JP2001112285A - 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置 - Google Patents

同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置

Info

Publication number
JP2001112285A
JP2001112285A JP28300899A JP28300899A JP2001112285A JP 2001112285 A JP2001112285 A JP 2001112285A JP 28300899 A JP28300899 A JP 28300899A JP 28300899 A JP28300899 A JP 28300899A JP 2001112285 A JP2001112285 A JP 2001112285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
value
current
induced voltage
axis current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP28300899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4061446B2 (ja
Inventor
Noriaki Sueyoshi
礼明 末吉
Sukeatsu Inazumi
祐敦 稲積
Ryuichi Oguro
龍一 小黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yaskawa Electric Corp
Original Assignee
Yaskawa Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yaskawa Electric Corp filed Critical Yaskawa Electric Corp
Priority to JP28300899A priority Critical patent/JP4061446B2/ja
Publication of JP2001112285A publication Critical patent/JP2001112285A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4061446B2 publication Critical patent/JP4061446B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定器を用いずに高速、かつ、高精度で電動
機抵抗値を同定し、高性能な電動機制御を実現する。 【解決手段】 インバータ装置の電動機定数同定器13
は、抵抗値同定動作モードにおいて、抵抗値の同定に必
要な複数のγ軸電流値を順次に指定するγ軸電流指令を
γ軸電流コントローラ3に出力し、それらのγ軸電流指
令値と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸
誘起電圧推定値から、固定子抵抗の補正値を同定して、
同定した固定子抵抗の補正値をγ−δ軸電流・誘起電圧
推定器8に出力する。γ−δ軸電流・誘起電圧推定器
は、抵抗値同定動作モードにおいて、固定子抵抗の補正
値を入力する毎に、γ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流
方程式に含まれている固定子抵抗値を補正してその補正
された抵抗値を用いてγ軸電流推定値およびδ軸電流推
定値と、γ軸誘起電圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値
を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石回転子形
同期電動機の駆動を制御する制御装置(インバータ制御
装置)における抵抗値同定方法およびその装置に関し、
特に、同期電動機の3相電流を回転子に固定した2軸直
交座標系に変換して得られる2相電流に基づいて回転子
速度を演算して制御する、同期電動機の制御方法および
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、交流電動機のベクトル制
御などに使用される変換装置は、その出力電流の大き
さ、周波数及び位相を精度よく制御ですることがきる。
このことに着目して、電動機に所定の電流を供給し、そ
の際に誘起される電動機電圧に基づいて誘導電動機の電
気定数を高精度に測定し、その測定結果に基づいて誘導
電動機制御システムの制御演算定数を設定する誘導電動
機の定数測定方法が特開昭60−183953に提案さ
れている。
【0003】この定数測定方法においては、先ず、3相
交流をd−q変換する。(この場合、d、q軸は相互に
90度の角度をなして角速度ωで回転し、q軸はd軸よ
り回転方向へ90度進んでいる。)そして、d−q空間
における1次電圧(v1d、v 1q)と、1次電流(i1d
1q)および2次電流(i2d,i2q)との間の関係を求
める。また、2次電圧(v2d、v2q)と、1次電流(i
1d,i1q)および2次電流(i2d,i2q)との間の関係
を求める。次に、測定不可能な変数(例えば、かご型誘
導機の場合には2次電流i2d,i2qは測定できない)を
消去して、電動機定数と測定可能な変数でなる方程式を
求める。次に、測定しようとする定数を含む項以外の項
が0になるように条件を設定する。(例えば、直流励磁
条件を設定するとi1q=i2q=0,ω=0になる。)こ
のようにして、測定しようとする定数と測定可能な変数
でなる方程式を得る。この方程式を解いて測定しようと
する定数を同定することができる。以下の記述におい
て、上記の誘導電動機の定数測定方法を第1の先行技術
と記す。
【0004】特開平8−308286号には、同期電動
機の回転角速度および回転角をセンサレスで検出する装
置と、検出された回転角速度および回転角に基づいて3
相コイルへの通電を制御する方法が記載されている。以
下、この技術を第2の先行技術と記す。
【0005】この同期電動機は、極対数が複数の永久磁
石の、各磁極の間に突極を供えた回転子と、三相コイル
を備えた固定子とを有する同期電動機である。制御装置
は、まず三相コイルに流れる電流のいずれか2相、たと
えば、u相電流、v相電流から、同期電動機のd軸電流
とq軸電流を演算する。このd−q変換は、上記の第1
の先行技術のd−q変換と同一の変換である。しかし、
第2の先行技術においては、d軸を永久磁石の磁軸(以
下、真の磁軸と記す)の向きにとり、q軸を、d軸に対
して回転方向に90度(電気角)進んだ方向にとる。そ
の結果、安定状態においては、q軸電流iqは、モータ
の実電流に等しく、したがって、固定子電流によって生
じる磁束の方向はq軸に平行である。さらに無負荷安定
状態においては、回転する永久磁石の磁束が固定子コイ
ルと交差することによって誘起される速度起電力(以
下、誘起電圧と記す)の向きもq軸の方向を向く。
【0006】一方、制御装置は、同期電動機のモデルを
備えている。そのモデルは、回転子の制御軸としてd−
q軸に対応するγ−δ軸を指定する。制御装置は、回転
子の実際の回転角度と前記モデルに基づいて推定した回
転角度との偏差が、実際のγ軸電流とモデルに基づいて
推定したγ軸電流との偏差に比例するとして、前記回転
子の回転角度偏差を、該γ軸電流偏差から求める。ま
た、回転子の実際の回転角速度とモデルに基づいて推定
した回転角速度との偏差が、前記実際のδ軸電流と前記
モデルから推定されるδ軸電流との偏差に比例するとし
て、回転角速度偏差をδ軸電流偏差から求める。このよ
うにして求めた回転角度偏差、回転角速度偏差に基づい
て、前記三相コイルへの通電を制御する。
【0007】この第2の先行技術においては、上記の
「回転子の実際の回転角度と前記モデルに基づいて推定
した回転角度との偏差が、実際のγ軸電流とモデルに基
づいて推定したγ軸電流との偏差に比例する」という前
提と、「回転子の実際の回転角速度と前記モデルに基づ
いて推定した回転角速度との偏差が、実際のδ軸電流と
モデルから推定されるδ軸電流との偏差に比例する」と
いう前提は、d-q軸とγ−δ軸との対応軸間の角度θ
が小さい場合(sinθ≒θが成り立つ程度に小さい場
合)に成り立つことが立証されている。
【0008】第2の先行技術においては、d−q軸とほ
ぼ同期した角速度で回転するγ−δ軸を基準として考え
ているので、d−q軸とγ−δ軸のズレθが小さいとき
には、状態方程式も複雑化せず、実用化という観点から
すぐれた方法である。しかし、実際値と比較するもの
が、γ−δ軸がd−q軸に一致したときのモデルから単
純に導かれた計算値であり、ズレ角θがモデル化誤差な
どにより、正しく推定できるとは限らないという問題が
ある。
【0009】この課題を解決するために、特開平9−1
91698には永久磁石形同期電動機の速度推定方法及
びその回転子のずれ角推定方法並びに回転子位置修正方
法が記載されている。この文献には、本発明の発明者を
含む発明者グループによって発明され、本発明の基礎に
ある技術が記載されている。以下、この技術を第3の先
行技術と記す。
【0010】第3の先行技術は、γ−δ軸に発生する誘
起電圧εγ、εδを精度良く推定してγ−δ軸とd−q
軸とのズレθe、回転子の角速度ωrmを導出することを
意図している。ここで、d−q軸は永久磁石回転子上に
設定された直交軸で、d軸は回転子の真の磁軸の方向を
向き、q軸は、d軸に対して回転方向に90度進んだ座
標軸である。
【0011】第3の先行技術も制御モデルを有し、γ−
δ軸は、制御モデルが制御軸として回転子上に指定し
た、d−qに対応する直交軸である。γ軸は制御磁軸
で、δ軸は、γ軸に対して回転子の回転方向に90度進
んだ座標軸である。
【0012】第3の先行技術においては、同期電動機に
供給される2相分の固定子電流を検出し、その検出され
た固定子電流を回転子上に設定したγ−δ座標系に変換
(射影)して、γ軸電流iγ、δ軸電流iδを導出す
る。次に、γ−δ軸座標系に変換された電圧指令値Vγ
*とVδ*を入力として、設定された制御モデルに従って
γ−δ座標系の電流iγest、iδestを推定する。この
制御モデルにおいては、γ軸誘起電圧εγとδ軸誘起電
圧εδは、回転子が回転していない時の電流応答に対す
る外乱としてモデル中に取り込まれている。また、誘起
電圧εγおよびεδは、実際の電流iγおよびiδと直
前の制御ループによって推定されたγ軸電流iγestお
よびδ軸電流iδestとの差に比例して変化するとして
当該モデル中に取り込まれている。
【0013】誘起電圧ベクトルε=(εγ,εδ)の大
きさ{(εγ)2+(εδ)21/2はωrmに比例する。
また、d−q軸とγ−δ軸間のズレ角θeは、−tan
-1(εγ/εδ)に等しい。したがって、上記のように
して推定された誘起電圧εγ est,εδestから、各離散
時刻における回転子の角周波数ωrmを推定し、ズレ角θ
eを推定することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の先行技
術においては、同期電動機を駆動する制御装置に対する
電動機定数の同定方法については提案がなく、従来は電
動機定数の設計値に基づいてその設定を行っている。そ
の結果、使用する電動機毎に制御定数を変更する必要が
あり、煩雑である。また前述の設計値と実際値の不一致
により制御演算誤差を生じ、動作性能が悪化する問題が
あった。さらに、測定器を用いて人の手で測定すると、
時間がかかり、電動機定数の精度が悪くなるという問題
もあった。
【0015】本発明の第1の目的は、同期電動機の抵抗
値をセンサレスで同定する方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、測定器を用いずに高速、かつ、
高精度で電動機抵抗値を同定し、高性能な電動機制御を
実現することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の永久磁石回転子形同期電動機の抵抗値同
定方法は、永久磁石回転子形同期電動機の固定子の3相
電圧、電流を、回転子の回転速度で回転するγ−δ座標
系に射影し、回転する回転子の磁束によって固定子コイ
ルに誘起される誘起電圧のγ−δ座標系への射影である
γ軸誘起電圧、δ軸誘起電圧を外乱として記述する、γ
軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方程式とを含む状態方
程式に従って制御される永久磁石回転子形同期電動機の
抵抗値同定方法であって、当該同期電動機の運転を定常
状態にし、かつ、δ軸電流を所定値に設定し、固定子抵
抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧の評価値の誤差を複
数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ軸電流値に対するγ
軸誘起電圧の評価値の誤差の変化率を前記固定子抵抗値
の誤差として前記固定子抵抗値を補正し、補正された固
定子抵抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧の評価値の誤
差を複数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ軸電流値に対
するγ軸誘起電圧評価値の誤差の変化率を前記固定子抵
抗値の誤差として前記固定子抵抗値を再補正する抵抗同
定処理サイクルを実行し、以後、γ軸電流値に対するγ
軸誘起電圧評価値の誤差の変化率の絶対値が所定値以下
になるまで、前記の抵抗同定処理サイクルを繰り返す方
法である。
【0017】本発明の永久磁石形同期電動機の制御装置
は、抵抗値同定動作モードにおいて、抵抗値の同定に必
要な複数のγ軸電流値を順次に指定するγ軸電流指令を
γ軸電流コントローラに出力し、それらのγ軸電流指令
値と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸誘
起電圧推定値から、固定子コイル抵抗の補正値を同定し
て、同定した固定子コイル抵抗の補正値をγ−δ軸電流
・誘起電圧推定手段に出力する電動機定数同定手段を有
する。
【0018】電動機定数同定手段には、抵抗値同定動作
モードにおいて、同期電動機が定常状態で運転され、か
つ、δ軸電流が所定値に設定されているときにおけるγ
軸電圧電流方程式が、抵抗値同定方程式として設定され
ており、前記電動機定数同定手段は抵抗値同定方程式に
回路定数として用いられている真の抵抗値の代わりに、
推定される抵抗値を代入して、γ軸電流の関数としてγ
軸誘起電圧を評価し、該評価値を、当該推定される抵抗
値に対応するγ軸誘起電圧の見込み値と定義し、前記γ
−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸誘起電圧推
定値に対する前記γ軸誘起電圧見込み値の偏差を演算
し、該偏差を、前記真の抵抗値に対する推定された抵抗
値の誤差に起因する、γ軸誘起電圧の誤差として、異な
る複数のγ軸電流値についてγ軸誘起電圧誤差を求め、
γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変化率を固定
子抵抗値の誤差としてγ−δ軸電流・誘起電圧推定器に
出力する抵抗同定処理サイクルを実行し、以後、前記γ
軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変化率の絶対値
が所定値以下になるまで、抵抗同定処理サイクルを繰り
返す。
【0019】γ−δ軸電流・誘起電圧推定手段は、通常
動作モードにおいてはγ軸およびδ軸電流と、γ軸およ
びδ軸誘起電圧を推定するという通常の動作を行う以外
に、抵抗値同定動作モードにおいて、固定子コイル抵抗
の補正値を入力する毎に、γ軸電圧電流方程式とδ軸電
圧電流方程式に含まれている固定子コイル抵抗を補正し
てその補正された抵抗値を用いてγ軸電流推定値および
δ軸電流推定値と、γ軸誘起電圧推定値およびδ軸誘起
電圧推定値を演算する。このようにして、同期電動機の
抵抗値をセンサレスで同定することができる。
【0020】前掲の電動機定数同定手段は、ソフトウェ
アで構成するすることができる。それによって、測定器
を用いずに高速、かつ、高精度で電動機抵抗値を同定
し、高性能な電動機制御を実現することができる。
【0021】
【作用】ここで、図4を参照してα−β変換、γ−δ軸
とd−q軸について簡単に説明する。α−β変換は、3
相固定座標系から2相固定系間の3相・2相変換であ
る。3相交流は平面上の3軸ベクトルであるから、原理
的に2次元座標系で表すことができる。この座標系とし
て、直交座標系を用い、その座標軸はα軸、β軸と呼ば
れてる。通常、3相のいずれか1軸とα軸とを一致させ
る。(電気機器学では、3相固定座標系から2相固定座
標系間の3相・2相変換もd−q変換と呼ばれている
が、同期電動機の分野では、3相固定座標系から2相回
転座標系間の変換をd−q変換と称しているので、両者
を区別するために3相固定座標系から2相固定座標系間
の変換をα−β変換と称している)。
【0022】d−q変換とは、α−β座標系(または3
相のうちの任意の2相)から、α−β座標系に対して角
速度ωで回転する直交2軸座標系への変換である。通
常、回転機への応用のために、q軸をd軸に対して回転
方向に90度進んだ位置に定める。
【0023】α−β座標系(または、3相軸)に対して
角周波数ωrmで回転するd−q空間の電流ベクトルiは
次の2元連立1階微分方程式で記述される。
【0024】
【数1】
【0025】式(1)において、id、iqはそれぞれd
軸電流およびq軸電流(固定子電流のd軸およびq軸へ
の射影)を表し、vd、vqはそれぞれd軸電圧およびq
軸電圧(固定子電圧のd−q軸への射影)である。
【0026】式(1)の右辺第1項の係数行列は公知の
インピーダンスマトリックスに対応する。(ただし、d
軸に対応する第1行は、d軸インダクタンスLdで除算
され、q軸に対応する第2行はq軸インダクタンスLq
で除算されている。)このマトリックスの対角要素は、
回路抵抗RSによる電圧降下に対応する。非対角要素
は、固定子u軸、v軸、w軸に対してd軸およびq軸が
回転するので、u相、v相、w相磁束のd軸およびq軸
への射影が変化することによって発生する起電力に対応
する。式(1)の右辺第2項は、電圧指令によってd軸
およびq軸に印加される電圧に対応する。
【0027】式(1)のd−q変換は電流・電圧の座標
変換であるが、これを永久磁石回転子形同期電動機に応
用すると極めて便利である。この場合にωrmを回転子の
回転角速度とすると、d−q座標軸は回転子と同一の角
速度で回転する。すなわち、d−q座標軸は回転子に固
定された座標軸になる。さらに便利なことは、回転子の
磁軸(真の磁軸)の向きと固定子の3相電流が発生する
回転磁束の向き(従って、回転磁束を発生する電流の向
き)との関係(磁軸の向きが、固定子電流が生成する磁
束の向きに対して回転方向に90度遅れている)は、d
−q座標系のd軸の向きとq軸の向きとの関係と同一で
あることである。
【0028】しかし、d−q変換を永久磁石回転子形同
期電動機に適用する場合には、回転子の磁束φmagが固
定子コイルと交差するために誘起される速度起電力(以
下、誘起電圧と記す)εもd−q変換され、付加項とし
て式(1)に入り込む。この付加項は、それが他の項に
比較してあまり大きくない場合には、計算手法として
は、外乱として処理される。(「外乱として処理され
る」とは、回転子が存在しないときの電流の微分方程式
の解を基本にして、回転子が存在するときの電流の微分
方程式を満足するように、該回転子が存在するときの微
分方程式の解を構成するとう意味である。)
【0029】
【数2】
【0030】式(2)は、永久磁石回転子形同期電動機
が無負荷で運転しているとき、固定子電流をd−q変換
して得られるd軸電流idおよびq軸電流iqの特性を示
す2元連立1階微分方程式である。右辺第3項に、角速
度ωrmで回転する回転子の磁束によって誘起される誘起
電圧εqが付加されている。
【0031】以下の記述において、「d−q変換」とい
う用語は、特別な但し書きがない限り、式(1)で表さ
れる一般的な3相電流のd−q変換ではなく、式(2)
で表されている、永久磁石回転子形同期電動機のd−q
変換を指すものとする。
【0032】このように、d−q軸は、永久磁石回転子
形同期電動機の状態を解析するためには、極めて便利な
座標軸であるが、この座標系を検出することは、通常、
極めて困難である。その結果、この座標軸に位相を合わ
せた指令によって同期電動機を制御することは困難であ
る。
【0033】そこで、永久磁石回転子形同期電動機の回
転子に固定された任意の2軸直交座標系を指定し、この
座標系に関する電流指令によって当該同期電動機を制御
することを想定する。この場合には、この想定された制
御系によって制御される永久磁石回転子形同期電動機の
回転子の磁軸の方向と、当該電流指令によって制御され
る固定子電流による回転磁束の方向(または、その回転
磁束を生成する電流の方向)との関係は、実際に動作し
ている同期電動機のd軸とq軸との関係と同一である。
【0034】このように、制御のために想定された2軸
直交座標軸はγ軸、δ軸と命名されている。このγ−δ
座標系で記述される制御モデルにおいては、γ軸が回転
子の磁軸(以下、制御磁軸と記す)の方向であり、δ軸
が、固定子電流が生成する回転磁束の方向(したがっ
て、その回転磁束を生成する電流の方向)である。
【0035】同期電動機の制御系を記述するγ−δ座標
系は、同期電動機の実際の動作状態を記述するd−q座
標系とは一致しないのが通常である。その理由は、ま
ず、γ−δ座標系で記述される制御モデルが、当該同期
電動機の実際の動作条件を正確に反映していないこと、
すなわち、モデルの不完全性が挙げられる。また、電流
指令や電圧指令と、実際の電流や電圧とが異なること、
すなわち、指令誤差もその理由である。さらに、回路定
数(例えば、回路抵抗)として用いられている値が実際
の値を異なること、すなわち、定数誤差もその理由であ
る。
【0036】したがって、同期電動機を正確に制御する
ためには、これらの誤差を完全に補償すること、すなは
ち、γ−δ座標系とd−q座標系との間のズレを零にす
ることが基本的な要件になる。γ−δ座標系とd−q座
標系との間のズレを最もよく反映している量は、γ軸誘
起電圧である。本発明は、γ軸誘起電圧との関連におい
て固定子の回路抵抗の誤差を同定することを可能にす
る。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。本実施形態において用いられる制御
モデルは、次の数式で表される。
【0038】
【数式3】
【0039】式(3)および式(4)において、iγ、
iδはそれぞれγ軸電流およびδ軸電流を表し、vγ、
vδはそれぞれγ軸電圧指令およびδ軸電圧指令によっ
て指定されるγ軸電圧およびδ軸電圧である。本実施形
態においては、γ軸電圧およびδ軸電圧として、γ軸電
圧指令およびδ軸電圧指令が用いられている。εγ、ε
δは、前掲の第3の先行技術と同様に、γ軸誘起電圧、
δ軸誘起電圧である。また、下付きのestは推定値を
表す。ここで推定値とは、式(3)および式(4)から
計算によって推定される値である。
【0040】式(3)の右辺第3項εγest、εδ
estは、角周波数ωrmで回転する永久磁石回転子の磁束
φmagが固定子のu、v、w軸インダクタと交差すると
き、発生する速度起電力をγ−δ変換して得られるγ軸
誘起電圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値である。γ−
δ軸の、d−q軸からのズレ角をθeとするとき、 εγest=sinθeωrmφmag .........(5) εδest=cosθeωrmφmag .........(6) が成り立つ。
【0041】式(3)の右辺第4項は、γ軸電流推定値
iγest、δ軸電流推定値iδestと、実際のγ軸電流値
iγ、δ軸電流値iδとの間の偏差を補正するための補
正項である。ここで、「実際の」電流値iγ、iδとは
検出されたu相、v相、w相電流iu、iv、iwの中の
2相をγ−δ変換して得られるγ軸電流値およびδ軸電
流値である。係数k1、k2、k3、k4は実施の条件に合
わせて適切に設定される。
【0042】式(4)は、εγestとεδestが「実際
の」電流iγと電流推定値iγestとの差(iγ-iγ
est)、および「実際の」電流iδと電流推定値iδest
との差(iδ-iδest)の線形結合によって変化するこ
とを示している。
【0043】定常状態においては、式(4)の左辺は零
になるので、右辺も零になる。式(4)の右辺のiγ-
iγestとiδ-iδestとは一次独立であるから、式
(4)の右辺が零に等しいときには、iγ-iγestとi
δ-iδestとは同時に零になる。また、このときには、
式(3)の右辺第4項も零になる。
【0044】式(3)、式(4)の演算においては、先
ず、離散時間k・Ts(但し、k=0,1,2,3,・
・・,Tsはサンプリングタイム)に同期電動機に供給
される少なくとも2相分の固定子電流を検出し、回転子
上に設定したγ−δ座標系に変換する。それによって、
式(3)、式(4)の演算に必要なγ軸電流iγ、δ軸
電流iδを導出する。また、式(3)、式(4)の演算
には、前回(直前の制御ループで)導出したγ軸電流推
定値iγestおよびδ軸電流推定値iδestと、電圧指令
vγ*、vδ*をも用いる。これらによって、式(3)お
よび式(4)の計算に必要なすべての変数値が与えられ
る。
【0045】しかし、実際の計算には、同期電動機のγ
−δ軸座標系における状態方程式(3)、(4)を次の
離散値系に展開する。
【0046】
【数4】
【0047】 但し、εγ=−sinθe(ωrm)Φmag (8) εδ=cosθe(ωrm)Φmag (9) Rs:固定子側抵抗、Lq:q軸インダクタンス、L
d:d軸インダクタンス、θe:γ−δ軸とd−q軸と
のずれ角、ωrm:回転子角速度、Φmag:永久磁石が
発生する磁束 式(7)によって、離散時間(k+1)TSにおける電
流推定値iγest(k+1)、値iδest(k+1)、誘
起電圧推定値値εγest(k+1)、εδest(k+1)
を求めることができる。式(7)より、γ軸電圧・電流
方程式は
【0048】
【数5】
【0049】と表わされる。
【0050】抵抗値を同定する動作モード(抵抗値同定
動作モード)においては、システムを定常状態に設定
し、δ軸電流iδestを一定値に設定する。先ず、シス
テムを定常状態に設定すると、iγest(k+1)=i
γest(k)、かつ、式(4)に関連して説明したよう
に、iγ-iγest=0、iδ-iδest=0でなる。その
結果、
【0051】
【数6】
【0052】になる。
【0053】ここで、δ軸電流iδestを一定値に設定
し、γ軸に電流iγを流すと、γ軸とd軸間のずれ量に
相当するεγ(k)は次の抵抗値同定方程式(12)で
表される。式(12)のconst(定数)は、式(1
1)の左辺第3項に該当する。
【0054】
【数7】
【0055】後述の実施例から分かるように、上位装置
から供給されるγ軸指令iγ*は、位相補正されたγ軸
電流推定値iγest cとサンプリング周期毎に比較され、
その比較結果に基づいて生成されたγ軸電圧指令vγ*
によって、γ軸電流iγは制御される(図1参照)。そ
の結果、式(12)のiγestは高い精度でγ軸電流指
令iγ*に一致する。
【0056】しかし、式(12)のγ軸電圧vγは、γ
軸電圧指令vγ*がそのまま用いられる(図1において
γ軸電流コントローラ3から出力されたγ軸電圧指令v
γ*はそのままγ−δ軸電流・誘起電圧推定器8に与え
られている)。本実施形態においては、γ軸電圧指令v
γ*は、固定子電圧の実測値と比較して設定されるので
はないので一般に誤差Δvγを含んでいる。また、回路
抵抗値RSとして、通常は、制御システムの設計値RS *
が用いられる。しかし、設計値RS *は回路抵抗値RS
推定値であって一般には誤差ΔRを含んでいる。それで
あるから、このRS *を式(12)に代入しても式(1
2)が成り立つとは限らない。
【0057】いま、回路抵抗値RSの推定値を改めてRS
*と置き、電圧指令vγ*と抵抗値R S *をそれぞれ式(1
2)のvγおよびRSに代入したとき、そのときのγ軸
誘起電圧値をγ軸誘起電圧見積もり値εγ*とする。さ
らに、式(12)を満足するεγestからεγ*を減算し
た差をΔεγestとすると、γ軸誘起電圧誤差Δεγe st
として次式を得る。
【0058】
【数8】
【0059】このようにして、抵抗誤差ΔRSを傾きと
し、電圧誤差ΔVγを切片とする、γ軸電流推定値iγ
estに対するγ軸誘起電圧誤差Δεγestの一次方程式が
導き出される。前記したように、iγestは高い精度で
iγest *に等しいので、式(13)のiγestの代わり
にiγest *を用いることができる。
【0060】式(13)はγ軸誘起電圧εγestの差分
方程式であるから、曲線として表示する場合には初期条
件が必要である。初期条件は、式(12)の成立条件
(系が定常状態にあり、かつ、iδ=一定)のもとで、
γ軸に電流iγを流してγ軸が真の磁軸と一致するよう
に磁極を引き込むことによって実現される。このときに
は、γ軸と真の磁軸との間のズレに相当する誘起電圧ε
γestが零になる。それであるから、このときのγ軸電
流iγ0、誘起電圧εγest=0から出発して電流iγを
変化させ誘起電圧差分値Δεγestをプロットすること
によって式(13)を表す直線を得ることができる。複
数の異なるγ軸電流iγに対して誘起電圧差分値Δεγ
estを求めて式(13)を表す直線を描くと、その傾き
から抵抗誤差ΔRを求めることができる。
【0061】この誤差によって回路抵抗推定値RS *を補
正したものを改めて回路抵抗RS *として複数のiγ*
対する軸誘起電圧見積もり値εγ*を計算し、次に、誘
起電圧差分値Δεγestを求めてその傾きから抵抗誤差
ΔRを求めるという抵抗同定処理サイクルを繰り返すこ
とによって抵抗誤差ΔRの絶対値は次第に減少する。す
なわち、式(13)は、次第に横軸(iγ軸)に平行な
直線に近づく。そして、抵抗誤差ΔRの絶対値が所定値
以下になったとき、回路抵抗値が所定の精度以上になっ
たと判断して抵抗同定処理サイクルを終了する。
【0062】次に本実施形態の実施例を説明する。図1
は、本発明の抵抗値同定方法が適用される同期電動機の
制御システムの一実施例を示すブロック図、図2は抵抗
値同定方法のデジタル制御動作を示すフローチャートで
ある。
【0063】図1の制御システムブロック図において、
速度コントローラ1は、角速度指令ωrm *と角速度推定
値ωrmestを入力し、δ相電流指令iδ*を出力する。δ
相電流コントローラ2はδ相電流指令iδ*と位相補正
されたδ相電流推定値iδcorとを入力し、δ相電圧指
令Vδ*を出力する。γ相電流コントローラ3は、γ相
電流指令iγ*と位相補正されたγ相電流推定値iγcor
を入力し、γ相電圧指令Vγ*を出力する。
【0064】ベクトル制御回路4は、電圧指令Vδ*
よびVγ*と、γ−δ軸位置補正器11から出力される
γ−δ軸位置を入力し、電圧値絶対値(Vδ*+Vγ*
1/2と電圧出力のγ軸を規準とする位相tanー1(Vδ*
/Vγ*)をインバータ回路5に入力する。インバータ
回路5は、受け取った電圧値絶対値情報と位相情報に基
づいて点弧を実施する。
【0065】相変換器7は、同期電動機6の、検出され
たu相固定子電流isuとv相固定子電流isvを入力し、
γ−δ変換をしてγ軸電流iγ(実際値)、δ軸電流i
δ(実際値)を出力する。γ−δ軸電流・誘起電圧推定
器8は、γ軸電流iγ、δ軸電流iδと、γ−δ軸位置
と、電圧指令Vδ*、Vγ*を入力し、式(7)の演算を
実施し、γ−δ相電流推定値iγestおよびiδestと、
γ−δ相誘起電圧推定値εγestおよびεδestを出力す
る。この演算において、Vδ、Vγの代わりに、V
δ*、Vγ*が用いられる。
【0066】γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8は、ま
た、抵抗値同定動作モードにおいては、後述の電動機定
数同定器13から与えられた抵抗値誤差ΔRSによって
現在の抵抗値RSを補正し、その補正された抵抗値につ
いて、電動機定数同定器13がγ相電流コントローラ3
に与えたγ軸電流指令iγ*に応答して生成されたγ軸
電流iγ(抵抗値同定動作モードにおいてはδ軸電流i
δは一定)に基づいてγ軸誘起電圧推定値εγestを出
力する。
【0067】電動機定数同定器13は、抵抗値同定動作
モードにおいて動作し、γ軸電流コントローラ3に対し
て複数のγ軸電流指令iγ*を送出する。そうして、そ
れぞれの電流指令iγ*に対するγ軸電流iγから式
(4)または、式(7)に従って(このとき、iδ=一
定である)γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8が演算した
γ相誘起電圧εγestを受け取り、Δεγest生成する。
電動機定数同定器13は、次に、Δεγestと複数のγ
軸電流指令iγ*(=iγest)から、式(13)によっ
てΔRSを演算し、そのΔRSをγ−δ軸電流・誘起電圧
推定器8に与える。以上が、電動機定数同定器13によ
って行われるΔRS同定の1処理サイクル(抵抗値同定
処理サイクル)である。電動機定数同定器13は、複数
のγ軸電流指令iγ*をγ軸電流コントローラ3に送出
し、次の抵抗値同定処理サイクルを実行する。この処理
サイクルにおいては、前回の同定サイクルで補正された
抵抗RSに対してγ−δ軸電流・誘起電圧推定器8が演
算したγ相誘起電圧εγestを用いてΔRSが同定され
る。従って、今回の同定サイクルで同定されたΔRS
絶対値の大きさは、前回のそれよりも小さくなる。した
がって、式(13)のΔεγest・iγ曲線の傾きは、
小さくなる。このようにして、何度も同定サイクルを繰
り返すと、RSは次第に補正されて真の値に近づく。
【0068】理想的な場合として、RSが完全に真の値
に補正されたときには、抵抗誤差ΔRSは零になるの
で、式(13)のΔεγestはiγestの値に関わらず一
定値(Lq/Ld)Δvγに等しくなる。このことから、
γ軸電圧指令誤差Δvγを求めることができる。式(1
3)のΔεγest−iγ曲線がどの程度横軸に近いかに
よって、抵抗値RSの精度を判定することができる。
【0069】このように、電動機定数同定器13はγ−
δ軸電流、誘起電圧推定器8から出力されるそれぞれの
γ軸誘起電圧推定値の偏差Δεγestの、異なるiγest
に対する変化率が零に近づくように抵抗誤差ΔRsを計
算し、この抵抗誤差をγ−δ軸電流・誘起電圧推定器8
に報告する。
【0070】角速度導出器9は、γ軸誘起電圧推定値ε
γestとδ軸誘起電圧推定値εδestを入力し、角速度推
定値ωestを生成して速度コントローラ1に出力する。
ズレ角導出器10は、γ軸誘起電圧推定値εγestと角
速度推定値ωestとを入力し、ズレ角推定値θestを生成
する。γ−δ軸位置補正器11はズレ角導出器10が生
成したズレ角推定値θestに基づいてγ−δ軸位置情報
を生成する。γ相・δ相電流補正器12は、γ−δ軸電
流・誘起電圧推定器8から出力されるγ軸電流推定値i
γestおよびδ軸電流推定値iδestとγ−δ軸位置情報
とを入力し、γ−δ軸位置情報に基づいてγ軸電流推定
値iγestおよびδ軸電流推定値iδestに位相補正を
し、その位相補正されたγ軸電流推定値iγcorおよび
δ軸電流推定値iδcorをそれぞれγ相電流コントロー
ラ3およびδ相電流コントローラ2に出力する。
【0071】図2は、抵抗値同定動作モードにおいて、
電動機定数同定器13が実行する抵抗値同定処理のフロ
ーチャートを示す。図2のフローチャートにおいて、ま
ずγ軸に磁軸を引き込むためにγ軸に図3に示すパター
ンに従って電流を流す(ステップ100)。図3におい
て、引き込み電流iγ0まで時間T1で立ち上げ、電流
を流した状態で安定するまでの時間として時間T2まで
待ち、引き込みを完了する(ステップ110)。その他
のステップでγ軸に電流を流して誘起電圧推定値を読み
込む時も同様に、T1時間及びT2−T1時間待つもの
とする。
【0072】次に、γ軸に電流i1を流し(ステップ1
20)、その時のγ軸誘起電圧推定値εreg1を求める
(ステップ130)。さらに、γ軸に電流i2を流し
(ステップ140)、その時のγ軸誘起電圧推定値εre
g2を求める(ステップ150)。ここで、電流i1とi
2とは所定の離れた電流値を設定する。
【0073】次に、ステップ120及びステップ140
で与えた電流i1、i2並びにγ軸電流指令を変化させ
た時ステップ130及びステップ150で求めたγ軸誘
起電圧誤差から、式(13)を用いて抵抗誤差ΔRS
計算し、このΔRSを、現在設定されている電動機抵抗
値の補正のために、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器8に
出力する(ステップ160)。抵抗誤差ΔRSが、目標
として設定された精度に達したとき抵抗値同定を完了
し、目標とする精度に達していなければ、ステップ12
0からステップ160までの処理を目標とする精度に達
するまで繰り返す(ステップ170)。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
γ−δ軸電流、誘起電圧推定器で推定したγ軸誘起電圧
推定値の偏差を利用して、同期電動機抵抗値を同定する
方法をソフトウェアで構成しインバータ装置に組込むこ
とにより、測定器を用いずに高速で正確にパラメータを
同定することができ、高性能な電動機制御が実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の同期電動機の制御システムを表
わすブロック線図である。
【図2】本発明の同期電動機抵抗値を同定する方法のフ
ローチャートである。
【図3】電流立ち上げおよび定常化待ち波形図である。
【図4】α−β座標系、p−q座標系、γ−δ座標系を
説明するための図である。
【符号の説明】
1 速度コントローラ 2 δ相電流コントローラ 3 γ相電流コントローラ 4 ベクトル制御回路 5 インバータ回路 6 同期電動機 7 相変換器 8 γ−δ軸電流・誘起電圧推定器 9 角速度導出器 10 ずれ角θe導出器 11 γ−δ軸位置補正器 12 γ相・δ相電流補正器 13 電動機定数同定器
フロントページの続き (72)発明者 小黒 龍一 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2番1号 株式会社安川電機内 Fターム(参考) 5H560 BB04 BB12 DC12 DC13 EB01 GG04 TT15 XA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石回転子形同期電動機の固定子の
    3相電圧、電流を、回転子の回転速度で回転するγ−δ
    座標系に射影し、回転する回転子の磁束によって固定子
    コイルに誘起される誘起電圧のγ−δ座標系への射影で
    あるγ軸誘起電圧、δ軸誘起電圧を外乱として記述す
    る、γ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方程式とを含む
    状態方程式に従って制御される永久磁石回転子形同期電
    動機の抵抗値同定方法において、 当該同期電動機の運転を定常状態にし、かつ、δ軸電流
    を所定値に設定し、 固定子抵抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧の評価値の
    誤差を複数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ軸電流値に
    対するγ軸誘起電圧の評価値の誤差の変化率を前記固定
    子抵抗値の誤差として前記固定子抵抗値を補正し、 補正された固定子抵抗値の誤差に起因するγ軸誘起電圧
    の評価値の誤差を複数の異なるγ軸電流値毎に求め、γ
    軸電流値に対するγ軸誘起電圧評価値の誤差の変化率を
    前記固定子抵抗値の誤差として前記固定子抵抗値を再補
    正する抵抗同定処理サイクルを実行し、 以後、前記γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧評価値の誤
    差の変化率の絶対値が所定値以下になるまで、前記抵抗
    同定処理サイクルを繰り返すことを特徴とする、永久磁
    石回転子形同期電動機の抵抗値同定方法。
  2. 【請求項2】 前記同期電動機の運転を定常状態にし、
    かつ、δ軸電流を所定値に設定する処理は、前記同期電
    動機が定常状態にあるとき、その定常状態におけるγ軸
    電圧電流状態方程式について、δ軸電流を一定値に設定
    する第1の処理を含み、 前記γ軸誘起電圧の評価値の誤差を複数の異なるγ軸電
    流値毎に求める処理は、第1の処理によって得られたγ
    軸電圧電流方程式を抵抗値同定方程式として設定する処
    理と、抵抗値同定方程式に回路定数として用いられてい
    る真の抵抗値の代わりに、推定される抵抗値を代入し
    て、γ軸電流の関数としてγ軸誘起電圧を評価し、該評
    価値を、当該推定される抵抗値に対応するγ軸誘起電圧
    の見込み値とする処理と、 抵抗値同定方程式を満たすγ軸誘起電圧の実際値に対す
    る前記γ軸誘起電圧見込み値の偏差を、前記真の抵抗値
    に対する推定された抵抗値の誤差に起因する、γ軸誘起
    電圧の評価値の誤差として、異なる複数のγ軸電流値に
    ついてγ軸誘起電圧誤差を求める処理を含んでいる、請
    求項1に記載の永久磁石形同期電動機の抵抗値同定方
    法。
  3. 【請求項3】 永久磁石回転子形同期電動機の固定子の
    U相をα軸、α軸から正回転方向に電気角で90°進ん
    だ軸をβ軸としてα−β座標系を設定し、同期電動機の
    真の磁軸をd軸とし、d軸から正回転方向に電気角で9
    0°進んだ軸をq軸として、同期電動機の回転速度ωrm
    で回転する座標d−q軸を前記α−β座標系に設定し、
    同期電動機の指定磁軸をγ軸、γ軸から正回転方向に電
    気角で90°進んだ軸をδ軸とし同期電動機回転速度指
    令ωrm *で回転するγ−δ軸を前記α−β座標系に設定
    し、速度指令と電動機速度との偏差信号に応答してδ軸
    電流指令を出力するδ軸速度コントローラと、δ軸電流
    指令と位相補正されたδ軸電流推定値との偏差及びγ軸
    電流指令と位相補正されたγ軸電流推定値との偏差信号
    からδ軸電圧指令及びγ軸電圧指令をそれぞれ演算する
    δ軸電流コントローラ及びγ軸電流コントローラと、前
    記δ軸電圧指令及びγ軸電圧指令に基づいて電圧指令絶
    対値及び電圧指令位相を出力するベクトル制御回路、前
    記電圧指令絶対値及び電圧指令位相に基づいて同期電動
    機に駆動電流を供給するインバータ回路と、 γ軸電流の検出値、δ軸電流の検出値、γ軸電圧指令、
    およびδ軸電圧指令を入力し、回転する回転子の磁束に
    よって固定子コイルに誘起される誘起電圧を外乱とし
    て、固定子の3相交流電圧および電流のγ−δ座標系へ
    の射影を記述するγ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方
    程式とに従って、γ軸電流推定値およびδ軸電流推定値
    を演算し、入力したγ軸電流の検出値と直前のサンプリ
    ング周期におけるγ軸電流推定値との差からγ軸誘起電
    圧推定値の時間変化率を演算し、入力したδ軸電流の検
    出値と直前のサンプリング周期におけるδ軸電流推定値
    との差からδ軸誘起電圧推定値の時間変化率を演算する
    γ−δ軸電流・誘起電圧推定手段と、γ−δ軸電流・誘
    起電圧推定手段から出力されるγ軸誘起電圧推定値およ
    びδ軸誘起電圧推定値から電動機速度を生成して前記速
    度コントローラに出力する角速度導出器と、γ軸誘起電
    圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値からd軸とγ軸間の
    ズレ角を演算し、該ズレ角を減少させるように、前記γ
    軸電流推定値およびδ軸電流推定値の位相を補正して、
    それぞれを位相補正されたγ軸電流推定値および位相補
    正されたδ軸電流推定値としてγ軸電流コントローラ及
    びδ軸電流コントローラに出力するズレ角導出・補正手
    段を備えている永久磁石形同期電動機の制御装置におい
    て、 抵抗値同定動作モードにおいて、抵抗値の同定に必要な
    複数のγ軸電流値を順次に指定するγ軸電流指令をγ軸
    電流コントローラに出力し、それらのγ軸電流指令値
    と、γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸誘起
    電圧推定値から、固定子抵抗の補正値を同定して、同定
    した固定子抵抗の補正値をγ−δ軸電流・誘起電圧推定
    手段に出力する電動機定数同定手段を有し、 前記γ−δ軸電流・誘起電圧推定手段は、抵抗値同定動
    作モードにおいて、前記固定子抵抗の補正値を入力する
    毎に、前記γ軸電圧電流方程式とδ軸電圧電流方程式に
    含まれている固定子抵抗値を補正してその補正された抵
    抗値を用いてγ軸電流推定値およびδ軸電流推定値と、
    γ軸誘起電圧推定値およびδ軸誘起電圧推定値を演算す
    ることを特徴とする永久磁石回転子形同期電動機の制御
    装置。
  4. 【請求項4】 電動機定数同定手段には、抵抗値同定動
    作モードにおいて、前記同期電動機が定常状態で運転さ
    れ、かつ、δ軸電流が所定値に設定されているときにお
    けるγ軸電圧電流方程式が、抵抗値同定方程式として設
    定されており、前記電動機定数同定手段は前記抵抗値同
    定方程式に回路定数として用いられている真の抵抗値の
    代わりに、推定される抵抗値を代入して、γ軸電流の関
    数としてγ軸誘起電圧を評価し、該評価値を、当該推定
    される抵抗値に対応するγ軸誘起電圧の見込み値と定義
    し、前記γ−δ軸電流・誘起電圧推定器が演算したγ軸
    誘起電圧推定値に対する前記γ軸誘起電圧見込み値の偏
    差を演算し、該偏差を、前記真の抵抗値に対する推定さ
    れた抵抗値の誤差に起因する、γ軸誘起電圧の誤差とし
    て、異なる複数のγ軸電流値についてγ軸誘起電圧誤差
    を求め、γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変化
    率を前記固定子抵抗値の誤差としてγ−δ軸電流・誘起
    電圧推定器に出力する抵抗値同定処理サイクルを実行
    し、 以後、前記γ軸電流値に対するγ軸誘起電圧の誤差の変
    化率の絶対値が所定値以下になるまで、前記抵抗値同定
    処理サイクルを繰り返す、請求項3に記載の永久磁石回
    転子形同期電動機の制御装置。
  5. 【請求項5】前記電動機定数同定手段をソフトウェアで
    構成する請求項4に記載の永久磁石回転子形同期電動機
    の制御装置。
JP28300899A 1999-10-04 1999-10-04 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置 Expired - Fee Related JP4061446B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28300899A JP4061446B2 (ja) 1999-10-04 1999-10-04 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28300899A JP4061446B2 (ja) 1999-10-04 1999-10-04 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001112285A true JP2001112285A (ja) 2001-04-20
JP4061446B2 JP4061446B2 (ja) 2008-03-19

Family

ID=17660042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28300899A Expired - Fee Related JP4061446B2 (ja) 1999-10-04 1999-10-04 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4061446B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006008846A1 (ja) * 2004-07-21 2006-01-26 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha 交流回転機の定数測定装置
JP2016197986A (ja) * 2015-04-02 2016-11-24 富士電機株式会社 永久磁石形同期電動機の制御装置
CN113014168A (zh) * 2021-02-09 2021-06-22 珠海格力电器股份有限公司 永磁同步电机定子电阻校正方法、装置、存储介质及电机
CN113141140A (zh) * 2021-04-09 2021-07-20 北京电力设备总厂有限公司 一种表贴式永磁同步电机参数的在线辨识方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101969292B (zh) * 2010-09-10 2012-01-25 中冶南方(武汉)自动化有限公司 一种定子电阻参数的辨识方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006008846A1 (ja) * 2004-07-21 2006-01-26 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha 交流回転機の定数測定装置
JPWO2006008846A1 (ja) * 2004-07-21 2008-05-01 三菱電機株式会社 交流回転機の定数測定装置
US7423401B2 (en) 2004-07-21 2008-09-09 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha AC rotary machine constant measuring apparatus for measuring constants of stationary AC rotary machine
KR100867039B1 (ko) * 2004-07-21 2008-11-04 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 교류 회전기의 정수 측정 장치
CN100533947C (zh) * 2004-07-21 2009-08-26 三菱电机株式会社 交流回转机常数测量装置
JP4540674B2 (ja) * 2004-07-21 2010-09-08 三菱電機株式会社 交流回転機の定数測定装置
JP2016197986A (ja) * 2015-04-02 2016-11-24 富士電機株式会社 永久磁石形同期電動機の制御装置
CN113014168A (zh) * 2021-02-09 2021-06-22 珠海格力电器股份有限公司 永磁同步电机定子电阻校正方法、装置、存储介质及电机
CN113141140A (zh) * 2021-04-09 2021-07-20 北京电力设备总厂有限公司 一种表贴式永磁同步电机参数的在线辨识方法
CN113141140B (zh) * 2021-04-09 2023-04-25 北京电力设备总厂有限公司 一种表贴式永磁同步电机参数的在线辨识方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4061446B2 (ja) 2008-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0944164B1 (en) Sensorless control method and apparatus of permanent magnet synchronous motor
JP4674525B2 (ja) 磁極位置推定方法及びモータ制御装置
JP4198162B2 (ja) モータ制御装置
JP4502734B2 (ja) 電動機の回転位置検出装置の原点オフセット量算出方法およびこの算出方法を用いた電動機制御装置
JP2008086129A (ja) 交流電動機の制御装置および定数測定装置
JPH0951700A (ja) 回転電機の制御装置
US20050194924A1 (en) Wound field synchronous machine control device
JP2007252052A (ja) 永久磁石モータのベクトル制御装置
JP3253004B2 (ja) 永久磁石形同期電動機の速度推定方法及びその回転子ずれ角推定方法並びに回転子位置修正方法
JP2008220169A (ja) モータ制御装置
JP2000312493A (ja) 永久磁石式同期電動機のセンサレス制御システム
JP2010035352A (ja) 同期電動機のロータ位置推定装置
JP5407213B2 (ja) 同期電動機の磁極位置推定装置
JP3797508B2 (ja) 永久磁石型同期電動機のセンサレス速度制御方法及びその脱調検出方法
JP3707659B2 (ja) 同期電動機の定数同定方法
JP4061446B2 (ja) 同期電動機の抵抗値同定方法とその制御装置
JP2004120834A (ja) Dcブラシレスモータの制御装置
JP3692085B2 (ja) モータ制御方法及び装置
JP5768255B2 (ja) 永久磁石同期モータの制御装置
JP4449419B2 (ja) 同期電動機の制御装置
JP5426221B2 (ja) 可変電流路における電流検出装置及び可変磁束モータの制御方法
JP6108114B2 (ja) 永久磁石形同期電動機の制御装置
WO2016199444A1 (ja) 誘導機の電力変換装置と二次時定数測定方法及び速度制御方法
JP3674638B2 (ja) 誘導電動機の速度推定方法および誘導電動機駆動装置
JP6032047B2 (ja) モータ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070502

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150111

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees