JP2001107257A - 電気的不導体への金属メッキ方法 - Google Patents

電気的不導体への金属メッキ方法

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JP2001107257A
JP2001107257A JP28735199A JP28735199A JP2001107257A JP 2001107257 A JP2001107257 A JP 2001107257A JP 28735199 A JP28735199 A JP 28735199A JP 28735199 A JP28735199 A JP 28735199A JP 2001107257 A JP2001107257 A JP 2001107257A
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Toshihiro Yamamoto
敏博 山本
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Inoue MTP KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属メッキが従来困難または不可能であった
電気的不導体、例えばエラストマ系物質その他の材料に
容易に金属メッキを施し得る方法を提供する。 【解決手段】 電気的に不導体である基材の表面に合成
樹脂ラテックスを付与し、このラテックスを乾燥硬化さ
せてプライマー層を形成した後、無電解メッキ金属に対
して触媒活性を有する触媒金属を前記プライマー層に接
触させることで触媒金属層を形成、更に無電解メッキを
施して所要の金属メッキ層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電気的不導体へ
の金属メッキ方法に関し、更に詳細には、ウレタンエラ
ストマ、ポリエステルエラストマまたはポリアミドエラ
ストマ等の如くメッキが従来困難であったエラストマ系
の電気的不導体に対して、容易に金属メッキを施し得る
ようにした方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】プラスチック等に代表される電気的不導体
の表面に金属メッキを施すことは、一般に困難である。
これは前記不導体の基材表面が平滑であって、前処理と
しての触媒金属層の形成が難しいからである。そこで従
来は、ブラストや液体ホーニング等の機械的処理を不導
体基材の表面に施して粗化させたり、クロム酸等の強力
な薬剤により該表面を化学的に粗化させたりした後に、
触媒を用いて金属メッキ層を基材表面に形成する方法が
採用されていた。
【0003】しかし、前記の如く基材表面を機械的に粗
化して金属メッキを施す方法では、複雑な外部形状を呈
する物品の入り組んだ部分には当該処理が実施困難であ
り、また均一に粗化し得ないためにメッキ後の外観が悪
く、更に密着性の不良に起因して剥離し易い等の諸欠点
が指摘される。また基材表面を化学的に粗化してから金
属メッキを施す方法(エッチング)では、基材の種類に応
じた適切な処理が不可欠であって、汎用性の点で劣る難
点がある。
【0004】基材に適応した処理としては、例えばAB
S系材料に硫酸−無水クロム酸溶液で表面粗化を行なう
ことが知られている。これによれば高い品質の外観と良
好な密着性が得られるので、これがプラスチックメッキ
の標準処方として広く用いられている。本発明は、不導
体材料への金属メッキ方法に関するものであるので、理
解に資するために従来実施されているABS系材料への
金属メッキ方法の概略を先に説明する。
【0005】先ず、メッキ対象物であるABS系材料の
表面に、例えば重クロム酸によるエッチングを行なって
酸化による粗化処理を行ない、その後に触媒物質(後述)
の付着性を向上させるコンディショナに浸漬する。次い
で水洗を行ない、例えばパラジウム・スズの触媒浴に浸
漬することで無電解メッキの析出に不可欠な触媒を付与
し、更に効率的に該触媒を析出させるために、例えば硫
酸に浸漬する促進処理を施す。
【0006】次いで導電層を形成するための導電化工程
が実施される。この導電化工程は、前記ABS系材料
を、例えばニッケルの無電解メッキ浴に所定時間浸漬さ
せて無電解メッキを施し、その表面に導電層となる無電
解メッキを析出させるものである。この導電化工程は、
この後に行なわれる電気メッキ工程に不可欠である。導
電化工程を経たABS系材料には、必要に応じて電気メ
ッキが施されて、例えばニッケルの金属メッキ層が形成
される。この電気メッキを施す工程は、該ABS系材料
を、スルファミン酸ニッケル浴に所定時間浸漬させ、前
記導電層に通電を行なってニッケルの金属皮膜を所望厚
さになるまで析出させることで完了する。
【0007】前述したABS系材料以外の素材であっ
て、例えばポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリプロピ
レン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート系
アロイ、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂等についても、夫々の材料に応じた化学的粗
化工程を含む確立した前処理方法によって実用可能なメ
ッキの形成が可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たように種々の樹脂に対応した前処理方法は確立されて
いても、材料中に導電性フィラーを含ませたり、合金
(アロイ)化させたり、前処理として有機溶剤によるプリ
エッチングが必要となる等の多く制約があるため、不導
体へのメッキ形成は自由度が少ない難点がある。また一
般に、ゴム類にメッキを施すことは従来技術では不可能
であった。
【0009】更に昨今、各種の水質汚濁物質に対する関
心が高まり、この水質汚染物質廃棄に関して広範囲の規
制がなされつつある。従って前述した硫酸−無水クロム
酸溶液による化学的粗化処理で発生する6価のクロム等
の廃液は、前記規制をクリアするための後処理に要する
コストが増大する難点が併せて指摘される。
【0010】
【発明の目的】この発明は、従来技術に係る電気的不導
体への金属メッキ方法に内在していた問題に鑑み、これ
を好適に解決するべく提案されたものであって、その目
的とするところは、金属メッキが従来困難または不可能
であった電気的不導体、例えばエラストマ系物質その他
の材料に容易に金属メッキを施し得る方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本発明の電気的不導体への金属メ
ッキ方法は、電気的に不導体である基材の表面に合成樹
脂ラテックスを付与し、この合成樹脂ラテックスを乾燥
硬化させてプライマー層を形成した後、無電解メッキ金
属に対して触媒活性を有する触媒金属を前記プライマー
層に接触させることで触媒金属層を形成し、前記触媒金
属層に無電解メッキを施して所要の金属メッキ層を形成
するようにしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る電気的不導体
への金属メッキ方法につき、好適な実施例を挙げて、添
付図面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、
これまで金属メッキ層の形成が困難であった例えばウレ
タンフォーム等のエラストマ系物質の基材に対し、前処
理工程として合成樹脂ラテックスのプライマーを付与す
ることで、機械的な手段や化学的手段を用いて表面粗化
処理を施さなくとも、高い密着性を有する金属メッキ層
を容易に形成し得ることを知見したものである。
【0013】本発明に係る電気的不導体への金属メッキ
方法は、図1に示す如く、前処理工程S1および導電化
工程S2に大きく分かれる。そして前処理工程S1は、
図2に示す如く、電気的不導体の基材(エラストマ系物
質)10にスプレー塗布または浸漬等の手段により後述
する合成樹脂ラテックス20を付与するプライマー付与
段階S11と、この合成樹脂ラテックス20により形成
されたプライマー層12を乾燥させる乾燥工程S12と
からなる。
【0014】前処理工程S1に続いて行なわれる導電化
工程S2は、図1および図3に示す如く、前記基材10
上のプライマー層12に、無電解メッキに対して触媒活
性を発現する所望の金属微粒子を含む触媒金属22を吸
着させて触媒金属層14を形成させる触媒吸着段階S2
1と、適宜に選択されるメッキ用金属24のメッキ浴3
0に浸漬させて該触媒金属層14上に所定厚みの金属メ
ッキ層16を付与する無電解メッキ段階S22とからな
る。以上の各段階を経た後に、検査工程S3での検査を
行なうをことで電気的不導体への金属メッキ方法は完了
する。なお場合によっては、無電解メッキ段階S22に
引き続き、更に厚い金属メッキ層16の形成のために電
解メッキ段階S23が行なわれる。この電解メッキ段階
S23は、電気的不導体に求められる各種物性(例えば
導電度)に応じて適宜選択的に実施される。
【0015】本発明におけるメッキ対象物となる基材と
しては、これまで金属メッキが非常に困難であった物質
であって、前記合成樹脂ラテックスを表面に付与し得る
ものであれば問題なく選択し得る。例えばウレタンエラ
ストマ、ポリエステルエラストマまたはポリアミドエラ
ストマウレタン等が挙げられ、この他に一般的な高分子
材料および極性の高い無機材料等に対しても付与可能で
ある。
【0016】本発明で使用される合成樹脂ラテックス
は、高分子の水分散体(ラテックスまたはエマルジョン)
であり、かつ該高分子の骨格中に親水基または親水性セ
グメントを含有して水中にあって所定の分散安定性を有
するものを一般的に指称する。殊に前記親水基として、
後述する触媒金属のコロイド作製時に使用される界面活
性剤と相対するイオン性を有するカルボキシル基、スル
ホン基または4級アンモニウム塩基等のイオン性官能基
等が好適である。この場合、前記触媒金属のコロイドが
イオン(電気)的に働く吸引力によって、均一かつ安定的
に前記基材上に吸着されるからである。また他の条件と
して、前記基材上への付与に続いて行なわれる乾燥によ
り、容易に成膜化して該基材に対して高い密着性を発現
すると共に、後述する無電解および電解メッキ段階のア
ルカリ性雰囲気に対して耐性を有し、かつ実際使用時に
予測される耐熱性夫々具備することが求められ、これら
諸条件の具備により更なる汎用性が実現される。このよ
うな合成樹脂エラストマとして、ウレタン樹脂、アクリ
ル樹脂、カルボキシル化スチレン−ブタジエンゴムまた
はカルボキシル化メチルメタクリレート−ブタジエンゴ
ム等が挙げられる。
【0017】これら合成樹脂ラテックスは、前述したよ
うに水溶性であるため、水に溶解させて基材に付与する
ことが容易である。従ってシンナー等の各種溶媒に溶解
するプラスチック等の物質にも適用可能であり、また前
処理工程での環境負荷も低いものとなっている。更に粘
度が低く、水と同様の扱いが可能であるため、浸積によ
る基材への付与が可能であり、このため大量生産、ウレ
タンフォーム等のスポンジ状物質への適用が容易となっ
ている。前記合成樹脂ラテックスは、その構造内に多数
存在する親水性官能基のイオン的相互作用により、後述
する触媒金属のコロイドが多数吸着することで、間接的
に強力なメッキ層の密着性を提供しているものと推察さ
れる。
【0018】本発明に使用される触媒金属としては、後
述する無電解メッキ反応に対して触媒活性を有するもの
が好適であり、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジ
ウム、イリジウム、オスミウムまたは白金が挙げられ、
これはコロイド状態の下で使用される。前記触媒金属の
コロイドを製造するに、該触媒金属を含有する水溶性塩
を溶解させ、界面活性剤を加えて激しく撹拌しながら還
元剤を添加する方法が一般的であるが、他の公知方法を
用いてもよい。前記界面活性剤として、陰イオン性また
は陽イオン性の、例えば石けん、高級アルコール硫酸ナ
トリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
等、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドまたは
アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等
が、前記触媒金属に合わせて適宜選択的に採用される。
ここで形成される触媒金属層は、後述する無電解メッキ
による金属メッキ層を形成する際の核として作用するの
で、前記プライマー層に対して連続層を形成する必要は
なく、分散・吸着されていればよい。
【0019】更に本発明に使用される無電解メッキのメ
ッキ用金属としては、無電解銅、無電解銅・ニッケル・
リン合金、無電解ニッケル・リン合金、無電解ニッケル
・ホウ素合金、無電解コバルト・リン合金、無電解金、
無電解銀または無電解パラジウム等が挙げられる。前記
基材に付与された金属メッキ層の導電度の程度如何によ
っては、必要に応じて引続き電解メッキ段階を経て金属
メッキ層が形成される。この場合、前記メッキ用金属と
しては、電解メッキ段階への移行を考慮して、コストお
よび安定性の観点から無電解銅または無電解ニッケル・
リン合金が好適である。
【0020】以下に本発明に係る電気的不導体への金属
メッキ方法の好適な実施例を示すが、これに限定される
ものではない。
【0021】
【第1実施例】本実施例で用いられる基材として、寸法
が100×100×3mmのマイクロセルウレタンフォ
ームシート(製品名:ポロンHH−48 ロジャースイノ
アック社製)を用いる。このウレタンフォームシートの
片面側に、金属メッキ層を形成すべく以下の操作を実施
した。前処理工程として、 プライマー付与段階:ウレタンフォームシートに対し
て、ウレタン水分散液(商品名 スーパーフレックス15
0、固形分30%:第一工業製薬製)原液を、プライマー
層の乾燥厚さが10μmになるようにスプレー塗布し
た。 乾燥段階:温度設定可能な高温オーブンを用いて、温
度60℃で30分間の乾燥を施した。導電化工程とし
て、 触媒吸着段階:塩化パラジウム(PdCl2)0.089
g/Lと塩化ナトリウム(NaCl)0.146g/Lとか
らなる純水溶液に、ステアリルトリメチルアンモニウム
クロライド(製品名コータミン86Pコンク)を0.1g/
L添加した主溶液に対して、予め少量の純水に0.07
6gの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を溶解した
溶液を添加しながら激しく撹拌することで、黒褐色透明
なパラジウムコロイド触媒溶液を作製した。このパラジ
ウムコロイド触媒溶液を、前処理工程で作製したウレタ
ンフォームシートにスプレー塗布することで充分に付与
し、その後に温度設定可能な高温オーブンで温度100
℃として30分間乾燥させた。 無電解メッキ段階:無電解ニッケルメッキ浴(製品名
TMP化学ニッケル:奥野製薬社製:標準配合)を、30
℃の温度下で10分間メッキを実施した。 電解メッキ段階:次いで光沢ニッケル浴(製品名#6
6:荏原ユージライト社製:標準配合)を、温度30℃、
電流強度2A/dm2の条件下で30分間メッキを実施し
て、12μm厚のニッケル金属の金属メッキ層を形成さ
せた。
【0022】前記の各工程を経て得られた金属メッキ層
の密着性を評価するため、金属メッキ層の付与されたシ
ート状物を、接着剤により鉄板に固定して試験片を作製
し、JIS H 8630に規定される「プラスチック上
の装飾用電気めっき 附属書6 密着性試験方法」に従
って密着力を測定した。具体的には、金属メッキ層に1
0mm幅で2本の平行な切り込みを入れ、この切り込み
部分から引き起こし、ペンチ等により形成した20mm
程度の剥離部を引っ張り試験機のヘッドに固定して、該
剥離部および基材(鉄板)間の角度が90°,25mm/
分のヘッド移動速度の条件で引っ張ってロードセル値を
測定した。このときのロードセル値は、約14.7N/c
mであり充分な密着性が確認された。
【0023】
【第2実施例】本実施例で用いられる基材として、寸法
が100×100×0.125mmのポリエチレンテレ
フタレートシート(三菱化学社製)を用いる。このシート
に金属メッキ層を形成すべく以下の操作を実施した。前
処理工程として、 プライマー付与段階:ポリエチレンテレフタレートシ
ートに対して、樹脂ラテックス(商品名 アデカボンタイ
ターHUX240 固形分:旭電化社製)原液を、プライ
マー層の乾燥厚さが5μmになるように浸漬して付与し
た。 乾燥段階:温度設定可能な高温オーブンを用いて、温
度60℃で30分間の乾燥を施した。導電化工程とし
て、 触媒吸着段階:塩化パラジウム(PdCl2)0.089
g/Lと塩化ナトリウム(NaCl)0.146g/Lとか
らなる純水溶液に、ステアリルトリメチルアンモニウム
クロライド(製品名コータミン86Pコンク)を0.1g/
L添加した主溶液に対して、予め少量の純水に0.07
6gの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を溶解した
溶液を添加しながら激しく撹拌することで、黒褐色透明
なパラジウムコロイド触媒溶液を作製した。このパラジ
ウムコロイド触媒溶液に、前処理工程で作製したポリエ
チレンテレフタレートシートを浸積することで充分に付
与し、その後に温度設定可能な高温オーブンで温度10
0℃として30分間乾燥させた。 無電解メッキ段階:無電解銅メッキ浴(製品名オムニ
シールド1598:シプレイ・ファーイースト社製:標準
配合)を、30℃の温度下で10分間メッキを実施し
た。 電解メッキ段階:次いで光沢硫酸銅浴(製品名UBA
C−EPII:荏原ユージライト社製:標準配合)を、温度
25℃、電流強度4A/dm2の条件下で15分間メッキ
を実施して、12μm厚の銅の金属メッキ層を形成させ
た。
【0024】前記の各工程を経て得られた金属メッキ層
の密着性を評価するため、金属メッキ層の付与されたシ
ート状物を、接着剤により鉄板に固定して試験片を作製
し、JIS H 8630に規定される「プラスチック上
の装飾用電気めっき 附属書6 密着性試験方法」に従
って密着力を測定した。具体的には、金属メッキ層に1
0mm幅で2本の平行な切り込みを入れ、この切り込み
部分から引き起こし、ペンチ等により形成した20mm
程度の剥離部を引っ張り試験機のヘッドに固定、該剥離
部および基材(鉄板)間の角度が90°,25mm/分の
ヘッド移動速度の条件で引っ張ってロードセル値を測定
した。このときのロードセル値は、約9.8N/cmであ
り充分な密着性が確認された。
【0025】
【第3実施例】本実施例で用いられる基材として、寸法
が100×100×3mmのマイクロセルウレタンフォ
ームシート(製品名:ポロンHH−48 ロジャースイノ
アック社製)を用いる。このウレタンフォームシートの
片面側に、金属メッキ層を形成すべく以下の操作を実施
した。前処理工程として、 プライマー付与段階:ウレタンフォームシートに対し
て、ウレタン水分散液(商品名 スーパーフレックス15
0、固形分30%:第一工業製薬製)原液を、プライマー
層の乾燥厚さが10μmになるようにスプレー塗布し
た。 乾燥段階:温度設定可能な高温オーブンを用いて、温
度60℃で30分間の乾燥を施した。導電化工程とし
て、 触媒吸着段階:テトラクロロ金(III)酸ナトリウム(N
aAuCl4・2H2O)0.199g/Lの純水溶液に、
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(製品名
コータミン86Pコンク)を0.1g/L添加した主溶液
に対して、予め少量の純水に0.076gの水素化ホウ
素ナトリウム(NaBH4)を溶解した溶液を添加しなが
ら激しく撹拌することで、赤色透明な金コロイド触媒溶
液を作製した。この金コロイド触媒溶液を、前処理工程
で作製したウレタンフォームシートにスプレー塗布する
ことで充分に付与した後に水洗を施した。そして温度設
定可能な高温オーブンで温度100℃で30分間乾燥さ
せた。 無電解銅メッキ浴(製品名オムニシールド1598:シ
プレイ・ファーイースト社製:標準配合)を、30℃の温
度下で30分間メッキを実施した。次いで塩化パラジウ
ムを含む活性化浴(オムニシールド1501:シプレイ・
ファーイースト社製:標準配合)を25℃の温度下で1分
間実施した後に充分に水洗し、最後に無電解ニッケルメ
ッキ浴(製品名オムニシールド1580:シプレイ・ファ
ーイースト社製:標準配合)を、30℃の温度下で15分
間メッキを実施した。以上の2段階の無電解メッキによ
り銅メッキ層およびニッケルメッキ層が夫々1μmずつ
形成・積層されたウレタンフォームシートを作製した。
【0026】前記の各工程を経て得られた金属メッキ層
の密着性を評価するため、金属メッキ層の付与されたシ
ートを、接着剤により鉄板固定して試験片を作製し、J
ISH 8504に規定される「めっきの密着性試験」に
おける「テープ試験方法」に従って密着性を評価した。
具体的には、カッターで金属メッキ層を完全に貫通する
一辺2mmの正方形条痕を形成し、幅12mmのセロテ
ープを10秒間押し付けることで密着させた。次いでセ
ロテープを金属メッキの層面に対して垂直となる条件で
瞬時に引き剥がし、その剥離状態を確認した。本実施例
に係る金属メッキ層について、その剥離は認められなか
った。また60℃の温水に4時間浸漬処理を行なった後
に、同様の剥離試験を行なったが剥離は生じず、強固な
金属メッキ層が形成されていることが確認された。
【0027】
【第4実施例】本実施例で用いられる基材として、寸法
が100×100×3mmのマイクロセルウレタンフォ
ームシート(製品名:ポロンHH−48 ロジャースイノ
アック社製)を用いた。このウレタンフォームシートの
片面側に、金属メッキ層を形成すべく以下の操作を実施
した。前処理工程として、 プライマー付与段階:ウレタンフォームシートに対し
てポリウレタンエラストマプレポリマ(アジプレンL−
100:DuPont社製)を酢酸ブチルを用いて20%
固形分程度に希釈し、プライマー層の乾燥厚さが10μ
mになるようにスプレー塗布した。塗布直後にウレタン
はやや膨潤するが、後述の乾燥工程後にもとの形状に復
帰した。 乾燥段階:温度設定可能な高温オーブンを用いて、温
度60℃で30分間の乾燥を施した。導電化工程とし
て、 触媒吸着段階:塩化パラジウム(PdCl2)0.089
g/Lと塩化ナトリウム(NaCl)0.146g/Lとか
らなる純水溶液に、ステアリルトリメチルアンモニウム
クロライド(製品名コータミン86Pコンク)を0.1g/
L添加した主溶液に対して、予め少量の純水に0.07
6gの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を溶解した
溶液を添加しながら激しく撹拌することで、黒褐色透明
なパラジウムコロイド触媒溶液を作製した。このパラジ
ウムコロイド触媒溶液を、前処理工程で作製したウレタ
ンフォームシートにスプレー塗布することで充分に付与
し、その後に温度設定可能な高温オーブンで温度100
℃で30分間乾燥させた。 無電解メッキ段階:無電解ニッケルメッキ浴(製品名
TMP化学ニッケル:奥野製薬社製:標準配合)を、30
℃の温度下で10分間メッキを実施した。 電解メッキ段階:次いで光沢ニッケル浴(製品名#6
6:荏原ユージライト社製:標準配合)を、温度30℃、
電流強度2A/dm2の条件下で30分間メッキを実施
し、12μm厚のニッケルの金属メッキ層を前記ウレタ
ンフォームシートに形成させた。
【0028】前記の各工程を経て得られた金属メッキ層
の密着性を評価するため、金属メッキ層の付与されたシ
ート状物を、接着剤により鉄板に固定して試験片を作製
し、JIS H 8504に規定される「めっきの密着性
試験」における「テープ試験方法」に従って密着性を評価
した。具体的には、カッターで金属メッキ層を完全に貫
通する一辺2mmの正方形条痕を形成し、幅12mmの
セロテープを10秒間押し付けることで密着させた。次
いでセロテープを金属メッキ層面に対して垂直となる条
件で瞬時に引き剥がし、その剥離状態を確認した。本実
施例に係る金属メッキ層について、その剥離は認められ
なかった。また60℃の温水に4時間浸漬処理を行なっ
た後に、同様の剥離試験行なったが剥離は生じず、強固
な金属メッキ層が形成されていることが確認された。
【0029】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る電気
的不導体への金属メッキ方法によれば、これまで金属メ
ッキ層の形成が困難であったエラストマー等の電気的不
導体に対して、高い均一性および密着度を有する金属メ
ッキを容易に付与することが可能となった。また他の金
属メッキ層の形成困難な物質を含む広範な種類の物質に
対しても、同様に金属メッキを施し得る有益な効果を奏
する。更にクロムの如き毒性および環境に対する負荷が
高い物質の使用を回避し得るので、汚染物質の廃棄に伴
う後処理の問題を生ずることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る金属メッキの付与方法を
段階的に示すフローチャート図である。
【図2】本発明の実施例に係る金属メッキの付与方法の
前処理工程の各段階を示す工程図である。
【図3】本発明の実施例に係る金属メッキの付与方法の
導電化工程の各段階を示す工程図である。
【符号の説明】
10 基材 12 プライマー層 14 触媒金属層 16 金属メッキ層 20 合成樹脂ラテックス 22 触媒金属

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気的に不導体である基材(10)の表面に
    合成樹脂ラテックス(20)を付与し、 この合成樹脂ラテックス(20)を乾燥硬化させてプライマ
    ー層(12)を形成した後、 無電解メッキ金属に対して触媒活性を有する触媒金属(2
    2)を前記プライマー層(14)に接触させることで触媒金属
    層(14)を形成し、 前記触媒金属層(14)に無電解メッキを施して所要の金属
    メッキ層(16)を形成するようにしたことを特徴とする電
    気的不導体への金属メッキ方法。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂ラテックス(20)として、ウ
    レタンが使用される請求項1記載の電気的不導体への金
    属メッキ方法。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂ラテックス(20)は、スプレ
    ー塗布により付与される請求項1または2記載の電気的
    不導体への金属メッキ方法。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂ラテックス(20)は、浸漬に
    より行なわれる請求項1または2記載の電気的不導体へ
    の金属メッキ方法。
  5. 【請求項5】 前記無電解メッキに引続いて、電解メッ
    キが施される請求項1〜4の何れかに記載の電気的不導
    体への金属メッキ方法。
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