JP2001120293A - 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2h)−フラノンの製造方法 - Google Patents
4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2h)−フラノンの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 醤油麹消化液あるいはタンパク質分解物等を
用いることなく、ペントース、グルコース、アミノ酸、
食塩等からなる、より単純な培地組成の液体培地を用
い、酵母により効率よく高生成量、例えば100ppm
以上の高生成量で4−ハイドロキシ−2(又は5)−エ
チル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン
(HEMF)を製造する方法を提供すること。 【解決手段】 炭素源としてのリボース等のペントース
及び窒素源としてのアミノ酸を少なくとも配合した液体
培地を、該ペントース及びアミノ酸の共存下に加熱した
後、耐塩性のチゴサッカロミセス・ルーキシ等のHEM
F産生能を有する酵母を接種培養し、培養物からHEM
Fを採取する。アミノ酸としてはセリン、アラニン、グ
リシンが好ましい。
用いることなく、ペントース、グルコース、アミノ酸、
食塩等からなる、より単純な培地組成の液体培地を用
い、酵母により効率よく高生成量、例えば100ppm
以上の高生成量で4−ハイドロキシ−2(又は5)−エ
チル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン
(HEMF)を製造する方法を提供すること。 【解決手段】 炭素源としてのリボース等のペントース
及び窒素源としてのアミノ酸を少なくとも配合した液体
培地を、該ペントース及びアミノ酸の共存下に加熱した
後、耐塩性のチゴサッカロミセス・ルーキシ等のHEM
F産生能を有する酵母を接種培養し、培養物からHEM
Fを採取する。アミノ酸としてはセリン、アラニン、グ
リシンが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母による4−ハ
イドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メ
チル−3(2H)−フラノン(以下「HEMF」とい
う)の製造方法や、HEMF製造用培地組成物に関す
る。
イドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メ
チル−3(2H)−フラノン(以下「HEMF」とい
う)の製造方法や、HEMF製造用培地組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】HEMFは醸造醤油から見い出された物
質で(Agic.Biol.Chem. 1976, 40,491-495)、その後本
発明者らにより米味噌からも分離され(Nippon Shokuhi
n Kogyo Gakkaishi,Vol.38,38-44,1991)、最近、ビー
ル(J.Amer.Soc.Brew.Chem.,54,37-40,1996)、チー
ズ、日本酒等からも分離されている。このHEMFは、
甘いケーキ様の強烈な香りを有し、閾値も0.04pp
b以下で味噌醤油においては大量に含まれているが、他
の食品では存在しないか存在しても極微量な特殊な化合
物である。そして、かかるHEMFは、味噌醤油におけ
る風味向上にきわめて有効な成分として、また味噌醤油
以外でも特に微生物が関与して製造される食品(チーズ
やビール等)の風味改良剤として期待されている。
質で(Agic.Biol.Chem. 1976, 40,491-495)、その後本
発明者らにより米味噌からも分離され(Nippon Shokuhi
n Kogyo Gakkaishi,Vol.38,38-44,1991)、最近、ビー
ル(J.Amer.Soc.Brew.Chem.,54,37-40,1996)、チー
ズ、日本酒等からも分離されている。このHEMFは、
甘いケーキ様の強烈な香りを有し、閾値も0.04pp
b以下で味噌醤油においては大量に含まれているが、他
の食品では存在しないか存在しても極微量な特殊な化合
物である。そして、かかるHEMFは、味噌醤油におけ
る風味向上にきわめて有効な成分として、また味噌醤油
以外でも特に微生物が関与して製造される食品(チーズ
やビール等)の風味改良剤として期待されている。
【0003】また最近、HEMFは、強い抗酸化性を有
し、ベンゾ[α]ピレンで誘発されたマウスの前胃の腫
瘍形成に対する抗発癌性(Cancer Research 52,1754-17
56,1992)や抗腫瘍性(特開平5−255082号公
報、Amer.Chem.Soc.Symp.Ser.,546,349-352,1994)を有
し、さらに放射線被曝による危険防止に効果的なことが
報告(Rep. of Central Miso Research Institute,24,1
22-124,1997)されていることから、香気成分として用
いられる以外にも、機能性物質、医薬品等としても有用
であることが明らかとなっている。以下、かかるHEM
Fの製造方法等に関連する先行技術を列挙する。
し、ベンゾ[α]ピレンで誘発されたマウスの前胃の腫
瘍形成に対する抗発癌性(Cancer Research 52,1754-17
56,1992)や抗腫瘍性(特開平5−255082号公
報、Amer.Chem.Soc.Symp.Ser.,546,349-352,1994)を有
し、さらに放射線被曝による危険防止に効果的なことが
報告(Rep. of Central Miso Research Institute,24,1
22-124,1997)されていることから、香気成分として用
いられる以外にも、機能性物質、医薬品等としても有用
であることが明らかとなっている。以下、かかるHEM
Fの製造方法等に関連する先行技術を列挙する。
【0004】J.Agric.Food Chem.,1991,39,934-938 に
は、ペントースリン酸サイクルの中間体であるD−リボ
ース 5リン酸バリウム塩等を前駆体化合物として用
い、醤油麹消化液を含有する培地で酵母を培養すること
によるHEMFの生合成が報告されている。
は、ペントースリン酸サイクルの中間体であるD−リボ
ース 5リン酸バリウム塩等を前駆体化合物として用
い、醤油麹消化液を含有する培地で酵母を培養すること
によるHEMFの生合成が報告されている。
【0005】特開平5−176781号公報には、大豆
分離タンパク質や変性脱脂大豆などの高タンパク質含有
原料をタンパク質分解酵素、デンプン質分解酵素、植物
細胞壁崩壊酵素等の酵素によって泥状に分解し、次いで
固液分離して透明な液体を得、これを限外濾過膜、透析
膜、逆浸透膜による膜分離法や、ゲル濾過法によって、
該分解液中の分子量1000以下の物質を分離し、これ
を醤油麹消化液に添加した培地に酵母を接種培養して、
培地中にHEMFを生成せしめるHEMFの製造法が記
載されている。
分離タンパク質や変性脱脂大豆などの高タンパク質含有
原料をタンパク質分解酵素、デンプン質分解酵素、植物
細胞壁崩壊酵素等の酵素によって泥状に分解し、次いで
固液分離して透明な液体を得、これを限外濾過膜、透析
膜、逆浸透膜による膜分離法や、ゲル濾過法によって、
該分解液中の分子量1000以下の物質を分離し、これ
を醤油麹消化液に添加した培地に酵母を接種培養して、
培地中にHEMFを生成せしめるHEMFの製造法が記
載されている。
【0006】特開平5−23174号公報には、HEM
F産生能を有するチゴサッカロミセス・ルーキシ(Zygo
saccharomyces rouxii)と4−エチルグアイアルコール
産生能を有するトルロプシス・ベルサチリスとを融合さ
せたハイブリドーマを用いて、改善された風味を有する
醤油を製造する方法が記載されている。
F産生能を有するチゴサッカロミセス・ルーキシ(Zygo
saccharomyces rouxii)と4−エチルグアイアルコール
産生能を有するトルロプシス・ベルサチリスとを融合さ
せたハイブリドーマを用いて、改善された風味を有する
醤油を製造する方法が記載されている。
【0007】特開平6−279483号公報には、高タ
ンパク質含有原料を、タンパク質分解酵素、デンプン質
分解酵素、植物細胞壁崩壊酵素等の酵素によって、ある
いは塩酸溶液等の酸溶液によって加水分解し、得られた
分解液より、HEMFの原料として有用なD−キシロー
ス 5−リン酸を分離するD−キシロース 5−リン酸
の製造方法が記載されている。
ンパク質含有原料を、タンパク質分解酵素、デンプン質
分解酵素、植物細胞壁崩壊酵素等の酵素によって、ある
いは塩酸溶液等の酸溶液によって加水分解し、得られた
分解液より、HEMFの原料として有用なD−キシロー
ス 5−リン酸を分離するD−キシロース 5−リン酸
の製造方法が記載されている。
【0008】特開平8−116983号公報には、タン
パク質1g当り5単位以上のペプチダーゼ活性存在下
で、タンパク質を分解して得られた酵素分解液を醤油麹
消化液に添加した培養液に酵母を接種培養して、該培養
液中にHEMFを生成蓄積せしめるHEMFの製造方法
が記載されている。
パク質1g当り5単位以上のペプチダーゼ活性存在下
で、タンパク質を分解して得られた酵素分解液を醤油麹
消化液に添加した培養液に酵母を接種培養して、該培養
液中にHEMFを生成蓄積せしめるHEMFの製造方法
が記載されている。
【0009】特開平11−18759号公報には、HE
MF高生産能を有するチゴサッカロミセス・ルーキシM
H1株、チゴサッカロミセス・ルーキシMH2株、チゴ
サッカロミセス・ルーキシMH3株から選ばれる育種酵
母が記載されている。
MF高生産能を有するチゴサッカロミセス・ルーキシM
H1株、チゴサッカロミセス・ルーキシMH2株、チゴ
サッカロミセス・ルーキシMH3株から選ばれる育種酵
母が記載されている。
【0010】その他、HEMFの合成方法としては、ア
セト酢酸tert−ブチルエステルを分散状のナトリウ
ムと反応させた後、ブロモエチルアセチルブロミドと−
40℃〜−50℃で反応させ4−tert−ブトキシカ
ルボニル−2(又は5)−エチル−5(又は2)−3
(2H)−フラノンを生成させ、次いで脱保護基処理す
る方法が知られている(Recuil Travaux Chimiques des
Pays-Bas,Vol.92,p731,1973)。また、リン酸緩衝液中
で、キシロース、リボース又はアラビノースと、グリシ
ン又はL−アラニンを90℃で1時間加熱することによ
り、4−ハイドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)
−フラノン(以下「HDMF」という)と共にHEMF
が生成することが報告されている(J.Agric.Food Chem.
1996,44,531-536)。
セト酢酸tert−ブチルエステルを分散状のナトリウ
ムと反応させた後、ブロモエチルアセチルブロミドと−
40℃〜−50℃で反応させ4−tert−ブトキシカ
ルボニル−2(又は5)−エチル−5(又は2)−3
(2H)−フラノンを生成させ、次いで脱保護基処理す
る方法が知られている(Recuil Travaux Chimiques des
Pays-Bas,Vol.92,p731,1973)。また、リン酸緩衝液中
で、キシロース、リボース又はアラビノースと、グリシ
ン又はL−アラニンを90℃で1時間加熱することによ
り、4−ハイドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)
−フラノン(以下「HDMF」という)と共にHEMF
が生成することが報告されている(J.Agric.Food Chem.
1996,44,531-536)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】酵母による従来のHE
MFの製造方法は、D−リボース 5リン酸バリウム塩
等と醤油麹消化液とを含有する培養液を用いたり、高タ
ンパク質含有原料の酵素処理物から膜分離等により分離
した分子量1000以下の物質と醤油麹消化液とを含有
する培養液を用いたり、蛋白質原料を特定量のペプチタ
ーゼで分解した酵素分解液と醤油麹消化液とを含有する
培養液を用いるなど、複雑な前処理やそのための装置等
が必要であり、また培地成分が必ずしも一定しない酵素
処理物等を用いることからHEMFの生成量にバラツキ
が生じる可能性があり、加えてこれらタンパク質加水分
解物等を用いてもHEMFの生成量が満足しうるもので
はないという問題があった。
MFの製造方法は、D−リボース 5リン酸バリウム塩
等と醤油麹消化液とを含有する培養液を用いたり、高タ
ンパク質含有原料の酵素処理物から膜分離等により分離
した分子量1000以下の物質と醤油麹消化液とを含有
する培養液を用いたり、蛋白質原料を特定量のペプチタ
ーゼで分解した酵素分解液と醤油麹消化液とを含有する
培養液を用いるなど、複雑な前処理やそのための装置等
が必要であり、また培地成分が必ずしも一定しない酵素
処理物等を用いることからHEMFの生成量にバラツキ
が生じる可能性があり、加えてこれらタンパク質加水分
解物等を用いてもHEMFの生成量が満足しうるもので
はないという問題があった。
【0012】本発明の課題は、醤油麹消化液やタンパク
質加水分解物を用いることなく、より単純な培地組成の
液体培地を用い、酵母により効率よく高生成量でかつ簡
便にHEMFを製造する方法や、かかるHEMF製造に
用いられる培地組成物を提供することにある。
質加水分解物を用いることなく、より単純な培地組成の
液体培地を用い、酵母により効率よく高生成量でかつ簡
便にHEMFを製造する方法や、かかるHEMF製造に
用いられる培地組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、味噌中に
存在するHEMFの生成機構を解明するための研究過程
で、味噌の熟成工程において前培養した酵母チゴサッカ
ロミセス・ルーキシを添加し、あるいは添加することな
く、HEMFの生成について検討したところ、HEMF
の味噌中における生成は酵母の増殖段階及び/又は酵母
の増殖条件に影響されるものの、酵母菌数はHEMFの
生成量と比例しないことを見い出した。そこで、HEM
Fの生成機構の基礎的知見を得るために、種々の液体培
地を用いた実験を行うこととし、その過程で、醤油麹消
化液等を用いることなく、アミノ酸を用いた単純組成の
液体培地を用いたところ、以外にもHEMFが高生産量
で得られることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
存在するHEMFの生成機構を解明するための研究過程
で、味噌の熟成工程において前培養した酵母チゴサッカ
ロミセス・ルーキシを添加し、あるいは添加することな
く、HEMFの生成について検討したところ、HEMF
の味噌中における生成は酵母の増殖段階及び/又は酵母
の増殖条件に影響されるものの、酵母菌数はHEMFの
生成量と比例しないことを見い出した。そこで、HEM
Fの生成機構の基礎的知見を得るために、種々の液体培
地を用いた実験を行うこととし、その過程で、醤油麹消
化液等を用いることなく、アミノ酸を用いた単純組成の
液体培地を用いたところ、以外にもHEMFが高生産量
で得られることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】すなわち本発明は、炭素源としてのペント
ース及び窒素源としてのアミノ酸を少なくとも配合した
液体培地を、該ペントース及びアミノ酸の共存下に加熱
した後、HEMF産生能を有する酵母を接種培養し、該
培養液中にHEMFを生成蓄積せしめることを特徴とす
るHEMFの製造方法(請求項1)や、炭素源としてグ
ルコースをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の
HEMFの製造方法(請求項2)や、ペントースとして
リボースを用いることを特徴とする請求項1又は2記載
のHEMFの製造方法(請求項3)や、アミノ酸とし
て、セリン、アラニン、グリシンから選ばれる1種又は
2種以上のアミノ酸を用いることを特徴とする請求項1
〜3のいずれか記載のHEMFの製造方法(請求項4)
や、ペントース及びアミノ酸の共存下の加熱が加圧殺菌
による加熱であることを特徴とする請求項1〜4のいず
れか記載のHEMFの製造方法(請求項5)や、HEM
F産生能を有する酵母として耐塩性のチゴサッカロミセ
ス・ルーキシを用いることを特徴とする請求項1〜5の
いずれか記載のHEMFの製造方法(請求項6)に関す
る。
ース及び窒素源としてのアミノ酸を少なくとも配合した
液体培地を、該ペントース及びアミノ酸の共存下に加熱
した後、HEMF産生能を有する酵母を接種培養し、該
培養液中にHEMFを生成蓄積せしめることを特徴とす
るHEMFの製造方法(請求項1)や、炭素源としてグ
ルコースをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の
HEMFの製造方法(請求項2)や、ペントースとして
リボースを用いることを特徴とする請求項1又は2記載
のHEMFの製造方法(請求項3)や、アミノ酸とし
て、セリン、アラニン、グリシンから選ばれる1種又は
2種以上のアミノ酸を用いることを特徴とする請求項1
〜3のいずれか記載のHEMFの製造方法(請求項4)
や、ペントース及びアミノ酸の共存下の加熱が加圧殺菌
による加熱であることを特徴とする請求項1〜4のいず
れか記載のHEMFの製造方法(請求項5)や、HEM
F産生能を有する酵母として耐塩性のチゴサッカロミセ
ス・ルーキシを用いることを特徴とする請求項1〜5の
いずれか記載のHEMFの製造方法(請求項6)に関す
る。
【0015】また本発明は、ペントースとアミノ酸との
アミノ−カルボニル反応生成物を少なくとも配合した液
体培地に、HEMF産生能を有する酵母を接種培養し、
該培養液中にHEMFを生成蓄積せしめることを特徴と
するHEMFの製造方法(請求項7)や、グルコースを
さらに含むことを特徴とする請求項7記載のHEMFの
製造方法(請求項8)や、ペントースとしてリボースを
用いることを特徴とする請求項7又は8記載のHEMF
の製造方法(請求項9)や、アミノ酸として、セリン、
アラニン、グリシンから選ばれる1種又は2種以上のア
ミノ酸を用いることを特徴とする請求項7〜9のいずれ
か記載のHEMFの製造方法(請求項10)や、HEM
F産生能を有する酵母として耐塩性のチゴサッカロミセ
ス・ルーキシを用いることを特徴とする請求項7〜10
のいずれか記載のHEMFの製造方法(請求項11)に
関する。
アミノ−カルボニル反応生成物を少なくとも配合した液
体培地に、HEMF産生能を有する酵母を接種培養し、
該培養液中にHEMFを生成蓄積せしめることを特徴と
するHEMFの製造方法(請求項7)や、グルコースを
さらに含むことを特徴とする請求項7記載のHEMFの
製造方法(請求項8)や、ペントースとしてリボースを
用いることを特徴とする請求項7又は8記載のHEMF
の製造方法(請求項9)や、アミノ酸として、セリン、
アラニン、グリシンから選ばれる1種又は2種以上のア
ミノ酸を用いることを特徴とする請求項7〜9のいずれ
か記載のHEMFの製造方法(請求項10)や、HEM
F産生能を有する酵母として耐塩性のチゴサッカロミセ
ス・ルーキシを用いることを特徴とする請求項7〜10
のいずれか記載のHEMFの製造方法(請求項11)に
関する。
【0016】さらに本発明は、炭素源としてのペントー
ス及び窒素源としてのアミノ酸が少なくとも配合されて
いることを特徴とするHEMF製造用培地組成物(請求
項12)や、グルコースがさらに含まれていることを特
徴とする請求項12記載のHEMF製造用培地組成物
(請求項13)や、ペントースとしてリボースを用いる
ことを特徴とする請求項12又は13記載のHEMF製
造用培地組成物(請求項14)や、アミノ酸として、セ
リン、アラニン、グリシンから選ばれる1種又は2種以
上のアミノ酸を用いることを特徴とする請求項12〜1
4のいずれか記載のHEMF製造用培地組成物(請求項
15)や、HEMF製造用培地組成物が酵母用の培地組
成物であることを特徴とする請求項12〜15のいずれ
か記載のHEMF製造用培地組成物(請求項16)や、
ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル反応生成
物が少なくとも配合されていることを特徴とするHEM
F製造用培地組成物(請求項17)や、グルコースがさ
らに含まれていることを特徴とする請求項17記載のH
EMF製造用培地組成物(請求項18)や、ペントース
としてリボースを用いることを特徴とする請求項17又
は18記載のHEMF製造用培地組成物(請求項19)
や、アミノ酸として、セリン、アラニン、グリシンから
選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸を用いることを特
徴とする請求項17〜19のいずれか記載のHEMF製
造用培地組成物(請求項20)や、HEMF製造用培地
組成物が酵母用の培地組成物であることを特徴とする請
求項17〜20のいずれか記載のHEMF製造用培地組
成物(請求項21)に関する。
ス及び窒素源としてのアミノ酸が少なくとも配合されて
いることを特徴とするHEMF製造用培地組成物(請求
項12)や、グルコースがさらに含まれていることを特
徴とする請求項12記載のHEMF製造用培地組成物
(請求項13)や、ペントースとしてリボースを用いる
ことを特徴とする請求項12又は13記載のHEMF製
造用培地組成物(請求項14)や、アミノ酸として、セ
リン、アラニン、グリシンから選ばれる1種又は2種以
上のアミノ酸を用いることを特徴とする請求項12〜1
4のいずれか記載のHEMF製造用培地組成物(請求項
15)や、HEMF製造用培地組成物が酵母用の培地組
成物であることを特徴とする請求項12〜15のいずれ
か記載のHEMF製造用培地組成物(請求項16)や、
ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル反応生成
物が少なくとも配合されていることを特徴とするHEM
F製造用培地組成物(請求項17)や、グルコースがさ
らに含まれていることを特徴とする請求項17記載のH
EMF製造用培地組成物(請求項18)や、ペントース
としてリボースを用いることを特徴とする請求項17又
は18記載のHEMF製造用培地組成物(請求項19)
や、アミノ酸として、セリン、アラニン、グリシンから
選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸を用いることを特
徴とする請求項17〜19のいずれか記載のHEMF製
造用培地組成物(請求項20)や、HEMF製造用培地
組成物が酵母用の培地組成物であることを特徴とする請
求項17〜20のいずれか記載のHEMF製造用培地組
成物(請求項21)に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のHEMFの製造方法は、
炭素源としてのペントース及び窒素源としてのアミノ酸
を少なくとも配合した液体培地を、該ペントース及びア
ミノ酸の共存下に加熱した後、HEMF産生能を有する
酵母を接種培養し、該培養液中にHEMFを生成蓄積せ
しめHEMFを採取することや、ペントースとアミノ酸
とのアミノ−カルボニル反応生成物を少なくとも配合し
た液体培地に、HEMF産生能を有する酵母を接種培養
し、該培養液中にHEMFを生成蓄積せしめHEMFを
採取することを特徴とし、また、本発明のHEMF製造
用培地組成物は、炭素源としてのペントース及び窒素源
としてのアミノ酸が少なくとも配合されていることや、
ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル反応生成
物が少なくとも配合されていることを特徴とする。
炭素源としてのペントース及び窒素源としてのアミノ酸
を少なくとも配合した液体培地を、該ペントース及びア
ミノ酸の共存下に加熱した後、HEMF産生能を有する
酵母を接種培養し、該培養液中にHEMFを生成蓄積せ
しめHEMFを採取することや、ペントースとアミノ酸
とのアミノ−カルボニル反応生成物を少なくとも配合し
た液体培地に、HEMF産生能を有する酵母を接種培養
し、該培養液中にHEMFを生成蓄積せしめHEMFを
採取することを特徴とし、また、本発明のHEMF製造
用培地組成物は、炭素源としてのペントース及び窒素源
としてのアミノ酸が少なくとも配合されていることや、
ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル反応生成
物が少なくとも配合されていることを特徴とする。
【0018】本発明のHEMFの製造用培地における炭
素源としては、ペントースが含まれるものであればどの
ようなものでもよく、かかるペントースとしてはリボー
ス、アラビノース、キシロース等を具体的に例示するこ
とができるが、HEMFの収量、入手の容易さ等の面で
リボースが好ましい。また、炭素源として、上記のペン
トースの他に、例えば、グルコース、フラクトース、シ
ュークロース、マルトース、マンノース、トレハロー
ス、グリセロール、デンプン、廃糖蜜等のHEMF産生
能を有する酵母が資化しうるものであればどのような炭
素源をも併用することができるが、資化効率及びコスト
面でグルコースが好ましい。
素源としては、ペントースが含まれるものであればどの
ようなものでもよく、かかるペントースとしてはリボー
ス、アラビノース、キシロース等を具体的に例示するこ
とができるが、HEMFの収量、入手の容易さ等の面で
リボースが好ましい。また、炭素源として、上記のペン
トースの他に、例えば、グルコース、フラクトース、シ
ュークロース、マルトース、マンノース、トレハロー
ス、グリセロール、デンプン、廃糖蜜等のHEMF産生
能を有する酵母が資化しうるものであればどのような炭
素源をも併用することができるが、資化効率及びコスト
面でグルコースが好ましい。
【0019】本発明のHEMFの製造用培地における窒
素源としては、アミノ酸が含まれるものであればどのよ
うなものでもよく、かかるアミノ酸としてはグリシン、
アラニン、セリン、トレオニン、グルタミン酸等を具体
的に例示することができるが、HEMFの収率の点等か
らして、グリシン、アラニン、セリンが好ましい。その
調製が容易な液体培地の点からすると、窒素源としては
アミノ酸だけで十分であるが、かかるアミノ酸の他に、
酵母エキス、アンモニウム塩、ポリペプトン、肉エキ
ス、コーンスチープリカー等のHEMF産生能を有する
酵母が資化しうるものであればどのような窒素源をも併
用することができる。
素源としては、アミノ酸が含まれるものであればどのよ
うなものでもよく、かかるアミノ酸としてはグリシン、
アラニン、セリン、トレオニン、グルタミン酸等を具体
的に例示することができるが、HEMFの収率の点等か
らして、グリシン、アラニン、セリンが好ましい。その
調製が容易な液体培地の点からすると、窒素源としては
アミノ酸だけで十分であるが、かかるアミノ酸の他に、
酵母エキス、アンモニウム塩、ポリペプトン、肉エキ
ス、コーンスチープリカー等のHEMF産生能を有する
酵母が資化しうるものであればどのような窒素源をも併
用することができる。
【0020】また、本発明のHEMFの製造に用いられ
る培地成分として無機塩を用いることが好ましく、かか
る無機塩としては塩化ナトリウム(食塩)、リン酸第二
水素カリ、リン酸第一水素カリ、硫酸マグネシウム等を
具体的に例示することができる。また、優れたHEMF
産生能を有する酵母は耐塩性酵母であることが多いこと
から、培地中に塩化ナトリウムを5〜15%含有せしめ
ることができるが、塩化ナトリウムが配合されていない
培地を用いることもできる。
る培地成分として無機塩を用いることが好ましく、かか
る無機塩としては塩化ナトリウム(食塩)、リン酸第二
水素カリ、リン酸第一水素カリ、硫酸マグネシウム等を
具体的に例示することができる。また、優れたHEMF
産生能を有する酵母は耐塩性酵母であることが多いこと
から、培地中に塩化ナトリウムを5〜15%含有せしめ
ることができるが、塩化ナトリウムが配合されていない
培地を用いることもできる。
【0021】その他、培地の調製に用いられる水として
は、通常培地作製に用いられる水であればどのような水
でも使用しうるが、培地への水の影響を避け、蒸留水に
匹敵する安定した性質の水を得る観点から、逆浸透膜に
より濾過した精製水を用いることが好ましい。また、調
製した培地の殺菌は、ペントースとアミノ酸の共存下の
加熱殺菌であればどのような殺菌方法でもよいが、ペン
トースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル反応(メイラ
ード反応)が生起する加熱条件が好ましく、例えば12
0℃で15分間の加圧加熱殺菌を具体的に例示すること
ができる。
は、通常培地作製に用いられる水であればどのような水
でも使用しうるが、培地への水の影響を避け、蒸留水に
匹敵する安定した性質の水を得る観点から、逆浸透膜に
より濾過した精製水を用いることが好ましい。また、調
製した培地の殺菌は、ペントースとアミノ酸の共存下の
加熱殺菌であればどのような殺菌方法でもよいが、ペン
トースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル反応(メイラ
ード反応)が生起する加熱条件が好ましく、例えば12
0℃で15分間の加圧加熱殺菌を具体的に例示すること
ができる。
【0022】本発明のHEMFの製造方法の他の態様と
しては、ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル
反応生成物を少なくとも配合した液体培地を使用する方
法を挙げることができる。かかる液体培地の製法として
は、あらかじめペントースとアミノ酸、好ましくはグル
コース等のペントース以外の他の糖類を除くその他の培
地成分を含有する溶液を加熱し、好ましくは加熱殺菌
し、アミノ−カルボニル反応生成物含有液状物を調製し
ておき、該液状のアミノ−カルボニル反応生成物を、必
要に応じて希釈して、他の滅菌済み培地成分と無菌的条
件下で混合する方法を挙げることができる。かかるアミ
ノ−カルボニル反応生成物は、C5のアマドリ化合物等
のHEMF生成におけるHEMF前駆体物質を多く含
み、この前駆体物質がHEMF産生能を有する酵母によ
り高効率でHEMFに変換される。
しては、ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニル
反応生成物を少なくとも配合した液体培地を使用する方
法を挙げることができる。かかる液体培地の製法として
は、あらかじめペントースとアミノ酸、好ましくはグル
コース等のペントース以外の他の糖類を除くその他の培
地成分を含有する溶液を加熱し、好ましくは加熱殺菌
し、アミノ−カルボニル反応生成物含有液状物を調製し
ておき、該液状のアミノ−カルボニル反応生成物を、必
要に応じて希釈して、他の滅菌済み培地成分と無菌的条
件下で混合する方法を挙げることができる。かかるアミ
ノ−カルボニル反応生成物は、C5のアマドリ化合物等
のHEMF生成におけるHEMF前駆体物質を多く含
み、この前駆体物質がHEMF産生能を有する酵母によ
り高効率でHEMFに変換される。
【0023】本発明のHEMF製造用培地組成物は、炭
素源としてのペントース及び窒素源としてのアミノ酸が
少なくとも配合されていればどのようなものでもよく、
かかるHEMF製造用培地組成物は、使用に際して加熱
される。また、本発明の他の態様のHEMF製造用培地
組成物は、ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニ
ル反応生成物が少なくとも配合されていればどのような
ものでもよく、このHEMF製造用培地組成物は、使用
に際して必ずしも加熱する必要はない。そして、これら
HEMF製造用培地組成物は水等に溶解して液体培地と
して用いられる。
素源としてのペントース及び窒素源としてのアミノ酸が
少なくとも配合されていればどのようなものでもよく、
かかるHEMF製造用培地組成物は、使用に際して加熱
される。また、本発明の他の態様のHEMF製造用培地
組成物は、ペントースとアミノ酸とのアミノ−カルボニ
ル反応生成物が少なくとも配合されていればどのような
ものでもよく、このHEMF製造用培地組成物は、使用
に際して必ずしも加熱する必要はない。そして、これら
HEMF製造用培地組成物は水等に溶解して液体培地と
して用いられる。
【0024】次に本発明に用いられるHEMF産生能を
有する酵母としては、HEMFを産生することができる
酵母であれば特に制限されるものではなく、従来公知の
耐塩性のチゴサッカロミセス・ルーキシ等のHEMF産
生能を有する酵母を例示することができ、より具体的に
は、一般の味噌の製造に用いられるチゴサッカロミセス
・ルーキシS96(新潟県食品研究所)、仙台味噌の製
造に用いられるチゴサッカロミセス・ルーキシ061
(宮城県味噌醤油協同組合)、チゴサッカロミセス・ル
ーキシATCC13356、キャンディダ・エチェルシ
(Candida etchellsii)IFO10037、サッカロミ
セス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisae)IFO
2146等を挙げることができるが、優れたHEMF産
生能を有する耐塩性のチゴサッカロミセス・ルーキシを
用いることが好ましい。なお、酵母以外のHEMF産生
能を有する微生物であっても、本発明の炭素源としての
ペントース及び窒素源としてのアミノ酸が少なくとも配
合されているHEMF製造用培地組成物等を使用してH
EMFを製造することができる。
有する酵母としては、HEMFを産生することができる
酵母であれば特に制限されるものではなく、従来公知の
耐塩性のチゴサッカロミセス・ルーキシ等のHEMF産
生能を有する酵母を例示することができ、より具体的に
は、一般の味噌の製造に用いられるチゴサッカロミセス
・ルーキシS96(新潟県食品研究所)、仙台味噌の製
造に用いられるチゴサッカロミセス・ルーキシ061
(宮城県味噌醤油協同組合)、チゴサッカロミセス・ル
ーキシATCC13356、キャンディダ・エチェルシ
(Candida etchellsii)IFO10037、サッカロミ
セス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisae)IFO
2146等を挙げることができるが、優れたHEMF産
生能を有する耐塩性のチゴサッカロミセス・ルーキシを
用いることが好ましい。なお、酵母以外のHEMF産生
能を有する微生物であっても、本発明の炭素源としての
ペントース及び窒素源としてのアミノ酸が少なくとも配
合されているHEMF製造用培地組成物等を使用してH
EMFを製造することができる。
【0025】HEMF産生能を有する酵母の培養は、静
置培養などの好気的液体培養で行うことができ、培養温
度としては酵母が生育しうる温度であれば特に制限され
ることはないが、通常20〜40℃が好適である。また
培養中は培地のpHを4〜7、好ましくは5〜6に維持す
ることがHEMFを高収率で生成蓄積せしめるために好
ましい。培養時間は特に制限されないが、通常1〜30
日間で、HEMFが最高に生成蓄積される時期に培養を
終了することが好ましい。
置培養などの好気的液体培養で行うことができ、培養温
度としては酵母が生育しうる温度であれば特に制限され
ることはないが、通常20〜40℃が好適である。また
培養中は培地のpHを4〜7、好ましくは5〜6に維持す
ることがHEMFを高収率で生成蓄積せしめるために好
ましい。培養時間は特に制限されないが、通常1〜30
日間で、HEMFが最高に生成蓄積される時期に培養を
終了することが好ましい。
【0026】そして、HEMFが生成蓄積した培養物
は、そのまま風味・香味改良剤として用いることができ
るが、この培養物からHEMFを公知の濃縮・単離処
理、例えば有機溶媒抽出、減圧蒸留、分子蒸留又はこれ
らの組み合せ処理により分離・精製し、このHEMFを
風味・香味改良剤、抗酸化剤等の食品添加剤として、ま
た、抗腫瘍剤等の医薬として用いることができる。
は、そのまま風味・香味改良剤として用いることができ
るが、この培養物からHEMFを公知の濃縮・単離処
理、例えば有機溶媒抽出、減圧蒸留、分子蒸留又はこれ
らの組み合せ処理により分離・精製し、このHEMFを
風味・香味改良剤、抗酸化剤等の食品添加剤として、ま
た、抗腫瘍剤等の医薬として用いることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明の技術的範囲はかかる実施例により限
定されるものではない。 実施例1 実施例1においては、HEMF産生能を有する酵母とし
て、新潟県食品研究所から分譲を受けたチゴサッカロミ
セス・ルーキシS96酵母を使用し、また、培地調製用
の水としては、逆浸透膜により濾過した精製水(以下
「RO水」という)を用いた。また、以下に示すA〜D
の各種培地は、2つのタイプ、すなわちタイプI(すべ
ての配合成分を含む溶液を1つの容器内で加熱殺菌)と
タイプII(糖溶液と含窒素化合物等の他の成分とを別々
に加熱殺菌した後、これらを無菌的に混合)の2通り作
製した。
明するが、本発明の技術的範囲はかかる実施例により限
定されるものではない。 実施例1 実施例1においては、HEMF産生能を有する酵母とし
て、新潟県食品研究所から分譲を受けたチゴサッカロミ
セス・ルーキシS96酵母を使用し、また、培地調製用
の水としては、逆浸透膜により濾過した精製水(以下
「RO水」という)を用いた。また、以下に示すA〜D
の各種培地は、2つのタイプ、すなわちタイプI(すべ
ての配合成分を含む溶液を1つの容器内で加熱殺菌)と
タイプII(糖溶液と含窒素化合物等の他の成分とを別々
に加熱殺菌した後、これらを無菌的に混合)の2通り作
製した。
【0028】(醤油麹エキス含有基本培地A;対照)4
00gの醤油麹と1600mlの約70℃の湯とを混合
し、65℃で24時間静置した後、上清を濾過して20
00mlに調整することにより、チゴサッカロミセス・
ルーキシ用培地に用いられる醤油麹エキスを調製した。
この醤油麹エキス500mlと、100gのグルコー
ス、100gの食塩、10gのKH2PO4、5.0gの
MgSO4・7H2O、5.0gの酵母エキス、及び50
0mlのRO水を配合し、pH5.5に調整した後、1
20℃で15分間加圧殺菌して、チゴサッカロミセス・
ルーキシ用の基本培地(以下「培地A」という)を調製
した。
00gの醤油麹と1600mlの約70℃の湯とを混合
し、65℃で24時間静置した後、上清を濾過して20
00mlに調整することにより、チゴサッカロミセス・
ルーキシ用培地に用いられる醤油麹エキスを調製した。
この醤油麹エキス500mlと、100gのグルコー
ス、100gの食塩、10gのKH2PO4、5.0gの
MgSO4・7H2O、5.0gの酵母エキス、及び50
0mlのRO水を配合し、pH5.5に調整した後、1
20℃で15分間加圧殺菌して、チゴサッカロミセス・
ルーキシ用の基本培地(以下「培地A」という)を調製
した。
【0029】(醤油麹エキス含有培地B;比較例)表1
に示されるように、培地Aのグルコース100gのうち
の25gを同量のリボース、アラビノース、又はキシロ
ースでそれぞれ置換する以外は培地Aと同様に調製し、
培地B1、培地B2及び培地B3を得た。
に示されるように、培地Aのグルコース100gのうち
の25gを同量のリボース、アラビノース、又はキシロ
ースでそれぞれ置換する以外は培地Aと同様に調製し、
培地B1、培地B2及び培地B3を得た。
【0030】
【表1】
【0031】(タンパク質分解物含有培地C;比較例)
表1に示されるように、培地Aのグルコース100gの
うちの25gを同量のリボースに置換し、かつ、培地A
における主要な窒素源である醤油麹エキスの代わりに、
10gのポリペプトン(ペプシンによるタンパク質加水
分解物)又は10gのカザミノ酸(牛乳カゼインの酸加
水分解物)を用いる以外は、培地Aと同様に調製し、培
地C1及び培地C2を得た。
表1に示されるように、培地Aのグルコース100gの
うちの25gを同量のリボースに置換し、かつ、培地A
における主要な窒素源である醤油麹エキスの代わりに、
10gのポリペプトン(ペプシンによるタンパク質加水
分解物)又は10gのカザミノ酸(牛乳カゼインの酸加
水分解物)を用いる以外は、培地Aと同様に調製し、培
地C1及び培地C2を得た。
【0032】(本発明のアミノ酸含有培地Dの調製)表
1に示されるように、培地Aのグルコース100gのう
ちの25gを同量のリボースに置換し、かつ、培地Aに
おける主要な窒素源である醤油麹エキスの代わりに、そ
れぞれ10gのグルタミン酸、トレオニン、セリン、又
はアラニンを用いる以外は、培地Aと同様に調製し、培
地D1、培地D2、培地D3及び培地D4を得た。
1に示されるように、培地Aのグルコース100gのう
ちの25gを同量のリボースに置換し、かつ、培地Aに
おける主要な窒素源である醤油麹エキスの代わりに、そ
れぞれ10gのグルタミン酸、トレオニン、セリン、又
はアラニンを用いる以外は、培地Aと同様に調製し、培
地D1、培地D2、培地D3及び培地D4を得た。
【0033】(酵母の培養)培養スターター用の液体培
地は無加熱の醤油(25mlの生醤油)とグルコース
(5.0g)を100mlのRO水に溶かし、加圧殺菌
の前に10%の食塩水濃度となるように塩濃度を調整し
た。この液体培地(25g)に、一白金耳のチゴサッカ
ロミセス・ルーキシS96をスラントから植菌し、培養
スターターを得るために27℃で1週間培養した。この
培養スターター1mlを表1のA〜Dの各培地100m
lに植菌し、27℃で20日間静置培養した。各培地に
おける培養はそれぞれ2回ずつ行った。
地は無加熱の醤油(25mlの生醤油)とグルコース
(5.0g)を100mlのRO水に溶かし、加圧殺菌
の前に10%の食塩水濃度となるように塩濃度を調整し
た。この液体培地(25g)に、一白金耳のチゴサッカ
ロミセス・ルーキシS96をスラントから植菌し、培養
スターターを得るために27℃で1週間培養した。この
培養スターター1mlを表1のA〜Dの各培地100m
lに植菌し、27℃で20日間静置培養した。各培地に
おける培養はそれぞれ2回ずつ行った。
【0034】(酵母数等の計測)顕微鏡でトーマ血球計
(Thoma hematometer)を用いて酵母菌数を計測し、1m
l中の平均酵母菌数を算出した。また、培養後の培養液
を3000rpmで15分間遠心分離した後、培養液上
清中のpH値、残存グルコース量及び食塩濃度を同時に
調べた。グルコース及び食塩濃度は、それぞれ3,5−
ジニトロサリチル酸法及びFr. Mohr法(Ayers, C., Arg
entometric methods. In Comprehensive Analytical Ch
emistry, Classical Analysis, Wilson, C. L., and Wi
lson, D. W., eds; Elsevier Science Publishers, Ams
terdam, 1960, Vol.1B, Chapter 5,pp.222-237)によっ
て計測した。
(Thoma hematometer)を用いて酵母菌数を計測し、1m
l中の平均酵母菌数を算出した。また、培養後の培養液
を3000rpmで15分間遠心分離した後、培養液上
清中のpH値、残存グルコース量及び食塩濃度を同時に
調べた。グルコース及び食塩濃度は、それぞれ3,5−
ジニトロサリチル酸法及びFr. Mohr法(Ayers, C., Arg
entometric methods. In Comprehensive Analytical Ch
emistry, Classical Analysis, Wilson, C. L., and Wi
lson, D. W., eds; Elsevier Science Publishers, Ams
terdam, 1960, Vol.1B, Chapter 5,pp.222-237)によっ
て計測した。
【0035】(HEMFの検出)香気濃縮物をカラム濃
縮法により調製した。80mlの培養培地の上清又は未
培養の培地を、それぞれ精製されたポーラスポリマー
(GL Sciences社製「Tenax TA」60−80メッシ
ュ)2.0gを充填したガラス製カラムに流下した。カ
ラムを水で洗浄後、芳香成分を内部標準としての1−デ
カノールを含む50mlのエーテルにより溶出させ、脱
水後、大気下でのエーテル蒸留によって香気濃縮物を得
た。香気濃縮物をGC(Shimadzu GC14A)及びG
C−MS(a Hewlett Packard 5972 series mass spect
rometer combined with a Hewlett Packard 5890 serie
s II gas chromatograph; MS was conducted in the EI
mode)によって分析した。各化合物は、標準物質の測定
値に基づき、文献中のマススペクトルデータ及びGCの
リテンションタイムにより同定した。分析条件は、本発
明者らによる報告(Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi,
Vol.38,491-493,1991や同Vol.45,323-329,1998や同Vol.
38,1093-1097,1991)に詳細に述べられている。各芳香
成分の濃度は、内部標準のピークエリアに対する割合に
より算出した。
縮法により調製した。80mlの培養培地の上清又は未
培養の培地を、それぞれ精製されたポーラスポリマー
(GL Sciences社製「Tenax TA」60−80メッシ
ュ)2.0gを充填したガラス製カラムに流下した。カ
ラムを水で洗浄後、芳香成分を内部標準としての1−デ
カノールを含む50mlのエーテルにより溶出させ、脱
水後、大気下でのエーテル蒸留によって香気濃縮物を得
た。香気濃縮物をGC(Shimadzu GC14A)及びG
C−MS(a Hewlett Packard 5972 series mass spect
rometer combined with a Hewlett Packard 5890 serie
s II gas chromatograph; MS was conducted in the EI
mode)によって分析した。各化合物は、標準物質の測定
値に基づき、文献中のマススペクトルデータ及びGCの
リテンションタイムにより同定した。分析条件は、本発
明者らによる報告(Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi,
Vol.38,491-493,1991や同Vol.45,323-329,1998や同Vol.
38,1093-1097,1991)に詳細に述べられている。各芳香
成分の濃度は、内部標準のピークエリアに対する割合に
より算出した。
【0036】(培地Aにおける結果)培地に糖とアミノ
酸が両方含まれていると、加圧殺菌過程でアミノ−カル
ノボニル反応が生ずるので、醤油麹エキス及びグルコー
スを含んでいる培地A(タイプI)において、何らかの
芳香成分がアミノ−カルボニル反応によって生じている
かどうかを、培養前の培地A(タイプI)について調べ
たところ、培養前の培地A(タイプI)においてHEM
Fは全く検出されなかった。他方、培養後の主要な芳香
成分として、2−メチル−1−プロパノール、3−メチ
ル−1−ブタノール、L−2,3−ブタンジオール、メ
ソ−2,3−ブタンジオール、及び2−フェニルエタノ
ールが検出されたが、これらは培養前の培地中に全く検
出されなかったので、酵母の培養中に生じたと考えられ
る。しかし、培地A(タイプI)においてHEMFは培
養後も全く生じていなかった。
酸が両方含まれていると、加圧殺菌過程でアミノ−カル
ノボニル反応が生ずるので、醤油麹エキス及びグルコー
スを含んでいる培地A(タイプI)において、何らかの
芳香成分がアミノ−カルボニル反応によって生じている
かどうかを、培養前の培地A(タイプI)について調べ
たところ、培養前の培地A(タイプI)においてHEM
Fは全く検出されなかった。他方、培養後の主要な芳香
成分として、2−メチル−1−プロパノール、3−メチ
ル−1−ブタノール、L−2,3−ブタンジオール、メ
ソ−2,3−ブタンジオール、及び2−フェニルエタノ
ールが検出されたが、これらは培養前の培地中に全く検
出されなかったので、酵母の培養中に生じたと考えられ
る。しかし、培地A(タイプI)においてHEMFは培
養後も全く生じていなかった。
【0037】(培地Bにおける結果)ペントースリン酸
サイクルが酵母によるHEMFの生成に関わっていると
の報告があるので、前記のように、培地Aにおける25
%のグルコースをペントース類、すなわちリボース、ア
ラビノース及びキシロースでそれぞれ置換した培地B
1、培地B2及び培地B3を用いた。培地B1(タイプ
I)、培地B2(タイプI)、及び培地B3(タイプ
I)における培養前の芳香成分は加圧殺菌時のアミノ−
カルボニル反応に帰するものであり、特にリボースが用
いられた培地B1(タイプI)の場合、4−ハイドロキ
シ−5−メチル−3(2H)−フラノン及び酢酸が多量
に生成していた。培地B1(タイプI)に対して、培地
B1(タイプII)の場合、糖と窒素化合物とが別々に加
圧殺菌されていることから、褐色になることがほとんど
なく、例えば、培地B1(タイプII)においては、タイ
プIにおいて加熱により生じた芳香成分の濃度はきわめ
て低かった。また、酵母の培養後、HEMFは培地B1
(タイプI)、培地B2(タイプI)及び培地B3(タ
イプI)においてそれぞれ10.5ppm、4.1pp
m、4.3ppmであったが、B1(タイプII)におい
てはHEMF濃度は0.4ppmと低かった。これらの
結果から、酵母によるHEMFの生成は加熱中に醤油麹
エキスに反応する種類のペントースにより影響されるこ
とがわかった。
サイクルが酵母によるHEMFの生成に関わっていると
の報告があるので、前記のように、培地Aにおける25
%のグルコースをペントース類、すなわちリボース、ア
ラビノース及びキシロースでそれぞれ置換した培地B
1、培地B2及び培地B3を用いた。培地B1(タイプ
I)、培地B2(タイプI)、及び培地B3(タイプ
I)における培養前の芳香成分は加圧殺菌時のアミノ−
カルボニル反応に帰するものであり、特にリボースが用
いられた培地B1(タイプI)の場合、4−ハイドロキ
シ−5−メチル−3(2H)−フラノン及び酢酸が多量
に生成していた。培地B1(タイプI)に対して、培地
B1(タイプII)の場合、糖と窒素化合物とが別々に加
圧殺菌されていることから、褐色になることがほとんど
なく、例えば、培地B1(タイプII)においては、タイ
プIにおいて加熱により生じた芳香成分の濃度はきわめ
て低かった。また、酵母の培養後、HEMFは培地B1
(タイプI)、培地B2(タイプI)及び培地B3(タ
イプI)においてそれぞれ10.5ppm、4.1pp
m、4.3ppmであったが、B1(タイプII)におい
てはHEMF濃度は0.4ppmと低かった。これらの
結果から、酵母によるHEMFの生成は加熱中に醤油麹
エキスに反応する種類のペントースにより影響されるこ
とがわかった。
【0038】(培地A及びBにおける培養結果)培地A
及び培地Bにおける酵母の培養結果を表2に示す。酵母
菌数は培養後に107個/mlの水準に到達し、各培地
中のほとんどのグルコースは20日間の培養の間に消費
されていた。また、各培地のpH値は5.0前後であ
り、食塩濃度も培養後の各培地においてほとんど同じ値
を示していた。
及び培地Bにおける酵母の培養結果を表2に示す。酵母
菌数は培養後に107個/mlの水準に到達し、各培地
中のほとんどのグルコースは20日間の培養の間に消費
されていた。また、各培地のpH値は5.0前後であ
り、食塩濃度も培養後の各培地においてほとんど同じ値
を示していた。
【0039】
【表2】
【0040】(培地C及び培地Dにおける培養前の結
果)醤油麹エキスは複雑な窒素成分を含んでいることか
ら、醤油麹エキスをポリペプトン、カザミノ酸、及びい
くつかのアミノ酸に置換したタイプI及びタイプIIの両
培地を用いてHEMFの生成における影響を調べた。ま
ず、タイプIにおいては、HEMFが、27℃20日間
の培養中に、酵母の存在の有無にかかわらず、アミノ−
カルボニル反応によって生成する可能性があるので、酵
母を植菌していない培地を、酵母を植菌した場合と同条
件下でインキュベートした。酵母を植菌していないアラ
ニン含有培地D4(タイプI)及びD4(タイプII)を
インキュベーションしたとき、培地D4(タイプI)に
おいてHEMFは全く検出されなかったが、D4(タイ
プII)においては自然に発生した少量(0.4ppm)
のHEMFが検出された。
果)醤油麹エキスは複雑な窒素成分を含んでいることか
ら、醤油麹エキスをポリペプトン、カザミノ酸、及びい
くつかのアミノ酸に置換したタイプI及びタイプIIの両
培地を用いてHEMFの生成における影響を調べた。ま
ず、タイプIにおいては、HEMFが、27℃20日間
の培養中に、酵母の存在の有無にかかわらず、アミノ−
カルボニル反応によって生成する可能性があるので、酵
母を植菌していない培地を、酵母を植菌した場合と同条
件下でインキュベートした。酵母を植菌していないアラ
ニン含有培地D4(タイプI)及びD4(タイプII)を
インキュベーションしたとき、培地D4(タイプI)に
おいてHEMFは全く検出されなかったが、D4(タイ
プII)においては自然に発生した少量(0.4ppm)
のHEMFが検出された。
【0041】(培地C及び培地Dにおける培養後の結
果)タイプI及びタイプIIの培地C1、培地C2、培地
D1、培地D2、培地D3及び培地D4を用いて、酵母
を接種して27℃で20日間培養を行った。これらタイ
プI及びタイプIIの培地C及び培地Dにおける酵母菌数
は、醤油麹エキスの培地を用いた場合と同様に107個
/mlまで増大した。酵母による培養後、25〜30%
前後のグルコースが培地には残存し、培地のpH値はB
1(タイプI)の場合と比べて0.3ユニット低かっ
た。また、図1に示すように、HEMFのタイプIにお
ける生成は窒素源によって変化し、培地C1(タイプ
I)、C2(タイプI)においてそれぞれ7.1ppm
及び11.6ppm生成し、この値は醤油麹エキスを含
有する培地と同程度であった。
果)タイプI及びタイプIIの培地C1、培地C2、培地
D1、培地D2、培地D3及び培地D4を用いて、酵母
を接種して27℃で20日間培養を行った。これらタイ
プI及びタイプIIの培地C及び培地Dにおける酵母菌数
は、醤油麹エキスの培地を用いた場合と同様に107個
/mlまで増大した。酵母による培養後、25〜30%
前後のグルコースが培地には残存し、培地のpH値はB
1(タイプI)の場合と比べて0.3ユニット低かっ
た。また、図1に示すように、HEMFのタイプIにお
ける生成は窒素源によって変化し、培地C1(タイプ
I)、C2(タイプI)においてそれぞれ7.1ppm
及び11.6ppm生成し、この値は醤油麹エキスを含
有する培地と同程度であった。
【0042】一方、培地D1(タイプI)、D2(タイ
プI)、D3(タイプI)及びD4(タイプI)におい
て、HEMFはそれぞれ15.7ppm、21.7pp
m、65.4ppm及び74.3ppm生成していた。
アミノ酸群、すなわちグルタミン酸(培地D1)、トレ
オニン(培地D2)、セリン(培地D3)、アラニン
(培地D4)を含有する培地においては、ポリペプトン
(培地C1)やカザアミノ酸(培地C2)含有培地より
多くのHEMFが生成し、特にセリン及びアラニンはH
EMFの生成に効果的であった。このように、HEMF
の生成はアミノ酸の種類にも影響されるが、セリン又は
アラニン(アミノ酸)とリボース(ペントース)とのア
ミノ−カルボニル反応によって生じたHEMF前駆物質
が酵母によりHEMFに変換され、培養液中に大量に生
成蓄積したと考えられる。他方、タイプIIの培地C1、
培地C2、培地D1、培地D2、培地D3及び培地D4
において、低濃度のHEMFが生成しており、特に培地
D4(タイプII)において0.6ppm生成していた。
プI)、D3(タイプI)及びD4(タイプI)におい
て、HEMFはそれぞれ15.7ppm、21.7pp
m、65.4ppm及び74.3ppm生成していた。
アミノ酸群、すなわちグルタミン酸(培地D1)、トレ
オニン(培地D2)、セリン(培地D3)、アラニン
(培地D4)を含有する培地においては、ポリペプトン
(培地C1)やカザアミノ酸(培地C2)含有培地より
多くのHEMFが生成し、特にセリン及びアラニンはH
EMFの生成に効果的であった。このように、HEMF
の生成はアミノ酸の種類にも影響されるが、セリン又は
アラニン(アミノ酸)とリボース(ペントース)とのア
ミノ−カルボニル反応によって生じたHEMF前駆物質
が酵母によりHEMFに変換され、培養液中に大量に生
成蓄積したと考えられる。他方、タイプIIの培地C1、
培地C2、培地D1、培地D2、培地D3及び培地D4
において、低濃度のHEMFが生成しており、特に培地
D4(タイプII)において0.6ppm生成していた。
【0043】実施例2 (本発明のグリシン含有培地F)炭素源として75gの
グルコース及び25gのペントース、窒素源として10
gのグリシン、100gの食塩、10gのKH2PO4、
5.0gのMgSO4・7H2O、5.0gの酵母エキス
(DIFCO Labo.製、「YEASTEXTRA
CT」)を1000mlのRO水に溶解させて培地F1
を調製した。また、食塩100gを食塩150gに代え
る他は培地F1と同様にして培地F2を調製した。これ
ら調製した培地F1及びF2のpHを5.5に調整後、
その100mlをそれぞれ200mlフラスコに入れ、
1kg/cm2(ca.120℃)で15分間加圧殺菌
し、タイプIの培地F1及び培地F2を作製した。
グルコース及び25gのペントース、窒素源として10
gのグリシン、100gの食塩、10gのKH2PO4、
5.0gのMgSO4・7H2O、5.0gの酵母エキス
(DIFCO Labo.製、「YEASTEXTRA
CT」)を1000mlのRO水に溶解させて培地F1
を調製した。また、食塩100gを食塩150gに代え
る他は培地F1と同様にして培地F2を調製した。これ
ら調製した培地F1及びF2のpHを5.5に調整後、
その100mlをそれぞれ200mlフラスコに入れ、
1kg/cm2(ca.120℃)で15分間加圧殺菌
し、タイプIの培地F1及び培地F2を作製した。
【0044】また、HEMF生成におけるアミノ−カル
ボニル反応の影響について検討するために、培地F1に
ついてさらに次の3タイプの培地を調製した。F1(タ
イプII)は、リボースとグルコースを含む300mlの
RO水溶液と、グリシンその他の成分を含む700ml
のRO水溶液とを別々に加圧殺菌し、使用直前に無菌的
に混合することにより調製した。F1(タイプIII)
は、グルコースを含む300mlのRO水溶液と、その
他の成分を含む700mlのRO水溶液とを別々に加圧
殺菌し、使用直前に無菌的に混合することにより調製し
た。F1(タイプIV)は、リボースとグリシンを含む3
00mlのRO水溶液と、その他の成分を含む700m
lのRO水溶液とを別々に加圧殺菌し、使用直前に無菌
的に混合することにより調製した。
ボニル反応の影響について検討するために、培地F1に
ついてさらに次の3タイプの培地を調製した。F1(タ
イプII)は、リボースとグルコースを含む300mlの
RO水溶液と、グリシンその他の成分を含む700ml
のRO水溶液とを別々に加圧殺菌し、使用直前に無菌的
に混合することにより調製した。F1(タイプIII)
は、グルコースを含む300mlのRO水溶液と、その
他の成分を含む700mlのRO水溶液とを別々に加圧
殺菌し、使用直前に無菌的に混合することにより調製し
た。F1(タイプIV)は、リボースとグリシンを含む3
00mlのRO水溶液と、その他の成分を含む700m
lのRO水溶液とを別々に加圧殺菌し、使用直前に無菌
的に混合することにより調製した。
【0045】(酵母の培養)HEMF産生酵母として、
宮城県味噌醤油協同組合から分譲された耐塩性酵母チゴ
サッカロミセス・ルーキシ061を用いた。培養スター
ター用の液体培地は無加熱の醤油(25mlの生醤油)
とグルコース(5.0g)を100mlのRO水に溶か
し、加圧殺菌の前に10%の食塩水濃度となるように塩
濃度を調整した。この液体培地(25g)に、一白金耳
のチゴサッカロミセス・ルーキシ016をスラントから
植菌し、培養スターターを得るために27℃で1週間培
養した。この培養スターター1mlを前記F1(タイプ
I)、F2(タイプI)、F1(タイプII)、F1(タ
イプIII)、F1(タイプIV)の各培地100mlに植
菌し、F1(タイプI)及びF2(タイプI)について
は27℃で5週間、F1(タイプII)、F1(タイプII
I)及びF1(タイプIV)については27℃で3週間静
置培養した。また、F1(タイプI)及びF2(タイプ
I)については植菌することなく27℃で5週間インキ
ュベーションした。各培地における培養・インキュベー
ションはそれぞれ2回ずつ行った。
宮城県味噌醤油協同組合から分譲された耐塩性酵母チゴ
サッカロミセス・ルーキシ061を用いた。培養スター
ター用の液体培地は無加熱の醤油(25mlの生醤油)
とグルコース(5.0g)を100mlのRO水に溶か
し、加圧殺菌の前に10%の食塩水濃度となるように塩
濃度を調整した。この液体培地(25g)に、一白金耳
のチゴサッカロミセス・ルーキシ016をスラントから
植菌し、培養スターターを得るために27℃で1週間培
養した。この培養スターター1mlを前記F1(タイプ
I)、F2(タイプI)、F1(タイプII)、F1(タ
イプIII)、F1(タイプIV)の各培地100mlに植
菌し、F1(タイプI)及びF2(タイプI)について
は27℃で5週間、F1(タイプII)、F1(タイプII
I)及びF1(タイプIV)については27℃で3週間静
置培養した。また、F1(タイプI)及びF2(タイプ
I)については植菌することなく27℃で5週間インキ
ュベーションした。各培地における培養・インキュベー
ションはそれぞれ2回ずつ行った。
【0046】(HEMF等の計測)1週間毎に培養液中
の酵母菌数、pH値、グルコース残存濃度を実施例1に
記載の方法で計測すると同時に、遠心分離で菌体を除去
した培養液から前記ポーラスポリマー(Tenax T
A)を用いたカラム濃縮法により香気濃縮物を調製し
た。得られた濃縮物はGC、GC−MS分析し、あらか
じめHEMFの標準物質を用い、同様の方法で作成した
検量線をもとに、HEMFの液体培養物中の生成量を算
出した。
の酵母菌数、pH値、グルコース残存濃度を実施例1に
記載の方法で計測すると同時に、遠心分離で菌体を除去
した培養液から前記ポーラスポリマー(Tenax T
A)を用いたカラム濃縮法により香気濃縮物を調製し
た。得られた濃縮物はGC、GC−MS分析し、あらか
じめHEMFの標準物質を用い、同様の方法で作成した
検量線をもとに、HEMFの液体培養物中の生成量を算
出した。
【0047】(培地F1のタイプI〜IVの培養結果)H
EMF生成における培地中のグルコース、リボース及び
グリシンの役割を明らかにするために、培地F1のタイ
プI〜IVの培地を用い27℃で3週間静置培養した。こ
れら4タイプの培地中の酵母の生育には大きな差はな
く、酵母菌数は108個/mlのレベルまで増大した。
また、HEMF生成量は、図2に示すように、すべての
成分を一緒に加熱殺菌したF1(タイプI)ではおよそ
130.3ppm、リボースとグルコースを別に加熱殺
菌したF1(タイプII)では4.3ppm、グルコース
のみを別に加熱殺菌したF1(タイプIII)では13
0.6ppm、リボースとグリシンを別に加熱殺菌した
F1(タイプIV)では27.9ppmであった。また、
植菌することなく同様に静置状態でインキュベーション
したF1(タイプI)培地においてはごく少量のHEM
Fが生成されたにすぎなかった。
EMF生成における培地中のグルコース、リボース及び
グリシンの役割を明らかにするために、培地F1のタイ
プI〜IVの培地を用い27℃で3週間静置培養した。こ
れら4タイプの培地中の酵母の生育には大きな差はな
く、酵母菌数は108個/mlのレベルまで増大した。
また、HEMF生成量は、図2に示すように、すべての
成分を一緒に加熱殺菌したF1(タイプI)ではおよそ
130.3ppm、リボースとグルコースを別に加熱殺
菌したF1(タイプII)では4.3ppm、グルコース
のみを別に加熱殺菌したF1(タイプIII)では13
0.6ppm、リボースとグリシンを別に加熱殺菌した
F1(タイプIV)では27.9ppmであった。また、
植菌することなく同様に静置状態でインキュベーション
したF1(タイプI)培地においてはごく少量のHEM
Fが生成されたにすぎなかった。
【0048】上記結果、特にF1(タイプIII)とF1
(タイプIV)との結果から、HEMF前駆体の形成に
は、少なくともグルコースを除く、リボース、グリシン
及びその他の成分の共存下での加熱殺菌処理が好まし
く、グルコース、リボース及びグリシンを含有する培地
の加熱殺菌処理におけるアミノ−カルボニル反応にグル
コースは余り寄与せず、アミノ−カルボニル反応は主と
してリボースとグリシン間で生起し、C5のアマドリ化
合物からなるHEMF前駆体が形成されることがわかっ
た。
(タイプIV)との結果から、HEMF前駆体の形成に
は、少なくともグルコースを除く、リボース、グリシン
及びその他の成分の共存下での加熱殺菌処理が好まし
く、グルコース、リボース及びグリシンを含有する培地
の加熱殺菌処理におけるアミノ−カルボニル反応にグル
コースは余り寄与せず、アミノ−カルボニル反応は主と
してリボースとグリシン間で生起し、C5のアマドリ化
合物からなるHEMF前駆体が形成されることがわかっ
た。
【0049】(タイプIの培地F1及び培地F2の培養
結果)タイプIの培地F1及び培地F2における1週間
毎5週間までの酵母菌数、pH値、グルコース残存濃度
の変化を表3に示す。表3から、食塩濃度を異にする培
地F1及び培地F2の両培地におけるpH変化には余り
差がなく、酵母菌数は1週間後に108個/mlのオー
ダーまで増大し、それ以降は余り変わりがなかったもの
の、培地F2(タイプI)においてはF1(タイプI)
に比べて増殖の程度が低く、またグルコースの消費はF
1(タイプI)の方が培地F2(タイプI)よりも速か
った。これらの結果は、耐塩性酵母においても高食塩濃
度の影響が出現することを示している。
結果)タイプIの培地F1及び培地F2における1週間
毎5週間までの酵母菌数、pH値、グルコース残存濃度
の変化を表3に示す。表3から、食塩濃度を異にする培
地F1及び培地F2の両培地におけるpH変化には余り
差がなく、酵母菌数は1週間後に108個/mlのオー
ダーまで増大し、それ以降は余り変わりがなかったもの
の、培地F2(タイプI)においてはF1(タイプI)
に比べて増殖の程度が低く、またグルコースの消費はF
1(タイプI)の方が培地F2(タイプI)よりも速か
った。これらの結果は、耐塩性酵母においても高食塩濃
度の影響が出現することを示している。
【0050】
【表3】
【0051】また、タイプIの培地F1及び培地F2に
おける1週間毎5週間まで酵母を培養したときのHEM
F生成量の変動結果を図3に示す。F1(タイプI)に
おけるHEMF生成量は、酵母の生育と相関して、1週
目で93ppmになり、その後3〜5週目でおよそ13
0ppmに達した。また、HDMFが培地を調製するこ
とによりおよそ1ppm生成することや、そのレベルが
酵母の培養により0.9〜1.4ppmに微増すること
もわかった。他方、食塩濃度の高いF2(タイプI)に
おいては酵母の成長が抑制され、それに伴いHEMFの
生成も遅くなっているが、3週間後にはF1(タイプ
I)におけると同様にHEMF濃度が130ppmに達
することがわかった。
おける1週間毎5週間まで酵母を培養したときのHEM
F生成量の変動結果を図3に示す。F1(タイプI)に
おけるHEMF生成量は、酵母の生育と相関して、1週
目で93ppmになり、その後3〜5週目でおよそ13
0ppmに達した。また、HDMFが培地を調製するこ
とによりおよそ1ppm生成することや、そのレベルが
酵母の培養により0.9〜1.4ppmに微増すること
もわかった。他方、食塩濃度の高いF2(タイプI)に
おいては酵母の成長が抑制され、それに伴いHEMFの
生成も遅くなっているが、3週間後にはF1(タイプ
I)におけると同様にHEMF濃度が130ppmに達
することがわかった。
【0052】
【発明の効果】本発明によると、醤油麹消化液あるいは
タンパク質分解物等を用いることなく、ペントース、グ
ルコース、アミノ酸、食塩等からなる、より単純な培地
組成の液体培地を用い、酵母により効率よく高生成量、
例えば100ppm以上の高生成量でかつ簡便にHEM
Fを製造することができる。
タンパク質分解物等を用いることなく、ペントース、グ
ルコース、アミノ酸、食塩等からなる、より単純な培地
組成の液体培地を用い、酵母により効率よく高生成量、
例えば100ppm以上の高生成量でかつ簡便にHEM
Fを製造することができる。
【図1】本発明のリボース−アミノ酸系培地を用いた場
合の培地中のHEMF生成量を示す図である。
合の培地中のHEMF生成量を示す図である。
【図2】培地の調製法を異にする本発明のリボース−グ
リシン系培地を用いた場合の培地中のHEMF生成量を
示す図である。
リシン系培地を用いた場合の培地中のHEMF生成量を
示す図である。
【図3】食塩濃度を異にする本発明のリボース−グリシ
ン系培地を用いた場合の培地中のHEMF生成量の変動
結果を示す図である。
ン系培地を用いた場合の培地中のHEMF生成量の変動
結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:645) C12R 1:645)
Claims (21)
- 【請求項1】 炭素源としてのペントース及び窒素源と
してのアミノ酸を少なくとも配合した液体培地を、該ペ
ントース及びアミノ酸の共存下に加熱した後、4−ハイ
ドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチ
ル−3(2H)−フラノン産生能を有する酵母を接種培
養し、該培養液中に4−ハイドロキシ−2(又は5)−
エチル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン
を生成蓄積せしめることを特徴とする4−ハイドロキシ
−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3
(2H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項2】 炭素源としてグルコースをさらに含むこ
とを特徴とする請求項1記載の4−ハイドロキシ−2
(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2
H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項3】 ペントースとしてリボースを用いること
を特徴とする請求項1又は2記載の4−ハイドロキシ−
2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2
H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項4】 アミノ酸として、セリン、アラニン、グ
リシンから選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸を用い
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の4−
ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−
メチル−3(2H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項5】 ペントース及びアミノ酸の共存下の加熱
が加圧殺菌による加熱であることを特徴とする請求項1
〜4のいずれか記載の4−ハイドロキシ−2(又は5)
−エチル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノ
ンの製造方法。 - 【請求項6】 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチ
ル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン産生
能を有する酵母として耐塩性のチゴサッカロミセス・ル
ーキシ(Zygosaccharomyces rouxii)を用いることを特
徴とする請求項1〜5のいずれか記載の4−ハイドロキ
シ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3
(2H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項7】 ペントースとアミノ酸とのアミノ−カル
ボニル反応生成物を少なくとも配合した液体培地に、4
−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)
−メチル−3(2H)−フラノン産生能を有する酵母を
接種培養し、該培養液中に4−ハイドロキシ−2(又は
5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フ
ラノンを生成蓄積せしめることを特徴とする4−ハイド
ロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル
−3(2H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項8】 グルコースをさらに含むことを特徴とす
る請求項7記載の4−ハイドロキシ−2(又は5)−エ
チル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノンの
製造方法。 - 【請求項9】 ペントースとしてリボースを用いること
を特徴とする請求項7又は8記載の4−ハイドロキシ−
2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2
H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項10】 アミノ酸として、セリン、アラニン、
グリシンから選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸を用
いることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載の4
−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)
−メチル−3(2H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項11】 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エ
チル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン産
生能を有する酵母として耐塩性のチゴサッカロミセス・
ルーキシ(Zygosaccharomyces rouxii)を用いることを
特徴とする請求項7〜10のいずれか記載の4−ハイド
ロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル
−3(2H)−フラノンの製造方法。 - 【請求項12】 炭素源としてのペントース及び窒素源
としてのアミノ酸が少なくとも配合されていることを特
徴とする4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5
(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン製造用培地
組成物。 - 【請求項13】 グルコースがさらに含まれていること
を特徴とする請求項12記載の4−ハイドロキシ−2
(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2
H)−フラノン製造用培地組成物。 - 【請求項14】 ペントースとしてリボースを用いるこ
とを特徴とする請求項12又は13記載の4−ハイドロ
キシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−
3(2H)−フラノン製造用培地組成物。 - 【請求項15】 アミノ酸として、セリン、アラニン、
グリシンから選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸を用
いることを特徴とする請求項12〜14のいずれか記載
の4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は
2)−メチル−3(2H)−フラノン製造用培地組成
物。 - 【請求項16】 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エ
チル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン製
造用培地組成物が酵母用の培地組成物であることを特徴
とする請求項12〜15のいずれか記載の4−ハイドロ
キシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−
3(2H)−フラノン製造用培地組成物。 - 【請求項17】 ペントースとアミノ酸とのアミノ−カ
ルボニル反応生成物が少なくとも配合されていることを
特徴とする4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−
5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン製造用培
地組成物。 - 【請求項18】 グルコースがさらに含まれていること
を特徴とする請求項17記載の4−ハイドロキシ−2
(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2
H)−フラノン製造用培地組成物。 - 【請求項19】 ペントースとしてリボースを用いるこ
とを特徴とする請求項17又は18記載の4−ハイドロ
キシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−
3(2H)−フラノン製造用培地組成物。 - 【請求項20】 アミノ酸として、セリン、アラニン、
グリシンから選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸を用
いることを特徴とする請求項17〜19のいずれか記載
の4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は
2)−メチル−3(2H)−フラノン製造用培地組成
物。 - 【請求項21】 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エ
チル−5(又は2)−メチル−3(2H)−フラノン製
造用培地組成物が酵母用の培地組成物であることを特徴
とする請求項17〜20のいずれか記載の4−ハイドロ
キシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−
3(2H)−フラノン製造用培地組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29870699A JP2001120293A (ja) | 1999-10-20 | 1999-10-20 | 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2h)−フラノンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29870699A JP2001120293A (ja) | 1999-10-20 | 1999-10-20 | 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2h)−フラノンの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001120293A true JP2001120293A (ja) | 2001-05-08 |
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ID=17863241
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JP29870699A Pending JP2001120293A (ja) | 1999-10-20 | 1999-10-20 | 4−ハイドロキシ−2(又は5)−エチル−5(又は2)−メチル−3(2h)−フラノンの製造方法 |
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