JP2001101936A - 酸化物超電導材及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導材及びその製造方法

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JP2001101936A
JP2001101936A JP27788999A JP27788999A JP2001101936A JP 2001101936 A JP2001101936 A JP 2001101936A JP 27788999 A JP27788999 A JP 27788999A JP 27788999 A JP27788999 A JP 27788999A JP 2001101936 A JP2001101936 A JP 2001101936A
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oxide
superconducting
crystal structure
substance
envelope
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English (en)
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Katsuya Akimoto
克弥 秋元
Takaaki Sasaoka
高明 笹岡
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各超電導フィラメントの超電導性を損なうこ
となく、複数の超電導フィラメント間における電気エネ
ルギーの損失を低減できるとともに、酸化物超電導材の
塑性加工を容易化できるようにすること。 【解決手段】 酸化物超電導体から構成される線状の超
電導フィラメント4を少なくとも2本有する酸化物超電
導材1において、上記各超電導フィラメントが、導電性
材料からなる外被5によりそれぞれ被覆され、各外被が
窒素化合物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩
鉱物の少なくとも一つを含む包被6によりそれぞれ被覆
され、この包被の比抵抗が上記外被の比抵抗よりも大き
く構成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも二つの
超電導フィラメントを有する酸化物超電導材及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の酸化物超電導体からなるいくつか
の超電導フィラメントを有する酸化物超電導材を製造す
る公知の方法の一つに、銀からなる円柱にその軸に平行
ないくつかの穴をあけ、これらの穴の中に超電導フィラ
メントを構成する粉末状の酸化物超電導体または酸化物
超電導体前駆体を充填する方法がある(例えばドイツ特
許DE−A4421163参照)。
【0003】もう一つの公知の方法としては、粉末状の
酸化物超電導体または酸化物超電導体前駆体を充填した
銀パイプを伸線して得られた線材を複数本束ねて更に伸
線し、線材状への加工する方法がある(例えばL.R.
Motowidlo,G.Galinski,G.Oz
eryansky,W.Zhang and E.E.
Hellstrom:Dependence of c
ritical current density o
n filament diameter in ro
und multifilament Ag−shea
thed Bi 2Sr2CaCu2X wires pr
ocessed in O2,Appl.Phys.L
ett.65(1994)2731−2733)。
【0004】前者の方法では、酸化物超電導体または酸
化物超電導体前駆体の粉末が充填された穴を有する円柱
を塑性変形により多段階で延伸し、テープ状または紐状
の線材を得る。この線材には製造過程で少なくとも1回
の熱処理を施して、その超電導フィラメント形成物質を
超電導性の結晶相へと転化させる。この前者の方法で
は、いくつかの穴を有する銀の円柱より形成された酸化
物超電導材は、一続きの銀母材を有し、この中に超電導
フィラメントが埋め込まれた構造となる。
【0005】一方、後者の方法では、完成した酸化物超
電導材の断面において、それぞれの銀パイプは一つの超
電導フィラメントを長手方向に垂直な断面において被覆
する一つの外被を形成する。これらの外被は、完成した
酸化物超電導材の断面において、それぞれ互いに固定的
に密接しており、程度の大小はあるものの繋がり合った
母材を形成し、ほぼ一続きの銀母材と見なすことができ
る。
【0006】この銀よりなる母材または各外被は、完成
した酸化物超電導材において、それぞれの超電導フィラ
メントを空間的に遮断する。しかしながら、銀の非常に
高い電気伝導度は超電導フィラメントの長手方向に低い
電気抵抗を与えるばかりでなく、異なった各超電導フィ
ラメント間に横方向の低い電気抵抗をも与える。従っ
て、このような公知の酸化物超電導材を交流電流の伝導
のために使用した場合、線材内部で電流が、異なる超電
導フィラメントのいくつかの区間を通して互いに反対の
方向に流れるような流れの渦を伴う渦電流を生じること
があり、非常に大きな電気エネルギーの損失をもたら
す。
【0007】このような渦電流の発生を押さえるには、
各超電導フィラメント間に、各超電導フィラメントを電
気的に遮断できるだけの大きな電気抵抗を有する層を設
ければよい。そのような酸化物超電導材を製造する公知
の方法として、ヨーロッパ特許EP−A0412527
が挙げられる。このヨーロッパ特許EP−A04125
27によれば、超電導フィラメントとこれを取り囲む銀
または銅よりなる外被を有する酸化物超電導線材の外被
の上に追加的な金属(例えば亜鉛、パラジウムまたはニ
ッケル)の薄い層を被覆し、次いでアルゴン雰囲気中で
加熱して、その追加的な金属をその外被の母材の中に拡
散吸収させる。このことにより、外被の少なくともある
区間にこの追加的な金属が拡散して浸透し、この区間は
銀または銅よりも高い比抵抗を有するようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヨーロ
ッパ特許EP−A0412527による追加的な金属の
外被の中への拡散浸透は、比抵抗の比較的小さな上昇し
か与えない。
【0009】その上に、この追加的な金属の外被中への
拡散浸透に際して、超電導フィラメントの中にも追加的
な金属が侵入し、超電導フィラメントの超電導性を損ね
るおそれがある。
【0010】また、このヨーロッパ特許EP−A041
2527によれば、この追加的な金属は、その超電導フ
ィラメント及び外被を、予め想定された断面形状及び断
面寸法とするために、そしてその超電導フィラメントを
超電導性とするために、それらの変形過程、熱処理及び
化学反応が終了した後に初めて外被の中に導入される。
その理由を以下に述べる。酸化物超電導材の製造過程に
おいては、その超電導フィラメント形成物質を超電導性
の結晶相へと転化させるため、少なくとも1回の超電導
化熱処理が必要不可欠である。この熱処理は酸素雰囲気
中で行われることが望ましい。仮に、この酸素雰囲気中
における超電導化熱処理を、外被中への追加的な金属の
拡散浸透の後に行ったとすると、その外被中に溶解して
分布した追加的な金属は酸化されてしまい、わずかでは
あるが上昇した電気抵抗がほとんど元に戻されてしまう
からである。
【0011】上述の理由から、外被中への追加的金属の
拡散浸透は超電導化熱処理の後に実施されるが、この追
加的な金属の外被中への拡散浸透は外被の延性や展性の
劣化をもたらし、拡散浸透処理後における酸化物超電導
材の変形処理が著しく困難になってしまう。
【0012】本発明の目的は、各超電導フィラメントの
超電導性を損なうことなく、複数の超電導フィラメント
間における電気エネルギーの損失を低減できるととも
に、酸化物超電導材の塑性加工を容易化できる酸化物超
電導材及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、酸化物超電導体から構成される線状の超電導フィラ
メントを少なくとも2本有する酸化物超電導材におい
て、上記各超電導フィラメントが導電性材料からなる外
被によりそれぞれ被覆され、各外被が窒素化合物、ケイ
酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも
一つを含む包被によりそれぞれ被覆され、この包被の比
抵抗が上記外被の比抵抗よりも大きく構成されたことを
特徴とするものである。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、超電導フィラメントが、ビスマスとス
トロンチウムとカルシウムと銅との酸化物、イットリウ
ムとバリウムと銅との酸化物、水銀とバリウムと銅との
酸化物、またはタリウムとストロンチウムとカルシウム
と銅との酸化物を含んで構成されたことを特徴とするも
のである。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、包被は、その構成物質にペロ
ブスカイト型の結晶構造またはそれに類似する結晶構造
を有する物質、グラファイト(黒鉛)型の結晶構造また
はそれに類似する結晶構造を有する物質、原子が層状に
配列された結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有
する物質の少なくとも一つを含み、劈開性を有すること
を特徴とするものである。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3
のいずれかに記載の発明において、包被は、リチウム、
ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケ
イ素の少なくとも一つの元素を含む窒素化合物と、リチ
ウム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグ
ネシウム、アルミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウ
ム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニ
ウム、ウランの少なくとも一つの元素を含むケイ酸化合
物と、リチウム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナトリ
ウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カリウ
ム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜
鉛、ジルコニウム、ウランの少なくとも一つの元素を含
むケイ酸塩化合物と、リチウム、ベリリウム、ホウ素、
フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケ
イ素、カリウム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、
ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、ウランの少なくとも一
つの元素を含むケイ酸塩鉱物との少なくとも一つを有す
ることを特徴とするものである。
【0017】請求項5に記載の発明は、導電フィラメン
ト形成物質を超電導性材料からなる外被により被覆して
素線を形成し、次に、少なくとも2本の上記素線を束ね
て複合導体を形成し、次に、この複合導体を塑性変形し
た後、超電導化熱処理を施し、上記超電導フィラメント
形成材料を超電導フィラメントとして酸化物超電導材を
製造する酸化物超電導材の製造方法において、上記素線
を束ねて上記複合導体を形成する工程の前に、上記素線
の上記外被を包被により被覆する工程を有し、この包被
が窒素化合物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸
塩鉱物の少なくと一つを含み、比抵抗が前記外被よりも
大きな材料にて構成されたことを特徴とするものであ
る。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、包被は、その構成物質にペロブスカイ
ト型の結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有する
物質、グラファイト(黒鉛)型の結晶構造またはそれに
類似する結晶構造を有する物質、原子が層状に配列され
た結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有する物質
の少なくとも一つを含み、劈開性を有することを特徴と
するものである。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項5または
6に記載の発明において、包被は、リチウム、ベリリウ
ム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素の少
なくとも一つの元素を含む窒素化合物と、リチウム、ベ
リリウム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグネシウ
ム、アルミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウム、チ
タン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、
ウランの少なくとも一つの元素を含むケイ酸化合物と、
リチウム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カリウム、カル
シウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジル
コニウム、ウランの少なくとも一つの元素を含むケイ酸
塩化合物と、リチウム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、
ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カ
リウム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケ
ル、亜鉛、ジルコニウム、ウランの少なくとも一つの元
素を含むケイ酸塩鉱物との少なくとも一つを有すること
を特徴とするものである。
【0020】請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7
のいずれかに記載の発明において、包被を構成する材料
に含まれるペロブスカイト型の結晶構造またはそれに類
似する結晶構造を有し劈開性を備えた物質以外の物質、
グラファイト型の結晶構造またはそれに類似する結晶構
造を有し劈開性を備えた物質以外の物質、原子が層状に
配列された結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有
し劈開性を備えた物質以外の物質、窒素化合物以外の物
質、ケイ酸化合物以外の物質、ケイ酸塩化合物以外の物
質、及びケイ酸塩鉱物以外の物質を、蒸発、気化、燃
焼、または分解させる熱処理工程を有することを特徴と
するものである。
【0021】請求項9に記載の発明は、請求項5乃至8
のいずれかに記載の発明において、包被を構成する材料
が、素線を形成する塑性変形加工時に、上記素線の外被
に塗布されることを特徴とするものである。
【0022】請求項10に記載の発明は、請求項8に記
載の発明において、熱処理工程は、素線中の超電導フィ
ラメント形成材料を、超電導性の結晶を有する超電導フ
ィラメントに転化させる超電導化熱処理工程であること
を特徴とするものである。
【0023】請求項11に記載の発明は、請求項8に記
載の発明において、熱処理工程は、素線の外被を構成す
る材料を軟化温度以上の温度で熱処理する焼鈍処理工程
であることを特徴とするものである。
【0024】請求項1及び11に記載の発明には次の作
用がある。
【0025】超電導フィラメントを被覆する導電性材料
からなる外被を、窒素化合物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩
化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも一つを有し、上記外
被よりも比抵抗の大きな材料から構成された包被により
被覆することから、酸化物超電導材の超導電性を損なう
ことなく、超電導フィラメントを包被により電気的に絶
縁することができるので、複数の超電導フィラメント間
において渦電流の形成を阻止でき、渦電流による電気エ
ネルギーの損失を低減できる。
【0026】更に、上記包被を形成する材料がペロブス
カイト型やグラファイト型の結晶構造、または原子が層
状に配列された結晶構造をもち、劈開性を有することか
ら、包被形成後の酸化物超電導材の塑性変形を容易化す
ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。
【0028】図1は、本発明に係る酸化物超電導材の一
実施の形態を示す構成図である。
【0029】酸化物超電導材1は、銀または銀合金等の
金属からなる管2内に複数の素線3が配置され、各素線
3におけるそれぞれの超電導フィラメント4が金属また
は金属合金からなる外被5によって被覆されており、更
にこの外被5は、それぞれこの外被5を構成する金属ま
たは金属合金よりも大きな比抵抗を有する窒素化合物、
ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なく
と一つを含む包被6によって被覆されて構成される。
【0030】上記超電導フィラメント4は、酸化物超電
導体から構成される。また、上記外被5は、これらによ
って被覆されている超電導フィラメント4の不時の遮断
を、小さな長手方向電気抵抗を伴いながらも導電的に架
橋する。また、各超電導フィラメント4は、包被6によ
って互いに電気的に絶縁される。従って、この酸化物超
電導材1を用いて、例えば変圧器のための巻線を形成
し、この酸化物超電導材1を通して交流電流を導いた場
合には、酸化物超電導材1における多数の異なった超電
導フィラメント4を通して流れる電流の渦または電流ル
ープは多くても微弱にしか生ぜず、従って、渦電流によ
る電気エネルギーの損失は著しく低下し、或いはほとん
ど発生しない。
【0031】超電導フィラメント4を構成する酸化物超
電導体は、ビスマスとストロンチウムとカルシウムと銅
との酸化物、イットリウムとバリウムと銅との酸化物、
水銀とバリウムと銅との酸化物、またはタリウムとスト
ロンチウムとカルシウムと銅との酸化物を含んで構成さ
れる。具体的には、この酸化物超電導体は、Biー22
12、2223相、Tlー2212、2223、120
1、1212、1223、1234相、ReBa2Cu3
y相(Re=Y,La,Nd,Eu,Dy,Gd,H
o,Er,Tm,Yb,Lu)、Hgー2212、22
23、1201、1212、1223、1234相等の
少なくとも一つから構成される。
【0032】外被5を構成する金属または金属合金は、
少なくとも大部分が銀を含む材料であることが望まし
く、例えば純銀または銀合金或いは銀複合物を選択する
ことができるが、金または酸化物超電導体と反応しない
その他の材料を選択することもできる。ここでの「合
金」の概念は、共晶混合物や金属間化合物をも包含する
ものである。
【0033】外被5を包む包被6には、窒素化合物、ケ
イ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくと
も一つから成り、外被5を構成する物質よりも大きな比
抵抗を有する材料を選択する。上記窒素化合物は、リチ
ウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウ
ム、ケイ素の少なくと一つの元素を含み、上記ケイ酸化
合物、ケイ酸塩化合物またはケイ酸塩鉱物は、リチウ
ム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグネ
シウム、アルミニウム、ケイ素、カリウム、チタン、マ
ンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、ウランの
少なくとも一つの元素を含む。これらの材料は、単独で
用いなければならないものではなく、これらの材料を複
数混合したものや、その他の材料を混合したものであっ
てもよい。
【0034】材料の選択の指針としては、超電導フィラ
メント形成物質を超電導性の結晶相へと転化させる少な
くとも1回の超電導化熱処理において分解しないこと、
外被5と酸化物超電導体との少なくとも一方と化学反応
を起こさないこと、劈開性を有し線材状へと加工してい
く際の塑性変形を妨げないことがあげられる。より具体
的には、包被6は、(a)酸素雰囲気中における750
℃以上の熱処理において酸化、分解等の化学反応を起こ
さないこと、(b)同様に、酸素雰囲気中における75
0℃以上の熱処理において外被5と酸化物超電導体との
少なくとも一方と化学反応を起こさないこと、(c)結
晶構造がペロブスカイト型、グラファイト型、または層
状の原子配列を持つ結晶構造であり、劈開性を有するこ
とがあげられる。
【0035】上記条件を満たすような材料としては、例
えば六方晶系グラファイト型構造に類似した結晶構造を
持つ窒化ホウ素(h−BN)、雲母(例えばKAl
2[(OH)2|AlSi310]、KFe2+ 2[(OH)
2|AlSi310]、K(Mg,Fe2+3[(OH)2
|AlSi310]、KMg3[(OH)2|AlSi31
0]、K(Li,Al)3[(F,OH,O)2|(Si,
Al)410]、(K,H2O)Al2[(OH)2(S
i,Al)410]、NaAl2[(OH)2|AlSi3
10]、NaMg2.5(Si410)F2、(Na,L
i)Mg2Li(Si410)F2、(Na,Li)1/3
8/3Li1/3(Si410)F2、KMg3(AlSi3
10)F2、KMg2.5(Si410)F2等)、滑石(Mg
3[(OH)2|Si410])、或いはカオリナイト
(Al4[(OH)8]Si410)等を選択することが
できる。
【0036】次に、酸化物超電導材1の製造方法を以下
に述べる。
【0037】(1)まず、金属または金属合金からなる
パイプ(後に素線3の外被5となる。)に、超電導フィ
ラメント形成物質としての酸化物超電導体粉末または酸
化物超電導体前駆体粉末を充填する。必要に応じて、酸
化物超電導体粉末等が充填された上記パイプを例えば引
抜き、押出し、圧延等の塑性加工により、例えば円柱
状、テープ状、六角柱状の素線3へと変形させる。この
素線3は、一つの酸化物超電導体粉末または酸化物超電
導体前駆体粉末からなる線状の芯の周囲を長手方向に垂
直な断面において、金属または金属合金からなる外被5
で被覆した構造を持つ。この塑性加工は一般に多段階に
分けて行われる(素線形成工程)。
【0038】(2)更に必要に応じて、塑性加工のある
適当な段階において、パイプを構成する金属または金属
合金の軟化温度近傍かまたはそれ以上の温度で熱処理
(焼鈍処理)を少なくとも1回行う(焼鈍処理工程)。
【0039】(3)次に、素線3の外被5の外面に包被
6を形成するか、または包被成形材料もしくは包被形成
材料を含む材料を、素線3の外面に塗布する(包被形成
工程)。包被6を形成する以前の包被成形材料または包
被形成材料を含む材料を「包被前駆体」と称する。包被
形成または包被前駆体塗布は、後述の素線3を束ねる前
であればどの段階で行ってもよい。例えば(a)酸化物
超電導体粉末もしくは酸化物超電導前駆体粉末の充填前
の前記パイプに包被を形成または包被前駆体を予め塗布
しておく。(b)酸化物超電導体粉末もしくは酸化物超
電導前駆体粉末を上記パイプに充填した段階で、当該パ
イプの外面に包被形成または包被前駆体塗布を行う。
(c)素線を形成する引抜き、押出し、圧延等の塑性加
工工程において使用する潤滑材に包被前駆体を混合す
る、または包被前駆体を潤滑材そのものとして使用する
ことで、包被形成または包被前駆体塗布を行う。(d)
素線3に対する全ての塑性加工を終了した段階で包被形
成または包被前駆体塗布を行う、または(e)これらの
(a)〜(d)を組み合わせて2回以上の包被形成もし
くは包被前駆体塗布を行うということが考えられる。
【0040】(4)次に、このようにして包被6が形成
または包被前駆体が塗布された素線3を2本以上束ね、
これらの素線3を、金属または金属合金からなる管2内
に挿入し、或いは撚線構造として複合導体とし、この複
合導体を、素線3の作製と同様、必要に応じて引抜き、
押出し、圧延等の塑性加工により、例えば円柱状、テー
プ状、或いは六角柱状の線状構造体へと変形させる(複
合体形成工程)。この塑性加工は一般に多段階に分けて
行われる。また、必要に応じて、前述と同様な焼鈍処理
を行う。
【0041】(5)最後に、塑性加工のある適当な段
階、または全ての塑性加工が終了した段階において、超
電導フィラメント形成物質を超電導性の結晶相へと転化
させる少なくとも1回の超電導化熱処理を行う(超電導
化熱処理工程)。この熱処理により、酸化物超電導材1
が完成する。この酸化物超電導材1を用いて、超電導ケ
ーブルまたは超電導マグネット等が形成される。
【0042】前述の(3)の包被形成工程における包被
形成または包被前駆体塗布の方法、(a)、(b)及び
(d)を詳説する。
【0043】この方法(a)、(b)及び(d)として
は、刷毛塗り、ローラーブラシ塗り、エアスプレー塗
布、エアレススプレー塗布、静電塗布、ローラーコータ
ー塗布、カーテンフローコーター塗布、シャワーコーテ
ィング、ディッピング塗布、電着塗装、粉体塗装、蒸
着、スパッタリング、CVD(化学蒸着)、イオンプレ
ーティング、溶射等を選択することができる。必要に応
じて、包被形成材料は適当なバインダー、溶剤、溶媒、
その他の材料と混合されて包被前駆体とされる。この場
合、この適当なバインダー、溶剤、溶媒、その他の材料
は、超電導化熱処理または焼鈍処理において、特に、一
般に超電導化熱処理温度よりも低い温度でなされる焼鈍
処理において、超電導フィラメント4を形成する酸化物
超電導体及び酸化物超電導体前駆体、並びに外被5、管
2をそれぞれ構成する材料と化学反応を起こすことな
く、蒸発、気化、燃焼、分解等により外被表面から消失
するような材料が望ましい。このような材料を上記バイ
ンダー等の材料として選択することにより、包被前駆体
を完全な包被とすることだけを目的とした処理を行わな
くても、超電導化熱処理または焼鈍処理により包被前駆
体を完全な包被とすることが可能となる。
【0044】この適当なバインダー、溶剤、溶媒、その
他の材料として具体的には、例えば、灯油、ケロシン、
ミネラルスピリット等の脂肪族類炭化水素系溶剤、トル
エン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素
系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、セロソ
ルブアセテート等のエステル系溶剤、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
剤、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアル
コール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコー
ル等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等
のエーテル系溶剤、マシン油、スピンドル油、タービン
油、パラフィン等の鉱物油、菜種油、パーム油、ヤシ
油、ラード油、牛脂、魚油等の動植物油、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等の合成油、もしくは水、または前
記の物質の少なくとも1種類を含む溶剤等を使用するこ
とができる。
【0045】更に、前述の(3)の包被形成工程におけ
る包被形成または包被前駆体塗布の方法(c)を、以下
に記述する。
【0046】酸化物超電導材1は、その製造工程におい
て、1本の超電導フィラメント形成物質とそれを囲繞す
る金属または金属からなる外被5を、同時に引抜き、押
出し、圧延によって多段階に変形させる前述の(1)の
素線形成工程を有する。この素線形成工程においては一
般に何らかの潤滑材が必要であるが、包被形成材料をこ
の潤滑材と混合し、または潤滑材そのものとして使用す
ることができる。このことにより、素線3の金属または
金属合金からなる外被5の表面に、包被形成材料を含む
皮膜または包被形成材料そのものによる皮膜を形成し
て、包被6を形成することができる。
【0047】包被形成材料を他の何らかの潤滑材と混合
する場合には、この包被形成材料と異なる他の潤滑材
は、超電導化熱処理と焼鈍処理の少なくとも一方におい
て、超電導フィラメントを形成する酸化物超電導体また
は酸化物超電導体前駆体、及び外被5、管2をそれぞれ
構成する材料と化学反応を起こすことなく、蒸発、気
化、燃焼、分解等により外被表面から消失するような性
質が望まれる。この潤滑油としては、具体的に、マシン
油、スピンドル油、タービン油、パラフィン等の鉱物
油、菜種油、パーム油、ヤシ油、ラード油、牛脂、魚油
等の動植物油、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成
油、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪
酸、高級アルコール類、二硫化モリブデン、或いは黒鉛
等を使用することができる。
【0048】一方、包被形成材料を潤滑材そのものとし
て使用する場合には、必ずしも他の潤滑材を混合する必
要はない。しかし、包被形成材料は一般に融点が高く、
変形加工過程の発熱程度では固体のままであるため、流
動性向上のため適当なバインダー、溶剤、溶媒等と混合
することが望ましい。好ましくは、このバインダー、溶
剤、溶媒等も潤滑性を有する材料、例えばマシン油、ス
ピンドル油、タービン油、パラフィン等の鉱物油、菜種
油、パーム油、ヤシ油、ラード油、牛脂、魚油等の動植
物油、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成油、或い
はこれらのうち少なくとも1種類の物質を含む溶剤であ
ることが望ましい。これら潤滑材としての包被形成材料
以外の物質は、少なくとも1回の超電導化熱処理または
焼鈍処理において、蒸発、気化、燃焼、分解等により外
被5の表面からほとんど完全に、または完全に消失す
る。
【0049】次に、前述の(4)の複合導体形成工程
を、以下に詳説する。
【0050】素線形成工程、焼鈍処理工程及び包被形成
工程で形成された素線3は、金属または金属合金からな
る外被5の表面に、包被形成または包被前駆体塗布が行
われている。少なくとも2本のこれらの素線3を管2内
に一緒に保持して1本の束に束ね、或いは各素線を一緒
に束ねて撚り合わせて1本の束とする。或いは、各素線
3を適当な芯材の表面周囲に螺旋状に巻き付けて1本の
束とすることもできる。この場合において、この管2ま
たは芯材は、各素線3の外被5をそれぞれ構成している
材料の少なくとも一つから構成される。このように、素
線3が1本の束にまとめられて複合導体が形成される。
【0051】ところで、前述の如く、この複合導体形成
工程の前に素線3に対して焼鈍処理工程がなされる。そ
の理由は、仮に複合導体形成後、この複合導体に塑性変
形を加え、その後焼鈍処理を実施すると、包被前駆体に
含まれるバインダー、溶剤、溶媒、その他包被形成材料
以外の材料が蒸発、気化、燃焼、分解等し、発生する蒸
気等のガスにより複合導体に膨れ等が生じて、完成した
酸化物超電導材1の超電導特性を損なうことがあるから
である。このように、素線3を複合導体へと束ねる前に
焼鈍処理を施しておくことにより、複合導体を塑性変形
させることが容易になるだけではなく、複合導体に膨れ
等の発生を防ぐことができる。
【0052】複合導体は、例えば引抜き、押出し、圧延
等の塑性加工により変形させることができる。この塑性
変形は多段階に分けて行い、更に必要に応じて、引抜
き、押出し、圧延等の各種の塑性加工を組み合わせるこ
とも可能である。
【0053】各超電導フィラメント4は素線3の製造に
際して、特に素線3を塑性変形させる際に、各素線の外
被5、包被6及び包被前駆体とともに変形される。その
変形は好ましくは、超電導フィラメント4が可能な限り
内部構造形成されるように行われる。これによって、各
超電導フィラメント4が超電導性の多数の小板状の結晶
を含むことになり、これらの結晶の二つの最大表面が各
超電導フィラメント4の長手方向に平行となる。この結
果、各超電導フィラメント4において、互いに隣り合っ
た別個の小板状結晶子の間に僅かな中空空間が存在する
ことになり、これが大きな臨界電流密度を得るのに貢献
する。
【0054】また、複合導体の塑性変形により、各超電
導フィラメント4、外被5及び包被6は互いに押し付け
られ、完成した酸化物超電導材1においては、ほとんど
隙間なく互いに固定的に密接する。従って、完成した酸
化物超電導材1は単一部材的である。
【0055】上記塑性変形のうち、特に少なくとも1回
のロール圧延を含む多段階の塑性変形加工によって、複
合導体はテープ状の構造体へと変形される。この場合、
塑性加工された複合導体中に存在する各超電導フィラメ
ント4は、その長手方向に対して垂直な断面の形状が矩
形形状である。更に、各超電導フィラメント4がBi−
2212相またはBi−2223相からなる場合には、
それぞれの相の各小板状結晶子が、ロール圧延により形
成されたテープ状複合導体の幅の広い表面に対して平行
となるので、超電導フィラメント4は、上記幅の広い各
表面に対して垂直な結晶学的c軸を有するような内部構
造に形成される。
【0056】また、複合導体は、塑性加工により、その
長手方向に対する断面形状が円形、正六角形、またはそ
の他の多角形の構造体へと変形される。その場合、塑性
加工された複合導体中に存在する各超電導フィラメント
4は、その長手方向に対して垂直な断面形状がほぼ規則
的な円形または六角形となり、外周部においては多少と
も卵型または矩形形状となる。更に、各超電導フィラメ
ント4が少なくともBi−2212相からなる場合に
は、この超電導フィラメント4は、少なくともそれぞれ
の外被5の表面と接触している領域において、上述の結
晶学的c軸を有する内部構造に形成される。この場合、
超電導フィラメント4の小板状結晶子は、それらの結晶
学的c軸がそれらの対応する超電導フィラメント4の長
手方向に対してほぼ平行であるように配置される。
【0057】以上の塑性変形を行うに当たっては、必要
に応じて、各素線3の外被5、管2または芯材の軟化温
度近傍かまたはそれ以上の温度にて熱処理(焼鈍処理)
を少なくとも1回行う。
【0058】最後に、前述の(5)の超電導化熱処理
を、以下に詳説する。
【0059】酸化物超電導材1は、その製造過程におい
て少なくとも1回の超電導化熱処理が施される。この熱
処理は、体積比率において少なくとも5%以上の、好ま
しくは20%以上の、特に好ましくは100%の酸素ガ
スを含む雰囲気中で行う。そして、この熱処理は、超電
導フィラメント形成物質の可能な限り大きな部分が所望
の超電導相に転化されるような温度に加熱されて実施さ
れる。
【0060】この超電導化熱処理に際して、複合導体
は、Bi−2223相を形成させる場合には少なくとも
790℃、そして例えば830〜840℃に加熱され
る。この熱処理の継続時間は少なくとも50時間であ
り、例えば100〜500時間である。この熱処理が複
数回行われるときは、それぞれの熱処理の合計時間が少
なくとも50時間であり、例えば100〜500時間で
ある。
【0061】また、Bi−2212相を形成させる場合
には、複合導体は、例えば870〜920℃の温度で約
1〜数10分間加熱された後、810〜840℃の温度
に約50〜100時間保持される。
【0062】従って、上記実施の形態によれば、次の効
果を奏する。
【0063】酸化物超電導材1の各素線3において、超
電導フィラメント4を被覆する導電性材料からなる外被
5を、窒素酸化物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケ
イ酸塩鉱物の少なくとも一つを有し、外被5よりも比抵
抗の大きな材料から構成された包被6により被覆するこ
とから、超電導フィラメント4を包被6により電気的に
絶縁することができるので、複数の超電導フィラメント
4間において、渦電流の形成を阻止でき、渦電流による
電気エネルギーの損失を低減できる。
【0064】また、超電導フィラメント4の外側に外被
5、包被6が順次被覆され、しかも、比抵抗の極めて大
きな包被6を構成する窒素酸化物等の物質が外被5中に
拡散浸透されるものではないため、これらの物質が超電
導フィラメント4を構成する酸化物超電導体中に拡散浸
透することもない。このため、比抵抗の大きな包被6の
存在によっても、超電導フィラメント4の超電導性良好
に確保できる。
【0065】更に、素線3を構成する包被6が窒素化合
物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少
なくとも一つを含む材料から形成され、これらがペロブ
スカイト型の結晶構造、グラファイト型の結晶構造また
は原子が層状に配列された結晶構造を有し、しかも劈開
性を備えたことから、包被6形成後の酸化物超電導材1
の塑性変形を容易化できる。
【0066】
【第1実施例】図2(A)に本発明の第1実施例にかか
わる酸化物超電導材11の模式的な断面図が示されてい
る。この酸化物超電導材11は、銀または銀合金或いは
その他の金属からなる管12中に、素線13を複数本配
置した多芯構造に形成されている。各素線13は図2
(B)に示すようにビスマス系、イットリウム系、タリ
ウム系または水銀系統からなる酸化物超電導体14を、
銀または銀合金或いはその他の金属からなる外被15で
被覆し、更にその外側に外被15よりも大きな比抵抗を
有する窒素化合物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケ
イ酸塩鉱物の少なくとも一つを含む包被16を配置した
構造を持つ。このとき、管12と外被15を構成する材
料は必ずしも同じである必要はない。また、上記酸化物
超電導体14が超電導フィラメントを構成する。
【0067】ここで、上述の包被16は、線材作製過程
における全ての熱処理が終了した後の組成状態であり、
全ての熱処理が終了する前には導電性の物質を含んでい
てもよい。例えば、包被形成時の溶媒の一種として、及
び/または包被形成後の塑性加工における成形性の向上
を目的として、黒鉛等の導電性物質を混合した状態で包
被16を形成することがある。包被16の形成時にこの
ような導電性物質が含まれていたとしても、線材作製工
程には少なくとも1回の焼鈍処理及び少なくとも1回の
超電導化熱処理が行われる。例えば、管12及び外被1
5が銀である場合には約400℃の焼鈍処理が、または
酸化物超電導体14がビスマス系の酸化物超電導体であ
る場合には酸素雰囲気中で800℃以上の温度での超電
導化熱処理が行われる。このため、導電性物質たる黒鉛
は二酸化炭素となって包被16から除去される。
【0068】また、包被16の形成のために例えば油、
アルコール等を包被構成材料の溶媒として使用すること
も可能である。さらには、窒素化合物、ケイ酸化合物、
ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも一つを混合
した伸線油を使用して引抜、押出、圧延等の塑性加工に
より素線13を作製することで、外被15の表面に包被
16を形成することもできる。これらの油、アルコー
ル、伸線油等は、上述の焼鈍処理や超電導化熱処理等の
熱処理によってそのほとんどが燃焼、分解、気化等によ
り包被16からは除去される。わずかに残留したとして
も、これらのほとんどは絶縁体であるために絶縁性が損
なわれることはない。
【0069】このような第1実施例においては、次の効
果、、及びを奏する。
【0070】外側に比抵抗の極めて高い絶縁層、具体
的には包被16を備えた素線13を複数配置してなる多
芯構造の酸化物超電導材11であることから、各素線1
3中に存在している酸化物超電導体14間の電気抵抗を
包被16の存在によって十分高めることができるため、
渦電流の形成を阻止することができ、渦電流による電気
エネルギーの損失を十分に低減することができる。
【0071】酸化物超電導体14の外側に外被15、
包被16が順次被覆され、しかも、比抵抗の極めて大き
な包被16を構成する窒素酸化物等の物質が外被15中
に拡散浸透されるものではないため、これらの物質が酸
化物超電導体14中に拡散浸透することもない。このた
め、比抵抗の大きな包被16の存在によっても、酸化物
超電導体14の超電導性を良好に確保できる。
【0072】素線13を構成する包被16が窒素化合
物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少
なくとも一つを含む材料から形成され、これらがペロブ
スカイト型の結晶構造、グラファイト型の結晶構造また
は原子が層状に配列された結晶構造を有して劈開性を備
えたことから、包被16形成後の酸化物超電導材11の
塑性変形を容易化できる。
【0073】なお、本発明に係わる酸化物超電導体14
同士や電極との接続を必要とする部分では、包被16を
除去して低抵抗の外被15を露出させ、この露出部分を
接続部に用いることによって十分な低抵抗接続を行うこ
とができる。
【0074】
【第2実施例】図3(A)に、本発明の第2実施例にか
かわる酸化物超電導材21の模式的な断面図が示されて
いる。この酸化物超電導材21が第1実施例に示した酸
化物超電導材11と異なる点は、素線23の構成にあ
る。
【0075】各素線23は、図3(B)に示すようにビ
スマス系、イットリウム系、タリウム系または水銀系等
からなる酸化物超電導体24を、銀または銀合金或いは
その他の金属からなる外被25で被覆し、更にその外側
に、外被25よりも大きな比抵抗を有する窒素化合物、
ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なく
とも一つを含む包被26を配置し、更に包被26の外側
を銀または銀合金或いはその他の金属からなる外被27
で被覆した構造を持つ。このとき、複数本の素線23を
収納する管22は、銀または銀合金或いはその他の金属
から成るが、各素線23の外被25、外被27を構成す
る材料とは必ずしも同一である必要はない。また、上記
酸化物超電導体24が超電導フィラメントを構成する。
【0076】このように形成された酸化物超電導体21
にあっても、第1実施例に示した酸化物超電導体11の
効果、及びと同様な効果を発揮できる。
【0077】
【第3実施例】図4(A)に、本発明の第3実施例にか
かわる酸化物超電導材31の模式的な断面図が示されて
いる。この酸化物超電導材31が第1実施例に示した酸
化物超電導材11と異なる点は、素線33の形状にあ
る。
【0078】酸化物超電導材11では素線13の断面形
状は円または円に近い形状であるが、本実施例による酸
化物超電導材31を構成する素線33は、その断面形状
が多角形、特に正六角形または正六角形に近い多角形と
なる。
【0079】各素線31は素線11とは断面形状が異な
るだけで、図4(B)に示すように、ビスマス系、イッ
トリウム系、タリウム系または水銀系等からなる酸化物
超電導体34を、銀または銀合金或いはその他の金属か
らなる外被35で被覆し、更にその外側に、外被35よ
りも大きな比抵抗を有する窒素化合物、ケイ酸化合物、
ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも一つを含む
包被36を配置した構造を持つ。
【0080】このとき、複数本の素線33を収納する管
32は、銀または銀合金或いはその他の金属からなる
が、各素線33の外被35を構成する材料とは必ずしも
同一である必要はない。また、酸化物超電導体34が超
電導フィラメントを構成する。
【0081】このように構成された酸化物超電導体31
にあっても、第1実施例に示した酸化物超電導体11の
効果、及びと同様な効果を発揮できる。
【0082】
【第4実施例】図5(A)に、本発明の第4実施例に係
わる酸化物超電導材41の模式的な断面図が示されてい
る。この酸化物超電導材41が第3実施例に示した酸化
物超電導材31と異なる点は、素線43の構成にある。
【0083】各素線43は、図5(B)に示すように、
ビスマス系、イットリウム系、タリウム系または水銀系
等からなる酸化物超電導体44を、銀または銀合金或い
はその他の金属からなる外被45で被覆し、更にその外
側に外被45よりも大きな比抵抗を有する窒素化合物、
ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なく
とも一つを含む包被46を配置し、更に包被46の外側
を、銀または銀合金或いはその他の金属からなる外被4
7で被覆した構造を持つ。
【0084】このとき、複数本の素線43を収納する管
42は、銀または銀合金或いはその他の金属からなる
が、各素線43の外被45、外被47を構成する材料と
は必ずしも同一である必要はない。また、酸化物超電導
体44が超電導フィラメントを構成する。
【0085】このように形成された酸化物超電導体41
にあっても、第1実施例に示した酸化物超電導体11の
効果、及びと同様な効果を発揮できる。
【0086】
【第5実施例】図6に、本発明の第5実施例に係わる酸
化物超電導材51の模式的な断面図が示されている。こ
の酸化物超電導材51が第3及び第4実施例と異なる点
は、酸化物超電導材51における管52の形状にある。
【0087】管52の空孔部及び素線53の断面形状を
正六角形としておくことで、素線の位置をきっちりと固
定することができる。また、素線53は第3実施例の素
線33、第4実施例の素線43のいずれかの構造であ
る。従って、この実施例の酸化物超電導材51にあって
も、第1実施例の効果、及びと同様な効果を奏す
る。
【0088】
【第6実施例】図7に、本発明の第6実施例に係わる酸
化物超電導材61の模式的な断面図が示されている。こ
の酸化物超電導材61が第5実施例に示した酸化物超電
導材51と異なる点は、管62の形状にある。
【0089】この管62は、管52の外形を正六角形ま
たは正六角形に近い形としたものである。もちろん、こ
の実施例においても素線63は、第3実施例の素線3
3、第4実施例の素線43のいずれかの構造である。従
って、この第6実施例においても、第5実施例に示した
酸化物超電導体51と同様な効果を発揮できる。
【0090】
【第7実施例】図8に、本発明の第7実施例に係わる酸
化物超電導材71の模式的な断面図が示されている。超
電導フィラメントを構成する酸化物超電導材71は、第
2実施例、第4実施例、第5実施例または第6実施例に
示した酸化物超電導体21、41、51、61に引抜、
押出等の塑性加工を施すことで得ることができる。特
に、管22、42、52、62と外被27、47が同一
材質ならば、塑性加工により、これらはほとんど一体
化、好ましくは完全に一体化したマトリクス72を形成
する。
【0091】このような酸化物超電導材71では、各酸
化物超電導体73を銀または銀合金或いはその他の金属
からなる外被74で被覆し、その外側を、外被74より
も大きな比抵抗を有する窒素化合物、ケイ酸化合物、ケ
イ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも一つを含む包
被75で被覆して線状構造体76が構成され、この線状
構造体76が、銀または銀合金或いはその他の金属から
なるマトリクス72中に複数配置された構造を持つ。
【0092】このような酸化物超電導材71において
も、包被75によって渦電流の形成を阻止することがで
き、渦電流による電気エネルギーの損失を十分に低減す
ることができる等、第1実施例の効果、及びと同
様な効果を奏する。
【0093】
【第8実施例】図9に、本発明の第8実施例に係わる酸
化物超電導材81の模式的な断面図が示されている。酸
化物超電導材81は、第7実施例の酸化物超電導材71
に引抜、押出、圧延等の塑性加工を更に施して、テープ
状または帯状に加工したものである。
【0094】このような酸化物超電導材81において
も、超電導フィラメントを構成する各酸化物超電導体8
3の外側を、外被74と同様な外被84が覆い、この外
被84の外側を、包被75と同様な包被85が覆って線
状構造体86が構成され、この線状構造体86が、マト
リックス72と同様な構造のマトリックス82内に配置
されている。
【0095】従って、各酸化物超電導体83が各包被8
5によって電気的に絶縁されているため、この実施例に
おいても、渦電流による電気エネルギーの損失を十分に
低減できる等、第7実施例と同様な効果を奏することが
できる。
【0096】
【第9実施例】図10(A)、図10(B)には本発明
の第9実施例に係わる酸化物超電導材91a、91bの
それぞれの模式的な断面図が示されている。
【0097】この酸化物超電導材91aは、超電導フィ
ラメントを構成する酸化物超電導体92、銀または銀合
金或いはその他の金属からなる外被93、外被93、9
5よりも大きな比抵抗を有する窒素化合物、ケイ酸化合
物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも一つを
含む包被94、銀または銀合金或いはその他の金属から
なる外被95、酸化物超電導体96、銀または銀合金或
いはその他の金属からなる外被97を内側から順次同心
円状に配置した多層構造を持つ。
【0098】この酸化物超電導材91aにおいても、超
電導フィラメントを構成する超電導体92と96が包被
94によって電気的に絶縁されているため、渦電流によ
る電気エネルギーの損失を十分に低減することができる
等、第1実施例の効果、及びと同様な効果を奏す
る。
【0099】一方、酸化物超電導材91bは、酸化物超
電導材91aに引抜、押出、圧延等の塑性加工を施し
て、テープ状または帯状に加工したものである。この酸
化物超電導材91bも、酸化物超電導材91aと同様な
効果を達成できる。
【0100】本実施例においては、酸化物超電導体の断
面形状が円もしくは長方形またはそれらに近い形の例を
示したが、酸化物超電導体の断面形状は必ずしもこれら
の形状である必要はなく、必要に応じて三角形、正方
形、正六角形或いはその他の多角形であってもよい。
【0101】更に、本実施例においては、酸化物超電導
体層は2層しか示していないが、本実施例で図示した酸
化物超電導体91a、91bの外側に更に窒素化合物、
ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なく
とも一つを含む包被、銀または銀合金或いはその他の金
属からなる外被、酸化物超電導体、銀または銀合金或い
はその他の金属からなる外被を順次形成していき、包被
によりそれぞれ電気的に絶縁された酸化物超電導体層を
3層、4層…と追加していってもよい。
【0102】
【第10実施例】図11(A)に、本発明の第10実施
例に係わる酸化物超電導材101の模式的な断面図が、
図11(B)にその側面図がそれぞれ示されている。
【0103】本実施例では、超電導フィラメントを構成
する酸化物超電導体103を、銀または銀合金或いはそ
の他の金属からなる外被104で被覆し、その外側を外
被104よりも大きな比抵抗を有する窒素化合物、ケイ
酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なくとも
一つを含む包被105で被覆した素線102を3本束ね
て撚り合わせた例を示している。勿論、素線102は第
2実施例で示した素線23のような構造であってもよ
い。更に、素線102は必ずしも3本である必要はな
く、2本以上であれば何本でもよい。
【0104】本実施例による酸化物超電導材101にお
いても、各酸化物超電導体103が各包被105によっ
て電気的に絶縁されるため、渦電流による電気エネルギ
ーの損失を低減することができる等、第1実施例の効果
、及びと同様な効果を奏する。
【0105】以上、本発明を前記実施の形態及び上記各
実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0106】例えば、第1〜第10実施例に示した酸化
物超電導材を、第1〜第10実施例で示した包被を介在
させる構造を用いて、電気的に絶縁した状態で複数本束
ねることで、各酸化物超電導体(超電導フィラメント)
が電気的に絶縁された酸化物超電導材を得ることができ
る。
【0107】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る酸化物超電
導材によれば、酸化物超電導体から構成される線状の超
電導フィラメントを少なくとも2本有する酸化物超電導
材において、上記各超電導フィラメントが、導電性材料
からなる外被によりそれぞれ被覆され、各外被が窒素化
合物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の
少なくとも一つを含む包被によりそれぞれ被覆され、こ
の包被の比抵抗が上記外被の比抵抗よりも大きく構成さ
れたことから、各超電導フィラメントの超電導性を損な
うことなく、複数の超電導フィラメント間における電気
エネルギーの損失を低減できるとともに、酸化物超電導
材の塑性加工を容易化できる。
【0108】請求項5に記載の発明に係る酸化物超電導
材の製造方法によれば、超電導フィラメント形成物質を
導電性材料からなる外被により被覆して素線を形成し、
次に、少なくとも2本の上記素線を束ねて複合導体を形
成し、次に、この複合導体を塑性変形した後、超電導化
熱処理を施し、上記超電導フィラメント形成物質を超電
導フィラメントとして酸化物超電導材を製造する酸化物
超電導材の製造方法において、上記素線を束ねて上記複
合導体を形成する工程の前に、上記素線の上記外被を包
被により被覆する工程を有し、この包被が窒素化合物、
ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少なく
とも一つを含み、比抵抗が前記外被よりも大きな材料に
て構成されたことから、各超電導フィラメントの超電導
性を損なうことなく、複数の超電導フィラメント間にお
ける電気エネルギーの損失を低減できるとともに、酸化
物超電導材の塑性加工を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る酸化物超電導材の一実施の形態を
示す構成図である。
【図2】(A)は、本発明の第1実施例に係わる酸化物
超電導材の模式的な断面図であり、(B)は図2(A)
の素線を示す断面図である。
【図3】(A)は、本発明の第2実施例に係わる酸化物
超電導材の模式的な断面図であり、(B)は図3(A)
の素線を示す断面図である。
【図4】(A)は、本発明の第3実施例に係わる酸化物
超電導材の模式的な断面図であり、(B)は図4(A)
の素線を示す断面図である。
【図5】(A)は、本発明の第4実施例に係わる酸化物
超電導材の模式的な断面図であり、(B)は図5(A)
の素線を示す断面図である。
【図6】本発明の第5実施例に係わる酸化物超電導材の
模式的な断面図である。
【図7】本発明の第6実施例に係わる酸化物超電導材の
模式的な断面図である。
【図8】本発明の第7実施例に係わる酸化物超電導材の
模式的な断面図である。
【図9】本発明の第8実施例に係わる酸化物超電導材の
模式的な断面図である。
【図10】本発明の第9実施例に係わる酸化物超電導材
の模式的な断面図である。
【図11】(A)は本発明の第10実施例に係わる酸化
物超電導材の模式的な断面図であり、(B)は図11
(A)の酸化物超電導材の側面図である。
【符号の説明】
1 酸化物超電導材 3 素線 4 超電導フィラメント 5 外被 6 包被 11 酸化物超電導材 13 素線 14 酸化物超電導体 15 外被 16 包被 21 酸化物超電導材 23 素線 24 酸化物超電導体 25 外被 26 包被 27 外被 31 酸化物超電導材 33 素線 34 酸化物超電導体 35 外被 36 包被 41 酸化物超電導材 43 素線 44 酸化物超電導体 45 外被 46 包被 47 外被 51 酸化物超電導材 53 素線 61 酸化物超電導材 63 素線 71 酸化物超電導材 73 酸化物超電導体 74 外被 75 包被 81 酸化物超電導材 83 酸化物超電導体 84 外被 85 包被 91a 酸化物超電導材 91b 酸化物超電導材 92 酸化物超電導体 93 外被 94 包被 95 外被 96 酸化物超電導体 97 外被 101 酸化物超電導材 102 素線 103 酸化物超電導体 104 外被 105 包被

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体から構成される線状の超
    電導フィラメントを少なくとも2本有する酸化物超電導
    材において、上記各超電導フィラメントが導電性材料か
    らなる外被によりそれぞれ被覆され、各外被が窒素化合
    物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合物、ケイ酸塩鉱物の少
    なくとも一つを含む包被によりそれぞれ被覆され、この
    包被の比抵抗が上記外被の比抵抗よりも大きく構成され
    たことを特徴とする酸化物超電導材。
  2. 【請求項2】 上記超電導フィラメントが、ビスマスと
    ストロンチウムとカルシウムと銅との酸化物、イットリ
    ウムとバリウムと銅との酸化物、水銀とバリウムと銅と
    の酸化物、またはタリウムとストロンチウムとカルシウ
    ムと銅との酸化物を含んで構成されたことを特徴とする
    請求項1に記載の酸化物超電導材。
  3. 【請求項3】 上記包被は、その構成物質にペロブスカ
    イト型の結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有す
    る物質、グラファイト(黒鉛)型の結晶構造またはそれ
    に類似する結晶構造を有する物質、原子が層状に配列さ
    れた結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有する物
    質の少なくとも一つを含み、劈開性を有することを特徴
    とする請求項1または2記載の酸化物超電導材。
  4. 【請求項4】 上記包被は、リチウム、ベリリウム、ホ
    ウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素の少なくと
    も一つの元素を含む窒素化合物と、リチウム、ベリリウ
    ム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アル
    ミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウム、チタン、マ
    ンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、ウランの
    少なくとも一つの元素を含むケイ酸化合物と、リチウ
    ム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグネ
    シウム、アルミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウ
    ム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニ
    ウム、ウランの少なくとも一つの元素を含むケイ酸塩化
    合物と、リチウム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナト
    リウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カリウ
    ム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜
    鉛、ジルコニウム、ウランの少なくとも一つの元素を含
    むケイ酸塩鉱物との少なくとも一つを有することを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化物超電導
    材。
  5. 【請求項5】 超電導フィラメント形成物質を導電性材
    料からなる外被により被覆して素線を形成し、次に、少
    なくとも2本の上記素線を束ねて複合導体を形成し、次
    に、この複合導体を塑性変形した後、超電導化熱処理を
    施し、上記超電導フィラメント形成物質を超電導フィラ
    メントとして酸化物超電導材を製造する酸化物超電導材
    の製造方法において、 上記素線を束ねて上記複合導体を形成する工程の前に、
    上記素線の上記外被を包被により被覆する工程を有し、
    この包被が窒素化合物、ケイ酸化合物、ケイ酸塩化合
    物、ケイ酸塩鉱物の少なくと一つを含み、比抵抗が前記
    外被よりも大きな材料にて構成されたことを特徴とする
    酸化物超電導材の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記包被は、その構成物質にペロブスカ
    イト型の結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有す
    る物質、グラファイト(黒鉛)型の結晶構造またはそれ
    に類似する結晶構造を有する物質、原子が層状に配列さ
    れた結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有する物
    質の少なくとも一つを含み、劈開性を有することを特徴
    とする請求項5記載の酸化物超電導材の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記包被は、リチウム、ベリリウム、ホ
    ウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素の少なくと
    も一つの元素を含む窒素化合物と、リチウム、ベリリウ
    ム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アル
    ミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウム、チタン、マ
    ンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、ウランの
    少なくとも一つの元素を含むケイ酸化合物と、リチウ
    ム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナトリウム、マグネ
    シウム、アルミニウム、ケイ素、カリウム、カルシウ
    ム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニ
    ウム、ウランの少なくとも一つの元素を含むケイ酸塩化
    合物と、リチウム、ベリリウム、ホウ素、フッ素、ナト
    リウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カリウ
    ム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜
    鉛、ジルコニウム、ウランの少なくとも一つの元素を含
    むケイ酸塩鉱物との少なくとも一つを有することを特徴
    とする請求項5または6に記載の酸化物超電導材の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 上記包被を構成する材料に含まれるペロ
    ブスカイト型の結晶構造またはそれに類似する結晶構造
    を有し劈開性を備えた物質以外の物質、グラファイト型
    の結晶構造またはそれに類似する結晶構造を有し劈開性
    を備えた物質以外の物質、原子が層状に配列された結晶
    構造またはそれに類似する結晶構造を有し劈開性を備え
    た物質以外の物質、窒素化合物以外の物質、ケイ酸化合
    物以外の物質、ケイ酸塩化合物以外の物質、及びケイ酸
    塩鉱物以外の物質を、蒸発、気化、燃焼、または分解さ
    せる熱処理工程を有することを特徴とする請求項5乃至
    7のいずれかに記載の酸化物超電導材の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記包被を構成する材料が、素線を形成
    する塑性変形加工時に、上記素線の外被に塗布されるこ
    とを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の酸化
    物超電導材の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記熱処理工程は、素線中の超電導フ
    ィラメント形成材料を、超電導性の結晶を有する超電導
    フィラメントに転化させる超電導化熱処理工程であるこ
    とを特徴とする請求項8に記載の酸化物超電導材の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 上記熱処理工程は、素線の外被を構成
    する材料を軟化温度以上の温度で熱処理する焼鈍処理工
    程であることを特徴とする請求項8に記載の酸化物超電
    導材の製造方法。
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