JP2001111204A - 金属部材と導電性樹脂部材との接合方法およびその接合物 - Google Patents

金属部材と導電性樹脂部材との接合方法およびその接合物

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JP2001111204A
JP2001111204A JP28691699A JP28691699A JP2001111204A JP 2001111204 A JP2001111204 A JP 2001111204A JP 28691699 A JP28691699 A JP 28691699A JP 28691699 A JP28691699 A JP 28691699A JP 2001111204 A JP2001111204 A JP 2001111204A
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Akikazu Matsumoto
晃和 松本
Kenji Tanigaki
健志 谷垣
Takashi Noda
孝巳 野田
Shogo Izawa
省吾 井沢
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Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡便で、信頼性の高い金属部材と導電性樹脂部
材との接合方法および接合物を提供すること。 【解決手段】本発明の金属部材と導電性樹脂部材との接
合方法は、熱可塑性の導電性樹脂部材の金属部材と接合
すべき部分の温度を軟化点以上に加熱するとともに該金
属部材を加熱された部分に押圧して融着させることを特
徴とする。すなわち、導電性樹脂部材の金属部材と接合
すべき部分への加熱により導電性樹脂部材を軟化させる
ことによって、金属部材が容易に導電性樹脂部材に密着
し、金属部材と導電性樹脂部材とが接合されるのであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に電子部品のリ
ードとしての金属部材と導電性樹脂部材との接合方法
と、その接合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子部品のリード等の金属部材と
電気回路等を構成する導電性樹脂部材とを接合する方法
として、特開平10−237315号公報は、導電性樹
脂部材で回路を射出成形するときに、電子部品のリード
を同時に埋め込み成形品内に接合することを開示してい
る。
【0003】また、その他の方法として、電子部品のリ
ードをハンダや導電性接着剤(Ag系)を用いて導電性
樹脂部材に接合する方法、電子部品のリードを導電性樹
脂部材に機械的に押し込む方法が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の金属部材と導電性樹脂部材との接合方法は、以
下の不都合な点があった。
【0005】射出成形時に同時に接合する方法では、射
出成型時に電子部品を金型内に配置しておく必要があ
り、その接合形態に自由度が少なく、接合が煩雑である
という不都合があった。
【0006】そして、単に機械的にリードを押し込む方
法では、その接合はハンダ付けによるものと比較して弱
く、電子部品のリードと基板回路の導電性樹脂部材との
接合、特に電気的接合が振動、熱衝撃等によって剥離し
やすく接合の信頼性の確保が困難であるという不都合が
あった。
【0007】また、近年の環境問題への対応から、ハン
ダの材料は鉛非含有の材料を使用するようになってきて
いる。ハンダ材料を鉛非含有とすると、ハンダ材料の融
点が高くなり、電子部品を接合する際の温度が高くな
る。その結果、ハンダを使用する接合方法では、電子部
品を破壊するおそれがあるという不都合があった。
【0008】以上の不都合を鑑み、本発明は、簡便に信
頼性の高い接合方法および接合物を提供することを解決
すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する金属
部材と導電性樹脂部材との接合方法は、熱可塑性の導電
性樹脂部材の金属部材と接合すべき部分の温度を軟化点
以上に加熱するとともに該金属部材を加熱された部分に
押圧して融着させることを特徴とする。
【0010】すなわち、導電性樹脂部材の金属部材と接
合すべき部分への加熱により導電性樹脂部材を軟化させ
ることによって、金属部材が容易に導電性樹脂部材に密
着し、金属部材と導電性樹脂部材とが接合されるのであ
る。
【0011】ここで一般的に「軟化点」とは、加熱され
た物質が軟化し、変形を始める温度をいうが、本明細書
において「軟化点」というときには、温度が前述の一般
的な「軟化点」以下であっても接合時に導電性樹脂部材
を金属部材によって押圧した際に、その押圧力により導
電性樹脂部材が変形可能な温度であれば温度が「軟化
点」以上にあるものとする。
【0012】さらに導電性樹脂部材の金属部材と接合す
べき部分の加熱温度は、導電性樹脂部材が溶融する温度
以上とすることが好ましい。導電性樹脂部材の金属部材
と接合すべき部分を溶融点以上に加熱することによっ
て、導電性樹脂部材の一部が溶融し、より強固に金属材
に接合されるからである。
【0013】また、金属部材を導電性部材が軟化した部
分に押圧する際に、その金属部材の一部を導電性樹脂部
材内に圧入させることが好ましい。金属部材を導電性部
材内に圧入することによって、金属部材と導電性樹脂部
材との接触面積が増加して、より強固な接合が達成でき
るからである。このように、金属部材を導電性部材内に
圧入する場合には、圧入がなされる間の金属部材と導電
性樹脂部材との界面における導電性部材の温度が軟化点
以上に保持されることが必要である。金属部材と導電性
樹脂部材との界面温度が導電性樹脂部材の軟化点以上に
保持されることにより金属部材の導電樹脂部材内への圧
入をより容易に達成できるからである。また、界面温度
が導電性樹脂部材の軟化点より低い温度のときに導電性
樹脂部材内に金属部材を圧入すると、圧入に大きな荷重
を必要とする。また、金属部材と導電性樹脂部材と接合
が不完全となって接合強度の低下や接合界面における界
面抵抗が高くなる。
【0014】また、導電性樹脂部材の金属部材と接合す
べき部分への加熱は、金属部材と導電性樹脂部材との間
に電流を流すことにより行うことがより好ましい。金属
部材と導電性樹脂部材との間に電流を流すことによっ
て、金属部材と導電性樹脂部材との間の界面抵抗に由来
するジュール熱により発熱する。これにより導電性樹脂
部材の金属部材が接触する部分の温度が軟化点以上とな
り導電性樹脂部材は金属部材の押圧によって変形可能と
なるのである。
【0015】この発熱は、主に金属部材と導電性樹脂部
材との界面で生起するので、導電性樹脂部材の金属に接
触する部分が特に加熱される。そうであるから、導電性
樹脂部材の金属部材と接触する部分は、加熱により軟化
しているが、その他の部分は、加熱され難い。
【0016】したがって、不必要な部分への加熱が極力
抑えられるという利点がある。導電性樹脂部材は、その
加熱・軟化によって劣化が生じるおそれがあるので、で
きるだけ加熱する部分は限定することが好ましいからで
ある。
【0017】本接合方法によれば、導電性樹脂部材は金
属部材と接触する部分で発熱しているので、導電性樹脂
部材の全体を加熱することなく、金属材をわずかな力で
導電性樹脂部材中に圧入することができるという利点が
ある。
【0018】ここで、金属部材と導電性樹脂部材との間
に電流を流す方法としては、できるだけ不要な部分に電
流が流れないように、金属部材と導電性樹脂部材との接
合すべき面の近傍に電極等を接触させて行うことが好ま
しい。そして、金属部材が電子部品のリード等のような
場合には、電子部品に対して電流が流れないように対策
を施すことが好ましい。また、電子部品のリードを基板
状の導電性樹脂部材に接続する場合には、この電極を電
子部品配置用ロボットのマニピュレータの把持部に配置
することで、電子部品の基板状への配置とともに電子部
品の基板への電気的・機械的な接合を行うことができ
る。
【0019】金属部材と導電性樹脂部材との間に流す電
流は、交流であると直流であるとを問わない。
【0020】また、界面に流す電流の量は、あまりに大
電流とすると、不必要な部分をも加熱することとなるの
で、金属部材を導電性部材に接合するために最低限必要
な導電性樹脂部材の部分の温度のみが軟化点を超えるよ
うに、制御されていることが好ましい。その制御方法と
しては、接合部分の温度を測定し、フィードバック制御
を行う方法、あらかじめ電流量と、接合面の温度との関
係を求めておき、その関係式にしたがって必要な電流量
を流す方法等がある。
【0021】さらに、導電性樹脂部材の金属部材と接合
すべき部分への加熱は、金属部材と導電性樹脂部材とを
高速で振動させ、その摩擦熱によって行うこともでき
る。高速振動は、特に規則的なものである必要はない
が、界面の温度を高めるにはある程度高周波である必要
がある。高速で振動させる方法としては、超音波を照射
する方法、金属部材もしくは導電性樹脂部材の少なくと
もいずれか一方を機械的に保持して高速で動かすことに
よっても行うことができる。本加熱方法は、金属部材を
導電性樹脂部材の表面に接合する場合に効果的である。
【0022】本発明の金属部材と導電性樹脂部材との接
合方法が適用できる導電性樹脂部材としては、熱可塑性
樹脂を少なくともその一部に含有する樹脂であることが
必要である。熱可塑性をもつものでないと導電性樹脂の
加熱によって樹脂が軟化しないからである。ただし、熱
硬化性樹脂を単独で使用する樹脂であっても、加熱して
硬化させる以前の樹脂であって、加熱によって未だ軟化
しうる状態にある場合には本発明の金属部材と導電性樹
脂部材との接合方法の適用は可能である。
【0023】したがって、本明細書において「熱可塑性
樹脂」とは、一般的な定義である「加熱により反応が起
こることなく軟化して、塑性を示し成形できるが、冷却
すると固化する樹脂」以外にも、加熱により一時的にで
も軟化して塑性を示すようになる樹脂をも含むものとす
る。たとえば、一般的な熱可塑性樹脂の他に、前述のよ
うに、硬化する以前の熱硬化性樹脂であって加熱によっ
て軟化しうるものである。したがって、一度軟化した後
に、固化して再び軟化できないものであってもかまわな
い。
【0024】そして本発明の金属部材と導電性樹脂部材
との接合方法が適用できる導電性樹脂部材としては、樹
脂自身に電気伝導性を性質として有する高分子の他に、
マトリックスとしての樹脂(マトリックス樹脂)と電気
を伝導することができる導電性物質(充填剤)を混合し
て、樹脂中に導電性物質の網目構造を形成したものであ
ってもよい。
【0025】この場合にマトリックス樹脂として用いる
ことができる樹脂は、電気伝導性をもつ必要はなく通常
の電気絶縁性の熱可塑性樹脂を用いることができる。充
填剤としては、たとえば金属やカーボンブラック等を用
いることができる。充填剤としては、マトリックス樹脂
中に分散可能であり、樹脂内部で相互に電気的に連結し
た網目構造を形成できるものであればよい。たとえば、
粉末状、繊維状等の形態である。そのなかでも粉末状と
することが、導電性樹脂部材の成形性向上の点等により
好ましい。射出成形等で導電性樹脂部材を成形する際に
充填剤が繊維状であると成形品に異方性が生じるからで
ある。
【0026】そして、充填剤としては、金属とすること
が好ましく、さらに低融点金属(もしくは合金)を含む
ことがより好ましい。このように、充填剤が金属、それ
も低融点の金属を含むことによって、接合した金属部材
の接合面において単に接触による電気的接合でなく、充
填剤が加熱により溶融して金属部材に融着し金属結合に
よる導電性樹脂部材との電気的接合が達成されるからで
ある。なお、充填剤には、低融点金属のみでなく、銅等
の高融点金属も含有することが好ましい。充填剤をすべ
て低融点金属とすると充填剤の溶融により充填剤とマト
リックス樹脂とが分離するおそれがあるからである。
【0027】したがって、充填剤は、高融点金属とマト
リックス樹脂の軟化点程度で溶融する金属、少なくとも
マトリックス樹脂の溶融点程度で溶融する金属を含むこ
とが好ましい。そのような金属としては、単独のものと
するほか、合金とすることにより達成できる。たとえ
ば、銅等の高融点金属とスズ系合金(スズ−銅系合金
等)等の低融点金属との混合物が挙げられる。なお、充
填剤を高融点金属のみ、もしくは低融点金属のみとする
ことは排除するものではない。
【0028】充填剤は、マトリックス樹脂内で網目構造
を形成することでその網目を介して全体として電気伝導
性を有することができるだけの割合でマトリックス樹脂
に添加される。
【0029】このような導電性樹脂に、本発明の金属材
と導電性樹脂部材との接合方法を適用すると、金属部材
は、マトリックス樹脂と融着し機械的に接合され、また
内部の充填剤と接触することによって電気的にも接合さ
れる。
【0030】また、金属部材の接合部分の表面に、金属
部材を構成する金属よりも低融点である金属の被膜が形
成されていることが好ましい。金属材に形成された低融
点金属の被膜が加熱によって融解し、導電性樹脂と融着
するからである。ここで低融点金属とは、導電性樹脂が
軟化する温度において、金属が軟化もしくは溶融するよ
うな金属であることが好ましい。また、金属部材に低融
点金属の皮膜を形成する場合には、導電性樹脂が前述の
低融点金属からなる充填剤とマトリックス樹脂とからな
る樹脂であることが好ましい。金属材表面の低融点金属
被膜と導電性樹脂に含まれる充填剤である低融点金属と
が溶融混合してより強固な電気的・機械的接合が達成で
きるからである。なお、金属部材の接合部分以外につい
ても同様に、低融点金属の皮膜を形成することは不利益
がない限り特に妨げるものではない。
【0031】また、上記課題を解決する金属部材と熱可
塑性の導電性樹脂部材との接合物は、その金属部材とそ
の導電性樹脂部材とはその導電性樹脂部材を構成する熱
可塑性樹脂により融着接合されていることを特徴とす
る。
【0032】すなわち、金属部材を導電性樹脂部材に接
合するに際して、導電性樹脂部材を構成する熱可塑性樹
脂自体が一部融解し、金属部材と融着していることによ
り、他のハンダ等の部材を用いることなく信頼性の高い
接合を達成できる。
【0033】したがって、導電性樹脂部材としては、熱
可塑性を有する樹脂を少なくとも一部に含有する必要が
ある。この点を含めて、本接合物に用いる導電性樹脂部
材に使用できる導電性樹脂は、前述の金属部材と導電性
樹脂部材との接合方法で説明した導電性樹脂と同様であ
る。
【0034】本発明の接合物の製造は、前述した接合方
法で製造することが好ましい。簡易に接合を達成できる
からである。
【0035】また、本発明の接合物は、その導電性樹脂
部材はマトリックスとしての樹脂成分とそのマトリック
ス中に形成された低融点金属を含む網目状の金属組織と
で形成されており、その金属部材は、金属組織と融着し
ていることが好ましい。金属間で融着接合することによ
り、より強固で信頼性の高い接合となるからである。
【0036】さらに本発明の接合物は、金属材の一部が
導電性樹脂部材内に埋設されていることが好ましい。接
合面積が増加して接合強度が向上するからである。
【0037】そして、本発明の接合物の好ましい形態と
しては、金属部材は、その表面にスズを含有した金属が
メッキされており、導電性樹脂は、その樹脂成分がポリ
ブチレンテレフタレートであって、金属組織がスズと銅
とからなり、その金属部材表面のスズを含有した金属の
メッキ層と導電性樹脂部材の金属組織とが融着している
ものである。
【0038】
【発明の実施の形態】〈金属部材と導電性部材との接合
方法〉以下に本発明の金属部材と導電性部材との接合方
法の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明
は、以下の実施形態により限定されるものではない。
【0039】本実施形態においては、図1に示すよう
に、導電性樹脂部材により配線が形成された基板に電子
部品を実装する方法について説明を行う。すなわち、金
属電子部品2のリード21等(リード)と、導電性樹脂
部材により基板上に形成された配線部11との接合に用
いるものである。なお、本接合方法が適用できる金属部
材および導電性樹脂は、その他にも金属部材と導電性樹
脂部材との電気的・機械的接合をすることが必要である
用途であれば用いることができる。また、機械的に固定
することのみが必要である場合でも用いることができ
る。たとえば、基板上にスペーサ等の電気的接続が必要
ない部品を接合する場合である。
【0040】本実施形態の金属部材と導電性部材との接
合方法は、導電性樹脂部材としての導電部の、金属部材
としてのリードと接合すべき部分の温度を軟化点以上に
加熱するとともにその金属部材としてのリードを加熱さ
れた部分に押圧して融着させて行う。
【0041】リードを軟化した導電部に押圧することで
導電部は変形し、リードと導電部は密着接合される。そ
の場合に導電部が一部融解する程度まで加熱することに
より、リードと導電部との接合はより強固のものとな
る。
【0042】さらに、リードを導電部に押圧するとき
に、さらにリードを導電部内に圧入させることによっ
て、リードと導電部との接触面積が増加して、より強固
な接合が形成させるという利点がある。
【0043】リードは、一般的な金属からなる部材であ
る。金属としては、銅、アルミニウム、金、鉄等や、そ
れらの合金を例として挙げることができる。また、リー
ドが導電性樹脂からなるものであって、本発明の接合方
法を導電性樹脂部材同士の接合に使用するものでもよ
い。そして、リードの形状は、特に限定されるものでな
く、針金状、板状等の公知の形状をとることができる。
【0044】リードは、表面にリードを形成する金属素
材よりも低融点金属の被膜を形成することが好ましい。
被膜が存在する状態でリードと導電部とを接合するとき
に、低融点金属の被膜が融解し、融解した被膜と導電部
とが融着しより強固で、電気的性質も良好な接合が達成
できる。リードの表面に形成すべき被膜の素材として
は、たとえば、スズ等の単体もしくは合金を用いること
ができる。被膜を形成する方法としては、メッキ等の公
知の方法が採用できる。被膜の厚さとしては、特に限定
するものではないが、1μm〜15μm程度が好まし
い。なお、このように低融点金属をリード表面に被覆す
ることは、低融点金属以外のNi、Ag、Au及びそれ
ら合金のメツキ等により被覆を行うことを除外するもの
ではない。
【0045】本実施形態では、導電性樹脂部材によって
電気回路基板の配線を形成している。基板の構成として
は、電気絶縁性樹脂からなる絶縁部と、導電性樹脂部材
としての導電性樹脂からなる導電部とをもつ。
【0046】基板の製造方法は、2色成形、各樹脂の接
着等により製造することができる。そのなかでも2色成
形による製造が好ましい。簡便に複雑な形状を形成可能
だからである。2色成形は、融点の低い樹脂から成形す
ることが好ましい。本実施形態では、絶縁部を先に形成
し、その後、導電部を形成している。その他にも導電部
を形成した後に、絶縁部を形成することも可能である。
【0047】こうして絶縁部と導電部との配置を変化さ
せることにより、導電部は、電子部品に電源等を供給で
きる配線を形成する。そして電子部品以外にその他の金
属部分を有する部品を基板上に実装する必要がある場合
には、導電部を電子部品への電源等の配線のみでなく形
成することができる。
【0048】このように、2色成形によって基板に配線
を形成することにより、従来の基板形成時に発生するよ
うな種々の廃棄物を発生しないという利点がある。
【0049】基板において導電部が配線を形成する部分
としては、図2に示すように、大きく分けて3通りが考
えられる。すなわち、図2aに示すように、基板の電子
部品の反対側(基板裏面)、図2bに示すように、基板
の電子部品側(基板表面)、図2cに示すように、基板
の内部(基板内部)の3通りとその組み合わせである。
このうち基板表面に配線を形成するものが電子部品の実
装の容易さの点からは好ましい。どの配置を採用するか
は、電子部品の実装位置、数等の条件により異なるもの
となる。なお、基板裏面および基板内部に導電部を形成
した場合において、リードを導電部に接合させるために
は、絶縁部にリードを突入させてリードと導電部とを接
合しなければならない。この場合には、あらかじめ絶縁
部に、もしくは絶縁部と導電部とに穴を形成することに
よって、容易にリードと導電部とを接触させることがで
きる。
【0050】絶縁部は、電気絶縁性樹脂からなる部材で
ある。したがって、絶縁部に用いる電気絶縁性樹脂とし
ては、体積固有抵抗値が高いこと、そして、体積固有抵
抗値が経時的に劣化しないこと、また、誘電率が低いこ
と等の電気的性質が重要である。また、2色成形を行う
場合には、射出成形性がよいことも求められる。
【0051】このような電気絶縁性樹脂としては、公知
の樹脂を用いることができる。たとえば、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンサルファイド、ABS樹脂、ポリス
チレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテル−エーテルケトンポリエーテルサル
フォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、これらの共重合体、ポリマーアロイ等の熱可塑性
樹脂や、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。そのなかで
も基板に用いる電気絶縁性樹脂は、熱可塑性樹脂が好ま
しい。2色成形が射出成形によって、容易に行うことが
できるからである。さらにそれらの熱可塑性樹脂のなか
でも、PBTが好ましい。溶融粘度が互いに近いので混
合しやすいからである。
【0052】導電部は、導電性樹脂からなり電子部品に
電源等を供給する配線を形成する部材である。したがっ
て、導電部に用いる導電性樹脂としては、絶縁部に用い
る電気絶縁性樹脂とは逆に電気の損失を抑える目的で体
積固有抵抗値が低いこと等の電気的性質が求められる。
たとえば、体積固有抵抗値が10-2Ω・cm以下である
ことが好ましく、さらには10-4Ω・cm以下であるこ
とがより好ましい。
【0053】このような導電性樹脂としては、樹脂自体
が電気伝導性をもつ導電性高分子を用いる他、電気絶縁
性の高分子(マトリックス樹脂)に導電性を有する物質
(充填剤)を一定量加えることによって充填剤の3次元
網目状の構造を有する金属組織を形成し、導電性を付与
した樹脂がある。入手が容易であることや射出成形性を
制御しやすいという利点を有するのでマトリックス樹脂
に充填剤を一定量加えた導電性樹脂を用いることが好ま
しい。
【0054】マトリックス樹脂としては、前述した電気
絶縁性樹脂と同様に、2色成形を行いやすい前述の熱可
塑性樹脂を用いることが好ましい。その場合に、マトリ
ックス樹脂は、充填剤および絶縁部に用いている電気絶
縁性樹脂との間で親和性が高いことが好ましい。たとえ
ば、熱可塑性樹脂のなかでも、PBTが好ましい。溶融
温度が低融点合金に近く細かく分散しやすいからであ
る。
【0055】充填剤としては、導電性を有する物質であ
れば特に限定しない。たとえば、金属、カーボンブラッ
ク等の電気伝導性を有する物質を用いることができる。
そしてそれらは、粉末状、繊維状として用いることが好
ましい。そのなかでも金属の粉末を用いることが好まし
い。
【0056】充填剤として用いられる金属粉末として
は、銅等の高融点金属を含むことができるが、さらに低
融点合金を含むことがより好ましい。低融点合金を含む
ことが好ましい理由は、後述する電子部品の導電部への
取り付け方法の説明の際に併せて説明する。低融点合金
として好ましいものとしては、スズ−銅系合金、スズ−
鉛系合金等のスズ系合金を挙げることができる。そのな
かでも、スズ−銅系合金を用いることが、より好まし
い。鉛は環境への負荷が大きいからである。また、金属
粉末としては、前述の低融点金属単独で用いることもで
きる。
【0057】充填剤をマトリックス樹脂に加える割合と
しては、生成する導電性樹脂の体積固有抵抗値が前述の
望ましい値以下となるように調節する。また、充填剤
は、マトリックス樹脂に加えることによって、生成する
導電性樹脂の機械的性質が低下するのでできるだけ加え
る量は少ないことが好ましい。具体的には、PBTにス
ズ−銅−ニッケル−リンからなる合金を50重量%〜9
5重量%程度加えることが好ましい。
【0058】充填剤をマトリックス樹脂に加える方法と
しては、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂からなる場合
には、マトリックス樹脂と充填剤とを必要ならば分散剤
とともに加熱下において充分に混練してペレット状に成
形する方法が好ましい。マトリックス樹脂が熱硬化性樹
脂からなる場合には、硬化前の熱硬化性樹脂に充填剤を
充分に分散させるために分散剤とともに充填剤を加えて
充分に分散させることが好ましい。
【0059】導電部のリードと接合すべき部分の温度を
軟化点以上に加熱する方法としては、導電部を直接加熱
する方法の他、リードの存在もしくは直接加熱したリー
ドにより間接的に導電部を加熱する方法がある。リード
により間接的に導電部を加熱することにより、接合する
ために加熱が必要な部分(導電部のうちリードと接触す
る部分)に選択的に加熱を行うことが可能であるので好
ましい。
【0060】リードを直接加熱して導電部を加熱する方
法としては、熱源(ソフトビーム(キセノン光)、熱風
等)により加熱する方法が好ましい例として挙げられ
る。リードを導電部に接触させる前もしくは接触させな
がらリードを加熱するものである。加熱する部分として
はリードの導電部と接合すべき面の近傍を加熱すること
が好ましい。また、加熱による温度上昇によって電子部
品が破損しないように熱に対して耐性の低い電子部品に
適用するときには、放熱手段を採用する必要がある。こ
れは、以下に説明する間接的に導電部を加熱する方法に
おいても同様である。
【0061】リードの存在によって導電部を間接的に加
熱する方法としては、リードと導電部との間に電流を流
すことによって行う方法と、リードと導電部とを高速で
振動させることにより行う方法とが好ましい例として挙
げられる。
【0062】電流を流して加熱する方法は、リードと導
電部とにそれぞれ電極を接触させて、双方の電極間に電
流を流し、リードと導電部との間の主に界面抵抗による
ジュール熱を利用して発熱させるものである。発熱する
部分は導電部とリードとが接触している部分なので、導
電部の金属材周辺のみが発熱することとなって好まし
い。界面での発熱量の制御方法は、界面に流す電流の量
の変化によって制御される。その電流を流す電源として
は、コンデンサ式、交流式、インバータ式等の公知の電
源を使用できる。そのなかでも、インバータ式が制御性
が高い点で好ましい。電流を流す電極としては、基板の
導電部に固定電極を接触させ、他方の電極によりリード
を把持する構造とすることが好ましい。たとえば、部品
実装用ロボットのアーム先端部の把持部分を電極とする
ことによって電子部品実装とともに基板への固定を行う
ことができるからである。
【0063】高速振動によって加熱する方法は、リード
と導電部との間の摩擦熱によるものである。この方法も
発熱する部分は、リードと導電部とが接触する部分であ
るので、導電部の金属材周辺のみが発熱することとなっ
て好ましい。高速で振動させる方法は、たとえば、超音
波による方法やリードもしくは導電部を把持して機械的
に振動させる方法等が挙げられる。
【0064】〈金属部材と導電性部材との接合物〉以下
に本発明の金属部材と導電性部材との接合物の実施形態
について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実
施形態により限定されるものではない。
【0065】本実施形態においても、前述の接合方法と
おおむね同様に、導電性樹脂部材により配線が形成され
た基板に電子部品を実装したものについて説明を行う。
すなわち、金属電子部品のリード等(リード)と、導電
性樹脂部材により基板上に形成された配線部との接合物
である。その他にも、本接合物として、金属部材および
導電性樹脂は、その他にも金属部材と導電性樹脂部材と
の電気的・機械的接合をすることが必要である用途であ
れば用いることができる。また、機械的に固定すること
のみが必要である場合でも用いることができる。たとえ
ば、基板上にスペーサ等の電気的接続が必要ない部品を
接合した物の場合である。
【0066】本実施形態の金属部材と熱可塑性の導電性
樹脂部材との接合物は、金属部材としてのリードと、導
電性樹脂部材としての導電部とは導電部を構成する熱可
塑性樹脂により融着接合されていることを特徴とする。
【0067】リードと、導電部と、導電部が形成されて
いる基板とについては、前述の接合方法で説明した物と
おおむね同じである。
【0068】ここで、融着接合しているとは、リードと
導電部とがほぼ隙間なく密着した状態で接合されている
ことをいう。本接合物は、機械的に圧入した場合と異な
り、接合面積が広い物であって、それにより接合強度、
電気的性質とも優れたものとなる。
【0069】そして、リードの一部が導電部の内部に埋
設されている物が、強度等の点でより好ましい。
【0070】
【実施例】以下、実施例に基づいて、さらに本発明を具
体的に説明する。本実施例は、金属部材としての発光素
子のリードと、導電性樹脂部材としての基板上に形成さ
れた回路部との接合を行った。
【0071】〈実施例1〉射出成形によって、絶縁性の
熱可塑性樹脂(PBT樹脂)を成形し図3aに示すよう
な絶縁部としての筐体本体10を作った。そして、この
筐体本体10を再度、金型に挿入設置し導電性樹脂(ス
ズ−銅系合金:90重量%、PBT樹脂:10重量%)
を空隙100内に射出成形して図3bに示すような導電
部としての回路部11、12(厚さ3mm)を形成した
筐体1とした。射出成形時に、回路部11、12の該当
する個所には、接合される発光素子2のリード21(直
径0.5mm)を接合するためのリード接合穴110、
120(直径0.4mm、深さ2mm)をあらかじめ成
形した。
【0072】発光素子2は、そのリード21がリン青銅
製のものであって、その表面にスズメツキがなされてい
るものを使用した。
【0073】そして、成形した基板の回路部11、12
とリード21との接合を図4に示すような方法により行
った。すなわち、リード21と、導電部11、12の裏
面とにそれぞれ電極30、31を接触させた。電極30
は、銅合金製であって、リード21を把持し、発光素子
2自身を保持する構造となっている。そして、電極31
は、銅合金製である。この電極30、31間に、リード
21が1本につきリード21をリード接合穴110、1
20に進入させる方向に9.8N(1Kgf)の荷重を
かけながら、インバータ制御直流抵抗溶接機(松下電器
産業(株)製)を用いて400A、0.1秒の通電を行
った。回路部11、12のリード21との界面部分が溶
融して冷却固化した結果、リード21は、回路部11、
12内にそれぞれ2mm埋入された。この接合物を実施
例1のサンプルとして試験を行った。
【0074】試験としては熱衝撃試験を行った。熱衝撃
試験は、筐体からリードと回路部とが接合された部分を
切り出して、熱衝撃炉内に放置して所定時間後のリード
21と回路部11、12との接触抵抗を測定した。熱衝
撃条件は、−30℃と120℃との間を昇降する時間を
5分として、−30℃と120℃とにおける保持時間を
30分とした。
【0075】また、リード21と回路部11、12との
接合部を切り出して前処理をした後、金属顕微鏡で観察
した。
【0076】〈実施例2〉筐体1は、実施例1と同様の
方法によって2色成形によって回路部11、12が形成
されたものを使用した。発光素子2は、そのリード21
がリン青銅製のものであって、その表面にニッケルメツ
キがなされているものを使用した。
【0077】リード21と回路部11、12との接合
は、実施例1と同様な方法で行った。回路部11、12
のリード21との界面部分が溶融して冷却固化した結
果、リード21は、回路部11、12内にそれぞれ2m
m埋入された。この接合物を実施例2のサンプルとして
実施例1と同様な熱衝撃試験を行った。
【0078】〈実施例3〉筐体1は、実施例1と同様の
方法によって2色成形によって回路部11、12が形成
されたものを使用した。発光素子2は、そのリード21
がリン青銅製のものであって、その表面に銀メツキがな
されているものを使用した。
【0079】リード21と回路部11、12との接合
は、実施例1と同様な方法で行った。回路部11、12
のリード21との界面部分が溶融して冷却固化した結
果、リード21は、回路部11、12内にそれぞれ2m
m埋入された。この接合物を実施例3のサンプルとして
実施例1と同様な熱衝撃試験を行った。
【0080】〈実施例4〉筐体1は、実施例1と同様の
方法によって2色成形によって回路部11、12が形成
されたものを使用した。発光素子2についても実施例1
と同様なものを使用した。
【0081】リード21とリード接合穴110、120
とを図5に示すように、加熱送風機4を用いて200℃
の熱風で加熱し、加熱された状態でリード21をリード
接合穴110、120にリード21が1本あたり9.8
N(1Kgf)の荷重で押圧した。回路部11、12の
リード21との界面部分が溶融して冷却固化した結果、
リード21は、回路部11、12内にそれぞれ2mm埋
入された。この接合物を実施例4のサンプルとして実施
例1と同様な熱衝撃試験を行った。
【0082】〈実施例5〉筐体1は、実施例1と同様の
方法によって2色成形によって回路部11、12が形成
されたものを使用した。発光素子2についても実施例1
と同様なものを使用した。
【0083】リード21とリード接合穴110、120
とを図6に示すように、キセノン光照射器5を用いて、
ソフトビーム(キセノン光)を照射することにより加熱
した。加熱された状態でリード21をリード接合穴11
0、120にリード21が1本あたり9.8N(1Kg
f)の荷重で押圧した。回路部11、12のリード21
との界面部分が溶融して冷却固化した結果、リード21
は、回路部11、12内にそれぞれ2mm埋入された。
この接合物を実施例5のサンプルとして実施例1と同様
な熱衝撃試験を行った。
【0084】〈実施例6〉筐体1は、実施例1と同様の
方法によって2色成形によって回路部11、12が形成
されたものを使用した。発光素子2についても実施例1
と同様なものを使用した。
【0085】リード21を図7に示すように、リード固
定治具61、62によって、リード接合穴110、12
0にリード21が1本あたり9.8N(1Kgf)の荷
重で押圧しながら、超音波ホーン60により発生した超
音波(120000Hz、1秒間)をリード固定治具6
1、62を介してリード21と回路部11、12の界面
に照射した。回路部11、12のリード21との界面部
分が溶融して冷却固化した結果、リード21は、回路部
11、12内にそれぞれ2mm埋入された。この接合物
を実施例6のサンプルとして実施例1と同様な熱衝撃試
験を行った。
【0086】〈実施例7〉筐体1は、実施例1とおおむ
ね同様の方法によって2色成形によって回路部11、1
2が形成されたものを使用した。ただし、リード接合穴
は設けなかった。発光素子2については実施例1と同様
なものを使用した。
【0087】リード21を回路部11、12にリード2
1が1本あたり9.8N(1Kgf)の荷重で押圧しな
がら、図8に示すように、リード固定治具70、71を
介して、リード21に水平方向の高速振動(240H
z、1.5秒間)を行った。回路部11、12のリード
21との界面部分が溶融して冷却固化した結果、リード
21と回路部11、12が溶融固着した。この接合物を
実施例7のサンプルとして実施例1と同様な熱衝撃試験
を行った。
【0088】〈比較例1〉射出成形によって、絶縁性の
熱可塑性樹脂(PBT樹脂)を成形し図2に示すような
絶縁部としての筐体本体10を作った。そして、この筐
体本体10を再度、金型に挿入設置し導電性樹脂(PB
T樹脂:70重量%、カーボン繊維:30重量%)を射
出成形して図3に示すような導電部としての回路部1
1、12を形成した筐体1とした。実施例1と同様に、
射出成形時に、回路部11、12の該当する個所には、
接合される発光素子2のリード21を接合するための実
施例1と同じ大きさのリード接合穴110、120をあ
らかじめ成形した。発光素子2については、実施例1と
同様のものを使用した。
【0089】そして、リード21にリード21、1本あ
たり19.6N(2Kgf)の荷重をかけながら、2m
mの深さまで圧入する。この接合物を比較例1のサンプ
ルとして実施例1と同様な熱衝撃試験を行った。
【0090】〈比較例2〉射出成形によって、絶縁性の
熱可塑性樹脂(PBT樹脂)を成形し図2に示すような
絶縁部としての筐体本体10を作った。そして、この筐
体本体10を再度、金型に挿入設置し導電性樹脂(PB
T樹脂:50重量%、銅繊維:50重量%)を射出成形
して図3に示すような導電部としての回路部11、12
を形成した筐体1とした。実施例1と同様に、射出成形
時に、回路部11、12の該当する個所には、接合され
る発光素子2のリード21を接合するための実施例1と
同じ大きさのリード接合穴110、120をあらかじめ
成形した。発光素子2については実施例1と同様なもの
を使用した。
【0091】そして、リード21にリード21が1本あ
たり19.6N(2Kgf)の荷重をかけながら、2m
mの深さまで圧入する。この接合物を比較例2のサンプ
ルとして実施例1と同様な熱衝撃試験を行った。
【0092】〈比較例3〉筐体1は、実施例1と同様の
方法によって2色成形によって回路部11、12が形成
されたものを使用した。発光素子2についても実施例1
と同様なものを使用した。
【0093】そして、リード21にリード21が1本あ
たり19.6N(2Kgf)の荷重をかけながら、2m
mの深さまで圧入する。この接合物を比較例3のサンプ
ルとして実施例1と同様な熱衝撃試験を行った。
【0094】〈比較例4〉図9に示すように、射出成形
により、絶縁性の熱可塑性樹脂(PBT樹脂)を成形し
筐体本体10を作る。この筐体本体10を金型にインサ
ートし、導電性樹脂(スズ−銅系合金:90重量%、P
BT樹脂:10重量%)を射出成形し、回路部11、1
2を形成した筐体1とした。導電性樹脂を射出成形する
ときに金型内に発光素子をあらかじめ配置しておき、射
出成形と同時に発光部2のリード21と回路部11、1
2との接合が完了するようにした。リード21と回路部
11、12との接合の深さは、2mmであった。発光素
子2については実施例1と同様なものを使用した。この
接合物を比較例4のサンプルとして実施例1と同様な熱
衝撃試験を行った。
【0095】〈比較例5〉図9に示すように、射出成形
により、絶縁性の熱可塑性樹脂(PBT樹脂)を成形し
筐体本体10を作る。この筐体本体10を金型にインサ
ートし、導電性樹脂(スズ−銅系合金:90重量%、P
BT樹脂:10重量%)を射出成形し、回路部11、1
2を形成した筐体1とした。導電性樹脂を射出成形する
ときに金型内に発光素子をあらかじめ配置しておき、射
出成形と同時に発光部2のリード21と回路部11、1
2との接合が完了するようにした。リード21と回路部
11、12との接合の深さは、2mmであった。発光素
子2については実施例2と同様なものを使用した。この
接合物を比較例5のサンプルとして実施例1と同様な熱
衝撃試験を行った。
【0096】〈比較例6〉図9に示すように、射出成形
により、絶縁性の熱可塑性樹脂(PBT樹脂)を成形し
筐体本体10を作る。この筐体本体10を金型にインサ
ートし、導電性樹脂(スズ−銅系合金:90重量%、P
BT樹脂:10重量%)を射出成形し、回路部11、1
2を形成した筐体1とした。導電性樹脂を射出成形する
ときに金型内に発光素子をあらかじめ配置しておき、射
出成形と同時に発光部2のリード21と回路部11、1
2との接合が完了するようにした。リード21と回路部
11、12との接合の深さは、2mmであった。発光素
子2については実施例3と同様なものを使用した。この
接合物を比較例6のサンプルとして実施例1と同様な熱
衝撃試験を行った。
【0097】〈結果〉熱衝撃試験の結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】比較例と比べて実施例は、接合部が熱衝撃
耐性に優れ、電気的接合信頼性が高いことがわかった。
【0100】実施例1の接合物の断面を図10に示す。
【0101】図10より明らかなように、導電性樹脂内
の金属粉末の一部とリード表面のメッキとが溶融・混合
し、リードと導電性樹脂とが強固な電気的・機械的接合
をしていることがわかった。また、導電性樹脂のマトリ
ックス樹脂が溶融し、リード21の表面に隙間なく密着
していることがわかった。
【0102】〈接合強度〉試験 実施例1〜7、比較例
1〜6について、接合強度を調べる目的で、接合部分を
ペンチで引き抜く試験を行った。
【0103】結果 実施例1〜7のサンプルでは、大き
な引き抜き力が必要で、リード21の接合部分に導電性
樹脂の固着が認められ、回路部11を形成する導電性樹
脂剤の破壊が生じていた。それに対して、比較例1〜6
では、実施例1〜7と比べると引き抜きは比較的容易で
あって、リード21の接合部分に導電性樹脂の固着は認
められず、リード21と回路部11を形成する導電性樹
脂の界面が剥がれる界面剥離が生じていた。
【0104】
【発明の効果】以上、本発明は、簡便で、接合部の信頼
性が高い金属部材と導電性樹脂部材との接合方法とその
接合物を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の接合方法によって電子部品と筐体
に形成された回路部とを接合した図である。
【図2】LEDと導電部との固定方法の具体例を示す図
である。
【図3】筐体を2色成形で成形する工程の模式図であ
る。
【図4】実施例1〜3の接合方法を示した図である。
【図5】実施例4の接合方法を示した図である。
【図6】実施例5の接合方法を示した図である。
【図7】実施例6の接合方法を示した図である。
【図8】実施例7の接合方法を示した図である。
【図9】比較例4〜6の接合方法を示した図である。
【図10】実施例1の接合物の断面を示した図である。
【符号の説明】
1…筐体 10…絶縁部 11、12、13、14
…回路部 2…電子部品(発光素子) 21…リー
ド 30、31…電極 4…熱風送風機5…キセノ
ン光照射器 60…超音波ホーン 61、62…リ
ード固定治具 63…固定治具 70、71…リード
固定治具 72…固定治具
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月6日(2000.12.
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
フロントページの続き (72)発明者 野田 孝巳 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 井沢 省吾 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 5E319 AA02 AA07 AA09 AB01 BB12 CC61 GG15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性の導電性樹脂部材の金属部材と
    接合すべき部分の温度を軟化点以上に加熱するとともに
    該金属部材を加熱された部分に押圧して融着させること
    を特徴とする金属部材と導電性樹脂部材との接合方法。
  2. 【請求項2】 前記押圧により前記金属部材の一部を前
    記導電性樹脂部材内に圧入させる請求項1に記載の金属
    部材と導電性樹脂部材との接合方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱は、前記金属部材と前記導電性
    樹脂部材との間に電流を流すことにより行う請求項1に
    記載の金属部材と導電性樹脂部材との接合方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱は、前記金属部材と前記導電性
    樹脂部材とを高速で振動させることにより行う請求項1
    に記載の金属部材と導電性樹脂材との接合方法。
  5. 【請求項5】 前記導電性樹脂部材はマトリックスとし
    ての樹脂と該マトリックス中に形成された網目状の金属
    組織とで形成されている請求項1に記載の金属部材と導
    電性樹脂部材との接合方法。
  6. 【請求項6】 前記金属組織は、低融点金属を含み、前
    記金属部材は、該金属組織と融着している請求項5に記
    載の金属部材と導電性樹脂部材との接合方法。
  7. 【請求項7】 前記金属部材はその接合部分の表面に、
    該金属部材よりも低融点である金属の皮膜が形成されて
    いる請求項1に記載の金属部材と導電性樹脂部材との接
    合方法。
  8. 【請求項8】 金属部材と熱可塑性の導電性樹脂部材と
    の接合物であって、 前記金属部材と前記導電性樹脂部材とは該導電性樹脂部
    材を構成する熱可塑性樹脂により融着接合されているこ
    とを特徴とする金属部材と導電性樹脂部材との接合物。
  9. 【請求項9】 前記導電性樹脂部材はマトリックスとし
    ての樹脂成分と該マトリックス中に形成された低融点金
    属を含む網目状の金属組織とで形成されており、前記金
    属部材は、該金属組織と融着している請求項8に記載の
    金属部材と導電性樹脂部材との接合物。
  10. 【請求項10】 前記金属部材の一部が前記導電性樹脂
    部材内に埋設されている請求項8に記載の金属部材と導
    電性樹脂部材との接合物。
  11. 【請求項11】 前記金属部材は、その表面にスズを含
    有した金属でメッキされており、 前記導電性樹脂は、その樹脂成分がポリブチレンテレフ
    タレートであり、前記金属組織がスズと銅とからなる請
    求項9に記載の金属部材と導電性樹脂部材との接合物。
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