JP2001108832A - 薄膜複屈折素子及びその製造方法及び製造装置 - Google Patents

薄膜複屈折素子及びその製造方法及び製造装置

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JP2001108832A JP28843099A JP28843099A JP2001108832A JP 2001108832 A JP2001108832 A JP 2001108832A JP 28843099 A JP28843099 A JP 28843099A JP 28843099 A JP28843099 A JP 28843099A JP 2001108832 A JP2001108832 A JP 2001108832A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加工コストが安く、量産が可能であり、斜め蒸
着膜の剥離及び白濁・吸収を防止し、密着性と光学特性
・耐環境性を向上させた信頼性の高い薄膜複屈折素子を
提供することを課題とする。 【解決手段】本発明に係る薄膜複屈折素子は、基板40
上に斜め方向から蒸発物質を入射させて形成した斜め蒸
着膜42を有し、上記斜め蒸着膜42は膜厚及び複屈折
量が制御された単層膜構造の蒸着膜であることを特徴と
しているので、従来の多層構造の斜め蒸着膜に比べて加
工コストを低減でき、量産性も確保できる。また、基板
表面と斜め蒸着膜の間もしくは斜め蒸着膜上のいずれか
一方もしくは両方に密着性、耐環境性及び光学特性を向
上させることを目的とする薄膜43を有する構成とする
ことにより、斜め蒸着膜の剥離及び白濁・吸収を防止
し、密着性と光学特性・耐環境性を向上させることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光素子に含まれ
る薄膜複屈折素子及びその製造方法及び製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】複屈折を利用して直線偏光・円偏光間の
変換を初めとする光の偏光状態の調整、変換、回転を行
う光学素子としては、従来、水晶や方解石といった結晶
を加工したものがあるが、このような結晶を加工した光
学素子は、材料費や加工コストがかかるという欠点があ
る。また、従来から斜め蒸着で形成された蒸着膜が異方
性を持つことが知られており、蒸着膜は低コストで形成
できることから、近年この斜め蒸着膜の異方性を波長板
等の偏光素子として利用しようという提案がなされてい
る。
【0003】ここで、図16に斜め蒸着膜形成装置の一
例を示すが、斜め蒸着を行う場合、斜め蒸着膜形成装置
25内で基板26は蒸着材28を備えた蒸発源27に対
して斜めに配置されているため、蒸発源27と基板26
間の距離が基板位置で異なり、斜め蒸着により形成され
る蒸着膜は、同一基板内の上下方向において膜厚に差が
生じる。この場合、複屈折量も膜厚に対応して異なって
いるため、基板内では位相差の分布が発生する。この基
板内での位相差の分布を解消するため、斜め蒸着膜を多
層構造とし、1層毎に基板への入射角を基板法線を中心
として対称方向に変更する方法が知られている(特公平
7−3486号公報)。
【0004】さらに斜め蒸着により形成される蒸着膜
は、膜の縦方向と横方向で密度が異なり複屈折を示す
が、この複屈折を目的として形成される斜め蒸着膜は、
通常、金属酸化膜等の誘電体膜で形成されている。しか
し、斜め蒸着により形成される誘電体膜はほとんどが柱
状組成(コラム)として形成されるため密度が一様では
なく、内部応力も高く環境変化等により密着性が劣化
し、基板から蒸着膜が剥離する、あるいは膜が白濁する
不具合や、誘電体膜の吸収増加による分光透過率の低下
などに見られる光学特性の劣化という不具合が生じる。
尚、この柱状組成(コラム)の成長方向では、蒸着角α
とコラムの傾斜角βの間には、 β=(1/2)tanα の規則性があることが知られている(薄膜応用ハンドブ
ック第2刷、(株)エヌ・ティー・エス発行)。また、
Ta25の斜め蒸着において、柱状組成の傾斜角をα、
蒸着角をθとしたときの両者の関係は、α=0.5θの関
係にあることが報告されている(Appliedoptics/Vol.2
8,No.13/1 July 1989)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術(特公平
7−3486号公報)に記載された方法により作成され
る斜め蒸着膜は、1層毎に基板の方向を変えて蒸着しな
ければならない多層膜構造であり、斜め蒸着膜の形成時
に、1層毎に基板の方向を変更して蒸着する必要がある
ため加工時間の増長を招き、さらには製造装置への複雑
で新規な機構の追加が必要となるため、コストがかかる
という問題がある。加えて同一物質の分割蒸着となるた
め、各層での屈折率を均一に保つことは困難であり不均
質膜と成りやすく、基板内での複屈折量にも誤差が生じ
易くなるという問題がある。また、上述したように、斜
め蒸着により形成される誘電体膜はほとんどが柱状組成
として形成されるため密度が一様ではなく、内部応力も
高く環境変化等により密着性が劣化し、基板から蒸着膜
が剥離する、あるいは膜が白濁する不具合や、誘電体膜
の吸収増加による分光透過率の低下などに見られる光学
特性の劣化という不具合が生じ、信頼性が劣るという問
題がある。
【0006】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、加工コストが安く、量産が可能であり、且つ斜め蒸
着膜の剥離及び白濁・吸収を防止し、斜め蒸着膜の密着
性、耐環境性、光学特性及びその安定性等を向上させた
信頼性の高い薄膜複屈折素子を提供すること、及び同一
基板内での複屈折量の誤差を少なくさせた薄膜複屈折素
子、もしくは基板内に任意の勾配を持たせた複屈折量を
精度良く発現させた薄膜複屈折素子を提供することを目
的とし、さらには、その薄膜複屈折素子の製造方法及び
製造装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、基板上に斜め方向から蒸発
物質を入射させて形成した斜め蒸着膜を有する薄膜複屈
折素子であって、上記斜め蒸着膜は膜厚及び複屈折量が
制御された単層膜構造の蒸着膜であることを特徴として
おり、これにより、従来の多層膜構造の斜め蒸着膜に比
べて加工コストを低減でき、量産性も確保できる。ま
た、請求項2に係る発明は、基板上に斜め方向から蒸発
物質を入射させて形成した斜め蒸着膜を有する薄膜複屈
折素子であって、上記斜め蒸着膜は膜厚及び複屈折量が
制御された単層膜構造の蒸着膜であり、基板表面と上記
斜め蒸着膜の間もしくは上記斜め蒸着膜上のいずれか一
方もしくは両方に、密着性、耐環境性及び光学特性を向
上させることを目的とする薄膜(アンダーコート膜また
はオーバーコート膜)を有することを特徴としており、
これにより、斜め蒸着膜の密着性、耐環境性及び光学特
性の向上を図ることが可能となる。さらに、請求項3に
係る発明は、請求項1または2記載の薄膜複屈折素子に
おいて、上記斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に
熱処理(アニール)を施して膜の状態を改質し、環境変
化による複屈折量を始めとする光学特性の変動を抑えた
ことを特徴としており、これにより、斜め蒸着膜の密着
性、耐環境性、光学特性及びその安定性の向上を図るこ
とが可能となる。さらにまた、請求項4に係る発明は、
請求項1記載の薄膜複屈折素子あるいは請求項2記載の
薄膜複屈折素子あるいは請求項3記載の薄膜複屈折素子
を、2個以上貼り合わせて構成したことを特徴としてお
り、これにより、斜め蒸着膜の密着性、耐環境性、光学
特性及びその安定性の向上をより一層図ることが可能と
なる。
【0008】請求項5に係る発明は、請求項1記載の薄
膜複屈折素子を作製する際の薄膜複屈折素子の製造方法
であって、1以上の基板を保持した基板ホルダーを自転
運動と公転運動からなる遊星回転機構で蒸着装置内を回
転させ、上記基板ホルダーと蒸発源の間の基板ホルダー
近傍に開口部を有する遮蔽板を配置した状態で、蒸発物
質を蒸発させる蒸発源と蒸発装置内にプラズマ状態を形
成するプラズマ源もしくはイオン源を用いて蒸発物質を
イオン化して基板方向に飛翔させ、上記遮蔽板の開口部
を介して基板上に斜め方向から蒸発物質を入射させて斜
め蒸着膜を形成することを特徴としており、膜厚及び複
屈折量が制御された単層膜構造の斜め蒸着膜を形成する
ことが可能となる。
【0009】請求項6に係る発明は、請求項1記載の薄
膜複屈折素子を作製する際の薄膜複屈折素子の製造方法
であって、1以上の基板を公転機構で保持し、該公転機
構の公転運動により基板を蒸着装置内で回転させた状態
で、蒸着物質を蒸発させる蒸発源と蒸発装置内にプラズ
マ状態を形成するプラズマ源もしくはイオン源を用いて
蒸発物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、基板上に
斜め方向から蒸発物質を入射させて斜め蒸着膜を形成す
ることを特徴としており、膜厚及び複屈折量の分布が制
御された単層膜構造の斜め蒸着膜を形成することが可能
となる。
【0010】さらに請求項7に係る発明は、請求項5記
載の薄膜複屈折素子の製造方法において、斜め方向から
の蒸着により単層膜構造の斜め蒸着膜を形成すると共
に、基板内において上記斜め蒸着膜の膜厚及び複屈折量
を均一な状態に制御することを特徴としている。また、
請求項8に係る発明は、請求項6記載の薄膜複屈折素子
の製造方法において、斜め方向からの蒸着により単層膜
構造の斜め蒸着膜を形成すると共に、その斜め蒸着膜の
基板内の位置と複屈折量の関係が勾配を持って分布する
ように制御することを特徴としている。
【0011】請求項9に係る発明は、請求項5〜8のい
ずれか一つに記載の薄膜複屈折素子の製造方法におい
て、基板上に目的とする膜厚及び/または複屈折量の蒸
着膜を形成するために、蒸着装置内にダミー基板を配置
し、さらに蒸着装置外部に監視窓で接する投光部と受光
部からなる光学式膜厚計及び/または該光学式膜厚計と
同等の光学系の投光部と受光部の途中に偏光子を追加し
た構成の複屈折量測定器を用いて、加工中のダミー基板
もしくは基板の透過光量もしくは反射光量の変化を監視
することにより、斜め蒸着中の蒸着膜の光学的膜厚及び
/または複屈折量を監視し、所望の膜厚及び/または複
屈折量と成るよう蒸着条件及び時間を制御することを特
徴としており、これにより、斜め蒸着膜の膜厚及び/ま
たは複屈折量を均一な状態に制御することや、あるい
は、斜め蒸着膜の基板内の位置と複屈折量の関係が勾配
を持って分布するように制御することが可能となる。
【0012】請求項10に係る発明は、請求項2記載の
薄膜複屈折素子を作製する際の薄膜複屈折素子の製造方
法であって、基板上の斜め蒸着膜は請求項5〜9のいず
れか一つに記載された製造方法で形成し、その斜め蒸着
膜を形成する前の基板表面、もしくは斜め蒸着膜形成後
の斜め蒸着膜上のいずれか一方もしくは両方に、密着
性、耐環境性及び光学特性を向上させることを目的とす
る薄膜(アンダーコート膜またはオーバーコート膜)を
蒸着膜もしくは塗膜により形成することを特徴としてお
り、密着性、耐環境性及び光学特性が向上された薄膜複
屈折素子を作製することが可能となる。また、請求項1
1に係る発明は、請求項3記載の薄膜複屈折素子を作製
する際の薄膜複屈折素子の製造方法であって、請求項5
〜9のいずれか一つに記載された製造方法で基板上に斜
め蒸着膜を形成した薄膜複屈折素子あるいは請求項10
に記載された製造方法で形成した薄膜複屈折素子の斜め
蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に、レーザー光を走
査しながら照射してレーザー熱処理(レーザーアニー
ル)を行い膜の状態を改質し、環境変化による複屈折量
を始めとする光学特性の変動を抑えることを特徴として
おり、密着性、耐環境性、光学特性及びその安定性が向
上された薄膜複屈折素子を作製することが可能となる。
さらにまた、請求項12に係る発明は、請求項4記載の
薄膜複屈折素子を作製する際の薄膜複屈折素子の製造方
法であって、請求項5〜9のいずれか一つに記載された
製造方法で基板上に斜め蒸着膜を形成した薄膜複屈折素
子あるいは請求項10に記載された製造方法で形成した
薄膜複屈折素子あるいは請求項11に記載された製造方
法で形成した薄膜複屈折素子を、2個以上接着剤で貼り
合わせることを特徴としており、密着性、耐環境性、光
学特性及びその安定性がさらに向上された薄膜複屈折素
子を作製することが可能となる。
【0013】請求項13に係る発明は、請求項1〜4の
いずれか一つに記載の薄膜複屈折素子の斜め蒸着膜の形
成に用いられる薄膜複屈折素子の製造装置であって、蒸
発物質を蒸発させる蒸発源とプラズマ状態を形成するた
めのプラズマ源もしくはイオン源を有する蒸着装置と、
その蒸着装置内において1以上の基板を保持する基板ホ
ルダーと、該基板ホルダーを自転運動と公転運動とによ
り上記蒸着装置内で回転させる遊星回転機構と、上記基
板ホルダーと蒸発源の間の基板ホルダー近傍に配置され
蒸発物質を通過させうる開口部を有する遮蔽板とを備
え、上記蒸発源とプラズマ源もしくはイオン源を用いて
蒸発物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、上記遮蔽
板の開口部を介して基板上に斜め方向から蒸発物質を入
射させて斜め蒸着膜を形成すること特徴としており、膜
厚及び複屈折量が制御された単層膜構造の斜め蒸着膜を
形成することが可能な製造装置を提供できる。
【0014】請求項14に係る発明は、請求項1〜4の
いずれか一つに記載の薄膜複屈折素子の斜め蒸着膜の形
成に用いられる薄膜複屈折素子の製造装置であって、蒸
発物質を蒸発させる蒸発源とプラズマ状態を形成するた
めのプラズマ源もしくはイオン源を有する蒸着装置と、
その蒸着装置内において1以上の基板を保持し該基板を
公転運動で蒸着装置内を回転させる公転機構とを備え、
上記蒸発源とプラズマ源もしくはイオン源を用いて蒸発
物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、基板上に斜め
方向から蒸発物質を入射させて斜め蒸着膜を形成するこ
とを特徴としており、膜厚及び複屈折量の分布が制御さ
れた単層膜構造の斜め蒸着膜を形成することが可能な製
造装置を提供できる。
【0015】請求項15に係る発明は、請求項13また
は14記載の薄膜複屈折素子の製造装置において、蒸着
装置の外部に設けられ監視窓で接する投光部と受光部か
らなる光学式膜厚計及び/または該光学式膜厚計と同等
の光学系の投光部と受光部の途中に偏光子を追加した複
屈折量測定器を備え、上記光学式膜厚計及び/または複
屈折量測定器を用いて、加工中の基板の透過光量もしく
は反射光量の変化を監視することにより、斜め蒸着中の
蒸着膜の光学的膜厚及び/または複屈折量を監視し、所
望の膜厚及び/または複屈折量と成るよう蒸着条件及び
時間を制御することを特徴としており、斜め蒸着膜の膜
厚及び/または複屈折量を均一な状態に制御すること
や、あるいは、斜め蒸着膜の基板内の位置と複屈折量の
関係が勾配を持って分布するように制御することが可能
な製造装置を提供できる。
【0016】以下、本発明のより具体的な特徴について
説明する。本発明に係る薄膜複屈折素子は、基板上に斜
め方向から蒸発物質を入射させて形成した斜め蒸着膜を
有するものであり、上記斜め蒸着膜は膜厚及び複屈折量
が制御された単層膜構造の蒸着膜である。そして、本発
明に係る薄膜複屈折素子の製造方法では、膜厚及び複屈
折量が制御された単層膜構造の斜め蒸着膜を形成する
が、単層膜構造で量産性を確保するため、例えば図1に
示すような構成の製造装置により、基板ホルダー9で保
持された1以上の基板6を、自転運動と公転運動からな
る遊星回転機構を用いて、蒸着材3を蒸発させる蒸発源
(例えば電子銃あるいは抵抗加熱源等)2の上部を半円
状の回転運動で移動させ、さらに基板6と蒸発源2を結
ぶ直線上の基板ホルダー近傍に、上下2箇所の開口部8
を有する遮蔽板7を配置した状態で斜め蒸着膜を形成す
る。この時、基板法線24に対して蒸発物質が40〜8
0度傾いた方向から飛翔するように基板ホルダー9及び
遮蔽板7を設定する。
【0017】ここで、図6に示すような遊星回転機構4
5により、円盤状の基板ホルダー46は自転しながら蒸
着装置内を公転運動するので、基板ホルダー46に保持
された基板47には、軌跡47aで示すような半円状の
回転運動が与えられる。一方、図1に示すように、遮蔽
板7には、基板ホルダー9の自転運動の中心と遮蔽板7
の2つの開口部8の中心が同一となるよう配置された状
態で基板ホルダー9の遊星回転機構による公転運動と同
期させた公転運動が与えられる。すなわち、基板ホルダ
ー9と遮蔽板7は同期して公転運動を行うが、この際、
基板ホルダー9は自転しているので、基板ホルダー9上
に保持された複数の基板6は、遮蔽板7の2箇所の開口
部8を順次通過することになり、各基板6が開口部8を
通過する時に蒸着されることになる。
【0018】そして、上記の状態で蒸発源2から蒸着材
3の蒸発物質を蒸発させることにより、遮蔽板7の開口
部8を通過した蒸発物質により基板6に蒸着膜が形成さ
れるが、この時、遮蔽板7の上下2箇所の開口部8に位
置した基板のみ蒸着膜が形成され、遮蔽部分に位置する
基板には蒸着膜が形成されないので、基板に対する蒸着
方向は一方向に規制されることになる。すなわち、基板
に対する蒸発物質の飛翔方向は、開口部8に位置する基
板の中心と蒸発源2を結ぶ直線を基準とした上下方向に
限定され、かつ基板はその直線に対して傾けて配置され
ているので、図2に示すように蒸着材30からの蒸発物
質は基板法線31に対してαだけ傾いた方向から飛翔す
ることになり、基板上に斜め蒸着膜が形成される。ま
た、遮蔽板7の上下2箇所の開口部8の位置では、基板
の上下の向きが逆となるため、遮蔽板7の上下2箇所の
開口部8を順次通過する基板上には、基板の法線を中心
として対称方向から蒸発物質が交互に入射することにな
り、膜厚が略均一な斜め蒸着膜膜が形成される。そし
て、この斜め蒸着膜は、上記の直線方向での蒸着膜の構
造と同直線方向と直交する方向での膜の構造が異なるの
で、複屈折性を示す膜となる。
【0019】さらに上記遮蔽板7の上下2箇所の開口部
8の形状を目的に応じて設定することにより、基板表面
内における複屈折量の分布を任意に変更することが可能
となる。具体的には基板内の同一面内において複屈折量
を一様にするには、遮蔽板7の上下2箇所の開口部8の
形状を基板ホルダー9の自転軸を基準とした円分形状と
する。一方、基板内の一方向で複屈折量に勾配を持たせ
るには遮蔽板7の開口部8の形状を矩形を基準として中
心側と外周側の開口部の幅を複屈折量の勾配に合わせて
決定する。
【0020】尚、遮蔽板を用いないで複屈折量に勾配を
持たせることも可能である。この場合には、図11に示
す構成の装置のように、公転冶具71で保持された基板
69に公転機構にて円周状の回転運動を与える。この
時、基板69の法線73に対して蒸発物質が60〜80
度傾いた方向から飛翔するように基板69の角度を設定
する。この状態で基板上に蒸発物質を堆積させると、基
板上には、蒸発源方向から反蒸発源方向にかけて膜厚が
薄くなる勾配を持った単層構造の斜め蒸着膜を形成でき
る。
【0021】斜め蒸着膜を形成するための蒸着材は、斜
め蒸着により異方性を示す物であれば良いが、特にTa
25,SiO2,NbO5,WO3,SnO2,TiO2
の金属酸化物系の誘電体膜は良好の結果を示す。しか
し、単に斜め蒸着した場合には、密着性の劣化、白濁の
発生、吸収の増加による分光特性の劣化等の問題が発生
する。そのために本発明では、電子銃や抵抗加熱源等に
よる蒸着材の蒸発に加えて、プラズマ源もしくはイオン
源を用いて導入ガスをイオン化し装置内にプラズマ状態
を形成させる。そして、そのプラズマ中を蒸発物質及び
酸素などの反応性ガスが通過する際にイオン化し、蒸発
物質と反応性ガスとの反応を促す。この時、あらかじめ
基板ホルダーに前述のイオンと逆の電荷を与えておくこ
とにより、プラズマ空間と基板の間に電界が形成され、
イオン化された蒸発物質や導入ガスが電界に従い加速さ
れ基板表面に衝突するために、密着性が高く、吸収や白
濁の少ない蒸着膜が形成される。
【0022】薄膜複屈折素子の複屈折量を所望の値とす
るためには蒸着膜の膜厚を制御する必要があり、本発明
においては図1に示す装置のように、投光部である光源
14と、反射鏡16及び受光部15からなる光学式膜厚
計を用いて蒸着中の光学的膜厚を連続的に監視し、光量
の変化から斜め蒸着膜の屈折率と光学的膜厚を読み取
り、所望の膜厚に形成するよう制御する。制御動作とし
ては、蒸発源2上に設置したシャッター板12の開閉動
作により実行し、所望の膜厚が得られた時点でシャッタ
ー板12で蒸発源2上を遮蔽することで蒸着膜の膜厚制
御が可能となる。
【0023】さらに本発明では、図1に示す装置のよう
に、複屈折量測定器を用いて蒸着中の複屈折量を監視し
ながら制御することも可能である。複屈折量測定器での
制御は、上記の光学式膜厚計と同等の光学系構成で、投
光部である光源20と測定用基板6もしくはダミー基板
17の間、及び測定用基板6もしくはダミー基板17と
受光部21もしくは受光部22の間の計2箇所に偏光子
18を配置し、各々の偏光子18の光学軸が90度異な
った方向とする。加えて光源20からの出射光は目的と
する複屈折に対応する波長の干渉フィルターで通過させ
る。制御動作としては、上記の膜厚制御と同様に蒸発源
2上のシャッター板12の開閉で実施する。そして、目
的の波長と複屈折量に応じて光量の極大値もしくは極小
値で蒸着を終了することで複屈折量の制御を行う。極大
値と極小値の関係は複屈折の増加量に応じて、使用する
干渉フィルターの1/2波長毎に極大値と極小値を繰り
返す。上記2種類の制御方法の何れか一方もしくは両方
を用いることにより、高精度な複屈折量の制御が可能と
なる。
【0024】ところで、基板となる媒質と斜め蒸着膜の
関係において、両者の組み合わせ次第では分子間の結合
力が低下し密着性が劣る場合や、屈折率の違いにより分
光透過率が低下する等の現象が発生する。そこで、蒸着
膜と基板の密着性及び分光透過率をさらに向上させるた
めには、図5に示す構成の薄膜複屈折素子のように、斜
め蒸着膜42と基板40の間に形成される蒸着膜もしく
は塗膜によるアンダーコート41、もしくは斜め蒸着膜
上に形成される蒸着膜もしくは塗膜によるオーバーコー
ト43、のいずれか一方もしくは両方を形成することで
達成できる。このアンダーコート及びオーバーコートの
材料は、斜め蒸着膜の屈折率と基板の屈折率から振幅条
件と位相条件を用いて求められる屈折率と膜厚で決定す
る。また、斜め蒸着膜の密着性、耐環境性、光学特性及
びその安定性をさらに向上させるためには、斜め蒸着膜
もしくは斜め蒸着膜上の薄膜(オーバーコート)に熱処
理(アニール)を施して膜の状態を改質し、環境変化に
よる複屈折量を始めとする光学特性の変動を抑えること
により達成することができる。より具体的には、斜め蒸
着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に、レーザー光を走査
しながら照射してレーザー熱処理(レーザーアニール)
を行い膜の状態を改質し、環境変化による複屈折量を始
めとする光学特性の変動を抑えることにより、密着性、
耐環境性、光学特性及びその安定性が向上された薄膜複
屈折素子を作製することができる。また、斜め蒸着膜も
しくは斜め蒸着膜上の薄膜にレーザーアニールを施すこ
とにより、チップ化に伴う切断時の切削液の浸透による
複屈折特性の変動を抑止することができる。
【0025】さらに、斜め蒸着膜を形成した2つ以上の
薄膜複屈折素子を用い、基板上に形成された斜め蒸着膜
を有する面同士を貼り合せることで位相差の分布を調整
することができる。すなわち、1枚の基板内において位
相差に分布を持つものであっても、基板内における位相
差の分布傾向が同じ2つの薄膜複屈折素子を図12に示
すように非対称の状態で貼り合せることで位相差の分布
が解消可能となる。また、上記の方法で位相差の分布傾
向を揃えて図13に示すように対称の状態で2つの薄膜
複屈折素子を貼り合せることで位相差の分布の勾配をよ
り強調したものが製作可能である。一方、図14に示す
ように、1枚の基板での位相差が少ないものを複数貼り
合せることにより、任意の位相差を有する複屈折素子
(例えば波長板)の製作が可能となる。また、前述した
ように、斜め蒸着膜の前後にアンダーコートとオーバコ
ートの両方もしくは一方を形成した基板を2つ以上貼り
合せることで、さらに分光透過率を向上させることが可
能である。これらの薄膜複屈折素子を貼り合せる場合に
は、斜め蒸着面側を向い合わせて貼り合せることによ
り、斜め蒸着面が外部に露出しないので、耐環境性に優
れ、密着性及び位相差や分光特性といった各種特性の安
定性に優れた信頼性の高い薄膜複屈折素子が作製可能と
なる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための具
体的な構成及び動作についてより詳細に説明する。本発
明に係る薄膜複屈折素子は、図1に示すように遊星回転
機構と中心部に開口部8を有する遮蔽板7を備えた構成
に加えて、蒸発源2の蒸着材3からの蒸発物質と導入ガ
スをプラズマ源(もしくはイオン源)4を用いてイオン
化する構成の装置を用いて、基板上に斜め蒸着膜を形成
することで実現できる。ここで、図1は薄膜複屈折素子
の斜め蒸着膜を形成する製造装置の第1の構成例を示
し、(a)は製造装置内の概略構成を示す正面図、
(b)は側面図である。また、図1において符号1は蒸
着装置、2は蒸発源(例えば、電子銃あるいは抵抗加熱
源等)、3は蒸着材、4はプラズマ源(もしくはイオン
源)、5は反応性ガス導入口、6は基板、7は遮蔽板、
8は遮蔽板開口部、9は遊星回転機構に支持された基板
ホルダー、10は基板ホルダーの自転方向、11は基板
ホルダーの公転方向及び遮蔽板の公転方向、12はシャ
ッター板、13は監視窓、14は膜厚計の投光部である
光源、15は膜厚計の受光部、16は膜厚計の反射鏡、
17はダミー基板、18は複屈折測定器の偏光子、19
は複屈折測定器の反射鏡、20は複屈折測定器の投光部
である光源、21は複屈折測定器の透過光受光部、22
は複屈折測定器の反射光受光部、23は蒸発物質の飛翔
方向、24は基板法線である。
【0027】図1に示す装置では、1以上の基板6を保
持した円盤状の基板ホルダー9を自転運動と公転運動か
らなる遊星回転機構で蒸着装置1内を回転させ、基板ホ
ルダー9と蒸発源2の間の基板ホルダー近傍に、上下2
箇所の開口部8を有する遮蔽板7を配置した状態で、蒸
発物質を蒸発させる蒸発源2と蒸発装置内にプラズマ状
態を形成するプラズマ源(もしくはイオン源)4を用い
て蒸発物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、上記遮
蔽板7の開口部8を介して基板6上に斜め方向から蒸発
物質を入射させて斜め蒸着膜を形成するものであり、膜
厚及び複屈折量が制御された単層膜構造の斜め蒸着膜を
形成することができる。また、基板上に目的とする膜厚
及び複屈折量の蒸着膜を形成するために、蒸着装置1内
にダミー基板17を配置し、さらに蒸着装置1の外部に
監視窓13で接する投光部(光源)14と受光部15か
らなる光学式膜厚計及び該光学式膜厚計と同等の光学系
の投光部(光源)20と受光部21,22の途中に偏光
子18を追加した構成の複屈折量測定器を用いて、加工
中のダミー基板17もしくは基板6の透過光量もしくは
反射光量の変化を監視することにより、斜め蒸着中の蒸
着膜の光学的膜厚と複屈折量を監視し、所望の膜厚及び
複屈折量と成るよう蒸着条件及び時間を制御することが
でき、斜め蒸着膜の膜厚及び複屈折量を均一な状態に制
御することができる。
【0028】ここで、基板上に斜め方向から蒸発物質を
入射させて形成した斜め蒸着膜を有する薄膜複屈折素子
は、基板表面の法線方向から光線を入射した場合、偏光
素子である波長板としての機能を有する。図2に示すよ
うに、基板29の法線31に対して蒸着材30からの蒸
発物質を斜め方向から入射させて斜め蒸着膜を形成する
場合、斜め蒸着の初期段階においては、通常の蒸着と同
様に基板表面に核が形成されるが、基板29上の斜め蒸
着膜の核が成長するに従い、蒸発物質の飛翔方向の後ろ
に影ができて蒸発物質が到達せずに核が形成されない部
分が出現し柱状構造となる。この現象は一般に「シャド
ーイング効果」と呼ばれている。この斜め蒸着膜は、蒸
着膜を形成する核の成長方向が図2において基板のX方
向とY方向で異なり、X,Y各方向を2次元の断面とし
て捉えた場合、図4に示すX方向は、斜め蒸着膜39の
核の集合体が基板法線37の方向に成長し、基板36と
平行な方向で核の集合体が密に接する。また、図3に示
すY方向は、基板法線33に対して蒸着物質入射方向3
4に傾斜する微細で独立した柱状構造を形成するため、
斜め蒸着膜35の屈折率はX方向で最大となり、Y方向
で最小となる。この屈折率と複屈折の関係は次のように
表すことができる。すなわち、X方向の屈折率:no 、
Y方向の屈折率:ne 、複屈折:Δnとする場合、次式
の関係が成り立つ。 Δn=|no−ne|
【0029】この斜め蒸着膜の柱状構造は基板表面に対
する蒸発物質の入射方向に成長しているため、基板に対
する蒸発物質の入射角αを40〜80度の範囲で調整す
ることにより、基板のX方向とY方向の屈折率の差、す
なわち「Δn」が調整可能となるが、この入射角は略7
0度の時にΔnが最も大きい値を示す。薄膜複屈折素子
を波長板として用いる場合、上記Δnと膜厚を調整する
ことにより任意の波長板が作製可能である。ここで、波
長板の特性である位相遅れ(リタデーション)は次のよ
うに表すことができる。図7に示すように、直線偏光を
波長板のne 方向とY方向の電気的振動成分48が平行
となる位置関係で透過させたとき、図8に示すように、
基板のY方向を透過した電気的振動成分50に対して基
板のX方向を通過した電気的振動成分51が図示したΓ
だけ遅れている。この位相遅れ(リタデーション):Γ
及びΔnの関係は斜め蒸着膜の膜厚をdとした場合、次
式の関係が成り立つ。 Γ=Δn・d
【0030】Δnと膜厚の両者を調整して目的の位相遅
れを得ようとする場合、前述した蒸発物質の入射角を調
整する方法の他にne 及びno の調整が必要となるが、
この調整は、方向に偏らない膜全体としての屈折率、言
い換えると複屈折を考慮しない膜の屈折率:nの調整方
法と一致する。この屈折率:nの変化は、一般に単位
時間当り基板に形成される蒸着膜の膜厚(蒸着レー
ト)、蒸着中の圧力と導入ガスの量、基板の温度、
イオンビームもしくはプラズマ形成の放電条件、の以
上4項目が主な因子となるが、厳密にnを任意の値に調
整するのは困難であり、調整できる範囲も非常に限られ
るため膜厚を含めた調整が不可欠となるために、nの変
化に合わせて膜厚を高精度に調整しなければならなくな
り、製作過程が複雑となる。加えて基板上に形成される
蒸着膜の屈折率を測定するためには、蒸着後にエリプソ
メータ等の測定器を用いなければならないために、蒸着
中の屈折率に合わせた膜厚を決定するのは困難である。
【0031】しかし本発明では、図1に示す製造装置に
設けた光学式膜厚計を用いて光量の変化を監視するた
め、光量の極大値と極小値から大凡の屈折率:nを読み
取ることが可能となり、加えてこの光量変化から屈折
率:nと膜厚:dの積である光学的膜厚:ndを監視で
きるため、経験的に求められる位相遅れ(リタデーショ
ン):Γと光学的膜厚:ndの関係から、目標のndに
達した時に蒸着を終了すれば所望のΓを得ることが可能
となる。加えてさらに高精度のΓを得ることも可能であ
り、この場合、上記光学式膜厚計と同等の光学系を有す
る複屈折量測定器の光路途中の光源20と基板6の間
と、基板6と透過光受光部21もしくは反射光受光部2
2の間の2箇所に偏光子18を配置する。このとき各偏
光子18の光学軸は互いに直交させた状態でかつ基板6
のno もしくはne となる方向と、偏光子18の光学軸
が±45度で、各偏光子18と基板6への光線を略垂直
入射となるように配置したときに、クロスニコルの方式
で蒸着中のΓを知ることが可能となり、蒸着中に所望の
Γとなったときに蒸着を停止することにより、高精度の
薄膜複屈折素子の製作が可能となる。尚、複屈折量測定
器の光学系は透過型もしくは反射型のどちらでもよい。
【0032】ところで蒸発源から飛翔する蒸発物質は放
射状に発散しながら蒸発するため、蒸発源からの距離が
増すごとに蒸発物質の密度は広がりを持つこととなる
が、図16に示した従来の斜め蒸着における基板の配置
方法では、蒸発源と基板との位置関係は蒸発物質の入射
方向と基板法線を含む基板面内で距離に差が生じ、基板
面内において膜厚分布を示す。本発明の薄膜複屈折素子
ではこの膜厚分布を単層膜構造で解決するために、図1
に示す構成の装置を使用し、図6に示すような遊星回転
機構45により基板47が半円状の軌跡47aを描くよ
うに移動させた状態で、図1に示す装置の遮蔽板開口部
8から蒸発物質を基板法線24に対し約70度で入射さ
せる。このとき蒸発源2に対する基板6の位置関係は、
遮蔽板7の上下2箇所の開口部8の位置にきた基板6に
のみ蒸発物質が入射するため、柱状構造の成長方向が図
2に示す基板内でのY方向に限定される(但し、遮蔽板
7の上側と下側の開口部位置では基板の向きは上下が逆
となるため、蒸着膜は傾斜方向がY方向で逆向きの柱状
構造が交互に重なる構造となる)。また、図1に示す装
置の遮蔽板開口部8は上下方向で開口部の幅が異なり、
前述した蒸発物質の密度を見かけ上均一に補正する働き
を持ち、基板6に形成される斜め蒸着膜は基板面内での
膜厚分布が解消され、基板表面の膜厚が一様となる。こ
の方法で成膜された柱状組成の傾斜方向は、蒸着面と平
行な面での柱状組成の成長角をβ、蒸着角をαとし、6
0°≦α≦70°の場合に、略|β|≦0.15αの関
係にある。
【0033】図1に示す装置の遮蔽板開口部8の形状は
基板ホルダー9の中心を基準にθを5〜45度の円分形
状もしくは扇形とすることにより基板表面の膜厚を一様
にできるが、円分の中心部を基板ホルダー9の中心より
後方向に移動すれば基板の手前方向から後方向に膜厚分
布の勾配を持たせることができる。
【0034】次に本発明の別の手段として、図11に示
す構成の製造装置を用いて斜め蒸着膜を成膜することに
より、遮蔽板を用いないで基板内に膜厚分布を持たせる
ことが可能となる。ここで、図11は薄膜複屈折素子の
斜め蒸着膜を形成する製造装置の第2の構成例を示し、
製造装置内の概略構成を示す正面図である。また、図1
1において符号65は蒸着装置、66はプラズマ源(も
しくはイオン源)、67は蒸発源(例えば、電子銃ある
いは抵抗加熱源等)、68は蒸着材、69は基板、70
は基板ホルダー、71は公転機構の公転冶具、72は蒸
発物質飛翔方向(蒸発源と基板間の距離:L)、73は
基板法線、74は反応性ガス導入口である。図11に示
す装置においては、1以上の基板69を公転機構の公転
冶具71で保持し、該公転機構の公転運動により基板6
9を蒸着装置65内で回転させた状態で、蒸着物質を蒸
発させる蒸発源67と蒸発装置内にプラズマ状態を形成
するプラズマ源(もしくはイオン源)66を用いて蒸発
物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、基板上に斜め
方向から蒸発物質を入射させて斜め蒸着膜を形成するも
のであり、膜厚及び複屈折量の分布が制御された単層膜
構造の斜め蒸着膜を形成することができる。尚、図11
の構成の場合にも、図1と同様の光学式膜厚計及び/ま
たは複屈折量測定器が必要に応じて設置されるが、これ
らの図示は省略する。
【0035】図11において、基板69は基板ホルダー
70を介して公転冶具71に支持され、図示しない公転
機構により円周状の回転運動を与えられる。この時、基
板69の法線に対して蒸発物質がα=60〜80度傾い
た方向から飛翔するように基板69を設定する。この状
態で基板上に蒸発物質を堆積させると、基板上には蒸発
源方向から反蒸発源方向にかけての膜厚が薄い方向へ勾
配を持った斜め蒸着膜を形成できる。基板内における膜
厚分布の勾配は、基板69の法線73に対する蒸発物質
の飛翔方向72の傾きと、蒸発源67と基板69間の距
離:Lを変えることで調整が可能である。具体的には、
基板法線73に対する蒸発物質の飛翔する方向72の角
度:αを鋭角とし、蒸発源と基板間の距離:Lを長くす
れば膜厚分布の勾配が緩やかとなり、前記のαを鈍角と
し、Lを短くすれば膜厚分布の勾配をきつくすることが
できる。
【0036】ところで、本発明の薄膜複屈折素子を構成
する斜め蒸着膜は異方性を持つものであれば良いが、複
屈折:Δnが大きく機械強度に優れたものがより望まし
く、Ta25,SiO2,NbO5,WO3,SnO2,T
iO2等の金属酸化物系の誘電体膜は良好の結果を示
す。しかし、これらの金属酸化物を蒸着材として基板上
に斜め蒸着膜を形成した場合、高い内部応力により、そ
のままでは密着性が充分でなかったり、膜の白濁化や吸
収の増加等の不具合が発生する。特に長波長域での1/
4波長板もしくは1/2波長板としての複屈折量を得る
場合、相当量の膜厚が必要となるために前記の問題が顕
著に表れ、斜め蒸着膜が基板から剥離したり、白濁化に
よる入射光の散乱や蒸着材が所望の組成から掛離れるこ
とによる吸収が発生し分光特性の低下等の不具合が発生
する。
【0037】本発明では上記の問題を解決するために、
通常の蒸着方式による蒸着材の蒸発に加えて、図1(あ
るいは図11)に示す構成のように、蒸着装置1内にプ
ラズマ源(もしくはイオン源)4を併用し、装置内に形
成されるプラズマを積極的に活用する。具体的には蒸着
装置1内を5×10-3Pa以下に減圧した状態で不活性
ガスであるアルゴン(Ar)等の導入ガスを流量制御機
構を用いて3〜50ccm の範囲内で装置内のプラズマ発
生機構に供給し放電を開始する。そのときプラズマ発生
機構から供給される電子との衝突により導入ガスをイオ
ン化し、さらに図示しない中間電極等によるイオン及び
電子の引き出しにより蒸着装置内にプラズマ空間を形成
する。そして、上記の状態で形成されたプラズマ中に、
斜め蒸着膜との反応に最適な反応性ガス、例えば酸素を
反応性ガス導入口5から導入することにより、蒸着材3
の蒸発物質がプラズマ中を通過するときに、反応性ガス
と蒸発物質がプラズマ中の電子やイオンとの衝突により
イオン化され、かつ両者間での反応が発生し、高いエネ
ルギー状態で基板に突入するので、導入ガスと蒸着材が
結合した蒸着膜が基板上に形成される。このとき基板
(基板ホルダー)には負の電荷を与えておくことで、蒸
着材の蒸発物質及び反応性ガスのイオンが電気的偏位状
態にある基板に対して電界の効果で激突し基板上に核を
形成する。この激突の繰り返しにより極めて密着性が高
く光の吸収を軽減した斜め蒸着膜の形成が可能となる。
【0038】しかし、基板と斜め蒸着膜の組み合わせ次
第では、双方の分子間の結合力低下や、過酷な使用環境
に起因する密着力の低下が問題となる場合がある。さら
に基板と斜め蒸着膜の間及び反基板側の斜め蒸着膜と接
する媒質(例えば空気)の間で透過光の損失があり、分
光透過率が低くなるという問題がある。そこで上記の2
つの問題を解決するために、本発明では図5に示す構成
の薄膜複屈折素子のように、基板40と斜め蒸着膜42
の間にアンダーコート41を施し、斜め蒸着膜上にオー
バーコート43を施す。このアンダーコート41及びオ
ーバーコート43の材料は、基板40と斜め蒸着膜42
及び斜め蒸着膜42と接する媒質の各屈折率から振幅条
件と位相条件から求められる屈折率と膜厚で決定する。
【0039】上記アンダーコートやオーバーコートとな
る薄膜の形成には真空蒸着やスパッタ等による蒸着膜あ
るいはスピンコート等による塗膜を用いる。このとき上
記振幅条件のみで形成した膜に対して、振幅条件と位相
条件の両者を考慮して形成した膜では分光透過率がさら
に向上する。例えば硼硅酸ガラスを基板とし、Ta25
を斜め蒸着膜として用いた場合、アンダーコート及びオ
ーバーコートの材料はシリコン系もしくはアルミニウム
系の材料が最適となる。ここで、形成する膜の屈折率:
1、光の入射する側の媒質の屈折率:n0、基板の屈折
率:nSとすると、単層膜構造の斜め蒸着膜における振
幅条件は次のように表すことができる。 n1=(n0・nS)1/2 また、中心波長:λ0、形成する膜厚:d1、m=1,
2,3・・・(整数)とすると、単層膜における位相条
件は次のように表すことができる。 n1・d1=(2m−1)・λ0/4
【0040】一方、斜め蒸着膜が形成されない基板裏面
側においても、そのままでは透過光の損失があるので、
図5に示すように基板40の裏面にも反射防止膜44を
形成することで分光透過率が向上する。この反射防止膜
44は上記と同様に振幅条件と位相条件から求められる
屈折率と膜厚で決定し、真空蒸着法もしくはスパッタ法
で薄膜を形成する。
【0041】また、斜め蒸着膜の密着性、耐環境性、光
学特性及びその安定性をさらに向上させるためには、斜
め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜(オーバーコー
ト)に熱処理(アニール)を施して膜の状態を改質する
と良く、環境変化による複屈折量を始めとする光学特性
の変動を抑えることができる。より具体的には、斜め蒸
着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に、レーザー光を走査
しながら照射してレーザー熱処理(レーザーアニール)
を行い膜の状態を改質し、環境変化による複屈折量を始
めとする光学特性の変動を抑えることにより、密着性、
耐環境性、光学特性及びその安定性が向上された薄膜複
屈折素子を作製することができる。
【0042】ところで薄膜複屈折素子の基板上に形成さ
れた斜め蒸着膜が1枚の基板内において位相差に分布を
持つものであっても、斜め蒸着膜を有する基板を複数枚
貼り合せることにより位相差の分布を調整することがで
きる。すなわち、基板内における位相差の分布傾向が同
じである2つの薄膜複屈折素子を貼り合せることで位相
差の分布が解消されたり、あるいは位相差の分布傾向を
揃えて対称の状態で2つの薄膜複屈折素子を貼り合せる
ことで、位相差の分布の勾配をより強調した薄膜複屈折
素子が製作可能である。また、1枚の基板内における位
相差の分布が小さい薄膜複屈折素子を複数貼り合せるこ
とにより、任意の位相差を有する薄膜複屈折素子の製作
が可能である。これらの薄膜複屈折素子を製作する方法
としては、同時に複数の基板を成膜した物もしくは、同
じ条件で異なる時期に成膜したそれらの基板を、目的に
応じて基板の方向を決めて貼り合せることで可能とな
る。
【0043】具体的には、斜め蒸着膜77の膜厚あるい
は位相差分布に勾配を有する薄膜複屈折素子でも、その
勾配の向きを逆向きにして2枚の薄膜複屈折素子を図1
2に示す構成のように接着剤79で貼り合せることによ
り、基板内の位相差が均一な薄膜複屈折素子(例えば波
長板)が作製できる。ここで、図12に示す薄膜複屈折
素子は、基板75上にアンダーコート76、斜め蒸着膜
77、オーバーコート78を形成し、基板裏面に反射防
止膜を設けた構成の薄膜複屈折素子を2つ形成した後、
位相差分布の勾配の向きを逆向きにして接着剤79で貼
り合わせたものである。この場合、1枚の基板の位相差
が例えば1/16波長の位相差を有する場合には、2枚
の薄膜複屈折素子の斜め蒸着膜77の位相差分布の勾配
の向きを逆向きにして貼り合せることで、基板内の位相
差が均一な1/8波長の位相差を有する薄膜複屈折素子
が製作できる。同様に図14に示すように、図12の構
成の薄膜複屈折素子をさらに2枚以上貼り付けた構成と
した場合、1/8波長に貼り付けた薄膜複屈折素子の枚
数を掛け合わせた位相差を有する1/4あるいは1/2
波長の位相差を有する薄膜複屈折素子の製作が可能とな
る。また、成膜時に取り付けた基板の上下方向を対称と
し、図13に示す構成のように、位相差分布の勾配の向
きを同方向にして貼り合せることにより、基板内の位相
差が一方向に勾配を持つ薄膜複屈折素子を製作すること
ができる。さらに、これらの基板を貼り合せる場合に、
狭帯域フィルター等の各種フィルターを基板の接合面も
しくは裏面に貼り合せることにより、位相差とフィルタ
ーの機能を併せ持つ薄膜複屈折素子の製作が可能とな
る。また、上記のように複数の薄膜複屈折素子を貼り合
せて構成した薄膜複屈折素子においても、外側に位置す
る基板の裏面に反射防止膜80を形成することにより、
分光透過率を向上することができる。
【0044】
【実施例】次に本発明の具体的な実施例について説明す
る。
【0045】(実施例1)図1に示す構成の装置を用
い、蒸発源2に蒸着材3のTa25を入れ、蒸着材3か
らの蒸発物質の基板への入射角αが70°となるように
基板ホルダー9に50×50mmのガラス基板6を複数
配置し、遮蔽板7の開口部8のθを20°とし、基板ホ
ルダー9及び遮蔽板7を矢印11で示す回転方向に公転
運動させると共に基板ホルダー9を矢印10で示す回転
方向に自転させる。これにより、基板ホルダー9上の複
数の基板6は、蒸着装置1内を公転運動しながら基板ホ
ルダー9の自転により遮蔽板7の2箇所の開口部8の位
置を順次通過することになり、その開口部8の位置を通
過する時に蒸発物質が斜め蒸着されることになる。この
とき予め蒸着装置1内を図示されない真空排気系を用い
て1×10-4Pa程度に減圧しておき、この状態からプ
ラズマ源4に不活性ガスのArを供給すると共に反応性
ガス導入口5より酸素を導入した後、放電させ、装置内
にプラズマ状態を形成し、例えば、電子銃からなる蒸発
源2で蒸着材3を蒸発させて、基板上にTa25の斜め
蒸着膜を約4μm形成する。蒸着中の膜厚制御は、光学
式膜厚計を用いて干渉フィルターの中心波長:λを63
0nmとし、ダミー用のガラス基板17の光量変化を監
視して、光学的膜厚:ndが33λとなった時点で蒸着
を終了した。このようにして製作された薄膜複屈折素子
は膜厚及び複屈折量が均一な単層膜構造の斜め蒸着膜を
有し、1/4波長板として使用できる。この薄膜複屈折
素子をエリプソメータを用いて位相差:Δを測定した結
果、Δ=90.46°(波長:λ=633nm)の測定
結果が得られた。
【0046】(実施例2)実施例1の基板と斜め蒸着膜
の間に予めアンダーコートとしてSiOを略93nmの
厚さに形成し、実施例1と同一の方法と条件でTa25
の斜め蒸着膜を形成し、その上にオーバーコートとして
SiO2を略108nmの厚さに形成した。さらに基板
のTa25蒸着膜とは反対の面に3層反射防止膜を形成
した(図5の構成)。この薄膜複屈折素子を実施例1と
同じ方法で位相差:Δを測定した結果、Δ=92.43
°の結果が得られた。また、この薄膜複屈折素子の基板
法線方向から垂直に光を入射し、分光透過率を測定した
結果、λ=633nmで約97%T以上の結果が得られ
た。さらに、この薄膜複屈折素子を60〜85℃、90
%RHの温・湿度雰囲気中に200時間以上放置した
が、蒸着膜の剥離は見られず、テープ試験においても放
置前と何ら変わるものではなかった。
【0047】(実施例3)実施例1または2の方法でT
25蒸着膜の膜厚を約8μmに形成した。この薄膜複
屈折素子は1/2波長板として使用できる。この薄膜複
屈折素子を実施例1と同じ方法で位相差:Δを測定した
結果、Δ=179.35°の結果が得られた。
【0048】(実施例4)実施例2の方法で製作された
薄膜複屈折素子にレーザーアニールによる熱処理を実施
した。具体的には、斜め蒸着膜上のオーバーコートにレ
ーザー光を走査しながら照射してレーザーアニールを行
い、膜の状態を改質した。このレーザーアニール後の薄
膜複屈折素子をダイシング装置を使用して50×50m
mから5×5mmに切断したが、蒸着膜の剥離や位相差
の変動は見られなかった。さらに、5×5mmに切断し
た薄膜複屈折素子を60〜85℃、90%RHの温・湿
度雰囲気中に500時間放置したが、蒸着膜の剥離や位
相差の変動は見られなかった。
【0049】(実施例5)実施例1または2または3で
製作された薄膜複屈折素子を所望の大きさに切断し、図
9の(a)に示す形状のプリズム53の光の入射面と出
射面に、位相差1/4波長の薄膜複屈折素子54と位相
差1/2波長の薄膜複屈折素子55として配置し、図9
の(b)に示すプリズム正面56から見た光学軸方向5
7及び58に合わせて各々貼り付けた。この薄膜複屈折
素子54,55を貼り付けたプリズム53は、2ビーム
合成プリズムとして使用できる。
【0050】(実施例6)実施例1または2または3と
同一の方法で、ガラス基板の代わりに図9の(a)に示
す形状のプリズム53の光の入射面と出射面に直接、符
号54で示す位相差1/4波長の斜め蒸着膜を形成した
後、符号55で示す位相差1/2波長の斜め蒸着膜を形
成する。そのとき図9の(b)に示すプリズム正面56
から見た光学軸57及び58の方向が基板ホルダーの外
周部と中心部を結ぶ線と平行となるように各々配置す
る。この位相差1/4波長と1/2波長の斜め蒸着膜5
4,55を形成したプリズム53は、一体型の複合素子
として波長板の機能を有する2ビーム合成プリズムとし
て使用できる。
【0051】(実施例7)実施例1または2と同様の方
法で、ガラス基板の代わりに図10(a)に示す偏光ビ
ームスプリッタ(PBS)面62を有するプリズム59
の一面に直接、符号60で示す位相差1/4波長の斜め
蒸着膜を形成する。そのとき図10の(b)に示す光学
軸63の方向が図1に示す装置の基板ホルダー9の外周
部と中心部を結ぶ線と平行となるように配置する。この
位相差1/4波長の斜め蒸着膜60を形成したプリズム
59は、一体型の複合素子として波長板の機能を有する
PBSプリズムとして使用でき、コンパクトディスク
(CD)、レーザーディスク(LD)、デジタルバーサ
タイルディスク(DVD)等の記録媒体61からの反射
光を光源からの光束と分離する偏光分離素子として光デ
ィスクドライブの光ピックアップ等に応用することがで
きる。
【0052】(実施例8)実施例2と同様の方法で基板
75上にアンダコート76、斜め蒸着膜77、オーバー
コート78を形成した薄膜複屈折素子(図5の構成)を
2枚用い、図15に示すように斜め蒸着膜77側を向い
合わせて接着剤79を用いて貼り合せた。この薄膜複屈
折素子の位相差:Δをエリプソメータを用いて測定した
結果、Δ=179.83°の結果が得られた。この薄膜
複屈折素子は1/2波長板として利用できる。また、こ
の薄膜複屈折素子を、60〜85℃、90%RHの温・
湿度雰囲気中に200時間放置したが、剥離や位相差:
Δの変化は見られなかった。
【0053】(実施例9)図11に示す構成の装置を用
い、蒸発源67に蒸着材68としてTa25を入れ、蒸
着材68からの蒸発物質の基板への入射角αが70°と
なるように基板ホルダー70に予めアンダーコートを形
成した50×50mmのガラス基板69を数枚配置し、
公転機構で公転冶具71を回転させる。このとき予め装
置内を図示されない真空排気系を用いて1×10-4Pa
程度に減圧しておき、この状態からプラズマ源66に不
活性ガスのArを供給すると共に反応性ガス導入口74
より酸素を導入した後、放電させ、装置内にプラズマ状
態を形成し、例えば、電子銃からなる蒸発源67で蒸着
材3を蒸発させ、基板上にTa25の蒸着膜を約2μm
形成し、さらにTa25の蒸着膜上にオーバーコートを
形成した。このような作製方法で成膜中における基板ホ
ルダー70への固定方法を非対称にして膜厚に変化を持
たせた斜め蒸着膜77を有する薄膜複屈折素子を2枚作
製し、この2枚の薄膜複屈折素子を、図12に示す構成
のように各蒸着膜側を向い合わせて接着剤79で貼り合
せた。この薄膜複屈折素子は1/4波長板として利用で
きる。この薄膜複屈折素子の位相差:Δをエリプソメー
タで測定した結果、基板中心部の位相差はΔ=90.0
2°(波長:λ=633nm)であり、基板中心部と外
周部のΔの差が2%以内という測定結果が得られた。ま
た、この薄膜複屈折素子を、60〜85℃、90%RH
の温・湿度雰囲気中に200時間放置したが、剥離や位
相差:Δの変化は見られなかった。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜複屈
折素子は、膜厚及び複屈折量が制御された単層膜構造の
斜め蒸着膜を有するので、加工コストが安く、量産が可
能であり、且つ光学特性が向上された薄膜複屈折素子を
提供することができる。また、基板表面と上記斜め蒸着
膜の間もしくは上記斜め蒸着膜上のいずれか一方もしく
は両方に、密着性、耐環境性及び光学特性を向上させる
ことを目的とする薄膜(アンダーコート膜またはオーバ
ーコート膜)を有する構成とすることにより、斜め蒸着
膜の剥離及び白濁・吸収を防止し、密着性と光学特性・
耐環境性を向上させた薄膜複屈折素子を提供することが
できる。さらに、上記斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上
の薄膜に熱処理(アニール)を施して膜の状態を改質
し、環境変化による複屈折量を始めとする光学特性の変
動を抑えた構成とすることにより、密着性、耐環境性、
光学特性及びその安定性が向上された薄膜複屈折素子を
提供することができる。さらにまた、基板上に単層膜構
造の斜め蒸着膜を形成した薄膜複屈折素子、あるいは基
板表面と斜め蒸着膜の間もしくは斜め蒸着膜上のいずれ
か一方もしくは両方に薄膜(アンダーコート膜またはオ
ーバーコート膜)を有する構成の薄膜複屈折素子、ある
いは斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に熱処理
(アニール)を施して膜の状態を改質し、環境変化によ
る複屈折量を始めとする光学特性の変動を抑えた構成の
薄膜複屈折素子を、2個以上貼り合わせた構成とするこ
とにより、密着性、耐環境性、光学特性及びその安定性
がより一層向上された薄膜複屈折素子を提供することが
できる。
【0055】本発明の薄膜複屈折素子の製造方法によれ
ば、膜厚及び複屈折量が制御された単層膜構造の斜め蒸
着膜を形成することができるので、同一基板内での複屈
折量の誤差を少なくさせた薄膜複屈折素子、もしくは基
板内に任意の勾配を持たせた複屈折量を精度良く発現さ
せた薄膜複屈折素子を製作することができる。また、密
着性などの機械的強度に優れ、吸収の少ない光の利用効
率の高い分光特性を有する斜め蒸着膜を単層構造で形成
するため、生産性に優れ、かつ所望の複屈折量を精度良
く達成できるため、各種光学系の幅広い波長への対応が
可能な薄膜複屈折素子を製作できる。加えてレンズやプ
リズム等の光学素子へ直接蒸着して斜め蒸着膜を形成す
ることもできるので、複屈折機能を有する複合素子の製
作が可能となり、各種光学素子のさらなる小型化が可能
となる。また、基板表面と斜め蒸着膜の間もしくは斜め
蒸着膜上のいずれか一方もしくは両方に、密着性、耐環
境性及び光学特性を向上させることを目的とする薄膜
(アンダーコート膜またはオーバーコート膜)を蒸着膜
や塗膜により形成することにより、斜め蒸着膜の剥離及
び白濁・吸収を防止し、密着性と光学特性・耐環境性を
向上させた薄膜複屈折素子を製作することができる。さ
らに、斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に、レー
ザー光を走査しながら照射してレーザー熱処理(レーザ
ーアニール)を行い膜の状態を改質し、環境変化による
複屈折量を始めとする光学特性の変動を抑えることによ
り、密着性、耐環境性、光学特性及びその安定性が向上
された薄膜複屈折素子を製作することができる。また、
斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜にレーザーアニ
ールを施すことにより、チップ化に伴う切断時の切削液
の浸透による複屈折特性の変動を抑止することができ
る。さらにまた、基板上に単層膜構造の斜め蒸着膜を形
成した薄膜複屈折素子、あるいは基板表面と斜め蒸着膜
の間もしくは斜め蒸着膜上のいずれか一方もしくは両方
に薄膜(アンダーコート膜またはオーバーコート膜)を
有する構成の薄膜複屈折素子、あるいは斜め蒸着膜もし
くは斜め蒸着膜上の薄膜に、レーザー光を走査しながら
照射してレーザー熱処理(レーザーアニール)を行い膜
の状態を改質し環境変化による複屈折量を始めとする光
学特性の変動を抑えた薄膜複屈折素子を製作した後、こ
れらの薄膜複屈折素子を2個以上接着剤で貼り合わせる
ことにより、密着性、耐環境性、光学特性及びその安定
性がより一層向上された薄膜複屈折素子を製作すること
ができる。
【0056】本発明の薄膜複屈折素子の製造装置によれ
ば、膜厚及び複屈折量が制御された単層膜構造の斜め蒸
着膜を形成することができ、さらには、斜め蒸着膜の膜
厚及び複屈折量を均一な状態に制御することや、あるい
は、斜め蒸着膜の基板内の位置と複屈折量の関係が勾配
を持って分布するように制御することができるので、同
一基板内での複屈折量の誤差を少なくさせた薄膜複屈折
素子、もしくは基板内に任意の勾配を持たせた複屈折量
を精度良く発現させた薄膜複屈折素子を製作することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜複屈折素子の斜め蒸着膜を形
成する製造装置の第1の構成例を示す図であって、
(a)は製造装置内の概略構成を示す正面図、(b)は
製造装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る薄膜複屈折素子の斜め蒸着膜を形
成する際の、基板法線に対する蒸発物質の入射角αと基
板の関係を示す図である。
【図3】図2のY方向側面から見た図であって、基板に
対する蒸発物質の入射と斜め蒸着膜の柱状構造を模式的
に示す図である。
【図4】図2のX方向側面から見た図であって、基板に
対する蒸発物質の入射と斜め蒸着膜の柱状構造を模式的
に示す図である。
【図5】本発明による薄膜複屈折素子の膜構造の一例を
示す要部断面図である。
【図6】図1に示す製造装置に具備される遊星回転機構
と該機構における基板移動の軌跡の例を示す図である。
【図7】直線偏光の成分状態を示す図である。
【図8】直線偏光が複屈折素子を通過した後の位相遅れ
を示す図である。
【図9】本発明の実施例4及び5の光学素子(2ビーム
合成プリズム)を示す図であって、(a)は光学素子の
平面図、(b)は光学素子の側面図である。
【図10】本発明の実施例6の光学素子(波長板の機能
を有するPBSプリズム)を示す図であって、(a)は
光学素子の平面図、(b)は光学素子の側面図である。
【図11】本発明に係る薄膜複屈折素子の斜め蒸着膜を
形成する製造装置の第2の構成例を示す概略構成図であ
る。
【図12】本発明に係る2つの薄膜複屈折素子を基板内
の位相差が均一となるように貼り合せた構成の薄膜複屈
折素子の要部断面図である。
【図13】本発明に係る2つの薄膜複屈折素子を基板内
の位相差が勾配を持つように貼り合せた構成の薄膜複屈
折素子の要部断面図である
【図14】本発明に係る複数の薄膜複屈折素子を基板内
の位相差が均一となるように貼り合せた構成の薄膜複屈
折素子の要部断面図である。
【図15】本発明の実施例7の薄膜複屈折素子の構成例
を示す要部断面図である。
【図16】従来の斜め蒸着膜を形成する装置の一例を示
す図であって、(a)蒸着膜形成装置の正面図、(b)
は蒸着膜形成装置の側面図である。
【符号の説明】
1 蒸着装置 2 蒸発源 3 蒸着材 4 プラズマ源(もしくはイオン源) 5 反応性ガス導入口 6 基板 7 遮蔽板 8 遮蔽板の開口部 9 基板ホルダー 10 基板ホルダーの自転方向 11 基板ホルダーの公転方向及び遮蔽板の回転方向 12 シャッター板 13 監視窓 14 膜厚計の光源 15 膜厚計の受光部 16 膜厚計の反射鏡 17 ダミー基板 18 複屈折測定器の偏光子 19 複屈折測定器の反射鏡 20 複屈折測定器の光源 21 複屈折測定器の透過光受光部 22 複屈折測定器の反射光受光部 23 蒸発物質の飛翔方向 24 基板法線 29 基板 30 蒸着材 31 基板法線 32 基板 33 基板法線 34 蒸発物質入射方向 35 斜め蒸着膜 36 基板 37 基板法線 38 蒸発物質入射方向 39 斜め蒸着膜 40 基板 41 アンダーコート 42 斜め蒸着膜 43 オーバーコート 44 反射防止膜 45 遊星回転機構 46 基板ホルダー 47 基板 47a 基板の軌跡 48 Y方向の電気的振動成分 49 X方向の電気的振動成分 50 Y方向の電気的振動成分 51 X方向の電気的振動成分 53 プリズム 54 位相差1/4波長の薄膜複屈折素子 55 位相差1/2波長の薄膜複屈折素子 56 プリズム正面 57 薄膜複屈折素子の光学軸 58 薄膜複屈折素子の光学軸 59 PBSプリズム 60 位相差1/4波長の薄膜複屈折素子 61 記録媒体 62 PBS面 63 薄膜複屈折素子の光学軸 65 蒸着装置 66 プラズマ源(もしくはイオン源) 67 蒸発源 68 蒸着材 69 基板 70 基板ホルダー 71 公転機構の公転冶具 72 蒸発物質の飛翔方向 73 基板法線 74 反応性ガス導入口 75 基板 76 アンダーコート 77 斜め蒸着膜 78 オーバーコート 79 接着層(接着剤) 80 反射防止膜

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に斜め方向から蒸発物質を入射させ
    て形成した斜め蒸着膜を有する薄膜複屈折素子であっ
    て、 上記斜め蒸着膜は膜厚及び複屈折量が制御された単層膜
    構造の蒸着膜であることを特徴とする薄膜複屈折素子。
  2. 【請求項2】基板上に斜め方向から蒸発物質を入射させ
    て形成した斜め蒸着膜を有する薄膜複屈折素子であっ
    て、 上記斜め蒸着膜は膜厚及び複屈折量が制御された単層膜
    構造の蒸着膜であり、基板表面と上記斜め蒸着膜の間も
    しくは上記斜め蒸着膜上のいずれか一方もしくは両方
    に、密着性、耐環境性及び光学特性を向上させることを
    目的とする薄膜を有することを特徴とする薄膜複屈折素
    子。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の薄膜複屈折素子に
    おいて、 上記斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に熱処理
    (アニール)を施して膜の状態を改質し、環境変化によ
    る複屈折量を始めとする光学特性の変動を抑えたことを
    特徴とする薄膜複屈折素子。
  4. 【請求項4】請求項1記載の薄膜複屈折素子あるいは請
    求項2記載の薄膜複屈折素子あるいは請求項3記載の薄
    膜複屈折素子を、2個以上貼り合わせて構成したことを
    特徴とする薄膜複屈折素子。
  5. 【請求項5】請求項1記載の薄膜複屈折素子を作製する
    際の薄膜複屈折素子の製造方法であって、 1以上の基板を保持した基板ホルダーを自転運動と公転
    運動からなる遊星回転機構で蒸着装置内を回転させ、上
    記基板ホルダーと蒸発源の間の基板ホルダー近傍に開口
    部を有する遮蔽板を配置した状態で、蒸発物質を蒸発さ
    せる蒸発源と蒸発装置内にプラズマ状態を形成するプラ
    ズマ源もしくはイオン源を用いて蒸発物質をイオン化し
    て基板方向に飛翔させ、上記遮蔽板の開口部を介して基
    板上に斜め方向から蒸発物質を入射させて斜め蒸着膜を
    形成することを特徴とする薄膜複屈折素子の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の薄膜複屈折素子を作製する
    際の薄膜複屈折素子の製造方法であって、 1以上の基板を公転機構で保持し、該公転機構の公転運
    動により基板を蒸着装置内で回転させた状態で、蒸着物
    質を蒸発させる蒸発源と蒸発装置内にプラズマ状態を形
    成するプラズマ源もしくはイオン源を用いて蒸発物質を
    イオン化して基板方向に飛翔させ、基板上に斜め方向か
    ら蒸発物質を入射させて斜め蒸着膜を形成することを特
    徴とする薄膜複屈折素子の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5記載の薄膜複屈折素子の製造方法
    において、斜め方向からの蒸着により単層膜構造の斜め
    蒸着膜を形成すると共に、基板内において上記斜め蒸着
    膜の膜厚及び複屈折量を均一な状態に制御することを特
    徴とする薄膜複屈折素子の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項6記載の薄膜複屈折素子の製造方法
    において、斜め方向からの蒸着により単層膜構造の斜め
    蒸着膜を形成すると共に、その斜め蒸着膜の基板内の位
    置と複屈折量の関係が勾配を持って分布するように制御
    することを特徴とする薄膜複屈折素子の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項5〜8のいずれか一つに記載の薄膜
    複屈折素子の製造方法において、基板上に目的とする膜
    厚及び/または複屈折量の蒸着膜を形成するために、蒸
    着装置内にダミー基板を配置し、さらに蒸着装置外部に
    監視窓で接する投光部と受光部からなる光学式膜厚計及
    び/または該光学式膜厚計と同等の光学系の投光部と受
    光部の途中に偏光子を追加した構成の複屈折量測定器を
    用いて、加工中のダミー基板もしくは基板の透過光量も
    しくは反射光量の変化を監視することにより、斜め蒸着
    中の蒸着膜の光学的膜厚及び/または複屈折量を監視
    し、所望の膜厚及び/または複屈折量と成るよう蒸着条
    件及び時間を制御することを特徴とする薄膜複屈折素子
    の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項2記載の薄膜複屈折素子を作製す
    る際の薄膜複屈折素子の製造方法であって、 基板上の斜め蒸着膜は請求項5〜9のいずれか一つに記
    載された製造方法で形成し、その斜め蒸着膜を形成する
    前の基板表面、もしくは斜め蒸着膜形成後の斜め蒸着膜
    上のいずれか一方もしくは両方に、密着性、耐環境性及
    び光学特性を向上させることを目的とする薄膜を蒸着膜
    もしくは塗膜により形成することを特徴とする薄膜複屈
    折素子の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項3記載の薄膜複屈折素子を作製す
    る際の薄膜複屈折素子の製造方法であって、 請求項5〜9のいずれか一つに記載された製造方法で基
    板上に斜め蒸着膜を形成した薄膜複屈折素子あるいは請
    求項10に記載された製造方法で形成した薄膜複屈折素
    子の斜め蒸着膜もしくは斜め蒸着膜上の薄膜に、レーザ
    ー光を走査しながら照射してレーザー熱処理(レーザー
    アニール)を行い膜の状態を改質し、環境変化による複
    屈折量を始めとする光学特性の変動を抑えることを特徴
    とする薄膜複屈折素子の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項4記載の薄膜複屈折素子を作製す
    る際の薄膜複屈折素子の製造方法であって、 請求項5〜9のいずれか一つに記載された製造方法で基
    板上に斜め蒸着膜を形成した薄膜複屈折素子あるいは請
    求項10に記載された製造方法で形成した薄膜複屈折素
    子あるいは請求項11に記載された製造方法で形成した
    薄膜複屈折素子を、2個以上接着剤で貼り合わせること
    を特徴とする薄膜複屈折素子の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜4のいずれか一つに記載の薄
    膜複屈折素子の斜め蒸着膜の形成に用いられる薄膜複屈
    折素子の製造装置であって、 蒸発物質を蒸発させる蒸発源とプラズマ状態を形成する
    ためのプラズマ源もしくはイオン源を有する蒸着装置
    と、その蒸着装置内において1以上の基板を保持する基
    板ホルダーと、該基板ホルダーを自転運動と公転運動と
    により上記蒸着装置内で回転させる遊星回転機構と、上
    記基板ホルダーと蒸発源の間の基板ホルダー近傍に配置
    され蒸発物質を通過させうる開口部を有する遮蔽板とを
    備え、上記蒸発源とプラズマ源もしくはイオン源を用い
    て蒸発物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、上記遮
    蔽板の開口部を介して基板上に斜め方向から蒸発物質を
    入射させて斜め蒸着膜を形成すること特徴とする薄膜複
    屈折素子の製造装置。
  14. 【請求項14】請求項1〜4のいずれか一つに記載の薄
    膜複屈折素子の斜め蒸着膜の形成に用いられる薄膜複屈
    折素子の製造装置であって、 蒸発物質を蒸発させる蒸発源とプラズマ状態を形成する
    ためのプラズマ源もしくはイオン源を有する蒸着装置
    と、その蒸着装置内において1以上の基板を保持し該基
    板を公転運動で蒸着装置内を回転させる公転機構とを備
    え、上記蒸発源とプラズマ源もしくはイオン源を用いて
    蒸発物質をイオン化して基板方向に飛翔させ、基板上に
    斜め方向から蒸発物質を入射させて斜め蒸着膜を形成す
    ることを特徴とする薄膜複屈折素子の製造装置。
  15. 【請求項15】請求項13または14記載の薄膜複屈折
    素子の製造装置において、 蒸着装置の外部に設けられ監視窓で接する投光部と受光
    部からなる光学式膜厚計及び/または該光学式膜厚計と
    同等の光学系の投光部と受光部の途中に偏光子を追加し
    た複屈折量測定器を備え、上記光学式膜厚計及び/また
    は複屈折量測定器を用いて、加工中の基板の透過光量も
    しくは反射光量の変化を監視することにより、斜め蒸着
    中の蒸着膜の光学的膜厚及び/または複屈折量を監視
    し、所望の膜厚及び/または複屈折量と成るよう蒸着条
    件及び時間を制御することを特徴とする薄膜複屈折素子
    の製造装置。
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