JP2001116046A - 動圧軸受装置 - Google Patents

動圧軸受装置

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JP2001116046A
JP2001116046A JP2000230230A JP2000230230A JP2001116046A JP 2001116046 A JP2001116046 A JP 2001116046A JP 2000230230 A JP2000230230 A JP 2000230230A JP 2000230230 A JP2000230230 A JP 2000230230A JP 2001116046 A JP2001116046 A JP 2001116046A
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interval
dynamic pressure
minimum
rotary shaft
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JP2000230230A
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English (en)
Inventor
Masamichi Hayakawa
正通 早川
Hisaya Nakagawa
久弥 中川
Michiaki Takizawa
道明 滝沢
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Nidec Sankyo Corp
Original Assignee
Nidec Sankyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転軸と焼結含油軸受との間に動圧軸受を形
成し、回転軸を回転自在に支持する動圧軸受装置におい
て、軸受の内周面形状を適正化し、軸受端からの油漏れ
を防ぎ、安価で、安定性の高い動圧軸受装置を得る。 【解決手段】 焼結含油軸受20の内面には、周方向に
関して、回転軸30との間隔が最小の最小部21、最小
部21に向かって潤滑油が昇圧されるように最小部に連
続し回転軸30との間隔が最小部21より大きい大間隔
部22、大間隔部22と最小部21との間に大間隔部の
間隔よりも大きい間隔の分離溝部23がある。最小部2
1と大間隔部22で一つの動圧軸受面部を構成し、最小
部21の位置は、一つの動圧軸受面部の形成する円弧角
θ1に対して分離溝部23の位置より相対比で1:(0
〜0.2)の位置、最小部21の回転軸30との間隔に
対し大間隔部22の最大間隔は2倍以下。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクドラ
イブ装置、光ディスクドライブ装置、ポリゴンミラー回
転駆動装置、VTRのシリンダ回転駆動装置などのよう
に、高い回転精度が要求される装置や機器等に適合した
動圧軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】動圧軸受装置として、ヘリングボーン型
動圧軸受装置が知られている。これは、回転軸と、この
回転軸を支持するスリーブとを有し、上記回転軸の外周
面とスリーブの内周面の少なくとも一方にヘリングボー
ン形の動圧溝を形成し、上記回転軸とスリーブとの間に
オイル等の潤滑材を介在させることにより、上記回転軸
とスリーブとの間に動圧軸受を形成し、この動圧軸受に
より上記回転軸を回転自在に支持してなるものである。
【0003】上記ヘリングボーン型動圧軸受装置によれ
ば、例えば、真鍮や青銅などの加工性の良好な材料から
なるスリーブの内周面に、切削加工を施して内径を精度
良く仕上げ、さらに、上記内周面または回転軸の外周面
の少なくとも一方にヘリングボーン形の動圧溝を形成す
る加工を施す必要があるため、コストが高くなる難点が
ある。
【0004】その点、特開平9−200998号公報に
記載されているような、燒結金属を用いた動圧軸受によ
れば、低コストで動圧軸受を得ることができるという利
点がある。以下、上記公報記載の発明について概略を説
明する。上記従来技術において、スピンドルモータの回
転軸2は、図10に示すように、ラジアル軸受部4aを
有する滑り軸受4によって支持されている。滑り軸受4
は焼結含油軸受で、軸受内周面4aと回転軸2の外周面
間の隙間17に潤滑剤が介在し、軸受内周面4aには、
軸受中心と同心をなして隙間17の最小部分C1を決定
する同心円弧面16と、隙間17が回転軸2の回転方向
に向かって次第に狭まって同心円弧面16につながるよ
うに軸受中心から偏心した偏心円弧面15とが、それぞ
れ3箇所に形成されている。同心円弧面16の円弧角θ
2は、偏心円弧面15の円弧角θ1に対して相対比で
0.05〜0.1、偏心円弧面15の回転軸2に対する
最大間隙C2は、最小間隙C1の2〜6倍となってい
る。
【0005】上記の動圧軸受は、多円弧軸受といわれる
ものであるが、その多くは大型機器用であり、小型のス
ピンドルモータ、その他の小型機器に適用した例は少な
い。上記のような焼結材による多円弧軸受は、動圧発生
溝が単純な縦方向(軸線方向)の溝であるので、焼結材
の成形時又は再圧縮時に適当なツールを押し当てればよ
く、従来一般の焼結含油軸受とほぼ同等のコストで加工
可能であるという利点がある。
【0006】一方、上記公報に記載されているような動
圧軸受によれば、次に述べるような理由により、油漏れ
を起こしやすく、安定性、信頼性において問題がある。
すなわち、ヘリングボーン型動圧軸受におけるヘリング
ボーン型動圧溝は、動圧溝の軸方向両端側から中心に向
かって油を押し込むことによって動圧力を得ようとする
ものであるから、油の中心側への移動に対して強い規制
力をもち、油漏れは生じ難いが、焼結材による多円弧型
動圧軸受では、油の軸方向中心側への移動に対する規制
力が作用せず、軸受両端から油が漏れやすいという難点
がある。
【0007】大型機器用の多円弧軸受では、油の循環機
構や定期的な給油機構が設けられるが、小型スピンドル
モータ、その他小型機器用動圧軸受には、上記のような
補助機構を設けるスペースをとることができない。前記
公報記載の動圧軸受では、油漏れ対策として、動圧発生
用潤滑油に磁性流体を用い、軸受端に磁気回路を構成し
て油漏れを防ぐようにしているが、これでは潤滑油に制
約条件が生ずるとともに、油漏れを防ぐ機構も大掛かり
となり、高価なものになってしまう難点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
従来技術の問題点を解消するためになされたもので、焼
結含油軸受の内面を動圧発生用の内面形状として回転軸
と焼結含油軸受との間に動圧軸受を形成してなる動圧軸
受装置において、軸受の内周面形状を工夫することによ
り、軸受端部からの油漏れを防ぐことができるように
し、また、必要な動圧力も得ることができるようにし、
安価で、信頼性、安定性の高い動圧軸受装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図1、図2を参照しながら
本発明にかかる動圧軸受装置の実施の形態について説明
する。図1において、符号20は焼結含油軸受を、符号
30は回転軸をそれぞれ示す。焼結含油軸受20は燒結
金属の型成形体から構成されたものであり、焼結体のポ
ーラスに潤滑油が含浸されている。焼結含油軸受20は
その中心軸線に沿って中心孔が形成され(図1では軸受
の内周面である中心孔のみが記してある)、この中心孔
に回転軸30が挿入されることにより、回転軸30は回
転自在に支持されている。上記焼結含油軸受の内面は、
動圧発生用の内面形状になっていて、上記回転軸30と
上記焼結含油軸受20との間に動圧軸受が形成され、こ
の動圧軸受による動圧作用によって上記回転軸30を回
転自在に支持してなる動圧軸受装置が構成されている。
【0010】上記焼結含油軸受の内面、より具体的に
は、焼結含油軸受の軸心に対し垂直な面で切断したとき
の断面における内周側の面は、回転軸30と焼結含油軸
受20の内周面との間隔が最小となるように設定された
最小部21と、この最小部21に向かって回転軸30と
焼結含油軸受20との間に介在する潤滑油が昇圧される
ように、間隙が徐々に狭くなりながら上記最小部21に
連続しかつ回転軸30と焼結含油軸受20の内周面との
間隔が上記最小部21より大きく形成された大間隔部2
2と、この大間隔部22と最小部21との間に上記大間
隔部22の回転軸30との間隔よりも大きく形成され、
それぞれ動圧軸受部を分離するための分離溝部23とか
ら構成されている。なお、回転軸30と焼結含油軸受2
0の内周面との間隔が最小となる上記最小部21の間
隔、また、回転軸30と焼結含油軸受20の内周面との
間隔が上記最小部21より大きく形成された大間隔部2
3の間隔は、理想状態、すなわち、設計上での位置関係
を指すものである。
【0011】上記最小部21と大間隔部22とにより一
つの動圧軸受面部が構成される。図1に示す実施の形態
では、上記最小部21と大間隔部22とからなる五つの
動圧軸受面部が周方向に等間隔に配置され、各動圧軸受
面部を区切るようにして、各動圧軸受面部間に分離溝部
23が形成されている。分離溝部23の回転軸30の外
周面からの間隔は、上記大間隔部22の回転軸30の外
周面からの間隔よりも大きく形成されている。
【0012】上記最小部21の位置は、上記一つの動圧
軸受面部の形成する円弧角θ1に対して分離溝部23の
位置より相対比で1:(0〜0.2)の位置となるよう
に設定されている。なお、全円弧角θ1とは、図1にお
いて、一つの分離溝部の境界位置から次の分離溝部の対
応する境界位置までの間を指すものとする。図1を参照
しながらより具体的に説明すると、一つの動圧軸受面部
から回転軸30の回転方向前方に位置する分離溝部23
(A)を基準とし、この分離溝部23(A)の、上記一
つの動圧軸受部との境界位置X1から、上記一つの動圧
軸受面部を構成する最小部21までの位置を円弧角θ2
としたとき、この円弧角θ2が、上記円弧角θ1に対し
て相対比で1:(0〜0.2)の位置となるように設定
されている。なお、分離溝部23(A)は、隣の大間隔
部22から分離溝部23(A)に至る変化点の中央X2
から、分離溝部23(A)から最小部21を含む動圧軸
受面部に至る変化点の中央X1までとし、各分離溝部2
3の位置で同様に定めるものとする。
【0013】また、上記最小部21の回転軸30との間
隔をC1、大間隔部22の回転軸30との最大間隔、す
なわち、大間隔部22から分離溝部23に至る変化点の
中央X2から、回転軸30の外周面までの間隔をC2と
したとき、C2はC1の2倍以下に設定されている。す
なわち、最小部21の回転軸30との間隔に対し大間隔
部22の回転軸30との最大間隔が2倍以下に設定され
ている。この2倍以下の意味については後述する。
【0014】回転軸30が図1に矢印で示すように反時
計方向に回転すると、回転軸30と焼結含油軸受20と
の間に介在する潤滑油が回転軸30の回転方向に流れ
る。潤滑油は大間隔部22に沿い最小部21に向かって
楔状の空間を流れる。この楔状の空間は最小部21に向
かって徐々に間隔が狭くなるように形成されているた
め、回転軸30と焼結含油軸受20との間に介在する潤
滑油が昇圧される。この潤滑油の圧力が動圧力となっ
て、回転軸30は焼結含油軸受20に金属接触すること
なく回転自在に支持されることになる。
【0015】図1に示す実施の形態は、多円弧動圧軸受
といわれるものの中に分類される。従来一般の多円弧動
圧軸受は、前述のように油漏れを起こしやすい。多円弧
動圧軸受が油漏れを起こす要因として次の3点が考えら
れる。 (1)軸受隙間に大きな負圧が発生することにより、潤
滑油に溶け込んでいる空気が分離し、膨張して潤滑油を
押し出す。 (2)回転軸の回転に伴い、潤滑油が大間隔部に沿い最
小部に向かって移動するが、大間隔部と回転軸外周面と
で形成される楔形状の空間での絞り率が高すぎると、小
さな隙間に入り込むことができない潤滑油が軸方向に溢
れ出す。 (3)回転軸が例えばすりこぎ運動のような不安定な振
れ回り現象(半速振れ回り)を起こし、この軸の運動に
よって潤滑油を軸方向に押し出す。
【0016】上記油漏れの全ての要因に対して有効な対
策をとることが必要であるが、従来の対策では、上記
(1)(3)に対して、同心円弧面の円弧角が小さく、
偏心円弧面の回転軸との隙間差が大きい対策を採用し、
上記(2)に対しては、別個の対策をとるようになって
いる。
【0017】これに対して、本発明者らは、前記本発明
の実施の形態において、回転軸30と焼結含油軸受20
の内周面との間隔が最小となるように設定された最小部
21と、この最小部21よりも回転軸30との間隔が大
きく形成された大間隔部22との位置関係および間隙比
とをバランスさせることにより、上記油漏れの全ての要
因に対して有効な軸受装置としたものである。
【0018】図2は、本発明者らが行った実験結果の一
部を示すものである。図2において、損失比が1.0で
あれば油漏れ無しということであり、1.0に近い方が
油漏れ対策としては良好であることを示している。損失
比が0.8以上であれば、油漏れ対策としては良好であ
るということができ、図2では、水準1、2および6が
この条件を満足している。この結果からいえることは、
最小部21の回転軸30との間隔に対し、大間隔部22
の回転軸との最大間隔が2倍以下に設定されている場合
に目論見通りの良好な結果が得られるということであ
る。
【0019】また、最小部21の回転軸30との間隔に
対し、大間隔部22の回転軸との最大間隔を2倍以下に
設定した状態において、最小部21の位置関係につき実
験した結果、詳細には後述するが、最小部21の位置
が、一つの動圧軸受部の形成する円弧角θ1に対して分
離溝部の位置より相対比で1:0〜0.2の位置となる
ように設定すれば、油漏れ防止効果が高いことがわかっ
た。なお、上記「0」の位置とは、最小部21と分離溝
部との境界位置すなわち分離溝部と最小部21との変化
点の中央位置X1を示しており、この位置に最小部21
があることを意味している。
【0020】図2に示す実験結果においては、次に示す
条件を満足する場合に最大に近い油漏れ防止効果が得ら
れ、これを含む上記の範囲内であれば実用上支障のない
油漏れレベルであることがわかった。すなわち、 軸径:3mm 多円弧数:5個 最小隙間:4μm 偏心円弧最大隙間:6μm 同心円弧角(最小部21):各10deg 偏心円弧角(大間隔部22):各52deg 動圧軸受部を分ける分離溝角:各10deg 分離溝深さ:20μm。
【0021】以上説明した実施の形態によれば、回転軸
30を焼結含油軸受20により回転自在に支持し、焼結
含油軸受20の内面を動圧発生用の内面形状として回転
軸30と焼結含油軸受20との間に動圧軸受を形成し、
この動圧軸受によって回転軸30を回転自在に支持して
なる動圧軸受装置において、焼結含油軸受20の内面
を、回転軸30と焼結含油軸受20の内周面との間隔が
最小となるように設定された最小部21と、この最小部
21に向かって回転軸30と焼結含油軸受20との間に
介在する潤滑油が昇圧されるように上記最小部21に連
続しかつ回転軸30と焼結含油軸受20の内周面との間
隔が上記最小部21より大きく形成された大間隔部22
と、この大間隔部22と最小部21との間に大間隔部2
2の回転軸30との間隔よりも大きい間隔で形成された
分離溝部23とで構成し、最小部21と大間隔部22と
により一つの動圧軸受部を構成し、上記最小部21の位
置は、上記一つの動圧軸受部の形成する円弧角θ1に対
して分離溝部23の位置より相対比で1:0〜0.2の
位置となるように設定し、さらに、上記最小部21の回
転軸30との間隔に対し大間隔部22の回転軸30との
最大間隔を2倍以下に設定したことにより、焼結含油軸
受20の内周面形状が、油漏れ防止に適合したバランス
のよい形状になり、磁性流体シールのような特別な油漏
れ防止機構を設けなくても、油漏れを防止することがで
き、安価で安定性のよい、焼結含油軸受による動圧軸受
装置を得ることができる。
【0022】なお、大間隔部22の形状は、緩やかに最
小部21につながっていればよく、円弧を描いていても
よいし直線状のものであってもよい。多円弧数、すなわ
ち動圧軸受部の数は、周方向に3個以上あればよいが、
3個又は5個が適している。
【0023】図3、図4は、本発明の別の実施の形態を
示す。図3に示す実施の形態は5個の動圧軸受部を周方
向に等間隔に形成したもので実際に製作したものの例
を、図4に示す実施の形態は3個の動圧軸受部を周方向
に等間隔に形成したものの例を示す。図3、図4におい
て、何れも符号20は焼結含油軸受を、21は最小部
を、22は大間隔部を、23は分離溝部をそれぞれ示し
ている。また、図1に示す実施の形態と同様に、最小部
21の回転軸30との間隔をC1、大間隔部22の回転
軸30との最大間隔、すなわち、大間隔部22から分離
溝部23に至る変化点の中央から、回転軸30の外周面
までの間隔をC2としたとき、C2はC1の2倍以下に
設定されている。さらに、一つの動圧軸受部の形成する
円弧角をθ1、一つの動圧軸受部との境界位置から上記
一つの動圧軸受部を構成する最小部21までの位置を円
弧角θ2としたとき、円弧角θ2が、上記円弧角θ1に
対して相対比で1:0〜0.2の位置となるように設定
されている。
【0024】図3、図4に示す実施の形態によれば、C
1とC2との関係、およびθ1とθ2の関係を上記のよ
うに設定することにより、図1に示す実施の形態と同様
の作用効果を得ることができる。
【0025】図5は、最小部21の回転軸30との間隔
(最小間隔部)と大間隔部22における最大間隔部との
比、すなわち隙間比を変えたとき、半径方向剛性トルク
比の変化を示した図であり、また、図6は、隙間比を変
えたときの、実際の動圧力に相当する半径方向剛性の変
化を示した図である。なお、パラメータは偏心率であ
る。偏心率とは、軸受中心から回転軸中心間の距離を半
径隙間で割った値である。従って、回転軸が軸受に接触
した状態は偏心率が1.0であり、回転軸が動圧により
中心位置にある状態は偏心率が0.0となる。
【0026】図5、図6において、隙間比が大きくなれ
ば、偏心率の変化に対して、半径方向剛性トルク比の変
化、および、半径方向剛性の変化は小さくなっている。
高偏心率の状態は、軸受の動圧力が回転軸にかかる偏心
荷重に負けて振れが大きくなった状態に相当する。そし
て、同一の隙間比の値に対して、偏心率が大きい値に変
化しても半径方向剛性があまり大きくならないというこ
とは、シャフトの振れを押さえ込むことができないこ
と、容易には押し戻すことができないことを表す。この
ことから、最小間隔部に対し最大間隔部が2倍以下、好
ましくは1.9倍以下に設定するのがよいことがわか
る。
【0027】一方、図5を参照すれば明らかなように、
隙間比が1.5より小さくなれば、半径方向剛性トルク
比が低下している。半径方向剛性トルク比は動圧軸受の
効率を示す指標であるから、剛性トルク比が低下すると
いうことは動圧軸受の効率が低下することを示してい
る。この動圧軸受の効率から判断すると、隙間比は1.
4以上、好ましくは1.5以上とするのがよい。
【0028】次に、図7は、隙間比が1.72のとき
に、偏心率をパラメータとして、円弧角相対比(最小部
の分離溝からの位置)と半径方向剛性トルク比との関係
をみたものである。円弧角相対比が大きくなると、その
円弧角相対比位置における半径方向剛性トルク比の値そ
のもの、また、その変化量は小さくなっており、0.2
以上では好ましい値は得られない。
【0029】次に、図8は、半径方向のクリアランスが
3μmであるときに、軸受の半径方向剛性に相当するバ
ネ常数と、振動吸収性を示す減衰係数の推移を示したグ
ラフである。図を見れば明らかなように、バネ常数は隙
間比が1.2付近にピークがあり、これより大きくなる
と急激に低下してゆく。しかし、減衰係数でのピークは
1.8付近にあり、これより大きくなっても小さくなっ
ても低下する。軸受特性としてはどちらも重要であるか
ら、両者のバランスを考慮し、隙間比は1.4から2.
0の間とするのがよい。
【0030】図9は、隙間比と軸方向への油漏れ量との
関係を示す図である。隙間比が大きくなるほど、また、
半径クリアランスが大きくなるほど、油漏れ量は増加し
ている。特に、隙間比が2倍以上のときの変化が激し
い。
【0031】なお、前述の最小部21と大間隔部22
は、全体の動圧軸受部の数に対し半分以上が上記の条件
を満足すれば、実用上必要な特性を得ることができる。
例えば、図1に示す実施の形態では3箇所、図4に示す
実施の形態では2カ所の動圧軸受部が請求項1記載の条
件を満足していればよい。その他のの動圧軸受部は円弧
形状になっていてもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、焼結含油軸受の内面を
動圧発生用の内面形状として回転軸と焼結含油軸受との
間に動圧軸受を形成し、この動圧軸受による動圧作用に
よって回転軸を回転自在に支持してなる動圧軸受装置に
おいて、焼結含油軸受の内面を、回転軸と焼結含油軸受
の内周面との間隔が最小となるように設定された最小部
と、この最小部に向かって回転軸と焼結含油軸受との間
に介在する潤滑油が昇圧されるように上記最小部に連続
しかつ回転軸と焼結含油軸受の内周面との間隔が上記最
小部より大きく形成された大間隔部と、この大間隔部と
最小部との間に大間隔部の回転軸との間隔よりも大きい
間隔で形成された分離溝部とで構成し、最小部と大間隔
部とにより一つの動圧軸受部を構成し、上記最小部の位
置は、上記一つの動圧軸受部の形成する円弧角に対して
分離溝部の位置より相対比で1:0〜0.2の位置とな
るように設定し、さらに、上記最小部の回転軸との間隔
に対し大間隔部の回転軸との最大間隔を2倍以下に設定
したことにより、焼結含油軸受の内周面形状が、油漏れ
防止に適合したバランスのよい形状になっており、磁性
流体シールのような特別な油漏れ防止機構を設けなくて
も、油漏れを防止することができ、安価で安定性のよ
い、焼結含油軸受による動圧軸受装置を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる動圧軸受装置の実施の形態を示
す横断面図である。
【図2】焼結含油軸受の各種内面形状と油漏れとの関係
について実験した結果を示す図である。
【図3】本発明にかかる動圧軸受装置の別の実施形態を
示す横断面図である。
【図4】本発明にかかる動圧軸受装置のさらに別の実施
形態を示す横断面図である。
【図5】動圧軸受装置の隙間比を変えたときの、半径方
向剛性トルク比の変化を示す図である。
【図6】動圧軸受装置の隙間比を変えたときの、半径方
向剛性の変化を示す図である。
【図7】動圧軸受装置の円弧角相対比を変えたときの、
半径方向剛性トルク比の変化を示す図である。
【図8】動圧軸受装置の隙間比を変えたときの、バネ常
数、減衰係数の変化を示す図である。
【図9】動圧軸受装置の隙間比を変えたときの油漏れ量
の変化を示す図である。
【図10】従来の動圧軸受装置の例を示す横断面図であ
る。
【符号の説明】
20 焼結含油軸受 21 最小部 22 大間隔部 23 分離溝部 30 回転軸
フロントページの続き (72)発明者 滝沢 道明 長野県諏訪郡下諏訪町5329番地 株式会社 三協精機製作所内 Fターム(参考) 3J011 AA07 AA12 AA20 BA02 CA01 CA04 DA01 JA02 KA02 LA01 MA06 RA01 SB19

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸を焼結含油軸受により回転自在に
    支持し、上記焼結含油軸受の内面を動圧発生用の内面形
    状として上記回転軸と上記焼結含油軸受との間に動圧軸
    受を形成し、回転軸を回転自在に支持してなる動圧軸受
    装置において、 上記焼結含油軸受の内面には、周方向に関して、 上記回転軸と上記焼結含油軸受の内周面との間隔が最小
    となる最小部と、 この最小部に向かって上記回転軸と上記焼結含油軸受と
    の間に介在する潤滑油が昇圧されるように上記最小部に
    連続しかつ上記回転軸と上記焼結含油軸受の内周面との
    間隔が上記最小部より大きくなるように形成された大間
    隔部と、 この大間隔部と最小部との間に上記大間隔部の間隔より
    も大きく形成された分離溝部とが形成されているととも
    に、 上記最小部と大間隔部とから構成される動圧軸受面部が
    周方向に複数箇所形成されており、 上記最小部の周方向に関する位置が、上記一つの動圧軸
    受面部の形成する全円弧角に対して分離溝部との境界位
    置より相対比で1:(0〜0.2)の位置となるように
    設定され、 上記最小部の回転軸との間隔に対し大間隔部の回転軸と
    の最大間隔が2倍以下に設定されていることを特徴とす
    る動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動圧軸受装置において、
    前記最小部の回転軸との間隔に対し大間隔部の回転軸と
    の最大間隔は、1.4倍以上で、2倍より小さく設定さ
    れていることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の動圧軸受装置において、
    前記最小部の回転軸との間隔に対し大間隔部の回転軸と
    の最大間隔は、1.4倍以上で、1.9倍以下に設定さ
    れていることを特徴とする動圧軸受装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の動圧軸受装置において、
    前記焼結含油軸受は、燒結金属の型成形体から構成され
    たものであることを特徴とする動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の動圧軸受装置において、
    上記焼結含油軸受の内面に形成される最小部と大間隔部
    と分離溝部とは、上記回転軸方向に同一間隔で形成され
    ていることを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の動圧軸受装置において、
    前記大間隔部は前記最小部に向かって徐々に間隔が狭く
    なるように形成されていることを特徴とする動圧軸受装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の動圧軸受装置において、
    前記分離溝部は、前記大間隔部が形成する回転軸との最
    大基準間隔よりも上記回転軸との間隔が大きく前記最小
    部と上記大間隔部との間に形成される溝部であり、前記
    最小部との境界位置を、上記大間隔部が形成する回転軸
    との最大基準間隔により規定される分離溝部の境界位置
    より一つの動圧軸受面部の形成する全円弧角に対して相
    対比で0〜0.2の位置となるように設定されて入るこ
    とを特徴とする動圧軸受装置。
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