JP2001112285A - 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置 - Google Patents
同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置Info
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- JP2001112285A JP2001112285A JP28300899A JP28300899A JP2001112285A JP 2001112285 A JP2001112285 A JP 2001112285A JP 28300899 A JP28300899 A JP 28300899A JP 28300899 A JP28300899 A JP 28300899A JP 2001112285 A JP2001112285 A JP 2001112285A
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Abstract
機抵抗値を同定し、高性能な電動機制御を実現する。 【解決手段】 インバータ装置の電動機定数同定器13
は、抵抗値同定動作モードにおいて、抵抗値の同定に必
要な複数のγ軸電流値を順次に指定するγ軸電流指令を
γ軸電流コントローラ3に出力し、それらのγ軸電流指
令値と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸
誘起電圧推定値から、固定子抵抗の補正値を同定して、
同定した固定子抵抗の補正値をγ−δ軸電流・誘起電圧
推定器8に出力する。γ−δ軸電流・誘起電圧推定器
は、抵抗値同定動作モードにおいて、固定子抵抗の補正
値を入力する毎に、γ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流
方程式に含まれている固定子抵抗値を補正してその補正
された抵抗値を用いてγ軸電流推定値およびδ軸電流推
定値と、γ軸誘起電圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値
を演算する。
Description
同期電動機の駆動を制御する制御装置(インバータ制御
装置)における抵抗値同定方法およびその装置に関し、
特に、同期電動機の3相電流を回転子に固定した2軸直
交座標系に変換して得られる2相電流に基づいて回転子
速度を演算して制御する、同期電動機の制御方法および
その装置に関する。
御などに使用される変換装置は、その出力電流の大き
さ、周波数及び位相を精度よく制御ですることがきる。
このことに着目して、電動機に所定の電流を供給し、そ
の際に誘起される電動機電圧に基づいて誘導電動機の電
気定数を高精度に測定し、その測定結果に基づいて誘導
電動機制御システムの制御演算定数を設定する誘導電動
機の定数測定方法が特開昭60−183953に提案さ
れている。
交流をd−q変換する。(この場合、d、q軸は相互に
90度の角度をなして角速度ωで回転し、q軸はd軸よ
り回転方向へ90度進んでいる。)そして、d−q空間
における1次電圧(v1d、v 1q)と、1次電流(i1d,
i1q)および2次電流(i2d,i2q)との間の関係を求
める。また、2次電圧(v2d、v2q)と、1次電流(i
1d,i1q)および2次電流(i2d,i2q)との間の関係
を求める。次に、測定不可能な変数(例えば、かご型誘
導機の場合には2次電流i2d,i2qは測定できない)を
消去して、電動機定数と測定可能な変数でなる方程式を
求める。次に、測定しようとする定数を含む項以外の項
が0になるように条件を設定する。(例えば、直流励磁
条件を設定するとi1q=i2q=0,ω=0になる。)こ
のようにして、測定しようとする定数と測定可能な変数
でなる方程式を得る。この方程式を解いて測定しようと
する定数を同定することができる。以下の記述におい
て、上記の誘導電動機の定数測定方法を第1の先行技術
と記す。
機の回転角速度および回転角をセンサレスで検出する装
置と、検出された回転角速度および回転角に基づいて3
相コイルへの通電を制御する方法が記載されている。以
下、この技術を第2の先行技術と記す。
石の、各磁極の間に突極を供えた回転子と、三相コイル
を備えた固定子とを有する同期電動機である。制御装置
は、まず三相コイルに流れる電流のいずれか2相、たと
えば、u相電流、v相電流から、同期電動機のd軸電流
とq軸電流を演算する。このd−q変換は、上記の第1
の先行技術のd−q変換と同一の変換である。しかし、
第2の先行技術においては、d軸を永久磁石の磁軸(以
下、真の磁軸と記す)の向きにとり、q軸を、d軸に対
して回転方向に90度(電気角)進んだ方向にとる。そ
の結果、安定状態においては、q軸電流iqは、モータ
の実電流に等しく、したがって、固定子電流によって生
じる磁束の方向はq軸に平行である。さらに無負荷安定
状態においては、回転する永久磁石の磁束が固定子コイ
ルと交差することによって誘起される速度起電力(以
下、誘起電圧と記す)の向きもq軸の方向を向く。
備えている。そのモデルは、回転子の制御軸としてd−
q軸に対応するγ−δ軸を指定する。制御装置は、回転
子の実際の回転角度と前記モデルに基づいて推定した回
転角度との偏差が、実際のγ軸電流とモデルに基づいて
推定したγ軸電流との偏差に比例するとして、前記回転
子の回転角度偏差を、該γ軸電流偏差から求める。ま
た、回転子の実際の回転角速度とモデルに基づいて推定
した回転角速度との偏差が、前記実際のδ軸電流と前記
モデルから推定されるδ軸電流との偏差に比例するとし
て、回転角速度偏差をδ軸電流偏差から求める。このよ
うにして求めた回転角度偏差、回転角速度偏差に基づい
て、前記三相コイルへの通電を制御する。
「回転子の実際の回転角度と前記モデルに基づいて推定
した回転角度との偏差が、実際のγ軸電流とモデルに基
づいて推定したγ軸電流との偏差に比例する」という前
提と、「回転子の実際の回転角速度と前記モデルに基づ
いて推定した回転角速度との偏差が、実際のδ軸電流と
モデルから推定されるδ軸電流との偏差に比例する」と
いう前提は、d-q軸とγ−δ軸との対応軸間の角度θ
が小さい場合(sinθ≒θが成り立つ程度に小さい場
合)に成り立つことが立証されている。
ぼ同期した角速度で回転するγ−δ軸を基準として考え
ているので、d−q軸とγ−δ軸のズレθが小さいとき
には、状態方程式も複雑化せず、実用化という観点から
すぐれた方法である。しかし、実際値と比較するもの
が、γ−δ軸がd−q軸に一致したときのモデルから単
純に導かれた計算値であり、ズレ角θがモデル化誤差な
どにより、正しく推定できるとは限らないという問題が
ある。
91698には永久磁石形同期電動機の速度推定方法及
びその回転子のずれ角推定方法並びに回転子位置修正方
法が記載されている。この文献には、本発明の発明者を
含む発明者グループによって発明され、本発明の基礎に
ある技術が記載されている。以下、この技術を第3の先
行技術と記す。
起電圧εγ、εδを精度良く推定してγ−δ軸とd−q
軸とのズレθe、回転子の角速度ωrmを導出することを
意図している。ここで、d−q軸は永久磁石回転子上に
設定された直交軸で、d軸は回転子の真の磁軸の方向を
向き、q軸は、d軸に対して回転方向に90度進んだ座
標軸である。
δ軸は、制御モデルが制御軸として回転子上に指定し
た、d−qに対応する直交軸である。γ軸は制御磁軸
で、δ軸は、γ軸に対して回転子の回転方向に90度進
んだ座標軸である。
供給される2相分の固定子電流を検出し、その検出され
た固定子電流を回転子上に設定したγ−δ座標系に変換
(射影)して、γ軸電流iγ、δ軸電流iδを導出す
る。次に、γ−δ軸座標系に変換された電圧指令値Vγ
*とVδ*を入力として、設定された制御モデルに従って
γ−δ座標系の電流iγest、iδestを推定する。この
制御モデルにおいては、γ軸誘起電圧εγとδ軸誘起電
圧εδは、回転子が回転していない時の電流応答に対す
る外乱としてモデル中に取り込まれている。また、誘起
電圧εγおよびεδは、実際の電流iγおよびiδと直
前の制御ループによって推定されたγ軸電流iγestお
よびδ軸電流iδestとの差に比例して変化するとして
当該モデル中に取り込まれている。
きさ{(εγ)2+(εδ)2}1/2はωrmに比例する。
また、d−q軸とγ−δ軸間のズレ角θeは、−tan
-1(εγ/εδ)に等しい。したがって、上記のように
して推定された誘起電圧εγ est,εδestから、各離散
時刻における回転子の角周波数ωrmを推定し、ズレ角θ
eを推定することができる。
術においては、同期電動機を駆動する制御装置に対する
電動機定数の同定方法については提案がなく、従来は電
動機定数の設計値に基づいてその設定を行っている。そ
の結果、使用する電動機毎に制御定数を変更する必要が
あり、煩雑である。また前述の設計値と実際値の不一致
により制御演算誤差を生じ、動作性能が悪化する問題が
あった。さらに、測定器を用いて人の手で測定すると、
時間がかかり、電動機定数の精度が悪くなるという問題
もあった。
値をセンサレスで同定する方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、測定器を用いずに高速、かつ、
高精度で電動機抵抗値を同定し、高性能な電動機制御を
実現することにある。
めに、本発明の永久磁石回転子形同期電動機の抵抗値同
定方法は、永久磁石回転子形同期電動機の固定子の3相
電圧、電流を、回転子の回転速度で回転するγ−δ座標
系に射影し、回転する回転子の磁束によって固定子コイ
ルに誘起される誘起電圧のγ−δ座標系への射影である
γ軸誘起電圧、δ軸誘起電圧を外乱として記述する、γ
軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方程式とを含む状態方
程式に従って制御される永久磁石回転子形同期電動機の
抵抗値同定方法であって、当該同期電動機の運転を定常
状態にし、かつ、δ軸電流を所定値に設定し、固定子抵
抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧の評価値の誤差を複
数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ軸電流値に対するγ
軸誘起電圧の評価値の誤差の変化率を前記固定子抵抗値
の誤差として前記固定子抵抗値を補正し、補正された固
定子抵抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧の評価値の誤
差を複数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ軸電流値に対
するγ軸誘起電圧評価値の誤差の変化率を前記固定子抵
抗値の誤差として前記固定子抵抗値を再補正する抵抗同
定処理サイクルを実行し、以後、γ軸電流値に対するγ
軸誘起電圧評価値の誤差の変化率の絶対値が所定値以下
になるまで、前記の抵抗同定処理サイクルを繰り返す方
法である。
は、抵抗値同定動作モードにおいて、抵抗値の同定に必
要な複数のγ軸電流値を順次に指定するγ軸電流指令を
γ軸電流コントローラに出力し、それらのγ軸電流指令
値と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸誘
起電圧推定値から、固定子コイル抵抗の補正値を同定し
て、同定した固定子コイル抵抗の補正値をγ−δ軸電流
・誘起電圧推定手段に出力する電動機定数同定手段を有
する。
モードにおいて、同期電動機が定常状態で運転され、か
つ、δ軸電流が所定値に設定されているときにおけるγ
軸電圧電流方程式が、抵抗値同定方程式として設定され
ており、前記電動機定数同定手段は抵抗値同定方程式に
回路定数として用いられている真の抵抗値の代わりに、
推定される抵抗値を代入して、γ軸電流の関数としてγ
軸誘起電圧を評価し、該評価値を、当該推定される抵抗
値に対応するγ軸誘起電圧の見込み値と定義し、前記γ
−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸誘起電圧推
定値に対する前記γ軸誘起電圧見込み値の偏差を演算
し、該偏差を、前記真の抵抗値に対する推定された抵抗
値の誤差に起因する、γ軸誘起電圧の誤差として、異な
る複数のγ軸電流値についてγ軸誘起電圧誤差を求め、
γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変化率を固定
子抵抗値の誤差としてγ−δ軸電流・誘起電圧推定器に
出力する抵抗同定処理サイクルを実行し、以後、前記γ
軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変化率の絶対値
が所定値以下になるまで、抵抗同定処理サイクルを繰り
返す。
動作モードにおいてはγ軸およびδ軸電流と、γ軸およ
びδ軸誘起電圧を推定するという通常の動作を行う以外
に、抵抗値同定動作モードにおいて、固定子コイル抵抗
の補正値を入力する毎に、γ軸電圧電流方程式とδ軸電
圧電流方程式に含まれている固定子コイル抵抗を補正し
てその補正された抵抗値を用いてγ軸電流推定値および
δ軸電流推定値と、γ軸誘起電圧推定値およびδ軸誘起
電圧推定値を演算する。このようにして、同期電動機の
抵抗値をセンサレスで同定することができる。
アで構成するすることができる。それによって、測定器
を用いずに高速、かつ、高精度で電動機抵抗値を同定
し、高性能な電動機制御を実現することができる。
とd−q軸について簡単に説明する。α−β変換は、3
相固定座標系から2相固定系間の3相・2相変換であ
る。3相交流は平面上の3軸ベクトルであるから、原理
的に2次元座標系で表すことができる。この座標系とし
て、直交座標系を用い、その座標軸はα軸、β軸と呼ば
れてる。通常、3相のいずれか1軸とα軸とを一致させ
る。(電気機器学では、3相固定座標系から2相固定座
標系間の3相・2相変換もd−q変換と呼ばれている
が、同期電動機の分野では、3相固定座標系から2相回
転座標系間の変換をd−q変換と称しているので、両者
を区別するために3相固定座標系から2相固定座標系間
の変換をα−β変換と称している)。
相のうちの任意の2相)から、α−β座標系に対して角
速度ωで回転する直交2軸座標系への変換である。通
常、回転機への応用のために、q軸をd軸に対して回転
方向に90度進んだ位置に定める。
角周波数ωrmで回転するd−q空間の電流ベクトルiは
次の2元連立1階微分方程式で記述される。
軸電流およびq軸電流(固定子電流のd軸およびq軸へ
の射影)を表し、vd、vqはそれぞれd軸電圧およびq
軸電圧(固定子電圧のd−q軸への射影)である。
インピーダンスマトリックスに対応する。(ただし、d
軸に対応する第1行は、d軸インダクタンスLdで除算
され、q軸に対応する第2行はq軸インダクタンスLq
で除算されている。)このマトリックスの対角要素は、
回路抵抗RSによる電圧降下に対応する。非対角要素
は、固定子u軸、v軸、w軸に対してd軸およびq軸が
回転するので、u相、v相、w相磁束のd軸およびq軸
への射影が変化することによって発生する起電力に対応
する。式(1)の右辺第2項は、電圧指令によってd軸
およびq軸に印加される電圧に対応する。
変換であるが、これを永久磁石回転子形同期電動機に応
用すると極めて便利である。この場合にωrmを回転子の
回転角速度とすると、d−q座標軸は回転子と同一の角
速度で回転する。すなわち、d−q座標軸は回転子に固
定された座標軸になる。さらに便利なことは、回転子の
磁軸(真の磁軸)の向きと固定子の3相電流が発生する
回転磁束の向き(従って、回転磁束を発生する電流の向
き)との関係(磁軸の向きが、固定子電流が生成する磁
束の向きに対して回転方向に90度遅れている)は、d
−q座標系のd軸の向きとq軸の向きとの関係と同一で
あることである。
期電動機に適用する場合には、回転子の磁束φmagが固
定子コイルと交差するために誘起される速度起電力(以
下、誘起電圧と記す)εもd−q変換され、付加項とし
て式(1)に入り込む。この付加項は、それが他の項に
比較してあまり大きくない場合には、計算手法として
は、外乱として処理される。(「外乱として処理され
る」とは、回転子が存在しないときの電流の微分方程式
の解を基本にして、回転子が存在するときの電流の微分
方程式を満足するように、該回転子が存在するときの微
分方程式の解を構成するとう意味である。)
が無負荷で運転しているとき、固定子電流をd−q変換
して得られるd軸電流idおよびq軸電流iqの特性を示
す2元連立1階微分方程式である。右辺第3項に、角速
度ωrmで回転する回転子の磁束によって誘起される誘起
電圧εqが付加されている。
う用語は、特別な但し書きがない限り、式(1)で表さ
れる一般的な3相電流のd−q変換ではなく、式(2)
で表されている、永久磁石回転子形同期電動機のd−q
変換を指すものとする。
形同期電動機の状態を解析するためには、極めて便利な
座標軸であるが、この座標系を検出することは、通常、
極めて困難である。その結果、この座標軸に位相を合わ
せた指令によって同期電動機を制御することは困難であ
る。
転子に固定された任意の2軸直交座標系を指定し、この
座標系に関する電流指令によって当該同期電動機を制御
することを想定する。この場合には、この想定された制
御系によって制御される永久磁石回転子形同期電動機の
回転子の磁軸の方向と、当該電流指令によって制御され
る固定子電流による回転磁束の方向(または、その回転
磁束を生成する電流の方向)との関係は、実際に動作し
ている同期電動機のd軸とq軸との関係と同一である。
直交座標軸はγ軸、δ軸と命名されている。このγ−δ
座標系で記述される制御モデルにおいては、γ軸が回転
子の磁軸(以下、制御磁軸と記す)の方向であり、δ軸
が、固定子電流が生成する回転磁束の方向(したがっ
て、その回転磁束を生成する電流の方向)である。
系は、同期電動機の実際の動作状態を記述するd−q座
標系とは一致しないのが通常である。その理由は、ま
ず、γ−δ座標系で記述される制御モデルが、当該同期
電動機の実際の動作条件を正確に反映していないこと、
すなわち、モデルの不完全性が挙げられる。また、電流
指令や電圧指令と、実際の電流や電圧とが異なること、
すなわち、指令誤差もその理由である。さらに、回路定
数(例えば、回路抵抗)として用いられている値が実際
の値を異なること、すなわち、定数誤差もその理由であ
る。
ためには、これらの誤差を完全に補償すること、すなは
ち、γ−δ座標系とd−q座標系との間のズレを零にす
ることが基本的な要件になる。γ−δ座標系とd−q座
標系との間のズレを最もよく反映している量は、γ軸誘
起電圧である。本発明は、γ軸誘起電圧との関連におい
て固定子の回路抵抗の誤差を同定することを可能にす
る。
施形態を説明する。本実施形態において用いられる制御
モデルは、次の数式で表される。
iδはそれぞれγ軸電流およびδ軸電流を表し、vγ、
vδはそれぞれγ軸電圧指令およびδ軸電圧指令によっ
て指定されるγ軸電圧およびδ軸電圧である。本実施形
態においては、γ軸電圧およびδ軸電圧として、γ軸電
圧指令およびδ軸電圧指令が用いられている。εγ、ε
δは、前掲の第3の先行技術と同様に、γ軸誘起電圧、
δ軸誘起電圧である。また、下付きのestは推定値を
表す。ここで推定値とは、式(3)および式(4)から
計算によって推定される値である。
estは、角周波数ωrmで回転する永久磁石回転子の磁束
φmagが固定子のu、v、w軸インダクタと交差すると
き、発生する速度起電力をγ−δ変換して得られるγ軸
誘起電圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値である。γ−
δ軸の、d−q軸からのズレ角をθeとするとき、 εγest=sinθeωrmφmag .........(5) εδest=cosθeωrmφmag .........(6) が成り立つ。
iγest、δ軸電流推定値iδestと、実際のγ軸電流値
iγ、δ軸電流値iδとの間の偏差を補正するための補
正項である。ここで、「実際の」電流値iγ、iδとは
検出されたu相、v相、w相電流iu、iv、iwの中の
2相をγ−δ変換して得られるγ軸電流値およびδ軸電
流値である。係数k1、k2、k3、k4は実施の条件に合
わせて適切に設定される。
の」電流iγと電流推定値iγestとの差(iγ-iγ
est)、および「実際の」電流iδと電流推定値iδest
との差(iδ-iδest)の線形結合によって変化するこ
とを示している。
になるので、右辺も零になる。式(4)の右辺のiγ-
iγestとiδ-iδestとは一次独立であるから、式
(4)の右辺が零に等しいときには、iγ-iγestとi
δ-iδestとは同時に零になる。また、このときには、
式(3)の右辺第4項も零になる。
ず、離散時間k・Ts(但し、k=0,1,2,3,・
・・,Tsはサンプリングタイム)に同期電動機に供給
される少なくとも2相分の固定子電流を検出し、回転子
上に設定したγ−δ座標系に変換する。それによって、
式(3)、式(4)の演算に必要なγ軸電流iγ、δ軸
電流iδを導出する。また、式(3)、式(4)の演算
には、前回(直前の制御ループで)導出したγ軸電流推
定値iγestおよびδ軸電流推定値iδestと、電圧指令
vγ*、vδ*をも用いる。これらによって、式(3)お
よび式(4)の計算に必要なすべての変数値が与えられ
る。
−δ軸座標系における状態方程式(3)、(4)を次の
離散値系に展開する。
d:d軸インダクタンス、θe:γ−δ軸とd−q軸と
のずれ角、ωrm:回転子角速度、Φmag:永久磁石が
発生する磁束 式(7)によって、離散時間(k+1)TSにおける電
流推定値iγest(k+1)、値iδest(k+1)、誘
起電圧推定値値εγest(k+1)、εδest(k+1)
を求めることができる。式(7)より、γ軸電圧・電流
方程式は
動作モード)においては、システムを定常状態に設定
し、δ軸電流iδestを一定値に設定する。先ず、シス
テムを定常状態に設定すると、iγest(k+1)=i
γest(k)、かつ、式(4)に関連して説明したよう
に、iγ-iγest=0、iδ-iδest=0でなる。その
結果、
し、γ軸に電流iγを流すと、γ軸とd軸間のずれ量に
相当するεγ(k)は次の抵抗値同定方程式(12)で
表される。式(12)のconst(定数)は、式(1
1)の左辺第3項に該当する。
から供給されるγ軸指令iγ*は、位相補正されたγ軸
電流推定値iγest cとサンプリング周期毎に比較され、
その比較結果に基づいて生成されたγ軸電圧指令vγ*
によって、γ軸電流iγは制御される(図1参照)。そ
の結果、式(12)のiγestは高い精度でγ軸電流指
令iγ*に一致する。
軸電圧指令vγ*がそのまま用いられる(図1において
γ軸電流コントローラ3から出力されたγ軸電圧指令v
γ*はそのままγ−δ軸電流・誘起電圧推定器8に与え
られている)。本実施形態においては、γ軸電圧指令v
γ*は、固定子電圧の実測値と比較して設定されるので
はないので一般に誤差Δvγを含んでいる。また、回路
抵抗値RSとして、通常は、制御システムの設計値RS *
が用いられる。しかし、設計値RS *は回路抵抗値RSの
推定値であって一般には誤差ΔRを含んでいる。それで
あるから、このRS *を式(12)に代入しても式(1
2)が成り立つとは限らない。
*と置き、電圧指令vγ*と抵抗値R S *をそれぞれ式(1
2)のvγおよびRSに代入したとき、そのときのγ軸
誘起電圧値をγ軸誘起電圧見積もり値εγ*とする。さ
らに、式(12)を満足するεγestからεγ*を減算し
た差をΔεγestとすると、γ軸誘起電圧誤差Δεγe st
として次式を得る。
し、電圧誤差ΔVγを切片とする、γ軸電流推定値iγ
estに対するγ軸誘起電圧誤差Δεγestの一次方程式が
導き出される。前記したように、iγestは高い精度で
iγest *に等しいので、式(13)のiγestの代わり
にiγest *を用いることができる。
方程式であるから、曲線として表示する場合には初期条
件が必要である。初期条件は、式(12)の成立条件
(系が定常状態にあり、かつ、iδ=一定)のもとで、
γ軸に電流iγを流してγ軸が真の磁軸と一致するよう
に磁極を引き込むことによって実現される。このときに
は、γ軸と真の磁軸との間のズレに相当する誘起電圧ε
γestが零になる。それであるから、このときのγ軸電
流iγ0、誘起電圧εγest=0から出発して電流iγを
変化させ誘起電圧差分値Δεγestをプロットすること
によって式(13)を表す直線を得ることができる。複
数の異なるγ軸電流iγに対して誘起電圧差分値Δεγ
estを求めて式(13)を表す直線を描くと、その傾き
から抵抗誤差ΔRを求めることができる。
正したものを改めて回路抵抗RS *として複数のiγ*に
対する軸誘起電圧見積もり値εγ*を計算し、次に、誘
起電圧差分値Δεγestを求めてその傾きから抵抗誤差
ΔRを求めるという抵抗同定処理サイクルを繰り返すこ
とによって抵抗誤差ΔRの絶対値は次第に減少する。す
なわち、式(13)は、次第に横軸(iγ軸)に平行な
直線に近づく。そして、抵抗誤差ΔRの絶対値が所定値
以下になったとき、回路抵抗値が所定の精度以上になっ
たと判断して抵抗同定処理サイクルを終了する。
は、本発明の抵抗値同定方法が適用される同期電動機の
制御システムの一実施例を示すブロック図、図2は抵抗
値同定方法のデジタル制御動作を示すフローチャートで
ある。
速度コントローラ1は、角速度指令ωrm *と角速度推定
値ωrmestを入力し、δ相電流指令iδ*を出力する。δ
相電流コントローラ2はδ相電流指令iδ*と位相補正
されたδ相電流推定値iδcorとを入力し、δ相電圧指
令Vδ*を出力する。γ相電流コントローラ3は、γ相
電流指令iγ*と位相補正されたγ相電流推定値iγcor
を入力し、γ相電圧指令Vγ*を出力する。
よびVγ*と、γ−δ軸位置補正器11から出力される
γ−δ軸位置を入力し、電圧値絶対値(Vδ*+Vγ*)
1/2と電圧出力のγ軸を規準とする位相tanー1(Vδ*
/Vγ*)をインバータ回路5に入力する。インバータ
回路5は、受け取った電圧値絶対値情報と位相情報に基
づいて点弧を実施する。
たu相固定子電流isuとv相固定子電流isvを入力し、
γ−δ変換をしてγ軸電流iγ(実際値)、δ軸電流i
δ(実際値)を出力する。γ−δ軸電流・誘起電圧推定
器8は、γ軸電流iγ、δ軸電流iδと、γ−δ軸位置
と、電圧指令Vδ*、Vγ*を入力し、式(7)の演算を
実施し、γ−δ相電流推定値iγestおよびiδestと、
γ−δ相誘起電圧推定値εγestおよびεδestを出力す
る。この演算において、Vδ、Vγの代わりに、V
δ*、Vγ*が用いられる。
た、抵抗値同定動作モードにおいては、後述の電動機定
数同定器13から与えられた抵抗値誤差ΔRSによって
現在の抵抗値RSを補正し、その補正された抵抗値につ
いて、電動機定数同定器13がγ相電流コントローラ3
に与えたγ軸電流指令iγ*に応答して生成されたγ軸
電流iγ(抵抗値同定動作モードにおいてはδ軸電流i
δは一定)に基づいてγ軸誘起電圧推定値εγestを出
力する。
モードにおいて動作し、γ軸電流コントローラ3に対し
て複数のγ軸電流指令iγ*を送出する。そうして、そ
れぞれの電流指令iγ*に対するγ軸電流iγから式
(4)または、式(7)に従って(このとき、iδ=一
定である)γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8が演算した
γ相誘起電圧εγestを受け取り、Δεγest生成する。
電動機定数同定器13は、次に、Δεγestと複数のγ
軸電流指令iγ*(=iγest)から、式(13)によっ
てΔRSを演算し、そのΔRSをγ−δ軸電流・誘起電圧
推定器8に与える。以上が、電動機定数同定器13によ
って行われるΔRS同定の1処理サイクル(抵抗値同定
処理サイクル)である。電動機定数同定器13は、複数
のγ軸電流指令iγ*をγ軸電流コントローラ3に送出
し、次の抵抗値同定処理サイクルを実行する。この処理
サイクルにおいては、前回の同定サイクルで補正された
抵抗RSに対してγ−δ軸電流・誘起電圧推定器8が演
算したγ相誘起電圧εγestを用いてΔRSが同定され
る。従って、今回の同定サイクルで同定されたΔRSの
絶対値の大きさは、前回のそれよりも小さくなる。した
がって、式(13)のΔεγest・iγ曲線の傾きは、
小さくなる。このようにして、何度も同定サイクルを繰
り返すと、RSは次第に補正されて真の値に近づく。
に補正されたときには、抵抗誤差ΔRSは零になるの
で、式(13)のΔεγestはiγestの値に関わらず一
定値(Lq/Ld)Δvγに等しくなる。このことから、
γ軸電圧指令誤差Δvγを求めることができる。式(1
3)のΔεγest−iγ曲線がどの程度横軸に近いかに
よって、抵抗値RSの精度を判定することができる。
δ軸電流、誘起電圧推定器8から出力されるそれぞれの
γ軸誘起電圧推定値の偏差Δεγestの、異なるiγest
に対する変化率が零に近づくように抵抗誤差ΔRsを計
算し、この抵抗誤差をγ−δ軸電流・誘起電圧推定器8
に報告する。
γestとδ軸誘起電圧推定値εδestを入力し、角速度推
定値ωestを生成して速度コントローラ1に出力する。
ズレ角導出器10は、γ軸誘起電圧推定値εγestと角
速度推定値ωestとを入力し、ズレ角推定値θestを生成
する。γ−δ軸位置補正器11はズレ角導出器10が生
成したズレ角推定値θestに基づいてγ−δ軸位置情報
を生成する。γ相・δ相電流補正器12は、γ−δ軸電
流・誘起電圧推定器8から出力されるγ軸電流推定値i
γestおよびδ軸電流推定値iδestとγ−δ軸位置情報
とを入力し、γ−δ軸位置情報に基づいてγ軸電流推定
値iγestおよびδ軸電流推定値iδestに位相補正を
し、その位相補正されたγ軸電流推定値iγcorおよび
δ軸電流推定値iδcorをそれぞれγ相電流コントロー
ラ3およびδ相電流コントローラ2に出力する。
電動機定数同定器13が実行する抵抗値同定処理のフロ
ーチャートを示す。図2のフローチャートにおいて、ま
ずγ軸に磁軸を引き込むためにγ軸に図3に示すパター
ンに従って電流を流す(ステップ100)。図3におい
て、引き込み電流iγ0まで時間T1で立ち上げ、電流
を流した状態で安定するまでの時間として時間T2まで
待ち、引き込みを完了する(ステップ110)。その他
のステップでγ軸に電流を流して誘起電圧推定値を読み
込む時も同様に、T1時間及びT2−T1時間待つもの
とする。
20)、その時のγ軸誘起電圧推定値εreg1を求める
(ステップ130)。さらに、γ軸に電流i2を流し
(ステップ140)、その時のγ軸誘起電圧推定値εre
g2を求める(ステップ150)。ここで、電流i1とi
2とは所定の離れた電流値を設定する。
で与えた電流i1、i2並びにγ軸電流指令を変化させ
た時ステップ130及びステップ150で求めたγ軸誘
起電圧誤差から、式(13)を用いて抵抗誤差ΔRSを
計算し、このΔRSを、現在設定されている電動機抵抗
値の補正のために、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8に
出力する(ステップ160)。抵抗誤差ΔRSが、目標
として設定された精度に達したとき抵抗値同定を完了
し、目標とする精度に達していなければ、ステップ12
0からステップ160までの処理を目標とする精度に達
するまで繰り返す(ステップ170)。
γ−δ軸電流、誘起電圧推定器で推定したγ軸誘起電圧
推定値の偏差を利用して、同期電動機抵抗値を同定する
方法をソフトウェアで構成しインバータ装置に組込むこ
とにより、測定器を用いずに高速で正確にパラメータを
同定することができ、高性能な電動機制御が実現するこ
とができる。
わすブロック線図である。
ローチャートである。
説明するための図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 永久磁石回転子形同期電動機の固定子の
3相電圧、電流を、回転子の回転速度で回転するγ−δ
座標系に射影し、回転する回転子の磁束によって固定子
コイルに誘起される誘起電圧のγ−δ座標系への射影で
あるγ軸誘起電圧、δ軸誘起電圧を外乱として記述す
る、γ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方程式とを含む
状態方程式に従って制御される永久磁石回転子形同期電
動機の抵抗値同定方法において、 当該同期電動機の運転を定常状態にし、かつ、δ軸電流
を所定値に設定し、 固定子抵抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧の評価値の
誤差を複数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ軸電流値に
対するγ軸誘起電圧の評価値の誤差の変化率を前記固定
子抵抗値の誤差として前記固定子抵抗値を補正し、 補正された固定子抵抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧
の評価値の誤差を複数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ
軸電流値に対するγ軸誘起電圧評価値の誤差の変化率を
前記固定子抵抗値の誤差として前記固定子抵抗値を再補
正する抵抗同定処理サイクルを実行し、 以後、前記γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧評価値の誤
差の変化率の絶対値が所定値以下になるまで、前記抵抗
同定処理サイクルを繰り返すことを特徴とする、永久磁
石回転子形同期電動機の抵抗値同定方法。 - 【請求項2】 前記同期電動機の運転を定常状態にし、
かつ、δ軸電流を所定値に設定する処理は、前記同期電
動機が定常状態にあるとき、その定常状態におけるγ軸
電圧電流状態方程式について、δ軸電流を一定値に設定
する第1の処理を含み、 前記γ軸誘起電圧の評価値の誤差を複数の異なるγ軸電
流値毎に求める処理は、第1の処理によって得られたγ
軸電圧電流方程式を抵抗値同定方程式として設定する処
理と、抵抗値同定方程式に回路定数として用いられてい
る真の抵抗値の代わりに、推定される抵抗値を代入し
て、γ軸電流の関数としてγ軸誘起電圧を評価し、該評
価値を、当該推定される抵抗値に対応するγ軸誘起電圧
の見込み値とする処理と、 抵抗値同定方程式を満たすγ軸誘起電圧の実際値に対す
る前記γ軸誘起電圧見込み値の偏差を、前記真の抵抗値
に対する推定された抵抗値の誤差に起因する、γ軸誘起
電圧の評価値の誤差として、異なる複数のγ軸電流値に
ついてγ軸誘起電圧誤差を求める処理を含んでいる、請
求項1に記載の永久磁石形同期電動機の抵抗値同定方
法。 - 【請求項3】 永久磁石回転子形同期電動機の固定子の
U相をα軸、α軸から正回転方向に電気角で90°進ん
だ軸をβ軸としてα−β座標系を設定し、同期電動機の
真の磁軸をd軸とし、d軸から正回転方向に電気角で9
0°進んだ軸をq軸として、同期電動機の回転速度ωrm
で回転する座標d−q軸を前記α−β座標系に設定し、
同期電動機の指定磁軸をγ軸、γ軸から正回転方向に電
気角で90°進んだ軸をδ軸とし同期電動機回転速度指
令ωrm *で回転するγ−δ軸を前記α−β座標系に設定
し、速度指令と電動機速度との偏差信号に応答してδ軸
電流指令を出力するδ軸速度コントローラと、δ軸電流
指令と位相補正されたδ軸電流推定値との偏差及びγ軸
電流指令と位相補正されたγ軸電流推定値との偏差信号
からδ軸電圧指令及びγ軸電圧指令をそれぞれ演算する
δ軸電流コントローラ及びγ軸電流コントローラと、前
記δ軸電圧指令及びγ軸電圧指令に基づいて電圧指令絶
対値及び電圧指令位相を出力するベクトル制御回路、前
記電圧指令絶対値及び電圧指令位相に基づいて同期電動
機に駆動電流を供給するインバータ回路と、 γ軸電流の検出値、δ軸電流の検出値、γ軸電圧指令、
およびδ軸電圧指令を入力し、回転する回転子の磁束に
よって固定子コイルに誘起される誘起電圧を外乱とし
て、固定子の3相交流電圧および電流のγ−δ座標系へ
の射影を記述するγ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方
程式とに従って、γ軸電流推定値およびδ軸電流推定値
を演算し、入力したγ軸電流の検出値と直前のサンプリ
ング周期におけるγ軸電流推定値との差からγ軸誘起電
圧推定値の時間変化率を演算し、入力したδ軸電流の検
出値と直前のサンプリング周期におけるδ軸電流推定値
との差からδ軸誘起電圧推定値の時間変化率を演算する
γ−δ軸電流・誘起電圧推定手段と、γ−δ軸電流・誘
起電圧推定手段から出力されるγ軸誘起電圧推定値およ
びδ軸誘起電圧推定値から電動機速度を生成して前記速
度コントローラに出力する角速度導出器と、γ軸誘起電
圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値からd軸とγ軸間の
ズレ角を演算し、該ズレ角を減少させるように、前記γ
軸電流推定値およびδ軸電流推定値の位相を補正して、
それぞれを位相補正されたγ軸電流推定値および位相補
正されたδ軸電流推定値としてγ軸電流コントローラ及
びδ軸電流コントローラに出力するズレ角導出・補正手
段を備えている永久磁石形同期電動機の制御装置におい
て、 抵抗値同定動作モードにおいて、抵抗値の同定に必要な
複数のγ軸電流値を順次に指定するγ軸電流指令をγ軸
電流コントローラに出力し、それらのγ軸電流指令値
と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸誘起
電圧推定値から、固定子抵抗の補正値を同定して、同定
した固定子抵抗の補正値をγ−δ軸電流・誘起電圧推定
手段に出力する電動機定数同定手段を有し、 前記γ−δ軸電流・誘起電圧推定手段は、抵抗値同定動
作モードにおいて、前記固定子抵抗の補正値を入力する
毎に、前記γ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方程式に
含まれている固定子抵抗値を補正してその補正された抵
抗値を用いてγ軸電流推定値およびδ軸電流推定値と、
γ軸誘起電圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値を演算す
ることを特徴とする永久磁石回転子形同期電動機の制御
装置。 - 【請求項4】 電動機定数同定手段には、抵抗値同定動
作モードにおいて、前記同期電動機が定常状態で運転さ
れ、かつ、δ軸電流が所定値に設定されているときにお
けるγ軸電圧電流方程式が、抵抗値同定方程式として設
定されており、前記電動機定数同定手段は前記抵抗値同
定方程式に回路定数として用いられている真の抵抗値の
代わりに、推定される抵抗値を代入して、γ軸電流の関
数としてγ軸誘起電圧を評価し、該評価値を、当該推定
される抵抗値に対応するγ軸誘起電圧の見込み値と定義
し、前記γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸
誘起電圧推定値に対する前記γ軸誘起電圧見込み値の偏
差を演算し、該偏差を、前記真の抵抗値に対する推定さ
れた抵抗値の誤差に起因する、γ軸誘起電圧の誤差とし
て、異なる複数のγ軸電流値についてγ軸誘起電圧誤差
を求め、γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変化
率を前記固定子抵抗値の誤差としてγ−δ軸電流・誘起
電圧推定器に出力する抵抗値同定処理サイクルを実行
し、 以後、前記γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変
化率の絶対値が所定値以下になるまで、前記抵抗値同定
処理サイクルを繰り返す、請求項3に記載の永久磁石回
転子形同期電動機の制御装置。 - 【請求項5】前記電動機定数同定手段をソフトウェアで
構成する請求項4に記載の永久磁石回転子形同期電動機
の制御装置。
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