JP2001115957A - 密閉型電動圧縮機 - Google Patents

密閉型電動圧縮機

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JP2001115957A
JP2001115957A JP29507099A JP29507099A JP2001115957A JP 2001115957 A JP2001115957 A JP 2001115957A JP 29507099 A JP29507099 A JP 29507099A JP 29507099 A JP29507099 A JP 29507099A JP 2001115957 A JP2001115957 A JP 2001115957A
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Japan
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ammonia
resin
group
compressor
winding
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JP29507099A
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English (en)
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Akihiro Nozue
章浩 野末
Toshikazu Sakai
寿和 境
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Refrigeration Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくともアンモニアを含む冷媒を圧縮する
密閉型電動圧縮機において、裸型の電動要素を用い、小
型で、高効率な密閉型電動圧縮機を提供することを目的
とする。 【解決手段】 少なくともアンモニアを含む冷媒を圧縮
する密閉型電動圧縮機において、ポリエーテルサルホン
樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹脂の群
より少なくとも1種以上を用いて絶縁材を形成すること
で、絶縁材に冷媒が直接接触しても溶解,剥離すること
がないため、モータは良好な絶縁耐性を有するため、裸
型の電動要素を用いることができ、小型で、高効率な密
閉型電動圧縮機を提供することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫,家庭用エ
アコン,業務用エアコン,自動販売機等の冷凍サイクル
に用いられ、冷媒としてアンモニアを含む系の密閉型電
動圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、冷凍システムの冷媒としては、フ
ロン系の冷媒が主として使われているが、オゾン層保
護,地球温暖化防止の観点より冷凍システムの冷媒とし
て、炭化水素系冷媒等の自然冷媒が検討されている。自
然系冷媒の中でも、アンモニア冷媒は能力が高く、コス
トも安いことから注目されている(例えば、特開平7−
35074号公報公報)。しかし、アンモニア冷媒は腐
食性が高く、従来の材料では、モータの絶縁フィルムや
モータの巻線等の有機材料を溶解,剥離させるため、モ
ータの巻線の絶縁抵抗が極端に低下し、巻線の短絡,焼
損,断線といった障害を引き起こす。そのため、アンモ
ニア冷媒を用いる冷凍システムでは、圧縮機電動要素の
固定子と回転子の間の狭い空隙に金属製薄肉円筒状のキ
ャンを挿入してなるキャンドモータを用いている。
【0003】以下図面を参照しながら従来のアンモニア
を含む冷媒を圧縮する回転式圧縮機の一例について説明
する。
【0004】図11は、従来の回転式圧縮機の縦断面図
を示したもので、その概要は、密閉容器1内に、冷媒を
圧縮する圧縮要素2とこの圧縮要素を動作させる電動要
素3を備え、圧縮要素3は、圧縮室4を形成するシリン
ダヘッド5とシリンダ6とベアリング7とクランク軸8
とローラ9と圧縮室4を高低圧に仕切るベーン11で仕
切られた圧縮室4内の空間が減少することでアンモニア
冷媒の圧縮が行われる。また、前記電動要素3はその外
周面を密閉容器1に支持された固定子12と、この固定
子12の内周面から一定の隙間を保つように支持された
回転子13で構成されており、前記固定子12と前記回
転子13の間の狭い空隙に金属製薄肉円筒状のキャン1
4を挿入し、密封することで、前記固定子12側を気密
的に断絶するとともに、前記固定子12に設けられた固
定子線輪からの交番磁束をキャン14を透して回転子に
作用せしめ、これにより前記回転子13を回転させるよ
う構成している。
【0005】冷凍サイクル(図示せず)より圧縮機に戻
されるアンモニア冷媒は、前記圧縮室4内に導入され
る。アンモニアを含む冷媒は前記圧縮室4で圧縮され、
吐出室15に吐出口16を通って、吐出される。吐出し
た冷媒は吐出室15から吐出管17を通り、冷凍サイク
ル(図示せず)へと送られる。
【0006】冷凍機油18は密閉容器1の底部に貯留さ
れ、給油管19の下端20で冷凍機油18を吸い込み、
給油管19の他端がクランク先端部21へと連結され各
摺動部へと冷凍機油18を供給する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、キャンドモータはキャンが高密度の交番
磁束と鎖交しているために、渦電流損およびキャンを含
めた空隙で磁気抵抗の増加による励磁損に基づく発熱を
生じて電動機としての効率の低下を招くこととなる。ま
た、キャンを挿入することでモータが大型化するという
問題がある。
【0008】そこで、高効率化および小型化のために、
アンモニアを含む冷媒を用いた場合でも、裸型の電動要
素で、アンモニアに対し耐性のある絶縁材を用いた密閉
型電動圧縮機が望まれている。
【0009】本発明は、アンモニアを含む冷媒を用いた
場合でも、キャンドモータを用いず、アンモニアに対し
耐性のある電動要素の絶縁材を用いることで、小型で高
効率な密閉型電動圧縮機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の密閉型電
動圧縮機は、電動要素の絶縁材を、ポリエーテルサルホ
ン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹脂の
群より少なくとも1種以上を用いて形成することを特徴
とするものである。
【0011】この発明によれば、少なくともアンモニア
を含む冷媒を圧縮する密閉型電動圧縮機において、ポリ
エーテルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテ
ルイミド樹脂の群より少なくとも1種以上を用いて絶縁
材を形成することで、絶縁材に冷媒が直接接触しても溶
解,剥離することがないため、モータは良好な絶縁耐性
を有するため、裸型の電動要素を用いることができ、小
型で、高効率な密閉型電動圧縮機を提供することが可能
になる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、密閉容器内に電動要素と少なくともアンモニアを含
む冷媒を圧縮する圧縮要素を備えた密閉型電動圧縮機で
あって、前記電動要素の絶縁材を、ポリエーテルサルホ
ン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹脂の
群より少なくとも1種以上を用いて形成することを特徴
とする密閉型電動圧縮機であって、裸型の電動要素を用
い、絶縁材に冷媒が直接接触しても溶解,剥離すること
がなく、モータは良好な絶縁耐性を有するため、圧縮機
の高効率化および小型化が図れるという作用を有する。
【0013】本発明の請求項2に記載の発明は、密閉容
器内に電動要素と少なくともアンモニアを含む冷媒を圧
縮する圧縮要素を備えた密閉型電動圧縮機であって、前
記電動要素のモータの巻線の絶縁被覆をポリエーテルサ
ルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹
脂の群より少なくとも1種以上を用いて形成することを
特徴とする密閉型電動圧縮機であって、裸型の電動要素
を用い、モータの巻線に冷媒が直接接触しても溶解,剥
離することなく、巻線は良好な絶縁耐性を有するため、
圧縮機の高効率化および小型化が図れるという作用を有
する。
【0014】本発明の請求項3に記載の発明は、末端を
水酸基,アミノ基あるいはカルボキシル基の群より少な
くとも1種以上で変性したポリエーテルサルホン樹脂を
用い、350〜400℃で5〜30分加熱して巻線の絶
縁被覆を形成することを特徴とする請求項2記載の密閉
型電動圧縮機であって、裸型の電動要素を用い、モータ
の巻線が冷媒に直接接触しても溶解,剥離することな
く、巻線のモータは良好な絶縁耐性を有するため、圧縮
機の高効率化および小型化が図れるという作用を有す
る。
【0015】また、350〜400℃で5〜30分加熱
することで、ポリエーテルサルホン樹脂の末端基が架橋
することで、耐熱性,耐アンモニア性を向上させる作用
を有する。
【0016】本発明の請求項4に記載の発明は、密閉容
器内に電動要素と少なくともアンモニアを含む冷媒を圧
縮する圧縮要素を備えた密閉型電動圧縮機であって、前
記電動要素のモータの絶縁フィルムを、ポリエーテルサ
ルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹
脂の群より少なくとも1種以上を用いて形成することを
特徴とする密閉型電動圧縮機であって、裸型の電動要素
を用い、モータの絶縁フィルムが冷媒に直接接触しても
溶解,剥離することなく、モータのコアと巻線の間およ
び巻線内の相間は良好な絶縁耐性を有するため、圧縮機
の高効率化および小型化が図れるという作用を有する。
【0017】本発明の請求項5に記載の発明は、密閉容
器内に電動要素と少なくともアンモニアを含む冷媒を圧
縮する圧縮要素を備えた密閉型電動圧縮機であって、前
記電動要素のモータの巻線を縛る綴じ糸を、ポリエーテ
ルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミ
ド樹脂の群より少なくとも1種以上を用いて形成するこ
とを特徴とする密閉型電動圧縮機であって、裸型の電動
要素を用い、綴じ糸が冷媒に直接接触しても、溶解,剥
離することなく、モータ巻線の結束を維持しつつ、モー
タは良好な絶縁耐性を有するため、圧縮機の高効率化お
よび小型化が図れるという作用を有する。
【0018】本発明の請求項6に記載の発明は、密閉容
器内に電動要素と少なくともアンモニアを含む冷媒を圧
縮する圧縮要素を備えた密閉型電動圧縮機であって、前
記電動要素のモータの巻線を、導体上に、ポリエーテル
サルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド
樹脂の群より少なくとも1種以上を用いる第1の絶縁被
覆と、ガラス転移温度が180℃以上、引張強さが13
kg/mm2以上で、かつ引張弾性率が270kg/m
2以上の第2の絶縁被覆とを、少なくともこの順に積
層した絶縁被覆が形成されているとともに、前記絶縁被
覆の膜厚の合計に対する、第2の絶縁被覆の膜厚の割合
が、5/100以上である巻き線を用いることを特徴と
する密閉型電動圧縮機であって、裸型の電動要素を用
い、モータの巻線が、冷媒に直接接触しても溶解,剥離
することなく、巻線は良好な絶縁耐性を有するため、圧
縮機の高効率化および小型化が図れるという作用を有す
る。
【0019】また、第2の絶縁被覆にガラス転移温度が
180℃以上、引張強さが13kg/mm2以上で、か
つ引張弾性率が270kg/mm2以上の絶縁被覆を被
覆し、絶縁被覆の膜厚の合計に対する、第2の絶縁被覆
の膜厚の割合を5/100以上とすることで、圧延加工
時の耐熱衝撃性の低下を防止し、成形加工時の加工傷を
防止する作用を有する。
【0020】本発明の請求項7に記載の発明は、アンモ
ニアと炭化水素を主成分とし、アンモニアの組成比が1
〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜6のい
ずれか1項記載の密閉型電動圧縮機であって、裸型の電
動要素を用い、絶縁材が、冷媒に直接接触しても溶解,
剥離することがなく、モータは良好な絶縁耐性を有する
ため、圧縮機の高効率化および小型化が図れるという作
用を有する。
【0021】また、アンモニアと炭化水素を主成分と
し、アンモニアの組成比が1〜20重量%とする冷媒を
使用することで、アンモニア濃度が希釈されることで、
冷媒の腐食性が抑えられ、絶縁材の耐久性が向上すると
いう作用を有する。
【0022】本発明の請求項8に記載の発明は、少なく
とも圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器とを環状
に接続して構成される冷凍システムであって、前記圧縮
機は、請求項1〜7のいずれか1項記載の密閉型電動圧
縮機を用いることを特徴とする冷凍システムであって、
裸型の電動要素を用い、モータの絶縁材が冷媒に直接接
触しても溶解,剥離することがなく、モータは良好な絶
縁体性を有するため、圧縮機の高効率化および小型化が
図れ、高効率な冷凍システムを提供するという作用を有
する。
【0023】
【実施例】以下、図1〜10を用いて、本発明による圧
縮機の実施の形態について、図9の構成において、裸型
の電動要素を用いた構成とし、本発明を実施した場合の
実施例を説明する。なお、図11と同一の部分は同一の
番号をつけて説明を省略する。
【0024】(実施例1)図1は裸型の電動要素を用い
た回転式圧縮機の縦断面図、図2は電動要素3のモータ
部分の図、図3はモータのスロット部分の拡大図、図4
は巻線の断面図である。図2および図3において、固定
子12は、コア22とこのコアのスロット23内を通る
巻線24と、このコア22と巻線24とのあいだおよび
巻線24内の相間の絶縁としての絶縁フィルム25と、
コアの端面からはみ出した巻線24を縛っている綴じ糸
26とにより構成されており、また、巻線24は図4の
ように巻線27と絶縁被覆層28とで構成されている。
さらに、巻線24の末端は駆動電源を得るため、クラス
タ29を介し、電源端子に接続されるように構成されて
いる。
【0025】これらの各部の絶縁材として、冷媒に含ま
れるアンモニアに対し、耐食性が優れる材料を選択する
ために、図5のa〜cに示す工程でのシールドチューブ
試験を行った。
【0026】以下、シールドチューブ試験の手法を示
す。aの工程では前記冷凍機油18をガラスチューブ3
0内に所定量入れ、候補となるフィルム状試料31を適
当な大きさに切り、ガラスチューブ30内にいれる。冷
凍機油18としては、アンモニアと相溶性のあるグリコ
ール油を用いた。
【0027】bの工程では、ガラスチューブ30内を脱
気後、ガラスチューブをデュワ瓶32にいれ、さらに液
体窒素33をいれ、極低温にした後、冷媒34を所定
量、ガラスチューブ30内に封入し、ガラスチューブ3
0のくびれ部分35をバーナーで加熱溶融し、封止す
る。
【0028】cの工程では、封止したガラスチューブ3
0を保護容器36中にいれ、140℃で168h加熱
し、加熱後の試料を取り出して、外観から適用可能であ
るかを評価した。
【0029】前記シールドチューブ試験の結果、図6に
示すような、結果が得られた。図6にあるように、アン
モニア耐性のない材料は、劣化は著しく適用できず、本
発明の材料は十分な耐久性が得られた。
【0030】なお、本試験では、フィルム状サンプルを
用いたが、これらの試料は、素線状に、ワニス状塗布、
押し出し被覆等の手法で被膜の形成が可能である。ま
た、モータを小型化するためには、素線27上に均一な
薄膜を形成する必要があり、そのためにはワニス状塗布
で絶縁被膜28を被覆する必要がある。図6で良好な結
果が得られたポリエーテルサルホン樹脂,ポリサルホン
樹脂,ポリエーテルイミド樹脂はワニス状塗布が可能で
あり(例えば朝倉書店発行、日本分析化学会、高分子分
析研究懇談会編の高分子分析ハンドブックに記載されて
いるようにN,N−ジメチルホルムアミド等に溶解とあ
る)、素線27上に均一な薄膜を形成することができ
る。
【0031】上記のシールドチューブ試験の結果から、
巻線24の絶縁被覆層28と、コア22と巻線24との
あいだおよび巻線24内の相間の絶縁としての絶縁フィ
ルム25と、コアの端面からはみ出した巻線24を縛っ
ている綴じ糸26等の電動要素の絶縁材を、ポリエーテ
ルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミ
ド樹脂の群より少なくとも1種以上を用いて形成するこ
とで、アンモニアを含む冷媒を用いた場合でも、良好な
絶縁耐性が得られる。
【0032】また、図6に示すようにアンモニア/プロ
パン混合冷媒(混合比10/90重量%)は、アンモニ
ア単体冷媒よりもさらに良好な結果が得られ、耐久性が
向上した。
【0033】また、アンモニアの組成比は1〜20重量
%において共沸冷媒となるため、伝熱性能の低下などが
起こらない。
【0034】また、上記材料を用いた少なくともアンモ
ニアを含む冷媒を圧縮する密閉型電動圧縮機を用いて、
少なくとも圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器と
を環状に接続して構成される冷凍システムを構成するこ
とで、高効率な冷凍システムを提供できる。
【0035】(実施例2)図6に、末端に水酸基を有
し、400℃で10分間加熱して架橋構造を有するポリ
エーテルサルホン樹脂について、実施例1と同様のシー
ルドチューブ試験を行った結果を示す。図6の結果か
ら、架橋構造を有するポリエーテルサルホン樹脂はアン
モニア冷媒中でも変色せず、ポリエーテルサルホン樹
脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹脂より
も、良好な結果が得られた。本試験では、末端が水酸基
の試料を用いたが、アミノ基,カルボキシル基でも同様
の結果が得られる。また、加熱条件も、350〜400
℃で5〜30分の加熱条件であればよい。
【0036】上記、シールドチューブ試験の結果から、
巻線24の絶縁被覆層28は、末端を水酸基,アミノ基
あるいはカルボキシル基の群より少なくとも1種以上で
変性したポリエーテルサルホン樹脂を用い、350〜4
00℃で5〜30分加熱して形成することで、アンモニ
ア耐性が向上する。また、架橋構造を有することで、連
続使用耐熱性は、190℃から250℃に向上し、耐熱
性の向上も図れる。
【0037】また、図6に示すようにアンモニア/プロ
パン混合冷媒(混合比10/90重量%)は、アンモニ
ア単体冷媒よりもさらに良好な結果が得られ、耐久性が
向上した。
【0038】また、アンモニアの組成比は1〜20重量
%において共沸冷媒となるため、伝熱性能の低下などが
起こらない。
【0039】また、上記材料を用いた少なくともアンモ
ニアを含む冷媒を圧縮する密閉型電動圧縮機を用いて、
少なくとも圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器と
を環状に接続して構成される冷凍システムを構成するこ
とで、高効率な冷凍システムを提供できる。
【0040】(実施例3)素線27上に絶縁被膜28と
してポリエーテルサルホン樹脂を塗布、焼き付けし、膜
厚19μmの第1の絶縁被膜28を形成する。
【0041】図7に上記巻線に、さらに第2の絶縁被膜
37を被覆した巻線の断面図を示す。図7に示す構成
で、上記巻線に、トリメリット酸無水物(1.0モ
ル),パラフェニレンジイソシアネート(0.4モル)
と、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート(0.2モ
ル)とジフェニルメタンジイソシアネート(0.4モ
ル)とからなるポリアミドイミド系塗料を、塗布,焼き
付けして、膜厚6μmの第2の絶縁被膜37を形成した
巻Aと、ポリエステル系塗料(日東電工社製:デコラー
トE−220GTI−B)を、塗布,焼き付けして、膜
厚6μmの第2の絶縁被膜37を形成した巻Bと、トリ
メリット酸無水物(1.0モル),ジフェニルメタンジ
イソシアネート(1.0モル)とからなるポリアミドイ
ミド系塗料を、塗布,焼き付けして、膜厚6μmの第2
の絶縁被膜37を形成した巻Cと、巻線Aの膜厚の合計
に対する第2の絶縁被膜37の膜厚の割合を2/100
にした巻線Dを作成し、それぞれの特性を比較した物を
図8に示す。
【0042】図8から、巻線Bのように、ガラス転移点
が180℃未満になると、第2の絶縁被膜37の耐熱性
が不十分になり、圧延加工後の耐熱衝撃性が低下し、加
工時に損傷しやすい。巻線Cはガラス転移点が180℃
以上のため、耐熱衝撃性に問題はないが、引張強さが1
3kg/mm2未満で、かつ引張弾性率が270kg/
mm2未満であるため、加工時に損傷しやすい。第2の
絶縁被膜37の膜厚比が5/100未満である巻線D
は、ガラス転移点が180℃以上のため、耐熱衝撃性に
問題はないが、加工時に損傷しやすい。これに対し、巻
線Aは耐熱衝撃性に優れるとともに、損傷しにくい。
【0043】また、第1の絶縁被膜28は、ポリエーテ
ルサルホン樹脂を用いて形成しているため、アンモニア
を含む冷媒が直接接触しても溶解,剥離することがな
く、モータは良好な絶縁耐性を有するため、圧縮機の高
効率化および小型化が図れる。
【0044】なお、本実施例3では第1の絶縁被膜28
をポリエーテルサルホン樹脂を用いたが、ポリサルホン
樹脂,ポリエーテルイミド樹脂であっても構わない。
【0045】また、引張強さは14〜25kg/mm2
の範囲内であることが好ましく、引張弾性率は300〜
600kg/mm2の範囲内にあることが望ましく、第
2の絶縁被覆36の膜厚の割合は、10/100〜50
/100の範囲内であることが好ましい。
【0046】また、第2の絶縁被覆36は、密着力が3
0g/mm以上、ピアノ線に対する静摩擦係数が0.1
0以下である場合に、さらに耐傷付き性は向上する。前
記密着力は、40〜80g/mmの範囲内、ピアノ線に
対する静摩擦係数は0.04〜0.08の範囲内である
のがより好ましい。
【0047】上記検討の結果、第2の絶縁被覆36を形
成する絶縁材はガラス転移温度が180℃以上、引張強
さが13kg/mm2以上で、かつ引張弾性率が270
kg/mm2以上の条件を満たす物であればいかなる物
でもよい。それらのうちでも、機械的強度に優れた被膜
を形成できることが知られている、高強度化されたポリ
アミドイミド系,ポリイミド系の被膜や、それに無機あ
るいは有機のフィラーを添加してさらに高強度化した物
が好ましい。
【0048】また、図6に示すように、第2の絶縁被覆
に用いたポリアミドイミド樹脂はアンモニア単位冷媒に
対しては耐久性が劣り、表面の劣化が見られるが、アン
モニア/プロパン混合冷媒(混合比10/90重量%)
は、アンモニアが希釈され、ポリアミドイミド樹脂の劣
化は見られず耐久性が向上した。
【0049】また、アンモニアの組成比は1〜20重量
%において共沸冷媒となるため、伝熱性能の低下などが
起こらない。
【0050】また、上記材料を用いた少なくともアンモ
ニアを含む冷媒を圧縮する密閉型電動圧縮機を用いて、
少なくとも圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器と
を環状に接続して構成される冷凍システムを構成するこ
とで、高効率な冷凍システムを提供できる。
【0051】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、密閉型
電動圧縮機に使われているモータの巻線の絶縁被覆,絶
縁フィルム,巻線を縛っている綴じ糸等の絶縁材を、ポ
リエーテルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエー
テルイミド樹脂といったアンモニアに耐性のある材料を
用いることで、アンモニアを含む冷媒を圧縮する裸型の
電動要素を用いて、密閉型電動圧縮機を構成することが
でき、高効率で小型の密閉型電動圧縮機を提供すること
ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す回転式圧縮機の縦断面
【図2】本発明の実施例1を示す電動要素の図
【図3】本発明の実施例1を示すスロット部の図
【図4】本発明の実施例1を示す巻線の断面図
【図5】本発明の実施例1におけるシールドチューブ試
験の工程図
【図6】本発明の実施例1におけるシールドチューブ試
験の結果を示す図
【図7】本発明の実施例3における巻線の断面図
【図8】本発明の実施例3における巻線評価の結果を示
す図
【図9】従来のアンモニア冷媒を圧縮する回転式圧縮機
の縦断面図
【符号の説明】
1 密閉容器 12 固定子 13 回転子 18 冷凍機油 24 巻線 25 絶縁フィルム 26 綴じ糸 28 絶縁被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H003 AA01 AB05 AC03 AD03 CF04 3H029 AA05 AA15 AB03 BB44 CC27 CC39 5H604 BB08 CC01 CC05 CC15 DA14 DA21 DA22 DB03 DB24 DB26 PB01 PB03 PE03 QB03 QB15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内に電動要素と少なくともアン
    モニアを含む冷媒を圧縮する圧縮要素を備えた密閉型電
    動圧縮機であって、前記電動要素の絶縁材を、ポリエー
    テルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,ポリエーテルイ
    ミド樹脂の群より少なくとも1種以上を用いて形成する
    ことを特徴とする密閉型電動圧縮機。
  2. 【請求項2】 密閉容器内に電動要素と少なくともアン
    モニアを含む冷媒を圧縮する圧縮要素を備えた密閉型電
    動圧縮機であって、前記電動要素のモータの巻線の絶縁
    被覆をポリエーテルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,
    ポリエーテルイミド樹脂の群より少なくとも1種以上を
    用いて形成することを特徴とする密閉型電動圧縮機。
  3. 【請求項3】 末端を水酸基,アミノ基あるいはカルボ
    キシル基の群より少なくとも1種以上で変性したポリエ
    ーテルサルホン樹脂を用い、350〜400℃で5〜3
    0分加熱して巻線の絶縁被覆を形成することを特徴とす
    る請求項2記載の密閉型電動圧縮機。
  4. 【請求項4】 密閉容器内に電動要素と少なくともアン
    モニアを含む冷媒を圧縮する圧縮要素を備えた密閉型電
    動圧縮機であって、前記電動要素のモータの絶縁フィル
    ムを、ポリエーテルサルホン樹脂,ポリサルホン樹脂,
    ポリエーテルイミド樹脂の群より少なくとも1種以上を
    用いて形成することを特徴とする密閉型電動圧縮機。
  5. 【請求項5】 密閉容器内に電動要素と少なくともアン
    モニアを含む冷媒を圧縮する圧縮要素を備えた密閉型電
    動圧縮機であって、前記電動要素のモータの巻線を縛る
    綴じ糸を、ポリエーテルサルホン樹脂,ポリサルホン樹
    脂,ポリエーテルイミド樹脂の群より少なくとも1種以
    上を用いて形成することを特徴とする密閉型電動圧縮
    機。
  6. 【請求項6】 密閉容器内に電動要素と少なくともアン
    モニアを含む冷媒を圧縮する圧縮要素を備えた密閉型電
    動圧縮機であって、前記電動要素のモータの巻線を、導
    体上に、ポリエーテルサルホン樹脂,ポリサルホン樹
    脂,ポリエーテルイミド樹脂の群より少なくとも1種以
    上を用いる第1の絶縁被覆と、ガラス転移温度が180
    ℃以上、引張強さが13kg/mm2以上で、かつ引張
    弾性率が270kg/mm2以上の第2の絶縁被覆と
    を、少なくともこの順に積層した絶縁被覆が形成されて
    いるとともに、前記絶縁被覆の膜厚の合計に対する、第
    2の絶縁被覆の膜厚の割合が、5/100以上である巻
    き線を用いることを特徴とする密閉型電動圧縮機。
  7. 【請求項7】 アンモニアと炭化水素を主成分とし、ア
    ンモニアの組成比が1〜20重量%であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項記載の密閉型電動圧縮
    機。
  8. 【請求項8】 少なくとも圧縮機と、凝縮器と、膨張機
    構と、蒸発器とを環状に接続して構成される冷凍システ
    ムであって、前記圧縮機は、請求項1〜7のいずれか1
    項記載の密閉型電動圧縮機を用いることを特徴とする冷
    凍システム。
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