチオン性高分
子が、電解質を溶解した非水系溶剤を含有してなる新規
な高分子電解質ゲル組成物及びその製造法。 【効果】 高いイオン伝導性と高い分極電流値を与え、
且つ、耐熱性と柔軟性に優れた高分子電解質ゲル組成物
が、工業的に効率良く生産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子電解質ゲル
組成物およびその製造法に関するものでり、更に詳しく
は、60℃以上の耐熱性と高いイオン伝導性を有する高
分子電解質ゲル組成物およびその製造法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】支持電解質を含有する有機溶媒を主体と
する電解液を用いるリチウム2次イオン電池、コンデン
サ、キャパシタ等においては、液漏れや短絡事故による
火災防止のために、電解液を封入したり、衝撃による事
故を防ぐための強固なケーシングが必須となり、軽量
化、薄型化が困難であった。
【0003】この欠点を改良するために、電解液を固形
化することが望まれている。そのために、これまでから
電池、コンデンサ、キャパシタ、センサなどの電気化学
デバイスに応用できるポリアクリロニトリル系(以下P
AN系と称する)やポリアルキレンオキシド系(以下P
EO系と称する)やポリアクリレート系(以下PMMA
系と称する)重合体を用いた高分子電解質ゲルの開発に
注力され、例えばPAN系では、特開平4−30650
6号公報、特開平7−45271号公報、PEO系で
は、特開昭62−285954号公報、特開平6−68
906号公報等、数多く報告されている。しかしなが
ら、これらの高分子電解質ゲルはいずれも耐熱性やイオ
ン伝導性の点で満足すべきものではなかった。
【0004】この耐熱性を改善する方法として、PAN
系重合体の分子量やアクリロニトリルの含有量を規制す
る方法も、特開平10−144137号公報に提案され
ているが、これらにおいてもイオン伝導性が必ずしも安
定ではなく、リチウム2次イオン電池や電解コンデンサ
に適用した場合には、製造直後の伝導性が不安定である
ばかりでなく、充放電を繰り返すと抵抗が上がり、イオ
ン伝導性が急速に低下するという問題が十分解決されて
いない。
【0005】本発明者らは、この原因を追求すると共
に、これらの欠点を排除するための方策を鋭意検討し
た。これまでの報告に見られるPAN系重合体は、いず
れもアクリル繊維や樹脂に用いられている汎用の重合体
を、単に転用しただけのものであり、高いイオン伝導性
を付与するためには、どんな高分子構造であるべきかと
いう本質的な問題の解決に、ほとんど注力されていない
ことを知った。
【0006】繊維や樹脂に用いられるPAN系重合体
は、その使用目的に合わせて、繊維であれば染色性を改
善するため、樹脂であれば加工性を改善するためにアク
リロニトリルの他に、それぞれの目的を達成するために
種々の単量体を共重合したり、又は可塑性を与える化学
物質を添加することが常套手段として行なわれている。
それがために、かかる重合体をそのまま転用した高分子
電解質ゲルは、電解質ゲルとしてもっとも大切なイオン
伝導性を阻害する多くの不純物が含まれてしまうのであ
る。
【0007】例えばもっとも大量に使用されている衣料
用分野においては、アクリロニトリルの単独重合体を用
いることはなく、日光堅牢性の高いカチオン染料による
染色性を改善するために、分子中にスルホン酸ナトリウ
ムやカルボン酸ナトリウムが結合した不飽和単量体を共
重合している。 又繊維の加工性や柔軟性を付与するた
めに、可塑性を有する酢酸ビニル、アクリル酸、アクリ
ル酸エステル、アクリルアミドその他の不飽和単量体を
共重合することが一般的である。
【0008】このように多くの共重合成分を含むPAN
系共重合体は、軟化温度が低く、当然のことながらそれ
から得られた電解質ゲルは、耐熱性の低いものとなる。
更に、染色性を改善するためにアニオン性基やカチオン
性基を含む単量体を共重合した場合は、その対イオンと
して多量のアルカリもしくはアルカリ土類金属カチオン
とか、或いは硫酸、硝酸等の酸類のアニオンが共存する
結果となる。
【0009】PAN系重合体の不純物として、リチウム
イオン以外のアルカリやアルカリ土類金属イオンを10
0ppm以上も含んでいる電解質ゲルにあってはリチウ
ムイオンの移動速度、即ちイオン伝導度が低いばかりで
なく、充放電を繰り返すと益々イオン伝導度が低下し、
2次電池としての寿命が短くなり実用に耐えられないも
のとなる。 これはリチウムイオンよりもイオン半径の
大きなイオン性の不純物が多いために、充放電に伴う電
解質ゲル中におけるリチウムイオンの移動を妨げたり、
或いは電極材料の表面に付着して電極材の機能を低下さ
せるためと考えられる。
【0010】PEO系高分子においても、イオン伝導性
を改善するために特殊な化合物を用いて多くの側鎖を導
入した櫛型ポリマーを用いる方法も提案されている。
(例えばPolymers for Advanced Tech. 4, 90. 1993,
Electrocheim. Acta, 43, 1177. 1998等)。しかしなが
らこれとても、イオン伝導性をある程度改善してはいる
ものの、常温におけるイオン伝導率は 10-3S/cm
以下のレベルであり、十分満足できるものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】電解質ゲルを構成する
高分子中の不純物であるカチオン又はアニオンは、何れ
もそのイオン半径がリチウムイオンより大きいために、
高分子電解質ゲル中でのリチウムイオンの移動速度、即
ちイオン伝導性を低下させる原因となるばかりでなく、
繰り返される充放電により、電極材料や電解質の劣化を
引き起こし、伝導性が次第に低下し、 電池やコンデン
サの寿命を短くしてしまうのである。
【0012】本発明の目的は、従来から知られている重
合体を用いた高分子電解質ゲルよりも、更にイオン伝導
性に優れ、且つ耐久性のある高分子電解質ゲル組成物と
その製造法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
重合性を有し、且つ酸と塩を形成していない遊離状態に
ある第1級アミン化合物,第2級アミン化合物,第3級
アミン化合物,第4級アンモニウム化合物及び複数の形
態をとるアミノ基を有する化合物(以下アミン成分化合
物と称する)の、いずれかを導入したカチオン性高分子
1〜50重量部が、電解質を溶解した非水系溶剤50〜
99重量部を含有してなる高分子電解質ゲル組成物によ
り達成される。
【0014】更に本発明の目的は、高分子電解質ゲル組
成物を形成するカチオン性高分子が、アミン成分化合物
の単独若しくは主成分をアクリロニトリル,ビニル化合
物,アクリレート化合物のいずれかとする共重合体であ
るか、又はこれらの重合体とアクリロニトリル,ビニル
化合物,アクリレート化合物, アルキレンオキシドのい
ずれかを主成分とする単独若しくは共重合体との混合物
であることにより、より良く達成される。
【0015】高分子電解質ゲル組成物中のリチウムを除
く他のアルカリ及びアルカリ土類金属イオンの総量が1
00ppm以下、好ましくは50ppm以下であるこ
と,60℃に加熱した際に、固形化されたゲル組成物
が、再溶解若しくは液相と固相とに相分離しないもので
あることにより、より高度に目的が達成される。
【0016】かかるゲル組成物は、電解質を溶解した非
水系溶剤50〜99重量部に、前記のカチオン性高分子
1〜50重量部を、加熱溶解してカチオン性高分子溶液
となし、次いでこれを冷却してゲル化せしめることによ
り製造することが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を詳述する。先
ず、本願で言うアミン成分化合物について説明する。
該化合物は重合性を有していなければならない。 即
ち、重合性単量体である必要がある。重合性であるから
こそ、それ単独で、或いは後述する他の単量体と共重合
してカチオン性高分子を与えることが出来るのである。
又、アミン成分化合物とは、第1級〜第3級アミン化合
物と第4級アンモニウム化合物及び、アミノ基を複数有
する場合、そのアミノ基の形態として第1〜第4級のい
ずれかを複数、 或いは同一級を複数有する化合物の総
称であるが、これらの化合物の有するアミノ基は遊離状
態、即ち酸と造塩していない状態のものでなければなら
ない。
【0018】尚、該アミン成分化合物中に含有するアミ
ノ基の数は、1分子当たり1個に限定されず、複数含有
していても構わない。アミノ基を複数有する場合は、そ
のアミノ基は一種に限定されず第1〜第4級が混在して
いても良いことは既述の通りである。かかるアミン成分
化合物の例としては、アリルアミン、メタリルアミン、
Nエチルアミノアクリレート、Nプロピルアミノメタク
リレート,Nジメチルアミノエチルアクリレート、Nジ
エチルアミノエチルアクリレート、Nジエチルアミノエ
チルメタクリレート、Nジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド、Nジエチルアミノエチルメタクリルアミド、
Nトリメチルアミノエチルアクリレート、Nトリエチル
アミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0019】アミノ基を複数有する例としては、アミノ
エチルメタリルアミンのように、第1級と第2級アミン
の複合体や、Nジメチルアミノプロピルアリルアミン、
(Nジエチルアミノエチル)−N’エチルアミノエチル
メタクリレートのように、第2級と第3級アミンの複合
体等が挙げられこれらも好適に使用される。第4級アン
モニウム化合物の例としては、トリメチルアミノエチル
アクリレートやトリメチルアミノエチルメタクリレー
ト、トリエチルアミノエチルアクリレートやトリエチル
アミノエチルメタクリレート等が挙げられ、これらも好
適に使用される。
【0020】次ぎにこれらアミン成分化合物のいずれか
を導入したカチオン性高分子とは、上述した化合物単独
で重合したものか、該化合物と共重合し得る他の単量体
を共重合したもの、又は上記単独重合体と共重合体の混
合物、或いはこれらの重合体にアミン成分化合物を全く
含まない第3の重合体を混合したものである。アミン成
分化合物と共重合し得る他の単量体として好適なもの
は、アクリロニトリル,ビニル化合物,アクリレート化合
物等である。これらは上述の第3の重合体を作る単量体
としても好適である。具体的には、ビニル化合物であれ
ば、酢酸ビニル,酪酸ビニル等が、アクリレート化合物で
あれば、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル
酸プロピル,アクリル酸ブチル, メタクリル酸メチル,メ
タクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸
ブチル,ヒドロキシルメチルアクリレート,ヒドロキシル
エチルアクリレート, ジエチレングリコールアクリレ
ート,ジエチレングリコールメタクリレート, トリエチ
レングリコールアクリレート,トリエチレングリコール
メタクリレート,或いは、nが50以下の整数である一般
式(EO)n、又は(PO)nで示されるアクリレートエ
ステルであるポリエチレングリコールアクリレートやポ
リエチレングリコールメタクリレート,或いはポリプロ
ピレングリコールアクリレートやポリプロピレングリコ
ールメタクリレート等が例示されるが、その他ノニオン
性のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルも好適
に使用される。
【0021】アルキレンオキサイドは 通常では他の単
量体と共重合することは困難であるが、ポリエチレンオ
キサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオ
キサイド或いはこれらの共重合体を作成し、これをカチ
オン性高分子と混合することで、本発明である高分子電
解質ゲル組成物を構成させることが出来る。例えば実施
例28に示したように、アミン成分化合物としてジエチ
ルアミノエチルメタクリレートを選び、これとアクリロ
ニトリルの共重合体を作成し、非水系溶剤に溶解した上
で、更に第3の重合体であるポリエチレングリコール
(分子量2000)を加えて作成したゲル組成物におい
ては 高いイオン伝導性と優れた分極電流が得られるこ
とを見出している。
【0022】従って、本願にいうカチオン性高分子と
は、1)アミン成分化合物の単独重合体のケース, 2)
アミン成分化合物を1共重合成分とする共重合体のケー
ス,3) 1)と2)の重合体の混合重合体のケース,
4)1)〜3)に第3の重合体を混合したケースがある
のである。更に、ケース1)、2)のカチオン性高分子
は、単一なアミン成分化合物の単独重合体でも、複数の
アミン成分化合物を用いたアミン成分化合物同士の共重
合体でも良く、又これらアミン成分化合物からの重合体
の混合物でも良い。
【0023】カチオン性高分子中のアミン成分化合物の
比率は、目標とするイオン伝導性のレベルや得ようとす
る分極電流の値、或いは得られるゲル組成物の硬さや耐
熱性等を勘案して決定されるべきものであるが、通常は
アミン成分化合物/その他の重合性単量体の比は1/9
9〜80/20(モル%)程度である。該カチオン性高
分子中のアミノ基の含有量は、1モル%以上が好まし
く、 1モル%未満では、カチオン性基が少ないため
に、リチウムイオンの輸率を高める効果がほとんどな
く、高い伝導性や高い分極電流を示すゲル組成物は得ら
れない。又、アミン成分化合物が80モル%を越えて
は、適度の硬さと60℃以上の耐熱性のあるゲル組成物
を得るのは困難である。
【0024】かかるカチオン性高分子中のアミン成分化
合物鎖が有するアミノ基は、既述の通り造塩していては
いけない。 しかしこのことは本発明のゲル組成物の製
造法として、アミン成分化合物の単量体としては造塩し
ていない遊離状態にあるアミノ基を有するものだけを選
ばなければならないという限定を付すことを意味してい
るわけではない。
【0025】即ち、最終的にカチオン性高分子中で遊離
のアミノ基を形成していれば良いのであって、例えば、
遊離のアミン成分化合物が不安定であり、そのままでは
カチオン性高分子を得ることが出来ない場合には、酸と
造塩したものを用いて重合した後に、該重合物を水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の溶液
で重合体を洗浄して、遊離状態のカチオン性高分子に変
えるか、或いは本発明のゲル組成物の製造工程にはカチ
オン性高分子の非水系溶剤への溶解工程があるがその段
階で、アニオン交換樹脂を用いて遊離型に変換すること
も可能である。しかしいずれにしてもカチオン性高分子
が電解質と接触する以前に、アミノ基を遊離状態にして
おくことが肝要である。こうすることによって、ゲル組
成物中のアミノ基が遊離状態にあるという要件が達成さ
れるのである。
【0026】但し、以下に述べるように特定のケースで
は、この要件は最終的なゲル組成物中で満たされれば良
い。 即ち、カチオン性高分子中のアミノ基が、カルボ
ン酸と造塩している場合には、遊離型よりは若干イオン
伝導度が低下するものの、全くアミノ基を含まない重合
体を用いた電解質ゲルよりは高い伝導性を示すのであ
る。これは非水系溶剤に溶解している電解質が強酸塩で
あるので、アミノ基と造塩していた前記カルボン酸が、
電解質のアニオンにより造塩を解かれ、アミノ基が逆に
電解質のアニオンと造塩することにより、リチウムイオ
ンが移動し易くなるがために、イオン伝導性を妨げない
ものと推定される。
【0027】本発明の高分子電解質ゲル組成物は、カチ
オン性高分子が電解質を溶解した非水系溶剤を含有して
なるが、良好なゲル組成物を形成させるためには、上述
のカチオン性高分子及びこれと混合する第3の重合体の
分子量は、概ね5万以上の高分子量のものが好適に使用
される。分子量が概ね5万未満のものでは、カチオン性
高分子溶液を冷却してもゲル化出来なかったり、ゲル化
したとしても、部分的に溶剤が分離したり、或いは60
℃以下でも容易に溶液状態に戻ってしまうために不適切
である。
【0028】本発明のゲル組成物は、以上詳述してきた
アミン成分化合物を導入したカチオン性高分子1〜50
重量部、電解質を含む非水系溶剤50〜99部から構成
されているゲル化物である。該高分子の比率が1重量部
未満では ゲル化物を得ることが困難であり、又50重
量部を越えたものでは、得られたゲル化物が柔軟性に乏
しく、ゲル組成物に亀裂を生じるため、実用的ではな
い。
【0029】次に、本発明に採用する電解質としてはL
iCl04,LiBF4,LiPF6,LiAsF6等の無
機化合物やCF3SO3Li,LiC(SO2CF33
の有機フッ素リチウム塩,テトラエチルアンモニウムテ
トラフルオロホウ酸塩、テトラエチルアンモニウムヘキ
サフルオロ燐酸塩、トリエチルモノメチルアンモニウム
テトラフルオロホウ酸塩等が好適に使用されるが、非水
系溶剤に溶解するものなら良く、これらに限定されるも
のではない。 用途によってはジカルボン酸のアンモニ
ウム塩が使用される場合もある。非水系溶剤中の、これ
らの電解質の濃度は、電解質の種類や目標とする伝導性
のレベルを勘案して決定されるが、およそ0.1〜3モ
ル/リットル、好ましくは0.3〜2モル/リットルの
範囲で使用される。
【0030】かかる電解質を溶解させる非水系溶剤と
は、水分含有量が1重量%以下の、架橋していない上述
してきたカチオン性高分子を溶解し得る溶剤の意であ
り、このような非水系溶剤としては、エチレンカーボネ
ート(略称EC)、プロピレンカーボネート(略称P
C)、ブチレンカーボネ−ト(略称BC)、ジエチルカ
ーボネート(略称DEC)、ジメチルカーボネート(略
称DMC)、メチルエチルカーボネート(略称MEC)
等の炭酸エステル、エチレングリコール、プロピレング
リコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のエ
ーテル化合物の他、ガンマ−ブチロラクトン(略称γ−
BL)、スルホラン、アジポニトリル、グルタロニトリ
ル、N−メチルピロリドン、トリメチルホスフェート等
の単独或いは2種以上の混合溶剤が推奨される。
【0031】これらの溶剤は、カチオン性高分子の溶解
能が優れている限り、その沸点は高温のものが好まし
く、沸点が90℃以下の溶剤は蒸発し易く、又その高い
蒸気圧のために不具合が生じ易い。これらの溶剤は単独
でも混合して使用しても良いが、該高分子との相溶性が
良くなければならない。 従ってジエチルカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート
等の溶剤は単独で使用するよりも、エチレンカーボネー
ト,プロピレンカーボネート等と混合して用いるのが良
い。
【0032】本発明では、2次イオン電池、キャパシ
タ、電解コンデンサ等の電気化学特性が不安定であると
いう問題を解決するために、カチオン性高分子中の不純
物である、該高分子の有するアニオン性基の対イオンと
して存在するリチウムイオン以外のアルカリやアルカリ
土類金属イオンをゲル組成物に対して100ppm以
下、好ましくは50ppm以下に減少させることを推奨
する。イオン性の金属不純物を減少させるためには、イ
オン性の不純物を有する単量体を共重合しないことに加
え、高分子を形成するための原料となる単量体を、重合
させるために用いられる重合触媒の選択も非常に重要で
ある。
【0033】即ち、重合触媒の種類によっては、その一
部がイオン性を呈するポリマー末端基として高分子中に
取り込まれるためであり、例えば亜硫酸ナトリウムと過
硫酸ナトリウムを用いたレドックス重合においては、ポ
リマー末端基として重合触媒ラジカルに由来するスルホ
ン酸ナトリウムが形成され、高分子中に多量のナトリウ
ムイオンが存在することになる。高分子中に取り込まれ
たアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を除くには、
強酸性の水溶液で洗浄する方法もあるが、工業生産とし
ては効率的な方法とは言えない。従ってかかる重合触媒
は極力使用量を減少させるか、あるいは使用を避けるの
が、イオン性不純物減少の目的に適合する。
【0034】そこでこのような観点から、工業的には、
過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のア
ルカリ金属を含まない重合触媒や、電子線照射、紫外線
照射等の手段で溶液重合することが推奨される。重合触
媒の使用量は、触媒の種類や目標とする分子量の大小に
よって異なるので一概には限定出来ないが、単量体総量
に対して0.01〜5重量パーセントである。
【0035】本発明の高分子電解質ゲル組成物は、詳述
してきたアミン成分化合物を導入したカチオン性高分子
を含む重合体の1〜50重量部と、電解質を溶解した非
水系溶剤50〜99重量部とを配合し、均一に混合した
後に、この混合物を加熱溶解してカチオン性高分子溶液
となし、次いでこの溶液を冷却してゲル化せしめること
により製造することが出来る。もちろん、前述したよう
にカチオン性高分子が造塩アミノ基をもつものである場
合は、該高分子と非水系溶剤を先に混合して溶液とな
し、次いで脱塩処理を施した後、本来加えるべき電解質
を加えてこれを溶解する等、適宜の手段を採る。尚これ
らの製造工程では、水分の吸湿による増加を防止するた
めに、外気を遮断した状態或いは露点が−40℃程度の
乾燥した雰囲気中で行なうことが重要であることは当然
である。
【0036】この製造工程おいて重要な点は、先ず如何
に均一なカチオン性高分子溶液を形成するかということ
にある。そのためには概ね溶解は80℃以上に加熱する
ことで行なわれるが、その加熱溶解に先だってカチオン
性高分子を、電解質を含有する非水系溶剤と十分混合す
ることである。 この混合は可能な限り低温で行なうこ
とが肝要であり、混合摩擦熱等で系の温度が上昇すると
部分的に溶解したり、固まりになる場合もあるので、予
め溶剤を室温以下に冷却しておいてから、混合機を用い
て均一に混合し、しかる後に加熱溶解させるのが有効で
ある。
【0037】かくして均一なカチオン性高分子溶液が形
成されたら、必要により脱泡などを行なった後、冷却に
よって系をゲル化せしめ、ゲル組成物を得る。ゲル化は
急速に行うより数時間を要して室温まで、場合によって
は0℃程度まで冷却するのが好ましい。
【0038】ゲル組成物は、高温でも形態の安定なもの
が好ましいことは言うまでもないが、その用途や構造に
より使用温度が異なるため、一概に決められないが、6
0℃で1時間加熱した後でも、ゲル組成物が非水系溶剤
の液相と、ゲル固形物の固相に分離したり、ゲル組成物
の透明性が低下しない程度の熱安定性のものが望まし
い。
【0039】
【作用】本発明のアミン成分化合物を含有するカチオン
性高分子を用いた高分子電解質ゲル組成物は、従来のア
クリロニトリルと酢酸ビニルからなる高分子ゲルに比べ
て、サイクリックボルタンメトリー法で測定した分極電
流が、5倍にも増大するという効果を発現するのであ
る。
【0040】これは、例えば電解質として良く用いられ
ているリチウム化合物において、リチウムイオンと対を
成しているリチウムイオンよりイオン半径が大きい、B
4 -,PF6 -,AsF6 - 等のアニオンが、本発明のカ
チオン性高分子電解質ゲル組成物中のカチオン性基であ
るアミノ基に捕捉されることにより、リチウムイオンの
移動速度、即ちリチウムイオンの輸率が、改善されるた
めであろうと考えられる。
【0041】従って、アミン成分化合物のアミノ基が、
既に、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、スルホン酸等の強酸と
塩を形成しているものを用いた場合は、リチウムイオン
の輸率を向上させる機能が減少するため、高分子電解質
ゲル組成物のイオン伝導性を向上させる効果も減殺され
るが、それでもアミノ基を含有しない従来ゲルよりは、
イオン伝導率が高い。この理由は明確ではないが、造塩
アミノ基含有カチオン性高分子にバルキー性の大きな側
鎖が結合しているために、ゲル組成物中にリチウムイオ
ンが比較的容易に移動出来るような空間が存在するため
であろうと推定している。
【0042】
【実施例】以下、代表的な実施例および比較例を以っ
て、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例
に記載の部は、特にことわりのない限り重量部であり、
%は重量パーセントである。
【0043】以下の実施例および比較例に用いた評価法
を示す。 〔電気化学特性の評価〕先ず以下の要領で 測定用のセ
ルを組み立てる。膜状に成形した厚さ200μmのゲル
組成物サンプルを、2x2cmに切り取り、その両面を
2x2cm、厚さ0.5mmの金属リチウム箔で挟み、
更にこの両面をリード線付きのニッケル板で挟み、それ
を2枚のテフロン板の間に挿入し、これをクリップで固
定する。このセルの組み立て及び下記の電気化学特性の
評価は、露点−50℃のアルゴンガスで置換されたグロ
ーブボックス内で実施する。
【0044】このようにして作成した測定セルを、交流
インピーダンス測定装置(ソーラトーン社製1286+
1250)に接続して、20℃で、100KHzから1
Hzまでの交流インピーダンスを測定し、測定周波数1
00KHzおよび100Hzにおけるインピーダンスを
それぞれバルク抵抗値及び界面抵抗値とした。このバル
ク抵抗値と、セルの厚さと面積から、イオン伝導率を算
出した。上記交流インピーダンス測定を24時間継続し
た後、測定セルを電気化学測定装置(ソーラトーン社製
Sl−1280B)に接続して、20℃で反転電圧±
0.5V、電位掃引速度10mV/sのサイクリックボ
ルタンメトリーにより分極電解を行ない、3サイクル目
の+0.5Vでの分極電流値を測定し、これを対リチウ
ム負極CV分極電流値とした。以下この対リチウム負極
CV分極電流値を、単に分極電流と称する。更にこの分
極電流の測定後に、再び交流インピーダンス測定を行な
い、セル作成24時間後の界面抵抗値を求めた。これら
の測定結果から、測定開始直後の界面抵抗値と24時間
後の界面抵抗値の比率を求め、界面抵抗の増加率とし
た。
【0045】〔耐熱性評価〕内径24mm、高さ40m
mのサンプル瓶に、膜状のゲル組成物を入れ、これを6
0℃の熱風循環式恒温槽内で1時間加熱した後、これを
恒温槽から取り出し、直ちにゲル組成物の状態を観察し
て、下記の3ランクに分類する。 A:加熱前後で、ゲル組成物に形態の変化が認められな
いもの。 B:加熱後に、ゲル組成物が一部溶解若しくは僅かに相
分離しているもの。 C:加熱後に、ゲル組成物が半分以上溶解若しくは相分
離の多いもの。
【0046】〔柔軟性評価〕作成した厚み約200μm
のゲル組成物を、常温で角度90度に曲げた場合に、曲
げた個所に亀裂が生じるかどうかを観察し、以下のラン
クに区分する。 A:柔軟性良(亀裂の発生なし、折れ目も残らない) B:柔軟性可(亀裂の発生はないが、折れ目が残る) C:柔軟性不良(亀裂が生じる)
【0047】〔ナトリウムイオン濃度の測定〕ゲル組成
物又はカチオン性高分子のナトリウムイオン濃度は、原
子吸光法により測定する。装置は島津製作所製AA−6
500を使用したが、金属イオンの検出感度は10pp
mである。
【0048】<実施例1、比較例1,2>1lの重合フ
ラスコに 純水800mlを入れ、これにアクリロニト
リル(以下ANと略称する)97部、ジメチルアミノエ
チルアクリレート(以下DAAと略称する)3部と重合
触媒として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパ
ン)二塩酸塩を1部加えて、70℃で3時間重合を行な
ってカチオン性高分子(A)を作成した。
【0049】一方比較例1として、1lの重合フラスコ
に 硝酸を加えてpH2.8に調整した純水800ml
を入れ、これにAN97部と酢酸ビニル3部を加え、重
合触媒として二亜硫酸ナトリウム0.3部と過硫酸アン
モニウム0.1部を加えて、70℃で3時間重合を行な
って、重合体(B)を作成した。更に単量体をAN93
部、酢酸ビニル7部、メタアリルスルホン酸0.3部に
変えた外は、比較例1と同様に重合して、比較例2の重
合体(C)を作成した。こうして得られた共重合体A,
B,Cを純水で充分洗浄した後、水分が50ppm以下
になるまで減圧乾燥した。これらの重合体の分子量とナ
トリウムイオン濃度は表1に記載した如く、本発明品で
ある実施例1のカチオン性高分子はナトリウムイオンが
検出されないのに対して、比較例1では600ppm、
比較例2では1300ppmものナトリウムイオンが含
有されていた。尚、比較例の重合触媒は、アクリル繊維
用の重合体を製造するために用いられる一般的なもので
あり、更に比較例2の重合体はアクリル繊維に一般的に
用いられている化学組成の共重合体である。
【0050】露点−50℃のアルゴンガス雰囲気のグロ
ーブボックス内で、これらA,B,Cの乾燥共重合体1
部と、1モル/リットルのLiBF4を含むEC/PC=
2/1モルの混合非水系溶剤9部とを、常温でメノウ製
の乳鉢を用いて良く混合した。テフロンコーティングを
施したステンレスの板(5cmx5cm)の上に、厚さ
200μmのテフロン製の角枠スペーサーを乗せ、これ
に上記の重合体と非水系溶剤との混合物を入れ、ホット
プレートで125℃、30分加熱して共重合体を溶解さ
せ、高分子溶液とする。溶解後、その上からも同様なス
テンレス板をかぶせ更に120℃で30分保持してか
ら、これをホットプレートから取り出し、約50℃に冷
却した時点で、ステンレス板の上に500gの分銅を乗
せて、この状態で20℃で約半日保持して十分冷却する
ことにより膜状のゲル組成物を作成した。このようにし
て作成したゲル膜について、ナトリウムイオン濃度、イ
オン伝導率、界面抵抗の増加率、分極電流、耐熱性、柔
軟性を評価し、表2に記載した。
【0051】一般的なアクリル繊維の製造に用いられる
重合触媒を用いた比較例1にあっては、重合体中のナト
リウムが600ppmと高く、更に繊維用の一般的な重
合体である比較例2にあっては、染色性を考慮してメタ
アリルスルホン酸ナトリウムを少量共重合しているため
に1000ppmを越えるナトリウムが含まれている。
それがために 作成したゲル組成物においても、ナトリ
ウムイオン濃度が高い。 一方本発明品である実施例1
のカチオン性高分子中のナトリウムイオンは検出感度以
下であり、それから得られたゲル組成物中にもナトリウ
ムイオンは検出されない。表2に記載の如く、本発明品
はイオン伝導率が高いだけでなく、界面抵抗の増加もな
く、分極電流も非常に高い。 これはゲル組成物中にリ
チウム以外のアルカリ金属イオンがほとんどなく、更に
リチウムイオンの移動速度を加速させる効果のあるアミ
ノ基が存在するためと解釈される。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】<実施例2〜9、比較例3〜5>実施例1
と同じ装置を用い、水800mlを入れ、これにAN9
5部とDAA5部を加えて、実施例1と同様に重合する
に際して、重合触媒の添加量を、1.2%、 0.4
%、0.2%と変化させて、D,E,Fの3種のカチオ
ン性高分子を得た。得られたカチオン性高分子の分子量
は、6万、28万、55万であり、何れもナトリウムイ
オンは検出されなかった。得られたカチオン性高分子
を、実施例1と同じ非水系溶剤を用いて溶解するに際し
て、重合体と非水系溶剤の混合比率を、表3に示したよ
うに 0.5/99.5〜60/40まで変化させた以外
は、実施例1と同じ方法で、実施例2〜9、及び比較例
3〜5のゲル膜を作成した。得られたゲル膜の柔軟性と
耐熱性は表3に記載した。表3に記載の如く重合体の比
率が、0.5%では溶解した重合体溶液を冷却しても、
ゲル化しないため膜状のゲル化物を得ることが出来なか
った。又、重合体比率が50%を越えた場合には得られ
たゲル膜の柔軟性が乏しく、重合体比率が60%に至っ
ては、加熱溶解しても一部未溶解部分があり、不均一な
脆いゲル化物であり、このものを耐熱評価のために、6
0℃、1時間加熱した後でも形状は変化しないものの、
脆いゲル状であり、高分子電解質ゲルとして使用に耐え
るものではなかった。
【0055】
【表3】
【0056】実施例2〜9及び比較例3〜5に示したよ
うに、柔軟性や耐熱性の優れた高分子電解質ゲル組成物
を得るためには、重合体と非水系溶剤との混合比率を適
切に設定する必要がある。 この適切な混合比率は、重
合体の分子量によっても変化するが、通常工業的にたや
すく得られる重合体の分子量は1万〜100万程度であ
り、この範囲の分子量であれば、重合体と非水系溶剤と
の好適な混合比率は、1/99〜50/50の範囲にあ
る。
【0057】<実施例10〜15>アミノ基としては、
第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級ア
ンンモニウム塩基があるが、これらの各種アミノ基を含
む下記のアミン成分化合物各5部と、AN95部を実施
例1と同様に重合してカチオン性高分子を得た。 実施例10 アミノエチルメタクリレート(第1級アミン) 実施例11 Nモノエチルアミノエチルメタクリレート(第2級アミン) 実施例12 Nジエチルアミノエチルメタクリレート(第3級アミン) 実施例13 Nトリメチルアミノエチルメタクリレートハイドロオキサイド (第4級アンモニウム化合物) 実施例14 Nアミノエチルメタリルアミン(第1級と第2級アミンの混在 タイプ) 実施例15 Nジメチルアミノプロピルメタリルアミン(第2級と第3級ア ミンの混在タイプ) これらのカチオン性高分子を乾燥して、実施例1と同様
にゲル膜を作成して、イオン伝導率、分極電流、界面抵
抗増加率を測定した。その結果は表4に記載した。尚こ
れらの重合体中のナトリウムイオン濃度はいずれも検出
感度(10ppm)以下であった。 これらのカチオン
性高分子から作成したゲル膜はいずれも常温(25℃)に
おけるイオン伝導率は、2x10-3S/cm以上であ
り、分極電流も5mA/cm2以上であり、比較例1、
2に比べて格段に優れている。
【0058】
【表4】
【0059】<実施例16、17, 比較例6>実施例
1と同様な方法で AN95部と下記のアミノ基を有す
るアミノ化合物5部とを共重合してカチオン性高分子を
得た。 尚ここで実施例16に採用するアミン成分化合
物のアミノ基は酸と造塩していないが、実施例17はア
ミノ基が酢酸塩、比較例6は塩酸塩であるものを用い
た。 実施例16 Nジメチルアミノエチルメタクリレート(DAA) 実施例17 Nジメチルアミノエチルメタクリレート酢酸塩 比較例 6 Nジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩 これらの乾燥したカチオン性高分子10部を、実施例1
と同じ非水系溶剤90部とを実施例1と同様の方法で、
ゲル膜を作成して、イオン伝導率、界面抵抗増加率、柔
軟性、耐熱性を評価した。その結果は、表5に記載した
如く、実施例16に対して、塩酸と造塩した比較例6に
あっては、界面抵抗の増加率が高く、分極電流も低いこ
とが明瞭である。実施例17はアミノ基が酢酸と造塩し
ているが、比較例6より優れた特性を示している。 こ
の原因は 本文中で記述したように、アミノ基と造塩し
ている酢酸が弱酸であるために、このCH3COO-と電
解質であるLiBF4のBF4 -が置換し、アミノ基と造
塩していた酢酸が遊離したためにLi+ の移動を余り妨
害しないためと考えられる。
【0060】
【表5】
【0061】<実施例18>比較例6のカチオン性高分
子5部を ジメチルホルムアミド(DMF)95部に溶
解した重合体溶液を、アニオン性イオン交換樹脂である
AmberliteIRA−400(Rohm&Has
s社製)を充填したカラムを通過させて、塩酸と造塩し
ているアミノ基を遊離型に変換した。この変換した重合
体溶液を、メタノール中に再沈殿して、沈殿した重合体
を取出し、更に50℃のメタノールで5回洗浄してDM
Fを除いてから、減圧乾燥して、実施例18のカチオン
性高分子を得た。この重合体10部と 実施例1の非水
系溶剤90部とを用いて、実施例1と同様にゲル膜を作
成し、同様に特性を評価した。その結果は 表5に併記
した。この結果から明らかな如く、アミノ基が強酸であ
る塩酸と造塩したものであっても、電解質を含む非水系
溶剤に溶解する前にイオン交換樹脂を用いて、遊離型に
変換すれば、優れた高分子電解質ゲル組成物が得られる
ことが明らかとなった。
【0062】<実施例19、比較例7>AN95部と、
Nトリメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩5部と
を実施例1と同様に重合し、比較例7の乾燥重合体を作
成した。この乾燥重合体10部を、実施例1と同じ非水
系溶剤90部と混合し、120℃で溶解した後、80℃
まで冷却した段階で、実施例18と同じイオン交換樹脂
を充填したカラムを通過させて イオン交換を行なっ
た。 尚カラムは重合体の析出を防ぐためにマントルヒ
ーターを用いて 80℃に保温したものを使用した。
こうしてイオン交換した重合体溶液92部を約100℃
に加熱し、これに純度99.99%のLiBF4 8部を
加えて溶解した後、この重合体溶液を実施例1と同様に
冷却して、実施例19のゲル膜を作成し、特性を評価し
た。一方比較例として、上述のイオン交換処理を施して
いない比較例7の乾燥カチオン性高分子を実施例1と全
く同じように溶解・冷却してゲル膜を作成して、同様に
評価した。この両者の結果は、表6に記載した。 この
結果から明らかな如く、強酸と造塩したアミノ基を有す
るカチオン性高分子であっても、電解質を加える前にイ
オン交換樹脂を用いて遊離型に変換すれば、良好なカチ
オン性高分子電解質ゲル組成物が得られることが明瞭で
ある。
【0063】
【表6】
【0064】<実施例20〜24>ゲル組成物を構成す
る高分子が、カチオン性高分子単独でなく、他の重合体
とのと混合物である例として、表7に示した実施例20
〜24のゲル組成物を作成した。 尚、カチオン性高分
子と、他の高分子との総量は10部とし、これに実施例
1と同じ非水系溶剤90部を加えて実施例1と同様に溶
解、冷却して、ゲル膜を作成し、同様に特性評価を行っ
た。特性評価結果は、表8に記載した。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】表8に記載の如く、カチオン性高分子と、
第3の高分子とを混合して作成した高分子電解質ゲル組
成物にあっても、良好な電気化学的性質と優れた耐熱
性、柔軟性を有することが判明した。
【0068】<実施例25、比較例8>AN95部、
N,N’ジメチルアミノピロピルメタクリルアミド5
部、重合触媒として4,4’アゾビス(4−シアノ吉草
酸)を、0.6部を用いた他は実施例1と同様に重合し
て、分子量20万のカチオン性高分子を作成した。この
乾燥した重合体10部をメノー製の乳鉢を用いて良く粉
砕した後、これに5℃に冷却したEC/PC/ジエチル
カーボネート=1/1/1モル混合の非水系溶剤90部
を、徐々に加えながら乳鉢内で良く混合した。混合した
ものは白色のスラリー状態であり、該高分子は全く溶解
せず、単に非水系溶剤と混合しただけのものであった。
これに電解質として、純度99.99%のLiBF4
9部を加え、更に乳鉢内で混合し電解質を溶解した。こ
の状態でも重合体は溶解せず、粘性の低いスラリー状態
であった。これを深さ2cmのステンレス製のパットに
移し、これを減圧容器に入れ、減圧下で脱泡した。 こ
れを再び減圧容器から取り出し、ホットプレートで30
分をかけて、120℃までゆっくり加熱し、重合体を完
全に溶解した。これを実施例1と同じように冷却し、厚
さ500μmのゲル膜を作成した。このゲル膜について
特性を評価した結果は、表9に記載した如く、非常に
優れた特性を示した。
【0069】
【表9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 6/22 H01M 6/22 C 10/40 10/40 B Fターム(参考) 4F070 AA32 AA34 AA38 AC17 AE06 CA12 CB05 4J002 BF011 BF021 BG041 BG051 BG061 BG071 BG101 BG131 BJ001 DD026 DE196 DH036 DK006 EC047 EH007 EH157 EL067 EL107 ET007 EU027 EV256 EW047 EY016 EZ006 FD116 FD207 GQ02 5H024 BB01 EE09 FF14 FF19 HH01 HH11 5H029 AJ00 AM00 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 CJ02 EJ12 EJ14 HJ01 HJ14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性を有し、且つ酸と塩を形成してい
    ない遊離状態にある第1級アミン化合物,第2級アミン
    化合物,第3級アミン化合物,第4級アンモニウム化合
    物及び複数の形態をとるアミノ基を有する化合物(以下
    アミン成分化合物と称する)の、いずれかを導入したカ
    チオン性高分子1〜50重量部が、電解質を溶解した非
    水系溶剤50〜99重量部を含有してなる高分子電解質
    ゲル組成物。
  2. 【請求項2】 カチオン性高分子が、アミン成分化合物
    の単独若しくは主成分をアクリロニトリル,ビニル化合
    物,アクリレート化合物のいずれかとする共重合体であ
    るか、又はこれらの重合体とアクリロニトリル,ビニル
    化合物,アクリレート化合物, アルキレンオキシドのい
    ずれかを主成分とする単独若しくは共重合体との混合物
    であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質
    ゲル組成物。
  3. 【請求項3】 ゲル組成物中の、リチウムを除く他のア
    ルカリ及びアルカリ土類金属イオンの総量が100pp
    m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    高分子電解質ゲル組成物。
  4. 【請求項4】 60℃に加熱した際に、固形化されたゲ
    ル組成物が、再溶解若しくは液相と固相とに相分離しな
    いものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の高分子電解質ゲル組成物。
  5. 【請求項5】電解質を溶解した非水系溶剤50〜99重
    量部に、請求項1に記載のカチオン性高分子1〜50重
    量部を、加熱溶解してカチオン性高分子溶液となし、次
    いでこれを冷却してゲル化せしめることを特徴とする高
    分子電解質ゲル組成物の製造法。
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