JP2001113990A - 産業車両の荷役及び走行制御装置 - Google Patents

産業車両の荷役及び走行制御装置

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JP2001113990A
JP2001113990A JP29479299A JP29479299A JP2001113990A JP 2001113990 A JP2001113990 A JP 2001113990A JP 29479299 A JP29479299 A JP 29479299A JP 29479299 A JP29479299 A JP 29479299A JP 2001113990 A JP2001113990 A JP 2001113990A
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pressure
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traveling
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和男 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷役走行中に制動指令が出たとき、あるいは
目標車速が0になったとき、前進クラッチ及び後進クラ
ッチのうちの進行側でないクラッチを制動用のクラッチ
に使用し、かつ車両の逆走を防止する。 【解決手段】 エンジン1の出力は油圧式の前進クラッ
チ8及び後進クラッチ9を備えた変速機3を介して駆動
輪5aに伝達される。荷役走行時にはエンジン1が荷役作
業に対応した回転数に制御され、進行側のクラッチが半
クラッチ状態に保持されるとともに、アクセルペダル25
の操作量に対応した車速となるようにクラッチ圧が制御
される。荷役走行中に目標車速が0になると、進行側の
クラッチがPI制御され、制動側のクラッチは一定の係
合圧力で制動力を作用させるように制御される。車速が
停止車速に近い所定速度以下になったとき、両クラッチ
8,9が非係合状態となるように、両クラッチバルブ1
0,11が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行用の駆動源と
荷役用の駆動源とを一つのエンジンで兼用しているフォ
ークリフト等の産業車両の荷役及び走行制御装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フォークリフト等の産業車両で
は、走行用の駆動源と荷役用の駆動源とを一つのエンジ
ンで兼用している。例えば、トルクコンバータを備えた
フォークリフトではエンジンの出力をトルクコンバータ
及びクラッチを介して駆動輪に伝達し、エンジンにより
荷役用油圧ポンプを駆動するとともに油圧回路を介して
リフトシリンダ等の荷役用シリンダを作動させるように
なっている。
【0003】そして、フォークリフトを微速走行させる
にはエンジンの回転数を下げ、フォークを上昇させる場
合にはエンジンの回転数を上げていた。ところが、フォ
ークを上昇させながら微速走行する場合はアクセルペダ
ルを踏みながらクラッチ又はインチングペダルを操作し
て半クラッチ状態にする必要があり、運転操作が難しく
熟練を要した。
【0004】前記の不都合を解消するため、特開平10
−151974号公報には、トルクコンバータと油圧式
の前進クラッチ及び後進クラッチとを備えた変速機に、
クラッチ用ポンプの吐出圧油を前進クラッチの受圧室へ
供給、停止するとともに油圧力を増減する前進時増減速
兼後進時制動用クラッチ制御弁と、クラッチ用ポンプの
吐出油圧を後進クラッチの受圧室へ供給、停止するとと
もに油圧力を増減する後進時増減速兼前進時制動用クラ
ッチ制御弁とを設けた装置が開示されている。そして、
制御手段は単独荷役と判断すると荷役レバー操作量に基
づいたエンジン回転数とし、単独走行(通常走行)と判
断するとアクセルペダル操作量に基づいたエンジン回転
数とする。また、制御手段は荷役兼走行(荷役走行)と
判断すると荷役レバー操作量に基づいたエンジン回転数
とし、前記クラッチ制御弁を用いて進行側のクラッチの
受圧室の油圧力を増減してアクセルペダル操作量に対応
した車速となるように増減速制御する。この装置では荷
役走行の状態において、運転者はアクセルペダルの操作
だけで所望の走行速度でフォークリフトを走行させるこ
とができる。また、駆動輪に制動作用を与える常用ブレ
ーキが装備され、制動時には常用ブレーキにより制動が
行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平10−15
1974号公報には、荷役走行時に目標車速と現在車速
との差が所定速度以上になったときに、進行側のクラッ
チを動力伝達がされない状態として進行側でないクラッ
チを制動用に使用することが記載されているが、制動圧
力の具体的な制御方法についての記載はない。また、ブ
レーキペダルを操作したときに進行側でないクラッチを
制動用に使用することに関しても記載がなく、荷役走行
中にアクセルペダルの操作量が0あるいは目標車速が0
の時に、進行側のクラッチを半クラッチ状態で係合圧力
を制御しつつ、制動用クラッチを使用して制動力を得る
ことに関しても記載がない。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その第1の目的は荷役走行中に制動指令が
出たときあるいは目標車速が0になったときに、常用ブ
レーキを使用せずに速やかに減速できる産業車両の荷役
及び走行制御装置を提供することにある。第2の目的
は、制動用のクラッチに前進クラッチ及び後進クラッチ
のうちの進行側でないクラッチを使用したときに、車両
の逆走を防止することができる産業車両の荷役及び走行
制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため、請求項1に記載の発明では、エンジンの出力を
トルクコンバータを介して駆動輪に伝達する油圧式の前
進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各
クラッチの受圧室内の油圧を増減して係合状態を調整す
る制御弁と、アクセル操作手段の操作量を検出するアク
セル操作量検出手段と、前記アクセル操作量に対する目
標車速設定手段と、前記アクセル操作量に対する目標エ
ンジン回転数設定手段と、車両の走行速度を検出する車
速検出手段と、エンジンにより駆動される荷役用ポンプ
と、荷役作業を行うために操作される荷役操作手段の操
作量を検出する荷役操作量検出手段と、荷役操作量に対
する目標エンジン回転数設定手段と、前記アクセル操作
量検出手段及び荷役操作量検出手段の検出信号に基づい
て通常走行か荷役走行かを判断する判断手段と、前記判
断手段が通常走行と判断した場合は進行側のクラッチを
完全係合状態として前記アクセル操作手段の操作量に対
応した目標エンジン回転数に制御し、前記判断手段が荷
役走行と判断した場合は荷役操作手段の操作量に基づい
て設定した目標エンジン回転数に制御し、かつ進行側の
クラッチを半クラッチ状態にするとともに前記アクセル
操作手段の操作量に対応した目標車速となるようにクラ
ッチの係合圧力を制御する制御手段とを備えた産業車両
の荷役及び走行制御装置において、前記制御手段は荷役
走行中に目標車速が0になるか制動指令が出力される
と、制動用クラッチを係合状態として減速するように制
御する。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記制御手段は荷役走行中の前記ア
クセル操作量又は目標車速が0のときの減速時に、前記
進行側のクラッチの係合圧力をフィードバック制御する
とともに、制動用クラッチを一定の係合圧力として制動
力を作用させるように各クラッチを制御する。
【0009】請求項3に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記制御手段は荷役走行中に前記前
進クラッチ及び後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧
をフィードバック制御するとともに、進行側のクラッチ
圧の増分が負となるときに制動用クラッチが係合状態と
なるように制御し、前記クラッチ圧の増分が0以上のと
きに制動用クラッチが非係合状態となるように制御す
る。
【0010】請求項4に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記制御手段は荷役走行中に前記前
進クラッチ及び後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧
をフィードバック制御するとともに、進行側のクラッチ
圧の増分が負となるとき及び進行側のクラッチ圧が最低
圧でかつ前記がクラッチ圧の増分0のときは制動用クラ
ッチが係合状態となるように制御し、前記クラッチ圧の
増分が0より大きいときに制動用クラッチが非係合状態
となるように制御する。
【0011】請求項5に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記制御手段は荷役走行中に前記前
進クラッチ及び後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧
をフィードバック制御するとともに、目標車速が検出車
速より大きいときは進行側のクラッチ圧の増分が負であ
っても、制動用クラッチが非係合状態となるように制御
する。
【0012】請求項6に記載の発明では、請求項3〜請
求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記制御
手段は減速状態から加速又は定速走行に移行する際、前
記進行側のクラッチの係合圧力をフィードバック制御す
るとともに、制動用のクラッチを可及的速やかに非係合
状態とするように制御する。
【0013】請求項7に記載の発明では、請求項1〜請
求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記制動
用クラッチとして、前記前進クラッチ及び後進クラッチ
のうち進行側でないクラッチを使用する。
【0014】第2の目的を達成するため、請求項8に記
載の発明では、請求項7に記載の発明において、前記制
御手段は制動制御時に車速が停止車速に近い所定速度以
下になったとき、前進クラッチ及び後進クラッチを非係
合状態とするように前記制御弁を制御する。
【0015】請求項9に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記制御手段は荷役走行中のクリー
プ走行時には制動用クラッチの作動による制動は行わ
ず、進行側のクラッチ圧を低下させて減速制御を行う。
【0016】請求項10に記載の発明では、請求項8に
記載の発明において、前記走行制御装置は駐車ブレーキ
を備え、前記制御手段は荷役走行中にブレーキ操作手段
が操作されたとき、アクセル操作手段の操作量に拘らず
目標車速を0にして進行側のクラッチ圧をフィードバッ
ク制御し、制動用クラッチをブレーキ操作手段の操作量
に対応した係合圧力となるように制御し、車速が停止車
速に近い所定速度以下になったとき、進行側のクラッチ
及び制動用クラッチを非係合状態とするように前記制御
弁を制御した後、ブレーキ操作手段の操作が継続されて
いると駐車ブレーキを制動状態とする。
【0017】請求項11に記載の発明では、請求項10
に記載の発明において、前記制御手段は車速が停止車速
に近い所定速度以下の状態が所定時間経過した後、進行
側のクラッチ及び制動用クラッチを非係合状態とするよ
うに前記制御弁を制御する。
【0018】請求項1に記載の発明では、アクセル操作
量検出手段及び荷役操作量検出手段の検出信号に基づい
て、判断手段によって通常走行か荷役走行かが判断され
る。通常走行時には進行側のクラッチが完全係合状態に
保持される。そして、エンジンがアクセル操作手段の操
作量に対応した目標エンジン回転数に制御され、産業車
両はアクセル操作手段の操作量に対応した車速で走行す
る。荷役走行時にはエンジンが荷役操作手段の操作量に
基づいて設定された目標エンジン回転数に制御され、荷
役用の油圧回路に必要な油圧が供給される。また、進行
側のクラッチが半クラッチ状態に保持されるとともに、
アクセル操作手段の操作量に対応した車速となるように
制御弁を介してクラッチの係合圧力が制御される。荷役
走行中に目標車速が0になるか制動指令が出力される
と、制動用クラッチが係合状態となって減速される。
【0019】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、荷役走行中の前記アクセル操作量又
は目標車速が0のときの減速時に、進行側のクラッチの
係合圧力が制御手段によってフィードバック制御され
る。また、制動用クラッチは一定の係合圧力となるよう
に制御手段によって制御され、制動作用が得られる。
【0020】請求項3に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、荷役走行中に前記前進クラッチ及び
後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧が制御手段によ
ってフィードバック制御される。制動用クラッチは、進
行側のクラッチ圧の増分が負となるときに係合状態とな
るように、前記クラッチ圧の増分が0以上のときに非係
合状態となるように制御手段によって制御される。
【0021】請求項4に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、荷役走行中に前進クラッチ及び後進
クラッチのうち進行側のクラッチ圧が制御手段によって
フィードバック制御される。制動用クラッチは、進行側
のクラッチ圧の増分が負となるとき及び進行側のクラッ
チ圧が最低圧でかつ前記増分が0のときに係合状態とな
るように制御手段によって制御される。また、前記クラ
ッチ圧の増分が0より大きいときに非係合状態となるよ
うに制御手段によって制御される。
【0022】請求項5に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、荷役走行中に前記前進クラッチ及び
後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧が制御手段によ
ってフィードバック制御される。制動用クラッチは、目
標車速が検出車速より大きいときは、進行側のクラッチ
圧の増分が負であっても非係合状態となるように制御手
段によって制御される。
【0023】請求項6に記載の発明では、請求項3〜請
求項5のいずれか一項に記載の発明において、減速状態
から加速又は定速走行に移行する際、進行側のクラッチ
の係合圧力が制御手段によってフィードバック制御され
るとともに、制動用のクラッチが可及的速やかに非係合
状態となるように制御手段によって制御される。
【0024】請求項7に記載の発明では、請求項1〜請
求項6のいずれか一項に記載の発明において、前進クラ
ッチ及び後進クラッチのうち進行側でないクラッチが制
動用クラッチとして使用される。
【0025】請求項8に記載の発明では、請求項7に記
載の発明において、制動制御時に車速が停止車速に近い
所定速度以下になったとき、前進クラッチ及び後進クラ
ッチが非係合状態となるように、制御手段によって制御
弁が制御される。
【0026】請求項9に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、荷役走行中のクリープ走行時には制
動用クラッチの作動による制動は行われず、進行側のク
ラッチ圧が低下されて減速制御が行われる。
【0027】請求項10に記載の発明では、請求項8に
記載の発明において、荷役走行中にブレーキ操作手段が
操作されると、アクセル操作手段の操作量に拘らず目標
車速を0とした状態で進行側のクラッチ圧が制御手段に
よってフィードバック制御される。また、制動用クラッ
チがブレーキ操作手段の操作量に対応した係合圧力とな
るように制御手段によって制御される。車速が停止車速
に近い所定速度以下になったとき、進行側のクラッチ及
び制動用クラッチが非係合状態となるように、制御手段
によって制御弁が制御される。そして、ブレーキ操作手
段の操作が継続されていると、制御手段によって駐車ブ
レーキが制動状態となるように制御される。
【0028】請求項11に記載の発明では、請求項10
に記載の発明において、車速が停止車速に近い所定速度
以下の状態が所定時間経過した後、進行側のクラッチ及
び制動用クラッチが非係合状態となるように、制御弁が
制御手段によって制御される。
【0029】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明を産業車両としてのフォークリフトに具体化した第1
の実施の形態を図面に従って説明する。
【0030】図1に示すように、エンジン1の出力軸1
aはトルクコンバータ2を備えた変速機3に連結され、
変速機3は差動装置4を介して駆動輪5aを有する車軸
5に連結されている。エンジン1にはエンジンスロット
ルアクチュエータ(以下、単にスロットルアクチュエー
タと称す)7が設けられ、スロットルアクチュエータ7
の作動によってスロットル開度が調節されてエンジン1
の回転数、即ちエンジン1の出力軸1aの回転数が調節
される。
【0031】変速機3は入力軸(メインシャフト)3a
及び出力軸(カウンタシャフト)3bを備え、入力軸3
aに前進クラッチ8及び後進クラッチ9が設けられてい
る。前進クラッチ8及び後進クラッチ9と出力軸3bと
の間には図示しないギヤ列がそれぞれ設けられ、各クラ
ッチ8,9及び各ギヤ列を介して入力軸3aの回転が出
力軸3bに伝達される。両クラッチ8,9には油圧式の
クラッチ、この実施の形態では湿式多板クラッチが使用
され、受圧室8a,9a内の油圧力によって係合力が調
節可能に、かつ受圧室8a,9a内の油圧力を高めると
係合力が大きくなるように構成されている。
【0032】前進クラッチ8及び後進クラッチ9は制御
弁としての前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバ
ルブ11を介して供給される油圧により受圧室8a,9
a内の油圧力が調整される。前進クラッチバルブ10及
び後進クラッチバルブ11には圧力制御比例ソレノイド
弁が使用され、この実施の形態ではソレノイドへの通電
量が0の時に全開で、通電量に比例して開度が小さくな
る比例ソレノイド弁が使用されている。即ち、各クラッ
チバルブ10,11のソレノイドへの通電量が0の時に
受圧室8a,9a内の油圧力が最大となって各クラッチ
8,9が完全係合の状態となる。また、通電量が大きく
なるに従って受圧室8a,9a内の油圧力が低くなって
各クラッチ8,9の係合圧力が小さくなり、通電量が所
定値を超えると各クラッチ8,9が非係合状態となる。
【0033】変速機3の出力軸3bには駐車ブレーキ1
2が設けられている。駐車ブレーキ12は出力軸3bと
一体回転するディスク12aと、出力軸3bに対して回
転不能かつスラスト方向に移動可能に設けられた制動部
材としてのブレーキパッド12bとを備えている。ブレ
ーキパッド12bは図示しないばねによりディスク12
aに圧接される方向に付勢されて制動のための係合圧を
発生させ、ブレーキ用バルブ13を介して受圧室12c
に供給される油圧により制動状態が解除されるように構
成されている。ブレーキ用バルブ13には電磁弁が使用
されている。
【0034】図1ではトルクコンバータ2、変速機3及
び各バルブ10,11,13が独立して図示されている
が、これら各装置は一つのハウジング内に組み込まれ
て、オートマチックトランスミッションを構成してい
る。そして、変速機3には図示しない油圧ポンプが組み
込まれ、その油圧ポンプの吐出油が図示しない流路及び
各バルブ10,11,13を介して各受圧室8a,9
a,12cに供給可能に構成されている。前記油圧ポン
プはエンジン1の回転時に変速機3に伝達される回転力
により駆動されるようになっている。
【0035】エンジン1の出力軸1aには歯車14が一
体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなるエン
ジン回転数センサ15により出力軸1aの回転数が検出
される。エンジン回転数センサ15は出力軸1aの回転
数に比例したパルス信号を出力する。
【0036】変速機3の入力軸3aには歯車16が一体
回転可能に設けられ、変速機3のハウジングにはタービ
ン回転数検出手段としてのタービンセンサ17が設けら
れている。タービンセンサ17は磁気ピックアップから
なり、各クラッチ8,9の入力側の回転数を検出する回
転数検出手段を構成する。変速機3の出力軸3bには歯
車18が一体回転可能に設けられ、変速機3のハウジン
グには車速検出手段としての車速センサ19が設けられ
ている。車速センサ19は磁気ピックアップからなり、
各クラッチ8,9の出力側の回転数を検出する回転数検
出手段を構成する。歯車16,18は入力軸3aの回転
を出力軸3bに伝達する前記ギヤ列の一部を構成してい
る。タービンセンサ17は入力軸3aの回転数に比例し
たパルス信号を、車速センサ19は出力軸3bの回転数
に比例したパルス信号をそれぞれ出力する。
【0037】エンジン1により駆動される荷役用ポンプ
としての油圧ポンプ20の吐出側に、フォーク21を昇
降させるリフトシリンダ22と、マスト23を傾動させ
る図示しないティルトシリンダとが図示しない管路等を
介して接続されている。リフトシリンダ22にはフォー
ク21の積載荷重を検出する積載荷重検出手段としての
圧力センサ24が設けられている。圧力センサ24はリ
フトシリンダ22の内部の油圧を検出し、フォーク21
の積載荷重に対応した検出信号を出力する。
【0038】運転室の床にはアクセル操作手段としての
アクセルペダル25と、インチングペダル26と、ブレ
ーキペダル27とが設けられている。インチングペダル
26は荷役作業を行いながらフォークリフトの微速走行
をマニュアル操作で行う際に、クラッチを半クラッチ状
態にするために使用するものである。ブレーキペダル2
7を操作するときは、ブレーキペダル27はインチング
ペダル26と独立して作動するが、インチングペダル2
6を操作するときは、途中からインチングペダル26と
ブレーキペダル27とが連動可能に構成されている。即
ち、インチングペダル26はインチング位置に達するま
で及びインチング位置においてはブレーキペダル27と
独立して移動(操作)されるが、インチング位置を過ぎ
るとブレーキペダル27がインチングペダル26と一体
に移動するようになっている。
【0039】アクセルペダル25の操作量を検出するア
クセル操作量検出手段としてのアクセルセンサ28には
アイドルスイッチ付アクセルセンサが使用されている。
アイドルスイッチ付アクセルセンサはアクセルペダル2
5が操作されていないときはオン信号を出力し、アクセ
ルペダル25が操作されているときはその操作量に比例
した検出信号を出力する。インチングペダル26の操作
量を検出するインチングセンサ29にはアイドルスイッ
チ付インチングセンサが使用されている。アイドルスイ
ッチ付インチングセンサはインチングペダル26が操作
されていないときはオン信号を出力し、インチングペダ
ル26が操作されているときはその操作量に比例した検
出信号を出力する。
【0040】ブレーキペダル27の近傍にはブレーキペ
ダル27が制動位置に操作されたことを検知するブレー
キスイッチ27aが設けられている。ブレーキペダル2
7にはブレーキペダル27に作用している操作力を検出
するブレーキ操作力検出手段としてのブレーキ操作力セ
ンサ(以下、単にブレーキセンサと称す)30が連結さ
れている。ブレーキセンサ30を構成するシリンダ内に
はオイルが収容された室を挟んで2個のピストンが内蔵
されている。第1のピストンにはブレーキペダル27に
連結されたピストンロッド30aが突設され、第2のピ
ストンとシリンダの底部との間にばねが設けられてい
る。ばねの力はブレーキペダル27の踏力と操作量との
関係が、常用ブレーキを備えた場合とほぼ同じとなるよ
うに設定されている。ブレーキペダル27が操作される
と、室内の油圧が操作力に応じて上昇し、室内の油圧を
検出する図示しない圧力センサから操作力(踏力)に応
じた検出信号が出力される。
【0041】運転室の前部には前後進切換え操作手段と
してのシフトレバー31が設けられている。シフトレバ
ー31の位置を検知するシフトスイッチ32は、シフト
レバー31が前進位置F、後進位置R及び中立位置(ニ
ュートラル位置)Nのいずれにあるかを検知し、各位置
に対応する信号を出力する。
【0042】運転席には荷役作業の際に操作する荷役操
作手段としてのリフトレバー33及びティルトレバー3
4が設けられている。リフトレバー33は荷役操作量検
出手段としてのリフトレバーセンサ35に連結されてい
る。リフトレバーセンサ35はストロークセンサにより
構成され、リフトレバー33の操作量に比例した検出信
号を出力する。ティルトレバー34には荷役操作量検出
手段としてのティルトスイッチ36が設けられている。
ティルトスイッチ36はティルトレバー34が中立位置
にあるときはオフ信号を、ティルトレバー34が前傾位
置あるいは後傾位置に操作されるとオン信号を出力す
る。
【0043】次に前記スロットルアクチュエータ7、前
進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブ
レーキ用バルブ13を駆動制御するための電気的構成を
説明する。
【0044】制御装置41は、目標車速設定手段、目標
エンジン回転数設定手段、判断手段及び制御手段として
の中央処理装置(以下、CPUという)42を備えてい
る。制御装置41は読出し専用メモリ(ROM)43、
読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)44、入力イ
ンタフェース45及び出力インタフェース46を備えて
いる。ROM43には荷役作業をせずに走行する通常走
行時の制御プログラム、荷役作業をしながら走行する荷
役走行(以下、HATと称す)時の制御プログラム等の
制御プログラムや、制御プログラムを実行する際に必要
な各種データ等が記憶されている。RAM44にはCP
U42の演算結果等が一時記憶される。CPU42はR
OM43に記憶された制御プログラムに基づいて作動す
る。
【0045】エンジン回転数センサ15、タービンセン
サ17、車速センサ19、ブレーキスイッチ27a、シ
フトスイッチ32及びティルトスイッチ36は、入力イ
ンタフェース45を介してCPU42に接続されてい
る。圧力センサ24、アクセルセンサ28、インチング
センサ29、ブレーキセンサ30及びリフトレバーセン
サ35は図示しないA/D変換器(アナログ・ディジタ
ル変換器)及び入力インタフェース45を介してCPU
42に接続されている。
【0046】CPU42は出力インタフェース46及び
図示しない駆動回路を介してスロットルアクチュエータ
7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11
及びブレーキ用バルブ13にそれぞれ接続されている。
【0047】ROM43にはリフトレバー33の操作量
と目標エンジン回転数に対応するスロットル開度、アク
セルペダル25の操作量と目標エンジン回転数に対応す
るスロットル開度との関係を示すマップがそれぞれ記憶
されている。両マップは、いずれも操作量がゼロの状態
から操作量に比例してスロットル開度が増大し、最大操
作量でスロットル開度が全開となる。ROM43にはテ
ィルトレバー34が前傾又は後傾位置に操作された際の
所定の目標エンジン回転数に対応するスロットル開度が
記憶されている。
【0048】ROM43にはHAT時におけるアクセル
ペダル25の操作量に対する目標車速Vhat の関係を示
すマップが記憶されている。目標車速Vhat はアクセル
ペダル25の操作量(アクセル操作量)が0のとき0
で、アクセル操作量に対応して上昇するように設定され
ている。
【0049】ROM43には通常走行時におけるブレー
キセンサ30の検出圧力(ブレーキペダル圧)、即ちブ
レーキペダル27の操作力と制動側のクラッチ圧との関
係を示すマップを設定するためのデータが記憶されてい
る。また、CPU42にはHAT中にアクセル操作量が
0又は目標車速が0になったときの制動側のクラッチ圧
が記憶されている。制動側のクラッチ圧とは、前進クラ
ッチ8及び後進クラッチ9のうちの進行側でないクラッ
チの係合圧力を意味する。即ち、前進走行時には後進ク
ラッチ9の係合圧力を意味し、後進走行時には前進クラ
ッチ8の係合圧力を意味する。
【0050】CPU42は前記各センサ15,17,1
9,24,28,29,30,35、ブレーキスイッチ
27a、シフトスイッチ32及びティルトスイッチ36
の出力信号を入力するとともに、ROM43に記憶され
た各種制御プログラムに従って動作し、スロットルアク
チュエータ7及び各バルブ10,11,13への制御指
令信号を出力する。
【0051】CPU42はアクセルセンサ28、リフト
レバーセンサ35及びティルトスイッチ36の検出信号
に基づいて、通常走行かHATかを判断する。CPU4
2はリフトレバー33及びティルトレバー34の操作量
に基づいて設定した目標エンジン回転数となる荷役対応
のスロットル開度(THlift)が、アクセルペダル25
の操作量に対応した目標エンジン回転数となるアクセル
対応のスロットル開度(THrun )より大きい場合はH
ATと判断し、そうでなければ通常走行と判断する。
【0052】CPU42は通常走行モードでは進行側の
クラッチを完全係合状態として、アクセル対応のスロッ
トル開度THrun となるようにスロットルアクチュエー
タ7を制御する。進行側のクラッチとはシフトレバー3
1のシフト位置に対応するクラッチを意味し、シフト位
置が前進位置Fであれば前進クラッチ8、シフト位置が
後進位置Rであれば後進クラッチ9となる。
【0053】CPU42はHATモードでは荷役操作に
必要な油圧を確保できる目標エンジン回転数に対応する
スロットル開度となるように、スロットルアクチュエー
タ7を制御する。また、CPU42はシフトスイッチ3
2のシフト信号に基づいて、シフトレバー31が操作さ
れた進行方向に対応するクラッチを半クラッチ状態とす
るとともに、アクセルペダル25の操作量に対応した目
標車速Vhat となるように、両クラッチバルブ10,1
1の一方を制御して進行側のクラッチの係合圧力を調整
する。クラッチの係合圧力が駆動力となり、駆動力と走
行抵抗との差で加速度が決まり、駆動力−走行抵抗が正
の場合は加速、零の場合は定速、負の場合は減速とな
る。負の最大は走行抵抗での減速である。
【0054】CPU42はクラッチの係合圧力の調整を
フィードバック制御により行う。この実施の形態ではC
PU42は比例積分制御(PI制御)でフィードバック
制御を行う。クラッチ圧力の増分ΔPは、積分ゲインK
I 、比例ゲインKP 、車速偏差(目標車速と検出車速と
の差)e及びその差分Δe(変化率Δe)から次式によ
って決まる。
【0055】ΔP=KI ・e+KP ・Δe 但し、シフトレバー31が中立位置にあるときは、CP
U42は両クラッチ8,9とも非係合状態に保持する電
流指令値を両クラッチバルブ10,11に出力し、リフ
トレバー33及びティルトレバー34に基づいて設定し
たスロットル開度(THlift)及びアクセルペダル25
の操作量に対応するスロットル開度(THrun )の大き
い方のスロットル開度となるようにスロットルアクチュ
エータ7を制御する。
【0056】CPU42はHATから通常走行へ移行す
る際、エンジン回転数が低下して進行側のクラッチの入
力側と出力側の回転数の差が所定の範囲になった時に、
半クラッチ状態にあるクラッチの係合圧力を上げてクラ
ッチを完全係合させるように制御する。タービンセンサ
17はこのときにクラッチの入力側の回転数を検出する
ために使用される。
【0057】CPU42はHAT中に車速が所定速度よ
り大きく、クリープ走行でなく、かつインチングペダル
が操作されていないときに、アクセル操作量が0又は目
標車速が0になったときには、制動側のクラッチを非係
合状態ではなく所定の制動力を作用させる係合圧となる
ように制御する。また、CPU42は前記の減速中に車
速が停止車速になると、車両の逆走を防止するため、進
行側及び制動側の両クラッチの圧力を抜いて両クラッチ
8,9を非係合状態とするように両クラッチバルブ1
0,11を制御する。
【0058】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。エンジン1はスロットル開度に対応したエン
ジン回転数で回転される。エンジン1の回転により油圧
ポンプ20が駆動され、リフトシリンダ22及びティル
トシリンダに作動油が供給可能な状態になる。また、エ
ンジン1の回転は出力軸1a及びトルクコンバータ2を
介して変速機3に伝達される。
【0059】シフトレバー31が中立位置に操作された
状態では、両クラッチ8,9はそれぞれ非係合状態に保
持され、エンジン1の回転は変速機3の出力軸3bに伝
達されない。シフトレバー31が前進位置に操作された
状態では、前進クラッチ8の受圧室8aの油圧が調整さ
れて前進クラッチ8が係合状態となり、エンジン1の回
転が前進クラッチ8を介して出力軸3bに伝達される状
態となる。シフトレバー31が後進位置に操作された状
態では、後進クラッチ9の受圧室9aの油圧が調整され
て後進クラッチ9が係合状態となり、エンジン1の回転
が後進クラッチ9を介して出力軸3bに伝達される。
【0060】走行中にブレーキペダル27が操作された
ときには、制動側のクラッチが係合されて、制動力が得
られる。CPU42はブレーキペダル27が操作される
と、制動側のクラッチも係合状態とするように対応する
クラッチバルブを制御する。当該クラッチの係合圧力は
ブレーキペダル27の操作量に対応した値となるように
制御される。
【0061】また、CPU42は通常走行時に車速が停
止車速以下の状態で、かつブレーキ操作信号を入力した
状態が所定時間(例えば0.5秒程度)以上継続したと
判断すると、ブレーキ用バルブ13に制動指令信号を出
力する。停止車速とは車速センサ19で零と判断される
程度の低速を意味し、例えば秒速数cm程度である。ブ
レーキ用バルブ13に制動指令信号が出力されると、受
圧室12cに油圧が供給されない状態となり、ブレーキ
パッド12bがばね力によってディスク12aに圧接さ
れる制動位置に配置されて駐車ブレーキ12が制動状態
となる。従って、フォークリフトが停止した状態で自動
的に駐車ブレーキ12が制動解除状態から制動状態に切
り換えられる。また、アクセルペダル25を踏むと制動
状態が解除される。
【0062】インチングペダル26が踏まれてインチン
グ位置に操作された状態ではHAT制御が行われず、進
行側のクラッチが半クラッチ状態に保持され、マニュア
ル操作によるフォークリフトの微速走行が可能となる。
【0063】次に図2〜図4のフローチャートに従って
HAT時の変速制御及びHAT中にアクセル操作量0又
は目標車速が0になったときの制動制御についてより詳
しく説明する。CPU42は図2〜図4のフローチャー
トの処理を所定周期、例えば10ミリsec 毎に繰り返
す。
【0064】CPU42はステップS1でリフトレバー
33及びティルトレバー34の操作量に基づいて荷役操
作のための目標エンジン回転数に対応する荷役対応のス
ロットル開度THliftと、アクセルペダル25の操作量
に対応した目標エンジン回転数に対応するアクセル対応
のスロットル開度THrun とを演算する。即ち、CPU
42はリフトレバーセンサ35の出力信号からリフトレ
バー33の操作量を演算し、マップから対応するスロッ
トル開度を求める。そして、そのスロットル開度とティ
ルトレバー34の位置に対応するスロットル開度とを比
較し、大きい方のスロットル開度を荷役対応のスロット
ル開度THliftとする。また、アクセルセンサ28の出
力信号からアクセル操作量を演算し、マップからアクセ
ル対応のスロットル開度THrun を求める。CPU42
はステップS1においてアクセル操作量に対する目標エ
ンジン回転数設定手段と、荷役操作量に対する目標エン
ジン回転数設定手段とを構成する。
【0065】次にCPU42はステップS2でシフトレ
バー31が中立位置か否かを判断し、中立位置であれば
ステップS3に進む。ステップS3でCPU42はステ
ップS1で演算された両スロットル開度THlift,TH
run のうちの大きい方のスロットル開度となるように、
スロットルアクチュエータ7に対応する指令信号を出力
する。
【0066】ステップS2でシフトレバー31が中立位
置でなければ、CPU42はステップS4に進み、両ス
ロットル開度THlift,THrun の大小を比較する。ス
テップS4で荷役対応のスロットル開度THliftがアク
セル対応のスロットル開度THrun より大きければ、C
PU42はHATと判断してステップS5に進む。CP
U42はステップS5でHATモードであることを示す
フラグfHATを1にし、HATの処理回数をカウント
するHATカウンタのカウント値HATcnt に1加算す
る。次にCPU42はステップS6に進み、スロットル
アクチュエータ7にスロットル開度THliftとなるよう
に指令信号を出力する。その結果、エンジン回転数が荷
役操作に必要な油圧を確保できる回転数となる。CPU
42はステップS4において通常走行かHATかを判断
する判断手段を構成する。
【0067】次にCPU42はステップS7に進みアク
セルセンサ28の出力信号に基づき、アクセルペダル2
5の操作量に対応した目標車速Vhat を設定する。次い
で、CPU42はステップS8で目標車速Vhat と車速
センサ19の出力信号に基づく検出車速(実車速)Vse
n とから、クラッチ圧力のPI制御を行う。HATでは
一般に車速が遅いため、アクセルペダル25の操作量に
対応するエンジン回転数に比較して、荷役操作に必要な
油圧を確保できるエンジン回転数の方が大きくなる。そ
のため、進行側のクラッチを半クラッチ状態にするとと
もに、その係合圧力を調整することにより、所望の車速
に制御する。CPU42はステップS7においてアクセ
ル操作量に対する目標車速設定手段を構成する。
【0068】ステップS4でスロットル開度THliftが
スロットル開度THrun より大きくなければ、CPU4
2は通常走行と判断してステップS9へ進み、フラグf
HATを0、即ちHATモードでないことを示す状態に
し、HATカウンタをリセットする。次にCPU42は
ステップS10へ進み、通常走行モードの制御を行う。
即ち、進行側のクラッチを完全係合するように対応する
クラッチバルブへの供給電流指令値を出力し、スロット
ルアクチュエータ7にアクセル対応のスロットル開度T
Hrun となるように指令信号を出力する。
【0069】次にステップS8におけるクラッチ圧力の
PI制御について図3に従って詳しく説明する。CPU
42はステップS801で今回の制御サイクルでの車速
偏差enow を目標車速Vhat と検出車速(実車速)Vse
n との差(enow =Vhat −Vsen )で演算する。次に
CPU42はステップS802でHATカウンタのカウ
ント値HATcnt が1否かを判断する。カウント値HA
Tcnt が1、即ちHATモードに入って1回目であれば
CPU42はステップS803に進み、前回の制御サイ
クルでの車速偏差e oldと今回の制御サイクルでの車速
偏差enow との差である車速偏差の変化率Δeを演算す
るための初期値としてeold =enow を与える。次にC
PU42はステップS804に進み、10ミリsec 間の
車速偏差の変化率ΔeをΔe=enow −eold によって
演算する。ステップS802においてカウント値HAT
cnt が1でなければ、CPU42は直接ステップS80
4に進んで車速偏差の変化率Δeを演算する。
【0070】次にCPU42はステップS805でPI
制御を行う場合のクラッチ圧力の増分ΔPを、ΔP=K
I ・e+KP ・Δeから演算する。積分ゲインKI 及び
比例ゲインKP は予め所定の値に設定されている。次に
CPU42はステップS806で制御周期(10ミリse
c )間のクラッチ圧増分dtem をステップS805で演
算されたΔPに設定する。
【0071】次にCPU42はステップS807に進
み、クラッチ圧増分dtem を所定の範囲内の値となるよ
うに制限する。次にCPU42はステップS808に進
み、指令クラッチ圧Pclを前回の制御周期の指令クラッ
チ圧Pcl oldとクラッチ圧増分dtem との和から演算す
る。
【0072】次にCPU42はステップS809に進
み、指令クラッチ圧Pclに対応する指令電流値を演算し
た後、ステップS810へ進む。CPU42はステップ
S810でシフトレバー31の操作位置に対応するクラ
ッチバルブにステップS809で演算された電流指令値
を出力する。即ち、シフトレバー31が前進位置に操作
されていれば前進クラッチバルブ10へ、シフトレバー
31が後進位置に操作されていれば後進クラッチバルブ
11へ電流指令値を出力する。その結果、シフトレバー
31の操作位置に対応した進行側のクラッチの係合圧力
が変更されて車速が変更される。車速偏差eが正であれ
ば加速となり、車速偏差eが負であれば減速となる。次
にCPU42はステップS811へ進み、次回の演算に
使用する各値の置き換え、即ち、eold をenow に、P
cl oldをPclに置き換え、その後、処理を終了する。
【0073】前記のように、HAT中は進行側のクラッ
チが半クラッチ状態に、制動側のクラッチは非係合状態
に保持される。そして、アクセルペダル25の操作量に
対応した目標車速Vhat となるように、進行側のクラッ
チの係合圧力が調整される。アクセルペダル25が操作
されて目標車速Vhat が高くなったときの車速及びクラ
ッチ圧の時間変化は図5に示すようになる。定速走行中
はクラッチ圧は一定に保持され、加速時には進行側(加
速側)のクラッチ圧は徐々に高くなる。その結果、図5
(a)に破線で示すように、実車速(検出車速)が目標
車速に向かって徐々に近づき、やがて目標車速に収束す
る。
【0074】下りの坂道のように走行抵抗が負として作
用する場合は、図5(b)に示すように、目標車速Vha
t に到達する前に加速側のクラッチ圧の増分ΔPが負に
なる場合、即ち減速作用を発揮する場合がある。この場
合も進行側でないクラッチ、即ち減速側(制動側)のク
ラッチを作動させず、加速側のクラッチ圧を下げること
で制御が行われる。即ち、目標車速が実車速より大きな
加速走行中は、ΔPが負になっても減速側(制動側)の
クラッチは作動されず、非係合状態に保持される。従っ
て、減速側のクラッチは定速走行中及び加速走行中は常
に非係合状態に保持される。
【0075】アクセルペダル25を戻して減速する場合
には、ΔPは負となってクラッチ圧が減少し、駆動力が
走行抵抗未満になると、走行抵抗との差の分に相当する
減速力で減速される。しかし、進行側のクラッチの係合
圧力を0にしただけでは制動力が小さく、減速力を駆動
力と走行抵抗との差から得る場合は、最大減速度の大き
さが最大加速度に比較して1/10以下となる。
【0076】この実施の形態ではHAT中に車速が所定
速度Vα(例えば1km/h)より大きく、クリープ走
行でなく、かつインチングペダル26が操作されていな
いときに、アクセル操作量が0又は目標車速が0になっ
たときには、CPU42は進行側(加速側)のクラッチ
の係合圧力をPI制御し、制動側(減速側)のクラッチ
を非係合状態から制動作用を有する係合状態として一定
圧の同時係合ブレーキがかかるように制御する。前記所
定速度Vαはエンジン回転が低速で大きな制動力をかけ
るとエンジンストールを起こし易い速度に相当する。そ
の制動制御について図4のフローチャートに従って詳し
く説明する。
【0077】CPU42は図4に示すフローチャートの
処理を、各制御周期毎にHATの制御処理の途中におい
て割り込み処理で行う。ステップS101でCPU42
はアクセルペダル25が操作されておらず(アクセルO
FF)、検出車速Vsen が所定速度Vαより大きく、フ
ラグfcreep が0で、かつインチングペダル26が操作
されていない(インチングOFF)か否かを判断する。
フラグfcreep はクリープ走行であるか否かを示すフラ
グであって、1であればクリープ走行であることを示
し、0であればクリープ走行でないことを示す。
【0078】なお、CPU42はアクセルペダル25及
びインチングペダル26が操作されていない状況で、車
速が徐々に増速し所定値を超えたときにクリープ走行と
判断し、フラグfcreep を1にセットする。また、アク
セルペダル25が操作されるか、インチングペダル26
が操作されるか、シフトレバー31が中立位置に操作さ
れると、フラグfcreep を0にセットする。CPU42
はこの判断を所定周期で行う。
【0079】ステップS101で四つの条件が満たされ
ていればCPU42はステップS102に進み、シフト
レバー31が前進位置か否かを判断する。シフトレバー
31が前進位置であればCPU42はステップS103
に進み、後進クラッチバルブ11に指令電流値RIcon
として、後進クラッチ9に所定の係合圧力を与えるため
の指令電流値Ib を出力した後、ステップS104に進
む。CPU42はステップS104で検出車速Vsen が
所定速度VL以下になったか否かを判断する。所定速度
VLはほぼ停止に近い速度(例えば0.25km/h)
である。そして、CPU42は検出車速Vsen が所定速
度VL以下であればステップS105に進み、逆走防止
のために両クラッチ8,9を非係合状態とする指令電流
値Ioffを前進クラッチバルブ10の指令電流値FIcon
及び後進クラッチバルブ11の指令電流値RIcon と
して出力した後、処理を終了する。この処理により両ク
ラッチ8,9の圧力が抜かれて両クラッチ8,9が非係
合状態となり車両が停止する。
【0080】ステップS102でシフトレバー31が前
進位置でなければCPU42はステップS106に進
み、シフトレバー31が後進位置か否かを判断する。シ
フトレバー31が後進位置でなければCPU42は処理
を終了する。シフトレバー31が後進位置であれば、C
PU42はステップS107に進み、前進クラッチバル
ブ10に指令電流値FIcon として、前進クラッチ8に
所定の係合圧力を与えるための指令電流値Ib を出力し
た後、ステップS104に進む。
【0081】ステップS101で四つの条件が満たされ
ていなければCPU42はステップS108に進み、シ
フトレバー31が前進位置か否かを判断する。シフトレ
バー31が前進位置であればCPU42はステップS1
09に進み、フラグfcreepが1か否かを判断する。フ
ラグfcreep が1であればCPU42はステップS11
0に進み、後進クラッチバルブ11に指令電流値RIco
n として、後進クラッチ9を非係合状態とするIoff を
出力した後、処理を終了する。ステップS109でフラ
グfcreep が1でなければCPU42はステップS10
4に進む。
【0082】ステップS108でシフトレバー31が前
進位置でなければCPU42はステップS111に進
み、シフトレバー31が後進位置か否かを判断する。シ
フトレバー31が後進位置であればCPU42はステッ
プS112に進み、フラグfcreep が1か否かを判断す
る。フラグfcreep が1であればCPU42はステップ
S113に進み、前進クラッチバルブ10に指令電流値
FIcon として、前進クラッチ8を非係合状態とするI
off を出力した後、処理を終了する。ステップS112
でフラグfcreep が1でなければ、CPU42はステッ
プS104に進む。
【0083】前記のような制動制御を行った場合の、H
ATでの減速時における進行側及び制動側のクラッチ圧
の時間変化を図6(a)に、車速の時間変化を図6
(b)にそれぞれ示す。一定速度で走行中にアクセルペ
ダル25がアイドルになると、進行側(加速側)のクラ
ッチ圧がPI制御により徐々に減少するとともに、制動
側(減速側)のクラッチが一定圧力となるように制御さ
れ、車速が徐々に減速される。そして、車速が所定速度
VLより小さくなると、両クラッチの圧力が0となって
車両の逆走が防止される。
【0084】従って、この実施の形態では次の効果を有
する。 (1) 制御手段(CPU42)はHAT中に目標車速
が0になると、制動用クラッチを係合状態として減速す
るように制御する。従って、常用ブレーキを装備せず
に、アクセル操作だけで速やかに減速できる。
【0085】(2) CPU42はアクセル操作量が0
のときの減速時に、進行側のクラッチの係合圧力をフィ
ードバック制御するとともに、制動側のクラッチを一定
の係合圧力として制動力を作用させる。従って、減速度
の大きさが進行側のクラッチの係合圧力の調整で得られ
る範囲より大きくなり、アクセル操作だけで速やかに減
速できる。
【0086】(3) 進行側のクラッチの係合圧力のフ
ィードバック制御をPI制御で行うため、他のフィード
バック制御より制御が簡単になる。 (4) アクセルペダル25の操作を0にすると、一定
の減速度のブレーキがかかる構成のため、制御が簡単に
なるとともに、運転者にとっても分かり易く、アクセル
ペダル25の操作のみによる加減速が容易になる。
【0087】(5) HAT中のクリープ走行時には制
動側クラッチを係合状態とする制動を行わないため、制
動側クラッチの係合によるショックでエンジンストール
が発生してクリープ走行ができなくなる事態を回避でき
る。
【0088】(6) 車速が所定速度Vα(例えば時速
1km)以下では制動用のクラッチを作動させないた
め、エンジンストールが発生し難い。 (7) 制動力を与えるクラッチとして、前進クラッチ
8及び後進クラッチ9のうちの進行側でないクラッチを
使用するため、減速時の制動専用のクラッチを設けなく
てもよい。
【0089】(8) HAT時において、目標車速Vha
t >検出車速Vsen のとき、即ち加速中は、減速側のク
ラッチによる制動作用を行わずに、加速側のクラッチ圧
の制御だけで車速制御を行う。従って、制御が簡単にな
る。
【0090】(9) HAT時に前進クラッチ8及び後
進クラッチ9の同時係合により制動力を得る際、車速が
停止に近い所定速度VL以下に低下すると、両クラッチ
8,9のクラッチ圧が非係合状態のクラッチ圧に保持さ
れる。従って、車速が低下した状態で制動側のクラッチ
圧力が高くなって車両が逆走する状態となるのを防止で
きるとともに、ショックなく停止できる。
【0091】(10) タービンセンサ17及び車速セ
ンサ19は、変速機3に内蔵されたギヤ列を構成する歯
車16,18を被検出部として、それぞれクラッチの入
力側あるいは出力側の回転数を検出する。従って、入力
側あるいは出力側の回転数を検出するための被検出部を
新たに設ける必要がない。
【0092】(11) 前進クラッチ8及び後進クラッ
チ9として湿式の油圧クラッチが使用されているため、
半クラッチ状態の使用が頻繁に行われても耐久性が低下
し難い。
【0093】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図7〜図9に従って説明する。この実施の形態では
HAT中にブレーキペダル27が操作されたときの制動
作用に特徴がある。機械的な構成は第1の実施の形態と
同じである。ROM43にはHAT中にブレーキペダル
27が操作されたときの制御プログラムが記憶されてい
る。
【0094】CPU42はHAT中にブレーキペダル2
7が操作されると、目標車速を0として進行側のクラッ
チ圧をPI制御するとともに、制動側のクラッチ圧をブ
レーキペダル27の操作量(踏み力)に応じた圧力とな
るように制御する。そして、車速が所定速度VL以下に
なると、前進クラッチ8及び後進クラッチ9を非係合状
態とするように両クラッチバルブ10,11を制御し、
さらにブレーキペダル27が踏み続けられていれば駐車
ブレーキ12を作動させる。
【0095】次にHAT中の前進走行中にブレーキペダ
ル27が操作された時の制動作用について図7及び図8
のフローチャートに従って説明する。CPU42は図7
及び図8に示すフローチャートの処理を、各制御周期毎
にHATの制御処理の途中において割り込み処理で行
う。なお、制御装置41に電源が供給された時点で、C
PU42はブレーキ圧と前進クラッチ8及び後進クラッ
チ9の同時係合ブレーキ圧力との関係を示すマップを、
ROM43に記憶されたデータに基づいて設定してRA
M44に記憶させる。マップはブレーキ圧と同時係合ブ
レーキ圧力とが比例関係となるように設定されている。
【0096】図7に示すように、ステップS501でC
PU42はフラグfHATが1で、かつブレーキONか
否かを判断する。フラグfHATが1即ちHATモード
でかつブレーキONであれば、CPU42はステップS
502に進み、ブレーキペダル27がON状態での前進
クラッチ8及び後進クラッチ9の最低同時係合圧PhatF
R を設定する。最低同時係合圧PhatFR はブレーキペダ
ル27の操作量が小さな状態において、ブレーキセンサ
30の検出信号のバラツキによりブレーキペダル27を
操作しているにも拘らず制動側のクラッチに圧力が加わ
らない状態となるのを避けるために設けられている。最
低同時係合圧PhatFR は通常走行時の同時係合ブレーキ
時における係合圧力より低く設定される。
【0097】次にCPU42はステップS503に進
み、ブレーキペダル27の操作力(ブレーキ圧)に応じ
た同時係合ブレーキ圧Pbrk をマップから演算する。次
にCPU42はステップS504に進み、同時係合ブレ
ーキ圧Pbrk が最低同時係合圧PhatFR より小さいか否
かを判断する。
【0098】同時係合ブレーキ圧Pbrk が最低同時係合
圧PhatFR より小さければ、CPU42はステップS5
05へ進み、後進クラッチバルブ11に対して指令電流
値RIcon として後進クラッチ9が最低同時係合圧Pha
tFR となるような指令電流値IPhatFR を出力する。同
時係合ブレーキ圧Pbrk が最低同時係合圧PhatFR より
小さくなければ、CPU42はステップ506へ進み、
後進クラッチバルブ11に対して指令電流値RIcon と
して後進クラッチ9が同時係合ブレーキ圧Pbrk となる
ような指令電流値IPbrk を出力する。
【0099】次にCPU42はステップS507へ進
み、検出車速Vsen が所定速度VL以上から未満へ変化
したか又はフラグfbrk HATが1か否かを判断する。
所定速度VLは例えば時速0.25km/h程度のほぼ
停止に近い速度である。検出車速Vsen が所定速度VL
以上から未満へ変化したとの判断は、例えば3周期前の
検出車速Vsen[3]が所定速度VL以上で、2周期前の検
出車速Vsen[2]が所定速度VL以上で、1周期前の検出
車速Vsen[1]が所定速度VL未満でかつ今周期即ち現在
の検出車速Vsen[0]が所定速度VL未満の条件が成り立
つときとしている。
【0100】CPU42はステップS507の判断条件
が成立すればステップS508へ進み、ステップS50
7の条件が成立してから所定時間、例えば0.5秒経過
したか否かの判断を行う。所定時間経過していればCP
U42はステップS509へ進み、逆走防止のために両
クラッチ8,9を非係合状態とする指令電流値Ioffを
前進クラッチバルブ10の指令電流値FIcon 及び後進
クラッチバルブ11の指令電流値RIcon として出力す
る。この処理によりクラッチ8,9の圧力が抜かれて両
クラッチ8,9が非係合状態となる。
【0101】次にCPU42はステップS510へ進
み、フラグfbrk HATを1とした後、ステップS51
1でフラグfbrkfree を1にする。その後、CPU42
は駐車ブレーキ12の制御ルーチンを実施する。また、
ステップS508で所定時間経過していなければCPU
42は処理を終了する。
【0102】CPU42はステップS507の判断条件
が成立しなければステップS512へ進み、フラグfbr
kfree を0にする。その後、CPU42は図8に示す駐
車ブレーキ12の制御ルーチンを実施する。ステップS
507の条件が成立してからの経過時間はカウンタのカ
ウント数と制御周期とに基づいて計測される。前記カウ
ンタはCPU42がステップS508へ進むときに1プ
ラスされ、ステップS512へ進むときリセットされる
ようになっている。
【0103】CPU42はステップS501でフラグf
HATが1でかつブレーキONでなければ、ステップS
513へ進み、ブレーキOFFか否かを判断する。そし
て、ステップS513でブレーキOFFであればCPU
42はステップS514へ進み、フラグfbrk HATを
0にした後、駐車ブレーキ12の制御ルーチンへ進む。
ステップS512でブレーキOFFでなければ、CPU
42は駐車ブレーキ12の制御ルーチンへ進む。
【0104】駐車ブレーキ12の制御ルーチンでは、ス
テップS520でCPU42はフラグfbrkfree が1か
つブレーキONか否かを判断する。CPU42はフラグ
fbrkfree が1かつブレーキONであればステップS5
21に進み、ブレーキ用バルブ13駆動用のフラグfbr
k を1にした後、ステップS522に進み駐車ブレーキ
12を制動状態(駐車ブレーキON)にする制御信号を
ブレーキ用バルブ13に出力した後、処理を終了する。
ステップS520でフラグfbrkfree が1かつブレーキ
ONでなければ、CPU42はステップS523に進
み、シフトレバー31が前進又は後進で、ブレーキOF
FかつフラグfHATが1か否かを判断する。判断条件
が成立すればCPU42はステップS524へ進み、ブ
レーキ用バルブ13駆動用のフラグfbrk を0にした
後、ステップS525に進み、駐車ブレーキ12を制動
解除状態(駐車ブレーキOFF)とする制御信号をブレ
ーキ用バルブ13に出力した後、処理を終了する。ステ
ップS523で判断条件が成立しなければ、CPU42
はそのまま処理を終了する。
【0105】なお、HAT中の後進時にブレーキペダル
27が操作された場合も、前記の処理において前進と後
進とを入れ換えることで同様に行われる。前記のような
制動制御を行った場合の、HATでの減速時における車
速の時間変化を図9(a)に、制動側のクラッチ圧及び
駐車ブレーキ12のクラッチ圧の時間変化を図9(b)
にそれぞれ示す。一定速度で走行中にブレーキペダル2
7が操作されると、制動側のクラッチがブレーキペダル
27の操作量に対応した係合圧力となるように制御さ
れ、車速が徐々に減速される。そして、車速が所定速度
VL以下になった後、所定時間T経過すると、両クラッ
チの圧力が0となって車両の逆走が防止される。そし
て、ブレーキペダル27が操作され続けていれば駐車ブ
レーキ12が制動状態となる。
【0106】この実施の形態では第1の実施の形態の
(1)、(3)及び(7)〜(11)の効果の他に次の
効果を有する。 (12) HAT中にブレーキペダル27が操作されて
制動力が加えられるときは、アクセルペダル25の操作
量に関係なく目標車速Vhat が0に設定される。目標車
速Vhat をアクセル操作量に対応した値にしたまま制動
力をかけると、制動力に抗して目標車速Vhat に追従し
ようとして進行側のクラッチ圧が上昇し、所望の制動力
を得るのが難しくなるとともにクラッチの耐久性が低下
する。しかし、目標車速Vhat が0に設定されることに
より、進行側のクラッチ圧力が低下し、所望の制動力が
得られるとともに、エネルギーロスが少なくなる。
【0107】(13) HAT中のブレーキ制動時に制
動側のクラッチ圧を設定する際、ブレーキ圧力に応じた
同時係合ブレーキ圧Pbrk と、最低同時係合圧PhatFR
とを比較し、同時係合ブレーキ圧Pbrk が小さいときは
制動側のクラッチ圧が最低同時係合圧PhatFR 設定され
る。従って、ブレーキペダル27の操作量が小さくて、
ブレーキセンサ30の検出信号がばらついても、制動時
にクラッチ圧が少なくとも最低同時係合圧PhatFR に調
整されるため、制動が安定して行われる。
【0108】(14) 車速が所定速度VL以下になっ
たか否かの判断を、3周期前から今回の制御周期までの
検出車速Vsen に基づいて判断するため、1回の検出結
果で判断する場合に比較して誤判断が少なくなる。
【0109】(15) 車速が所定速度VL以下になっ
てすぐに両クラッチ8,9が非係合状態に保持されず
に、所定時間経過してから非係合状態に保持される。従
って、ノイズ等の誤判断で停止されることが防止され
る。
【0110】(16) HAT時に前進クラッチ8及び
後進クラッチ9が非係合状態になってもブレーキペダル
27が操作された状態にあれば、駐車ブレーキ12が制
動状態となるため坂路においても確実に停止できる。
【0111】(17) ブレーキペダル27の操作を終
了すると、駐車ブレーキ12の制動状態が解除される。
従って、HAT中の微速走行、停止を繰り返す際に操作
が簡単になる。
【0112】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態を図10に従って説明する。この実施の形態ではHA
T中にアクセルペダル25を戻した場合の制動作用が第
1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態では
アクセルペダル25の操作量が0になったときは、加速
側のクラッチ圧をPI制御し、減速側のクラッチ圧を所
定の制動力が作用する一定圧力となるように制御した。
この実施の形態では加速側のクラッチ圧をPI制御し、
加速側のクラッチ圧の増分ΔPが負になると、減速側の
クラッチ圧もPI制御する点が第1の実施の形態と異な
っている。機械的な構成は第1の実施の形態と同じであ
るが、アクセルペダル25を戻したときの制御プログラ
ムが異なっている。
【0113】図10(a)に実線で示すように、車両が
定速走行している状態からアクセルペダル25が戻され
て目標車速が現在速度より低くなると、CPU42は先
ず加速側のクラッチをPI制御する。また、CPU42
は加速側のクラッチ圧の増分ΔPが負になると、減速側
のクラッチ圧もPI制御する。従って、図10(b)に
示すように、加速側のクラッチ圧が徐々に低くなるとと
もに、減速側のクラッチ圧が徐々に高くなる。その結
果、アクセルペダル25を戻して目標車速が低くなった
とき、加速側のクラッチ圧のみを制御する場合に比較し
て減速が速まり目標車速への収束が早くなる。
【0114】加速側のクラッチ圧が最低圧になっても目
標車速に到達しない場合、即ち加速側のクラッチ圧が最
低圧で、かつクラッチ圧の増分ΔPが0のときは、クラ
ッチ圧の増分ΔPが負でなくても減速側のクラッチは圧
が立った状態に保持される。そして、目標車速に近くな
ると、減速側のクラッチ圧が抜かれる。
【0115】また、検出車速Vsen が目標車速に到達す
る前に、図10(a)に鎖線で示すように、目標車速が
それまでの目標車速より高い目標車速に変更されると、
加速側のクラッチ圧の増分ΔPが正になり、減速側のク
ラッチは圧力が小さくなるようにPI制御される。
【0116】この実施の形態では第1の実施の形態の
(7)〜(11)の効果の他に次の効果を有する。 (18) アクセルペダル25が戻されて目標車速が低
くなり、加速側のクラッチ圧がPI制御されて減速され
るとき、加速側のクラッチ圧の増分ΔPが負になると、
減速側のクラッチ圧もPI制御される。従って、減速時
に目標車速への収束が早まる。
【0117】(19) 減速時に加速側のクラッチ圧が
最低圧になっても目標車速に到達しない場合、即ち加速
側のクラッチ圧が最低圧で、かつクラッチ圧の増分ΔP
が0のときは、加速側のクラッチ圧の増分ΔPが負でな
くても減速側のクラッチが係合状態となって制動作用を
発揮する。従って、車両が惰性で移動する距離が短くな
る。
【0118】(第4の実施の形態)次に第4の実施の形
態を説明する。この実施の形態ではHAT時に減速状態
から加速又は定速走行へ移行する際の制動側のクラッチ
圧の制御方法が、第3の実施の形態と異なっている。進
行側のクラッチはPI制御によりクラッチ圧が連続的に
増減制御される。減速側のクラッチも進行側のクラッチ
と同様にPI制御を行うと、PI制御ではクラッチ圧の
急激な変化を抑えるようにゲイン調整がなされているた
め、減速状態から加速又は定速走行へ移行するとき、制
動側のクラッチ圧が制動作用0の状態、即ち非係合状態
に速やかに移行しない。その結果、制動力の分だけ駆動
エネルギーが余分に消費されるとともに、クラッチの作
動油の温度上昇も高くなる。
【0119】前記の不具合を解消するため、この実施の
形態では、HAT時に減速状態から加速又は定速走行へ
移行する際、CPU42は進行側のクラッチの係合圧力
をフィードバック制御(例えばPI制御)するととも
に、制動側のクラッチを可及的速やかに非係合状態とす
るように制御する。図11はこの実施の形態における、
減速区間及び減速状態から加速状態に移行するときの進
行側(加速側)のクラッチ及び制動側(減速側)のクラ
ッチの圧力の時間変化を示す。
【0120】減速区間に入るときは、加速側のクラッチ
及び減速側のクラッチは共に、PI制御で係合圧力が制
御される。従って、減速側のクラッチ圧の立ち上がりは
緩やかである。しかし、減速状態から加速状態に移行す
る際は、減速側のクラッチ圧はPI制御されずに入力制
限の許容範囲で最も早く、即ち可及的速やかに非係合状
態となるように制御される。その結果、減速側のクラッ
チ圧は、鎖線で示すPI制御を行った場合と比較して、
速やかに0になる。
【0121】従って、この実施の形態では減速状態から
加速又は定速走行へ移行する際、減速側のクラッチによ
る制動作用が速やかに低下し、第3の実施の形態に比較
して加速に必要なエネルギーが少なくなって燃費が向上
する。また、クラッチの作動油の温度上昇も抑制され
る。
【0122】なお、実施の形態は前記に限定されるもの
でなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 第1の実施の形態において、アクセル操作量を0に
したときの制動側のクラッチ圧の大きさを、スイッチ又
はボリュームによって変更可能としてもよい。この場
合、予めスイッチ又はボリュームを操作して好みの大き
さに設定することにより、減速感を運転者の好みに合わ
せ易くなる。
【0123】○ 第1の実施の形態において制動側のク
ラッチ圧の大きさを、荷の重量に対応して設定する構成
とする。例えば、圧力センサ24の検出信号から荷の重
量を演算し、荷の重量とそれに対応する制動側のクラッ
チ圧の大きさとの関係を示すマップ又は演算式を使用し
てクラッチ圧力を設定する。この場合、制動力をより適
正な値に設定でき、荷の重量に拘わらず所定の減速度を
得ることが可能になる。
【0124】○ 変速機3に油圧式の制動用クラッチを
組み込み、ブレーキペダル27が操作されたときの制動
力を前進クラッチ8及び後進クラッチ9の同時係合で与
える代わりに、制動用クラッチの受圧室内の油圧を増減
して係合状態を調整する制御弁をCPU42で制御して
制動力を制御する構成としてもよい。この場合、前進ク
ラッチ8及び後進クラッチ9の係合力のバランスを考慮
せずに制動力を調整でき、前進クラッチ8及び後進クラ
ッチ9の同時係合の場合に比較して制御が簡単になる。
また、車速が停止速度以下になったときに、車両が逆走
することはないため、必ずしも進行側のクラッチ及び制
動用クラッチを非係合状態とする必要はない。しかし、
燃費の点からは両クラッチを非係合状態にする方が好ま
しい。
【0125】○ 駐車ブレーキ12に前記制動用クラッ
チの機能を持たせてもよい。例えば、ブレーキ用バルブ
13としてクラッチバルブ10,11と同様に圧力制御
比例ソレノイド弁を使用し、ブレーキペダル27の操作
量に対応した制動力が得られるようにブレーキ用バルブ
13を制御する構成とする。この場合、車速が停止速度
以下になったときに、進行側のクラッチを非係合状態と
し、駐車ブレーキ12の制動作用を維持することで坂道
などでも確実に停止できる。
【0126】○ 第1の実施の形態においても、逆走防
止のために両クラッチを非係合状態とした後、駐車ブレ
ーキ12を作動させてもよい。 ○ 傾斜センサを設け、車両の停止位置が傾斜地のとき
にのみ、両クラッチを非係合状態とした後、駐車ブレー
キ12を制動状態にする構成としてもよい。この場合、
平坦地でのHATにおいて微速走行、停止を繰り返す際
に駐車ブレーキ12の制動、解除を繰り返す必要がなく
なり制御が簡単になる。
【0127】○ フィードバック制御はPI制御に限ら
ず他の制御方法を使用してもよい。 ○ 変速機3に内蔵された駐車ブレーキ12を省略し
て、通常の駐車ブレーキを設けてもよい。
【0128】○ 第2の実施の形態において、HAT中
にブレーキペダル27が操作された際、ブレーキ時の最
低同時係合圧PhatFR を設定せず、マップ又は演算式か
ら求めた同時係合ブレーキ圧Pbrk となるように制動側
のクラッチ圧を制御してもよい。この場合、処理が簡単
になる。
【0129】○ 車速が所定速度VL以下になって所定
時間経過してから進行側のクラッチ及び制動用のクラッ
チを非係合状態とせずに、所定速度VL以下になったら
直ぐに非係合状態としてもよい。その際、車速センサ1
9の出力信号にフィルタ処理を施して低速領域でのノイ
ズを除去するのが好ましい。
【0130】○ 圧力制御比例ソレノイド弁としてソレ
ノイドへの通電量が0の時に全閉で、通電量に比例して
開度が大きくなる比例ソレノイド弁を使用してもよい。
この場合、クラッチバルブに励磁電流が供給されていな
い状態ではクラッチが非係合状態に保持される。そし
て、進行側のクラッチと対応するクラッチバルブに励磁
電流が供給された状態で進行側のクラッチのみが係合状
態となって出力軸に駆動力が伝達される。
【0131】○ 両クラッチ8,9及び駐車ブレーキ1
2の受圧室8a,9a,12cに油圧を供給する油圧ポ
ンプを変速機3に内蔵する代わりに、リフトシリンダ2
2に作動油を供給する油圧ポンプ20を利用して、各受
圧室8a,9a,12cに油圧を供給する構成としても
よい。
【0132】○ 前後進切換え操作手段はレバーに限ら
ず、前進走行位置、後進走行位置及び中立位置のいずれ
かを選択できる押しボタンでもよい。シフトスイッチ3
2は押しボタンで操作される接点となる。
【0133】○ アクセル操作手段はアクセルペダル2
5に限らず手動で操作されるレバーとしてもよい。 ○ 荷役操作手段はリフトレバー33及びティルトレバ
ー34に限らず、フォークリフトの機種によっては他の
荷役作業に必要なレバーであってもよい。
【0134】○ フォークリフトに限らず、荷役作業用
の油圧機器を備えた他の産業車両、例えばショベルロー
ダ等に適用してもよい。 ○ 両クラッチ8,9として湿式の油圧クラッチに代え
て、乾式の油圧クラッチを使用してもよい。
【0135】○ インチングペダル26を省略して、マ
ニュアル操作による微速走行が不能な構成としてもよ
い。前記実施の形態から把握できる請求項記載以外の発
明(技術思想)について、以下にその効果とともに記載
する。
【0136】(1) 請求項2〜請求項6及び請求項1
0のいずれかに記載の発明において、前記フィードバッ
ク制御はPI制御である。この場合、他のフィードバッ
ク制御に比較して制御が簡単になる。
【0137】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項1
1に記載の発明によれば、常用ブレーキを装備せずに、
減速度の大きさが進行側のクラッチの係合圧力の調整で
得られる範囲より大きくなり、アクセル操作だけで速や
かに減速できる。
【0138】請求項2に記載の発明によれば、制御が簡
単になるとともに、アクセル操作手段の操作のみによる
加減速が容易になる。請求項3に記載の発明によれば、
アクセルを戻して減速する際、進行側のクラッチ圧の制
御だけで減速する場合に比較して減速が速まり目標車速
への収束を早めることができ、また、加速中の無駄なエ
ネルギー消費を少なくできる。
【0139】請求項4に記載の発明によれば、アクセル
を戻して減速する際、惰性移動中であっても減速を速め
ることができ、また、加速中の無駄なエネルギー消費を
少なくできる。
【0140】請求項5に記載の発明によれば、加速中は
制動用のクラッチが必ず非係合状態となるため、加速中
の無駄なエネルギー消費をより少なくできる。請求項6
に記載の発明によれば、HAT中に減速状態から加速又
は定速走行に移行する際、制動用のクラッチによる制動
力が可及的速やかに低減されるため、燃費が向上すると
ともに制動用のクラッチオイルの過熱が抑制される。
【0141】請求項7に記載の発明によれば、制動力を
与えるクラッチとして、前進クラッチ及び後進クラッチ
のうちの進行側でないクラッチを使用するため、減速時
の制動専用のクラッチを設けなくてもよい。
【0142】請求項8、請求項10及び請求項11に記
載の発明によれば、制動用のクラッチに前進クラッチ及
び後進クラッチのうちの進行側でないクラッチを使用し
ても、車両の逆走を防止することができる。
【0143】請求項9に記載の発明によれば、HAT中
のクリープ走行時には制動側クラッチを係合状態とする
制動を行わないため、制動側クラッチの係合によるショ
ックでエンジンストールが発生してクリープ走行ができ
なくなる事態を回避できる。
【0144】請求項10に記載の発明によれば、ブレー
キ操作手段の操作を終了すると、駐車ブレーキの制動状
態が解除されるため、HAT中に微速走行、停止を繰り
返す際、操作が簡単になる。
【0145】請求項11に記載の発明によれば、車速が
停止車速に近い所定速度以下の状態が所定時間経過した
後、進行側のクラッチ及び制動用のクラッチが非係合状
態となるため、ノイズ等の誤判断を防止でき、ショック
無く停止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の概略構成図。
【図2】 通常走行及び荷役走行の判断等を行うための
フローチャート。
【図3】 進行側のクラッチのPI制御を説明するフロ
ーチャート。
【図4】 HAT中の目標車速0の制動作用を説明する
フローチャート。
【図5】 (a)は車速の時間変化を示すグラフ、
(b)は進行側及び制動側のクラッチ圧の時間変化を示
すグラフ。
【図6】 (a)は進行側及び制動側のクラッチ圧の時
間変化を示すグラフ、(b)は車速の時間変化を示すグ
ラフ。
【図7】 第2の実施の形態の制動時の作用を説明する
フローチャート。
【図8】 同じく駐車ブレーキの制御を説明するフロー
チャート。
【図9】 (a)は車速の時間変化を示すグラフ、
(b)は制動側のクラッチ圧及び駐車ブレーキの係合圧
力の時間変化を示すグラフ。
【図10】 (a)は第3の実施の形態の車速の時間変
化を示すグラフ、(b)は進行側及び制動側のクラッチ
圧の時間変化を示すグラフ。
【図11】 第4の実施の形態の進行側及び制動側のク
ラッチ圧の時間変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1…エンジン、2…トルクコンバータ、3…変速機、5
a…駆動輪、8…前進クラッチ、9…後進クラッチ、8
a,9a…受圧室、10…制御弁としての前進クラッチ
バルブ、11…同じく後進クラッチバルブ、19…車速
検出手段としての車速センサ、20…荷役用ポンプとし
ての油圧ポンプ、25…アクセル操作手段としてのアク
セルペダル、28…アクセル操作量検出手段としてのア
クセルセンサ、33…荷役操作手段としてのリフトレバ
ー、34…同じくティルトレバー、35…荷役操作量検
出手段としてのリフトレバーセンサ、36…同じくティ
ルトスイッチ、42…目標車速設定手段及び目標エンジ
ン回転数設定手段を構成するとともに判断手段及び制御
手段としてのCPU。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D041 AA38 AA53 AA66 AA68 AA71 AB07 AC15 AC18 AD02 AD10 AD23 AD31 AD41 AD50 AD51 AD53 AE03 AE04 AE18 AE22 AE41 AF01 3F333 AA02 AB13 FA20 FA29 FA31 FD08 FE09 3G093 AA05 AA08 BA03 BA09 BA15 CA08 DA01 DA06 DB01 DB05 DB27 EA03 EA09 EB03 EB04 EC01 FA08 FA10 3J057 AA04 BB04 GA12 GA27 GA36 GA43 GB02 GB05 GB13 GB30 GB36 GB39 GE05 HH05 JJ01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力をトルクコンバータを介
    して駆動輪に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進ク
    ラッチを備えた変速機と、 前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して係合状態を
    調整する制御弁と、 アクセル操作手段の操作量を検出するアクセル操作量検
    出手段と、 前記アクセル操作量に対する目標車速設定手段と、 前記アクセル操作量に対する目標エンジン回転数設定手
    段と、 車両の走行速度を検出する車速検出手段と、 エンジンにより駆動される荷役用ポンプと、 荷役作業を行うために操作される荷役操作手段の操作量
    を検出する荷役操作量検出手段と、 荷役操作量に対する目標エンジン回転数設定手段と、 前記アクセル操作量検出手段及び荷役操作量検出手段の
    検出信号に基づいて通常走行か荷役走行かを判断する判
    断手段と、 前記判断手段が通常走行と判断した場合は進行側のクラ
    ッチを完全係合状態として前記アクセル操作手段の操作
    量に対応した目標エンジン回転数に制御し、前記判断手
    段が荷役走行と判断した場合は荷役操作手段の操作量に
    基づいて設定した目標エンジン回転数に制御し、かつ進
    行側のクラッチを半クラッチ状態にするとともに前記ア
    クセル操作手段の操作量に対応した目標車速となるよう
    にクラッチの係合圧力を制御する制御手段とを備えた産
    業車両の荷役及び走行制御装置において、 前記制御手段は荷役走行中に目標車速が0になるか制動
    指令が出力されると、制動用クラッチを係合状態として
    減速するように制御する産業車両の荷役及び走行制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は荷役走行中の前記アクセ
    ル操作量又は目標車速が0のときの減速時に、前記進行
    側のクラッチの係合圧力をフィードバック制御するとと
    もに、制動用クラッチを一定の係合圧力として制動力を
    作用させるように各クラッチを制御する請求項1に記載
    の産業車両の荷役及び走行制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は荷役走行中に前記前進ク
    ラッチ及び後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧をフ
    ィードバック制御するとともに、進行側のクラッチ圧の
    増分が負となるときに制動用クラッチが係合状態となる
    ように制御し、前記クラッチ圧の増分が0以上のときに
    制動用クラッチが非係合状態となるように制御する請求
    項1に記載の産業車両の荷役及び走行制御装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は荷役走行中に前記前進ク
    ラッチ及び後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧をフ
    ィードバック制御するとともに、進行側のクラッチ圧の
    増分が負となるとき及び進行側のクラッチ圧が最低圧で
    かつ前記クラッチ圧の増分が0のときは制動用クラッチ
    が係合状態となるように制御し、前記クラッチ圧の増分
    が0より大きいときに制動用クラッチが非係合状態とな
    るように制御する請求項1に記載の産業車両の荷役及び
    走行制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は荷役走行中に前記前進ク
    ラッチ及び後進クラッチのうち進行側のクラッチ圧をフ
    ィードバック制御するとともに、目標車速が検出車速よ
    り大きいときは進行側のクラッチ圧の増分が負であって
    も制動用クラッチが非係合状態となるように制御する請
    求項3に記載の産業車両の荷役及び走行制御装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は減速状態から加速又は定
    速走行に移行する際、前記進行側のクラッチの係合圧力
    をフィードバック制御するとともに、制動用のクラッチ
    を可及的速やかに非係合状態とするように制御する請求
    項3〜請求項5のいずれか一項に記載の産業車両の荷役
    及び走行制御装置。
  7. 【請求項7】 前記制動用クラッチとして、前記前進ク
    ラッチ及び後進クラッチのうち進行側でないクラッチを
    使用する請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の産
    業車両の荷役及び走行制御装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は制動制御時に車速が停止
    車速に近い所定速度以下になったとき、前進クラッチ及
    び後進クラッチを非係合状態とするように前記制御弁を
    制御する請求項7に記載の産業車両の荷役及び走行制御
    装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は荷役走行中のクリープ走
    行時には制動用クラッチの作動による制動は行わず、進
    行側のクラッチ圧を低下させて減速制御を行う請求項2
    に記載の産業車両の荷役及び走行制御装置。
  10. 【請求項10】 前記走行制御装置は駐車ブレーキを備
    え、前記制御手段は荷役走行中にブレーキ操作手段が操
    作されたとき、アクセル操作手段の操作量に拘らず目標
    車速を0にして進行側のクラッチ圧をフィードバック制
    御し、制動用クラッチをブレーキ操作手段の操作量に対
    応した係合圧力となるように制御し、車速が停止車速に
    近い所定速度以下になったとき、進行側のクラッチ及び
    制動用クラッチを非係合状態とするように前記制御弁を
    制御した後、ブレーキ操作手段の操作が継続されている
    と駐車ブレーキを制動状態とする請求項8に記載の産業
    車両の荷役及び走行制御装置。
  11. 【請求項11】 前記制御手段は車速が停止車速に近い
    所定速度以下の状態が所定時間経過した後、進行側のク
    ラッチ及び制動用クラッチを非係合状態とするように前
    記制御弁を制御する請求項10に記載の産業車両の荷役
    及び走行制御装置。
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